説明

HCV複製阻害剤として有用な三級アミン置換ペプチド

HCV複製阻害剤として有用な式Iの三級アミン置換ペプチドを提供する。


式Iの変数RおよびR−R12がここに説明される。本発明は、そのような化合物の調製方法も含む。本発明は、さらにC型肝炎感染を治療する化合物の使用法も含めて三級アミン置換ペプチドを有する医薬的組成物およびそのような化合物を使用する方法も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCV複製の阻害剤(インヒビター)として有用な三級アミン置換ペプチドを提供する。本発明にはさらに、そのような化合物を調製するための方法も含まれる。本発明にはさらに、三級アミン置換ペプチドを含む医薬的組成物、C型肝炎感染を治療するためのそのような化合物を使用するための方法も含めて、そのような化合物を使用するための方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
推定では、世界の総人口の3%が、C型肝炎ウィルスに感染している。HCV感染者の内で、80%が慢性肝炎となり、少なくとも30%が肝硬変を発症し、1〜4%が肝細胞ガンを発症する。C型肝炎ウイルス(HCV)は、米国においては、慢性肝疾患を引き起こす主要な原因の一つであり、急性ウィルス性肝炎の約15パーセント、慢性肝炎の60〜70パーセント、ならびに肝硬変、末期肝疾患、および肝ガンの最大50パーセントまでの原因であると報告されている。慢性HCV感染は、米国、オーストラリア、およびヨーロッパの大半における肝臓移植の最も一般的な理由である。C型肝炎が原因の死者は、米国では年間10,000〜12,000人に達すると推定される。HCV感染の急性期には軽度の症状を通常伴うものの、HCVを消失させることができるのは、感染者の約15%〜20%に過ぎないであろうという示唆もいくつかある。
【0003】
HCVは、約9.6kbのポジティブストランドゲノムを含むエンベロープ型の単鎖RNAである。HCVは、フラビウイルス科ヘパシウイルス属として分類されている。GT−1〜GT−4の少なくとも4系のHCVが同定されている。
【0004】
HCVのライフサイクルには、宿主細胞中への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリタンパク質のプロセシング、およびレプリカーゼ複合体の構築;RNAの複製、ならびにビリオンの構築および放出、が含まれる。HCVのRNAのゲノムの翻訳により、3000を超えるアミノ酸の長さのポリタンパク質が産生され、それが少なくとも2種の細胞プロテアーゼおよび2種のウイルスプロテアーゼによって処理される。HCVポリタンパク質は下記のとおりである:
NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOH。
【0005】
細胞シグナルペプチダーゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼは、非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)からポリタンパク質(C−E1−E2−p7)のN末端の1/3を切断することに関与するとの報告がある。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位の最初のシス切断を媒介する。次いでNS3−NS4Aプロテアーゼが、NS3−NS4A結合部で第二のシス切断を媒介する。次いでNS3−NS4A複合体が、以下の3つの部位で切断を行って、非構造タンパク質の残りの部分を分離させる。ポリタンパク質を正確にプロセシングすることが、活性なHCVレプリカーゼ複合体を形成させるためには必須であると断言されている。
【0006】
ポリタンパク質が切断されると、少なくともNS3−NS5B非構造タンパク質を含むレプリカーゼ複合体が集合する。そのレプリカーゼ複合体は、細胞質で、かつ膜結合性である。レプリカーゼ複合体における主たる酵素活性としては、NS3におけるセリンプロテアーゼ活性およびNTPアーゼヘリカーゼ活性、ならびにNS5BにおけるRNA依存性RNAポリメラーゼ活性が挙げられる。RNA複製プロセスにおいては、ゲノムRNAの相補的マイナス鎖コピーが産生される。そのマイナス鎖コピーがテンプレートとして使用されて、さらなるプラス鎖ゲノムRNAが合成され、それが、翻訳、複製、パッケージング、またはそれらの各種の組合せに関与して子孫ウィルスが産生される。機能性レプリカーゼ複合体の集合は、HCV複製機構のコンポーネントとして説明されてきた。2005年4月11日に提出された仮出願第60/669,872号「HCV複製阻害の医薬的組成物およびその方法」は、レプリカーゼ複合体の集合体に関するその開示について、参照によりその全体を本明細書に含めるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第03/099274号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/59929号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/099316号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/281688号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現時点でのC型肝炎感染の治療法としては、典型的には、PEG化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンとリバビリンの併用投与が含まれる。持続的ウィルス学的著効(SVR)によって測定すると、現行の治療法における成否は、その患者が感染されたHCVの系統と、治療計画に対する患者の遵守度とに依存する。HCVの菌株GT−1に感染した患者ののうち持続性ウィルス学的著効を示したのは、50%に過ぎなかった。VX−950およびNM283(NM107のプロドラッグ)のような直接作用性抗ウィルス薬が、慢性のHCVの治療薬として臨床開発段階にある。ある種のHCV菌株を治療するための有効な治療法が存在しないのと、HCVの突然変異率が高いために、新規な治療法が必要とされている。本発明はそのニーズを満たし、さらなる利点を与えるものであるが、それについては本明細書の中で説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
C型肝炎感染を治療および防止するのに有用な化合物、医薬的組成物、およびそのような化合物を使用するための方法が、本明細書において提供される。
【0010】
一つの態様において、本発明は、式Iの化合物および医薬的に許容されるその塩を含む。
【0011】
【化1】

【0012】
式I中、変数RおよびR〜R12は、以下に述べる定義を有している。
【0013】
Rは、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、
【化2】

、または
【化3】

であり、R13については以下に定義するものである。
【0014】
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、または5員環もしくは6員環のヘテロアリールであるが、それらのそれぞれは、場合によっては置換されている。
【0015】
は、C〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルであるが、それらのそれぞれは、場合によっては置換されている。
【0016】
あるいは、RとRとが結合して、独立してO、N、またはSから選択される0個、1個または2個のさらなるヘテロ原子を含む5員環〜7員環のヘテロシクロアルキル環を形成するが、その環は、独立してハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、オキソ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから選択される0個または1個以上の置換基を用いて置換されている。
【0017】
およびR11は、独立してC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、またはモノ−もしくはジ−C〜Cアルキルアミノ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、または(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それらのそれぞれは独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから選択される0〜3個の置換基を用いて置換される。
【0018】
およびR12は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜Cアルコキシである。
【0019】
あるいは、RとRとが合体して、3員環〜7員環のシクロアルキル環または5員環〜7員環のヘテロシクロアルキル環を形成し、それらのそれぞれが、独立してハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから選択される0〜2個の置換基を用いて置換される。
【0020】
あるいは、R11とR12とが結合して、3員環〜7員環のシクロアルキル環または5員環〜7員環のヘテロシクロアルキル環を形成し、それらのそれぞれが、独立してハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシから選択される0〜2個の置換基を用いて置換される。
【0021】
あるいは、Rは、(i)R11(ここで、R11はメチレン基である)に共有結合的に結合されるか、または(ii)R11とR12とが結合して3員環〜7員環のシクロアルキル環により形成されたシクロアルキル基に共有結合的に結合されたC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖である。
【0022】
、R、R、およびR10は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
【0023】
は、式−(CH2)Y−Z(ここで、nは、0、1、または2である)であり、そしてRは、水素、ハロゲン、アミノ、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであるが、RとRとが結合して、場合によっては置換された5員環〜7員環のシクロアルキル環を形成する。
【0024】
13は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニルであるが、それらのそれぞれは独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C〜Cアルコキシ、モノもしくはジ−C〜Cアルキルアミノから選択される0個または1個以上の置換基によって置換される。
【0025】
あるいは、R13は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(5員環〜7員環ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(ヘテロアリール)C〜Cアルキルであるが、それらのそれぞれは独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C〜Cアルキル、C〜C4アルコキシ、モノもしくはジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシから選択される0個または1個以上の置換基を用いて置換される。
【0026】
Yは存在しないかまたは、CR1415、NR16、S、−O−、−O(C=O)(NR16)−、−OC1415−、NH(C=O)(NR16)−、−NR16(C=O)CR1415−、NH(S=O)(NR16)−、もしくは−O(C=O)−である。
【0027】
ここで、R14およびR15は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC1〜C2ハロアルコキシであり、R16は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
【0028】
Zは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(単環式または二環式アリール)C〜Cアルキル、(単環式または二環式ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、部分的に不飽和の二環式複素環、三環式アリール、もしくは三環式ヘテロアリールであり、それらZのそれぞれは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、モノ−およびジ−C〜Cアルキルスルホンアミド、モノ−およびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシ、ならびに0個もしくは1個の(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5員または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5員または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または9員または10員の二環式ヘテロアリール(それらのそれぞれは、独立して(a)および0個または1個の置換基(b)から選択される0個、1個、または2個の置換基を用いて置換される)から選択される0個または1個以上の置換基を用いて置換される。
【0029】
ここで、(a)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cヒドロキシアルキル、モノ−およびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノ−およびジ−C〜Cアルキルスルホンアミド、モノ−およびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、から選択され、(b)は、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリールであるが、それらのそれぞれは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)カルボキサミド、C〜Cアルキルエステル、(C〜Cアルキルエステル)アミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシから選択される0個または1個以上の置換基を用いて置換されている。
【0030】
本発明には、本発明の化合物またはその塩を含む医薬的組成物が含まれ、それには少なくとも1種の医薬的に許容されるキャリアが含まれる。本発明にはさらに、本発明の化合物を含み、そして少なくとも1種のさらなる活性薬剤を含む医薬的組成物もまた含まれる。本発明には、容器に収めた本発明の化合物と、C型肝炎ウィルスに感染したか、あるいはC型肝炎ウィルスに感染しやすい患者を処置する目的でその組成物を使用するための使用説明書とを含む、梱包された医薬的組成物も含まれる。
【0031】
また別の態様においては、本発明は、C型肝炎感染を治療または予防する目的で、そのような治療または予防を必要とする患者に、有効量の本発明の化合物または塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0032】
HCVに感染した患者に、試験管内(イン・ビトロ)でHCVレプリコン複製を抑制するのに十分な濃度の本発明の化合物または塩を投与することを含む、生体内(イン・ビボ)でのHCV複製を抑制する方法もまた、本発明に包含される。
【0033】
以下に記載の説明、実施例、および特許請求項を参照すれば、本発明のこれらおよびその他の態様がより明らかに理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
専門用語
本発明について詳細な説明をする前に、本明細書に使用されるいくつかの用語について定義しておくのが役立つであろう。本発明の化合物については、標準的な命名法を用いて記載している。特に断らない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味合いを有している。
【0035】
式Iには、すべてのその下位の化学式が含まれる。例えば、式Iには、式I〜IXの化合物、その薬学的に許容される塩、プロドラッグ、水和物、それらの多形体などが含まれる。
【0036】
不定冠詞の「a」および「an」という用語は、量的な限定を意味するものではなく、むしろ、言及された項目の少なくとも一つが存在することを意味する。「または(or)」という用語は、「および/または」を意味する。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、制約のない(オープンエンドの)用語とみなすべきである(すなわち「含むが、それらに非限定される訳ではない」)。数値の範囲の引用は、特に断らない限り本明細書においては、その範囲の内に入る個々の別々な数値を個別に参照するための単なる手短な方法として役立つことを目的としており、それぞれ個別の数値が、本明細書においてあたかも独立して引用されたがごとくに、本明細書に組み入れられている。すべての範囲における終端値は、その範囲の中に含まれ、独立して組み合わせることができる。本明細書に記載された方法はすべて、本明細書内で指示されたり、文脈的に明らかに矛盾があったりした場合を除いて、適切な順序で実施することが可能である。それぞれおよびすべての実施例、または例示のための文言(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく説明することのみを意図しているのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいずれの文言も、本明細書で使用するとき、本発明の実施に不可欠ないかなる非特許請求要素を示しているものと受け取ってはならない。特に断らない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同義である。
【0037】
「活性製剤」という用語は、化合物(式Iの化合物を含む)、元素、または、患者に投与したときに、単独、または他の化合物、元素もしくは混合物との組合せで、その患者に対して直接的もしくは間接的に生理的な効果を与えるような混合物、を意味している。その間接的な生理的効果は、代謝産物または他の間接的な機構を介して起きてもよい。活性製剤が化合物であるならば、その遊離化合物の塩、溶媒和化合物(水和物を含む)、その化合物の結晶形状、非結晶形状および各種の多形体も含まれる。化合物には、1種または複数の不斉元素(例えばステレオジェン中心、ステレオジェン軸など)、例えば不斉炭素原子を含んでいて、その化合物が異なった立体異性体の形態とることが可能となっていてもよい。それらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性な形態となっていてもよい。2個以上の不斉元素を有する化合物の場合には、それらの化合物がさらに、ジアステレオマー混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物の場合には、純粋な形態および混合物の形態にあるすべての光学異性体が包含される。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、その化合物の全ての異性体の形態で、Z−およびE−体の形態で起こりうる。それらの場合、単一の鏡像異性体、すなわち光学活性体は、光学活性な前駆体からの合成や、ラセミ化合物の分離などを用いた、不斉合成によって得ることができる。ラセミ化合物は、例えば、分離剤の存在下における結晶化や、キラルHPLCカラムを使用したクロマトグラフィーなどのような、従来からの方法によっても分離させることが可能である。本明細書においては、それらを得るために使用された方法には関係なく、すべての形態が考慮の対象となる。
【0038】
活性製剤のすべての形態(例えば、溶媒和化合物、光学異性体、鏡像異性体の形態、多形体、遊離化合物および塩)が、単独または組合せの形で用いることができる。
【0039】
ある種の状況下では、式Iの化合物には、1種または複数の不斉元素(例えばステレオジェン中心(キラル中心を含む)、ステレオジェン軸など)、例えば不斉炭素原子を含んでいて、その化合物が異なった立体異性体の形態をとることが可能となっていてもよい。それらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性な形態となっていてもよい。2個以上の不斉元素を有する化合物の場合には、それらの化合物がさらに、ジアステレオマー混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物では、すべての光学異性体およびそれらの混合物が包含されることを、理解されたい。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z−およびE−体が起こりうるが、そのような化合物の全ての異性体の形態が、本発明に含まれる。式Iには、式Iの化合物の、すべてのキラル形、立体異性体、ジアステレオマー、および鏡像異性体が含まれる。
【0040】
「キラル」という用語は、鏡像の相手と重なり合うことが不可能な性質を有する分子を指す。
【0041】
「立体異性体」とは、同一の化学構造を有してはいるが、原子または基の空間的配置が異なっているような化合物である。
【0042】
「ジアステレオマー」とは、二つ以上のキラル中心を有し、分子が相互に鏡像関係にない立体異性体である。ジアステレオマーは、相互に異なる物理的性質例えば、融点、沸点、スペクトル的性質および反応性を有している。ジアステレオマーの混合物は、高分解能の分析方法例えば、電気泳動法、分割剤の存在下における結晶化法、または、例えば、キラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィー法などの下で、分割させることができる。
【0043】
「鏡像異性体」という用語は、相互に鏡像を重ね合わせることが不可能な、化合物の二つの立体異性体を指す。鏡像異性体の50対50の混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれるが、化学反応または化学プロセスにおいて立体選択性または立体特異性が存在しない場合に起こりうる。
【0044】
本明細書で使用する立体化学的な定義および約束事は、一般的には以下の文献に従っている:S.P.パーカー編『マグローーヒル・ディクショナリー・オブ・ケミカル・タームス』(マグローーヒル・ブック・カンパニー、ニューヨーク);およびE.エリールおよびS.ワイレン『ステレオケミストリー・オブ・オーガニック・コンパウンズ』(1994)(ジョン・ワイリー・アンド・ソンズ・インコーポレーテッド、ニューヨーク)。多くの有機化合物は光学活性な形態を示す、すなわちそれらは、平面偏光面を回転させる性能を有している。光学活性な化合物を記述する際には、接頭辞のDおよびL,またはRおよびSを使用して、そのキラル中心の回りでの分子の絶対配置を表す。接頭辞のdおよびl、または(+)および(−)を採用して、化合物による平面偏光の回転の記号を明示するが、ここで(−)またはlは、その化合物が左旋性であるということを意味している。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は、右旋性である。
【0045】
「ラセミ混合物」または「ラセミ化合物」は、光学活性をもたない等モル(すなわち50:50)の二つの鏡像体の混合物である。ラセミ混合物は、立体選択性または立体特異性をもたない化学反応または化学工程で発生しうる。
【0046】
化合物が種々の互変異性体の形態で存在する場合、本発明は特定の互変異性体のいずれか一つに限定されるのではなく、むしろ全ての互変異性体の形態が含まれる。
【0047】
本発明には、化合物中に存在しうるすべての可能な原子の同位体を有する、式Iの化合物が含まれる。同位体には、同一の原子番号ではあるが、質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例を挙げれば、水素の同位体は、トリチウムおよびデューテリウムを含み、炭素の同位体は、11C、13Cおよび14Cを含むが、これらに限定される訳ではない。
【0048】
本明細書においてある種の化合物は、変数、例えば、R、R〜R12、YおよびZを含む一般式を使用して記述される。特に断らない限り、式Iにおけるそれぞれの変数は、他の変数とは独立して定義される。したがって、ある基が例えば、0〜2個のRで置換されていると記載されている場合、前記の基は、2個までのR基で置換されていてよく、それぞれの場合でRは、Rの定義から、それぞれ独立して選択される。さらに、置換基および/または変数の組合せが許されるのは、それらの組合せが安定な化合物を与える場合に限られる。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「置換(された)」という用語は、指摘された原子または基の上のいずれか1種または複数の水素が、指摘された基から選択されるものによって置換されることを意味しているが、ただし、その指摘された原子の通常の原子価を超えるようなことがあってはならない。置換基がオキソ(すなわち、=O)の場合には、原子の上の2個の水素が置換されることとなる。芳香族残基がオキソ基によって置換されている場合には、その芳香環に対応する、部分的に不飽和な環に置きかえられる。例えば、オキソによって置換されたピリジル基は、ピリドンである。置換基および/または変数の組合せが許されるのは、それらの組合せが安定な化合物、または有用な合成中間体を与える場合に限られる。安定な化合物または安定な構造とは、反応混合物からの単離、およびその後の有効な治療薬への製剤に耐えうる、充分な堅牢性を有している化合物を意味している。
【0050】
二つの文字または記号の間ではない、ダッシュ(「−」)は、置換基が付加している位置を示すのに用いられている。例えば、−(CH)C〜Cシクロアルキルは、メチレン基(CH)の炭素を介して付加している。
【0051】
「アルキル」には、所定の数の炭素原子、一般的には1〜約12個の炭素原子を有する、分岐状または直鎖状いずれもの飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。本明細書で用いられる場合、「C〜Cアルキル」という用語は、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。本明細書において、他の基との関連で「C〜Cアルキル」という用語、例えば、(フェニル)C〜Cアルキルが使用されている場合には、その指示された基、この場合にはフェニルが、共有単結合によって直接結合されている(C)か、または所定の数の炭素原子、この場合には1〜約4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合されているか、のいずれかである。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0052】
「アルカノイル」とは、ケト(−(C=O)−)架橋を介して結合した、先に定義されたようなアルキル基である。アルカノイル基は、指定された数の炭素原子を有するが、ケト基の炭素も、その炭素原子の数に含まれる。例えば、Cアルカノイル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0053】
「アルケニル」は、1個または複数の不飽和炭素−炭素結合を含む直鎖状および分岐状の炭化水素鎖を意味しているが、それらの不飽和結合は、鎖の中の各種安定な点に生じてよい。本明細書に記載されるアルケニル基は、典型的には、2〜約12個の炭素原子を有する。好適なアルケニル基は、低級アルケニル基であって、2〜約8個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば、C〜C、C〜C、およびC〜Cアルケニル基である。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、およびブテニル基などが挙げられる。
【0054】
「アルコキシ」という用語は、酸素橋を介して結合した、指定された数の炭素原子を有する、先に定義されたようなアルキル基を意味している。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0055】
「モノアルキルアミノおよび/またはジアルキルアミノ」という用語は、二級または三級アルキルアミノ基を示し、ここで該アルキル基は、先に定義されたようなものであり、指定された数の炭素原子を有している。アルキルアミノ基の結合点は、窒素の上である。それらのアルキル基は独立して選択される。モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメチル−プロピル−アミノなどが挙げられる。「モノアルキルアミノアルキルおよび/またはジアルキルアミノアルキル」基という用語は、所定の数の炭素原子を有するアルキル結合基を介して結合されているモノアルキルアミノ基および/またはジアルキルアミノ基であって、例えば、ジメチルアミノエチル基である。三級アミノ置換基は、式N−R−N−R’の命名法によって示すことができ、ここで基RおよびR’はいずれも、単一の窒素原子に結合されている。
【0056】
「アルキルエステル」という用語は、エステル結合を介して結合された、先に定義されたようなアルキル基を示している。エステル結合は、例えば、−O(C=O)アルキル基、または式−(C=O)Oアルキル基のいずれの配向であってよい。
【0057】
「アルキルチオ」は、硫黄結合を介して結合された、先に定義されたようなアルキル基、すなわち、式アルキル−S−の基を示している。例としては、エチルチオおよびペンチルチオなどが挙げられる。
【0058】
「アリール」とは、(1個または複数の)芳香族環の中に炭素のみを含む芳香族基を意味している。典型的なアリール基には、1〜3個の、独立しているか、縮合されているか、またはペンダントした環と、6〜18個の環原子とを含むが、環のメンバーとしてはヘテロ原子を含まない。図示されたときに、そのようなアリール基が、炭素原子もしくは非炭素原子または基を用いてさらに置換されていてもよい。二環式アリール基には、2個の縮合芳香族環(ナフチル)、またはN、O、およびSから独立して選択される1個または2個のヘテロ原子を場合によっては含む5員〜7員の非芳香族環状基、例えば、3,4−メチレンジオキシ−フェニル基に縮合された芳香族環が含まれていてよい。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル(1−ナフチルおよび2−ナフチルを含む)、およびビフェニルなどが挙げられる。
【0059】
「モノアルキルカルボキサミドおよび/またはジアルキルカルボキサミド」は、式(アルキル)−NH−(C=O)−および(アルキル)(アルキル)−N−(C=O)−の基を示し、ここでアルキル基およびアルキル基は独立して、所定の数の炭素原子を有する、先に定義されたようなアルキル基から選択される。「モノアルキルカルボキサミドおよび/またはジアルキルカルボキサミド」はさらに、式−NH(C=O)(アルキル)および−N(アルキル)(C=O)(アルキル)の基の、カルボキサミド基を指し、その結合点は窒素原子であり、ここでそれらのアルキル基およびアルキル基は独立して、所定の数の炭素原子を有する、先に定義されたようなアルキル基から選択される。
【0060】
「モノアルキルスルホンアミドおよびジアルキルスルホンアミド」は、式(アルキル)−NH−(SO)−および(アルキル)(アルキル)−N−(SO)−の基を意味し、ここでアルキル基およびアルキル基は独立して、所定の数の炭素原子を有する、先に定義されたようなアルキル基から選択される。「モノアルキルカルボキサミドおよび/またはジアルキルカルボキサミド」はさらに、式−NH(SO)(アルキル)および−N(アルキル)(SO)(アルキル)の基の、スルホンアミド基を指すが、ここで、その結合点は窒素原子であり、ここでそれらのアルキル基およびアルキル基は独立して、所定の数の炭素原子を有する、先に定義されたようなアルキル基から選択される。
【0061】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子、通常は3〜約8個の環炭素原子、または3〜約7個の炭素原子を有する、飽和炭化水素環基を示す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、さらには、架橋またはかご形の飽和環基、例えば、ノルボランまたはアダマンタン、などが挙げられる。(シクロアルキル)C〜Cアルキルとは、コア基に結合された、先に定義されたシクロアルキル基を意味し、それは、共有単結合(Cアルキル)を介するか、メチレン結合基またはエチレン結合基を介して置換されている。
【0062】
本明細書で使用するとき、「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、不飽和ではあるが芳香族ではない炭化水素環を意味している。シクロアルケニル基には、4〜約8個の炭素原子、通常は4〜約7個の炭素原子が含まれる。例としては、シクロヘキセニルおよびシクロブテニルなどが挙げられる。「(シクロアルケニル)アルキル」という用語においては、「シクロアルケニル」と「アルキル」は先に定義されたものであって、その結合点はアルキル基の上にある。
【0063】
「単環ヘテロアリールまたは二環ヘテロアリール」という用語は、1〜4個、好ましくは1〜3個のN、O、およびSから選択されるヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である少なくとも1個の芳香族環を含む、安定な5員〜7員の単環式、または7員〜10員の二環式複素環式環を示している。ヘテロアリール基の中のSおよびO原子の合計数が1を超える場合には、それらのヘテロ原子は互いに隣接することはない。そのヘテロアリール基の中のSおよびO原子の合計数が2以下であるのが好ましい。ヘテロアリール基の中のSおよびO原子の合計数が1以下であるのが好ましい。ヘテロアリール基の中の窒素原子は、場合によっては四級化されていてもよい。図示されたときに、そのようなヘテロアリール基が、炭素原子もしくは非炭素原子または基を用いてさらに置換されていてもよい。そのような置換としては、縮合した5員〜7員の飽和環式基などが挙げられ、それには、場合によってはN、OおよびSから独立して選択された1個または2個のヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、[1,3]−ジオキソロ[4,5−c]ピリジル基である。ある種の実施態様においては、5員〜6員のヘテロアリール基が好ましい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、ベンズ[b]チオフェニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソインドリル、および5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0064】
「ヘテロシクロアルキル」は、N、O、およびSから選択される1〜約3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、飽和環状基を意味する。ヘテロシクロアルキル基は、3〜約8個の環原子、より典型的には5〜7個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、およびピロリジニル基などが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の中の窒素は、場合によっては四級化されていてもよい。(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルは、コア基に結合された、先に定義されたヘテロシクロアルキル基を意味しており、共有単結合(Cアルキル)を介するか、メチレン結合基もしくはエチレン結合基を介して置換されている。
【0065】
「ハロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有し、1個またはそれ以上、一般には許容される最大の数のハロゲン原子までのハロゲン原子で置換された、分岐状および直鎖状の両方のアルキル基を指す。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、およびペンタ−フルオロエチル、などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0066】
「ハロアルコキシ」は、酸素橋(アルコールラジカルの酸素)を介して結合された、先に定義されたようなハロアルキル基を示している。
【0067】
本明細書で用いられる場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0068】
「ヒドロキシアルキル」とは、少なくとも一つのヒドロキシ置換基を用いて置換された、本明細書に定義されたようなアルキル基である。
【0069】
「場合によっては置換された(る)」という表現は、そのような基が非置換であってもよいし、あるいは、本明細書に開示されているような1種または複数の適当な基によって、利用可能な位置、典型的には1,2、3または4位の内のいずれかの1個または複数で置換されていてもよい、ということを示している。
【0070】
「場合によっては置換された」位置に存在していてもよい適切な基は、例えば、以下のものが含まれるが、これらに限定される訳ではない:ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、オキソ、アジド、アルカノイル(例えばアシルなどのC〜Cアルカノイル基など);カルボキサミド;アルキルカルボキサミド;アルキルエステル基;アルキル基、アルコキシ基、1個または複数のチオエーテル結合を有するものを含むアルキルチオ基、1個または複数のスルフィニル結合を有するものを含むアルキルスルフィニル基、1個または複数のスルホニル結合を有するものを含むアルキルスルホニル基、1個または複数のN原子を有する基を含むモノアミノアルキル基およびジアミノアルキル基(前述の任意成分のアルキル置換基はすべて、酸素または−NH−によって置換された1個または複数のメチレン基を有し、また約1〜約8個、約1〜約6個、もしくは1〜約4個の炭素原子を有していてよい)、シクロアルキル、フェニル、典型的なフェニルアルキル基であるベンジルをもつフェニルアルキル、典型的なフェニルアルコキシ基であるベンジルオキシをもつフェニルアルコキシ、1個の環と1個または複数のN、OもしくはS原子を有する、飽和、不飽和、もしくは芳香族のヘテロサイクリック基、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、およびピロリジニル。置換に利用することが可能なさらなる位置を有するそのような基はいずれも、例えば、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、およびモノアルキルアミノおよびジアルキルアミノから独立して選択される置換基を用いてさらに置換されていてもよい。
【0071】
「医薬的組成物」とは、式Iの化合物または塩などの少なくとも1種の活性製剤およびキャリア、賦形剤、または希釈剤などの少なくとも1つのその他の物質から構成される組成物である。医薬的組成物は、ヒトまたはヒト以外の薬剤についての米国食品医薬品局のGMP(適正製造)基準を満たす。
【0072】
「医薬的に許容される塩」としては、開示された化合物の誘導体が挙げられるが、その誘導体では、親化合物が、その無機および有機で、非毒性の、酸または塩基の添加塩によって変性されている。本発明の化合物の塩は、塩基性または酸性残基を含む親化合物から、慣用される化学的手法によって合成することができる。一般的には、そのような塩は、それらの化合物の遊離の酸の形態のものを、化学量論量の適切な塩基(Na、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させるか、または、それらの化合物の遊離の塩基の形態のものを、化学量論量の適切な酸と反応させることによって、調製することができる。そのような反応は典型的には、水中、有機溶媒中、またはそれら両者の混合物中で実施される。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水溶媒が、実施可能であれば、好ましい。本発明の化合物塩にはさらに、化合物の溶媒和物および化合物の塩の溶媒和物も含まれる。
【0073】
医薬的に許容される塩としては、アミンのような塩基性残基の鉱酸または有機酸塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。医薬的に許容される塩には、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の、慣用される非毒性の塩および四級アンモニウム塩なども含まれる。例えば、慣用される非毒性の酸の塩としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるもの;酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(nは0〜4である)、などの有機酸から調製される塩などが挙げられる。さらなる好適な塩のリストは、例えば、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ第17版(マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルバニア州イーストン)、第1418ページ(1985)に見出すことができる。
【0074】
本発明の医薬的組成物に適用される「キャリア」という用語は、活性化合物とともに投与される希釈剤、賦形剤または媒体をさす。
【0075】
「医薬的に容認可能な賦形剤」とは、一般的に安全で、毒性がなく、生物学的またそれ以外に望ましくないわけでもない医薬的組成物を調製するのに有用な賦形剤を意味し、ヒトの医薬品用だけでなく獣医用にも容認可能な賦形剤を含む。本出願に使用される「医薬的に容認可能な賦形剤」は、そのような賦形剤を1つおよびそれ以上含む。
【0076】
「患者」とは、医学的治療を必要とする人または人以外の動物である。医学的治療は、疾患または病気、予防治療、または診断治療などの既存の症状の治療を含む。一部の実施例において患者は人間の患者である。
【0077】
「プロドラッグ」とは、例えばプロドラッグの代謝過程などで、哺乳類の被験者に投与されると、本発明の化合物になるあらゆる化合物を意味する。プロドラッグの例には、アセテート、ギ酸塩、安息香酸塩、および本発明の化合物の(アルコールまたはアミン基のような)官能基と同様の誘導体を含むが、それらに限定されない。
【0078】
「提供する」とは与える、投与する、販売する、流通する、(営利目的か、否かを問わず)移動する、製造する、混合する、あるいは調剤することを意味する。
【0079】
「少なくとも1つの追加活性製剤とともに式Iの化合物を提供する」とは、式Iの化合物および追加の活性製剤が同時に一つの剤形で提供される、または別の剤形で同時に提供される、あるいは式Iの化合物と少なくとも1つの追加活性製剤の両方が一人の患者の血流に存在する時間内であるような程度の時間により分かれた投与で別々の剤形で提供されることを意味する。式Iの化合物と追加の活性製剤は、同じ医療従事者により一人の患者に処方される必要はない。(1つまたは複数の)追加の活性製剤は、処方箋を必要としない。式Iの化合物または少なくとも1つの追加活性製剤は、例えば経口錠剤、経口カプセル、経口液、吸入、注入、坐剤、局所接触のような何らかの適切な経路により投与されることができる。
【0080】
ここで使用される「治療」とは、(a)(慢性HCV感染の場合肝線維症に帰結しうるような原発性疾患に関連するか、それにより引き起こされるものも含めて)疾病または疾病の症状がその疾病にかかりやすいかもしれないが、その疾病をもっていると診断されていない患者で疾病または疾病の症状を予防する、(b)疾病を抑制する、すなわちその進行を阻止し、さらに(c)疾病を軽減する、すなわち疾病の退行を引き起こすのに十分な式Iの化合物と少なくとも1つの活性製剤を提供することを含む。「治療する」および「治療」は、C型肝炎に感染している、あるいは感染しやすい患者に式Iの化合物と少なくとも1つの活性製剤を治療上有効量で提供することも意味する。
【0081】
本発明の医薬品の組合せの「治療上有効量」とは、患者に投与された場合、例えばC型肝炎感染の症状を軽減するのに有効量のように、症状の改善といった治療効果をもたらすのに有効な量を意味する。例えばC型肝炎ウィルスに感染した患者の場合、ASTおよびALTなどの特定の肝臓酵素のレベル上昇を示すことがある。正常なASTレベルは、血清(血液の一部)1リットルあたり5から40ユニットであり、正常なALTレベルは血清1リットルあたり7から56ユニットである。治療上有効量は、したがって上昇したASTおよびALT値を有意に下げるか、ASTおよびALT値を通常の範囲に引き下げるのに十分な量である。治療上有効量とは、また患者の血液、血清または組織においてウィルスまたはウィルス抗体の検出可能なレベルを有意に向上させるのを防ぐ、または有意に低下させるのに十分な量でもある。治療上の効果を決定する方法の一つとして、Roch TaqMan試験のようなウィルスRNAレベルを決定する換算方法によりHCV RNAレベルを測定することがある。特定の望ましい実施例では、治療は、HCV RNAレベルを定量法の限度以下(Roche TaqMan(R)試験による測定で30IU/mL)、あるいはさらに望ましいのは検出限度以下(Roche TaqMan、10IU/mL)に低下させた。
【0082】
ウィルスまたはウィルス抗体の検出レベルにおける有意な増加または低下とは、スチューデントのT検定において、p<0.05のような統計的優位性の標準パラメトリック検定における統計的有意であるあらゆる検出可能な変化である。
【0083】
化学的説明
本発明は、上記で論ずるように式Iの化合物を含む。さらに本発明は、変数AおよびR−Rが以下に述べる値をもつ代替実施例として式Iの化合物および塩を含む。
【0084】
【化4】

【0085】
変数RおよびR
(a)Rは、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキル、または5員または6員のヘテロアリールで、そのそれぞれが場合によっては置換される。Rは、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルで、そのそれぞれが場合によっては置換される。
【0086】
(b)RおよびRは、結合して5員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環は、ハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0087】
(c)RおよびRは、結合してピロリジニル、ピぺリジニルまたはピぺラジニル環を形成し、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0、1または2の置換基で置換される。
【0088】
変数R,R,R11およびR12
(d)RはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルカノイル、またはモノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキルまたは(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cハロアルキル、およびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され、Rは、水素、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルコキシである。
【0089】
(e)RはC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、または(フェニル)C−Cアルキルであって、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cハロアルキル、およびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され、Rは、水素、C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシである。
【0090】
(f)RはC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、または(フェニル)C−Cアルキルである。
【0091】
(g)RはC−Cアルキルである。
【0092】
(h)Rは水素である。
【0093】
(i)RおよびRは、結合してシクロプロピル環を形成し、それはビニル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシから独立して選択される0から2の置換基で置換される。
【0094】
(j)R11は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルカノイル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、または(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルであって、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cハロアルキル、およびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され、R12は水素、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、またはC−Cアルコキシである。
【0095】
(k)R11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され、R12は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである。
【0096】
(l)R11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルである。
【0097】
(m)R11はC−Cアルキルである。
【0098】
(n)RおよびRは結合して、シクロプロピル環を形成し、ビニル、C−Cアルキル、およびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2の置換基で置換される。
【0099】
(o)本発明はRおよびR11が結合して大環状環を形成する実施例を含む。例えば本発明は式IIの化合物および塩を含む。
【0100】
【化5】

【0101】
式II中、Dは6から10個の炭素原子をもつアルキル基またはアルケニル基である。
【0102】
(p)例えば本発明は式IIIの化合物および塩を含む。
【0103】
【化6】

【0104】
(q)本発明は、R11およびR12が結合して3員から7員のシクロアルキル環を形成することにより形成されたシクロアルキル基にRが共有結合される実施例を含む。例えば本発明は式IVの化合物および塩を含む。
【0105】
【化7】

【0106】
式IV中、Dは、6から10個の炭素原子をもつアルキル基またはアルケニル基である。
【0107】
(r)例えば本発明は式Vの化合物および塩を含む。
【0108】
【化8】

【0109】
変数R,R,RおよびR10
(s)例えば本発明は、R、R、RおよびR10がすべて水素である上記の化学式のいずれかの化合物および塩を含む。
【0110】
変数RおよびR
(t)Rは、nが0、1または2であり、Rが水素、ハロゲン、アミノ、C1−C2アルキル、またはC1−C2アルコキシである、式−(CHY−Zの基である。
【0111】
(u)nは0、およびYは−O−、−O(C=O)(NR16)−、−NR16(C=O)−、または−O(C=O)−である。
【0112】
(v)nは0および−O−または−O(C=O)−である。
【0113】
(w)Zは下記の式の基である。
【0114】
【化9】

【0115】
上記式中、X、X、XおよびXは独立してNまたはCHであり、X−XがNであるのは2個以下であり;R21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3基を表し、R22は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシであるか、あるいは、R22は(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルコキシ、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルキル、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルコキシ、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、あるいは9員または10員の二環式ヘテロアリールであり、そのそれぞれが(a)および0、1または2個の置換基(b)で置換される。ここで(a)はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cヒドロキシアルキル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから選択され、(b)はフェニルあるいは5員または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれが0、1またはそれ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシで置換される。
【0116】
(x)Zは、上記(w)で定義された基であり、R22は(フェニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルコキシ、あるいは(5員または6員ヘテロアリール)C−Cアルキルであり、そのそれぞれが(c)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換される。
【0117】
(y)Zは上記(w)で定義された基であり、R22は次のとおりである。
【0118】
【化10】

【0119】
(z)ZはC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであって、そのZのいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0120】
(aa)Zは(フェニル)C−Cアルキル、(ナフチル)C−Cアルキル、(単環式ヘテロアリールまたは二環式ヘテロアリール)C−Cアルキルあるいはテトラヒドロキノリニルであり、そのZのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換され、さらに0または1のC−Cシクロアルキル、アリール、5員または6員のヘテロアリール、インダニル、または5員または6員のヘテロシクロアルキルまたは9員または10員の二環式ヘテロアリール、そのそれぞれが(a)から独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基および0または1の置換基(b)で置換される。
【0121】
上記(a)はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、=NOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cヒドロキシアルキル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノとジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシから選択される。
【0122】
また、上記(b)はフェニル、あるいは5員または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、モノ(C−Cアルキル)カルボキサミド、ジ(C−Cアルキル)カルボキサミド、C−Cアルキルエステル、(C−Cアルキルエステル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0123】
(bb)本発明は、(b)がフェニル、ピリジル、チアゾリル、ピロリル またはイミダゾリルである(aa)の化合物および塩を含み、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、モノ(C−Cアルキル)カルボキサミド、ジ(C−Cアルキル)カルボキサミド、C−Cアルキルエステル、(C−Cアルキルエステル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0か1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0124】
(cc)RおよびRは、ともに場合によっては置換される5員から7員のシクロアルキル環を形成する。
【0125】
(dd)RおよびRはともにシクロペンチル環を形成する。
【0126】
(ee)本発明は(cc)の化合物および塩を含み、RおよびRはともにシクロペンチル環を形成する。例えば本発明は、式VIの化合物と塩を含む。
【0127】
【化11】

【0128】
(ff)一部の実施例で本発明は、式VIの以下のような化合物および塩を含む。
【0129】
はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、そのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され;Rは水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;あるいはRおよびRは結合してシクロプロピル環を形成し、それはビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2の置換基で置換される。
【0130】
11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであって、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され;R12は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;あるいはR11およびR12が結合してシクロプロピル環を形成し、それは、ビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2の置換基で置換され;R、R、RおよびR10はそれぞれ独立して水素、メチルまたはメトキシである。
【0131】
(gg)本発明は、さらに式VIIの化合物および塩も含む。
【0132】
【化12】

【0133】
(hh)本発明は、式VIIIの化合物および塩を含む。
【0134】
【化13】

【0135】
上記式VIIIにおいて、Dは6個から10個の炭素原子を有するアルキル基またはアルケニル基であり;RおよびR12は独立して水素またはメチルであり;R、R、RおよびR10は、独立して水素またはメチルである。
【0136】
(ii)本発明は、式IXの化合物および塩を含む。
【0137】
【化14】

【0138】
上記式IXにおいて、Dは6個から10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。RおよびR12は独立して水素またはメチルであり;R、R、RおよびR10は独立して水素またはメチルである。
【0139】
変数R
(jj)Rは以下に示すものである。
【0140】
【化15】

【0141】
(kk)上記(jj)に示すようにRはカルボキサミド基であり、R13はC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであって、そのそれぞれはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0142】
(ll)Rは(jj)に示すようにカルボキサミド基であり、R13は(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(アリール)C−Cアルキル、(5員から7員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(ヘテロアリール)C−Cアルキルであって、そのそれぞれはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0143】
(mm)Rは(jj)に示すようにカルボキサミド基であり、R13はC−Cシクロアルキルであり、それはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される。
【0144】
(nn)Rは(jj)に示すようにカルボキサミド基であり、R13はシクロプロピルである。
【0145】
変数RおよびR−R12の上記の定義のすべては、安定した化合物に帰結する限り組み合わせることができる。そのような化合物はすべて本発明のスコープに含まれる。
【0146】
医薬的調製
本発明の化合物は、希釈されない化学品として投与されうるが、医薬的組成物として投与されることが望ましい。したがって本発明は、医薬的に許容可能な少なくとも1つのキャリアとともに発明の化合物または医薬的に容認可能な塩から構成される医薬的製剤を提供する。
【0147】
本発明の化合物は、経口で、局所的に、非経口で、吸入やスプレーで、舌下で、経皮的に、口腔投与により、直腸から、点眼剤として、あるいはその他の手段により従来の医薬的に容認可能なキャリアを含む用量単位の製剤により投与されうる。医薬的組成物は、例えばエアロゾル、クリーム、ゲル状、丸薬、カプセル、錠剤、シロップ、経皮貼付または点眼剤のようないかなる医薬的に有効な剤形として製剤されうる。錠剤およびカプセルのように剤形の中には、例えば望ましい目的を達成するのに有効な量といったように有効成分を適量含む適切な量の単位用量に再分割されるものもある。
【0148】
キャリアは、賦形剤と希釈剤を含み、治療される患者に投与するのにふさわしいものとなるように、十分に高純度で十分に低毒性でなければならない。キャリアは、不活性であるか、あるいはそれ自体が医薬的利点を有していてもよい。化合物とあわせて使用されるキャリアの量は、化合物の単位用量ごとに投与するために実用的な量を提供するのに十分なものである。
【0149】
キャリアの種類は、バインダ、緩衝剤、着色剤、希釈剤、錠剤分解物質、乳化剤、香料添加剤、流動促進剤、潤滑剤、保存料、安定剤、界面活性剤、タブレット成形剤および湿潤剤を含むが、これらに限定されない。キャリアの中には、例えば植物性油脂のように一部の製剤では潤滑剤として、また別のものでは希釈剤として使用されるように1種類以上に掲載されているものもある。典型的な医薬的に許容可能なキャリアには、砂糖、でんぷん、セルロース、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油脂がある。任意の活性製剤は、医薬的組成物に含まれることがあるが、本発明の化合物の活性を実質的に妨害しない。
【0150】
バインダは、粉末を結合または「接着」させる物質で、顆粒を形成することによりそれらを凝集させるもので、したがって製剤で「接着剤」としての役割を果たす。バインダは、希釈剤または充填剤で既に存在する結合力を追加する。バインダの例としては、でんぷん、ゼラチン、天然の砂糖、コーン甘味料、アカシアのような天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスがある。組成中のバインダの量には範囲があり、例えば組成の重量の約2から約20%、あるいは重量で約3から10%などで、さらに望ましいのは重量で約3から6%である。
【0151】
希釈剤には、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールのような糖、小麦、コーン、米およびジャガイモに由来するでんぷん、さらに微結晶性セルロースのようなセルロースがある。組成中の希釈剤の量は、例えば組成全体の重量の約10から約90%、約25から75%、重量で約30から60%、あるいは約12から約60%である。
【0152】
錠剤分解物質は、医薬的組成物に追加されて、活性製剤を崩壊(分解)させ、放出させるのに役立つ材料である。適切な錠剤分解物質には、デンプン・グリコール酸ナトリウムのような「冷水に可溶な」加工でんぷんを含むでんぷん、イナゴマメ、カラヤ、グアール、トラガカントゴムや寒天のような天然および人工ゴム、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体、微結晶性セルロースおよびクロスカルメロースナトリウムのような架橋重合微結晶性セルロース、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのようなアルギン酸塩、ベントナイトのような粘土、さらに発泡性の混合物などのデンプンを含む。組成中の錠剤分解物質の量には範囲があり、例えば組成の重量の約2から約15%または重量の約4から約10%である。
【0153】
潤滑剤は、打錠された後、摩擦や磨耗を低減することにより錠剤、顆粒がモールドや金型から離型できるようにするために医薬製剤に追加される物質である。医薬的剤形に有用な潤滑剤の例としては、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。潤滑剤は、顆粒の表面とその間に付着し、また打錠機の部品に行きわたらなければならないので、通常タブレットの打錠成形前の直前のステップで添加される。組成中の潤滑剤の量には範囲があり、例えば組成の重量の約0.1から約5%または約0.5から約2%、または重量で約0.3%から1.5%である。単位用量における本発明の化合物または塩の量は、化合物の特定の用途および効能によって約1.0ミリグラムから約1,000ミリグラム、約1.0から約900ミリグラム、約1.0から約500ミリグラム、あるいは約1から約250ミリグラムである。実際に使用される用量は、患者の年齢、性別、体重および症状の重症度に応じて変えることができる。
【0154】
通常、経口投与用に製剤された医薬的組成物が望ましい。このような組成は、本発明の化合物を0.1および99%の間で含有し、通常本発明の化合物を少なくとも約5%(重量%)含む。実施例の中には発明化合物を約25%から50%、あるいは5%から75%含むものがある。
【0155】
液剤
発明化合物は、例えば水性または油性懸濁液、液剤、エマルジョン、シロップ、チンキ剤、シロップ、またはエリキシル剤のような経口液製剤に含有させることができる。さらにこのような化合物を含む製剤は、使用前に水またはその他の適切な媒体とともに例えば顆粒や粉末のような乾燥製品として提供されることも可能である。シロップ、エリキシル剤、エマルジョンおよび懸濁液用のキャリアの典型的な構成要素は、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトールおよび水を含む。液体製剤は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび食用硬化油脂)、乳化剤(例えばレシチン、ソルビタンモノソリエート(sorbitan monsoleate)またはアカシア)、食用油(例えばアーモンドオイル、ヤシ油、シリルエステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコール)と防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルおよびソルビン酸)を含む非水性の媒体従来の添加剤を含むことができる。経口製剤は、緩和剤、香料添加剤、スクロースやサッカリンのような甘味料、味を添加するもの、着色剤を含むことがある。
【0156】
懸濁液
水性の懸濁液は、水性の懸濁液の製造に適する賦形剤との混合に活性物質を含む。そのような賦形剤は、例えばAVICEL RC−591、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムのような懸濁化剤、例えばレシチンおよびポリソルベート80などの分散剤または湿潤剤である。また水性懸濁液は、例えばエチル、n−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウムのような1つ以上の防腐剤を含むこともある。
【0157】
油性懸濁液は、例えばピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油のような植物油、あるいは流動パラフィンのような鉱物油に活性成分を懸濁させることにより生成される。油性懸濁液は、例えば蜜ろう、固形パラフィン、またはセチルアルコールのような増粘剤を含むことがある。上記の述べたような甘味料および香料添加剤は、口当たりのよい経口製剤を提供するために添加されることがある。このような組成は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存されることがある。
【0158】
乳化剤
本発明の医薬的組成は、水中油型乳剤の形であってもよい。油相は、例えばオリーブ油またはピーナッツ油のような植物油か、または例えば流動パラフィンやこれらの混合のような鉱物油であってもよい。適切な乳化剤は、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴムのような天然ゴム、大豆のような天然のリン脂質、レシチン、および脂肪酸から抽出されたエステルか部分的エステル、ヘキシトール、例えばソルビタンモノソリエート(sorbitan monoleate)のような無水石膏、さらに例えばポリオキシエチレンソルビタンモノソリエート(polyoxyethylene sorbitan monoleate)のようなエチレンオキシドをもつ前述の部分エステルの縮合生成物でもよい。
【0159】
錠剤およびカプセル
錠剤は典型的に、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトースおよびセルロースのような不活性希釈剤、例えばデンプン、ゼラチンおよびスクロースのようなバインダ、例えばデンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースのような錠剤分解物質、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクのような潤滑剤と医薬的に混合可能な従来のアジュバントから構成される。二酸化ケイ素のような流動促進剤は、粉末混合物の流量特性を向上させるために使用できる。FD&C染料のような着色剤を外観のために添加することができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよびフルーツの香料などの甘味料と香料添加剤は、チュアブル錠に有用なアジュバントである。(持続放出および徐放製剤を含む)カプセルは、典型的に上記で開示した1つまたはそれ以上の固形希釈剤から構成される。キャリア成分の選択は、往々にして味、コストおよび保管時の安定性のような二次的考慮に依存する。
【0160】
そのような組成は、典型的にpHまたは時間依存性のコーティングで従来の方法によりコーティングされることも可能で、それにより対象化合物が望ましい局所適用の消化管の近くで、あるいは望ましい作用を延長するような様々なタイミングで放出されるようになる。そのような剤形は典型的に1またはそれ以上の酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ポリ酢酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、オイドラギット(Eudragit)コーティング、ワックス、シェラックを含むが、それに限定されるものではない。
【0161】
経口用製剤は、硬い、または柔らかいシェル(殻)のカプセルで提供されることもある。カプセルは、特別な容器または活性製剤を含む封入物で投与される剤形である。活性製剤は、固体、液体、ゲル状または粉末、あるいはその他の医薬的に許容される形態で提供される。カプセルのシェルは、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたは変性したゼラチンかデンプンまたはその他の素材から作られている。固いシェルは、典型的に比較的ゲル強度の高い骨とブタの皮のゼラチンのブレンドで作られる。柔らかいカプセルのシェルは、通常動物性または植物性ゼラチンから作られる。カプセル自体は、少量の染料、不透明にする物質、可塑剤および防腐剤を含むことがある。
【0162】
カプセル内の活性製剤は、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンのような不活性固形希釈剤と混合される、あるいは柔らかいゼラチンカプセルの場合活性製剤は、例えばピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油のような水性または油性媒体と混合される。
【0163】
注入用および非経口製剤
医薬的組成物は、無菌注射用水溶液または油性懸濁液の形態をとることが可能である。この懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および上記に述べた懸濁化剤を使用する既知の技術にしたがって調製される。また例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のように無菌注射用製剤は、毒性のない非経口用に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射溶液または懸濁液もありうる。使用可能な許容される媒体および溶剤の中には水、リンガー溶液および等張の塩化ナトリウム溶液がある。さらに無菌の不揮発性油が従来溶剤または懸濁媒質として使用される。この目的のために合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含むいかなるブランドの不揮発性油を使用することもできる。加えてオレイン酸のような脂肪酸が注射用製剤の調製に有用である。
【0164】
発明の化合物は、無菌の媒体で、非経口で投与することができる。非経口投与には、皮下注射や静注、筋肉注射、髄膜注射あるいは注入テクニックが含まれる。使用される媒体および濃度に応じて薬剤は媒体に懸濁または溶解のいずれかである。有利なことに、局所麻酔、防腐剤および緩衝剤のようなアジュバントは、媒体に溶解させることができる。非経口投与用の組成でキャリアは典型的に全組成の重量で最低約90%を構成する。
【0165】
治療法
本発明は、C型肝炎感染のリスクがある、またはC型肝炎ウィルスに感染している患者に発明の化合物の有効量を提供することにより、C型肝炎の感染を予防し、治療する方法も含む。
【0166】
ここで開示される医薬的組合せは、患者のC型肝炎の予防と治療に有用である。本発明の医薬的組合せの有効量は、(a)C型肝炎に感染しやすいが、まだそれに感染していると診断されていない患者のC型肝炎またはC型肝炎の症状を予防するか、またはC型肝炎の(慢性的なHCV感染に帰結する可能性のある肝線維症のような)一次感染症に関連あるいは起因する疾病を予防し、(b)C型肝炎の進行を阻止し、さらに(c)C型肝炎の退行を引き起こすのに十分な量である。C型肝炎の進行を阻止するか、退行を引き起こす医薬的組成の有効量にはC型肝炎の症状の悪化を阻止する、あるいはC型肝炎ウィルスに感染した患者の経験する症状を軽減するのに有効量を含む。その代わりに、C型肝炎の進行中止または退行がこの疾病のいくつかのマーカーのうちのいずれかにより示唆されることもある。例えば、C型肝炎ウィルス量の増加なし、または減少、あるいは患者の血液中に循環抗体の増加なし、または減少は、C型肝炎感染の進行中止または退行を示すマーカーである。他のC型肝炎疾病マーカーには、アミノトランスフェラーゼのレベル、とりわけ肝臓酵素ASTおよびALTのレベルがある。正常なASTレベルは、血清(血液の一部)1リットルあたり5から40ユニットであり、正常なALTレベルは血清1リットルあたり7から56ユニットである。典型的にHCV感染患者は、このようなレベルが高くなる。通常ASTおよびALTのレベルが正常の範囲に戻ることにより疾病の退行と判断される。
【0167】
発明の医薬的組合せの有効量に影響されるC型肝炎の症状には、肝機能の低下、疲労、インフルエンザに似た症状、発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛、および頭痛、吐き気、特定の食べ物の嫌悪、説明できない体重減少、うつ病を含む精神的疾患、腹部の圧痛、および黄疸がある。
【0168】
「肝機能」とは、肝臓の正常な機能をさすが、(例えばアルブミン、凝固因子、アルカリフォスファターゼ、アラニントランスアミナーゼやアスパラギン酸トランスアミナーゼのようなアミノトランスフェラーゼ、5’−ヌクレオシダーゼ、yグルタモイルトランスぺプチダーゼなど)血清タンパク質合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、胆汁酸の合成などのタンパク質の合成、炭水化物の代謝やアミノ酸とアンモニア代謝、ホルモン代謝および脂質代謝などの肝臓代謝機能、外来性薬剤の解毒、さらに内臓の血行動態と門脈血行動態などの血行動態機能を含むがこれらに限定されるものではない。
【0169】
ここに説明する組合せの有効量は、また患者に投与される濃度で活性製剤の十分な濃度も提供する。活性製剤の十分な濃度とは、患者の体内で感染の予防または治療に必要な製剤濃度である。そのような量は、例えば製剤の血中濃度の分析または理論的なバイオアベイラビリティの計算により経験的に確定することができる。ウィルス感染を生体外で阻止するのに十分な活性製剤の量は、文献に説明されているレプリコンベースの試験のようなウィルス感染性の従来の試験で決定することができる。
【0170】
発明は、発明の化合物と少なくとも1つの追加活性製剤から構成される医薬的組合せを予防的療法に使用することも含む。予防的治療において発明の化合物の有効量は、患者のC型肝炎への罹患リスクを有意に低下させるのに十分な量である。
【0171】
治療法は、発明の化合物と少なくとも1つの追加活性製剤の一定の用量を患者に提供することを含む。各活性製剤の用量レベルとしては、体重1キログラムにつき1日約0.1mgから約140mgが上記の適応症状の治療に有効である(1日患者ひとりあたり約0.5mgから約7g)。キャリアの材料と組み合わせて単回投与の剤形を作る活性製剤の量は、治療される患者および特定の投与方法に応じて変わる。単位用量の形態は、一般的に各活性製剤を約1mgから約500mgの範囲で含む。特定の実施例では、発明の化合物25mgから500mg、あるいは25mgから200mgが毎日患者に提供される。追加の活性製剤がNM283(バロピシタビン)の場合、いずれかの薬剤として典型的には1日に100mgから1000mg、または1日に200から800mg、あるいは1日に200から400mgが患者に提供される。追加の活性製剤がVX−950の場合、1日に1000mgから3750mgまたは1日に1200mgから1800mgが患者に投与される。VX−950が追加の活性製剤である治療計画では、VX−950を約350から約450mgまたは約700から約800mgが1日に3回患者に投与されるか、あるいは約350から約450mgまたは約700から約800mgを12時間ごとに投与することが発明に含まれる。
【0172】
服用の頻度も使用される化合物および治療される特定の疾病に応じて変わる。しかし大部分の感染症の治療において1日4回以下の用法が望ましく、1日に1回または2回の用法が特に望ましい。
【0173】
しかしいかなる特定の患者の具体的な用量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食習慣、投与の時間、投与経路および排泄の程度、併用薬剤および治療を受けている個々の疾病の重症度を含む様々な要素に依存する。
【0174】
組合せ(併用)法
発明は、発明の化合物または塩が少なくとも1つの追加活性製剤とともに提供される治療法を含む。一部の実施例では、(単数または複数の)活性製剤は、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えばプロテアーゼ阻害剤は、テラプレビア(VX−950)であり、ポリメラーゼ阻害剤はバロピシタビン、あるいは生体内でバロピシタビンが変換される活性製剤NM107である。
【0175】
発明の方法に従うと、発明の化合物および追加の活性製剤は、(1)共に製剤され、投与される、すなわち組み合わせた製剤で同時に送達される、(2)別々の製剤として交互にまたは並行して送達される、(3)技術で知られている他の併用治療計画によるものがある。交互療法で送達される場合、発明方法は、例えば別の溶液、乳化剤、懸濁液、錠剤、丸薬またはカプセル、または別の注射器で異なる注入で、連続して、発明の化合物および追加の活性製剤を投与または送達することから構成される。一般的に交互療法中各活性製剤の有効量が連続して投与されるが、同時治療では2つ以上の有効成分が一緒に投与される。間欠的な併用療法を使用することも可能である。
【0176】
一部の実施例では、式Iの化合物とペグインターフェロンまたはインターフェロン・ガンマのようなインターフェロンを患者に提供することが治療法に含まれる。インターフェロンは発明の化合物とともに提供される唯一の化合物であってよく、あるいはインターフェロンではない追加の活性製剤とともに提供されることもある。
【0177】
発明の化合物を含む治療および医薬的組合せの発明の方法は、以下の化合物および物質のいずれか、またはその組合せを追加の活性製剤とする。
【0178】
カスパーゼ阻害剤:IDN6556(Idun Pharmaceuticals)
【0179】
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0180】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、サイクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、フォサンプレナビル、サクイナビル、ロピナビル、デラビルディン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、サイクロスポリン、およびクロメチアゾールが含まれる。
【0181】
グルココルチコイド:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、βメタゾンおよびデキサメタゾン。
【0182】
赤血球生成促進因子:赤血球生成促進因子−1および赤血球生成促進因子−2。コロニー刺激因子(例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、EpoおよびSCF(幹細胞刺激因子)のような赤血球生成促進因子上科に属する他の構成要素。
【0183】
ホメオパシー療法:オオアザミ、シリマリン、朝鮮人参、グリシルリジン、甘草、チョウセンゴミシ、ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、およびセレン
【0184】
免疫調節化合物:サリドマイド、IL−2、赤血球生成促進因子、例えばメリメポディブ(Vertex Pharmaceuticals Inc.)のようなIMPDH阻害剤、(天然型インターフェロンのブレンドであるオムニフェロン(ヴィラジェン)とスミフェロン(スミトモ)のような)天然型インターフェロンを含むインターフェロン、天然型インターフェロンα(アルフェロン(Hemispherx Biopharma, Inc.))、リンパ芽球様細胞からのインターフェロンαnl(ウェルフェロン(グラクソ・ウェルカム))、経口αインターフェロン、ペグ−インターフェロン、ペグ−インターフェロンα2a(ペガシス(ロシュ))、遺伝子組み換えインターフェロンα2a(ロフェロン(ロシュ))、吸入インターフェロンα2b(AERX(アラジン))、ペグ−インターフェロンα2b(アルブフェロン(Human Genome Sciences / Novartis)、ペグイントロン(シェリング))、遺伝子組み換えインターフェロンα2b(イントロンA(シェリング))、ペグインターフェロンα2b(ペグ−イントロン(シェリング)、ビラフェロンペグ(シェリング))、インターフェロンβ−1a(REBIF(Serono, Inc.およびファイザー)、コンセンサス・インターフェロンα(インフェルゲン(Valeant Pharmaceutical))、インターフェロンγ−1b(アクチミューン(Intermune, Inc.))、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロンとその類似体および合成サイモシンα1(ザダキシン(SciClone Pharmaceuticals Inc.))。
【0185】
免疫抑制剤:シロリムス(ラパミューン(Wyeth))
【0186】
インターロイキン:(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α)および他の低分子量因子(例えばAcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモンおよびミニサイトカイン)
【0187】
インターフェロン・エンハンサー:EMZ702(トランジション・セラピューティクス)
【0188】
IRES阻害剤:VGX−410C(VGXファーマ)
【0189】
モノクロナールおよびポリクロナール抗体:XTL−6865(XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、C型肝炎イムノグロビン(ヒト)(CIVACIR(Nabi Biopharmceuticals)
【0190】
ヌクレオシド類似体:ラミブジン(エピビール、3TC、グラクソスミスクライン)、MK−0608(メルク)、ザルシタビン(HIVID(Roche US Pharmaceuticals))、リバビリン(コペガス(ロシュ)、レベトール(シェリング)、ビロナ(ICN Pharmaceuticals)およびビラゾール(ICN Pharmaceuticals)を含む)、さらにリバビリンのアミジン・プロドラッグであるビラミジン(Valeant Pharmaceuticals)。ヌクレオシド類似体の併用も使用することができる。
【0191】
非ヌクレオシド阻害剤:PSI−6130(ロシュ/ Pharmasset)、デラビリジン(RESCRIPTOR(ファイザー)およびHCV−796(Viropharm)
【0192】
P7タンパク質阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL(Endo Pharmaceuticals, Inc.)
【0193】
ポリメラーゼ阻害剤:NM283(バロピシタビン)(Idenix)およびNM107(Idenix)。
【0194】
プロテアーゼ阻害剤:BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ(Glaxo/ Vertex))、インディナビル(CRIXIVAN(メルク)、ITMN−191(Intermune/ Array Biopharma)、VX950(Vertex)と前述のプロテアーゼ阻害剤の1つかそれ以上から構成される組合せ。
【0195】
RNA干渉:SIRNA−034 RNAi(Sirna Therapeutics)
【0196】
治療ワクチン:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnogenetics)、GI5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/ Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、Hepavaxx C(ViRex Medical)
【0197】
TNF作動薬:アダリムマブ(ヒュミラ(Abbott))、エンタネルセプト(エンブレル(Amgen and Wyeth))、インフリキシマブ(レミケード(Centocor, Inc.))
【0198】
テュブリン阻害剤:コルヒチン
【0199】
スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節:FTY720(Novartis)
【0200】
TLRアゴニスト:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7アゴニスト(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)およびCPG7909(Coley)を含むTLR9アゴニスト
【0201】
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0202】
C型肝炎治療薬を服用する患者は、典型的に別の活性製剤とともにインターフェロンの投与を受けている。したがって発明の化合物がペグインターフェロンα2aのようなインターフェロンとともに追加活性製剤として提供される治療法と医薬的組合せは、実施例として含まれる。同様にリバビリンが追加の活性製剤である方法および医薬的組合せもここに提供される。
【実施例】
【0203】
すべての非水反応は、乾燥アルゴンガス(99.99%)雰囲気下で行われる。磁気共鳴スペクトルは、Bruker Avance 300スペクトロメーター(Hは300.1MHzで、また13Cは75.5MHzで)を使って周囲温度で記録された。Hおよび13Cの化学シフトは、外部テトラメチルシランに対するppm(d)で記録され、重水素化溶媒の残留陽子の信号を基準とする。流速1.0mL/分および紫外検出254nmで0.1%トリフルオロ酢酸を含む水の中でアセトニトリル濃度が高くなる(5%から95%)20−min線形勾配溶離をもつWaters X−bridge C18、150×4.6mm、3.5μmカラムを使ってHPLC分析が実施される。低解像度のマススペクトラムがGilson液体クロマトグラフィーを備えたThermo Finnigan Surveyor MSQ計器(APCIモードで操作)で記録される。別途明記しない限り、低解像度のマススペクトラムで観察される擬分子イオン[M+H]が基準ピークである。
【0204】
本発明はさらに以下の例により説明されるが、これらにより限定されるものと解釈されるべきではない。
【0205】
略語
以下の化学的略語が実施例1から3に使用される。このような実施例で使用される追加の略語は、有機化学合成の技術を持つ者には周知のものである。
【0206】
AcOEt 酢酸エチル
AIBN 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
BOC t−ブトキシカルボニル
(BOC)O ジ−t−ブチルジカーボネート
c. 濃縮された
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
EDCI 1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド
EtN トリエチルアミン
EtOH エタノール
Hex. へキサン
MeOH メタノール
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0207】
(実施例1) 三級アミン置換チアゾール(化合物20−25)の合成
【0208】
【化16】

【0209】
ステップ1) N1,N4−ジシクロプロピル−2,3−ジヒドロキシサクシンアミド(化合物2)の調製
シクロプロピルアミン(2.4当量)とジエチル酒石酸ジエチル1の混合物を密閉された試験管で一晩70℃に熱する。生成された固形分をジエチルエーテルで洗浄し、純粋な生成物2を得る(収率>98%)。
【0210】
ステップ2) N−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−3−ニトロヘキサンアミド(化合物4)の調製
IO(5.8g、25.2mmol)が化合物2(5.7g、25mmol)の懸濁液に数回の分量に分けて添加され、シリカゲル(2.0g)を0℃でメタノールに加える。添加が完了したら、混合物をさらに1時間半にわたって室温まで加熱し、化合物3の形成を完了させる。1−ニトロブタン(6.2g、1.2当量)を0℃で添加し、その後EtN(7.4mL)を加える。混合物は0℃で2時間半にわたって撹拌し続ける。固形分をろ過により除去し、ろ液を濃縮する。その結果生成されるシロップは、水と酢酸エチルで処理し、1NのHClで酸化される。有機層を集め、水層は酢酸エチルで3回抽出される。組み合わせた有機溶剤をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶剤を除去し、その結果得られる固形分をまずヘキサンで洗浄し、次にヘキサン−エーテルで再結晶させ、化合物4(収量>70%)が得られる。
【0211】
ステップ3) 3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシへキサンアミド(化合物5)の調製
酢酸中の化合物4およびPd(パラジウム/炭素(Pd10%)、4の重量の30%)がH(33psi)で一晩水素添加される。混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮する。残りの残留物をトルエンで2回蒸発させ、次にジエチルエーテルを化合物5に加える。
【0212】
ステップ4) (1S,3aR,6aS)−エチル−2−BOC置換−4−オキソオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酢酸(化合物7)の調製
まずBuSnH(アルドリッチ、36ml、136mmol)、次にAIBN(2.5g、15mmol)を無水トルエン(160ml)に溶解された四環系化合物6(JOC59,2773,1994で報告されるMonn‘s法により調製されたもの31.1g、100mmol)に加える。混合物はTLC(Hex/AcOEt、1/1)に示されるように出発物質がなくなるまで(〜6時間)Arでガス抜きし、還流させる。減圧下でトルエンが蒸発し、オイル残渣はジエチルエーテル(100ml)とHCl水溶液(1.0N、110ml)で処理される。一晩激しい攪拌をした後、ジエチルエーテルが分離される。水層がジエチルエーテル(100ml×6回)で抽出され、次のステップで使用される。
【0213】
THFに溶解された(BOC)O(32.7g、150mmol)を上記で得られた水溶液(100ml)に追加し、次にNaOHaq(水10mlに4.5g)を加える。次に混合物を氷槽で冷却する。混合物を1時間撹拌した後、NaCl(s、30g)を追加し、攪拌する。有機層と水層がAcOEt(50ml×3回)で抽出される。組み合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。蒸発後、溶離液としてHex/AcOEt(4:1から3:1)とともに、油性の粗製がシリカゲルクロマトグラフィーで精製される。化合物7(25g、84%)が無色の液体として得られる。
【0214】
ステップ5) (1S,3aR,6aS)−エチル2−BOC−4−ヒドロキシオクタシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸塩(化合物8)の調製
NaBH(2.6g、67.3mmol)を3回に分けて0℃で撹拌しながらEtOH(150ml)中の化合物7(20g、67.3mmol)に加える。AcOH(10ml)を0℃で注意深く加えて反応を抑えるまで、混合物をさらに1時間撹拌し、完了する。EtOHを蒸発させて除去し、残留物をAcOEt(300ml)で溶解し、水性ワークアップを実施する。飽和NaHCO(100ml×2)およびブライン(100ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させた後、AcOEt溶液をシリカゲルのショートベッドに通す。溶媒を蒸発させ、無色のシロップとして化合物8(19.2g、95%)が得られる。
【0215】
ステップ6) (1S,3aR,6aS)−エチル2−BOC−4−(フェノキシカルボノチオイルオキシ(phenoxycarbonothioyloxy))オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸塩(化合物9)の調製
o−フェニルクロロチオノフォルメート(10ml、70.6mmol)をAr雰囲気下0℃で撹拌しながらDCM(150ml)中の化合物8(19.2g、64.2mmol)の溶液に追加し、次にピリジン(6.22ml、77.04mmol)を加える。混合物を室温で一晩撹拌する。過剰なフェニルクロロチオノカーボネートを破壊するために、水性ワークアップを実施する前にメタノール(5ml)を加える。有機層を1NのHCl(100ml)、水(100ml)、飽和NaHCO(100ml)、およびブライン(100ml)で順に洗浄する。NaSOで乾燥させた後、蒸発により溶媒を除去し、金色のシロップとして化合物9(27.5g、99%)が得られる。
【0216】
ステップ7) (1S,3aR,6aS)−エチル2−BOC−オクトハイドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸塩(化合物10)の調製
BuSnH(25ml、94.8mmol)と、その後AIBN(1.55g、9.48mmol)が室温でベンゼン中(60ml)の化合物9(27.5g、63.2mmol)に追加される。混合物は、2度ガス抜きをして、Ar下で4時間、還流温度で撹拌する。揮発性物質が蒸発し、残留物はシリカゲル上Hex/AcOEt(勾配9/1から6/1)を溶離剤としてフラッシュクロマトグラフィーで精製され、化合物10(13g、73%)が無色の液体として得られる。
【0217】
ステップ8) (1S,3aR,6aS)−2−BOC−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸(化合物11)の調製
化合物10(13g、46mmol)は、室温で3時間EtOH(120ml)中で2NのNaOH(44ml)で処理される。揮発物を蒸発させて、その残留物を水(50ml)で溶解する。pHを〜2に調製するために1NのHClを添加し、その水溶液をDCM(100ml×3)で逆抽出する。DCMを蒸発させると化合物11(8.5g,72%)が無色のシロップとして得られる。
【0218】
ステップ9) (1S,3aR,6aS)−N−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イル)−2−BOC−オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミド(化合物12)の調製
化合物11(3.06g、12mmol)は、DCM(50ml)中EDCI(2.3g、12mmol)およびHOBt(1.84g、12mmol)で10分間処理される。まず化合物5(1.79g、9.6mmol)、次にDIPEA(2.6ml、15mmol)が添加され、混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を除去するために混合物を蒸発させ、残留物をAcOEt(200ml)で処理する。1NのHClを20ml、飽和NaHCOを50ml×3回、およびブライン(50ml)で順に洗浄し、NaSOで乾燥させた後、溶媒を蒸発させて除去すると、化合物12(3.85g、95%)が白色発泡体として得られる。
【0219】
ステップ10) (1S,3aR,6aS)−N−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミド(化合物13)の調製
化合物12(0.845g、2mmol)はDCM(10ml)中0℃で2時間TFA(5ml)を使って処理する。混合物を乾燥するまで蒸発させる。そのようにして得られる黄色いシロップをDCM(20ml)に溶解させ、次のステップのための原液13(0.1M)が生成される。
【0220】
ステップ11) (1S,3aR,6aS)−N−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イル)−2−(2−(ピペリジン−1−イル)プロパノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドおよび関連化合物(化合物14−19)の調製
2−ピペリジン−1−イル−プロピオン酸塩酸塩(63mg、0.4mmol)は、DCM(2ml)中10分間EDCI(77mg、0.4mmol)およびHOBt(61mg、0.4mmol)で処理する。まず化合物13(0.1M、4ml)の原液、次にDIPEA(0.122ml、0.7mmol)を添加し、その混合物を室温で一晩撹拌する。AcOEt抽出および飽和NaHCO洗浄による水性ワークアップにより、溶媒の除去後化合物14(粗製、68mg)が得られる。対応する酸からはじめて、化合物15−19が同様の方法で調整された。
【0221】
ステップ12) (1S,3aR,6aS)−N−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソへキサン−3−イル)−2−(2−(ピペリジン−1−イル)プロパノイル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール−1−カルボキサミドおよび関連化合物(化合物20−25)の調製
化合物14(68mg)は、DCM(5ml)中室温で2時間Dess−Martin試薬(100mg)で処理される。混合物を濃縮し、HPLCで精製する。TFA塩として化合物20(17mg)が得られる。化合物21−25は同様の方法で得られる。
【0222】
(実施例2) (3R,5S)−5−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソへキサン−3−イルカルバモイル)−1−(2−(ピペリジン−1−イル)プロパノイル)ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(化合物33)の合成
化合物33および34の合成を次のスキーム2に示す。
【0223】
【化17】

【0224】
ステップ1) (3R,5S)−5−(メトキシカルボニル)−1−BOC−ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(化合物27)の調製
DCM(15ml)に溶解したBoc−trans−L−4−ヒドロキシプロリンメチルエステル26(2.45g、10mmol)を0℃でDCM(80ml)中CDI(1.62g、10mmol)溶液に滴下で添加する。室温で2時間撹拌した後、DCM(5ml)中1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.543g、4.08mmol)を添加し、混合物を一晩撹拌する。溶媒を除去し、残留物に水性ワークアップを適用する。酢酸エチル(200ml)層を1NのHCl(20ml×2)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30ml×3)、ブライン(10ml)で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。ろ過し、溶媒を蒸発により除去すると、化合物27(3.89g、96%)が黄色いシロップとして得られる。
【0225】
ステップ2) (2S,4R)−1−BOC−4−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カルボニルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸(化合物28)の調製
MeOH(35ml)中の化合物27(3.89g、9.6mmol)を室温で3時間2NのNaOH(15ml)で処理する。溶媒を蒸発により除去し、その残留物を水(50ml)に溶解する。濃塩酸(c.HCl)を添加し、pHを〜2に調整する。沈殿物をろ過により集め、乾燥させると、白い粉末状の化合物28(3.34g、89%)が得られる。
【0226】
ステップ3) (3R,5S)−5−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イルカルバモイル)−1−BOC−ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(化合物29)の調製
化合物28(2.67g、6.85mmolをDCM(50ml)中10分間EDCI(1.33g、6.85mmol)およびHOBt(1.06g、6.85mmol)で処理する。まず化合物5(1.15g、6.2mmol)、次にDIPEA(2.2ml、12.4mmol)を添加し、その混合物を室温で一晩撹拌する。混合物を蒸発させて、溶媒を除去し、その残留物をAcOEt(100ml)で処理する。HCl20ml、飽和NaHCO30ml×3およびブライン50mlで順に洗浄し、NaSOで乾燥させた後、溶媒が蒸発により除去され、化合物29(2.6g、75%)が白色発泡体として得られる。
【0227】
ステップ4) (3R,5S)−5−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イルカルバモイル)ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(化合物30)の調製
DCM(25ml)中の化合物29(2.6g、4.65mmol)を0℃で1時間TFA(25ml)により処理する。揮発物を蒸発させて乾燥させる。残留物をAcOEt(100ml)で溶解させ、飽和NaHCO(10ml×3)およびブライン(2ml)で洗浄する。NaSOで乾燥させた後、溶媒を蒸発により除去すると、化合物30(1.75g、82%)が黄白色の粉末として得られる。
【0228】
ステップ5) (3R,5S)−5−(1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソへキサン−3−イルカルバモイル)−1−(2−(ピペリジン−1−イル)プロパノイル)ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩および関連化合物(化合物31と32)の調製
2−ピペリジン−1−イル−プロピオン酸塩酸塩(58mg、0.3mmol)をDCM(5ml)中で10分間EDCI(63mg、0.3mmol)およびHOBt(46mg、0.3mmol)で処理する。まず化合物30(0.138g、0.3mmol)、次にDIPEA(0.104ml、0.6mmol)を添加し、その混合物を一晩室温で撹拌する。AcOEt抽出と飽和NaHCO洗浄の水性ワークアップにより、溶媒を除去後化合物31(粗製、182mg)が得られる。対応する酸からはじめると、化合物32(粗製、170mg)が同様の方法で調製される。
【0229】
ステップ6) (3R,5S)−5−(1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソへキサン−3−イルカルバモイル)−1−(2−(ピペリジン−1−イル)プロパノイル)ピロリジン−3−イル3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(化合物33および34)の調製
化合物31(182mg)はDCM(5ml)中室温で2時間Dess−Martin試薬(170mg)を使って処理される。その混合物は、濃縮され、HPLCで精製される。化合物33(47mg)が黄白色の発泡体として得られる。化合物34(36mg)も同様の方法により得られる。
【0230】
(実施例3) マクロ環状ペプチドケトアミドの合成
マクロ環状ペプチドケトアミドの合成は、次のスキーム3に示すように行われる。
【0231】
【化18】

スキーム3
【0232】
(実施例4) マクロ環状ペプチドケトアミドの合成の代替法
マクロ環状ペプチド酸の合成は、次のスキーム4に示すように完了することも可能である。
【0233】
【化19】

【0234】
(実施例5) 追加の三級アミン置換ペプチド
表1〜10(化合物表)に示す化合物は、実施例1から4に説明する方法により調製される。特定の化合物を得るためにこの方法を変える必要がある場合は、表1〜10に示す。そのような変化は、有機合成化学の技術では日常業務であり、当業者には明白である。表1〜10において、++は、100マイクロモル未満のHCVレプリコン複製阻害を、また+は、約100マイクロモルの阻害を示す。
【0235】
【表1】

【0236】
【表2】

【0237】
【表3】

【0238】
【表4】

【0239】
【表5】

【0240】
【表6】

【0241】
【表7】

【0242】
【表8】

【0243】
【表9】

【0244】
【表10】

【0245】
(実施例6) HCV複製を阻害する化合物同定のための試験
ここに特許請求される化合物は、HCVレプリコン構造が含まれている培養細胞でC型肝炎レプリコンのウィルス複製を阻害する能力について試験される。HCVレプリコンシステムは、Bartenschlagerほか(Science, 285, pp. 110-113 (1999))により説明された。レプリコンシステムは、体内での抗HCV活性を予測するもので、ヒトの体内で活性のある化合物は、一様にレプリコン試験で活性を証明する。
【0246】
この試験では、HCVレプリコンの複製を抑制する試験化合物の能力を確認するために、HCVレプリコンを含む細胞が試験化合物の異なる濃度で処理される。陽性対照として、HCVレプリコンを含む細胞がHCV阻害剤として周知のインターフェロンαの異なる濃度で処理される。レプリコン試験システムは、宿主細胞のレプリコン遺伝子産物の転写を検出するために、レプリコン自体の構成要素としてネオマイシン・ホスホランスフェラーゼ(NPT)を含む。HCVレプリコンが活発に複製している細胞はNPTレベルが高い。すなわちNPTレベルはHCV複製に比例する。またHCVレプリコンが複製していない細胞はNPTレベルが低いため、ネオマイシンで治療されると生存できない。各検体のNPTレベルが吸着したELISAを使って測定される。
【0247】
HCVレプリコン構造が含まれているC型肝炎レプリコン培養細胞のウィルス複製阻害する化合物の能力を調べる試験のプロトコルは、次のとおりである。
【0248】
6A.HCVレプリコンおよびレプリコンの発現
HCVゲノムは3000のアミノ酸ポリプロテインをコードする単一のORFから構成される。ORFは、内部リボゾーム侵入部位(IRES)としての役割を果たす非翻訳領域により5’側上、およびウィルス複製に必要な高度な保存配列(3’−NTR)により3’側で側面に位置する。ウィルス感染に必要な構造タンパク質は、ORFの5’端の近くに位置する。NS2からNS5Bと指定される非構造タンパク質は、ORFの残りから構成される。
【0249】
HCVレプリコンは、5’−3’、HCV−IRES、ネオマイシン・ホスホランスフェラーゼ(neo)遺伝子、HCV配列NS3の翻訳をNS5Bに導く脳心筋炎ウィルスのIRES、および3’−NTRを含む。HCVレプリコンの配列は、GenBankに登録されている(受入れ番号AJ242652)。
【0250】
レプリコンは、エレクトロポーレーションのような標準的な方法を使いHuh−7細胞に核酸を入れる。
【0251】
6B.細胞の維持
設備および資材には、Huh−7HCVレプリコンを含む細胞、10%FBSで補足された維持培地DMEM(Dulbecco's modified Eagle media)、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100 units/ml)、ストレプトマイシン(100 micrograms/ml)およびゲネティシン500 micrograms/ml(G418)、スクリーニング用培地(10%FBSで補足されたDMEM、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100 units/ml)、ストレプトマイシン(100 micrograms/ml))、96ウェル組織培養プレート(平底)、96ウェルプレート(薬剤希釈用にU底)、陽性対照としてインターフェロンα、(メタノール、アセトンのような)固定試薬、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体:Eu−N1l、増強液が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0252】
HCVレプリコンを含む細胞は、その密度が適切な場合高いレベルのウィルスRNAレプリコン複製をサポートする。密集度が過剰であると、ウィルスRNA複製の低下を引き起こす。したがって細胞は、G41が500 micrograms/mlある中で対数増殖を繰返さなければならない。一般的に細胞は、1:4−6の希釈で1週間に2回パスされなければならない。細胞の維持は以下のように実施する。
【0253】
HCVレプリコンを含む細胞は、細胞がうまく増殖していることを確認するために、顕微鏡下で検査する。細胞をPBSで一度すすぎ、トリプシンを2ml加える。細胞とトリプシンの混合物をCOインキュベータの中で、37℃で3−5分培養する。培養後、10mlの完全培地を追加し、トリプシン処理の反応を停止させる。細胞を静かに吹いて、15mlの試験管に入れ、1200rpmで4分間スピンさせる。トリプシンと培地の溶液を取除く。培地(5ml)を加え、細胞を注意深く混ぜる。細胞の数を数える。
【0254】
次に96ウェルのプレートに密度6000−7500細胞/100microliters/ウェル(6−7.5×10細胞/10ml/プレート)で細胞を植付ける。その後プレートを37℃で、5%COインキュベータで培養する。
【0255】
植付け後約24時間、薬剤を添加する前に細胞を顕微鏡下で検査する。集計および希釈が正しく実行されている場合、細胞は、60−70%密集し、ほとんどすべての細胞がウェル内で均一に吸着し、広がる。
【0256】
6C.HCV−レプリコンを含む細胞の試験化合物を使った治療
HCVレプリコンを含む細胞をPBSで一度すすぎ、次にトリプシン2mlを加える。細胞は5%COインキュベータの中で、37℃で3−5分培養する。10mlの完全培地を追加して、反応を停止させる。細胞を静かに吹いて、15mlの試験管に入れ、1200rpmで4分間スピンさせる。トリプシンと培地の溶液を取除き、BRLカタログ#12430−054、5mlからの培地(500ml DMEM(高グルコース))、10% FBSを50ml、ゲネティシンG418(50mg/ml、BRLカタログ#10131−035)5%、MEM非必須アミノ酸(100×BRL#11140−050)を5mlおよびペンストレップ(BRL#15140−148)を5ml加える。細胞と培地を注意深く混ぜる。
【0257】
96ウェルプレート(6−7.5×105細胞/10ml/プレート)の6000−7500細胞/100μl/ウェルでスクリーニング用培地(500ml DMEM(BRL#21063−029)、50mlのFBS(BRL#10082−147)および5mlのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050)とともに細胞をプレートに入れる。プレートを37℃、5%COインキュベータに一晩入れる。
【0258】
6D.試験
次の朝、薬剤(試験化合物またはインターフェロンα)がスクリーニングに選択される最終濃度に応じて培地またはDMSO/培地とともに96ウェルのUボトムプレートで希釈される。一般的に10マイクロモルから0.03マイクロモルの範囲で各試験化合物の6つの濃度が適用される。試験化合物の希釈液のうち100μlがHCVレプリコン細胞を含む96ウェルプレートのウェルに添加される。陰性対照群として薬剤なしの培地が一部のウェルに添加される。DMSOは細胞増殖に影響を与えることが知られている。したがって、DMSO中で希釈された薬剤が使用される場合、陰性対照群(培地のみ)と陽性対照群(インターフェロンα)のウェルも含めてすべてのウェルに単回投与スクリーニング時と同じ濃度のDMSOが含まれていなければならない。プレートは、37℃の加湿された5%COの環境下で3日間培養される。
【0259】
第4日目にNTPII試験が定量される。培地は、プレートから流し込み、そのプレートを200μlのPBSで一度洗浄する。次にそのPBSを静かに移し、プレートをペーパータオルの上で軽くたたいて、残りのPBSを除去する。細胞は、あらかじめ冷却された(−20℃)メタノール:アセトン(1:1)100μl/ウェルとともに静かに固定し、プレートを−20℃で30分間置いておく。
【0260】
定着液をプレートから注ぎ、プレートを完全に空気乾燥させる(約1時間)。乾燥された細胞層の外観を記録し、毒性のあるウェルの細胞密度を肉眼で得点をつける。あるいはその代わりに、以下に説明するMTS試験を使って細胞の生存を判断することができる。
【0261】
ウェルは、200μlのブロッキング溶液(PBS中10%FBS;3%NGS)を使って室温で30分間ブロックされる。ブロッキング溶液を取除き、ブロッキング溶液中1:1000に希釈されたウサギ抗−NPTII 100μlが各ウェルに添加される。その後プレートは室温で45から60分培養される。培養後PBS−0.05% Tween−20溶液でウェルを6回洗浄する。ブロッキングバッファー中ユウロピウム(EU)に共役したヤギ抗ウサギを1:15,000で希釈した液の100μlを各ウェルに加え、室温で30分から45分培養する。プレートを再び洗浄し、増強液(Perkin Elmer #4001−0010)100μlを各ウェルに加える。各プレートは、プレートシェーカーで3分間振動させる(約30rpm)。各ウェルから95μlずつブラックプレートに移す。EU信号がPerkin−Elmer VICTORプレートリーダー(EU-Lance)で定量される。
【0262】
試験結果:実施例5の「化合物表」に説明される化合物は、実質的に本実施例に説明されるようなHCV複製試験でテストされた。
【0263】
(実施例7) 細胞毒性試験
非特異性ではなく、むしろHCVレプリコンに対する化合物の活性によりレプリコン複製を低減させていることを確実にするために、毒性試験が化合物の細胞毒性を定量するために使用される。
【0264】
実施例7A.細胞毒性のための細胞タンパク質アルブミン試験
細胞タンパク質アルブミンの測定値は、細胞毒性の1つのマーカーを提供する。細胞アルブミン試験から得られるタンパク質レベルは、化合物の抗ウィルス活性の正規化基準を提供するために使用されることもある。タンパク質アルブミン試験で、HCVレプリコンを含む細胞は、高濃度で細胞毒性をもつことが知られている化合物ヘリオキサンチンの異なる濃度で3日間処理される。細胞が溶解され、細胞溶解物がプレートに吸着されたヤギ抗アルブミン抗体を室温(25℃から28℃)で3時間結合させるために使用される。次にプレートを1X PBSで6回洗浄する。非結合タンパク質を洗浄した後、マウス・モノクロナール抗人血清アルブミンでプレートのアルブミンに結合させる。次にフォスファターゼ標識抗マウスIgGを二次抗体として使用し複合が検出される。
【0265】
実施例7B.細胞毒性のためのMTS試験
生存細胞の数を決定する比色法であるCELLTITER 96 AQUEOUS ONE Solution Cell Proliferation Assay(Promega, Madison WI)により細胞生存率も決定することができる。この方法では、細胞を定着させる前にメーカーの指示に従って各ウェルにMTS試薬10−20μlを加え、プレートを37℃で培養し、OD 490nmで読み取る。培養中、生体細胞は、MTS試薬をホルマザン生成物に変換し、それは490nmで吸収される。したがって490nmでの吸収度は、培養中の生体細胞の数に正比例する。
【0266】
細胞毒性を決定する細胞アルブミン法とMTS法の直接比較により、以下が得られる。細胞は、異なる濃度の試験化合物またはヘリオキサチンで3日間処理される。上記に説明するようなアルブミンの検出のための溶解に先立って、メーカーの指示に従って各ウェルにMTS試薬を加え、37℃で培養し、OD 490nmで読み取る。その後上記に説明されるように細胞アルブミンの定量が実施される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式に示す化合物またはその医薬的に容認可能な塩。
【化1】

(上記式において、Rはヒドロキシル、C−Cアルコキシ、
【化2】

または
【化3】

であり、
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキルもしくは5員または6員のヘテロアリールであり、そのそれぞれが任意に置換され;
はC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、そのそれぞれが任意に置換され;または
およびRが結合して、O、N、Sから独立して選択される0、1、または2の追加のヘテロ原子を含む、5員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環は、ハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、オキソ、C−Cハロアルキル、およびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1またはそれ以上の置換基で置換され;
およびR11は独立してC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルカノイル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、または(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の置換基で置換され;
およびR12は独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルコキシであり;あるいは
およびRは結合して3員から7員のシクロアルキル環または5員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、リフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0から2の置換基で置換され、あるいは
11およびR12は、結合して3員から7員のシクロアルキル環または5員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0から2の置換基で置換され;あるいは
は、(i)R11がメチレン基であるR11に共有結合しているか、(ii)結合して3員から7員のシクロアルキル環を形成するR11およびR12により形成されるシクロアルキル基に共有結合するC−C11飽和または非飽和の炭化水素鎖であり;
、R、RおよびR10は独立して水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであり;
は、nが0、1または2である式−(CHY−Zの基であり、かつ
は水素、ハロゲン、アミノ、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;あるいは
およびRはともに任意に置換される5員から7員のシクロアルキル環を形成し;
13はC−Cアルキル、C−Cアルケニルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノから独立して選択される0または1、もしくはそれ以上の置換基で置換され、あるいは
13は、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(アリール)C−Cアルキル、(5員から7員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(ヘテロアリール)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、もしくはそれ以上の置換基で置換され;
Yは、存在しないか、CR1415、NR16、S、−O−、−O(C=O)(NR16)−、−OC1415−、NH(C=O)(NR16)−、−NR16(C=O)CR1415−、NH(S=O)(NR16)−、あるいは−O(C=O)−であって、R14およびR15が独立して水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであり;
16は水素、C−Cアルキル、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシであり;
ZはC−Cアルキル、C−Cアルケニル、(単環式または二環式のアリール)C−Cアルキル、(単環式または二環式のヘテロアリール)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキル、部分的に不飽和の二環式ヘテロ環、三環式アリール、または三環式ヘテロアリールであり;
該Zのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシ、および0または1(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルから独立して選択される0または1、もしくはそれ以上の置換基で置換され、(アリール)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルコキシ、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルキル、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルコキシ、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは9員または10員の二環式ヘテロアリール、そのそれぞれが下記(a)および0または1の置換基(b)から独立して選択される0、1、または2の置換基で置換され;
(a)はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、=NOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cヒドロキシアルキル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシから選択され、
(b)はフェニルおよび5員または6員のヘテロアリールであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、モノ(C−Cアルキル)カルボキサミド、ジ(C−Cアルキル)カルボキサミド、C−Cアルキルエステル、(C−Cアルキルエステル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される。)
【請求項2】
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、フェニル、ヘテロシクロアルキルあるいは5員または6員のヘテロアリールであり、そのそれぞれが任意に置換され、
はC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、そのそれぞれが任意に置換される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
およびRはともに5員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環がハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
およびRはともにピロリジニル、ピぺリジニルまたはピぺリジニル環を形成し、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0または1、あるいは2個の置換基で置換される、請求項3に記載の化合物または塩。
【請求項5】
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルカノイル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、または(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され、
は水素、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルコキシである、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項6】
はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され;
は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである、請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルである、請求項6に記載の化合物または塩。
【請求項8】
はC−Cアルキルである、請求項6に記載の化合物または塩。
【請求項9】
は水素である、請求項6から8のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項10】
およびRはともにシクロプロピル環を形成し、それはビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2個の置換基で置換される、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
11はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルカノイル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(C−Cシクロアルケニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキルまたは(ヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され、
12は水素、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルコキシである、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項12】
11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれはハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され;
12は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである、請求項11に記載の化合物または塩。
【請求項13】
11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルである、請求項11に記載の化合物または塩。
【請求項14】
11がC−Cアルキルである、請求項11に記載の化合物または塩。
【請求項15】
が水素である、請求項12から14のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項16】
およびRはともにシクロプロピル環を形成し、それがビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2個の置換基で置換される、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項17】
次式を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【化4】

(ここで、Dは6から10の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。)
【請求項18】
次式を有する、請求項17に記載の化合物または塩。
【化5】

【請求項19】
次式を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【化6】

(ここで、Dは6から10の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。)
【請求項20】
次式を有する、請求項19に記載の化合物または塩。
【化7】

【請求項21】
、R、R、およびR10がすべて水素である、請求項1から20のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項22】
は、nが0、1または2である、式−(CHY−Zに示す基であり、
は水素、ハロゲン、アミノ、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである、請求項1から21のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項23】
nが0であり、Yが−O−、−O(C=O)(NR16)−、−NR16(C=O)−または−O(C=O)−である、請求項22に記載の化合物または塩。
【請求項24】
nが0および−O−または−O(C=O)−である、請求項22に記載の化合物または塩。
【請求項25】
Zが、次式に示す基である、請求項1から24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【化8】

(上記式において、X、X、X、およびXは独立してNまたはCHであって、XからXのうち2つ以下がNであり;
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3の基を示す。
22は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシであり、あるいは
22は(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルコキシ、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルキル、(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルコキシ、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルあるいは9員または10員の二環式ヘテロアリールであり、そのそれぞれが以下に示す(a)および0または1の置換基(b)から独立して選択される0または1、あるいは2個の置換基で置換される。ここで(a)はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cヒドロキシアルキル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから選択され、(b)はフェニルあるいは5員または6員のヘテロアリールであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシのうち0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される。)
【請求項26】
22が、(フェニル)C−Cアルキル、(フェニル)C−Cアルコキシまたは(5員または6員のヘテロアリール)C−Cアルキルであり、そのそれぞれが(c)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立して選択される0、1または2個の置換基で置換される、請求項25に記載の化合物または塩。
【請求項27】
22が、以下のいずれかを有する、請求項25に記載の化合物または塩。
【化9】

【請求項28】
Zが、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、Zのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項22から24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項29】
Zが、(フェニル)C−Cアルキル、(ナフチル)C−Cアルキル、(単環式または二環式のヘテロアリール)C−Cアルキルまたはテトラヒドロキノリニルであり、
Zのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C−Cアルキル、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換され、さらに0または1のC−Cシクロアルキル、アリール、5員または6員のヘテロアリール、インダニル、5員または6員のヘテロシクロアルキル、あるいは9員または10員の二環式ヘテロアリールであり、そのそれぞれは以下に示す(a)および0または1個の置換基(b)から独立して選択される0または1、あるいは2個の置換基で置換される。
ここで(a)はハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、=NOH、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cヒドロキシアルキル、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルエステル、モノC−Cアルキルスルホンアミド、ジC−Cアルキルスルホンアミド、モノC−Cアルキルカルボキサミド、ジC−Cアルキルカルボキサミド、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシから選択され、
(b)はフェニルおよび5員または6員のヘテロアリールで、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、モノ(C−Cアルキル)カルボキサミド、ジ(C−Cアルキル)カルボキサミド、C−Cアルキルエステル、(C−Cアルキルエステル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、 請求項22から24のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項30】
(b)はフェニル、ピリジル、チアゾリル、ピロリルまたはイミダゾリルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、−CHO、−COOH、−NH(C=O)H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ(C−Cアルキル)アミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、モノ(C−Cアルキル)カルボキサミド、ジ(C−Cアルキル)カルボキサミド、C−Cアルキルエステル、(C−Cアルキルエステル)アミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項29に記載の化合物または塩。
【請求項31】
およびRはともに任意に置換される5員から7員のシクロアルキル環を形成する、請求項1から21のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項32】
R8およびR9がともにシクロペンチル環を形成する、請求項31に記載の化合物または塩。
【請求項33】
次式を有する、請求項31に記載の化合物または塩。
【化10】

【請求項34】
は、C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され;
は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;あるいは
およびRはともにシクロプロピル環を形成し、それがビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2個の置換基で置換され;
11はC−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(フェニル)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルおよびC−Cハロアルコキシから独立して選択される0から3個の置換基で置換され;
12は水素、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシであり;あるいは
11およびR12がともにシクロプロピル環を形成し、それがビニル、C−CアルキルおよびC−Cアルコキシから独立して選択される0から2個の置換基で置換され;
、R、RおよびR10はそれぞれ独立して水素、メチルまたはメトキシである、請求項33に記載の化合物または塩。
【請求項35】
次式を有する、請求項33または34に記載の化合物または塩。
【化11】

【請求項36】
次式を有する、請求項33に記載の化合物または塩。
【化12】

(ここで、Dは6から10の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
およびR12は独立して水素またはメチルであり;
、R、R、およびR10は独立して水素またはメチルである。)
【請求項37】
次式を有する、請求項33に記載の化合物または塩。
【化13】

(ここで、Dは6から10の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり;
およびR12は独立して水素またはメチルであり;
、R、R、およびR10は独立して水素またはメチルである。)
【請求項38】
請求項1から37のいずれか1項に記載の化合物または塩であって、
Rは、次式を有する、化合物または塩。
【化14】

【請求項39】
13はC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルコキシ、モノC−CアルキルアミノまたはジC−Cアルキルアミノから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項38に記載の化合物または塩。
【請求項40】
13は(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、(アリール)C−Cアルキル、(5員から7員のヘテロシクロアルキル)C−Cアルキルまたは(ヘテロアリール)C−Cアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノ、C−CハロアルキルまたはC−Cハロアルコキシから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項38に記載の化合物または塩。
【請求項41】
13が、C−Cシクロルアルキルであり、そのそれぞれがハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノC−Cアルキルアミノ、ジC−Cアルキルアミノから独立して選択される0または1、あるいはそれ以上の置換基で置換される、請求項38に記載の化合物または塩。
【請求項42】
13がシクロプロピルである、請求項41に記載の化合物または塩。
【請求項43】
少なくとも1つの医薬的に容認可能なキャリアを含み、請求項1から42のいずれか1項に記載の化合物または塩を有する医薬的組成物。
【請求項43】
請求項1に記載の化合物または塩ではない少なくとも1つの追加の活性製剤を含む、請求項43に記載の医薬的組成物。
【請求項44】
少なくとも1つの追加の活性製剤が、リババリン、インターフェロン、VX−950またはバロピシタビンである、請求項30に記載の医薬的組成物。
【請求項45】
注射用液、エアロゾル、クリーム状、ゲル状、錠剤、丸薬、カプセル、シロップ状、点眼液、または経皮貼付として製剤された組成を有する請求項43または44に記載の医薬的組成物。
【請求項46】
請求項43から45のいずれか1項に記載の医薬的組成物を構成し、さらにその組成を使ってC型肝炎の感染に苦しむ患者を治療する指示から構成される容器中のパッケージ。
【請求項47】
請求項1に記載の化合物または塩の有効量を、そのような治療を必要とする患者に提供することを含む、C型肝炎の治療法。
【請求項48】
有効量が、患者の血液または血清中のHCV抗体の数を低減させるのに十分な量である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
HCVレプリコン複製を体外で阻害するのに十分な濃縮された請求項1に記載の化合物または塩をHCVに感染した患者に提供することを含む、生体内でHCV複製を阻害する方法。

【公表番号】特表2010−519339(P2010−519339A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551998(P2009−551998)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/002524
【国際公開番号】WO2008/106130
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】