説明

O/W乳化組成物の製造方法

【課題】特別な冷却装置を用いることなく容易に製造することができ、経済性に優れたO/W乳化組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のO/W乳化組成物の製造方法は、(A)非イオン性界面活性剤と、(B)前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと、(C)油分と、を含む油相と、(D)水を含む水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して乳化パーツを調製し、この乳化パーツを攪拌しながら、10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することにより水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下になるまで攪拌を継続しながら冷却し、その後攪拌を停止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、O/W乳化組成物の製造方法、特に簡易性、経済性に優れた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、化粧品、医薬部外品、医薬品などの皮膚外用剤の乳化安定性を保つ目的で高級脂肪族アルコールとポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤が形成するαゲルを用いたO/W乳化組成物が用いられており、特に、化粧料として用いることが知られている。このようなO/W乳化組成物を調製する方法としては、水に保湿剤と親水的なポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤等を溶解させ70℃付近に加温した水相に、必須成分として油分と高級アルコールを70℃付近で均一にした油相をホモゲナイザーで攪拌しながら添加し、乳化したものをオンレーターなどの冷却機で35℃付近まで冷却する方法が用いられてきた(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来より行われている70℃付近で乳化後、冷却という方法は加熱や熱交換機の使用によりエネルギーを要するために無駄が多いだけでなく、オンレーター等の冷却機の使用後の洗浄に多量の水を使うこととなり、環境負荷が高くなる。
【0004】
したがって、従来のオンレーター等の冷却装置を用いることなく、経済的に優れながら容易に製造することができ、従来と同等の使用性を有したO/W乳化組成物を開発することが望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】妹尾学著,「界面活性の化学と応用」,大日本図書,1995年,p.160
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術の事情に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、簡易性、及び経済性に優れたO/W乳化組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題に鑑み、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、室温以上に融点を持つ特定成分(非イオン性界面活性剤、前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコール、油分等)を含む油相と、水相成分(水、保湿剤等)の一部のみを70℃以上で乳化し、得られた高濃度O/W乳化パーツと低温の残部水相(主水相)とを混合して水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下になるまで攪拌を継続しながら冷却し、その後攪拌を停止することにより、従来のオンレーターを用いた調製法を用いなくても同等の使用性を有するO/W乳化組成物を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明にかかるO/W乳化組成物の製造方法は、(A)非イオン性界面活性剤と、(B)前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと、(C)油分と、を含む油相と、(D)水を含む水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して乳化パーツを調製し、この乳化パーツを攪拌しながら、10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することにより水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下にまで攪拌を継続しながら冷却し、その後攪拌を停止することを特徴とする。
【0009】
また、前記O/W乳化組成物の製造方法において、前記水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度がDSC(示査走査型熱量測定)による油相の発熱ピークのピーク温度より4℃低いことが好適である。
【0010】
また、前記O/W乳化組成物の製造方法において、前記O/W乳化組成物が液状油分を含有するものであって、液状油分の少なくとも一部を除いた前記油相と、前記水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して乳化パーツを調製し、この乳化パーツを攪拌しながら、10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することにより水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下にまで攪拌を継続しながら冷却し、液状油分の残部を前記αゲル形成温度領域下限温度以下で添加し、その後攪拌を停止することが好適である。
また、前記O/W乳化組成物の製造方法において、乳化パーツを調製する油相中の液状成分含有量が、O/W乳化組成物に配合される液状油分全量のうちの5質量%未満であることが好適である。
【0011】
また、前記O/W乳化組成物の製造方法において、前記水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度がDSC(示査走査型熱量測定)による前記乳化パーツの発熱ピークのピーク温度より8℃低いことを特徴とするが好適である。
また、前記O/W乳化組成物の製造方法において、前記主水相の配合量がO/W乳化組成物全量中50〜75質量%であることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるO/W乳化組成物の製造方法によれば、オンレーターのような冷却機を用いることなく、低エネルギーで容易に製造することができるため経済性に優れている。さらに、本発明にかかる製造方法によって製造されたO/W乳化組成物は、オンレーターのような冷却機を用いて製造した同一処方のO/W乳化組成物と比較しても、同等の品質及び使用性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のO/W乳化組成物における乳化パーツのDSC測定結果である。
【図2】本発明のO/W乳化組成物における乳化パーツのDSC測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明にかかるO/W乳化組成物は、(A)非イオン性界面活性剤と、(B)前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと、(C)油分と、を含む油相と、(D)水を含む水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して高濃度のO/W乳化物である乳化パーツを調製し、この乳化パーツを攪拌しながら10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することによって水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下にまで冷却し、前記αゲル形成温度領域下限温度領域以下になるまでは撹拌を継続することによって得られ、O/W乳化組成物の乳化粒子界面にはαゲルが形成されていることを特徴としている。
【0015】
なお、本発明にかかるO/W乳化組成物に液状油分を配合したい場合には、前記油相として液状油分の少なくとも一部を除いた油相を用いて乳化パーツを調製し、前記主水相の混合によるαゲル形成温度領域下限温度以下に冷却後、さらに残りの液状油分を添加してから攪拌を停止することによっても得られる。
【0016】
前記αゲルは、水との共存下において、界面活性剤が炭素数16以上の直鎖状高級アルコールや未中和の脂肪酸とともに形成する、ラメラ状の2分子膜からなる会合体のことをいう。このαゲルの形成温度は、高級アルコールや脂肪酸の鎖長及び高級アルコールや未中和の脂肪酸と界面活性剤のモル比に依存して変化することは、福島正二著「セチルアルコールの物理化学」(フレグランスジャーナル社、1992年)に記載されている。
【0017】
本発明に用いられる(A)非イオン性界面活性剤は、水相中で油相がαゲルを形成し得るような非イオン性界面活性剤であれば特に限定されるものではない。
【0018】
本発明に用いられる(A)非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、マルチトールヒドロキシ脂肪族アルキルエーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油グリセリルなどが挙げられ、親水性であるものが好ましく、特にHLB8以上のものが好ましいが、モノステアリン酸グリセリンなどの、親油性の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明に用いられる(B)炭素数16以上の直鎖状高級アルコールは、前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得るものであり、化粧品、医薬品、医薬部外品等の分野において用いられ得るものであれば特に限定されるものでなく、例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。好ましくは炭素数16〜24の直鎖状高級アルコールである。
なお、αゲルの形成の上では、バチルアルコール、モノグリセライド等を添加することが好ましい。
【0020】
(A)非イオン界面活性剤と(B)炭素数16以上の直鎖状高級アルコールの濃度は、特に限定されるものではないが、O/W乳化組成物中、(A)非イオン界面活性剤と(B)炭素数16以上の直鎖状高級アルコールの合計量を、(C)油分10質量部に対して0.5〜10質量部とすることが好ましい。0.5質量部未満の場合には、界面活性剤量が少ないため、安定性の高いO/W乳化組成物が得られない場合があり、10質量部を超える場合には、界面活性剤量が多すぎるため、使用性の点で好ましくない傾向がある。
【0021】
本発明に用いられる(C)油分は、特に限定されるものではないが、αゲルの形成温度領域を調整するために、固形油分と液状油分に分けて混合・添加することができる。
本発明において固形油分とは、一般に化粧料や皮膚外用剤に用いられる室温において固体の油分が挙げられる。具体的に示すとすれば、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊油、硬化牛脂、パーム核油、豚油、牛骨油、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂;ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ルナセラ、オゾケライト等の炭化水素系ワックス;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の脂肪酸グリセリルエーテル;アセトグリセライド、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド等の脂肪酸グリセリド等が挙げられる。これらの固形油分は、それぞれ単独ないしは2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0022】
また、本発明において用いられる液状油分とは、一般に化粧料や皮膚外用剤に用いられる室温において液体の油分が挙げられる。具体的に示すとすれば、例えば、アボカド油、月見草油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、アーモンド油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油等の液体油脂;オクタン酸セチル、セチル2−エチルヘキサノエート、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エチルラウレート、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキシルパルミテート、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、ドデシルオレエート、オレイン酸オレイル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、コハク酸2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、アセトグリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール等のエステル油;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、ポリブテン等の炭化水素油;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸;イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸等の分岐脂肪酸;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の各種変性ポリシロキサン等のシリコーン油が挙げられる。これらの液状油分は、それぞれ単独ないしは2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0023】
本発明においては、(C)油分中に高級脂肪酸を一種または二種以上配合することが好適である。油分中にこれらを配合することで乳化粒子が更に微細化され、より安定性の高いO/W乳化組成物が得られる。高級脂肪酸としては炭素数16〜24のものが好適であり、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。高級脂肪酸は、O/W乳化組成物中0.1〜3質量%、さらには0.2〜1.5質量%が好ましい。
【0024】
本発明に用いられる(D)水を含む水相とは、水あるいは水と水性溶媒を主な媒体としてなる処方であれば、特に限定されるものではなく、水あるいは水性溶媒の他、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲の配合量で配合していても構わない。
なお、本発明のO/W乳化組成物における水の総配合量は、特に限定されるものではないが、一般的には、O/W乳化組成物全量中40〜95重量%であることが好ましい。
【0025】
本発明の製造方法における水相は水性溶媒を含むことが好ましい。水性溶媒としては、特に限定されるものではなく、公知の水性溶媒の中から、(C)油分、及び(A)非イオン性界面活性剤の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。ここで、水性溶媒とは、水と相溶性を示す室温で液状の物質を意味し、例えば、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体又はそのジメチルエーテル、ポリエチレングリコール又はそのアルキルエーテル、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコールを挙げることができる。
【0026】
また、本発明に用いられる(C)油分と水性溶媒との組み合わせとしては、水性溶媒が上記油分に相溶しない必要がある。このような組み合わせとしては、例えば、(C)液状油分がジメチルポリシロキサンである場合には、水性溶媒としてポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体又はそのジメチルエーテル、ポリエチレングリコール又はそのエチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール等、(C)がシクロジメチコン(5量体)である場合には、水性溶媒としてポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体又はそのジメチルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのエチルエーテル等、(C)がメチルフェニルポリシロキサンである場合には、水性溶媒としてポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体又はそのジメチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等、(C)が流動パラフィンである場合には、水性溶媒としてポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体又はそのジメチルエーテル、ポリエチレングリコール又はそのエチルエーテル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール等を挙げることができる。
【0027】
本発明に用いられる水性溶媒としては、具体的には、分子内に0〜3個の水酸基を有する水性溶媒が挙げられ、さらに具体的には、ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコール共重合物またはそのアルキルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジカルボン酸エステル、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタングリコール、1,2−ヘキサングリコール、2−メチル−1,3−プロパノール、エチルカルビトール、1,2−ブチレングリコール、グリセリン等を挙げることができ、これらの中から(C)油分、及び(A)非イオン性界面活性剤の種類に応じて、適宜選択して用いることができる。また、本発明に用いられる水性溶媒としては、これらの2種類以上を組み合わせて用いても良い。
一方で、分子内に水酸基を4個以上有する水溶性の物質は、通常、室温で固体になってしまい、本発明に用いられる水性溶媒として効果を発揮することができないことが多い。
【0028】
また、本発明に用いられる水性溶媒の配合量は、特に限定されるものではないが、70℃以上で調製する乳化パーツ中5質量%以上配合することが好ましい。5質量%未満であると、安定なO/W乳化組成物の調製が困難になる傾向にある。
【0029】
本発明の製造方法において、主水相は、(D)水を含むものであり、上述のように適宜水性溶媒等を含むことができる。該主水相の配合量は、初めに調製する水相(一部水相)の構成や、αゲルを形成する界面活性剤等によるが、O/W乳化組成物全量中50〜75質量%が好ましく、55〜70質量%がより好ましい。主水相の配合量が、50質量%未満であると十分な冷却効果が得られず、混合終了直後の温度が高くなり、αゲルの形成温度領域以下にならず目的のO/W乳化組成物が得られなくなる。また、75質量%を超えると70℃以上で調製するO/W乳化パーツの水相が少なくなるために、安定なO/W乳化組成物の調製が困難になる傾向にある。
【0030】
また、後から添加する主水相の温度は10〜35℃が好ましく、15〜30℃であることが特に好ましい。10℃未満であると、主水相を冷やすエネルギーが過剰に必要となり、経済性に劣る傾向にある。また、35℃を超えると、主水相混合終了直後の温度が高くなり、αゲルの形成温度領域の下限温度以下にならず目的のO/W乳化組成物が得られなくなる。
【0031】
本発明の製造方法にかかるαゲルの形成温度領域は、配合する界面活性剤や高級アルコールの種類、水相の構成等にもよるが典型的には約37〜52℃である。また、液状油分を含有しない油相を用いて乳化パーツを調製した場合、該αゲル形成温度領域は、典型的には約44〜60℃である。
【0032】
水相中で油相がαゲルを形成していることは、DSC(示査走査型熱量測定)により確認することができる。(A)親水性非イオン性界面活性剤と(B)炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと(C)油分とを含む油相を水相に乳化した乳化パーツを70℃以下に降温しながらDSC(示査走査型熱量測定)で測定すれば、発熱ピークが認められ、これは油相が水相中でαゲルを形成していることを示している。
本発明において「αゲル形成温度領域」とはαゲル形成による発熱ピークの温度範囲を意味し、ピーク温度とは前記発熱ピーク頂点の温度を意味する(図1〜2参照)。なお、DSC測定において、αゲル形成による発熱ピークの他にも発熱ピークが検出されることがある。これは、乳化パーツ中に含まれる成分の単なる凝固による発熱ピークであり、αゲル形成による発熱ピークはこれら凝固による発熱ピークとは異なる。
【0033】
上記DSC(示査走査型熱量測定)で測定された発熱ピークのピーク温度は本発明の製造方法における乳化パーツの融点に相当すると考えられる。また、本発明の製造方法にかかるαゲルの形成温度領域の下限温度はこのピーク温度から通常は2〜4℃低い点に存在する。また、乳化パーツに液状油分の少なくとも一部を除いた油相を用いた場合、該αゲル形成温度領域の下限温度は、乳化パーツのピーク温度から通常は6〜8℃低い点に存在する。
従って、αゲル形成温度領域の下限温度として、αゲル形成の発熱ピーク温度よりも4℃低い温度(液状油分を含む油相を用いて乳化パーツを調製した場合)、あるいは8℃低い温度(液状油分の少なくとも一部を除いた油相を用いて乳化パーツを調製した場合)を採用することができる。これよりも低い温度になれば攪拌を停止し、放冷してよい。なお、液状油分を後で添加する場合には、前記αゲル形成温度領域下限温度以下になってから添加し、均一に混合してから攪拌を停止して放冷すればよい。
【0034】
本発明の製造方法によって生成されるO/W乳化組成物は、水との共存下において、非イオン性界面活性剤と高級アルコールと油分によって形成された乳化粒子の界面に、非イオン性界面活性剤と高級アルコールとともにラメラ状の2分子膜からなる会合体、いわゆるαゲルが存在している状態である。
【0035】
以下、本発明にかかるO/W乳化組成物の製造方法の概念を説明する。
概念
1)(A)非イオン性界面活性剤と(B)前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと(C)油分とを含む油相と、(D)水を含む水相とを70℃以上の温度で乳化し、水相中で油相がαゲルを形成する温度領域以下になるまで撹拌を継続しながら冷却する工程によりO/W乳化組成物が得られる。
【0036】
2)しかしながら、放冷による冷却では相当の時間がかかってしまう。また、もし、冷却の際にαゲル形成温度領域で時間がかかってしまうと、乳化粒子同士が凝集してしまい、高粘度の乳化組成物となり、目的のO/W乳化組成物が得られない場合がある。また、オンレーター等の冷却装置を用いると経済的に負荷がかかってしまう。よって、上記問題を解消するために、水相の一部を用いて高濃度に乳化された乳化パーツを70℃以上(好ましくは70〜80℃、さらに好ましくは70〜75℃)で調製し、上記乳化パーツに10〜35℃の残りの水相(主水相)をαゲル形成温度領域の下限温度より低い温度になるまで攪拌しながら徐々に混合する。この低温主水相の混合により、上述の高温乳化パーツが希釈されるとともに一気に冷却される。そして、αゲル形成温度範囲の下限温度以下の温度になるまで撹拌を続けると、αゲルが乳化粒子界面に存在するO/W乳化組成物が調製されることになる。αゲル形成温度領域下限温度以下になれば、攪拌を停止して、そのまま放冷することができる。乳化、攪拌などに用いる装置は通常使用されているものから適宜選択すればよく、それまで使用していた装置をそのまま利用することができ、特別の設備は不要である。
【0037】
3)また、目的とするO/W乳化組成物の組成によっては、10〜35℃の主水相を混合・撹拌しても混合物がαゲル形成温度領域下限温度以下にならず、乳化粒子が凝集してしまい、目的のO/W乳化組成物が得られない場合がある。この場合には、液状油分の少なくとも一部を除いた油相を用いて高濃度の乳化パーツを調製し、上記と同様に冷却した後、残りの液状油分を添加すればよい。
【0038】
これは、液状油分を乳化パーツの油相成分から除くことによって、αゲル形成温度領域が高温側へシフトするためである。このαゲル形成温度領域が高温側へシフトした乳化パーツは、主水相を混合・撹拌する際にαゲル形成温度領域以下への調整が容易となる。このような効果を得るためには、乳化パーツ調製に用いる油相中、液状油分を全く含まないか、あるいは含んだとしても液状成分全量の5質量%未満とすることが好ましい。
【0039】
上記製造方法によって得られたO/W乳化組成物は、粒子径が1〜7.5μmと、小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定に存在することができる。
【0040】
また、従来のO/W乳化組成物の製造方法では、水、保湿剤、増粘剤を予め溶解させ70℃付近に加温した水相に、油分と高級アルコール、及び親水性非イオン界面活性剤を70℃付近で均一にした油相を、ホモゲナイザーで攪拌しながら乳化したものをオンレーターを用いて35℃付近まで急冷する方法が用いられてきた。しかしながら、従来の製造方法では、加熱や熱交換機の使用によりエネルギーの無駄が多く、冷却器に使用される水の消費量がかさんでしまい、環境負荷が高かった。
【0041】
一方で、本発明の製造方法によって得られるO/W乳化組成物は、乳化の際、オンレーターなどの冷却機を用いることなく、多量の水または水性溶媒を加熱する必要がないため、低エネルギーで容易に製造することができる。また、実質的に、人体に対する刺激性が比較的小さい非イオン性界面活性剤のみによって乳化されるものであるため、安全性に優れている。
【0042】
以上のように、本発明にかかるO/W乳化組成物の製造方法は、予め70〜80℃で製造した乳化パーツに、10〜35℃の水相を添加するだけで、製剤温度をコントロールすることができ、従来と使用性の変わらない良好なO/W乳化組成物とすることができるため、従来用いられてきた製造工程を大幅に簡素化できる。
【0043】
本発明にかかるO/W乳化組成物は、例えば、化粧料、医薬、医薬部外品において皮膚、頭髪など身体に適用し得る外用組成物などに好適に適用することができる。例えば、皮膚化粧料、頭髪洗浄料、皮膚洗浄料、整髪料等に用いることができる。
また、本発明にかかるO/W乳化組成物には、上記必須成分の他に、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性など本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。かかる成分としては、例えば次のようなものが挙げられる。
【0044】
ポリエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサンなどの保湿剤。メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコールなどの増粘剤。エタノールなどの有機溶剤。ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸などの酸化防止剤。安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェンなどの抗菌防腐剤。グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸とその塩。アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸。
【0045】
ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ―オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキスなどの各種薬剤。
【0046】
ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどの有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出した天然エキス。ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等の中和剤。
また、その他、香料、スクラブ剤、粉末、色材、美白剤、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線防御剤なども、安定性などを損なわない範囲で適宜配合することができる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明にかかるO/W乳化組成物の実施例を示し、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、配合量は全て質量%で示す。
【0048】
まず、各製造例で用いた試験法・評価法について説明する。
[粘度]
B型粘度計(ローター番号3番、ローター回転数12rpm)を用い、30℃における粘度を測定した。
【0049】
[安定性]
調製したO/W乳化組成物を、低温(−10℃)〜高温(60℃)の恒温槽に1か月間保存した後、乳化状態を肉眼で観察し、乳化粒子の破壊や合一の有無を確認し、以下の判定を行った。
○:乳化粒子の破壊や合一が認められない。
△:乳化粒子の破壊や合一が一部認められる。
×:乳化粒子の破壊や合一が認められる。
なお、△以上の評価を合格とした。
【0050】
[従来品との同等性]
10名のパネルに対して使用性(のび、なじみ、べたつき、みずみずしさ、しっとりさ)を評価してもらう。総合評価として従来工程品(表1においては製造例1−13、表2においては製造例2−15)と同等であると回答した人数が、
○:9名以上10名以下
○△:7名以上8名以下
△:5名以上6名以下
△×:3名以上4名以下
×:2名以下
とし、△以上の評価を合格とした。
【0051】
下記表に種々の製造方法にて製造されたO/W乳化組成物の粘度、安定性、及び従来品との同等性による評価結果について、各種組成物の配合組成と併せ、まとめて示す。なお、下記の表中の量は質量%で示している。
【0052】
【表1】

【0053】
製造例1−1〜1−12
表中の(A)、(B)、(C)、(C)及び(D)を70℃で乳化してO/Wエマルション(乳化パーツ)を得た。この乳化パーツを攪拌しながら所定の温度の主水相(D)を混合した。主水相混合終了時点での混合物温度は何れも40.2℃以下であった。所定温度になった時点で撹拌を止め、その後室温まで放冷してO/W乳化組成物を得た。
【0054】
製造例1−13
表中の(A)、(B)、(C)、(C)成分をホモゲナイザーで攪拌しながら(D)及び(D)を加え、70℃にて乳化し調製したW/Oエマルションをオンレーターに通過させて35℃まで冷却し、その後室温まで放冷してO/W乳化組成物を得た。
【0055】
なお、乳化パーツの発熱ピークの測定結果を図1に示す。測定はDSC(Q−1000,TA Instruments,USA)を用い、70℃〜30℃までを毎分2℃で降温させて測定した。この結果、上記表における処方の乳化パーツのαゲル形成による発熱ピーク温度は図1のように44.2℃であった。
【0056】
前記表1から明らかなように、製造例1−1〜1−8は発熱ピーク温度の44.2℃より4℃低い温度(40.2℃)以下で撹拌を停止させたため、従来品(製造例1−13)とほぼ同等のO/W乳化組成物を得られることが明らかとなった。一方、製造例1−9〜1−12は、40.2℃より高い時点で撹拌を停止させため、従来品と同等のO/W乳化組成物を得ることができなかった。従って、本発明においては、αゲル形成温度領域の下限温度として、αゲル形成の発熱ピーク温度よりも4℃低い温度を採用することができ、これよりも低い温度になれば特に攪拌をせずとも従来品と同等のO/W乳化組成物を得ることができる。
また、主水相の温度が比較的高い場合でも、乳化パーツに対する主水相の量が多ければ従来工程品と同等のO/W乳化組成物が得られることが明らかとなった。
【0057】
【表2】

【0058】
製造例2−1〜2−14
表中の(A)、(B)、(C)及び(D)を70℃で乳化して、O/Wエマルション(乳化パーツ)を得た。この乳化パーツを攪拌しながら所定の温度の主水相(D)を混合した。混合終了時点での混合物温度は何れも43.3℃以下であった。その後、液状油分を添加した。所定温度になった時点で撹拌を止め、その後室温まで放冷しO/W乳化組成物を得た。
【0059】
製造例2−15
表中の(A)、(B)、(C)、(C)成分をホモゲナイザーで攪拌しながら(D)及び(D)を加え、70℃にて乳化し調製したW/Oエマルションをオンレーターに通過させて35℃まで冷却し、その後室温まで放冷してO/W乳化組成物を得た。
【0060】
なお、乳化パーツの発熱ピークの測定結果を図2に示す。測定はDSC(Q−1000,TA Instruments,USA)を用い、70℃〜30℃までを毎分2℃で降温させて測定した。この結果、上記表における処方の乳化パーツの発熱ピークは51.3℃であった。このことから、液状油分の少なくとも一部を除いた油相を用いたために、液状油分全量を含む油相を用いた場合に比べて乳化パーツのαゲル形成温度領域が全体的に高温側にシフトし、発熱ピーク温度が高温側(約7℃)にシフトしていることが分かった。
【0061】
そして、前記表2から明らかなように、製造例2−1〜2−10は発熱ピークの51.3℃より8℃低い温度(43.3℃)以下で撹拌を停止させたため、従来品(製造例2−15)とほぼ同等のO/W乳化組成物を得られることが明らかとなった。したがって、液状油分の少なくとも一部を除く油相を用いて乳化パーツを調製した場合には、αゲル形成温度領域の下限温度として、αゲル形成の発熱ピーク温度よりも8℃低い温度を採用することができ、液状油分を含む油相を用いて乳化パーツを調製した場合に比べて、より早い段階で撹拌を止めることができることが明らかになった。
【0062】
一方、製造例2−11〜2−14は、43.3℃より高い時点で撹拌を停止させため、従来品と同等のO/W乳化組成物を得ることができなかった。
また、主水相の温度が比較的高い場合でも、乳化パーツに対する主水相の量が多ければ従来工程品と同等のO/W乳化組成物が得られることが明らかとなった。
【0063】
以上により、本発明の製造方法は、オンレーターのような冷却機を用いることなく、低エネルギーで容易に製造することができ、経済性に優れることが分かった。さらに、本発明にかかる製造方法によって製造されたO/W乳化組成物は、オンレーターのような冷却機を用いて製造した同一処方のO/W乳化組成物と比較しても、同等の品質及び使用性を有している。
【0064】
以下、実施例を挙げて本発明について更に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記の処方中の量は質量%で示している。
実施例1
乳液 配合量(質量%)
(1)イオン交換水 残余
(2)グリセリン 5.0
(3)ブチレングリコール 5.0
(4)ポリエチレングリコール1500 2.0
(5)エタノール 3.0
(6)フェノキシエタノール 0.3
(7)パラベン 0.1
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)エデト酸3ナトリウム 0.05
(10)カルボキシビニルポリマー 0.1
(11)キサンタンガム 0.1
(12)ベヘニルアルコール 0.5
(13)ベヘニン酸 0.3
(14)ステアリン酸 0.4
(15)イソステアリン酸 0.3
(16)ワセリン 2.0
(17)スクワラン 3.0
(18)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(19)ジメチルポリシロキサン 2.0
(20)2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
(21)イソステアリン酸PEG−60グリセリル 1.0
(22)ステアリン酸PEG−5グリセリル 1.0
(23)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(1)〜(3)の一部[(1)〜(3)合計量の約25質量%]および(8)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(12)〜(16)及び(21)、(22)からなる油相を徐々に添加してホモミキサーで乳化し、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(1)〜(11)までの水相成分(主水相)と(17)〜(20)および(23)からなる液状油分を順に添加し混合することで乳液が得られた。得られた乳液の粘度は3,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は52℃、混合攪拌停止時の温度は38℃)
【0065】
実施例2
乳液 配合量(質量%)
(1)イオン交換水 残余
(2)グリセリン 5.0
(3)ブチレングリコール 5.0
(4)ポリエチレングリコール1500 2.0
(5)エタノール 3.0
(6)フェノキシエタノール 0.3
(7)パラベン 0.1
(8)水酸化カリウム 0.1
(9)エデト酸3ナトリウム 0.05
(10)カルボキシビニルポリマー 0.1
(11)キサンタンガム 0.1
(12)ベヘニルアルコール 0.5
(13)ベヘニン酸 0.3
(14)ステアリン酸 0.4
(15)イソステアリン酸 0.3
(16)ワセリン 2.0
(17)スクワラン 3.0
(18)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(19)ジメチルポリシロキサン 2.0
(20)2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
(21)イソステアリン酸PEG−60グリセリル 1.0
(22)ステアリン酸PEG−5グリセリル 1.0
(23)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(1)〜(3)の一部[(1)〜(3)合計量の約20質量%]および(8)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(12)〜(23)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(1)〜(7)、(9)〜(11)までの水相成分(主水相)を添加し混合することで乳液が得られた。得られた乳液の粘度は3,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は44℃、混合攪拌停止時の温度は39℃)
【0066】
実施例3
クリーム 配合量(質量%)
(1)イオン交換水 残余
(2)グリセリン 7.0
(3)ジプロピレングリコール 7.0
(4)エリスリトール 1.0
(5)ポリエチレングリコール20000 2.0
(6)フェノキシエタノール 0.5
(7)トリエタノールアミン 0.5
(8)エデト酸3ナトリウム 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.1
(10)キサンタンガム 0.1
(11)ベヘニルアルコール 3.0
(12)ステアリルアルコール 1.0
(13)ベヘニン酸 0.2
(14)ステアリン酸 0.5
(15)イソステアリン酸 0.3
(16)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(17)ワセリン 2.0
(18)スクワラン 5.0
(19)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(20)ジメチルポリシロキサン 3.0
(21)イソノナン酸イソノニル 2.0
(22)イソステアリン酸PEG−60グリセリル 1.0
(23)ステアリン酸PEG−5グリセリル 1.0
(24)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(1)〜(3)の一部[(1)〜(3)合計量の約30質量%]および(7)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(11)〜(17)及び(22)、(23)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(1)〜(10)までの水相成分(主水相)と(18)〜(21)および(24)からなる液状油分を順に添加し混合することでクリームが得られた。得られたクリームの粘度は30,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は66℃、混合攪拌停止時の温度は42℃)
【0067】
実施例4
クリーム 配合量(質量%)
(1)イオン交換水 残余
(2)グリセリン 7.0
(3)ジプロピレングリコール 7.0
(4)エリスリトール 1.0
(5)ポリエチレングリコール20000 2.0
(6)フェノキシエタノール 0.5
(7)トリエタノールアミン 0.5
(8)エデト酸3ナトリウム 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.1
(10)キサンタンガム 0.1
(11)ベヘニルアルコール 3.0
(12)ステアリルアルコール 1.0
(13)ベヘニン酸 0.2
(14)ステアリン酸 0.5
(15)イソステアリン酸 0.3
(16)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(17)ワセリン 2.0
(18)スクワラン 5.0
(19)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(20)ジメチルポリシロキサン 3.0
(21)イソノナン酸イソノニル 2.0
(22)イソステアリン酸PEG−60グリセリル 1.0
(23)ステアリン酸PEG−5グリセリル 1.0
(24)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(1)〜(3)の一部[(1)〜(3)合計量の約15質量%]および(7)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(11)〜(24)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(1)〜(6)、(8)〜(10)の水相成分(主水相)を添加し混合することでクリームが得られた。得られたクリームの粘度は30,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は61℃、混合攪拌停止時の温度は44℃)
【0068】
実施例5
日焼け止め化粧料 配合量(質量%)
(1)ポリオキシエチレン硬化ひまし油 1.0
(2)ジメチコンコポリオール 0.5
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
(4)ベヘニン酸 0.3
(5)ステアリン酸 0.2
(6)ベヘニルアルコール 0.3
(7)フェニルトリメチコン 1.0
(8)疎水化処理酸化チタン 5.0
(9)疎水化処理酸化亜鉛 2.0
(10)球状ポリアクリル酸アルキル粉体 2.0
(11)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5.0
(12)クエン酸 0.01
(13)クエン酸ナトリウム 0.09
(14)シリカ 1.0
(15)パラベン 0.1
(16)フェノキシエタノール 0.3
(17)水酸化ナトリウム 0.05
(18)アルコール 5.0
(19)ダイナマイトグリセリン 1.0
(20)サクシノグルカン 0.2
(21)セルロースガム 1.0
(22)イオン交換水 残余
製造方法:70℃まで加温した成分(19)、(22)の一部[(19)及び(22)の合計量の約20質量%]、(1)および(17)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(2)および(4)〜(6)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(12)〜(22)の水相成分(主水相)と、(2)および(7)〜(11)の液状油分ならびに粉末成分を順に添加し混合することで日焼け止め化粧料が得られた。得られた日焼け止め化粧料の粘度は5,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は51℃、混合攪拌停止時の温度は38℃)
【0069】
実施例6
日焼け止め化粧料 配合量(質量%)
(1)ポリオキシエチレン硬化ひまし油 1.0
(2)ジメチコンコポリオール 0.5
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
(4)ベヘニン酸 0.3
(5)ステアリン酸 0.2
(6)ベヘニルアルコール 0.3
(7)フェニルトリメチコン 1.0
(8)疎水化処理酸化チタン 5.0
(9)疎水化処理酸化亜鉛 2.0
(10)球状ポリアクリル酸アルキル粉体 2.0
(11)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5.0
(12)クエン酸 0.01
(13)クエン酸ナトリウム 0.09
(14)シリカ 1.0
(15)パラベン 0.1
(16)フェノキシエタノール 0.3
(17)水酸化ナトリウム 0.05
(18)アルコール 5.0
(19)ダイナマイトグリセリン 1.0
(20)サクシノグルカン 0.2
(21)セルロースガム 1.0
(22)イオン交換水 残余
製造方法:70℃まで加温した成分(19)、(22)の一部[(19)及び(22)の合計量の約20質量%]および(17)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(1)〜(7)、(11)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの水相成分(主水相)を添加し混合することで日焼け止め化粧料が得られた。得られた日焼け止め化粧料の粘度は5,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は45℃、混合攪拌停止時の温度は39℃)
【0070】
実施例7
乳化ファンデーション 配合量(質量%)
(1)タルク 3.0
(2)二酸化チタン 4.0
(3)ベンガラ 0.5
(4)黄酸化鉄 1.5
(5)黒酸化鉄 0.1
(6)ベントナイト 0.5
(7)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
(8)トリエタノールアミン 1.5
(9)ジプロピレングリコール 8.0
(10)イオン交換水 残余
(11)ベヘニン酸 0.5
(12)ステアリルアルコール 0.4
(13)イソヘキサデシルアルコール 6.0
(14)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(15)液状ラノリン 2.0
(16)流動パラフィン 6.0
(17)パラベン 0.1
(18)香料 0.05
製造方法:成分(6)、(17)を分散した(8)、(9)を一部の(10)に加え、70℃で撹拌をし、これに70℃に加熱溶解された(7)、(11)、(12)、(14)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら室温の(10)の残部と、(13)、(15)、(16)、(18)の液状油分、十分混合粉砕された粉体部(1)〜(5)を添加し混合することで乳化ファンデーションが得られた。得られた乳化ファンデーションの粘度は5,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は51℃、混合攪拌停止時の温度は41℃)
【0071】
実施例8
乳化ファンデーション 配合量(質量%)
(1)タルク 3.0
(2)二酸化チタン 4.0
(3)ベンガラ 0.5
(4)黄酸化鉄 1.5
(5)黒酸化鉄 0.1
(6)ベントナイト 0.5
(7)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
(8)トリエタノールアミン 1.5
(9)ジプロピレングリコール 8.0
(10)イオン交換水 残余
(11)ベヘニン酸 0.5
(12)ステアリルアルコール 0.4
(13)イソヘキサデシルアルコール 6.0
(14)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(15)液状ラノリン 2.0
(16)流動パラフィン 6.0
(17)パラベン 0.1
(18)香料 0.05
製造方法:成分(6)、(17)を分散した(8)、(9)を一部の(10)に加え、70℃で撹拌をし、これに70℃に加熱溶解された(7)、(11)〜(16)、(18)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら室温の(10)の残部と、十分混合粉砕された粉体部(1)〜(5)とを添加し混合することで乳化ファンデーションが得られた。得られた乳化ファンデーションの粘度は5,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は46℃、混合攪拌停止時の温度は42℃)
【0072】
実施例9
乳化アイシャドー 配合量(質量%)
(1)タルク 10.0
(2)カオリン 2.0
(3)顔料 5.0
(4)ステアリン酸 1.0
(5)ベヘニルアルコール 0.2
(6)ミリスチン酸イソプロピル 6.0
(7)流動パラフィン 5.0
(8)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0
(9)香料 0.05
(10)イオン交換水 残余
(11)ブチレングリコール 5.0
(12)グリセリン 1.0
(13)水酸化カリウム 0.07
(14)フェノキシエタノール 0.5
(15)エデト酸2ナトリウム 0.1
製造方法:成分(1)〜(3)の粉体部を混合後、粉砕処理をする。(10)〜(13)の水相の一部を70℃まで加温し、70℃まで加温した(4)、(5)、(8)の油相を添加し乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら室温の粉体部を室温の残部水相に加え撹拌したパーツを添加・混合した後、(6)、(7)、(9)の液状油分を徐々に添加し混合することで乳化アイシャドーが得られた。得られた乳化アイシャドーの粘度は7,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は48℃、混合攪拌停止時の温度は38℃)
【0073】
実施例10
乳化アイシャドー 配合量(質量%)
(1)タルク 10.0
(2)カオリン 2.0
(3)顔料 5.0
(4)ステアリン酸 1.0
(5)ベヘニルアルコール 0.2
(6)ミリスチン酸イソプロピル 6.0
(7)流動パラフィン 5.0
(8)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0
(9)香料 0.05
(10)イオン交換水 残余
(11)ブチレングリコール 5.0
(12)グリセリン 1.0
(13)水酸化カリウム 0.07
(14)フェノキシエタノール 0.5
(15)エデト酸2ナトリウム 0.1
製造方法:成分(1)〜(3)の粉体部を混合後、粉砕処理をする。(10)〜(13)の水相の一部を70℃まで加温し、70℃まで加温した(4)〜(9)の油相を添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら室温の粉体部を室温の残部水相に加え撹拌したパーツを添加し混合することで乳化アイシャドーが得られた。得られた乳化アイシャドーの粘度は7,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は、44℃、混合攪拌停止時の温度は39℃)
【0074】
実施例11
頭髪化粧料 配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 5.0
(2)ワセリン 2.0
(3)ジメチルポリシロキサン 5.0
(4)セタノール 4.0
(5)ステアリルアルコール 1.0
(6)1,3−ブチレングリコール 10.0
(7)ポリオキシプロピレングリセリルエーテル 2.0
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
(9)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(10)ポリオクタニウム−10 0.5
(11)精製水 残余
(12)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(6)、(11)の一部[(6)及び(11)の合計量の約20質量%]からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(2)、(4)、(7)、(8)〜(9)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(6)、(11)の水相成分(主水相)と(1)、(3)、(10)、(12)からなる液状油分を順に添加し混合することで頭髪化粧料が得られた。得られた頭髪化粧料の粘度は4,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は54℃、混合攪拌停止時の温度は38℃)
【0075】
実施例12
頭髪化粧料 配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 5.0
(2)ワセリン 2.0
(3)ジメチルポリシロキサン 5.0
(4)セタノール 4.0
(5)ステアリルアルコール 1.0
(6)1,3−ブチレングリコール 10.0
(7)ポリオキシプロピレングリセリルエーテル 2.0
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
(9)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(10)ポリオクタニウム−10 0.5
(11)精製水 残余
(12)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(6)、(11)の一部[(6)及び(11)の合計量の約20質量%]からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(1)〜(5)、(7)〜(9)、(12)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの水相成分(主水相)を添加し混合することで頭髪化粧料が得られた。得られた頭髪化粧料の粘度は4,000mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は48℃、混合攪拌停止時の温度は42℃)
【0076】
実施例13
皮膚洗浄料 配合量(質量%)
(1)エタノール 15.0
(2)ソルビット液 10.0
(3)ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル 4.0
(4)ヒマシ油 2.0
(5)イソステアリン酸 2.0
(6)ステアリン酸 7.0
(7)ラウリン酸 6.0
(8)ミリスチン酸 11.0
(9)パルミチン酸 3.0
(10)ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム 3.0
(11)N−メチルタウリンナトリウム 5.0
(12)水酸化ナトリウム 4.0
(13)塩化ナトリウム 0.5
(14)カモミラエキス 0.1
(15)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(16)ヒドロキシエタンジホスホン酸4ナトリウム(30%) 0.1
(17)エデト酸3ナトリウム 0.1
(18)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.05
(19)パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル 0.05
(20)白糖・ソルビット混合物 15.0
(21)色素 0.5
(22)精製水 残余
(23)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(22)の一部[(22)全量の約35質量%]および(12)、(13)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(3)、(5)〜(11)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの(1)、(2)、(14)〜(17)、(20)〜(22)までの水相成分(主水相)と(4)、(18)、(19)および(23)からなる液状油分とを順に添加し混合することで皮膚洗浄料が得られた。得られた皮膚洗浄料の粘度は2,500mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は52℃、混合攪拌停止時の温度は41℃)
【0077】
実施例14
皮膚洗浄料 配合量(質量%)
(1)エタノール 15.0
(2)ソルビット液 10.0
(3)ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル 4.0
(4)ヒマシ油 2.0
(5)イソステアリン酸 2.0
(6)ステアリン酸 7.0
(7)ラウリン酸 6.0
(8)ミリスチン酸 11.0
(9)パルミチン酸 3.0
(10)ドデカン−1,2−ジオール酢酸エーテルナトリウム 3.0
(11)N−メチルタウリンナトリウム 5.0
(12)水酸化ナトリウム 4.0
(13)塩化ナトリウム 0.5
(14)カモミラエキス 0.1
(15)ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
(16)ヒドロキシエタンジホスホン酸4ナトリウム(30%) 0.1
(17)エデト酸3ナトリウム 0.1
(18)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.05
(19)パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル 0.05
(20)白糖・ソルビット混合物 15.0
(21)色素 0.5
(22)精製水 残余
(23)香料 0.1
製造方法:70℃まで加温した成分(22)の一部[(22)全量の約40質量%]および(12)、(13)からなる水相(一部水相)に、70℃まで加温した(3)〜(11)、(18)、(19)、(23)からなる油相を徐々に添加しホモミキサーで乳化して、乳化パーツを調製した。この乳化パーツを攪拌しながら25℃にある残りの水相成分(主水相)を添加し混合することで皮膚洗浄料が得られた。得られた皮膚洗浄料の粘度は2,500mPa・s/30℃であった。(αゲル形成温度領域のピーク温度は47℃、混合攪拌停止時の温度は43℃)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非イオン性界面活性剤と、
(B)前記非イオン性界面活性剤とともに水中でαゲルを形成し得る炭素数16以上の直鎖状高級アルコールと、
(C)油分、
とを含む油相と、
(D)水
を含む水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して乳化パーツを調製し、
この乳化パーツを攪拌しながら、10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することにより水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下になるまで攪拌を継続しながら冷却し、
その後攪拌を停止することを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のO/W乳化組成物の製造方法において、前記水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度がDSC(示査走査型熱量測定)による前記乳化パーツの発熱ピークのピーク温度より4℃低いことを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のO/W乳化組成物の製造方法において、
前記O/W乳化組成物は液状油分を含有するものであって、
液状油分の少なくとも一部を除いた前記油相と、
前記水相の一部とを70℃以上の温度で乳化して乳化パーツを調製し、
この乳化パーツを攪拌しながら、10〜35℃の残りの主水相を前記乳化パーツと混合することにより水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度以下になるまで攪拌を継続しながら冷却し、
液状油分の残部を前記αゲル形成温度領域の下限温度以下で添加し、
その後攪拌を停止することを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のO/W乳化組成物の製造方法において、乳化パーツを調製する油相中の液状成分含有量が、O/W乳化組成物に配合される液状油分全量のうちの5質量%未満であることを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載のO/W乳化組成物の製造方法において、前記水相中で油相がαゲルを形成する温度領域の下限温度がDSC(示査走査型熱量測定)による前記乳化パーツの発熱ピークのピーク温度より8℃低いことを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のO/W乳化組成物の製造方法において、前記主水相の配合量がO/W乳化組成物全量中50〜75質量%であることを特徴とするO/W乳化組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−74071(P2011−74071A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196292(P2010−196292)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】