説明

NO供与ジクロフェナクのようなNO供与化合物の製造方法

本発明は、スルホン化中間体を使用するNO供与化合物の製造のための新たな方法に関する。本発明は、その方法で製造される、NO供与化合物の大規模製造に適切な新たな中間体に関する。本発明はさらに、薬学的に活性なNO供与化合物の製造にこの新たな中間体を使用することに関する。本発明はさらに、実質的に結晶形態のNO供与NSAID、特に2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート、その製造、ならびに当該結晶形態を含む薬学的製剤および医薬の製造での当該結晶形態の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン化中間体を使用するNO供与化合物(すなわち酸化窒素を放出する化合物)の製造のための新たな方法に関する。本発明は、NO供与化合物の大規模製造に適切な、当該方法で製造される新たな中間体に関する。本発明はさらに、薬学的に活性なNO供与化合物の製造に新たな中間体を使用することに関する。
本発明はさらに、実質的に結晶形態のNO供与NSAID、特に2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート、その製造、および当該結晶形態を含む薬学的製剤、および医薬の製造における当該結晶形態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NO供与化合物は、NOまたはNO2基が薬学的に活性な化合物に連結している化合物である。連結基(linker)が、薬学的に活性な化合物とNOまたはNO2基との間に使用でき得る。
親化合物と比較したNO供与化合物の利点は、とりわけ、良好な許容性(tolerance)および胃腸副作用の低減である。このことは、特に、ジクロフェナクおよびケトプロフェンのようなNSAIDのNO供与アナログに関して言えることである。NSAIDのNO供与アナログは、抗炎症剤および/または鎮痛剤としての薬学的活性について知られている。NO供与化合物を製造する異なる方法が、先行技術に記載されている。
【0003】
Cainelliら(Tetrahedron Lett.,1985,28,3369-3372)およびCainelliら(Tetrahedron 1985,41,1385-1392)には、溶剤(例えば、ペンタン、トルエンまたはベンゼン)中でのスルホン酸エステルの硝酸テトラブチルアンモニウムでの置換またはイオン交換体の硝酸イオンでの置換が記載されている。この間には高温が使用され、このため、この方法は大規模製造に使用するには安全でない。
Cainelliら(J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1987,2637-2642)は、トルエン中でアルキルメタンスルホネートを硝酸テトラブチルアンモニウムと反応させることによるスルホン酸エステルのナイトレート置換(nitrate substitution)を記載している。
Kawamuraら(Chem.Parm.Bull.,1990,38,2092-2096)では、アルキルフェニルスルホネートをトルエン中で硝酸テトラブチルアンモニウムと反応させている。
これら先行技術文献に記載されているような化学量論的量で使用されるテトラアルキルアンモニウムナイトレート供給源(nitrate source)は、経済的に、NO供与化合物の大規模製造に望ましくない。より安価な低分子量アルカリ金属硝酸塩を使用してもよい方法が、経済的理由から好ましい。しかし、硝酸テトラアルキルアンモニウムは、化学量論的量より下の量で、相間移動触媒として使用してもよい。
【0004】
Hwuら(Synthesis,1994,471-474)には、スルホン酸エステルからの硝酸エステルの製造が記載されている。使用される相当の高温および長い反応時間、ならびに得られる最終生成物の低い安定性のため、この方法は大規模製造にあまり適切でない。
加えて、モル過剰の硝酸ナトリウムは、本発明の少なくとも2倍である。このことにより、費用が増大し、さらなる廃棄物の問題を生じさせ得る。さらに、Hwuらに従う方法により得られた粗生成物は、薬学的に受容可能な純度を得るためには、クロマトグラフィーまたは蒸留のいずれかによる精製を必要とする。これらの2つの精製選択肢のいずれも、化合物の大規模製造には歓迎されない。
【0005】
ES 2,073,995は、溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリルまたはジメチルスルホキシド)を使用する、スルホン酸アルキルまたは4-トルエンスルホネートおよび金属硝酸塩からのアルキル硝酸エステルの合成を開示している。例えばスルホン化中間体から出発するNO供与化合物の合成において溶剤としてジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシドを使用することにより、薬学的に受容可能な純度を達成するにはクロマトグラフィーまたは蒸留のいずれかにより精製する必要がある粗生成物が得られる。
【0006】
NSAIDの例は、ジクロフェナク(式Iaの化合物)およびケトプロフェン(式Idの化合物)である:
【化1】

WO 94/04484およびWO 94/12463は、それぞれ、ジクロフェナクおよびケトプロフェンのNO供与アナログの製造方法を開示している。この方法では、ジハライド誘導体を、DMF中でカルボン酸の塩と反応させる。反応生成物を、文献の報告に従って、アセトニトリル中でAgNO3と反応させることにより最終生成物に変換する。
この発明の方法はスルホン化中間体を使用している。この中間体は、容易に製造され得、対応するニトロオキシアルキルエステルを生成する硝酸イオンとの反応に関して高度に反応性である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、大規模な量の薬学的な質のNO供与化合物を製造する、より簡便でより経済的に効率的な方法およびそのスルホン化中間体に対するニーズがある。ここで、費用、製造期間、より環境にやさしい溶剤の使用などのような要因が、商業的応用にきわめて重大である。本発明はこのような方法を提供する。
【0008】
薬物組成物の製剤化において、化合物は、簡便に取扱および加工できる形態であることが重要である。これは、商業的に極めて重大な製造方法を得るため、および活性化合物を含む薬学的製剤の製造のために重要である。
さらに、薬物組成物の製造では、患者への投与後に、信頼し得る、再現可能で、一定の化合物の血漿濃度プロフィールが得られることが重要である。
【0009】
化合物の化学的安定性および物理的安定性は重要な因子である。化合物およびこれを含む製剤は、活性化合物の物理化学的特徴(例えば、化学組成、密度、吸湿性および溶解性)に顕著な変化を示すことなく、相当の期間にわたって有効に貯蔵可能であるべきである。
さらに、できる限り化学的に純粋である形態で化合物を提供できることが重要である。
非晶質材料はこの点に関して重要な問題を提供し得る。このような材料は取扱および製剤化が困難であり、信頼できない溶解性を提供し、しばしば不安定であり化学的に不純であることが見出されている。
【0010】
したがって、商業的に極めて重大であり薬学的に受容可能な製剤の製造において、可能な限り、実質的に結晶で安定な形態で薬物を提供することが重要である。
しかし、このゴールは必ずしも達成可能ではないことに留意すべきである。事実、概して、分子構造のみから化合物の結晶化挙動を予測することは可能ではない。これは、通常、唯一、実験的に決定することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(化合物IVa)が実質的に結晶で安定な形態で得ることができることを見出した。
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、NO供与化合物を製造するための新たな方法を提供する。さらに、本発明は、特に大規模製造に関して、新たな中間体およびその中間体を製造するための方法を提供する。
【0013】
NO供与化合物の新たな製造方法を以下に記載する。
本発明の1つの実施形態は、NO供与化合物の製造方法に関する。この方法は、
工程1
酸性剤または脱水剤および溶剤を使用して反応
MLT1AT2-COOH + HO-X-OH → MLT1AT2-COO-X-OH、
(I) (II)
を行い、任意に続けて抽出または結晶化により精製する工程、と
工程2
溶剤、塩基および任意成分として触媒を使用して反応
MLT1AT2-COO-X-OH + RSO2Cl → MLT1AT2-COO-X-OSO2R
(II) (III)
を行い、続いて抽出および結晶化により精製する工程、と
工程3
溶剤および任意成分として触媒を使用して反応
MLT1AT2-COO-X-OSO2R + Y-NOm → MLT1AT2-COO-X-ONOm
(III) (IV)
を行い、任意に続けて式IVの化合物を実質的に結晶形態で得るための結晶化処理を行なう工程
[式中:
Mは、生理学的に活性な化合物の基であり;
Lは、O、S、(CO)O、(CO)NH、(CO)NR1、NH、NR1(式中、R1は直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基である)または
【化2】

(式中、RbはH、C112アルキルまたはC212アルケニルであり、R2は、(CO)NH、(CO)NR1、(CO)OまたはCR1であり、aおよびbは独立して0または1である)であり;
Aは、置換または未置換の直鎖または分枝鎖のアルキル鎖であり;
Xは炭素連結基であり;
Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択され;
Y-NO3は、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛または硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルは、C1〜C18アルキルであり、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)であり;
mは1または2であり;そして
T1およびT2はそれぞれ独立して0、1、2または3であり;
ただし、MLT1AT2-COOHがナプロキセンである場合にはXは(CH2)4ではない]
を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態は、式IIIの中間体(これはNO供与化合物の製造に使用され得る)の製造方法に関する。この方法は、
工程1
酸性剤または脱水剤および溶剤を使用して反応
MLT1AT2-COOH + HO-X-OH → MLT1AT2-COO-X-OH
(I) (II)
を行い、任意に続けて抽出または結晶化により精製する工程、と
工程2
溶剤、塩基および任意成分として触媒を使用して反応
MLT1AT2-COO-X-OH + RSO2Cl → MLT1AT2-COO-X-OSO2R
(II) (III)
を行い、続いて抽出および結晶化により精製する工程
(式中、M、L、A、T1、T2、XおよびRは上記で規定のとおりである)
を含む。
【0015】
用語「C1〜C8アルキル」は、1〜8の炭素原子を有するアルキルを意味し、直鎖および分枝鎖の両方のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチルなど)を含む。
用語「C1〜C4アルキルフェニル」は、メチルフェニル、エチルフェニル、n-プロピルフェニル、i-プロピルフェニル、n-ブチルフェニル、i-ブチルフェニルおよびt-ブチルフェニルを意味する。
用語「フェニルメチル」はベンジルを意味する。
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フルオロ、クロロまたはブロモをいう。
用語「ハロフェニル」、「ニトロフェニル」および「アセチルアミノフェニル」は、1以上のハロゲン、ニトロまたはアセチルアミノ基で置換されたフェニル基をいう。
用語「大規模」は、「キログラム〜トン」の範囲での製造規模を意味する。
Mは、任意の生理学的に活性な化合物の任意の基であり得る。
MLT1AT2-COOHは任意の生理学的に活性なカルボン酸であり得る。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、基Mは、NSAIDであるCOX1またはCOX2阻害剤の分子の部分である。
本発明の別の実施形態において、基Mは、WO 00/51988に記載のような
【化3】

および米国特許第3,641,127号に記載のような
【化4】

およびWO 96/32946に記載のような
【化5】

およびWO 98/25918に記載のようなシクロアルキル(例えば、2,2-ジメチル-シクロプロパン-1-メタノール)、およびCN 1144092に記載のような
【化6】

およびWO 95/09831に記載のような
【化7】

およびWO 95/30641に記載のような
【化8】

およびWO 02/30866に記載のような
【化9】

および米国特許第6,297,260号に記載のような
【化10】

【化11】

からなる群より選択される。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、Lは、O、S、NH、WO 95/09831に記載のようなNR1(式中、R1は直鎖または分枝鎖のアルキル基である)、およびWO 95/30641に記載のような(CO)または(CO)O、およびWO 02/053188に記載のような
【化12】

(式中、Rbは、H、C112アルキルまたはC212アルケニルであり、aおよびbは独立して0または1である)、および
【化13】

(式中、Rb、aおよびbは上記のように規定され;R2は、(CO)NH、(CO)NR1、(CO)OまたはCR1である)
からなる群より選択される。
【0018】
本発明の別の実施形態では、Aは、-(CH2)n- (式中、nは0、1、2、3または4である)、
【化14】

(式中、d1は1、2または3である)
からなる群より選択される。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、Aは、
【化15】

(式中、d1は1、2または3である)
からなる群より選択される。
【0020】
連結基炭素Xは、WO 95/09831に記載のような
【化16】

(式中、A'およびBは、水素、直鎖または分枝鎖または環式の置換または未置換のアルキル基の中から選択され、v1は1〜10の間に含まれる)、および
-(CH2-CH2-O)2-または5〜7炭素原子を有し任意に置換されていてもよいシクロアルキル、および
【化17】

(式中、m1は0〜3の間に含まれる)、および
WO 95/30641およびWO 02/92072に記載のような
【化18】

(式中、RcはHまたはメチルであり、pは0〜6の間に含まれる)、および
-(CH2)q-OCO-(CH2)r (式中、qおよびrはそれぞれ独立して0〜6の間に含まれる)、および
【化19】

(式中、ZはO、SO、S、あるいは飽和、不飽和もしくは芳香族の五員もしくは六員環またはN、OおよびSから独立して選択される1以上のへテロ原子を含む五員もしくは六員の複素環(この環は任意に置換されていてもよく)であり、v2およびv3は独立して0〜4の間に含まれる)
からなる群より選択されてもよい。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、Xは、直鎖、分枝鎖または環式の-(CH2)w1- (式中、w1は2〜10の整数である);-(CH2)w2-O-(CH2)w3- (式中、w2およびw3は2〜10の整数である);および-CH2-C6H4-CH2-からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態において、Xは、直鎖の-(CH2)w1- (式中、w1は2〜6の整数である);-(CH2)2-O-(CH2)2-および-CH2-C6H4-CH2-からなる群より選択される。
【0022】
本発明のさらなる実施形態において、Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニルおよびハロゲンからなる群より選択される。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、基MLT1AT2は、
【化20】

からなる群より選択される。
【0024】
本発明の別の実施形態において、基MLT1AT2は、
【化21】

からなる群より選択される。
【0025】
特定の実施形態において、基MLT1AT2は、
【化22】

である。
【0026】
プロセスの詳細
工程1
MLT1AT2-COOH + HO-X-OH → MLT1AT2-COO-X-OH
(I) (II)
(式中、M、L、A、T1、T2およびXは上記に規定のとおりである)。
【0027】
MLT1AT2-COOHは、p-トルエンスルホン酸を使用するDE 88-3811118に記載のようにジエチレングリコールの存在下で酸触媒エステル化を使用することにより反応工程1でエステル化されてもよい。
エステル化工程1は、当業者に公知の様式で、例えば式Iの化合物(例えばジクロフェナク)およびジエチレングリコールを酸性剤または脱水剤で処理することにより実施されてもよい。
【0028】
1つの実施形態は、工程1の酸性剤または脱水剤が、硫酸またはその塩、過塩素酸(例えば、70%)または他の適切な酸(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ゼオライト、酸性粘土(acidic clay)、強力な親水性酸(例えば、過塩素酸または気状の塩化水素)と組み合せた砂、およびモンモリロナイトからなる群より選択される本発明の方法に関する。
式IIの化合物はもまた、それぞれ1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオールおよびトリエチレングリコールを使用する同じ様式で製造されてもよい。ES 85-548226では、エステル化を触媒するために塩化チオニルを使用している。
酸は、気体、流体または固体の形態で使用され得る。固体の不均質な酸は、大規模製造方法で、比較的容易に、反応溶液から濾過し再使用することができる。
【0029】
エステル化工程1に有用な他のカップリング試薬の例は、カルボジイミド(例えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))、酸塩化物(例えばオキサリルクロライド)、クロロホルメート(例えばイソブチルクロロホルメート)、または他の試薬(例えば、塩化シアヌール酸、N,N'-カルボニルジイミダゾール、ジエチルクロロホスファイト、2-クロロ-1-メチル-ピリジニウムヨウ化物および2,2'-ジピリジルジスルフィド)である。
【0030】
1つの実施形態は、工程1の溶剤が非極性および/または非酸性溶剤である本発明の方法に関する。
反応工程1は、芳香族炭化水素(例えばベンゼンまたはトルエン)、脂肪族炭化水素(例えばn-ヘプタン)、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジエチレングリコールジメチルエーテル)および塩素化炭化水素(例えばジクロロメタンまたはクロロベンゼン)またはこれらの混合物から構成される群より選択される溶剤中で実施されてもよい。
あるいは、過剰の対応するジオールを、他の上記の有機溶剤の任意のものと必要に応じて混合してもよい溶剤として使用し得る。
【0031】
工程1で得られるような式IIの化合物は、少なくとも92%の、好ましくは97%より高いクロマトグラフィー純度(抽出工程iの後)を有し、約0.5%(w/w)を下回るアルキレンジオールまたはアルキレングリコール含有量(抽出工程iiの後)を有する式IIの化合物を含む溶液を得るために、抽出により、バッチ式でまたは連続的に精製してもよい。
【0032】
抽出工程i)
この抽出工程で、クロマトグラフィー純度を向上させる。この抽出工程で使用する溶液は、i)アルキレンジオールまたはアルキレングリコールと、ii)水および/または低分子量の脂肪族アルコールと、iii)炭化水素溶剤もしくはその混合物または有機溶剤と炭化水素溶剤の混合物との混合物を含んでもよい。
低分子量の脂肪族アルコールは、メタノール、エタノールおよびプロパノールからなる群より選択されてもよいし、またはそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
抽出工程i)に使用される炭化水素溶剤は、トルエン、クメン、キシレン、リグロイン、石油エーテル、ハロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどからなる群より選択されてもよいし、またはそれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
抽出工程i)に適切な有機溶剤は、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばジ-n-ブチルエーテルまたはtert-ブチルメチルエーテル)および脂肪族エステル(例えば酢酸エチルまたは酢酸n-ブチル)およびハロアルカン(例えばジクロロメタン)から構成される群より選択されてもよいし、またはこれらの混合物から構成される群より選択されてもよい。
式IIの精製化合物は、アルキレンジオールまたはアルキレングリコールと水および/または低分子量の脂肪族アルコールとの混合物中の溶液として得られる。
【0033】
抽出工程ii)
この抽出は、アルキレンジオールまたはアルキレングリコールの含有量を低減させるために実施され、上記のようにクロマトグラフィー純度を向上させる抽出工程i)の後に実施される。溶液は、i)水および/または低分子量の脂肪族アルコールと、ii)有機溶剤または有機溶剤の混合物との混合物を含んでもよい。
低分子量の脂肪族アルコールは、メタノール、エタノールおよびプロパノールからなる群より選択されてもよいし、それらの混合物からなる群より選択されてもよい。
抽出工程ii)に使用される適切な有機溶剤は、芳香族炭化水素(例えばトルエン、クメンまたはキシレン)、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばジ-n-ブチルエーテルまたはtert-ブチルメチルエーテル)および脂肪族エステル(例えば酢酸エチルまたは酢酸n-ブチル)およびハロアルカン(例えばジクロロメタン)から構成される群より選択されてもよいし、それらの混合物から構成される群より選択されてもよい。
エステル化プロセス工程1で使用される溶剤の総量は、出発材料の重量あたり0〜100容量部の間で変化し得る。
エステル化工程1の温度は、−100℃〜+130℃の間であり得、好ましくは0℃〜+120℃の間であり得る。
【0034】
工程2
MLT1AT2-COO-X-OH + RSO2Cl → MLT1AT2-COO-X-OSO2R
(II) (III)
(式中、M、L、A、T1、T2、XおよびRは上記に規定のとおりである)。
工程2の反応条件は、適切には、有機溶剤または有機溶剤の混合物中の過剰のRSO2Clを含む。
【0035】
工程2で適切な溶剤は、芳香族炭化水素(例えばトルエン、クメンまたはキシレン)、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル)および脂肪族エステル(例えば酢酸エチルまたは酢酸n-ブチル)およびハロアルカン(例えばジクロロメタン)から構成される群より選択されてもよいし、それらの混合物から構成される群より選択されてもよい。
1つの実施形態は、工程2の溶剤がトルエン、クメン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルからなる群より選択される本発明の方法に関する。
【0036】
工程2で塩基を添加してもよい。本発明の1つの実施形態において、工程2の塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミンおよびN-メチル-ピペリジンからなる群より選択されてもよい。
別の実施形態は、工程2の塩基がトリエチルアミンまたはN-メチルモルホリンである本発明の方法に関する。
【0037】
さらなる実施形態は、触媒(例えば4-(ジメチルアミノ)ピリジン)が工程2で任意に使用されてもよい本発明の方法に関する。
工程2で得られるような式IIIの化合物は、約95%、特に約98%の化学純度を有する結晶固体を得るために、有機溶剤から結晶化により精製してもよい。
別の実施形態は、工程2での式IIIの化合物の結晶化に反溶剤を使用する本発明の方法に関する。
【0038】
本発明のさらなる実施形態において、結晶化に使用する溶剤は、芳香族炭化水素(例えばトルエン、クメンまたはキシレン)、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル)および脂肪族エステル(例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチル)から構成される群より選択されてもよいし、またはそれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
なお別の実施形態は、工程2の結晶化に使用する溶剤が、トルエン、クメン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルからなる群より選択されるか、またはそれらの混合物からなる群より選択される本発明の方法に関する。
なおさらなる実施形態は、工程2の結晶化に使用する反溶剤が、リグロイン、石油エーテル、ハロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン(例えばイソオクタン)、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびアルコールから構成される群より選択されるか、またはそれらの混合物から構成される群より選択される本発明の方法に関する。
【0039】
工程3
MLT1AT2-COO-X-OSO2R + Y-NOm → MLT1AT2-COO-X-ONOm
(III) (IV)
(式中、M、L、A、T1、T2、X、R、mおよびYは上記に規定のとおりである)。
製造方法の工程3において、式IVの化合物は、任意に溶剤の存在下で行なってもよい、式IIIの化合物とナイトレート供給源(Y-NO3)との反応により得られる。
この反応は、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛および硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルはC1〜C18アルキルであり、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)からなる群より選択されるナイトレート供給源Y-NO3を用いて実施してもよい。
1つの実施形態は、工程3のナイトレート供給源Y-NO3が硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウムおよび硝酸カルシウムからなる群より選択されるかまたはそれらの混合物からなる群より選択される本発明の方法に関する。
【0040】
別の実施形態は、工程3の有機溶剤が極性の非プロトン性溶剤である本発明の方法に関する。
本発明のさらなる実施形態では、工程3で使用される極性の非プロトン性溶剤は、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン(sulpholane)、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンおよびニトリル(例えばアセトニトリル)から構成される群より選択されてもよいし、またはこれらの混合物から構成される群より選択されてもよい。
他の溶剤は、芳香族炭化水素(例えばトルエン)、脂肪族炭化水素(例えばn-ヘプタン)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジエチレングリコールジメチルエーテル)、塩素化炭化水素(例えばクロロベンゼン)、脂肪族エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチルまたは酢酸イソプロピル)、硝酸化炭化水素(例えばニトロメタン)、エチレングリコール(例えばポリエチレングリコール)およびこれらの混合物であり得、任意に脂肪族アルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノールまたはt-ブタノール)が添加されてもよい。
本発明の1つの実施形態は、工程3の有機溶剤がN-メチルピロリジノン、スルホラン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルからなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される本発明の方法に関する。
【0041】
ニトロ化工程3はまた、水中で実施されてもよく、水は任意に上掲の有機溶剤のいずれかと組み合わせてもよい。
ニトロ化工程3は、任意に相間移動触媒の存在下で実施されてもよい。
1つの実施形態は、工程3の相間移動触媒がテトラアルキルアンモニウム塩、アリールアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩、アリールアルキルホスホニウム塩、クラウンエーテル、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される本発明の方法に関する。
【0042】
式IVの化合物の結晶化
工程3で得られるような式IVの化合物は、90%、特には約95%の化学純度の結晶性固体生成物を得るために、任意に炭化水素、アルコールまたは水を反溶剤として使用して、有機溶剤から結晶化により精製してもよい。
1つの実施形態は、工程3の式IVの化合物がバッチ式でまたは連続的に抽出され、少なくとも95%の化学純度を有する結晶性固体を得るために、任意に反溶剤を使用して、有機溶剤から結晶化される本発明の方法に関する。
好ましくは、結晶化は適切な溶剤系で実施する。結晶化はまた、溶剤系の非存在下で実施してもよい。結晶化の他の例は、超臨界条件下でのまたは昇華により達成される金属からの結晶化を含む。
適切な溶剤系からの式IVの化合物の結晶化は、式IVの化合物を含む溶剤系で過飽和にすることにより達成してもよい。これは、溶剤系を冷却すること、溶剤を蒸発させること、適切な反溶剤を添加することまたはこれらの方法の任意の組合せにより行なわれてもよい。結晶化はまた、塩(例えばNaCl)の添加により化合物の溶解性が減少することにより行なわれてもよい。
【0043】
結晶化処理は、式IVの化合物の製造後に得られるような式IVの化合物を含む反応溶液から開始してもよい。
また、結晶化処理は、式IVの乾燥化合物から開始してもよい。
あるいは、結晶化処理は、反応溶液からの式IVの化合物の抽出後に開始してもよい。
【0044】
本発明の1つの実施形態は、式IVの化合物のための結晶化処理が以下の工程:
a)i)溶剤に化合物を溶解する工程;
または
ii)反応溶液から溶剤中に化合物を抽出する工程;
または
iii)化合物を含む反応溶液から開始する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化させる工程
を含む上記方法に関する。
【0045】
本発明の別の実施形態は、化合物2-[2-(ニトロオキシ)-エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(IVa)のための結晶化処理が以下の工程:
a)反応溶液から溶剤中へ化合物を抽出する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化する工程
を含む上記方法に関する。
【0046】
実質的に結晶形態の2-[2-(ニトロオキシ)-エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを、本明細書中において以後、「A形態の化合物IVa」と呼ぶ。
本発明のさらなる実施形態において、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを結晶化することを含むA形態の化合物IVaの製造方法が提供される。
【0047】
結晶化処理に使用する適切な溶剤は、低級アルキルアセテート(例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたは酢酸ブチルのような直鎖または分枝鎖のC16アルキルアセテート)、低級の直鎖または分枝鎖のC26アルキルアルコール(好ましくは、エタノールまたはイソプロパノールのようなC24アルキルアルコール)、脂肪族および芳香族の炭化水素(例えばC512脂肪族炭化水素、またはイソオクタン、クメン、キシレン、n-ヘプタン、1-メチル-2-ピロリジノンもしくはトルエンのようなC610芳香族炭化水素)、ジアルキルケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたは4-メチル-2-ペンタノンのようなジ-C16アルキルケトン)、ジアルキルエーテル(例えば、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフランのようなジ-C16アルキルエーテル)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル)および水から構成される群より選択されてもよいし、またはこれらの混合物から構成される群より選択されてもよい。
【0048】
本発明の1つの実施形態は、工程a)の溶剤が低級アルキルアセテート、低級アルキルアルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式芳香族炭化水素、ジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ニトリルおよび水から構成される群より選択されるかまたはこれらの混合物から構成される群より選択される上記の結晶化処理に関する。
本発明の別の実施形態は、工程a)の溶剤が酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、エタノール、イソプロパノール、イソオクタン、n-ヘプタン、トルエン、1-メチル-2-ピロリジノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、アセトニトリルおよび水からなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される上記の結晶化処理に関する。
さらなる実施形態は、溶剤が酢酸ブチル、イソプロパノール、イソオクタン、アセトン、アセトニトリルおよび水からなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される上記の結晶化処理に関する。
【0049】
溶剤はまた、「反溶剤」(すなわち、化合物が溶解性に乏しい溶剤)として用いられてもよく、そうして結晶化処理を補助してもよい。
本発明の1つの実施形態では、結晶化処理の工程b)の反溶剤は、エタノールまたは2-プロパノール、トルエン、クメン、キシレン、リグロイン、石油エーテル、ハロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンから構成される群より選択されるかまたはそれらの混合物から構成される群より選択される。
【0050】
化合物のさらなる精製は、再結晶化および/またはスラリー化により行なわれてもよい。再結晶化は、適切な溶剤系、例えば、直鎖または分枝鎖のアルキルアセテート(例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸ブチル)、ケトン(例えばアセトンおよび4-メチル-2-ペンタノン)、芳香族炭化水素(例えばトルエンおよび1-メチル-2-ピロリジノン)またはこれらの溶剤の組合せから行なわれてもよく、溶剤系は、反溶剤、例えば水または低級アルキルアルコール(例えばエタノールおよびイソプロパノール)または脂肪族炭化水素(例えばイソオクタンおよびn-ヘプタン)を含み得る。
【0051】
本発明のさらなる実施形態は、工程d)の溶剤が、芳香族炭化水素(例えばトルエン、クメンまたはキシレン)、ケトン(例えばメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えばジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)、脂肪族ニトリル(例えばアセトニトリル)および脂肪族エステル(例えば酢酸エチルまたは酢酸n-ブチル)およびハロアルカン(例えばジクロロメタン)から構成される群より選択されるかまたはこれらの混合物から構成される群より選択され、任意に、水、エタノール、イソプロパノール、イソオクタンおよびn-ヘプタンからなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される反溶剤を併せて含む上記の結晶化処理に関する。
【0052】
本発明のなお別の実施形態は、工程d)の溶剤がトルエン、クメン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸n-ブチルおよびジクロロメタンからなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択され、任意に、水、エタノール、イソプロパノール、イソオクタンおよびn-ヘプタンからなる群より選択されるかまたはこれらの混合物からなる群より選択される反溶剤を併せて含む上記の結晶化処理に関する。
【0053】
式IVの化合物は、再結晶化のために、例えば、まず有機溶剤(例えばアセトン)に溶解され、次いで反溶剤(例えば水)で洗浄され、続いて冷却し得られた結晶を濾過してもよい。濾過後、結晶を液体でさらに洗浄してもよく、その後、液体を蒸発させて結晶を乾燥させてもよい。
結晶形態の式IVの化合物は、従来の技法(例えばデカンテーション、濾過または遠心分離)を使用して単離されてもよい。
【0054】
本発明は、上記のような処理により得られることができる式IVの化合物に関する。
本発明の1つの実施形態は、A形態の化合物IVaの化学純度が95%を超える、好ましくは98%を超える、より好ましくは99%を超える、上記処理に従って結晶化されたA形態の化合物IVaに関する。
A形態の化合物IVaは、本明細書に記載のように、結晶化されそして/または再結晶化される場合、結果物たる結晶は、改善した化学的、物理的および固体状態の安定性を有すると予測される。
【0055】
本発明の1つの実施形態によれば、実質的に結晶形態の2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(IVa)が提供される。
本発明の別の実施形態は無水物形態の化合物IVaに関する。無水物形態の製造および特徴づけを以下に記載する。
【0056】
本発明者らは、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを90%より高い結晶である形態で製造することが可能であることを見出したが、「実質的に結晶(性)」に、50%より高い結晶(性)、好ましくは60%より高い結晶(性)、より好ましくは70%より高い結晶(性)を含ませる。
「結晶化度(%)」は、X線粉体回折(XRPD)を使用して決定し得る。他の技法、例えば固体状態NMR、FT-IR、ラマン分光法、示差走査熱量測定法(DSC)およびマイクロ熱量測定法もまた補完的な方法として使用してよい。
【0057】
本発明の1つの実施形態は、実施例5aの表1に示すようなX線粉体回折像中の主要なピークによって特徴付けられるA形態の化合物IVaに関する。
A形態の化合物IVaは、その単位格子によって特徴付けられ得る。
本発明の別の実施形態は、パラメータa=13.79Å、b=11.90Å、c=13.01Å、α=90°、β=94.0°、γ=90°の単斜晶系単位格子を有することによって特徴付けられるA形態の化合物IVaに関する。
A形態の化合物IVaは、下記のような貯蔵条件下で、長期間、化学的および物理的に安定であると予測される。
【0058】
本明細書中で規定される用語「安定性」および「安定な」は、化学的安定性および物理的安定性をいう。
用語「化学的安定性」は、A形態の化合物IVaが、有意な程度の化学的な劣化も分解も起こさずに、貯蔵条件下に、単離された固体形態でか、または固体製剤(任意に薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤またはアジュバントと混合されていてもよい)の形態で貯蔵できることを意味する。
用語「物理的安定性」は、A形態の化合物IVaが、有意な程度の物理的な劣化(例えば、結晶化、再結晶化、固体状態相転移、水和化、脱水化、溶剤和化(solvatisation)、脱溶剤和化(desolvatisation))を起こさずに、貯蔵条件下に、単離された固体形態でか、または固体製剤(任意に薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤またはアジュバントと混合されていてもよい)の形態で貯蔵できることを意味する。
A形態の化合物IVaは、改善した化学的特徴および物理学的特徴(例えば、改善した溶解性、熱安定性、光安定性、吸湿安定性など)を有すると予測される。
【0059】
本発明はまた、式IVa、IVb、IVcおよびIVdの化合物の製造に関する。ジクロフェナク化合物a、bおよびcは、連結基Xの差により互いに識別される。
式IIa、IIIaおよびIVaの化合物では、連結基XはC2H4OC2H4である。
式IIb、IIIbおよびIVbの化合物では、連結基XはC4H8である。
式IIc、IIIcおよびIVcの化合物では、連結基XはC2H4OC2H4OC2H4である。
化合物IId、IIIdおよびIVdは、連結基XがC3H6であるケトプロフェン化合物である。
【0060】
本発明の1つの実施形態は、式IVa、IVbまたはIVcのNO供与ジクロフェナクの製造方法に関し、この方法は:
工程1
式Iaの化合物をHO-X-OH(式中、XはC2H4OC2H4、C4H8またはC2H4OC2H4OC2H4である)と反応させて、式IIa、IIbまたはIIcの化合物を得る工程、
【化23】

続いて
工程2
式IIa、IIbまたはIIcの化合物をRSO2Cl(式中、Rは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物を得る工程
【化24】

続いて
工程3
式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物をナイトレート供給源Y-NO3(式中、Yは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IVa、IVbまたはIVcの化合物を得る工程
【化25】

続いて
以下の工程を使用して式IVa、IVbまたはIVcの化合物を結晶化する工程:
a)反応溶液から溶剤中へ式IVa、IVbまたはIVcの化合物を抽出する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化させる工程
を含む。
【0061】
本発明の別の実施形態は、式IVaのNO供与ジクロフェナクの製造方法に関し、この方法は:
工程1
式Iaの化合物をジエチレングリコールと反応させて、式IIa化合物を得る工程、
【化26】

続いて
工程2
式IIaの化合物をRSO2Cl(式中、Rは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IIIaの化合物を得る工程
【化27】

工程3
式IIIaの化合物をナイトレート供給源Y-NO3(式中、Yは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IVaの化合物を得る工程
【化28】

続いて
以下の工程を使用して式IVaの化合物を結晶化する工程:
a)反応溶液から溶剤中へ化合物を抽出する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化させる工程
を含む。
【0062】
本発明のさらなる実施形態は、式IVdのNO供与ケトプロフェンの製造方法に関し、この方法は:
工程1
式Idの化合物を1,3-プロパンジオールと反応させて、式IIdの化合物を得る工程、
【化29】

続いて
工程2
式IIdの化合物をRSO2Cl(式中、Rは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IIIdの化合物を得る工程
【化30】

工程3
式IIIdの化合物をナイトレート供給源Y-NO3(式中、Yは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IVdの化合物を得る工程
【化31】

を含む。
【0063】
本発明の1つの実施形態は、式IVdのNO供与ケトプロフェンのS-エナンチオマーの製造のための上記のような処理に関する。
処理工程1および2で使用する温度は、−100℃〜+130℃の間であり得る。最終生成物の安定性が高温により影響される可能性があるので、温度は、特には、130℃を下回って維持される。反応工程3は、特には、90℃を下回る温度にて実施される。結晶化処理で使用される温度は、0℃を下回り得、例えば−40℃まで下げてもよい。
1つの実施形態は、温度が−40℃〜120℃の間である本発明の方法に関する。
室温は、18℃〜25℃の間の温度を意味する。
【0064】
溶剤の総量は、出発材料の重量あたり0〜100容量部の間で変化し得る。
異なる反応工程は異なる反応時間を必要とし得る。
本発明の方法において、爆発性中間体(例えばニトロオキシアルカノール)の使用は回避される。さらに、この新たな方法は、商業的および環境的に、公知の方法より有利である。
本発明の方法の別の利点は、不斉炭素が存在する最終生成物(IV)において出発材料のエナンチオマー純度が少なくとも維持されることである。
【0065】
中間体
本発明の1つの実施形態は、式IIIの中間体MLT1AT2-X-O-SO2R (式中、M、L、A、T1、T2、XおよびRは上記に規定のとおりである)に関する。
本発明の別の実施形態は、式IIIa、IIIb、IIIcおよびIIIdの化合物に関する:
【化32】

(式中、Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択される)。
【0066】
本発明のさらなる実施形態は、式IIIdの化合物のS-エナンチオマーに関する:
【化33】

(式中、Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択される)。
【0067】
本発明のなお別の実施形態は、式IIIaの化合物に関する:
【化34】

(式中、Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択される)。
【0068】
使用
本発明の1つの実施形態は、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート、4-(ニトロオキシ)ブチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート、2-[2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート、3-(ニトロオキシ)プロピル2-(2-ベンゾイルフェニル)-プロパノアート(propanoate)および3-(ニトロオキシ)プロピル(2S)-2-(2-ベンゾイルフェニル)-プロパノアートの製造のための中間体として、上記に規定のような式IIIa、IIIb、IIIcおよびIIIdの化合物を使用することに関する。
【0069】
本発明の別の実施形態は、式IVのNO供与化合物の大規模製造のために上記に規定のような方法を使用することに関する。
本発明のさらなる実施形態は、式IVa、IVb、IVcおよびIVdの化合物の大規模製造のために上記に規定のような方法を使用することに関する。
【0070】
医学的使用
本発明の1つの実施形態は、薬学的に活性な化合物の製造のための中間体として、式IIIの化合物、MLT1AT2-X-O-SO2R (式中、M、L、A、T1、T2、XおよびRは上記に規定のとおりである)を使用することに関する。
本発明の別の実施形態は、疼痛および/または炎症の処置のための医薬の製造のために、上記の工程1および2に記載の処理に従って製造した上記に規定のような式IIIa、IIIb、IIIcおよびIIIdの中間体化合物を使用することに関する。
【0071】
本発明のさらなる実施形態は、医薬の製造にA形態の化合物IVaを使用することに関する。
A形態の化合物IVaは、疼痛および/または炎症の処置に使用することができる。
本発明のなお別の実施形態は、疼痛および/または炎症の処置のための医薬の製造にA形態の化合物IVaを使用することに関する。
本発明のなおさらなる実施形態は、疼痛および/または炎症の処置方法に関し、この方法は、そのような処置を必要とする患者に、治療有効量のA形態の化合物IVaを投与することを含む。
【0072】
薬学的調製物
式IVの化合物は、通常、薬学的に受容可能な投薬形態で、経口的に、直腸にまたは非経口的に投与される。投薬形態は、固体、半固体または液体の製剤であり得る。通常、活性化合物は、投薬形態の0.1〜99重量%の間、好ましくは注射を意図される投薬形態については0.5〜20重量%の間、経口投与を意図される投薬形態については0.2〜80重量%の間を構成する。
式IVの化合物を含む薬学的製剤は、従来の技法により製造され得る。
ヒトの治療的処置における式IVの化合物の適切な日用量は、非経口投与については約0.001〜100mg/kg体重、他の投与経路については0.01〜100mg/kg体重である。
【0073】
本発明の1つの実施形態は、活性化合物として治療有効量のA形態の化合物IVaを含み、任意に希釈剤、賦形剤またはキャリアが組み合わされていてもよい薬学的製剤を提供する。
本発明の別の実施形態は、A形態の化合物IVaを含有する水溶液を含む製剤に関する。
本発明のさらなる実施形態は、A形態の化合物IVaを含み、任意に希釈剤、賦形剤またはキャリアが組み合わされていてもよい薬学的製剤に関する。
本発明のなお別の実施形態は、疼痛および/または炎症の処置で使用するための薬学的製剤に関する。
【0074】
用語「疼痛」は、侵害受容性およびニューロパシー性の疼痛またはそれらの組合せ、急性、間欠性および慢性の疼痛、ガンの疼痛、同様な起源の片頭痛および頭痛を含むことを意味するがこれらに限定されない。
用語「炎症」は、慢性関節リウマチ、変形性関節症および若年性関節炎を含むことを意味するがこれらに限定されない。
本明細書に関しては、用語「治療的」および「処置」は、これに反する具体的明示がない限り、予防(prevention and prophylaxis)を含む。
【0075】
図面の簡単な説明
図1は、実施例5に記載の方法に従って得られるような結晶形態の2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(A形態の化合物IVa)についてのX線粉体回折像を示す。
【0076】
以下の実施例は、上記の方法に従う式IVの化合物(特にA形態の化合物IVa)の製造をさらに説明する。これらの実施例は、上記に規定のような本発明の範囲も、特許請求の範囲に記載の発明の範囲も限定する意図はない。
【実施例】
【0077】
実施例1
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVaの化合物)の合成
2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIaの化合物)
ジクロフェナクナトリウム(20g、63ミリモル)を60℃のジエチレングリコール(67g、0.63モル)に溶解した。固体が溶解した後に、トルエン(170mL)および濃硫酸(4.5mL、81.7ミリモル)を添加した。反応混合物を60℃に14時間加熱した後、K2CO3(1M、120mL)を添加した。相分離の後、水性相を廃棄し、有機相を水(100mL)で洗浄した。有機相を真空下に濃縮し、次工程で使用する23gのIIaを褐色の油として得た(85%収率、90%面積HPLC純度)。MS [M+]=384; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8 Hz,2H),7.24 (app d,J = 8 Hz,1H),7.12 (app t,J = 7 Hz,1H),6.92-7.05 (m,2H),6.88 (br s,1H),6.54 (app d,J = 8 Hz,1H),4.32 (app t,J = 4 Hz,2H),3.85 (s,2H),3.64-3.76 (m,4H),3.50-3.58 (m,2H),2.08 (br s,1H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.8,143.1,138.2,131.1,129.9,129.4,128.5,124.6,124.5,123.5,122.4,118.7,72.8,69.3,64.7,62.10,53.9,38.9。
【0078】
2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIaの化合物)
ジクロフェナクIa(450g、1.52モル)とジエチレングリコール(2.42kg、22.8モル)との混合物を30℃にて撹拌した。塩化チオニル(90.1g、0.757モル)を30分間にわたって添加した。6.5時間30℃にて撹拌後、トルエン(2.20L)および炭酸カリウム水溶液(1800mLの水に溶解した168.1g、1.22モル)を、連続撹拌の間に添加した。内部温度29〜30℃にて0.5時間強く撹拌した後、水性層を分離して取り出した。有機相を54〜56℃の内部温度の水(1回の洗浄あたり1.8L)で3回洗浄して相分離を向上させた。有機相を真空下で1900mLの体積まで濃縮した。続くスルホニル化工程(下記参照)で使用する前に、トルエン(0.70L)を添加し、得られた溶液の水含有量をKarl Fisher滴定により0.07%w/wと測定した。HPLCによる純度:92%面積。
【0079】
2-[2-[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIIaの化合物)
前工程で単離したヒドロキシエステルIIa(23g、0.16モル)を、30℃のトルエン(300mL)およびN-メチルモルホリン(16.9g、157ミリモル)に溶解した。トルエン(50mL)に溶解したメタンスルホニルクロライド(18.0g、157ミリモル)を、反応物に滴下して加えた。反応物を60℃に2時間にわたって加熱し、その後反応混合物を0.1M硫酸(200mL)および水(2×200mL)で洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、得られた油をトルエン(200mL)に溶解し、再び濃縮した。粗生成物を30℃のトルエン(150mL)に溶解し、イソオクタン(150mL)を1時間にわたって添加した後、5℃に冷却した。得られたスラリーを一晩にわたって撹拌した後、結晶を濾過して取り出し、イソオクタン(100mL)で洗浄し、次いで真空下で40℃にて乾燥させた。これにより、52.4g(74%)の標記化合物が白色結晶として得られた(98.0%面積HPLC純度)。Mp = 87℃; MS [M+] = 462; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8 Hz,2H),7.23 (app d,J = 7 Hz,1H),7.13 (app t,J = 7 Hz,1H),6.97 (app q,J = 8 Hz,2H),6.85 (br s,1H),6.54 (app d,J = 8 Hz,1H),4.26-4.36 (m,4H),3.84 (s,2H),3.68-3.78 (m,4H),2.99 (s,3H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.2,142.7,137.7,130.9,129.5,128.9,128.1,124.2,124.1,122.1,118.3,100.0,69.1,69.0,64.1,38.5,37.6。
【0080】
2-[2-[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIIaの化合物)
前工程で製造したヒドロキシエステルIIaの溶液(2.6L)を、N-メチルモルホリン(154g、1.52モル)と混合した後、効率的に撹拌しながら、30℃のメタンスルホニルクロライド(174g、1.52モル)を25分間にわたって滴下した加えた。添加期間の間に内部温度が41℃に上昇した。反応物を、30℃にてさらに40分間撹拌した後、温度が60℃に上昇した。3時間40分間の撹拌後、さらにN-メチルモルホリン(7.7g、76ミリモル)およびメタンスルホニルクロライド(8.7g、76ミリモル)を添加し、次いで60℃の強い撹拌を54分間続けた。硫酸水溶液(0.10M、1.8L)を60℃にて添加し、得られた二相系を約20分間撹拌した後、相分離した。有機層を60℃にて水(2×1.8L)で2回洗浄し、次いで減圧下にて1.4Lの残留体積に濃縮した。イソオクタン(1.35L)を30分間にわたって60℃にて添加した後、30℃に冷却した。得られたスラリーを一晩30℃にて撹拌後、結晶を濾過して取り出し、イソオクタン(0.20L)で洗浄した。得られた結晶を、トルエン(1.35L)およびイソオクタン(1.35L)から上記のように一度再結晶化させた。濾過およびイソオクタン(0.90L)での洗浄後、結晶を40℃にて真空下で乾燥させた。これにより、610.2g(2つの工程にわたって86.3%)の標記化合物が白色結晶として得られた(>99%面積HPLC純度)。
【0081】
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVaの化合物)
メシレートIIIa(461g、0.997モル)および硝酸リチウム(293g、4.25モル)をN-メチルピロリジノン(1800mL)に溶解し、温度を75℃に設定した。3.5時間後、別の量部の硝酸リチウム(146g、2.11モル)を添加した。反応を一晩(合計27時間)行った後、35℃に低下させトルエン(1800mL)および水(1000mL)を添加することにより反応を停止した。水相を分離して取り出し、有機相を水(1000mL)で洗浄した。有機相を蒸発させて乾燥し、静置すると固化した513gのIVaが得られた。分析サンプル(10g)を、酢酸n-ブチル(30mL)およびイソオクタン(60mL)から再結晶化させた。Mp = 73℃; MS [M+] = 429; 1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8,2H) 7.24 (app d,J = 8 Hz,1H),7.12 (app t,J = 8 Hz,1H),6.97 (app q,J = 8 Hz,2H),6.86 (br s,1H),6.55 (d,J = 8 Hz,1H),4.54 (t,J = 4 Hz,2H),4.30 (t,J = 5 Hz,2H),3.84 (s,2H),3.66-3.74 (m,4H); 13C-NMR (CDCl3) δ 171.7,142.2,137.2,130.4,129.0,128.4,127.5,123.7,123.6,121.5,117.7,71.4,68.7,66.6,63.6,38.0。
【0082】
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVaの化合物)
メシレートIIIa(471g、1.02モル)を60℃の酢酸n-ブチル(1.9L)と混合した。硝酸テトラブチルアンモニウム(62.3g、0.204モル)および硝酸ナトリウム(355g、5.15モル)(共に乳鉢を使用して粉砕した)を60℃にて添加し、得られたスラリーを60℃のジャケット温度(jacket temperature)にて10分間強く撹拌した。水(45.9mL)を加え、ジャケット温度は85℃に上昇した。16時間30分間の激しい撹拌の後、ジャケット温度は90℃に上昇し、合計51時間後に混合物を50℃に冷却した。水(1.9L)を加え、得られた二相系を50℃にて5分間撹拌した。水相を分離して取り出し、有機相を50℃の水(2×1.9L)で2回洗浄した。次いで、有機相を蒸発させて体積を1.0Lにした。イソプロパノール(2.36L)を50℃で加え、得られた溶液を−11℃の内部温度に15時間にわたって冷却した。生成した結晶を濾過して取り出し、イソプロパノール(1.0L)で洗浄し、次いで真空下で40℃にて乾燥させて、361.6g(82.7%)の純粋なIVaを得た。HPLCによる純度は98面積%であった。
【0083】
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVaの化合物)
メシレートIIIa(608.8g、1.317モル)および硝酸テトラブチルアンモニウム(120.8g、0.397モル)を60℃の酢酸n-ブチル(1.7L)と混合した。アセトニトリル(0.70L)および硝酸ナトリウム(459.7g、6.668モル)を60℃にて添加し、得られたスラリーを87℃のジャケット温度にて50時間強く撹拌した。水(2.4L)を加え、ジャケット温度を50℃に低下させた。10分間の撹拌の後、水相を分離して取り出し、有機相を50℃の水(2×2.4L)で2回洗浄した。次いで、有機相を蒸発させて体積を1.5Lにした。イソプロパノール(3.1L)を50℃で加え、得られた溶液を−12℃の内部温度に15時間にわたって冷却した。7時間の−12℃での撹拌の後、生成した結晶を濾過して取り出し、イソプロパノール(0.84L)で洗浄し、次いで真空下で40℃にて乾燥させて、527.7g(93.4%)の純粋なIVaを得た。HPLCによる純度は99面積%より大きかった。
【0084】
実施例2
4-(ニトロオキシ)ブチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVbの化合物)の合成
4-ヒドロキシブチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIbの化合物)
65℃のトルエン(120mL)中のジクロフェナクナトリウム(20.0g、62.9ミリモル)および1,4-ブタンジオール(56.6g、629ミリモル)の混合物に、硫酸(4.5mL、84.5ミリモル)を加えた。得られた明澄な溶液を65℃にて6時間にわたって撹拌した後、50℃に冷却した。反応混合物を炭酸カリウム水溶液(0.2M、120mL)および水(2×120mL)で洗浄した。相分離後、トルエンを蒸発させて褐色の油として22.9gのIIbを得た(88%、少なくとも89%面積のHPLC純度)。これを次工程で使用した。1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d J = 8 Hz,2H),7.23 (app d,J = 8 Hz,1H),7.13 (app t,J = 7 Hz,1H),6.97 (app q,J = 8 Hz,2H),6.56 (app d,J = 8 Hz,1H),4.19 (t,J = 7 Hz,2H),3.82 (s,2H),3.63 (t,J = 7Hz,2H),1.71-1.80 (m,2 H),1.55-1.64 (m,2H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.4,142.6,137.7,130.8,129.4,128.8,127.9,124.4,124.0,121.9,118.2,65.1,62.1,38.6,28.9,25.0。
【0085】
4-[(メチルスルホニル)オキシ]ブチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIIbの化合物)
前工程からのエステルIIb(20g、54ミリモル)およびメタンスルホニルクロライド(7.5g、65.1ミリモル)を20℃のトルエン(100mL)に溶解した。N-メチルモルホリン(6.0g、59.7ミリモル)を滴下して加えた。添加終了後、溶液(僅かに濁った)を40℃にて5時間にわたって加熱した。トルエンを添加し(40mL)、反応物を60℃にて0.5時間加熱した後、硫酸(水溶液)(0.1M、80mL)を加えた。水性層を廃棄し、トルエン相を炭酸カリウム水溶液(0.6M、40mL)で洗浄した後、トルエンを蒸発させて35gの油を得た。得られた油を室温のトルエン(60mL)に溶解し、イソオクタンを加えた。得られたスラリーを5℃まで冷却し、結晶を濾過して取り出し、イソオクタンで洗浄した。結晶を吸引下で1時間乾燥させた。これにより、19.0gのIIIbを白色の結晶として得た(79%収率で、98.9%面積のHPLC純度)。Mp = 57-58℃。1H-NMR (CDCl3) δ 7.35 (app d,J = 8 Hz,2H),7.22 (app d,J = 8 Hz,1H),7.13 (app t,J = 7 Hz,1 H),6.93-7.01 (m,2H),6.88 (br s,1H),6.55 (app d,J = 8 Hz,1 H),4.15-4.28 (m,4H),3.81 (s,2H),2.99 (s,3H),1.74-1.84 (m,4H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.3,142.7,137.7,130.8,129.5,128.9,128.0,124.2,124.1,122.0,118.3,69.1,64.3,38.6,64.3,38.6,37.4,25.8,24.8。
【0086】
4-(ニトロオキシ)ブチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVbの化合物)
化合物IIIb(5.0g、11ミリモル)および硝酸リチウム(2.2g、32ミリモル)を70℃のN-メチルピロリジノン(15mL)に溶解した。23時間後、反応物を35℃に冷却し、トルエン(20mL)を添加し、反応物を水(2×30mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、蒸発させて乾燥させた。得られた油をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン;80:20)により精製し、無色の油として4.02gのIVbを収集した。1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8 Hz,2H),7.22 (app d,J = 7 Hz,1H),7.08-7.19 (m,1H),6.91-7.02 (m,2H),6.88 (br s,1H),6.55 (app d,J = 7 Hz,1H),4.38-4,46 (m,2H),4.14-4.21 (m,2H),3.81 (s,2H),1.71-1.82 (m,4H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.3,142.7,137.8,130.8,129.5,128.9,128.1,124.2,124.1,122.1,118.3,72.5,64.3,38.6,25.0,23.5。
【0087】
実施例3
2-[2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVcの化合物)
2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IIcの化合物)
塩化チオニル(1.2mL、16.9ミリモル)を、30℃のジクロフェナク(10g、33.8ミリモル)およびトリエチレングリコール(90mL、676ミリモル)の懸濁液に加えた。反応物を7時間撹拌した後、炭酸カリウム水溶液(0.27M、100mL)およびトルエン(100mL)を添加した。温度を60℃に上昇させ、水相を廃棄した。有機相を水(3×100mL)で洗浄し、濃縮して油として14.4gのIIcを得た。この油を次工程で直接使用した。1H-NMR (CDCl3) δ 7.33 (app d,J = 8 Hz,2H) 7.23 (app d,J = 7 Hz,1H),7.08-7.20 (m,1H),6.85-7.07 (m,3H),6.54 (app d,J = 8 Hz,1H),4.31 (app t,J = 5 Hz,2H),3.85 (s,2H),3.71 (m,4 Hz,4H),3.54-3.64 (m,4H),2.50 (app br s,1H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.4,142.8,137.8,130.9,129.6,128.9,128.01,124.2,124.1,122.0,118.2,72.5,70.6,70.3,69.0,64.3,61.7,38.5。
【0088】
10,10-ジオキシド-3,6,9-トリオキサ-10-チアウンデク-1-イル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(10,10-dioxido-3,6,9-trioxa-10-thiaundec-1-yl[2-[(2,6-dichlorophenyl)amino]phenyl]acetate)(式IIIcの化合物)
前工程からのヒドロキシエステルIIc(13.4g、31.3ミリモル)をトルエン(80mL)にN-メチルモルホリン(3.5g、34.4ミリモル)と共に30℃にて溶解した。トルエン(10mL)中のメタンスルホニルクロライド(3.9g、34.4ミリモル)を、15分間にわたって添加した。添加終了後、温度を60℃に2時間上昇させ、次いで再び30℃に一晩低下させた。硫酸水溶液(0.1M、40mL)を添加して、抽出のために温度を60℃に上昇させた。水相を廃棄し、有機相を水(2×100mL)で洗浄した。有機相を濃縮して油(15.3g)を得た。この油をシリカでのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン;30/70〜50/50)により精製して、褐色の油として13.8gのIIIcを得た。1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8 Hz,2H) 7.23 (app d,J = 7 Hz,1H),7.12 (app t,J = 7 Hz,1H) 6.88-7.02 (m,2H),6.54 (d,J = 8 Hz,1H),4.75-4.36 (m,4H),3.84 (s,2H),3.67-3.74 (m,4H) 3.6 (app br s,4 H),3.04 (s,3H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.2,142.6,137.6,130.8,129.4,128.8,127.9,124.1,124.0,121.9,118.1,70.4,69.1,68.91,68.87,64.2,60.2,38.4,37.5。
【0089】
2-[2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(式IVcの化合物)
硝酸ナトリウムを、60℃の酢酸n-ブチル(50mL)および水(1.7mL)における前工程からのメシレートIIIc(12.7g、25.1ミリモル)および硝酸テトラブチルアンモニウム(2.3g、7.6ミリモル)の溶液に添加した。得られた懸濁液を85℃に41時間加熱した後、60℃に冷却し、水(100mL)を添加した。抽出後、水相を分離して取り出し、有機相を水(2×100mL)で2回洗浄した。有機相を蒸発させて乾燥し、残渣を酢酸n-ブチル(26mL)および2-プロパノール(110mL)から結晶化した。結晶を濾過して取り出し、2-プロパノール(25mL)で洗浄し、減圧下で40℃にて乾燥させて、結晶として9.3gのIVcを得た。Mp = 68℃。1H-NMR (CDCl3) δ 7.34 (app d,J = 8 Hz,2H) 7.23 (app d,J = 7 Hz,1H),7.12 (app t,J = 7 Hz,1H),6.91-7.02 (m,3H),6.55 (app d,J = 8 Hz,1H),4.58 (app t,J = 5 Hz,2H),4.31 (app t,J = 4 Hz,2H),3.85 (s,2H),3.67-3.78 (m,4H),3.60 (app s,4H); 13C-NMR (CDCl3) δ 172.4,142.8,137.8,130.9,129.5,128.9,128.0,124.3,124.0,122.0,118.3,72.2,70.8,70.6,69.1,67.2,64.3,38.5。
【0090】
実施例4
3-(ニトロオキシ)プロピル2-(2-ベンゾイルフェニル)プロパノアート(式IVdの化合物)の合成
3-ヒドロキシプロピル(2S)-2-(2-ベンゾイルフェニル)プロパノアート(式IIdの化合物)
(S)-ケトプロフェン(10.0g、39.3ミリモル)、1,3-プロパンジオール(29.9g、393ミリモル)、トルエン(40mL)および濃硫酸(0.3g、3.06ミリモル)の混合物を80〜95℃に28時間加熱した後、45℃に冷却し、5%炭酸カリウム水溶液(50mL)を加えた。底部の水性層を分離して取り出し、上部の有機層を水(2×50mL)で洗浄した。有機層を減圧下にて濃縮して乾燥させ、無色の油として11.9gのIIdを得た(96%面積LC純度)。エナンチオマー純度は99.5%面積より高かった。MS [M+] = 312,1H-NMR (CDCl3) δ 7.78 (app t,J = 7Hz,3H),7.41-7.68 (m,6H),4.30-4.79 (m,2H),3.81 (q,J = 7 Hz,1H),3.51 (t,J = 6 Hz,2H),2.35 (br s,1H),1.82 (quin,J = 7 Hz,2H),1.53 (d,J= 7 Hz,3H); 13C-NMR (CDCl3) δ 196.7,174.4,140.9,137.9,137.4,132.6,131.5,130.1,129.1,128.6,128.3,61.9,58.9,45.4,31.5,18.4,14.2。
【0091】
3-[(メチルスルホニル)オキシ]プロピル(2S)-2-(2-ベンゾイルフェニル)プロパノアート(式IIIdの化合物)
前工程からのヒドロキシエステルIId(5.0g、16ミリモル)をトルエン(25mL)中に溶解した。メタンスルホニルクロライド(2.2g、19.2ミリモル)を混合物に添加し、続いてN-メチルモルホリン(1.78g、17.6ミリモル)を滴下して加えた。反応混合物を40℃に1時間加熱し、次いで60℃に加熱した後、硫酸水溶液(0.1M、20mL)およびトルエン(10mL)を加えた。抽出後、混合物を分離し、有機層を炭酸カリウム水溶液(20mLの水に0.93g)で洗浄した。有機層を真空下で濃縮して油として5.6gのIIIdを得た。MS [M+] = 391; 1H-NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.78 (app t,J = 7 Hz,3H),7.41-7.69 (m,6H),4.21 (app t,J = 6 Hz,2H),4.18 (app t,J = 6 Hz,2H),3.82 (q,J = 7 Hz,1H),2.94 (s,3H),2.04 (quin,J = 7 Hz,2H),1.55 (d,J = 7 Hz,3H); 13C-NMR (100 MHz,CDCl3) δ 196.4,173.8,140.7,138.0,132.5,131.4,130.0,129.1,129.0,128.6,128.3,66.0,60.4,45.3,37.2,28.4,18.2。
【0092】
3-(ニトロオキシ)プロピル(2S)-2-(2-ベンゾイルフェニル)プロパノアート(式IVdの化合物)
N-メチルピロリジノン(15mL)中の前工程からのメシレートIIId(5.0g、12.8ミリモル)および硝酸リチウム(2.65g、38.5ミリモル)の混合物を70℃にて9時間加熱した。加熱を停止し、反応混合物を室温にした後、トルエン(30mL)および水(20mL)を添加した。層を分離し、有機層を水(20mL)で洗浄した。乾燥まで濃縮させて油としてIVdを得た(5.0g)。エナンチオマー純度は99.5%面積であった。MS [M+] = 357; 1H-NMR (300 MHz,CDCl3) δ 7.73-7.84 (m,3H),7.67 (app d,J = 7 Hz,1H),7.38-7.64 (m,5H),4.40 (t,J = 6 Hz,2H),4.18 (t,J = 6 Hz,2H),3.81 (q,J = 7 Hz,1H),2.94 (s,3H),2.01 (quin,J = 6 Hz,2H),1.55 (d,J = 7 Hz,3H); 13C-NMR (100 MHz,CDCl3) δ 196.4,173.8,140.7,138.0,137.5,132.6,131.4,130.0,129.2,129.1,128.6,128.3,69.6,60.8,45.3,26.3,18.3。
【0093】
実施例5
X線粉体回折分析(XRPD)を、標準的方法(例えば、Giacovazzo,C.ら(1995),pp287-301,Fundamentals of Crystallography,Oxford University Press;Jenkins,R.およびSnyder,R.L.(1996),Introduction to X-Ray Powder Diffractometry,John Wiley & Sons,New York;Bunn,C.W.(1948),pp103-127,Chemical Crystallography,Clarendon Press,London;またはKlug,H.P.& Alexander,L.E.(1974),X-ray Diffraction Procedures,第2版,John Wiley and Sons,New Yorkに記載の方法)に従って実施した。
【0094】
Philips X'Pert MPD回折計を使用してX線分析を実施した。
標準的方法(例えば、Hohne,G.W.H.ら(1996),Differential Scanning Calorimetry,Springer,Berlinに記載の方法)に従って、Perkin Elmer DSC7装置を用いて示差走査熱量測定(DSC)を実施した。
Perkin Elmer TGA7装置を使用して熱重量分析(TGA)を実施した。
【0095】
実施例1に従って製造した結晶形態は、実験誤差を許容して、本明細書に開示した他の実施例に従って製造した結晶形態と本質的に同じXRPD回折パタンならびにDSCおよびTGAサーモグラムを示した。実験誤差の限界は、DSC開始温度については±5℃の範囲(例えば±2℃)であり得、XRPD距離値については最小の小数位に対して±2の範囲内であり得る。
【0096】
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートの無水物の合成
実施例5a
0.3gの2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートIVaを、4ml試験管中に0.9mlのトルエンと共に入れた。試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。すべての化合物が溶解した後、1.8mlのイソオクタンを0.3mlずつ加えた。すべてのイソオクタンを加えた後に結晶化が開始した。結晶化が開始して4.5時間後、結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのイソオクタンで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は80.6%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。XRPDの結果を表1にまとめ、図1に示す。DSCサーモグラムは72℃で明白な融点を示し、TGAサーモグラムは、結晶が有意な量の溶剤不純物を含んでいないことを示した。
【表1】

【0097】
主要なピークを、位置(D/Å)および相対的強度と共に図1の回折像から抽出した。相対的強度を、VS=非常に強い、S=強い、M=中程度、W=弱いで表した。2θ=40°を下回るピークのみを含めた。回折像に見出されたいくつかのさらなる非常に弱いピークは、表では省略したが、図1には示した。
すべてのピークは、単斜晶系単位格子(a=13.79Å、b=11.90Å、c=13.01Å、α=90°、β=94.0°、γ=90°)を指標とすることができる。
【0098】
実施例5b
0.3gのIVaを4ml試験管中に0.9mlのメチルイソブチルケトンと共に入れた。試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。すべての化合物を溶解するには、0.3mlの4-メチル-2-ペンタノンの追加が必要であった。その後、1.8mlのイソオクタンを0.3mlずつ加えた。すべてのイソオクタンを加えた後に結晶化が開始した。結晶化が開始して4時間後、結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのイソオクタンで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は44.1%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。
【0099】
実施例5c
2.5gのIVaを、100mlジャケット付反応器中に7.5mlの酢酸ブチルと共に入れた。反応器を35℃に加熱してすべての化合物を溶解させた。その後、温度プロフィールを開始した:温度を1.5時間で20℃に低下させ、次いで20℃にて0.5時間維持した。20℃にて15mlのイソオクタンを滴下して加えた。12mlのイソオクタンを加えた後、結晶化が開始した。温度を3時間でさらに0℃まで低下さた。0℃にて0.5時間後、結晶を真空下で濾過した。反応器を7.5mlの冷イソオクタンで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は91.6%であった。
【0100】
結晶をXRPD、DSC、TGA、LCおよびGCにより分析した。XRPD、DSCおよびTGAの結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。LCは99.12面積%の純度を示した。GCは、0.01w/w%イソオクタンおよび0.10w/w%酢酸ブチルを示した。出発材料は、98.42面積%の純度を有し、0.13w/w%の酢酸エチルを含んでいた。
【0101】
実施例5d
0.5gのIVaを、4ml試験管中に1.5mlのtert-ブチルメチルエーテルと共に入れた。試験管を油浴中に置いた。マグネチックスターラーにより強く撹拌した。試験管中で明澄な溶液が得られるまで油浴を加熱した。この場合は40℃であった。その後、油浴温度を再び20℃に低下させた。混合物を一晩撹拌し続け、結晶を生成させた。結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのtert-ブチルメチルエーテルで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は77%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例1に従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。結果は、実施例5aに従って得られた形態が示した結果と本質的に同じXRPDパタンを示した。
【0102】
実施例5e
0.5gのIVaを、4ml試験管中に1.5mlのブタノールと共に入れた。試験管を油浴中に置いた。マグネチックスターラーにより強く撹拌した。試験管中で明澄な溶液が得られるまで油浴を加熱した。この場合は60℃であった。その後、試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。再結晶化はすぐに開始した。2.5時間後、結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのブタノールで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は94%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。
【0103】
実施例5f
0.5gのIVaを、4ml試験管中に1.5mlのイソプロパノールと共に入れた。試験管を油浴中に置いた。マグネチックスターラーにより強く撹拌した。試験管中に明澄な溶液が得られるまで油浴を加熱した。この場合は60℃であった。その後、試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。再結晶化はすぐに開始した。2.5時間後、結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのイソプロパノールで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は96%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。
【0104】
実施例5g
0.5gのIVaを、4ml試験管中に2.5mlのエタノールと共に入れた。試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。試験管中のスラリーを一晩撹拌した。結晶を真空下で濾過した。試験管を0.6mlのエタノールで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は93.4%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。
【0105】
実施例5h
0.5gのIVaを、4ml試験管中に2.5mlのイソオクタンと共に入れた。試験管を周囲温度にてマグネチックスターラー上に置いた。試験管中のスラリーを一晩撹拌した。結晶を真空下で濾過した。試験管を0.3mlのイソオクタンで濯いだ。その後、結晶を真空オーブン中で35℃にて乾燥させた。収率(母液に残った量に基づく)は99.1%であった。
結晶をXRPD、DSCおよびTGAにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態により示された結果と本質的に同じであった。
【0106】
実施例5i
化合物IVa(4.0g)をアセトン(8.0mL)と混合し、得られた混合物を40℃にて撹拌した。明澄な溶液が得られた時点で、イソプロパノール(40mL)を加え、溶液を周囲温度にて一晩撹拌しながら放置した。次いで、溶液を周囲温度にて種晶化し、約30分後、種晶はまだ溶解しないでいた。次いで、温度を12時間にわたって20℃から−5℃に低下させた。結晶を濾過して取り出し、真空下で40℃にて乾燥させて3.55g(88.8%)の純粋なIVaを得た。結晶をXRPDおよびHPLCにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態が示した結果と本質的に同じXRPDパタンを示す。HPLCは98.2面積%の純度を示した。
【0107】
実施例5j
化合物IVa(10.0g)をアセトニトリル(62mL)と混合し、得られた混合物を周囲温度にて撹拌した。明澄な溶液が得られた時点で、水(14mL)を加え、次いで得られた溶液を周囲温度にて種晶化した。水(2mL)を加え、約1時間30分間の撹拌の後、種晶まだ溶解しないでいた。溶液を2日間周囲温度にて撹拌しながら放置し、その後、温度を24時間にわたって−10℃に低下させた。結晶を濾過して取り出し、水(20mL)で洗浄し、真空下で40℃にて乾燥させて7.98g(79.8%)の純粋なIVaを得た。結晶をXRPDおよびHPLCにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態が示した結果と本質的に同じXRPDパタンを示す。HPLCは99.0面積%の純度を示した。
【0108】
実施例5k
化合物IVa(10.3g)を酢酸エチル(20mL)と混合し、得られた混合物を40℃にて撹拌した。明澄な溶液が得られた時点でイソプロパノール(80mL)を加え、温度を15時間にわたって40℃から−10℃に低下させた。結晶を濾過して取り出し、イソプロパノール(20mL)で洗浄し、真空下で40℃にて乾燥させて9.37g(91%)の純粋なIVaを得た。結晶をXRPDおよびHPLCにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態が示した結果と本質的に同じXRPDパタンを示す。HPLCは99面積%の純度を示した。
【0109】
実施例5l
化合物IVa(438.9g)をアセトン(4.0L)と混合し、得られた混合物を明澄な溶液が得られるまで30℃にて撹拌した。明澄な溶液が得られた時点で、水(1.3L)を加え、温度を8時間にわたって30℃から−3℃に低下させた。−3℃にて10時間撹拌した後、温度を5時間にわたってさらに−12℃まで低下させた。次いで、結晶を濾過して取り出し、水(0.90L)で洗浄し、真空下で40℃にて乾燥させて392g(89.2%)の純粋なIVaを得た。結晶をXRPDおよびHPLCにより分析した。結果は、実施例5aに従って得られた形態が示した結果と本質的に同じXRPDパタンを示す。HPLCは99面積%より高い純度を示した。
【0110】
略語
D Å(オングストローム)で測定した距離
DSC 示差走査熱量測定
FT-IR フーリエ変換赤外分光
NMR 核磁気共鳴
TGA 熱重量分析
XRDP X線粉体回折像
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施例5に記載のプロセスに従って得られるような結晶形態の2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(A形態の化合物IVa)についてのX線粉体回折像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
工程1
酸性剤または脱水剤および溶剤を使用して反応
MLT1AT2-COOH + HO-X-OH → MLT1AT2-COO-X-OH
(I) (II)
を行い、任意に続けて抽出または結晶化により精製する工程、と
工程2
溶剤、塩基および任意成分として触媒を使用して反応
MLT1AT2-COO-X-OH + RSO2Cl → MLT1AT2-COO-X-OSO2R
(II) (III)
を行い、続いて抽出および結晶化により精製する工程、と
工程3
溶剤および任意成分として触媒を使用して反応
MLT1AT2-COO-X-OSO2R + Y-NOm → MLT1AT2-COO-X-ONOm
(III) (IV)
を行い、任意に続けて式IVの化合物を実質的に結晶形態で得るための結晶化処理を行なう工程
[式中、
Mは、生理学的に活性な化合物の基であり;
Lは、O、S、(CO)O、(CO)NH、(CO)NR1、NH、NR1 (式中、R1は直鎖または分枝鎖のアルキル基である)または
【化1】

(式中、RbはH、C112アルキルまたはC212アルケニルであり、R2は、(CO)NH、(CO)NR1、(CO)OまたはCR1であり、aおよびbは独立して0または1である)であり;
Aは、置換または未置換の直鎖または分枝鎖のアルキル鎖であり;
Xは炭素連結基であり;
Rは、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択され;
Y-NO3は、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸鉄、硝酸亜鉛または硝酸テトラアルキルアンモニウム(ここで、アルキルはC1〜C18アルキルであり、直鎖であっても分枝鎖であってもよい)であり;
mは1または2であり;そして
T1およびT2はそれぞれ独立して0、1、2または3であり;
ただし、MLT1AT2-COOHがナプロキセンである場合にはXは(CH2)4ではない]
を含むNO供与化合物の製造方法。
【請求項2】
基Mが、NSAIDであるCOX1またはCOX2阻害剤の分子の部分である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、直鎖の-(CH2)w1- (式中、w1は2〜6の整数である)、-(CH2)2-O-(CH2)2-および-CH2-C6H4-CH2-からなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rが、C1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニルおよびハロゲンからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基MLT1AT2が、
【化2】

からなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基MLT1AT2が、
【化3】

である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式IVの化合物についての結晶化処理が、以下の工程:
a)i)溶剤に式IVの化合物を溶解する工程;
または
ii)反応溶液から溶剤中に式IVの化合物を抽出する工程;
または
iii)式IVの化合物を含む反応溶液から開始する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化させる工程
を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
化合物2-[2-(ニトロオキシ)-エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(IVa)のための結晶化処理が、以下の工程:
a)反応溶液から溶剤中へ化合物を抽出する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化する工程
を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程1の酸性剤または脱水剤が、硫酸またはその塩、過塩素酸(例えば、70%)またはポリスチレンスルホン酸のような他の適切な酸、ゼオライト、酸性粘土、過塩素酸もしくは気状塩化水素のような強力な親水性酸と組み合せた砂、およびモンモリロナイトからなる群より選択される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程1の溶剤が非極性および/または非酸性の溶剤である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程2の溶剤が、トルエン、クメン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルからなる群より選択される請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程2の塩基が、トリエチルアミンまたはN-メチルモルホリンである請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程2の触媒が4-(ジメチルアミノ)ピリジンである請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程2の式IIIの化合物が有機溶剤から結晶化される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程2での式IIIの化合物の結晶化に反溶剤を使用する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程3のナイトレート供給源Y-NO3が、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウムおよび硝酸カルシウムからなる群より選択されるか、またはこれらの混合物からなる群より選択される請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程3の有機溶剤が、N-メチルピロリジノン、スルホラン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルおよび酢酸イソプロピルからなる群より選択されるか、またはこれらの混合物からなる群より選択される請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程3の相間移動触媒が、テトラアルキルアンモニウム塩、アリールアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルホスホニウム塩、アリールアルキルホスホニウム塩、クラウンエーテル、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる群より選択されるか、またはこれらの混合物からなる群より選択される請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程a)の溶剤が、低級アルキルアセテート、低級アルキルアルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式芳香族炭化水素、ジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ニトリルおよび水から構成される群より選択されるか、またはこれらの混合物から構成される群より選択される請求項7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
結晶化処理の工程b)の反溶剤が、エタノールまたは2-プロパノール、トルエン、クメン、キシレン、リグロイン、石油エーテル、ハロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびシクロヘプタンから構成される群より選択されるか、またはこれらの混合物から構成される群より選択される請求項7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
工程d)の溶剤が、トルエン、クメン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸n-ブチルおよびジクロロメタンからなる群より選択されるか、またはこれらの混合物からなる群より選択される請求項7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
温度が−40℃〜120℃の間である請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
以下の工程:
工程1
式Iaの化合物をHO-X-OH (式中、XはC2H4OC2H4、C4H8またはC2H4OC2H4OC2H4である)と反応させて、式IIa、IIbまたはIIcの化合物を得る工程、
【化4】

続いて
工程2
式IIa、IIbまたはIIcの化合物をRSO2Cl (式中、Rは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物を得る工程、
【化5】

続いて
工程3
式IIIa、IIIbまたはIIIcの化合物をナイトレート供給源Y-NO3 (式中、Yは上記に規定のとおりである)と反応させて、式IVa、IVbまたはIVcの化合物を得る工程
【化6】

続いて
以下の工程を使用して式IVa、IVbまたはIVcの化合物を結晶化する工程:
a)反応溶液から溶剤中へ式IVa、IVbまたはIVcの化合物を抽出する工程;
b)溶剤を蒸発させる工程;
c)反溶剤を加えそして/または冷却する工程;
d)任意の工程として、生成した結晶を単離する工程;
e)工程c)で生成した結晶または工程d)で単離した結晶を再結晶化させる工程
を含む式IVa、IVbまたはIVcのNO供与ジクロフェナクの製造方法。
【請求項24】
A形態の化合物IVaの化学純度が95%を超える請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
以下の工程:
工程1
式Idの化合物を1,3-プロパンジオールと反応させて、式IIdの化合物を得る工程、
【化7】

続いて
工程2
式IIdの化合物をRSO2Cl (式中、Rは請求項1に規定のとおりである)と反応させて、式IIIdの化合物を得る工程、
【化8】

工程3
式IIIdの化合物をナイトレート供給源Y-NO3 (式中、Yは請求項1に規定のとおりである)と反応させて、式IVdの化合物を得る工程
【化9】

を含む式IVdのNO供与ケトプロフェンの製造方法。
【請求項26】
式IVdのNO供与ケトプロフェンのS-エナンチオマーを製造するための請求項25に記載の方法。
【請求項27】
実質的に結晶形態の2-[2-(ニトロオキシ)-エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテート(IVa)。
【請求項28】
無水物形態の請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
下記の表に示したX線粉体回折像中の主要なピークによって特徴付けられる請求項27に記載の化合物。
【表1】

【請求項30】
パラメータa=13.79Å、b=11.90Å、c=13.01Å、α=90°、β=94.0°、γ=90°の単斜晶系単位格子を有することによって特徴付けられる請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル[2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを結晶化することを含むA形態の化合物IVaの製造方法。
【請求項32】
式IIIa、IIIb、IIIcおよびIIIdの化合物:
【化10】

(式中、RはC1〜C8アルキル、フェニル、フェニルメチル、C1〜C4アルキルフェニル、ハロフェニル、ニトロフェニル、アセチルアミノフェニル、ハロゲン、CF3およびn-C4F9からなる群より選択される)。
【請求項33】
式IVa、IVb、IVcおよびIVdの化合物の大規模製造のための請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項34】
薬学的に活性な化合物の製造のための中間体としての式IIIの化合物MLT1AT2-X-O-SO2R (式中、M、L、A、T1、T2、XおよびRは請求項1に規定のとおりである)の使用。
【請求項35】
疼痛および/または炎症の処置用医薬の製造のための、請求項1の工程1および2に記載した処理工程に従って製造した請求項32に記載の式IIIa、IIIb、IIIcおよびIIIdの中間体化合物の使用。
【請求項36】
医薬の製造のためのA形態の化合物IVaの使用。
【請求項37】
疼痛および/または炎症の処置用医薬の製造のためのA形態の化合物IVaの使用。
【請求項38】
治療有効量のA形態の化合物IVaを含み、任意に希釈剤、賦形剤またはキャリアが組み合わされていてもよい薬学的製剤。

【図1】
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【公表番号】特表2006−500409(P2006−500409A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538109(P2004−538109)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001465
【国際公開番号】WO2004/026808
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【Fターム(参考)】