説明

AMPA受容体増強化合物および医薬におけるその使用

式(I)の化合物、およびその塩が提供される:


式中、nは0、1、2または3であり;Rは、フェニルおよびピリジルから選択され、これらは各々、場合により、C1−4アルキルおよびハロゲンから独立して選択される一つまたは二つの基で置換され;Rは、nが1の場合、HまたはCHから選択され;Rは、nが2または3の場合Hである。その製造方法、医薬組成物、および例えば統合失調症または認知障害等の、グルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療における医薬としての使用も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AMPA受容体を増強する新規な化合物に関する。本発明は、グルタミン酸受容体の増強により媒介される疾患および状態の治療における化合物の使用、その誘導体を含有する組成物、ならびにそれらの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の中枢神経系(CNS)において、速い興奮性神経伝達の大部分を媒介するグルタミン酸受容体は、興奮性アミノ酸、L−グルタメートによって活性化される(総説としてWatkins JC, Krogsgaard-Larsen P, Honore T (1990) Trends Pharmacol Sci 11: 25-33を参照)。
【0003】
グルタミン酸受容体は、2つの別個のファミリーに分類することができる。G−タンパク質または第二メッセンジャー結合性「代謝型」グルタミン酸受容体ファミリーは、配列相同性および細胞内情報伝達機構に基づいて3つのグループ(グループI、mGlu1およびmGlu5;グループII、mGlu2およびmGlu3;グループIII、mGlu4、mGlu6、mGlu7、mGlu8)に細分することができる(総説としてConn PJ and Pinn JP (1997) Ann Rev Pharmacol Toxicol 37: 205-237を参照)。リガンド依存性陽イオンチャネルに直接結合する「イオンチャネル型」グルタミン酸受容体ファミリーは、選択的作動薬、N−メチル−D−アルパルテート(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)およびカイニン酸(KA)による脱分極活性化に基づき少なくとも3つのサブタイプに細分することができる(総説としてDingledine R, Borges K, Bowie DおよびTraynelis S (1999) Pharmacol. Rev. 51: 7-61を参照)。
【0004】
天然のAMPA受容体(AMPAR)は、4つの異なるタンパク質サブユニット(GluR1−4)の組み合わせからなるヘテロ四量体として存在する(Bettler BおよびMuller C (1995) Neuropharmacology 34: 123-139を参照)。受容体サブユニットの多様性は、各サブユニットが、第四の膜貫通領域M4の直前の、細胞外領域の38アミノ酸配列の交互のスプライシングを受け得るにつれさらに増大する。そのような編集(editing)により、通称「フリップ」および「フロップ」受容体アイソフォームが生じ、該アイソフォームは動力学的性質および薬理学的性質において異なっている(Sommer B, Keinanen K, Verdoon TA, Wisden W, Burnashev N, Herb A, Kohler M, Takagi T, Sakmann B, Seeburg PH (1990) Science 249: 1580-1585)。
【0005】
加えて、GluR2 mRNAの転写後編集は、M2内の中性グルタミンを正に帯電したアルギニンへ変化させる。正常なヒトにおいて、>99%のGluR2がこのように編集される。そのような編集されたGluR2サブユニットを含むAMPARは、低いカルシウム透過性を示す(Burnachev N, Monyer H, Seeburg PH, Sakmann B (1992) Neuron 8: 189-198)。しかしながら、ある疾患関連の状態において、高いカルシウム透過性を有するAMPARの数が増大されることが示唆されている(Weiss JH, and Sensi SL (2000) Trends in Neurosci 23: 365-371)。
【0006】
AMPARの脱分極は、NMDA受容体の電圧依存性Mg2+遮断を除去し、これは次に、長期増強(「LTP」)の誘導の不可欠な段階であるNMDA受容体活性化をもたらす(Bliss TVP, Collingridge GL (1993) Nature 361: 31-9)。LTPは、例えば学習中に生じる反復刺激または反復活性後のシナプス強度増大の生理学的手段である。
【0007】
グルタミン酸受容体機能が低下された状態における、作動薬によるグルタミン酸受容体の直接的な活性化は、興奮毒性および更なるニューロン損傷の危険性を増大させることが報告されている。AMPAR陽性アロステリックモジュレーターは、受容体を直接活性化しない。しかしながら、リガンド(L−グルタメートまたはAMPA)が存在する場合、AMPARモジュレーターは受容体活性を増大させる。それ故、AMPA受容体モジュレーターは、グルタメートが放出されて、シナプス後受容体部位に結合可能な場合に、シナプス機能を向上させる。
【0008】
AMPAR陽性アロステリックモジュレーターとして作用する化合物は、受容体に対するリガンド親和性を増大させ(Arai A, Guidotti A, Costa E, Lynch G (1996) Neuroreport. 7: 2211-5.);受容体脱感作を低下させ、受容体脱活性化を低下させ(Arai AC, Kessler M, Rogers G, Lynch G (2000) 58: 802-813)、インビトロ(Arai A, Guidotti A, Costa E, Lynch G (1996) 7: 2211-5.)およびインビボ(Staubli U, Perez Y, Xu F, Rogers G, Ingvar M, Stone-Elander S, Lynch G (1994) Proc Natl Acad Sci 91: 11158-11162)の両方で、LTPの誘導を促進することが示されている。そのような化合物は、げっ歯類(Zivkovic I, Thompson DM, Bertolino M, Uzunov D, DiBella M, Costa E, Guidotti A (1995) JPET 272: 300-309, Lebrun C, Pilliere E, Lestage P (2000) Eu J Pharmacol 401: 205-212)、類人猿(Thompson DM, Guidotti A, DiBella M, Costa E (1995) Proc Natl Acad Sci 92: 7667-7671)およびヒト(Ingvar M, Ambros-Ingerson J, Davis M, Granger R, Kessler M, Rogers GA, Schehr RS, Lynch G (1997) Exp Neurol 146: 553-559)において様々な認知タスクの学習および行動も向上させる。例えば統合失調症等の精神障害の前臨床および臨床モデルにおける様々なAMPAR陽性アロステリックモジュレーターの効果が研究されている(Morrow J A, Maclean J KF, Jamieson C (2006) Current Opinion in Drug Discovery and Development 9(5) 571-579)。
【0009】
AMPA受容体陽性アロステリックモジュレーターとして作用する化合物は、例えばWO2006/015828号公報にて公知である。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、AMPA受容体を増強する新規な化合物を発見した。
【0011】
第一の面において、本発明は、式(I):
【0012】
【化1】

(式中:
・nは、0、1、2または3であり;
・Rは、フェニルおよびピリジルから選択され、これらは各々、場合により、C1−4アルキルおよびハロゲンから独立して選択される一つまたは二つの基で置換されていてもよく;
・Rは、nが1の場合、HまたはCHから選択され;Rは、nが2または3の場合Hである。)の化合物またはその塩を提供する。
【発明の具体的説明】
【0013】
用語「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。一態様において、ハロゲンはフルオロである。
【0014】
用語「C1−4アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を指す。別に示されない限り、C1−4アルキルは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であってもよい。例えば、C1−4アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されてもよい。例えば、C1−4アルキルは、メチルである。
【0015】
「ピリジル」は「ピリジニル」と交換可能である。
【0016】
一態様において、nは0である。別の態様では、nは1であり、RはHである。更なる態様では、nは2である。また更なる態様では、nは3である。一態様において、RはHであり、nは1、2または3である。
【0017】
一態様において、Rは、フェニルである。
【0018】
がピリジルの場合、Rは、2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルであってもよい。一態様において、Rは、2−ピリジルまたは3−ピリジルであり、各々場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンから独立して選択される一つまたは二つの基で置換されていてもよい。
【0019】
一態様において、Rは、場合によりハロゲン(フルオロのような)または一つもしくは二つのC1−4アルキル基(メチルのような)で置換されていてもよいピリジルである。一態様において、Rは、場合によりハロゲン(フルオロのような)またはC1−4アルキル基(メチルのような)で置換されていてもよいピリジルである。一態様において、Rは、場合により一つまたは二つのC1−4アルキルで置換されていてもよいピリジルである。一態様において、Rは、場合により一つまたは二つのメチルで置換されていてもよいピリジルである。
【0020】
一態様において、本発明は、式(Ia)の化合物:
【0021】
【化2】

(式中:
・nは、0または1であり;
・Rは、フェニルおよびピリジルから選択され、これらは各々、場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンから独立して選択される一つまたは二つの基で置換されていてもよい。)またはその塩を提供する。
【0022】
更なる態様において、本発明は、式(Ia)の化合物またはその塩を提供し、ここで:
・nは、0または1であり;
・Rは、場合によりC1−4アルキルおよびハロゲンから選択される基で置換されていてもよいピリジルである。
【0023】
更なる態様において、本発明は、式(Ia)の化合物またはその塩を提供し、ここで:
・nは、0または1であり;
・Rは、場合により一つまたは二つのメチルで置換されていてもよいピリジルである。
【0024】
式(I)の化合物の全ての参照は、式(Ia)の化合物を含む。
【0025】
疑いを避けるために、特に示さない限り、用語「置換された」は、定義された基の一つまたはそれ以上で置換されていることを意味する。基が多数の選択肢からなる基から選択され得る場合、選択された基は、同一でもまたは異なっていてもよい。疑いを避けるために、用語「独立して」は、多数の可能な置換基から二つ以上の置換基が選択される場合、それらの置換基は同一でもまたは異なっていてもよいことを意味する。
【0026】
本発明は、前記に列挙した基の任意の組み合わせを有する化合物を含むことが意図されると理解されよう。適当な場合には、本発明の一部に関して上述した態様は、本発明の他の一部の態様と組み合わされてもよいことが理解されよう。
【0027】
一態様において、化合物は:
N−[(2S)−5−(フェニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(2−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(6−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−[(2S)−5−(2−ピリジニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(3−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
またはその塩である。
【0028】
一態様において、化合物は:
N−((2S)−5−{[3−(3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[3−(6−メチル−3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(6−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[2−(3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−4−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1S)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1R)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
またはその塩である。
【0029】
一態様において、化合物は:
N−[(2S)−5−(フェニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
またはその塩である。
【0030】
一態様において、化合物は:
N−{(2S)−5−[(6−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−[(2S)−5−(2−ピリジニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(6−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
またはその塩である。
【0031】
一態様において、化合物は:
N−{(2S)−5−[(2−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(3−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[3−(3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[3−(6−メチル−3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[2−(3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−4−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1S)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1R)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
またはその塩である。
【0032】
一態様において、化合物は、N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、またはその塩である。
【0033】
一態様において、化合物は、N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、またはその塩酸塩である。
【0034】
一態様において、上記に定義したような式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩を提供する。
【0035】
医療における使用に好適な式(I)の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容され得るものである。しかしながら、例えば式(I)の他の化合物、およびそれらの薬学上許容可能な塩の調製における中間体として使用するための、ならびに/または治療的ではない、例えばインビトロでの状況で使用するための薬学的に許容され得ない対イオンを有する塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「塩」は、無機または有機の酸または塩基、第四級アンモニウム塩および内部形成塩(internally formed salt)から調製される、本発明による化合物の任意の塩を指す。薬学上許容可能な塩は、親化合物と比較して高いそれらの水溶性により、医療用途に特に好適である。そのような塩は、薬学上許容可能な陰イオンまたは陽イオンを有する必要があることは明らかである。本発明の化合物の薬学上許容可能な好適な塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸等の無機酸、ならびに酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,3−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸等の有機酸と共に形成される酸付加塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属、ならびにN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リシンおよびプロカイン等の有機塩基と共に形成される塩基付加塩;ならびに内部形成塩を含む。塩は、任意の好適な化学量論(stoichiometry)を有してもよい。例えば、塩は、1:1または2:1の化学量論を有してもよい。非整数の化学量論比も可能である。
【0037】
一態様において、上記に定義した式(I)の化合物、またはその塩酸塩を提供する。
【0038】
式(I)の化合物の溶媒和物、および式(I)の化合物の塩の溶媒和物は、本発明の範囲内に含まれる。本明細書で使用されるように、用語「溶媒和物」は、溶質(本発明では、式(I)の化合物またはその塩)と溶媒とにより形成される可変の化学量論の複合体を指す。有機化学の当業者は、多数の有機化合物が、それらが反応され、またはそれらから複合体が沈殿しもしくは結晶化する溶媒と共に、そのような複合体を形成できることを理解するであろう。本発明の目的のためのそれらの溶媒は、溶質の生物学的活性を阻害しない可能性がある。好適な溶媒の例は、水、メタノール、エタノールおよび酢酸を含むが、これらに限定されない。使用される好ましい溶媒は、薬学上許容可能な溶媒である。薬学上許容可能な好適な溶媒の例は、水、エタノールおよび酢酸を含むが、これらに限定されない。使用される最も好ましい溶媒は、水である。使用される溶媒が水の場合、そのような溶媒和物は従って水和物とも称され得る。
【0039】
最終的な脱保護段階の前に形成され得る式(I)の化合物の所定の保護誘導体は、それ自体で薬理学的活性を所有しない場合があるが、ある場合に、経口または非経口投与された後に体内で代謝されて、薬理学的に活性な本発明の化合物を形成し得ることが当業者には理解されよう。従って、そのような誘導体は「プロドラッグ」として記載されてもよい。更に、本発明の所定の化合物は、プロドラッグとして投与されてもよい。本発明の所定の化合物に関するプロドラッグの形態の例は、Drugs of Today, Volume 19, Number 9, 1983, pp 499 - 538およびTopics in Chemistry, Chapter 31, pp 306 - 316およびH. Bundgaard, Elsevierによる「Design of Prodrugs」, 1985, Chapter 1(これらの文書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。更に当業者により「プロ部分(pro-moieties)」として公知の所定の部分が、例えばH. Bundgaardにより「Design of Prodrugs」(この文書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、本発明の化合物に適当な官能基が存在する場合、それらの官能基上に配置されてもよいことが当業者には理解されよう。本発明の所定の化合物に関するプロドラッグの例は:エステル、炭酸エステル、ヘミエステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバメート、アゾ化合物、ホスホアミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールを含む。
【0040】
以後、本発明の任意の面において定義される式(I)の化合物(溶媒和もしくは非溶媒和形態のいずれであっても)またはそれらの薬学上許容可能な塩(溶媒和もしくは非溶媒和形態のいずれであっても)またはそれらのプロドラッグは(化学工程中の中間体化合物を除いて)、「本発明の化合物」と称される。
【0041】
本発明の範囲内には、本発明の化合物の多型も含まれる。
【0042】
本発明は、本発明の化合物の好適な同位体変形物の全ても含む。本発明の化合物の同位体変形物は、少なくとも一つの原子が、同一の原子番号を有するが、通常天然に見出される原子質量とは異なる原子質量を有する原子で置き換えられているものとして定義される。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例は、各々、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体を含む。例えば、Hまたは14C等の放射性同位体が組み込まれた本発明の所定の同位体変形物は、薬物および/または基質組織分布の研究に有用である。三重水素化された、即ちH、および炭素−14、即ち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび可検出性により特に好ましい。更に、重水素、即ちH等の同位体による置換により、より高い代謝安定性から得られる所定の治療的利点、例えばインビボでの半減期の延長、または用量要求の低下を提供することができ、それ故、ある状況において好ましい可能性がある。本発明の化合物の同位体変形物は、一般に、好適な試薬の適当な同位体変形物を使用して、例示的な方法または以下の実施例に記載する調製等の従来の手順により調製することができる。
【0043】
本発明の化合物は、1H−インデン−2−イル基の2位にS立体化学を有する。nが0、2もしくは3であり、またはnが1でRがHである本発明の化合物は、Sエナンチオマー形にある。異なる形態(RおよびS)は通常の方法により他方から分離することができ、または立体特異的合成もしくは不斉合成により得ることができる。以下に示す本発明の実施例化合物では、最初にキラル中間体(2S)−5−ブロモ−2−アミノインダン:
【0044】
【化3】

を、分割剤として(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸を使用して、Prashad et al, Adv. Synth. Catal. 2001, 343, No. 5, pp 461-472に開示され、またWO2006/015828号公報にも記載されているように調製した。このよいに得られた(2S)−5−ブロモ−2−アミノインダン(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸塩の絶対立体配置は、単結晶X線解析により確認された。
【0045】
nが1でRがCHである本発明の化合物は、2つのジアステレオマー形で存在することができ、それらの両方は本発明の範囲内にある。例えば、N−((2S)−5−{[1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミドは、N−((2S)−5−{[(1R)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド立体異性体、N−((2S)−5−{[(1S)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド立体異性体のいずれか、またはジアステレオマーの混合物であってもよい。
【0046】
一態様において、本発明の化合物は、少なくとも80%e.eを有する。別の態様では、本発明の化合物は、少なくとも90%e.e.、例えば少なくとも95%e.e.を有する。別の態様では、異性体は、少なくとも98%e.e、例えば少なくとも99%e.eに対応する。
【0047】
本発明の化合物は、医薬組成物での使用が意図されているため、それらは各々場合により実質的に純粋な形態、例えば少なくとも純度60%、例えば少なくとも純度75%、少なくとも純度85%、または少なくとも純度98%(%は、重量基準における重量に関する)で提供されることが容易に理解されるであろう。化合物の不純製剤を使用して、医薬組成物に使用されるより純粋な形態を調製することができ;これらのより低い純度を有する化合物製剤は、少なくとも1%、少なくとも5%、または10〜59%の本発明の化合物を含有する必要がある。
【0048】
本発明の化合物は、以下の合成スキームにより一部記載する有機合成において公知の方法により調製することができる。以下の反応スキームおよび以後において、別に述べない限り、全部の基は、第一の面に定義した通りである。以下に記載する全部のスキームにおいて、必要な場合、化学の一般的原理に従って、感受性または反応性基のための保護基が使用されることがよく理解される、ということも認識されている。保護基は、有機合成の標準的な方法に従って操作される(T. W. Greene and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)。これらの基は、当業者に容易に明らかな方法を用いて、化合物合成の都合の良い段階で除去される。工程の選択、ならびに反応条件およびそれらを遂行する順番は、本発明の化合物の調製と矛盾しないものとする。
【0049】
以下のスキーム1に、適切なアルコールArOHと反応させることによる、式(Ib)の化合物(nが0である式の化合物)の調製を示す。典型的な反応条件は、式(II)の化合物と必要なアルコール、例えばフェノールとの混合物を、ヨウ化銅(I)等の好適な銅試薬、N,N−ジメチルグリシン等の好適なリガンド、および炭酸セシウム等の好適な塩基の存在下、ジメチルスルホキシド等の好適な溶媒中で、必要な時間、例えば30分間、好適な温度、例えば190℃でマイクロ波照射することを含む。代替的に、上記の混合物を、加熱ブロックまたは油浴を使用してアルゴン下で適切な時間および温度、例えば130℃で30時間加熱してもよい。X=Brである式(II)の化合物の調製は、実験セクションにて詳細されている。アルコールROHは商業的に入手可能であり、または文献に記載されている方法により調製することができる。
【0050】
スキーム1
【0051】
【化4】

【0052】
代替的に、式(Ib)の化合物は、式(III)の化合物から、スキーム2に従った適切なハロゲン化物RXとの反応により調製されてもよい。典型的な反応条件は、式(III)の化合物と必要なハロゲン化物、例えば2ブロモピリジンとの混合物をヨウ化銅(I)等の好適な銅試薬、N,N−ジメチルグリシン等の好適なリガンド、および炭酸セシウム等の好適な塩基の存在下、ジメチルスルホキシド等の好適な溶媒中で、必要な時間、例えば30分間、好適な温度、例えば190℃でマイクロ波照射することを含む。代替的に、上記の混合物を、加熱ブロックまたは油浴を使用してアルゴン下で適切な時間および温度、例えば130℃で30時間加熱してもよい。式(III)の化合物の調製は、実験セクションにて詳細されている。ハロゲン化物RXは商業的に入手可能であり、または文献に記載されている方法により調製することができる。
【0053】
スキーム2
【0054】
【化5】

【0055】
以下に示す式(Ic)の化合物は、式(III)の化合物から、スキーム3に従った適切なアルコールR(CHOHとの光延反応により調製することができる。典型的な反応条件は、トリフェニルホスフィン等のホスフィン試薬、続いてジイソプロピルアゾジカルボキシレート等の好適なアゾジカルボキシレート試薬を、式(III)の化合物と2−ピリジニルメタノール等の適切なアルコールとのジクロロメタン等の好適な溶媒中の混合物に、周囲温度等の好適な温度にてアルゴン下で加え、必要な時間、例えば16時間混合することを含む。式(III)の化合物の調製は、実験セクションにて詳細されている。アルコールR(CHOHは商業的に入手可能であり、または文献に記載されている方法により調製することができる。
【0056】
スキーム3
【0057】
【化6】

【0058】
代替的に、以下に示す式(Ic)の化合物は、式(III)の化合物から、スキーム4に従った適切な塩化物R(CHClを用いたアルキル化により調製されてもよい。典型的な反応条件は、炭酸セシウム等の塩基、ヨウ化カリウム等の活性剤、および適切な塩化物R(CHClを、周囲温度等の好適な温度で、N,N−ジメチルホルムアミド等の好適な溶媒中の式(III)の化合物に加え、必要な時間、例えば24時間混合することを含む。式(III)の化合物の調製は、実験セクションにて詳細されている。ハロゲン化物R(CHClは商業的に入手可能であり、または文献に記載されている方法により調製することができる。
【0059】
スキーム4
【0060】
【化7】

【0061】
以下に示す式(Id)の化合物は、式(III)の化合物から、スキーム5に従った適切なアルコールRCH(CH)OHとの光延反応により調製することができる。典型的な反応条件は、トリフェニルホスフィン等のホスフィン試薬、続いてジイソプロピルアゾジカルボキシレート等の好適なアゾジカルボキシレート試薬を、式(III)の化合物と1−(6−メチル−3−ピリジニル)エタノール等の適切なアルコールとのジクロロメタン等の好適な溶媒中の混合物に、周囲温度等の好適な温度にてアルゴン下で加え、必要な時間、例えば16時間混合することを含む。式(III)の調製は、実験セクションにて詳細されている。アルコールRCH(CH)OHは商業的に入手可能であり、または文献に記載されている方法により調製することができる。
【0062】
スキーム5
【0063】
【化8】

【0064】
塩は、適切な酸または酸誘導体を用いた反応により、従来通り調製することができる。
【0065】
式(I)の化合物の調製の更なる詳細は、以下の実施例セクションに見出すことができる。
【0066】
本発明の化合物は、単独で、または少なくとも2種、例えば5〜1,000種の化合物、例えば10〜100種の化合物を含む化合物ライブラリーとして調製することができる。本発明の化合物のライブラリーは、コンビナトリアル「スプリットおよびミックス(split and mix)」法、または当業者に公知の手順により、溶液相もしくは固相化学のいずれかを使用したマルチプルパラレル合成により調製することができる。それ故、更なる面によれば、少なくとも2種の本発明の化合物を含む化合物ライブラリーが提供される。
【0067】
本発明の化合物は、以下のアッセイにより測定されるように、AMPA受容体を増強する。AMPA受容体を増強する化合物は、グルタミン酸受容体の増強により媒介される疾患および状態の治療に潜在的に有用である。
【0068】
本発明は、医薬における使用のための式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩を提供する。
【0069】
一態様において、本発明は、哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療における、式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩の使用を提供する。
【0070】
本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩、および少なくとも一種の担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物も提供する。本発明は、0.05〜1000mgの式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩、および0.1g〜2gの少なくとも一種の薬学上許容可能な担体または希釈剤を含有する医薬組成物も提供する。本発明は、式(I)の化合物またはその薬学上許容可能な塩を含有する、統合失調症の治療のための医薬組成物も提供する。
【0071】
本発明は、以下の更なる面を含むことが理解されよう。第一の面に関して記載される態様は、これらの更なる各面に等しく適用される:
【0072】
i)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩の使用;
ii)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療における使用のための、式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩;
iii)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩を投与することを含む方法;
iv)式(I)の化合物、またはその薬学上許容可能な塩と抗精神病薬との組み合わせ製品;
v)上記のiv)に定義した組み合わせ製品と、少なくとも一種の担体、希釈剤または賦形剤とを含有する医薬組成物;
vi)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療のための医薬の製造における、上記のiv)に定義した組み合わせ製品の使用;
vii)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療における使用のための、上記のiv)に定義した組み合わせ製品;
viii)医薬としての使用のための、上記のiv)に定義した組み合わせ製品;
ix)哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡により媒介される疾患または状態の治療方法であって、有効量の上記のiv)に定義した組み合わせ製品を投与することを含む方法。
【0073】
関連した疾患または状態は:精神病および精神障害(統合失調症、統合失調性感情障害、統合失調症様疾患、短期反応精神病、小児期発症統合失調症、統合失調質または統合失調型人格障害等の「統合失調症圏」障害、急性精神病、アルコール精神病、薬物誘導精神病、自閉症、せん妄、躁病(急性躁病を含む)、躁鬱精神病、幻覚、内因性精神病、器質性精神症候群、偏執症および妄想性障害、産褥期精神病、ならびにアルツハイマー病等の神経変性疾患に関連した精神病を含む);物質関連障害(アルコール関連障害およびニコチン関連障害を含む);認知機能障害(例えば注意、見当識、記憶を含む認知機能の障害(即ち、記憶障害、健忘症、健忘性障害および年齢関連記憶障害)ならびに言語機能の障害、卒中、アルツハイマー病、エイズ関連認知症または他の認知症状態から生じる認知機能障害、ならびにせん妄または鬱病(偽認知症状態)外傷、加齢、卒中、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性剤等の認知減退を生じ得る他の急性または亜急性状態に起因する認知機能障害を含む認知機能の障害の治療)、軽度認知機能障害、年齢関連認知障害、自閉症関連の認知障害、ダウン症候群、精神病に関連した認知欠損、電撃処置後に関連した認知障害;不安障害(全般的不安障害、社会不安障害、激越、緊張、精神病患者における社会的および感情的引きこもり、パニック障害、ならびに強迫性障害を含む);神経変性疾患(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病等の運動ニューロン疾患および他の運動疾患(意図的動作におけるゆっくりと増加する能力障害、振戦、動作緩慢、運動過多(軽度および重度)、無動、硬直、バランスおよび調整の障害、および姿勢の障害を含む自発運動欠損および/または運動障害の軽減を含む)、パーキンソン病における認知症、ハンチントン病における認知症、神経遮断薬誘導性パーキンソン症および遅発性ジスキネジア、卒中、心臓停止、肺バイパス、外傷性脳損傷、脊髄損傷等の後の神経変性、ならびに多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症等の脱髄性疾患);鬱病(該用語は、双極性(躁病)鬱病(I型およびII型を含む)、単極性鬱病、精神病的特徴、緊張特徴、憂鬱特徴、非定型特徴(例えば、嗜眠、過食/肥満、過眠)または産後発症を伴う、もしくは伴わない単発性もしくは再発性大鬱エピソード、季節性感情障害および気分変調、鬱病関連不安症、精神病性鬱病、および非限定的に心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎を含む一般的な医学的状態に起因する鬱病性障害を含む);外傷後ストレス症候群;注意欠陥障害;注意欠陥多動障害;薬物誘発性(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)障害;ハンチントン舞踏病;遅発性ジスキネジー;ジストニア;ミオクローヌス;痙縮;肥満;卒中;性機能不全;睡眠障害およびある形態のてんかんである。
【0074】
本発明の文脈内において、本明細書で使用する適応症を記載する用語は、American Psychiatric Association (DSM-IV)により発行されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Mental Disorders, 4th Edition、および/またはInternational Classification of Diseases, 10th Edition (ICD-10)に分類されている。本発明の化合物を使用する、本明細書に言及されている疾患の様々なサブタイプの治療は本発明の一部として想定される。以下に列挙する疾患の後の括弧内の数字は、DSM-IVにおける分類コードを指す。
【0075】
本発明の文脈内において、用語「精神障害」は:−
サブタイプ妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、非定型型(295.90)および残遺型(295.60)を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);サブタイプ双極型および抑鬱型を含む統合失調感情障害(295.70);サブタイプ色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型および非特定型を含む妄想性障害(297.1);短期精神障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);一般的な医学的状態に起因する、妄想を伴うおよび幻覚を伴うサブタイプを含む精神障害;妄想を伴う(293.81)および幻覚を伴う(293.82)サブタイプを含む物質誘発性精神障害;ならびに他に特定されない精神障害(298.9)を含む。
【0076】
本発明の化合物は、以下の障害の治療に用いることができる:−
大鬱病エピソード、躁病エピソード、混合エピソードおよび軽躁病エピソードを含む鬱病および気分障害;大鬱病病性障害、気分変調性障害(300.4)、他に特定されない鬱病性障害(311)を含む鬱病性障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽躁病エピソードを伴う再発性大鬱病エピソード)(296.89)、気分循環障害(301.13)および他に特定されない双極性障害(296.80)を含む双極性障害;鬱病の特徴を伴うサブタイプ、大鬱病様エピソードを伴うサブタイプ、躁病の特徴を伴うサブタイプおよび混合型の特徴を伴うサブタイプを含む、一般的な医学的状態に起因する気分障害(293.83)、物質誘発性気分障害(鬱病の特徴を伴うサブタイプ、躁病の特徴を伴うサブタイプおよび混合型の特徴を伴うサブタイプを含む)、ならびに他に特定されない気分障害(296.90)を含む他の気分障害:
【0077】
パニック発作を含む不安障害;広場恐怖症を伴わないパニック障害(300.01)および広場恐怖症を伴うパニック障害(300.21)を含むパニック障害;広場恐怖症;パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22)、サブタイプ動物型、自然環境型、血液−注射−損傷型、状況型および他の型を含む特定恐怖症(300.29、以前の単純不安症))、社会恐怖症(社会不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般的な医学的状態に起因する不安障害(293.84)、物質誘導不安障害、分離不安障害(309.21)、不安を伴う適応障害(309.24)、ならびに他に特定されない不安障害(300.00):
【0078】
物質依存症、物質切望症および物質乱用等の物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能不全、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)等の物質誘発性障害;アルコール依存症(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能不全、アルコール誘発性睡眠障害および他に特定されないアルコール関連の障害(291.9)等のアルコール関連の障害;アンフェタミン依存症(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害および他に特定されないアンフェタミン関連の障害(292.9)等のアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連の障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導による不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および他に特定されないカフェイン関連の障害(292.9)等のカフェイン関連の障害;大麻依存症(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神障害、大麻誘発性不安障害および他に特定されない大麻関連の障害(292.9)等の大麻関連の障害;コカイン依存症(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能不全、コカイン誘発性睡眠障害および他に特定されないコカイン関連の障害(292.9)等のコカイン関連の障害;幻覚剤依存症(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および他に特定されない幻覚剤関連の障害(292.9)等の幻覚剤関連の障害;吸入薬依存症(304.60)、吸入薬乱用(305.90)、吸入薬中毒(292.89)、吸入薬中毒せん妄、吸入薬誘発性持続性認知症、吸入薬誘発性精神障害、吸入薬誘発性気分障害、吸入薬誘発性不安障害および他に特定されない吸入薬関連の障害(292.9)等の吸入薬関連の障害;ニコチン依存症(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および他に特定されないニコチン関連の障害(292.9)等のニコチン関連の障害;オピオイド依存症(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能不全、オピオイド誘発性睡眠障害および他に特定されないオピオイド関連の障害(292.9)等のオピオイド関連の障害;フェンシクリジン依存症(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および他に特定されないフェンシクリジン関連の障害(292.9)等のフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連の障害;鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤依存症(304.10)、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤乱用(305.40)、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤中毒(292.89)、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤離脱(292.0)、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤中毒せん妄、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤離脱せん妄、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤持続性認知症、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤持続性健忘障害、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤誘発性精神障害、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤誘発性気分障害、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤誘発性不安障害、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤誘発性性機能不全、鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤誘発性睡眠障害および他に特定されない鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤関連の障害(292.9)等の鎮静剤、睡眠剤、または精神安定剤関連の障害;多剤依存症(304.80)等の多剤関連の障害;ならびに蛋白同化ステロイド、硝酸塩吸入薬および亜酸化窒素等の他の(または未知の)物質関連の障害、を含む物質関連障害:
【0079】
原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連の睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および他に特定されない睡眠異常(307.47)等の睡眠異常等の原発性睡眠障害;悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕障害(307.46)、夢遊病障害(307.46)および他に特定されない睡眠時随伴症(307.47)等の睡眠時随伴症等の原発性睡眠障害;他の精神障害に関連した不眠症(307.42)および他の精神障害に関連した過眠症(307.44)等の他の精神障害に関連した睡眠障害;一般的な医学的状態に起因する睡眠障害、特に神経疾患、神経因性疼痛、四肢静止不能症候群、心臓および肺疾患等の疾患に関連した睡眠障害;ならびにサブタイプ不眠症型、過眠症型、睡眠時随伴症型および混合型を含む物質誘発性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群、を含む睡眠障害:
【0080】
自閉症性障害(299.00)、アスペルガー障害(299.80)、レット障害(299.80)、小児期崩壊性障害(299.10)および他に特定されない広汎性障害(299.80、非定型自閉症を含む)を含む自閉症圏障害。
【0081】
サブタイプ注意欠陥/多動障害混合型(314.01)、注意欠陥/多動障害注意力障害優位型(314.00)、注意欠陥/多動障害多動性−衝動性優位型(314.01)および他に特定されない注意欠陥/多動障害(314.9)を含む注意欠陥/多動障害;多動障害;サブタイプ小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および不特性の発症型(312.89)を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)、ならびに他に特定されない破壊的行動障害等の破壊的行動障害;ならびにトゥレット障害(307.23)等のチック障害:
【0082】
サブタイプ妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調症型人格障害(301,22)、反社会性人格障害(301.7)、境界性人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および他に特定されない人格障害(301.9)を含む人格障害:
【0083】
統合失調症、双極性障害、鬱病、他の精神障害等の疾患における認知機能障害、および例えばアルツハイマー病等の認知機能障害に関連した精神病状態の治療を含む、認知亢進:ならびに
【0084】
性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)等の性的欲求障害;女性の性的興奮障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)等の性的興奮障害;女性オルガズム障害(302.73)、男性オルガズム障害(302.74)および早漏(302.75)等のオルガズム障害;性交疼痛症(302.76)および腟痙(306.51)等の性的疼痛障害;他に特定されない性機能不全(302.70);露出症(302.4)、フェチシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、窃視症(302.82)および他に特定されない性的倒錯(302.9)等の性的倒錯;子供における性同一性障害(302.6)および青年または成人における性同一性障害(302.85)等の性同一性障害;ならびに他に特定されない性的障害(302.9)、を含む性機能不全。
【0085】
本明細書に言及する様々な型または亜型の全ては、本発明の一部として想定される。
【0086】
本発明の文脈内で、用語「認知機能障害」は、例えば注意、見当識、学習障害、記憶を含む認知機能の障害(即ち、記憶障害、健忘症、健忘性障害、一過性全健忘症候群および年齢関連の記憶機能障害)ならびに言語機能の障害;卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連の認知症、または多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下(hypotiroidism)に関連した認知症等の他の認知症状態、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症等の他の変性性疾患に関連した認知症に起因する認知機能障害;せん妄または鬱病(仮性認知症状態)外傷、頭部外傷、年齢関連の認知減退、卒中、神経変性、薬物誘導状態、神経毒性剤、軽度認知機能障害、年齢関連の認知機能障害、自閉症関連の認知機能障害、ダウン症候群、精神病に関連した認知欠損、および電撃処置後に関連した認知機能障害等の、認知減退を生じ得る他の急性または亜急性状態;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘導性パーキンソン症および遅発性ジスキネジア等の運動障害の治療を含む。
【0087】
一態様において、本発明は、統合失調症または認知機能障害の治療における使用のための本発明の化合物を提供する。
【0088】
一態様において、本発明は、統合失調症または認知機能障害の治療のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用を提供する。
【0089】
一態様において、本発明は、治療的有効量の本発明の化合物を、単独でまたは薬学上許容可能な担体、希釈剤もしくは賦形剤と組み合わせて投与することを含む、ヒトにおける統合失調症または認知機能障害の治療方法を提供する。
【0090】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて使用されて、精神障害を治療することができる:i)抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、クロザピン、ジプラシドン(ziprazidone)、タルネタント(talnetant)等);ii)錐体外路副作用のための薬物、例えば抗コリン薬(ベンズトロピン、ビペリデン、プロシクリジン、トリヘキシフェニジル等)、抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン等)、ドーパミン作動薬(アマンタジン等);iii)抗うつ薬;iv)抗不安薬;v)認知増強剤、例えばコリンエステラーゼ阻害薬(タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン等)。
【0091】
本発明の化合物は、抗うつ薬と組み合わせて、鬱病および気分障害を治療することができる。
【0092】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、双極性疾患を治療することができる:i)気分安定剤;ii)抗精神病薬;iii)抗うつ薬。
【0093】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、不安障害を治療することができる:i)抗不安薬;ii)抗うつ薬。
【0094】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、ニコチン離脱を改善し、またニコチン切望を軽減することができる: i) ニコチン代替療法、例えばニコチンβ−シクロデキストリンの舌下製剤およびニコチンパッチ;ii)ニコチン耽溺(addition)を治療するための薬物、例えばブプロピオン。
【0095】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、アルコール離脱を改善し、またアルコール切望を軽減することができる:i)NMDA受容体拮抗薬例えばアカンプロセート;ii)GABA受容体作動薬、例えばテトラバメート(tetrabamate);iii)オピオイド受容体拮抗薬、例えばナルトレキソン。
【0096】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、オピエート離脱を改善し、またオピエート切望を軽減することができる:i)オピオイドμ受容体作動薬/オピオイドκ受容体拮抗薬、例えばブプレノルフィン;ii)オピオイド受容体拮抗薬、例えばナルトレキソン;iii)血管拡張性降圧薬、例えばロフェキシジン。
【0097】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、睡眠障害を治療することができる:i)ベンゾジアゼピン例えばテマゼパム、ロルメタゼパム、エスタゾラム、トリアゾラム;ii)非ベンゾジアゼピン睡眠薬、例えばゾルピデム、ゾピクロン、ザレプロン、インディプロン(indiplon);iii)バルビツレート例えばアプロバルビタール、ブタバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、フェノバルビタール;iv)抗うつ薬;v)他の鎮静睡眠薬、例えばクロラール水和物、クロルメチアゾール。
【0098】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、拒食症を治療することができる:i)食欲刺激薬、例えばシプロヘプチジン(cyproheptidine);ii)抗うつ薬;iii)抗精神病薬;iv)亜鉛;v)生理前薬剤(premenstrual agent)、例えばピリドキシンおよびプロゲステロン。
【0099】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、過食症を治療することができる:i)抗うつ薬;ii)オピオイド受容体拮抗薬;iii)制吐薬、例えばオンダンセトロン;iv)テストステロン受容体拮抗薬、例えばフルタミド;v)気分安定剤;vi)亜鉛;vii)生理前薬剤。
【0100】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、自閉症を治療することができる:i)抗精神病薬;ii)抗うつ薬;iii)抗不安薬;iv)刺激薬、例えばメチルフェニデート、アンフェタミン製剤、ペモリン。
【0101】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、注意欠陥多動障害を治療することができる:i)刺激薬、例えばメチルフェニデート、アンフェタミン製剤、ペモリン;ii)非刺激薬、例えばノルエピネフリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン等)、α2アドレナリン受容体作動薬(クロニジン等)、抗うつ薬、モダフィニル、コリンエステラーゼ阻害薬(ガランタミンおよびドネゼピル(donezepil)等)。
【0102】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、人格障害を治療することができる:i)抗精神病薬;ii)抗うつ薬;iii)気分安定剤;iv)抗不安薬。
【0103】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、男性性機能不全を治療することができる:i)ホスホジエステラーゼV阻害薬、例えばバルデナフィル、シルデナフィル;ii)ドーパミン作動薬/ドーパミン輸送阻害薬、例えばアポモルヒネ、ブプロプリオン;iii)αアドレナリン受容体拮抗薬、例えばフェントラミン;iv)プロスタグランジン作動薬、例えばアルプロスタジル;v)テストステロン等のテストステロン作動薬;vi)セロトニン輸送阻害薬、例えばセロトニン再取り込み阻害薬;v)ノルアドレナリン輸送阻害薬、例えばレボキセチン;vii)5−HT1A作動薬、例えばフリバンセリン(flibanserine)。
【0104】
本発明の化合物は、以下の薬剤の一つまたはそれ以上と組み合わせて、女性性機能不全を治療することができる:i)男性性機能不全に関して特定したものと同一の薬剤、ii)エストラジオール等のエストロゲン作動薬。
【0105】
抗精神病薬は、典型的な抗精神病薬(例えばクロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、チオチキセン(thiothixine)、ハロペリドール、モリンドンおよびロキサピン);ならびに非定型抗精神病薬(例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピラゾール(aripirazole)、ジプラシドン、アミスルプリド、ジプラシドン(ziprazidone)およびタルネタント(talnetant))を含む。
【0106】
抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチンおよびセルトラリン等);二重セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ベンラファキシン、デュロキセチンおよびミルナシプラン等);ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(レボキセチン等);三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびトリミプラミン等);モノアミン酸化酵素阻害薬(イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジンおよびトラニルシプロミン等);ならびにその他(ブプロピオン、ミアンセリン、ミルタザピン、ネファゾドンおよびトラゾドン等)を含む。
【0107】
気分安定剤は、リチウム、バルプロ酸ナトリウム/バルプロ酸/ジバルプロエクス、カルバマゼピン、ラモトリギン、ガバペンチン、トピラマートおよびチアガビンを含む。
【0108】
抗不安薬は、アルプラゾラムおよびロラゼパム等のベンゾジアゼピンを含む。
【0109】
本発明の化合物は、本発明の化合物を標準的な医薬担体または希釈剤と組み合わせて、当技術分野にて周知の従来の手順に従って調製された従来の剤形で投与されてもよい。これらの手順は、混合、造粒および圧縮、または成分を適宜溶解して、所望の製剤にすることを含んでもよい。
【0110】
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に投与されるために処方されてもよい。組成物は、任意の経路による投与用に処方されてもよい。組成物は、経口、局所または非経口投与用に処方されてもよく、また、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、ロゼンジ、クリームまたは液体製剤、例えば経口溶液もしくは縣濁液または無菌非経口溶液もしくは縣濁液の形態であってもよい。
【0111】
本発明の局所製剤は、例えば軟膏、クリームまたはローション、眼軟膏および眼または耳ドロップ、含浸包帯、ならびにエアゾルとして提供されてもよく、また、保存剤、薬物浸透を補助する溶媒、および軟膏およびクリーム中の皮膚軟化薬等の適切な従来の添加剤を含有してもよい。
【0112】
製剤は、適合性のある従来の担体、例えばクリームまたは軟膏基剤等、およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールも含有し得る。それらの担体は、製剤の約1%〜約98%で存在してもよい。より通常には、それらの担体は、製剤の約80%迄を構成するであろう。
【0113】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単位形態で提示されてもよく、結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントもしくはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば乳糖、糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールもしくはグリシン;錠剤滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールもしくはシリカ;錠剤崩壊剤、例えばジャガイモ澱粉;またはラウリル硫酸ナトリウム等の許容可能な湿潤剤のような従来の賦形剤を含有してもよい。錠剤は、通常の医薬の実践にて周知の方法に従って被覆されてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性縣濁液、溶液、乳剤、シロップ剤もしくはエリキシル剤の形態であってもよく、または使用前に水もしくは他の好適なビヒクルで再構成される乾燥製品であってもよい。それらの液体製剤は、懸濁剤、例えばソルビトール、メチルセルロース、ブドウ糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは食用硬化脂肪(hydrogenated edible fat)、乳化剤、例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、例えばアーモンド油、グリセリン、プロピレングリコールまたはエチルアルコール等の油性エステル;保存剤、例えばメチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸、ならびに所望であれば、従来の風味剤または着色剤のような従来の添加剤を含有してもよい。
【0114】
坐薬は、従来の坐薬基剤、例えばココアバターまたは他のグリセリドを含むであろう。
【0115】
非経口投与用に、化合物および無菌ビヒクル、例えば水を用いて流体単位剤形が調製される。化合物は、使用するビヒクルおよび濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁されても、または溶解されてもよい。溶液を調製する際、化合物を注射用蒸留水に溶解し、フィルター滅菌した後、好適なバイアルまたはアンプル内に満たし、密封してもよい。
【0116】
局所麻酔剤、保存剤、および緩衝剤等の薬剤をビヒクルに溶解してもよい。安定性を向上させるために、組成物をバイアル内に満たした後に冷凍し、真空下で水を除去してもよい。次いで、乾燥凍結粉末をバイアル内で密封し、付随する注射用蒸留水のバイアルを供給して、使用前に液体を再構成してもよい。非経口縣濁液は、化合物をビヒクルに溶解する代わりに懸濁させ、濾過によって滅菌を行なえないこと以外は、実質的に同一の方法で調製される。化合物は、無菌ビヒクル中に懸濁される前に、エチレンオキシドに暴露することにより滅菌され得る。組成物中に界面活性剤または湿潤剤を含有させて、化合物の均一な分配を促進してもよい。
【0117】
当業者は、本発明の化合物の個々の用量の最適な量および間隔が、治療されている状態、形態、経路および投与部位の性質および範囲、ならびに治療される特定の哺乳動物により決定され、そのような最適条件が従来の技術により決定され得ることを認識するであろう。当業者は、治療の最適過程、即ち、規定される日数の間、一日当たりに付与される本発明の化合物の用量数が治療決定試験の従来の過程を使用して当業者により確認され得ることも理解するであろう。
【0118】
本明細書で使用される「治療」は、確立された徴候の予防および緩和を含むことを理解するべきである。一態様において、治療されるべき哺乳動物は、ヒトである。
【実施例】
【0119】
本発明を以下に記載する実施例により説明する。
出発物質、試薬および溶媒は、商業的な供給者により得られ、特に述べない限り、更なる精製を行わずに使用した。特に述べない限り、プレパックIsolute Flash(商標)またはBiotage(商標)シリカゲルカラムを固定相として使用し、溶離液として分析等級の溶媒を使用してフラッシュクロマトグラフィーを行った。
【0120】
NMRスペクトルは、特に述べない限り、298K、303.2Kまたは300Kにて、Bruker(商標)DPX400もしくはAV400装置またはVarian DirectDrive(商標)装置(500MHzで作動して、プロトンNMRスペクトルを得る)のいずれかを使用して提示した周波数にて得られ、CDClの希釈溶液として実施した。全NMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS δ0、δ0)に参照された。全カップリング定数はヘルツ(Hz)で報告され、多重度は、s(一重項)、bs(幅広一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)、td(二重項の三重項)、ddd(二重項−二重項−二重項)および(多重項)で標識する。
【0121】
引用した全保持時間は、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)を使用して測定される。適切な場合、これらの保持時間は、質量誘導オートプレプ(MDAP)を使用した精製用の案内として使用され、該質量誘導オートプレプ(MDAP)とは、画分収集が、関心対象の化合物に関するプログラミングされた質量イオンの検出により引き起こされるHPLCによる精製を指す。
【0122】
全イオン電流追跡は、エレクトロスプレー正および負イオン化(ES+/ES−)ならびに/または大気圧化学正および負イオン化(AP+/AP−)について得られた。
【0123】
反応が、以前の、より完全に記載されている反応と同様の方法で行われたと記載されている場合、使用される一般的な反応条件は本質的に同一である。使用される処理条件は、当技術分野にて標準的な種類のものであるが、反応毎に適合されている場合がある。化合物は、必ずしも本明細書に記載するバッチから調製されている訳ではない。別に述べない限り、キラル中心(1つまたは複数)を有する全化合物は、ラセミ体である。全反応は、特に述べない限りアルゴン下で行われ、またはアルゴン下で行われてもよい。合成された化合物は、例えば85%〜98%の範囲の様々な純度を有し得る。しかしながら、モル数および収率の計算は、一般に該純度に関して調整されていない。
【0124】
略語
TEA トリエチルアミン
TMS−Cl トリメチルシリルクロリド
ss 飽和溶液
TFA トリフルオロ酢酸
DAD ダイオードアレイ検出器
CD 円二色性
a/a% 曲線下面積による百分率
LC/MS 液体クロマトグラフィー/質量分析
NMR 核磁気共鳴
SCX 強陽イオン交換
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
DMF ジメチルホルムアミド
DCM/MDC ジクロロメタン/二塩化メチレン
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
LDA リチウムジイソプロピルアミド
EDC 1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
MsCl 塩化メタンスルホニル
AcOH 酢酸
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
Pd on C 木炭上パラジウム
MeCN アセトニトリル
MDAP 質量誘導オートプレプ
ES エレクトロスプレー
min(s) 分
PdCl(dppf) 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
℃ 摂氏温度
EtOAc 酢酸エチル
UPLC/MS 超高速液体クロマトグラフィー/質量分析
EtO ジエチルエーテル
MeOH メタノール
Me メチル
Et エチル
ppm 百万分の一
【0125】
分析クロマトグラフィー条件
特に述べない限り、LC/MS分析に関して以下の方法の一つを使用した:
【0126】
方法1
カラム:Waters Atlantis、4.6mm×50mm。固定相粒径は、3umである。
溶媒:A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸;
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
方法:5分間のランタイム。
【0127】
【表1】

【0128】
流速:3ml/分
注入容積:5μl
カラム温度:30℃
UV波長帯:220〜330nm
【0129】
方法1−高pHバージョン−以下を除いて上記と同様である:
−カラム:Waters X-Bridge4.6mm×50mm。固定相粒径は、3.5μmである。
A:水性溶媒=アンモニア溶液でpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム溶液
B:有機溶媒=アセトニトリル
【0130】
方法2
カラム:Waters Acquity BEH UPLC C18、2.1mm×50mm。固定相粒径は、1.7μmである。
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
弱い洗浄=1:1メタノール:水
強い洗浄=水
使用した一般的方法は、2分のランタイムを有する。
【0131】
【表2】

【0132】
・上記の方法は、流速1ml/分を有する。
・一般的方法のための注入容積は、0.5ulである。
・カラム温度は、40℃である。
・UV検出範囲は、220〜330nmである。
【0133】
ギ酸一般的分析UPLC/MS(ES+)制限インテグレーションウィンドウ(Restricted Integration Window)を有するオープンアクセス(Open Access)1.5分のマルチステップ方法(記載2、3、6および7ならびに実施例6(ステップ1)、7および9で使用):
【0134】
LC/MSシステム:ZQ質量分析計と結合したAcquity UPLC
UPLC分析は、40℃でAcquity UPLC BEH C18カラム(2.1mm×50mmi.d.1.7μm粒径)上で行った。
注入容積は:0.75μlであった。
使用した溶媒は:
A=0.1%v/vのギ酸水溶液
B=0.06%v/vのギ酸アセトニトリル溶液であった。
【0135】
使用した勾配は以下の通りであった。
【0136】
【表3】

停止時間:1.5分
流速は、1ml/分であった。
【0137】
UV条件
UV検出は、波長210nm〜350nmからの合計信号であった。
取得速度は、20Hzであった。
DADトレースの統合は、0.3分に開始し、1.50分に終了した。
DAD−MS Rtオフセットは、0.01sであった。
【0138】
MS条件
イオン化モード:正エレクトロスプレー(ES+)
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.20s
スキャン間遅延:0.08s
【0139】
ギ酸焦点分析UPLC/MS(ES+)オープンアクセス1.5分のマルチステップ方法(実施例6(ステップ2)で使用):
LC/MSシステム:ZQ質量分析計と結合したAcquity UPLC
【0140】
UPLC分析は、40℃にてAcquity UPLC BEH C18カラム(2.1mm×50mmi.d.1.7μm粒径)上で行った。
注入容積は:0.75μlであった。
使用した溶媒は:
A=0.1%v/vのギ酸水溶液
B=0.06%v/vのギ酸アセトニトリル溶液であった。
【0141】
使用した勾配は以下の通りであった。
【0142】
【表4】

【0143】
停止時間:1.5分
流速は、1ml/分であった。
【0144】
UV条件
UV検出は、波長210nm〜350nmからの合計信号であった。
取得速度は、20Hzであった。
DADトレースの統合は、0.3分に開始し、1.45分に終了した。
DAD−MS Rtオフセットは、0.01sであった。
【0145】
MS条件
イオン化モード:正エレクトロスプレー(ES+)
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.20s
スキャン間遅延:0.08s
【0146】
高pH一般的分析HPLCオープンアクセスLC/MS 5分間の方法(実施例19で使用):
【0147】
HPLC分析は、30℃にてXBridge C18カラム(50mm×4.6mmi.d.3.5μm充填直径)上で行った。
【0148】
使用した溶媒は:
A=アンモニア溶液でpH10に調整した、水中の10mM重炭酸アンモニウム
B=アセトニトリルであった。
【0149】
使用した勾配は以下の通りであった。
【0150】
【表5】

【0151】
流速は3ml/分であった。uv検出は、波長210nm〜350nmからの平均信号であり、質量スペクトルは、質量分析計上で、交互スキャンの正および負モードのエレクトロスプレーイオン化を使用して記録した。
【0152】
ギ酸一般的分析UPLCオープンアクセスLC/MS 2分間の方法(実施例20で使用):
【0153】
UPLC分析は、40℃にてAcquity UPLC BEH C18カラム(2.1mm×50mmi.d.1.7μm充填直径)上で行った。
【0154】
使用した溶媒は:
A=0.1%v/vのギ酸水溶液
B=0.1%v/vのギ酸アセトニトリル溶液であった。
【0155】
使用した勾配は以下の通りであった。
【0156】
【表6】

【0157】
流速は、1ml/分であった。uv検出は、波長210nm〜350nmからの平均信号であり、質量スペクトルは、質量分析計上で、交互スキャンの正および負モードのエレクトロスプレーイオン化を使用して記録した。
【0158】
MDAP条件
使用した典型的な条件は、以下により例示される:
カラム:Waters Atlantis、19mm×100mm(小スケール)および30mm×100mm(大スケール)。固定相粒径=5um。
溶媒:A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸;B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸。作製溶媒=メタノール:水 80:20。ニードルリンス溶媒=メタノール
方法:関心対象の化合物の分析保持時間に応じて、使用された5つの方法が存在する。これらの方法は13.5分間のランタイムを有し、該ランタイムは10分間の勾配とその後の3.5分間のカラムフラッシュおよび再平衡ステップを含む。
大/小スケール1.0〜1.5=5〜30%B
大/小スケール1.5〜2.2=15〜55%B
大/小スケール2.2〜2.9=30〜85%B
大/小スケール2.9〜3.6=50〜99%B
大/小スケール3.6〜5.0=80〜99%B(6分間、その後7.5分間のフラッシュおよび再平衡)
流速:20ml/分(小スケール)または40ml/分(大スケール)。
【0159】
高pH MDAP−以下を除いて上記と同様:
カラム:Waters X-bridge、30mm×100mm。固定相粒径は、5μmである。
A:水性溶媒=アンモニア溶液でpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム溶液。
B:有機溶媒=アセトニトリル。
作製溶媒=メタノール:水 80:20
ニードルリンス溶媒=メタノール
【0160】
記載1:N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【0161】
【化9】

【0162】
WO2006/015828号公報に開示されている方法と同様の方法を使用して、N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミドを調製した;(S)−5−ブロモ−2−アミノインダンカンファースルホン酸塩を遊離塩基形態に変換するための最初の溶媒は、DCMであった。
【0163】
記載2:N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【0164】
【化10】

【0165】
2L丸底フラスコ中、室温にてアルゴン下で、N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(30g、94mmol、記載1)、ビス(ピナコラト)ジボロン(35.9g、141mmol)および酢酸カリウム(27.8g、283mmol)を、乾燥ジメチルスルホキシド(300ml)中に懸濁させた。得られた混合物をアルゴンで15分間脱気した後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(CHClとの1:1複合体)(3.85g、4.71mmol)を加え、得られた橙色縣濁液を90℃の内部温度で20時間加熱した。
【0166】
混合物を室温に冷却し、EtOAc(700ml)および水(500ml)で希釈した後、Sterimat上で濾過した。濾液を水(2×400ml)およびブライン/水(2:1、2×400ml)で洗浄した。収集した有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して粗物質を茶色油として与え、これをフラッシュ−クロマトグラフィー(Biotage 75L、シクロヘキサン/EtOAc=90/10〜70/30で溶出)により精製した。溶媒の蒸発により、N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(32.4g)を薄黄色固体として得た。
【0167】
UPLC/MS:実測値366(ES+)、保持時間0.79分。C1828NBOSは、365を必要とする。
【0168】
記載3:N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【0169】
【化11】

【0170】
N−[(2S)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(32g、88mmol、記載2)のメタノール(320ml)溶液に、室温にて窒素下で過酸化水素(水中30重量%、17.90ml、175mmol)を加え、得られた薄黄色溶液を一夜攪拌した。次いで、混合物を減圧下で蒸発させ、残留物をEtOAc(500ml)と水(300ml)との間に分割した。水性相をEtOAc(300ml)で逆抽出し、一緒にした有機物をブライン(100ml)/水(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、乾燥する迄蒸発させた。得られた薄黄色固体をEtO(100ml)/n−ヘキサン(100ml)で粉砕し、高真空にて乾燥して、N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(20.85g)を薄黄色固体として得た。
【0171】
UPLC/MS:実測値256(ES+)、保持時間0.54分。C1217NOSは、255を必要とする。
【0172】
記載4:3−(6−メチル−3−ピリジニル)−1−プロパノール
【0173】
【化12】

【0174】
3−(6−メチル−3−ピリジニル)プロピオン酸エチル(500mg、2.59mmol)のテトラヒドロフラン(15ml)中の0℃の懸濁液に、LiAlH(1.42ml、2.85mmol)を滴加した。滴加が完了した際、氷浴を除去し、反応物を室温で1時間撹拌した。湿潤THFを、白色固体が沈殿し、気体の放出が停止する迄滴加した。固体を濾去し、EtOで2回洗浄し、濾液を真空下で蒸発させて表題の化合物(403mg)を得た。
【0175】
1H NMR(400MHz、MeOH−d)δ 1.77−1.88(m、2H)、2.48(s、3H)、2.67(t、J=8.0Hz、2H)、3.57(t、J=6.4Hz、2H)、7.21(d、J=8.0Hz、1H)、7.59(dd、J=8.0、2.3Hz、1H)、8.25(d、J=2.0Hz、1H)。
【0176】
記載5:1−(6−メチル−3−ピリジニル)エタノール
【0177】
【化13】

【0178】
撹拌している1−(6−メチル−3−ピリジニル)エタノン(1.0g、7.4mmol)の0℃の絶対エタノール(10ml)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.14g、3.7mmol)を一滴ずつ20分間で添加した。反応混合物を0℃で1.5時間攪拌した後、室温に暖めた。混合物をジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分割した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸発させて粗生成物1−(6−メチル−3−ピリジニル)エタノール(810mg)を得た。
【0179】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ 8.45(1H、s)、7.63(1H、m)、7.14(1H、d、J=8Hz)、4.93(1H、m)、2.54(3H、s)、2.09(1H、bs)、1.53(3H、m)。
【0180】
記載6:5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン
【0181】
【化14】

【0182】
250mの丸底フラスコ中、室温にて窒素下で(6−メチル−3−ピリジニル)メタノール(4.32g、35.1mmol、D8)を乾燥ジクロロメタン(45ml)に溶解して黄色溶液を与え、該溶液を0℃に冷却した。次に、塩化チオニル(3ml、41.1mmol)を加えた。得られた薄橙色混合物を0℃で15分間、室温で2時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、茶色残留物をDCM(150ml)と飽和NaHCO(100ml)間に分割した。相を分離させ、有機相を飽和NaHCO(2×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して所望の化合物を茶色油(4.26g)として与え、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
【0183】
UPLC/MS:実測値141.97、143.85(ES+)、保持時間0.29分。(塩素パターン)CClNは、35Clに関して141を必要とする。
【0184】
記載7:3−(クロロメチル)−2−メチルピリジン
【0185】
【化15】

【0186】
50mlの丸底フラスコ中、アルゴン下にて0℃で、塩化チオニル(12mL、164mmol)を(2−メチル−3−ピリジニル)メタノール(8g、65.0mmol)に注意深く加えた。工程は発熱であり、白色煙霧が形成された。添加の終了時、得られた茶色溶液を85℃で40分間加熱した。反応混合物を蒸発させて、粗物質を固体黄色スラリーとして得た後、該物質をNaHCO飽和溶液(300ml)/DCM(300ml)で溶解した。相を分離し、水相をDCM(2×200ml)で逆抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、乾燥する迄蒸発させて3−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(8.7g)を黒色/茶色蝋状固体として得、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
【0187】
UPLC/MS:実測値142(ES+)、保持時間0.29分。CNClは、35Clに関して141を必要とする。
【0188】
記載8:(6−メチル−3−ピリジニル)メタノール
【0189】
【化16】

【0190】
500mlの丸底フラスコ中、室温にて窒素下でメチル6−メチル−3−ピリジンカルボキシレート(10g、66.2mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(100ml)に溶解して、橙色溶液を得た。次に、混合物を0℃に冷却し、水素化リチウムアルミニウム(36.4ml、72.8mmol)を滴加し、内部温度を0℃未満に保った。添加の終了時、氷浴を除去し、得られた溶液を室温で3時間攪拌した。混合物に2.73mlの水、2.73mlのNaOH 1Mおよび8.2mlの水をゆっくり加えた。得られた黄色縣濁液を室温で約30分間攪拌した後、Gooch漏斗上で濾過した。固体をEtO(3×100ml)で洗浄した。一緒にした有機物をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して表題の生成物(7.48g)を橙色油として得た。
【0191】
実施例1:N−[(2S)−5−(フェニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【0192】
【化17】

【0193】
N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.31mmol、記載1)、フェノール(30mg、0.32mmol)、炭酸セシウム(308mg、0.94mmol)、ヨウ化銅(I)(66mg、0.35mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(39mg、0.38mmol)のDMSO(1.5ml)中の反応混合物を、マイクロ波内にて190℃で30分間加熱した。混合物を塩酸(2M)でクエンチした後、ジクロロメタンと水間に分割した。有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。MDAPを使用して粗生成物を精製して、表題の生成物を黄色ゴム(49mg)として得た。
【0194】
LC/MS(ES):実測値332(ES+)、保持時間3.21分。C1821NOSは、331を必要とする。
H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.33(2H、m)、7.16(1H、dd、J=8、1Hz)、7.09(1H、m)、6.99(2H、m)、6.86(2H、m)、4.30(2H、m)、3.29(2H、m)、3.19(1H、七重項、J=7Hz)、2.88(2H、m)、1.40(6H、d、J=7Hz)。
【0195】
実施例2:N−{(2S)−5−[(2−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0196】
【化18】

【0197】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.39mmol、記載3)および2−ピリジニルメタノール(43mg、0.39mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液をトリフェニルホスフィン(103mg、0.39mmol)で処理した後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(77ul、0.39mmol)で処理した。得られた溶液を、アルゴン雰囲気下にて室温で16時間攪拌した。次に、溶液を水とジクロロメタン間に分割し、有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。MDAPを使用して粗生成物を精製した。得られた溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて、表題の化合物を白色固体(70mg)として得た。
【0198】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間0.88分(2分間の作動)。C1822Sは、346を必要とする。
H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.60(1H、ddd、J=5、2、1Hz)、7.72(1H、td、J=8、2Hz)、7.51(1H、d、J=8Hz)、7.23(1H、m)、7.11(1H、d、J=8Hz)、6.85(1H、m)、6.82(1H、dd、J=8、3Hz)、5.18(2H、s)、4.28(2H、m)、3.26(2H、m)、3.18(1H、七重項、J=7Hz)、2.85(2H、m)、1.39(6H、d、J=7Hz)。
【0199】
実施例3:N−{(2S)−5−[(6−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0200】
【化19】

【0201】
N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.31mmol、記載1)、6−メチル−3−ピリジノール(35mg、0.32mmol)、炭酸セシウム(308mg、0.94mmol)、ヨウ化銅(I)(66mg、0.35mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(39mg、0.38mmol)のDMSO(1.5ml)中の反応混合物を、マイクロ波内にて190℃で30分間加熱した。次に、反応混合物をジクロロメタンと水間に分割し、有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。MDAPを使用して粗生成物を精製した。得られた溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて、表題の化合物を黄色ゴム(25mg)として得た。
【0202】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間2.00分。C1822Sは、346を必要とする。
H NMR(400MHz、CDCl):δ8.27(1H、d、J=3Hz)、7.20(1H、dd、J=8、3Hz)、7.14(2H、m)、6.83(2H、m)、4.31(2H、m)、3.29(2H、m)、3.19(1H、七重項、J=7Hz)、2.88(2H、m)、2.54(3H、s)、1.40(6H、d、J=7Hz)。
【0203】
実施例4:N−[(2S)−5−(2−ピリジニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド
【0204】
【化20】

【0205】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.39mmol、記載3)、2ブロモピリジン(62mg、0.39mmol)、炭酸セシウム(382mg、1.17mmol)、ヨウ化銅(I)(82mg、0.43mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(49mg、0.47mmol)のDMSO(1.5ml)中の反応混合物を、マイクロ波内にて190℃で30分間加熱した。次に、得られた混合物をジクロロメタンと水間に分割し、有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。MDAPを使用して粗生成物を精製した。得られた溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて、表題の化合物を黄色ゴム(42mg)として得た。
【0206】
LC/MS(ES):実測値333(ES+)、保持時間1.01分(2分間の作動)。C1720Sは、332を必要とする。
H NMR(400MHz、CDCl)δ 8.18(1H、ddd、J=5、2、1Hz)、7.68(1H、ddd、J=8、7、2Hz)、7.23(1H、d、J=8Hz)、6.96(4H、m)、4.33(2H、m)、3.32(2H、m)、3.19(1H、七重項、J=7Hz)、2.91(2H、m)、1.40(6H、d、J=7Hz)。
【0207】
実施例5:N−{(2S)−5−[(5−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0208】
【化21】

【0209】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.39mmol、記載3)、2−ブロモ−5−フルオロピリジン(69mg、0.39mmol)、炭酸セシウム(382mg、1.17mmol)、ヨウ化銅(I)(82mg、0.43mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(49mg、0.47mmol)のDMSO(1.5ml)中の反応混合物を、マイクロ波内にて190℃で30分間加熱した。次に、得られた混合物をジクロロメタンと水間に分割し、有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。MDAPを使用して粗生成物を精製した。得られた溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機溶液を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させて、表題の化合物を薄黄色固体(40mg)として得た。
【0210】
LC/MS(ES):実測値351(ES+)、保持時間2.83分。C1719FNSは、350を必要とする。
H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.01(1H、d、J=3Hz)、7.44(1H、ddd、J=9、7、3Hz)、7.23(1H、d、J=8Hz)、6.93(3H、m)、4.32(2H、m)、3.32(2H、m)、3.19(1H、七重項、J=7Hz)、2.91(2H、m)、1.40(6H、d、J=7Hz)。
【0211】
実施例6:N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0212】
【化22】

【0213】
ステップ1:
2−メチル−3−ピリジノール(8.57g、79mmol)、炭酸セシウム(51.2g、157mmol)および酸化銅(I)(11.24g、79mmol)のジメチルスルホキシド(250mL)中の混合物を、室温で5分間攪拌した。N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(25g、79mmol、記載1)を加えた後、N,N−ジメチルグリシン(8.10g、79mmol)を加えた。反応物を130℃で一夜加熱した。反応物を室温に到達させ、酢酸エチル(500ml)で希釈した後、セライトを介して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。有機相を水洗し(2×500ml)、NaSOで乾燥し、真空濃縮した。この物質をシクロヘキサン/酢酸エチル 2/8で溶出するBiotage 75Lを使用して精製して、N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基、18.5g)を得た。
【0214】
UPLC/MS:実測値347(ES+)、保持時間0.52分。C1822Sは、346を必要とする。
【0215】
ステップ2:
N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基、7.08g、20.44mmol)をメタノール(150mL)およびジクロロメタン(75mL)に溶解した。HCl(エーテル中1M、21.46mL、21.46mmol)を0℃で滴加し、混合物を室温で20分間攪拌した。溶媒を減圧下で除去して、微量のメタノールを含む表題の化合物(7.9g)を得た。この物質1gを減圧下にて60℃で60時間乾燥して、0.98gの表題の化合物を得た。
【0216】
UPLC/MS:実測値347(ES+)、保持時間0.9分。C1822Sは、346を必要とする。
H NMR(500MHz、DMSO−d):δ 8.46(1H、d、J=4.9Hz)、7.70(2H、m)、7.48(1H、d、J=7.8Hz)、7.27(1H、d、J=7.8Hz)、7.0(1H、s)、6.93(1H、dd、J=8.1、2.2Hz)、4.11(1H、m)、3.19(3H、m)、2.85(2H、m)、2.66(3H、s)、1.24(6H、d、J=6.4Hz)。
【0217】
実施例7:N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0218】
【化23】

【0219】
ステップ1:
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(1g、3.92mmol、記載3)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(4mL)溶液に、アルゴン下で炭酸セシウム(1.531g、4.70mmol)を加えた後、ヨウ化カリウム(0.130g、0.783mmol)を加えた。混合物に、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した3−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(0.665g、4.70mmol、記載7)を加え、得られたスラリーを室温で一夜攪拌して、バッチ1を得た。
【0220】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(8g、31.3mmol、記載3)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)溶液に、アルゴン下で炭酸セシウム(12.25g、37.6mmol)を加えた後、ヨウ化カリウム(1.040g、6.27mmol)を加えた。混合物に乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解した3−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(5.32g、37.6mmol、記載7)を加え、得られたスラリーを室温で一夜撹拌して、バッチ2を得た。
バッチ1とバッチ2とを組み合わせた。
【0221】
この混合物を0℃で冷却し、水(200ml)およびEtO(300ml)で希釈した(発熱反応)。EtOAc(200ml)を加え、混合物をセライト上で濾過した。相を分離させ、水相をEtOAc(2×200ml)およびDCM(2×200ml)で逆抽出した。一緒にした有機相をブライン/水 1/1(3×100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、乾燥する迄蒸発させた。この粗物質をシクロヘキサン/EtOAc 1/1〜2/8で溶出するSiOカラムを使用して精製した。溶媒の蒸発により、N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基、10.9g)を薄茶色泡状体として得た。
【0222】
UPLC/MS:実測値361(ES+)、保持時間0.49分。C1924Sは、360を必要とする。
【0223】
ステップ2:
N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基、6.5g、18.03mmol)の0℃の乾燥メタノール(65mL)溶液に、アルゴン下で塩酸(EtO中1M、21.64mL、21.64mmol)を滴加した。混合物を0℃で10分間、次いで室温で30分間攪拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた固体残留物をEtO/ペンタン 40ml/30mlで粉砕した。生成物を濾過により収集し、ケーキをペンタン(30ml)で洗浄し、物質を高真空にて乾燥して、表題の化合物(6.95g)を白色固体として得た。
【0224】
UPLC/MS:実測値361(ES+)、保持時間0.49分。C1924Sは、360を必要とする。
H NMR(500MHz、CDCl):δ 8.70(1H、d、J=5.4Hz)、8.43(1H、m)、7.83(1H、m)、7.43(1H、d、J=7.8Hz)、7.13(1H、d、J=8.3Hz)、6.96(1H、s)、6.88(1H、dd、J=2.2、8.2Hz)、5.24(2H、s)、4.08(1H、m)、3.21(1H、m)、3.12(2H、m)、2.82(2H、m)、2.74(3H、s)、1.25(6H、d、J=6.7Hz)。
【0225】
実施例8:N−{(2S)−5−[(4−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0226】
【化24】

【0227】
4−メチル−3−ピリジノール(71.1mg、0.652mmol)、N−[(2S)−5−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(200mg、0.628mmol、記載1)、N,N−ジメチルグリシン(78mg、0.754mmol)、炭酸セシウム(410mg、1.257mmol)およびヨウ化銅(I)(132mg、0.691mmol)のDMSO(2ml)中の混合物を、マイクロ波条件下で190℃にて30分間加熱した。混合物をkieselguhrを介して濾過し、酢酸エチルと水との間に分割した。有機溶液を乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。この材料をMDAPを使用して精製した後、酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間に分割した。有機層を乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させた。得られた遊離塩基を1mlのエーテルHClで処理し、エーテルを蒸発させて所望の生成物を橙色ゴム(30mg)として得た。
【0228】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間2.01分。C1822Sは、346を必要とする。
H NMR遊離塩基(400MHz、DMSO−d):δ 8.28(1H、d、J=5Hz)、8.11(1H、s)、7.45(1H、d、J=8Hz)、7.37(1H、d、J=5Hz)、7.18(1H、d、J=8Hz)、6.78(1H、d、J=2Hz)、6.73(1H、dd、J=8、2Hz)、4.09(1H、m)、3.21(1H、七重項、J=7Hz)、3.14(2H、m)、2.81(2H、m)、2.20(3H、s)、1.24(6H、d、J=7Hz)。
【0229】
実施例9:N−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0230】
【化25】

【0231】
ステップ1:
250mlの丸底フラスコ中、室温にて窒素下でN−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(5.31g、20.80mmol、記載3)をN,N−ジメチルホルムアミド(25ml)に溶解して、無色溶液を得た。次いで、炭酸セシウム(10.16g、31.2mmol)を加え、その後乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(20ml)に溶解した5−(クロロメチル)−2−メチルピリジン(4.26g、30.1mmol、記載6)を加え、ヨウ化カリウム(0.863g、5.20mmol)を加えた。次いで、この得られた茶色混合物を室温で週末中、撹拌したままにした。混合物を0℃とし、水(100ml)およびDCM(150ml)で希釈した(発熱反応)。相を分離させ、水相をDCM(2×100ml)で逆抽出した。一緒にした有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して油状の残留物を与え、これをEtO(250ml)中で希釈し、水(2×100ml)で洗浄した。有機物を再度NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して8.8gの茶色泡状体として与え、これをフラッシュ−クロマトグラフィー(100g SiOカートリッジ、シクロヘキサン/EtOAc=60/40、1/1および40/60で抽出)で精製して、N−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基)を薄黄色固体(3.43g)として得た。
【0232】
UPLC/MS:実測値361(ES+)、保持時間0.50分。C1924Sは、360を必要とする。
【0233】
ステップ2:
250mlの丸底フラスコ中、室温にて窒素下でN−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド(遊離塩基、5.03g、13.95mmol)を乾燥メタノール(60ml)に溶解して黄色溶液を与え、次いで該溶液を0℃に冷却した。次に、塩酸(EtO中1M、14ml、14.00mmol)を滴加し、得られた黄色溶液を0℃で30分間、室温で1時間撹拌した:0℃にて数分後、白色固体が出現し、これは室温にてほぼ完全に溶解した。
【0234】
次に、混合物を真空下で蒸発させ、乾燥EtO(25ml)で揮散して薄黄色固体を得た。この物質を乾燥n−ペンタン(25ml)中に懸濁させ、室温にて窒素下で1時間、撹拌したままにした。次に、固体をGooch漏斗上で濾去し、収集し、高真空下で一夜保って、所望の化合物を灰白色固体(4.93g)として得た。
【0235】
UPLC/MS:実測値361(ES+)、保持時間0.49分。C1924Sは、360を必要とする。
H NMR(500MHz、DMSO−d)δ 8.78(s、1H)、8.39(d、J=8.0Hz、1H)、7.82(d、J=8.2Hz、1H)、7.39(d、J=7.6Hz、1H)、7.09(d、J=8.2Hz、1H)、6.89(s、1H)、6.78(d、J=8.2Hz、1H)、5.20(s、2H)、3.97−4.12(m、1H)、3.15−3.25(m、1H)、3.01−3.15(m、2H)、2.70−2.85(m、2H)、2.69(s、3H)、1.23(d、J=6.7Hz、6H)。
【0236】
代替的に:
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(700mg、2.74mmol、記載3)および(6−メチル−3−ピリジニル)メタノール(338mg、2.74mmol)のジクロロメタン(30ml)中の混合物を、室温にてアルゴン下で撹拌した後、トリフェニルホスフィン(719mg、2.74mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート (0.533ml、2.74mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を、室温にてアルゴン下で16時間撹拌した。反応混合物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。所望の生成物をメタノール溶液中1Mアンモニアで溶出するSCXカラム、およびn−ペンタン中1〜99%酢酸エチルを使用したシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た。遊離塩基固体をメタノールに溶解し、エーテル塩酸塩で処理して表題の化合物(554mg)を得た。
【0237】
実施例10:N−{(2S)−5−[(3−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0238】
【化26】

【0239】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(120mg、0.470mmol、記載3)および3−ピリジニルメタノール(51.3mg、0.470mmol)のジクロロメタン(10ml)中の混合物を、室温にてアルゴン下で撹拌した。次に、トリフェニルホスフィン(123mg、0.470mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.091ml、0.470mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を、室温にてアルゴン下で16時間撹拌した。反応混合物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。所望の生成物を、n−ペンタン中1〜99%酢酸エチルで溶出するシリカ上のカラムクロマトグラフィー、次いでメタノール溶液中1Mアンモニアで溶出するSCXカラムで精製して、表題の化合物を白色固体として得た。遊離塩基固体をメタノールに溶解し、エーテル塩酸塩で処理してHCl塩(64mg)を得た。
【0240】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間1.94分。C1822Sは、346を必要とする。
H NMR(400MHz、DMSO−d):δ 8.89(1H、d、J=1Hz)、8.79(1H、dd、J=5、1Hz)、8.38(1H、d、J=8Hz)、7.88(1H、dd、J=8、5Hz)、7.44(1H、d、J=8Hz)、7.12(1H、d、J=8Hz)、6.91(1H、d、J=2Hz)、6.83(1H、dd、J=8、2Hz)、5.24(2H、s)、4.07(1H、六重項、J=8Hz)、3.22(1H、七重項、J=7Hz)、3.12(2H、m)、2.80(2H、m)、1.24(6H、d、J=7Hz)。
【0241】
実施例11:N−((2S)−5−{[3−(3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド
【0242】
【化27】

【0243】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(50mg、0.196mmol、記載3)および3−ピリジンプロパノール(0.028ml、0.215mmol)のジクロロメタン(1ml)溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.038ml、0.196mmol)を加えた後、トリフェニルホスフィン(51.4mg、0.196mmol)を加えた。反応混合物を25℃で一夜攪拌した。溶媒を真空下で除去し、粗生成物をMDAPを用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。関連画分を一緒にし、濃縮して34mgの物質を与え、該物質を一夜真空炉内で乾燥した。次いで、この固体をDCM(10ml)に溶解し、水(2×10ml)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濃縮した。この生成物をMDAPにより2回目に精製した。この物質をMeOHに溶解し、SCXカートリッジ上に負荷し、MeOHで洗浄し、メタノール性アンモニアで溶出した。関連画分を一緒にし、濃縮して表題の化合物を白色固体(2mg)として得た。
【0244】
LC/MS(ES):実測値375(ES+)、保持時間0.68分(2分間の方法)。C2026Sは、374を必要とする。
H NMR(400MHz、MeOH−d):δ 8.38(2H、m)、7.72(1H、m)、7.36(1H、m)、7.06(1H、m)、6.76(1H、m)、6.69(1H、m)、4.16(1H、m)、3.93(2H、t、J=6Hz)、3.18(3H、m)、2.81(4H、m)、2.05(2H、m)、1.35(6H、d、J=6.8Hz)。
【0245】
実施例12:N−((2S)−5−{[3−(6−メチル−3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0246】
【化28】

【0247】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(200mg、0.783mmol、記載3)および3−(6−メチル−3−ピリジニル)−1−プロパノール(178mg、1.175mmol、記載4)のジクロロメタン(4ml)溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.183ml、0.940mmol)を加えた後、トリフェニルホスフィン(247mg、0.940mmol)を加えた。反応混合物を25℃で一夜振とうした後、室温で更に2日間撹拌した。溶媒を除去し;残留物をMeOHに溶解し、MeOHで調整したSCXカートリッジ上に負荷した。生成物をMeOHで洗浄し、メタノール性アンモニアで溶出した。関連画分を濃縮して、200mgの黄色固体を与え、該固体をMDAPを用いて精製した。関連画分を一緒にし、濃縮して55mgの透明油を与え、該油を2mlのDCMに溶解し、0.27mlのエーテル中1M HClを加えた。混合物を室温で5分間攪拌した後、溶媒を除去して、表題の化合物を白色固体として(60mg)得た。
【0248】
LC/MS(ES):実測値389(ES+)、保持時間0.70分(2分間の方法)。C2128Sは、388を必要とする。
1H NMR(400MHz、MeOH−d):δ 1.35(d、J=6.7Hz、6H)、2.16(m、2H)、2.76(s、3H)、2.78−2.92(m、2H)、3.03(t、J=7.4Hz、2H)、3.10−3.28(m、3H)、3.99(t、J=5.7Hz、2H)、4.15(四重項、J=7.5Hz、1H)、6.68(d、J=8.1Hz、1H)、6.74(s、1H)、7.06(d、J=8.2Hz、1H)、7.85(d、J=8.1Hz、1H)、8.41(d、J=8.0Hz、1H)、8.60(s、1H)。
【0249】
実施例13:N−{(2S)−5−[(6−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0250】
【化29】

【0251】
ジメチルスルホキシド(2ml)中のN−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(50mg、0.196mmol、記載3)、ヨウ化銅(I)(41.0mg、0.215mmol)、2−ブロモ−6−メチルピリジン(0.022ml、0.196mmol)、CsCO(191mg、0.587mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(24.23mg、0.235mmol)を、マイクロ波条件下にて190℃で30分間加熱した。反応混合物をEtOAc(10ml)と水(5ml)間に分割した。有機溶液を乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させて、不純生成物を暗褐色油として得た。生成物をMDAPを使用して逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を白色固体(17mg)として得た。
【0252】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間1.02分(2分間の方法)。C1822Sは、346を必要とする。
1H NMR(400MHz、MeOH−d)δ 1.36(d、J=6.8Hz、6H)、2.41(s、3H)、2.84−2.98(m、2H)、3.19−3.28(m、3H)、4.23(四重項、J=8.4Hz、1H)、6.57(d、J=8.4Hz、1H)、6.87(dd、J=8.2、2.2Hz、1H)、6.92−7.00(m、2H)、7.23(d、J=8.0Hz、1H)、7.65(t、J=7.4Hz、1H)。
【0253】
実施例14:N−{(2S)−5−[(5−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0254】
【化30】

【0255】
ジメチルスルホキシド(2ml)中のN−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(50mg、0.196mmol、記載3)、ヨウ化銅(I)(41.0mg、0.215mmol)、2−ブロモ−5−メチルピリジン(33.7mg、0.196mmol)、CsCO(191mg、0.587mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(24.23mg、0.235mmol)を、マイクロ波条件下にて190℃で30分間加熱した。反応混合物をEtOAc(10ml)と水(5ml)との間に分割した。水性物を更にDCM(10ml)で抽出した。有機溶液を乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させて、不純生成物を暗褐色油として得た。生成物を、MDAPを使用して逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を固体(17mg)として得た。
【0256】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間1.04分(2分間の方法)。C1822Sは、346を必要とする。
1H NMR(400MHz、MeOH−d)δ 1.35(d、J=6.9Hz、6H)、2.28(s、3H)、2.85−2.96(m、2H)、3.18−3.29(m、3H)、4.22(四重項、J=7.4Hz、1H)、6.79(d、J=8.4Hz、1H)、6.85(dd、J=8.0、2.4Hz、1H)、6.91(d、J=1.9Hz、1H)、7.21(d、J=8.2Hz、1H)、7.60−7.66(m、1H)、7.93(dd、J=1.7、0.8Hz、1H)。
【0257】
実施例15:N−{(2S)−5−[(4−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド
【0258】
【化31】

【0259】
ジメチルスルホキシド(2ml)中のN−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(50mg、0.196mmol、記載3)、ヨウ化銅(I)(41.0mg、0.215mmol)、2−ブロモ−4−メチルピリジン(0.022ml、0.196mmol)、CsCO(191mg、0.587mmol)およびN,N−ジメチルグリシン(24.23mg、0.235mmol)を、マイクロ波条件下にて190℃で30分間加熱した。反応混合物をEtOAc(10ml)と水(10ml)との間に分割した。水性物を更にDCM(10ml)で抽出した。有機溶液をMgSOで乾燥し、減圧下で蒸発させて、不純生成物を暗褐色油として得た。生成物を、MDAPを使用して逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を白色固体(5mg)として得た。
【0260】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間1.03分(2分間の方法)。C1822Sは、346を必要とする。
1H NMR(400MHz、MeOH−d)δ 1.36(d、J=6.9Hz、6H)、2.33(s、3H)、2.86−2.96(m、2H)、3.20−3.29(m、3H)、4.23(四重項、J=7.4Hz、1H)、6.71(s、1H)、6.86(dd、J=8.0、2.4Hz、1H)、6.91−6.98(m、2H)、7.23(d、J=8.1Hz、1H)、7.96(d、J=5.3Hz、1H)。
【0261】
実施例16:N−((2S)−5−{[2−(3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド
【0262】
【化32】

【0263】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(50mg、0.196mmol、記載3)をジクロロメタン(1ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン(51.4mg、0.196mmol)およびDIAD(0.038ml、0.196mmol)を反応混合物に加えた。3−(2−ヒドロエチル)ピリジンを加え、反応混合物を25℃で一夜撹拌した。次いで、溶媒を真空下で除去し、粗生成物をMDAPを使用して逆相クロマトグラフィーにより精製した。関連画分を一緒にし、濃縮した。残留物をMeOHに溶解し、SCXカートリッジ上に負荷した。SCXカートリッジをメタノールで溶出した。生成物をメタノール性アンモニアで溶出した。関連画分を濃縮し、生成物を真空炉内で72時間乾燥して、表題の化合物(23mg)を得た。
【0264】
LC/MS(ES):実測値361(ES+)、保持時間0.63分(2分間の方法)。C1924Sは、360を必要とする。
1H NMR(400MHz、MeOH−d)δ 1.34(d、J=6.8Hz、6H)、2.74−2.89(m、2H)、3.01−3.27(m、5H)、4.01−4.28(m、3H)、6.68(dd、J=8.3、2.4Hz、1H)、6.75(d、J=1.9Hz、1H)、7.04(d、J=8.3Hz、1H)、7.40(ddd、J=7.8、5.0、0.6Hz、1H)、7.80−7.96(m、1H)、8.40(dd、J=5.0、1.5Hz、1H)、8.50(d、J=1.7Hz、1H)。
【0265】
実施例17:N−((2S)−5−{[(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0266】
【化33】

【0267】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(149mg、0.583mmol、記載3)および(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)メタノール(80mg、0.583mmol)のジクロロメタン(10ml)中の混合物を、室温にてアルゴン下で攪拌した。次に、トリフェニルホスフィン(153mg、0.583mmol)およびDIAD(0.113ml、0.583mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を、室温にてアルゴン下で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。所望の生成物をMDAPにより単離し、小容積に濃縮し、ジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分割した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸発させて所望の化合物を遊離塩基として得た。これをエーテル塩酸塩/メタノールで処理して、表題の化合物を白色固体(92mg)として得た。
【0268】
LC/MS(ES):実測値375(ES+)、保持時間1.67分。C2026Sは、374を必要とする。
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ 8.34(1H、bs)、7.69(1H、bs)、7.46(1H、d、J=8.0Hz)、7.14(1H、d、J=8.0Hz)、6.94(1H、s)、6.84(1H、m)、5.19(2H、s)、4.06(1H、m)、3.24−3.06(3H、m)、2.87−2.74(2H、m)、2.69(3H、s)、2.60(3H、s)、1.25(6H、d、J=6.8Hz)。
【0269】
実施例18:N−{(2S)−5−[(4−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0270】
【化34】

【0271】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(100mg、0.392mmol、記載3)および4−ピリジニルメタノール(42.7mg、0.392mmol)のDCM(10ml)中の混合物を、室温にてアルゴン下で攪拌した。次いで、トリフェニルホスフィン(103mg、0.392mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.076ml、0.392mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を室温にてアルゴン下で16時間撹拌した。反応混合物を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。所望の生成物をMDAPにより単離し、小容積に濃縮した。残留物質をジクロロメタンと重炭酸ナトリウム水溶液との間に分割した後、有機層を分離し、蒸発させた。遊離塩基をメタノールに溶解し、エーテル塩酸塩で処理して、表題の化合物を塩酸塩(84mg)として得た。
【0272】
LC/MS(ES):実測値347(ES+)、保持時間1.75分。C1822Sは、346を必要とする。
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ 8.86(2H、d、J=6.4Hz)、7.94(2H、d、J=6.4Hz)、7.44(1H、d、J=7.6Hz)、7.13(1H、d、J=8.0Hz)、6.93(1H、d、J=2.0Hz)、6.82(1H、m)、5.39(2H、s)、4.08(1H、m)、3.22(1H、m)、3.19−3.04(2H、m)、2.85−2.75(2H、m)、1.26(6H、d、J=6.8Hz)。
【0273】
実施例19:N−((2S)−5−{[(2−メチル−4−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0274】
【化35】

【0275】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(200mg、0.783mmol、記載3)および(2−メチル−4−ピリジニル)メタノール(107mg、0.783mmol)のジクロロメタン(15ml)中の混合物を、室温にてアルゴン下で撹拌した。次いで、トリフェニルホスフィン(205mg、0.783mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.152ml、0.783mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を、室温にてアルゴン下で16時間攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、所望の生成物を、メタノール溶液中1Mアンモニアで溶出するSCXと高pH MDAPとにより精製して、表題の化合物を白色固体として得た。遊離塩基固体をメタノールに溶解し、エーテル塩酸塩で処理して、所望の化合物を塩酸塩(54mg)として得た。
【0276】
LC/MS(ES):実測値361(ES+)、保持時間2.77分(高pH方法)。C1924Sは、360を必要とする。
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ 8.74(1H、d、J=6Hz)、7.89(1H、s)、7.80(1H、d、J=6Hz)、7.45(1H、d、J=7.6Hz)、7.12(1H、d、J=8.4Hz)、6.90(1H、d、J=2.4Hz)、6.83(1H、m)、5.36(2H、s)、4.07(1H、m)、3.34−3.03(3H、m)、2.87−2.73(2H、m)、2.75(3H、s)、1.26(6H、d、J=6.8Hz)。
【0277】
実施例20:N−((2S)−5−{[(1S)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩、およびN−((2S)−5−{[(1R)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド、塩酸塩
【0278】
【化36】

【0279】
N−[(2S)−5−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド(200mg、0.783mmol、記載3)および1−(6−メチル−3−ピリジニル)エタノール(107mg、0.783mmol、記載5)のジクロロメタン(10ml)中の混合物をアルゴン下にて室温で撹拌した後、トリフェニルホスフィン(205mg、0.783mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.152ml、0.783mmol)を連続的に加えた。得られた混合物を、室温にてアルゴン下で16時間撹拌した。溶媒を回転蒸発により除去し、所望の生成物をメタノール溶液中1Mアンモニアで溶出するSCXとMDAPとにより精製した後、小容積に濃縮した。残留物質をジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム水溶液との間に分割した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空蒸発させて、生成物を遊離塩基として得た。遊離塩基をメタノールに溶解し、エーテル塩酸塩で処理して、表題の化合物(121mg)を白色固体として得た。
【0280】
LC/MS(ES):実測値375(ES+)、保持時間0.70分(2分間の方法)。C2026Sは、374を必要とする。
H−NMR(400MHz、DMSO−d):δ 8.78(1H、d、J=1.6Hz)、8.42(1H、m)、7.84(1H、d、J=8.4Hz)、7.40(1H、m)、7.04(1H、d、J=8.4Hz)、6.83(1H、s)、6.74(1H、m)、5.69(1H、m)、4.03(1H、m)、3.21−3.16(1H、m)、3.09−3.01(2H、m)、2.78−2.70(2H、m)、2.69(3H、s)1.58(3H、d、J=6.4Hz)、1.22(6H、d、J=6.8Hz)。
【0281】
AMPAを増強する本発明の化合物の能力は、以下のアッセイにより測定することができる。本明細書で使用および記載するアッセイにおいて、本発明の化合物は、必ずしも上述した同一のバッチに由来しない。一バッチからの試験化合物を、アッセイ(1つまたは複数)のために他のバッチ(1つまたは複数)と組み合わせている可能性がある。
【0282】
カルシウム流入蛍光アッセイ
ヒトGluR2フリップ(未編集)AMPA受容体サブユニットを安定的に発現しているHEK293細胞のコンフルエントな単層を含む384ウェルプレートを調製した。実験当日、培養液を廃棄し、細胞を標準緩衝液(145mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl、2mM CaCl、20mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES)、5.5mMブドウ糖、pH7.3、NaOHと共に)で3回洗浄した。洗浄後、各ウェル内に20μLの緩衝液が残留した。次いで、プレートを暗所にて室温で20uL/ウェルのFLUO−4AM緩衝液(4uM FLUO−4AM、プルロン酸F127 0.05%、標準緩衝液)と共に60分間インキュベートして、細胞がFLUO−4AMを取り込ませ、次いでこれを、細胞内エステラーゼによりFLUO−4に変換し、これは細胞を去ることができない。インキュベーション後、細胞を緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、各ウェル内に30μLの緩衝液が残留した。本発明の化合物は50μM〜50nMの最終アッセイ濃度で試験した。本発明の化合物(または参照化合物N−[(2R)−2−(4’−シアノ−4−ビフェニリル)プロピル]−2−プロパンスルホンアミド)を、ストック濃度10mMにてジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。これらの溶液を384化合物プレート内で更にDMSOで希釈し、1μLの各希釈物を他の化合物プレートに移動した。化合物を細胞に加える直前に、50μLのプルロン酸(pluronic)緩衝液(0.05%プルロン−F127酸を有する標準緩衝液)を1μLの化合物コピープレートに加えた。水中で調製した100mMナトリウムグルタメートストック溶液をプルロン酸緩衝液(0.05%プルロン−F127酸を有する標準緩衝液)で希釈することにより、50μL/ウェルの500μMグルタメートを収容する作動薬刺激384−ウェルプレートを調製した。化合物緩衝液溶液中で作製した、本発明の化合物を含む各プレートからの10μLを加え、負荷細胞と共に暗所内にて室温で10分間インキュベートした。次いで、細胞プレートを蛍光イメージングプレートベースのリーダー(FLIPR384 - Molecular Devices等)内に移動した。ベースライン蛍光読み取り値を5〜10秒間に亘り取得した後、10μLの500μMグルタメート溶液を加えた(そして最終濃度100μMを与えた)。次いで、蛍光を4〜5分間に亘り読み取った。本発明の化合物と参照化合物との活性を、最終添加後、ピーク蛍光を測定することにより決定した。活性はまた、5μM N−[(2R)−2−(4’−シアノ−4−ビフェニリル)プロピル]−2−プロパンスルホンアミドにより誘導された、その最大応答における蛍光増大に対して表された。上述したアッセイは、化合物の可溶性の限界を原因とする、3.5〜4.0の領域内のpEC50の検出の有効限界を有するように思われた。pEC50結果は、一般に、+/−0.3の正確性を有すると考慮される。
【0283】
上述したアッセイを用いて実施例化合物の全部をスクリーニングし、4.0以上のpEC50を与え、および/または、平均でN−[(2R)−2−(4’−シアノ−4−ビフェニリル)プロピル]−2−プロパンスルホンアミドの活性の少なくとも10%の活性(その最大応答において)を示した。
【0284】
全細胞電圧クランプ電気生理学アッセイ
本発明の化合物がAMPA−サブタイプグルタミン酸受容体媒介による応答を増強する能力は、ラット培養海馬ニューロンから記録されるAMPA誘発電流を測定することによっても決定することができる。
【0285】
このアッセイは、ラット培養海馬ニューロンを使用して、AMPA受容体の正の調節因子を電気生理学的に特徴付けることを含む。細胞外記録溶液は:145mM NaCl、2.5mM KCl、1.2mM MgCl、1.5mM CaCl、10mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES)、10mM D−ブドウ糖、pH7.3をNaOHと共に含んでいた。細胞内溶液は:80mM CsCl、80mM CsF、10mM N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸(HEPES)、10mMエチレングリコール−ビス(g−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N,−テトラ−酢酸(EGTA)、14mM MgATP、14mMジトリスクレアチンホスフェート、50U/mlクレアチンホスホキナーゼpH7.3をCsOHと共に含んでいた。記録電極はガラス毛細管(Clark Electromedical GC120-F10)からZeitz Instruments DMZ Universal Puller、プログラム09を使用して2つの等しい長さに引き込んで調製し、細胞外溶液中で測定された際、約3〜6MOhmsの抵抗を有する電極を得た。電極を内部記録溶液で再び満たした。電極に正圧を適用して、内部溶液と外部溶液との混合を防止し、電極が細胞膜と接触した際の高い抵抗密封の形成を補助した。ラット培養海馬ニューロンを支持するガラスカバースリップ断片を、倒立顕微鏡のステージ上に配置された記録チャンバ内に配置した。チャンバ縁のチューブを使用して、細胞外溶液を溶液槽に適用した。急速溶液交換は、ファーストステップ灌流(fast step perfusion)システム(Biologic RSC160)を使用した。その長さに沿って一緒に取り付けられた2つの排出チューブを、選択された細胞の近傍に配置して、唯一つのチューブからの流出物が細胞表面を直接通過できるようにした。電動ステッパ(motorized stepper)は、第二の排出チューブからの排出流が細胞を流れて細胞膜表面での溶液交換が10〜20分間以内に生じるように、チューブを再配置することができた。過剰の溶液槽溶液を、真空ラインに接続されたチャンバの縁に配置されたチューブを介して除去した。見込みの細胞を顕微鏡の視野の中心に配置した。記録電極を、細胞膜表面の直上に配置した。5mV脱分極パルスの供給中の電極抵抗における変化を監視しながら、高い抵抗密封(ギガシール)が達成される迄、微細マニピュレーター制御(fine manipulator control)(Luigs and Neumann, SM-6)を用いて電極を下げた。全細胞形態は、吸引により細胞膜の小断片を記録電極先端の直下にて除去することにより達成した。細胞膜電位を、電極を介して−70mVに保持した(電圧クランプした)(Axopatch 200B Integratingパッチクランプ増幅器、pClampソフトウエア、アクソン・インストルメンツ(Axon Instruments))。以下のプロトコールを用いた急速適用システムを使用して試験溶液を適用し、内向き電流における変化を記録し、オフライン分析のために保管した。
【0286】
1)対照電流−細胞外溶液から細胞外溶液+30μM AMPAへの交換(適用時間2s、適用間の間隔30s)を、測定値が安定する迄反復した。
2)試験電流−細胞外溶液+10nMの本発明の化合物から細胞外溶液+10nMの本発明の化合物+30μM AMPAへの交換(適用時間2s、適用間の間隔30s)を、測定値が安定する迄反復した。
全ての実験は、周囲温度(21〜24℃)で行った。
【0287】
本発明の化合物の活性は、本発明の化合物の存在下で30μM AMPA応答に関して、曲線下面積(2sの適用時間中の)を測定し、それを30μM AMPA単独応答(本発明の化合物の不在下での30μM AMPA)の増強の%として表すことにより決定した。
【0288】
このアッセイで本発明の化合物の数個の実施例を測定し、10nMにおいて平均応答は30μM AMPA単独の応答の95%〜148%の範囲の増大を示し、10μMにおいて30μM AMPA単独の応答の160%〜440%の範囲の増大を示した。
【0289】
ヒト組換えGluR2iホモマーAMPARにおける電気生理学的活性
化合物の存在下での1mMグルタメートに対する応答を、100%と考慮される化合物の不在下での応答に対して正規化した。グルタメートに30秒毎に2秒間のパルスを適用した。データを獲得した後、ピークの開始から最初の2000msにおいて正味荷電(電流の時間積分)を測定し、ピーク振幅を測定するゼロ減算関数(zero subtraction function)(リーク減算)を使用して電流解析を行った。上昇または下降が観察された場合、前および後の薬物対照データを使用して対照値の外挿を行った。解析において、信号の安定化後(平衡に到達した際)の電流のみを考慮して電流振幅、または電荷移動測定値の平均を計算した。100nMおよび10μMの試験化合物の適用後、電荷移動の増強およびピーク電流振幅を測定した。本発明の化合物の活性は、本発明の化合物の存在下での1mMグルタメートチャレンジに関して、曲線下面積(2sの適用時間中)を測定し、それを1mMグルタメートチャレンジ単独(本発明の化合物の不在下での1mMグルタメート)の増強の%として表すことにより決定した。
【0290】
このアッセイにおいて、本発明の化合物の数個の実施例を試験し、100nMにおける平均応答は、1mMグルタメートチャレンジ単独の102%〜172%増強の範囲を示し、10μMにおける平均応答は、1mMグルタメートチャレンジ単独の576%〜2868%増強の範囲を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその塩:
【化1】

(式中:
nは、0、1、2または3であり;
は、フェニルおよびピリジルから選択され、これらは各々、場合により、C1−4アルキルおよびハロゲンから独立して選択される一つまたは二つの基で置換されていてもよく;
は、nが1の場合、HまたはCHから選択され;Rは、nが2または3の場合Hである。)。
【請求項2】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がHであり、nが1、2または3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、場合によりハロゲンで、または一つもしくは二つのC1−4アルキルで置換されていてもよいピリジルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
N−[(2S)−5−(フェニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(6−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−[(2S)−5−(2−ピリジニルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−フルオロ−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(2−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−3−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(6−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(5−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−メチル−2−ピリジニル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
である化合物、またはその塩。
【請求項6】
N−{(2S)−5−[(2−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(6−メチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(3−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[3−(3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[3−(6−メチル−3−ピリジニル)プロピル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[2−(3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2,6−ジメチル−3−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−{(2S)−5−[(4−ピリジニルメチル)オキシ]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル}−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(2−メチル−4−ピリジニル)メチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1S)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
N−((2S)−5−{[(1R)−1−(6−メチル−3−ピリジニル)エチル]オキシ}−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−2−プロパンスルホンアミド;
である化合物、またはその塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学上許容可能な塩。
【請求項8】
請求項7に定義された化合物と、少なくとも一種の薬学上許容可能な担体または希釈剤とを含有する医薬組成物。
【請求項9】
医薬としての使用のための、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡に起因する疾患または状態の治療における使用のための、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
統合失調症の治療における使用のための、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
グルタミン酸受容体機能の低下または不均衡に起因する疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造における、請求項7に定義された化合物の使用。
【請求項13】
疾患が統合失調症である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
有効量の請求項7に定義された化合物を投与することを含む、哺乳動物におけるグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡に起因する疾患または状態の治療方法。
【請求項15】
疾患が統合失調症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項7に定義した化合物と、抗精神病薬とを含有する組み合わせ製品。

【公表番号】特表2011−506551(P2011−506551A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538692(P2010−538692)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067681
【国際公開番号】WO2009/080637
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】