説明

HMGCoA還元酵素インヒビターコドラッグ及びその使用

本発明は、生理学的に不安定なリンカーを介して共有結合するか、又は、イオン結合によって結合した2つ以上の独立した薬理学的成分を含む化合物である。薬理学的成分の一つは、(スタチンなどの)HMGCoA還元酵素インヒビターであり、別の薬理学的成分は、アンジオテンシン変換酵素インヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HMGCoA還元酵素インヒビターコドラッグ及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
冠状動脈心疾患および卒中を含む心血管疾患は、米国における死因の筆頭をなす。心血管疾患の主要危険因子は、高い血中コレステロール、高い血圧(高血圧)、並びに喫煙及び食餌の因子である[Coronary Heart Disease Epidemiology: From Aetiology To Public Health, Marmot M & Elliott P, eds., pp.35-66 (Oxford University Press, New York, 1992)中、Stamler, J., "Established Major Coronary Risk Factors"]。高い血中コレステロールは、冠状動脈心疾患の主要危険因子であり、高血圧は、卒中の主要危険因子である。高血圧は、心筋梗塞の危険性も増大させる可能性がある。多くの臨床試験で、心血管疾患を治療するための抗高血圧及び脂質低下薬物の薬効が立証されている[アメリカ国立衛生研究所(NIH), "The Sixth Report Of The Joint National Committee On Prevention, Detection, Evaluation, And Treatment Of High Blood Pressure" NIH publication No. 98-4080 (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 国立心肺血液研究所, November 1997);National Cholesterol Education Program. "Second Report Of The Expert Panel On Detection, Evaluation And Treatment Of High Blood Cholesterol In Adults" NIH publication No. 93-3095 (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 1993)]。
【0003】
しかし、心血管疾患に関する危険性のいくつかの重要な指標は、近年では改良されていないか、横ばいであるか、又は逆転している。例えば、高血圧の人々の約70%は、140/90mmHg未満のレベルで管理される状態になく、卒中による死亡率は、最近では低下していない[国立心肺血液研究所 "Morbidity & Mortality: 1998 Chartbook On Cardiovascular, Lung, And Blood Diseases. (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 1998;Higgins, M & Thom, T, Int. J. Epidemiol. 1989;18: S58-S66)。心不全は、高齢者に対する健康上の不安材料として浮上しており[CDC, MMWR 47:633-7 (1998)]、心筋梗塞その他の高血圧関連疾患を体験した成人は、心不全に関する危険性が上昇したままである。
【0004】
薬物療法は、患者がその薬物服用手順に従う場合にのみ有効である。薬物療法の使用に対する患者の薬物服用手順違反という問題は、我々の医療体制が直面する最も重要な問題である。患者の将来に及ぼす薬物服用手順違反の悪影響が、高血圧の患者について報告されている[Morse, G.D. et al., Am. J. Hosp. Pharm. 43: 905-909 (1986)]。逆に、抗高血圧薬物療法を受けるのに薬物服用手順をより順守する患者は、血圧管理を達成する可能性がより高いという充分な証拠がある[Caro, J.J. & Speckman, J.L., J. Hypertension. 16: S31-S34 (1998)]。
【0005】
高血圧を管理するのに異なるいくつかの薬物標的を利用できることから、多剤処方を可能にしている。一つの薬物を用いても患者の約50%のみの血圧を管理できるにすぎないため、多剤投与を避けるのは困難である。しかしながら、そのような多剤処方計画は、患者の薬物服用手順の順守を低下させる[Oparil, S. & Calhoun, D.A, American Family Physician, 1007 (March 1, 1998)]。この問題に対する部分的解決としては、摂取すべき丸薬の数を減らし、個々の成分の用量依存性副作用を軽減することによって、患者の薬物服用手順の順守を改善するための、固定用量併用療法が策定されている[Sica, D.A., Drugs, 48: 16-24 (1994)]。しかし、単一用量形態で併用するには、米国法は、併用の際に各成分が全て治療効果に寄与しなければならないこと、及び各成分の投与量が、標的となる集団(すなわち、その高血圧が一種類の薬物では容易に管理されない患者)の大多数の比率でその併用が安全かつ効果的であるようでなければならないことを要求している[連邦法施行規則第21巻第300章第50項(「固定併用」の方針)、同第330章第10(a)(4)(iv)項も参照されたい]。
【非特許文献1】Coronary Heart Disease Epidemiology: From Aetiology To Public Health, Marmot M & Elliott P, eds., pp.35-66 (Oxford University Press, New York, 1992)中、Stamler, J., "Established Major Coronary Risk Factors
【非特許文献2】"The Sixth Report Of The Joint National Committee On Prevention, Detection, Evaluation, And Treatment Of High Blood Pressure" NIH publication No. 98-4080 (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 国立心肺血液研究所, November 1997)
【非特許文献3】National Cholesterol Education Program. "Second Report Of The Expert Panel On Detection, Evaluation And Treatment Of High Blood Cholesterol In Adults" NIH publication No. 93-3095 (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 1993)
【非特許文献4】"Morbidity & Mortality: 1998 Chartbook On Cardiovascular, Lung, And Blood Diseases. (Rockville, Maryland:米国保健福祉省, アメリカ国立衛生研究所, 1998;Higgins, M & Thom, T, Int. J. Epidemiol. 1989;18: S58-S66
【非特許文献5】CDC, MMWR 47:633-7 (1998)
【非特許文献6】Morse, G.D. et al., Am. J. Hosp. Pharm. 43: 905-909 (1986)
【非特許文献7】Caro, J.J. & Speckman, J.L., J. Hypertension. 16: S31-S34 (1998)
【非特許文献8】Oparil, S. & Calhoun, D.A, American Family Physician, 1007 (March 1, 1998)
【非特許文献9】Sica, D.A., Drugs, 48: 16-24 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記により、患者の薬物服用手順を順守させるために、医学分野では、一回に一の処方で、心血管疾患を治療するのに効果的である二種類かそれ以上の薬物を輸送できる薬学的化合物に対する要求が持続的に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
本発明は、生理学的に不安定なリンカーを介して少なくとも一つの第二薬理学的成分に結合された第一薬理学的成分を含む化合物、又はその塩を提供する。両方の薬理学的成分ともに、活性を有するか、又は活性化されたときに、心血管疾患を低減するように作用する。第一薬理学的成分は、HMGCoA還元酵素インヒビター(HMGCoA還元酵素阻害薬)である。第二薬理学的成分は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターである。二つかそれ以上の薬理学的成分は、共有結合又はイオン相互作用のいずれによって結合することもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、個体における心血管疾患又は心血管疾患関連病状を緩和する方法も提供する。その方法は、心血管疾患を患った固体に効果的な量の化合物を投与することを含む。ここで、その化合物は少なくとも第二薬理学的成分に結合された第一薬理学的成分を含む化合物を有し、両方の薬理学的成分ともに、活性を有するか、又は活性化されたときに、心血管疾患を低減するように作用する。本発明の化合物は、薬物送達デバイスで送達できる。
【0009】
本発明の化合物の使用は、心血管疾患の患者とその医師との双方にとって有用である。化合物の投与であれば、患者の薬物服用手順の順守も促して、それにより健康を改善する。
【0010】
本発明の化合物の使用は、それが薬物調合のための滴定工程の単純化を可能とすることから、薬物師にとっても有用である。場合によっては、調合された化合物の費用は、包装の費用を含めると、個々の成分の製造のそれを下回ることもあり得る。
【0011】
その上、本発明の化合物は、追加的又は相乗的な効果によって、別個の心血管効果を可能にすることを合理的に期待できる。そのような追加的又は相乗的な効果が生じるときは、別個の成分の、より低い必要用量において、有害事象の緩和を達成できる。一般に、改善された全体的抗高血圧効果は、別個の成分の比率が、固定用量の併用の不在下で利用できるものに優る場合に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明:
本発明は、薬理活性を有する成分の薬理学的性能及び送達特性を、それらを結合して、新規化合物を形成することによって向上させる手段を提供する。「薬理学的成分」とは、活性を有するか、又は活性化されたときに、意図された医学的効果を生じることができる化合物である。薬理学的成分は、代表的には、(一般的には、化合物を投与しようとする個体、特にヒト、又はヒトの疾患若しくは病状のモデルとなる哺乳動物の身体内であるか、場合によっては鳥類若しくは哺乳動物等の動物の身体内で、上記化合物の獣医学的投与の際に)薬物標的と相互作用させたときにこれらの効果を生じる。本発明では、薬理学的成分は、動物、特に哺乳動物、より詳しくはヒトにおける高血圧、並びに高血圧関連疾患及び病状に効果がある。高血圧関連疾患は、医療業界では公知であり、脳、心臓及び腎臓の血管に対する損傷、卒中、心不全、腎不全、並びに心筋梗塞(MI)の危険性の上昇を含む。
【0013】
本発明の化合物は、(通常は不安定な)結合によって相互に共有結合して、単独の化合物を形成するか、又は相互にイオン結合して、単独の作用組成物[米国特許第6051576号明細書を参照されたい:引用により組み込まれる]を形成する、少なくとも二つの薬理学的成分の組成物である。
【0014】
「プロドラッグ(prodrug)」は通常は薬理活性を有さない化合物である。しかしながら、一般的には生体内(in vivo)で酵素または加水分解による切断でプロドラッグを薬物変換することで、活性化されると、個体へのプロドラッグの投与は薬理学的効果を有することとなる。一般的には、生物活性化合物の化学修飾によりプロドラッグは形成される。プロドラッグを採用する一つの目的としては、例えば、経口投与において、腸による吸収または部位特異的な吸収の増加である。別の目的としては、胃腸刺激などの局所的な副作用の低減である。また、プロドラッグは、局所的な膜を通じた浸透を促進させることで経皮的な吸収を増加させる目的でも使用される。
【0015】
これに基づき、プロドラッグ配合物は、必ずしも徐放性投与形態としては分類されない。しかし、薬物の物理化学的特性を(プロドラッグ化合物を生じるよう)生体内可逆的に改変により、より優れた腸内送達特性を有することとなり、そのため、この薬物の薬物血中レベル対時間プロファイルに影響を及ぼすことができる。従って、プロドラッグ配合物は、個体における薬理学的成分の持続的放出、及び治療レベルの持続の計画に用いることができる。
【0016】
本発明の化合物は、第一及び第二薬理学的成分を有し、その他の薬理学的成分(例えば第三薬理学的成分、場合によれば第四薬理学的成分等々)も有することができる。一実施態様では、本発明の化合物は、第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分を等モル量で含有する。特定の実施態様では、上記化合物は、一つの第一薬理学的成分及び一つの第二薬理学的成分を有する。
【0017】
本発明の化合物は、高血圧の治療のためのいくつかの利点を有する。とりわけ、患者のため、処方医のため、外科医のため、及び(錠剤配合物中の、それぞれが異なる特性を有する活性成分の数を減らすことによって)薬物師のための利点がある。患者及び医師のためには、本発明の化合物は、摂取すべき丸薬の数を減少させて便利にすることによって、患者の薬物服用手順の順守を促すことができる。本発明の化合物は、また、成分が相乗効果を有することができるため、いずれの薬理学的成分よりも優れた薬物化合物であることができる。本発明の化合物は、単一の化合物(個体の粘膜透過のために可能であるなら親水性化合物)が投与されることから、好都合にも、改良された生物学的利用能を調合薬に与えることもできる。その上、いかなる患者集団の相異も、医師が二つの化合物ではなく単一化合物の形で処方箋を書くことができる。本発明の化合物により、上記薬理学的成分間の吸収の差は、それぞれ異なる投薬量の必要が無い。
【0018】
薬理学的成分間の共有結合
一実施態様では、本発明の化合物は、二以上の薬理学的成分の共有結合によって形成される(実施例1〜2を参照されたい)。薬理学的成分は、可逆的な共有結合によって1の化合物として結合する結果、身体の目的の部位で、共有結合された薬理学的成分を切断して、上記薬理学的成分の活性形態を、又は目的の薬物へのプロドラッグ前駆体を、再生できる。薬理学的成分の切断の速度は、上記薬理学的成分を結び付ける結合の種類、薬理学的成分の選択、及び化合物の物理的形態によって制御できる。
【0019】
第一及び第二薬理学的成分は、直接的な共有結合、又はリンカーの基(L基)を介しての間接的な共有結合のいずれによって共有結合させてもよい。この関係は、次式(I):
1−L−A2 (I)
[式中、A1及びA2は、それぞれ、上に定義されたような第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分の残基であり、結合する(L)基は、上記の直接的結合又はリンカーのいずれかである]
で一般的に表すことができる。結合する基が直接的結合であるとき、上の式(I)は、式(II)として、より簡潔に表せる。
1−A2 (II)
【0020】
式(I)の化合物は、生理学的流体、例えば血漿と接触したとき、加水分解を受ける。
【0021】
L基を含む共有結合は、(これに限定されるわけではないが)下式(III)のような形で良い:
【化1】

式中、Zは、O、N、CH2、CH2O又はCH2Sであり、YはO又はNであり、XはOまたはSである。共有結合は、例えば、エステル、カルボナート、環状リン酸エステル又はカルバマート結合であることができる。生理学的に不安定な結合は、生理学的流体、例えば血漿中と近似する条件下で不安定である、いかなる結合でもよい。この結合は、直接的結合(例えば、アミド、カルボナート、カルバマート、スルホナート又はスルファマート結合)でよく、又は結合基(例えば、C1〜C12(炭素原子数1〜12個の)ジアルコール、C1〜C12ヒドロキシアルカン酸、C1〜C12ヒドロキシアルキルアミン、C1〜C12ジカルボン酸、C1〜C12アミノ酸又はC1〜C12ジアミン)でもよい。結合は、直接的なアミド、カルボナート、カルバマート及びスルファマート結合、並びにコハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸及びそれらのハロゲン化物を介しての結合でもよい。この結合は、一般的に約6〜約8のpHの生理学的条件下で不安定であることができる。結合の不安定度は、結合の個々の種類、生理学的流体の正確なpH及びイオン強度、並びにin vivoで加水分解反応を触媒する傾向がある酵素の存否に依存する。一般的に、in vivoでの結合の不安定度は、化合物が生理学的流体に可溶化されていないときの結合の安定度と対比して測定される。従って、本発明のいくつかの化合物は、いくつかの生理学的流体中では比較的安定であるが、in vivo(又は自然に又は刺激されて生じる生理学的流体に溶解したin vitroでの)では、単体そのまま又は非生理学的流体(例えばアセトン等の非水性溶媒)に溶解したときに比べて、加水分解を比較的受けやすい。そのため、薬物を水溶液、特に血漿のような生理学的流体に溶解したときに、不安定な結合により、加水分解反応でかなり加水分解産物が生じるようになる。
【0022】
その上、この共有結合は、酵素特異的であることができ、例えばエステラーゼに対して酵素学的に不安定であっても良い。あるいは、共有結合は、化学的に不安定(例えば塩基触媒性加水分解される結合)でもよい。
【0023】
第一薬理学的成分若しくは第二薬理学的成分、又はそれら双方は、縮合して結合し、加水分解に対して不安定な結合を形成できる基を保有するか、又は保有するよう改変できる成分でもよい。そのような基の例は、ヒドロキシ(−OH)基、アミン基(−NH2又は−NH−)、酸(−COOH)基、スルホンアミド(−SO2NH2)基及びスルホナート(−SO3H)基である。
【0024】
本発明の化合物を製造するための例示的な反応図式を、図3および実施例1に図示する。これらの図式は、シンバスタチン又はロバスタチンの代わりに他のスタチン類で置き換えることによって一般化できる。同様に、この図式は、フォシノプリルの代わりに他のACEインヒビターで置き換えることによって一般化できる。また、これらの図式は、適切なリンカー及び薬物を出発材料として用いることによって一般化できる。
【0025】
一般に、第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分を直接結合しようとする場合、第一薬理学的成分を、生理学的条件下で不安定である結合を形成するのに適した条件下で、第二薬理学的成分と縮合させる。ある場合には、他方又は双方にあるいくつかの反応性に富む基を保護することが必要になる。
【0026】
上記成分をリンカー、例えばコハク酸又はジグリコール酸を介して共有結合させようとする場合、第一薬理学的成分を、初めにリンカーと縮合できる。反応を、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中で、適切な触媒、例えばカルボジイミド及びジメチルアミノピリジン(DMAP)、求核触媒、の存在下、又は縮合水若しくは他の反応生成物を除去するのに適した条件(例えば還流)下、あるいはそれらのうち二以上を組み合わせて実施するのが、ときには、好ましい。第一の成分をリンカーと縮合させた後、結合した第一成分及びリンカーを、第二薬理学的成分と縮合させる。再度このような場合、反応を、適切な溶媒、例えばアセトニトリル中、適切な触媒の存在下、又は縮合水若しくは他の反応生成物を除去するのに適した条件(例えば還流)下、あるいはそれらのうち二つ以上を組み合わせて実施するのが、時には、好ましい。一以上の活性基が保護されている場合は、保護基を選択的な条件下で除去するのが好ましく、保護基の加水分解産物及び保護された基が生理学的に無害である場合は、活性基を保護されたままにしておくのが好ましい。
【0027】
活性基は、その反応性を増大させるよう誘導体化できる。例えば、第一成分が酸であり、第二成分がアルコールである(すなわち、フリーヒドロキシル基がある)場合、第一成分を誘導体化して、対応する酸ハロゲン化物、例えば酸塩化物又は酸臭化物を形成してもよい。本発明の化合物を製造するための慣用的に誘導体化された出発材料を用いて、本発明の化合物の収率を上昇させ、製造原価を削減し、純度を向上させる等々のためのその他の可能性は、当分野で公知である。
【0028】
ジカルボン酸、ジアルコール、アミノ酸等々を、適切なリンカーであるとして上に記載したが、その他のリンカーも本発明の対象範囲内にある。例えば、本発明の化合物の加水分解産物は、ジカルボン酸を含んでもよく、結合を作成するのに用いられる実際の試薬は、例えばジアセチルクロライド若しくはジアセチルブロマイド等のハロゲン化ジアセチル、又は二価無水物でもよい。可能なその他の酸、アルコール、アミノ、スルファート及びスルファモイル誘導体も、対応する結合を作成するための試薬として用いてもよい。
【0029】
本発明の一の好ましい実施態様では、コドラッグを、治療される人に活性代謝物を送達するために用いることができる。プロドラッグは、活性化合物へと代謝によって転化されるまでは、薬理学的活性が無くてもよい。薬物の代謝物が治療効果を生じる場合、それは「活性代謝物」であると考えられる。例えば、第一薬理学的成分は、HMGCoA還元酵素インヒビターのラクトン加水分解産物、例えばロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン又はセリバスタチン(しかしプラバスタチン又はフルバスタチンではない)に類似する構造を有する、ヒドロキシ酸であることができる。第一薬理学的成分については、開環ヒドロキシ酸が活性代謝物であることが多い。
【0030】
薬理学的成分間のイオン結合:
一実施態様では、本発明の化合物は、二または三以上の薬理学的成分間のイオン相互作用によって形成される。米国特許第6051576号明細書(引用により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0031】
塩形成は、プロトン移動又は中和反応のいずれかを伴う酸塩基反応であり、そのため、そのような反応に影響する因子によって制御される。理論的には、適切な酸又は塩基の特徴を示すあらゆる化合物が、塩形成に参加できる。特に重要なのは、酸又は塩基の相対強度、並びに関与する薬理学的成分の酸性度及び塩基性度定数である。これらの因子は、塩形成が生じるか否かを決定し、生じる塩の安定性の指標となる。塩の形態は、親化合物の溶出速度、溶解度、安定性及び吸湿性等の数多くの物理化学的特性に影響することが公知である。塩の形成は、製剤配合物に有用であるが、それは、これらの特性が、ひいては薬物の利用可能性及び配合の特性に影響を及ぼすからである。
【0032】
本発明の化合物を製造するためには、第一薬理学的成分を、等価量の第二薬理学的成分とともに有機溶媒に溶解する。次いで、この溶液を、窒素雰囲気下、室温で、液体/半固体粘調物質になるまで濃縮、蒸発させる。次いで、アルコール等の適切な有機溶媒の使用によって、上記化合物を結晶化する。残余の液体は、継続的な加熱によって除去できる。次いで、当技術分野に公知の手段によって、上記化合物を数多くの公知投与形態または送達システムのいずれか一つへと配合する。米国特許第5385941号明細書を参照されたい。PCT公開出願WO99/11259及びWO00/73298も参照されたい。そのような塩を形成するのに適したその他の手順は、当業者には公知である。
【0033】
その上、本発明の化合物は、無機酸塩、カルボン酸塩又はアミノ酸塩として存在するか、又はそれらの形で配合できる。
【0034】
第一薬理学的成分;HMGCoA還元酵素インヒビター
ある実施態様では、第一薬理学的成分は、HMGCoA還元酵素インヒビターである。HMGCoA還元酵素インヒビター(スタチンとしても知られる)は、現在では、高コレステロールに対する最も効果的な薬物である。コレステロール生合成の調節は、それがアテローム性動脈硬化症、脳血管性及び冠動脈心血管性疾患と関連するために、長い間、深く研究された課題であった。コレステロール合成の制御は、主として、経路で最初に関与し、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMGCoA)還元酵素によって触媒される。
【0035】
スタチンは、コレステロールの形成に必要な酵素であるヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素(EC1.1.1.34)をブロックする。この酵素に関する別称として、ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A還元酵素(還元されたニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸);3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素;β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリル補酵素A還元酵素;ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素(NADPH);S−3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素;NADPH−ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素;HMGCoA還元酵素−メバロナート;NADP−酸化還元酵素(アセチル化CoA);3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA還元酵素(NADPH)及び(R)−メバロナート;NADP酸化還元酵素(CoAアセチル化性)が挙げられる。この酵素は、(S)−3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA+2NADPH2から(R)−メバロナート+CoA+2NADPへの転換を触媒する。
【0036】
スタチン群の薬物には、リピトール(Lipitor、商標)(アトルバスタチン)、プラバコール(Pravachol、商標)(プラバスタチン)、ゾコール(Zocor、商標)(シンバスタチン)、メバコール(Mevacor、商標)(ロバスタチン)、レスコール(Lescol、商標)(フルバスタチン)、ベイコール(Baycol、商標)(セリバスタチン)、及び、以前はZD4522であったクレストール(Crestor、商標)(ロスバスタチン)が含まれる。
【0037】
スタチン群の化合物の構造は、薬理学業界の当業者には公知である。スタチンは、一般に、図2に示すとおり、HMG様成分を共有することが当業者に公知である。スタチンは、一般に、HMGCoA様成分に共有結合した、堅固な疎水性基を共有する。ロバスタチン、プラバスタチン及びシンバスタチンは、コンパクチン(メバスタチンとしても知られる)の置換デカリン環構造に類似している。Istvan, E.S.及びDeisenhofer, J.[Science, 292: 1160-64 (2001)]は、この群のインヒビターを1型スタチンとして分類している。フルバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンは、HMG様成分に結合した比較的大きい基を有する全合成されたHMGCoA還元酵素インヒビターである。Istvan及びDeisenhoferは、これらのインヒビターを2型スタチンと称している。更なる群としては、性質が極めて疎水性(例えばセリバスタチン)なものから部分的に疎水性(例えばロスバスタチン)なものまである。スタチンは、すべて、HMGCoA基質への結合についてHMGRの競合的インヒビターであるが、NADPHの結合についてはそうではない。スタチン−酵素複合体のKI(阻害定数)値は0.1〜2.3nMにわたるのに対して、HMGCoAについてのミカエリス定数Kmは4μMである。
【0038】
Istvan及びDeisenhoferは、ヒトHMGCoA還元酵素の触媒部分の構造が、異なるスタチンとどのように複合体形成するかを決定した。スタチンというかさばる疎水性化合物は、HMG結合のポケット、及びCoAとの結合表面の一部を占める。こうして、スタチンが結合したとき、基質であるHMGCoAのHMGCoA還元酵素への接近がブロックされる。
【0039】
スタチンは、血中コレステロールレベルの低下、及び、高コレステロールレベルの主な結果の一つである心臓発作を防止にも、非常に効果的であることが立証されている。コレステロールが損傷を生じさせる過程は、アテローム性動脈硬化症として公知であり、動脈壁にコレステロールを含有するプラークの蓄積を伴うが、これは一緒になって、動脈を結果的にブロックする可能性がある。心臓に供給する動脈内のプラークは、心発作を招き、脳に供給する動脈内のプラークは、卒中を引き起こす。
【0040】
スタチンは、一般に、副作用がほとんどないが、全体的なコレステロール、LDL(いわゆる「悪玉」)コレステロール及びトリグリセリドを低下させるばかりでなく、HDL(いわゆる「善玉」)コレステロールを上昇させもする。一次及び二次予防試験は、上昇した低密度リポタンパク質コレステロールレベルを下げるためのスタチンの使用により、冠動脈での発病及び冠動脈性心疾患による死亡を実質的に削減できることを示した。二次的冠動脈性心疾患の予防手段としての脂質の低下を裏付ける強い証拠が、三大試験、すなわち「スカンジナビアシンバスタチン生存研究(4Sスタディ)」[Lancet 344: 1383-9 (1994)]、「虚血性疾患におけるプラバスタチンによる長期干渉(LIPID)調査」[Sacks, F.M. et al., N. Engl. J. Med., 335: 1001-9 (1996)]、並びに「コレステロール及び再帰事象(CARE)試験」[N. Engl. J. Med., 339: 1349-57 (1998)]からもたらされていて、HMGCoA還元酵素インヒビター(スタチン)での処置は、冠動脈での発病を減少させ、また死亡率を低下させた。上記研究は又、いくつかのスタチンが再発性心発作ばかりでなく、最初の心発作も予防するのに同様に有効であることも示した。いくつかのスタチンは、脳卒中の危険性を低下させるのにも有効である。新たな研究によれば、正常なコレステロールレベルの集団でさえ、コレステロール低下薬を摂取することで恩恵を受けることが示されている。スタチン療法は、コレステロールレベルが5mmol/Lより高く、10年間の冠動脈性心疾患リスクが30%より高い70歳以下の高血圧の対象者における一次予防に利用される[Ramsay, L.E., J. Human Hypertension, 13, 569-592 (1999)及びRamsay, L. E, British Med, J., 319: 630-635 (1999)]。
【0041】
不幸にも、スタチンは、不適切に処方されている。「米国コレステロール教育計画」は、コレステロールのスクリーニング及び治療のための指針を推奨している[Arch. Intern. Med., 148: 36-69 (1988)及びNational Cholesterol Education Program, NIH publication no. 97-3794 (1997)]。しかしながら、かかりつけ(一次診療)医は、これまでは、臨床医療にこれらの指針を不適切に採用している[Am. Fam. Physician 63: 309-20, 323-4 (2001)を参照されたい]。その上、処方されたときでさえ、患者の薬物服用手順の問題がある。
【0042】
スタチンの経口投与のための代表的ないくつかの1日服用量を、下記の表1に示す。
【表1】

【0043】
第二薬理学的成分;アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター
アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターは、血管硬化を引き起こす物質を生産に必要なアンジオテンシン変換酵素(ACE)をブロックする。その結果、血管を弛緩させることができる。これにより血圧を降下させることができ、心臓への血液および酸素の供給が増加する。ACEインヒビターは、心外傷によるレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の活性化により生じる組織の損傷の制御を補助する。
【0044】
レニンの過剰発現及びその代謝産物は血圧を高くさせ、明らかに高血圧にし、さらに目標とする組織に損傷を与える。レニンはアンギオテンシノゲンに作用し、生物学的に不活性であるデカペプチドアンジオテンシンIを産出する。アンジオテンシンIは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)を含む様々な酵素で変換されアンジオテンシンIIを生成する。アンジオテンシンIIはオクタペプチドであり系の既知の生物学的活性の殆どに関与している。
【0045】
血管収縮への直接作用、中枢及び末端神経系の交換神経系活性の増強効果、アルドステロン合成とその結果生じるナトリウムの分泌及び腎臓による体液保持を伴った分泌、アルギニンバソプレシン分泌刺激などの様々な機構により、アンジオテンシンIIは血圧を上昇させる。さらに、アンジオテンシンIIは血管に直接損傷を与える様々な活性を有する。また、アンジオテンシンIIは血管障害応答に関与している。すなわち、損傷した部位に白血球付着が促進し、超酸化物及びペルオキシ亜硝酸が形成し、損傷の内腔側に様々なタイプの細胞が拡散、移動し、そのため、動脈壁の細胞成分に表現形が発現し、その結果、動脈硬化性プラークまたは繊維内膜新生が生じる。
【0046】
アンジオテンシン変換酵素インヒビターは活性部位に直接働くインヒビター(阻害剤)である。ACEインヒビターは、亜鉛リガンドを形成することでその効果を発揮するメチルプロピオニル−L−プロリンアナログである[Piepho, RW., Am. J. Health Syst. Pharm. 57 Suppl l:S3-7 (2000)]。ACEインヒビターは、基質の重要な結合相互作用を利用し、亜鉛原子との触媒相互作用を効果的な結合相互作用に変換する[Ondetti, M.S., Circulation 77(6 Pt 2):I74-8 (1988)]。アンジオテンシン変換酵素の3つのサブクラスは、カプトプリルそのアナログ及びプロドラックなどのメルカプト基含有インヒビター、エナラプリルとその誘導体などのカルボキシアルキルジペプチド、フォシノプリルなどのリン含有インヒビターである。アンジオテンシン変換酵素が亜鉛成分を介して結合する官能基は、薬物のこれらのクラスの間の主要な構造的差異となる。また、カプトプリルなどのメルカプト基含有インヒビターは代謝プロセスにより代謝され、グルタチオン及びタンパク質などの内因性のメルカプト基含有物質と相互作用し、薬物の貯蔵形態として役割を果たす可逆的なジスルフィドを形成する。
【0047】
アンジオテンシン変換酵素インヒビターとしては、多くの物が利用可能であり、ベナゼプリル(Lotensin、登録商標)、カプトプリル(Capoten、登録商標)、エナラプリル(Vasotec、登録商標)、フォシノプリル(Monopril、登録商標)、リシノプリル(Prinivil、登録商標、Zestril、登録商標)、キナプリル(Accupril、登録商標)、ラミプリル(Altace、登録商標)及びトランドラプリル(Mavik)などが挙げられる。また、他のACEインヒビターとしては、シラザプリル、エナラプリラト(enalaprilat)、モエキシプリル、及び、ペリンドプリルが挙げられる。また商業的にアメリカ合衆国では、Aceon(登録商標)、Prinivil(登録商標)、Univasc(登録商標)、及び、Zestril(登録商標)、のブランドネームが使用されている。又、カナダでは、Coversyl及びInhibaceの商業的ブランドネームが使用されている。
【0048】
さらに、「スーパー」クラスの他のACEインヒビターとして、オマパトリラト(omapatrilat)などのバソペプチターゼ(vasopeptidase)がある。ACEインヒビター同様に、バソペプチターゼインヒビターは、アンジオテンシンをブロックし、また、中性のエンドペプチターゼを中和し、血管の弛緩を生じさせる。典型的な服用量は、1日につきオマパトリラト40mgである。
【0049】
ACEインヒビターは降圧剤と言われる薬物のクラスに属する。ACEインヒビターの投与により、心不全の全てのグレードにおいてその状態を改善することが知られている[Brown NJ及びVaughn, DE. Circulation (97:1411-1420 (1998)]。ACEインヒビターは、また、腎疾患の最終段階の緩やかな進行と同じく心不全及び心筋梗塞後の死亡率を減少させることができる。多くのACEインヒビターは、心不全に対する臨床試験が行われている。
【0050】
ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、エナラプリラト(enalaprilat)、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、及び、トランドラプリルは降圧剤である。また、ベナゼプリル、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、及び、トランドラプリルは血管拡張剤(valodilator)として、又は、うっ血性心不全に対して使用される。リシノプリル、カプトプリル、ラミプリル、及び、トランドラプリルは、心臓発作後の患者の幾人かに使用される。心臓発作後、心臓の筋肉のある部分は損傷を受け、衰弱している。心臓の筋肉は時が経過するにつれ衰弱し続けるかもしれない。そのような場合、心臓が血液を送り出すのはより困難になる。カプトプリル、ラミプリル、及び、トランドラプリルは心臓のさらなる衰弱を緩和する。また、糖尿病をインシュリンで制御している患者の腎臓を治療する場合、カプトプリルが使用される。
【0051】
ACEインヒビターであるカプトプリル及びリシノプリルはプロドラッグではない。他のACEインヒビターは肝臓での生体内変化により活性化する必要がある。
【0052】
アンジオテンシン変換酵素インヒビターの毎日の投与量の例を下の表2に示した。
【表2】

【0053】
高血圧の診断:
高血圧及び高血圧関連病状の診断、並びに高血圧に対する医学的治療で恩恵を受けるべき個人の特定は、標準的な医学的診断によってである。更なるガイドは、国際高血圧学会及び世界保健機構[J. Hypertension 17: 151-183 (1999)]から得られるが、これらは、若年、中年又は糖尿病の対象者を、130/80mmHg未満、及び年配者には140/90mmHg未満の目標血圧へと治療しなければならないと示唆している。英国高血圧学会は、160mmHg以上の最高血圧、又は100mmHg以上の最低血圧での治療の開始を推奨している。英国高血圧学会は、140〜159mmHgの最高血圧と90〜99mmHgの最低血圧との間の対象者は、その他の危険因子の存在下で、140/85mmHg未満の目標血圧を目指して治療されなければならないと示唆する。糖尿病患者では、英国高血圧学会の目的は、血圧を140/80mmHg未満に下げることである。その他のガイドを表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
経口投与向けの投与量及び配合物:
本発明の化合物を投与するための投与量は、当業者であれば算出できる[Goodman & Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed. (Pergamon Press, NY 1990)及びThe Merck Index, 11th Ed. (Merck and Co., Inc., Rahway, NJ 1989)を参照されたい:ともに引用によって本明細書に組み込まれる]。投与量は、好ましくは、体重1kgあたり約1〜約500mg/kgの範囲内であり、好ましくは、1日1〜2回投与する。化合物の経口投与に適切な投与量に関する更なる手引きによれば、それぞれ、第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分についての投与量中に見出され得る(表1及び2を参照されたい)。第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分の投与の刊行物記載の報告、並びに当業者に公知の情報から、本発明の化合物の投与のための適切な治療範囲を合理的に概算できる。一例として、表1及び2に与えられた情報から、本発明の化合物は、有効投与量の範囲で投与できる。範囲の下限は、通常1μg/日、好ましくは1mg/日、より好ましくは2.5mg/日、より好ましくは4mg/日、より好ましくは5mg/日、より好ましくは7.5mg/日、より好ましくは10又は25mg/日である。範囲の上限は、通常150mg/日、好ましくは100mg/日、より好ましくは80mg/日、より好ましくは40、より好ましくは20mg/日、より好ましくは16又は4mg/日である。本発明の化合物は、1日1回のみか、多くとも2回投与する。
【0056】
本発明の化合物は、体液に溶解したときは不安定であり、急速に加水分解されて、二つの活性を有する親薬物を再生する。しかし、加水分解するには初めに溶液として存在しなければならないため、固体形態では水性の環境中でさえ安定である。
【0057】
その他の投与量及び配合物:
本発明の方法は、好ましくは、本発明の化合物を用いて、それを必要とする個人に、当技術分野に認められた方式で、例えば静脈内、皮下、筋内、若しくは注射というその他の非経口様式を経由してか、又は外科的な移植によってそれを送達できる。静脈内注射は可能であるが、本発明の化合物の特性は、皮下若しくは筋内移植、又は軟組織内への注射に充分に適合する。
【0058】
本発明の化合物は、懸濁液(ナノ粒子粒径範囲)として配合することもでき、粒径の上限は、目標とする適用方法に依存するにすぎない。
【0059】
本発明の一実施態様では、本発明の化合物を、固体形態、例えば、直接注射され得るペレットとして調製できる。本発明の化合物のペレットは、共役形態の化合物の低い溶解度を反映して薬物を溶液又は体液中に徐々に放出することができる。ペレットは、化合物単独でも、又はポリ乳酸及びポリグリコール化合物のような、移植可能な生分解性の物質とともに配合してよい。ペレットは、当技術分野に公知の方法によって配合し、組成物を0.1〜約100%含有する。
【0060】
本発明のその他の実施態様では、本発明の化合物を、例えばヤシ油等の植物油中の無水溶液又は懸濁液として調製し、筋内に注射する。本発明の化合物は、リポソーム、液体、懸濁液、ミクロスフィア又はナノ粒子のような注射可能形態で投与できる。そのような水性溶液、リポソーム、エマルジョン及び懸濁液の調製は、当業者に公知である[Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)を参照されたい]。
【0061】
もう一つの実施態様では、化合物は、例えばカプセル剤、錠剤又はゲルキャップ等の経口配合物である。本発明の更に一つの実施態様では、化合物は、局所適用可能形態、例えば経皮貼布剤、軟膏、懸濁液、液剤、エリキシル剤又は点眼剤である[Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)を参照されたい]。
【0062】
放出制御システム(徐放系):
本発明の一実施態様では、高血圧及び高血圧関連疾患病状に関連する全身又は局所的な薬理若しくは生理学的効果を求めて、化合物の放出制御又は持続的放出のための制御送達システムに、本発明の化合物(固体、液体又はコロイド状のいずれか)が含まれる。そのような疾患病状は、当業者には公知である[Goodman & Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed. (Pergamon Press, NY, 1990)及びThe Merck Index, 11th Ed. (Merck and Co., Inc., Rahway, N.J. 1989)を参照されたい:両文献とも引用によって本明細書に組み込まれる]。
【0063】
この制御送達システムは、化合物が、生理学的条件下で重合体マトリックスからの拡散速度が、上記重合体マトリックスの透過性によって律速されないように選ぶのが好ましい。制御送達システムの考察に関しては、米国特許第6051576号明細書(引用によって本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0064】
本発明の化合物の配合物は、放出、生体適合性又は外見を最適化するために、その他いくつかの置換物質を含有してもよく、徐放デバイス又は徐放系内で用いてもよい。そのような置換物質は、当業者には公知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)に解説されている。更に、上記化合物は、ビタミンB6(pyroxidine)存在下のイソニアジド等の望ましくない効果を軽減するために、別の薬物に結合してもよい。本発明のもう一つの実施態様は、他の薬物又はプロドラッグ分子とともに配合された化合物である。
【0065】
本発明の化合物は、生分解性又は非生分解性送達システム内に配合して、その放出を更に制御してもよい。そのような生分解性送達システムは、周囲の薄膜又は化合物によるマトリックスを形成するポリ乳酸(生分解性)を含み、薬理学的特性を更に改良してもよい。ポリ乳酸は、2、5及び10%ポリ乳酸の溶液として配合することができ、縫合(suture)に付着したペレットを生成するのに用いられている。薬理学的活性薬物のための完全生分解性である徐放系は、別の生分解性物質、例えばポリビニル酸、ポリ無水物、コラーゲン、又はポリブチルシアノアクリレートのようなポリアルキルシアノアクリレート等との配合物中の本発明の化合物で構成してもよい。2%ポリビニルアルコールは、結膜下送達のためにペレットをコートするのに用いられている。ポリブチルシアノアクリレート(生分解性)は、ペレットのマトリックスを形成するのにも用いられている。
【0066】
本発明のもう一つの実施態様では、本発明の化合物は、体液と生体適合性を有し、本質的に不溶性である天然又は合成重合体を含有する非侵食性マトリックス若しくは貯留系内に含まれる。そのような材料は、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、架橋されたポリ酪酸ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、可塑化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、ポリビニルエステル、ポリ酪酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ソフトナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、架橋されたポリビニルピロリドン、ポリトリフルオロクロロエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ(1,4−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート)、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−フマル酸ジエチル共重合体、シリコーンゴム(特に医薬等級のもの)ポリジメチルシロキサン、エチレン−プロピレンゴム、シリコーン−カーボネート共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体及び塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体が挙げられるがこれらに限られない。
【0067】
本発明の化合物を含有する系は、外科的切開口付近、軟組織付近の部位、又はその双方に直接移植できる。本発明のいくつかの実施態様では、本発明の化合物を一以上の重合体ビヒクルと併用するのが望ましいことがある。そのような重合体ビヒクルは、生理学的に許容され得るいかなる重合体であっても良く、例えば生分解性又は非生分解性重合体でもよい。
【0068】
本発明の組成物に使用可能な重合体としては、本発明の化合物が透過可能であるか、又は生分解性であるために本発明の化合物を徐放方式で放出する生物学的に許容され得るいかなる重合体が挙げられる。本発明の好ましい実施態様では、上記重合体は、それが重合体からの本発明の化合物の放出速度における主要な速度決定因子にならないような透過性を有する。本発明のいくつかの実施態様では、上記重合体は、非生分解性である。本発明に使用可能な非生分解性重合体の例として、ポリビニルアルコール及びポリウレタンが挙げられる。本発明のその他の実施態様では、重合体は生分解性である。本発明に役立つ生分解性重合体の例として、ポリ無水物、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリアルキルシアノアクリレート、又はそれらの誘導体及び共重合体が挙げられる。当業者であれば、上記重合体の生分解性又は非生分解性の選択が、系の最終的な物理学的形態に依存することを認識できるが、より詳しくは下記に記載される。その他の例示的な重合体としては、ポリシリコーン、及びヒアルロン酸から誘導される重合体が挙げられる。当業者であれば、上記重合体が、それが重合体からの低溶解性薬物の放出における主要な速度決定因子にならないような透過性を付与するのに適した条件下で製造されることを当然に理解できる。
【0069】
上記に加えて、適切な重合体として、天然に産する材料(例えばコラーゲン又はヒアルロン酸)、又は体液及び哺乳動物組織との生体適合性を有し、上記重合体が接触することになる体液に本質的に不溶である合成材料が挙げられる。又、適切な重合体は、上記重合体中に分散/懸濁させた低溶解性薬物と、体液中のタンパク質性成分との相互作用を本質的に妨げる。体液に迅速に溶解する重合体、又は非常に可溶性に富む重合体であり、低溶解性薬物とタンパク質性成分との相互作用を許すものの使用は、重合体の溶解、又はタンパク質性成分との相互作用が薬物放出の定常性に影響することになるため、回避しなければならない。
【0070】
その他の適切な重合体として、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン−酢酸ビニル(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド、ポリカルボン酸、ポリアルキルアクリレート、セルロースエーテル、ポリアルキル−アルキルアクリレート共重合体、ポリエステル−ポリウレタンブロック共重合体、ポリエーテル−ポリウレタンブロック共重合体、ポリジオキサノン、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸及びPEO−PLA共重合体が挙げられる。
【0071】
更に適切な重合体は、米国特許第6051576号明細書(引用によって組み込まれる)に記載されている。
【0072】
本発明の一以上の実施態様の詳細を、説明と共に上記で記載した。本明細書に記載されたものと類似するか、又は等価であるいかなる方法及び材料も、本発明の実施又は試験に用いることができるが、ここでは好適な方法及び材料を記載する。本発明のその他の特徴及び利点は、記載及びクレームから明白である。明細書及び付記されたクレーム中、文脈が別途明示しない限り、単数形は、複数の指示対象を含む。別途規定されない限り、本明細書に用いられる技術的学術的用語は、すべて、本発明が属する業界の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用された特許及び刊行物は、すべて、引用によって組み込まれる。
【0073】
以下の実施例は、本発明の好適実施態様をより充分に例示するために提示される。これらの実施例は、付記されたクレームによって規定されるとおりであって、本発明の対象範囲をいかなる方途でも限定すると解されてはならない。
【0074】
当業者であれば、ここに示す化合物及び方法とそれらの使用と実質的に同一のものが多量にあることを、認識することができ、実験を要さずとも確かめることができる。そのような同一のものも本発明の範囲に属し、本願の特許の請求の範囲によりカバーされる。また当業者であれば、ここの述べた実施形態例の組み合わせのすべてが本発明の範囲に属することも当然に認識できる。
【0075】
実施例1:フォシノプリルとシンバスタチンまたはロバスタチンとの組み合わせ(図3):
フォシノプリルとシンバスタチンのコドラッグ
フォシノプリル(74mg)、EDCl(24mg)、及び触媒量のDMAPを、0〜5℃の無水ジクロロメタン2mlにアルゴン下で溶解した。15分後、シンバスタチン(44mg)を加え、得られた溶液を、氷浴中で15分間、次いで、室温で一晩撹拌した。反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、次いで重炭酸ナトリウム水溶液、水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒の蒸発によって、無色の油を得て、これを、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)によって精製した。クロマトグラフィーによる精製により、純粋な生成物40mgを得た。
1H-NMR (CDCl3)データ、0.88 (t, 3H), 1.20 (m, 9H), 1.22 (m, 6H), 3.30-3.60 (bm, 1H), 4.48 (m, 1H), 4.57 (m, 1H), 5.32 (m, 1H), 5.42 (m, 1H), 5.58 (m, 1H), 5.84 (m, 1H)5 6.05 (d, 1H), 6.40 (dd, 1H), 7.22 (m, 5H)。
【0076】
フォシノプリルとシンバスタチンのコドラッグ
0〜2℃の無水ジクロロメタン7ml中のフォシノプリル(320mg)の攪拌溶液に、EDCl(133mg)、及びDMAP(5mg)を添加した。4分後、ロバスタチン(135mg)を加え、得られた溶液を、氷浴中で5時間攪拌し、次いで、冷蔵庫で一晩置いた。溶液は揮発し、乾燥し、残留物を酢酸エチル溶解した。有機溶媒を水、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を揮発させ、413mgの無色の油上の物質を得た。それをシリカゲルの短いカラムに通し精製し、300mgのコドラッグを得た。
1H-NMR (CDCl3)データ、3.29 (m, 1H), 3.50 (m, 1H), 3.87 (t, 1H), 4.47 (m, 2H), 5.24 (m, 1H), 5.38 (m, 1H), 5.53 (m, 1H), 5.78 (m, 1H), 5.99 (m, 1H), 6.32 (dd, 1H), 7.16 (m, 2H), 7.26 (m, 3H)。
【0077】
上記の実施例は、本発明の好適実施態様をより充分に例示するために提示される。これらの実施例は、付記されたクレームによって規定されるとおりであって、本発明の対象範囲をいかなる方途でも限定すると解されてはならない。
【0078】
当業者であれば、ここに示す化合物及び方法とそれらの使用と実質的に同一のものが多量にあることを、認識することができ、実験を要さずとも確かめることができる。そのような同一のものも本発明の範囲に属し、本願の特許の請求の範囲によりカバーされる。また当業者であれば、ここの述べた実施形態例の組み合わせのすべてが本発明の範囲に属することも当然に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の図式である。
【図2】HMGCoA還元酵素インヒビター間の構造の類似性を示す図式である[Istvan, E.S. & Deisenhofer, J., Science 292: 1160-64 (2001)より]。HMG成分を点線の四角によって示し、HMGCoAのKm値を示す。この図に示していないのは、ロバスタチン(1型HMGCoA還元酵素インヒビター)及びプロバスタチン(2型HMGCoA還元酵素インヒビター)である。
【図3】フォシノプリル及びシンバスタチンに関する反応スキームの図式である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に不安定な結合を介して第二薬理学的成分に共有結合した第一薬理学的成分を含む化合物であって、
(a)第一薬理学的成分が、HMGCoA還元酵素インヒビター、又はHMGCoA還元酵素インヒビターのプロドラッグであり、
(b)第二薬理学的成分が、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、又はアンジオテンシン変換酵素インヒビターのプロドラッグである
化合物、又はその塩。
【請求項2】
生理学的流体と接触したときに分解して、HMGCoA還元酵素インヒビター及びアンジオテンシン変換酵素インヒビターを形成する請求項1記載の化合物。
【請求項3】
第一薬理学的成分が、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン及びロスバスタチンから選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項4】
第二薬理学的成分が、テルミサルタン、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、シレキセチル及びその他のアンジオテンシン変換酵素インヒビターから選ばれる請求項1記載の化合物。
【請求項5】
第一薬理学的成分及び第二薬理学的成分を等モル量で含有する請求項1記載の化合物。
【請求項6】
第一薬理学的成分が、アミド、カルボナート、カルバマート、エーテル、エステル、スルホナート及びスルファマート結合から選ばれる一以上の生理学的に不安定な共有結合を介して第二薬理学的成分に共有結合された請求項1記載の化合物。
【請求項7】
無機酸塩、カルボン酸塩又はアミノ酸塩である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
第一薬理学的成分と第二薬理学的成分との共有結合の切断の際に、活性薬物が再生される請求項1記載の化合物。
【請求項9】
第一薬理学的成分と第二薬理学的成分との共有結合の切断の際に、プロドラッグが生成される請求項1記載の化合物。
【請求項10】
第一薬理学的成分と第二薬理学的成分との共有結合の切断の際に、活性代謝産物が生成される請求項1記載の化合物。
【請求項11】
注射可能な形態である請求項1記載の化合物。
【請求項12】
注射可能な形態がリポソーム、懸濁液、ミクロスフィア又はナノ粒子から選ばれる請求項11記載の組成物。
【請求項13】
固体状形態である請求項1記載の化合物。
【請求項14】
全身投与用形態である請求項1記載の化合物。
【請求項15】
カプセル剤、錠剤及びゲルキャップ剤から選ばれる請求項14記載の化合物。
【請求項16】
局所投与用形態である請求項1記載の化合物。
【請求項17】
局所投与用形態が経皮貼布剤、軟膏、クリーム剤、懸濁液、液剤、エリキシル剤及び点眼剤から選ばれる請求項16記載の化合物。
【請求項18】
移植可能なデバイスに固定される請求項1記載の化合物。
【請求項19】
移植可能なデバイスに被膜される請求項1記載の化合物。
【請求項20】
生分解性送達ビヒクルをさらに含む請求項1記載の化合物。
【請求項21】
非生分解性送達ビヒクルをさらに含む請求項1記載の化合物。
【請求項22】
心血管疾患を治療する方法であって、心血管疾患に罹患した個体に、生理学的に不安定な結合を介して第二薬理学的成分に共有結合した第一薬理学的成分を含み、
(a)第一薬理学的成分が、HMGCoA還元酵素インヒビター、又はHMGCoA還元酵素インヒビターのプロドラッグであり、
(b)第二薬理学的成分が、アンジオテンシン変換酵素インヒビター又はアンジオテンシン変換酵素インヒビターのプロドラッグである、
薬学的有効量の化合物又はその塩を投与する段階を含む方法。
【請求項23】
個体が哺乳類である請求項22記載の方法。
【請求項24】
個体が人間である請求項22記載の方法。
【請求項25】
化合物を、注射、吸入、移植、鼻内スプレーとして適用、直腸に適用、膣内に適用、経口摂取、及び局所適用から選ばれる方法によって投与する請求項22記載の方法。
【請求項26】
(a)生理学的に不安定な結合を介して第二薬理学的成分に共有結合した第一薬理学的成分を含む化合物又はその塩;ただし
(i)第一薬理学的成分が、HMGCoA還元酵素インヒビター、又はHMGCoA還元酵素インヒビターのプロドラッグであり、
(ii)第二薬理学的成分が、アンジオテンシン変換酵素インヒビター又はアンジオテンシン変換酵素インヒビターのプロドラッグである
および
(b)マトリックス中に上記化合物が存在する重合体マトリックス、
を含む製造品。
【請求項27】
上記化合物が、生理学的条件下での重合体マトリックスからの拡散速度が、重合体マトリックスの透過性によって律速されない請求項26記載の製造品。
【請求項28】
化合物が生理学的条件下のpHと接触したときに分解して、第一薬理学的成分に対応する第一の化合物及び第二薬理学的成分に対応する第二の化合物を形成する請求項26記載の製造品。
【請求項29】
ポリマーが生分解性ポリマーである請求項26記載の製造品。
【請求項30】
ポリマーが非生分解性ポリマーである請求項26記載の製造品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−503075(P2009−503075A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525049(P2008−525049)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029331
【国際公開番号】WO2007/016306
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(501224877)シヴィダ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】