説明

D−グルコピラノシル−フェニル置換環状体、そのような化合物を含有する医薬品、それらの使用及びその製造方法

本発明は、下記の一般式のD-グルコピラノシルフェニル置換環状体に関する:
【化1】


(式中、R1〜R6、Z、Cy並びにR7a、R7b、R7cおよびR7dは、請求項1において定義している)。
本発明の化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対する抑制作用を有する。また、本発明は、代謝疾患の治療用医薬品にも関する。
に関連する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、下記の一般式Iを有するD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体、その互変異性体、その立体異性体、それらの混合物およびそれらの塩類に関する:
【化1】

(式中、基R1〜R6、Z、Cy、並びにR7a、R7b、R7cおよびR7dは、以下で定義するとおりである)。
さらに、本発明は、本発明に従う式Iの化合物を含有する製薬組成物、並びに代謝性障害の治療用製薬組成物の製造における本発明に従う化合物の使用に関する。また、本発明は、本発明に従う製薬組成物および化合物の製造方法にも関する。
【0002】
(背景技術)
ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対して抑制作用を有する化合物は、疾病、とりわけ糖尿病の治療についての文献において提案されている。
グルコピラノシル置換芳香族群、その製造およびSGLT-2インヒビターとしてのその可能性ある活性は、公開された国際特許出願WO 98/31697号、WO 01/27128号、WO 02/083066号、WO 03/099836号、WO 04/13118号、WO 04/80990号、WO 04/52902号、WO 04/52903号およびWO 05/12326号から既知である。
【0003】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする課題)
本発明の目的は、新規のピラノシル置換フェニル類、とりわけ、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2に対して効能を有するピラノシル置換フェニル類を開示することである。本発明のさらなる目的は、既知の構造的に類似する化合物と比較して、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に対して生体外および/または生体内においてより高い抑制効果を有し、および/または改善された薬理特性または薬物動態特性を有するピラノシル置換フェニル類を開示することである。
さらにまた、本発明は、代謝性障害、とりわけ糖尿病の予防および/または治療に適する新たな製薬組成物を製造することも意図する。
また、本発明は、本発明に従う化合物の製造方法にも関する。
本発明のさらなる目的は、上記および下記の説明から、当業者にとって直ちに明らかとなるであろう。
【0004】
(課題を解決するための手段)
第1の局面においては、本発明は、下記の一般式Iを有するD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体、その互変異性体、その立体異性体、それらの混合物およびそれらの塩類、とりわけそれらの生理学上許容し得る塩類に関する:
【化2】

[式中、
【化3】

は、一重結合または二重結合を示し;
【0005】
Cyは、N、OおよびSから互に個々に選ばれた1個、2個または3個のヘテロ原子を環中に含み得、且つ一重結合を介してR4、R5およびR6により、さらに一重結合または二重結合を介してR3により置換された5員または6員の飽和またはモノ不飽和炭素環を示し;そして、1個または2個のメチレン基はCOによって置換し得、或いはスルファニル基はSOまたはSO2によって置換し得、さらに、炭素に結合した1個以上のH原子はフッ素によって置換し得;
Zは、-O-、-CH2-、-CH=、NRN-、-CO-、-S-、-SO-または-SO2-を示すが、メチレンまたはメタニリリデンブリッジのH原子は、互に個々に、CH3またはFによって置換し得;
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノ-カルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノまたはニトロを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;さらに、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得;
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノまたはニトロを示すが、アルキル基はフッ素によってモノ置換またはポリ置換し得;或いは、R1およびR2がフェニル環の2個の隣接C原子に結合している場合には、R1およびR2は、一緒になって、R1およびR2がC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレンまたはブタジエニレンブリッジを一緒に形成するように結合し得、これらのブリッジは、部分的または完全にフッ素化し得るか、または塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得;さらに、ブタジエニレンブリッジの場合には、1個または2個のメチン基はN原子によって置換し得;
【0006】
R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3アルキル、ヘテロアリール-C1-3アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノまたはニトロを示し;そして、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;さらに、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;また、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得;或いは、R3は、二重結合によってCyに結合した基Yを示し;
R4は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、アミノ、C1-3-アルキル-アミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、C1-3-アルキルカルボニルアミノ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-3-アルコキシカルボニル、または1〜3個のフッ素原子により置換されたメチルもしくはメトキシを示し;そして、R3およびR4がCy環の同じC原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4がC2-6-アルキレンまたはC4-6-アルケニレンブリッジを一緒に形成するように結合し得、これらのブリッジは、部分的または完全にフッ素化し得るか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;さらに、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得;或いは、R3およびR4がCy環の2つの隣接原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4がCy環の2つの隣接原子と一緒に環付加型の飽和またはモノ不飽和もしくはポリ不飽和5員または6員炭素環を形成するように結合し得;さらに、1個または2個のメチレン基は、互いに個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得るかおよび/または1個または2個のメチン基はNにより置換し得、さらに、モノ-またはポリフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;或いは、芳香族環付加型環の場合には、同一または異なる置換基Lによってモノ置換またはジ置換し得;
【0007】
R5は、水素、フッ素、塩素、シアノ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシまたは1〜3個のフッ素原子により置換したメチルもしくはメトキシを示し;或いは、R4およびR5は、R4およびR5が、一緒になって、C1-4-アルキレンまたはC2-4-アルケニレンブリッジを形成するように互いに結合しており、これらのブリッジは、Cy環の2、3または4個の原子と一緒に環付加型またはブリッジ型環を形成し、且つ部分的にまたは完全にフッ素化し得或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNによって置換し得;
R6は、水素、C1-3-アルキルまたはフッ素を示し;或いは、R4、R5およびR6は、R4、R5およびR6が、一緒になって、C3-6-アルカントリイルブリッジを形成し、該ブリッジがCy環と一緒にブリッジ型の二環または三環系を形成するように互いに結合しているが、前記アルカントリイルブリッジは、モノ-またはポリフッ素化し得或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、CO、SO2またはNRNによって置換し得;
Yは、酸素、或いはメチリデン、フルオロメチリデン、クロロメチリデン、C1-6-アルキル-メチリデン、C2-6-アルケニル-メチリデン、C2-6-アルキニル-メチリデン、C3-10-シクロアルキル-メチリデン、C5-10-シクロアルケニル-メチリデン、C3-10-シクロアルキリデン、C5-10-シクロアルケニリデン、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル-メチリデン、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル-メチリデン、アリールメチリデン、ヘテロアリールメチリデン、アリール-C1-3-アルキル-メチリデンまたはヘテロアリール-C1-3-アルキル-メチリデンを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデンおよびシクロアルケニリデン基は、部分的または完全にフッ素化し得るか或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニルおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、上記の置換されてないメチリデン基または上記のモノ置換メチリデン基は、フッ素、塩素、C1-3-アルキル、トリフルオロメチル、C1-4-アルコキシ、シアノまたはニトロによってさらに一置換し得;さらに、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデンおよびシクロアルケニリデン基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNによって置換し得;或いは、Yは、下記の部分式:
【0008】
【化4】

(式中、Dは、カルボニルまたはスルホニルを示し;
RYは、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチルまたはC1-3-アルキルを示し;
Bは、一重結合、-O-または-NRN-を示し;
RBは、水素、C1-6-アルキル、C3-6-アルケニル、C3-6-アルキニル、C3-10-シクロアルキル、C5-10-シクロアルケニル、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3-アルキルまたはヘテロアリール-C1-3-アルキルを示すが、アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;或いは、RBおよびBは、一緒に結合して、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよび4-(C1-4-アルキル)-ピペラジンから選ばれた複素環を形成するが、該複素環はイミノ基を介して基Dに結合しており;
RNは、互に個々に、HまたはC1-4-アルキルを示す)
に従う基を示し;
Lは、互に個々に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよびシアノの中から選ばれ;
R7a、R7b、R7c、R7dは、互に個々に、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニルおよびアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルの中から選ばれた意味を有するが、上記の各基の定義において挙げたアリール基は、フェニルまたはナフチル基を意味し、これらの基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得;そして、上記の各基の定義において挙げたヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル基;或いは、1個または2個のメチン基が窒素原子によって置換されているピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリルまたはピリジル基;或いは、1〜3個のメチン基が窒素原子によって置換されているインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル基を意味するが、上記の各ヘテロアリール基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得;また、上記の各基の定義において挙げたN-ヘテロシクロアルキル基は、環中にイミノ基を含む飽和炭素環を意味し、環中にもう1つの必要に応じて置換したイミノ基またはOもしくはS原子を含み得る;そして、
特に断らない限り、上述した各アルキル基は、直鎖または枝分れであり得る];
但し、下記の化合物(D1)を除外する:
(D1):3-[(3-β-D-グルコピラノシル-4,5-ジメトキシフェニル)メチル]-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]-ジヒドロ-2(3H)-フラノン。
【0009】
本発明に従う一般式Iの化合物およびその生理学上許容し得る塩は、価値ある薬理特性、とりわけ、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2に対しての抑制作用を有する。さらにまた、本発明に従う化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対する抑制作用も有し得る。SGLT1に対する可能性ある抑制作用と比較すると、本発明に従う化合物は、好ましく、SGLT2を選択的に抑制する。
また、本発明は、本発明に従う化合物の無機または有機酸との生理学的に許容し得る塩類にも関する。
化合物(D1)、即ち、3-[(3-β-D-グルコピラノシル-4,5-ジメトキシフェニル)メチル]-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]-ジヒドロ-2(3H)-フラノン (Chemical Abstructs 登録番号106678-86-8)は、Abe, Fumiko、Yamauchi, Tatsuo; Lignans from Trachelospermum asiaticum, Chemical & Pharmaceutical Bulletin (1986), 34 (19), 4340-5に記載されているが、SGLTに対する抑制作用に関連する記載は何もない。
従って、本発明は、製薬組成物としての、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む、生理学的に許容し得る塩類を含む本発明に従う化合物の使用にも関する。
また、本発明は、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学的に許容し得る塩類の1種を含む本発明に従う少なくとも1種の化合物または本発明に従う生理学的に許容し得る塩を、必要に応じて1種以上の不活性担体および/または希釈剤と一緒に含有する、製薬組成物にも関する。
【0010】
本発明のさらなる主題は、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む本発明に従う少なくとも1種の化合物またはそのような化合物の生理学上許容し得る塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2を抑制することによって作用し得る疾患または症状の治療または予防に適する製薬組成物の製造における使用である。
また、本発明は、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学的に許容し得る塩類の1種を含む本発明に従う少なくとも1種の化合物またはそのような化合物の生理学上許容し得る塩の、代謝性障害の治療に適する製薬組成物の製造における使用にも関する。
また、本発明は、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む本発明に従う少なくとも1種の化合物またはその生理学上許容し得る塩類の1種の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、とりわけSGLT2を抑制する製薬組成物の製造における使用にも関する。
さらに、本発明は、上記で明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む本発明に従う化合物またはその生理学上許容し得る塩の1種を、非化学的方法により、1種以上の不活性担体および/または希釈剤中に混入させることを特徴とする、本発明に従う製薬組成物の製造方法にも関する。
【0011】
また、本発明は、下記を特徴とする、本発明に従う一般式Iの化合物の製造方法にも関する:
a) 上記および以下で定義するような一般式Iの化合物を製造するために、下記の一般式II:
【化5】

(式中、R'は、H、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニルまたはアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを示し、上記アルキルまたはアリール基は、ハロゲンによってモノ置換またはポリ置換されていてもよく;
【0012】
R8a、R8b、R8c、R8dは、互に個々に、基R7a、R7b、R7c、R7dについて上記および以下で示す意味の1つを有し;或いは、ベンジル基またはRaRbRcSi基またはケタールもしくはアセタール基、とりわけ、アルキリデンまたはアリールアルキリデンケタールまたはアセタール基を示すが、各場合において、2つの隣接基R8a、R8b、R8c、R8dは、環状ケタールまたはアセタール基または1,2-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,2-ジ(C1-3-アルキル)-エチレンブリッジを形成し、また、上述のエチレンブリッジは、ピラノース環の2個の酸素原子および2個の結合炭素原子と一緒に、置換ジオキサン環、とりわけ2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成し、アルキル、アリールおよび/またはベンジル基は、ハロゲンまたはC1-3-アルコキシによってモノ置換またはポリ置換し得、また、ベンジル基もジ-(C1-3-アルキル)アミノ基によって置換し得;
Ra、Rb、Rcは、互に個々に、C1-4-アルキル、アリールまたはアリール-C1-3-アルキルを示し、上記のアリールまたはアルキル基は、ハロゲンによってモノ置換またはポリ置換し得;また、上記基の定義において挙げたアリール基は、フェニルまたはナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
基R1〜R6およびブリッジZおよび環Cyは、上記および以下におけるように定義する)
を有する化合物を、酸の存在下に還元剤と反応させて、存在する任意の保護基を同時にまたはその後開裂させるか;或いは、
b) R7a、R7b、R7cおよびR7dが水素を示す一般式Iの化合物を製造するために、下記の一般式III:
【0013】
【化6】

(式中、Z、Cy、R8a、R8b、R8c、R8d並びにR1〜R6は、上記および以下におけるように定義し、基R8a、R8b、R8cおよびR8dの少なくとも1つは水素を示さない)
を有する化合物において、水素を示さない上記基R8a、R8b、R8cまたはR8dを除去、とりわけ加水分解する;そして、必要に応じて、上記の反応における工程a)またはb)において使用するあらゆる保護基を開裂させ;および/または、必要に応じて、そのようにして得られた一般式Iの化合物をヒドロキシル基において選択的に誘導体化するかまたはこの化合物を置換し;および/または、必要に応じて、そのようにして得られた一般式Iの化合物をその各立体異性体に分割し;および/または、必要に応じて、そのようにして得られた一般式Iの化合物をその塩、とりわけ、製薬用途のため、その生理学上許容し得る塩に転換する。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
特に断らない限り、上記の基、残基および置換基、とりわけ、R1〜R6、Y、Z、Cy、L、RN、R7a、R7b、R7c、R7d、RY、D、B、RBは、上記および以下で定義するとおりである。
残基、置換基または基が1つの化合物中に数回出現する場合、これらは、同じまたは異なる意味を有し得る。
上記および以下で、例えば、基Y、R1およびR3において使用する用語アリールは、好ましくは、フェニルを示す。一般的な定義によれば、また特に断らない限り、アリール基、とりわけ、フェニル基は、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得る。
上記および以下で、例えば、基Y、R1およびR3において使用する用語ヘテロアリールは、好ましくは、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリルまたはチアジアゾリルを示す。一般的な定義によれば、また特に断らない限り、ヘテロアリール基は、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得る。
Cy環の好ましい意味は、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロチオフェン、ジチオランおよび1,3-ジチアンであり;メチレン基は、COによって置換し得;さらに、上述したように、R3、R4、R5およびR6で置換されており、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得る。
上記の環状基において、メチレン基がCOによって置換される場合、基Cyの好ましい定義は、テトラヒドロフラノン、テトラヒドロピラノン、ピペリジノン、ピペラジノンおよびモルホリノンから選ばれる。
【0015】
さらにまた、Cyにおいて好ましいものとして上記で特定した基においては、二重結合が各場合において存在し得る。そのようなモノ飽和Cy環の好ましい意味は、シクロペンテンおよびシクロヘキセンである。置換基R3、R4、R5および/またはR6のいずれかが一緒に結合している場合、この二重結合は、環付加型環状系の一部でもあり得る。
Cy環のとりわけ好ましい意味は、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフランおよび1,3-ジオキサンであり、上記で特定したように、R3、R4、R5およびR6によって置換されており、そして、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得る。
本発明に従う式Iの化合物は、Cy環中の環原子数により2つの実施態様に分類し得る。
第1の実施態様によれば、本発明に従う式Iの好ましい化合物は、基Cyが6員の飽和またはモノ不飽和炭素環を示す化合物であり、N、OおよびSから互いに個々に選ばれた1個、2個または3個、好ましくは1個または2個のヘテロ原子を環中に含み得;そして、一重結合を介してR4、R5およびR6によって、一重または二重結合を介してR3によって置換されており;さらに、メチレン基はCOによって置換し得、或いはスルファニル基はSOまたはSO2によって置換し得;さらに、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得;また、他の置換基および基は、上記および以下で示す意味を有する。
この実施態様に従う好ましいCy環は、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンおよび1,3-ジチアンであり;メチレン基がCOによって置換されていてもよく;そして、上記で特定したように、R3、R4、R5およびR6によって置換されており;さらに、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換されていてもよい。
上記の環状基において、メチレン基がCOによって置換されている場合、基Cyの好ましい定義は、テトラヒドロピラノン、ピペリジノン、ピペラジノンおよびモルホリノンから選ばれる。
さらにまた、二重結合は、Cyについて好ましいものと特定した基中に、各場合において存在し得る。そのようなモノ不飽和Cy環の好ましい定義は、シクロヘキセンである。置換基R3、R4、R5および/またはR6が一緒に結合している場合、この二重結合は、環付加型環状系の一部でもあり得る。
とりわけ好ましいCyは、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ピペリジン、ピペラジンおよび1,3-ジオキサンであり;上述したように、R3、R4、R5およびR6によって置換されており、さらに、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得る。
【0016】
第2の実施態様によれば、本発明に従う式Iの好ましい化合物は、基Cyが5員の飽和またはモノ不飽和炭素環を示す化合物であり;N、OおよびSから互いに個々に選ばれた1個、2個または3個、好ましくは1個または2個のヘテロ原子を環中に含み得;そして、一重結合を介してR4、R5およびR6によって、一重または二重結合を介してR3によって置換されており;さらに、メチレン基はCOによって置換し得、或いはスルファニル基はSOまたはSO2によって置換し得;さらに、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得;また、残りの置換基および基は、上記および以下で示す意味を有する。
この実施態様によれば、好ましいCy環は、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジチオランおよびテトラヒドロチオフェンであり;メチレン基がCOによって置換されていてもよく;そして、上述したように、R3、R4、R5およびR6によって置換されており;さらに、炭素に結合した1個以上のH原子は、フッ素によって置換されていてもよい。
上記の環状基において、メチレン基がCOによって置換される場合、基Cyの好ましい定義は、テトラヒドロフラノンである。
さらにまた、Cyについて好ましいものとして上記で特定した基においては、二重結合が各場合において存在し得る。そのようなモノ不飽和Cy環の好ましい意味は、シクロペンテンである。置換基R3、R4、R5および/またはR6が一緒に結合している場合、この二重結合は、環付加型環状系の一部でもあり得る。
とりわけ好ましいCyは、シクロペンタン、ピロリジンおよびテトラヒドロフランであり;上述したように、R3、R4、R5およびR6によって置換されており;炭素に結合する1個以上のH原子は、フッ素によって置換し得る。
Cyが6員の環状基を示す場合には、基R3は、好ましくはブリッジZに対して3位置または4位置に、とりわけ好ましくはブリッジZに対して4位置に存在する。
Cyが5員の環状基を示す場合には、基R3は、好ましくは、ブリッジZに対して3位置に存在する。
【0017】
従って、Cyが6員の環状基を示す第1の実施態様に従う好ましい化合物は、下記の式I.1およびI.1'によって説明される:
【化7】

(式中、V1、V2は、互に個々に、CまたはNを示し;
U1、U2、U3、U4は、互に個々に、C、N、O、COまたはSO2を示すが、UおよびVによって形成された環においては、直接一緒に結合しないNおよびOから選ばれた最大2個のヘテロ原子が存在し、COおよびSO2から選ばれた最大1個の基が存在し、残りのCおよびN原子への遊離化学結合は水素によって飽和されていることを条件とし;そして、
残りの基および置換基は、上記または以下で示す意味の1つを有する)。
【0018】
さらにまた、Cyが5員の環状基を示す第2の実施態様に従う好ましい化合物は、下記の式I.2によって説明し得る:
【化8】

(式中、V1、V2は、互に個々に、CまたはNを示し;
U1、U2、U3は、互に個々に、C、N、O、COまたはSO2を示すが、UおよびVによって形成された環においては、直接一緒に結合しないNおよびOから選ばれた最大2個のヘテロ原子が存在し、COおよびSO2から選ばれた最大1個の基が存在し、残りのCおよびN原子への遊離化学結合は水素によって飽和されていることを条件とし;そして、
残りの基および置換基は、上記または以下で示す意味の1つを有する)。
【0019】
一般式Iの、とりわけ、式I.1、I.1'およびI.2の新規な化合物中の残りの基および置換基の幾つかの好ましい定義を、以下に示す:
好ましくは、R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C5-10-シクロアルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニル-スルホニル、ヒドロキシおよびシアノを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;さらに、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;また、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得る。
基R1がシクロアルキルまたはシクロアルケニル基を示し、1個または2個のメチレン基が、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換されている場合には、基R1の好ましい意味は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ジオキサニルおよびトリオキサニルの中から選ばれる。
基R1がN-ヘテロシクロアルキル基を示し、メチレン基がCOまたはSO2によって置換されている場合には、基R1の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノンおよびモルホリノンの中から選ばれる。
とりわけ好ましくは、R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C5-10-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキルオキシまたはシアノを示すが、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン単位は、互に個々に、OまたはCOによって置換し得、さらに、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得る。
最も特段に好ましい基R1の例は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、エチニル、メトキシ、シクロペンチルオキシおよびシアノ、とりわけ塩素およびメチルである。
【0020】
基R2の好ましい意味は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、および1〜3個のフッ素によって置換されたメチルである。
基R2のとりわけ好ましい意味は、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびメチル、とりわけ水素およびメチルである。
R1およびR2がフェニル環の2個の隣接C原子に結合している場合には、R1およびR2は、一緒になって、R1およびR2が、一緒になって好ましくは、C3-4-アルキレンまたはブタジエニレンブリッジを形成するように結合し得;1個または2個のメチレン単位は、互に個々に、O、NRNまたはCOによって置換し得;さらに、ブタジエニレンブリッジの場合には、メチン基は、N原子によって置換し得る。好ましくは、一緒に結合した基R1およびR2は、これらの基が結合しているフェニル環と一緒に、インダン、ジヒドロインドール、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロ-キノリノン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、キノリンまたはイソキノリンから選ばれる二環式環状系を形成する。
【0021】
置換基R3は、上記で示す意味を有する。R3がN原子に結合している場合には、R3は、好ましくは、ハロゲン或いはアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアリールスルファニルを示さない。
基R3が一重結合を介してCyに、とりわけC原子に結合している場合には、R3は、好ましくは、水素、フッ素、塩素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-メチル、C5-10-シクロアルケニル、C3-10-シクロアルケニル-メチル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニル-オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシおよびシアノを示し;そして、R3がN原子に結合している場合には、R3は、好ましくは、水素、シアノ、C1-4-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-6-シクロアルケニル、C5-6-シクロアルケニル-C1-3アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニルまたはヘテロアリールスルホニルを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;さらに、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;また、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得る;但し、用語アリールおよびヘテロアリールは、上記で定義したとおりであり、アリールおよびヘテロアリール基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得る。
【0022】
基R3がシクロアルキルまたはシクロアルケニル基を示し、1個または2個のメチレン基が、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換されている場合には、基R3の好ましい定義は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニルおよびジオキサニルの中から選ばれる。
基R3がN-ヘテロシクロアルキル基を示し、メチレン基がCOまたはSO2によって置換されている場合には、基R3の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノンおよびモルホリノンの中から選ばれる。
R3のとりわけ好ましい意味は、とりわけR3がC原子に結合している場合は、水素、シアノ、ヒドロキシ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキルオキシ、フェニル、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルキルオキシカルボニル、ピロリジノン-N-イル、ピラゾリル、テトラゾリルおよびヒドロキシであり;さらに、R3がN原子に結合している場合は、R3は、とりわけ好ましくは、水素、シアノ、C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキル、アリール、C1-4-アルキルカルボニルまたはC1-4-アルキルスルホニルであるが、シクロアルキル基においては、1個または2個のメチレン単位は、互に個々に、OまたはCOによって置換し得、さらに、アルキル基はモノフッ素化またはポリフッ素化し得、フェニル、ピラゾリルまたはテトラゾリル基は、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得る。
最もとりわけ好ましい基R3は、水素、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、2-メチルプロピル、フェニル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、メトキシカルボニル、N-ピロリジノニル、1H-ピラゾール1-イル、2H-テトラゾール-5-イルおよび2-メチル-2H-テトラゾール-5-イルであり;さらに、R3がN原子に結合している場合には、R3は、最も特段に好ましくは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、2-メチルプロピルまたはメチルカルボニルを示す。
【0023】
基R3が二重結合を介して、とりわけC=C二重結合を介してCyに結合している場合は、R3は、基Yから選ばれた意味を有する。
基Yは、好ましくは、酸素、C1-6-アルキル-メチリデン、C2-6-アルキニル-メチリデン、C2-6-アルケニル-メチリデン、C3-7-シクロアルキル-メチリデンまたはC3-7-シクロアルキリデンを示すが、上記のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、部分的または完全にフッ素化し得るか、或いは、互に個々に、塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた置換基によってモノ‐またはジ置換し得;そして、上記の置換されていないメチリデン基または上記のモノ置換メチリデン基は、フッ素、C1-3-アルキル、トリフルオロメチルまたはシアノによってさらにモノ置換し得;さらに、シクロアルキリデン基においては、メチレン基は、O、SまたはNRNによって置換し得、また、エチレン基は、-NRN-CO-、-CO-NRN-、-O-CO-または-CO-O-によって置換し得る。
シクロアルキリデン基において、メチレン基が、O、SまたはNRNによって置換されているか、または、エチレン基が、-NRN-CO-、-CO-NRN-、-O-CO-または-CO-O-によって置換される場合には、そのような置換シクロアルキリデン基の意味は、好ましくは、ジヒドロフラニリデン、ジヒドロピラニリデン、ジヒドロチオフェニリデン、ピロリジニリデン、ピペリジニリデン、ジヒドロフラノニリデン、ジヒドロピラノニリデン、ピロリジノン-イリデン、N-メチルピロリジノニリデン、ピペリジノニリデンおよびN-メチルピペリジノニリデンの中から選ばれる。
基Yの最も特段に好ましい定義は、酸素、C1-6-アルキル-メチリデン、C3-7-シクロアルキル-メチリデンおよびC3-7-シクロアルキリデンである。
基Yの最も特段に好ましい定義の例は、酸素、エチリデン、イソブチリデン、シクロペンチル-メチリデンおよびシクロペンチリデンである。
【0024】
もう1つの好ましい変異形によれば、Yは、好ましくは、下記の部分式Tに従う基を示す:
【化9】

(式中、RYは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチルまたはC1-3-アルキルを示し;
Dは、カルボニルまたはスルホニルを示し;
Bは、一重結合、-Oまたは-NRN-を示し;
RBは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3-アルキルまたはヘテロアリール-C1-3-アルキルを示すが、アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか、或いはシアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ‐またはジ置換し得;或いは、RBおよびBは、一緒に結合して、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよび4-(C1-4-アルキル)-ピペラジンから選ばれた複素環を形成するが、該複素環は、イミノ基を介して基Dに結合している)。
2個のメチレン基がOまたはSによって或いはCO、SOまたはSO2によって置換されている残基または基Y、R1またはR3においてシクロアルキルまたはシクロアルケニル環が存在する場合には、これらのメチレン基は、好ましくは、直接一緒に結合していない。しかしながら、2個のメチレン基がOおよびCOによって置換される場合には、これらのメチレン基は、直接一緒に結合して、O-CO-または-CO-O-基を形成し得る。Y、R1またはR3が本発明に従って置換した1または2個のメチレン基を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル基である場合には、相応する基Y、R1またはR3は、好ましくは、メチレン基がO、S、CO、SOまたはSO2によって置換されているか、またはエチレン基が-O-CO-または-CO-O-によって置換されているシクロアルキルまたはシクロアルケニル基を示す。
【0025】
一般式I、式I.1およびI.2並びに上記の各実施態様に従って好ましいものとみなされる他の基および置換基の幾つかの意味を以下に示す:
基R4の好ましい意味は、水素、メチルおよびフッ素、とりわけ水素である。R4がN原子に結合している場合には、R4は、好ましくは、水素またはメチルを示す。
R3およびR4がCyの同じC原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4が、好ましくは、一緒にC4-5-アルキレンブリッジを形成するように結合し得、1または2個のメチレン単位は、互に個々に、O、NRNまたはCOによって置換し得る。好ましくは、互いに一緒に結合している基R3およびR4は、これらの基が結合しているCyの炭素原子と一緒に、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラノン、ピロリジン、ピロリジノン、ジオキソラン、ジチオラン、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピラノン、ジチアンおよびジオキサンから選ばれた環、とりわけジオキソランを形成する。
R3およびR4がCy環の2個の隣接C原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4が、Cy環の上記2個の隣接原子と一緒に、好ましくは、環付加型のシクロヘキサン、ベンゼンまたはシクロペンタジエン環を形成するように結合し、1または2個のメチレン基は、互に個々に、O、SまたはNRNによって置換し得、および/または1または2個のメチレン基は、Nによって置換し得;そして、モノ-またはポリフッ素化するか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得;或いは、芳香族環付加型環の場合は、同一または異なる置換基Lによってモノ-またはジ置換し得る。
好ましくは、互いに結合している基R3およびR4は、Cy環の上記2個の隣接原子と一緒に、環付加型のシクロヘキサン、ベンゼン、フラン、チオフェンまたはピロール環、とりわけシクロヘキサンまたはベンゼン環を形成し、モノ-またはポリフッ素化するか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得;或いは、ベンゼン、フラン、チオフェンまたはピロールから選ばれた芳香族環付加型環の場合は、同一または異なる置換基Lによってモノ-またはジ置換し得る。
【0026】
基R5の好ましい意味は、水素、メチルおよびフッ素、とりわけ水素である。R5がN原子に結合している場合には、R5は、好ましくは、水素またはメチルを示す。
R4およびR5が、Cy環の2個、3個または4個の原子と一緒に結合して、環付加型またはブリッジ型の環状基を形成している場合には、R4およびR5は、一緒になって、好ましくは、C2-4-アルキレンブリッジを示し、1または2個のメチレン単位は、互に個々に、O、NRNまたはCOによって置換し得る。好ましくは、Cyと一緒に互に結合している基R4およびR5は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、オクタヒドロインデンおよびデカリンから選ばれた二環式環を形成し、1または2個のメチレン単位は、互に個々に、O、NRNまたはCOによって置換し得る。とりわけ好ましくは、Cyと一緒に結合している基R4およびR5は、ビシクロ[3.2.1]オクタン系を形成する。
上記の二環式環において、1または2個のメチレン単位が、互に個々に、O、NRNまたはCOによって置換されている場合には、好ましい意味としては、デカヒドロキノリン、デカヒドロイソキノリン、オクタヒドロキノリン、オクタヒドロイソキノリン、デカヒドロキノキサリン、オクタヒドロキノキサリノン、オクタヒドロベンゾキサジンがある。
基R6の好ましい意味は、水素、メチルおよびフッ素、とりわけ水素である。R6がN原子に結合している場合には、R6は、好ましくは、水素またはメチルを示す。
基R4、R5およびR6が一緒に結合している場合には、これらの基は、一緒に、好ましくは、Cy環と一緒になって三環系を形成するC4-5-アルカントリイルブリッジを形成するが、該アルカントリイルブリッジは、モノ-またはポリフッ素化するか、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得;さらに、1または2個のメチレン基は、互に個々に、O、CO、SO2またはNRNによって置換し得る。好ましくは、Cy環と一緒のC4-5-アルカントリイルブリッジは、トリシクロノナン、トリシクロデカンおよびトリシクロウンデカン、とりわけ好ましくはアダマンタンから選ばれた三環系を形成し、これらの3環系は、置換されてなくてもよく、或いはモノ-またはポリフッ素化するかまたは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得る。
【0027】
基Zの好ましい意味は、-O-、-CH2-、-CF2-、-C(CH3)2-、-CH=、NRN-および-CO-、とりわけ-O-、-CH2-および-CH=、最も好ましくは-CH2-およびO-である。
置換基R7a、R7b、R7c、R7dは、互に個々に、好ましくは、水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニル、ベンゾイル;とりわけ、水素または(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル;とりわけ好ましくは、水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニルまたはエチルカルボニルを示す。最も好ましくは、R7a、R7b、R7cおよびR7dは、水素を示す。
R7a、R7b、R7cおよびR7dが、水素以外、例えば、C1-8-アルキルカルボニルである本発明に従う意味を有する式Iの化合物は、好ましくは、R7a、R7b、R7cおよびR7dが水素を示す式Iの化合物の合成における中間生成物として適切である。
置換基Lは、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよびシアノの中から、とりわけ好ましくは、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシおよびジフルオロメトキシの中から、互に個々に選ばれる。置換基LがN原子と結合している場合は、Lの好ましい意味は、C1-3-アルキル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルから選ばれる。
【0028】
一般式Iのとりわけ好ましい化合物は、下記の式I.1a〜I.1dおよびI.2a〜I.2d、とりわけ、式I.1cおよびI.2cから選ばれる:
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
【化12】

上記各式において、V1、V2は、互に個々に、CまたはNを示し;
U1、U2、U3、U4は、互に個々に、C、N、O、COまたはSO2を示すが、UおよびVによって形成された環においては、直接一緒には結合しないNおよびOから選ばれた最大2個のヘテロ原子が存在し、COおよびSO2から選ばれた最大1個の基が存在し、残りのCおよびN原子への遊離化学結合は水素で飽和されていることを条件とし;
R1〜R6、Z、R7a、R7b、R7c、R7dは、上記で定義したとおりである。
【0031】
最も好ましいのは、基 U1、U2、U3、U4、V1およびV2が炭素を示す、即ち、基UおよびVによって形成された環状基がシクロヘキサンを示す式I.1a、I.1b、I.1cおよびI.1d、とりわけ、式I.1cの化合物である。
最も好ましいのは、基R1〜R6、Z、R7a、R7b、R7c、R7dが上記で好ましいものとして示した意味、とりわけ、下記の意味を有する、式I.1a〜I.1dまたはI.2a〜I.2d、とりわけ、式I.1cおよびI.2cの化合物(その互変異性体、その立体異性体、それらの混合物およびそれらの塩類、とりわけそれらの生理学上許容し得る塩類を含む)である:
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシまたはシアノを示すが、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1または2個のメチレン単位は、互に個々に、OまたはCOおよびアルキル、アルケニルによって置換し得、また、アルキニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得る;とりわけ好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、エチニル、メトキシ、シクロペンチルオキシまたはシアノを示す。
【0032】
R3は、(1) 水素、シアノ、ヒドロキシ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ、フェニル、C1-4-アルキルカルボニル、C1-4-アルキルオキシカルボニル、ピロリジノン-N-イル、ピラゾリル、テトラゾリルまたはヒドロキシを示し、また、R3がN原子に結合している場合には、R3は、好ましくは、水素、シアノ、C1-4-アルキル、C3-6-シクロアルキル、アリール、C1-4-アルキルカルボニルまたはC1-4-アルキルスルホニルを示すが、上記シクロアルキル基においては、1または2個のメチレン単位は、互に個々に、OまたはCOによって置換し得、アルキル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得、フェニル基は、同一または異なる置換基Lによってモノ-またはジ置換し得る;とりわけ好ましくは、R3は、水素、シアノ、ヒドロキシ、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、2-メチルプロピル、フェニル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、メトキシカルボニル、N-ピロリジノニル、1H-ピラゾール-1-イル、2H-テトラゾール-5-イルまたは2-メチル-2H-テトラゾール5-イルを示し、また、R3がN原子に結合している場合には、R3は、とりわけ好ましくは、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、2-メチルプロピルまたはメチルカルボニルを示し;或いは、(2) 下記:
【0033】
【化13】

を示し;そして、
Yは、(1) 酸素を示し;或いは、(2) C1-6-アルキル-メチリデン、C2-6-アルキニル-メチリデン、C2-6-アルケニル-メチリデン、C3-7-シクロアルキル-メチリデンまたはC3-7-シクロアルキリデンを示すが、上記のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、部分的または完全にフッ素化し得、さらに、互に個々に、塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた置換基によってモノ-またはジ置換し得、;上記の置換されていないメチリデン基または上記のモノ置換メチリデン基は、フッ素、C1-3-アルキル、トリフルオロメチルまたはシアノによってさらにモノ置換し得;さらに、シクロアルキリデン基においては、メチレン基は、O、SまたはNRNによって置換し得、或いはエチレン基は、-NRN-CO-、-CO-NRN-、-O-CO-または-CO-O-によって置換し得;とりわけ好ましくは、Xは、C1-6-アルキル-メチリデン、C3-6-シクロアルキル-メチリデンまたはC3-7-シクロアルキリデンを示し;或いは、(3) 下記の部分式T:
【化14】

(式中、RYは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチルまたはC1-3-アルキルを示し;
Dは、カルボニルまたはスルホニルを示し;
Bは、一重結合、-Oまたは-NRN-を示し;
RBは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3-アルキルまたはヘテロアリール-C1-3-アルキルを示すが、アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的または完全にフッ素化し得るか、或いはシアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得;或いは、RBおよびBは、一緒に結合して、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよび4-(C1-4-アルキル)-ピペラジンから選ばれた複素環を形成するが、該複素環は、イミノ基を介してC=O基に結合する)
に従う基を示す。
【0034】
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロまたは1〜3個のフッ素原子によって置換したメチル;とりわけ好ましくは、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシまたはメチル;とりわけ、水素またはメチルを示し;
R4、R5、R6は、各々の場合において、互に個々に、水素、メチルまたはフッ素、とりわけ水素を示し、また、該置換基がN原子に結合している場合には、各々の場合において、個々に、水素またはメチルを示し;或いは、基R4、R5およびR6は、一緒に結合して、C4-5-アルカントリイルブリッジを形成し、Cy環と一緒になって、トリシクロノナン、トリシクロデカンおよびトリシクロウンデカンから選ばれた三環系、とりわけ好ましくはアダマンタンを形成し、これらの三環系は、置換されてないか、或いはモノ-またはポリフッ素化されているか、または塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ-またはジ置換し得る;
Zは、酸素、メチリデンまたはメチレン、とりわけ好ましくはメチレンを示し;
R7a、R7b、R7c、R7dは、互に個々に、水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニルまたはベンゾイル;とりわけ、水素または(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル;とりわけ好ましくは、水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニルまたはエチルカルボニル;最もとりわけ好ましくは、水素を示し;
Lは、互に個々に、フッ素、塩素、臭素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシまたはシアノを示し;そして、LがN原子に結合している場合には、互に個々に、C1-3-アルキル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチル示す。
【0035】
また、上記の各実施態様の変形によれば、置換基R3を担持する環状基Cyが水素以外の少なくとも1個の他の置換基R4、R5および/またはR6を有する化合物も好ましい。また、この変形によれば、メチルまたはフッ素を示す置換基R4を有する化合物も好ましい。
一般式Iのとりわけ好ましい化合物は、下記の中から選ばれ、それらの互変異性体、それらの立体異性体またはそれらの混合物も包含する:
(a) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(b) 1-クロロ-2-(シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(c) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(d) 1-クロロ-2-(シス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(e) 1-クロロ-2-(トランス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)- ベンゼン;
(f) 1-クロロ-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(g) 1-クロロ-2-(1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(h) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(i) 1-クロロ-2-(シス-3-メトキシ-シクロペント-1-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(j) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-4-イルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(k) 1-クロロ-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(l) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン;
(m) 1-クロロ-2-(アダマント-2-イルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン。
【0036】
本発明に従う化合物を説明するのに上記および以下で使用する幾つかの用語を、以下でより詳細に説明する。
用語ハロゲンは、F、Cl、BrおよびI、とりわけF、ClおよびBrからなる基から選ばれた原子を示す。
互換的に使用する用語“部分的にまたは完全にフッ素化し得る”および“モノ-またはポリフッ素化し得る”とは、そのように表示された基が、フッ素化されていないかまたは1個以上のフッ素置換基を含むことを示しており、このことは、示された基の完全フッ素化も含む。
nが1〜18の値を有し得る用語C1-n-アルキルは、1〜n個のC原子を有する飽和の枝分れしたまたは枝分れしていない炭化水素基を示す。そのような基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル等がある。
用語メチレンは、-CH2基を示し;用語メチンは、CH基を示す。
用語メチリデンは、二重結合によって結合している部分式
【化15】

の基を示す。
用語C1-n-アルキル-メチリデンは、水素原子がC1-n-アルキル基によって置換されているメチリデン基を示す。
用語メタニリリデンは、一重結合および二重結合を介して結合した部分式
【化16】

のCHブリッジを示す。
用語“ブタジエニレン”は、下記の基を示す:
【化17】

【0037】
nが3〜6の値を有する用語C2-n-アルキニルは、2〜n個C原子およびC(3重結合)C 三重結合を有する枝分れしたまたは枝分れしていない炭化水素を示す。そのような基の例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニル等がある。特に断らない限り、アルキニル基は、位置1のC原子を介して分子の外に結合している。従って、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル等のような用語は、用語1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、1-ブチン-1-イル等と等価である。また、このことは、C2-n-アルケニル基にも同様に当てはまる。
用語C1-n-アルコキシまたはC1-n-アルキルオキシは、C1-n-アルキルが上記で定義したとおりであるC1-n-アルキル-O基を示す。そのような基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソ-ペントキシ、ネオ-ペントキシ、tert-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソ-ヘキソキシ等がある。
用語C1-n-アルキルカルボニルは、C1-n-アルキルが上記で定義したとおりであるC1-n-アルキル-C(=O)基を示す。そのような基の例としては、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソ-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソ-ブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、イソ-ペンチルカルボニル、ネオ-ペンチルカルボニル、tert-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、イソ-ヘキシルカルボニル等がある。
用語C3-n-シクロアルキルは、3〜n個のC原子を有する飽和のモノ-、ビ-、トリ-またはスピロ炭素環を示す。そのような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、デカリン、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチル等がある。好ましくは、用語C3-7-シクロアルキルは、飽和の単環式基を示す。
【0038】
用語C3-n-シクロアルキルオキシは、C3-n-シクロアルキルが上記で定義したとおりであるC3-n-シクロアルキル-O基を示す。そのような基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ等がある。
用語C5-n-シクロアルケニルは、上記で定義したとおりであり且つ少なくとも1個の不飽和C=C 二重結合をさらに含むC5-n-シクロアルキル基を示す。
用語C3-n-シクロアルキルカルボニルは、C3-n-シクロアルキルが上記で定義したとおりであるC3-n-シクロアルキルC(=O)基を示す。
用語トリ-(C1-4-アルキル)シリルは、同一のアルキル基または2または3個の異なるアルキル基を含むシリル基を含む。
用語ジ-(C1-3-アルキル)アミノは、同一のアルキル基または2個の異なるアルキル基を含むアミノ基を含む。
用語N-ヘテロシクロアルキルは、環中にイミノ基を含み、且つ環中にもう1つの必要に応じての置換イミノ基またはOもしくはS原子をさらに含み得る飽和炭素環を示す。イミノ基は、基-NH-を意味する。そのようなN-ヘテロシクロアルキル基の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N-アルキル-ピペラジンおよびモルホリンである。
基中に、例えば、X、R1またはR3中に存在するアルキル基が置換、例えば、フッ素化され得る場合、このことは、直接アルキル基を示すアルキル基のみならず、例えば、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシアルキル等のようなアルキル基を含む他の定義にも及ぶ。即ち、例えば、アルキル基が部分的にまたは完全にフッ素化され得るアルコキシを示すX、R1およびR3は、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシも包含する。
環状基、例えば、フェニル基中または基Cy中の置換基の結合をフェニル環の中心に向けて示す上記および以下で示す方式は、特に断らない限り、その置換基が、H原子を担持する環状基の任意の遊離位置に結合し得ることを示す。即ち、2個の置換基も環状基のメチレン基に結合し得る。
【0039】
本発明に従う化合物は、おおむね既知の合成方法を使用して得ることができる。好ましくは、本発明の化合物は、以下でより詳細に説明する本発明に従う下記の方法によって得られる。
以下で説明するグルコース誘導体は、有機金属化合物の形の所望のアリール基の付加により、D-グルコノラクトンまたはその誘導体から合成し得る(下記の図式1)。
図式1:有機金属化合物のグルコノラクトンへの付加
【化18】

【0040】
図式1に従う反応は、最良には、塩素、臭素またはヨウ素で置換した芳香族基から出発して実施する。相応する有機金属化合物は、上記から、いわゆるハロゲン-金属交換または金属を炭素-ハロゲン結合に挿入することのいずれかによって調製し得る。ハロゲン-金属交換は、例えば、例えばn-、sec-またはtert-ブチルリチウムのような有機リチウム化合物によって実施し、それにより、相応するリチウム化芳香族基を得る。また、同類のマグネシウム化合物も、例えば、イソプロピルマグネシウムブロマイドまたはジイソプロピルマグネシウムのような適切なグリニャール化合物によるハロゲン-金属交換によって生成させ得る。反応は、好ましくは0〜-100℃、とりわけ好ましくは-30〜-80℃で、例えば、エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサンまたは塩化メチレンのような溶媒中で実施する。このようにして得られたマグネシウムまたはリチウム化合物は、三塩化セリウムのような金属塩と金属交換し、上記の付加に適し得る他の有機金属化合物を生成させることもできる。また、上記有機金属化合物は、金属を塩化、臭化またはヨウ化アリールの炭素-ハロゲン結合中に挿入することによっても調製し得る。この目的における適切な金属類は、例えば、リチウムまたはマグネシウムである。有機金属化合物のグルコノラクトンまたはその誘導体への付加は、好ましくは0〜-100℃、とりわけ好ましくは-30〜-80℃の温度で実施する。適切な溶媒は、例えば、エーテル、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、テトラヒドロフランまたはその混合物を含む(M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/ Singapore, 1994参照)。
上記芳香族基の合成方法は、 有機化学における標準の形質転換であり、当該技術の一般知識の一部であり、或いは有機合成における方法として専門文献から少なくとも知られていることであり、当該技術者であれば、本発明に従う化合物に関して容易に利用し得るであろう(とりわけ、J. March, Advanced Organic Reactions, Reactions, Mechanisms, and Structure, 4th Edition, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1992、該論文における引用文献、並びに合成例I-IX, XI-XIV および 2を参照されたい)。
【0041】
本発明の方法a)に従う一般式Iの化合物を調製するためには、下記の一般式II:
【化19】

(式中、Z、CyおよびR'、R1〜R6は、上記で定義したとおりであり;
R8a、R8b、R8cおよびR8dは、上記で定義したとおりであり、互に個々に、例えば、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリアルキルシリル、ベンジルまたは置換ベンジルを示す)
を有する化合物を還元剤と酸の存在下に反応させる。
上記反応用の適切な還元剤としては、例えば、トリエチル、トリプロピル-、トリイソプロピル-またはジフェニルシランのようなシラン類、ホウ化水素ナトリウム、シアノホウ化水素ナトリウム、ホウ化水素亜鉛、ボラン、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムまたはヨウ化サマリウムがある。還元は、好ましくは、例えば、塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、三フッ化ホウ素エーテル化物、トリメチルシリルトリフレート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフレートまたはヨウ化亜鉛のような適切な酸の存在下に実施する。還元剤および酸に応じて、上記反応は、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水、またはこれらの混合物のような溶媒中で-60℃〜120℃の温度で実施し得る。例えば、試薬のとりわけ適する組合せは、トリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテル化物からなり、この組合せを、アセトニトリルまたはジクロロメタン中で-60℃〜60℃の温度で好都合に使用する。さらにまた、水素は、活性炭上のパラジウムまたはラネーニッケルのような遷移金属触媒の存在下に、例えば、上記の形質転換用のテトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水または酢酸のような溶媒中で使用し得る。
【0042】
また、本発明の方法b)に従う一般式Iの化合物を調製するためには、下記の一般式IIIの化合物において、保護基を開裂させる:
【化20】

(式中、Cy、ZおよびR1〜R6は、上記で定義したとおりであり;
R8a〜R8dは、例えば、アシル、アリールメチル、アセタール、ケタールまたはシリル基のような上記で定義した保護基の1つを示す)。
使用するアシル、アセタールまたはケタール保護基は、いずれも、例えば、水性溶媒、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水またはジオキサン/水中で、トリフルオロ酢酸、塩酸または硫酸のような酸の存在下または水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのようなアルカリ金属塩基の存在下に加水分解的に、或いは、例えば、イオドトリメチルシランの存在下に非プロトン的に、0〜120℃の温度、好ましくは10〜100℃の温度で開裂させる。トリフルオロアセチル基は、好ましくは、必要に応じての酢酸のような溶媒の存在下の50〜120℃の温度での塩酸のような酸による処理によって、或いは必要に応じてのテトラヒドロフランまたはメタノールのような溶媒の存在下の0〜50℃の温度での水酸化ナトリウム溶液による処理よって開裂させる。
【0043】
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶媒混合物またはメタノールもしくはエタノールのような低級アルコール中で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムメトキシドのような塩基の存在下に開裂させる。また、水性溶媒またはアルコール性溶媒においては、例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸または酢酸のような酸も適している。例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化物試薬も、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジクロロメタンのような有機溶媒中で開裂させるのに適している。
ベンジル、メトキシベンジルまたはベンジルオキシカルボニル基は、有利には、例えば、パラジウム/活性炭のような触媒の存在下に、メタノール、エタノール、酢酸エチルまたは氷酢酸のような適切な溶媒中で、必要に応じて塩酸のような酸の酸を添加して、0〜100℃の温度、好ましくは20〜60℃の周囲温度で、1〜7バール、好ましくは3〜5バールの水素圧下に、例えば水素による水素添加分解によって開裂させる。しかしながら、2,4ジメトキシベンジル基は、好ましくは、トリフルオロ酢酸中でアニソールの存在下に開裂させる。
tert.ブチルまたはtert.ブチルオキシカルボニル基は、好ましくは、トリフルオロ酢酸または塩酸のような酸による処理によりまたはイオドトリメチルシランによる処理により、塩化メチレン、ジオキサン、メタノールまたはジエチルエーテルのような溶媒を必要に応じて使用して開裂させる。
上記の各反応においては、エチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノまたはイミノ基のような存在する反応基は、いずれも、例えば上述したような反応後に再び開裂させる通常の保護基によって、反応中に保護し得る。
例えば、エチニル基用の保護基は、トリメチルシリル基で有り得る。
例えば、ヒドロキシ基用の保護基は、トリメチルシリル、アセチル、トリチル、ベンジルまたはテトラヒドロピラニル基であり得る。
アミノ、アルキルアミノまたはイミノ基用の保護基の例としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジルまたは2,4-ジメトキシベンジル基がある。
【0044】
さらにまた、このようにして得られた一般式Iの化合物は、ヒドロキシ基で選択的に誘誘導体化し得、或いはヒドロキシ基自体を置換し得る。
さらにまた、得られた一般式Iの化合物は、上述したように、それらの鏡像異性体および/またはジアステレオマーに分割し得る。即ち、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシスおよびトランス異性体に分割し、少なくとも1個の光学活性炭素原子を有する化合物を、それらの鏡像異性体として分別し得る。
即ち、例えば、シス/トランス混合物は、クロマトグラフィーによってそれらのシスおよびトランス異性体として分割し得;ラセミ体として生じる得られた一般式Iの化合物は、それ自体公知の方法 (Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971を参照) によってそれらの光学対掌体として分離し得;少なくとも2個の不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それらの物理化学的差異に基づき、それ自体公知の方法を使用して、例えば、クロマトグラフィーによりおよび/または分別晶出により、それらのジアステレオマーに分割し得;これら化合物がラセミ体の形で得られる場合、これら化合物は、その後、上述したようにして鏡像異性体に分割し得る。
鏡像異性体は、好ましくは、キラル相上のカラム分離により、或いは光学活性溶媒からの再晶出により、或いはラセミ化合物と塩または例えばエステルもしくはアミドのような誘導体を形成する光学活性物質、とりわけ、酸類およびその活性化誘導体またはアルコール類と反応させ、そのようにして得られた塩または誘導体のジアステレオマー混合物を、例えば、溶解性の差異に基づき分離することにより分離し得る;一方、遊離の対掌体は、純粋ジアステレオマー塩または誘導体から、適切な薬剤の作用によって放出させ得る。通常使用する光学活性の酸類は、例えば、DおよびL形の酒石酸またはジベンソイル酒石酸、ジ-oトリイル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸またはキナ酸である。光学活性アルコールは、例えば、(+)または()メタノールであり得、アミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)または()メチルオキシカルボニルである。
【0045】
さらにまた、得られた式Iの化合物は、それらの塩として、とりわけ、製薬用途のための生理学上許容し得る塩として、無機または有機酸によって転換し得る。この目的において使用し得る酸類としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸またはマレイン酸がある。
さらにまた、得られた化合物は、混合物、例えば、アミノ酸、とりわけ、高結晶度のようなとりわけ良好な特性を有し得るプロリンまたはフェニルアラニンのようなアルファ-アミノ酸との1:1または1:2混合物に転換し得る。
出発物質として使用する一般式IIおよびIIIの化合物は、文献から一部は公知であり、或いは文献から公知の方法により、さらにまた、実施例において説明する方法と同様にして、必要に応じてさらなる保護基を含ませることによって取得し得る。
また、本発明に従う化合物は、下記の実施例において説明する方法によって有利に取得し得る;この方法も、熟練者にとって文献から公知の方法、例えば、とりわけWO 98/31697号、WO 01/27128号、WO 02/083066号、WO 03/099836号、WO 04/063209号およびWO 04/76470号において記載された方法と組合せ得る。
【0046】
前記で既に説明したように、本発明に従う一般式Iの化合物およびその生理学上許容し得る塩類は、価値ある薬理特性、とりわけ、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、好ましくはSGLT2に対する抑制効果を有する。
当該新規な化合物の生物学的特性は、下記のようにして試験し得る:
SGLT-2活性を抑制する物質の能力は、ヒトナトリウムグルコース共輸送体2(GenebankAcc. No.NM_003041)のコード配列にに対するcDNAを含有する発現ベクターpZeoSV (Invitrogen社、EMBL 受託番号 L36849)を安定的に移入されているCHO-K1細胞系(ATCC No. CCL 61)またはHEK293細胞系(ATCC No. CRL-1573) (CHO-hSGLT2またはHEK-hSGLT2)における試験設定において実証し得る。これらの細胞系は、14C-標識化アルファ-メチル-グルコピラノシド(14C-AMG、Amersham社)をナトリウム依存性の形で細胞の内部に輸送する。
SGLT-2分析を下記のように実施する:
CHO-hSGLT2細胞を、10%のウシ胎仔血清および250μg/mlのゼオシン(zeocin) (Invitrogen社)を含むHam´s F12培地 (BioWhittaker社)中で培養し;HEK293-hSGLT2細胞を、10%のウシ胎仔血清および250μg/mlのゼオシン (Invitrogen社)を含むDMEM培地中で培養する。
細胞を、PBSで2回洗浄し、次いで、トリプシン/EDTAにより処理することによって培養フラスコから脱着させる。細胞培養培地を添加した後、細胞を遠心分離し、培養倍地中に再懸濁させ、Casy細胞カウンターで計数する。その後、ウェル当り40,000個の細胞を、 ポリ-Dリシンでコーティーングした白色96-ウェルプレートに種付けし、37℃、5%CO2で1夜インキュベートする。細胞を250μlのアッセイ緩衝液で2回洗浄する(Hanksの平衡塩類溶液;137 mM NaCl、5.4 mM KCl、2.8 mM CaCl2、1.2 mM MgSO4 および10 mM HEPES (pH7.4)、50 μg/mlのゲンタマイシン)。その後、250μlのアッセイ緩衝液および5μlの試験化合物を、各ウェルに添加し、プレートをインキュベーター内でさらに15分間インキュベートする。5μlの10% DMSOを陰性対照として使用する。反応を、5μlの14C-AMG (0.05μCi)を各ウェルに添加することによって開始する。37℃、5%CO2での2時間のインキュベーション後、細胞を250μlのPBSで再度洗浄し(20℃)、その後、25μlの0.1 N NaOHの添加によって溶解させる(37℃で5分)。200μlのMicroScint20 (Packard社)を各ウェルに添加し、インキュベーションを37℃でさらに20分続行する。このインキュベーションの後、吸収した14C-AMGの放射活性を、14Cシンチレーションプログラムを使用するTopcount (Packard社)によって測定する。
【0047】
ヒトSGLT1に対する選択性を測定するために、同様な試験を設定し、hSGLT2 cDNAの代わりにhSGLT1 (Genebank Acc. NM000343)のcDNAをCHO-K1またはHEK293細胞内で発現させる。
また、hSGLT1およびhSGLT2における細胞膜電位の測定も、物質の生物学的試験において使用し得る。早期に開示された上記細胞モデルをこのために使用し得る。試験においては、ポリ-D-リシンをコーティーングした透明基底を有する黒色384-ウェルプレートのウェル当り10,000個の細胞を培養培地に種付けし、37℃、5% CO2で16時間インキュベートする。その後、細胞を無グルコース-HBSS緩衝液(12.67モル/lのCaCl2、4.93ミリモル/lのMgCl2、4.07ミリモル/lのMgSO4、4.41ミリモル/lのKH2PO4;pH7.4)で2回洗浄し、20μl HBSSで覆う。20μlの荷電用緩衝液(Membrane Potential Assay Kit Explorer R8126、イスマニングのMolecular Devices社)と適切な濃度の20μlの試験すべき物質を添加した後、インキュベーションを37℃、5% CO2でさらに30分続行する。測定をFluorescent Imaging Plate Reader (イスマニングのMolecular Devices社)で485 nmの励起波長で実施し、20μlの刺激緩衝液(140 mM NaClおよび120 mM グルコース)の添加によって開始させる。グルコース-誘発性Na+イオン輸送によって生じた細胞の脱分極は、蛍光の変化として測定し、定量し得る。
【0048】
本発明に従う一般式Iの化合物は、例えば、1000 nM未満、とりわけ200 nM未満、とりわけ好ましくは50 nM未満のEC50値を有し得る。
SGLT活性を抑制するその能力を考慮すると、本発明に従う一般式Iの化合物およびその相応する製薬上許容し得る塩類は、SGLT活性、とりわけSGLT-2活性の抑制によって影響を与え得る全ての症状または疾患の治療および/または予防治療に理論的に適している。従って、本発明に従う化合物は、疾患類、とりわけ、1型および2型糖尿病のような代謝障害または症状、糖尿病合併症(例えば、網膜症、腎症または神経障害、糖尿病性足壊疽、潰瘍、マクロ血管障害)、代謝性アシドーシスまたはケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血症、グルコース代謝障害、インスリン耐性、メタボリックシンドローム、種々の起原の異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および関連疾患、肥満症、高血圧症、慢性心不全、浮腫および高尿酸血症の予防または治療にとりわけ適している。また、これらの物質は、例えば、膵臓ベータ細胞のアポトーシスまた壊死のようなベータ細胞の退化を予防するのに適している。また、これらの物質は、膵臓細胞の官能性を改善または回復させるのにも、膵臓ベータ細胞の数およびサイズ増大させるのにも適している。また、本発明に従う化合物は、利尿薬または坑高血圧薬としても使用し得、さらに、急性腎不全の予防または治療にも適し得る。
とりわけ、その生理学上許容し得る塩類を含む本発明に従う化合物は、糖尿病、とりわけ1型および2型糖尿病、および/または糖尿病合併症の予防または治療に適する。
【0049】
治療または予防において相応する活性を達成するのに必要な投与量は、通常、投与すべき化合物、患者、疾病または症状の性質および重篤度並びに投与の方法または頻度に依存し、患者の医師が決定することである。便宜上、投与量は、静脈投与によっては1〜100mg、好ましくは1〜30mg、経口投与によっては1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであり得、各場合において、1日1〜4回投与し得る。この目的のため、本発明に従って調製した式Iの化合物は、必要に応じての他の活性物質と一緒に、1種以上の通常の不活性担体および/または希釈剤と一緒に、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロースまたは硬質油脂のような脂肪質物質或いはそれらの適切な混合物と一緒に調合して、平坦またはコーティーング錠剤、カプセル剤、粉末剤、溶液、懸濁液または座薬のような通常のガレヌス製剤を製造し得る。
【0050】
また、本発明に従う化合物は、とりわけ上述した疾患および症状の治療および/または予防においては、他の活性物質と併用して使用し得る。そのような併用に適する他の活性物質としては、とりわけ、上述した適応症の1つに関連して本発明に従うSGLTインヒビターの治療効果を増強する、および/または本発明に従うSGLTインヒビターの投与量の低減を可能にする活性物質がある。そのような併用に適する治療薬としては、例えば、メトホルミンのような抗糖尿病薬、スルホニル尿素剤(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン類(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR-ガンマ-作用薬(例えば、GI 262570)および拮抗薬、PPAR-ガンマ/アルファ調節剤(例えば、KRP 297)、アルファ-グルコシダーゼ抑制剤(例えば、アカボース、ボグリボース)、DPPIV抑制剤(例えば、LAF237、MK-431)、アルファ2-拮抗薬、インスリンおよびインスリンアナログ類、GLP-1およびGLP-1アナログ類(例えば、エクセンジン-4)またはアミリンがある。併用パートナーとして適する他の活性物質としては、タンパク質チロシンホスファターゼ1の抑制剤;例えば、グルコース-6-ホスファターゼまたはフルクトース-1,6-ビスホスファターゼの抑制剤のような肝臓における無制御グルコース産生に影響する物質;グリコ−ゲンホスホリラーゼ;グルカゴンレセプター拮抗薬およびホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの抑制剤;グリコ−ゲンシンターゼキナーゼまたはピルビン酸デヒドロキナーゼ;例えば、HMG-CoA-レダクターゼ抑制剤のような高脂血症治療薬(例えば、シムバスタチン、アトルバスタチン);フィブレート類(例えば、ベンザフィブレート、フェノフィブレート);ニコチン酸およびそれらの誘導体;PPAR-アルファ作用薬;PPAR-デルタ作用薬;ACAT抑制剤(例えば、アバシミブ(avasimibe))、または、例えば、エゼチミブのようなコレステロール吸収抑制剤;例えば、コレスチラミンのような胆汁酸結合物質;回腸担汁酸輸送抑制剤、CETP抑制剤またはABC1調節剤のようなHDL-増大化合物、またはシブトラミンもしくはテトラヒドロリポスタチンのような肥満症治療用活性物質;デクスフェンフルラミン;アクソカイン;カンナビノイド1レセプターの拮抗薬;MCH-1レセプター7拮抗薬;MC4レセプター作用薬;NPY5もしくはNPY2拮抗薬、またはSB-418790もしくはAD-9677のようなβ3-作用薬;および5HT2cレセプターの作用薬がある。
【0051】
さらにまた、例えば、A-II拮抗薬またはACE抑制剤、ECE抑制剤、利尿薬、β-遮断薬、Ca-拮抗薬、中枢作用性抗高血圧薬、アルファ-2-アドレナリン作用性レセプターの拮抗薬、中性エンドペプチダーゼの抑制剤、血小板凝血抑制剤等またはこれらの組合せのような、高血圧、慢性心不全またはアテローム性動脈硬化症に作用する薬物との併用も適切である。アンギオテンシンIIレセプター拮抗薬の例としては、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、エプロサルタンメシラート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タゾサルタン、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701等がある。アンギオテンシンIIレセプター拮抗薬は、好ましくは、高血圧および糖尿病合併症の治療または予防において、多くの場合ヒドロクロロチアジドのような利尿薬と併用して使用されている。
尿酸合成抑制剤または尿酸排泄促進剤との併用は、痛風の治療または予防に適する。
GABA-レセプター拮抗薬、Na-チャンネル遮断薬、トピラメート、タンパク質キナーゼC抑制剤、糖化最終産生物抑制剤またはアルドースレダクターゼ抑制剤との併用は、糖尿病合併症の治療または予防に使用し得る。
上述した併用パートナーにおける投与量は、通常の推奨最低投与量の1/5から通常の推奨投与量の1/1までである。
従って、もう1つの局面においては、本発明は、本発明に従う化合物またはそのような化合物の生理学上許容し得る塩の併用パートナーとしての上述した少なくとも1種の活性物質と組合せた、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTの抑制によって影響を与え得る疾患または症状の治療または予防に適する製薬組成物の調製における使用に関する。これらの疾患または症状は、好ましくは代謝性疾患、とりわけ上述した疾患または症状の1つ、最も好ましくは糖尿病または糖尿病合併症である。
本発明に従う化合物またはその生理学上許容し得る塩の他の活性物質と併用しての使用は、同時にまたは時差的(但し、とりわけ短時間内で)に行い得る。これらを同時に投与する場合、2つの活性物質を患者に一緒に投与する;一方、これらを時差的に使用する場合は、2つの活性物質は、12時間以下、とりわけ6時間以下の期間内で患者に投与する。
従って、もう1つの局面においては、本発明は、本発明に従う化合物またはそのような化合物の生理学上許容し得る塩および併用パートナーとしての上述した活性物質の少なくとも1種を、必要に応じての1種以上の不活性担体および/または希釈剤と一緒に含む、製薬組成物に関する。
即ち、例えば、本発明に従う製薬組成物は、本発明に従う式Iの化合物またはそのような化合物の生理学上許容し得る塩と少なくとも1種のアンギオテンシンIIレセプター拮抗薬の組合せを、必要に応じての1種以上の不活性担体および/または希釈剤と一緒に含む。
本発明に従う化合物またはその生理学上許容し得る塩およびこれらと併用すべきさらなる活性物質は、1つの製剤、例えば、錠剤またはカプセル剤中に共に一緒に存在するか、或いは、例えば、いわゆるキットオブパーツ(kit-of-parts)としての2つの同一または異なる製剤中に別々に存在し得る。
【0052】
(実施例)
明細書の上記および下記において、ヒドロキシル基のH原子は、構造式の各場合において明確には示していない。以下の実施例は、本発明を具体的に説明することを意図し、本発明を限定するものではない。
出発化合物の調製
実施例I
【化21】

5-ブロモ-2-クロロ-フェノール
ジクロロメタン中1Mの三臭化ホウ素溶液の96mlを、300mlのジクロロメタン中20gの5-ブロモ-2-クロロ-アニソールの氷冷溶液に添加する。反応溶液を周囲温度で14時間撹拌し、次いで、氷浴中で冷却する。冷却溶液を飽和炭酸カリウム水溶液と混合し、水性相を1M塩酸で酸性化し、ジクロロメタンで抽出する。集め合せた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を完全に除去する。
収率:17.9g (理論値の96%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 205/207/209 (臭素+塩素) [M+H]+
実施例II
【化22】

1-ブロモ-4-クロロ-3-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼン
20mlのジクロロメタン中の9.2gのトリイソプロピルシリルクロライド、続いて、0.5gの4-ジメチルアミノピリジンを、120mlのジクロロメタン中の9.2gの5-ブロモ-2-クロロ-フェノールおよび9.4mlのトリエチルアミンの氷冷溶液に添加する。反応を周囲温度で18時間撹拌し、次いで、100mlのジクロロメタンで希釈する。希釈溶液を1M塩酸および炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 9:1〜>1:1)。
収率:9.4g (理論値の59%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 363/365/367 (臭素+塩素) [M+H]+
【0053】
実施例III
【化23】

シス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキサノールおよびトランス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキサノール
20mlのジメチルホルムアミド中29.4gのtert-ブチルジフェニルシリルクロライドの溶液を、15mlの乾燥ジメチルホルムアミドおよび20mlの乾燥テトラヒドロフラン中の10.0gの1,4-シクロヘキサンジオール(シス/トランス化合物 約1:1)および14.6gのイミダゾールの氷冷溶液に滴下により添加する。反応溶液を氷浴中で1時間撹拌し、次いで、100mlの塩化ナトリウム水溶液と混合する。有機相を分別し、水性相を酢酸エチルで抽出する。集め合せた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を完全に除去する。残留物をクロマトグラフィーにより精製し、上記2つの異性体生成物に分離する(酢酸エチル/シクロヘキサン 1:1)。
シス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキサノール:
収率:4.9g (理論値の16%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 355 [M+H]+
トランス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキサノール:
収率:4.8g (理論値の16%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 355 [M+H]+
【0054】
実施例IV
【化24】

1-ブロモ-3-[シス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキシルオキシ]-4-クロロ-ベンゼン
4.8gの5-ブロモ-2-クロロ-フェノール、4.5gのトリフェニルホスフィンおよび3.3mlのジイソプロピルアゾジカルボキシレートを、20mlの乾燥テトラヒドロフラン中1.85gのトランス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキサノールの溶液に上記順序で添加する。溶液を55℃で48時間撹拌し、次いで、炭酸カリウム水溶液と混合する。その後、混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1)。
収率:3.5g (理論値の72%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 543/545/547 (臭素+塩素) [M+H]+
【0055】
下記の化合物は、実施例IVと同様にして得られる:
(1) 1-ブロモ-3-[トランス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキシルオキシ]-4-クロロ-ベンゼン
【化25】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 543/545/547 (臭素+塩素) [M+H]+
(2) 1-ブロモ-3-(4,4-ジメチルシクロヘキシルオキシ)-4-クロロ-ベンゼン
【化26】

(3) 1-ブロモ-3-(1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イルオキシ)-4-クロロ-ベンゼン
【化27】

(4) 1-ブロモ-3-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-4-クロロ-ベンゼン
【化28】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 291/293/295 (臭素+塩素) [M+H]+
【0056】
実施例V
【化29】

3-(4-メチル-フェニルスルホニルオキシ)-シクロペンタノール
30mlのジクロロメタン中9.00gのp-トルエンスルホン酸クロライド溶液を、15mlのピリジンおよび10mlのジクロロメタン中の4.97gのシクロペンタン-1,3-ジオール(シス/トランス混合物)の氷冷溶液に滴下により添加する。溶液を15℃で45分間撹拌する。溶液を100mlのジクロロメタンで希釈し、2N塩酸で2回、水で1回洗浄する。硫酸ナトリウムにより乾燥させ、溶媒を排除した後、生成物を褐色油状物として得る。
収率:6.83g (理論値の58%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 274 [M+NH4]+
【0057】
実施例VI
【化30】

1-ブロモ-3-(シス-3-ヒドロキシ-シクロペント-1-イルオキシ)-4-クロロ-ベンゼン
12.11gの炭酸セシウムを、100mlのジメチルホルムアミド中の5.50gの5-ブロモ-2-クロロ-フェノールの溶液に添加する。懸濁液を周囲温度で15分間撹拌し、次いで、6.83gの3-(4-メチル-フェニルスルホニルオキシ)-シクロペンタノール(シス/トランス混合物)を添加する。混合物を65℃で16時間撹拌し、次いで、塩化ナトリウム水溶液と混合する。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 9:1〜>2:1)。
収率:3.90g (理論値の50%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 290/292/294 (臭素+塩素) [M]+
【0058】
実施例VII
【化31】

1-ブロモ-4-クロロ-3-(シス-4-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
8.8mlのテトラヒドロフラン中1Mフッ化テトラブチルアンモニウム溶液を、25mlの乾燥テトラヒドロフラン中の4.8gの1-ブロモ-3-[シス-4-(tert-ブチル-ジフェニルシリルオキシ)-シクロヘキシルオキシ]-4-クロロ-ベンゼンの氷冷溶液に添加する。溶液を周囲温度で14時間撹拌し、次いで、水と混合する。その後、混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0〜>3:2)。
収率:2.1g (理論値の79%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 327/329/331 (臭素+塩素) [M+Na]+
下記の化合物は、実施例VIIと同様にして得られる:
(1) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(トランス-4-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化32】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 327/329/331 (臭素+塩素) [M+Na]+
【0059】
実施例VIII
【化33】

1-ブロモ-4-クロロ-3-(シス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
アルゴン雰囲気下に、0.28gの水素化ナトリウム(鉱油中60%)を、10mlの乾燥テトラヒドロフラン中の2.1gの1-ブロモ-4-クロロ-3-(シス-4-ヒドロキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼンの氷冷溶液に添加する。溶液を氷浴中で30分間撹拌し、次いで、0.44mlのヨウ化メチルを添加する。反応溶液を周囲温度で6時間撹拌し、次いで、水と混合する。その後、混合物を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0〜>1:1)。
収率:1.8g (理論値の80%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 319/321/323 (臭素+塩素) [M+H]+
下記の化合物は、実施例VIIIと同様にして得られる:
(1) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(トランス-4-メトキシ-シクロヘキス-1-イルオキシ)-ベンゼン
【化34】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 319/321/323 (臭素+塩素) [M+H]+
(2) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(シス-3-メトキシ-シクロペンチ-1-イルオキシ)-ベンゼン
【化35】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 305/307/309 (臭素+塩素) [M+H]+
【0060】
実施例IX
【化36】

5-ブロモ-2-クロロ-ベンズアルデヒド
25mlのジクロロメタン中7mlのジメチルスルホキシドを、-60℃に冷却した125mlのジクロロメタン中の4.4mlの塩化オキサリルの溶液に滴下により添加する。5分間撹拌した後、50mlのテトラヒドロフラン中の10.0gの5-ブロモ-2-クロロ-ベンジルアルコールの溶液を添加し、混合物を-60℃でさらに15分間撹拌する。その後、31.5mlのトリメチルアミンを添加し、反応溶液を冷却浴内で周囲温度に上昇せしめる。周囲温度で、水を添加し、有機相を分別し、1M塩酸で洗浄する。硫酸ナトリウムにより乾燥させた後、溶媒を完全に除去する。
収率:9.7g (理論値の98%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 218/220/222 (臭素+塩素) [M+H]+
【0061】
実施例X
【化37】

1-ブロモ-4-クロロ-3-シクロヘキシリデンメチル-ベンゼン
3.55mlのジエチルエーテル/シクロヘキサン(70/30)中1.9Mフェニルリチウム溶液を、5mlのテトラヒドロフラン中の2.9gのシクロヘキシル-トリフェニルホスホニウムブロマイドの氷冷溶液に滴下により添加する。溶液を氷浴内で1時間撹拌する。その後、5mlのテトラヒドロフラン中の1.5gの5-ブロモ-2-クロロ-ベンズアルデヒドの溶液を添加し、反応溶液を周囲温度で4時間撹拌する。その後、水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を除去した後、残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)。
収率:0.66g (理論値の34%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 284/286/288 (臭素+塩素) [M]+
【0062】
実施例XI
【化38】

1-ブロモ-3-ブロモメチル-4-クロロ-ベンゼン
4.0gのN-ブロモスクシンイミドを、5℃に冷却した50mlのテトラヒドロフラン中の5.0gの1-ブロモ-4-クロロ-3-ヒドロキシメチル-ベンゼンおよび5.9gのトリフェニルホスフィンの溶液にゆっくり添加する。周囲温度で1時間撹拌した後、沈降物を濾別し、溶媒を真空中で除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 50:1)。
収率:4.9g (理論値の76%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 282/284/286 (Br+Cl) [M]+
【0063】
実施例XII
【化39】

ジエチル(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-ホスホネート
6.10mlのトリエチルホスファイト中の9.88gの5-ブロモ-2-ベンジルブロマイドの混合物を130℃で3時間撹拌する。その後、さらなる1.50mlのトリエチルホスファイトを添加し、混合物を160℃でさらに3時間撹拌する。周囲温度に冷却した後、混合物をシリカゲル上で精製する(ジクロロメタン/メタノール 1:0〜>9:1)。
収率:10.66g (理論値の90%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 341/343/345 (臭素+塩素) [M+H]+
【0064】
実施例XIII
【化40】

4,4-ジメチルシクロヘキサノン
0.5gの活性炭上10%パラジウムを、25mlの酢酸エチル中の5.00gの4,4-ジメチル-シクロへキス-2-エノンの溶液に添加する。混合物を172.4kPa (2.5psi)の水素圧下に周囲温度で3時間振盪させる。その後、触媒を濾別し、溶媒を除去する。
収率:3.38g (理論値の67%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 144 [M+NH4]+
【0065】
実施例XIV
【化41】

4-メトキシ-シクロヘキサノン
30mlのジクロロメタン中の4.2gの4-メトキシシクロヘキサノールの溶液を、90mlのジクロロメタン中の塩基性酸化アルミニウム上の52.6gのピリジニウムクロロクロメートの懸濁液に添加する。懸濁液を周囲温度で3時間撹拌する。その後、混合物をシリカゲルで濾過し(ジクロロメタン)、溶媒を除去する。
収率:3.0g (理論値の73%)。
【0066】
実施例XV
【化42】

1-ブロモ-4-クロロ-3-(テトラヒドロピラン-4-イリデンメチル)-ベンゼン
周囲温度で、10mlのテトラヒドロフラン中の3.00gのジエチル(5-ブロモ-2-クロロ-ベンジル)-ホスホネートの溶液を、0.36gの水素化ナトリウム(鉱油中60%)の懸濁液に滴下により添加し、油分を30mlのテトラヒドロフラン中でのシクロヘキサンによる洗浄によって除去する。懸濁液を周囲温度で0.5時間撹拌し、次いで、0.88gのテトラヒドロピラン-4-オンと混合する。混合物を、周囲温度で0.5時間、還流温度で16時間撹拌する。周囲温度に冷却した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を除去した後、残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1〜>2:1)。
収率:1.60g (理論値の63%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 286/288/290 (臭素+塩素) [M]+
以下の化合物は、実施例XVと同様にして得られる:
(1) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(4,4-ジメチル-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化43】

(2) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(4-メトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化44】

(3) 1-ブロモ-4-クロロ-3-(アダマンチリデンメチル)-ベンゼン
【化45】

質量スペクトル(EI):m/z = 336/338/340 (臭素+塩素) [M]+
【0067】
実施例XVI
【化46】

8-(3-ブロモ-ベンジリデン)-1,4-ジオキソ-スピロ[4.5]デカン
100mlのトルエン中の8.0gの3-ブロモベンジルブロマイドおよび8.4gのトリフェニルホスフィンの溶液を、撹拌しながら12時間還流させる。その後、生成した沈降物を濾別し、トルエンで洗浄し、50℃で乾燥させる。乾燥した3-ブロモベンジル-トリフェニルホスホニウムブロマイドを、50mlの乾燥テトラヒドロフラン中の1.64gの水素化ナトリウム(鉱油中60%)の氷冷懸濁液に添加し、得られた反応混合物を45℃で1時間撹拌する。その後、周囲温度で、5.4gの1,4-ジオキソ-スピロ[4.5]デカン-8-オンを添加し、反応溶液を周囲温度で12時間撹拌する。次いで、水を添加し、有機相を分別し、水性相をジクロロメタンで抽出し、集め合せた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を除去した後、残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0〜>7:3)。
収率:3.35g (理論値の31%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 308/310 (臭素) [M]+
【0068】
実施例XVII
【化47】

2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン
200mlのテトラヒドロフラン中の20gのD-グルコノ-1,5-ラクトンおよび98.5mlのN-メチルモルホリンの溶液を-5℃に冷却する。次いで、85mlのトリメチルシリルクロライドを、温度が5℃を越えないような形で滴下により添加する。その後、溶液を、周囲温度で1時間、35℃で5時間、さらに周囲温度で14時間撹拌する。300mlのトルエンを添加した後、溶液を氷浴中で冷却し、500mlの水を温度が10℃を越えないように添加する。その後、有機相を分別し、リン酸二水素ナトリウム水溶液、水および飽和塩化ナトリウム水溶液で各々1回洗浄する。溶媒を除去し、残留物を250mlのトルエン中に取込ませ、溶媒を再び完全に除去する。
収率:52.5g (約90%純粋)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 467 [M+H]+
【0069】
実施例XVIII
【化48】

1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼン
60mlの乾燥ジエチルエーテル中の5.0gの1-ブロモ-4-クロロ-3-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼンの溶液を、アルゴン下に-80℃に冷却する。17.7mlのペンタン中1.7M tertブチルリチウム溶液を冷却溶液に添加する。溶液を-80℃で30分間撹拌し、次いで、-80℃に冷却した40mlのジエチルエーテル中の7.3gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンの溶液に加圧ニードルによって滴下により添加する。得られた溶液を-78℃で4時間撹拌する。その後、80mlのメタノール中の3mlのメタンスルホン酸の溶液を添加し、溶液を周囲温度で16時間撹拌する。次いで、溶液をエチルジイソプロピルアミンで中和し、蒸発濃縮する。残留物をトルエン中に取込ませ、再度蒸発濃縮する。その後、残留物を36mlのトルエン中に溶解し、3.4mlのエチルジイソプロピルアミンを溶液に添加する。溶液を氷浴中で冷却し、次いで、6.3mlの無水酢酸および0.17gの4-ジメチルアミノピリジンを添加する。溶液を周囲温度で6時間撹拌し、次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液と混合する。有機相を分別し、水性相を酢酸エチルで抽出する。集め合せた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した後、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィー処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 6:1〜>1:1)。
収率:5.8g (理論値の65%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 662/664 (塩素) [M+NH4]+
【0070】
以下の化合物は、実施例XVIIIと同様にして得られる:
(1) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(シス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化49】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 618/620 (塩素) [M+NH4]+
(2) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トランス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化50】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 618/620 (塩素) [M+NH4]+
(3) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-シクロヘキシリデンメチル-ベンゼン
【化51】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 584/586 (塩素) [M+NH4]+
【0071】
(4) 8-(3-ブロモ-ベンジリデン)-1,4-ジオキソ-スピロ[4.5]デカンから出発しての1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4,4-ジメトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化52】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 610 [M+NH4]+
(5) 1-クロロ-2(4,4-ジメチルシクロヘキシルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化53】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 616/618 (塩素) [M+NH4]+
(6) 1-クロロ-2-(1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化54】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 636/638 (塩素) [M+NH4]+
【0072】
(7) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化55】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 590/592 (塩素) [M+NH4]+
(8) 1-クロロ-2-(シス-3-メトキシ-シクロペント-1-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化56】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 604/606 (塩素) [M+NH4]+
(9) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(テトラヒドロフラン-4-イリデンメチル)-ベンゼン
【化57】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 586/588 (塩素) [M+NH4]+
【0073】
(10) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化58】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 612/614 (塩素) [M+NH4]+
(11) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化59】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 614/616 (塩素) [M+NH4]+
(12) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(アダマンチリデンメチル)-ベンゼン
【化60】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 636/638 (塩素) [M+NH4]+
【0074】
実施例XIX
【化61】

1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼン
100mlのアセトニトリルおよび0.22mlの水中の5.83gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼンの溶液を氷浴中で冷却する。その後、7mlのトリエチルシランと1.5mlの三フッ化ホウ素エーテル化物を添加する。溶液を氷浴中で1時間、次いで周囲温度で撹拌する。5時間後、さらに6mlのトリエチルシランと1.2mlの三フッ化ホウ素エーテル化物を添加する。周囲温度でさらに5時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、混合物を0.5時間撹拌し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させる。
収率:4.80g (理論値の86%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 637/639 (塩素) [M+Na]+
【0075】
以下の化合物は、実施例XIXと同様にして得られる:
(1) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(シス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化62】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 589/591 (塩素) [M+NH4]+
(2) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トランス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化63】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 589/591 (塩素) [M+NH4]+
(3) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-シクロヘキシリデンメチル-ベンゼン
【化64】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 559/561 (塩素) [M+NH4]+
【0076】
(4) 1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4,4-ジメトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼンから出発しての1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化65】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 550 [M+NH4]+
(5) 1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4,4-ジメトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼンから出発しての実施例XIX (4)の合成における副生成物としての1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-ヒドロキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化66】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 566 [M+NH4]+
【0077】
(6) 1-クロロ-2-(4,4-ジメチルシクロヘキシルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化67】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
(7) 1-クロロ-2-(1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化68】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
(8) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化69】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
【0078】
(9) 1-クロロ-2-(シス-3-メトキシ-シクロペンチル-1-イルオキシ)-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化70】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
(10) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(テトラヒドロピラン-4-イリデンメチル)-ベンゼン
【化71】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
【0079】
(11) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化72】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
(12) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化73】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
(13) 1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(アダマンチリデンメチル)-ベンゼン
【化74】

この化合物は、脱アセチル化して何らさらなる特性決定することなく最終生成物を直接形成させた。
【0080】
実施例XX
【化75】

1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゼン
5mlのテトラヒドロフラン中1Mフッ化テトラブチルアンモニウム溶液を、25mlの乾燥テトラヒドロフラン中の4.80gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トリ-イソプロピル-シリルオキシ)-ベンゼンの氷冷溶液に添加する。溶液を周囲温度で14時間撹拌し、次いで、水と混合する。これを酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシクロヘキサン/酢酸エチル(5:1)中で撹拌し、次いで乾燥させる。
収率:1.70g (理論値の86%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 476/478 (塩素) [M+NH4]+
【0081】
実施例XXI
【化76】

1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
0.08gの4-メトキシシクロヘキサノール、0.16gのトリフェニルホスフィンおよび0.12mlのジイソプロピルアゾジカルボキシレートを、3mlのテトラヒドロフラン中の0.25gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゼンの溶液に上記の順序で添加する。溶液を周囲温度で14時間撹拌し、次いで、炭酸カリウム水溶液と混合する。その後、これを酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 7:3〜>1:1)。
収率:0.05g (理論値の16%)。
【0082】
最終化合物の調製
実施例1
【化77】

1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
0.13mlの4M水酸化カリウム溶液を、3mlのメタノール中の0.05gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼンの溶液に添加する。溶液を周囲温度で3時間撹拌し、次いで、1M塩酸で中和する。溶液からメタノールを除去し、塩化ナトリウム水溶液と混合し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上で精製する(ジクロロメタン/メタノール 1:0〜>3:1)。
収率:0.01g (理論値の28%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 420/422 (塩素) [M+NH4]+
【0083】
以下の化合物は、実施例1と同様にして得られる:
(1) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(シス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化78】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 403/405 [M+H]+
(2) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(トランス-4-メトキシ-シクロヘキシルオキシ)-ベンゼン
【化79】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 420/422 (塩素) [M+NH4]+
(3) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-シクロヘキシリデンメチル-ベンゼン
【化80】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 386/388 [M+NH4]+
【0084】
(4) 1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-ベンゼンから出発しての1-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-ベンゼン[実施例2(1)参照]
【化81】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 367 (塩素) [M+H]+
(5) 1-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4-ヒドロキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化82】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 368 (塩素) [M+NH4]+
(6) 1-クロロ-2-(4,4-ジメチルシクロヘキシルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化83】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 418/420 (塩素) [M+NH4]+
【0085】
(7) 1-クロロ-2-(1,2,3,4-テトラヒドロナフト-1-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化84】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 438/440 (塩素) [M+NH4]+
(8) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-1-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化85】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 392/394 (塩素) [M+NH4]+
(9) 1-クロロ-2-(シス-3-メトキシシクロペント-1-イルオキシ)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化86】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 389/391 (塩素) [M+H]+
【0086】
(10) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(テトラヒドロピラン-4-イリデンメチル)-ベンゼン
【化87】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 388/390 (塩素) [M+NH4]+
(11) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化88】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 414/416 (塩素) [M+NH4]+
(12) 1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-シクロヘキシリデンメチル)-ベンゼン
【化89】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 399/401 (塩素) [M+H]+
(13) 1-クロロ-2-(アダマンチリデンメチル)-(4-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化90】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 438/440 (塩素) [M+NH4]+
【0087】
実施例2
【化91】

1-クロロ-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-シクロヘキシルメチル-ベンゼン
40mgの活性炭上10%パラジウムを、5mlの酢酸エチル中の0.10gの1-クロロ-4-β-D-グルコピラノース-1-イル-2-シクロヘキシリデンメチル-ベンゼンの溶液に添加する。溶液を周囲温度で水素雰囲気(101.3kPa (1気圧))下に1時間撹拌する。その後、触媒を濾別し、濾液を蒸発濃縮し、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィー処理する(ジクロロメタン/メタノール 4:1)。
収率:0.07g (理論値の70%)。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 388/390 (塩素) [M+NH4]+
【0088】
以下の化合物は、実施例2と同様にして得られる:
(1) 1-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-ベンゼン
【化92】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 535 [M+H]+
(2) 1-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-3-(4-ヒドロキシ-シクロヘキシルメチル)-ベンゼン
【化93】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 370 [M+NH4]+
(3) 1-クロロ-2-(テトラヒドロピラン-4-イルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化94】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 390/392 (塩素) [M+NH4]+
【0089】
(4) 1-クロロ-2-(4,4-ジメチル-シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化95】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 416/418 (塩素) [M+NH4]+
(5) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-シクロヘキシルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化96】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 418/420 (塩素) [M+NH4]+
(6) 1-クロロ-2-(アダマント-2-イルメチル)-4-(β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
【化97】

質量スペクトル(ESI+):m/z = 440/442 (塩素) [M+NH4]+
【0090】
また、以下の化合物も上記各実施例および文献から公知の他の方法と同様にして調製する:
【化98】

【0091】
【化99】

【0092】
【化100】

【0093】
【化101】

【0094】
【化102】

【0095】
【化103】

【0096】
以下は、用語“活性物質”が1種以上の本発明に従う化合物(その塩類も含む)を示す製剤の実施例である。1種以上の他の活性物質との組合せの実施例の場合は、用語“活性物質”は、これら追加の活性物質も含む。
実施例A
100mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
1錠は下記を含有する:
活性物質 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
調製方法
活性物質、ラクトースおよびスターチを一緒に混合し、ポリビニルピロリドン水溶液で均一に湿潤させる。湿潤組成物を篩分けし(2.0mmメッシュサイズ)、棚型乾燥機内で50℃にて乾燥させた後、組成物を再度篩分けし(1.5mmメッシュサイズ)、潤滑剤を添加する。最終混合物を圧縮して錠剤を調製する。
錠剤の質量:220mg
直径:10mm、二平面、両面切子型、片面切込み。
【0097】
実施例B
150mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
1錠は下記を含有する:
活性物質 150.0mg
粉末ラクトース 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイド状シリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
調製
ラクトース、コーンスターチおよびシリカと混合した活性物質を20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿潤させ、1.5mmのメッシュサイズを有するスクリーンに通す。45℃で乾燥させた顆粒を同じスクリーンに再度通し、上記特定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。錠剤を混合物から圧縮する。
錠剤の質量:300mg
金型:10mm、平坦
【0098】
実施例C
150mgの活性物質を含有する硬質ゼラチンカプセル剤
1個のカプセル剤は下記を含有する:
活性物質 150.0mg
コーンスターチ(乾燥) 約180.0mg
ラクトース(粉末) 約 87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
調製
活性物質を各賦形剤と混合し、0.75mmのメッシュサイズを有するスクリーンに通し、適切な装置を使用して均質に混合する。最終混合物をサイズ1の硬質ゼラチンカプセル中に封入する。
カプセル充填物:約320mg
カプセルシェル:サイズ1硬質ゼラチンカプセル。
【0099】
実施例D
150mgの活性物質を含有する座薬
1個の座薬は下記を含有する:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール 1500 550.0mg
ポリエチレングリコール 6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
調製
座薬塊を溶融させた後、活性物質をその中に均質に分布させ、溶融物を冷却モールド内に注入する。
【0100】
実施例E
10mgの活性物質を含有するアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01N塩酸 適量
二重蒸留水(添加) 2.0ml
調製
活性物質を食塩で等張にした必要量の0.01N HCl中に溶解し、滅菌濾過し、2mlのアンプルに移す。
【0101】
実施例F
50mgの活性物質を含有するアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
0.01N塩酸 適量
二重蒸留水(添加) 10.0ml
調製
活性物質を食塩で等張にした必要量の0.01N HCl中に溶解し、濾過滅菌し、10mlのアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式Iを有するD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体、その互変異性体、その立体異性体、それらの混合物又はそれらの塩類、とりわけそれらの生理学上許容し得る塩類:
【化1】

[式中、
【化2】

は、一重結合または二重結合を示し;
Cyは、N、OおよびSから互に個々に選ばれた1個、2個または3個のヘテロ原子を含み得、且つ一重結合を介してR4、R5およびR6により、さらに一重または二重結合を介してR3により置換された5員または6員の飽和または単不飽和炭素環を示し;そして、1個または2個のメチレン基はCOによって置換し得、或いはスルファニル基はSOまたはSO2によって置換し得、さらに、炭素に結合した1個以上のH原子はフッ素によって置換し得;
Zは、-O-、-CH2-、-CH=、NRN-、-CO-、-S-、-SO-または-SO2-を示すが、メチレンまたはメタニリリデンブリッジのH原子は、互に個々に、CH3またはFによって置換し得;
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノまたはニトロを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;さらに、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得;
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノまたはニトロを示すが、アルキル基はフッ素によりモノ置換またはポリ置換し得;或いは、R1およびR2がフェニル環の2個の隣接C原子に結合している場合には、R1およびR2は、一緒になって、R1およびR2がC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレンまたはブタジエニレンブリッジを一緒に形成するように結合し得、これらのブリッジは、部分的または完全にフッ素化し得るか、または塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得;さらに、ブタジエニレンブリッジの場合には、1個または2個のメチン基はN原子によって置換し得;
R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-7-シクロアルケニル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3アルキル、ヘテロアリール-C1-3アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルホリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル, ピペリジン-1-イル, モルホリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルフィニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルフィニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノまたはニトロを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換し得;さらに、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換し得;或いは、R3は、二重結合によってCyに結合した基Yを示し;
R4は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、アミノ、C1-3-アルキル-アミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、C1-3-アルキルカルボニルアミノ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-3-アルコキシカルボニル、または1〜3個のフッ素原子により置換されたメチルもしくはメトキシを示し;或いは、R3およびR4が、Cy環の同じC原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4がC2-6-アルキレンまたはC4-6-アルケニレンブリッジを一緒に形成するように結合し得、これらのブリッジは、部分的または完全にフッ素化し得かまたは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得、さらに、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得;或いは、R3およびR4がCy環の2つの隣接原子に結合している場合には、R3およびR4は、一緒になって、R3およびR4がCy環の2つの隣接原子と一緒に環付加型の飽和またはモノ不飽和もしくはポリ不飽和5員または6員炭素環を形成するように結合し得、さらに、1個または2個のメチレン基は、互いに個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNにより置換し得るかおよび/または1個または2個のメチン基はNにより置換し得、さらに、モノ-またはポリフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;或いは、芳香族環付加型環の場合には、同一または異なる置換基Lによってモノ置換またはジ置換し得;
R5は、水素、フッ素、塩素、シアノ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシまたは1〜3個のフッ素原子により置換したメチルもしくはメトキシを示し;或いは、R4およびR5は、R4およびR5が、一緒になって、C1-4-アルキレンまたはC2-4-アルケニレンブリッジを形成するように互いに結合しており、これらのブリッジは、Cy環の2、3または4個の原子と一緒に環付加型またはブリッジ型環を形成し、且つ部分的にまたは完全にフッ素化し得或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNによって置換し得;
R6は、水素、C1-3-アルキルまたはフッ素を示し;或いは、R4、R5およびR6は、R4、R5およびR6が、一緒になって、C3-6-アルカントリイルブリッジを形成し、該ブリッジがCy環と一緒にブリッジ型の二環または三環系を形成するように互いに結合しているが、前記アルカントリイルブリッジは、モノまたはポリフッ素化し得るか或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、CO、SO2またはNRNによって置換し得;
Yは、酸素、或いはメチリデン、フルオロメチリデン、クロロメチリデン、C1-6-アルキル-メチリデン、C2-6-アルケニル-メチリデン、C2-6-アルキニル-メチリデン、C3-7-シクロアルキル-メチリデン、C5-7-シクロアルケニル-メチリデン、C3-7-シクロアルキリデン、C5-7-シクロアルケニリデン、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル-メチリデン、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル-メチリデン、アリールメチリデン、ヘテロアリールメチリデン、アリール-C1-3-アルキル-メチリデンまたはヘテロアリール-C1-3-アルキル-メチリデンを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデンおよびシクロアルケニリデン基は、部分的または完全にフッ素化し得るか或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニルおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;そして、上記の置換されてないメチリデン基または上記のモノ置換メチリデン基は、フッ素、塩素、C1-3-アルキル、トリフルオロメチル、C1-4-アルコキシ、シアノまたはニトロによってさらにモノ置換し得;さらに、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキリデンおよびシクロアルケニリデン基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SO、SO2またはNRNによって置換し得;或いは、Yは、下記の部分式:
【化3】

(式中、Dは、カルボニルまたはスルホニルを示し;
RYは、水素、フッ素、塩素、シアノ、トリフルオロメチルまたはC1-3-アルキルを示し;
Bは、一重結合、-O-または-NRN-を示し;
RBは、水素、C1-6-アルキル、C3-6-アルケニル、C3-6-アルキニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3-アルキルまたはヘテロアリール-C1-3-アルキルを示すが、アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化し得或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換し得;或いは、RBおよびBは、一緒に結合して、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよび4-(C1-4-アルキル)-ピペラジンから選ばれた複素環を形成するが、該複素環はイミノ基を介して基Dに結合しており;
RNは、互に個々に、HまたはC1-4-アルキルを示す)
に従う基を示し;
Lは、互に個々に、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよびシアノの中から選ばれ;
R7a、R7b、R7c、R7dは、互に個々に、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニルおよびアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルの中から選ばれた意味を有するが、上記の各基の定義において挙げたアリール基は、フェニルまたはナフチル基を意味し、これらの基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得;そして、上記の各基の定義において挙げたヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル基;或いは、1個または2個のメチン基が窒素原子によって置換されているピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリルまたはピリジル基;或いは、1〜3個のメチン基が窒素原子によって置換されているインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニルまたはイソキノリニル基を意味するが、上記の各ヘテロアリール基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換し得;また、上記の各基の定義において挙げたN-ヘテロシクロアルキル基は、環中にイミノ基を含む飽和炭素環を意味し、環中にもう1つの必要に応じて置換したイミノ基またはOもしくはS原子を含み得る;そして、
特に断らない限り、上述した各アルキル基は、直鎖または枝分れであり得る];
但し、下記の化合物(D1)を除外する:
(D1):3-[(3-β-D-グルコピラノシル-4,5-ジメトキシフェニル)メチル]-4-[(3,4-ジメトキシフェニル)メチル]-ジヒドロ-2(3H)-フラノン。
【請求項2】
Cy環が、メチレン基がCOによって置換し得されていてもよく、R3、R4、R5およびR6によって請求項1に特定したようにして置換されており、さらに、炭素に結合した1個以上のH原子がフッ素によって置換されていてもよい、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロチオフェン、ジチオランまたは1,3-ジチアンを示す、請求項1記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項3】
下記の式I.1またはI.1'に特徴を有する、請求項1または2記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体:
【化4】

(式中、V1、V2は、互に個々に、CまたはNを示し;
U1、U2、U3、U4は、互に個々に、C、N、O、COまたはSO2を示すが、UおよびVによって形成された環においては、直接一緒に結合しないNおよびOから選ばれた最大2個のヘテロ原子が存在し、COおよびSO2から選ばれた最大1個の基が存在し、残りのCおよびN原子への遊離化学結合は水素によって飽和されていることを条件とし;そして、
R1〜R6、Z、R7a、R7b、R7c、R7dは、請求項1に記載した意味を有する)。
【請求項4】
下記の式I.2に特徴を有する、請求項1または2記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体:
【化5】

(式中、V1、V2は、互に個々に、CまたはNを示し;
U1、U2、U3は、互に個々に、C、N、O、COまたはSO2を示すが、UおよびVによって形成された環においては、直接一緒に結合しないNおよびOから選ばれた最大2個のヘテロ原子並びにCOおよびSO2から選ばれた最大1個の基が存在し、残りのCおよびN原子への遊離化学結合は水素によって飽和されていることを条件とし;そして、
R1〜R6、Z、R7a、R7b、R7c、R7dは、請求項1に記載した意味を有する)。
【請求項5】
R1が、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシまたはシアノを示すが、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン単位が、互に個々に、OまたはCOによって置換されていてもよく、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよい、請求項1〜4の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項6】
R2が、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、または1〜3個のフッ素原子によって置換されたメチルを示す、請求項1〜5の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項7】
R3が、水素、フッ素、塩素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-メチル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルケニル-メチル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシまたはシアノを示し;R3がN原子に結合している場合は、R3は、好ましくは、水素、シアノ、C1-4-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-6-シクロアルキル、C3-6-シクロアルキル-C1-3アルキル、C5-6-シクロアルケニル、C5-6-シクロアルケニル-C1-3アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3アルキル、ヘテロアリール-C1-3アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、C1-4-アルキルスルホニル、アリールスルホニルまたはヘテロアリールスルホニルを示すが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよく或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換されていてもよく、そして、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基においては、1個または2個のメチレン基は、互に個々に、O、S、CO、SOまたはSO2によって置換されていてもよく、さらに、N-ヘテロシクロアルキル基においては、メチレン基は、COまたはSO2によって置換されていてもよく、一方、用語アリールおよびヘテロアリールは請求項1に従って定義され、アリールおよびヘテロアリール基は、互に個々に、同一または異なる基Lによってモノ置換またはジ置換されていてもよく、Lは請求項1に従って定義される、請求項1〜6の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項8】
R3が、二重結合によってCyに結合していて、酸素、C1-6-アルキル-メチリデン、C2-6-アルキニル-メチリデン、C2-6-アルケニル-メチリデン、C3-7-シクロアルキル-メチリデンまたはC3-7-シクロアルキリデンを示すが、上記のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよく或いは、互に独立して塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルにから選ばれた置換基によってモノ置換またはジ置換されていてもよく、そして、上記の置換されていないメチリデン基または上記のモノ置換メチリデン基は、フッ素、C1-3-アルキル、トリフルオロメチルまたはシアノによってさらにモノ置換されていてもよく、さらに、シクロアルキリデン基においては、メチレン基が、O、SまたはNRNによって置換されていてもよく或いはエチレン基が、-NRN-CO-、-CO-NRN-、-O-CO-または-CO-O-によって置換されていてもよく;或いは、
Yが、下記の部分式 T:
【化6】

(式中、RYは、水素、フッ素、シアノ、トリフルオロメチルまたはC1-3-アルキルを示し;
Dは、カルボニルまたはスルホニルを示し;
Bは、一重結合-O-または-NRN-を示し;
RBは、C1-6-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール-C1-3-アルキルまたはヘテロアリール-C1-3-アルキル-を示すが、アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよく或いはシアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換されていてもよく;或いは、RBおよびBは、一緒に結合して、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンおよび4-(C1-4-アルキル)-ピペラジンから選ばれた複素環を形成するが、該複素環はイミノ基を介して基Dに結合しており;
RNは、請求項1におけるように定義される)
に従う基を示す、請求項1〜6の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項9】
R4、R5およびR6が、互に個々に、水素、フッ素またはメチルを示す、請求項1〜8の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項10】
基R4、R5およびR6が、一緒に結合して、C4-5-アルカントリイルブリッジを形成し、Cy環と一緒になって、トリシクロノナン、トリシクロデカンおよびトリシクロウンデカン、とりわけ好ましくはアダマンタンから選ばれた三環系を形成し、該三環系は、置換されていないか、或いはモノフッ化またはポリフッ化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシおよびC1-3-アルキルから選ばれた同一または異なる置換基によってモノ置換またはジ置換されていてもよい、請求項1〜8の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項11】
Zが、-O-、-CH2-、-CF2-、-C(CH3)2-、-CH=、NRN-または-CO-を示す、請求項1〜10の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項12】
R7a、R7b、R7c、R7dが、互に個々に、水素、(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニルまたはベンゾイル、好ましくは水素を示す、請求項1〜11の1項以上に記載のD-グルコピラノシル-フェニル置換環状体。
【請求項13】
請求項1〜12の1項以上に記載の化合物の無機または有機酸との生理学上許容し得る塩。
【請求項14】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む、請求項1〜12の1項以上に記載の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、製薬組成物としての使用。
【請求項15】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12の1項以上記載の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩を、必要に応じて1種以上の不活性担体および/または希釈剤と一緒に含有する、製薬組成物。
【請求項16】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12の1項以上に記載の少なくとも1種の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを抑制することによって作用し得る疾患または症状の治療または予防に適する製薬組成物の製造における使用。
【請求項17】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12の1項以上に記載の少なくとも1種の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、代謝障害の治療または予防に適する製薬組成物の製造における使用。
【請求項18】
前記代謝障害が、1型および/または2型糖尿病、糖尿病の合併症、代謝性アシドーシスまたはケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血症、グルコース代謝性障害、インスリン耐性、メタボリックシンドローム、種々の起原の異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および関連疾患、肥満症、高血圧症、慢性心不全、浮腫および高尿酸血症からなる群から選ばれる、請求項17記載の使用。
【請求項19】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTの抑制用製薬組成物の製造における使用。
【請求項20】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種含む請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、膵臓ベータ細胞の変性の予防用および/または膵臓ベータ細胞の機能の改善および/または回復用の製薬組成物の製造における使用。
【請求項21】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩の、利尿薬および/または抗高血圧薬の製造における使用。
【請求項22】
請求項1において明確に除外した化合物(D1)またはその生理学上許容し得る塩類の1種を含む請求項1〜12の少なくとも1項記載の化合物または請求項13記載の生理学上許容し得る塩を、非化学的方法により、1種以上の不活性担体および/または希釈剤中に混入させることを特徴とする、請求項15記載の製薬組成物の製造方法。

【公表番号】特表2008−508213(P2008−508213A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522988(P2007−522988)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007956
【国際公開番号】WO2006/010557
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】