FBGセンサを用いた計測方法およびその装置
【課題】
FBGセンサを用いた計測方法およびその装置において、1箇所のFBGセンサに対して歪みと温度を感知するFBG部と温度のみを感知するFBG部に分けることで、歪みと温度を同時計測することができるようにする。
【解決手段】
コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて被測定物のひずみと温度とを計測するようにした。
FBGセンサを用いた計測方法およびその装置において、1箇所のFBGセンサに対して歪みと温度を感知するFBG部と温度のみを感知するFBG部に分けることで、歪みと温度を同時計測することができるようにする。
【解決手段】
コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて被測定物のひずみと温度とを計測するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸方向に形成された回折格子を光ファイバ内に備え、温度と歪みを同時に計測するFBGセンサを用いた計測方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバを用いて対象物の温度あるいは歪みを計測する手段として、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating、以下FBGと表記する)を用いるFBGセンサ方式が提案されている。FBGセンサは、光ファイバのコアに一定の間隔で、屈折率の高い部分と、低い部分を周期的に繰り返して回折格子を形成したものである。
図17にFBGセンサの原理を説明する。(a)はFBGセンサに入力する光信号の波長分布を示し、(b)はFBGセンサの断面図を示す。(c)は入力した光信号のうちFBGセンサで反射されて出力された光信号の波長分布を示し、(d)は入力した光信号のうちFBGセンサを透過した光信号の波長分布を示す。光ファイバ500は、石英ガラスで形成された細い物質であるコア501を中心に配置し、その周囲を覆うグラッド502で構成されている。石英ガラスはもろいため、保護被膜503で周囲を被せる。コア501には、ピッチΛで長さLの範囲で周期的な回折格子505が形成されている。この回折格子505は、図示しない方法によって、光ファイバのコア501に紫外光(たとえば波長250nm前後)の干渉縞を照射することで、コア501の屈折率の変化を周期的に変化させることで形成可能である。この回折格子505が形成された部分をFBGセンサと称する。
【0003】
この干渉縞の間隔を変えれば、コア501に作成する回折格子は任意のピッチで製作可能である。このFBGセンサに多波長λの光信号506を入射すると、λB=NeffΛの関係式により、FBGセンサでは、λBの光信号507のみが反射し、他の光信号508はλBの光信号507が除去された分布で透過する。ここでNeffは光ファイバの屈折率、Λは回折格子の周期である。FBGセンサの反射波長は、光ファイバの屈折率や回折格子の周期を変化させる物理量によって変化することになる。例えば、FBGセンサに熱変化が生じると、コア501が温度変化による屈折率の変動が発生し、回折格子505の周期が変動するため、反射光507の波長がシフトすることになる。この温度によるシフト量は、1.5μmの波長帯域を使用した場合は、約10pm/℃となる。また、FBGセンサに歪みが生じると、コア501に伸び縮みが発生するため回折格子505の周期が変動する。この歪みによるシフト量は、約1.2pm/μεとなる。そのため、FBGセンサを計測手段に使用する場合、反射波長の変化を計測するだけでは、温度変化による波長変化か、歪みによる波長変化かを特定することが困難である。
温度計測を行う方法として、特許文献1に記載されている方法がある。本方式は、コアに複数の回折格子部が間隔をあけて形成された光ファイバと、温度の測定対象物に固定されるパッドと、測定対象物に形成された溝部に、前記パッドを固定し、前記パッド内の保護管に挿入された光ファイバを配置している。本発明によれば、光ファイバはパッドとともに測定対象に固定されることから、光ファイバを直接測定対象に固定する方法と比較して、測定物の温度計測が容易になる。
歪み測定を行う方法として、特許文献2に記載されている方法がある。本方式は、計測対象に固定されるベースと、そのベースの一面側に弾性変形自在なヒンジを介して互いに対向するように立設された一対の腕部と、その一対の腕部の中間位置を弾性変形自在なヒンジを介して連結する連結部とを有し、計測対象と等しい膨張率を有する材料で一体的に形成され、前記計測対象から前記ベースを伸縮させる力を受けて、前記一対の腕部を互いに反対方向に傾けるファイバ支持体を有しており、そのファイバ支持体の一対の腕部の、連結部から所定距離離れた一端側の位置の間に、第一のFBGファイバの両端が張力のある状態で固定され、その第1のFBGファイバと同一特性の第2のFBGファイバがファイバ支持体の前記一対の腕部の、前記連結部から前記所定距離離れた他端側の位置の間にバランス状態で固定されている。そのため、計測対象物の歪みに対しては、両FBGファイバの反射光の波長変化量の絶対値が等しく、波長変化の方向が逆となり、温度変化に対しては、両FBGファイバによる反射光の波長変化量の絶対値および波長変化の方向が等しくなる。よって、両FBGファイバの波長変化量の減算により温度変化の影響を取り除いた状態で計測対象の歪み成分を正確に検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−281789号公報
【特許文献2】特開2009−222397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている温度測定方法では、被測定物の温度変化は測定できるが、その場に生じた歪みは計測できない。また、特許文献2に記載されている歪み測定方法では、温度による歪み補償は可能な歪み測定は可能であるが、正確な温度の測定は出来ない問題があった。いずれも、FBGファイバにおいて温度あるいは歪み単体の測定しか出来ない。
本発明は上述の問題点を鑑みてなしたもので、温度変化と歪み変化が同時に生じる状況においても、FBGセンサを複数本使用することなく、温度変化と歪みを同時に計測できるFBGセンサを用いた計測方法およびその装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明では、FBGセンサを用いた計測方法において、コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて被測定物のひずみと温度とを計測するようにした。
また、上記した目的を達成するために、本発明では、FBGセンサを用いた計測装置を、一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定して他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定したコアに回折格子を形成した光ファイバと、光を発射する光源手段と、この光源手段から発射された光のうち光ファイバに入射して光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定された部分の回折格子で反射して光ファイバから出射した反射光と、光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定された部分の回折格子で反射して光ファイバから出射した反射光とを検出する光検出手段と、この光検出手段で反射光を検出して得られた信号を処理して被測定物のひずみと温度とを算出する演算手段と、この演算手段で算出した被測定物のひずみと温度とに関する情報を出力する出力手段とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0007】
上記した本発明のFBGセンサを用いた計測方法及びその計測装置によれば、歪みと温度を同時計測することができる。さらに、同一時間で同一場所の計測が可能となる。さらにまた、一本の光ファイバに複数のFBG部を連結して、FBG部の取り付け方法を同じにすれば複数個所でも歪みと温度の測定ができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明を実施する形態の第一例の構成を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施例1においてFBGセンサを被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の実施例1においてFBGセンサを被測定物に取り付けたときのFBGセンサの各領域の条件を示した表である。
【図2C】図2Cは、本発明の実施例1においてFBGセンサの表面の一部を被測定物の材料と同じ金属でコーティングして被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図2D】図2Dの(a)は、本発明の実施例1においてFBGセンサの表面の一部を被測定物の材料と同じ金属の板で覆って被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの側面の断面図、(b)は正面の断面図である。
【図3】図3の(a)は多連FBGセンサの正面図、(b)は多連FBGセンサから検出される反射光の波長特性を示すグラフである。
【図4】図4の(a)はFBGセンサから検出される反射光の波長特性を示すグラフ、(b)はFBGセンサから検出された反射光の検出波形に微分処理を施した微分波形信号を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明による表示画面を示した画面の正面図である。
【図6A】図6Aは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図6B】図6BはFBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態で、被測定物に歪みが生じ前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図7B】図7Bは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態で、被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図8A】図8Aは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図8B】図8Bは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態で、被測定物に歪みが生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図9A】図9Aは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図9B】図9Bは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態で、被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図10A】図10Aは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図10B】図10Bは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に歪みが生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図11A】図11Aは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図11B】図11Bは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図11C】図11Cは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である
【図11D】図11Dは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフで、しきい値を設定して被測定物に温度変化が生じる前と生じた後の波長幅の変化を求めることを示す。
【図12】図12は、本発明を実施するためのフローチャートである。
【図13A】図13Aは、本発明の実施例2におけるFBGセンサを被測定物に固定した状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図13B】図13Bは、本発明の実施例2においてFBGセンサを被測定物に取り付けたときのFBGセンサの各領域の条件を示した表である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施例においてFBGセンサを被測定物に取り付けた状態を表すFBGセンサの正面の断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施例4において、実施例1乃至3で説明したFBGセンサを発電機の計測に適用した場合を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明の実施例4において、実施例1乃至3で説明したFBGセンサを原子力発電設備の計測に適用した場合を示すブロック図である。
【図17】図17は、光FBGセンサの原理を示した図であり、(a)はFBGセンサに入力する光信号の波長分布を示し、(b)はFBGセンサの断面図を示す。(c)は入力した光信号のうちFBGセンサで反射されて出力された光信号の波長分布を示し、(d)は入力した光信号のうちFBGセンサを透過した光信号の波長分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する
【実施例1】
【0010】
図1から図12は本発明のFBGセンサの計測方法および計測装置を実施する形態の第一例である。
【0011】
図1と図2に本発明の第一の実施例におけるFBGセンサを用いた計測装置の構成を説明する。
【0012】
本実施例におけるFBGセンサを用いた計測装置は、一部にFBGセンサ2が形成された光ファイバ1とFBGセンサ測定部6、演算部7及び制御部8を備えて構成されている。
【0013】
光ファイバ1の一部に形成されたFBGセンサ2は、図2Aに示すように、被測定物3に一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で固定する。残った一部のFBGセンサ2bは被測定物3の歪みに依存しないようフリーな状態で、光ファイバ固定用部材5で固定する。FBGセンサ固定用部材4と光ファイバ固定用部材5を接着剤とした場合、図2Bに示すように、領域2aに使用する接着剤は、熱膨張係数と硬さを被測定物3と同じとし、領域2bに使用する接着剤は、熱膨張係数、硬さ共に規定はしないが、被測定物3に与える歪み、温度に耐えうるものを選定することが望ましい。
【0014】
FBGセンサ2の一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で固定する方法として、他の方法を図2Cと図2Dに示す。
図2Cにおいて、光ファイバ1のFBGセンサ2bの表面に被測定物3の材質と同じ金属を表面にコーティング600を行う。例えば被測定物3が銅であればコーティング600は銅とすればよい。さらにFBGセンサ2bと被測定物3の固定材601を同じ材質で溶接あるいはロー付けして固定しても同様の効果が得られる。
図2Dにおいて、光ファイバ1のFBGセンサ2bの表面に測定物3の材質と同じ金属で作成した板603を設置する。例えば被測定物3が銅であれば板603は銅とすればよい。板603は、固定具604によりFBGセンサ2bを固定するように押さえ付けて固定しても、同様の効果が得られる。
【0015】
いずれの場合でも、FBGセンサ2bを被測定物3に固定されていれば手段を問わない。
【0016】
光ファイバ1は、FBGセンサ2を複数構成することが可能である。図3の(a)に複数FBGセンサの光ファイバ1の形態を、(b)に検出波形を示す。光ファイバ1にFBGセンサ2を任意のピッチに従って、FBGセンサ2−1、2−2、2−3、2−nを作成する。各FBGセンサ2は、図17で示した回折格子505のピッチΛを変化させることにより、反射波長を変えることが可能である。さらに、各反射波長は、推定される測定温度や歪みの変化波長より大きく離すことで、反射波長の重なりを防止することが出来るため、誤検出防止となる。複数のFBGセンサの検出波形は、λ―1、λ―2、λ―3、λ―nとして検出される。
【0017】
FBGセンサ測定部6は、光源9、光サーキュレータ10、光電変換器11、A/D変換器12を備えている。光源9から発した光は、光サーキュレータ10を透過し、光ファイバ1に投光される。FBGセンサ2によって光源9の光は、FBGセンサ2に施された回折格子のピッチに応じた波長のみが反射される。FBGセンサ2で反射した光は、光サーキュレータ10で反射し、光電変換器11で受光する。ここで、光源9は、例えばASE(Amplified Spontaneous Emission)光源のような幅広い波長帯域を有するものを使用する。また、広帯域で波長が掃引可能な、掃引光源を使用してもかまわない。使用する光源の波長範囲は、本発明では1500nmから1590nm程度の波長で説明しているが、使用する光ファイバ1とFBGセンサ2の適用波長が対応していれば、どの波長範囲でもかまわない。光電変換器11は、FBGセンサ2で反射した波長の光を受光するが、出力として波長と光量が検出できるものを使用する。光電変換器11で検出したFBGセンサ2の反射光は、A/D変換器12によりデジタル変換され、演算部7に伝送される。
【0018】
演算部7は、固定部波長算出器13とフリー部波長算出器14、歪み量算出器15、温度算出器16を備えている。固定部波長算出器13は、FBGセンサ2の固定部分2aで反射した光からの波長を算出するものである。フリー部波長算出器14は、FBGセンサ2のフリー部分2bで反射した光からの波長を算出するものである。歪み量算出器15は、固定部波長算出器13で算出された波長変化を歪みに変換して出力するものである。温度算出器15は、フリー部波長算出器14で算出された波長変化を温度に変換して出力するものである。
【0019】
図4に検出波形の波長を算出する一実施例を説明する。図4の(a)に一般的なFBGセンサからの反射光を検出した場合の検出波形20を示す。グラフの横軸は波長、縦軸はFBGセンサからの反射光を検出した反射光検出出力を示す。図4の(b)は、検出波形20に微分処理を施した微分波形21を示す。該微分波形21の、ベースレベル23と微分波形21との交点22を算出することで、検出波形20の中心波長を算出することが可能となる。図1に示した演算部7において、固定部中心算出器13とフリー部中心算出器14における波長の算出は、上述した方法で実行することが出来る。なお、検出波形の波長を求めるためには、他の方法であっても問題はない。
【0020】
図1において、制御部8は、計測条件入力手段17、表示手段18、出力手段19を備えている。計測条件入力手段17によって測定に必要な条件、測定結果の判定条件を設定する。表示手段18は、測定場所、検出波形の表示、波形中心の表示、算出後の歪み、温度の測定結果などを表示する。出力手段19は、表示手段18によって表示された画面、測定結果、測定条件などを外部メモリや、紙などに出力可能である。
【0021】
図5に表示手段18における表示画面の一例を示す。表示画面300は、FBGセンサ2の全波形表示部301、全波形表示301の拡大表示部302、測定場所表示部303、条件設定部304、測定結果表示部305、測定結果グラフ表示部306を備えている。全波形表示部301では、枠307によって拡大する波形を選択可能である。拡大表示部302では、枠307の波形を拡大する。拡大波形では、枠308と枠309が設定可能であり、この枠内での波形処理を行う。閾値310は、枠308と枠309でそれぞれ設定できる。検出波形の処理は、枠308,309内で閾値310以上の波形を用いて波長を演算する。
【0022】
条件設定部304は、測定の開始3041、測定の停止3042、FBGファイバの切り替え3043、条件設定である閾値設定3044、演算範囲設定3045、歪み上限設定3046、温度の上限設定3047が可能である。
【0023】
測定結果表示部305は、FBGセンサに対応する歪みと温度の計測結果を表示可能である。条件設定部304で設定した上限設定以上の測定値には、他の検出結果の表示とはことなるハイライト表示が可能である。
【0024】
測定結果グラフ表示部306は、測定結果表示部305で表示した歪み、温度の測定結果をグラフ化して表示するものである。
【0025】
以上の構成を備えたFBGセンサを用いた計測装置の動作を説明する。
図6Aは、光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接触しないで、フリーの状態で配置した状態図と、その時の検出波形を示す。図6Bのグラフは、横軸に検出波長、縦軸にFBGセンサの反射光出力を示す。変化を与える前を定常状態とし、波形24が検出される。被測定物3を左右方向に引っ張ることで、被測定物3に歪みを生じさせることが出来る。この歪みが発生した状態でのFBGセンサ2は、波形25が検出される。定常状態の波形24と歪み状態の波形25は変化せず、波長変化がないことが分かる。すなわち、FBGセンサ2がフリーの状態では、被測定物3の歪みが伝達しないため、FBGセンサ2の回折格子が変化しないためである。
【0026】
図7Aと図7Bとは、図6Aの状態において、被測定物3が温度上昇した場合の波形変化を示した図である。定常状態では図7Bに示すような波形27が検出される。図7Aに示すように被測定物3に対して温度上昇が生じた場合、FBGセンサ2にも温度変化が伝達し、図7Bに示すような波形28が検出される。定常状態の波形27と比較すると、温度が上昇した場合は、長波長側に波形がシフトしている。すなわち、FBGセンサ2がフリーであっても、周辺温度が上昇することによって、FBGセンサ2の回折格子部での屈折率が変化し、波長が長波長側に移動する。なお、温度が下降して低温に変化した場合は、図示しないが検出波形は、短波長側に移動することは明確である。
【0027】
図8Aは、光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接着剤24などで完全に固定されている状態図、図8Bはその時の検出波形を示す。図8Aの状態において、図6Aと同じ条件で被測定物3を左右方向に引っ張り、歪みを与える。定常状態は波形28であり、歪みが発生した状態では、波形29が検出される。すなわち、FBGセンサ2が被測定物3と同様に歪みが生じるため、FBGセンサ3の回折格子間隔が変化することになり、反射光が長波長側に波形がシフトすることになる。この変化量30は、被測定物3に発生した歪み量に相当する。歪みが圧縮側に作用すれば、図示しないが検出波形は短波長側に移動する。
【0028】
図9Aは、図8Aと同様に光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接着剤24などで完全に固定されている状態を示す。この状態において、被測定物3が温度上昇した場合の波形変化を図9Bに示す。図8Bの場合と同様に定常状態では波形31が検出される。被測定物3に温度上昇が生じた場合、FBGセンサ2に温度変化が伝達し、波形32が検出される。定常状態の波形31と比較すると、変化量33が算出される。この変化量33は、接着剤24の熱による歪みを無視すれば、被測定物3の温度変化を検出している。
【0029】
図10A及び図10Bに本発明における固定方式による波形変化を説明する。図10Aは、図1および図2で説明したように、光ファイバ1のFBGセンサ2の一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で被測定物3に固定し、残った一部のFBGセンサ2bは被測定物3の歪みに依存しないようフリーな状態で、光ファイバ固定用部材5により固定した状態を示している。この状態において、図6A及び図8Aで説明したのと同じ条件で被測定物3を左右方向に引っ張る。図10Bで定常状態は波形34であり、歪みが発生した状態では波形35が検出される。波形35において、被測定物3に固定した範囲2aに相当する範囲36aとフリーな状態で固定した範囲2bに相当する範囲36bに着目すると、2つのピークを有した波形となっている。これは、範囲2aを被測定物3に固定したことにより初期歪みが発生し、範囲2aと範囲2bとで回折格子間隔が微小に変化するために、固定した境界で分離された2つの領域にそれぞれピークが発生するものと考えられる。引っ張りによって、被測定物3に歪みが生じるため、範囲2aでは、図8Bで説明したように、波長が長波長側に変化し、変化量37が算出される。一方、範囲2bでは図6Bで説明したように、歪みの影響が無いため波長変化がなく変化量38は0となる。
【0030】
図11A及び図11Bは、図7A及び図7B、図9A及び図9Bの場合と同じ条件で被測定物3が温度上昇した場合の波形のピーク位置から波長変化を求める図である。FBGセンサ2は図11Aに示したように被測定物3に固定されている。この状態で検出される波形は、図11Bに示すように、定常状態は、波形39であり、温度上昇によって、波形40に変化する。FBGセンサ2の範囲2aでは、図9Bで説明したように、固定したFBGセンサ2aで温度上昇による屈折率の変化が生じるため、長波長側に波長が変化し、変化量41が算出される。また、範囲2bでは、図6Bで説明したように、フリーの状態であるが被測定物3の温度上昇に伴い、FBGセンサ2bでも屈折率の変化が生じる。そのため、波長変化42が算出される。
【0031】
図11C及び図11Dは温度上昇における波形形状から波長変化を求める図である。FBGセンサ2は、図11Aの場合と同様に、図11Cに示したように被測定物3に固定されている。図11Bと同様に、定常状態は、図11Dに示すような波形39であり、温度上昇によって、波形40に変化する。FBGセンサ2の範囲2aでは温度上昇に伴い、長波長側に波長が変化し、変化量41が算出される。FBGセンサ2の範囲2bでもフリーの状態であるが、被測定物3の温度上昇に伴い、波長変化42が生じる。波形39と波形40に対して閾値52を設定する。閾値52と波形39の交点から波長幅53を求める。次に閾値52と波形40の交点から波長幅54を求める。長波長側の波長幅54と波長幅53の差分54aは、上述した波長変化42と同様となる。さらに差分54bは、波長変化41と同様となる。そのため、差分54bを求めることで被測定物3に生じた温度変化を波長から求めることが可能となる。この方法であると、波形のピーク位置から波長変化を算出しないため、ピーク位置が複数ある場合や、ピーク位置が不明な場合でも対応可能なため、より安定で高感度な計測が可能となる。
【0032】
すなわち、被測定物3に固定した部分のFBGセンサ2aの波長変化は歪みによって生じたものである、被測定物3に固定しないFBGセンサ2bの波長変化は温度によって生じたものである。そのため、FBGセンサ2bにより、温度測定、FBGセンサ2aとFBGセンサ2bの差分で歪み測定ができる。歪み量と温度は変化した波長に係数を乗ずることで算出が可能である。温度による係数は、1.5μmの波長帯域を使用した場合は、約10pm/℃とり、歪みによる係数は、約1.2pm/μεとなる。使用する波長帯域が1.5μmと異なる場合は、その係数を乗ずれば良い。
【0033】
図12に本発明におけるFBGセンサを用いた計測装置の計測フローを説明する。先ず、FBGセンサを被測定物に上述した方法でセットする(S1201)。次に、表示手段18の表示画面300上で検出条件のセットを行い(S1202)、計測を開始する(S1203)。照明光源9により照明光を光ファイバ1に入射させてFBGセンサ2を照射し(S1204)、FBGセンサ2からの反射光を光電変換器11で検出する(S1205)。光電変換器11で検出された反射光の信号はA/D変換器12で増幅されデジタル信号に変換されて演算部7に送られ、固定部波長演算器13で固定FBGの範囲での波長が算出され(S1206)、フリー部波長演算器14でフリーFBGの範囲での波長が算出され(S1207)、固定部波長演算器13で算出された固定FBGの範囲での波長変化量から歪み量を算出し(S1208)、フリー部波長演算器14で算出されたフリーFBGの範囲での波長変化量から温度の算出を行う(S1209)。これらの算出した結果を表示手段18の表示画面300上に表示し(S1210)、算出結果を必要に応じて外部出力を行い(S1211)、測定を終了する。
【実施例2】
【0034】
図13A及び図13Bに本発明の第二の実施例を説明する。本実施例においては、図13Aに示すように、FBGセンサ2の領域2aと共に領域2bも被測定物3に固定する点で実施例1と異なる。光ファイバ1のFBGセンサ2の領域2aにおける被測定物3の固定は図1と同様である。領域2bを光ファイバ1と同じ熱膨張係数を持ち、硬さが同じ接着材43で被測定物3に固定する。被測定物3に生じる歪み、温度変化による領域2bの波形変化は図6B、図7Bに示したものと同様となる。この方式によれば、FBGセンサが外部に露出しないため、FBGセンサの保護が可能な効果も奏する。この場合、接着材の物性が同じでなくとも、温度と接着材の伸びの関係を予め求めてデータベースを作成することで、温度上昇による波長変化をデータベースから算出することで所望の温度が計測可能となる。
【実施例3】
【0035】
図14に第三の実施例を説明する。
本実施例においては、被測定物46には、光ファイバ1のFBGセンサ44とFBGセンサ45が接触しないように溝47、48が形成されている。FBGセンサ44は実施例1で説明した領域2aに相当して被測定物46の歪みと温度を計測するための領域であり、被測定物に接着剤49と接着剤50により撓みが発生しないようなテンションをかけた状態で接着されている。FBGセンサ45は実施例1で説明した領域2bに相当して被測定物46の温度を計測するための領域であり、接着剤50と接着剤51により、フリー状態で接着されている。この方式によれば、FBGセンサ44で歪みと温度計測、FBGセンサ45で温度計測が可能であるため、実施例1の場合と同様の効果を奏する。この方式によればFBGセンサの上部に接着剤を塗布せずに固定できるため、接着剤の影響を除外できる効果も奏する。
【実施例4】
【0036】
次に、本発明によるFBGセンサの適用実施例を説明する。
本実施例では、発電機に適用した場合を説明する。
図15は発電機の模式図である。タービン100は、発電機101のロータ102に接続されている。ステータ103はロータ102に対向配置されている。ステータ103に、本発明で説明したステータ計測用FBGセンサ104を固定する。同様に、ロータ102に、ロータ計測用FBGセンサ105が固定されており、端部は回転軸に設置したロータリジョイント106に接続されている。ロータリジョイント106は、ロータ102の回転によるロータ計測用FBGセンサ105の捩れを防止している。ロータリジョイント106の外側に光ファイバ107を接続し、ステータ103に敷設したステータ計測用FBGファイバ104と共に光FBGファイバ検出装置のFBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8に接続される。FBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8の構成及び作用は、実施例1で説明したものと同様であり、図12で説明したようなフローに沿って歪み量及び温度が算出される。ステータ計測用FBGセンサ104とロータ計測用FBGセンサ105に設置したFBGセンサは本発明の実施例1乃至3の何れかで説明した固定方式で固定する。また、図3で説明した複数のFBGセンサを使用すれば、ロータ102、ステータ103の多点での計測が可能である。
【0037】
本構成において、発電機の試験時、あるいは定常運転時における発電機内部の歪み、温度計測が運転しながら可能となる。さらに、光ファイバによる計測であるため、磁界の影響が皆無なため、発電機の性能を劣化することがない。
【実施例5】
【0038】
次に原子力発電などの設備全体に適用した場合の実施例を説明する。
図16は原子力発電設備の模式図である。原子炉150によりタービン160を回転し、タービン160に接続した発電機161により発電可能である。原子炉150、タービン160、冷却装置151はそれぞれ冷却配管152で接続されている。冷却パイプ計測用FBGセンサ153は、冷却配管152の周囲に巻き付けられ、FBGセンサ部はそれぞれ、本発明の実施例1乃至3の何れかで説明した固定方法で固定する。また、設備計測用FBGセンサ154は、原子炉150の建屋周辺に張り巡らし、同様にFBGセンサ部を固定する。各FBGセンサは、光FBGファイバ検出装置のFBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8に接続される。FBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8の構成及び作用は、実施例1で説明したものと同様であり、図12で説明したようなフローに沿って歪み量及び温度が算出される。図15と同様に冷却パイプ計測用FBGセンサ153、設備計測用FBGセンサ154は複数のFBGセンサを有したものを使用すると多点で同時観察が可能となる。
【0039】
本構成において、原子炉150の建屋の変形や異常温度上昇などのヘルスモニター、冷却配管152の異常温度上昇、異常歪みが計測可能となり、設備全体の安全監視が可能となる効果も奏する。
【符号の説明】
【0040】
1・・・光ファイバ 2・・・FBGセンサ 2a・・・固定FBGセンサ
2b・・・フリーFBGセンサ 3・・・被測定物 4・・・FBGセンサ固定用部材 5・・・光ファイバ固定用部材 6・・・FBG波形計測装置
7・・・演算部 8・・・制御部 9・・・光源 10・・・光サーキュレータ 11・・・光電変換器 12・・・A/D変換器 13・・・固定部波長演算器 14・・・フリー部波長演算器 15・・歪み量算出器
16・・・温度算出器 17・・・計測条件入力手段 18・・・表示手段
19・・・出力手段 101・・・発電機 102・・・ロータ 103・・・ステータ 104・・・ステータ計測用FBGセンサ
105・・・ロータ計測用FBGセンサ 106・・・ロータリジョイント
150 原子炉 151・・・冷却装置 152・・・冷却用パイプ
153・・・冷却パイプ計測用FBGセンサ 154・・・設備計測用FBGセンサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光軸方向に形成された回折格子を光ファイバ内に備え、温度と歪みを同時に計測するFBGセンサを用いた計測方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバを用いて対象物の温度あるいは歪みを計測する手段として、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating、以下FBGと表記する)を用いるFBGセンサ方式が提案されている。FBGセンサは、光ファイバのコアに一定の間隔で、屈折率の高い部分と、低い部分を周期的に繰り返して回折格子を形成したものである。
図17にFBGセンサの原理を説明する。(a)はFBGセンサに入力する光信号の波長分布を示し、(b)はFBGセンサの断面図を示す。(c)は入力した光信号のうちFBGセンサで反射されて出力された光信号の波長分布を示し、(d)は入力した光信号のうちFBGセンサを透過した光信号の波長分布を示す。光ファイバ500は、石英ガラスで形成された細い物質であるコア501を中心に配置し、その周囲を覆うグラッド502で構成されている。石英ガラスはもろいため、保護被膜503で周囲を被せる。コア501には、ピッチΛで長さLの範囲で周期的な回折格子505が形成されている。この回折格子505は、図示しない方法によって、光ファイバのコア501に紫外光(たとえば波長250nm前後)の干渉縞を照射することで、コア501の屈折率の変化を周期的に変化させることで形成可能である。この回折格子505が形成された部分をFBGセンサと称する。
【0003】
この干渉縞の間隔を変えれば、コア501に作成する回折格子は任意のピッチで製作可能である。このFBGセンサに多波長λの光信号506を入射すると、λB=NeffΛの関係式により、FBGセンサでは、λBの光信号507のみが反射し、他の光信号508はλBの光信号507が除去された分布で透過する。ここでNeffは光ファイバの屈折率、Λは回折格子の周期である。FBGセンサの反射波長は、光ファイバの屈折率や回折格子の周期を変化させる物理量によって変化することになる。例えば、FBGセンサに熱変化が生じると、コア501が温度変化による屈折率の変動が発生し、回折格子505の周期が変動するため、反射光507の波長がシフトすることになる。この温度によるシフト量は、1.5μmの波長帯域を使用した場合は、約10pm/℃となる。また、FBGセンサに歪みが生じると、コア501に伸び縮みが発生するため回折格子505の周期が変動する。この歪みによるシフト量は、約1.2pm/μεとなる。そのため、FBGセンサを計測手段に使用する場合、反射波長の変化を計測するだけでは、温度変化による波長変化か、歪みによる波長変化かを特定することが困難である。
温度計測を行う方法として、特許文献1に記載されている方法がある。本方式は、コアに複数の回折格子部が間隔をあけて形成された光ファイバと、温度の測定対象物に固定されるパッドと、測定対象物に形成された溝部に、前記パッドを固定し、前記パッド内の保護管に挿入された光ファイバを配置している。本発明によれば、光ファイバはパッドとともに測定対象に固定されることから、光ファイバを直接測定対象に固定する方法と比較して、測定物の温度計測が容易になる。
歪み測定を行う方法として、特許文献2に記載されている方法がある。本方式は、計測対象に固定されるベースと、そのベースの一面側に弾性変形自在なヒンジを介して互いに対向するように立設された一対の腕部と、その一対の腕部の中間位置を弾性変形自在なヒンジを介して連結する連結部とを有し、計測対象と等しい膨張率を有する材料で一体的に形成され、前記計測対象から前記ベースを伸縮させる力を受けて、前記一対の腕部を互いに反対方向に傾けるファイバ支持体を有しており、そのファイバ支持体の一対の腕部の、連結部から所定距離離れた一端側の位置の間に、第一のFBGファイバの両端が張力のある状態で固定され、その第1のFBGファイバと同一特性の第2のFBGファイバがファイバ支持体の前記一対の腕部の、前記連結部から前記所定距離離れた他端側の位置の間にバランス状態で固定されている。そのため、計測対象物の歪みに対しては、両FBGファイバの反射光の波長変化量の絶対値が等しく、波長変化の方向が逆となり、温度変化に対しては、両FBGファイバによる反射光の波長変化量の絶対値および波長変化の方向が等しくなる。よって、両FBGファイバの波長変化量の減算により温度変化の影響を取り除いた状態で計測対象の歪み成分を正確に検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−281789号公報
【特許文献2】特開2009−222397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている温度測定方法では、被測定物の温度変化は測定できるが、その場に生じた歪みは計測できない。また、特許文献2に記載されている歪み測定方法では、温度による歪み補償は可能な歪み測定は可能であるが、正確な温度の測定は出来ない問題があった。いずれも、FBGファイバにおいて温度あるいは歪み単体の測定しか出来ない。
本発明は上述の問題点を鑑みてなしたもので、温度変化と歪み変化が同時に生じる状況においても、FBGセンサを複数本使用することなく、温度変化と歪みを同時に計測できるFBGセンサを用いた計測方法およびその装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明では、FBGセンサを用いた計測方法において、コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて被測定物のひずみと温度とを計測するようにした。
また、上記した目的を達成するために、本発明では、FBGセンサを用いた計測装置を、一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定して他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定したコアに回折格子を形成した光ファイバと、光を発射する光源手段と、この光源手段から発射された光のうち光ファイバに入射して光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定された部分の回折格子で反射して光ファイバから出射した反射光と、光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定された部分の回折格子で反射して光ファイバから出射した反射光とを検出する光検出手段と、この光検出手段で反射光を検出して得られた信号を処理して被測定物のひずみと温度とを算出する演算手段と、この演算手段で算出した被測定物のひずみと温度とに関する情報を出力する出力手段とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0007】
上記した本発明のFBGセンサを用いた計測方法及びその計測装置によれば、歪みと温度を同時計測することができる。さらに、同一時間で同一場所の計測が可能となる。さらにまた、一本の光ファイバに複数のFBG部を連結して、FBG部の取り付け方法を同じにすれば複数個所でも歪みと温度の測定ができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明を実施する形態の第一例の構成を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施例1においてFBGセンサを被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の実施例1においてFBGセンサを被測定物に取り付けたときのFBGセンサの各領域の条件を示した表である。
【図2C】図2Cは、本発明の実施例1においてFBGセンサの表面の一部を被測定物の材料と同じ金属でコーティングして被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図2D】図2Dの(a)は、本発明の実施例1においてFBGセンサの表面の一部を被測定物の材料と同じ金属の板で覆って被測定物に取り付けた状態を示すFBGセンサの側面の断面図、(b)は正面の断面図である。
【図3】図3の(a)は多連FBGセンサの正面図、(b)は多連FBGセンサから検出される反射光の波長特性を示すグラフである。
【図4】図4の(a)はFBGセンサから検出される反射光の波長特性を示すグラフ、(b)はFBGセンサから検出された反射光の検出波形に微分処理を施した微分波形信号を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明による表示画面を示した画面の正面図である。
【図6A】図6Aは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図6B】図6BはFBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態で、被測定物に歪みが生じ前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図7B】図7Bは、FBGセンサを被測定物に対してフリーにした状態で、被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図8A】図8Aは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図8B】図8Bは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態で、被測定物に歪みが生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図9A】図9Aは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図9B】図9Bは、FBGセンサを被測定物に全面固定された状態で、被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図10A】図10Aは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図10B】図10Bは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に歪みが生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図11A】図11Aは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である。
【図11B】図11Bは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフである。
【図11C】図11Cは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態を示すFBGセンサの正面図である
【図11D】図11Dは、本発明の実施例1におけるFBGセンサの一部が被測定物に固定され他の部分が被測定物に対してフリーにした状態で被測定物に温度変化が生じる前と生じた後のFBGセンサから検出される反射光の波長分布波形を示すグラフで、しきい値を設定して被測定物に温度変化が生じる前と生じた後の波長幅の変化を求めることを示す。
【図12】図12は、本発明を実施するためのフローチャートである。
【図13A】図13Aは、本発明の実施例2におけるFBGセンサを被測定物に固定した状態を示すFBGセンサの正面の断面図である。
【図13B】図13Bは、本発明の実施例2においてFBGセンサを被測定物に取り付けたときのFBGセンサの各領域の条件を示した表である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施例においてFBGセンサを被測定物に取り付けた状態を表すFBGセンサの正面の断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施例4において、実施例1乃至3で説明したFBGセンサを発電機の計測に適用した場合を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明の実施例4において、実施例1乃至3で説明したFBGセンサを原子力発電設備の計測に適用した場合を示すブロック図である。
【図17】図17は、光FBGセンサの原理を示した図であり、(a)はFBGセンサに入力する光信号の波長分布を示し、(b)はFBGセンサの断面図を示す。(c)は入力した光信号のうちFBGセンサで反射されて出力された光信号の波長分布を示し、(d)は入力した光信号のうちFBGセンサを透過した光信号の波長分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する
【実施例1】
【0010】
図1から図12は本発明のFBGセンサの計測方法および計測装置を実施する形態の第一例である。
【0011】
図1と図2に本発明の第一の実施例におけるFBGセンサを用いた計測装置の構成を説明する。
【0012】
本実施例におけるFBGセンサを用いた計測装置は、一部にFBGセンサ2が形成された光ファイバ1とFBGセンサ測定部6、演算部7及び制御部8を備えて構成されている。
【0013】
光ファイバ1の一部に形成されたFBGセンサ2は、図2Aに示すように、被測定物3に一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で固定する。残った一部のFBGセンサ2bは被測定物3の歪みに依存しないようフリーな状態で、光ファイバ固定用部材5で固定する。FBGセンサ固定用部材4と光ファイバ固定用部材5を接着剤とした場合、図2Bに示すように、領域2aに使用する接着剤は、熱膨張係数と硬さを被測定物3と同じとし、領域2bに使用する接着剤は、熱膨張係数、硬さ共に規定はしないが、被測定物3に与える歪み、温度に耐えうるものを選定することが望ましい。
【0014】
FBGセンサ2の一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で固定する方法として、他の方法を図2Cと図2Dに示す。
図2Cにおいて、光ファイバ1のFBGセンサ2bの表面に被測定物3の材質と同じ金属を表面にコーティング600を行う。例えば被測定物3が銅であればコーティング600は銅とすればよい。さらにFBGセンサ2bと被測定物3の固定材601を同じ材質で溶接あるいはロー付けして固定しても同様の効果が得られる。
図2Dにおいて、光ファイバ1のFBGセンサ2bの表面に測定物3の材質と同じ金属で作成した板603を設置する。例えば被測定物3が銅であれば板603は銅とすればよい。板603は、固定具604によりFBGセンサ2bを固定するように押さえ付けて固定しても、同様の効果が得られる。
【0015】
いずれの場合でも、FBGセンサ2bを被測定物3に固定されていれば手段を問わない。
【0016】
光ファイバ1は、FBGセンサ2を複数構成することが可能である。図3の(a)に複数FBGセンサの光ファイバ1の形態を、(b)に検出波形を示す。光ファイバ1にFBGセンサ2を任意のピッチに従って、FBGセンサ2−1、2−2、2−3、2−nを作成する。各FBGセンサ2は、図17で示した回折格子505のピッチΛを変化させることにより、反射波長を変えることが可能である。さらに、各反射波長は、推定される測定温度や歪みの変化波長より大きく離すことで、反射波長の重なりを防止することが出来るため、誤検出防止となる。複数のFBGセンサの検出波形は、λ―1、λ―2、λ―3、λ―nとして検出される。
【0017】
FBGセンサ測定部6は、光源9、光サーキュレータ10、光電変換器11、A/D変換器12を備えている。光源9から発した光は、光サーキュレータ10を透過し、光ファイバ1に投光される。FBGセンサ2によって光源9の光は、FBGセンサ2に施された回折格子のピッチに応じた波長のみが反射される。FBGセンサ2で反射した光は、光サーキュレータ10で反射し、光電変換器11で受光する。ここで、光源9は、例えばASE(Amplified Spontaneous Emission)光源のような幅広い波長帯域を有するものを使用する。また、広帯域で波長が掃引可能な、掃引光源を使用してもかまわない。使用する光源の波長範囲は、本発明では1500nmから1590nm程度の波長で説明しているが、使用する光ファイバ1とFBGセンサ2の適用波長が対応していれば、どの波長範囲でもかまわない。光電変換器11は、FBGセンサ2で反射した波長の光を受光するが、出力として波長と光量が検出できるものを使用する。光電変換器11で検出したFBGセンサ2の反射光は、A/D変換器12によりデジタル変換され、演算部7に伝送される。
【0018】
演算部7は、固定部波長算出器13とフリー部波長算出器14、歪み量算出器15、温度算出器16を備えている。固定部波長算出器13は、FBGセンサ2の固定部分2aで反射した光からの波長を算出するものである。フリー部波長算出器14は、FBGセンサ2のフリー部分2bで反射した光からの波長を算出するものである。歪み量算出器15は、固定部波長算出器13で算出された波長変化を歪みに変換して出力するものである。温度算出器15は、フリー部波長算出器14で算出された波長変化を温度に変換して出力するものである。
【0019】
図4に検出波形の波長を算出する一実施例を説明する。図4の(a)に一般的なFBGセンサからの反射光を検出した場合の検出波形20を示す。グラフの横軸は波長、縦軸はFBGセンサからの反射光を検出した反射光検出出力を示す。図4の(b)は、検出波形20に微分処理を施した微分波形21を示す。該微分波形21の、ベースレベル23と微分波形21との交点22を算出することで、検出波形20の中心波長を算出することが可能となる。図1に示した演算部7において、固定部中心算出器13とフリー部中心算出器14における波長の算出は、上述した方法で実行することが出来る。なお、検出波形の波長を求めるためには、他の方法であっても問題はない。
【0020】
図1において、制御部8は、計測条件入力手段17、表示手段18、出力手段19を備えている。計測条件入力手段17によって測定に必要な条件、測定結果の判定条件を設定する。表示手段18は、測定場所、検出波形の表示、波形中心の表示、算出後の歪み、温度の測定結果などを表示する。出力手段19は、表示手段18によって表示された画面、測定結果、測定条件などを外部メモリや、紙などに出力可能である。
【0021】
図5に表示手段18における表示画面の一例を示す。表示画面300は、FBGセンサ2の全波形表示部301、全波形表示301の拡大表示部302、測定場所表示部303、条件設定部304、測定結果表示部305、測定結果グラフ表示部306を備えている。全波形表示部301では、枠307によって拡大する波形を選択可能である。拡大表示部302では、枠307の波形を拡大する。拡大波形では、枠308と枠309が設定可能であり、この枠内での波形処理を行う。閾値310は、枠308と枠309でそれぞれ設定できる。検出波形の処理は、枠308,309内で閾値310以上の波形を用いて波長を演算する。
【0022】
条件設定部304は、測定の開始3041、測定の停止3042、FBGファイバの切り替え3043、条件設定である閾値設定3044、演算範囲設定3045、歪み上限設定3046、温度の上限設定3047が可能である。
【0023】
測定結果表示部305は、FBGセンサに対応する歪みと温度の計測結果を表示可能である。条件設定部304で設定した上限設定以上の測定値には、他の検出結果の表示とはことなるハイライト表示が可能である。
【0024】
測定結果グラフ表示部306は、測定結果表示部305で表示した歪み、温度の測定結果をグラフ化して表示するものである。
【0025】
以上の構成を備えたFBGセンサを用いた計測装置の動作を説明する。
図6Aは、光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接触しないで、フリーの状態で配置した状態図と、その時の検出波形を示す。図6Bのグラフは、横軸に検出波長、縦軸にFBGセンサの反射光出力を示す。変化を与える前を定常状態とし、波形24が検出される。被測定物3を左右方向に引っ張ることで、被測定物3に歪みを生じさせることが出来る。この歪みが発生した状態でのFBGセンサ2は、波形25が検出される。定常状態の波形24と歪み状態の波形25は変化せず、波長変化がないことが分かる。すなわち、FBGセンサ2がフリーの状態では、被測定物3の歪みが伝達しないため、FBGセンサ2の回折格子が変化しないためである。
【0026】
図7Aと図7Bとは、図6Aの状態において、被測定物3が温度上昇した場合の波形変化を示した図である。定常状態では図7Bに示すような波形27が検出される。図7Aに示すように被測定物3に対して温度上昇が生じた場合、FBGセンサ2にも温度変化が伝達し、図7Bに示すような波形28が検出される。定常状態の波形27と比較すると、温度が上昇した場合は、長波長側に波形がシフトしている。すなわち、FBGセンサ2がフリーであっても、周辺温度が上昇することによって、FBGセンサ2の回折格子部での屈折率が変化し、波長が長波長側に移動する。なお、温度が下降して低温に変化した場合は、図示しないが検出波形は、短波長側に移動することは明確である。
【0027】
図8Aは、光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接着剤24などで完全に固定されている状態図、図8Bはその時の検出波形を示す。図8Aの状態において、図6Aと同じ条件で被測定物3を左右方向に引っ張り、歪みを与える。定常状態は波形28であり、歪みが発生した状態では、波形29が検出される。すなわち、FBGセンサ2が被測定物3と同様に歪みが生じるため、FBGセンサ3の回折格子間隔が変化することになり、反射光が長波長側に波形がシフトすることになる。この変化量30は、被測定物3に発生した歪み量に相当する。歪みが圧縮側に作用すれば、図示しないが検出波形は短波長側に移動する。
【0028】
図9Aは、図8Aと同様に光ファイバ1のFBGセンサ2が被測定物3に接着剤24などで完全に固定されている状態を示す。この状態において、被測定物3が温度上昇した場合の波形変化を図9Bに示す。図8Bの場合と同様に定常状態では波形31が検出される。被測定物3に温度上昇が生じた場合、FBGセンサ2に温度変化が伝達し、波形32が検出される。定常状態の波形31と比較すると、変化量33が算出される。この変化量33は、接着剤24の熱による歪みを無視すれば、被測定物3の温度変化を検出している。
【0029】
図10A及び図10Bに本発明における固定方式による波形変化を説明する。図10Aは、図1および図2で説明したように、光ファイバ1のFBGセンサ2の一部分2aをFBGセンサ固定用部材4で被測定物3に固定し、残った一部のFBGセンサ2bは被測定物3の歪みに依存しないようフリーな状態で、光ファイバ固定用部材5により固定した状態を示している。この状態において、図6A及び図8Aで説明したのと同じ条件で被測定物3を左右方向に引っ張る。図10Bで定常状態は波形34であり、歪みが発生した状態では波形35が検出される。波形35において、被測定物3に固定した範囲2aに相当する範囲36aとフリーな状態で固定した範囲2bに相当する範囲36bに着目すると、2つのピークを有した波形となっている。これは、範囲2aを被測定物3に固定したことにより初期歪みが発生し、範囲2aと範囲2bとで回折格子間隔が微小に変化するために、固定した境界で分離された2つの領域にそれぞれピークが発生するものと考えられる。引っ張りによって、被測定物3に歪みが生じるため、範囲2aでは、図8Bで説明したように、波長が長波長側に変化し、変化量37が算出される。一方、範囲2bでは図6Bで説明したように、歪みの影響が無いため波長変化がなく変化量38は0となる。
【0030】
図11A及び図11Bは、図7A及び図7B、図9A及び図9Bの場合と同じ条件で被測定物3が温度上昇した場合の波形のピーク位置から波長変化を求める図である。FBGセンサ2は図11Aに示したように被測定物3に固定されている。この状態で検出される波形は、図11Bに示すように、定常状態は、波形39であり、温度上昇によって、波形40に変化する。FBGセンサ2の範囲2aでは、図9Bで説明したように、固定したFBGセンサ2aで温度上昇による屈折率の変化が生じるため、長波長側に波長が変化し、変化量41が算出される。また、範囲2bでは、図6Bで説明したように、フリーの状態であるが被測定物3の温度上昇に伴い、FBGセンサ2bでも屈折率の変化が生じる。そのため、波長変化42が算出される。
【0031】
図11C及び図11Dは温度上昇における波形形状から波長変化を求める図である。FBGセンサ2は、図11Aの場合と同様に、図11Cに示したように被測定物3に固定されている。図11Bと同様に、定常状態は、図11Dに示すような波形39であり、温度上昇によって、波形40に変化する。FBGセンサ2の範囲2aでは温度上昇に伴い、長波長側に波長が変化し、変化量41が算出される。FBGセンサ2の範囲2bでもフリーの状態であるが、被測定物3の温度上昇に伴い、波長変化42が生じる。波形39と波形40に対して閾値52を設定する。閾値52と波形39の交点から波長幅53を求める。次に閾値52と波形40の交点から波長幅54を求める。長波長側の波長幅54と波長幅53の差分54aは、上述した波長変化42と同様となる。さらに差分54bは、波長変化41と同様となる。そのため、差分54bを求めることで被測定物3に生じた温度変化を波長から求めることが可能となる。この方法であると、波形のピーク位置から波長変化を算出しないため、ピーク位置が複数ある場合や、ピーク位置が不明な場合でも対応可能なため、より安定で高感度な計測が可能となる。
【0032】
すなわち、被測定物3に固定した部分のFBGセンサ2aの波長変化は歪みによって生じたものである、被測定物3に固定しないFBGセンサ2bの波長変化は温度によって生じたものである。そのため、FBGセンサ2bにより、温度測定、FBGセンサ2aとFBGセンサ2bの差分で歪み測定ができる。歪み量と温度は変化した波長に係数を乗ずることで算出が可能である。温度による係数は、1.5μmの波長帯域を使用した場合は、約10pm/℃とり、歪みによる係数は、約1.2pm/μεとなる。使用する波長帯域が1.5μmと異なる場合は、その係数を乗ずれば良い。
【0033】
図12に本発明におけるFBGセンサを用いた計測装置の計測フローを説明する。先ず、FBGセンサを被測定物に上述した方法でセットする(S1201)。次に、表示手段18の表示画面300上で検出条件のセットを行い(S1202)、計測を開始する(S1203)。照明光源9により照明光を光ファイバ1に入射させてFBGセンサ2を照射し(S1204)、FBGセンサ2からの反射光を光電変換器11で検出する(S1205)。光電変換器11で検出された反射光の信号はA/D変換器12で増幅されデジタル信号に変換されて演算部7に送られ、固定部波長演算器13で固定FBGの範囲での波長が算出され(S1206)、フリー部波長演算器14でフリーFBGの範囲での波長が算出され(S1207)、固定部波長演算器13で算出された固定FBGの範囲での波長変化量から歪み量を算出し(S1208)、フリー部波長演算器14で算出されたフリーFBGの範囲での波長変化量から温度の算出を行う(S1209)。これらの算出した結果を表示手段18の表示画面300上に表示し(S1210)、算出結果を必要に応じて外部出力を行い(S1211)、測定を終了する。
【実施例2】
【0034】
図13A及び図13Bに本発明の第二の実施例を説明する。本実施例においては、図13Aに示すように、FBGセンサ2の領域2aと共に領域2bも被測定物3に固定する点で実施例1と異なる。光ファイバ1のFBGセンサ2の領域2aにおける被測定物3の固定は図1と同様である。領域2bを光ファイバ1と同じ熱膨張係数を持ち、硬さが同じ接着材43で被測定物3に固定する。被測定物3に生じる歪み、温度変化による領域2bの波形変化は図6B、図7Bに示したものと同様となる。この方式によれば、FBGセンサが外部に露出しないため、FBGセンサの保護が可能な効果も奏する。この場合、接着材の物性が同じでなくとも、温度と接着材の伸びの関係を予め求めてデータベースを作成することで、温度上昇による波長変化をデータベースから算出することで所望の温度が計測可能となる。
【実施例3】
【0035】
図14に第三の実施例を説明する。
本実施例においては、被測定物46には、光ファイバ1のFBGセンサ44とFBGセンサ45が接触しないように溝47、48が形成されている。FBGセンサ44は実施例1で説明した領域2aに相当して被測定物46の歪みと温度を計測するための領域であり、被測定物に接着剤49と接着剤50により撓みが発生しないようなテンションをかけた状態で接着されている。FBGセンサ45は実施例1で説明した領域2bに相当して被測定物46の温度を計測するための領域であり、接着剤50と接着剤51により、フリー状態で接着されている。この方式によれば、FBGセンサ44で歪みと温度計測、FBGセンサ45で温度計測が可能であるため、実施例1の場合と同様の効果を奏する。この方式によればFBGセンサの上部に接着剤を塗布せずに固定できるため、接着剤の影響を除外できる効果も奏する。
【実施例4】
【0036】
次に、本発明によるFBGセンサの適用実施例を説明する。
本実施例では、発電機に適用した場合を説明する。
図15は発電機の模式図である。タービン100は、発電機101のロータ102に接続されている。ステータ103はロータ102に対向配置されている。ステータ103に、本発明で説明したステータ計測用FBGセンサ104を固定する。同様に、ロータ102に、ロータ計測用FBGセンサ105が固定されており、端部は回転軸に設置したロータリジョイント106に接続されている。ロータリジョイント106は、ロータ102の回転によるロータ計測用FBGセンサ105の捩れを防止している。ロータリジョイント106の外側に光ファイバ107を接続し、ステータ103に敷設したステータ計測用FBGファイバ104と共に光FBGファイバ検出装置のFBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8に接続される。FBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8の構成及び作用は、実施例1で説明したものと同様であり、図12で説明したようなフローに沿って歪み量及び温度が算出される。ステータ計測用FBGセンサ104とロータ計測用FBGセンサ105に設置したFBGセンサは本発明の実施例1乃至3の何れかで説明した固定方式で固定する。また、図3で説明した複数のFBGセンサを使用すれば、ロータ102、ステータ103の多点での計測が可能である。
【0037】
本構成において、発電機の試験時、あるいは定常運転時における発電機内部の歪み、温度計測が運転しながら可能となる。さらに、光ファイバによる計測であるため、磁界の影響が皆無なため、発電機の性能を劣化することがない。
【実施例5】
【0038】
次に原子力発電などの設備全体に適用した場合の実施例を説明する。
図16は原子力発電設備の模式図である。原子炉150によりタービン160を回転し、タービン160に接続した発電機161により発電可能である。原子炉150、タービン160、冷却装置151はそれぞれ冷却配管152で接続されている。冷却パイプ計測用FBGセンサ153は、冷却配管152の周囲に巻き付けられ、FBGセンサ部はそれぞれ、本発明の実施例1乃至3の何れかで説明した固定方法で固定する。また、設備計測用FBGセンサ154は、原子炉150の建屋周辺に張り巡らし、同様にFBGセンサ部を固定する。各FBGセンサは、光FBGファイバ検出装置のFBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8に接続される。FBGセンサ測定部6、演算部7、制御部8の構成及び作用は、実施例1で説明したものと同様であり、図12で説明したようなフローに沿って歪み量及び温度が算出される。図15と同様に冷却パイプ計測用FBGセンサ153、設備計測用FBGセンサ154は複数のFBGセンサを有したものを使用すると多点で同時観察が可能となる。
【0039】
本構成において、原子炉150の建屋の変形や異常温度上昇などのヘルスモニター、冷却配管152の異常温度上昇、異常歪みが計測可能となり、設備全体の安全監視が可能となる効果も奏する。
【符号の説明】
【0040】
1・・・光ファイバ 2・・・FBGセンサ 2a・・・固定FBGセンサ
2b・・・フリーFBGセンサ 3・・・被測定物 4・・・FBGセンサ固定用部材 5・・・光ファイバ固定用部材 6・・・FBG波形計測装置
7・・・演算部 8・・・制御部 9・・・光源 10・・・光サーキュレータ 11・・・光電変換器 12・・・A/D変換器 13・・・固定部波長演算器 14・・・フリー部波長演算器 15・・歪み量算出器
16・・・温度算出器 17・・・計測条件入力手段 18・・・表示手段
19・・・出力手段 101・・・発電機 102・・・ロータ 103・・・ステータ 104・・・ステータ計測用FBGセンサ
105・・・ロータ計測用FBGセンサ 106・・・ロータリジョイント
150 原子炉 151・・・冷却装置 152・・・冷却用パイプ
153・・・冷却パイプ計測用FBGセンサ 154・・・設備計測用FBGセンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、
前記コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、
前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて前記被測定物のひずみと温度とを計測する
ことを特徴とするFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項2】
前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号は前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分の回折格子からの反射光の波長に関する信号であり、前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号は前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分の回折格子からの反射光の波長に関する信号であることを特徴とする請求項1記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項3】
前記光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定することを、前記光ファイバの一部を被測定物に接着剤で固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項4】
前記光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定することを、前記光ファイバの一部に弛みがない状態で前記光ファイバの一部の両端部分を被測定物に接着剤で固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項5】
前記光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定することを、前記光ファイバの他の部分の端部を被測定物に固定し、前記他の部分のうちの残りの部分を前記被測定物に対してフリーな状態にすることにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項6】
前記光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定することを、前記光ファイバの他の部分を前記光ファイバと同じ熱膨張係数を持ち、前記光ファイバと同じ硬さを持つ接着剤で前記被測定物に固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項7】
一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定して他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定したコアに回折格子を形成した光ファイバと、
光を発射する光源手段と、
該光源手段から発射された光のうち前記光ファイバに入射して前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定された部分の回折格子で反射して前記光ファイバから出射した反射光と、前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定された部分の回折格子で反射して前記光ファイバから出射した反射光とを検出する光検出手段と、
該光検出手段で反射光を検出して得られた信号を処理して前記被測定物のひずみと温度とを算出する演算手段と、
該演算手段で算出した前記被測定物のひずみと温度とに関する情報を出力する出力手段と
を備えたことを特徴とするFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記光検出手段で検出した前記光ファイバから出射した反射光の波長の情報を用いて前記被測定物のひずみと温度とを算出することを特徴とする請求項7記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項9】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定した前記一部は、 該光ファイバの一部を接着剤で前記被測定物に固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項10】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定した前記一部は、前記光ファイバの一部に弛みがない状態で前記光ファイバの一部の両端部分を前記被測定物に接着剤で固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項11】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定した前記他の部分は、該他の部分の一部を接着剤で前記被測定物に固定し、該他の部分の残りの部分を前記被測定物に対してフリーな状態にしてあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項12】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定した前記他の部分は、該他の部分を前記光ファイバと同じ熱膨張係数を持ち、前記光ファイバと同じ硬さを持つ接着剤で前記被測定物に固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項1】
コアに回折格子を形成した光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定し、
前記コアに回折格子を形成した光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定し、
前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号と前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号とを用いて前記被測定物のひずみと温度とを計測する
ことを特徴とするFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項2】
前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分から検出された信号は前記光ファイバの被測定物の歪みに依存する状態で固定した部分の回折格子からの反射光の波長に関する信号であり、前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分から検出された信号は前記光ファイバの被測定物の歪みに依存しない状態で固定した部分の回折格子からの反射光の波長に関する信号であることを特徴とする請求項1記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項3】
前記光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定することを、前記光ファイバの一部を被測定物に接着剤で固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項4】
前記光ファイバの一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定することを、前記光ファイバの一部に弛みがない状態で前記光ファイバの一部の両端部分を被測定物に接着剤で固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項5】
前記光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定することを、前記光ファイバの他の部分の端部を被測定物に固定し、前記他の部分のうちの残りの部分を前記被測定物に対してフリーな状態にすることにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項6】
前記光ファイバの他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定することを、前記光ファイバの他の部分を前記光ファイバと同じ熱膨張係数を持ち、前記光ファイバと同じ硬さを持つ接着剤で前記被測定物に固定することにより行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【請求項7】
一部を被測定物の歪みに依存する状態で固定して他の部分を被測定物の歪みに依存しない状態で固定したコアに回折格子を形成した光ファイバと、
光を発射する光源手段と、
該光源手段から発射された光のうち前記光ファイバに入射して前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定された部分の回折格子で反射して前記光ファイバから出射した反射光と、前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定された部分の回折格子で反射して前記光ファイバから出射した反射光とを検出する光検出手段と、
該光検出手段で反射光を検出して得られた信号を処理して前記被測定物のひずみと温度とを算出する演算手段と、
該演算手段で算出した前記被測定物のひずみと温度とに関する情報を出力する出力手段と
を備えたことを特徴とするFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記光検出手段で検出した前記光ファイバから出射した反射光の波長の情報を用いて前記被測定物のひずみと温度とを算出することを特徴とする請求項7記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項9】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定した前記一部は、 該光ファイバの一部を接着剤で前記被測定物に固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項10】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存する状態で固定した前記一部は、前記光ファイバの一部に弛みがない状態で前記光ファイバの一部の両端部分を前記被測定物に接着剤で固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項11】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定した前記他の部分は、該他の部分の一部を接着剤で前記被測定物に固定し、該他の部分の残りの部分を前記被測定物に対してフリーな状態にしてあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測装置。
【請求項12】
前記光ファイバの前記被測定物の歪みに依存しない状態で固定した前記他の部分は、該他の部分を前記光ファイバと同じ熱膨張係数を持ち、前記光ファイバと同じ硬さを持つ接着剤で前記被測定物に固定してあることを特徴とする請求項7又は8に記載のFBGセンサを用いた計測方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−88155(P2012−88155A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234598(P2010−234598)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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