説明

FM受信装置

【課題】妨害排除能力を維持したまま高変調度での帯域制限誤作動を防止すること。
【解決手段】FM放送信号を中間周波数信号に変換する第2の混合器14と、第2の混合器14の後段に接続されたIFバンドパスフィルタ15と、バンドパスフィルタを通過した中間周波数信号を検波するFM検波回路16と、FM放送信号の信号レベルを検出するSメータ回路22,23と、FM放送信号の信号レベルが小さい時は、Sメータ回路23の出力信号に重畳されたAC成分に基づいて通過帯域を制御する制御回路25とを備え、さらに変調度と妨害波の有無との組み合わせに応じて、妨害波が存在しない状況ではIFバンドパスフィルタ15の通過帯域が狭帯域へ切り替わらない方向へ、AC成分のレベル値を変更する負荷切替回路31を備えたFM受信装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調(Frequency Modulation)された信号を受信するFM受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FM信号は、音声信号等に基づいて搬送波の周波数を変化させるため、AM信号に比べて広い周波数帯域を必要とする。そのため、FM受信装置において、目的とするFM信号を受信する場合、その周波数付近で送信される隣接信号の妨害(以下、「隣接妨害」という)を受ける可能性がある。そこで、目的FM信号を抽出するバンドパスフィルタの帯域を狭帯域に切り替えることで隣接妨害の軽減を図るようにしていた。
【0003】
図4は従来のFM受信装置の全体構成図である。同図に示すFM受信装置は、FM信号を第1の混合器11でIF周波数(例えば10.7MHz)に変換し、IF増幅器12、IFフィルタ13を介して第2の混合器14へ入力する。第2の混合器14においてIF周波数をさらに低いIF周波数(例えば450kHz)に変換した後、帯域可変型のIFバンドパスフィルタ15で周波数選択性を持たせてからFM検波回路16で検波し、FM検波回路16で復調した信号をミュート回路17で増幅し、音声信号として出力する。帯域可変型のIFバンドパスフィルタ15は後述する帯域制御系回路20によって狭帯域と広帯域とに切り替えられる。AFC回路18は、局部発振周波数の変動を検出する回路と発振周波数を制御する回路から構成され、IF信号をFM検波して積分し、IFからのずれに対応した直流電圧(AFC電圧)を得て、このAFC電圧によって局部発振周波数を補正する方向に制御することで正確なIFへ補正している。
【0004】
以上のFM受信装置では、隣接妨害発生時の排除能力向上を目的として、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域を広帯域と狭帯域とに切り替える帯域制御系回路20を備えている。帯域制御系回路20において、切替回路21が電界強度によって帯域制御を行う経路を、経路A又は経路Bに切り替えている。IFフィルタ13の後段に接続されたSメータ回路(DC)22が生成する電界強度に対してリニアに比例する電圧を切替回路21へ出力する。切替回路21は、中電界未満であれば経路Aを選択し、中電界以上であれば経路Bを選択する。
【0005】
ここで、経路Aにおいては、Sメータ回路(AC)23の出力信号に重畳されるAC成分をハイパスフィルタ24で取り出し、切替回路21へ出力する。中電界未満のために経路Aが選択された場合、AC成分が切替回路21を介して制御回路25に与えられる。制御回路25は、AC成分の周波数に応じてIFバンドパスフィルタ15の制限帯域を広帯域から狭帯域の間で制御する。また、経路Bにおいては、ミュート回路17から出力された変調成分のノイズ量をローパスフィルタ26で抽出し、切替回路21へ出力する。中電界以上のために経路Bが選択された場合、ノイズ成分が切替回路21を介して制御回路25に与えられる。制御回路25は、ノイズ成分を隣接妨害と判断し、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域を狭帯域に制御する。
【0006】
このように、従来のFM受信装置では、電界強度が中電界以上であれば隣接妨害発生と判断してIFバンドパスフィルタ15の制限帯域を狭帯域に制御することで、隣接妨害を除去していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−199268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のFM受信装置の場合、ノイズ成分が変調度の高い時と隣接妨害発生時とで同じ傾向を示すことから、隣接妨害が発生していないにも拘わらず制限帯域を狭帯域に切り替えて歪が増大する問題がある。
【0009】
図5(a)(b)に示すように、隣接妨害が無い場合には中電界以下の領域で変調度が中程度(75.0k)までは信号(AC成分)が電界強度の感度しきい値を超えない。一方、図5(d)に示すように妨害発生時にはAC成分が電界強度の感度しきい値を超えるため、狭帯域に切り替わる。ところが、図5(c)に示すように、隣接妨害が無い場合であっても変調度が高くなると(130.0k)、AC成分が電界強度の感度しきい値を超えてしまう。図5(c)と同図(d)を比較すると明らかなように、変調度の高い時の信号成分と隣接妨害発生時のノイズ成分とは同じ傾向を示すので判別が困難である。この対策として、感度しきい値を下げることが考えられるが、これでは隣接妨害発生時にも感度しきい値が低いために狭帯域に切り替わらない弊害が発生する。
【0010】
図6は高変調時(130k dev)における狭帯域と広帯域での歪み特性を示している。狭帯域では電界強度が小さくなると歪み特性が極度に悪化することが判る。したがって、中電界以下の領域では隣接妨害が発生していないにも拘わらず狭帯域に制御すると歪が増大する。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、妨害排除能力を維持したまま高変調度での帯域制限誤作動を防止できるFM受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のFM受信装置は、受信したFM放送信号を中間周波数信号に変換する周波数変換回路と、前記周波数変換回路の後段に接続され通過帯域を可変可能で前記中間周波数信号を通過させるバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタを通過した中間周波数信号を検波する検波回路と、前記FM放送信号の信号レベルを検出するレベル検出回路と、前記FM放送信号の信号レベルが所定値よりも小さい時は、前記レベル検出回路の出力信号に重畳されたAC成分に基づいて、前記バンドパスフィルタの通過帯域を制御する制御回路と、前記検波信号から前記FM放送信号の変調度を検出する変調度検出回路と、前記検波信号から前記FM放送信号に対する妨害波の有無を検出する妨害波検出回路と、検出された変調度と妨害波の有無との組み合わせに応じて、妨害波が存在しない状況では前記バンドパスフィルタの通過帯域が狭帯域へ切り替わらない方向へ、前記AC成分のレベル値をシフトさせる変更回路とを具備したことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、検出された変調度と妨害波の有無との組み合わせに応じて、妨害波が存在しない状況では前記バンドパスフィルタの通過帯域が狭帯域へ切り替わらない方向へ、前記AC成分のレベル値をシフトさせるので、高変調度でバンドパスフィルタの通過帯域が狭帯域へ切り替わる帯域制限誤作動を防止でき、しかも妨害波が存在する状況ではAC成分のレベル値を戻すこともできるので、妨害波を排除する妨害排除能力を維持することもできる。
【0014】
また本発明は、上記FM受信装置において、前記変更回路は、前記変調度検出回路の出力信号が「高変調度」を示すハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号が「妨害波無し」を示すローレベルである場合、前記AC成分のレベル値を、前記バンドパスフィルタに広帯域が設定される側へ変更することを特徴とする。
【0015】
この構成により、「高変調度」と「妨害波無し」の組合せであれば、AC成分のレベル値をバンドパスフィルタに広帯域が設定される側へシフトさせるので、高変調度のFM信号に対して広帯域の帯域制限を掛けることができ、歪みの発生を抑制できる。
【0016】
また本発明は、上記FM受信装置において、前記変更回路は、前記変調度検出回路の出力信号が「高変調度」を示すハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号が「妨害波有り」を示すハイレベルである場合、前記AC成分のレベル値を、前記バンドパスフィルタに狭帯域が設定される側へ変更することを特徴とする。
【0017】
この構成により、「高変調度」と「妨害波有り」の組み合わせを見てバンドパスフィルタに狭帯域が設定される側へAC成分のレベル値を変更するので、従来方式では判別が困難であったケースについても、「高変調度」に対して帯域制限誤作動防止のために固定的に感度しきい値を下げるような対策を取ることなく、適切に妨害波を排除することができる。
【0018】
上記FM受信装置において、前記変更回路は、前記レベル検出回路の出力段に対して、前記AC成分のレベル値を高い側へシフトする負荷抵抗を接続状態又は非接続状態に切替え可能に構成され、前記変調度検出回路の出力信号がハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号がローレベルの時に、前記負荷抵抗を接続状態となし、前記変調度検出回路の出力信号がハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号がハイレベルの時に、前記負荷抵抗を非接続状態となす構成とすることができる。
【0019】
上記FM受信装置において、前記FM放送信号の信号レベルが所定値よりも高い時は、前記検波回路の出力信号と前記妨害波検出回路の出力信号とを基にした制御信号を前記制御回路へ入力する構成としても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、妨害排除能力を維持したまま高変調度での帯域制限誤作動を防止できるFM受信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係るFM受信装置の構成図
【図2】上記実施の形態における負荷切替回路の構成図
【図3】上記実施の形態における負荷切替回路での切替判定のためのマトリクスを示す図
【図4】従来のFM受信装置の構成図
【図5】変調度及び妨害発生時の電界強度とノイズ比較との関係を示す図
【図6】広帯域と狭帯域での歪特性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るFM受信装置の構成図である。なお、図4に示すFM受信装置と同一部分には同一符号を付している。本実施の形態は、経路Aにおいて、ハイパスフィルタ24の出力段に対して、AC成分が重畳する出力信号を全体として高レベル側へシフトさせる負荷を、装荷又は取外し自在に構成している。すなわち、ハイパスフィルタ24の出力段に負荷抵抗を接続又は非接続とする切替回路31と、切替回路31に対して負荷抵抗の接続/非接続を指示する判定部32とを備えている。
【0023】
図2に切替回路31及び判定部32の概念図を示す。
切替回路31は、経路Aの伝送ラインLに一端が接続された負荷抵抗31aと、負荷抵抗31aの他端とグラウンドとの間に設けられたスイッチ31bとを備えて構成される。ハイパスフィルタ24の出力段に負荷抵抗31aを接続することで、ハイパスフィルタ24のAC成分まで含んだ広帯域の出力信号を高レベル側へシフトさせることができる。すなわち、スイッチ31bをオンすることによりハイパスフィルタ24のAC成分まで含んだ出力信号が高レベル側へシフトし、スイッチ31bをオフすることによりハイパスフィルタ24の出力信号が低レベル側へシフトする。
【0024】
判定部32は、AFC回路18から出力されるAFC電圧に基づいて隣接妨害の有無を検出する隣接妨害検出部32aと、ミュート回路17の出力する音声信号から変調度を検出する変調度検出部32bと、隣接妨害検出結果と変調度検出結果とから負荷切替えを判定する判定ロジック部32cとを備える。判定ロジック部32cは、図3に示す隣接妨害の検出経路状況(Low/High)と変調度の検出経路状況(Low/High)との組み合わせに対応して、負荷の接続/非接続を判定している。切替回路31及び判定ロジック部32cでAC成分のレベル値をシフトさせる変更回路を構成する。
【0025】
図3に示すように、AFC回路18は、隣接妨害の無い状況では、同調点においてAFC電圧が0近傍のプラス側又はマイナス側の所定範囲内となる(ローレベルレンジ)。一方、隣接妨害の発生している状況では、同調点においてAFC電圧がプラス側又はマイナス側に所定範囲外となるハイレベルレンジとなる。
【0026】
隣接妨害検出部32aは、AFC電圧が同調点においてプラス側又はマイナス側に所定範囲内となる0近傍のローレベルレンジであれば、隣接妨害の検出経路状況について隣接妨害「無し」と判定する(Low判定)。また、AFC電圧が同調点においてプラス側又はマイナス側に所定範囲外となるハイレベルレンジであれば、隣接妨害の検出経路状況について隣接妨害「有り」と判定する(High判定)。
【0027】
また、図3に示すように、ミュート回路17から出力される正弦波の音声信号は、変調度がある程度の数値まではピーク値が所定範囲内に収まる(ローレベルレンジ)。一方、変調度がある数値を超えて過変調になるとピーク値が所定範囲内に収まらなくなる(ハイレベルレンジ)。
【0028】
変調度検出部32bは、音声信号のピーク値から検出される変調度が所定範囲内のローレベルレンジであれば、変調度検出経路状況について低変調度と判定する(Low判定)。また、変調度が所定範囲外となるハイレベルレンジであれば、変調度検出経路状況について高変調度と判定する(High判定)。
【0029】
判定ロジック部32cは、隣接妨害検出経路状況の検出結果と変調度検出経路状況の検出結果との組み合わせで負荷切替えのための判定ロジックを組んでいる。すなわち、図3に示すように、隣接妨害検出経路状況がLow判定で、かつ変調度検出経路状況がLow判定の場合、並びに隣接妨害検出経路状況がLow判定で、かつ変調度検出経路状況がHigh判定の場合は、「負荷接続」と判定する。特に、変調度検出経路状況がHigh判定(高変調度)であっても、隣接妨害検出経路状況がLow判定であれば、ハイパスフィルタ24の出力端子とグラウンドとの間に負荷抵抗31aを投入して、AC成分まで含んだ広帯域の出力信号を高レベル側へシフトさせている。また、隣接妨害検出経路状況がHigh判定で、かつ変調度検出経路状況がLow判定の場合、並びに隣接妨害検出経路状況がHigh判定で、かつ変調度検出経路状況がHigh判定の場合は、「非負荷接続」と判定する。特に、変調度検出経路状況がLow判定であっても、隣接妨害検出経路状況がHigh判定で隣接妨害が発生している場合は、負荷抵抗31aのグラウンド側をオープンにして、AC成分まで含んだ広帯域の出力信号を低レベル側へシフトさせている。
【0030】
次に、以上のように構成されたFM受信装置におけるIFバンドパスフィルタ15の帯域切替動作について説明する。切替回路21にはSメータ回路(DC)22から入力電界強度に対してリニアに比例する電圧が入力する。切替回路21は、Sメータ回路(DC)22の出力電圧に基づいて現在の電界強度が中電界強度レベルか否か判断し、中電界強度よりも弱ければ経路Aを選択し、中電界強度よりも強ければ経路Bを選択する。切替回路21が経路Aを選択した場合、制御回路25は経路Aのハイパスフィルタ24から出力される出力信号に重畳されたAC成分と感度しきい値とを比較してIFバンドパスフィルタ15の制限帯域を切替える。具体的には、AC成分が電界強度の感度しきい値を超えなければ広帯域に設定し、AC成分が電界強度の感度しきい値を超えると狭帯域に切り替える。
【0031】
このとき、制御回路25に入力する経路Aの出力信号は負荷切替回路31により、図3に示す判定ロジックに従って強電界強度側又は低電界強度側へシフトする補正が加えられる。判定ロジック部32cは、隣接妨害検出経路状況がLow判定で隣接妨害が発生していない状況下において、変調度検出経路状況がLow判定で変調度も小さい場合、負荷投入ONの判定結果をスイッチ31bに出力し、ハイパスフィルタ24の出力端子とグラウンドとの間に負荷抵抗31aを投入し、AC成分まで含んだ広帯域の出力信号を高レベル側へシフトさせる。
【0032】
本実施の形態では、変調度検出経路状況がHigh判定で高変調度であることが検出された場合であっても、隣接妨害検出経路状況がLow判定で隣接妨害が発生していない状況下であれば、負荷投入ONの判定結果をスイッチ31bに出力する。この結果、高変調度の状況にも、ハイパスフィルタ24の出力端子とグラウンドとの間に負荷抵抗31aが投入されて、AC成分まで含んだ広帯域の出力信号が高レベル側へシフトする。このような経路Aの信号が入力した制御回路25では、出力信号が高レベル側へシフトすることで電界強度の感度しきい値が下げられることとなり、高変調度の信号が感度しきい値を超えて狭帯域に切り替えられることを防止できる。
【0033】
このように、従来方式では判別困難であった図5(c)(d)に示すケースであっても、図5(c)に示すケースのみ感度しきい値を下げて、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域が狭帯域に切替わるのを防止できる。
【0034】
また、判定ロジック部32cは、隣接妨害検出経路状況がHigh判定で隣接妨害が発生していれば、変調度検出経路状況がLow判定で変調度が低い場合であっても、負荷投入OFFの判定結果をスイッチ31bに出力し、ハイパスフィルタ24の出力端子に接続された負荷抵抗31aをオープン状態にし、AC成分まで含んだ広帯域の出力信号を低レベル側へシフトさせる。これにより、制御回路25における感度しきい値が上がるので、切替回路21が経路Bに切り替えるのを待つことなく、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域が狭帯域に切替えることができる。
【0035】
本実施の形態では、隣接妨害検出経路状況がHigh判定で、かつ変調度検出経路状況がHigh判定の場合には、負荷投入OFFの判定結果をスイッチ31bに出力し、ハイパスフィルタ24の出力端子に接続された負荷抵抗31aをオープン状態にし、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域を狭帯域に切替える。
【0036】
このように、従来方式では判別困難であった図5(c)(d)に示すケースであっても、図5(d)に示すケースのみ感度しきい値を上げて、IFバンドパスフィルタ15の制限帯域を確実に狭帯域に切替えることができる。
【0037】
なお、中電界以上の場合は、切替回路21が経路Bを選択し、制御回路25がIFバンドパスフィルタ15の制限帯域を狭帯域に切替える。
【0038】
このように本実施の形態によれば、ハイパスフィルタ24の出力段に負荷抵抗31aを接続又は非接続とする切替回路31と、切替回路31に対して負荷抵抗31aの接続/非接続を指示する判定部32とを備え、隣接妨害検出経路状況(Low/High)と変調度検出経路状況(Low/High)との組み合わせにより、負荷接続/非接続を判定するようにしたので、妨害排除能力を維持したまま高変調度での帯域制限誤作動を防止できる。
【0039】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、FM放送信号の信号レベルが所定値よりも高い時は、前記AFCF回路18の出力信号と隣接妨害検出部32aの出力信号とを基にした制御信号を前記制御回路25へ入力する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、FM受信装置に搭載したIFバンドパスフィルタの制限帯域の切替え制御に適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
11 第1の混合器
12 IF増幅器
13 IFフィルタ
14 第2の混合器
15 IFバンドパスフィルタ
16 FM検波回路
17 ミュート回路
18 AFC回路
20 帯域制御系回路
21 切替回路
22 Sメータ回路(DC)
23 Sメータ回路(AC)
24 ハイパスフィルタ
25 制御回路
26 ローパスフィルタ
31 切替回路
31a 負荷抵抗
31b スイッチ
32 判定部
32a 隣接妨害検出部
32b 変調度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信したFM放送信号を中間周波数信号に変換する周波数変換回路と、
前記周波数変換回路の後段に接続され通過帯域を可変可能で前記中間周波数信号を通過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを通過した中間周波数信号を検波する検波回路と、
前記FM放送信号の信号レベルを検出するレベル検出回路と、
前記FM放送信号の信号レベルが所定値よりも小さい時は、前記レベル検出回路の出力信号に重畳されたAC成分に基づいて、前記バンドパスフィルタの通過帯域を制御する制御回路と、
前記検波信号から前記FM放送信号の変調度を検出する変調度検出回路と、
前記検波信号から前記FM放送信号に対する妨害波の有無を検出する妨害波検出回路と、
検出された変調度と妨害波の有無との組み合わせに応じて、妨害波が存在しない状況では前記バンドパスフィルタの通過帯域が狭帯域へ切り替わらない方向へ、前記AC成分のレベル値を変更する変更回路と、
を具備したことを特徴とするFM受信装置。
【請求項2】
前記変更回路は、前記変調度検出回路の出力信号が「高変調度」を示すハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号が妨害波「無し」を示すローレベルである場合、前記AC成分のレベル値を、前記バンドパスフィルタに広帯域が設定される側へ変更することを特徴とする請求項1記載のFM受信装置。
【請求項3】
前記変更回路は、前記変調度検出回路の出力信号が「高変調度」を示すハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号が妨害波「有り」を示すハイレベルである場合、前記AC成分のレベル値を、前記バンドパスフィルタに狭帯域が設定される側へ変更することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のFM受信装置。
【請求項4】
前記変更回路は、前記レベル検出回路の出力段に対して、前記AC成分のレベル値を高い側へシフトする負荷抵抗を接続状態又は非接続状態に切替え可能に構成され、
前記変調度検出回路の出力信号がハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号がローレベルの時に、前記負荷抵抗を接続状態となし、
前記変調度検出回路の出力信号がハイレベルで、かつ前記妨害波検出回路の出力信号がハイレベルの時に、前記負荷抵抗を非接続状態となす
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のFM受信装置。
【請求項5】
前記FM放送信号の信号レベルが所定値よりも高い時は、前記検波回路の出力信号と前記妨害波検出回路の出力信号とを基にした制御信号を前記制御回路へ入力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のFM受信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−213080(P2010−213080A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58206(P2009−58206)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】