説明

LEDアレイを有する分光計

ここで提案されるのは、試験体(112)の少なくとも1つの光学特性を決定する装置(110)である。装置(110)には、上記の試験体(112)に励起光(122)を加える調整可能な励起光源(114;410)が含まれている。装置(110)にはさらに試験体(112)から出射される検出光(132,136;314)を検出する検出器(128,130;312)が含まれている。上記の励起光源(114;410)には発光ダイオードアレイ(114)が含まれており、これは、少なくとも一部分がモノリシック発光ダイオードアレイ(114)として構成されている。このモノリシック発光ダイオードアレイ(114)にはそれぞれ異なる発光スペクトルを有する少なくとも3つの発光ダイオード(426)が含まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験体の少なくとも1つの光学特性を決定する装置に関する。さらに本発明は、製品がブランド製品であるかまたはブランド製品の偽物であるかを識別する方法ならびに試験体の少なくとも1つの光学特性を決定する方法に関する。このような装置および方法は、一般に化学分析、環境分析、メディカルエンジニアリングまたは他の分野で使用される。本発明の殊に重点を置いているのは、製品剽窃に対する保護に使用される装置および方法である。
【0002】
従来技術からは、試験体の少なくとも1つの光学特性を決定する多数の装置が公知であり、これらの装置のほとんどは分光計の形態で実施されている。このような分光計は、ふつう調整可能な光ビームを形成する光源と、少なくとも1つの検出器とを有する。この少なくとも1つの検出器は、上記の試験体から反射され、散乱され、透過され、またはルミネセンスビーム(すなわち、りん光ビームおよび/またはけい光ビーム)の形態で放射された光を受光するように構成されている。試料体に入射する励起光をスペクトル的に調整する分光法が公知であり、また試料体から出射する光、例えば、透過光ビーム、けい光ビーム、りん光ビーム、反射ビームまたは散乱ビームをスペクトル的に分解して受光する分光法が公知である。
【0003】
上記によればこれらの分光計はふつうつぎのように構成される。すなわち、これらの分光計が、光学分離装置を有し、試料体に入射した励起光および/または試験体から出射した検出光がスペクトル的に分離されるように分光計が構成されるのである。例えば、白色光源を励起光源として使用することができ、ここではこの励起光の波長を変化させるために、上記の白色光源から出射される光をモノクロメータ(例えば、プリズムおよび/または光格子)によってそのスペクトル成分に分解し、つぎにこれらのスペクトル成分から所定の波長または波長領域を励起波長として選択して上記の試料体または試料体内に入射させるのである。入射波長を調整する上記のようなスペクトルは、励起スペクトルとも称されることも多い。
【0004】
同様に検出側において、上記の試料体から出射する検出光を光分離装置によってスペクトル的に分離して検出光スペクトルを記録することも可能である。
【0005】
しかしながら、上記の公知の分光計において光をスペクトル的に分解するために使用される上記の装置は、実際には極めて高価である。殊にプリズム分光計は大きなスペースを要し、また光格子によって動作する分光計も大きなスペースを要する。それは、信頼性の高い分離のためには、光ビームの最小伝搬距離ならびに適切なメカニズムが必要だからである。さらに上記のような光学分離装置は、実践的に極めて震動の影響を受けやすく、このため、例えば、移動式装置、例えば、ハンドヘルド装置での使用に適当ではない。
【0006】
上記のような分光計装置用の調整可能光源を提供する別の可能性は、光源それ自体を調整可能に構成することである。しかしながらこれまでに、調整可能な光源、すなわち、少なくとも2つの波長領域において選択的に光を放射できる光源はわずかしか知られていない。上記のような調整可能な光源の実際的に重要な例は、調整可能なレーザであり、これには種々異なる技術的な実施形態がある。例えば、所定の形態の固体レーザ、色素レーザおよびダイオードレーザは、ふつう限られた波長領域にわたって調整可能である。しかしながら上記の装置において不利であるのは、上記のように調整可能なレーザは、ふつう上記と同様に震動、電磁場の影響、温度の影響または汚れの影響を極めて受けやすいため、このようなレーザを動作させるためには極めて大きな技術的コストが必要であり、または励起ビームを調整可能な波長領域がふつうは大きく制限されてしまうことである。このような欠点によっても、ハンドヘルド装置用、殊にブランド剽窃を防ぐための上記の形態のハンドヘルド装置用の励起光源としてレーザは不適当になるのである。
【0007】
したがって本発明の課題は、試験体の少なくとも1つの光学特性を決定する装置を提供して、この装置により、従来技術から公知の装置の欠点を回避することである。殊に上記の装置によって、製品がブランド製品であるか、またはブランド製品の偽物あるかのチェックができるようにしたい。しかしながら別の分野、例えば、移動式ハンドヘルド装置が必要な分野においても上記の装置が使用できるようにしたい。
【0008】
上記の課題は、請求項1の特徴部分に記載された特徴的構成を有する装置によって解決される。個別にまたは組み合わせで実現することが可能な上記の装置の有利な発展形態は、従属請求項に記載されている。これにより、特許請求の範囲全体をこの明細書の内容とする。
【0009】
ここでは、試験体に励起光を供給する、殊に試験体に励起光を照射する調整可能な励起光源を含む装置が提案される。さらに上記の装置が、試験体から送出される検出光を検出する検出器を含むようにする。上記のような装置用の公知の励起光源に関連して生じる上述の問題を回避するため、本発明において提案されるのは、上記の励起光源が発光ダイオードアレイを含むことである。この発光ダイオードアレイは、少なくとも一部分がモノリシック発光ダイオードアレイとして構成されており、このモノリシック発光ダイオードアレイは、それぞれ異なる発光スペクトルを有する少なくとも3つの発光ダイオードを含んでいる。
【0010】
ここで「モノリシック」とは、個別部分(すなわち個別発光ダイオード)から組み立てられる構成部分のことではなく、実質的に共通の1作製プロセスにおいてただ1つの支持体に(すなわち、例えば、場合によっては付加的な個別部分を有する個別チップに)作製される構成部分のことであると理解されたい。例えば、上記のモノリシック発光ダイオードアレイは、無機半導体チップを有する無機モノリシック発光ダイオードアレイおよび/または有機モノリシック発光ダイオードアレイを有することができる。複数の有機発光ダイオード(すなわち、例えば、ポリマおよび/または低分子有機エミッタおよび/または別の有機層、例えば、有機n半導体またはp半導体層を有する発光ダイオード)が含まれている上記のような有機モノリシック発光ダイオードアレイには、有利にも相応する薄膜トランジスタ回路(例えば、アクティブマトリクス回路)を設けることができ、ここでこれらの回路は上記の支持体に組み込まれる。当然のことながら上記の支持体には択一的または付加的に別のコンポーネントを組み込むことも可能であり、例えば、発光ダイオードを変調励起する電子駆動コンポーネントを組み込むことも可能である(以下を参照されたい)。発光ダイオードアレイを有する無機半導体チップには、相応する回路、例えば発光ダイオードを駆動制御するトランジスタ回路を設けることも可能である。
【0011】
ここでの「アレイ」とは、少なくとも3つの発光ダイオードを含む発光ダイオードの装置と理解されたい。しかしながらスペクトルを記録するためにはできる限り多くの「データ点」を供給するのが有利であり、上記の発光ダイオードアレイが、少なくとも4つの発光ダイオードを、殊に有利には10個の発光ダイオードを、さらに100個またはそれ以上の発光ダイオードを含むと有利である。
【0012】
上記のような発光ダイオードアレイはすでにモノリシック発光構成素子として技術的に実現可能であり、例えば、並列方式または順次方式の技術で適切なマスク技術によって作製することができるため、例えばそれぞれ異なる発光材料ベース(例えば、異なる無機半導体材料または異なる有機エミッタベース)の発光ダイオードまたはドーピングの異なる発光ダイオードを1つの半導体チップに並べて作製することができる。例えば、上記の発光ダイオードアレイは、規則的に配置される発光ダイオードからなる矩形または正方形のマトリクスを含むことができるが、不規則な配置も可能である。
【0013】
これらの発光ダイオードの個々の発光ダイオードは、有利には固定のスペクトル幅を有する。この際に有利であるのは、個別に見ると30nm以下、有利にはさらに20nm以下のスペクトル幅(有利には半値全幅 FWHM full with at half maximum)を有する発光ダイオードを使用する場合である。有利には、450nm〜850nmのスペクトル幅をカバーする発光ダイオードアレイを使用する。しかしながらこの実質的に可視であるスペクトルの部分領域も実現可能であり、適用に応じて、実践的に有効である。
【0014】
さらに、殊に携帯可能な装置における実践的な使用に対して、これらの発光ダイオードが温度調整される場合、すなわち、実質的に一定の温度に維持される場合には、上記の発光ダイオードアレイを改善することができる。このために、例えば、発光ダイオードアレイを温度調整するように構成された温度調整装置を設けることができる。この温度調整装置は、例えば、1つまたは複数のペルチェ素子を含むことができ、このペルチェ素子により、例えば、上記の発光ダイオードアレイを冷却することが可能である。このように温度調整することにより、発光ダイオードアレイに負荷をかけた際および/または周囲温度が変化する際にもスペクトル特性を一定に維持することができる。しかしながら別の形態の温度調整も基本的に可能であり、例えば、液体による温度調整を行うことも可能である。この温度調整装置は、殊に動作温度を調整する制御装置を含むことができ、例えば、発光ダイオードアレイの実際温度を検出する1つまたは複数の温度センサを有する制御装置を含むことができる。
【0015】
上で説明したように、従来技術から公知の多くの分光計装置は、実践的な使用には不向きな1つまたは2つまたは複数のモノクロメータ、すなわち光学分離装置を有している。これに対して本発明による装置では、例えば、調整可能なレーザと類似して、調整可能な光源の原理が使用され、すなわち、ここでは励起光源それ自体がそのスペクトル放射特性を変更可能な原理が使用されるのである。例えば、上記の発光ダイオードアレイの個々の発光ダイオードは、例えば、順次にオンすることにより、順次に使用することができる。発光ダイオードの個別強度を変更することによる混合も可能である。例えば、上記の装置を構成して、発光ダイオードアレイの発光ダイオードが互いに密に並び、発光ダイオードアレイのすべての発光ダイオードをオンにした場合に実質的に混合光ビームが得られるようにすることが可能である。このために上記の発光ダイオードは、例えば、1ミリメートル以下、有利には800マイクロメータ、また殊に有利には600マイクロメータ以下の平均間隔(ピッチ)を有することができる。このような装置では、発光ダイオードアレイの発光ダイオードの個別放射は、実質的に共通な1つの励起光ビームにまとめられる。
【0016】
しかしながら択一的または付加的に、光路の可逆性を利用しかつ発光ダイオードの個部放射を共通の1つの励起光ビームにまとめる結合装置を設けることも可能である。例えば、この結合装置は、プリズムおよび/または波長選択的なミラー(例えば、ダイクロイックミラー)および/または光格子またはファイバ束を含むことができ、ここでは発光ダイオードの個々の光ビームがこの装置によって一緒にされて、共通の1つの励起光ビームにまとめられる。これにより、上記の発光ダイオードによって得られるスペクトル幅内で、個々の発光ダイオードを相応に駆動制御(すなわち、例えば、光強度の調整ないしはオンおよびオフ)することによって、所望のスペクトル特性を有する励起光ビームを構成することができる。
【0017】
検出側においても、択一的または付加的に、検出光をスペクトル的に少なくとも2つの波長領域に分解する光学分離装置を設けることができる。ここでもプリズム、波長選択的なミラー、ダイクロイックミラー、光格子または類似の装置を設けることができる。この関連にしてまたはこれとは無関係に、上記の検出器は、例えば、少なくとも2つの個別の検出器を有する検出器アレイを含むことができ、これによって、例えば、異なる波長領域を別個の検出器にマッピングすることができる。例えば、このためにここでもモノリシックに構成されるフォトダイオードアレイを使用可能である。
【0018】
したがって上記の検出器は、例えば、励起光とは一直線上に配置されていないルミネセンス検出器および/または励起光と一直線上に配置されている透過光検出器および/または試験体から反射された励起光を検出するための反射光検出器を有することができる。このような装置はさまざまなものが考えられ、以下では一部を例示的に説明する。
【0019】
上記の装置を駆動制御するため、例えば、制御装置を設けることができる。このような制御装置は、例えば、マイクロコンピュータおよび/または別の電子構成素子を含むことができ、また全部または一部をコンピュータプログラムとして実現することができる。例えば、この制御装置は、場合によって揮発性および/または不揮発性の記憶素子と入出力手段を有するマイクロコンピュータを含むことができる。例えば、この制御装置を構成して、上記の発光ダイオードアレイの個々の発光ダイオードを駆動制御することによって(例えば、個々の発光ダイオード毎に相応したダイオード電流を選択することによって)、あらかじめ定めたスペクトル特性を有する励起光を形成することができる。
【0020】
上で説明した実施形態のうちの1つにおいて提案した上記の装置を用いて、例えば、個々の発光ダイオードを順次に駆動制御し、これによって励起光をスペクトル的に調整しまた検出光をそれぞれ受光することができる。しかしながら本発明の有利な1実施形態では、時間のかかる順次の受光方式の代わりに複数またはすべてのスペクトル成分を並列に受光することの可能な多重化装置が設けられる。このために多重化装置を構成して、発光ダイオードアレイの少なくとも2つの発光ダイオードを異なる変調周波数で変調することができる。殊に個々の発光ダイオードの強度を、例えば、正弦波状または余弦波状にまたは別の周期的な励起の形態で(例えば、のこぎり波状、矩形状またはこれに類似の形態で)変化させることができる。このような変調は、発光ダイオードにおいて、例えば、ダイオード電流を変調することによって行うことができ、ここでは多くの場合に個々の発光ダイオードから放射される光の光強度は、ダイオード電流に比例するか、または既知の関係になる。
【0021】
個々の発光ダイオードの上記のような変調により、有利にはすべての発光ダイオードを異なる変調周波数で変調することにより、例えば、極めて短い時間での検出信号のスペクトル分析および/またはスペクトルを記録するためのロックイン方式が可能になる。これにより、殊に、上記の装置によって記録される信号および/またはこの装置によって記録されるスペクトルの信号対雑音比を格段に改善することができる。後者は、「多重化優位性」と称することも可能である。
【0022】
スペクトルの並列の記録は、殊に公知のロックイン方式と類似して、上記の制御装置がさらに復調装置を有することによって実現することができる。ここでこの復調装置を構成して、検出光が、位相復調および/または周波数復調され、また変調された複数の発光ダイオードの1つずつに対応付けられるようにする。これにより、光源の順次の「調整」を回避しながら、同時に受光した検出光の検出光成分をスペクトル的に分離して極めて短い時間内にスペクトルを記録することができる。したがってスペクトルのこのような記録は、数分の1秒内に行うことができ、このことも殊にハンドヘルド装置における使用に対して極めて有利になる。ハンドヘルド装置、例えば、検査すべき試験体の表面に手で載せるハンドヘルド装置ではふつう、手の震えおよびこれに伴う試験体の変化に起因して通例の分光法は使用できない。これに対し、数秒内にスペクトルを提供するハンドヘルド分光計は、この目的に好適である。
【0023】
このため、上記の装置は、移動式ハンドヘルド装置として構成することができ、さらにケーシングを含むことができる。このケーシングは、液体または気体の試験体を有する液体キュベットを入れるための開口部と、固体の試験体を入れるための開口部と、ケーシングの外部にある試験体に励起光を加えるためおよび検出光を受光するための開口部と、場合によっては別のコンポーネントとを含んでいる。上記のケーシングには、有利には上で説明した制御装置を含むことも可能である。上記のような移動式ハンドヘルド装置は、化学分析、医療技術(例えば、医療診断の分野)ならびに上で説明した「ブランド保護」(ブランド剽窃および製品剽窃)の分野に有利に使用可能である。
【0024】
さらに上記のようなハンドヘルド装置は有利には、移動式データ伝送装置および/またはコンピュータと接続するための少なくとも1つのインタフェースを有しており、例えば、有線および/または無線のインタフェース、例えば、Bluetoothインタフェースまたは類似のものを有する。択一的または付加的には無線データ伝送のためのデータ伝送装置を設けることもでき、例えば、移動無線ネットワークにおいてデータを伝送するためのデータ伝送装置を設けることができる。これにより、例えば、試験者が現場で比較的多くの製品を上記の装置を用いて検査し、結果を中央のコンピュータ(例えば、ラップトップおよび/または移動無線ネットワークを介して中央の計算機)に伝送する方式を使用することができる。ここで上記のハンドヘルド装置それ自体および/または中央の計算機において(例えば、既知のスペクトルとの比較により)、いま検査している製品が、認可されたメーカによる承認された(すなわち、例えばライセンスが付与された)製品であるか、偽造品であるかを確定することができる。これに相応して中央のコンピュータから、上記の比較の結果を含む移動式ハンドヘルド装置にフィードバック信号を発生させることができる。しかしながら択一的または付加的に上記の評価の全体または一部を移動式のハンドヘルド装置それ自体において行うことも可能である。
【0025】
上記に相応して提案されるのは、製品がブランド製品(すなわち、所定のメーカによる所定の製品)であるか、またはブランド製品の偽造品であるかをチェックする方法であり、ここでこのブランド製品は、少なくとも1つの特徴的な光学特性を有する。ここでは上で説明した実施形態のうちの1つの実施形態に記載した装置を用いて、この製品が上記の特徴的な光学特性を有するか否かを検査する。上記の特徴的な光学特性は、ここでも、例えば、けい光特性、りん光特性、吸収特性、反射特性、拡散特性またはこれらの特徴または別の複数の特徴の組み合わせとすることが可能である。例えば、会社ロゴに使用される着色材(部分的には人間の眼に不可視とすることも可)を探し出す、例えば所定のけい光特性を適切に探し出すことも可能である。
【0026】
ここで殊に有利であるのは、上記のブランド製品が鉱油製品を含む場合である。このような鉱油製品には、例えば、マーカ着色料を混ぜることができ、このマーカ着色剤は、分光法で適切に識別することができる。このマーカ着色剤を有しない剽窃物は、これにより、上記の提案したハンドヘルド装置を用いて迅速かつ高い信頼性で識別することができる。上記のマーカ着色剤は、着色材または顔料として別個に混ぜることができ、ないしは択一的または付加的に、(例えば、化学的または物理的な結合によって)製品の分子に結合されるマーカ群の形態とすることも可能である。マーキングの別の形態も可能であり、これらは当業者には公知である。
【0027】
評価のため、例えば、相関法を使用することができ、ここでは上記のハンドヘルド装置を用いておよび/または上記の装置の別の構成を用いて記録したスペクトルと、既知のスペクトル、殊に基準スペクトルとが比較される。これによって、偽造品ないしは剽窃物の有無について迅速かつ高い信頼性で判断を行うことができる。
【0028】
本発明の別の詳細および特徴的構成は、従属請求項に関連した有利な実施例の以下の説明に記載されている。ここで各特徴的構成は、それ単独でまたは複数を互い組み合わせで実現することができる。また本発明は、実施例に限定されるものではない。これらの実施例は、図に略示されている。ここで個々の図において同じ参照符号は、同じまたは機能的に同じないしは機能的に互いに相応する素子を表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による装置の原理概略図である。
【図2】吸収測定およびけい光測定用のハンドヘルド装置として実施した図1の装置の概略図である。
【図3】図1の装置を反射測定用のハンドヘルド装置として実施したものの概略図である。
【図4】LEDアレイチップを有する励起光源の概略平面図である。
【図5】図4のLEDアレイチップの拡大図である。
【図6】図5のLEDアレイチップの個々のLEDの発光スペクトルを示す図である。
【図7】多重化装置および復調装置を有する装置の実施形態の概略図である。
【図8】図7の装置によって得られた測定データからスペクトルを形成する概略図である。
【図9】本発明による方法の流れ図の例である。
【図10】図7に示した装置の変形形態の概略図である。
【図11】図2の装置を用いて、マーカ物質でマークした鉱油をスペクトル測定した例を示す図である。
【0030】
図1には、試験体112の少なくとも1つの光学特性を決定する本発明による装置110の実施例の概略図が示されている。この簡単な実施例において装置110は、モノリシック発光ダイオードアレイ114(以下ではLEDチップとも称する)を含んでおり、これはアルミニウム支持体116に載置されている。アルミニウム支持体116には、(図1ではアルミニウム支持体と一体で示されている)ペルチェ素子118が載置されている。この実施例においてペルチェ素子118は、LEDチップ114の温度調整するための温度調整素子として使用されている。
【0031】
LEDチップ114の前にはオプションでモニタ120が装置110に取り付けられており、これによってLEDチップ114によって形成された励起光ビーム112が可視化される。モニタ120は、LEDチップ114によって放射された励起光強度を検出するのに使用され、また例えば励起光源の数学的な補正を可能にする。
【0032】
励起光ビーム112は、この実施例において液状をしている試験体112に入射し、ここでこの試験体は、キュベット124に収容されている。キュベット124は、実質的に円形の断面を有しており、励起光ビーム122に入射方向に対して垂直方向を向いた平坦部126を有する。
【0033】
さらに図1の実施例によれば、装置110は2つの検出器128,130を有する。ここで第1の検出器130は、励起光ビーム122と同一直線上に配置されており、例えば、吸収測定に使用することができる。検出器130は、例えば、アレイまたはフォトダイオードのダイオードセルまたはフォトセルとして構成することも可能であり、透過した検出光132を検出するのに使用される。さらに図1に示した実施例では、この透過光132のビーム路に非点収差補正を行う平坦形非点収差補正器(planastigmatische Korrektur)134が配置されている。平坦形非点収差補正器134は、殊に円い試料体によって生じ得る非点収差の歪みを補正するという課題を有する。
【0034】
図1に示した実施例では第2の検出器128は、上記の励起光ビームに対して垂直な視線方向(または90°とは異なる、例えば60°〜89°の視線方向でもよい)で配置されているため、励起光ビーム122の入射方向に対して垂直に試験体112を離れた、けい光ビーム136の形態の検出光を検出器128によって検出することができる。検出器128と試験体112との間には選択的にさらに1つまたは複数のフィルタ138を設けることができる。
【0035】
図1に示した装置110は、基本的に極めて小さく設計することができ、また相応する駆動制御および評価電子回路を含めて、例えば、携帯電話のサイズを有することが可能である。
【0036】
図2および3には複数の装置110が略示されており、これらの装置では、図1に示した構造または図1の装置の変化形態にしたがった構造がケーシング210に組み込まれている。例えば、ケーシング210は、幅および高さがそれぞれ20cmを上回らず、また深さが5cmを上回らないサイズを有し得る。例えば、ケーシング210は、プラスチック、例えば、ポリプロピレンまたは類似のプラスチックから作製することができるため、装置110はハンドヘルド装置として構成され、また、例えば、野外での使用に対してポケットに快適に詰め込むことができる。
【0037】
図2の装置110はここでも励起光源として発光ダイオードアレイ114を有しており、この発光ダイオードアレイ114は、その個々の光源が極めて密に並び合っているため(以下を参照されたい)、実質的にただ1つの励起光ビーム122を形成する。試験体112は、図2に示していない。その代わりにアプリケーションはね蓋212が設けられており、このアプリケーションはね蓋により、試験体112をケーシング210の内部に入れて、このケーシング内で試験体を励起光ビーム122のビーム路に配置することができる。このために、例えば、ケーシング210に相応する保持部を設けることができる。はね蓋の代わりに別の任意の形態の閉じ手段、例えば、すべり蓋、はめ込み蓋または類似の形態の閉じ手段を設けることも可能である。
【0038】
さらに図2の装置にはここでも2つの検出器128,139が設けられている。これらの機能については図1の説明を参照することができる。
【0039】
さらに図2の実施例に示した装置110は制御装置214を有しており、この制御装置は、例えば、マイクロコンピュータおよび/または別の電子コンポーネントを含むことができ、またこの制御装置は、発光ダイオードアレイ114を駆動制御するため、ならびに検出器128および130を読み出すために使用される。装置110はさらに表示素子216(例えば、1つまたは複数のディスプレイおよび/または光学的表示器)ならびに操作素子218を含むことができる。さらに図2に示した実施例の装置110には、別の装置、例えば1つまたは複数のコンピュータとの(無線および/または有線の)データ交換用のインタフェース220が含まれている。
【0040】
図3には装置110の択一的な実施形態が示されている。図1および2の装置が、例えば、透過測定、吸収測定、けい光測定およびりん光測定に適しているのに対して、図3に示した実施例の装置110は、実質的に反射測定に適している。このためにここでも試験体をケーシング210に入れることができ、この試験体の反射特性が、図1または図2に類似の配置構成で測定される。しかしながら図3の変形実施形態は、ケーシング210が開口部310を有するように構成されている。ケーシングのサイズから見てここでもハンドヘルド装置として構成することができる装置110は、この開口部310を用いて、例えば、(図3に示していない)試験体に圧着するかまたは載置することができる。ここでこれは、例えば、この試験体の検査しようとする表面領域が開口部310の領域に配置されるように行われる。
【0041】
ここでも発光ダイオードアレイ114が設けられており、この発光ダイオードアレイは、制御装置214によって駆動制御され、また試験体表面に励起光ビーム112を当てる。さらに装置110は、反射検出器312を有しており、これは試験体から反射された、反射光314の形態の検出光を受光する。発光ダイオードアレイ114と反射検出器312との間には有利にブラインド316が設けられており、これは、励起光122が発光ダイオードアレイ114から検出器312に直接到達してしまうことを阻止する。反射検出器312によって供給される反射信号は、ここでも制御装置214に伝送されて評価が行われる。またここでも6装置110を操作するための操作素子218および表示素子21が設けられている。
【0042】
図3に示した上記の装置の実施例では、装置110と、例えば、中央のサーバおよび/または別のコンピュータのような別の装置との間でデータ交換を行う別の変形形態が略示されている。このために装置110は、インタフェース220とは択一的にまたはこれに付加的に移動式データ伝送装置318を有する。これにより、標準化された移動無線ネットワークを介してデータを交換することができる。しかしながら装置110に組み込まれる移動式データ伝送装置318とは択一的に、例えば、装置118がインタフェース220を介して別のデータ伝送装置、例えば移動電話と接続され、この移動電話をデータ交換に利用する変化形態も考えられる。
【0043】
図4には、励起光源410の実施例が平面図で示されている。励起光源410は、例えば、図1〜3に示した装置110において、励起光ビーム122を形成するための光源として使用することができる。
【0044】
励起光源410にはベースプレート412が含まれており、これは、例えば、2つの孔414を有する円いアルミニウム板として構成することが可能である。ベースプレート412には(図4に示していない)ペルチェ素子を収容して、上記の励起光源の温度を調整することができる。例えば、このペルチェ素子はベースプレート412の背面の凹みに収容することができるか、またはベースプレート412に熱伝導性接着剤を用いて貼り付けることができる。
【0045】
励起光源410のベースプレート412には、すでに図1で説明した発光ダイオードアレイ114を、例えば貼り付けによって収容することができる。発光ダイオードアレイ114の構成については、図5に基づき、以下で詳しく説明する。
【0046】
さらにベースプレート412には線路416を収容することができ、これらは、例えば、(図4に示していない)絶縁性の中間支持体によってアルミニウムベースプレート412から分離することができる。例えば、ポリイミドシートを中間支持体として使用することができ、この中間支持体に線路416(例えば圧膜法で)が被着され、これらの線路を介して発光ダイオードアレイ114に給電しまたこれを駆動制御することができる。また絶縁性の塗料または絶縁層の粉末コーティングを中間支持体として、または線路416とアルミニウムベースプレート412との間の絶縁層として入れることも可能である。発光ダイオード114は、例えば、ベースプレート412に貼り付ける、および/または、例えば、力による結合(例えばクランピング法)によってそこに固定することができる。線路416はさらに発光ダイオードアレイ114の電極に接続されており、このために、例えば、ワイヤボンディング法を使用可能である。
【0047】
線路416は、最終的にプラグコネクタ418によって接触接続される。このプラグコネクタには(図4において下側から到来する)フラットケーブルを有するプラグを接続することができる。例えば、プラグコネクタ418も同様にベースプレート412にねじ止めするかまたは貼り付けることが可能である。
【0048】
これにより、図4に示した装置を用い、振動の影響を十分に受けにくく、調整可能であり、またコンパクトで頑強な励起光源410を構成することができる。この励起光源は、このような調整可能な励起光源を必要とする多数の装置110に使用可能である。
【0049】
図5には、発光ダイオードアレイ114の拡大図が示されている。この実施例において発光ダイオードアレイ114には、3つの個別のモノリシック発光ダイオードチップ420,422,424が含まれている。ここで第1のチップ420には9つの個別の発光ダイオード426が含まれており、第2のチップ422には6つの個別の発光ダイオード426が含まれており、また第3のチップ424にはこのような発光ダイオード426が3つ含まれている。発光ダイオード426はそれぞれ、相異なる電極コンタクト428を有する正方形領域であることがわかり、ここでこれらの電極コンタクトは図5において黒っぽく示されている。電極コンタクト428は、例えば、ワイヤボンディング法によって電気的に接触接続される。
【0050】
ここで個別の発光ダイオード426はそれぞれ、これらの発光ダイオードが相異なる放射特性を有するように(以下の図6を参照されたい)各チップ420,422,424の共通の支持体に作製されている。個々の電極コンタクト428は、例えば、ワイヤボンディングによって線路416に接続することができる(図4を参照されたい)。このために個々の支持体430にボンディングパッドを設けることもでき、このボンディングパッドにボンディング個所を配置することが可能である。
【0051】
ここで3つの発光ダイオードチップ420,422および424は、図5において、発光ダイオードアレイ114全体が3.4mmの幅Bと、1.6mmの高さHとを有するように配置されている。発光ダイオードアレイ114は、約600μmのピッチ(例えば、隣接する発光ダイオード426の中心間の間隔)を有する。全面積の約4分の1が発光ダイオード426の活性面によって満たされており、この表面の残りは中間空間である。したがって個々の発光ダイオード426は、この実施例において、それぞれ隣接する発光ダイオード426に対して約300μmの間隔を有する。しかしながら図5に示した配置構成とは異なる別の配置構成も考えられる。例えば、発光ダイオードアレイ114全体が単独のモノリシックチップとして構成されており、単独の共通の支持体430を有する配置構成も考えられるのである。モノリシックアレイの発光ダイオード作製についての詳細は、半導体技術の分野の当業者には公知である。3つの個別の発光ダイオードチップ420,422および424を有する図5に示した発光ダイオードアレイ114は、ドイツのベルリンにあるEPIGAP Optoelektronnik GmbH社による受注生産において作製され、例えば、AlGaAs/AlGaAsおよび/またはAlInGaP/GaPおよび/またはAlInGaP/GaAsおよび/またはAlGaAs/GaAlAsおよび/またはInGaN/Al2O3を半導体材料として有する発光ダイオードを含んでいる。
【0052】
図6には、図5に示した発光ダイオードアレイ114の18個の発光ダイオード426の個々のスペクトルが示されている。ここでは横軸には波長λが、また縦軸には(1に正規化した)強度Φが任意の単位でそれぞれ示されている。
【0053】
ここからわかるのは、発光ダイオードアレイ114の発光ダイオード426のスペクトルが、約450nm〜約850nmのスペクトル領域をカバーすることである。ここでは上記のスペクトルの最大値610はそれぞれ等間隔に分布していない。しかしながら全体としてわかるのは、個々の発光ダイオード426のスペクトルが極めて狭帯域であるため、半値幅(例示的に波長の最も長い発光ダイオード426について半値幅612を図6にプロットしている)は、いずれの発光ダイオード426においても30nmの値を上回っていないことである。典型的な半値幅はその上に30nm未満であるため、有利には20nmをこの半値幅に対する上限として選択することができる。
【0054】
ここで半値幅(FWHM full with at half maximum)とは、最大値610における強度の半分の値における放射曲線のスペクトル幅のことである。
【0055】
図6によって容易にわかるのは、個々の発光ダイオード426の放射の強度を制御することにより、可視のスペクトル領域内でほぼ任意のスペクトルを簡単に形成できることである。この駆動制御は、デジタル駆動制御部、すなわち、純粋なオン/オフ回路を含むことができるが、例えば、デジタルのグレースケール制御(例えば、明るさの8または16ビット駆動制御)の形態の最大の明るさと、オフ状態との間の中間値を含むことも、または純粋なアナログの駆動制御を含むことも可能である。これによって、個々の発光ダイオード426の強度Φをほぼ任意に混合することができる。
【0056】
図7には、試料体112の少なくとも1つの光学特性を決定する装置110の原理略図が示されており、これは、多くの部分が図1または図2に示した構造に相当する。この略図に基づいて本発明の1発展形態を説明する。この発展形態では、個々の発光ダイオード426の強度を適切に変調することによって、励起側のモノクロメータを省略することができる。これらを省略しても、有利にもほぼ当時に試料体112の完全なスペクトルを受け取ることができる。ここでは例示的に図7のけい光ビーム136だけを観察する。しかしながら、別の構成、例えば(択一的または付加的に)透過スペクトルまたは吸収スペクトル、りん光スペクトル、反射スペクトルまたは別の種類の分光分析法も可能である。図7に示した原理は、これらのケースにおいて、類似に変更することができる。
【0057】
図7には、ここでも発光ダイオードアレイ114、例えば図5に示した発光ダイオードアレイ114を含む装置が示されており、この発光ダイオードアレイ114の個々の発光ダイオード426は個別に駆動制御可能である。しかしながら以下に説明する測定の原理は、互いに独立して駆動制御可能でありかつスペクトルの異なる複数の励起光源を有する別の形態の励起光源に、発光ダイオードアレイ114に依存することなく拡張可能である。これに相応して図9を参照されたい。ここでは、本発明による方法の一般化された流れ図が示されており、この方法は、発光ダイオードアレイ114の有無とは無関係に、すなわち、独立して制御可能でありかつスペクトルの異なる個別励起光源を有する任意の励起光源によって実行することも可能である。当然のことながら、以下にけい光による検証によって説明する方法の代わりにまたはこれに加えて、類似に別の光学特性を評価することも可能であり、例えば、反射信号、制御信号、りん光信号、透過信号および/または別の種類の光学信号を評価することも可能である。
【0058】
図9の個々の方法ステップは、図示しない別の方法ステップによって補足することができる。さらに図9に示した方法ステップの順序は好適ではあるが必須ではない。また個々の方法ステップまたは複数の方法ステップを繰り返して実行することも可能である。以下では図9の方法および図7の基本構造を一緒に明らかにする。
【0059】
図7の装置110の構造に対してはかなり部分について図1に記載した構造を参照することができる。しかしながらこの構造は、図1よりも拡張されており、ここではオプションでまた例示的に2ビーム構造が実現されている。ここでは(例えば、図示しない部分透過性のミラーによって、または別の光学装置によって)励起光ビーム122から基準ビーム710が分岐する。基準ビーム710の強度は、基準検出器712によって監視ないしは受光される。
【0060】
図7の実施例において装置110は、多重化装置714および復調装置716を有する。ここで多重化装置714および復調装置716は、図7において「LO」と記した1つずつの一連の局部発振器718を互いに分け合っている。発光ダイオード426(ないしは別の種類の個別に駆動制御可能な光源)の個数nに相応して、n個の局部発振器718が設けられる。
【0061】
局部発振器718はそれぞれクロック信号720を形成し、これは、例えば、正弦波信号、余弦波信号、矩形信号または別の種類の周期信号の形態であり、これらの信号は、発光ダイオード426(ないしは別の光源)毎に1つずつ個別の周波数f1〜fnを有する。多重化装置714の枠内ではこのクロック信号720は、電流源722または一般的に個々の発光ダイオード426に給電する駆動制御部に伝送される。これによって発光ダイオード426毎に、個別の発光ダイオード電流724が形成され、この電流によって、対応する各発光ダイオード426が駆動制御される。このようにして個々の発光ダイオード426の強度Φを個別の周波数f1〜fnによって変調して、これらの周波数成分が励起光122に含まれることになる。個々の光源f1〜fnを変調する上記のステップは、図9に略示した方法の流れ図では、参照符号910で概略的に示されている。このように個別の光源を変調910することにより、励起光ビーム122を変調して、この励起光ビームが、別個に変調されたスペクトル成分から構成されるようにすることができる。したがって一般的にはつぎのスペクトル、すなわち
Φ(λ,t)=Σi(Φi,0(λ)+Φi,1(λ)・cos(2・π・fi・t+φi))
を形成することができる。
【0062】
ここでΦ(λ,t)はそれぞれ波長および時間の関数としての強度を示しており、これは、個々の光源の強度についての和から構成される。この和(ここでインデックス変数は1〜nの範囲をとる。すなわち、すべての光源についての和である)には、個々の光源毎に一定のオフセット成分Φi,O(λ)がそれぞれ含まれている。さらに個別の光源毎の和には、被変調成分が含まれており、この被変調成分は、この実施例において余弦波状に変調される1つずつの係数Φi,1(λ)を有しており、これは個別の光源毎に個別の変調周波数fiを有する。この変調周波数は、上記のように局部発振器718によって形成される。上記の変調はそれぞれ、個々の光源毎に位相φiで個別に位相シフトすることができる。これにより、方法ステップ910において個々の光源(例えば、個別の発光ダイオード426)の利用可能なスペクトル(同じ図6)の枠内で量φi,1,fiおよびφiを適当に調整することによって、個別に変調された個別光源により、所望のスペクトル配置を有する励起光ビーム122を形成することができる。理想的なケースでは、無限に狭い発光スペクトルを1つずつ有する無限個の個別光源を使用して、それぞれ個別に変調された個別周波数を有する任意の連続的なスペクトルを設定することができる。
【0063】
上記のように励起光ビーム122から基準ビーム710が分かれる。これに相応して励起光ビーム122により、試料体112において、けい光ビーム136が形成される。このけい光ビームはここでも、ステップ910における変調に応答して個別の変調を有する。このけい光ビームは方法ステップ912において、例えば、図7の装置において検出器128によって受光される。別の分光法装置が使用される場合、この方法ステップ910において、例えば、透過光、反射光または別の光で受光される。つぎに上記の別の方法ステップが類似に実行される。
【0064】
方法ステップ914では並列に(またはこれとは時間的にずらしてもよい)、基準ビーム710が、例えば、基準検出器712によって検出される。ここでこれはオプションの方法ステップである。
【0065】
2つの検出器128および712(より多くの検出器を設けることも可能である)によって形成される信号には、方法ステップ910で実行される変調に相応してここでも周波数f1〜f2を有する周波数成分が含まれる。けい光ビーム136においてこれらの周波数成分はそれぞれ、相応に変調された光源のスペクトルに対する試料体112の応答に相応する。例えば、周波数f1で変調された第1の発光ダイオード426(LED1)の光の入射に対するけい光応答は、同様に周波数f1でけい光ビーム136に含まれる。したがってこのけい光応答は、上記の周波数領域におけるけい光ビームの適当な周波数分析によって復元できるため、各励起光源に対するけい光応答を時間的に並列に求めることができるのである。
【0066】
このため、方法ステップ916ではけい光検出器128の信号を分離して、これと、個別の局部発振器718の各クロック信号720とを周波数ミキサ726において別個に混合する。ここで混合信号が得られ、これは引き続いて(図9の方法ステップ918において)適切なフィルタ(図7の730)によって濾波される。例えば、このフィルタ730は、ローパスフィルタおよび/またはバンドパスフィルタを有することができ、これらのフィルタは、混合信号728毎にそれぞれ、個別の変調周波数f1〜fnに調整される。このようにして生信号S1〜Snを形成することができ、これらの信号は、図7において参照符号732で示されており、また個別の発光ダイオードLED1〜LEDnの入射ビームに対する各応答信号である。
【0067】
例えば、復調装置716において実行される方法ステップ916〜918に記載した方法ステップは、例えば、ロックイン法の枠内で使用される高周波技術の標準的な手法である。したがって上記の方法および/または上記の装置の変更は可能であり、また当業者には公知である。
【0068】
類似の方法で(オプションで)方法ステップ914において受光した基準ビームを復調することができる。ここでも(図9の方法ステップ920)この基準信号をn個の個別信号に分離することができ、つぎにこれらの信号はそれぞれ周波数ミキサ734においてクロック信号720と混合される。引き続き、方法ステップ922において、方法ステップ918の上記の説明と同様に、フィルタ936においてフィルタプロセスが実行される。ここでこのフィルタはここでも個別の変調周波数に適合化される。これによって個別の基準信号738が形成される。
【0069】
図9にはさらに、上記の方法および例えば図7に示した装置10によって得られる基準信号738および生信号732をどのように後続処理して、試験体112のけい光スペクトルを形成するかが示されている。ここで指摘しておきたいのは、以下に説明する方法ステップがオプションであり、生信号732の別の後続処理も可能なことである。上記の信号処理は、例えば、制御装置214において行うことができ、これは、例えば図2および3に示したとおりの制御装置である。制御装置214は、例えば、ディスクリートな電子素子の形態で、および/または完全にまたは部分的にコンピュータに実装されるソフトウェアモジュールの形態で、多重化装置714および/または復調装置716を完全にまたは部分的に含むことも可能である。
【0070】
方法ステップ924では、生信号Si732(ただしiは1〜nの値をとる)と、対応する基準信号Ri738のとから1つずつの商が形成される。この商形成の結果は、n個の相対的のけい光Fiの集合である。これは、例えば、方法ステップ926において上記の光源(例えば各発光ダイオード426)の相応する波長λiに対してプロットすることができる。このようなプロットの結果は、図8に示されている。例えば、上記の波長λiはそれぞれ個々の発光ダイオードの最大値610とすることが可能である。これにより、図8に略示した、個別の点から構成されるスペクトルが得られる。ここからは相異なる波長λiの数ができるだけ大きいと有利であることもわかる。それは、これにより、最終的に光源の数が大きくなるのに伴って連続的なスペクトルが構成できるからである。
【0071】
上記のように得られた信号および/またはそのままの生信号732は、オプションで引き続いて方法ステップ928でさらに処理されて評価される。例えば、ここでも制御装置214および/または外部のコンピュータにおいて行うことができる評価928は、例えば、図8のスペクトルにおけるパターン認識を含むことができる。例えば、上記のようにした得られたスペクトルと、既知の基準スペクトルとを相関させることができる。例えば、ブランド製品に含まれるマーカ物質の基準スペクトルと相関させることができる。一致(例えば、あらかじめ定めた閾値を上回る一致)が確認される場合、上記のマーカ物質が試験体112に含まれていると推定する。このようにして、例えば、ブランド製品と、例えば、所定のメーカの鉱油を識別して剽窃物とを区別することができる。これによって図9に示した方法および本発明による装置110、例えば図2および/または図3による装置を使用して、現場で迅速かつ高い信頼性でブランドの保護を行い、剽窃物を識別することができる。
【0072】
最後に図10には図7に示した装置110の変形実施形態が示されている。この変形実施形態は、図7による装置110がふつう上記の信号の分析に対し、周波数ミキサ726を有する1つまたは複数のロックインアンプを必要とし、このために基本的に比較的高いコストが必要であるというアイデアに基づいている。このコストは、例えば、必要なコンポーネントを集積コンポーネントとして含む集積回路を使用する場合に低減することができる。これに対して図10には、例えば、完成した電子コンポーネントで動作することの可能な装置10の変形形態が示されている。
【0073】
図10に記載した装置110は、図7に示したように第1にかなりの部分においてアナログに構成されているため、ほとんどのコンポーネントに対し、この図の上記の説明を参照することが可能である。しかしながら図7とは異なり、図10では少なくとも1つの検出器128によって供給される少なくとも1つの信号は、まず1つまたは複数のアナログ−デジタル変換器1010において1つのまたは複数のデジタル信号に変換される。このアナログ−デジタル変換器1010の1つまたは複数の出力信号は、周波数アナライザ102に伝送される。この周波数アナライザ1012は、この実施例において完全にまたは部分的に復調装置716の機能を果たす。ここでは、例えば、高速フーリエ解析(FFT)を用いて、検出器128の少なくとも1つの信号が解析されるため、例えば、周波数領域f1〜fn内にある部分信号をそれぞれ分離して求めることができる。これらの信号はつぎに信号S1〜Snとして出力される(図10では「生信号」732と記されている)。例えば、図8に基づいて上で説明した方法を用いて、例えば、基準信号738を使用して、これらの生信号732を引き続いて処理することができ、殊に図8に示したスペクトルと類似のスペクトルが形成される。
【0074】
さらに指摘したいのは、図10に示した装置110の変形実施形態もさらに変更して、周波数ミキサ734の代わりに周波数アナライザを用いて基準信号738を形成できるようにすることも可能なことである。このために少なくとも1つの基準検出器112によって求めた少なくとも1つの信号をここでも、例えば、アナログ−デジタル変換器を介して少なくとも1つのデジタル信号に変換して、引き続いて周波数アナライザにおいて周波数分析(例えばここでもフーリエ変換)を行うことができる。ここでも基準信号R1〜Rn738の処理は、例えばここでも図8の上記の説明と類似に行うことができる。
【0075】
基準信号738だけを周波数アナライザによって形成し、これに対して生信号732を図7と類似に形成する装置の変形実施形態も考えられる。
【0076】
また局部発振器718のクロック信号720を、生信号732を形成するためおよび/または基準信号738を形成するために使用される1つまたは複数の周波数アナライザ1012に供給して、上記の周波数分析をさらに改善することも考えられる。
【0077】
上記の考えられ得る複数の実施形態の1つにおける上記の装置をテストするため、既知の物質において種々異なるスペクトル測定を実施した。図11には例示的にこのような測定の測定結果が示されており、これは、図2に示した装置と類似の測定構造によって得られたものである。この測定例の枠内では、図10に示した実施形態と類似の測定および評価方式を使用したため、この測定の詳細については、図2および10の説明を参照することができる。
【0078】
ここに示した実施例では、図2に示した装置110を使用して、マーカ物質によってマークした、円い試料体容器の鉱油の吸光度スペクトルを検出した。ここでは鉱油としてAral社の市販のディーゼルオイルを使用した。このディーゼルオイルにはマーカ物質としてつぎの構造式のアントラキノン染料を混ぜた。
【0079】
【化1】

【0080】
このマーカ物質の濃度は、鉱油において(質量単位で)500ppbである。このマーカ物質を上記の鉱油において溶かして、17mmの直径と63mmの高さを有する(収容能力約8mlの)クリアガラス(ほうけい酸ガラス)製の試料体バイアルに詰めた。この試験体バイアルを試料体112(図1を参照されたい)として図2に示した装置110に入れて励起光ビーム122によって透過照明した。この実施例では透過光132だけを検出器130によって検出した。ここまでは上記の使用した装置は、図10ではけい光ビーム136による測定のケースが示されている点で、図10に示した装置110とは相異する。これに対してこの実施例では、けい光ビーム136の代わりに透過光132を検出し、ADC1010によってデジタル化し、周波数アナライザ1012によって分析した。これによって上記の試料体バイアルを透過しかつ図10の信号S1〜Snに相応する強度I1〜I18を測定した。測定時間はわずかに約5秒間であった。引き続いて上記の試料体バイアルを装置110から取り出し、つぎに検出器130に当たりかつ図10のR1〜Rnに相応する強度IO01〜IO18を測定した。このことが示すのは、(図7を参照されたい)基準光ビール710が、必ずしも励起光ビーム122から分岐したビームではなくてもよく、完全または部分的にこれと同じであってもよく、これは、例えば、試料体112を単に取り除くことによって得られる。また図7の基準検出器712は、必ずしも検出器128,130(図2を参照されたい)とは別に構成する必要はなく、完全にまたは部分的にこれらの1つまたは複数の検出器128,130と同じとすることも可能である。
【0081】
図11に示したグラフは、式εi=log(IOi/Ii)にしたがって計算した吸光度εを示している。この吸光度は、図11において波長λの関数としてnmでプロットされている。ここで個々の発光ダイオード426の個々の測定点は、図11において正方形の小さいボックスで示されている。実線は、記録した18個の測定点に適合させた多項式関数を示している。
【0082】
図11に示した測定曲線は、第1に約600nm以下の領域において鉱油の吸光度の領域を示している。この吸光度は、波長が長くなるにつれて大きく低下する。この吸光度には、約650〜850nmの領域において、マーカ物質の特徴的な吸光度が続いている。この簡単な実施例が示しているのは、図2に示した装置110を用いて簡単かつ迅速にマーカ物質の特徴的なスペクトルを記録することができることであり、この際に時間がかかりかつ技術的に複雑な励起光源の調整を必要としないことである。したがってこれにより、ここではマーカ付きの鉱油である試料体についての情報を一瞬のうちに現場で提供する、例えば、簡単なハンドヘルド装置を実現することができるのである。したがって上記のような装置は、例えば、製品剽窃の効果的な撲滅に至る大きな一歩になる。それは、これにより、例えば、迅速かつ簡単に現場で、特徴的ではあるがふつう人間の眼に少なくとも十分に見えずまたオリジナル製品だけに添加されたマークを見つけることができるからである。
【符号の説明】
【0083】
110 試験体の少なくとも1つの光学特性を決定する装置、 112 試験体、 114 発光ダイオードアレイ、 116 アルミニウム支持体、 118 ペルチェ素子、 120 モニタ、 122 励起光ビーム、 124 キュベット、 126 平坦部、 128 検出器、 130 検出器、 132 透過ビーム(検出光)、 134 平坦形非点収差補正器、 136 けい光ビーム(検出光)、 138 フィルタ、 210 ケーシング、 212 アプリケーションはね蓋、 214 制御装置、 216 表示素子、 218 操作素子、 220 インタフェース、 310 開口部、 312 反射検出器、 314 反射ビーム(検出光)、 316 ブラインド、 318 移動式データ伝送装置、 410 励起光源、 412 ベースプレート、 414 孔、 416 線路、 418 プラグコネクタ、 420 発光ダイオードチップ、 422 発光ダイオードチップ、 424 発光ダイオードチップ、 426 発光ダイオード、 428 電極コンタクト、 430 支持体、 610 最大値、 612 半値幅,FWHM、 710 基準ビーム、 712 基準検出器、 716 復調装置、 718 局部発振器、 720 クロック信号、 722 電流源、 724 発光ダイオード電流、 726 周波数ミキサ、 728 混合信号、 730 フィルタ、 732 生信号、 734 周波数ミキサ、 736 フィルタ、 738 基準信号、 910 個々の光源の強度の変調、 912 けい光ビームの受光、 914 基準ビームの受光、 916 けい光信号の混合、 918 フィルリング、 920 基準信号と変調周波数とを混合、 922 フィルタリング、 924 商形成 Si/Ri、 926 波長λiについての商Si/Ri=Fiのプロット、 928 評価、 1010 アナログ−デジタル変換器、 1012 変調周波数を有する周波数アナライザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体(112)の少なくとも1つの光学特性を決定する装置(110)であって
該装置(110)には、前記の試験体(112)に励起光(122)を加える調整可能な励起光源(114;410)が含まれており、
さらに前記の装置(110)には、試験体(112)から出射される検出光(132,136;314)を検出する検出器(128,130;312)が含まれている形式の装置(110)において、
前記の励起光源(114;410)には発光ダイオードアレイ(114)が含まれており、
該発光ダイオードアレイ(114)は、少なくとも一部分がモノリシック発光ダイオードアレイ(114)として構成されており、
当該のモノリシック発光ダイオードアレイ(114)には、それぞれ異なる発光スペクトルを有する少なくとも3つの発光ダイオード(426)が含まれることを特徴とする、
試験体(112)の少なくとも1つの光学特性を決定する装置(110)。
【請求項2】
前記の発光ダイオードアレイ(114)には、つぎの発光ダイオードアレイ(114)のうちの少なくとも1つ、すなわち、無機半導体チップを有する無機モノリシック発光ダイオードアレイ(114)と、
有機モノリシック発光ダイオードアレイ、有利には前記の発光ダイオードアレイの支持体に組み込まれた薄膜トランジスタ回路を有する無機モノリシック発光ダイオードアレイとのうちの少なくとも1つが含まれている、
請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
前記の発光ダイオードアレイ(114)には、少なくとも10個の発光ダイオード(426)が含まれている、
請求項1または2に記載の装置(110)。
【請求項4】
さらに温度調整装置が含まれており、
当該温度調整装置を構成して、前記の発光ダイオード(114)が温度調整されるようにした、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項5】
前記の温度調整装置にはペルチェ素子が含まれている、
請求項4に記載の装置(110)。
【請求項6】
前記の温度調整装置にはさらに制御装置が含まれている、
請求項4または5に記載の装置(110)。
【請求項7】
前記の発光ダイオードアレイ(114)の発光ダイオード(426)は1つずつのスペクトル幅(612)を有しており、
当該スペクトル幅(612)は、30nmの値を上回らない、
請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項8】
前記の発光ダイオードアレイ(114)の発光ダイオード(426)は、450nm〜850nmのスペクトル領域をカバーする、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項9】
前記の発光ダイオードアレイ(114)は、ベースプレート(412)、殊に金属製のベースプレートに固定されている、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項10】
さらに少なくとも1つのプラグコネクタ(418)が前記のベースプレート(412)に配置されている、
請求項9に記載の装置(110)。
【請求項11】
さらに少なくとも1つの光学結合装置が含まれており、
当該光学結合装置を構成して、前記の発光ダイオードアレイ(114)の発光ダイオード(426)の光ビームが共通の励起光源(122)に集められるようにした、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項12】
前記の光学結合装置には以下の装置のうちの少なくとも1つ、すなわち、
プリズムと、波長選択ミラー、殊にダイクロイックミラーと、フィルタと、光格子と、ファイバ束とのうちの少なくとも1つが含まれている、
請求項11に記載の装置(110)。
【請求項13】
さらに光学分離装置が含まれており、
当該光学分離装置を構成して、検出光(132,136;314)をスペクトル的に少なくとも2つの波長領域に分解するようにした、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項14】
前記の光学分離装置には以下の素子のうちの少なくとも1つ、すなわち、
プリズムと、波長選択ミラー、殊にダイクロイックミラーと、フィルタと、光格子とのうちの少なくとも1つが含まれている、
請求項13に記載の装置(110)。
【請求項15】
前記の検出器(128,130;312)には、少なくとも2つの個別検出器を有する検出器アレイが含まれている、
請求項1から14までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項16】
前記の検出器アレイには、モノリシックフォトダイオードアレイが含まれている、
請求項15に記載の装置(110)。
【請求項17】
前記の少なくとも1つの検出器(128,130;312)は、前記の励起光(122)と一直線上に配置されていない少なくとも1つのルミネセンス光検出器(128)を有する、
請求項1から16までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項18】
前記の検出器(128,130;312)は、前記の励起光(122)と一直線上に配置されている少なくとも1つの透過光検出器(130)を有する、
請求項1から17までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項19】
前記の検出器(128,130;312)は、試験体(112)から反射された反射光(314)を検出する少なくとも1つの反射光検出器(312)を有する
請求項1から18までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項20】
さらに制御装置(214)を有しており、
該制御装置(214)を構成して、前記の発光ダイオードアレイ(114)の個々の発光ダイオード(426)を駆動制御することにより、あらかじめ定めたスペクトル特性を有する励起光(122)が形成されるようにした、
請求項1から19までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項21】
前記の制御装置(214)には多重化装置(714)が含まれており、
該多重化装置(714)を構成して、前記の発光ダイオードアレイ(114)の少なくとも2つの発光ダイオード(426)が異なる変調周波数で変調されるようにした、
請求項20に記載の装置(110)。
【請求項22】
前記の制御装置(214)はさらに復調装置(716)を有しており、
該復調装置(716)を構成して、検出光(132,136;314)が位相復調および/または周波数復調されかつ前記の変調された発光ダイオード(426)の1つずつに対応付けられるようにした、
請求項21に記載の装置(110)。
【請求項23】
前記の装置(110)を構成して、
前記の試験体(112)の励起スペクトルが受光されるようにし、
前記の発光ダイオードアレイ(114)の複数の発光ダイオード(426)が同時に作動され、
前記の励起光(122)には個々の発光ダイオード(426)の、異なって変調された成分が含まれており、
前記の検出光(132,136;314)は復調されかつ個々の発光ダイオード(426)に対応付けられ、
相応する励起スペクトルが形成されるようにした、
請求項22に記載の装置(110)。
【請求項24】
さらに液体の試験体(112)を収容するためのキュベット(124)を含む、
請求項1から23までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項25】
前記のキュベット(124)は少なくとも一部分が円形の断面を有する、
請求項24に記載の装置(110)。
【請求項26】
前記の装置(110)は、2チャネル分光計として構成されており、
当該の装置(110)を構成して、前記の試験体(112)の少なくとも1つの光学特性と、基準ビーム(710)とが同時に受光されるようにした、
請求項1から25までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項27】
基準試験体の少なくとも1つの光学特性が求められる、
請求項26に記載の装置(110)。
【請求項28】
前記の装置(110)は、移動式ハンドヘルド装置として構成されている、
請求項1から27までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項29】
前記の装置(110)にはケーシング(210)が含まれており、
該ケーシング(210)は、つぎの素子のうちの少なくとも1つを有する、すなわち 液状またはガス状の試験体(112)を有する液体キュベット(124)を入れるための開口部(21)と、
固体の試験体(112)を入れるための開口部(212)と、
前記のケーシング(210)の外部にある試験体(112)に励起光(122)を加えるためおよび検出光(132,136;314)を受光するための開口部(310)とのうちの少なくとも1つを有する、
請求項28に記載の装置(110)。
【請求項30】
前記の移動式ハンドヘルド装置はさらに、当該の移動式ハンドヘルド装置と、移動式データ伝送装置またはコンピュータとを接続するためのインタフェース(220)を有する、
請求項28または29に記載の装置(110)。
【請求項31】
前記の移動式ハンドヘルド装置はさらに、無線データ伝送のためのデータ伝送装置(318)を有する、
請求項28から30までのいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項32】
製品がブランド製品であるかブランド製品の偽物であるかチェックする方法において、
前記のブランド製品は少なくとも1つの特徴的な光学特性を有しており、
請求項1から31までのいずれか1項に記載の装置(110)を使用し、
当該の装置(110)を用いて、前記の製品が、前記の特徴的な光学特性を有するか否かをチェックすることを特徴とする、
製品がブランド製品であるかブランド製品の偽物であるかチェックする方法。
【請求項33】
前記の特徴的な光学特性は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する、すなわち、
けい光特性と、りん光特性と、吸収特性と、反射特性とのうちの少なくとも1つを有する、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記のブランド製品には鉱油製品が含まれる、
請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
試験体(112)の少なくとも1つの光学特性を求める方法であって、
当該の試験体(112)に励起光(122)を加える調整可能な励起光源(114;410)を含む装置(110)を使用し、
当該の励起光源(114;410)には、それぞれ異なる発光スペクトルを有する複数の個別光源が含まれており、
前記の装置(110)にはさらに前記の試験体(112)から出射される検出光(132,136;314)を検出する検出器(128,130;312)が含まれている形式の方法において、
前記の個別光源の少なくとも2つの個別光源を、異なる変調周波数で変調し、
前記の検出光(132,136;314)を復調し、前記の変調周波数に相応して当該の検出光と、個別光源とを対応付けることを特徴とする、
試験体(112)の少なくとも1つの光学特性を求める方法。
【請求項36】
付加的に基準信号を受けとって、前記の変調周波数によって復調する、
請求項35に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2011−501111(P2011−501111A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528384(P2010−528384)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063443
【国際公開番号】WO2009/050081
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】