説明

ICカード

【課題】製造が容易な、静電対策が施されたICカードを提供する。
【解決手段】ICカード100は、矩形の枠状のフレーム1、電子部品を実装するプリント基板2、板状のコネクタ3、及び一対の導電性のシェル板41・42を備える。プリント基板2は、フレーム1の内部に配置される。コネクタ3は、フレーム1の1辺を構成する。一対のシェル板41・42は、フレーム1及びコネクタ3を両面から覆う。コネクタ3は、ハウジング31、複数のおすコンタクト32、及び第1短絡端子33を有する。おすコンタクト32は、ハウジング31の内部に並設配置される。又、おすコンタクト32は、その一端部が外部端子に接続し、その他端部がプリント基板2に接続する。第1短絡端子33は、ハウジング31に装着され、その一端部がおすコンタクト32に接触し、その他端部がシェル板42の内壁に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに関する。特に、コンピュータに設けられたスロットに接続するCFastなどのICカードの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)の機能を拡張するために、マイコンを搭載するプリント基板にコネクタを付加した拡張カードがPCの拡張スロットに接続される。CFastカードは、PC用に規格された拡張カードの一種であり、PCに接続して高速通信を実現している。
【0003】
CFastカードは、ICカードの一種ではあるが、マイコンを搭載するプリント基板を剛体のフレームに収容している。したがって、CFastカードは、メモリチップをプラスチックのパッケージに封止したメモリカードとは異なるマイコンカードに分類できる。又、近年では、キーボードを備えるCFastカードが出現しており、CFastカードは、多機能カードに分類することもできる。
【0004】
このようなICカードは、外部からの静電気によって、プリント基板に搭載した電子部品を静電破壊させるおそれがあるので、静電気対策を施す必要がある。したがって、信頼性の高い静電気対策が実行されるICカードの構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1によるICカードは、プリント基板、コネクタ、及び2枚の平面状の導電板を備えている。プリント基板は、電子部品を搭載している。コネクタは、コネクタフレーム内に所定数のコネクタピンを配列し、プリント基板に取付けられている。又、コネクタは、コネクタピンの内のグラウンドピンがプリント基板のグラウンドパターンに接続されている。一対の導電板は、コネクタフレームの上面及び下面に当接配置されている。
【0006】
そして、特許文献1によるICカードは、グラウンドピンと対応するコネクタフレームの上下に導電板側に向けて貫通した貫通部をそれぞれ形成している。又、グラウンドピンの上下に突出片を設け、各突出片を貫通部にそれぞれ通してコネクタフレームの外表面より各導電板側に向けて突出している。そして、導電板でコネクタフレームの上下両面を挟むことにより、各突出片を貫通部内に押圧変形させ各導電板とそれぞれ弾接している。
【0007】
特許文献1によるICカードは、製造ライン上の部材や導電板などに対してコネクタフレームがストッパ部材として機能する。そのため、導電板や他の部材などがグラウンドピンの突出部を押圧しても、それが最終的にはコネクタフレームの外表面に当接したところで、それ以上グラウンドピンの突出部を押圧変形することが阻止される。したがって、グラウンドピンの突出部が過度に変形することがなく、どのICカードもグラウンドピンと導電板の接触が良好に維持され、静電気対策の信頼性が向上する、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3167416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1によるICカードは、グラウンドピンが「おすコンタクト」の挿入を容易にする箱状のリードイン(lead−in)を有する「めすコンタクト」となっている。そして、グラウンドピンは突出片を設けている。
【0010】
通常、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して箱状の「めすコンタクト」を製造する。そして、この「めすコンタクト」を連鎖して製造し、「連鎖状コンタクト」とすれば、大量生産が可能となり、自動実装も容易となる。
【0011】
しかし、連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるので、特許文献1に開示されたグラウンドピンのように突出片を設けると、リールに巻かれた状態、又は移送中に、この突出片が変形するおそれがある。つまり、グラウンドピンの突出片が変形すると、グラウンドピンをコネクタフレームに正確に組み込むことが困難になる。
【0012】
ここで、コネクタピン(コンタクト)及びグラウンドピンを共通の「連鎖状コンタクト」で構成して製造を容易とし、静電対策が施されたICカードが実現できれば、ICカードの製造原価を引き下げることに寄与できる。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、静電対策が施されたICカードであって、製造が容易なICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者らは、上記目的を達成するため、グラウンドピンを設けることなく、コンタクトを全て連鎖状コンタクトで構成し、任意のコンタクトと導電板(シェル板)とを接続する短絡端子を設けることにより、上記の課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たなICカードを発明するに至った。
【0015】
(1) 1辺を開口する矩形の枠状のフレームと、このフレームの内部に配置されて電子部品を実装するプリント基板と、前記フレームの1辺を構成する板状のコネクタと、前記フレームを両面から覆い、外殻を構成する一対の導電性のシェル板と、を備え、前記コネクタは、前記一対のシェル板で両面が覆われるハウジングと、このハウジングの内部に並設配置されるおすコンタクトであって、一端部が外部端子に接続し、他端部が前記プリント基板に接続する複数のおすコンタクトと、前記ハウジングに装着されて、前記おすコンタクトの中間部に一端部が接触し、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に他端部が接触する一つ以上の第1短絡端子と、を有するICカード。
【0016】
(1)の発明によるICカードは、矩形の枠状のフレーム、プリント基板、板状のコネクタ、及び一対の導電性のシェル板を備えている。フレームは、1辺を開口している。プリント基板は、フレームの内部に配置されており、電子部品を実装している。コネクタは、フレームの1辺を構成している。一対のシェル板は、フレームを両面から覆い、ICカードの外殻を構成している。
【0017】
そして、コネクタは、ハウジング、複数のおすコンタクト、及び一つ以上の第1短絡端子を有している。ハウジングは、一対のシェル板で両面が覆われている。おすコンタクトは、ハウジングの内部に並設配置されている。又、おすコンタクトは、その一端部が外部端子に接続し、その他端部がプリント基板に接続している。第1短絡端子は、ハウジングに装着されており、その一端部がおすコンタクトの中間部に接触し、その他端部が一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に接触している。
【0018】
ここで、フレームは、絶縁性を有することが好ましく、絶縁性のフレームとは、非導電性の材料からなるフレームのことであってよく、合成樹脂を成形して、所望の形状の絶縁性のフレームを得ることができる。フレームは、単体のフレームに限定されない。一対のフレームを重ね合わせて結合する、1辺を開口したフレームも本発明のフレームに含まれる。1辺を開口したフレームとは、1辺が部分的に断絶していることを意味している。
【0019】
プリント基板は、フレーム、コネクタ、及び一対の導電性のシェル板で囲われた空間に配置されてよく、挿入、保持、収納などによりフレームの内部に配置される。例えば、複数のおすコンタクトの他端部をプリント基板に設けられたエッジコネクタ(プリントコンタクトともいう)に「はんだ接合」してよく、これにより、プリント基板をフレームの内部に固定できる。電子部品は、プリント基板の片面に表面実装されることが好ましく、実装高さの低い電子部品を選定すれば、ICカードを薄型化できる。
【0020】
コネクタはフレームの1辺を構成するとは、コネクタがフレームに組み込まれてICカードの外枠が構成されることを意味している。更に、一対のシェル板がフレーム及びコネクタを覆うことにより、ICカードの外殻が構成される。コネクタはフレームの1辺を連結してもよく、一対のシェル板がフレーム及びコネクタを覆うことにより、コネクタとフレームが連結してもよく、剛体のフレームを実現できる。
【0021】
一対の導電性のシェル板は、板厚の薄い金属板からなることが好ましく、両翼が直角に屈折されてフレームの板厚面に係止してもよく、フレームの両面に係止してもよく、プリント基板の両面を覆うと共に、コネクタとフレームとを機械的に結合している。これらのシェル板は、ICカードの外殻を構成してよく、不要な電磁波を遮蔽するシールド板としても機能する。
【0022】
一対のシェル板は、防錆効果のあるステンレス板が好適に用いられてよく、例えば、クロームメッキが施された鋼板であってもよい。又、一対のシェル板は、それの内壁がプリント基板のパターン面(配線面)に短絡しないように、部分的に絶縁性のシール膜を貼着してもよい。
【0023】
おすコンタクトはハウジングの内部に並設配置されるとは、おすコンタクトを近接させて一列に揃え、ハウジングの内部に並べて配置することを意味している。又、おすコンタクトをハウジングの内部に2列に並設配置する形態も本発明に含まれる。
【0024】
例えば、おすコンタクトは、伸長するピンコンタクトであってもよく、帯状に伸長する板コンタクトが好ましく用いられる。そして、複数の板コンタクトが露出することを物理的に防止するために、矩形に開口するシュラウド(隔壁)をハウジングに設けてよく、このシュラウドに板コンタクトの一端部が配置される。
【0025】
板コンタクトの中間部には、バーブ(barb:刺)を設けてよく、ハウジングに圧入して板コンタクトを固定できる。板コンタクトはハウジングと一体成型してもよい。板コンタクトの他端部は、ハウジングから突出するリード部を設けてよく、プリント基板に設けられたエッジコネクタに「はんだ接合」できる。
【0026】
このような板コンタクトは、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して製造することが容易であり、「連鎖状コンタクト」とすることも容易である。又、この連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるが突起物を有していないので、変形の可能性が低いという利点がある。
【0027】
ハウジングは、第1短絡端子が収容可能な収容室を設けてよく、この収容室が所定のおすコンタクトの近傍に設けられる。そして、一方の方向から第1短絡端子が収容室に挿入されて装着される。
【0028】
第1短絡端子は、導通を有してよく、導通を有する短絡端子とは、導電性の材料からなる短絡端子のことであってよく、短絡端子は、金属板を成形して、所望の形状の接続具を得ることができる。短絡端子は、導電性を有して成形容易な銅合金からなることが好ましいが、銅合金に限定されない。
【0029】
例えば、第1短絡端子は、後述するクランク形の接続板であってよく、一端部となる第1接触片をおすコンタクトの中間部に接触できる。又、他端部となる第2接触片は、その一部がハウジングから僅かに突出してよく、ハウジングにシェル板を組み込むことにより、シェル板の内壁に接触できる。
【0030】
ICカードは一つ以上の第1短絡端子を備えるとは、第1短絡端子が任意のおすコンタクトに接触できることを意味している。又、任意のおすコンタクトとは、このおすコンタクトがグラウンド端子であることを意味している。ハウジングは、任意のおすコンタクトの近傍に第1短絡端子を装着してよく、任意のおすコンタクトはこのICカードの用途によって、選択できる。
【0031】
(1)の発明によるICカードは、複数のおすコンタクトの内の任意のおすコンタクトをグラウンド端子としてよく、このグラウンド端子が第1短絡端子を介して、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に接触している。
【0032】
又、グラウンド端子は、プリント基板のグラウンドパターンに接続してよく、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板は、第1短絡端子、グラウンド端子を介して電気的に接続されて静電気対策が施される。又、このICカードを外部端子に接続すると、グラウンド端子を介して外部端子が接地されて、電荷を逃がすことができる。
【0033】
このように、(1)の発明によるICカードは、グラウンド端子となる、おすコンタクトと一方のシェル板とを電気的に接続する第1短絡端子を設けているので、静電気対策が施されたICカードを提供できる。
【0034】
(1)の発明によるICカードのおすコンタクトは、帯状に伸長する板コンタクトが好ましく用いられてよく、このような板コンタクトは、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して製造することが容易であり、「連鎖状コンタクト」とすることも容易である。又、この連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるが、従来のように突起物を有していないので、変形の可能性が低いという利点がある。
【0035】
(2) 1辺を開口する矩形の枠状のフレームと、このフレームの内部に配置されて電子部品を実装するプリント基板と、前記フレームの1辺を構成する板状のコネクタと、前記フレームを両面から覆い、外殻を構成する一対の導電性のシェル板と、を備え、前記コネクタは、前記一対のシェル板で両面が覆われるハウジングと、このハウジングの内部に並設配置されるおすコンタクトであって、一端部が外部端子に接続し、他端部が前記プリント基板に接続する複数のおすコンタクトと、前記ハウジングに装着されて、隣接し合う一組の前記おすコンタクトの中間部に一端部が接触し、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に他端部が接触する一つ以上の第2短絡端子と、を有するICカード。
【0036】
(2)の発明によるICカードは、矩形の枠状のフレーム、プリント基板、板状のコネクタ、及び一対の導電性のシェル板を備えている。フレームは、1辺を開口している。プリント基板は、フレームの内部に配置されており、電子部品を実装している。コネクタは、フレームの1辺を構成している。一対のシェル板は、フレームを両面から覆い、ICカードの外殻を構成している。
【0037】
そして、コネクタは、ハウジング、複数のおすコンタクト、及び一つ以上の第2短絡端子を有している。ハウジングは、一対のシェル板で両面が覆われている。おすコンタクトは、ハウジングの内部に並設配置されている。又、おすコンタクトは、その一端部が外部端子に接続し、その他端部がプリント基板に接続している。第2短絡端子は、ハウジングに装着されており、その一端部が隣接し合う一組の前記おすコンタクトの中間部に接触し、その他端部が一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に接触している。
【0038】
例えば、第2短絡端子は、後述するベローズ形のコンタクトであってよく、一端部となる一対の第3接触片を隣接し合う一組のおすコンタクトの中間部に接触できる。又、他端部となる第4接触片は、その先端部がハウジングから僅かに突出してよく、ハウジングにシェル板を組み込むことにより、シェル板の内壁に弾性的に接触できる。
【0039】
(2)の発明によるICカードは、複数のおすコンタクトの内の任意の隣接し合う一組のおすコンタクトをグラウンド端子としてよく、これらのグラウンド端子が第2短絡端子を介して、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に接触している。
【0040】
又、一組のグラウンド端子は、プリント基板のグラウンドパターンに接続してよく、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板は、第2短絡端子、一組のグラウンド端子を介して電気的に接続されて静電気対策が施される。又、このICカードを外部端子に接続すると、一組のグラウンド端子を介して外部端子が接地されて、電荷を逃がすことができる。
【0041】
このように、(2)の発明によるICカードは、一組のグラウンド端子となる、おすコンタクトと一方のシェル板とを電気的に接続する第2短絡端子を設けているので、静電気対策が施されたICカードを提供できる。
【0042】
(2)の発明によるICカードのコンタクトは、帯状に伸長する板コンタクトが好ましく用いられてよく、このような板コンタクトは、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して製造することが容易であり、「連鎖状コンタクト」とすることも容易である。又、この連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるが、従来のように突起物を有していないので、変形の可能性が低いという利点がある。
【0043】
(3) 前記第1短絡端子は、前記おすコンタクトの伸長方向と略平行に前記ハウジングに圧入する第1圧入板と、この第1圧入板の一方の片翼を屈折して、前記おすコンタクトの中間部に先端部が接触する第1接触片と、前記第1圧入板の他方の片翼を屈折して、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に先端部が接触する第2接触片と、を有する(1)記載のICカード。
【0044】
(3)の発明によるICカードは、第1短絡端子が第1圧入板と第1及び第2接触片を有している。第1圧入板は、おすコンタクトの伸長方向と略平行に、ハウジングに圧入されている。第1接触片は、第1圧入板の一方の片翼を屈折しており、おすコンタクトの中間部に先端部が接触している。第2接触片は、第1圧入板の他方の片翼を屈折しており、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に先端部が接触している。
【0045】
ここで、ハウジングは、第1圧入板が圧入される第1圧入溝をおすコンタクトが圧入される貫通穴の直下に設けてよく、この第1圧入溝と貫通穴を連通して第1接触片が挿入される第1溝を設けてよく、この第1圧入溝に連通して外壁に開口する第2溝に第2接触片を挿入してよく、実態としてクランク状の溝に第1短絡端子を挿入できる。
【0046】
(3)の発明によるICカードは、グラウンド接続が必要な極に第1短絡端子を予め挿入しておき、複数のおすコンタクトを一括して挿入することもできる。つまり、おすコンタクトの自動実装が可能となる。このように、(3)の発明によるICカードは、組み立てが容易である。
【0047】
(4) 前記第2短絡端子は、前記おすコンタクトの伸長方向と略平行に前記ハウジングに圧入する第2圧入板と、この第2圧入板の両翼を屈折して、隣接し合う一組の前記おすコンタクトの中間部に先端部が接触する一対の第3接触片と、前記第2圧入板の一端縁をJ字状に反転して、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に弾性的に先端部が接触する第4接触片と、を有する(2)記載のICカード。
【0048】
(4)の発明によるICカードは、第2短絡端子が第2圧入板、一対の第3接触片、及び第4接触片を有している。第2圧入板は、おすコンタクトの伸長方向と略平行に、ハウジングに圧入されている。一対の第3接触片は、第2圧入板の両翼を屈折しており、隣接し合う一組のおすコンタクトの中間部に先端部が接触している。第4接触片は、第2圧入板の一端縁をJ字状に反転しており、一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に先端部が弾性的に接触している。
【0049】
ここで、ハウジングは、第2圧入板が圧入される第2圧入溝を隣接し合う一組のおすコンタクトが圧入される一対の貫通穴の直下に設けてよく、この第2圧入溝と一対の貫通穴を連通して一対の第3接触片が挿入される一対の第3溝を設けてよく、この第2圧入溝に連通して外壁に開口する第4溝に第4接触片を挿入してよく、実態として二股に分岐した溝に第2短絡端子を挿入できる。
【0050】
(4)の発明によるICカードは、グラウンド接続が必要な一対の極に第2短絡端子を予め挿入しておき、複数のおすコンタクトを一括して挿入することもできる。つまり、おすコンタクトの自動実装が可能となる。(4)の発明によるICカードは、組み立てが容易であり、一つの第2短絡端子で一対の極をグラウンド接続できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によるICカードは、グラウンド端子となる、おすコンタクトと一方のシェル板とを電気的に接続する短絡端子を設けているので、静電気対策が施されたICカードを提供できる。
【0052】
又、本発明によるICカードのコンタクトは、帯状に伸長する板コンタクトが好ましく用いられてよく、このような板コンタクトは、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して製造することが容易であり、「連鎖状コンタクト」とすることも容易である。又、この連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるが、従来のように突起物を有していないので、変形の可能性が低いという利点がある。
【0053】
更に、本発明によるICカードは、グラウンド接続が必要な極に短絡端子を予め挿入しておき、複数のおすコンタクトを一括して挿入することもできる。つまり、おすコンタクトの自動実装が可能となる。このように、本発明によるICカードは、組み立てが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態によるICカードの外観を示す斜視図である。
【図2】前記第1実施形態によるICカードの外観を示す斜視図であり、図1と異なる方向からICカードを観ている。
【図3】前記第1実施形態によるICカードの斜視分解組立図である。
【図4】前記第1実施形態によるICカードの斜視分解組立図であり、図3と異なる方向からICカードを観ている。
【図5】前記第1実施形態によるICカードのコネクタに備わるハウジング及び第1短絡端子の外観を示す斜視図である。
【図6】前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの要部を縦断面で示す斜視図である。
【図7】前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの外観を示す斜視図である。
【図8】前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの斜視分解組立図である。
【図9】本発明の第2実施形態によるICカードのコネクタに備わるハウジング及び第2短絡端子の外観を示す斜視図である。
【図10】前記第2実施形態によるICカードに備わるコネクタの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0056】
図1は、本発明の第1実施形態によるICカードの外観を示す斜視図である。図2は、前記第1実施形態によるICカードの外観を示す斜視図であり、図1と異なる方向からICカードを観ている。図3は、前記第1実施形態によるICカードの斜視分解組立図である。図4は、前記第1実施形態によるICカードの斜視分解組立図であり、図3と異なる方向からICカードを観ている。
【0057】
図5は、前記第1実施形態によるICカードのコネクタに備わるハウジング及び第1短絡端子の外観を示す斜視図である。図6は、前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの要部を縦断面で示す斜視図である。図7は、前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの外観を示す斜視図である。図8は、前記第1実施形態によるICカードに備わるコネクタの斜視分解組立図である。
【0058】
図9は、本発明の第2実施形態によるICカードのコネクタに備わるハウジング及び第2短絡端子の外観を示す斜視図である。図10は、前記第2実施形態によるICカードに備わるコネクタの外観を示す斜視図である。
【0059】
[第1実施形態]
最初に、本発明の第1実施形態によるICカードの構成を説明する。図1から図4を参照すると、第1実施形態によるICカード100は、矩形の枠状のフレーム1、プリント基板2、板状のコネクタ3、及び一対の導電性のシェル板41・42を備えている。
【0060】
図1から図4を参照すると、フレーム1は、1辺を開口している。プリント基板2は、フレーム1の内部に配置されており、図示しない電子部品を実装している。コネクタ3は、フレーム1の1辺を構成している。一対のシェル板41・42は、フレーム1を両面から覆い、ICカード100の外殻を構成している。
【0061】
図5から図8を参照すると、コネクタ3は、ハウジング31、複数のおすコンタクト32、及び第1短絡端子33を有している。ハウジング31は、一対のシェル板41・42で両面が覆われている(図1及び図2参照)。
【0062】
図5から図8を参照すると、おすコンタクト32は、ハウジング31の内部に並設配置されている。又、おすコンタクト32は、その一端部が図示しない外部端子に接続し、その他端部がプリント基板2に接続している(図2参照)。第1短絡端子33は、ハウジング31に装着されており、その一端部がおすコンタクト32の中間部に接触し、その他端部がシェル板42の内壁に接触している。
【0063】
図1から図4を参照すると、フレーム1は、略平行に延びる一対の枠板1a・1b、及び一対の枠板1a・1bの基端部同士を結合する枠板1cで構成している。そして、一対の枠板1a・1bの先端部がコネクタ3の両翼に嵌合して、ICカード100の外枠を構成している。更に、一対のシェルがフレーム1及びコネクタ3を覆うことにより、ICカード100の外殻を構成している。
【0064】
図1から図4を参照すると、一対の導電性のシェル板41・42は、板厚の薄い金属板が成形されている。又、一対のシェル板41・42は、それらの両翼が直角に屈折されている。一対のシェル板41・42は、フレーム1及びコネクタ3の板厚面に断続的に係止しており、フレーム1及びコネクタ3の両面にも断続的に係止している。
【0065】
図1から図4を参照すると、一対のシェル板41・42は、プリント基板2の両面を覆うと共に、コネクタ3とフレーム1とを機械的に結合している。一対のシェル板41・42は、ICカード100の外殻を構成してよく、不要な電磁波を遮蔽するシールド板としても機能している。
【0066】
図3及び図4を参照すると、実施の形態では、一対のシェル板41・42は、防錆効果のあるステンレス板を用いているが、例えば、クロームメッキが施された鋼板であってもよい。又、一対のシェル板41・42は、それの内壁がプリント基板2のパターン面に短絡しないように、部分的に絶縁性のシール膜4a・4bを貼着している。
【0067】
図6及び図8を参照すると、おすコンタクト32は、帯状に伸長する板コンタクトを用いている。そして、図1及び図2を参照すると、複数のおすコンタクト32が露出することを物理的に防止するために、矩形に開口する一組のシュラウド31a・31bをハウジング31に設けている。一組のシュラウド31a・31bにおすコンタクト32の一端部が並設配置されている。
【0068】
図8を参照すると、おすコンタクト32の中間部には、バーブ32vを設けている。したがって、おすコンタクト32をハウジング31に圧入すると、バーブ32vがハウジング31の内部を突き破って、おすコンタクト32をハウジング31に固定できる。
【0069】
図6及び図7を参照すると、おすコンタクト32の他端部は、ハウジング31から突出するリード部32rを設けている。そして、プリント基板2に設けられたエッジコネクタ2eにリード部32rを「はんだ接合」することにより、コネクタ3にプリント基板2を固定できる。
【0070】
図5及び図6を参照すると、第1短絡端子33は、第1圧入板330、第1接触片331、及び第2接触片332を有している。第1圧入板330は、おすコンタクト32の伸長方向と略平行に、ハウジング31に圧入されている。第1接触片331は、第1圧入板330の一方の片翼を屈折しており、おすコンタクト32の中間部に先端部が接触している。第2接触片332は、第1圧入板330の他方の片翼を屈折しており、シェル板42の内壁に先端部が接触している。
【0071】
図5及び図6を参照すると、ハウジング31は、おすコンタクト32が圧入される貫通穴31hを設けている。又、ハウジング31は、第1圧入板330が圧入される第1圧入溝300を貫通穴31hの直下に設けている。ハウジング31は、第1圧入溝310と貫通穴31hを連通して、第1接触片331が挿入される第1溝311を設けている。更に、ハウジング31は、第1圧入溝310に連通してハウジング31の外壁に開口する第2溝312を設けており、第2溝312に第2接触片332を挿入でき、実態としてクランク状の溝に第1短絡端子33を挿入できる。
【0072】
次に、本発明の第1実施形態によるICカードの作用を説明する。
【0073】
本発明の第1実施形態によるICカード100は、複数のおすコンタクト32の内の任意のおすコンタクト32をグラウンド端子としてよく、このグラウンド端子が第1短絡端子33を介して、一対のシェル板41・42の内のシェル板42の内壁に接触している。
【0074】
又、グラウンド端子である、おすコンタクト32は、プリント基板2のエッジコネクタ2eを介してグラウンドパターンに電気的に接続されて静電気対策が施される。又、シェル板42は、第1短絡端子33、グラウンド端子であるおすコンタクト32を介して電気的に接続されて静電気対策が施される。ICカード100を例えば、PCに設けた外部端子に接続すると、グラウンド端子を介して外部端子が接地されて、電荷を逃がすことができる。
【0075】
このように、本発明の第1実施形態によるICカード100は、グラウンド端子となる、おすコンタクト32と一方のシェル板42とを電気的に接続する第1短絡端子33を設けているので、静電気対策が施されたICカードを提供できる。
【0076】
又、図6を参照すると、本発明の第1実施形態によるおすコンタクト32は、帯状に伸長する板コンタクトが好ましく用いられてよく、このような板コンタクトは、所定の形状に展開された金属板をプレス成形して製造することが容易であり、「連鎖状コンタクト」とすることも容易である。又、この連鎖状コンタクトは、リールに巻かれて製造されるが、従来のように突起物を有していないので、変形の可能性が低いという利点がある。
【0077】
更に、図8を参照すると、本発明の第1実施形態によるICカード100は、グラウンド接続が必要な極に第1短絡端子33を予め挿入しておき、複数のおすコンタクト32を一括して挿入することもできる。つまり、おすコンタクト32の自動実装が可能となる。このように、本発明によるICカードは、組み立てが容易である。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態によるICカードの構成を説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態の説明で用いた符号と同じ符号の構成品は、その作用を同一とするので説明を割愛する場合がある。又、図9及び図10に示されたハウジング34は、ハウジング31の第1短絡端子33の取り付け穴を第2短絡端子35の取り付け穴に変更しただけである。
【0079】
図9及び図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるICカードに備わるコネクタ3は、ハウジング34、複数のおすコンタクト32、及び第2短絡端子35を有している。ハウジング34は、一対のシェル板41・42で両面が覆われている(図1及び図2参照)。
【0080】
図9及び図10を参照すると、おすコンタクト32は、ハウジング34の内部に並設配置されている。又、おすコンタクト32は、その一端部が外部端子に接続し、その他端部がプリント基板2に接続している。第2短絡端子35は、ハウジングに装着されており、その一端部が隣接し合う一組のおすコンタクト32・32の中間部に接触し、その他端部がシェル板42の内壁に接触している(図1から図4参照)。
【0081】
図9及び図10を参照すると、第2短絡端子35は、第2圧入板350、一対の第3接触片353・353、及び第4接触片354を有している。第2圧入板350は、おすコンタクト32の伸長方向と略平行に、ハウジング34に圧入されている。
【0082】
図9及び図10を参照すると、一対の第3接触片353・353は、第2圧入板350の両翼を屈折しており、隣接し合う一組のおすコンタクト32・32の中間部に先端部が接触できる。第4接触片354は、第2圧入板350の一端縁をJ字状に反転しており、シェル板42の内壁に先端部が弾性的に接触できる。
【0083】
図9及び図10を参照すると、ハウジング31は、第2圧入板350が圧入される第2圧入溝340を隣接し合う一組のおすコンタクト32・32が圧入される一対の貫通穴31h・31hの直下に設けている。
【0084】
又、図9及び図10を参照すると、ハウジング34は、第2圧入溝340と一対の貫通穴31h・31hを連通して、一対の第3接触片353・353が挿入される一対の第3溝343・343を設けている。更に、ハウジング34は、第2圧入溝340に連通してハウジング34の外壁に開口する第4溝344を設けており、第4溝344に第4接触片354を挿入でき、実態として二股に分岐した溝に第2短絡端子35を挿入できる。
【0085】
次に、本発明の第2実施形態によるICカードの作用を説明する。
【0086】
図10を参照すると、本発明の第1実施形態によるICカードは、グラウンド接続が必要な一対の極に第2短絡端子35を予め挿入しておき、複数のおすコンタクト32を一括して挿入することもできる。つまり、おすコンタクト32の自動実装が可能となる。本発明の第1実施形態によるICカードは、組み立てが容易であり、一つの第2短絡端子35で一対の極をグラウンド接続できる。
【符号の説明】
【0087】
1 フレーム
2 プリント基板
3 コネクタ
31 ハウジング
32 おすコンタクト
33 第1短絡端子
41・42 一対のシェル板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1辺を開口する矩形の枠状のフレームと、
このフレームの内部に配置されて電子部品を実装するプリント基板と、
前記フレームの1辺を構成する板状のコネクタと、
前記フレームを両面から覆い、外殻を構成する一対の導電性のシェル板と、を備え、
前記コネクタは、
前記一対のシェル板で両面が覆われるハウジングと、
このハウジングの内部に並設配置されるおすコンタクトであって、一端部が外部端子に接続し、他端部が前記プリント基板に接続する複数のおすコンタクトと、
前記ハウジングに装着されて、前記おすコンタクトの中間部に一端部が接触し、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に他端部が接触する一つ以上の第1短絡端子と、を有するICカード。
【請求項2】
1辺を開口する矩形の枠状のフレームと、
このフレームの内部に配置されて電子部品を実装するプリント基板と、
前記フレームの1辺を構成する板状のコネクタと、
前記フレームを両面から覆い、外殻を構成する一対の導電性のシェル板と、を備え、
前記コネクタは、
前記一対のシェル板で両面が覆われるハウジングと、
このハウジングの内部に並設配置されるおすコンタクトであって、一端部が外部端子に接続し、他端部が前記プリント基板に接続する複数のおすコンタクトと、
前記ハウジングに装着されて、隣接し合う一組の前記おすコンタクトの中間部に一端部が接触し、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に他端部が接触する一つ以上の第2短絡端子と、を有するICカード。
【請求項3】
前記第1短絡端子は、
前記おすコンタクトの伸長方向と略平行に前記ハウジングに圧入する第1圧入板と、
この第1圧入板の一方の片翼を屈折して、前記おすコンタクトの中間部に先端部が接触する第1接触片と、
前記第1圧入板の他方の片翼を屈折して、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に先端部が接触する第2接触片と、を有する請求項1記載のICカード。
【請求項4】
前記第2短絡端子は、
前記おすコンタクトの伸長方向と略平行に前記ハウジングに圧入する第2圧入板と、
この第2圧入板の両翼を屈折して、隣接し合う一組の前記おすコンタクトの中間部に先端部が接触する一対の第3接触片と、
前記第2圧入板の一端縁をJ字状に反転して、前記一対のシェル板の内のいずれか一方のシェル板の内壁に弾性的に先端部が接触する第4接触片と、を有する請求項2記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−165176(P2010−165176A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6853(P2009−6853)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】