MEMSセンサ
【課題】 ダイヤフラムなどの振動膜の振動しやすさを確保しながら、振動膜とバックプレートなどの対向電極との接触による短絡を、簡単な構成で防止することのできるMEMSセンサを提供すること。
【解決手段】 シリコンマイク1において、シリコン基板2の一方側に、シリコン基板2に対して間隔を空けて対向するように、金属電極10が、所定の樹脂材料からなるダイヤフラム被覆膜11に被覆されてなるダイヤフラム8を形成する。また、ダイヤフラム8に対してシリコン基板2の反対側において、ダイヤフラム8に対して間隔を空けて対向するように、導電性材料からなるバックプレート9を形成する。
【解決手段】 シリコンマイク1において、シリコン基板2の一方側に、シリコン基板2に対して間隔を空けて対向するように、金属電極10が、所定の樹脂材料からなるダイヤフラム被覆膜11に被覆されてなるダイヤフラム8を形成する。また、ダイヤフラム8に対してシリコン基板2の反対側において、ダイヤフラム8に対して間隔を空けて対向するように、導電性材料からなるバックプレート9を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用したデバイスが携帯電話機などに搭載され始めたことから、MEMSセンサの注目度が急激に高まっている。MEMSセンサの代表的なものとして、たとえば、シリコンマイクがある。
図4A〜図4Iは、従来のシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【0003】
従来のシリコンマイクの製造に際しては、まず、図4Aに示すように、熱酸化処理により、シリコン基板102の一方面および他方面に、熱酸化膜111および熱酸化膜121がそれぞれ形成される。
次いで、図4Bに示すように、熱酸化膜111が一方側からエッチングされることにより、熱酸化膜111に、複数の凹部112が形成される。
【0004】
次に、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:減圧化学気相成長)法により、熱酸化膜111および熱酸化膜121の表面全域を覆うようにポリシリコンが堆積される。そして、熱酸化膜111を覆うポリシリコンは、不純物がドープされた後、凹部112に入り込んだ部分を包含する所定部分以外の部分が除去される。これにより、図4Cに示すように、熱酸化膜111上には、凹部112に入り込むことによりシリコン基板102に突出する凸部108を複数有するダイヤフラム104が形成される。一方、熱酸化膜121上には、図4Cに示すように、堆積されたままのポリシリコンからなるポリシリコン膜113が形成される。
【0005】
続いて、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマ化学気相成長)法により、シリコン基板102の一方側に、ダイヤフラム104を被覆するように酸化シリコンが堆積される。そして、この酸化シリコンの不要部分が、エッチングにより除去される。これにより、図4Dに示すように、ダイヤフラム104を被覆する犠牲酸化膜114およびダイヤフラム104を取り囲む第2絶縁膜119が形成される。
【0006】
次いで、LPCVD法により、シリコン基板102の一方側および他方側に、ポリシリコンが堆積される。そして、シリコン基板102の一方側に堆積されたポリシリコンは、不純物がドープされた後、パターニングされる。これにより、図4Eに示すように、シリコン基板102の一方側には、犠牲酸化膜114上に、多数の孔106を有するバックプレート105が形成される。一方、シリコン基板102の他方側には、図4Eに示すように、堆積されたポリシリコンとポリシリコン膜113とが一体化してなる、ポリシリコン膜115が形成される。
【0007】
次に、図4Fに示すように、孔106を介して犠牲酸化膜114がエッチングされることにより、犠牲酸化膜114に、複数の凹部117が形成される。そして、図4Fに示すように、犠牲酸化膜114および第2絶縁膜119から露出する熱酸化膜111が除去される。これにより、犠牲酸化膜114とシリコン基板102との間に残存した熱酸化膜111および犠牲酸化膜114からなる犠牲酸化膜122が形成される。また、熱酸化膜111が第2絶縁膜119とシリコン基板102との間に残存することにより、第1絶縁膜123が形成される。
【0008】
次いで、PECVD法により、図4Gに示すように、シリコン基板102の一方側に、犠牲酸化膜122および第2絶縁膜119の表面全域を覆うように、窒化シリコンが堆積される。これにより、犠牲酸化膜114の凹部117に入り込むことによりシリコン基板102に突出する凸部109を複数有する表面膜107が形成される。
次いで、図4Hに示すように、表面膜107における孔106に対向する部分がエッチングされる。これにより、表面膜107に、バックプレート105の孔106に連通する孔118が形成される。
【0009】
一方、図4Hに示すように、熱酸化膜121におけるダイヤフラム104に対向する部分がエッチングされることにより、熱酸化膜121に開口120が形成される。
次いで、開口120を介してシリコン基板102の他方面にフッ酸を含むエッチング液が供給されて、シリコン基板102がエッチングされる。これにより、図4Iに示すように、シリコン基板102に、その他方面から一方面に貫通する音孔103が形成される。そして、孔116,118および音孔103を介して犠牲酸化膜122にフッ酸を含むエッチング液が供給されて、犠牲酸化膜122が除去される。その結果、ダイヤフラム104がシリコン基板102の一方面から浮いた状態になるとともに、ダイヤフラム104とバックプレート105との間に、微小な間隔の空隙110が形成される。なお、ダイヤフラム104は、図示しない位置において、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。また、犠牲酸化膜122の表面を被覆していた表面膜107は、犠牲酸化膜122の除去により、シリコン基板102の一方面との間に中空部分を有する状態で支持される中空支持膜となる。
【0010】
その後、シリコン基板102が各素子サイズに分割されることにより、シリコンマイク101が得られる。
そして、このシリコンマイク101において、ダイヤフラム104およびバックプレート105は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム104およびバックプレート105間)には、所定の電圧が印加される。
【0011】
その状態で、音孔103から音圧(音波)が入力されると、その音圧の作用により、ダイヤフラム104が振動して、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム104およびバックプレート105間の電圧変動が音声信号として出力される。
【特許文献1】特開2008−072580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
シリコンマイク101では、導電性のダイヤフラム104が空隙110内に露出している。そのため、静電気力などによりダイヤフラム104がバックプレート105へと引き付けられると、ダイヤフラム104とバックプレート105とが接触し、これらの間で短絡(ショート)が生じるおそれがある。
そこで、シリコンマイク101では、バックプレート105の孔106に表面膜107を部分的に入り込ませることにより、その先端がバックプレート105の下面よりもシリコン基板102側に位置するように突出する凸部109が形成されている。これにより、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触前に、凸部109がダイヤフラム104に当接するので、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触の防止が図られる。
【0013】
しかし、凸部109を形成するためには、バックプレート105の形成後、バックプレート105の孔106内に露出する犠牲酸化膜114を微細なパターンでエッチングすることにより、表面膜107を入り込ませる凹部117を形成する必要がある(図4F参照)。そして、このような微細なエッチング工程の追加を余儀なくされるため、シリコンマイク101の製造工程が複雑化するという不具合がある。
【0014】
一方、ダイヤフラム104に大きな張力を持たすことにより、ダイヤフラム104の振動幅を小さくし、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触を防止することも考えられる。しかし、ダイヤフラム104に大きな張力を持たせると、ダイヤフラム104が振動しにくくなり、シリコンマイク101の感度が低下する。
本発明の目的は、ダイヤフラムなどの振動膜の振動しやすさを確保しながら、振動膜とバックプレートなどの対向電極との接触による短絡を、簡単な構成で防止することのできるMEMSセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板と、前記基板の一方側において、前記基板に対して間隔を空けて対向配置され、その対向方向に振動可能な振動膜と、前記振動膜に対して前記基板と反対側において、前記振動膜に対して間隔を空けて対向配置された、導電性材料からなる対向電極とを含み、前記振動膜は、金属電極と、前記金属電極を被覆する樹脂材料膜とを備える、MEMSセンサである。
【0016】
この構成によれば、金属電極を有する振動膜および導電性材料からなる対向電極は、互いに間隔を空けて対向することにより、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。そして、一方の電極である振動膜では、導電性部分である金属電極が樹脂材料膜により被覆されている。
そのため、振動膜と対向電極とが接触しても、対向電極に対する金属電極の接触が、振動膜の表面をなす樹脂材料膜により阻止される。その結果、振動膜と対向電極との接触による短絡を防止することができる。また、振動膜および/または対向電極に、これらの対向方向に突出する凸部を形成する必要がないので、製造工程の複雑化を抑制することもできる。
【0017】
その一方で、金属電極が樹脂材料膜により被覆される構成では、振動膜を金属材料のみで同じ厚さで形成した場合と比較して振動しやすい。よって、振動膜の振動しやすさを確保しながら、振動膜と対向電極との接触による短絡を防止することができる。
また、金属電極が樹脂材料膜により被覆されているので、自然酸化などによる金属電極の腐食(劣化)を抑制することもできる。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、前記振動膜は、前記金属電極が配置されるメイン部と、前記メイン部の周縁における複数の各位置から前記基板の表面に沿う方向に延びる支持部とを有する、請求項1に記載のMEMSセンサである。
たとえば、図4Iに示すシリコンマイク101では、シリコンマイク101のコンデンサ部分の一方の対向電極を構成するダイヤフラム104は、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。このように、張力のかからない片持ち支持によりダイヤフラム104を支持することによって、ダイヤフラム104の振動幅を大きくし、コンデンサの感度を向上させるという考え方がある。しかし、張力のかかっていないダイヤフラム104は、静電気力などによりバックプレート105に引き付けられやすい。
【0019】
一方、請求項2記載の発明によれば、振動膜のメイン部が複数の支持部で複数持ち支持されており、振動膜に対して適度な張力がかけられている。そのため、対向電極への振動膜の引き付けを抑制することができる。その結果、対向電極と振動膜との接触を抑制することができる。
また、請求項3記載の発明は、前記樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる、請求項1または2に記載のMEMSセンサである。
【0020】
この構成によれば、樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる。そのため、感光性有機材料を所定のパターンにパターニングすることにより、樹脂材料膜を簡単に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の一実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。また、図2は、図1に示すダイヤフラムの模式的な平面図である。
シリコンマイク1は、シリコン基板2を備えている。シリコン基板2には、上面側(一方側)ほど窄まる(下面側ほど広がる)断面台形状の音孔3が形成されている。また、シリコン基板2上には、第1絶縁膜4が積層されている。第1絶縁膜4は、たとえば、酸化シリコンからなる。
【0022】
第1絶縁膜4上には、第2絶縁膜5が積層されている。第2絶縁膜5は、たとえば、窒化シリコンからなる。
第1絶縁膜4および第2絶縁膜5は、音孔3およびシリコン基板2の上面における音孔3の周囲の部分(以下、この部分を「貫通孔周辺部」という。)上から除去されている。これにより、貫通孔周辺部は、第1絶縁膜4および第2絶縁膜5から露出している。
【0023】
そして、シリコンマイク1は、シリコン基板2の貫通孔周辺部上に設けられたセンサ部6と、センサ部6の側方に設けられたパッド部7とを有している。
センサ部6は、シリコン基板2の上面側(一方側)において、シリコン基板2の上面(一方面)の上方に間隔を空けて対向配置された薄膜状のダイヤフラム8と、このダイヤフラム8に対して間隔を空けて対向配置されたメッシュ薄膜状のバックプレート9とを備えている。
【0024】
振動膜としてのダイヤフラム8は、薄膜状の金属電極10と、金属電極10を被覆する樹脂材料膜としてのダイヤフラム被覆膜11とを有している。
金属電極10は、たとえば、延性に富む金属からなり、具体的には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム−銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、金(Au)、チタニウムタングステン(TiW)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などからなる。また、金属電極10の厚さは、たとえば、0.1〜1μm、好ましくは、0.3〜0.5μmである。
【0025】
ダイヤフラム被覆膜11は、たとえば、感光性有機樹脂材料からなり、具体的には、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などからなる。また、ダイヤフラム被覆膜11は、金属電極10を下方から覆う下被覆膜12と、金属電極10を上方から覆う上被覆膜13とを有している。これにより、ダイヤフラム8は、薄膜状の金属電極10が上被覆膜13および下被覆膜12により上下方向から挟まれた3層構造を有している。そして、このような3層構造のダイヤフラム8の全体の厚さは、たとえば、0.5〜2μm、好ましくは、0.7〜1μmである。
【0026】
また、ダイヤフラム8は、金属電極10を収容するメイン部14および3つの支持部15を一体的に有している。
メイン部14は、平面視円形状をなし、音孔3および貫通孔周辺部に対向して、貫通孔周辺部から浮いた状態に配置されている。
3つの支持部15は、メイン部14の周縁における3つの各位置からシリコン基板2の上面に沿う方向(側方)に延びている。また、3つの支持部15は、それぞれメイン部14の中心の周りに互いに角度αだけ離れた3つの位置に配置されている。言い換えれば、3つの支持部15は、隣接する一方の支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線L1および他方の支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線L2(もしくは、直線L3)が約120°の角度をなすように配置されている。そして、3つの支持部のうち、2つの支持部15は、その先端部が、図示しない位置において第1絶縁膜4と第2絶縁膜5との間に進入し、第1絶縁膜4および第2絶縁膜5に支持されている。一方、残り1つの支持部15は、下配線部20(後述)と一体的に形成され、下配線部20(後述)に支持されている。メイン部14が3つの支持部15に支持されることにより、ダイヤフラム8は、その外方へ張力のかかった状態で、シリコン基板2の上面と対向する方向に振動可能とされている。
【0027】
対向電極としてのバックプレート9は、導電性材料(たとえば、アルミニウム)からなり、その厚さは、たとえば、0.3〜1μm、好ましくは、0.3〜0.5μmである。また、バックプレート9は、バックプレート被覆膜16により被覆されている。
バックプレート被覆膜16は、たとえば、窒化シリコンからなり、バックプレート9を下方から覆い、第2絶縁膜5と一体的に形成された下被覆膜17と、バックプレート9を上方から覆う上被覆膜18とを有している。また、バックプレート被覆膜16には、バックプレート9が有する各孔と対向する位置に、微細な孔19が厚さ方向に貫通(上被覆膜18および下被覆膜17を貫通)して形成されている。
【0028】
パッド部7は、下配線部20、上配線部21およびパッシベーション膜22を備えている。
下配線部20は、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25を有している。
第3絶縁膜23は、下被覆膜12と同じ材料である感光性有機樹脂材料からなり、第1絶縁膜4上に積層されている。
【0029】
下配線24は、金属電極10と同じ材料である延性に富む金属からなり、第3絶縁膜23上に形成されている。
第4絶縁膜25は、上被覆膜13と同じ材料である感光性有機樹脂材料からなり、下配線24上に積層されている。
そして、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25は、ダイヤフラム8の1つの支持部15における下被覆膜12、金属電極10および上被覆膜13とそれぞれ一体的に形成されている。これにより、下配線部20は、ダイヤフラム8の3つの支持部15のうちの1つと一体的に形成され、ダイヤフラム8を支持している。
【0030】
上配線部21は、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28を有している。
第5絶縁膜26は、下被覆膜17と同じ材料である窒化シリコンからなり、下被覆膜17と一体的に形成されている。
上配線27は、バックプレート9と同じ材料であるアルミニウムからなり、バックプレート9に接続されている。
【0031】
パッド28は、バックプレート9および上配線27と同じ材料であるアルミニウムからなる。第5絶縁膜26および第4絶縁膜25には、下配線24を部分的に露出させるための開口29が形成されている。パッド28は、開口29内において下配線24を覆い、その周縁部が第5絶縁膜26上に乗り上げた状態に形成されている。
パッシベーション膜22は、上被覆膜18と同じ材料である窒化シリコンからなる。パッシベーション膜22は、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28の周縁部を覆い、パッド28の中央部(下配線24と接する部分)を露出させるためのパッド開口30を有している。また、パッシベーション膜22は、上被覆膜18と一体に形成されており、上被覆膜18を支持している。
【0032】
このシリコンマイク1において、ダイヤフラム8およびバックプレート9は、所定間隔の空隙31を挟んで対向し、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム8およびバックプレート9間)には、所定の電圧が印加される。その状態で、音圧(音波)によりダイヤフラム8が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム8およびバックプレート9間の電圧変動が音声信号として、パッド28から取り出される(出力される)。
【0033】
図3A〜図3Nは、図1に示すシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
図1のシリコンマイク1を製造するには、まず、図3Aに示すように、熱酸化処理により、シリコン基板2の上面全域に、第1絶縁膜4が積層される。次いで、第1絶縁膜4の上面全域に下被覆膜12および第3絶縁膜23の材料(感光性有機樹脂材料)が塗布される。そして、塗布された材料が、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、パターニングされる。これにより、図3Aに示すように、第1絶縁膜4上に下被覆膜12および第3絶縁膜23が同時に形成される。
【0034】
次いで、図3Bに示すように、スパッタ法により、第1絶縁膜4上に、金属電極10および下配線24の材料である金属材料32が堆積される。金属材料32は、下被覆膜12および第3絶縁膜23を覆い尽くす厚さで堆積される。
続いて、図3Cに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、金属材料32における下被覆膜12および第3絶縁膜23上の部分以外の部分が除去される。これにより、下被覆膜12上に金属電極10が形成されるとともに、第3絶縁膜23上に下配線24が形成される。
【0035】
次いで、図3Dに示すように、第1絶縁膜4上に、金属電極10および下配線24を覆い尽くすように、上被覆膜13および第4絶縁膜25の材料である感光性有機樹脂材料33が塗布される。
次いで、図3Eに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、感光性有機樹脂材料33が選択的に除去されることにより、金属電極10の上面ならびに下被覆膜12および金属電極10の側方を被覆する上被覆膜13が形成される。これにより、金属電極10が、下被覆膜12および上被覆膜13からなるダイヤフラム被覆膜11に被覆されてなるダイヤフラム8が形成される。
【0036】
また、感光性有機樹脂材料33が選択的に除去されることにより、下配線24の上面ならびに第3絶縁膜23および下配線24の側方を被覆する第4絶縁膜25が形成される。これにより、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25からなる下配線部20が、ダイヤフラム8と同時に形成される。
次いで、図3Fに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1絶縁膜4上の全域に、酸化シリコンが堆積される。そして、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、堆積された酸化シリコンにおける下配線部20を被覆する部分が選択的に除去される。これにより、酸化シリコンにおけるダイヤフラム8を被覆する部分が残存し、この残存した部分と、当該残存部分およびダイヤフラム8下方の第1絶縁膜4の一部とが犠牲酸化膜34として形成される。
【0037】
次いで、図3Gに示すように、CVD法により、第1絶縁膜4上の全域に、窒化シリコンが堆積される。これにより、犠牲酸化膜34を被覆する下被覆膜17、下配線部20を被覆する第5絶縁膜26および第2絶縁膜5が同時に形成される。その後、図3Gに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、第5絶縁膜26および第4絶縁膜25が所定パターンに連続してエッチングされる。これにより、下配線24を露出させる開口29が形成される。
【0038】
次いで、図3Hに示すように、スパッタ法により、バックプレート9およびパッド28の材料(アルミニウム)が堆積される。次いで、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、堆積されたアルミニウムがパターニングされる。これにより、図3Hに示すように、メッシュ薄膜状のバックプレート9、上配線27およびパッド28が同時に形成される。こうして、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28からなる上配線部21が形成される。
【0039】
次いで、図3Iに示すように、CVD法により、第1絶縁膜4上の全域に、バックプレート9、上配線27およびパッド28を覆い尽くすように、窒化シリコンが堆積される。これにより、バックプレート9の上面および側面を被覆する上被覆膜18が形成され、下被覆膜17および上被覆膜18からなるバックプレート被覆膜16が形成される。
また、上配線部21を覆うパッシベーション膜22がバックプレート被覆膜16と同時に形成される。
【0040】
次いで、図3Jに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、バックプレート被覆膜16がパターニングされる。これにより、下被覆膜17および上被覆膜18におけるバックプレート9の孔に対応する部分が除去されて、バックプレート被覆膜16を貫通する孔19が形成される。また、図3Jに示すように、シリコン基板2の下面にフォトレジスト35が塗布される。そして、フォトレジスト35がパターニングされることにより、シリコン基板2における音孔3を形成すべき領域を露出させる開口36が形成される。
【0041】
続いて、図3Kに示すように、開口36からエッチング液(たとえば、フッ酸)が供給されることにより、シリコン基板2が下面側からエッチングされる。これにより、シリコン基板2を下面側から上面側に貫通する音孔3が形成される。
次いで、図3Lに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、パッシベーション膜22のパッド28上の部分が除去される。これにより、パッド28を露出させるパッド開口30が形成される。
【0042】
そして、図3Mに示すように、音孔3および孔19を介して犠牲酸化膜34にエッチング液(たとえば、フッ酸)が供給されて、犠牲酸化膜34がシリコン基板2の上下両側から除去される。これにより、ダイヤフラム8がシリコン基板2の上面から浮いた状態になるとともに、ダイヤフラム8とバックプレート9との間に、微小な間隔の空隙31が形成される。犠牲酸化膜34の除去後、フォトレジスト35が除去される。
【0043】
こうして、図3Nに示すように、センサ部6およびパッド部7を有するシリコンマイク1が得られる。
以上のように、このシリコンマイク1において、空隙31を挟んで対向するダイヤフラム8およびバックプレート9は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。そして、コンデンサにおける一方の電極であるダイヤフラム8では、導電性部分である金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆されている。
【0044】
そのため、ダイヤフラム8とバックプレート9とが接触しても、バックプレート9に対する金属電極10の接触が、ダイヤフラム8の表面をなすダイヤフラム被覆膜11により阻止される。その結果、ダイヤフラム8とバックプレート9との接触による短絡を防止することができる。また、ダイヤフラム8および/またはバックプレート9に、これらの対向方向に突出する凸部を形成する必要がないので、シリコンマイク1の製造工程の複雑化を抑制することもできる。
【0045】
その一方で、金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆される構成では、ダイヤフラムを金属材料のみで同じ厚さで形成した場合と比較して振動しやすい。たとえば、シリコンマイク1では、ダイヤフラム8が、延性に富む金属からなる薄膜状(たとえば、厚さ0.3〜1μm)の金属電極10を、(感光性)有機樹脂材料膜からなるダイヤフラム被覆膜11により被覆した薄膜電極である。そのため、ダイヤフラム8の振動幅を、ダイヤフラム8と同じ厚さの金属材料のみで形成されたダイヤフラムよりも大きくすることができる。その結果、シリコンマイク1(コンデンサ)の感度を向上させることができる。よって、ダイヤフラム8の振動しやすさを確保しながら、ダイヤフラム8とバックプレート9との接触による短絡を防止することができる。
【0046】
また、金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆されているので、自然酸化などによる金属電極10の腐食(劣化)を抑制することもできる。
また、たとえば、図4Iに示すシリコンマイク101では、シリコンマイク101のコンデンサ部分の一方の対向電極を構成するダイヤフラム104は、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。このように、張力のかからない片持ち支持によりダイヤフラム104を支持することによって、ダイヤフラム104の振動幅を大きくし、コンデンサの感度を向上させるという考え方がある。しかし、張力のかかっていないダイヤフラム104は、静電気力などによりバックプレート105に引き付けられやすい。
【0047】
一方、シリコンマイク1によれば、ダイヤフラム8のメイン部14が3つの支持部15により3点支持されており、ダイヤフラム8に対して適度な張力がかけられている。そのため、バックプレート9へのダイヤフラム8の引き付けを抑制することができる。その結果、バックプレート9とダイヤフラム8との接触を抑制することができる。
さらに、ダイヤフラム被覆膜11が感光性有機樹脂材料からなる。そのため、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、下被覆膜12の材料をパターニングする工程(図3A参照)および上被覆膜13の材料である感光性有機樹脂材料33をパターニングする工程(図3E参照)を実行することによって、ダイヤフラム被覆膜11を簡単に形成することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、バックプレート被覆膜16の下被覆膜17は、省略されていてもよい。つまり、バックプレート9は、その下面が露出している構成であってもよい。
また、ダイヤフラム8は、1つの支持部15が1点で支持されることにより、片持ち支持されていてもよい。また、ダイヤフラム8は、2つの支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線のなす角度が180°となるように、2つの支持部15が一直線上に配置されることにより、メイン部14を挟んで相対する方向に張力のかかった状態で支持(2点支持)されていてもよい。さらに、ダイヤフラム8は、支持部15の数を、4つ、5つ、6つ・・・とすることにより、4点支持、5点支持、6点支持などさらに数の多い複数点で支持されていてもよい。
また、たとえば、MEMSセンサの一例として、シリコンマイクを取り上げたが、本発明は、シリコンマイクに限らず、物体の加速度を検出するための加速度センサおよび物体の角速度を検出するためのジャイロセンサなどに適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。
【図2】図1に示すダイヤフラムの模式的な平面図である。
【図3A】図1に示すシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【図3B】図3Aの次の工程を示す断面図である。
【図3C】図3Bの次の工程を示す断面図である。
【図3D】図3Cの次の工程を示す断面図である。
【図3E】図3Dの次の工程を示す断面図である。
【図3F】図3Eの次の工程を示す断面図である。
【図3G】図3Fの次の工程を示す断面図である。
【図3H】図3Gの次の工程を示す断面図である。
【図3I】図3Hの次の工程を示す断面図である。
【図3J】図3Iの次の工程を示す断面図である。
【図3K】図3Jの次の工程を示す断面図である。
【図3L】図3Kの次の工程を示す断面図である。
【図3M】図3Lの次の工程を示す断面図である。
【図3N】図3Mの次の工程を示す断面図である。
【図4A】従来のシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【図4B】図4Aの次の工程を示す断面図である。
【図4C】図4Bの次の工程を示す断面図である。
【図4D】図4Cの次の工程を示す断面図である。
【図4E】図4Dの次の工程を示す断面図である。
【図4F】図4Eの次の工程を示す断面図である。
【図4G】図4Fの次の工程を示す断面図である。
【図4H】図4Gの次の工程を示す断面図である。
【図4I】図4Hの次の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 シリコンマイク
2 シリコン基板
8 ダイヤフラム(振動膜)
9 バックプレート(対向電極)
10 金属電極
11 ダイヤフラム被覆膜(樹脂材料膜)
14 メイン部
15 支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を応用したデバイスが携帯電話機などに搭載され始めたことから、MEMSセンサの注目度が急激に高まっている。MEMSセンサの代表的なものとして、たとえば、シリコンマイクがある。
図4A〜図4Iは、従来のシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【0003】
従来のシリコンマイクの製造に際しては、まず、図4Aに示すように、熱酸化処理により、シリコン基板102の一方面および他方面に、熱酸化膜111および熱酸化膜121がそれぞれ形成される。
次いで、図4Bに示すように、熱酸化膜111が一方側からエッチングされることにより、熱酸化膜111に、複数の凹部112が形成される。
【0004】
次に、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:減圧化学気相成長)法により、熱酸化膜111および熱酸化膜121の表面全域を覆うようにポリシリコンが堆積される。そして、熱酸化膜111を覆うポリシリコンは、不純物がドープされた後、凹部112に入り込んだ部分を包含する所定部分以外の部分が除去される。これにより、図4Cに示すように、熱酸化膜111上には、凹部112に入り込むことによりシリコン基板102に突出する凸部108を複数有するダイヤフラム104が形成される。一方、熱酸化膜121上には、図4Cに示すように、堆積されたままのポリシリコンからなるポリシリコン膜113が形成される。
【0005】
続いて、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマ化学気相成長)法により、シリコン基板102の一方側に、ダイヤフラム104を被覆するように酸化シリコンが堆積される。そして、この酸化シリコンの不要部分が、エッチングにより除去される。これにより、図4Dに示すように、ダイヤフラム104を被覆する犠牲酸化膜114およびダイヤフラム104を取り囲む第2絶縁膜119が形成される。
【0006】
次いで、LPCVD法により、シリコン基板102の一方側および他方側に、ポリシリコンが堆積される。そして、シリコン基板102の一方側に堆積されたポリシリコンは、不純物がドープされた後、パターニングされる。これにより、図4Eに示すように、シリコン基板102の一方側には、犠牲酸化膜114上に、多数の孔106を有するバックプレート105が形成される。一方、シリコン基板102の他方側には、図4Eに示すように、堆積されたポリシリコンとポリシリコン膜113とが一体化してなる、ポリシリコン膜115が形成される。
【0007】
次に、図4Fに示すように、孔106を介して犠牲酸化膜114がエッチングされることにより、犠牲酸化膜114に、複数の凹部117が形成される。そして、図4Fに示すように、犠牲酸化膜114および第2絶縁膜119から露出する熱酸化膜111が除去される。これにより、犠牲酸化膜114とシリコン基板102との間に残存した熱酸化膜111および犠牲酸化膜114からなる犠牲酸化膜122が形成される。また、熱酸化膜111が第2絶縁膜119とシリコン基板102との間に残存することにより、第1絶縁膜123が形成される。
【0008】
次いで、PECVD法により、図4Gに示すように、シリコン基板102の一方側に、犠牲酸化膜122および第2絶縁膜119の表面全域を覆うように、窒化シリコンが堆積される。これにより、犠牲酸化膜114の凹部117に入り込むことによりシリコン基板102に突出する凸部109を複数有する表面膜107が形成される。
次いで、図4Hに示すように、表面膜107における孔106に対向する部分がエッチングされる。これにより、表面膜107に、バックプレート105の孔106に連通する孔118が形成される。
【0009】
一方、図4Hに示すように、熱酸化膜121におけるダイヤフラム104に対向する部分がエッチングされることにより、熱酸化膜121に開口120が形成される。
次いで、開口120を介してシリコン基板102の他方面にフッ酸を含むエッチング液が供給されて、シリコン基板102がエッチングされる。これにより、図4Iに示すように、シリコン基板102に、その他方面から一方面に貫通する音孔103が形成される。そして、孔116,118および音孔103を介して犠牲酸化膜122にフッ酸を含むエッチング液が供給されて、犠牲酸化膜122が除去される。その結果、ダイヤフラム104がシリコン基板102の一方面から浮いた状態になるとともに、ダイヤフラム104とバックプレート105との間に、微小な間隔の空隙110が形成される。なお、ダイヤフラム104は、図示しない位置において、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。また、犠牲酸化膜122の表面を被覆していた表面膜107は、犠牲酸化膜122の除去により、シリコン基板102の一方面との間に中空部分を有する状態で支持される中空支持膜となる。
【0010】
その後、シリコン基板102が各素子サイズに分割されることにより、シリコンマイク101が得られる。
そして、このシリコンマイク101において、ダイヤフラム104およびバックプレート105は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム104およびバックプレート105間)には、所定の電圧が印加される。
【0011】
その状態で、音孔103から音圧(音波)が入力されると、その音圧の作用により、ダイヤフラム104が振動して、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム104およびバックプレート105間の電圧変動が音声信号として出力される。
【特許文献1】特開2008−072580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
シリコンマイク101では、導電性のダイヤフラム104が空隙110内に露出している。そのため、静電気力などによりダイヤフラム104がバックプレート105へと引き付けられると、ダイヤフラム104とバックプレート105とが接触し、これらの間で短絡(ショート)が生じるおそれがある。
そこで、シリコンマイク101では、バックプレート105の孔106に表面膜107を部分的に入り込ませることにより、その先端がバックプレート105の下面よりもシリコン基板102側に位置するように突出する凸部109が形成されている。これにより、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触前に、凸部109がダイヤフラム104に当接するので、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触の防止が図られる。
【0013】
しかし、凸部109を形成するためには、バックプレート105の形成後、バックプレート105の孔106内に露出する犠牲酸化膜114を微細なパターンでエッチングすることにより、表面膜107を入り込ませる凹部117を形成する必要がある(図4F参照)。そして、このような微細なエッチング工程の追加を余儀なくされるため、シリコンマイク101の製造工程が複雑化するという不具合がある。
【0014】
一方、ダイヤフラム104に大きな張力を持たすことにより、ダイヤフラム104の振動幅を小さくし、ダイヤフラム104とバックプレート105との接触を防止することも考えられる。しかし、ダイヤフラム104に大きな張力を持たせると、ダイヤフラム104が振動しにくくなり、シリコンマイク101の感度が低下する。
本発明の目的は、ダイヤフラムなどの振動膜の振動しやすさを確保しながら、振動膜とバックプレートなどの対向電極との接触による短絡を、簡単な構成で防止することのできるMEMSセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板と、前記基板の一方側において、前記基板に対して間隔を空けて対向配置され、その対向方向に振動可能な振動膜と、前記振動膜に対して前記基板と反対側において、前記振動膜に対して間隔を空けて対向配置された、導電性材料からなる対向電極とを含み、前記振動膜は、金属電極と、前記金属電極を被覆する樹脂材料膜とを備える、MEMSセンサである。
【0016】
この構成によれば、金属電極を有する振動膜および導電性材料からなる対向電極は、互いに間隔を空けて対向することにより、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。そして、一方の電極である振動膜では、導電性部分である金属電極が樹脂材料膜により被覆されている。
そのため、振動膜と対向電極とが接触しても、対向電極に対する金属電極の接触が、振動膜の表面をなす樹脂材料膜により阻止される。その結果、振動膜と対向電極との接触による短絡を防止することができる。また、振動膜および/または対向電極に、これらの対向方向に突出する凸部を形成する必要がないので、製造工程の複雑化を抑制することもできる。
【0017】
その一方で、金属電極が樹脂材料膜により被覆される構成では、振動膜を金属材料のみで同じ厚さで形成した場合と比較して振動しやすい。よって、振動膜の振動しやすさを確保しながら、振動膜と対向電極との接触による短絡を防止することができる。
また、金属電極が樹脂材料膜により被覆されているので、自然酸化などによる金属電極の腐食(劣化)を抑制することもできる。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、前記振動膜は、前記金属電極が配置されるメイン部と、前記メイン部の周縁における複数の各位置から前記基板の表面に沿う方向に延びる支持部とを有する、請求項1に記載のMEMSセンサである。
たとえば、図4Iに示すシリコンマイク101では、シリコンマイク101のコンデンサ部分の一方の対向電極を構成するダイヤフラム104は、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。このように、張力のかからない片持ち支持によりダイヤフラム104を支持することによって、ダイヤフラム104の振動幅を大きくし、コンデンサの感度を向上させるという考え方がある。しかし、張力のかかっていないダイヤフラム104は、静電気力などによりバックプレート105に引き付けられやすい。
【0019】
一方、請求項2記載の発明によれば、振動膜のメイン部が複数の支持部で複数持ち支持されており、振動膜に対して適度な張力がかけられている。そのため、対向電極への振動膜の引き付けを抑制することができる。その結果、対向電極と振動膜との接触を抑制することができる。
また、請求項3記載の発明は、前記樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる、請求項1または2に記載のMEMSセンサである。
【0020】
この構成によれば、樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる。そのため、感光性有機材料を所定のパターンにパターニングすることにより、樹脂材料膜を簡単に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明の一実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。また、図2は、図1に示すダイヤフラムの模式的な平面図である。
シリコンマイク1は、シリコン基板2を備えている。シリコン基板2には、上面側(一方側)ほど窄まる(下面側ほど広がる)断面台形状の音孔3が形成されている。また、シリコン基板2上には、第1絶縁膜4が積層されている。第1絶縁膜4は、たとえば、酸化シリコンからなる。
【0022】
第1絶縁膜4上には、第2絶縁膜5が積層されている。第2絶縁膜5は、たとえば、窒化シリコンからなる。
第1絶縁膜4および第2絶縁膜5は、音孔3およびシリコン基板2の上面における音孔3の周囲の部分(以下、この部分を「貫通孔周辺部」という。)上から除去されている。これにより、貫通孔周辺部は、第1絶縁膜4および第2絶縁膜5から露出している。
【0023】
そして、シリコンマイク1は、シリコン基板2の貫通孔周辺部上に設けられたセンサ部6と、センサ部6の側方に設けられたパッド部7とを有している。
センサ部6は、シリコン基板2の上面側(一方側)において、シリコン基板2の上面(一方面)の上方に間隔を空けて対向配置された薄膜状のダイヤフラム8と、このダイヤフラム8に対して間隔を空けて対向配置されたメッシュ薄膜状のバックプレート9とを備えている。
【0024】
振動膜としてのダイヤフラム8は、薄膜状の金属電極10と、金属電極10を被覆する樹脂材料膜としてのダイヤフラム被覆膜11とを有している。
金属電極10は、たとえば、延性に富む金属からなり、具体的には、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム−銅合金(Al−Cu)、銅(Cu)、金(Au)、チタニウムタングステン(TiW)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)などからなる。また、金属電極10の厚さは、たとえば、0.1〜1μm、好ましくは、0.3〜0.5μmである。
【0025】
ダイヤフラム被覆膜11は、たとえば、感光性有機樹脂材料からなり、具体的には、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などからなる。また、ダイヤフラム被覆膜11は、金属電極10を下方から覆う下被覆膜12と、金属電極10を上方から覆う上被覆膜13とを有している。これにより、ダイヤフラム8は、薄膜状の金属電極10が上被覆膜13および下被覆膜12により上下方向から挟まれた3層構造を有している。そして、このような3層構造のダイヤフラム8の全体の厚さは、たとえば、0.5〜2μm、好ましくは、0.7〜1μmである。
【0026】
また、ダイヤフラム8は、金属電極10を収容するメイン部14および3つの支持部15を一体的に有している。
メイン部14は、平面視円形状をなし、音孔3および貫通孔周辺部に対向して、貫通孔周辺部から浮いた状態に配置されている。
3つの支持部15は、メイン部14の周縁における3つの各位置からシリコン基板2の上面に沿う方向(側方)に延びている。また、3つの支持部15は、それぞれメイン部14の中心の周りに互いに角度αだけ離れた3つの位置に配置されている。言い換えれば、3つの支持部15は、隣接する一方の支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線L1および他方の支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線L2(もしくは、直線L3)が約120°の角度をなすように配置されている。そして、3つの支持部のうち、2つの支持部15は、その先端部が、図示しない位置において第1絶縁膜4と第2絶縁膜5との間に進入し、第1絶縁膜4および第2絶縁膜5に支持されている。一方、残り1つの支持部15は、下配線部20(後述)と一体的に形成され、下配線部20(後述)に支持されている。メイン部14が3つの支持部15に支持されることにより、ダイヤフラム8は、その外方へ張力のかかった状態で、シリコン基板2の上面と対向する方向に振動可能とされている。
【0027】
対向電極としてのバックプレート9は、導電性材料(たとえば、アルミニウム)からなり、その厚さは、たとえば、0.3〜1μm、好ましくは、0.3〜0.5μmである。また、バックプレート9は、バックプレート被覆膜16により被覆されている。
バックプレート被覆膜16は、たとえば、窒化シリコンからなり、バックプレート9を下方から覆い、第2絶縁膜5と一体的に形成された下被覆膜17と、バックプレート9を上方から覆う上被覆膜18とを有している。また、バックプレート被覆膜16には、バックプレート9が有する各孔と対向する位置に、微細な孔19が厚さ方向に貫通(上被覆膜18および下被覆膜17を貫通)して形成されている。
【0028】
パッド部7は、下配線部20、上配線部21およびパッシベーション膜22を備えている。
下配線部20は、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25を有している。
第3絶縁膜23は、下被覆膜12と同じ材料である感光性有機樹脂材料からなり、第1絶縁膜4上に積層されている。
【0029】
下配線24は、金属電極10と同じ材料である延性に富む金属からなり、第3絶縁膜23上に形成されている。
第4絶縁膜25は、上被覆膜13と同じ材料である感光性有機樹脂材料からなり、下配線24上に積層されている。
そして、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25は、ダイヤフラム8の1つの支持部15における下被覆膜12、金属電極10および上被覆膜13とそれぞれ一体的に形成されている。これにより、下配線部20は、ダイヤフラム8の3つの支持部15のうちの1つと一体的に形成され、ダイヤフラム8を支持している。
【0030】
上配線部21は、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28を有している。
第5絶縁膜26は、下被覆膜17と同じ材料である窒化シリコンからなり、下被覆膜17と一体的に形成されている。
上配線27は、バックプレート9と同じ材料であるアルミニウムからなり、バックプレート9に接続されている。
【0031】
パッド28は、バックプレート9および上配線27と同じ材料であるアルミニウムからなる。第5絶縁膜26および第4絶縁膜25には、下配線24を部分的に露出させるための開口29が形成されている。パッド28は、開口29内において下配線24を覆い、その周縁部が第5絶縁膜26上に乗り上げた状態に形成されている。
パッシベーション膜22は、上被覆膜18と同じ材料である窒化シリコンからなる。パッシベーション膜22は、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28の周縁部を覆い、パッド28の中央部(下配線24と接する部分)を露出させるためのパッド開口30を有している。また、パッシベーション膜22は、上被覆膜18と一体に形成されており、上被覆膜18を支持している。
【0032】
このシリコンマイク1において、ダイヤフラム8およびバックプレート9は、所定間隔の空隙31を挟んで対向し、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。このコンデンサ(ダイヤフラム8およびバックプレート9間)には、所定の電圧が印加される。その状態で、音圧(音波)によりダイヤフラム8が振動すると、コンデンサの静電容量が変化し、この静電容量の変化によるダイヤフラム8およびバックプレート9間の電圧変動が音声信号として、パッド28から取り出される(出力される)。
【0033】
図3A〜図3Nは、図1に示すシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
図1のシリコンマイク1を製造するには、まず、図3Aに示すように、熱酸化処理により、シリコン基板2の上面全域に、第1絶縁膜4が積層される。次いで、第1絶縁膜4の上面全域に下被覆膜12および第3絶縁膜23の材料(感光性有機樹脂材料)が塗布される。そして、塗布された材料が、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、パターニングされる。これにより、図3Aに示すように、第1絶縁膜4上に下被覆膜12および第3絶縁膜23が同時に形成される。
【0034】
次いで、図3Bに示すように、スパッタ法により、第1絶縁膜4上に、金属電極10および下配線24の材料である金属材料32が堆積される。金属材料32は、下被覆膜12および第3絶縁膜23を覆い尽くす厚さで堆積される。
続いて、図3Cに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、金属材料32における下被覆膜12および第3絶縁膜23上の部分以外の部分が除去される。これにより、下被覆膜12上に金属電極10が形成されるとともに、第3絶縁膜23上に下配線24が形成される。
【0035】
次いで、図3Dに示すように、第1絶縁膜4上に、金属電極10および下配線24を覆い尽くすように、上被覆膜13および第4絶縁膜25の材料である感光性有機樹脂材料33が塗布される。
次いで、図3Eに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、感光性有機樹脂材料33が選択的に除去されることにより、金属電極10の上面ならびに下被覆膜12および金属電極10の側方を被覆する上被覆膜13が形成される。これにより、金属電極10が、下被覆膜12および上被覆膜13からなるダイヤフラム被覆膜11に被覆されてなるダイヤフラム8が形成される。
【0036】
また、感光性有機樹脂材料33が選択的に除去されることにより、下配線24の上面ならびに第3絶縁膜23および下配線24の側方を被覆する第4絶縁膜25が形成される。これにより、第3絶縁膜23、下配線24および第4絶縁膜25からなる下配線部20が、ダイヤフラム8と同時に形成される。
次いで、図3Fに示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1絶縁膜4上の全域に、酸化シリコンが堆積される。そして、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、堆積された酸化シリコンにおける下配線部20を被覆する部分が選択的に除去される。これにより、酸化シリコンにおけるダイヤフラム8を被覆する部分が残存し、この残存した部分と、当該残存部分およびダイヤフラム8下方の第1絶縁膜4の一部とが犠牲酸化膜34として形成される。
【0037】
次いで、図3Gに示すように、CVD法により、第1絶縁膜4上の全域に、窒化シリコンが堆積される。これにより、犠牲酸化膜34を被覆する下被覆膜17、下配線部20を被覆する第5絶縁膜26および第2絶縁膜5が同時に形成される。その後、図3Gに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、第5絶縁膜26および第4絶縁膜25が所定パターンに連続してエッチングされる。これにより、下配線24を露出させる開口29が形成される。
【0038】
次いで、図3Hに示すように、スパッタ法により、バックプレート9およびパッド28の材料(アルミニウム)が堆積される。次いで、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、堆積されたアルミニウムがパターニングされる。これにより、図3Hに示すように、メッシュ薄膜状のバックプレート9、上配線27およびパッド28が同時に形成される。こうして、第5絶縁膜26、上配線27およびパッド28からなる上配線部21が形成される。
【0039】
次いで、図3Iに示すように、CVD法により、第1絶縁膜4上の全域に、バックプレート9、上配線27およびパッド28を覆い尽くすように、窒化シリコンが堆積される。これにより、バックプレート9の上面および側面を被覆する上被覆膜18が形成され、下被覆膜17および上被覆膜18からなるバックプレート被覆膜16が形成される。
また、上配線部21を覆うパッシベーション膜22がバックプレート被覆膜16と同時に形成される。
【0040】
次いで、図3Jに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、バックプレート被覆膜16がパターニングされる。これにより、下被覆膜17および上被覆膜18におけるバックプレート9の孔に対応する部分が除去されて、バックプレート被覆膜16を貫通する孔19が形成される。また、図3Jに示すように、シリコン基板2の下面にフォトレジスト35が塗布される。そして、フォトレジスト35がパターニングされることにより、シリコン基板2における音孔3を形成すべき領域を露出させる開口36が形成される。
【0041】
続いて、図3Kに示すように、開口36からエッチング液(たとえば、フッ酸)が供給されることにより、シリコン基板2が下面側からエッチングされる。これにより、シリコン基板2を下面側から上面側に貫通する音孔3が形成される。
次いで、図3Lに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、パッシベーション膜22のパッド28上の部分が除去される。これにより、パッド28を露出させるパッド開口30が形成される。
【0042】
そして、図3Mに示すように、音孔3および孔19を介して犠牲酸化膜34にエッチング液(たとえば、フッ酸)が供給されて、犠牲酸化膜34がシリコン基板2の上下両側から除去される。これにより、ダイヤフラム8がシリコン基板2の上面から浮いた状態になるとともに、ダイヤフラム8とバックプレート9との間に、微小な間隔の空隙31が形成される。犠牲酸化膜34の除去後、フォトレジスト35が除去される。
【0043】
こうして、図3Nに示すように、センサ部6およびパッド部7を有するシリコンマイク1が得られる。
以上のように、このシリコンマイク1において、空隙31を挟んで対向するダイヤフラム8およびバックプレート9は、それらを対向電極とするコンデンサを形成している。そして、コンデンサにおける一方の電極であるダイヤフラム8では、導電性部分である金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆されている。
【0044】
そのため、ダイヤフラム8とバックプレート9とが接触しても、バックプレート9に対する金属電極10の接触が、ダイヤフラム8の表面をなすダイヤフラム被覆膜11により阻止される。その結果、ダイヤフラム8とバックプレート9との接触による短絡を防止することができる。また、ダイヤフラム8および/またはバックプレート9に、これらの対向方向に突出する凸部を形成する必要がないので、シリコンマイク1の製造工程の複雑化を抑制することもできる。
【0045】
その一方で、金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆される構成では、ダイヤフラムを金属材料のみで同じ厚さで形成した場合と比較して振動しやすい。たとえば、シリコンマイク1では、ダイヤフラム8が、延性に富む金属からなる薄膜状(たとえば、厚さ0.3〜1μm)の金属電極10を、(感光性)有機樹脂材料膜からなるダイヤフラム被覆膜11により被覆した薄膜電極である。そのため、ダイヤフラム8の振動幅を、ダイヤフラム8と同じ厚さの金属材料のみで形成されたダイヤフラムよりも大きくすることができる。その結果、シリコンマイク1(コンデンサ)の感度を向上させることができる。よって、ダイヤフラム8の振動しやすさを確保しながら、ダイヤフラム8とバックプレート9との接触による短絡を防止することができる。
【0046】
また、金属電極10がダイヤフラム被覆膜11により被覆されているので、自然酸化などによる金属電極10の腐食(劣化)を抑制することもできる。
また、たとえば、図4Iに示すシリコンマイク101では、シリコンマイク101のコンデンサ部分の一方の対向電極を構成するダイヤフラム104は、第1絶縁膜123および第2絶縁膜119により片持ち支持されている。このように、張力のかからない片持ち支持によりダイヤフラム104を支持することによって、ダイヤフラム104の振動幅を大きくし、コンデンサの感度を向上させるという考え方がある。しかし、張力のかかっていないダイヤフラム104は、静電気力などによりバックプレート105に引き付けられやすい。
【0047】
一方、シリコンマイク1によれば、ダイヤフラム8のメイン部14が3つの支持部15により3点支持されており、ダイヤフラム8に対して適度な張力がかけられている。そのため、バックプレート9へのダイヤフラム8の引き付けを抑制することができる。その結果、バックプレート9とダイヤフラム8との接触を抑制することができる。
さらに、ダイヤフラム被覆膜11が感光性有機樹脂材料からなる。そのため、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、下被覆膜12の材料をパターニングする工程(図3A参照)および上被覆膜13の材料である感光性有機樹脂材料33をパターニングする工程(図3E参照)を実行することによって、ダイヤフラム被覆膜11を簡単に形成することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、バックプレート被覆膜16の下被覆膜17は、省略されていてもよい。つまり、バックプレート9は、その下面が露出している構成であってもよい。
また、ダイヤフラム8は、1つの支持部15が1点で支持されることにより、片持ち支持されていてもよい。また、ダイヤフラム8は、2つの支持部15とメイン部14の中心とを結ぶ直線のなす角度が180°となるように、2つの支持部15が一直線上に配置されることにより、メイン部14を挟んで相対する方向に張力のかかった状態で支持(2点支持)されていてもよい。さらに、ダイヤフラム8は、支持部15の数を、4つ、5つ、6つ・・・とすることにより、4点支持、5点支持、6点支持などさらに数の多い複数点で支持されていてもよい。
また、たとえば、MEMSセンサの一例として、シリコンマイクを取り上げたが、本発明は、シリコンマイクに限らず、物体の加速度を検出するための加速度センサおよび物体の角速度を検出するためのジャイロセンサなどに適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るシリコンマイクの模式的な断面図である。
【図2】図1に示すダイヤフラムの模式的な平面図である。
【図3A】図1に示すシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【図3B】図3Aの次の工程を示す断面図である。
【図3C】図3Bの次の工程を示す断面図である。
【図3D】図3Cの次の工程を示す断面図である。
【図3E】図3Dの次の工程を示す断面図である。
【図3F】図3Eの次の工程を示す断面図である。
【図3G】図3Fの次の工程を示す断面図である。
【図3H】図3Gの次の工程を示す断面図である。
【図3I】図3Hの次の工程を示す断面図である。
【図3J】図3Iの次の工程を示す断面図である。
【図3K】図3Jの次の工程を示す断面図である。
【図3L】図3Kの次の工程を示す断面図である。
【図3M】図3Lの次の工程を示す断面図である。
【図3N】図3Mの次の工程を示す断面図である。
【図4A】従来のシリコンマイクの製造方法を工程順に示す模式的な断面図である。
【図4B】図4Aの次の工程を示す断面図である。
【図4C】図4Bの次の工程を示す断面図である。
【図4D】図4Cの次の工程を示す断面図である。
【図4E】図4Dの次の工程を示す断面図である。
【図4F】図4Eの次の工程を示す断面図である。
【図4G】図4Fの次の工程を示す断面図である。
【図4H】図4Gの次の工程を示す断面図である。
【図4I】図4Hの次の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 シリコンマイク
2 シリコン基板
8 ダイヤフラム(振動膜)
9 バックプレート(対向電極)
10 金属電極
11 ダイヤフラム被覆膜(樹脂材料膜)
14 メイン部
15 支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方側において、前記基板に対して間隔を空けて対向配置され、その対向方向に振動可能な振動膜と、
前記振動膜に対して前記基板と反対側において、前記振動膜に対して間隔を空けて対向配置された、導電性材料からなる対向電極とを含み、
前記振動膜は、金属電極と、前記金属電極を被覆する樹脂材料膜とを備える、MEMSセンサ。
【請求項2】
前記振動膜は、前記金属電極が配置されるメイン部と、前記メイン部の周縁における複数の各位置から前記基板の表面に沿う方向に延びる支持部とを有する、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる、請求項1または2に記載のMEMSセンサ。
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方側において、前記基板に対して間隔を空けて対向配置され、その対向方向に振動可能な振動膜と、
前記振動膜に対して前記基板と反対側において、前記振動膜に対して間隔を空けて対向配置された、導電性材料からなる対向電極とを含み、
前記振動膜は、金属電極と、前記金属電極を被覆する樹脂材料膜とを備える、MEMSセンサ。
【請求項2】
前記振動膜は、前記金属電極が配置されるメイン部と、前記メイン部の周縁における複数の各位置から前記基板の表面に沿う方向に延びる支持部とを有する、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記樹脂材料膜が、感光性有機材料からなる、請求項1または2に記載のMEMSセンサ。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【公開番号】特開2010−81192(P2010−81192A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245863(P2008−245863)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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