説明

CD38スプライスバリアント及びその使用

本発明は、本明細書でCD38JLと称される、実質的に精製されたポリペプチドを提供する。CD38JLは、配列番号1のポリペプチド又はそのフラグメントを含むCD38のスプライスバリアントである。本発明はまた、CD38JLの発現に付随する疾患を治療、予防及び診断する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に分子生物学及び炎症の分野に関する。より具体的には、本発明は、CD38の新規なバリアントの特定及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
CD4レセプターを保有する(CD4+)T-リンパ球(CD4+Tリンパ球と称される)は、細胞障害性T細胞応答(T-ヘルパー1)又は抗体応答(T-ヘルパー2)のどちらかを刺激するサイトカインを分泌することによって免疫応答を増大させる。ナイーブCD4+T細胞は、その環境に存在するサイトカインに応じて、TCR-ペプチド-MHCクラスII複合体の嵌合(engagement)後にTh1細胞又はTh2細胞に分化することができる。したがって、CD4+T細胞は、T細胞媒介性免疫応答で重要な役割を演じる。T細胞の活性化で機能する新規な遺伝子は、自己免疫及び炎症性疾患のための新規な薬物標的を提供し得る。したがって、CD4+T細胞の活性化に関与する新規遺伝子の同定及び特徴付けが重要であると考えられる。
CD38は、細胞接着、シグナルトランスダクション及びカルシウムシグナル伝達で機能する多機能性細胞表面抗原である。CD38は、サイクリックADP-リボース(cADPR)がその基質であるNAD+から生成されるのを触媒する(S. Takasawa et al. 1993, J. Biol. Chem. 268:26052-26054)。cADPRは、細胞内カルシウム遊離を調節する第二のメッセンジャーとして作用する。CD38は、Tリンパ球、Bリンパ球及び好中球を含む造血細胞で発現される。CD38-/-マウスは、組織付随NAD+グリコヒドロラーゼ活性の完全な喪失を示し、T細胞依存性タンパク質抗原に対する抗体応答の顕著な欠失を示した(Cockayne et al. 1998, Blood 92:1324-1333)。CD38は、細菌性化学誘引物質に対する好中球の化学走性を、好中球のサイクリックADP-リボースの産生を介して制御し、炎症及び先天性免疫応答の極めて重要な調節因子として作用する(S. Partida-Sanchez et al. 2002, Nat. Med. 7:1209-16)。CD38のヒトcDNAは、1990年に初めてクローニングされ、300アミノ酸をコードしていた(D.G. Jackson and J.I. Bell, 1990, J. Immun. 144:2811-2815)。CD38遺伝子は単一コピーとして存在し、62kbを超えて伸びていることが報告された。CD38遺伝子は8つのエクソンと、5'コード領域を中断させる長いイントロンを含む7つのイントロンとから成る(E. Ferrero and F. Malavasi, 1997, J. Immun. 159:3858-3865)。CD38タンパク質の構造は明らかではない。
CD38のような細胞表面抗原は、互いに構造的及び機能的に異なっている種々のアイソフォームとして発生することが知られている。例えば、CXCR-3は2つのアイソフォームCXCR3A及びCXCR3-Bを有し、それらは異なる生物活性をもち、別個のシグナルトランスダクション(情報伝達)経路の引き金となることが見出された。CXCR3-BはCXCL4に対してのみ高い親和性を示すが、CXCR3-Aは示さない(L. Lasagni et al. 2003, J. Exp. Med. 197:1537-49)。
122アミノ酸残基のみをコードする1のCD38スプライシングアイソフォームcDNAが、ヒト精巣ライブラリーから単離された(K. Nata et al. 1997, Gene 186:285-292)。
CD38の新規なアイソフォーム及びそれをコードするポリヌクレオチドの発見は、自己免疫疾患及び免疫学的疾患の治療、予防及び診断で使用することができる新規な組成物を提供することによって、本技術分野における必要性を満足させる。
【発明の開示】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、配列番号1の81アミノ酸ポリペプチド又はそのフラグメントを含むCD38のスプライスバリアントであって、本明細書ではCD38JLと称される、実質的に精製されたポリペプチドを提供する。配列番号1のアミノ酸残基1から57は、CD38配列に見出されるアミノ酸残基と一致しており、ADP-リボシルシクラーゼ活性が付随している。
本発明はまた、配列番号1のポリペプチド配列のアミノ酸残基58〜81を含む、実質的に精製されたCD38JLポリペプチドのフラグメントを提供する。
本発明はまた、単離及び精製されたポリヌクレオチドを提供し、前記ポリヌクレオチドは、配列番号1又は配列番号1のフラグメントのアミノ酸配列、特に配列番号1のアミノ酸残基51〜81を含むフラグメントのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードしている。
本発明はまた、配列番号2から選択される10以上の塩基、特に配列番号2の塩基188〜508及び塩基775〜1884から選択される10以上の塩基を含む、単離及び精製されたポリヌクレオチドを提供する。
本発明はまた、配列番号1又はそのフラグメントのアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチド同一性を有する単離及び精製されたポリヌクレオチドバリアント(変種)を提供する。
本発明はさらに、配列番号1又は配列番号1のフラグメントのアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離及び精製されたポリヌクレオチドを、配列番号1又は配列番号1のフラグメントのアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと実質的に相補的な単離及び精製されたポリヌクレオチドと同様に提供する。
本発明はまた、配列番号1のアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくともフラグメントを含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、前記発現ベクターは宿主細胞内に含まれる。
本発明の別の実施態様は、IBD(炎症性腸疾患)を治療する方法を提供し、前記方法は、その必要がある患者に治療的有効量のCD38JLスプライスバリアントポリペプチド阻害物質又はアンタゴニストを投与する工程を含む。
本発明のまた別の実施態様は、IBD(炎症性腸疾患)を治療する方法を提供し、前記方法は、その必要がある患者に治療的有効量のCD38JLスプライスバリアントアゴニストを投与する工程を含む。
【0004】
本発明はまた、実質的に精製された配列番号1のポリペプチドを適切な医薬担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
本発明はまた、IBD、乾癬、慢性関節リウマチ又は自己免疫疾患を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、その必要がある患者に治療的有効量のCD38JL阻害物質及び/又はアンタゴニストを投与する工程を含む。
本発明のまた別の実施態様はヒトで炎症性疾患を治療する方法を提供し、前記方法は、そのような治療の必要がある患者に治療的に許容できる量のCD38JL阻害物質を投与する工程を含む。前記のような治療方法は、おそらくIBD、乾癬、慢性関節リウマチ及び自己免疫疾患の治療に有用であろう。
本発明はまた、以下の工程を含む、核酸を含む生物学的サンプル中でCD38JLをコードするポリヌクレオチド配列を検出する方法を提供する:
(a)配列番号1の配列又は配列番号1のフラグメントを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの相補鎖を前記生物学的サンプルの核酸の少なくとも1つとハイブリダイズさせ、それによってハイブリダイゼーション複合体を形成する工程;及び
(b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程、ここで前記ハイブリダイゼーション複合体の存在は、前記生物学的サンプルにおけるCD38JLをコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を示す。
本発明のその他の特徴、特質及び利点は、現時点で好ましい本発明の実施態様に関する以下の記載から明白となろう。
【0005】
(発明の詳細な説明)
本発明は、記載されているある特定のプロトコル、ツール及び試薬のいずれにも限定されず、プロトコル、ツール及び試薬は変更可能であることが理解されよう。さらに、本明細書で用いられる専門用語は、ある特定の実施態様を説明する目的のためのみに用いられるものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではないこともまた理解されよう。
特段の規定がないかぎり、本明細書で用いられる全ての技術用語及び学術用語は、本発明の分野において当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有することが意図される。
原文中、用語の単数形“a”、“an”及び“the”の使用は、明瞭に他の意味が文脈内で示されないかぎりは複数形を含む。
本発明では、本技術分野で周知である通常の分子生物学的技術、微生物学的技術及び組換えDNA技術を用いることができ、それらは以下の文献に記載されている:J. Sambrook, E.F. Fritsch and T. Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold. Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)(以下では“Maniatis”);T.J. Silhavy, M.L. Bennam and L.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1984);F. M. Ausubel et al. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1987);“Nucleic Acid Hybridization”
[B.D. Hames & S.J. Higgins eds. (1985)];“Transcription and Translation” [B.D. Hames & S.J. Higgins eds. (1985)];“Animal Cell Culture” [R.L. Freshney, ed. (1986)];“Immobilized Cells and Enzymes” [IRL Press, (1986)];B. Perbal, “A Practical Guide to Molecular Cloning” (1984)。したがって、以下の用語は、本明細書で用いられる場合、下記で説明される定義を有するであろう。
本明細書で、ヌクレオチド配列は、本技術分野で一般的に用いられ、またIUPAC-IUB生化学命名委員会に推奨されるように(Biochemistry, 1972, 11:1726-1723)、一文字ヌクレオチド記号を用い左から右に5'から3'方向で一本鎖によって提示される。
【0006】
本明細書で用いられる用語“CD38JL”は、天然又は合成のいずれかの供給源に由来する任意の種、好ましくはヒトを含む哺乳動物種の、本明細書で同定されるCD38バリアントの実質的に精製されたアミノ酸配列を指す。
本明細書で用いられる用語“ポリペプチド”は、アミノ酸残基の配列又はタンパク質と互換的に用いられ、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。これらの用語はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化又はタンパク質プロセッシングを含む(ただしこれらに限定されない)反応によって翻訳後に修飾されたタンパク質も含む。修飾及び改変、例えば他のタンパク質との融合、アミノ酸配列の置換、欠失又は挿入はポリペプチドの構造において行われ得るが、分子はその生物学的機能的活性を維持する。例えば、ある種のアミノ酸配列置換は、ポリペプチド又はその基礎となる核酸コード配列で行うことができ、そのような特性を有するタンパク質を得ることができる。
本明細書で用いられる本発明の文脈中の用語“cDNA”は、逆転写、典型的には遺伝子により生成されるmRNA又は他のRNAの第二の鎖の合成によって生成される、デオキシリボ核酸を指す。二本鎖の場合は、cDNA分子はコード鎖すなわちセンス鎖と、非コード鎖すなわちアンチセンス鎖との両方を有する。
本発明の“フラグメント”という用語は、本明細書では、単離/精製、化学的合成、又は組換えDNA技術による産生が可能なタンパク質又は核酸分子を指す。これら全ての方法は本技術分野で周知である。下記で例示的に示されるように、本発明で用いられるヌクレオチド配列及びポリペプチドは、例えばin vitro変異導入によって改変することができる。
【0007】
本明細書で用いられる用語“アゴニスト”は、CD38JLと結合した場合に、CD38JLの作用の持続時間を増加又は延長する分子を意味する。アゴニストとしては、CD38JLと結合してその作用を調節することができるタンパク質、核酸、炭水化物及びその他いずれかの分子が挙げられる。
本明細書で用いられる用語“アンタゴニスト”は、CD38JLと結合した場合に、CD38JLの生物学的若しくは免疫学的活性の作用の量又は持続時間を低下させる分子を指す。アンタゴニストとしては、CD38JLの作用を低下させるタンパク質、核酸、炭水化物、抗体又はその他いずれかの分子が挙げられる。
本明細書で用いられる用語“コード(する)”は、ヌクレオチド(すなわちrRNA、tRNA、他のRNA分子)又はアミノ酸のある規定された配列を有する他の分子及び前記配列の結果として生じる生物学的特性を有する他の分子を合成するための鋳型として機能する、核酸中のヌクレオチドの特異的な配列に固有の特性を指す。したがって、ある遺伝子によって生成されるmRNAの転写及び翻訳が細胞又はその他の生物学的な系においてあるタンパク質を生成するならば、前記遺伝子は前記タンパク質をコードする。遺伝子又はcDNAのコード鎖(そのヌクレオチド配列はmRNAと同一であって、通常、配列表に規定される)及び非コード鎖(転写の鋳型として用いられる)の両方が、タンパク質又は前記遺伝子若しくは前記cDNAの他の生成物をコードすると言われ得る。1つのタンパク質をコードする核酸には、遺伝暗号の縮退のため、異なるヌクレオチド配列を有するが前記タンパク質と同じアミノ酸配列をコードするいずれの核酸も含まれる。タンパク質をコードする核酸及びヌクレオチド配列はイントロンを含む場合もある。
【0008】
用語“ベクター”又は“DNA構築物”は、本技術分野では一般的に知られているいずれかの遺伝的エレメント(プラスミドDNA、ファージDNA、ウイルスDNA等が挙げられるが、これらに限定されない)を指し、オリゴヌクレオチド配列又は本発明の配列を組み込むことができ、また本発明のDNAをその中でクローン化することができるDNAベヒクルとして機能できる。数多くの種類のベクターが存在しており、また本技術分野で周知である。
“発現ベクター”という用語は、上記に記載したベクター又はベヒクルであるが、挿入された配列の発現を宿主への形質転換に続いて可能にするように設計されたものと定義される。クローニングされる遺伝子(挿入配列)は、通常は、プロモータ配列のような制御エレメント配列の作用下に置かれる。そのような発現制御配列は、ベクターが、原核細胞又は真核細胞宿主又はその両者(シャトルベクター)で機能可能に連結された遺伝子を発現させるように設計されているか否かによって変動し、さらに、エンハンサーエレメントのような転写エレメント、終止配列、組織特異的配列、及び/又は、翻訳の開始部位及び終止部位を付加的に含むことができる。
本明細書で用いられるように、用語“オリゴヌクレオチド”は、デオキシリボヌクレオチドのアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)及び/又はシトシン(C)の2つ以上の分子を指す。“オリゴヌクレオチド”という用語は、直鎖状DNA分子若しくはフラグメント、ウイルス、プラスミド、ベクター、染色体又は合成的に得られたDNAにおいて見出すことができる。本明細書で用いられるように、DNA配列は、5'から3'方向の配列のみを提示する通常の慣行にしたがって記載される。
【0009】
本明細書で用いられる本発明の“ポリヌクレオチド”という用語はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号2に含まれる配列又はその相補鎖とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドを含む。“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”という用語は、本技術分野で一般的に理解されているように用いられる。例えば、前記用語は、50%ホルムアミド、5xSSC(750mMのNaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハルト(Denhardt's)溶液、10%硫酸デキストラン及び20mg/mLの変性せん断サケ精子DNAを含む溶液中で42℃一晩インキュベーションし、続いてフィルターを0.1xSSC中で約60℃にて洗浄することを意味し得る。“高ストリンジェンシー”のために要求される厳密な条件は、核酸サンプルの性質(すなわちDNA:DNA又はDNA:RNA)にしたがって変動し得る。
また、本発明のポリヌクレオチドと低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件にてハイブリダイズする核酸分子も意図される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーとシグナル検出とにおける変更は、ホルムアミド濃度(より低いパーセンテージのホルムアミドは、より低いストリンジェンシーをもたらす);塩濃度又は温度の操作によって主に達成される。例えば、低ストシンジェンシー条件としては、6xSSPE(20xSSPE=3MのNaCl;0.2MのNaH2PO4;0.02MのEDTA、pH7.4)、0.5%SDS、30%ホルムアミド、100mg/mLのサケ精子ブロッキングDNAを含む溶液中で37℃にて一晩インキュベーションを行い;続いて1xSSPE、0.1%SDSにより50℃で洗浄すること、が挙げられる。さらにまた、一層低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントなハイブリダイゼーションに続いて行う洗浄を、より高い塩濃度(例えば5xSSC)で実施することができる。
【0010】
このような条件は、種々のブロッキング試薬の添加又は除去によって変更することができる。ブロッキング試薬には、デンハルト試薬、ヘパリン、BLOTTO、変性サケ精子DNA及び市販の製品が含まれ得る。特定のブロッキング試薬の介在は、適合性の問題のために上記に記載したハイブリダイゼーション条件の変更を要求する場合もある。
本発明のポリヌクレオチドは任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを含むことができ、それらは、改変されていないRNA若しくはDNAであってもよく又は改変されたRNA若しくはDNAであってもよい。ポリヌクレオチドはまた、安定性又はその他の理由のために改変されている1以上の改変された塩基又はDNA若しくはRNA骨格を含むこともできる。“改変された”塩基には、例えばトリチル化塩基及び珍しい塩基(例えばイノシン)が含まれる。多様な改変をDNA及びRNAに行うことができる。したがって、“ポリヌクレオチド”は化学的、酵素的又は代謝的に改変された形態をも包含する。
2つのDNA配列は、少なくとも約75%(好ましくは少なくとも約80%、もっとも好ましくは少なくとも約90%又は95%)のヌクレオチドが前記DNAの規定した長さにわたってマッチングする場合に、“実質的に相補的”である。実質的に相同な配列は、配列データバンクで入手できる標準的なソフトウエアを用いて配列を比較することによって、又はサザンハイブリダイゼーション実験、例えばその個々の系について規定されるストリンジェントな条件下のサザンハイブリダイゼーション実験によって、同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは当業者の技術範囲内である。例えば以下の上掲書を参照されたい:Maniatis et al.;DNA Cloning, Vols. I & II;Nucleic Acid Hybridization。
【0011】
本明細書で用いられる用語“宿主”は、原核細胞だけでなく真核細胞(例えば酵母、植物及び動物細胞)も含むことを意図する。本発明のタンパク質をコードする組換えDNA分子又は遺伝子を用いて、当業者に公知の技術のいずれかにより宿主を形質転換することができる。原核細胞宿主には、大腸菌、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、霊菌(Serratia marcescens)及び枯草菌(Bacillus subtilis)が含まれ得る。真核細胞宿主には、酵母(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris))、哺乳動物細胞及び昆虫細胞が含まれる。
本明細書で用いられる“アミノ酸”又は“アミノ酸配列”という用語は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列、又は前記のいずれかのフラグメント、及び天然に存在するか又は合成された分子を指す。これに関連して、“フラグメント”、“免疫原性フラグメント”又は“抗原性フラグメント”は、CD38JLスプライスバリアントのアレンジメントを指し、好ましくは長さが約5〜約15アミノ酸である。天然に存在するタンパク質分子のアミノ酸配列を参照するために本明細書に“アミノ酸配列”が列挙される場合、“アミノ酸配列”及び類似する用語は、前記タンパク質分子に付随する完全な天然アミノ酸配列に前記アミノ酸配列が限定されることを意図しない。
本明細書で用いられる“抗原決定基”という用語は、個々の抗体と接触する前記分子のフラグメント(すなわちエピトープ)を指す。タンパク質又はタンパク質フラグメントを宿主動物の免疫に用いるとき、前記タンパク質の多数の領域(前記タンパク質上の所定の領域又は三次元構造)が、抗原決定基と特異的に結合する抗体の産生を誘導することができる。抗原決定基は、無処置の完全な抗原(すなわち、免疫応答を誘引するために用いられた免疫原)と抗体の結合について競合し得る。
【0012】
本明細書で用いられる、“相補的”又は“相補性”という用語は、許容的な塩及び温度条件下における塩基対形成によるポリヌクレオチドの自然な結合を指す。
本明細書で用いられる、“相同性又は同一性”という用語は相補性の程度を指す。部分的な相同性又は完全な相同性があり得る。同一配列が標的核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列は、“実質的に相同”であると称される。完全に相補的な配列と標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、ストリンジェンシーを減じた条件下でのハイブリダイゼーションアッセイを用いて調べてもよい。
“同一性率”又は“%同一性”という語句は、2つ又は3つ以上のアミノ酸又は核酸配列の比較で見出される配列類似性の百分率を指す。同一性率は電子的に、例えばMEGALIGNプログラム(Lasergene software package, DNASTAR. Inc., Madison Wis.)を用いることによって決定することができる。MEGALIGNプログラムは、種々の方法にしたがって(例えばクラスター法(clustal method)(D.G. Higgins and P.M. Sharp, 1988, Gene 73:237-244))、2つ又は3つ以上の配列間でアラインメントを実施することができる。核酸配列間の同一性率はまた、クラスター法によって又は本技術分野で公知の他の方法(例えばジョータンヘイン法(Jotun Hein method)(J. Hein, 1990, Methods in Enzymology 183:626-645))によって計算することができる。配列間の同一性はまた、本技術分野で公知の他の方法によって(例えばハイブリダイゼーション条件を変動させることによって)決定することができる。
【0013】
本明細書で用いられる用語の“ハイブリダイゼーション”は、核酸の鎖が塩基対形成により相補鎖と結合するいずれものプロセスを指す。
本明細書で用いられる、“ハイブリダイゼーション複合体”という用語は、相補塩基間の水素結合の形成によって2つの核酸配列間で形成される複合体を指す。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中で形成されても(例えばCot又はRot分析)、又は溶液中に存在する1つの核酸配列と固相(例えば紙、メンブレン、フィルター、チップ、ピン又はガラススライド、又は細胞若しくはそれらの核酸が固定されてある他の適切な任意の土台)に固定されたもう一方の核酸配列との間で形成されてもよい。
本明細書で用いられる、“マイクロアレイ”という用語は、それぞれ別個のポリヌクレオチドのアレイ、又は土台(例えば紙、ナイロン又は任意の他のタイプのメンブレン、フィルター、チップ、ガラススライド又は任意の他の適切な固相)上に並べたオリゴヌクレオチドを指す。
本明細書で用いられる、“実質的に精製された”という用語は、核酸又はアミノ酸配列であって、それらの天然の環境から取り出され、単離又は分離され、さらに他の細胞成分又はウイルス成分から少なくとも約60%精製、好ましくは約75%精製、もっとも好ましくは約90%精製されているものを指す。したがって、例えば、“精製されたタンパク質”は天然では見出されないレベルに精製されてある。
本明細書で用いられる、CD38JLの“バリアント”は、1つ又は2つ以上のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列を指す。バリアントは“保存的”変化を有することができる。この場合、置換されたアミノ酸は類似の構造的又は化学的特性を有する(例えばイソロイシンによるロイシンの置換)。より稀であるが、バリアントは“非保存的”変化を有することができる(例えばトリプトファンによるグリシンの置換)。類似のマイナーな変形にはまたアミノ酸欠失又は挿入又はその両方が含まれ得る。生物学的又は免疫学的活性を失うことなく、どのアミノ酸残基を置換、挿入又は欠失させることができるかを決定する際のガイダンスは、本技術分野で周知のコンピュータプログラム(例えばDNASTARソフト)を用いて見出すことができる。
【0014】
発現プロフィル分析を含む技術を用いて、活性化CD4+T細胞で高度に発現されるEST AI989354を特定した。このEST配列は、ヒトCD38遺伝子の公知のエクソンIIIとIVの間に位置する。おとり(bait)としてEST AI989354を用い、1.9kbのcDNAクローン(LJ-2)をヒトの末梢リンパ球cDNAライブラリーから単離した。クローンLJ-2のポリヌクレオチド配列は図1及び配列番号2に示されている。LJ-2のcDNA配列はヒト第四番染色体のCD38遺伝子座上にマッピングされ、さらにエクソンI及びIIをCD38と共有することが見出され(図2に示されたとおり)、したがって新規なCD38スプライスバリアントをコードする。図3は、CD38及びCD38JLスプライスバリアントのポリペプチドのアラインメントを示す。CD38JLの最初の57アミノ酸はCD38配列の一部のアミノ酸と一致し、CD38JLの残りのアミノ酸残基(58〜81)は、CD38配列と直接的には対応しない。
図4は正常組織におけるAI989354の発現分布を示す。データは、アフィメトリックス・ジーンチップ(Affymetrix Gene Chip(登録商標))の発現分析テクニカルマニュアルに記載された方法にしたがってアフィメトリクスU95ジーンチップ実験から得た。胸腺を含む種々の組織でAI989354の発現上昇が存在する。
図5は、正常組織に対して種々の炎症組織におけるAI989354の発現分布を示す。前記もまたアフィメトリックス分析により得られた。CD38JLもまた、IBD並びに潰瘍性大腸炎及びクローン病Dの患者由来の組織で誘導される。前記起源の組織における発現強化は、スプライスバリアントはT細胞活性化に役割を果たす可能性があること、したがって自己免疫及び炎症性疾患に対する新規な薬剤ターゲットを提供することができることを示唆している。図6は、アフィメトリックスU95ジーンチップアレイによって測定した、CD4T細胞のAI989354発現を示す。
図7及び配列番号1は、CD38JL-2 cDNAの予想される81アミノ酸のポリペプチド翻訳物を示す。図8は、CD38JL cDNAのcDNA配列に沿って最初のMETで始まる、CD38翻訳物の配列を示す。境界を含むエクソンの位置には標識が付されてあり、CD38と異なる配列には下線が付されている。
【0015】
本発明のある実施態様は、配列番号1のアミノ酸配列をもつ単離されたポリペプチドを含む。CD38JLは長さが81アミノ酸である。図7及び図8に示すように、CD38JLはCD38と相同性を有し、潜在的ADP-リボシルシクラーゼドメインをもつ。本発明はまた、CD38JLスプライスバリアントの誘導体を含む。好ましい誘導体は、配列番号1のアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも90%ポリヌクレオチド同一性を有するであろう。上記記載のポリヌクレオチドバリアントのいずれも、CD38JLの少なくとも1つの機能的又は構造的特徴を含むアミノ酸配列をコードすることができる。
遺伝暗号の縮退のために、CD38JLをコードする多数のポリヌクレオチド配列(前記のいくつかは、公知のさらに天然に存在する遺伝子のいずれかのポリヌクレオチド配列と最小限の相同性を有する)が生成され得ることは、当業者には理解されよう。したがって、本発明はまた、代替的なコドン選択を基にして組合せを選択することによって製造することができる変型ポリヌクレオチド配列を包含する。これらの組合せは、天然に存在するCD38JLのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプレット遺伝暗号にしたがって実施される。
CD38JL及びそのバリアントをコードするヌクレオチド配列は、好ましくは天然に存在するCD38と適切に選択したストリンジェンシー条件下にてハイブリダイズすることができるが、実質的に異なるコドン使用頻度をもつCD38JL又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を生成することが有利であり得る。個々のコドンが宿主によって利用される頻度にしたがって、コドンを選択して、ペプチド発現が特定の原核細胞又は真核細胞宿主で生じる速度を増加させることができる。コードされるアミノ酸配列を変更することなくCD38JLをコードするヌクレオチド配列を実質的に変化させるその他の理由には、天然に存在する配列から生成される転写物よりも望ましい特性(例えばより長い半減期)をもつRNA転写物を生成することが含まれる。
【0016】
本発明はまた、CD38JL及びCD38JL誘導体、又はそのフラグメントをコードするDNA配列の完全な化学的合成による製造を含む。本技術分野で周知の試薬を用いて、合成配列を発現ベクター及び宿主細胞に挿入することができる。さらにまた、合成的化学反応を用いてCD38JLをコードする配列又はその任意のフラグメントに変異を導入することができる。
本発明に含まれるものはまた、本発明のポリヌクレオチド配列、及び特に配列番号2又は配列番号2のフラグメントと多様なストリンジェンシー条件下でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド配列である(例えば以下を参照されたい:G.M. Wahl and S.L. Berger 1987, Methods Enzymol. 152:399-407;A.R. Kimmel, 1987, Methods Enzymol. 152:507-511)。
天然に存在しないコドンをもつ、CD38JLをコードするヌクレオチド配列を用いてもよい。例えば、原核細胞宿主にとって好ましいコドンを用いてタンパク質発現を高めるか、又は所望の特性、例えば天然に存在する配列から生成される転写物の半減期より長い半減期をもつRNA転写物を生成することができる。
CD38JL-コード配列を変化させるために、本技術分野で一般的に知られている方法を用いて、例えばクローニング、プロセッシング、及び/又は遺伝子生成物の発現によって本発明のヌクレオチド配列を変化させることができる。組換えDNA技術及び合成オリゴヌクレオチドを用いて前記ヌクレオチド配列を改変してもよい。
【0017】
本発明のまた別の実施態様では、CD38JL又はその誘導体をコードするポリヌクレオチドを治療目的に用いてもよい。ある特徴では、CD38JLをコードするポリヌクレオチドの相補鎖を、前記mRNAの転写を阻止することが所望されるような状況で用いることができる。特に、CD38JLをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細胞を形質転換することができる。したがって、相補性分子又はフラグメントを用いてCD38JL活性を調節することができる。そのような技術は今や本技術分野では周知であり、センス又はアンチセンス、又はsiRNA、RNA干渉オリゴヌクレオチド又はより長いフラグメントを、CD38JLをコードする配列のコード領域又は制御領域に沿って種々の位置から設計することができる。RNA干渉オリゴ及びアンチセンスオリゴをCD38スプライスバリアントの配列を用いて設計し、CD38アイソフォームの機能を特異的に阻害することができよう。RNA干渉は、標的とされる遺伝子に対して配列が相同な二本鎖RNA(dsRNA)を提供することによって、配列特異的転写後遺伝子サイレンシング又は遺伝子ノックダウンを利用する過程である。小型干渉RNA(siRNA)をin vitroで合成するか、又はより長いdsRNAからリボヌクレアーゼIII切断によって生成することができ、それらは配列特異的mRNA分解のメディエーターである。siRNAは、Tuschlが記載した技術にしたがい、以下に記載するように設計することができる(S.M. Elbashir et al. 2001, Nature, 411:494-498)。本発明に適したsiRNAは二本鎖リボ核酸であり、配列番号2の連続する19から25ヌクレオチドと実質的に同一の第一のヌクレオチド鎖及び前記第一の鎖と実質的に相補的な第二の鎖を含むことができる。
【0018】
この新規なCD38バリアントによってコードされるタンパク質をタンパク質治療薬として使用するために選択することができよう。例えば、CD38スプライスバリアントポリペプチドに対するモノクローナル抗体を製造することができる。単離タンパク質に対するモノクローナル抗体の製造方法及び細胞へのそれらの投与は本技術分野で公知である(Am. J. Gastroenterol. 2002, 97:2962-72)。本発明のCD38スプライスバリアントポリペプチドに対して誘導されたモノクローナル抗体を細胞に投与して、前記タンパク質の機能を阻害し、したがって自己免疫疾患又は炎症性疾患を治療することができる。
さらにまた、本発明のCD38スプライスバリアントをスクリーニングアッセイ及び超高速大量処理アッセイで用いて、CD38スプライスバリアントポリペプチドの小分子阻害物質を特定することができる。小分子阻害物質は、このCD38バリアントとその細胞表面レセプターとの結合を阻止することができる。CD38は、CD31との相互作用を介してリンパ球と内皮細胞との結合及び前記内皮細胞上でのローリングに必要であることが知られている(U. Dianzani, H. Stockinger and F. Malavasi, 1998, J. Immunol. 160:395-402)。したがって、in vivoでの小さな阻害物質による遮断はリンパ球接着に影響を与えることができよう。
本発明のまた別の実施態様では、CD38JLをコードする天然、改変又は組換え核酸を異種配列に連結して融合タンパク質をコードさせることができる。例えば、ペプチドライブラリーをCD38JL活性の阻害物質についてスクリーニングすることができる。さらに、市販の抗体によって認識することができるCD38JLキメラタンパク質をコードすることもまた有用であろう。融合タンパク質はまた、CD38JLを切断して異種成分から精製することができるように、CD38JLコード配列と前記他の異種タンパク質配列との間に切断部位を含むように製造することができる。
【0019】
ポリペプチド
CD38JL又はそのフラグメントをコードするポリペプチド配列を、本技術分野で周知の化学的方法を用いて合成することができる(例えば以下を参照されたい:M.H. Caruthers et al. 1980, Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 215-223;T. Horn et al. 1980, Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 225-232)。合成したペプチドを調製用高性能液体クロマトグラフィーによって実質的に精製することができる。(例えば以下を参照されたい:R.M. Chiez and F.Z. Regnuer, 1990, Methods Enzymol. 182:392-421)。合成によって生成されたペプチドの組成はアミノ酸分析又は配列決定によって確認することができる(例えば以下を参照されたい:T. Creighton, 1983, Proteins, Structures and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., New York, N.Y.)。
さらにまた、CD38JLのアミノ酸配列又はその任意の部分を直接合成時に改変し、及び/又は他のタンパク質若しくはその任意の部分由来の配列と一緒にしてバリアントポリペプチドを生成してもよい。さらにまた、固相法を用いるペプチド直接合成によってCD38JLを生成することも意図される(例えば以下を参照されたい:T.E. Creighton, 1984, Proteins:Structures and Molecular Properties, pp.55-60, W.H. Freeman & Co., New York, N.Y.)。タンパク質合成は、手動技術によっても又は自動化によっても実施することができる。自動合成は、例えばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を用いて実施することができる。CD38JLのフラグメントは別々に合成し、続いて完全長の分子を生成してもよい。
【0020】
CD38JL又はその誘導体は、本技術分野で公知の方法にしたがい、挿入コード配列の転写および翻訳に必要な適切な調節エレメントを含む発現ベクターにcDNA配列を挿入することによって作製することができる。これらの方法には、in vitro組換えDNA技術、合成技術及びin vivo遺伝子組み換えが含まれる(例えば以下を参照されたい:J. Sambrook et al. 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, N.Y., ch.4, 8, & 16-17;F.M. Ausubel et al.(1995及び周期的増補)Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y., ch.9, 13, 16)。
CD38JLのフラグメントは、本技術分野で周知の技術を用いて組換え体を生成することによって製造することができる。CD38JLをコードするヌクレオチド配列で形質転換した宿主細胞は、CD38JLタンパク質の発現及び細胞培養から前記の分離に適した条件下で培養されるであろう。さらにまた、CD38JLをコードする核酸配列を含む発現ベクターは、細胞膜からCD38JLの分泌を誘導するシグナル配列を含むように、又はタンパク質の精製を容易にするように、操作することができることは理解されよう。そのような精製ドメインには、固定された金属上での精製を可能にする金属キレートペプチド、固定免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質Aドメインが含まれる。
CD38JLポリヌクレオチド配列に由来するポリヌクレオチドプローブは、自己免疫及び炎症性症状のプローブ又は診断薬として有用であり得るということも意図される。したがって、本発明は、配列番号1並びに配列番号1の塩基188〜508及び775〜1884から選択される10以上の塩基を含む、単離及び精製したポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
CD38JLをコードするポリヌクレオチド配列は、CD38JLスプライスバリアントの発現を伴う疾患の診断に用いることができる。そのような疾患の例にはIBD及び他の炎症性疾患、例えばIBD、乾癬、慢性関節リウマチ及び自己免疫疾患が含まれる。
本発明のまた別の実施態様では、CD38JL又はその誘導体を発現することができるベクターを、免疫学的疾患を治療又は予防するために対象者に投与することができる。
また別の実施態様では、CD38JLの活性を調節するアゴニストを、免疫学的疾患を治療又は予防するために対象者に投与することができる。
本発明のまた別の実施態様では、CD38JLの活性を調節するアンタゴニストを、免疫学的疾患を治療又は予防するために対象者に投与することができる。CD38JLアンタゴニストは本技術分野で公知の方法を用いて製造することができる。アンタゴニストは、CD38JLに付随する酵素機能の有益な調節により効果的であると考えられる。アゴニスト又はアンタゴニストのどちらかがその機能に基づいて作用することができよう。
精製CD38JLを用いて、抗体を製造するか、又は医薬ライブラリーをスクリーニングしてCD38JLと特異的に結合するものを特定することができる。CD38JL抗体はまた、本技術分野で知られている方法を用いて製造してもよい。そのような抗体にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントが含まれるが、ただしこれらに限定されない。中和抗体(すなわちダイマー形成を阻害するもの)が治療的使用に特に好ましい。
【0022】
ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及び他の宿主を含む多様な宿主を、CD38JL又はその任意のフラグメント若しくはオリゴペプチド(免疫原性特性及び/又は抗原決定基を有する)で免疫することができる。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用いて、免疫学的応答を高めることができる。そのようなアジュバントには、フロイントの鉱物ゲル、例えば水酸化アルミニウム、及び表面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、多価陰イオン、ペプチド、懸濁油、KLH及びジニトロフェノールが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
好ましくは、CD38JLに対する抗体を誘導するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド又はフラグメントは、少なくとも約5アミノ酸、より好ましくは少なくとも約10アミノ酸から成るアミノ酸配列を有するべきである。さらにまた、これらのオリゴペプチド、ペプチド又はフラグメントは天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、天然に存在する小さな分子の完全なアミノ酸配列を含むことが好ましい。CD38JLの短い一続きの配列及び他のタンパク質を含まれるキメラ分子が、また意図される。
CD38JLモノクローナル抗体は、持続細胞株培養によって抗体分子を生成するための公知の方法を用いて製造することができる。これらの方法には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBVハイブリドーマ技術が含まれるが、ただしこれらに限定されない(例えば以下を参照されたい:G. Kohler et al. 1975, Nature 256:495-497;D. Kozbor et al. 1985, J. Immunol. Methods 81:31-42;R.J. Cote et al. 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;S.P. Cole et al. 1984, Mol. Cell. Biol. 62:109-120)。
【0023】
CD38JL抗体はまた、リンパ球細胞でのin vivo産生の誘導によって、又は免疫グロブリンライブラリー若しくは高度に特異的な結合試薬のライブラリーのスクリーニングによって、以下の文献に開示されているように製造することができる(R. Orlandi et al. 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. 86:3833-3837;G. Winter et al. 1991, Nature 349:293-299)。
CD38JL特異的抗体は、本技術分野で公知の多様な免疫アッセイを用いて特定することができる。そのような免疫アッセイは典型的には抗原-抗体複合体形成の測定を必要とする。2つの非干渉性CD38JLエピトープと反応するモノクローナル抗体を用いる、二部位モノクローナル系免疫アッセイ(two-site monoclonal-based immunoassay)が好ましいが、競合結合アッセイもまた用いることができる。CD38JLに対する抗体は炎症性症状治療の治療薬として有用であり得る。したがって、本発明のある実施態様では、配列番号1のポリペプチドと特異的に結合する精製抗体が提供される。
【0024】
診断薬
また別の実施態様では、CD38JLと特異的に結合する抗体は、CD38又はCD38JLの発現を特徴とする疾患の診断に、又はCD38JLポリペプチドのアゴニスト、アンタゴニスト又はCD38JL阻害物質で処置された患者をモニターするためのアッセイで用いることができる。診断の目的に有用な抗体は本明細書に記載する方法を用いて製造することができる。CD38JLのための診断アッセイには、ヒトの身体に由来するサンプル(組織、細胞、液)でCD38JLを検出するために抗体及び標識を利用する方法が含まれる。そこで、前記抗体は場合によって改変され、及び/又はレポーター分子の共有結合又は非共有結合によって標識される。
タンパク質(例えばCD38JL)の存在を検出するための多様なプロトコルが本技術分野で公知であり、ELISA、RIA及びFACSが含まれる。これらの方法は、異常レベルのCD38JL発現の診断に用いることができる。CD38JL発現の正常又は標準的な値は、健常な哺乳動物の対象(好ましくはヒト)から採取された体液又は細胞抽出物を複合体形成に適した条件下でCD38JLに対する抗体と混合することによって確立される。標準的な複合体形成量は、種々の方法(好ましくは測光的手段)によって測定することができる。対象者の組織サンプルで発現されるCD38JLのレベルを続いて標準的な値と比較する。標準値と対象者の値との間の偏差を計算し、疾患診断のためのパラメータの確立に用いる。
【0025】
CD38JLをコードするポリヌクレオチドを診断目的に用いることができる。使用することができるポリヌクレオチドのタイプには、オリゴヌクレオチド配列、RNA及びDNA分子、並びにPNAが含まれる。ポリヌクレオチドを用いて、CD38JLの発現が疾患と相関性を示す組織サンプルで遺伝子の発現を検出及び定量することができる。前記診断アッセイを用いて、CD38JLの有無、過剰発現を決定することができ、さらに治療的介入時のCD38JLレベルの調節をモニターすることができる。
本発明のある実施態様では、CD38JL特異的配列に対して作成したPCRプローブを用いて、CD38JLをコードする核酸配列を特定することができる。プローブの特異性(例えば前記が高度に特異的な領域から作成されるか否か)及びハイブリダイゼーション又は増幅のストリンジェンシー(最大、高度、中等度又は低いストリンジェンシー)が、前記プローブが、CD38JL、その対立遺伝子座又は関連配列をコードする天然に存在する配列のみを特定するか否かを決定するであろう。
核酸プローブはまた関連配列の検出に用いることができ、前記プローブは、CD38JLコード配列のいずれかに由来するヌクレオチドの少なくとも約60%を含む。本発明のハイブリダイゼーションプローブはDNAでもRNAでもよく、さらに配列番号2の配列から誘導することができる。
CD38JLをコードするポリヌクレオチド配列は、CD38JLの発現を伴う疾患の診断に用いることができる。
【0026】
CD38JLの発現を検出及び測定する方法
タンパク質(例えばCD38JL)の発現を前記タンパク質に特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体を用いて検出及び測定する方法は、本技術分野で理解されている(例えば以下を参照されたい:R. Hampton et al. 1990, Serological Methods, a Laboratory Manual, APS Press, St. Paul, Minn, Section IV;D.E. Maddox et al. 1983, J. Exp. Med. 158:1211-1216)。使用される好ましい技術には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光活性化細胞分類(FACS)及び放射性免疫アッセイ(RIA)が含まれる。CD38JL上の2つの非干渉性エピトープと反応するモノクローナル抗体を用いる二部位、モノクローナル抗体系免疫アッセイも、競合結合アッセイと同様に用いることができる。
種々の核酸及びアミノ酸アッセイで用いることができる多数の標識及び結合技術が有り、これらは本技術分野で公知である。CD38JLをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するために標識されたハイブリダイゼーションプローブ及びPCRプローブを作成する手段には、末端標識及び標識ヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれるが、ただしこれらに限定されない。また別には、CD38JLをコードする配列及びその誘導体を含むmRNAプローブは、本技術分野で公知の技術を用いて操作することができる。そのようなベクターは本技術分野で公知であり、さらに市販されていて、前記を用いてRNAプローブを適切なRNAポリメラーゼの添加によってin vitroで合成することができる。問題の分子を検出するために用いることができるレポーター分子又は標識には放射性核種、発色性物質、蛍光物質、化学発光物質が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0027】
一般的投与及び医薬組成物
本発明はまた、患者に本発明の化合物を投与することを含む、CD38JL機能の調節方法を提供する。患者のCD38JL機能を調節する目的が疾患の状態又は症状を治療することである場合、前記投与は、好ましくは治療的又は医薬的に有効な量の医薬的に許容できる本発明の化合物を含む。患者のCD38JL機能を調節する目的が診断又は他の目的(例えば患者の治療に対する適切性又は治療用量未満の種々の用量に対する患者の感受性の決定)のためである場合は、投与は好ましくは有効量(すなわち、所望の調節効果又は調節の度合いを得るために必要な量)の本発明の化合物を含む。
本発明の化合物は典型的には医薬組成物の形で投与することができる。そのような組成物は、製薬分野で周知の方法を用いて製造することができ、本発明の少なくとも1つの化合物を含む。本発明の化合物はまた単独で投与してもよいが、また、本発明の化合物の安定性を強化し、ある種の実施態様では本発明の化合物を含む医薬組成物の投与を促進し、溶解又は分散の増強、阻害活性の強化を提供し、補助治療を提供するアジュバントなどと併用して投与してもよい。本発明の化合物はそのものだけで用いてもよいが、また、本発明の他の活性物質と一緒に、場合によってはまた他の薬理学的に活性な物質と一緒に用いてもよい。一般的には、本発明の化合物は治療的に又は医薬的に有効な量で投与されるが、診断又は他の目的のためにはより少ない量で投与することができる。
【0028】
本発明の化合物(純粋な形態として又は適切な医薬組成物として)の投与は、医薬組成物の許容される投与態様のいずれかを用いて実施できる。したがって、投与は例えば経口的に、口腔に(例えば舌下)、経鼻的に、非経口的に、局所的に、経皮的に、膣内に又は直腸内に、固体、半固体、凍結乾燥粉末、又は液体投薬形で(例えば錠剤、座薬、ピル、軟質弾性及び硬質ゼラチンカプセル、散剤、溶液、懸濁液又はエーロゾルなど)、好ましくは正確な用量の簡単な投与に適した単位投薬形で実施できる。医薬組成物は一般的には通常の医薬担体又は賦形剤及び活性物質として本発明の化合物を含み、さらに前記に加えて他の薬効物質、医薬、担体、アジュバント、稀釈剤、ベヒクル又はそれらの組合せを含むであろう。そのような医薬的に許容できる賦形剤、担体又は添加物は、種々の投与態様を目的とする医薬組成物の製造方法と同様に当業者には周知である。本技術分野の状況は例えば以下の文献によって明瞭であろう。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A. Gennaro (ed.), Lippincott Williams & Wilkins, 2000;Handbook of Pharmaceutical Additives, Michael & Irene Ash (ed.), Gower, 1995;Handbook of Pharmaceutical Excipients, A.H. Kibbe (ed.), American Pharmaceutical Ass'n, 2000;H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger, 1990(本技術分野の状況をより明瞭に記述するために、前記文献の各々はそれらの全体が参照により本明細書に含まれる)。
【0029】
当業者には予想されるところであるが、個々の医薬製剤で利用される本発明の化合物の形態は、製剤が有効であるために必要な適切な物理的特徴(例えば水溶性)を有するもの(例えば塩)が選択されるであろう。口腔内(舌下)投与に適した医薬組成物には、ロゼンジ(味付け基剤(通常はシュクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴム)中に本発明の化合物を含む)、及びトローチ(不活性基剤(例えばゼラチン及びグリセリン又はシュクロース及びアラビアゴム)中に本発明の化合物を含む)が含まれる。
非経口投与に適した医薬組成物は本発明の化合物の無菌的水性調製物を含むことができる。前記の調製物は好ましくは静脈内に投与されるが、ただし皮下、筋肉内又は皮内注射によっても投与は有効であり得る。注射可能な医薬製剤は、通常は注射可能な無菌的食塩水、リン酸緩衝食塩水、油性懸濁液又は本技術分野で公知の他の注射可能な担体を基剤とし、通例では滅菌され、さらに血液と等張にされる。したがって、注射可能な医薬製剤は、無菌的な注射可能な溶液又は懸濁液として、毒性のない非経口的に許容できる稀釈剤又は溶媒、1,3-ブタンジオール、水、リンゲル液、生理食塩液、固定油(例えば合成モノ-又はジ-グリセリド)、脂肪酸(例えばオレイン酸)などで提供される。そのような注射可能な医薬製剤は、適切な分散剤若しくは硬化剤及び懸濁剤を用い公知の技術にしたがって製剤化される。注射可能な組成物は通例、0.1から5%(w/w)の本発明の化合物を含むであろう。
【0030】
本化合物の経口投与のための固形投薬形には、カプセル、錠剤、ピル、散剤、及び顆粒が含まれる。そのような経口投与のために、本発明の化合物を含む医薬的に許容できる組成物が、通常用いられる賦形剤のいずれか、例えば医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、シュクロース、クエン酸塩、プロピルガレートなどを取り込むことによって形成される。そのような固形医薬製剤には、本技術分野で周知のように、任意のメカニズムによって胃腸管への薬剤の長期にわたる又は持続的デリバリーを提供する製剤が含まれる。前記メカニズムには、小腸のpH変化による剤形からのpH感受性放出、錠剤又はカプセルの緩徐な崩壊、製剤の物理的特性による胃内での保持、腸管の基底粘膜への剤形の生物接着又は剤形からの活性薬剤の酵素による放出が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明の化合物の経口投与用液体剤形にはエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれ、前記は場合によって担体(例えば水、食塩水、デキストロース水、グリセロール、エタノールなど)中に医薬アジュバントを含む。前記組成物はまたさらに別のアジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤及び香料を含むことができる。
【0031】
本発明の化合物の局所投薬形には軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パウダー、溶液、スプレー、吸入薬、眼軟膏、目薬又は耳への滴下薬、薬剤含浸包帯、及びエーロゾルが含まれ、前記は、さらに適切な通常の添加物、例えば保存料、薬剤浸透を促進する溶媒、並びに軟膏及びクリームの保湿剤を含有することができる。局所適用は、通常の医療的考慮にしたがい1日に付き1回又は2回以上であり得る。さらにまた、本発明の好ましい化合物は、適切な鼻内ベヒクルの局所的使用により鼻内形として投与することができる。前記製剤はまた、適合する通常の担体、例えばクリーム又は軟膏基剤、及びローションのためのエタノール又はオレイルアルコールを含有することができる。そのような担体は製剤の約1%から約98%まで存在することができ、より一般的には、それらは製剤の約80%までを構成するであろう。
経皮的投与もまた可能である。経皮投与に適した医薬組成物は、長時間にわたって需要者の表皮と密着して維持されるように適合させた別個に分離した絆創膏として提供することができる。経皮的デリバリー系の形で投与されるために、投与は、もちろんのこと投薬スケジュールの全期間にわたって間欠的ではなく持続的であろう。そのような絆創膏は適切には、場合によって緩衝水溶液中に本発明の化合物を含み、前記は接着剤中に溶解及び/又は分散されるか、又はポリマー中に分散されている。活性化合物の適切な濃度は約1%から35%、好ましくは約3%から15%である。
【0032】
吸入による投与のためには、本発明の化合物は、発射ガスを必要としない噴霧装置から、又は適切な発射薬(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切なガス)を使用する加圧パック若しくはネブライザーから、エーロゾルスプレーの形態で都合よくデリバーされる。いずれの場合でも、エーロゾルスプレーの投薬単位は、計測量をデリバーするためのバルブを提供することによって決定され、その結果、得られた用量計測吸入器(MDI)を用いて、再現性があり管理された態様で本発明の化合物が投与される。そのような吸入器、ネブライザー、又はアトマイザー装置は、例えば以下の従来技術で公知である:PCT国際公開WO97/12687(特にその図6、前記は市販のRESPIMAT(商標)ネブライザーのための基本である);WO94/07607;WO97/12683;及びWO97/20590(これにより前記文献が引用され、さらに前記文献の各々は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
直腸投与はユニットドースの座薬を利用することによって実施することができる。前記ユニットドース座薬では、本発明の化合物が低温溶融水溶性又は不溶性固体(例えば脂肪、カカオ脂、グリセリン化ゼラチン、水素添加植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、又はポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなど)と混合される。活性化合物は通常マイナー成分であって、しばしば0.05重量%から10重量%で、残りは基剤成分である。
【0033】
上記の医薬組成物の全てで、本発明の化合物は許容される担体又は賦形剤とともに製剤化することができる。使用される担体又は賦形剤は、もちろんのこと、本組成物の他の成分と適合するという意味で許容可能でなければならず、さらに患者にとって有害であってはならない。担体又は賦形剤は固体でも液体でも又はその両者であってもよく、好ましくはユニットドース組成物(例えば錠剤)として本発明の化合物とともに製剤化される(前記ユニットドース組成物は、0.05重量%から95重量%の本発明の活性化合物を含むことができる)。そのような担体又は賦形剤には、不活性な充填剤又は希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、吸収剤、及び着色剤が含まれる。適切な結合剤にはデンプン、ゼラチン、天然糖(例えばグルコース又はβ-ラクトース)、トウモロコシ甘味料、天然及び合成ゴム(例えばアラビアゴム、トラガカントゴム又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが含まれる。滑沢剤にはオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤にはデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。
一般的には、治療的に有効な1日の用量は、1日に付き体重1kg当たり、約0.001mgから約15mgの本発明の化合物、好ましくは約0.1mgから約10mg/kg体重/日、もっとも好ましくは約0.1mgから約1.5mg/kg体重/日であろう。例えば70kgのヒトへの投与の場合、投薬範囲は約0.07mgから約1050mg/日の本発明の化合物、好ましくは約7.0mgから約700mg/日、もっとも好ましくは約7.0mgから約105mg/日であろう。ある程度の日常的な用量最適化が最適な投与量レベル及びパターンの決定に必要であろう。
医薬的に許容できる担体及び賦形剤は上述の全ての添加物などを包含する。
【実施例1】
【0034】
実施例1:CD4+細胞のマイクロアレイ分析
ドナーから入手した末梢血からヒトCD4+ T細胞を精製し、抗CD3抗体+抗CD28抗体、又は抗CD3抗体+ICAMにより24時間又は72時間刺激した。未刺激細胞をコントロールとして用いる。これら細胞から全RNAを抽出し、アフィメトリックスU95遺伝子チップを用いる分析によって定量した。発現プロフィル分析を実施し、T細胞活性化中(抗CD3抗体+抗CD28抗体、又は抗CD3抗体+ICAMのどちらかによる)にEST(AI989354)が高度に発現されることを特定した(図6)。データは異なる3人のドナー由来のT細胞によって確認された(図1)。
【実施例2】
【0035】
実施例2:正常組織のマイクロアレイ分析
正常組織における遺伝子AI989354の発現プロフィルもまたアフィメトリックスU95遺伝子チップ実験によって得た。多数のドナー由来のRNAサンプルを正常組織の各群について用いた。AI989354は正常な胸腺細胞で発現され(図4)、前記はT細胞及び免疫系で重要な機能であることが示唆される。検査した他の全ての正常組織でのAI989354の発現は比較的低かった(図4)。胸腺における選択的発現は、この遺伝子が重要な機能を有し、さらにこの遺伝子は好ましい標的になる可能性を示唆した。なぜならば、この遺伝子の他の組織での低い発現のために阻害物質、アンタゴニスト又はアゴニストによるその調節には副作用が少ない可能性があるからである。
【実施例3】
【0036】
実施例3:LJ-2の単離と配列決定
“ロンゲスト-クローン(Longest-Clone)”(Origene Technologies Inc, Rockville, MD)のヒト末梢血白血球(PBL)cDNAライブラリーアレイパネルからプラスミドクローンLJ-2を単離した。前記ヒトcDNAフラグメントをベクター、pCMV6-XL4(そのサイズはcDNAライブラリーを構築するために4.7kbである)に挿入した。約6百万個のサイズ選別クローン(胎児及び成人脳、心臓、腎臓、肝臓、肺臓、筋肉、末梢血白血球、胎盤、小腸、脾臓及び精巣から成る12のヒト組織のライブラリーパネルに由来する)を96ウェルの“スーパープレート”に並べた。前記スーパープレートの各ウェルは40,000クローンを含む。ライブラリースクリーンのために、3つのPCRプライマーをAI989354配列から設計した。
配列番号3:P1R(リバースプライマー) GAGGTGTTGAGTCTTTCTGGGCA
配列番号4:P2F(フォワードプライマー) ATAGCCTGCTTCCGAATTCTTGG
配列番号5:P3F(フォワードプライマー) CCCATGCTCCCTAATTCCCTTC
配列番号6:VP3F(フォワードプライマーベクター) GACAGAGCTCGTTTAGTGAACC
配列番号7:VP6R(リバースプライマーベクター) TAGAAGGACACCTAGTCAGAC
前記スーパープレートをP3F/P1Rプライマー対を用いてPCRによってスクリーニングした。続いて陽性ウェルをVP3F/P1Rプライマー対を用いてスクリーニングし、最長クローンをもつウェルを特定した。このウェルは“マスタープレート”に対応し、前記はウェル当たり5,000クローンを含んでいる。さらにまた、前記マスタープレートをVP3F/P1Rプライマーを用いてスクリーニングし、最長クローンを含むウェルを特定した。約96ウェルのサブプレート(マスタープレートの選別ウェルに由来し、ウェル当たり50クローンを含む)をP3F/P1Rプライマーを用いてPCRによりスクリーニングした。続いて、陽性サブプレート由来の細胞を平板培養し、96個の個々のコロニーを釣り上げ、PCRでスクリーニングし、プライマー対P3F/P1R、VP3F/P1R、P2F/VP6R及びP3F/VP6Rを用いて最終クローンを特定した。1つのクローンLJ-2からそれぞれP3F/P1R(〜436bp)、VP3F/P1R(〜1.7kb)、P2F/VP6R(〜590bp)及びP3F/VP6R(〜620bp)によってPCR生成物を増幅した。AI989354配列を含むLJ-2配列を、クローンLJ-2の挿入物を配列決定することによって得た。
【実施例4】
【0037】
実施例4:種々の炎症組織対正常組織におけるAI989354発現のマイクロアレイ分析
多数の炎症組織及び正常コントロール組織における遺伝子AI989354のmRNA発現もまたアフィメトリックスU95ジーンチップ実験によって得られた。AI989354発現は、炎症性大腸疾患の患者由来の炎症結腸組織で誘導される(39の正常結腸に対して6人のクローン病患者及び7人の潰瘍性大腸炎患者由来の結腸組織を比較)(図5)。前記遺伝子はまた、正常コントロールと比較して炎症直腸及び炎症脾臓で誘導される(図5)。これら炎症組織におけるAI989354の誘導発現は、AI989354はこれら組織における炎症応答を仲介する可能性を示唆する。
【実施例5】
【0038】
実施例5:データベースの配列検索
配列番号1と高度な類似性を有するタンパク質ファミリー、ドメイン又は部位を得るために、INTERPROプログラムを用いてインタープロ(InterPro)データベースの配列番号1の検索を実施した。この検索によって、2つのタンパク質ファミリー、PFO2267ファミリー及びSSF56629ファミリーが明らかにされた。前記PFO2267ファミリーは、ADP-リボシルシクラーゼCD38/157を有するポリペプチドをコードする。PFO2667のためのe-値は5.9e-05であった。前記SSF56629ファミリーもまた、ADP-リボシルシクラーゼ領域を有する。SSF56629のためのE-値は9e-23であった。
【0039】
(配列)
配列番号1
1 MKLGTQTVPC NKILLWSRIK DLAHQFTQVQ RDMFTLEDTL GYLADDLTW
51 CGEFNTSSEA LGPVGLPRDV EGEQSDFCWR P

配列番号2
1 GAATTCGCAC CAGAAGAGCC CAACTCTGTC TTGGCGTCAG TATCCTGGTC
CTTAAGCGTG GTCTTCTCGG GTTGAGACAG AACCGCAGTC ATAGGACCAG
51 CTGATCCTCG TCGTGGTGCT CGCGGTGGTC GTCCCGAGGT GGCGCCAGCA
GACTAGGAGC AGCACCACGA GCGCCACCAG CAGGGCTCCA CCGCGGTCGT
101 GTGGAGCGGT CCGGGCACCA CCAAGCGCTT TCCCGAGACC GTCCTGGCGC
CACCTCGCCA GGCCCGTGGT GGTTCGCGAA AGGGCTCTGG CAGGACCGCG
151 GATGCGTCAA GTACACTGAA ATTCATCCTG AGATGAGAAA CAGCTAAAAG
CTACGCAGTT CATGTGACTT TAAGTAGGAC TCTACTCTTT GTCGATTTTC
201 AAGTGAGTTG GGCCAGGCAC TGTGGCTCAC ACCTGTAATC CCAGCACTTT
TTCACTCAAC CCGGTCCGTG ACACCGAGTG TGGACATTAG GGTCGTGAAA
251 GGGAGGCCCA GGCAGGTGGA TCACTTAAGG TCAGGAGTAC AAGACCTGCC
CCCTCCGGGT CCGTCCACCT AGTGAATTCC AGTCCTCATG TTCTGGACGG
301 TGGCCAACAT GCTGAAACTC CGTCTCTACT AAAAATACAA AATTAGCCGG
ACCGGTTGTA CGACTTTGAG GCAGAGATGA TTTTTATGTT TTAATCGGCC
351 GTGTTGTGGC GCGTGCCTGT AATCCCAGCT ACTCTGGAGA CTGAGGTGGG
CACAACACCG CGCACGGACA TTAGGGTCGA TGAGACCTCT GACTCCACCC
401 AGAATCGCTT GAACCCAGGA GGAGGAGGTA GCACTGAACC AAGATCCAGC
TCTTAGCGAA CTTGGGTCCT CCTCCTCCAT CGTGACTTGG TTCTAGGTCG
451 CTGGCCAAGA GAGTAAGACT CCGTCTCAAA ACCAAACCAA ACCAAACCAA
GACCGGTTCT CTCATTCTGA GGCAGAGTTT TGGTTTGGTT TGGTTTGGTT
501 AAAAAGAAAC ATGTAGACTG CCAAAGTGTA TGGGATGCTT TCAAGGGTGC
TTTTTCTTTG TACATCTGAC GGTTTCACAT ACCCTACGAA AGTTCCCACG
551 ATTTATTTCA AAACATCCTT GCAACATTAC TGAAGAAGAC TATCAGCCAC
TAAATAAAGT TTTGTAGGAA CGTTGTAATG ACTTCTTCTG ATAGTCGGTG
601 TAATGAAGTT GGGAACTCAG ACCGTACCTT GCAACAAGAT TCTTCTTTGG
ATTACTTCAA CCCTTGAGTC TGGCATGGAA CGTTGTTCTA AGAAGAAACC
651 AGCAGAATAA AAGATCTGGC CCATCAGTTC ACACAGGTCC AGCGGGACAT
TCGTCTTATT TTCTAGACCG GGTAGTCAAG TGTGTCCAGG TCGCCCTGTA
701 GTTCACCCTG GAGGACACGC TGCTAGGCTA CCTTGCTGAT GACCTCACAT
CAAGTGGGAC CTCCTGTGCG ACGATCCGAT GGAACGACTA CTGGAGTGTA
751 GGTGTGGTGA ATTCAACACT TCCAGTGAGG CTCTGGGCCC TGTGGGATTG
CCACACCACT TAAGTTGTGA AGGTCACTCC GAGACCCGGG ACACCCTAAC
801 CCCAGGGATG TGGAGGGTGA ACAGAGTGAC TTCTGCTGGA GGCCCTGAAT
GGGTCCCTAC ACCTCCCACT TGTCTCACTG AAGACGACCT CCGGGACTTA
851 GATTAGTGTG GAGGACAGAG CCACAGGCAC CCATCCTGAT GCCATCTATA
CTAATCACAC CTCCTGTCTC GGTGTCCGTG GGTAGGACTA CGGTAGATAT
901 CTTATATTAG TCCATTTGTG TTGCTATTAA GGAATACCTG AGGCTGCGTA
GAATATAATC AGGTAAACAC AACGATAATT CCTTATGGAC TCCGACGCAT
951 ATTTATAAAG AAAAGAGGTT TATTTGACTC ACAGTTACGC AGGCTGTACA
TAAATATTTC TTTTCTCCAA ATAAACTGAG TGTCAATGCG TCCGACATGT
1001 AGAAGTAGGG TACCAGCATC CACTTCGGGT GAAGGCCTGA GGCTGTTTCC
TCTTCATCCC ATGGTCGTAG GTGAAGCCCA CTTCCGGACT CCGACAAAGG
1051 ACTCATGGAG AAGGGGAAGG GGAGCTGGCA TTTACAGAGA TCACATGGTG
TGAGTACCTC TTCCCCTTCC CCTCGACCGT AAATGTCTCT AGTGTACCAC
1101 AGGGAGGAAA GCAAGGAGAG GTCAGGGGAG GTGCCAGGCT GTTTGTAATG
TCCCTCCTTT CGTTCCTCTC CAGTCCCCTC CACGGTCCGA CAAACATTAC
1151 ACCAGCTGTC CTGGGAACTA GTAGAGTAAG AACTCATTAC TATAAGGACA
TGGTCGACAG GACCCTTGAT CATCTCATTC TTGAGTAATG ATATTCCTGT
1201 GCACCATGCC ATTCGTGCAG GATCATCCCT ATGACCCAAA CACCTCCTAC
CGTGGTACGG TAAGCACGTC CTAGTAGGGA TACTGGGTTT GTGGAGGATG
1251 TAGTCCCGAG CTCCAACACT GGGGGTCGAA TTTCAACATA AGGTTTGGAG
ATCAGGGCTC GAGGTTGTGA CCCCCAGCTT AAAGTTGTAT TCCAAACCTC
1301 AGTTAAATAT CCAAACTATA GCACTACCCT TAATGGCAAC TCAGGCTGAT
TCAATTTATA GGTTTGATAT CGTGATGGGA ATTACCGTTG AGTCCGACTA
1351 ATAAAGTAGC ATTCCCTGTT TTCTTGAAAA ATTGACTTCA GAGTTGGGGA
TATTTCATCG TAAGGGACAA AAGAACTTTT TAACTGAAGT CTCAACCCCT
1401 TTGCCCATGC TCCCTAATTC CCTTCTTTTG AGTGCTCACA TAGCCTGCTT
AACGGGTACG AGGGATTAAG GGAAGAAAAC TCACGAGTGT ATCGGACGAA
1451 CCGAATTCTT GGTATTTTGC TCTCTGTAAG GTCATCATTC AGGTCCAAAG
GGCTTAAGAA CCATAAAACG AGAGACATTC CAGTAGTAAG TCCAGGTTTC
1501 AAGTCTAGAA CAGGATGAGG TCTCAGTGGG ACCTAGACCA AGGTTCTTGC
TTCAGATCTT GTCCTACTCC AGAGTCACCC TGGATCTGGT TCCAAGAACG
1551 TCTTCAGAAT CATCACAGTA GCCATGGACT GGACTCTTCC ATCTCAGGCA
AGAAGTCTTA GTAGTGTCAT CGGTACCTGA CCTGAGAAGG TAGAGTCCGT
1601 CTGGCTTTGC CATCATTTTT CAGATGTAGC CTTACCCTGC CCAGAAAGAC
GACCGAAACG GTAGTAAAAA GTCTACATCG GAATGGGACG GGTCTTTCTG
1651 TCAACACCTC ACCAGGGGAA GGGATTTCCT ACAACCAAAA CCCTACTGCA
AGTTGTGGAG TGGTCCCCTT CCCTAAAGGA TGTTGGTTTT GGGATGACGT
1701 GTTTTCACTT CTTTTTTTTT TCTTTTTGTT TATATGGTGG ATATTTTTAC
CAAAAGTGAA GAAAAAAAAA AGAAAAACAA ATATACCACC TATAAAAATG
1751 TTTATATAGT TTTATTCTTA TTTTTACTGT TTTTCATTGT TTGTTTTTAA
AAATATATCA AAATAAGAAT AAAAATGACA AAAAGTAACA AACAAAAATT
1801 AAGCTTATCT TATTATAGCT TCTTTGTCCC AGGTTTGCAT TACTTTCAAT
TTCGAATAGA ATAATATCGA AGAAACAGGG TCCAAACGTA ATGAAAGTTA
1851 TACAAAAATA AAGCATGATT ATTTGAAAAA AAAAAAAAAA AAAACTCGAC
ATGTTTTTAT TTCGTACTAA TAAACTTTTT TTTTTTTTTT TTTTGAGCTG
【0040】
配列番号3
GAGGTGTTGAGTCTTTCTGGGCA

配列番号4
ATAGCCTGCTTCCGAATTCTTGG

配列番号5
CCCATGCTCCCTAATTCCCTTC;

配列番号6
GACAGAGCTCGTTTAGTGAACC

配列番号7
TAGAAGGACACCTAGTCAGAC
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】CD38JLをコードするcDNAクローンLJ-2の配列を示す。
【図2】cDNAクローンLJ-2の染色体上マッピングを示す。
【図3】CD38JL及びCD38のポリペプチド配列のアラインメントを示す。
【図4】正常なヒトの組織におけるAI989354のmRNA発現プロフィルを示す。
【図5】正常な組織に対して種々の炎症性組織におけるAI989354のmRNA発現プロフィルを示す。
【図6】アフィメトリックス(Affymetrix)U95ジーンチップアレイにより測定した、刺激及び非刺激CD4+T細胞におけるAI989354のmRNA発現プロフィルを示す。
【図7】cDNAクローンLJ-2の予想される最長開放読み枠(METから始まる)を示す。
【図8】CD38スプライスバリアントLJ-2の最長開放読み枠のアラインメントを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のポリペプチド又はそのフラグメントを含む実質的に精製されたポリペプチド。
【請求項2】
配列番号1のアミノ酸残基58〜81を含む、請求項1のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号1のアミノ酸配列又は配列番号1のアミノ酸58〜81を含むフラグメントを含むポリペプチドをコードする、単離及び精製されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号2から選択される10以上の塩基を含む、単離及び精製されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号2の塩基188〜508又は塩基775〜1884から選択される10以上の塩基をさらに含む、請求項4に記載の単離及び精製されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチド同一性を有する10以上のバリアントの単離及び精製されたポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列又は配列番号1のフラグメントから成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離及び精製されたポリヌクレオチド、又は、配列番号1のアミノ酸配列又は配列番号1のフラグメントから成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと実質的に相補的な単離及び精製されたポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1のアミノ酸配列から成るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのフラグメントを少なくとも含む発現ベクター。
【請求項9】
宿主細胞内に含まれる、請求項8の発現ベクター。
【請求項10】
炎症性腸疾患を治療する方法であって、
炎症性長疾患の治療の必要がある患者に、治療的に有効な量のCD38JLスプライスバリアントポリペプチドアゴニスト若しくはアンタゴニスト又はそれらの医薬として許容される塩を投与する工程を含む、前記治療方法。
【請求項11】
請求項1の実質的に精製された配列番号1のポリペプチドを適切な医薬担体と一緒に含む医薬組成物。
【請求項12】
ヒトの炎症性疾患を治療する方法であって、
炎症性疾患の治療を必要とする患者に、治療的に有効な量のCD38JL阻害物質を投与する工程を含む、前記治療方法。
【請求項13】
炎症性腸疾患、乾癬、慢性関節リウマチ又は自己免疫疾患を治療又は予防する方法であって、
そのような治療又は予防を必要とする患者に、治療的に有効な量のCD38JL阻害物質及び/又はアンタゴニストを投与する工程を含む、前記治療又は予防方法。
【請求項14】
核酸を含む生物学的サンプル中でCD38JLをコードするポリヌクレオチド配列を検出する方法であって、
(a)配列番号1の配列又は配列番号1のフラグメントを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの相補物を、前記生物学的サンプルの核酸の少なくとも1つとハイブリダイズさせ、それによってハイブリダイゼーション複合体を形成する工程;及び
(b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する工程、ここで前記ハイブリダイゼーション複合体の存在は、前記生物学的サンプルにおけるCD38JLをコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を示す;
を含む、前記方法。
【請求項15】
配列番号1のポリペプチドと特異的に結合する精製抗体。
【請求項16】
配列番号1のポリペプチド58〜81と特異的に結合する精製抗体。
【請求項17】
配列番号2の連続する19〜25ヌクレオチドと実質的に同一であるヌクレオチドの第一の鎖及び前記第一の鎖と実質的に相補的な第二の鎖を含む、二本鎖リボ核酸。
【請求項18】
ヒトの細胞内でCD38の内因性発現を阻害する、アンチセンスオリゴヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公表番号】特表2008−504804(P2008−504804A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553257(P2006−553257)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004357
【国際公開番号】WO2005/087806
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(500091335)ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (55)
【Fターム(参考)】