説明

Apoptosis誘導剤

【課題】本発明は、ポリフェノール誘導体が癌細胞に対してアポトーシスを誘導することを明らかにした上で、ポリフェノール誘導体を新規な医薬品および健康補助食品として提供するものである。
【解決手段】ポリフェノール誘導体のヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対するアポトーシス誘導を調べた結果、ポリフェノール誘導体がアポトーシスを誘導することを見出し、癌細胞に対してアポトーシスを誘導できることを見出した。ポリフェノール誘導体が合成されたものであって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対してもアポトーシスを誘導剤できることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノール(polyphenol)誘導体を有効成分として含有する、癌細胞に対するアポトーシス(apoptosis)誘導剤に関する。すなわち、ヒトまたは動物の癌細胞内にあるプロテアーゼ、特に、カスパーゼ(caspase)が不活性化されることにより増殖する癌細胞に対するアポトーシスの誘導に有効であって、ヒトまたは動物の癌細胞内のカスパーゼを活性化することによりアポトーシスを誘導し、癌細胞を死滅させることに関する。より詳しくは、茶の抽出物であって、環式炭化水素の環と6員芳香環とを含有する環式炭化水素の中の6員環をもつものに関する。
【背景技術】
【0002】
アポトーシスは、細胞内の核の破壊を伴う細胞死である。癌細胞におけるアポトーシスの死分子機構として、カルシウム経路、死のシグナル経路、セラミド経路、ミトコンドリア経路、及びp53アポトーシス経路の5つの経路を介して誘導される分子機構が知られている(非特許文献1、橋本嘉幸:新アポトーシスの分子医学、羊土社、2001年4月:10−58)。
【0003】
カルシウム経路では、アポトーシス誘導刺激によりグルココルチコイドがマウスの胸腺細胞の細胞外膜に存在するグルココルチコイド受容体に作用して細胞内のアイピー3アール3(IP3R3)が活性化され、引き続き細胞内のカルシウムイオン(Ca2+)濃度が上昇し、プロテアーゼであるカルパインを活性化する。カルパインは、カスパーゼ1/インターロイキン−1β−変換酵素(interleukin−1β−converting enzyme、ICE)、カスパーゼ3を順次活性化、更に、カスパーゼ3はエンドヌクレアーゼを活性化し、活性化エンドヌクレアーゼの作用により核DNAが切断を受け、結果としてアポトーシスを誘導する(非特許文献1)。
【0004】
死のシグナル経路では、アポトーシス誘導刺激により腫瘍壊死因子−α(tumor necrosis factor−α、TNF−α)、ファスリガンド(FS−7−associated cell surface antigen、FasL)などの細胞外タンパク質分子が、胸腺細胞やリンパ球の細胞外膜に存在するそれぞれの受容体に接触する。これらの受容体から細胞内のアダプター分子、即ち、ドメインに会合するタンパク分子、トラッド(TNFR1−associated death domain protein、TRADD)並びにファッド(fas−associated death domain protein、FADD)を介してカスパーゼ8を活性化する。活性型カスパーゼ8はカスパーゼ1/ICEを活性化、更に、活性型カスパーゼ1/ICEがカスパーゼ3を順次活性化し、アポトーシスを誘導する(非特許文献1)。
【0005】
セラミド経路では、アポトーシス誘導刺激により細胞間の情報伝達を司るスフィンゴ脂質が細胞内に入り、スフィンゴミエリナーゼの酵素分解を受け、細胞内セラミドが増加する。これがサップキナーゼ/ジュン−N末端キナーゼ(stress−activated protein kinase/c−jun N−terminal kinase、SAPK/JNK)を活性化し、更に、活性型SAPK/JNKはカスパーゼ1/IECを活性化し、アポトーシスを誘導する(非特許文献1)。
【0006】
ミトコンドリア経路では、アポトーシス誘導刺激によりミトコンドリア膜上に存在するタンパク質であるアポトーシス促進因子のバックス(Bcl−2 associated X protein、bax)が活性化され、アント(adenine nucleotide translocator、ANT)とピーティーピーシー(permiability transition pore complex、PTPC)のタンパク質と会合後、ミトコンドリア膜に細孔を開ける。ミトコンドリア内から細孔を通してチトクロームcが細胞質内に放出され、チトクロームcはアポトーシス誘導因子−1(apoptosis protease−activating factor−1、Apaf−1)を活性化、活性化Apaf−1はカスパーゼ9を活性化し、アポトーシスを誘導する(非特許文献1)。
【0007】
p53アポトーシス経路について、抗癌剤を用いた場合では、癌抑制遺伝子であるp53が活性化を受け、次に、カスパーゼ1、カスパーゼ3を順次活性化し、アポトーシスを誘導する。一方、抗癌剤耐性細胞においては、癌制御遺伝子であるp53が突然変異を受けていることが多いため、ミトコンドリア経路でのチトクロームcの放出が妨げられ、アポトーシスの誘導が困難であることも報告されている(非特許文献1)。
【0008】
ポリフェノールは、タンパク質やアルカロイド等と結合して、その結果難溶化の傾向を示す多価フェノール類であり、タンニンなどの化合物を含む(非特許文献2、川崎敏男、他:天然薬物化学、廣川書店、1986年4月:124)。茶ポリフェノールは通称カテキン類とも言われており、近年では多くの生理活性が報告されている。例えば、抗酸化作用(非特許文献3、Hashimoto、F.et al.:Biosci.Biotechnol.Biochem.、67:396−401、2003)、抗HIV作用(非特許文献4、Hashimoto、F.et al.:Bioorg.Med.Chem.Lett.、6:695−700、1996)、抗アレルギー作用(非特許文献5、Yamada、K.et al.:Food Sci.Technol.Res.、5:1−8、1999)、DNA切断作用(非特許文献6、Ohashi、Y.et al.:Biosci.Biotechnol.Biochem.、66:770−776、2002)、抗トポイソメラーゼI及びII作用(非特許文献7、Suzuki、K.et al.:Biol.Pharm.Bull.、24:1088−1090、2001)、突然変異抑制作用(非特許文献8、Yen、G.C. and Chen,H.Y.:J.Agric.Food Chem.、43:27−32、1995)、抗癌作用(非特許文献9、中村好志:茶の抗突然変異・抗癌作用、朝倉書店、1997年9月:131−143)など、たくさんの報告がある。
【0009】
茶ポリフェノールは、緑茶、紅茶、烏龍茶、黒茶から単離され、70種以上ものポリフェノール類が含有され、それらの化学構造が既に明らかにされている(非特許文献10、橋本文雄:各種茶のポリフェノールに関する化学的研究、1988年2月:1−222;非特許文献11、Hashimoto、F.et al.:Chem.Pharm.Bull.、35:611−616、1987;非特許文献12、Hashimoto、F.et al.:Chem.Pharm.Bull.、36:1676−1684、1988;非特許文献13、Hashimoto、F.et al.:Chem.Pharm.Bull.、37:77−85、1989;非特許文献14、Hashimoto、F.et al.:Chem.Pharm.Bull.、37:3255−3263、1989;非特許文献15、Hashimoto、F.et al.:Chem.Pharm.Bull.、40:1383−1389、1992)。
【0010】
茶ポリフェノールは、その生合成機構の違いにより、二つに分類されている。即ち、生葉中に元来含まれる一次ポリフェノールと、紅茶、烏龍茶等の製造工程(萎凋、発酵)で、フラバン3−オール(flavan−3−ol)類から変換した二次ポリフェノールとに大別される。一次ポリフェノールには、フラバン3−オール(flavan−3−ol)類、プロアントシアニジン(proanthocyanidin)類、加水分解型タンニン(hydrolyzable tannin)類、チャルカン−フラバン二量体(chalcan−flavan dimer)類、ウーロンホモビスフラバン(oolonghomobisflavan)類が含まれる。一方、二次ポリフェノールとして、テアシネンシン(theasinensin)類、テアフラガリン(theaflagallin)類、テアフラビン(theaflavin)類が含まれる(非特許文献9)。
【0011】
いわゆる茶カテキン類と称する主ポリフェノールの、エピガロカテキン3−ガレート((−)−epigallocatechin 3−O−gallte、EGCG)、エピガロカテキン((−)−epigallocatechin、EGC)、エピカテキン3−ガレート((−)−epicatechin 3−O−gallate、ECG)、エピカテキン((−)−epicatechin、EC)、ガロカテキン((+)−gallocatechin、GC)、カテキン((+)−catechin、CA)を除く、種々のポリフェノール類は、茶葉からの単離が容易ではなかったこともあって、種々の生物活性試験を行うことが困難であった問題点がある。
【0012】
茶ポリフェノールが抗癌作用を有するという事実が明らかにされたものの、ポリフェノールの癌細胞増殖抑制効果と、癌細胞のアポトーシス誘導による細胞死との関係は、明らかではなかったなどの問題点がある(非特許文献1;非特許文献9)。
【0013】
U937のリンパ球癌細胞を用いたアポトーシスの誘導には、茶ポリフェノールの化学構造のピロガロール環が重要であることが明らかにされている(非特許文献16、Saeki、K.et al.:Phytochemistry、53:391−394、2000)。また、二次ポリフェノールであるテアシネンシン類やテアフラビン類がU937のリンパ球がん細胞に対して、アポトーシスを誘導することが報告されているが、他のがん細胞を用いたアポトーシス誘導の報告例はない(非特許文献17、Pan、M.−H.et al.:J.Agric.Food Chem.、48:6337−6346、2000)。
【0014】
その他、特開平2000−226329号(以下、特許文献1という)に、MMP阻害剤(特許文献1の第0001〜0014段落)の記載がある。「カテキン化合物の抗酸化活性や抗ウィルス活性、など多様な生物活性に着目し、カテキン化合物がMMPsに対して阻害作用を有するかもしれないと推測し、カテキンのMMPs阻害活性を調べた結果、カテキンが、その多様な生物活性と併せて、MMP阻害作用を示し、結果として、MMPs活性の調節不能に起因する難治性疾患の治療及び予防に対する有用性が期待できることを見出した」という記載がある(特許文献1の第0013段落)。
特開平2000−344672号(以下、特許文献2という)には、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(特許文献2の第0001〜0014段落)の記載がある。「ポリフェノール類であるタンニン化合物についても、MMPs阻害活性を調べた結果、該化合物が、優れたMMP阻害作用を示し、結果として、MMPs活性の調節不能に起因する難治性疾患の治療および予防に対して有用性が期待できることを見出し、本発明を完成した」という記載がある(特許文献2の第0013段落)。
【0015】
特願2002−084666号(以下、特許文献3という)には、抗癌剤(特許文献3の第0001〜0006段落)の記載がある。「発癌プロモーターTPAによる細胞癌化実験を行ったところ、アントシアニジン誘導体、特に、ブルーベリーの果実から抽出したアントシアニジン配糖体であるアントシアニンを含有した培地においては、細胞癌化が抑制されることを見出した」という記載がある(特許文献3の第0005段落)。
特願2003−157862号(以下、特許文献4という)には、アポトーシス誘導剤(特許文献4の第0015、0016段落)と記載した。「紅茶から抽出されたプルプロガリン誘導体並びにその合成したプルプロガリン誘導体のヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)に対するアポトーシス誘導を調べた結果、プルプロガリン(purpurogallin)が濃度依存的および経時的にアポトーシスを誘導することと併せて、テアフラビン(theaflavin)類も同様にHL−60細胞に対してアポトーシスを誘導することを見出し、結果として、正常細胞に対してアポトーシス誘導を起こさせなくて、癌細胞に対してのみアポトーシスを誘導できることを見出した。」、「プルプロガリン(Purpurogallin)がHL−60細胞に対してカスパーゼ8を活性化し、カスパーゼ8の直接作用によりカスパーゼ3を活性化し、引き続いてDNAが断片化され、アポトーシスが誘導されることを見出した。また、カスパーゼ8からはビッド(Bid)は切断されず、ミトコンドリアからも細胞質へチトクロームcは放出されず、カスパーゼ9は結果として活性化されないことを見出した。この細胞死機構は、HL−60細胞内の活性酸素の増加を伴わないでアポトーシスを誘導することを見出し、本発明を完成した。」という記載がある。
【0016】
【特許文献1】特開平2000−226329号公報(第3頁)
【特許文献2】特開平2000−344672号公報(第3頁)
【特許文献3】特願2002−084666号
【特許文献4】特願2003−157862号
【非特許文献1】橋本嘉幸、「アポトーシスとは」、新アポトーシスの分子医学、羊土社、2001年4月、P.10−58。
【非特許文献2】川崎敏男、他10名、「タンニン」、天然薬物化学、廣川書店、1986年4月、P.124。
【非特許文献3】Hashimoto、F.、他9名、「Evaluation of the Anti−oxidative Effect (in vitro) of Tea Polyphenols」、Biosci.Biotechnol.Biochem.、2003年、第67巻、P.396−401。
【非特許文献4】Hashimoto、F.、他6名、「Evaluation of Tea Polyphenols as Anti−HIV Agents」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1996年、第6巻、P.695−700。
【非特許文献5】Yamada、K.、他4名、「Structure−activity Relationship of Immunoregulatory Factors in Foodstuffs」、Food Sci.Technol.Res.、1999年、第5巻、P.1−8。
【非特許文献6】Ohashi、Y.、他4名、「Kinetic Analysis of the Effect of Epigallocatechin Gallate on the DNA Scission Induced by Fe(II)」、Biosci.Biotechnol.Biochem.、2002年、第66巻、P.770−776。
【非特許文献7】Suzuki、K.、他3名、「Inhibitory Activities of (−)−Epigallocatechin−3−O−gallate against Topoisomerase I and II」、Biol.Pharm.Bull.、2001年、第24巻、P.1088−1090。
【非特許文献8】Yen、G.C. and Chen、H.Y.、「Anti−oxidant Activity of Various Tea Extracts in Relation to their Antimutagenicity」、J.Agric.Food Chem.、1995年、第43巻、P.27−32。
【非特許文献9】西岡五夫、「茶のポリフェノール」、茶の科学、朝倉書店、1997年9月、P.115−123。
【非特許文献10】橋本文雄、「各種茶のポリフェノールに関する化学的研究」、博士論文、1988年2月、P.1−222。
【非特許文献11】Hashimoto、F.、他2名、「Tannins and Related Compounds.LVI.Isolation of four New Acylated Flavan−3−ols from Oolong Tea.(I)」、Chem.Pharm.Bull.、1987年、第35巻、P.611−616。
【非特許文献12】Hashimoto、F.、他2名、「Tannins and Related Compounds.LXIX.Isolation and Structure Elucidation of B,B'−linked Bisflavanoids, Theasinensins D−G and Oolongthanin from Oolong Tea (2)」、Chem.Pharm.Bull.、1988年、第36巻、P.1676−1684。
【非特許文献13】Hashimoto、F.、他2名、「Tannins and Related Compounds.LXXVII.Novel Chalcan−flavan Dimers, Assamicains A, B andC, and a New Flavan−3−ol and Proanthocyanidins from the Fresh Leaves of Camellia sinensis L. var. assamica Kitamura」、Chem.Pharm.Bull.、1989年、第37巻、P.77−85。
【非特許文献14】Hashimoto、F.、他2名、「Tannins and Related Compounds.XC.8−C−Ascorbyl (−)−Epigallocatechin 3−O−gallate and Novel Dimeric Flavan−3−ols, Oolonghomobisflavans A and B, from Oolong Tea(3)」、Chem.Pharm.Bull.、1989年、第37巻、P.3255−3263。
【非特許文献15】Hashimoto、F.、他2名、「Tannins and Related Compounds.CXIV.Structures of Novel Fermentation Products, Theogallinin, Theaflavonin and Desgalloyl Theaflavonin from Black Tea, and Changes of Tea Polyphenols during Fermentation」、Chem.Pharm.Bull.、1992年、第40巻、P.1383−1389。
【非特許文献16】Saeki、K.、他3名、「Importance of a Pyrogallol−type Structure in Catechin Compounds for Apoptosis−Inducing Activity」、Phytochemistry、2000年、第53巻、P.391−394。
【非特許文献17】Pan、M.−H.、他5名、「Induction of Apoptosis by the Oolong Cytochrome c Release and Activation of Caspase−9 and Caspase−3 in Human U937 Cells」、J.Agric.Food Chem.、2000年、第48巻、P.6337−6346。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、ポリフェノール誘導体の癌細胞増殖を抑制する分子機構が、その細胞を自死に至らしめたかどうかについては不明であることから、日常的に飲茶として摂取しているポリフェノール類を医薬品、または健康補助食品として実用化することに問題点がある。また、特許文献1及び特許文献2に記載のある、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤としての効果・効能についても、臨床的有用性は明らかにされておらず、実用化には至っていない。さらに、正常細胞には安全で癌細胞に対してアポトーシスを誘導する医薬品の供給が必要であるなどの問題点がある。
【0018】
本発明は、緑茶、烏龍茶、紅茶から抽出されたポリフェノール誘導体並びにその合成したポリフェノール誘導体が癌細胞に対してアポトーシスを誘導することを明らかにした上で、緑茶、烏龍茶、紅茶から抽出されたポリフェノール誘導体並びにそれらを合成したポリフェノール誘導体を新規な医薬品および健康補助食品として提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、紅茶から抽出されたポリフェノール誘導体並びにその合成したポリフェノール誘導体のヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対するアポトーシス誘導を調べた結果、プロデルフィニジンB−2(prodelphinidin B−2)が濃度依存的および経時的にアポトーシスを誘導することと併せて、ポリフェノール(polyphenol)類も同様にHL−60細胞、LoVo細胞に対してアポトーシスを誘導すること、癌細胞に対してアポトーシスを誘導できることを見出した。より詳しくは、
【0020】
プロデルフィニジンB−2(prodelphinidin B−2)がHL−60細胞に対してカスパーゼ8を活性化し、カスパーゼ8の直接作用によりカスパーゼ3を活性化し、引き続いてDNAが断片化され、アポトーシスが誘導されることを見出した。また、カスパーゼ9も活性化されることを見出した。この細胞死機序は、HL−60細胞内の活性酸素の増加を伴いアポトーシスを誘導することを見出し、本発明を完成した。
【0021】
本発明のApoptosis誘導剤は、ポリフェノール誘導体を有効成分として含有する。このポリフェノール誘導体とは、緑茶、烏龍茶、紅茶から抽出、単離、精製されたポリフェノール類、例えば、(−)−エピガロカテキン(epigallocatechin)(1)、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate)(2)、(−)−エピガロカテキン−3、5−ジ−O−ガレート(epigallocatechin 3、5−di−O−gallate)(3)、(+)−ガロカテキン(gallocatechin)(4)、8−C−アスコルビルエピガロカテキン(8−C−ascorbyl epigallocatechin)(5)、プロデルフィニジンB−2(prodelphinidin B−2)(6)、プロデルフィニジンB−2 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3'−O−gallate)(7)、プロデルフィニジンB−2 3、3'−ジ−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3、3'−di−O−gallate)(8)、(−)−エピガロカテキン (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(9)、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(10)、プロシアニジンB−4(procyanidinB−4)(11)、(+)−ガロカテキン (4α−8) (−)−エピカテキン(gallocatechin (4α−8) epicatechin)(12)、(+)−カテキン (4α−8) (−)−エピガロカテキン(catechin (4α−8) epigallocatechin)(13)、プロデルフィニジンB−4(prodelphinidin B−4)(14)、プロデルフィニジンB−4 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−4 3'−O−gallate)(15)、ウーロンホモビスフラバンA(oolonghomobisflavan A)(16)、モノデスガロイルウーロンホモビスフラバンA(monodesgalloyl oolonghomobisflavan A)(17)、アッサミカインA(assamicain A)(18)、アッサミカインB(assamicain B)(19)、テアシネンシンA(theasinensin A)(20)、テアシネンシンB(theasinensin B)(21)、テアシネンシンC(theasinensin C)(22)、テアシネンシンD(theasinensin D)(23)、テアシネンシンE(theasinensin E)(24)、ストリクティニン(strictinin)(25)、没食子酸(gallic acid)(26)であり、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo)の癌細胞、癌細胞、または抗癌剤耐性細胞などの疾患細胞に対してアポトーシスを誘導することのできる化合物である。
ポリフェノール誘導体(化合物(1)〜(24))は、一般式(I)で示す(式中R〜Rは表1〜表6にそれぞれ対応する化学式を示す)。表1には、単量体ポリフェノール類、表2には、プロアントシアニジン類(proanthocyanidin)、表3には、プロアントシアニジン類(proanthocyanidin)、表4には、ウーロンホモビスフラバン、表5には、アッサミカイン類(assamicain)、表6には、テアシネンシン類(theasinensin)を示す。化2にストリクティニン(strictinin)(25)を示す。化3に没食子酸(gallic acid)(26)を示す。
【0022】
【化1】



【0023】
【表1】



【0024】
【表2】



【0025】
【表3】



【0026】
【表4】



【0027】
【表5】



【0028】
【表6】



【0029】
【化2】



【0030】
【化3】



【0031】
本発明のアポトーシス誘導剤とは、ポリフェノール誘導体を有効成分として含有する。
【0032】
本発明のアポトーシス誘導剤には、ポリフェノール誘導体が、(−)−エピガロカテキン(epigallocatechin)(1)、(−)−エピガロカテキン−3、5−ジ−O−ガレート(epigallocatechin 3、5−di−O−gallate)(3)、(+)−ガロカテキン(gallocatechin)(4)、8−C−アスコルビルエピガロカテキン(8−C−ascorbyl epigallocatechin)(5)、プロデルフィニジンB−2(prodelphinidin B−2)(6)、プロデルフィニジンB−2 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3'−O−gallate)(7)、プロデルフィニジンB−2 3、3'−ジ−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3、3'−di−O−gallate)(8)、(−)−エピガロカテキン (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(9)、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(10)、プロシアニジンB−4(procyanidinB−4)(11)、(+)−ガロカテキン (4α−8) (−)−エピカテキン(gallocatechin (4α−8) epicatechin)(12)、(+)−カテキン (4α−8) (−)−エピガロカテキン(catechin (4α−8) epigallocatechin)(13)、プロデルフィニジンB−4(prodelphinidin B−4)(14)、プロデルフィニジンB−4 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−4 3'−O−gallate)(15)、ウーロンホモビスフラバンA(oolonghomobisflavan A)(16)、モノデスガロイルウーロンホモビスフラバンA(monodesgalloyl oolonghomobisflavan A)(17)、アッサミカインA(assamicain A)(18)、アッサミカインB(assamicain B)(19)、テアシネンシンB(theasinensin B)(21)、テアシネンシンC(theasinensin C)(22)、テアシネンシンD(theasinensin D)(23)、テアシネンシンE(theasinensin E)(24)、ストリクティニン(strictinin)(25)、没食子酸(gallic acid)(26)、が含まれる。また、これらのポリフェノール誘導体は緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、癌疾患細胞に対するものである。
【0033】
本発明のアポトーシス誘導剤には、ポリフェノール誘導体が、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate)(2)、テアシネンシンA(theasinensin A)(20)、が含まれる。また、これらのポリフェノール誘導体は緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、癌疾患細胞(U937のリンパ球癌細胞を除く)に対するものである。
【0034】
本発明のアポトーシス誘導剤は、ポリフェノール誘導体が緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo)に対するものである。本発明のアポトーシス誘導剤は、胃癌、肺癌、すい臓癌、腎臓癌、大腸癌、血液癌などの癌疾患細胞に対するものである。
【0035】
本発明のアポトーシス誘導剤は、ポリフェノール誘導体が合成されたものであって、癌疾患細胞に対するものである。また、ポリフェノール誘導体が合成されたものであって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対するものである。
【発明の効果】
【0036】
ポリフェノール誘導体の癌細胞増殖を抑制する分子機構が、その細胞を自死に至らしめたかどうかについて明らかにした。日常的に飲茶として摂取しているポリフェノール類を医薬品、または健康補助食品として実用化できる。
本発明は、緑茶、烏龍茶、紅茶から抽出されたポリフェノール誘導体が癌細胞に対してアポトーシスを誘導することを明らかにした上で、緑茶、烏龍茶、紅茶から抽出されたポリフェノール誘導体を新規な医薬品および健康補助食品として提供できる。
本発明によって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対する優れたアポトーシス誘導剤として、ポリフェノール誘導体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本発明において、例えば、紅茶の茶葉から、水、低級アルコール、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いてテアフラビン類を抽出することができる。また、紅茶など市販茶葉中のテアフラビン類は0.7〜1.5%含まれている(非特許文献3)。
本発明のポリフェノール(polyphenol)類を、文献記載の方法を用いて単離した(非特許文献10)。
また、テアシネンシン類、ウーロンホモビスフラバン(oolonghomobisflavan)類を合成した。
【実施例1】
【0038】
[ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)の調整]
RMPI1640(10%FBS+)倍地の作成:
RMPI1640を2.04g秤取し、蒸留水にて全量を200mlとし、攪拌して溶解した後、溶液をオートクレーブで滅菌した(121℃、20分)。冷後、これに、10%炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を4ml、FBS(予め非動化したもの)を20ml、抗生物質溶液(ペニシリン・ストレプトマイシン)2mlを加え、4℃で保存した。
【0039】
HL−60細胞の融解と増殖:
予め−80℃で凍結させておいたHL−60細胞を37℃で溶解し、予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)倍地5mlに混入し、よく混合した。培地を、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上澄みを除去した。これにRMPI1640(10%FBS+)倍地1mlを加え、軽く攪拌し、さらにRMPI1640(10%FBS+)培地5mlを加え、混合した後、遠心分離(1200rpm、5分間)を行い、上澄みを除去した。これにRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、さらにRMPI1640(10%FBS+)培地5mlを加え、混合した後、シャーレ(6cm)に培地を流し込み、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件で、インキュベーターでHL−60細胞を培養した。
【0040】
HL−60細胞の継代:
培養し、増殖されたHL−60細胞を15mlチューブで回収し、丁寧に拡販した後、その少量を血球計算盤に採取し、細胞数をカウントした。15mlチューブで回収したHL−60細胞を、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上澄みを除去した。これに予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、先の細胞数を計算した値から、倍地中の細胞の濃度が2x10cells/6mlとなるように、RMPI1640(10%FBS+)培地で濃度を調整した。調整した培地を、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件で、インキュベーターで培養し、HL−60細胞を継代した。
【0041】
HL−60細胞の保存:
継代されたHL−60細胞を15mlチューブで回収し、丁寧に拡販した後、その少量を血球計算盤に採取し、細胞数をカウントした。15mlチューブで回収したHL−60細胞を、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上澄みを除去した。これに予め37℃で保温したRMPI1640(10%FBS+)培地1mlを加え、軽く攪拌し、先の細胞数を計算した値から、倍地中の細胞の濃度が2x10cells/1mlとなるように、RMPI1640(10%FBS+)培地を80%、FBSを10%、ジメチルスルフォキシド(DMSO)を10%の組成を有する培地で、濃度を調整した。これをセラムチューブに1mlずつ分注し、−20℃で一夜保存後、翌日より−80℃にて保存した。
【実施例2】
【0042】
[エムエムティ・アッセイ(MTT assay);HL−60細胞の50%生存率の検定方法]
本法は、文献記載の方法を参考にした(Mosmann、T.:J.Immunol.Methods、65:55−63、1983)。2x10cells/1mlのRMPI1640(10%FBS+)培地で継代したHL−60細胞を、平底の1 plate 96 wellの1 wellあたり2x10cells/100μlのHL−60細胞数になるように培地でRMPI1640(10%FBS+)培地で希釈し、2x10cells/100μlのHL−60細胞を各wellへ分注した。これを5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件で、インキュベーターで24時間培養した。
【0043】
培養後各wellに、各ポリフェノール誘導体の濃度が0、25、50、75、100、125μMの濃度になるように、また、各wellの培地量が全量で30μlとなるように添加した。添加後、プレート毎に規定した時間について、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで培養した。
【0044】
培養後、各wellにMTT溶液(3-(4,5−ジメチルチアゾ−2−イル)−2,5−ジフェニル テトラゾリウム ブロミド;3-(4,5−dimethylthiazo−2−yl)−2,5−diphenyl tetrazolium bromide、MTT、の150mgをPBSの30mlに溶解したもの)を10μlずつ分注した。プレート毎に4時間、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで培養した。培養終了後、各wellに0.04N HCl−イソプロパノール(isopropanol)溶液を100μlずつ分注した。室温で10分間放置した後、マイクロプレートリーダーのマルチラベルカウンター(595nm)で吸光度を測定した。細胞生存率(%)として、ポリフェノールを添加していない(コントロール細胞の)吸光度から各ポリフェノールを添加した細胞の吸光度を引いたものを、コントロール細胞の吸光度で割った値に100を乗じて算出した。
【実施例3】
【0045】
[HL−60細胞に対するアポトーシスの誘導方法]
HL−60細胞の継代と各ポリフェノール誘導体の添加:
RMPI1640(10%FBS+)培地中のHL−60細胞の濃度が1x10cells/1mlの濃度で継代された培養細胞液1mlとRMPI1640(10%FBS+)培地2mlをシャーレ中で混合し(これを3ml細胞液という)、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで24時間培養した。これに各ポリフェノール誘導体を倍地中の濃度が0、25、50、75、100、125μMとなるように添加し、規定時間について、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで培養した。
【0046】
アポトーシス誘導後のHL−60細胞からの核DNAの回収:
各ポリフェノール誘導体で規定時間処理した後、培地から細胞液を15mlチューブに回収した。15mlチューブで回収したHL−60細胞を、遠心分離(2000rpm、8分間)した後、上澄みを除去した。これに、予め氷冷しておいた滅菌PBS溶液1mlを加え、HL−60細胞を懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに分注して遠心分離(2000rpm、8分間、4℃)を行った後、上澄みを除去した。各1.5mlのエッペンドルフチューブにライシスバッファー(lysis buffer)を20μl加え、よく混和した。次に、各1.5mlのエッペンドルフチューブにRNA分解酵素(RNase、1mg/ml濃度)を5μl加え、よく混和し、水浴で加温(50℃、30分)した。加温後、各1.5mlのエッペンドルフチューブにプロテイン分解酵素K(proteinkinase K、10mg/ml濃度)を40μl加え、よく混和し、水浴で加温(50℃、3時間)し、冷後、-20℃で保存した。
【0047】
電気泳動法によるHL−60細胞の核DNA断片化の観察法:
HL−60細胞のDNA断片化については文献記載の方法で測定した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。各1.5mlのエッペンドルフチューブに保存したHL−60細胞の処理溶液にローディングバッファーを添加し、よく混和後、遠心分離(10000rpm、1分間)を行い、核DNA以外のたんぱく質を沈殿、除去した。予め電気泳動槽内にタエバッファー(TAE buffer)を満たしたアガロースゲルの各レーンに、遠心分離して除タンパクした核DNAを含む上澄み溶液を分注し、100Vで泳動を開始した。電気泳動後、アガロースゲルを取り出し、シーソー上で揺らしながらエチジウムブロミドで15分間染色する。染色した後、紫外線(UV、UVトランスイルーミネーター)照射により、DNAの断片の様子を観察した。
【実施例4】
【0048】
[抗酸化剤を用いたHL−60細胞の核DNA断片化の阻害実験]
方法は前記したHL−60細胞に対するアポトーシスの誘導方法と同様である。各ポリフェノール誘導体の添加の1時間前に抗酸化剤を添加し、電気泳動法によるHL−60細胞の核DNA断片化を観察した。添加した酸化剤は、3種類であった。抗酸化剤であるN−アセチル−L−システイン(N−acetyl−L−cystein、NAC)の1M溶液を3ml細胞液に15μl添加した。抗酸化剤であるカタラーゼ(Catalase、CAT)の100U/μl溶液を3ml細胞液に3μl添加した。抗酸化剤であるアスコルビン酸(Ascorbic acid、AA)の40mM溶液を3ml細胞液に4.5μl添加した。
【実施例5】
【0049】
[HL−60細胞が産生する特異タンパク質の検出]
HL−60細胞の継代と各ポリフェノール誘導体の添加:
HL−60細胞が産生する特異タンパク質の検出については文献記載の方法で測定した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。RMPI1640(10%FBS+)培地中のHL−60細胞の濃度が2x10cells/6mlの濃度で継代された培養細胞液6ml(以下、6ml細胞液という)をシャーレに注入し、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで24時間培養した。これに各ポリフェノール誘導体を倍地中の濃度が0、25、50、75、100、125μMとなるように添加し、規定時間について、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで培養した。
【0050】
HL−60細胞由来のタンパク質の回収:
各ポリフェノール誘導体で規定時間処理した後、培地から細胞液を50mlチューブに回収した。50mlチューブで回収したHL−60細胞を、遠心分離(2000rpm、8分間)した後、上澄みを除去した。これに、予め氷冷しておいた滅菌PBS溶液1mlを加え、HL−60細胞を懸濁し、1.5mlのエッペンドルフチューブに分注して遠心分離(2000rpm、5分間、4℃)を行った後、上澄みを除去した。これに懸濁バッファー溶液(suspension buffer)を80μl加え、超音波洗浄装置にてよく懸濁した。これにSDS溶液(50%SDSを0.3ml、200μM DTTを120μl、蒸留水を180μl混合した溶液)を80μl加え、よく攪拌し、1.5mlのエッペンドルフチューブの蓋をよく閉めたまま、加熱(100℃、5分間)した。冷後、1.5mlのエッペンドルフチューブごと−80℃で保存した。
【0051】
ウェスタンブロッティング:
予め電気泳動槽内にランニングバッファー(running buffer)を満たしたランニングゲル(running gel)の各レーンに、1.5mlのエッペンドルフチューブごと−80℃で保存し、解凍した溶液を分注し、100V(10〜20mA)で泳動を開始した。電気泳動後、ランニングゲルを取り出し、目的としたタンパク質が泳動されたランニングゲルをカッターで切り出した。トランスファー装置にろ紙を3枚重ね、この上に切り出したランニングゲルを静置し、さらにこの上に、メンブラン、ろ紙を3枚重ね、蓋をした後、電流を流した(メンブラン面積x2mAの電流で2時間)。トランスファーの終了後、シーソー上で軽く揺らしながらメンブランをTBS(25ml)に5分間浸漬し、次に、固定バッファー溶液(blocking buffer)の30mlに浸漬し(2時間)、タンパク質を固定化する。予め一次抗体を添加した一次抗体希釈バッファー溶液(primary antibody dilution buffer)の10mlにタンパク質を固定化したメンブランをシーソー上で軽く揺らしながら12時間以上反応した。反応後、TBS−T(30ml)でメンブランを洗浄し(5分間、3回)、予め2次抗体を添加した固定バッファー溶液(blocking buffer)の30mlに浸漬し(1時間)、2次抗体と反応した。反応後、TBS−T(30ml)でメンブランを洗浄し(5分間、3回)、自動化学発光検出装置でオートモニタリングを行い、メンブラン上のタンパク質を検出した。
【実施例6】
【0052】
[抗酸化剤を用いたHL−60細胞の産生する特異タンパク質の活性阻害実験]
方法は前記したHL−60細胞が産生する特異タンパク質の検出と同様である。また、方法は、文献記載の方法で測定した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。各ポリフェノール誘導体の添加の1時間前に抗酸化剤を添加し、HL−60細胞が産生する特異タンパク質の活性阻害をウェスタンブロッティングにより観察した。添加した酸化剤は、3種類であった。抗酸化剤であるN−アセチル−L−システイン(N−acetyl−L−cystein、NAC)の1M溶液を6ml細胞液に30μl添加した。抗酸化剤であるカタラーゼ(Catalase、CAT)の100U/μl溶液を6ml細胞液に6μl添加した。抗酸化剤であるアスコルビン酸(Ascorbic acid、AA)の40mM溶液を6ml細胞液に9μl添加した。
【実施例7】
【0053】
[HL−60細胞内の過酸化水素発生によるアポトーシスの発現実験]
2x10cells/1mlのRMPI1640(10%FBS+)培地で継代したHL−60細胞を、平底の1 plate 48 wellの1 wellあたり2x10cells/400μlのHL−60細胞数になるように培地でRMPI1640(10%FBS+)培地で希釈し、2x10cells/400μlのHL−60細胞を各wellへ分注した。これを5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件で、インキュベーターで24時間培養した。
【0054】
培養後各wellに、各ポリフェノール誘導体の濃度が0、25、50、75、100、125μMの濃度になるように、また、各wellの培地量が全量で30μlとなるように添加した。添加後、プレート毎に規定した時間について、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで15分培養した。
【0055】
培養後、各wellにDCFA−DA溶液(ジクロロフルオレシン−ジアセテート;dichlorofluorecin−diacetate、の1mgをエタノールの413μlに溶解したもの)を1.6μlずつ分注した。プレート毎に30分間、5%二酸化炭素含有大気中37℃の条件下、インキュベーターで培養した。培養終了後、マイクロプレートリーダーで蛍光を測定した(励起波長:485nm、エミッション波長:530nm)。ポリフェノールを添加することによってHL−60細胞で発生する活性酸素量は次のようにして算出した。ポリフェノールを添加した、DCFA−DA溶液を加えたものと加えなかったものの蛍光を引いた値を分子として、ポリフェノールを添加しなかった細胞で、DCFA−DA溶液を加えたものと加えなかったものの蛍光を引いた値を分母として、これらの数値で計算した値を、活性酸素量として算出した。
【実施例8】
【0056】
ポリフェノール誘導体のHL−60細胞のDNA断片化について検討した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。各ポリフェノール誘導体(1)〜(26)を100μM濃度用いて、HL−60細胞を6時間処理し、細胞核からDNAを抽出した。得られたDNAについてアガロースゲル電気泳動を行い、その結果を図1〜図3に示した。
【0057】
化合物11であるプロシアニジンB−4を除く、全てのポリフェノール誘導体によってHL−60細胞のDNAが断片化されたことがわかる。図中Mと記載してあるものはDNAマーカーを示す。図中Cと記載してあるものはコントロールを示す。図1中、ecgは(−)−エピカテキン3−ガレート、ecは(−)−エピカテキン、caは(+)−カテキン、mgは(−)−エピカテキン3−メチルガレートを示し、いずれも茶葉より単離されたものである。図2中、pQと記載されてあるものは3−O−p−クマロイルキナ酸、cafと記載されてあるものはカフェインで、いずれも茶葉より単離されたものである。図3中、triGと記載されてあるものは、1,4,6−トリ−O−ガロイル−β−D−グルコースであり、茶葉より単離されたものである。
【実施例9】
【0058】
プロアントシアニジン誘導体(6)〜(10)(4β−8結合のプロアントシアニジン類)(表2)を、25、50、75、100、125μMの濃度でMTT assayを行い、HL−60細胞に対する細胞増殖の抑制効果を調べた。その結果を表7に示した。表中のIC50は、HL−60細胞生存率に対する50%抑制濃度を示す。
【0059】
【表7】



【0060】
表7から、化合物9の(−)−エピガロカテキン (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレートが最も低いIC50の値を与え、したがって、最も強いHL−60細胞増殖抑制効果を有した。他のプロアントシアニジン誘導体(6)〜(8)、(10)も強い抑制効果を示すことがわかる。
【実施例10】
【0061】
プロアントシアニジン誘導体(11)〜(15)(4α−8結合のプロアントシアニジン類)(表3)を、25、50、75、100、125μMの濃度でMTT assayを行い、HL−60細胞に対する細胞増殖の抑制効果を調べた。その結果を表8に示した。表中のIC50は、HL−60細胞生存率に対する50%抑制濃度を示す。
【0062】
【表8】



【0063】
表8から、化合物14のプロデルフィニジンB−4が最も低いIC50の値を与え、したがって、最も強いHL−60細胞増殖抑制効果を有した。プロシアニジンB−4(11)はHL−60細胞に対する細胞増殖の抑制効果を示さない。他のプロアントシアニジン誘導体(12)、(13)、(15)も強い抑制効果を示すことがわかる。
【0064】
表7と表8の結果から、プロアントシアニジン二量体の化学構造について、上部ユニットが2R、3S構造を有するものが、より強いHL−60細胞増殖の抑制効果を示した。また、上部ユニットのB環はピロガロールタイプであり、下部ユニットのB環はカテコールタイの化学構造を有するものが、より強いHL−60細胞増殖の抑制効果を示した。一方、上部と下部が同一ユニットであるプロアントシアニジンでは、ガロイル基の結合する数が増加するとHL−60細胞増殖の抑制効果が減少することがわかる。
【実施例11】
【0065】
プロアントシアニジン誘導体のHL−60細胞のDNA断片化について検討した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。各プロアントシアニジン誘導体(6)〜(15)を75μM濃度用いて、HL−60細胞を6時間処理し、細胞核からDNAを抽出した。得られたDNAについてアガロースゲル電気泳動を行い、その結果を図4に示した。
【0066】
化合物11であるプロシアニジンB−4を除く、全てのプロアントシアニジン誘導体によってHL−60細胞のDNAが断片化されたことがわかる。中でも、化合物6のプロデルフィニジンB−2と化合物7のプロデルフィニジンB−2 3−O−ガレートは、特に強くHL−60細胞のDNAを断片化した。
【実施例12】
【0067】
プロデルフィニジンB−2(6)によるHL−60細胞のDNA断片化について、アポトーシスを誘導する最適時間と最適濃度を詳しく調べた。プロデルフィニジンB−2(6)を75μMで固定し、HL−60細胞を0、2、4、6、12、18時間処理し、細胞核からDNAを抽出した。一方、プロデルフィニジンB−2(6)を0、25、50、75、100、125μMの濃度でHL−60細胞を6時間処理し、細胞核からDNAを抽出した。各々得られた核由来のDNAについて、アガロースゲル電気泳動を行い、その結果を図5に示した。プロデルフィニジンB−2(6)は、図5の(1)に示すようにHL−60細胞のDNAを4時間以降に断片化を誘導し、その誘導は6時間で最大となった。図5の(2)に示すように濃度が上昇するに伴いDNAを強く断片化し、75μM以上からその誘導は最大となった。この結果から、プロデルフィニジンB−2(6)のアポトーシス誘導能は、図5の時間(1)と濃度(2)に依存した。図中Mと記載してあるものはDNAマーカーを示す。
【実施例13】
【0068】
プロデルフィニジンB−2(6)によるHL−60細胞のカスパーゼ3、ポリADP−リボース ポリメラーゼ(PARP、poly(ADP−ribose)polymerase)、カスパーゼ9、カスパーゼ8の活性について調べた。方法は、文献記載の方法で測定した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。その結果を図6に示す。図6の(1)に示すように、プロデルフィニジンB−2(6)により4時間後、カスパーゼ3が切断され、活性化された。また、図6の(2)および(3)に示すように、PARPおよびカスパーゼ9も同様に4時間後切断され、活性化された。図6の(4)に示すように、カスパーゼ9は2時間後に切断が起こり、活性化された。この結果、プロデルフィニジンB−2(6)は、カスパーゼ8を活性化し、続いてカスパーゼ3を活性化する。また、ミトコンドリアを経由してカスパーゼ9を刺激し、同様にカスパーゼ3を活性化し、DNAが断片化されてアポトーシスを発現することがわかる。
【実施例14】
【0069】
プロデルフィニジンB−2(6)がHL−60細胞内の過酸化水素を発生するかどうかについて、DCFH−DAを用いて調べた。その結果を図4に示した。図7の(1)に示すように、プロデルフィニジンB−2(6)の添加濃度が上がるにつれて、細胞内の相対活性酸素量も増加した。また、図7の2に示すように、プロデルフィニジンB−2(6)の濃度を75μMに固定して経時的変化を観察したところ、細胞内の相対活性酸素量は15分の誘導時間で約11倍量となることがわかる。
【実施例15】
【0070】
プロデルフィニジンB−2(6)によるHL−60細胞のDNA断片化が活性酸素を介して発現するかどうかを確かめるため、N−アセチルシステイン(NAC)、カタラーゼ、およびアスコルビン酸の三つの抗酸化剤を用いて調べた。NACとカタラーゼは、プロデルフィニジンB−2(6)処理の1時間前に培地に添加した。その結果を図8に示す。NAC処理区とカタラーゼ処理区では、プロデルフィニジンB−2によるHL−60細胞のDNA断片化は認められなかった。また、アスコルビン酸処理区では、DNA断片化が認められた。この結果、NACとカタラーゼの抗酸化剤がプロデルフィニジンB−2によるDNA断片化を抑制したことが分かり、結果として、プロデルフィニジンB−2(6)が活性酸素を介してカスパーゼ8を活性化し、HL−60細胞のDNAを断片化したことがわかる。
【実施例16】
【0071】
N−アセチルシステイン(NAC)、カタラーゼ、およびアスコルビン酸の三つの抗酸化剤が、プロデルフィニジンB−2(6)のHL−60細胞内の過酸化水素の発生を阻害するかどうかについて、DCFH−DAを用いて調べた。その結果を図9に示した。NAC処理区とカタラーゼ処理区では、プロデルフィニジンB−2によるHL−60細胞内の過酸化水素の発生を阻害した。また、アスコルビン酸処理区でも、プロデルフィニジンB−2によるHL−60細胞内の過酸化水素の発生を阻害した。この結果、プロデルフィニジンB−2(6)がHL−60細胞内の活性酸素を産生することがわかる。
【実施例17】
【0072】
テアシネンシン誘導体(20)〜(24)(表6)とエピガロカテキン3−O−ガレート(2)を、25、50、100、200μMの濃度でMTT assayを行い、LoVo細胞に対する細胞増殖の抑制効果を調べた。その結果を図10に示した。テアシネンシンE(24)を除く全てのテアシネンシン類にLoVo細胞の増殖を抑制する効果があることがわかる。この結果より、IC50を算出した。その結果を表9に示す。表中のIC50は、LoVo細胞生存率に対する50%抑制濃度を示す。
【0073】
【表9】



【0074】
表8から、化合物20のテアシネンシンAが最も低いIC50の値を与えた。したがって、最も強いLoVo細胞増殖抑制効果を有した。フラバン骨格の3位にガロイル基の結合する数が増すにつれて活性がつよくなることがわかる。
【実施例18】
【0075】
テアシネンシンA(20)によるLoVo細胞のDNA断片化について、アポトーシスを誘導する最適濃度を詳しく調べた。テアシネンシンA(20)を0、25、50、100μMの濃度でLoVo細胞を48時間処理し、細胞核からDNAを抽出した。各々得られた核由来のDNAについて、アガロースゲル電気泳動を行い、その結果を図11に示した。図11に示すように、濃度が上昇するに伴いLoVo細胞のDNAを強く断片化することがわかる。図中Mと記載してあるものはDNAマーカーを示す。図中Cと記載してあるものはコントロールを示す。
【実施例19】
【0076】
テアシネンシンA(20)によるLoVo細胞のポリADP−リボース ポリメラーゼ(PARP、poly(ADP−ribose)polymerase)の活性について調べた。方法は、文献記載の方法で測定した(Hou、D.X.、et.al.:Int.J.Oncol.、23:2003)。その結果を図12に示す。図12に示すように、PARPは48時間後切断され、活性化された。また、テアシネンシンA(20)の濃度が上昇すると強くPARPを活性化することがわかる。
【実施例20】
【0077】
[ウーロンホモビスフラバンA(16)およびモノデスガロイルウーロンホモビスフラバンA(17)の合成]
5gの(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(2)を40mlのエタノールに溶解する。これに、1規定塩酸−エタノール溶液を加える。これを室温下攪拌しながら、4%ホルマリン−エタノール溶液70mlを約1時間かけて滴下する。反応液は直接、デキストランゲル(セファデックスLH−20)のカラムクロマトグラフィーに付し、分画した。各分画はさらにポリスチレンゲル(MCI gel CHP−20P)、オーディーエス(ODS)のカラムクロマトを繰り返し行い、344mgの化合物(16)と188mgの化合物(17)とを合成した。
【実施例21】
【0078】
[テアシネンシンA(20)とテアシネンシンD(23)の合成]
10gの(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(2)を500mlの蒸留水に溶解する。予め、フェリシアン化カリウム(KFe(CN))(6g)と炭酸水素ナトリウム(6g)を100mlの蒸留水に溶解した溶液を、氷冷下攪拌しながら1時間かけて滴下した。反応液は直接、ポリスチレンゲル(MCI gel CHP−20P)に付し、分画した。各分画はさらにデキストランゲル(セファデックスLH−20)、オーディーエス(ODS)のカラムクロマトを繰り返し行い、392mgの化合物(20)と89mgの化合物(23)とを合成した。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例8)
【図2】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例8)
【図3】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例8)
【図4】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例11)
【図5】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例12)(1)DNA断片化の経時的変化(2)DNA断片化の濃度的変化
【図6】ウエスタンブロッティングの図である。(実施例13)(1)カスパーゼ3の活性化PARPの活性化(3)カスパーゼ9の活性化(4)カスパーゼ8の活性化
【図7】相対活性酸素量の図である。(実施例14)(1)活性酸素の濃度的変化(2)活性酸素の経時的変化
【図8】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例15)
【図9】相対活性酸素量の図である。(実施例16)
【図10】LoVo細胞生存率(%)の図である。(実施例17)
【図11】アガロースゲル電気泳動の図である。(実施例18)
【図12】ウエスタンブロッティングの図でPARPの活性化の図である。(実施例19)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノール誘導体を有効成分として含有するアポトーシス誘導剤。
【請求項2】
ポリフェノール誘導体が、(−)−エピガロカテキン(epigallocatechin)(1)、(−)−エピガロカテキン−3、5−ジ−O−ガレート(epigallocatechin 3、5−di−O−gallate)(3)、(+)−ガロカテキン(gallocatechin)(4)、8−C−アスコルビルエピガロカテキン(8−C−ascorbyl epigallocatechin)(5)、プロデルフィニジンB−2(prodelphinidin B−2)(6)、プロデルフィニジンB−2 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3'−O−gallate)(7)、プロデルフィニジンB−2 3、3'−ジ−O−ガレート(prodelphinidin B−2 3、3'−di−O−gallate)(8)、(−)−エピガロカテキン (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(9)、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート (4β−8) (−)−エピカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate(4β−8)epicatechin−3−O−gallate)(10)、プロシアニジンB−4(procyanidinB−4)(11)、(+)−ガロカテキン (4α−8) (−)−エピカテキン(gallocatechin (4α−8) epicatechin)(12)、(+)−カテキン (4α−8) (−)−エピガロカテキン(catechin (4α−8) epigallocatechin)(13)、プロデルフィニジンB−4(prodelphinidin B−4)(14)、プロデルフィニジンB−4 3'−O−ガレート(prodelphinidin B−4 3'−O−gallate)(15)、ウーロンホモビスフラバンA(oolonghomobisflavan A)(16)、モノデスガロイルウーロンホモビスフラバンA(monodesgalloyl oolonghomobisflavan A)(17)、アッサミカインA(assamicain A)(18)、アッサミカインB(assamicain B)(19)、テアシネンシンB(theasinensin B)(21)、テアシネンシンC(theasinensin C)(22)、テアシネンシンD(theasinensin D)(23)、テアシネンシンE(theasinensin E)(24)、ストリクティニン(strictinin)(25)、没食子酸(gallic acid)(26)、である請求項1記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項3】
前記したポリフェノール誘導体が緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、癌疾患細胞に対する請求項1または請求項2に記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項4】
ポリフェノール誘導体が、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(epigallocatechin−3−O−gallate)(2)、テアシネンシンA(theasinensin A)(20)、である請求項1記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項5】
前記したポリフェノール誘導体が緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、癌疾患細胞(U937のリンパ球癌細胞を除く)に対する請求項1または請求項4記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項6】
ポリフェノール誘導体が緑茶、ウーロン茶、紅茶などのいわゆる茶葉から抽出されたものであって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo)に対する請求項1〜請求項5のいずれかに記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項7】
癌疾患細胞が、胃癌、肺癌、すい臓癌、腎臓癌、大腸癌、血液癌である請求項1〜請求項6のいずれかに記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項8】
ポリフェノール誘導体が合成されたものであって、癌疾患細胞に対する請求項1〜請求項7のいずれかに記載のアポトーシス誘導剤。
【請求項9】
ポリフェノール誘導体が合成されたものであって、ヒト急性前骨髄性白血病疾患細胞(HL−60細胞)、ヒト大腸癌細胞(LoVo細胞)に対する請求項1〜請求項8のいずれかに記載のアポトーシス誘導剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2005−75790(P2005−75790A)
【公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−309580(P2003−309580)
【出願日】平成15年9月2日(2003.9.2)
【出願人】(302068210)
【出願人】(502096004)
【出願人】(500527487)
【出願人】(302068209)
【Fターム(参考)】