説明

N−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサアミド

【化1】


式(I)のN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサアミド化合物、化合物の製造方法、前記化合物を含む医薬組成物、ならびに高脂質血症、肥満症、およびII型糖尿病を治療するための医薬としての前記化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポリポタンパクB阻害活性と付随する脂質低下活性を有する新規なN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサアミド化合物に関する。本発明は、更に、このような化合物を製造するための方法、前記化合物を含んでなる医薬組成物、ならびに高脂質血症、肥満症およびII型糖尿病の治療用の医薬としての前記化合物の使用に関する。
【0002】
肥満症は、無数の深刻な健康問題、例えば糖尿病と心臓病の成人発症の原因である。加えて、体重の減量は増加しつつある割合の人口の間で強迫観念になりつつある。
【0003】
高コレステロール血症、特に低密度リポタンパク(この明細書では以降LDLと呼ぶ)および極低密度リポタンパク(この明細書では以降VLDLと呼ぶ)の増大した血漿濃度と関連したものと早発のアテローム性動脈硬化症および/または心臓血管の疾患の間の因果関係はいまでは広く認められている。しかしながら、高脂質血症の治療には、現在では限られた数の薬剤しか入手可能でない。
【0004】
高脂質血症の対応に主として使用される薬剤は、コレスチラミンおよびコレスチポールなどの胆汁酸封鎖樹脂、ベンザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、シプロフィブラートおよびゼムフィブロジルなどのフィブリン酸誘導体、ニコチン酸およびHMGCo−エンザイム−A還元酵素阻害剤などのコレステロール合成阻害剤を含む。効率が改善され、そして/あるいは上記の薬剤以外の機構経由で作用する新しい脂質低下剤に対する必要性がなお存在する。
【0005】
血漿リポタンパクは、脂質(コレステロール、トリグリセリド、リン脂質)とアポリポタンパクから形成される高分子量の水溶性複合体である。脂質の比率とアポリポタンパクのタイプの点で異なり、肝臓および/または腸中に起源を有する主要な5つの類のリポタンパクが密度(超遠心分離法により測定されるような)により定義されてきた。これらは、LDL、VLDL、中密度リポタンパク(この明細書では以降IDLと呼ぶ)、高密度リポタンパク(この明細書では以降HDLと呼ぶ)およびキロミクロンを含む。10種の主要ヒト血漿アポリポタンパクが同定された。VLDLは、肝臓により分泌され、アポリポタンパクB(この明細書では以降アポ−Bと呼ぶ)を含有するが、LDLへの分解をこうむり、LDLが全血清コレステロールの60〜70%を輸送する。アポ−BはLDLの主要タンパク成分でもある。血清中の増加したLDL−コレステロールは、過合成または減少した代謝によりアテローム性動脈硬化症の原因として関係付けられている。対照的に、高密度リポタンパク(この明細書では以降HDLと呼ぶ)は、アポリポタンパクAを含有するが、防御的な効果を有し、そして冠状動脈性心臓病のリスクと逆相関する。HDL/LDL比は、このように、個人の血漿脂質プロフィールのアテローム発生の潜在性を評価する便利な方法である。
【0006】
アポリポタンパク(アポ)Bの2つのイソ型のアポB−48およびアポB−100は、ヒトのリポタンパク代謝において重要なタンパクである、アポB−48は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル上でアポB−100のサイズの約48%であるように見えるためにそのように命名されており、ヒトの腸により合成される。アポB−48はキロミクロンの集合に必要であり、それゆえ食物脂肪の腸吸着において不可欠な役割を有する。アポB−100は、ヒトの肝臓中で産生されるが、VLDLの合成と分泌に必要とされる。LDLは、ヒト血漿中のコレステロールの約2/3を含有するが、VLDLの代謝生成物である。アポB−100は事実上LDLの唯一のタンパク成分である。血漿中のアポB−100とLDLコレステロールの上昇した濃度は、アテローム性冠状動脈疾患を進行させるための認識されたリスク因子である。
【0007】
多数の遺伝的および後天的な疾患は高脂質血症を生じることができる。これらは一次および二次の高脂血状態に分類可能である。二次の高脂質血症の最も普通な原因は、真性糖尿病、アルコール依存症、薬剤、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁うつ滞および過食症である。一次の高脂質血症は、また、普通の高コレステロール血症、家族性の合併高脂血症、家族性の高コレステロール血症、レムナント高脂血症、キロミクロン血症症候群および家族性の高トリグリセリド血症に分類されてきた。
【0008】
ミクロソームトリグリセリド転移タンパク(この明細書では以降MTPと呼ぶ)は、ホスファチジルコリンなどのリン脂質を優先することによりトリグリセリドおよびコレステリルエステルの輸送を触媒することが知られている。(非特許文献1)により無ベータリポタンパク血症を引き起こす欠陥はMTP遺伝子中にあるということが示された。このことは、LDLの前駆体のVLDLなどのアポB含有リポタンパクを合成するためには、MTPが必要とされるということを示す。それゆえ、MTP阻害剤は、VLDLとLDLの合成を阻害し、それによってヒトのVLDL、LDL、コレステロールおよびトリグリセリドのレベルを低下させるということになる。
【非特許文献1】D.Sharpら,Nature(1993)365:65
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的の一つは、肥満症またはアテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性動脈硬化症、更に一般的には虚血性心臓病、末梢血管疾患および脳血管疾患などのアテローム性動脈硬化症に関連する障害に罹っている患者に対する改善された治療を提供することである。本発明のもう一つの目的は、アテローム性動脈硬化症の退行を生じさせ、そして臨床的な結果、特に罹患率および死亡率を抑制することである。
【0010】
MTP阻害剤はWO−00/32582、WO−01/96327およびWO−02/20501で開示されている。
【0011】
本発明は、新規なN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサアミド化合物の類が選択的なMTP阻害剤として作用し、すなわち哺乳類の腸壁のレベルでMTPを選択的に遮断することができ、それゆえ医薬、すなわち高脂質血症を治療するための医薬として有望な候補であるという予期されなかった発見に基づく。加えて、本発明は、このようなN−アリールピペリジン置換ビフェニルカルボキサアミド化合物を製造するためのいくつかの方法、ならびにこのような化合物を含む医薬組成物を提供する。更には、本発明は、治療的に有効なN−アリールピペリジン置換ビフェニル−カルボキサアミド化合物の製造に有用な中間体であるある一定数の新規な化合物、ならびにこのような中間体を製造するための方法を提供する。終わりに、本発明は、治療的に有効な量の式(I)の化合物を哺乳類に投与することを含んでなる、アテローム性動脈硬化症、膵炎、肥満症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高脂質血症、糖尿病およびII型糖尿病から選択される症状を治療するための方法を提供する。
【0012】
本発明は、式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
の新規な化合物、これらのN−オキシド、医薬的に許容され得る酸付加塩および立体化学的異性体のファミリーに関する。式中、
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、またはハロであり;
nは整数0または1であり;
は炭素であり、そしてXは炭素であり;あるいはXは窒素であり、そしてXは炭素であり;
あるいはXは炭素であり、そしてXは窒素であり;
は炭素または窒素であり;
YはOまたはNR(ここで、Rは水素またはC1−4アルキルである)を表し;
は式
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、mは整数0、1または2であり;
ZはOまたはNHであり;
は水素、
1−6アルキル;
ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アリールまたはヘテロアリールにより置換されたC1−6アルキル;
1−4アルキル−O−C1−4アルキル;
1−4アルキル−S−C1−4アルキル;または
アリールであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、アリール、またはアリールにより置換されたC1−4アルキルである)の基を表し;
あるいはYがNRを表す場合には、基RおよびRはこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そして場合によりヒドロキシにより更に置換されていてもよい、ピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成し;
アリールはフェニル;C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ、2つあるいは3つの置換基により置換されたフェニル;またはベンゾ[1,3]ジオキソリルであり;
アリールはフェニル;C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ、2つあるいは3つの置換基により置換されたフェニルであり;そして
ヘテロアリールはイミダゾリル、チアゾリル、インドリル、またはピリジニルである。
【0017】
特記しない限り、前出の定義において、そしてこの明細書中これ以降で使用されるように、
−ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり;
−C1−4アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチルなどの1〜4個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖飽和炭化水素基を定義し;
−C1−6アルキルは、C1−4アルキル(この明細書で上記に定義されているように)、および例えば2−メチルブチル、n−ペンチル、ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチルなど、5または6個の炭素原子を有するこれらの高級同族体を含むように意図され;
−ポリハロC1−4アルキルは、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなど、2〜6個のハロゲン原子により置換されているC1−4アルキルとして定義され;
−C1−4アルキルアミノは、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノなど、1〜4個の炭素原子を有する2級アミノ基を定義し;
−ジ(C1−4アルキル)アミノは、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、N−メチル−N’−エチルアミノ、N−エチル−N’−プロピルアミノなど、1〜4個の炭素原子を有する3級アミノ基を定義する。
【0018】
この明細書で上記に挙げられているような医薬的に許容され得る酸付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に有効な非毒性の酸付加塩形を含んでなるように意図されている。好都合なこととしては、この医薬的に許容され得る酸付加塩は、このような適当な酸により処理することにより取得可能である。適当な酸は、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;または例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわち、エタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリシル酸、p−アミノサリシル酸、パモン酸および類似の酸などの有機酸を含んでなる。
【0019】
逆に、前記塩形態物は、適当な塩基により処理することにより遊離の塩基形態物に変換可能である。
【0020】
用語付加塩は、この明細書で上記に使用されているように、式(I)の化合物、ならびにこれらの塩が形成することができる溶媒和物も含んでなる。このような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0021】
式(I)の化合物のN−オキシド形態物は、当業界で既知の方法で製造され得るが、窒素原子がN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなるように意図されている。特に、前記N−オキシド形は、このピペリジニル基の窒素が酸化されている式(I)の化合物である。
【0022】
用語「立体化学的異性体の形態物」は、この明細書で上記に使用されているように、式(I)の化合物が有し得るすべての可能な異性体形を定義する。特記しない限り、化合物の化学的表示は、すべての可能な立体化学的に異性体の形の混合物を示し、前記混合物は基本分子構造のすべてのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。特に、立体中心構造はR−あるいはS−立体配置を有し得る;二価環状(部分的に)の飽和基上の置換基はシス−あるいはトランス立体配置を有し得る。特記しない限り、化合物の化学的表示は、すべての可能な立体化学的に異性体の形の混合物を示し、前記混合物は基本分子構造のすべてのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。同じことがこの明細書に述べられている式(I)の最終生成物の製造に使用される中間体に当てはまる。
【0023】
用語シスおよびトランスは、ケミカルアブストラクトの命名法によりこの明細書で使用され、そして環部分上の置換基の位置を指す。
【0024】
式(I)の化合物およびこれらの製造において使用される中間体の絶対的な立体化学的立体配置は、当業者によれば例えばX線回折などのよく知られた方法を使用して容易に決定され得る。
【0025】
更には、いくつかの式(I)の化合物およびこれらの製造において使用される中間体のいくつかは多形を呈し得る。本発明はこの明細書で上記した状態の治療において有用な性質を有するいかなる多形も包含するということを理解すべきである。
【0026】
一つの態様においては、本発明は、式(I)の化合物、これらのN−オキシド、医薬的に許容され得る酸付加塩および立体化学的異性体に関する。式中、
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、またはハロであり;
nは整数0または1であり;
は炭素であり、そしてXは炭素であり;あるいはXは窒素であり、そしてXは炭素であり;
あるいはXは炭素であり、そしてXは窒素であり;
は炭素または窒素であり;
YはOまたはNR(ここで、Rは水素またはC1−4アルキルである)を表し;
は式
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、mは整数0、1または2であり;
ZはOまたはNHであり;
は水素;
1−6アルキル;
ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アリールまたはヘテロアリールにより置換されたC1−6アルキル;
1−4アルキル−O−C1−4アルキル;
1−4アルキル−S−C1−4アルキル;または
アリールであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
はC1−4アルキル、フェニルまたはベンジルである)の基を表し;
あるいはYがNRを表す場合には、基RおよびRはこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そして場合によりヒドロキシにより更に置換されていてもよい、ピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成し;
アリールはフェニル;C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ、2つあるいは3つの置換基により置換されたフェニル;またはベンゾ[1,3]ジオキソリルであり;そして
ヘテロアリールはイミダゾリル、チアゾリル、インドリル、またはピリジニルである。
【0029】
もう一つの態様においては、本発明は、式(I)の化合物、これらのN−オキシド、医薬的に許容され得る酸付加塩および立体化学的に異性体の形に関する。式中、
はポリハロC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキルであり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
は水素であり;
nは整数0または1であり;
は炭素であり、そしてXは炭素であり;あるいはXは窒素であり、そしてXは炭素であり;
あるいはXは炭素であり、そしてXは窒素であり;
は炭素または窒素であり;
YはOまたはNR(ここで、Rは水素またはC1−4アルキルである)を表し;
は式
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、mは整数0、1または2であり;
ZはOまたはNHであり;
は水素、
1−6アルキル;
アミノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールまたはヘテロアリールにより置換されたC1−6アルキル;
1−4アルキル−O−C1−4アルキル;
1−4アルキル−S−C1−4アルキル;または
アリールであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
はC1−4アルキルである)の基を表し;
あるいはYがNRを表す場合には、基RおよびRはこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そして場合によりヒドロキシにより更に置換されていてもよいピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成し;
アリールはフェニル;ヒドロキシにより置換されたフェニル;またはベンゾ[1,3]ジオキソリルであり;そして
ヘテロアリールはイミダゾリルである。
【0032】
興味ある化合物の群は式(I)の化合物からなるが、ここでは次の制約の1つ以上が適用される。
a)Rはtert−ブチルまたはトリフルオロメチルである;
b)Rは水素またはC1−4アルキルである;
c)Rは水素である;
d)Rは水素である;
e)YはNR(ここで、Rは水素またはメチルである)を表す;
f)ZはOを表す;
g)Rは水素を表す;
h)RはC1−4アルキルを表す。
【0033】
第1の特別な群の化合物はX、XおよびXが炭素である式(I)の化合物である。
【0034】
第2の特別な群の化合物は、Xが炭素であり、Xが窒素であり、そしてXが炭素である式(I)の化合物である。
【0035】
第3の特別な群の化合物は、Xが窒素であり、Xが炭素であり、そしてXが炭素である式(I)の化合物である。
【0036】
第4の特別な群の化合物はXが炭素であり、Xが窒素であり、そしてXが窒素である式(I)の化合物である。
【0037】
第5の特別な群の化合物はnが整数1である式(I)の化合物である。
【0038】
第1の好ましい群の化合物は、Rがトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルであり;そしてRが式(a−1)(ここで、mは整数0である)の基である、式(I)の化合物である。
【0039】
第2の好ましい群の化合物は、Rがトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルである)を表し;そしてRが式(a−1)(式中、mは整数1である)の基である、式(I)の化合物である。
【0040】
第3の好ましい群の化合物は、Rがトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルである)を表し;そしてRがは式(a−2)(式中、mは整数1である)の基である、式(I)の化合物である。
【0041】
第4の好ましい群の化合物は、Rがトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNRを表し;そしてあるいはYがNRを表す場合には、基RおよびRはこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そしてヒドロキシにより更に置換されたピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成する、式(I)の化合物である。
【0042】
特別な群の化合物は、Rが水素を表し、そしてRがC1−4アルキルを表す好ましい群の化合物である。
【0043】
式(I)の化合物を製造する第1の方法は、式(II)
【0044】
【化5】

【0045】
(式中、R、R、R、Y、n、X、XおよびXは式(I)に定義されている通りである)
の中間体を式(III)
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、RおよびRは式(I)に定義されている通りであり、そしてQはヒドロキシおよびハロから選択される)
で表されるビフェニルカルボン酸あるいはハロゲン化物と少なくとも1種の反応不活性な溶媒中で、そして場合によっては好適な塩基の存在下で反応させる方法であり、前記方法が式(I)の化合物を酸付加塩に変換させ、そして/あるいはこれの立体化学的異性体を製造することを更に場合によっては含んでなるものである。
がヒドロキシである場合には、有効量の反応促進剤を添加することにより、式(III)のビフェニルカルボン酸を活性化することが好都合であり得る。このような反応促進剤の非限定的な実施例は、カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)などのジイミド、およびこれらの機能性誘導体を含む。このタイプのアシル化法に対しては、例えばジクロロメタンなどの極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。この第1の方法を行うのに好適な塩基は、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどの3級アミンを含む。本発明の第1の方法を行うための好適な温度は、使用される特別な溶媒に依って、通常、約20℃〜約140℃の範囲であり、最も頻繁には前記溶媒の沸騰温度である。
【0048】
本発明の化合物を製造する第2の方法は、式(IV)
【0049】
【化7】

【0050】
(式中、R、R、R、R、n、X、XおよびXは式(I)に定義されている通りであり、そしてQはハロおよびヒドロキシから選択される)
で表される中間体を式H−NR(式中、RおよびRは式(I)の化合物に定義されている通りである)と少なくとも1種の反応不活性な溶媒中で、そして場合によっては少なくとも1つの好適なカップリング剤および/または好適な塩基の存在下で反応させる方法であり、前記方法が式(I)の化合物を酸付加塩に変換させ、そして/あるいはこれの立体化学的異性体を製造することを更に場合によっては含んでなるものである。Qがヒドロキシである場合には、有効量の反応促進剤を添加することにより、式(IV)のカルボン酸を活性化することが好都合であり得る。このような反応促進剤の非限定的な実施例は、カルボニルジイミダゾール、DCC、EDCI、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、テトラピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモトリピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、またはこれらの官能性誘導体などのジイミドを含み、例えば「Solid−Phase Synthesis:A Practical Guide」,edited by Steven A.Kates and Fernando Albericio,Marcel Dekker,Inc.,2000(ISBN:0−8247−0359−6),p306〜319で開示されているものである。
【0051】
本発明の化合物を製造する第3の方法は、式(VI)
【0052】
【化3】

【0053】
(式中、R、R、R、R、X、XおよびXは式(I)に定義されている通りであり、そしてQはハロ、B(OH)、アルキルボロネートおよびこれらの環状類縁体から選択される)
で表される中間体を式(VII)
【0054】
【化9】

【0055】
(式中、n、RおよびYは式(I)に定義されている通りである)
で表されるを有する反応試剤と少なくとも1種の反応不活性な溶媒中で、そして場合によっては少なくとも1種の遷移金属カップリング剤および/または少なくとも1つの好適な配位子の存在下で反応させる方法であり、前記方法が式(I)の化合物を酸付加塩に変換させ、そして/あるいはこれの立体化学的に異性体の形を製造することを更に場合によっては含んでなるものである。このタイプの反応は当業界でBuchwald反応として知られ、適用可能な金属カップリング剤および/または好適な配位子、例えばパラジウムテトラ(トリフェニル−ホスフィン)、トリス(ジベンジリデン−アセトンジパラジウム、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)などのパラジウム化合物への参照は、例えばTetrahedron Letters,(1996),37(40),7181−7184およびJ.Am.Chem.Soc.,(1996),118:7216に見出され得る。QがB(OH)、アルキルボロネートまたはこの環状類縁体である場合には、Tetrahedron Letters,(1998),39:2933−6によれば酢酸銅がカップリング剤として使用されなければならない。
【0056】
好都合なこととしては、YがNHを表し、そしてRが水素を表す式(I)の化合物として定義される式(I−a)の化合物は、下記のスキーム1に示す固相合成法を用いて製造可能である。一般に、固相合成は、合成中の中間体とポリマー担体とを反応させることを包含する。次に、このポリマーで担持された中間体は多数の合成段階により処理可能である。各段階後、不純物は、この樹脂を濾過し、これを種々の溶媒により多数回洗浄することにより除去される。各段階において、この樹脂を分割して、次の段階において種々の中間体と反応させ、多数の化合物を合成することが可能となる。この方法の最後の段階の後、この樹脂は試料から樹脂を開裂する試剤または方法により処理される。固相化学で使用される方法の更に詳細な説明は、例えば「Handbook of Combinatorial Chemistry:Drugs,Catalysts,Materials」 edited by K.C.Nicolaou,R.Hanko,and W.Hartwig,volumes 1 and 2,Wiley(ISBN:3−527−30509−2)において述べられている。
【0057】
【化10】

【0058】
置換基R、R、R、R、R、n、X、XおよびXは式(I)の化合物に対して定義されている通りである。PGは、例えばC1−6アルキルオキシカルボニル、フェニルメチルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などの保護基を表す。次の略号が使用される。「NMP」はN−メチル−2−ピロリドンを意味し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、そして「TIS」はトリイソプロピルシランを意味する。
【0059】
が水素を表す式(I)の化合物として定義される、式(I−b)の化合物は、スキーム2に示すような固相合成経路を用いて製造され得る。
【0060】
【化11】

【0061】
置換基R、R、R、R、R、Y、n、X、XおよびXは式(I)の化合物に対して定義されている通りである。次の略号が使用される。「NMP」はN−メチル−2−ピロリドンを意味し、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、そして「TIS」はトリイソプロピルシランを意味し、「DMAP」はジメチルアミノピリジンを意味し、そして「BINAP」は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを意味する。
【0062】
この明細書中上述の方法で式(I)の化合物は、当該技術分野で既知の分割方法に従って相互に分離可能な鏡像異性体のラセミ混合物の形で合成され得る。ラセミ形で得られる式(I)の化合物は、好適なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形に変換され得る。前記ジアステレオマー塩形は、例えば選択的あるいは分別的結晶化により引き続いて分離され、そして鏡像異性体はアルカリによりこれから遊離される。式(I)の化合物の鏡像異性体形を分離する代替の方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィを包含する。この反応が立体特異的に起こるという前提ならば、前記純粋な立体化学的に異性体の形も適当な出発材料の対応する純粋な立体化学的に異性体の形から誘導され得る。好ましくは、特異的な立体異性体が所望ならば、前記化合物は立体特異的な合成方法により合成される。有利なこととしては、これらの方法は鏡像異性体的に純粋な出発材料を使用する。
【0063】
式(I)の化合物、これらのN−オキシド形、医薬的に許容され得る塩および立体異性体形は、好ましいアポリポタンパクB阻害活性と付随する脂質低下活性を有する。それゆえ、本発明の式(I)の化合物は、特に高脂血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症またはII型糖尿病に罹っている患者を治療する方法における医薬として有用である。特に、本発明の化合物は過剰の極低密度リポタンパク(VLDL)または低密度リポタンパク(LDL)により引き起こされる障害、特に前記VLDLおよびLDLに関連するコレステロールにより引き起こされる障害を治療するための医薬の製造に使用され得る。
【0064】
式(I)の化合物の作用の主な機構は、肝細胞および腸上皮細胞中のMTP(ミクロソームトリグリセリド転移タンパク)活性の阻害を包含し、それぞれVLDLおよびキロミクロンの産生を減少させるように思われる。これは、高脂質血症に対する新規で革新的なアプローチであり、そしてVLDLの肝臓内産生とキロミクロンの腸内産生を低減させることにより、LDL−コレステロールおよびトリグリセリドを低下させると期待される。
【0065】
多数の遺伝的および後天的な疾患が高脂質血症を生じることができる。これらは一次および二次の高脂血状態に分類可能である。二次の高脂質血症の最も普通な原因は、真性糖尿病、アルコール依存症、ドラッグ、甲状腺機能低下症、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、胆汁うつ滞および過食症である。一次の高脂質血症は、また、普通の高コレステロール血症、家族性の合併高脂血症、家族性の高コレステロール血症、レムナント高脂血症、キロミクロン血症症候群および家族性の高トリグリセリド血症に分類された。本発明の化合物は、また、肥満の、あるいはアテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈アテローム性動脈硬化症、更に一般的にはアテローム性動脈硬化症、例えば虚血性心臓病、末梢血管疾患、および脳血管疾患に関連する障害の予防または治療にも使用され得る。本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症の退行を生じさせ、そして臨床的な結果、特に罹患率および死亡率を阻止し得る。
【0066】
式(I)の化合物の有用性に鑑みると、本発明は、また、過剰の極低密度リポタンパク(VLDL)または低密度リポタンパク(LDL)により引き起こされる障害、特に前記VLDLおよびLDLに関連するコレステロールにより引き起こされる障害に苦しむヒト(この明細書では患者と一般的に呼ばれる)を含む温血動物を治療する方法も提供するということになる。結果として、例えば高脂質血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症またはII型糖尿病などの状態に罹っている患者を救うための治療方法が提供される。
【0067】
アポB−48は、腸により合成されるが、キロミクロンの集合に必要であり、それゆえ食物脂肪の腸吸着において不可欠な役割を有する。本発明は、哺乳類の腸壁のレベルで選択的なMTP阻害剤として作用するビフェニルカルボキサアミド化合物を提供する。
【0068】
加えて、本発明は、少なくとも一つの医薬的に許容され得るキャリアと治療的に有効な量の式(I)の化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0069】
本発明の医薬組成物を製造するためには、有効量の特別な化合物は、塩基または付加塩の形で、有効成分として少なくとも一つの医薬的に許容され得るキャリアと緊密な混和混合物に合体される。このキャリアは投与に好まれる広範で多様な製剤の形をとり得る望ましくは、これらの医薬組成物は、好ましくは経口投与、直腸投与、経皮投与または非経口注入に好適な単一の剤形のものである。
【0070】
例えば経口剤形の組成物の製造においては、懸濁液、シロップ、エリキシル剤および溶液などの経口液体製剤の場合には、例えば水、グリコール、オイル、アルコールなど通常の液体の医薬用キャリア;または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合にはデンプン、砂糖、カオリン、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などの固体の医薬用キャリアのいずれも使用され得る。これらの容易な投与のために、錠剤とカプセルは、最も有利な経口剤形であり、この場合固体の医薬用キャリアが明らかに使用される。非経口注入組成物のために、この医薬用キャリアは、有効成分の溶解性を改善するために他の成分を含んでもよいが、無菌の水を主に含んでなる。注入型溶液は、食塩水、グルコース溶液または両方の混合物を含んでなる例えば医薬用キャリアを使用することにより製造され得る。注入型懸濁液は、適切な液体キャリア、懸濁剤などを使用することによっても製造され得る。経皮投与に好適な組成物においては、この医薬用キャリアは、皮膚に顕著な有害な影響を生じない少量の好適な添加剤と場合によっては合体された浸透増強剤および/または好適な湿潤剤を場合によっては含んでなり得る。前記添加剤は、皮膚への活性成分の投与を促進し、そして/あるいは所望の組成物の製造の助けとなるように選択され得る。これらの局所用組成物は、種々の方法、例えば経皮用パッチ、スポットオンまたは軟膏として投与され得る。式(I)の化合物の付加塩は、対応する塩基形よりも水溶性が増大していることにより、水性組成物の製造において明らかに更に好適である。
【0071】
本発明の医薬組成物を投与の容易さと投与の均一さのために投与単位形で製剤することが特に有利である。「投与単位形」は、この明細書で使用されるように、単位投与として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は必要とされる医薬的キャリアと関連して所望の治療効果を生じるように計算された予め決められた量の活性成分を含有する。このような投与単位形の例は、錠剤(分割錠剤または被覆錠剤を含む)、カプセル、ピル、粉末小包、ウエハー、注入型溶液または懸濁液、茶さじ一杯、テーブルスプーン一杯など、およびこれらの隔離された多連小包である。
【0072】
経口投与用には、本発明の医薬組成物は、結合剤(例えば、予備ゼラチン化されたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、充填剤(例えば、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、リン酸カルシウムなど)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなど)、崩壊剤(例えば、じゃがいもデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬的に許容され得る賦型剤およびキャリアと共に慣用の手段により製造される固体剤形、例えば錠剤(嚥下形およびチュアブル形)、カプセルまたはジェルキャップの形をとり得る。このような錠剤は当業界でよく知られた方法によっても被覆され得る。
【0073】
経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形をとるか、あるいは使用前に水および/または別な好適な液体キャリアと混和するために乾燥製品として製剤され得る。このような液体製剤は、場合によっては、懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは水素化食用脂)、乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア)、非水性キャリア(例えばアーモンドオイル、油性エステルまたはエチルアルコール)、甘味剤、風味剤、マスキング剤および保存剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチルあるいはプロピルまたはソルビン酸)などの他の医薬的に許容され得る添加剤と共に慣用の手段により製造され得る。
【0074】
本発明の医薬組成物中で有用な医薬的に許容され得る甘味剤は、好ましくはアスパルテーム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸ナトリウム、アリテーム、ジヒドロカルコン甘味剤、モネリン、ステビオシドスクラロース(4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシラクトスクロース)などの少なくとも一つの強い甘味剤、または好ましくは、サッカリン、サッカリンナトリウムあるいはカルシウム、および場合によってはソルビトール、マニトール、フルクトース、スクロース、マルトース、イソマルト、グルコース、水素化グルコースシロップ、キシリトール、カラメルまたは蜂蜜などの少なくとも一つのバルク甘味剤を含んでなる。慣用的には強い甘味剤が低濃度で使用される。例えば、サッカリンナトリウムの場合には、前記濃度は最終製剤の約0.04%〜0.1%(重量/容積)の範囲であり得る。バルク甘味剤は、約10%〜約35%、好ましくは約10%〜15%(重量/容積)の範囲の大きい濃度で有効使用可能である。
【0075】
低投与量製剤中の苦味成分をマスクすることができる医薬的に許容され得る風味剤は、好ましくはチェリー、ラズベリー、クロフサスグリあるいはストローベリー風味剤などのフルーツ風味剤である。2つの風味剤の組み合わせ物は極めて良好な結果を生じ得る。高投与量製剤においては、カラメル、チョコレート、ミントクール、ファンタジーなどの強い医薬的に許容され得る風味剤が必要とされ得る。各風味剤は約0.05%〜1%(重量/容積)の範囲の濃度で最終組成物中に存在し得る。有利なこととしては、前記の強い風味剤の組み合わせ物が使用される。好ましくは、製剤の環境下で風味および/または色が変化しないか、あるいは失われない風味剤が使用される。
【0076】
式(I)の化合物は、注射、便宜的には静脈内、筋肉内あるいは皮下注射による、例えば大量瞬時投与または連続的静脈内輸液による非経口投与用に調剤され得る。注射用製剤は、単位剤形で、例えばアンプルまたは添加された保存剤を含む多数投与容器で提示され得るこれらは、懸濁液、溶液または油性あるいは水性ビヒクル中の乳化液などの形をとり得、そして等張化剤、懸濁剤、安定剤そして/あるいは分散剤などの調合剤を含有し得る。別法としては、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば無菌のパイロジェンを含まない水と混合するために粉末形で存在し得る。
【0077】
式(I)の化合物は、また、例えばココアバターおよび/または他のグリセリドなどの慣用の座薬ベースを含有する座薬または保持浣腸などの直腸用組成物にも製剤され得る。
【0078】
式(I)の化合物は他の医薬剤と併せて使用され得るか、あるいは特に本発明の医薬組成物は、少なくとも一つの更なる脂質低下治療剤を更に含んでなり、いわゆる脂質低下性併用療法に至る。前記更なる脂質低下治療剤は、本発明の背景において前に挙げた、例えば胆汁酸封鎖樹脂、フィブリン酸誘導体またはニコチン酸など、例えば高脂血症の対応に慣用的に使用される既知の薬剤であり得る。好適な更なる脂質低下治療剤は、また、他のコレステロール生合成阻害剤とコレステロール吸着阻害剤、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤とHMG−CoA合成酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、ACAT阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤なども含む。
【0079】
いかなるHMG−CoA還元酵素阻害剤も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。用語「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、この明細書で使用されるように、特記しない限り酵素のHMG−CoA還元酵素により触媒されるようにヒドロキシメチルグルタリール−補酵素Aのメバロン酸への生体内変換を阻害する化合物を指す。このような「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、例えばロボスタチン、シムバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、およびアトルバスタチンである。
【0080】
いかなるHMG−CoA還元酵素阻害剤も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。用語「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、この明細書で使用されるように、特記しない限り酵素のHMG−CoA還元酵素により触媒される、アセチル補酵素Aおよびアセトアセチル補酵素Aからのヒドロキシメチルグルタリール−補酵素Aのメバロン酸への生合成を阻害する化合物を指す。
【0081】
いかなるHMG−CoA還元酵素遺伝子発現阻害剤も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。これらの薬剤はDNAの転写をブロックするHMG−CoA還元酵素転写阻害剤、またはHMGCoA還元酵素に対するmRNAコーディングのタンパクへの翻訳を防止する翻訳阻害剤であり得る。このような阻害剤は、転写または翻訳に直接に影響を及ぼし得るか、あるいはコレステロールの生合成カスケード中で1つ以上の酵素により上記に挙げた属性を有する化合物に生体内変換され得るか、あるいは上記に挙げた活性を有する代謝生成物の蓄積に至り得る。
【0082】
いかなるCETP阻害剤も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。用語「CETP阻害剤」は、この明細書で使用されるように、特記しない限り種々のコレステリルエステルおよびトリグリセリドの、HDLからLDLおよびVLDLへのコレステリルエステル転移タンパク(CETP)仲介の輸送を阻害する化合物を指す。
【0083】
いかなるACAT阻害剤も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。用語「ACAT阻害剤」は、この明細書で使用されるように、特記しない限り酵素アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼによる食事性コレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物を指す。
【0084】
いかなるスクアレン合成酵素も本発明の併用療法の局面における第2の化合物として使用され得る。用語「スクアレン合成酵素阻害剤」は、この明細書で使用されるように、特記しない限り酵素のスクアレン合成酵素により触媒される、ファルネシルピロホスフェートの2分子を縮合させて、スクアレンを形成するのを阻害する化合物を指す。
【0085】
高脂質血症の治療における熟練者ならば、治療的に有効な量の式(I)の化合物をこの明細書で以降に示される試験結果から容易に決めるであろう。一般に、治療的に有効な用量は、約0.001mg/kg〜約5mg/kg・治療対象の患者の体重、更に好ましくは約0.01mg/kg〜約0.5mg/kg・体重であると考えられる。治療的に有効な用量を2つ以上の下位用量の形で一日を通じて適切な間隔で投与することが適切であり得る。前記下位用量は、例えば単位剤形当たり約0.1mg〜約350mgの、特に約1〜約200mgの活性成分を含有する単位剤形として製剤され得る。
【0086】
投与の厳密な投与量および頻度は、当業界でよく知られているように、使用される特別な式(I)の化合物、特別な患者の治療対象の特別な状態、治療対象の特別な重篤度、年齢、体重および一般的な身体状況、ならびに他の投薬(上記に挙げた更なる脂質低下治療剤を含む)に依存する。更には、前記有効な日量は、治療を受けた患者の応答に依り、そして/あるいは本発明のビフェニルカルボキサアミド化合物を処方する医師の評価に依り、低下あるいは増加され得る。それゆえ、上記に挙げた有効な日量範囲は単なるガイドラインである。
【実施例】
【0087】
本明細書中で述べる方法においては、次の略号を使用した。「PS−DIEA」は、N、N−(ジイソプロピル)アミノメチルポリスチレン樹脂を表すが、製品コード800279によりArgonaut(New Road,Hengoed,MidGlamorgan CF828AU,United Kingdom)から入手されるものであった。「PS−DCC」は、N−シクロヘキシルカルボジイミドN’−メチルポリスチレン樹脂であり、製品コードNovabiochem 01−64−0211によりCalbiochem−Novabiochem AG(Weidenmattweg 4,CH−4448 Laufelfingen,Switzerland)から入手されるものであった。「THF」はテトラヒドロフランを表す。
A.中間体の合成
[実施例A.1]
【0088】
a)中間体(1)
【0089】
【化12】

【0090】
の作製
4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.0069モル)をオキサリルクロリド(0.069モル)とジメチルホルムアミド(1滴)と一緒にジクロロメタン(400ml)に0℃で溶解した。更なる4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.0621モル)を窒素流下で部分に分けて添加した。オキサリルクロリド(0.069モル)とジメチルホルムアミド(1滴)を添加し、そしてこの反応混合物を0℃で2時間撹拌した。この反応混合物を濾過し、残渣をジクロロメタン(100ml)に溶解し、そして生成する混合物をトリエチルアミン(17.5ml)とジクロロメタン(300ml)中の1−(4−アミノフェニル)−4−ピペリジン酢酸エチルエステル(0.069モル)の混合物に0℃で滴加した。この反応混合物を90分で室温に達せしめた。生成する反応混合物を水により洗浄し、乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。この残渣をヘキサンと酢酸エチルの熱混合物中で撹拌し、そしてこの生成する沈澱をセライト上で熱濾別した。この濾液を冷却し、そして生成する沈澱を濾別し、エーテルにより洗浄し、そして乾燥し、31gの中間体(1)(mp.160−162℃)を得た。
b)中間体(2)
【0091】
【化13】

【0092】
の作製
濃HCl溶液(50ml)中の中間体(1)(0.015モル)の混合物を撹拌し、そして90分間還流した。生成する沈澱を濾別し、水により洗浄し、そして乾燥した。この沈澱(0.008モル)をNaOH溶液(1N、50ml)と2−プロパノール(100ml)の混合物に溶解し、そして50℃で1時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてHCl(1N、70ml)を添加し、そしてこの混合物をジクロロメタンにより2回抽出した。この抽出物を合体し、蒸発させ、そして生成する残渣をジクロロメタン下で摩砕し、4.1gの中間体(2)を得た。
[実施例A.2]
【0093】
a)中間体(3)
【0094】
【化14】

【0095】
の作製
6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.0025モル)をエタンジオイルジクロリド(2.4ml)と共に無水ジクロロメタン(140ml)と数滴のジメチルホルムアミドに0℃で溶解した。次に、すべての残存する6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.0225モル)を窒素流下で部分に分けて添加した。均質の溶液が生じ、そしてガス生成が停止するまでこの反応混合物を40℃まで穏やかに加熱した。この混合物を室温まで冷却し、次にブフナー濾過器で濾別した。この濾過残渣をジクロロメタンに溶解し、次に無水ジクロロメタン(140ml)中の1−(4−アミノフェニル)−4−ピペリジン酢酸、エチルエステル(1等量、0.025モル)およびトリエチルアミン(3g)の溶液に0℃で滴加した。この反応混合物を90分かけて室温まで温めた。この沈澱を濾別し、そして乾燥し、13.65gの中間体(3)(mp.150−151℃)を得た。
b)中間体(4)
【0096】
【化15】

【0097】
の作製
水酸化ナトリウム(1N、100ml)をメタノール(300ml)中の中間体(3)(0.0334モル)の溶液に添加し、次にこの反応混合物を50℃で2時間そして室温で20時間撹拌した。水(300ml)を添加し、そしてこの混合物を1NHClにより酸性とした。ジクロロメタン(200ml)を添加し、そしてこの反応混合物を2時間撹拌し、次に生成する沈澱を濾別し、水およびジクロロメタンにより洗浄し、そして終わりに乾燥し、17.1gの中間体(4)を得た、1:1塩酸塩として単離した。
[実施例A.3]
【0098】
a)中間体(5)
【0099】
【化16】

【0100】
の作製
ジメチルホルムアミド(50ml)中の4−ピペリジンカルボン酸エチルエステル(0.03モル)、1−フルオロ−4−ニトロ−ベンゼン(0.03モル)および炭酸カリウム(4.5g)の混合物を60℃で4時間させ、次にこの溶媒を減圧下で蒸発させ、そして得られた残渣を水中で撹拌した。得られた黄色固体を濾別し、ジクロロメタン(100ml)中に溶かした。この有機層を乾燥し、そしてこの溶媒を蒸発させた。生成するオイルをヘキサンから結晶化させ、そして所望の生成物を集め、7gの中間体(5)(m.p.70−71℃)を得た。
b)中間体(6)
【0101】
【化17】

【0102】
の作製
エタノール(150ml)中の中間体(5)(0.025モル)の混合物をPd/C10%(0.5g)を触媒として減圧(30バール=3.106Pa)下で25℃で一夜水素化した。
【0103】
水素(3等量)の吸収後、この反応混合物を濾別し、そしてこの溶媒を減圧下で蒸発させ、6gの中間体(6)を得た。
c)中間体(7)
【0104】
【化18】

【0105】
の作製
窒素下の反応:ジクロロメタン(50ml)中の0.2gの4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸を0℃でエタンジオイルジクロリド(0.01モル)と反応させ、次に次にこの反応をジメチルホルムアミド(1滴)により開始した。4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸の残り(1.8g)を部分に分けて添加し、そして過剰量のエタンジオイルジクロリドを添加した。この反応混合物を0℃で2時間撹拌し(TLC分析のために反応混合物の試料をメタノールに溶かした場合、酸は存在していなかった)、そしてジクロロメタンと過剰のエタンジオイルジクロリドを減圧下で蒸発させた。得られた残渣をジクロロメタン(50ml)中に溶かし、ジクロロメタン(50ml)中の中間体(6)(0.0075モル)およびトリエチルアミン(0.0075モル)の混合物に0℃で滴加した。生成する混合物を室温で1時間撹拌し、次にこの有機層を水により洗浄し、乾燥し、そしてこの溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をメタノールから結晶化させ、そして所望の生成物を集め、2.9gの中間体(7)(m.p.190−192℃)を得た。
d)中間体(8)
【0106】
【化19】

【0107】
の作製
中間体(7)(0.006モル)をエタノール(20ml)と水(20ml)中のNaOH(0.018モル)の溶液に添加し、次にこの反応混合物を60℃まで温めた。生成する溶液を60℃で1時間保ち、冷却した。この混合物を4NHClにより酸性とし、1時間撹拌し、次にこの生成する沈澱を濾別し、水により洗浄し、2.7gの中間体(8)(mp.260−262℃)を得た。
[実施例A.4]
【0108】
a)中間体(9)
【0109】
【化20】

【0110】
の作製
水(200ml)中のニトロマロンアルデヒドナトリウム塩水和物(CAS 53821−72−0)(0.06モル)、カルバムドチオ酸、メチルエステル硫酸塩(2:1)(0.03モル)および4−ピペリジンカルボン酸エチルエステル(0.047モル)の混合物を80℃で2時間あるいはメタンチオール−ガス発生が停止するまで撹拌し、次にこの生成する沈澱を濾別し、水により洗浄した。この固体を最少量のメタノール中で撹拌し、次に再度濾別し、そしてエーテルにより洗浄し、4.8gの中間体(9)(mp.114−116℃)を得た。
b)中間体(10)
【0111】
【化21】

【0112】
の作製
エタノール(100ml)中の中間体(9)(0.017モル)の混合物をパラジウムカーボン10%(0.5g)を触媒として60℃で4時間水素化した。水素(3等量)の吸収後、この反応混合物を濾別し、そして溶媒を蒸発させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/2)により精製した。製品区分を捕集し、そして溶媒を蒸発させて、3gの中間体(10)を得た。
c)中間体(11)
【0113】
【化22】

【0114】
の作製
窒素下での反応:ジクロロメタン(50ml)中の0.3gの4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸をエタンジオイルジクロリド(0.01モル)と0℃で反応させ、次に反応をジメチルホルムアミド(1滴)により開始した。4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸の残り(2.7g)を部分に分けて添加し(TLC分析のために反応混合物の試料をメタノールに溶かした場合、酸は存在していなかった)、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をジクロロメタン(50ml)に溶かし、ジクロロメタン(50ml)中の中間体(10)(0.011モル)とトリエチルアミン(0.011モル)の混合物に0℃で滴加した。生成する混合物を30分間撹拌し、そしてシリカゲル(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/4、1/2)のカラムクロマトグラフィにより更に精製した。製品区分を捕集し、そして溶媒を蒸発させ、2.9gの中間体(11)(mp.171−173℃)を得た。
d)中間体(12)
【0115】
【化23】

【0116】
(27)
の作製
中間体(11)(0.006モル)をエタノール(20ml)および水(20ml)中のNaOH(0.018モル)の溶液に添加し、次にこの反応混合物を60℃で1時間加熱し、冷却し、そして4NHClにより酸性とした。生成する沈澱を濾別し、水により洗浄し、そして乾燥し、2.6gの中間体(12)(mp.231−233℃)を得た。
[実施例A.5]
【0117】
a)中間体(13)
【0118】
【化24】

【0119】
の作製
ジメチルスルホキシド(40ml)中の2−クロロ−5−ニトロ−ピリジン(0.0227モル)、4−ピペリジン酢酸、エチルエステル(0.0227モル)および炭酸ナトリウム(0.091モル)の混合物を60℃で加熱し、2時間撹拌し、次にこの反応混合物を室温まで冷却し、氷−水の中に注いだ。生成する沈澱を濾別し、水により洗浄した。酢酸エチル/ヘキサンから結晶化することにより粗固体を精製し、そして生成する沈澱を集め、3.2gの中間体(13)(mp.99−101℃)を得た。
b)中間体(14)
【0120】
【化25】

【0121】
の作製
THF(50ml)中の中間体(13)(0.0102モル)の混合物をパラジウムカーボン10%(0.3g)を触媒として50℃で30分間水素化した。水素(3等量)の吸収後、この反応混合物を冷却し、そして触媒を濾別し、次に濾液を蒸発させ、2.6gの中間体(14)を得た。
c)中間体(15)
【0122】
【化26】

【0123】
の作製
1,4−ジオキサン(5ml)中の6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,l’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.005モル)の溶液を1,4−ジオキサン(15ml)中の中間体(14)(0.005モル)とトリエチルアミン(0.005モル)の溶液に10℃で添加し、次にこの反応混合物を室温で60時間撹拌した。混合物を水により希釈し、酢酸エチル(100ml)により抽出した。生成物を塩水により洗浄し、乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/4)により精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.7gの中間体(15)(mp.134−137℃)を得た。
d)中間体(16)
【0124】
【化27】

【0125】
の作製
水(20ml)中のNaOH(0.0114モル)の溶液をエタノール(20ml)中の中間体(15)(0.0038モル)の混合物に添加し、次に反応混合物を60℃で2時間撹拌した。室温まで冷却後、混合物を濃HClにより酸性とし、そして溶媒を蒸発させた。得られた残渣をジエチルエーテル中で撹拌し、そして所望の生成物を集め、2.2gの中間体(16)を得た。
[実施例A.6]
【0126】
a)中間体(17)
【0127】
【化28】

【0128】
の作製
ホルムアルデヒド37%水溶液(0.0072モル)とパラジウム−カーボン(10%、0.15g)を酢酸エチル(40ml)中の1−(4−アミノフェニル)−4−ピペリジン酢酸エチルエステル(0.0057モル)の溶液に添加し、次にこの反応混合物を5時間水素化した。水素(1等量)の吸収後、触媒をセライト上で濾過し、そしてこのセライトを酢酸エチル(40ml)により洗浄した。濾液を蒸発させ、そして得られた残渣を同じように得られた残渣と合体した。生成する残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン30/70)により精製した。製品区分を集め、次に溶媒を蒸発させ、そして得られた残存するオイルを乾燥し、1.6gの中間体(17)を得た。
b)中間体(18)
【0129】
【化29】

【0130】
の作製
ジクロロメタン(40ml)中の4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル−2−カルボン酸(0.0058モル)の混合物を0℃および窒素下で撹拌し、次にエタンジオイルジクロリド(0.0087モル)を続いてジメチルホルムアミド(2滴)を添加した。生成する混合物を15℃まで1時間、続いて30−35℃まで1時間温めた。溶媒を蒸発させ、そして得られた黄色固体をジクロロメタンに溶解した。この溶液をジクロロメタン中の中間体(17)(0.0058モル)とトリエチルアミン(0.0087モル)の溶液に窒素下で添加し、次にこの反応混合物を室温で16時間撹拌した。この混合物を酢酸エチル(100ml)により希釈し、そして1NHCl(50ml)、飽和NaHCO溶液(50ml)および塩水(50ml)により洗浄した。この有機層を乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。得られたオイルをフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン30/70)により更に精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.6gの中間体(18)を得た。
c)中間体(19)
【0131】
【化30】

【0132】
の作製
窒素下で行われる反応:中間体(18)(0.0029モル)をエタノール(20ml)に20℃で溶解し、次に水(20ml)中のNaOH(0.0087モル)の混合物を添加した。生成する乳化液を20℃で16時間、そして60℃で1時間撹拌した。この反応混合物を2NHClにより中和し、そして懸濁液を形成させた。エタノールを蒸発させ、次に水性濃縮物を0℃まで冷却し、そして生成する固体を濾別した。ジクロロメタンを前に得られた濾液に添加し、この乳化液を層に分離させた。終わりに、溶媒を蒸発させ、1gの中間体(19)を得た。
[実施例A.7]
【0133】
a)中間体(20)
【0134】
【化31】

【0135】
の作製
ジメチルホルムアミド(100ml)中の4−ピペリジン酢酸エチルエステル塩酸塩(0.025モル)、5−ブロモ−2−ニトロ−ピリジン(0.03モル)および炭酸カリウム(0.06モル)の混合物を60℃で2日間加熱し、次に溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣を水中で撹拌し、濾過した。この濾過残渣をジクロロメタン(100ml)に溶かし、乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。この残渣をシリカゲル(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/5、1/3)のフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、3.3gの中間体(20)を得た。
b)中間体(21)
【0136】
【化32】

【0137】
の作製
エタノール(100ml)中の中間体(20)(0.01モル)の混合物をパラジウムカーボン(10%、0.5g)を触媒としてオートクレーブ(30バール=3.10Pa)中30℃で一夜水素化した。水素(3等量)の吸収後、反応混合物を濾別し、そして濾液を蒸発させ、2.8gの中間体(21)を得た。
c)中間体(22)
【0138】
【化33】

【0139】
の作製
0℃および窒素下での反応:エタンジオイルジクロリド(0.01モル)とジメチル−ホルムアミド(2滴)をジクロロメタン(100ml)中の6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸(0.2g)の一部に添加し、次に6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸の残り(1.9g)を部分に分けて添加した(TLC分析のために反応混合物の試料をメタノールに溶かした場合、酸は存在していなかった)。この反応混合物を0℃で2時間撹拌し、そして溶媒を蒸発により除去した。この残渣をジクロロメタン(25ml)に溶かし、そしてこの混合物をジクロロメタン(25ml)中の中間体(21)(0.0075ml)とトリエチルアミン(0.75g)の撹拌溶液に滴加した。一夜撹拌した後、この反応混合物を水により洗浄し、乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。この残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/3)により精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.5gの中間体(22)を得た。
d)中間体(23)
【0140】
【化34】

【0141】
の作製
水(20ml)中のNaOH(0.008モル)の混合物をエタノール(20ml)中の中間体(22)(0.003モル)の混合物に添加し、次にこの反応混合物を50℃で2時間撹拌した。冷却後、この混合物を濃HClにより酸性とし、濾過し、そして水により洗浄した。この濾過残渣をジエチルエーテルに溶かし、乾燥し、そして溶媒を蒸発させ、1gの中間体(23)を得た。
[実施例A.8]
【0142】
中間体(24)
【0143】
【化35】

【0144】
の作製
水(28ml)と水酸化リチウム(0.7g)をTHF(84ml)中の化合物(46)(0.013モル)の溶液に添加し、そして反応が完結するまで、この反応混合物を室温で撹拌した。この混合物を濾過し、次に殆ど乾燥した濾過残渣を少量の水に溶かした。生成する混合物をジクロロメタンにより洗浄し、そして水層をpH7まで注意深く酸性とした。生成する沈澱を濾別し、デシケーター中で乾燥し、6.9gの中間体(24)(mp.170−172℃)を得た。
[実施例A.9]
【0145】
a)中間体(40)
【0146】
【化36】

【0147】
の作製
酢酸エチル(100ml)中の中間体(14)(0.008モル)、ホルムアルデヒド水溶液(37%、0.01モル)および白金カーボン(5%、0.1g)の混合物を水素下で2時間撹拌し、次に余分な部分のホルムアルデヒド水溶液(37%、0.01モル)を添加した。この反応混合物を24時間撹拌し、次に40℃で一夜加熱した。この濾液を蒸発させ、そして得られた残渣をシリカゲル(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/1)のカラムクロマトグラフィにより精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.7gの中間体(25)を得た。
b)中間体(26)
【0148】
【化37】

【0149】
の作製
0℃および窒素下での反応:0.18gの6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸をジクロロメタン(50ml)中でエタンジオイルジクロリド(0.008モル)と共に撹拌し、次にこの混合物をジメチルホルムアミド(1滴)により開始した。次に6−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−カルボン酸の残り(1.62g)を部分に分けて添加し、そして生成する混合物を2時間撹拌した。ジクロロメタンを減圧下で蒸発させて、残渣(I)を得た。ジクロロメタン(50ml)中の中間体(25)(0.0065モル)とトリエチルアミンの混合物を窒素下0℃で冷却し、そしてジクロロメタン(20ml)の残渣(I)の溶液を滴加した。この反応混合物を室温で3時間撹拌し、そして水により希釈した。この有機層を分離し、水により洗浄し、乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1/3)により精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、1.2gの中間体(26)を得た。
c)中間体(27)
【0150】
【化38】

【0151】
の作製
中間体(26)(0.0022モル)を水(16ml)とエタノール(30ml)中の水酸化ナトリウム(0.0066モル)の溶液に添加し、次にこの反応混合物を30℃で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして得られた残渣を4NHClにより酸性とした。終わりに、溶媒を蒸発させ、1.2gの中間体(27)を得た。
[実施例A.10]
【0152】
a)中間体(28)
【0153】
【化39】

【0154】
の作製
ジメチルホルムアミド(30ml)中で中間体(4)(0.0019モル)と炭酸カリウム(0.0053モル)の混合物を45℃で30分間加熱し、次にブロモ酢酸フェニルメチルエステル(0.0029モル)を添加し、そしてこの反応混合物を45℃で3時間加熱した。この混合物を水(75ml)とジクロロメタン(75ml)の中に注ぎ、撹拌し、次にジクロロメタン層を分離、濃縮し、0.9gの中間体(28)を得た。
b)中間体(29)
【0155】
【化40】

【0156】
の作製
酢酸エチル(40ml)とエタノール(40ml)中の中間体(28)(0.0014モル)の溶液をパラジウムカーボン(10%、0.100g)を触媒として大気圧および室温で16時間水素化した。水素(1等量)の吸収後、この反応混合物をセライト上で濾過し、そして濾液を蒸発させて、0.600gの中間体(29)を得た。
B.最終化合物の作製
[実施例B.1]
【0157】
中間体(2)(0.0001モル)をジクロロメタン(2ml)に溶解し、そしてPS−DIEA(0.03g)を添加した。生成する懸濁液を室温で一夜振盪し、濾過した。PS−DCC(0.08g)を前の段階の濾液に添加し、そしてジメチルホルムアミド(2ml)に溶解した2−(エトキシカルボニル)ピペリジン(0.0001モル)を添加した。この反応混合物を室温で20時間撹拌し、濾過した。この濾液を蒸発させ、逆相HPLCにより精製し、0.001gの化合物(1)を得た。
[実施例B.2]
【0158】
N−(エチルカルボンミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン一塩酸塩(0.0015モル)をジクロロメタン(50ml)中の中間体(8)(0.001モル)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0015モル)、4−メチルモルホリン(0.004モル)およびD−アラニンエチルエステル塩酸塩(0.001モル)の混合物に添加し、そしてこの反応混合物を窒素下で一夜撹拌した。この混合物を1NHCl(20ml)、飽和NaHCO溶液(20ml)および塩水により洗浄し、次に乾燥し、そして濾別した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして得られた残渣をヘキサン中で撹拌し、0.470gの化合物(38)(mp.213−215℃)を得た。
[実施例B.3]
【0159】
中間体(4)(0.002モル)、ジメチルホルムアミド(50ml)およびN−エチル−N−(1−メチルエチル)−2−プロパンアミン(0.5ml)を完全に溶解するまで撹拌し、次に1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−H−ベンゾトリアゾリウム、ヘキサフルオロホスフェート(1−),3−オキシド(0.0033モル)を添加し、そしてこの混合物を15分間撹拌した。L−グルタミン酸ジエチルエステル塩酸塩(0.003モル)を添加し、そしてこの反応混合物を一夜撹拌した。この混合物を水の中に注ぎ、そして酢酸エチル(<30℃)により抽出した。この有機層を蒸発させ、そして得られた残渣を3滴の2−プロイパノールと共にジイソプロピルエーテル下で摩砕した。生成する沈澱を濾別し、そして逆相シリカのカラムクロマトグラフィ(溶離液:ジクロロメタン)により精製した。製品区分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.6gの化合物(52)を得た。
【0160】
中間体(1)と次の反応試剤の1つとを反応させることにより、化合物(2)〜(34)を作製した。2−(R)−ピペリジン−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、2−(S)ピペリジンカルボン酸メチルエステル塩酸塩、3−(エトキシカルボニル)ピペリジン、(S)−3−ピペリジンカルボン酸エチルエステル、(R)−3−ピペリジンカルボン酸エチルエステル、D−プロリン酸エチル塩酸塩、4−トランス−ヒドロキシ−L−プロリンエチルエステル塩酸塩、4−トランス−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル塩酸塩、4−シス−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル塩酸塩、(±)−アラニンメチルエステル塩酸塩、(S)−アラニン酸エチル塩酸塩、(R)−アラニン酸エチル塩酸塩、(±)−バリンメチルエステル塩酸塩、(S)−バリンバリンエチルエステル塩酸塩、(R)−バリンエチルエステル塩酸塩、(R)−フェニル−グリシンエチルエステル塩酸塩、(S)−フェニルグリシンエチルエステル塩酸塩、(±)−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩、(S)−フェニルアラニンエチルエステル、(R)−フェニル−アラニンエチルエステル、3−アミノプロピオン酸エチルエステル塩酸塩、N−メチルリシン酸エチル塩酸塩、L−グルタミン酸ジエチル塩酸塩、(S)−2−アミノ−4−[(1,1−ジメチル−エトキシ)カルボニル]アミノ]−ブタノン酸メチルエステル塩酸塩、N5−[(1,1−ジメチル−エトキシ)カルボニル]−L−オルニチンメチルエステル塩酸塩、N−[(1、1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−リジンメチルエステル塩酸塩、アラニンエチルエステル塩酸塩、(S)−ロイシンエチルエステル塩酸塩、トリプトファンエチルエステル塩酸塩、S−メチオニンエチルエステル塩酸塩、(S)−チロシンエチルエステル塩酸塩、(S)−プロリンエチルエステル塩酸塩、または3−アミノ−3−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル−プロピオン酸エチルエステル塩酸塩。
【0161】
表F−1は上述の実施例の一つにより作製された化合物を掲げる。
【0162】
【表1】

【0163】
【表2】

【0164】
【表3】

【0165】
【表4】

【0166】
【表5】

【0167】
【表6】

【0168】
化合物同定
逆相HPLCの勾配溶離系を用いるLGMSにより化合物(8)〜(34)を同定した。この化合物を特性保持時間とこれらの分子イオンMH+ピークにより同定した。このHPLC勾配は、40℃に設定されたカラムヒーターの付いたWaters Alliance HT2790システムにより供給されたものであった。カラムからの流れをWaters 996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器と正および負のイオン化モードで運転されたエレクトロスプレーイオン化源付きのWaters−Micromass ZQ質量分析器に分割した。逆相HPLCをDXterra MSC18カラム(3.5gm、4.6×100mm)により1.6ml/分の流速で行った。3つの移動相(移動相A95%25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を使用して、10分で100%Aから50%Bおよび50%Cまで、1分で100%Bまで、そして100%Bで3分間という勾配条件で運転し、そして100%Aにより2.5分間再平衡させた。10μLの注入容積を使用した。
【0169】
0.1秒の滞留時間を用いて1秒で100から1000まで走査することにより、質量スペクトルを取得した。キャピラリーニードル電圧は3kVであり、そしてイオン源温度を140℃で維持した。窒素をネブライザーガスとして使用した。コーン電圧は正のイオン化モードに対しては10Vであり、負のイオン化モードに対しては20Vであった。データ取得をWaters−Micromass Mass Lynx−Openlynxデータシステムにより行った。
【0170】
【表7】

【0171】
C.薬理学的実施例
[C.1.アポBの分泌の定量]
HepG2細胞を24穴プレートで10%ウシ胎仔血清を含有する.MEMRega3中で培養した。70%の集密度において、媒体を変え、そしてこの試験化合物またはキャリア(DMSO、0.4%最終濃度)を添加した。24時間のインキュベーションの後、この媒体をEppendorf管に移し、そして遠心分離により空にした。アポBに対して抗体とされたヒツジ抗体をこの上澄みに添加し、そしてこの混合物を8℃で24時間保持した。次に、ウサギ抗ヒツジ抗体を添加し、そしてこの免疫性の錯体を8℃で24時間沈澱させた。この免疫沈降物を遠心分離により1320gで25分間沈澱させ、そして40mMのMops、40mMのNaHPO、100mMのNaF、0.2mMのDTT、5mMのEDTA、5mMのEGTA、1%のTriton−X−100、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム(DOC)、0.1%のSDS、0.2μMのロイペプチンおよび0.2pMのPMSFを含有する緩衝液により2回洗浄した。このペレット中の放射活性を液体シンチレーション計数により定量した。
【0172】
得られるIC50値を表C.1に列挙する。計算されたIC50が6以下である場合には、試験された濃度においてIC50値を計算するのに充分なデータ点が得られなかった。
【0173】
【表8】

【0174】
[C.2.MTPアッセイ]
J.R.Wetterau and D.B.Zilversmit「Chemistry and Physics of Lipids」,38,205−222(1985)で述べられているものに類似したアッセイを用いてMTP活性を測定した。ドナーおよびアクセプターの小胞を作製するために、クロロホルム中の適切な脂質をガラス試験管の中に入れ、N流の下で乾燥した。15mMのTris−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、40mMのNaCl、0.02%のNaN(アッセイ緩衝液)を含有する緩衝液をこの乾燥された脂質に添加した。この混合物を短く撹拌し、次にこの脂質を氷上で20分間水和させた。次に、小胞を浴超音波処理器(Branson2200)により室温で最大15分間作製した。ブチル化ヒドロキシトルエンを0.1%の濃度ですべての小胞製剤中に含ませた。この脂質転移アッセイ混合物は、ドナー小胞(40nモルホスファチジルコリン、7.5モル%のカルジオリピンと0.25モル%のトリ[1−14C]−オレイン酸グリセロール)、アクセプター小胞(240nモルホスファチジルコリン)および5mgのBSAを1.5mlのミクロ遠心分離管中の675μlの全容積中に含有するものであった。試験化合物をDMSOに溶解した(0.13%最終濃度)。37℃での5分の予備インキュベーションの後、100glの透析緩衝液にMTPを添加することにより、この反応を開始した。15mMのTris−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、0.02%のNaN(1:1、容積/容積)中で予備平衡化された400μlのDEAE−52セルロースを添加することにより、この反応を停止した。この混合物を4分間振盪し、そしてEppendorf遠心分離機(4℃)中最大速度で2分間遠心分離して、DEAE−52の結合したドナー小胞を沈降させた。アクセプターリポソームを含有する上澄みのアリコートを計数し、そして[14C]−カウントを使用して、ドナーからアクセプター小胞へのパーセントトリグリセリド転移を計算した。測定されたドナーからアクセプター小胞へのパーセントトリグリセリド転移は、試験化合物がMTP活性を阻害しない場合には、100%の「%C」値(%コントロール)を生じ、そして試験化合物がMTPの活性を阻害する場合には更に小さい%C値を生じた
得られるIC50値を表C.2.に列挙する。計算されたIC50が7以下の場合には、IC50値を計算するのに充分なデータ点が試験濃度で得られなかった。
【0175】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、ハロ、またはポリハロC1−4アルキルであり;
は水素またはC1−4アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、またはハロであり;
nは整数0または1であり;
は炭素であり、そしてXは炭素であり;あるいはXは窒素であり、そしてXは炭素であり;
あるいはXは炭素であり、そしてXは窒素であり;
は炭素または窒素であり;
YはOまたはNR(ここで、Rは水素またはC1−4アルキルである)を表し;
は式
【化2】

(式中、mは整数0、1または2であり;
ZはOまたはNHであり、
は水素、
1−6アルキル;
ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(Cl4アルキル)アミノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アリールまたはヘテロアリールにより置換されたC1−6アルキル;
1−4アルキル−O−C1−4アルキル;
1−4アルキル−S−C1−4アルキル;または
アリールであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、C1−4アルキル、アリール、またはアリールにより置換されたC1−4アルキルである)の基を表し;
あるいはYがNRを表す場合には、基RおよびRはこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そして場合によりヒドロキシにより更に置換されていてもよい、ピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成し;
アリールはフェニル;C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ、2つあるいは3つの置換基により置換されたフェニル;またはベンゾ[1,3]ジオキソリルであり;
アリールはフェニル;C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチル、またはトリフルオロメトキシから独立に選択された1つ、2つあるいは3つの置換基により置換されたフェニルであり;そして
ヘテロアリールはイミダゾリル、チアゾリル、インドリル、またはピリジニルである)
の化合物、これらのN−オキシド、医薬的に許容され得る酸付加塩および立体化学的に異性体の形。
【請求項2】
、XおよびXが炭素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルであり)を表し;そしてRが式(a−1)(式中、mは整数0である)の基である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルである)を表し;そしてRが式(a−1)(式中、mは整数1である)の基である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNR(ここで、Rは水素またはメチルである)を表し;そしてRが式(a−2)(式中、mは整数1である)の基である請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がトリフルオロメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rが水素であり;X、XおよびXが炭素であり;nが整数1であり;YがNRを表し、そしてRおよびRがこれらが結合する窒素と一緒になって、C1−4アルキルオキシカルボニルにより置換された、そして場合によりヒドロキシにより更に置換されていてもよいピロリジニル;またはC1−4アルキルオキシカルボニルにより置換されたピペリジニルを形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
医薬的に許容され得るキャリアと治療的に有効な量の請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
治療的に有効な量の請求項1〜6のいずれかに記載の化合物が医薬的に許容され得るキャリアと緊密に混合される請求項7に記載の医薬組成物を製造するための方法。
【請求項9】
医薬として使用するための請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
a)式(II)
【化3】

(式中、R、R、R、Y、n、X、XおよびXは請求項1に定義されている通りである)
の中間体を式(III)
【化4】

(式中、RおよびRは式(I)に定義されている通りであり、そしてQlはヒドロキシおよびハロから選択される)
で表されるビフェニルカルボン酸あるいはハロゲン化物と少なくとも1種の反応不活性な溶媒中で、そして場合によっては適当な塩基の存在下で反応させるか、
b)あるいは、式(I)の化合物を当該技術分野で既知の変換反応に従って相互に変換させるか;あるいは所望ならば、式(I)の化合物を酸付加塩に変換させるか、あるいは逆に式(I)の化合物の酸付加塩をアルカリにより遊離塩基形体に変換させ;そして所望ならば、これの立体化学的異性体の形態物を製造する
式(I)の化合物を製造するための方法。

【公表番号】特表2007−513921(P2007−513921A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543538(P2006−543538)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053280
【国際公開番号】WO2005/058824
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】