説明

CBL’受容体モジュレーターとしての1,5−ジフェニル−3−ピリジニルアミノ−1,5−ジヒドロピロリジン−2−オン

逆アゴニスト機構を経たCB受容体の抑制による、次式で表される化合物及び医薬組成物は、哺乳動物の体重の減少、統合失調症を伴う認知障害、抗精神病薬による治療の間に観察され治療において発現する体重増加の緩和に有用であり、またバイオアベイラビリティを増加させる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、2006年10月23日に出願の米国仮特許出願第60/862540号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、CB化合物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
CB受容体ファミリーは中枢神経系及び末梢神経系に主に存在し、幾つかの末梢器官においても若干存在する。CB受容体は主に免疫系に存在する。カンナビノイド受容体リガンドについての薬理学的可能性及び治療可能性が、幾つかの文献において概説されている(非特許文献1乃至4:Exp.Opin.Ther.Patents 1998,8,301−313、Ann.Rep.Med.Chem.,A.Doherty,Ed.、Academic Press,NY 1999,Vol.34,199−208、Exp.Opin.Ther.2000,10,1529−1538、Trends in Pharma.Sci.2000,21,218−224)。CB受容体アゴニストは、摂食刺激、鎮吐作用(anemetic properties)、無痛覚症、緑内障における眼圧低下、多発性硬化症における筋攣縮の軽減に関与しうることが知られている。逆に、CB受容体アンタゴニストは、肥満症のモデル動物における、摂食及び体重の低下に有効であることが示されている。しかしながら、CB受容体活性を調節するほとんどの化合物は、基礎CB受容体シグナル伝達を低下させ、CBアゴニスト依存性の受容体刺激を阻害する活性を低下させる逆作動の薬力学的特性を有している。
【0004】
選択的で中枢作用活性を有する多くのCB受容体化合物が、現在肥満治療用に開発過程にある。それにもかかわらず、生体内効力が増強され、低分子量であり、かつ有害事象を最小限に抑えながら治療効果を提供する、薬物動態学的及び薬理特性を有するCB受容体化合物に対する要求が依然として存在する。例えば特許文献1:国際公開第2007/020502号を参照のこと。
【0005】
本能的な強い要求(appentency)の障害に加えて、CB逆アゴニストは、試験において抗精神病薬の活性を更に高めることが示されている。現在の抗精神病療法は、陽性症状を抑えるすることには多少は有効であるが、かかる療法は、多くの患者が普通の生活を送ることが出来ないようにする陰性症状及び認知的症状の治療に対しては有効ではない。多くの証拠を総合すると、特定の脳の部位、特に海馬領域、線条体領域、皮質領域において神経細胞活性化を促進する薬物は、陰性症状及び認知的症状の治療に効果的であることを示唆している。更に、CB受容体化合物による体重減少効果は、抗精神病薬投与に起因する体重増加モデル動物において実証されており、それゆえ治療により発現した体重増加および現在の抗精神病療法でみられるメタボリックシンドロームを制御する上でも有効であると考えられる。
【0006】
更に、CB受容体化合物は飲酒モデル動物においてアルコール消費を減少させることが示されており、それゆえ薬物乱用の治療においても有用と考えられる。
【0007】
経口投与は好ましい薬物送達経路であるが、多くのCB受容体化合物は、水性溶媒への限られた溶解度および代謝不安定性の結果として、経口バイオアベイラビリティが低いという問題を有している。内在性カンナビノイドリガンド、及びCB受容体中のそれらが結合する相補的部位が高い親油性を有するため、公知のCB受容体化合物もまた親油性が高い。この高い親油性のために水性溶媒への溶解性は低く、ゆえに経口吸収性及びバイオアベイラビリティが制限される。例えば特許文献1:国際公開第2007/020502号を参照のこと。
【0008】
更に、肝臓で迅速に代謝される化合物は、小腸からの吸収後および全身を循環する前に代謝変換を受けることが考えられる。このプロセスの間、反応性の代謝中間体が生成されることが考えられるため、続いて体内の他の求核剤(タンパク質、DNA、RNAなど)と反応することも考えられる。これにより、毒性の問題が生じ得る。このいわゆる「初回通過効果」もまた、薬物のバイオアベイラビリティを制限することとなる。例えば特許文献1:国際公開第2007/020502号を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2007/020502号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Exp.Opin.Ther.Patents 1998,8,301−313
【非特許文献2】Ann.Rep.Med.Chem.,A.Doherty編集;Academic Press,NY 1999,第34巻,199−208
【非特許文献3】Exp.Opin.Ther.2000,10,1529−1538
【非特許文献4】Trends in Pharma.Sci.2000,21,218−224
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
結論として、良好なバイオアベイラビリティを有し、高い生体内効力を有し、CBよりも選択性が高く、これまでの分子よりも容易に溶解し、かつ後に毒性の問題となりうる反応性代謝産物を生成させないCB受容体化合物に対する要望がある。本発明はこの要望を充足するものであり、またそれに関連する利点をも提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、式(I)の化合物
【化1】

又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関するものである。
【0013】
本発明は更に、式(Ia)の化合物
【化2】

又はその薬理学的に許容できる塩の提供に関するものである。
【0014】
本発明は、式(II)の化合物の中間物の提供に関するものである。
【化3】

【0015】
本発明は、式(I)又は(Ia)のいずれかの化合物、並びにその薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤を含んでなる医薬組成物の提供に関するものである。
【0016】
他の実施形態では、本発明は式(Ia)の化合物が90%ee超の光学純度において存在することを特徴とする医薬組成物の提供に関するものである。
【0017】
更に他の実施態様(医薬組成物)では、詳細には、式(Ia)の化合物が95%ee超の光学純度において存在する。
【0018】
本発明の実施態様は、式(I)又は(Ia)のいずれか1つの治療用の化合物の提供に関するものである。
【0019】
本発明は、過剰摂食と関連した摂食障害、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認識機能障害、薬物乱用又はアルコール依存、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される、治療により発現した体重増加から選択される障害の治療に用いられる、式(I)又は(Ia)のいずれか1つの化合物を提供するものである。
【0020】
本発明は、過剰摂食と関連した摂食障害、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認識機能障害、薬物乱用又はアルコール依存、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される、治療により発現した体重増加から選択される障害の治療用薬剤の製造における式(I)又は(Ia)のいずれか1つの化合物の使用を提供するものである。
【0021】
本発明の一実施形態は、逆作動機構を介したCB受容体の阻止によって治療可能である、哺乳動物の症状の治療方法の提供するもので、当該方法は、式(I)若しくは(Ia)のいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の有効量を患者に投与するステップを有してなる。
【0022】
本発明の一実施形態は、哺乳動物の症状の治療方法の提供に関し、当該方法は、式(I)若しくは(Ia)のいずれかの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の有効量を抗精神病薬と同時、個別又は連続的組合せにより投与するステップを含んでなる。
【0023】
本発明の一実施形態は、前記症状が過剰摂食と関連した摂食障害である前記方法の提供に関するものである。
【0024】
本発明の一実施形態は、前記症状が肥満症である前記方法の提供に関するものである。
【0025】
本発明の一実施形態は、前記症状が統合失調症である前記方法の提供に関するものである。
【0026】
本発明の一実施形態は、前記症状が統合失調症を伴う認識機能障害である前記方法の提供に関するものである。
【0027】
本発明の一実施形態は、前記症状が薬物乱用又はアルコール依存症である前記方法の提供に関するものである。
【0028】
本発明の一実施形態は、前記症状が禁煙である前記方法の提供に関するものである。
【0029】
本発明の一実施形態は、前記症状が禁煙中に観察される、治療により発現した体重増加である前記方法の提供に関するものである。
【0030】
本発明の一実施形態は、体重増加、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存症、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加から選択される障害の治療における、抗精神病薬と同時、個別又は連続的組合せによる使用のための、式(I)又は(Ia)のいずれかの1つの化合物の提供に関するものである。
【0031】
更に別の実施形態では、本発明は、体重増加、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存症、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加から選択される障害の併用療法に用いられる薬剤の製造で使用される、式(I)又は(Ia)のいずれか1つの化合物の提供に関するもので、前記薬剤は、抗精神病薬と同時、個別又は連続的組合せにおいて投与されるものである。
【0032】
本発明は、逆作動機構を介したCB受容体の阻止によって治療可能な哺乳動物の症状の、抗精神病薬との同時、個別又は連続的組合せによる治療方法の提供に関するもので、当該方法は、式(I)若しくは(Ia)のいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の有効量を患者に投与するステップを有してなる。
【0033】
本発明のは、哺乳動物の症状の治療方法の提供に関し、当該方法は、式(I)若しくは(Ia)のいずれか1つの化合物又はその薬理学的に許容できる塩の有効量を投与するステップを含んでなる。
【0034】
本発明の一実施形態は、前記症状が統合失調症である前記方法を提供するものである。
【0035】
本発明の一実施形態は、前記症状が体重増加である前記方法を提供するものである。
【0036】
本発明の一実施形態は、前記症状が肥満症である前記方法を提供するものである。
【0037】
本発明の一実施形態は、前記症状が統合失調症を伴う認識機能障害である前記方法を提供するものである。
【0038】
本発明の一実施形態は、前記症状が薬剤乱用又はアルコール依存症である前記方法を提供するものである。
【0039】
本発明の一実施形態は、前記症状が禁煙である前記方法の提供に関するものである。
【0040】
本発明の一実施形態は、前記症状が非定型抗精神病薬による治療の間に観察される、治療により発現する体重増加である前記方法を提供するものである。
【0041】
式(I)の化合物は不斉中心を含み、それによりジアステレオマー混合物、ラセミ混合物、単一の鏡像体及び式Iaの化合物といった個々のジアステレオマーとして得られる。式(I)の化合物のかかる異性体は全て本発明の態様として包含される。
【0042】
ラセミ体における式(I)の化合物は有用な物質であるが、一方の胸像体が濃縮した式(I)の化合物を投与するのが一般には好ましい。本発明の好ましい態様は、実質的に純粋な鏡像体である式(Ia)の化合物を提供するものである。そのようなものとして、以下の特定の種類の式(I)及び(Ia)の各化合物が本発明の態様として包含される。
(a)鏡像体純度が80%の鏡像体過剰率を超える化合物、
(b)鏡像体純度が90%の鏡像体過剰率を超える化合物、
(c)鏡像体純度が95%の鏡像体過剰率を超える化合物、及び
(d)鏡像体純度が99%の鏡像体過剰率を超える化合物。
【0043】
これらの鏡像異性的に純粋な化合物は、この化合物の鏡像異性体混合物から、式(I)の化合物の所望の鏡像異性体を精製することにより調製できる。式(I)の化合物の所望の鏡像異性体はまた、実質的に鏡像異性的に純粋な前駆体を用いて、下記の一般的図式により合成することにより調製してもよい。当業者であれば、最終化合物又は中間体のいずれの分割によっても、実質的に鏡像異性的に純粋な形態の式(I)の化合物(例えば式(Ia)の化合物)が得られ、最も便利な方法を適宜使用できることをがわかる。
【0044】
実質的に純粋なジアスレテオマーは、当該分野で公知の方法を使用してジアステレオマーの混合物から単離できることもわかる。ジアステレオマーを精製する方法にはクロマトグラフィ及び結晶化法が挙げられる。胸像異性体の混合物は、分割として公知のプロセスによって、個々の実質的に純粋な胸像異性体に分離してもよい。胸像異性体は、キラル固定相を用いたクロマトグラフィによって分割してもよい。適当なキラル固体相としては、Chiralpak AD及びChiracel OJ(Chiral Technologies,Inc.社から市販)などの多糖ベースの固定相が挙げられる。更に、塩基性化合物の鏡像異性体は、キラル酸での処理でジアステレオマー塩の混合物に変換することによって分割してもよい。所望のジアステレオマー塩は、例えば結晶化法によって単離される。実質的に鏡像異性的に純粋な塩基性化合物は、塩基で処理することにより単離してもよい。キラル酸の例としては、(−)−酒石酸、(+)−酒石酸、(−)−マンデル酸、(+)−マンデル酸、(−)−ジトルオイル酒石酸及び(+)−ジトルオイル酒石酸が挙げられる。酸性化合物の胸像異性体は、実質的に鏡像異性的に純粋な塩基を使用して類似したやり方で分割できる。かかる塩基の例としては、R−α−メチルベンジルアミン、S−α−メチルベンジルアミン、及びブルシンが挙げられる。ラセミ混合物の分割する別の方法としては、共有結合を形成する実質的に鏡像異性的に純粋なキラル試薬(本願明細書においてキラル補助基と称される)と反応させることが挙げられる。この反応により当該分野で公知の方法に従って精製されるジアステレオマー混合物が得られる。次いで、キラル補助基の全て又は一部は、実質的に鏡像異性的に純粋な化合物を生成するための分子から切断してもよい。場合によっては、キラル補助基によって導入された不斉中心が最終生成物中に保持されていてもよい。
【0045】
当業者であれば、ある開示された中間体化合物及び式(II)の化合物中の様々な位置に水素が付着してもよいことがわかるし、すなわちそれらが互変異性を有することがわかる。個々の互変異性体並びにそれらの混合物は、本発明の態様として包含される。特定の状況に応じて、各々の形の互変異性体として存在しても、相互に変換しても、互変異性化してもよい。
【0046】
特に定めのない限り、本願明細書において、式(I)又は(Ia)の化合物と称するときは、その薬理学的に許容できる塩も包含されるものとする。
【0047】
後述する本発明の化合物は、制御された条件下での結晶化により調製された、特異的な結晶形として存在してもよいとわかる。
【0048】
式(I)及び(Ia)の化合物は、CB受容体よりもむしろCB受容体に対して選択的である。更に、これらのCB受容体リガンドが、CB受容体機能のアゴニストとして機能し、更には逆アゴニスト特性を有することを示唆することが証明されている。このように、式(I)及び(Ia)の化合物はCB受容体の調節物質であって、そのようなものとしてCB受容体に関連する症状の予防及び治療に有用であると明言できる。かかる症状としては、例えば記憶障害、認識障害、統合失調症の陰性症状、薬物乱用障害(特にアヘン、アルコール及びニコチン)、肥満、代謝異常及び過剰摂食に関連した摂食障害などが挙げられる。DSM−IV−TR.,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders.Revised,4th Ed.,Text Revision(2000)を参照のこと。また、DSM−IV,Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 4th Ed.,(1994)も参照のこと。DSM−IV及びDSM−IV−TRは、Task Force on Nomenclature and Statistics of the American Psychiatric Associationにより作成され、診断カテゴリに関して記載している。当業者であれば、病的な精神状態のための代替的な命名法、疾病分類及び分類体系があり、またこれらのシステムは医療技術の進歩に伴い進化することがわかる。
【0049】
また式(I)又は(Ia)の化合物は体重増加を改善するために使用でき、その際、関連する体重増加を示す対象が、臨床的な意味で肥満であると分類されるか否かは問わない。
【0050】
本発明の治療方法を実施するために、式(I)又は(Ia)の化合物の有効量をかかる治療又は予防を必要とする患者に投与してもよい。本発明の方法による予防的投与の必要性は、周知の危険因子を用いることにより決定される。個々の化合物の有効量は、最終分析で主治医により決定されるが、その決定は、実際に治療する疾患、疾患の重篤度及びその他に患者が罹患する疾患若しくは症状、選択される投与経路、患者が付随的に必要としうる他の薬剤及び治療などの因子、並びに医師が判断材料とする他の要因などにより決定される。式(I)又は(Ia)の化合物の予防用量若しくは治療用量は、当然ながら治療する症状の重篤度の性質、及び特定の式(I)又は(Ia)の化合物、及びその投与経路により異なる。
【0051】
投与は1日1回であってもよく、又は1日の総量を1日2回、3回又は4回に分割して投与してもよい。更に、投与するものとして選択した個々の化合物の性質、及び/又は剤形の特性(すなわち放出調節製剤)に基づいて、例えば週1回、2週に1回、月1回など更に少ない頻度で投与してもよい。投与単位は、投与頻度が少なくなる程大きくなりうる。投与が経皮経路又は継続的な静脈への点滴によるものである場合、当該投与は当然ながら、用法・用量全体にわたり断続的であるよりはむしろ連続的であるのが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0052】
上記のように、また本願明細書の記載全体を通じて、以下の用語は、別段の記載がない限り以下のとおり定義する。
「アゴニスト」とは、受容体の機能的反応を刺激する化合物を指す。
【0053】
「中性アンタゴニスト」とは、受容体の基礎活性を変化させないが、機能的反応を基礎状態の機能的活性に戻すことによって、アゴニスト及び逆アゴニストの機能的活性を抑制する化合物を指す。
【0054】
「逆アゴニスト」とは、受容体の常時活動を逆転させることによって、負の固有活性を有する化合物を指す。逆アゴニストは、アゴニストの活性を逆転させるアンタゴニストとして機能する。
【0055】
「アンタゴニスト」とは、中性アンタゴニストである化合物を指す。
【0056】
「肥満」とは、多量の体脂肪を有する症状のことを指す。ある人が30kg/m以上の肥満度指数(BMI)を有する場合、その人は肥満であると考えられる。BMIが27〜30の人は一般に過剰体重であると考えられる。従来、標準体重の人は19.9〜25.9のBMIである。肥満は、遺伝又は環境などのあらゆる要因に起因すると考えられる。肥満を生じさせる障害又は肥満の原因の例としては、過食、肉体的活動の低下、代謝活性の低下を呈する病状などが挙げられる。
【0057】
「薬理学的に許容できる塩」及び「塩」とは、本発明の化合物の比較的無毒性の、無機及び有機の酸付加塩及び塩基付加塩を指す。例えば、S.M.Bergeらの“Pharmaceutical Salts”J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)を参照のこと。
【0058】
「医薬組成物」及び「組成物」とは、活性成分(薬理学的有効量で存在することが好ましい)と、担体を構成する不活性成分(薬理学的に許容できる賦形剤)とを含んでなる生成物、並びに、任意の2つ以上の上記成分の混合、錯体形成又は凝集により、又は1つ以上の上記成分の解離により、又は1つ以上の上記成分による他の種類の反応又は相互作用により、直接若しくは間接的に生じる任意の生成物が包含を指すものとする。それ故に、本発明の医薬組成物は、式(I)又は(Ia)の化合物と、薬理学的に許容できる賦形剤とを混合することにより生じるあらゆる組成物を包含する。
【0059】
(肥満の)「予防」とは、肥満の症状の発症前に治療を施して、肥満の発症を防止することを指す。更に、既に肥満である対象に処置が開始された場合には、かかる治療により、肥満による医学的続発症(例えば動脈硬化症、2型糖尿病、多嚢胞卵巣、心臓血管疾患、変形性関節症、皮膚科的障害、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、及び胆石症)の予防、又はこれらの進行の抑止がなされることが予想される。
【0060】
本願明細書で使用する「治療する」とは、別段の記載がない限り、かかる用語が係る障害若しくは症状、又はかかる障害若しくは症状の1つ以上の徴候を回復に向かわせる、緩和する、又は進行を阻害することを指す。本願明細書で使用する「治療」の用語は、別段の記載がない限り、その「治療する」について上記に定義するように治療することの行為を指す。
本願明細書で使用する「p.o.」の用語は、特に明記しない限り経口を指す。
本願明細書で使用する「s.c.」の用語は、特に明記しない限り皮下を意味する。
本願明細書で用いられる「Ret.」の用語は、特に明記しない限り保持を意味する。
本願明細書で用いられる「DMSO」の用語は、特に明記しない限りジメチルスルホキシドを意味する。
【0061】
本願明細書において教示される治療用途において、特許請求された化合物の塩は、薬理学的に許容できるものでなければならない。薬理学的に許容できる塩に関する詳細については、Pharmaceutical Science、66、1(1977)ジャーナルを参照のこと。
【実施例】
【0062】
調製例及び実施例:
調製例及び実施例の全体にわたる、HPLC法の条件は、以下のとおりである:
方法A:
LCカラム:Zorbax Eclipse XDB C8 4.6×150mm 5μM。
勾配:20〜90%アセトニトリル(w)/0.01%トリフルオロ酢酸、13.0分。
カラム温度:40℃。
オートサンプラ温度:周囲温度。
流量:2.0mL/分。
シグナルを260nM及び215nMの波長で検出。
【0063】
方法B:
LCカラム:Zorbax SB−フェニル4.6×150mm 5μm。
アイソクラチック:36%のA及び64%のB(A=0.05M NHOAc/水(pH5.0)、及びB=ACN)、10分間。
カラム温度:35℃。
オートサンプラ温度:周囲温度。
流量:2.0mL/分。
シグナルを206nMの波長で検出。
【0064】
方法C:
LCカラム:Zorbax RX−C18 4.6×250mm 5μm。
勾配:50〜90%アセトニトリル(w)/0.03Mリン酸緩衝液(リン酸緩衝液=5.52g NaHPO及びHPO1.4mL/Milli−Q水2L)、15分。
カラム温度:40℃。
オートサンプラ温度:周囲温度。
流量:1.5mL/分。
シグナルを260nMの波長で検出。
【0065】
方法D:
LCカラム:Phenomenex Gemini C18 2.0×50mm 3.0μm。
勾配:5〜100%ACN ACN(w)/0.1%ギ酸、7.0分、更に100%で1.0分間維持。
カラム温度:50℃±10℃。
AS温度:周囲温度。
流量:1.0mL/分。
シグナルを300nmの波長で検出。
MS(m/z):402(M−1)。
【0066】
製剤A:
6−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル
【化4】

「6−(ハロアルキル)−3−ピリジンカルボン酸の調製」という発明の名称のドイツ特許公報に記載の手順により、標題の化合物を調製した。Mueller,Peter.(Bayer A.−G.,Germany).Eur.Pat.Appl.(2003),13pp.欧州特許出願公開第1340747A1、20030903を参照のこと。
H NMR(DMSO−d,500MHz):δ9.19(s,1H),8.53(dd,1H,J=1.5,8.5),8.04(d,1H,J=8),4.38(q,2H,J=7),1.34(t,3H,J=7).
【0067】
製剤B:
2−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−プロパン−2−オール
【化5】

不活性化反応器中に含まれる、工業銘柄6−トリフルオロメチル−ニコチン酸エチルエステル(45.6モル、10.00kg)及びtert−ブチルメチルエーテル(71.6L、53.0kg)を10〜15℃に冷却し、3M塩化メチルマグネシウム(136.8モル、45.6L、46.2kg)及びテトラヒドロフラン(76.5L、68.0kg)を含む5〜12℃に冷却された別の不活性化反応槽に、上記溶液を添加した。添加中、穏やかな発熱が観察され、15〜25℃の間で内部反応温度を維持した。HPLCで開始エステルが完全に消費されたことを確認し、反応槽内容物を0〜3℃に冷却した。塩酸(203モル、16.67L、20.0kg)及び水(81.0L、81.0kg)を含む0〜5℃に冷却された別の反応槽に、上記反応器から内容物を徐々に添加し、ガスの発生が観察された。層を分離させ、tert−ブチルメチルエーテル(59.5L、44.0kg)で水層を1回抽出した。有機層を組み合わせ、20%塩化ナトリウム溶液(189.3モル、46.5L、55.3kg)で洗浄した。有機溶液を濾過し、約1倍容となるまで濃縮し、アセトニトリル(31.8L、25.0kg)で希釈した。アセトニトリル中の工業銘柄の油状物(7.9kg、84.4%、HPLCベース)として標題の化合物を供給するため、上記溶液を約1倍容となるまで濃縮した。アセトニトリル中の溶液として、上記粗生成物を更なる精製をせずに使用した。生成物の純粋なサンプルは、以下の手順により得ることができる。
【0068】
精製(任意):
標題の化合物(1.81kg、8.82モル)をメチルt−ブチルエーテル(3L、2.2Kg)、水(500mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)の入った22Lの分液漏斗に満たし、10分間撹拌して明るい黄色の水層を分離し、有機層を22Lのフラスコに移した。硫酸マグネシウム(200g、1.66モル)をフラスコに添加し、10分間撹拌し更に濾過した。濾液を濃縮して油状物とし、標題の化合物を1.64kg(90.6%)の重量の油状物として提供するためアセトニトリル(2×3L)で二回共蒸発させた。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ8.85(d,1H,J=2.5Hz),8.10(dd,1H,J=2.8Hz),7.81(d,1H,J=8Hz),5.42(s,1H),1.47(s,6H)。
【0069】
製剤C:
N−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチル]−アセトアミド
【化6】

アセトニトリル(67.4L、53.0kg)を、2−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−プロパン−2−オール(52モル、12.8kg)を含む反応槽に添加し、0〜5℃に冷却した。0〜15℃に内部反応温度を維持しながら、徐々に濃硫酸(372モル、19.8L、36.5kg)を添加した。溶液を25〜30℃で24時間加熱し、HPLCで反応の完了を観察した。撹拌しながら混合物を0℃に冷却し、水(95.0L、95.0kg)を添加した。アンモニア水(57.5kg)溶液を添加して溶液pHを8.0〜9.0に調整し、tert−ブチルメチルエーテル(81.1L、60.0kg)を添加した。下部の水層を分離し、約3倍容となるまで有機層を濃縮し、−5〜0℃に反応容器の内容物を冷却した。得られた固体を濾取し、一定の重量となるまで真空乾燥し、標題の化合物を純度81.8%の淡黄色の固体として回収した(13.4kg、87.3%、HPLCベース)。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ8.68(d,1H,J=2Hz),8.30(s,1H),7.92(dd,1H,J=2.5,8.5Hz),7.79(d,1H,J=5.8Hz),1.82(s,3H),1.56(s,6H)。
【0070】
製剤D:
1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン
【化7】

窒素雰囲気下で撹拌しながらN−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチル]−アセトアミド(93.5モル、19.1kg)、濃塩酸(805.9モル、66.2L、79.4kg)及び水(79.4L、79.4kg)の混合物を95〜100℃まで24時間加熱した。20〜35℃に反応混合物を冷却し、HPLCで反応の完了を観察した。10〜20℃に反応槽を冷却し、tert−ブチルメチルエーテル(105.4L、78.0kg)を添加した。相分離させ、有機層を除去した。15%の水酸化ナトリウム(910.9モル、205L、242.9kg)を水相に添加し、pHを9.5〜10.5とした。酢酸エチル(3×89mL、3×80.0kg)で水層を抽出し、有機層を混合し、水相を除去した。約2倍容となるまで溶液を濃縮し、tert−ブチルメチルエーテル(174L、129.1kg)を添加し、約2倍容となるまで溶液を濃縮した。反応槽をn−ヘプタン(168L、115.0kg)で希釈して、約2倍容に溶液を濃縮し、更にn−ヘプタン(30L、20.7kg)で希釈した。反応槽内の混合物を0〜5℃に冷却し、0〜5℃で混合物を2時間撹拌した。得られた固体を濾取して35〜45℃の真空下で乾燥させ、純度97.9%の純黄褐色の粉末として標題の化合物(14.19kg、74.3%、HPLCベース)を得た。
【0071】
製剤E:
1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン;トルエン−4−スルホン酸が併存した化合物
【化8】

1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン(280g、1.37モル)を含むメチルt−ブチルエーテル(1.4L)溶液を、p−トルエンスルホン酸一水和物(212.5g、1.23モル)を含むテトラヒドロフラン(980mL)の溶液に添加した。pHが2.0となり、発熱し28℃となった。18℃に冷却し、固体を濾取した。濾過ケーキをメチルt−ブチルエーテル(1.4L)で洗浄した。濾過ケーキを常温で真空乾燥し、標題の化合物408g(79%)を白色固体として回収した。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ8.94(d,1H,J=2.5),8.53(brs,3H),8.2(dd,1H,J=5.5,8),8.02(d,1H,J=8),7.46(d,2H,J=8),7.10(d,2H,J=7.5),2.27(s,3H),1.68(s,6H)。
【0072】
製剤F:
1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン
【化9】

5Lの三つ口フラスコ中で、1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン(トルエン−4−スルホン酸(990g、2.63モル)が併存した化合物)を秤量した。氷浴で冷却して懸濁液を作成するため、メチルt−ブチルエーテル(2.48L)を添加した。5M水酸化ナトリウム(578.64mL、2.89モル)溶液を添加し、pH12.2の二相の混合物を得た。層分離させ、水(125mL)で有機層を抽出した。有機相を除去し、減圧下で濃縮し、残渣(200g)を得た。メチルt−ブチルエーテル(990mL)及びテトラヒドロフラン(1.32L)の混合物で水相を抽出した。有機相を分離し、減圧下で濃縮し、別の残渣(200g)を得た。水相がpH10.1となり、更に5N NaOH(157.8mL、0.789モル)を添加し、pH13とした。ジクロロメタン(1.32L)で水層を抽出した。相分離させ、有機相を濃縮し、第3の残渣を得た。3種のアミン残渣を組み合わせ、混合しながらヘプタン(1l)中で懸濁させ、懸濁液を濃縮し、白い結晶質固体として精製された標題の化合物427g(79.5%)を得た。H NMR(CDCl,500MHz):δ8.91(d,1H,J=2.5),8.05(dd,1H,J=2,8),7.64(d,1H,J=8.5),1.68(brs,2H),1.55(s,6H).
【0073】
製剤G:
1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン塩酸塩
【化10】

アセトン(10mL)中の製剤F(1.0g、4.9mmol)から1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミンを周囲温度で溶解させ、5分間撹拌した。継続して撹拌しながら濃塩酸(12.18N)(0.4mL、4.9mmol)を滴下すると、白色固体が生成した。反応混合物を0℃に冷却し、30分間撹拌を続けた。得られた固体を濾取し、冷アセトン(2mL)で洗浄した。40℃で真空乾燥し、白色固体として標題の化合物(0.73g、62%)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.17(s(br),3H),9.02(d,1H,J=2.4Hz),8.32(dd,1H,J=8.0,2.0Hz),7.97(d,1H,J=8.4Hz),1.71(s,6H)、13C NMR(100MHz,DMSO−d)δ148.0,146.2(q,JCF=34.0Hz),142.4(d,JCF=0.8Hz),136.0,121.9(q,JCF=273Hz),120.8(t,JCF=2.6Hz),54.9,27.5。
【0074】
製剤H:
(±)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン
【化11】

氷酢酸(125mL)中の3−(トリフルオロメトキシ)−ベンズアルデヒド(25.0g、132mmol)及びピルビン酸エチル(15.3g、132mmol)を、周囲温度で10分間撹拌した。継続して撹拌しながら4−(トリフルオロメチル)アニリン(46.7g、290mmol)を15分以上にわたり滴下し、溶液を30℃に加温し、22〜24時間撹拌した。溶液を26℃に冷却し、イソプロピルアルコール(125mL)及び水(125mL)を添加した。溶液を室温で15分間撹拌し、沈殿物を濾取してイソプロピルアルコール:水=1:1の混合溶液(100mL×2)で洗浄した。40℃で真空乾燥し、白色の粉末として標題の化合物(60.46g、84%)を得た。HPLC(方法C)保持時間:10.9分。MS(m/z):545.1(M−1)。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ8.76(s,1H),7.86(d,2H,J=8.5Hz),7.70(d,2H,J=8.5Hz),7.56(d,2H,J=9.0Hz),7.47(d,2H,J=8.5Hz),7.44−7.41(m,1H),7.37(s,1H),7.29(d,1H,J=8.0Hz),7.22(d,1H,J=8.0Hz),6.66(d,1H,J=3.0Hz),6.29(d,1H,J=2.5Hz).
【0075】
製剤I:
(R)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−[(1R)−1−(4−クロロフェニル)−エチルアミノ]−5−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−1,5−ジヒドロピロール−2−オン
【化12】

エタノール(120mL)、氷酢酸(15mL)、水(3.0mL、164.7mmol)、トリフルオロ酢酸(6.2mL、82.4mmol)、(±)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン(30.0g、54.9mmol)及び2,5−ジメトキシ−テトラヒドロフラン(10.7mL、82.4mmol)を混合した。溶液を50℃に加温し、反応混合物を15〜18時間撹拌した。溶液の加熱を停止し、水(35mL)を添加し、反応混合物を−19℃に冷却した。スラリーを濾過し、水:メタノール=1:4の混合溶液(20mL)で固体を洗浄した。濾液を分液漏斗へ移し、6%のブライン(280mL)で洗浄し、有機相に6%ブライン(100mL)、メタノール(40mL)、ジエチルエーテル(100mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液(43mL)を添加した。層を分離させ、メタノール(60mL)を有機相に添加し、(±)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2,3−ジオンを含んでなる、約1倍容の溶液となるまで濃縮した。メタノール(60mL)及び(R)−4−クロロ−α−メチルベンジルアミン(7.8mL、55.0mmol)を添加し、室温で24時間撹拌した。HPLCで反応の完了(方法B)をモニターし、溶液を−7℃に冷却してこの温度で72時間撹拌を続けた。予め混合した水酸化カリウム(0.69g、10.5mmol)を含むメタノール(11mL)の溶液を反応混合物に添加し、溶液を10℃に加温し、更に4時間撹拌した。溶液を−7℃に冷却し、スラリーを濾過して反応生成物をメタノール(5mL×3)で洗浄した。真空下で固体を乾燥させ、白色固体として(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−[1(R)−(4−クロロ−フェニル)−エチルアミノ]−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン(12.3g、47.7%)を得た。HPLC(方法B)保持時間:4.3分。MS(m/z):539.0(M−1)。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ7.76(d,2H,J=8.5Hz),7.62(d,2H,J=9.0Hz),7.38−7.36(m,2H),7.30−7.27(m,3H),7.10(dd,1H,J=8.5,1.0Hz),7.05(d,1H,J=7.5Hz),6.95(s,1H),6.06(d,1H,J=8.0Hz),5.96(d,1H,J=3.0Hz),5.22(d,1H,J=3.0Hz),4.35−4.32(m,1H),1.43(d,3H,J=6.5Hz).
【0076】
実施例1:
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、4−メチルベンゼンスルホネート(1:1)
【化13】

(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−[(1R)−1−(4−クロロフェニル)−エチルアミノ]−5−(3−トリフルオロメトキシフェニル)−1,5−ジヒドロピロール−2−オン(50.0g、92.4mmol)、トルエン(200mL)及び水(100mL)を周囲温度で10分間撹拌した。トリフルオロ酢酸(50.0mL、0.66モル)を上記の二相溶液に添加し、わずかな発熱(23〜30℃)が観察された。HPLC(方法A)で反応をモニターし、1〜2時間後に溶液を分液漏斗へ移し、水層を除去した。5N塩酸(200mL×2)、水(200mL)で有機相を洗浄し、有機層を分析し、(R)−4−クロロ−α−メチルベンジルアミンの除去を確認した。反応フラスコに有機溶液を入れ、一旦置いておいた。別のフラスコにおいて、1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン塩酸塩(33.4g、138.6mmol)、トルエン(150mL)、2N水酸化ナトリウム(110mL、212.6mmol)を混合し、周囲温度で30分間撹拌した。有機層を分離し、清浄なフラスコへ移した。溶液を撹拌し、酢酸(52mL)を添加すると、わずかな発熱(23〜32℃)が観察された。トルエン(200mL)中に(5R)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2,3−ジオン(37.3g、92.4mmol、理論値)を含む上記の溶液を、反応混合液に添加し、14〜18時間撹拌しながら45℃に加熱した。HPLC(方法A)で溶液を分析し、(5R)−3−ヒドロキシ−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン二量体(下記参照)の消失を確認し、溶液を周囲温度に冷却した。
【化14】

【0077】
溶液を分液漏斗へ移し、3%塩化ナトリウム水溶液(120mL×2)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(120mL)及び3%ブライン(120mL)で紫色の溶液を洗浄した。有機相をフラスコへ移し、約2倍容(100mL)となるまで濃縮し、未使用のトルエン(150mL)を添加した。紫色の反応を窒素でパージしながら5分間撹拌し、周囲温度温でナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(39.2g、184.9mmol)を一部添加した。内部温度が35℃を超えないように注意しながら、発熱(23〜34℃)が観察されるよう徐々にトリフルオロ酢酸(50.0mL、655.3mmol)を添加した。反応液を周囲温度で2〜4時間撹拌し、HPLC(方法A)で反応の完了をモニターした。水(250mL)、メチルtert−ブチルエーテル(150mL)を添加し、層を分離させた。2N水酸化ナトリウム(150mL)、水(150mL×2)で有機層を洗浄し、生成物を含んでなる有機層をフラスコに移した。約2倍容(100mL)となるまで溶液を濃縮し、未使用のトルエン(450mL)を添加し、約2倍容(100mL)となるまで再度濃縮した。未使用のトルエン(450mL)を添加し、撹拌しながら50℃に溶液を加温し、エタノール(60mL)中の溶液としての、p−トルエンスルホン酸一水和物(14.1g、73.9mmol)を添加した。反応混合液を周囲温度に冷却し、1時間撹拌した。沈殿物を濾過し、トルエン(50mL×2)で洗浄し、40℃で真空乾燥し、白色粉体として標題の化合物(31.6g、44.8%)を得た。HPLC(方法A)保持時間:8.0分。HRMS(m/z):592.1641(M+1)。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ9.08(d,J=2.2Hz,1H),8.42(dd,J=8.2,2.2Hz,1H),8.02(d,J=8.2Hz,1H),7.64−7.62(m,2H),7.52−7.47(m,4H),7.41−7.38(m,1H),7.33(d,J=7.7Hz,1H),7.28(s,1H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),7.11−7.10(m,2H),5.37(dd,J=9.3,6.0Hz,1H),4.34(s,1H),2.78−2.72(m,1H),2.27(s,3H),2.04(dd,J=21.4,11.0Hz,1H),1.88(s,3H),1.87(s,3H)。
【0078】
実施例2:
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、4−メチルベンゼンスルホネート(1:1)の精製
【化15】

(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、4−メチルベンゼンスルホネート(1:1)(5.0g、6.55mmol)、トルエン(75mL)及び10%含水炭酸ナトリウム水溶液(25mL)を周囲温度で1時間混合した。層を分離させ、水(25mL×2)で有機相を洗浄した。有機相をフラスコに入れ、約2倍容(10mL)となるまで濃縮した。未使用のトルエン(50mL)を添加し、約2倍容(10mL)となるまで溶液を濃縮し、未使用のトルエン(65mL)を添加した。撹拌しながら溶液を55℃に加温し、p−トルエンスルホン酸一水和物(1.27g、6.55mmol)を含むエタノール(5.5mL)の溶液を添加した。反応混合液を周囲温度に冷却し、1時間撹拌した。得られるスラリーを濾過し、トルエン(5mL×2)で固体を洗浄し、40℃で真空乾燥し、白い結晶質固体として標題の化合物(4.5g、90.4%)を得た。HPLC(方法A)保持時間:8.0分。HRMS(m/z):592.1641(M+1)。H NMR(500MHz,DMSO−d)δ9.08(d,J=2.2Hz,1H),8.42(dd,J=8.2,2.2Hz,1H),8.02(d,J=8.2Hz,1H),7.64−7.62(m,2H),7.52−7.47(m,4H),7.41−7.38(m,1H),7.33(d,J=7.7Hz,1H),7.28(s,1H),7.19(d,J=8.2Hz,1H),7.11−7.10(m,2H),5.37(dd,J=9.3,6.0Hz,1H),4.34(s,1H),2.78−2.72(m,1H),2.27(s,3H),2.04(dd,J=21.4,11.0Hz,1H),1.88(s,3H),1.87(s,3H)。
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン、4−メチルベンゼンスルホネート(1:1)は、以下を利用して合成できる:
【0079】
製剤Ia:
(S)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン
【化16】

及び、
製剤Ib:
(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−[3−トリフルオロメトキシ−フェニル]−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン
【化17】

(R)−(+)−α−メチルベンジルアミン(45.0mL、349.8mmol)を(±)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2,3−ジオンを含む製剤Iに記載の有機層に添加した。周囲温度で72時間、溶液を撹拌した。反応混合物を濃縮しシリカゲルクロマトグラフィ(5〜15%EtOAc−ヘキサン)で精製し、黄褐色の泡状物としての(S)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン(32.4g、37%)と、淡いオレンジ色の油状物としての(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン(26.0g、29%)を得た。
【0080】
(S)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ7.74(d,2H,J=8.8Hz),7.62(d,2H,J=8.8Hz),7.39−7.34(m,3H),7.28(dd,2H,J=7.7,7.1Hz),7.21−7.14(m,4H),6.04(d,1H,J=7.5Hz),5.91(d,1H,J=2.6Hz),5.21(d,1H,J=2.6Hz),4.31−4.23(m,1H),1.42(d,3H,J=7.0Hz)。MS(m/z):507(M+1)。
【0081】
(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ7.76(d,2H,J=8.8Hz),7.62(d,2H,J=8.8Hz),7.34(d,2H,J=7.0Hz),7.28−7.20(m,3H),7.14−7.06(m,2H),7.02(d,1H,J=7.9Hz),6.96(s,1H),5.96−5.92(m,2H),5.19(d,1H,J=2.6Hz),4.36−4.27(m,1H),1.44(d,3H,J=7.0Hz)。MS(m/z):507(M+1)。
【0082】
実施例3:
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
【化18】

及び、
実施例4:
(3S,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
【化19】

トルエン(144mL)及び水(58mL)中の(R)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−3−((R)−1−フェニル−エチルアミノ)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン(28.9g、57.1mmol)の2層混合液に、トリフルオロ酢酸(21.6mL、285mmol)を滴下した外気温で60分間撹拌した。(R)−5−[3−トリフルオロメトキシ−フェニル]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2,3−ジオンの顕著な形成が観察された(LC MS 85%、保持時間=4.27分、方法D)、MS(m/z):402(M−1)。
【0083】
水層を分離し、トルエン層を水、pH7の緩衝液及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。(R)−5−[3−トリフルオロメトキシ−フェニル]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロリジン−2,3−ジオンを含有するトルエン溶液に、酢酸(26.2mL、456mmol)及び1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン(23.3g、114mmol)を添加した。55℃で18時間加熱した。(R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オンの顕著な形成が観察された(LC MS 100%、保持時間=5.59分、方法D、MS(m/z):590(M+1))。減圧下で濃縮した。酢酸(285mL)中に(R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オンの粗生成物を溶解させ、ナトリウムシアノボロハイドライド(7.2g.114mmol)を添加した。周囲温度で1.75時間撹拌し減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル中に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。硫酸ナトリウム上で溶液を乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(10〜30%の酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、黄色の油状物としての(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン(18.0g、53%)、及び油状物としての(3S,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン(0.92g、2.7%)を得た。
【0084】
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.96(d,1H,J=2.2Hz),8.24(dd,1H,J=8.4,1.8Hz),7.80(d,1H,J=8.4Hz),7.57(d,2H,J=8.8Hz),7.47(d,2H,J=8.4Hz),7.36(dd,1H,J=7.8,7.8Hz),7.26(d,1H,J=7.9Hz),7.21(s,1H),7.12(d,1H,J=8.1Hz),5.25(dd,1H,J=9.7,6.2Hz),3.47−3.39(m,1H),2.89(d,1H,J=4.4Hz),2.70(ddd,1H,J=13.3,6.9,5.2Hz),1.65(dd,1H,J=21.8,10.4Hz),1.48(s,3H),1.44(s,3H)。MS(m/z):592(M+1)。
塩の形成:トシレート − 1当量のp−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、イソプロパノールから結晶化させた。収率85%、MS(m/z):592(M+1)。
塩の形成:塩酸塩 − 1当量の塩酸を含むジエチルエーテルを添加して塩酸塩を形成させ、イソプロパノールから再結晶化させた。収率63%、MS(m/z):592(M+1)。
【0085】
(3S,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.92(s,1H),8.19(d,1H,J=7.9Hz),7.78−7.70(m,3H),7.64(d,2H,J=8.8Hz),7.39−7.34(m,1H),7.20−7.12(m,2H),7.10(s,1H),5.62(d,1H,J=8.3Hz),3.50−3.43(m,1H),2.86(d,1H,J=4.0Hz),2.43−2.33(m,1H),2.09−2.02(m,1H),1.46(s,3H),1.43(s,3H)。MS(m/z):592(M+1)。
塩の形成:トシレート−1当量のp−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、イソプロパノール−ヘプタンから結晶化させた。80%、MS、m/zを得る:592(M+1)。
【0086】
CB及びCBのインビトロ機能アッセイ:
抗体捕捉 SPA GTP−γ−35S結合:
ヒト又はラットのCB又はCB受容体を発現する細胞膜において、(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン 4−メチルベンゼンスルホネート(「実施例2」と称する)の、アンタゴニスト/逆アゴニストとしての機能的GTP−結合を試験した。改良された抗体捕捉技術(DeLappら、1999)を使用した96穴フォーマットでGTP−γ35S結合を測定した。GTP−結合アッセイ緩衝液(20mMのHepes、100mMのNaCl、5mMのMgCl、pH7.4)、CB又はCBを発現するCHO又はSf9細胞膜(Applied Cell Sciences社、Gaithersburg、MD;PerkinElmer Life Sciences社、ボストン、MA、前述(DeLappら、1999)したとおり膜を調製)実施例2及び500pMのGTP−γ−35S(PerkinElmer Life Sciences社、ボストン、MA)を、室温で30分間簡単に培養した。飽和量の完全アゴニスト(メタナンダミド(methanandamide))の存在下、アンタゴニスト用量反応を行った。0.27% Nonidet P40界面活性剤(Roche社、インディアナ州インディアナポリス)、抗Gi抗体(1:300の最終希釈;Covance社、ニュージャージー州プリンストン)及び1.25mgの抗ウサギ抗体シンチレーション近接アッセイビーズ(GE Healthcare社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を含有する混合物を添加し、プレートを封止し、更に3時間培養した。Beckman GS−6R遠心分離機を使用してプレートを700×gで10分間遠心分離し、Wallac MicroBeta TriLuxシンチレーションカウンタ(PerkinElmer社、マサチューセッツ州ボストン)を使用して1ウェルあたり1分間カウントした。
【0087】
データを解析する際、全てのウェルからノイズを引いた。アゴニスト/逆アゴニスト用量反応データを、完全アゴニスト(メタナンダミド)反応に対して規格化することによって、アゴニスト有効性率を測定した。メタナンダミドの飽和濃度で生成した結果に対して規格化することにより、アンタゴニストの阻害率データを算出した。データを、Activity Base and XLFit3(IDBS社、カリフォルニア州エメリービル)を用い、4パラメータのロジスティックフィットを使用して解析した。Kb値を、Cheng−Prusoff関係式の改変形:
=IC50/(1+[アゴニスト]/EC50)を使用して決定した
(式中、IC50は置換曲線の4パラメータフィットから決定し、[アゴニスト]=完全アゴニストのEC50であり、EC50は完全アゴニスト濃度反応曲線の4パラメータフィットから決定した)(ChengおよびPrusoff 1973)。少なくとも3つの独立の測定値±平均値の標準誤差(SEM)の平均として、平均K値を算出した。
【0088】
表1は、ヒト又はラットのCB受容体を発現するCHO細胞又はヒトCB受容体を発現するSf9細胞における、実施例2のアンタゴニスト/逆アゴニスト特性をまとめたものである。実施例2がヒトCB受容体に対する顕著なアンタゴニスト作用を有さずに、強力なヒト及びラットCBアンタゴニスト作用を示すと結論づけられる。上記データは、実施例2が、ヒトCB受容体のアンタゴニスト作用を有さない、ラット及びヒト受容体における強力なCBアンタゴニスト/逆アゴニストであることを示す。
【0089】
表2は、ヒトCB又はCB受容体を発現する細胞からのSf9細胞膜における、実施例2のアゴニスト特性をまとめたものである。これらのデータは、実施例2が、ゼロ未満のアゴニスト効果(表2)により証明されるとおり、ヒトCB受容体の逆アゴニストであることを証明するものであり、すなわち当該化合物がin vitroでCB受容体のベース構成的活性を減少させたことを示すものである。実施例2は、検出できる程のCBアゴニスト活性を何ら示していない(表2)。
【0090】
参考文献:
DeLapp NW,McKinzie JH,Sawyer BD,Vandergriff A,Falcone J,McClure D及びFelder CC(1999)、 Determination of [35S]guanosine−5’−O−(3−thio)triphosphate binding mediated by cholinergic muscarinic receptors in membranes from Chinese hamster ovary cells and rat striatum using an anti−G protein scintillation proximity assay(抗Gタンパク質シンチレーション近接アッセイを使用したチャイニーズハムスター卵巣細胞由来及びラット線条体由来の膜におけるコリン作動性ムスカリン受容体に媒介される[35S]グアノシン−5’−O−(3−チオ)三リン酸結合の測定)、J Pharmacol Exp Ther 289:946−955。
Cheng YC及びPrusoff WH.1973、Relationship between the inhibition constant(Ki) and the concentration of inhibitor which causes 50 per cent inhibition(I50) of an enzymatic reaction(阻害定数(Ki)と酵素反応の50%阻害(I50)を引き起こす阻害剤濃度との関係)、Biochem Pharmacol 22:3099−3108。
【0091】
表1:
ヒト又はラットのCB又はCB受容体を発現するCHO又はSf9細胞膜における、実施例2の、in vitroCB及びCBアンタゴニスト/逆アゴニストの機能的GTP−結合
【表1】

【0092】
表2:
ヒト受容体を発現するSf9細胞からの細胞膜における、in vitroCB及びCBアゴニストの化合物2へのGTP−結合
【表2】

【0093】
強制水泳試験(FST):
NIH雄Swissマウス(Harlan Sprague−Dawley、体重20〜25g)を試験の7〜10日前に入手した。1ケージあたり12匹のマウスを収容した。25〜30gの体重の動物だけを試験した。試験の日、投薬の少なくとも1時間前に、動物を試験室に入れた。投薬の際、各投薬の間に6〜8分間の間隔を置き、マウスにビヒクル(1%CMC、0.5%SLS、0.08%ポビドン、0.05%消泡剤)又は実施例2を経口投与した。次に、マウスを無菌のケージに入れた(1ケージあたり4匹のマウス)。90分後、実施例2又はビヒクルによる90分の前処理に続き、試験を開始した。
【0094】
マウスのFST:
NIH−Swissマウスを、6cmまで22〜25℃の水を入れた無菌のプラスチック製円筒容器(直径:10cm、高さ:25cm)に6分間入れた。6分間の試験のうちの最後の4分間における不動時間を記録した。マウスが身動きせず浮いているか、又はその頭を水上に保つために必要な動作のみを行っているとき、不動とみなした。post−hoc Dunnett試験(α=0.05;JMP)を用いて、ANOVAによりデータを解析した。ビヒクルのコントロールに対して統計的に有意な不動時間の減少が観察されるときの、化合物の最小用量として、最少有効用量(MED)を記録した。
【0095】
バイオアベイラビリティ:
バイオアベイラビリティを評価する方法は当該技術分野で高く評価されている。1つのかかる参考文献としては、Medicinal Research Reviews 第21巻 第5号 382−396(2001)が挙げられる。
【0096】
表3:
(3R,5R)−3−[1−メチル−1−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミノ]−1−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−5−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オンの様々な塩の、アンタゴニスト/逆アゴニスト、選択性、(FST)及びバイオアベイラビリティの特性。
【表3】


*hCBSPA GTPγ35S Sf9 Mem 22.7μgタンパク質/ウェル アンタゴニスト
**t−検定 Sf9(表3) 対 CHO(表1)、p=0.127/ND=測定できず。
【0097】
皮質の活性化:cFos活性化:
皮質及び皮質下領域の遺伝子発現及び神経化学的流出を活性化し、プロトタイプの非定型的な抗精神病薬クロザピンと相互作用する能力に関して、実施例2の製剤を解析した。
【0098】
方法:
実験前1週間の間、雄ラット(155〜175g)を収容した。1%カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、0.05%消泡剤、0.085%ポビドンを含むビヒクル中懸濁液中の実施例2の製剤を調製し、ラット(例えば雄SDラット、155〜175g)に経口投与(投与量:1又は10mg/kg)した。コントロールのラットには、ビヒクルを投与した。1時間後に、0.4%乳酸のビヒクル溶液中8mg/mLの濃度のクロザピン(Sigma社)を、8mg/kgの投与量で、s.c.投与した。クロザピン又はクロザピン用ビヒクル投与の2時間後に、断頭によって動物を殺した(1群あたりn=7〜8)。迅速に全脳を摘出し、その直後にドライアイス上でイソペンタン(2−メチルブタン)中に浸漬した。前頭前皮質(PFC)、側座核(NAc)及び背側線条体(DL−Str)を通る冠状断面を14μmで裁断し、Fos免疫組織化学検査を実施した。以下の式を使用して、非定型インデックス(Robertsonら、1994)を評価した:
非定型インデックス=(NAcD−NAcV)−(DL−StrD−DL−StrV)
式中、Fos−li神経単位の平均数、NAc=側座核、D=薬剤、V=ビヒクル、DL−Str=背側線条体。更にNewman−Keul’s事後検定(Graph Pad Prism 4.03)により、一方向の分散分析(ANOVA)を使用してデータを分析した。P<0.05を有意水準とした。
【0099】
結果:
クロザピン及び実施例2の製剤はともに、個々に皮質及び皮質下のFos反応性を強化する傾向、又は顕著な強化を示した。実施例2の製剤は、1及び10mg/kg(経口)ともに、クロザピン単独での作用を強化することが観察された。
結論:
実施例2により、ラットの脳の前頭前皮質及び皮質下領域のcFos発現が強化された。クロザピンによっても、神経活性化に関する同様のスペクトラムが示された。クロザピンへの実施例2の製剤の添加により、認識機能及び陰性症状の制御にきわめて重要となる、脳域における、クロザピンにより誘発されるcFos発現の強化がもたらされた。クロザピン対する実施例2の製剤の全体的な効果により、腹側対背側の線条体のインパクトに関する、大きな非定型性の神経サインが生じることが観察された。
【0100】
モノアミン神経伝達物質の放出刺激、及び認知に関連する脳領域のターンオーバー:
方法:
実験の5〜7日前に、カニューレ(BAS社、ウェストラファイエット、IN)を用いて、雄SDラット(260〜300g、Taconic Farms社、Germantown、NY)の前頭前皮質(PFC)に移植した。実験開始の約16時間前に、カニューレにより、カニューレの下に延びる4mmの膜チップを用いて、同心タイプのプローブを挿入し、前頭前皮質から微小透析液を回収し、モノアミン及びその代謝産物に関して分析した。全ての微小透析データを、3回の最終的な薬剤の事前注入における数値の平均(各群5〜6匹のラット)を100%と定義した場合の、透析液のベース濃度からの増減率として算出した。ANOVA、更にpost−hocボンフェローニ試験によりデータを分析した。
【0101】
結果:
実施例2の製剤の投与量がわずか1mg/kg(経口)でも、ラット皮層のモノアミン及びその代謝産物のレベルが増加した。
【0102】
エタノール要求行動:
アルコール嗜好ラットにおける、12時間のエタノール消費(Pラット):
高レベルのエタノール経口摂取量で選抜されたラット(Pラット)におけるエタノール消費を減少させる能力に関して、実施例2を評価した。更に、モチベーション又は挙動のコントロールに対する化合物の効果がエタノールによって評価できる条件下で、実施例2の効果を検討した。
【0103】
方法:
継続して自由にアクセスできるパラダイム下で、雌のアルコール嗜好(P)ラットにおけるアルコール消費に対する実施例2の効果を検討した。比較のため、標準的なオピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンを用いて試験した。15%(v/v)エタノールの自発的な消費をモニターした。ビヒクル(1%CMC、0.5%SLS、0.08%ポビドン、0.05%ダウコーニング消泡剤1510 US)中に実施例2の製剤を懸濁し、暗サイクル開始の3時間前にp.o.投与した。更に、赤外線センサにより自発運動を測定した。
【0104】
結果:
水ではなくエタノールの消費が、実施例2の製剤の経口投与によって用量依存的な態様で減少した。ナルトレキソンは、高用量において、エタノールの摂取量を減少させることができた。実施例2の製剤は、10mg/kgまでの投与量で、これらのラットの歩行活動を顕著に変化させなかった。
【0105】
エタノール要求行動:エタノールにより維持される、累進比率(PR)応答
エタノール摂取量を制御する動機的動因を減少させる、実施例2の能力を評価した。
方法:
応答により15%エタノール(v/v)を生じさせるPRスケジュール下で、雌のアルコール嗜好(P)ラットを検討した。PRスケジュール下では、エタノール配送に必要となる反応を、3回のエタノール供給の後、1〜2回から2回分増加させた。
【0106】
結果:
実施例2の製剤の投与により、エタノール要求行動及び消費エタノール量が用量依存的に減少した。実施例2の製剤は、用量依存的[F(4,20)=4.52、p=0.009]に、区切点(ラットが一定量のエタノールを得るための作業量)を減少させた。
【0107】
食餌モデルにおけるin vivo効果:
方法:
食餌誘発性肥満(DIO)の雄ロングエバンスラットに、実施例2の製剤を投与した。離乳児の段階から、少なくとも12週間、40%の脂肪、39%の炭水化物及び21%のタンパク質のカロリー含量の食餌を自由摂取させることによって、DIOを作り上げた。T17(17gのビヒクル群との相違を創出するのに必要となる投与量)によって、化合物の効果を定義した。これはすなわち、ビヒクル処理と比較し、2週後の3〜4%の最小生物学的体重減少に相当する。
【0108】
結果:
14日間の検討期間にわたり1日1回実施例2の製剤を経口投与することにより、累積的に摂食が減少した。摂食の減少と一致して、実施例2の製剤による14日間の経口治療後の累積的体重減少から、T17が0.13mg/kgであると推定された。身体組成分析を定量的核磁気共鳴(QNMR)により測定し、最も高い投与量においても除脂肪体重の変化が最小でありながら、0.1〜10mg/kgの投与量範囲で、体脂肪量の顕著な減少を示した。
【0109】
非定型抗精神病薬による体重増加モデル:
方法:
痩せたメスの成体SDラットを、通常の齧歯類用の餌であるPurina LabDiet 5001(脂肪12.3%)及び水を自由摂取させる条件で飼育した。1つの群(n=7)を、1〜14日目にビヒクル(1%乳酸)で処理し、一方、残りをオランザピン(2mg/kg、po)を含有するビヒクルで処理した。摂食続いて、2週間の処理期間にわたり、体重及び体脂肪量の変化をモニターした。14日間の薬物送達の後、オランザピン処理された動物(群あたりn=8)を分け、15〜28日目に、第1の群を0.3mg/kgの実施例2の製剤+オランザピンで処理し、第2の群を1mg/kgの実施例2の製剤+オランザピンで処理し、最後の群をビヒクル+オランザピンで処理した。
【0110】
結果:
ビヒクル処理のコントロールと比較し、オランザピンを14日間にわたり1日1回処理した場合において、処理後の累積的な摂食、体重及び体脂肪量の増加を観察した。実施例2の製剤とオランザピンとによる処理では体除脂肪量を変化させることなく、実施例2の製剤を投与した2つの場合において、体脂肪量が顕著に減少した。
【0111】
結論:
ビヒクル処理のコントロールと比較し、実施例2の製剤を14日間1日1回経口投与することにより、高エネルギー餌料を維持した食餌誘発性肥満(DIO)の雄ロングエバンスラットにおいて体重の顕著な減少が見られた。コントロールに比べて体重変化を創出するのに要した実施例2の有効投与量(T17)は、0.13mg/kg/日であると推定された。身体組成の変化を分析した結果、観察された体重減少は、10mg/kg(試験の中で最も高い投与量)までの投与量において、体脂肪量の顕著な減少によるものであることがわかった。2週間にわたるオランザピン処理と並行した、14日間にわたる実施例2の製剤の1日1回経口投与を受けた雌SDラットでは、オランザピン処理コントロールと比較し、体脂肪量の顕著な減少が助長されると評価できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表される化合物
【化1】

又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項2】
次式を有する請求項1記載の化合物
【化2】

又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項3】
次式で表される中間体。
【化3】

【請求項4】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の化合物と、薬理学的に許容できる担体、希釈剤若しくは賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項5】
請求項2記載の化合物が、90%ee超の光学純度で存在する医薬組成物。
【請求項6】
請求項2記載の化合物が、95%ee超の光学純度で存在する医薬組成物。
【請求項7】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の治療用化合物。
【請求項8】
過剰摂食を伴う摂食障害、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加、から選択される疾患の治療に用いられる、請求項1及び2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
体重増加、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存症、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加、から選択される疾患の治療において、抗精神病薬と同時、個別又は連続的な組合せで用いられる、請求項1及び2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
過剰摂食を伴う摂食障害、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加、から選択される疾患の治療薬の製造における、請求項1及び2のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
体重増加、肥満、統合失調症、統合失調症を伴う認知障害、薬物乱用又はアルコール依存症、禁煙、及び非定型抗精神病薬による治療の間に観察される治療により発現する体重増加、から選択される疾患の治療のための複合治療に用いられる薬剤の製造における、請求項1及び2のいずれか1つに記載の化合物の使用であって、前記薬剤は、抗精神病薬と同時、個別又は連続的組合せにより投与される。
【請求項12】
哺乳動物に有効量の請求項1若しくは2記載の化合物、又はその薬理学的に許容できる塩を、抗精神病薬との同時、個別又は連続的組合せにより投与するステップを有してなる哺乳動物の症状の治療方法。
【請求項13】
前記症状が過剰摂食を伴う摂食障害である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記症状が肥満である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記症状が統合失調症である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記症状が統合失調症を伴う認知障害である、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記症状が薬剤乱用又はアルコール依存症である、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記症状が禁煙である、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記症状が治療により発現する、禁煙の間に観察される体重増加である、請求項12記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物に有効量の請求項1及び2のいずれか1項に記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩を投与するステップを有してなる哺乳動物の症状の治療方法。
【請求項21】
前記症状が統合失調症である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記症状が体重増加である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記症状が肥満である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記症状が統合失調症を伴う認知障害である、請求項20記載の方法。
【請求項25】
前記症状が薬剤乱用又はアルコール依存症である、請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記症状が禁煙である、請求項20記載の方法。
【請求項27】
前記症状が治療により生じる体重増加であり、非定型抗精神病薬による治療の間に観察される、請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2010−507589(P2010−507589A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533585(P2009−533585)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/082041
【国際公開番号】WO2008/070305
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】