説明

P2X7受容体拮抗薬としての2−フェニル−2H−ピラゾール誘導体およびそれの使用

、R、R、R、RおよびRが説明において定義されている式(I)の化合物が、P2X拮抗薬として開示されている。P2Xによって調節される疾患または状態の治療のための方法および組成物も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2X受容体拮抗薬である式(I)の化合物ならびに疼痛、神経因性疼痛、炎症、関節リウマチ、神経変性、抑鬱の治療および神経再生の促進におけるこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
P2X受容体は、ATPによって活性化されるイオンチャネル型受容体である。侵害受容におけるP2X受容体の重要性は、この内因性リガンドが放出され得る疼痛状態の多様さから明らかである。7種類のP2X受容体のうち、P2Xは、長期または繰り返しの作働薬刺激で大きい穴を形成する能力によって区別される。これは、ATPの濃度を飽和させることによって部分的に活性化されるが、合成ATP類縁体であるベンゾイル安息香酸ATP(BzATP)によって完全に活性化される(Bianchi et al, Eur. J. Pharmacol. Vol. 376, pages 127-138, 1999)。P2X受容体は、中枢神経系および末梢神経系、マクロファージなどの抗原提示細胞、ヒト表皮ランゲルハンス細胞、小グリア細胞および各種起源の多くの腫瘍細胞系におけるシナプス前終末によって発現される(Jacobson KA, et al. ″Adenosine and Adenine Nucleotides: From Molecular Biology to Intefirative Physiology″. L. Belardinelli and A. Pelleg (eds.), Kluwer, Boston, pages 149-166, 1995)。最近の試験で、電気的刺激およびATP誘発GABAの調節ならびにマウス海馬切片からのグルタミン酸放出でのP2X受容体の関与が示されている(Papp et al, Neuropharmacology and Neurotoxicology Vol. 15, pages 2387-2391, 2004)。中枢神経系では、P2X受容体は主として、脳の在住マクロファージである小グリア細胞によって発現される。グリア細胞上では、P2X受容体はグルタミン酸の放出に介在することが明らかになっている(Anderson C. et al. Drug Dev. Res. Vol. 50. page 92, 2000)。最も可能性が高いものとしては活性化小グリア細胞上でのP2X受容体の上昇が、ラット脳での中大脳動脈の閉塞によって誘発される虚血性損傷および壊死に関連して報告されている(Collo G. et al. Neuropharmacology, Vol. 36, pages 1277-1283, 1997)。最近の試験では、小グリア細胞でのスーパーオキシド発生ならびにアルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデル(Parvathenani et al, J. Biol. Chemistry, Vol.278. pages 13300-13317, 2003)および剖検脳切片からの多発性硬化症病変(Narcisse et al, Glia, Vol. 49, pages 245-258 (2005))でのβ−アミロイド斑周囲のP2X受容体上昇でのP2X受容体の薬剤が示されている。
【0003】
免疫系の細胞(マクロファージ、肥満細胞およびリンパ球)上でのP2X受容体の活性化によって、インターロイキン−1β(IL−1β)放出、巨細胞形成、脱顆粒およびL−セレクチン排出が生じる。ATPは、P2X受容体介在機序により、ラットでのリポ多糖S(LPS)腹腔内注射後のIL−1βの局所放出およびプロセシングを増加させることが明らかになっている(Griffiths et al, J. Immunology Vol. 154, pages 2821-2828 (1995); Solle et al, J. Biol. Chemistry. Vol. 276, pages 125-132, (2001))。
【0004】
非選択的かつ不可逆的P2X拮抗薬である酸化ATP(oATP)が最近、炎症を起こしたラットでの末梢介在抗侵害受容特性を有することが報告された(Dell′Antonio et al. Neuroscience Lett., Vol. 327. pages 87-90, 2002)。中枢および末梢神経系におけるシナプス前終末上に局在するP2X受容体の活性化(Deuchars et al, J. Neuroscience, Vol. 21, pages 7143-7152, 2001)が、興奮性アミノ酸神経伝達物質グルタミン酸の放出を誘発した。
【0005】
P2X受容体を持たないマウスからの研究では、機械的刺激および熱刺激に対する炎症性および神経障害性過敏がなくなっており、このことは、P2Xプリン受容体遺伝子と炎症性および神経障害性疼痛の間に関連性があることを示している(Chessell et al, Pain, Vol 114, pages 386-396 (2005))。
【0006】
P2X受容体欠乏マウスを用いた試験により、炎症性関節疾患のモデルであるモノクローナル抗コラーゲン誘発関節炎に対する感受性低下が明らかになり、炎症誘発機序におけるP2X受容体活性化の関与が示されている(Labasi et al., J. of Immunology Vol 168, pp. 6436-6445, (2002))。
【0007】
P2X受容体に対する拮抗薬は、脊髄損傷(SCI)動物モデルでの機能回復を有意に改善し、細胞死を減少させた。SCIのあるラットには、P2X受容体の不可逆的拮抗薬であるoATPおよびPPADSを投与し、病変後の組織的損傷の低下および運動機能の回復の改善を生じた(Wang et al, Nature Medicine Vol. 10, pages B21-B27, 2004)。
【0008】
併せて考えると、これらの所見は、P2X受容体のリガンドである化合物は、疼痛、炎症プロセス、ならびに関節リウマチ、骨関節炎、乾癬、アレルギー性皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気道反応亢進、敗血症ショック、糸球体腎炎、過敏性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、アテローム性動脈硬化、悪性腫瘍細胞の増殖および転移、筋芽細胞白血病、糖尿病、アルツハイマー病、多発性硬化症、髄膜炎、骨粗鬆症、火傷、虚血性心疾患、卒中および静脈瘤などの疾患状態に関連する変性状態の治療において有用となり得ることを示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の事実を鑑みると、神経因性疼痛、慢性炎症性疼痛、炎症、関節リウマチ、抑鬱およびアルツハイマー病、パーキンソン病、抑鬱、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レヴィー小体認知症、多発性硬化症など(それらに限定されるものではない)のいくつかの進行性CNS障害関連の神経変性状態ならびに外傷性脳損傷から生じるCNS機能低下のような状態を予防、治療または改善するのに効率的に用いることが可能な選択的P2X拮抗薬である化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、選択的P2X拮抗薬化合物ならびにそのような化合物を含む組成物、そしてそれらの使用方法に関するものである。本発明の化合物は、下記式を有する化合物または製薬上許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせである。
【0011】
【化5】

式中、
は、水素または−CNであり、Rは水素であり;または
およびRはこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6または7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、この環の炭素原子のうちの一つはS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;前記環は、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−C(O)アルキルおよび−S(O)アルキルからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていても良く;
は、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、アルキル、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、水素、アルキル、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、−N(H)−Wまたは−N(H)−C(R)(H)−Wであり;
は、水素、アルキルまたはハロアルキルであり;
Wは、
【0012】
【化6】

であり;
Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であり、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;
Bは、フェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、これらは、ハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;
qは0または1であり;
はXまたは−L−Xであり;
はフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、各Wはフェニル、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルおよびシクロアルケニルからなる群から選択される単環式の5もしくは6員環と縮合していても良く;Wによって表される各環は独立に、未置換であるか、1、2もしくは3個のRで置換されているか、0、1もしくは2個のRおよびXおよび−L−Xからなる群から選択される1個の置換基で置換されており;
Lは各場合で独立に、O、N(H)、N(アルキル)、S、S(O)、S(O)、S(O)N(H)、SON(アルキル)、N(H)S(O)、N(アルキル)S(O)、CON(H)、CON(アルキル)、N(H)COまたはN(アルキル)CO)であり;
Xは各場合で独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であり;これらはそれぞれ独立に、未置換であるか1、2もしくは3個のRで置換されており;
は各場合で独立に、アルキル、アルケニル、CN、NO、ハロ、=O、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、ハロアルキル、−アルキル−OR、−アルキル−SR、−アルキル−S(O)R、−アルキル−S(O)、−アルキル−S(O)N(R)(R)、−アルキル−N(R)(R)、−アルキル−C(O)R、−アルキル−C(O)ORまたは−アルキル−C(O)N(R)(R)であり;
は各場合で独立に、水素、アルキル、アルケニルまたはハロアルキルであり;
は各場合で独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルである。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書に含まれる参考文献はいずれも、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
a)用語の定義
本明細書で使用される場合の「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に懸垂している本明細書で定義のアルキル基を意味する。アルコキシの代表例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本明細書で使用される場合の「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐の炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0016】
本明細書で使用される場合の「アリール」という用語は、フェニルまたは二環式アリールを意味する。この二環式アリールはナフタレニルまたは単環式シクロアルキルに縮合したフェニルであり、または単環式シクロアルケニルに縮合したフェニルである。本発明のフェニル基および二環式アリール基は未置換であるか置換されている。二環式アリールは、二環式アリール内に含まれる炭素原子を介して親分子部分に結合している。アリール基の代表例には、ジヒドロインデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル、ナフタレニル、ジヒドロナフタレニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書で使用される場合の「シクロアルキル」または「シクロアルカン」という用語は、単環式または二環式シクロアルキルを意味する。単環式シクロアルキルは、環内において3〜8個の炭素原子、0個のヘテロ原子および1個の炭素−炭素結合からなる炭化水素環である。単環式シクロアルキルは、この単環式シクロアルキル内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。単環式シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式シクロアルキルは、単環式シクロアルキルに縮合した単環式シクロアルキルである。二環式シクロアルキルは、この二環式シクロアルキル内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。本発明の単環式および二環式シクロアルキル基は、未置換であるか置換されていることができる。
【0018】
本明細書で使用される場合の「シクロアルケニル」または「シクロアルケン」という用語は、単環式または二環式の炭化水素環系を意味する。単環式シクロアルケニルは、環内に4、5、6、7または8個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する。4員環系は1個の二重結合を有し、5員もしくは6員環系は1個もしくは2個の二重結合を有し、7員もしくは8員環系は1個、2個もしくは3個の二重結合を有する。単環式シクロアルケニルは、この単環式シクロアルケニル内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。単環式シクロアルケニル基の代表例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式シクロアルケニルは、単環式シクロアルキル基に縮合した単環式シクロアルケニル、または単環式シクロアルケニル基に縮合した単環式シクロアルケニルである。二環式シクロアルケニルは、この二環式シクロアルケニル内に含まれるいずれか置換可能な原子を介して親分子部分に結合していることができる。二環式シクロアルケニル基の代表例には、4,5,6,7−テトラヒドロ−3aH−インデン、オクタヒドロナフタレニルおよび1,6−ジヒドロ−ペンタレンなどがあるがこれらに限定されるものではない。本発明の単環式および二環式シクロアルケニル基は、未置換であるか置換されていても良い。
【0019】
本明細書で使用される場合の「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−Iまたは−Fを意味する。
【0020】
本明細書で使用される場合の「ハロアルコキシ」という用語は、1、2、3、4、5または6個の水素原子がハロゲンによって置き換わっている本明細書で定義のアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの代表例には、クロロメトキシ、2−フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、2−クロロ−3−フルオロペンチルオキシおよびペンタフルオロエトキシなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書で使用される場合の「ハロアルキル」という用語は、1、2、3、4、5または6個の水素原子がハロゲンによって置き換わっている本明細書で定義のアルキル基を意味する。ハロアルキルの代表例には、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2−クロロ−3−フルオロペンチルおよびトリフルオロエチルなどがあるがこれらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書で使用される場合の「複素環」または「複素環式」という用語は、単環式複素環または二環式複素環を意味する。単環式複素環は、独立にO、N、N(H)およびSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する3、4、5、6または7員環である。3員環または4員環は、0もしくは1個の二重結合およびO、N、N(H)およびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含む。5員環は、0もしくは1個の二重結合およびO、N、N(H)およびSからなる群から選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む。6員環は、0、1もしくは2個の二重結合およびO、N、N(H)およびSからなる群から選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む。7員環は、0、1、2もしくは3個の二重結合およびO、N、N(H)およびSからなる群から選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む。単環式複素環は未置換であるか置換されていることができ、単環式複素環内に含まれるいずれかの置換可能な炭素原子もしくはいずれかの置換可能な窒素原子を介して親分子部分に結合している。単環式複素環の代表例には、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパン−1−イル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニイル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、ホモモルホリニル、ホモピペラジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニルおよびトリチアニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式複素環は、フェニル基に縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式複素環、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式複素環、単環式複素環に縮合した単環式複素環、または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式複素環である。二環式複素環は、この二環式複素環内に含まれるいずれか置換可能な炭素原子もしくはいずれか置換可能な窒素原子を介して親分子部分に連結されており、未置換であるか置換されていても良い。二環式複素環の代表例には、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、チオクロマニル、2,3−ジヒドロインドリル、インドリジニル、ピラノピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、チオピラノピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾオキサゾリル、3−オキソ−ベンゾオキサジニル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ヘキサヒドロ−1H−フロ[3,4−c]ピロリル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イルおよび3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルなどがあるがこれらに限定されるものではない。本明細書で定義の単環式または二環式複素環は、N、N(H)、OもしくはSから選択されるヘテロ原子または1〜3個の別の炭素原子のアルキレン架橋によって連結された2個の隣接しない炭素原子を有することができる。2個の隣接しない炭素原子間のそのような連結を含む単環式または二環式複素環の代表例には、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノニル、1,4−ジアザトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデシル、3,10−ジアザビシクロ[4.3.1]デシルまたは8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドリルおよびオクタヒドロ−1H−4,7−エポキシイソインドリルなどがあるがこれらに限定されるものではない。窒素ヘテロ原子は4級化されていてもされていなくても良く、酸化されてN−オキサイドとなっていてもなっていなくても良い。さらに、窒素含有複素環は、N保護されていてもされていなくても良い。
【0023】
本明細書で使用される場合の「ヘテロアリール」という用語は、単環式ヘテロアリールまたは二環式ヘテロアリールを意味する。単環式ヘテロアリールは、5員もしくは6員環である。5員環は2個の二重結合、および1個の硫黄、窒素または酸素原子からなる。あるいは、5員環は、2個の二重結合、および1、2、3もしくは4個の窒素原子を有し、適宜に1個の酸素もしくは硫黄から選択される別のヘテロ原子を有し、他のものは炭素原子である。6員環は、3個の二重結合、1、2、3もしくは4個の窒素原子および他のものの炭素原子からなる。二環式ヘテロアリールは、フェニルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルキルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式シクロアルケニルに縮合した単環式ヘテロアリール、または単環式ヘテロアリールに縮合した単環式ヘテロアリールからなる。単環式および二環式ヘテロアリールは、この単環式または二環式ヘテロアリール内に含まれる置換可能な原子を介して親分子部分に連結されている。本発明の単環式および二環式ヘテロアリール基は、置換されているか未置換であることができる。さらに、窒素ヘテロ原子は4級化されていてもよいかされていなくても良く、酸化されてN−オキサイドとなっていても良いかなっていなくても良い。さらに、窒素含有環は、N保護されていてもされていなくても良い。単環式ヘテロアリールの代表例には、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリジン−N−オキサイド、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリルおよびトリアジニルなどがあるがこれらに限定されるものではない。二環式ヘテロアリール基の代表例には、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、6,7−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、インダゾリル、1H−インダゾール−3−イル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、キノリニル、キノリン−8−イルおよび5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−イルなどがあるが、それらに限定されるものではない。
【0024】
b)本発明の化合物、方法および組成物
本発明の化合物は、上記の式(I)を有する。詳細には、式(I)の化合物には、Rが水素または−CNであり;Rが水素であり;Rが−N(H)−C(R)(H)−Wである化合物などがあり得るが、これらに限定されるものではない。好ましい化合物は、Rが水素であり、Wが、独立に未置換であるか、1、2もしくは3個のRで置換されているか、0、1もしくは2個のRおよびXおよび−L−Xからなる群から選択される1個の置換基で置換されているフェニルまたは単環式ヘテロアリールであるものである。より好ましい化合物には、Rが水素であり;Wが置換フェニルであり;RおよびRがハロゲンであり;Rが水素であり、Rがアルキルであるものなどがある。
【0025】
本発明の他の化合物には、Rが−CNであり;RおよびRがハロゲンであり;Rが水素であり、Wが未置換フェニルであるものなどがあり、さらにはRが−CNであり;RおよびRがハロゲンであり;Rが水素であり;Wが未置換単環式ヘテロアリールである化合物などもある。本発明にはさらに、Rが−CNであり;RおよびRがハロゲンであり;WがRで置換された単環式ヘテロアリールであり、Rがアルキルである化合物などもある。
【0026】
本発明の他の化合物は、RおよびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6もしくは7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、この環の炭素原子のうちの1個がS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;前記環がアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−C(O)アルキルおよび−S(O)アルキルからなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていても良く;Rが、−N(H)−C(R)(H)−W1であるものである。好ましい化合物には、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一体となって、5炭素単環式飽和環を形成しており;Rが水素であり;Rがハロゲンであり;Rがハロゲンであり;Wがフェニルまたは単環式ヘテロアリールであるものなどがある。最も好ましい化合物は、WがRで置換されたフェニルであり、Rがアルキルであるものである。他の好ましい化合物には、WがL−Xで置換されたフェニルであり、LがOであり、Xがアリール、好ましくはフェニルであるモノなどがある。他の好ましい化合物は、Wが未置換単環式ヘテロアリールであるものである。他の化合物には、WがRで置換された単環式ヘテロアリールであり、Rが好ましくはアルキルであるもの、またはWがL−Xで置換された単環式ヘテロアリールであり、LがOであり、Xがアリールであるものなどがある。
【0027】
本発明は、RおよびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって5炭素単環式飽和環を形成しており、この環の炭素原子のうちの一つはS、SOまたはSO;好ましくはSによって置き換わっている上記の式(I)の化合物も含むものである。好ましい化合物は、Rがハロゲンであり;Rがハロゲンであり;Rが−N(H)−C(R)(H)−Wであり;Rが水素であり;Wが、フェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、最も好ましくはRで置換され、RがアルキルであるフェニルでありまたはRで置換され、Rがアルキルである単環式ヘテロアリールであるものである。
【0028】
他の好ましい化合物には、WがL−Xで置換された単環式ヘテロアリールであり、LがOであり、Xがアリールであるものなどがある。本発明はさらに、RおよびRがそれらが結合している炭素原子と一体となって6炭素単環式飽和環を形成しており;Rがハロゲンであり;Rがハロゲンであり;Rが−N(H)−C(R)(H)−Wであり;Rが水素であり;Wがフェニルまたは単環式ヘテロアリールである式(I)の化合物も含むものである。好ましい化合物には、WがRで置換された単環式ヘテロアリールであり、Rがアルキルであるものなどがある。本発明はさらに、Rが水素または−CNであり;Rが水素であり;Rが−N(H)−Wであり、Wが
【0029】
【化7】

であり;Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であることができ、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;Bはフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、ハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;qは0または1であり;RはXまたは−L−Xである式(I)の化合物も含むものである。本発明の他の化合物には、RおよびRはこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6もしくは7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、この環の炭素原子のうちの1個がS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;Rが−N(H)−Wであり、Wが
【0030】
【化8】

であり;Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であり、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;Bは、ハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良いフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり;qは0または1であり;RはXまたは−L−Xである式(I)の化合物がある。本発明は、製薬上許容される担体と組み合わせて1以上の式(I)の化合物を治療上有効量含有する医薬組成物も提供する。本組成物は、1種類以上の製薬上許容される無毒性担体と共に製剤された本発明化合物を含有する。これらの医薬組成物は、固体もしくは液体の形態で経口投与用に処方することができ、また非経口注射用もしくは直腸投与用に製剤することができる。
【0031】
「製薬上許容される担体」という用語は、本明細書中で用いられる場合、あらゆる種類の無毒性の不活性固体、半固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入材料もしくは製剤助剤を意味する。製薬上許容される担体として有用であり得る物質の一部には、糖類、セルロースおよびその誘導体、粉末トラガカントガム、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバターおよび坐剤ロウ、オイル類、グリコール類、エステル類、寒天、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質非含有水、等張性生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、さらには他の無毒性で適合性の潤滑剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料がある。製剤業界の当業者の判断に従い、保存剤および酸化防止剤を組成物中に存在させることもできる。
【0032】
本発明の化合物は、製薬上許容される塩の形態で用いることができる。「製薬上許容される塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、不適切な毒性、刺激、アレルギー性応答等がなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適切であり、合理的な利益/危険比を有する式(I)の化合物の塩を指す。製薬上許容される塩は当業界で公知である。
【0033】
「製薬上許容されるプロドラッグ」もしくは「プロドラッグ」という用語は、本明細書中で用いられる場合、妥当な医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答等なしにヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触させて用いるのに適切であり、合理的な利益/危険比を有し、かつこれらの所期の用途に有効である本発明化合物のプロドラッグを表す。本発明のプロドラッグは、例えば血中での加水分解により、インビボで式(I)の親化合物に速やかに変換され得る。ヒグチらの著作(Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, V. 14 of the A.C.S. Symposium Series)およびロッシェの編著(Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press (1987))に詳細な議論がある。
【0034】
本発明は、化学的に合成されるまたは式(I)の化合物へのイン・ビボ生体変換によって形成される医薬的活性化合物を意図している。
【0035】
本発明の化合物および組成物は、P2X受容体の効果を調節する上で有用である。特に、本発明の化合物および組成物は、P2X受容体によって調節される障害の治療および予防において用いることができる。代表的には、そのような障害は、好ましくは本発明の化合物または組成物を、単独でまたは例えば治療法の一環として別の活性薬剤と併用して投与することで、哺乳動物におけるP2X受容体を選択的に調節することで改善することができる。
【0036】
実施例に具体的に記載のものなど(それらに限定されるものではない)の本発明の化合物は、P2X受容体に対するアフィニティを有し、P2X受容体で拮抗薬活性を示す。従って、本発明の化合物は、多くのP2X受容体が介在する疾患または状態の治療および予防において有用となり得る。例えばP2X受容体は、ラット脳での中大脳動脈の閉塞によって誘発される虚血性損傷および壊死において重要な薬剤を果たすことが明らかになっている(Collo G. et al. Neuropharmacology, Vol. 36, pp. 1277-1283, 1997)ことから、P2X受容体拮抗薬である本発明の化合物は、神経変性疾患の予防または治療において有用となり得る。P2X受容体は、アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデル(Parvathenani et al, J. Biol. Chemistry, Vol.278. pages 13300-13317, 2003)および剖検脳切片で示された多発性硬化症病変(Narcisse et al, Glia, Vol. 49, pages 245-258 (2005))におけるβ−アミロイドプラークの形成にも関与している。従って、P2X受容体拮抗薬である本発明の化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、抑鬱、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レヴィー小体認知症、多発性硬化症など(これらに限定されるものではない。)のいくつかの進行性CNS障害関連の神経変性状態ならびに外傷性脳損傷から生じるCNS機能低下の予防および治療において有用となり得る。
【0037】
酸化ATP(非選択的および不可逆的拮抗薬)によるP2X受容体の遮断は、炎症を起こしたラットでの末梢介在抗侵害受容特性を誘発する(Dell′Antonio et al. Neuroscience Lett., Vol. 327. pages 87-90, 2002)。同様に、P2X受容体を持たないマウスを用いた試験では、P2Xプリン受容体遺伝子と炎症性および神経因性疼痛の間に関連性があること(Chessell et al, Pain, Vol 114, pages 386-396 (2005))ならびに炎症誘発機序にP2X受容体活性化が関与すること(Labasi et al., J of Immunology Vol. 168, pages 6436-6445, (2002))が示されている。従って、P2X受容体拮抗薬であることで、本発明の化合物は、神経因性疼痛、慢性炎症疼痛、炎症および関節リウマチのような状態の予防または治療において有用となり得る。
【0038】
P2X受容体に対する拮抗薬は、脊髄損傷(SCI)動物モデルでの機能回復を有意に改善し、細胞死を減少させた。SCIのあるラットに、P2X受容体の不可逆的拮抗薬であるoATPおよびPPADSを投与し、病変後の組織的損傷の低下が生じおよび運動機能の回復の改善を生じた(Wang et al, Nature Medicine Vol. 10, pages B21-B27, 2004)。
【0039】
これらの結果を考慮すると、本発明のP2X受容体拮抗薬は、抑鬱のような状態、アルツハイマー病、パーキンソン病、抑鬱、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レヴィー小体認知症、多発性硬化症など(これらに限定されるものではない。)のいくつかの進行性CNS障害関連の神経変性状態ならびに外傷性脳損傷から生じるCNS機能低下の予防、治療または改善に有用であると言うことができる。
【0040】
c)本発明の化合物の製造
本発明の化合物を製造することができる方法を描いた下記の合成図式との関連で、本発明の化合物および方法についての理解が深まるであろう。原料は、商業的入手先から得ることができるまたは当業者には公知の確立された文献法によって製造することができる。
【0041】
【化9】

【0042】
、R、R、R、RおよびWが式(I)で定義の通りである式(3)の化合物は、図式1に示した方法に従って式(I)のアミノピラゾールから製造することができる。
【0043】
購入されるか公知の方法を用いて製造される式(1)のアミノピラゾールを、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)など(これらに限定されるものではない。)のカップリング試薬およびトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなど(これらに限定されるものではない。)の塩基の存在下に式WCOOHの置換カルボン酸で処理すると、式(2)のアミドが得られる。この反応は通常、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物など(これらに限定されるものではない。)の溶媒中にて、ほぼ室温で行う。
【0044】
あるいは、式(2)のアミドは、トリエチルアミンまたはピリジンなど(これらに限定されるものではない。)の塩基の存在下に、式(1)のアミノピラゾールを式WCOClの酸塩化物(購入されるまたは公知の方法を用いる相当する酸と塩化チオニルから製造される。)と反応させることで製造することができる。この反応は通常、約0℃〜約50℃の温度で、塩化メチレン、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなど(これらに限定されるものではない。)の溶媒中にて行う。式(2)のアミドを、ボラン、水素化リチウムアルミニウム、水素化アルミニウムなど(これらに限定されるものではない。)の還元剤で処理して、式(3)の化合物を得ることができる。
【0045】
式(1)のアミノピラゾールは、GがWまたは−C(R)(H)−Wであり、W、W、R、R、R、RおよびRが式(I)で定義の通りである式(5)の化合物に変換することもできる。式(1)のアミノピラゾールは、高温にてブロモホルムおよびt−ブチルニトリルで処理することで、式(4)の相当するブロマイドに変換することができる。式(4)のブロマイドを、約100℃〜約200℃の温度にて式G−NHのアミンで処理すると、式(5)の化合物が得られる。この反応は、無希釈またはトルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、ジオキサン、ジフェニルエーテルまたはN,N−ジメチルホルムアミドなど(これらに限定されるものではない)の溶媒中で行うことができる。
【0046】
式G−NHのアミンは、市販されているか、公知の方法を用いて製造することができる。式G−NHのアミンの合成について説明した参考文献には、Kaluza et al., Chem. Ber. 1955, 88, 597;Bennett et al J. Chem. Soc. 1931; 1692, Sagorewskii et al., Gen. Chem. USSR 1964; 34, 2294, Pratap et al., Indian J. Chem. Sect. B 1981; 20; 1063, WO2005/42533, p121;Braun et al Chem. Ber. 1929, 62, 2420;Tikk et al., Acta Chim. Hung. 1986, 121, 255;およびBernabeu et al., Synth. Commun. 2004, 34, 137などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0047】
【化10】

【0048】
、RおよびRが式(I)で定義の通りである式(7)および(8)のアミノピラゾールは、図式2に示した化学を用いて製造することができる。式(6)の置換アリールヒドラジンの塩酸塩を、水酸化ナトリウムまたはナトリウムエトキシドなどの塩基の存在下にエトキシエチレンマロノニトリルと反応させて、式(7)の化合物を得ることができる。この反応は通常、エタノールなどの溶媒中、使用される溶媒の還流温度で行う。式(7)のアミノピラゾールを濃塩酸とともに還流すると、式(8)の化合物が得られる。
【0049】
【化11】

【0050】
、RおよびRが式(I)で定義の通りであり、RおよびRが水素であるかRおよびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって式(I)で定義の環を形成している式(1)のアミノピラゾールは、図式3に示した化学を用いて製造することができる。式(6)の置換アリールヒドラジンの塩酸塩を、エタノールなどの溶媒中、用いた溶媒の還流温度で式(9)の適切に置換されたシアノケトンと反応させて、式(1)のアミノピラゾールを得ることができる。
【0051】
【化12】

【0052】
およびRが式(I)で定義の通りである式(14)のアミンは、当業者には公知の各種方法によって製造することができる。そのような製造の1例を図式4に示してある。式(11)のアルコールを、約室温にて溶媒存在下または非存在下に無希釈の塩化チオニルと反応させて、X′がClである式(12)のクロライドを得ることができる。使用される溶媒の例には、塩化メチレンおよびクロロホルムがあるが、これらに限定されるものではない。あるいは、X′がメチルスルホネート(メシレート)である式(12)の化合物は、トリエチルアミンなど(これらに限定されるものではない)の塩基の存在下に、メタンスルホニルクロライドを用いて式(11)のアルコールから製造することができる。
【0053】
N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトンなど(これらに限定されるものではない。)の溶媒中で式(12)のクロライドまたはメシレートをアジ化ナトリウムで置き換えることで、式(13)のアジドを得て、これをパラジウム/炭素またはPtO/炭素など(これらに限定されるものではない。)の還元剤の存在下に還元して、式(14)のアミンとすることができる。この反応は、ほぼ室温にてエタノール、メタノールまたは酢酸エチルなど(これらに限定されるものではない。)の溶媒中で行うことができる。
【0054】
【化13】

【0055】
が式(I)で定義の通りである式(14a)のアミンは、図式5に示した方法に従って式(15)の相当するアルデヒドから製造することができる。エタノールなど(これに限定されるものではない。)のアルコール系溶媒中、式(15)のアルデヒドをヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させることで、式(16)のオキシムを得る。式(16)のオキシムは、無水酢酸のおよび水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなど(これらに限定されるものではない。)の塩基存在下に、式(17)のニトリルに変換することができる。ラネーニッケルおよびアンモニアを用いて式(17)のニトリルに還元することで、式(14a)のアミンが得られる。この還元は、メタノールなど(これに限定されるものではない。)のアルコール系溶媒中で行うことができる。
【0056】
式(17)のある種のニトリルは、購入することができるか(例えば2−アミノニコチノニトリル)、参考文献(Almed et al, Indian Chem. Soc, 1996, 73, 141など;それに限定されるものではない。)に記載の手順を用いて製造することができる。
【0057】
式(17)のニトリルは、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドなど(これに限定されるものではない。)のパラジウム触媒の存在下に、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中での相当するブロマイドのシアン化亜鉛との反応から製造することもできる。
【0058】
【化14】

【0059】
LがO、N(H)、N(アルキル)またはSであり、WおよびXが式(I)で定義の通りである式(20)の化合物は、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなど(これらに限定されるものではない。)の塩基の存在下に、X″がOH、NH、N(H)(アルキル)またはSHである式(18)のニトリルをX′″がフッ素または塩素である式(19)のハライドと反応させることで製造することができる。この反応は、約室温〜約150℃の温度でテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはジオキサンなどの溶媒中で行うことができる。逆に、LがO、N(H)、N(アルキル)またはSであり、WおよびXが式(I)で定義の通りである式(20)の化合物は、X″がフッ素または塩素であるニトリル(18)とX′″が−NH、−N(H)(アルキル)、OHまたはSHである式(19)の化合物を上記条件下で反応させることによっても製造することができる。
【0060】
式(21)のアミンは、図式5で示した式(17)の化合物から(14a)の化合物への変換についての変換条件を用いて、式(20)のニトリルから製造することができる。
【0061】
【化15】

【0062】
およびXが式(I)で定義の通りである式(22)のニトリルは、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドなど(これらに限定されるものではない。)のパラジウム触媒およびトリエチルアミンまたは炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下に、X″がCl、Br、Iまたはトリフレートである式(18)のニトリルを、X′″が−B(OR101であり、R101が水素またはアルキルである式(19)のボロン酸またはエステルと反応させることで製造することができる。この反応は、イソプロパノール、エタノール、ジメトキシエタン、水またはジオキサンなどの溶媒中、50〜90℃で加熱することで実施することができる。あるいは、この変換は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)など(これに限定されるものではない。)のパラジウム触媒およびフッ化セシウムを用い、ジオキサンなどの溶媒中で加熱しながら、X″がCl、Br、Iまたはトリフレートである式(18)のニトリルをX′″が−Sn(アルキル)である式(19)のスズ試薬と反応させることで行うことができる。これらの変換は、マイクロ波リアクターでの加熱によって行うこともできる。
【0063】
その変換は、上記の反応条件を用いて、X′″がCl、Br、Iまたはトリフレートである式(19)の化合物を、X″が−Sn(アルキル)または−B(OR101であり、R101が水素またはアルキルである式(18)の化合物と反応させることによっても行うことができる。
【0064】
式(23)のアミンは、図式5に示した式(17)の化合物から(14a)の化合物への変換についての変換条件を用いて、式(22)のニトリルから得ることができる。
【0065】
【化16】

【0066】
式(11)のアルコールは、当業者には公知の各種方法によって製造することができる。そのような方法の一つを図式8に示してある。
【0067】
式(24)のアルデヒドを、水素化ホウ素ナトリウムで還元し、次にt−ブチルジメチルシリルエーテルとして保護し、次にn−ブチルリチウムでモノ脱臭素化して、式(26)のモノブロモチアゾールを得ることができる。次に、この式(26)のモノブロモチアゾールを、図式7に示した反応条件を用いて、X′″が−Sn(アルキル)または−B(OR101であり、R101が水素またはアルキルである式(19)の化合物と反応させて、Xが式(I)で定義の通りである式(27)の化合物を得ることができる。式(26)のモノブロモチアゾールは、図式6に示した反応条件を用いて、X′″が−NH、−N(H)(アルキル)またはOHもしくはSHである式(19)の化合物と反応させて、LがO、N(H)、N(アルキル)またはSであり、Xが式(I)で定義の通りである式(28)の化合物を得ることもできる。
【0068】
【化17】

【0069】
式W−NHのアミンのある特定の例は、図式9に示した方法に従って、それの相当するケトンから製造することができる。
【0070】
フロ[2,3−b]ピリジン−3(2H)−オン(モリタらの報告(Morita, Hiroyuki; Shiotani, Shunsaku; J. Heterocycl. Chem.; 23; 1986; 1465-1469)に記載の手順を用いて製造)およびメトキシルアミン塩酸塩を、24時間かけて、ピリジンなどの溶媒中、室温で反応させることで、メチルオキシムに変換することができる。次に、得られた中間体であるメチルオキシムを、アンモニア水の存在下に、およびメタノールまたはエタノールなどのアルコール系溶媒中で室温にて6時間にわたり、4気圧のラネーニッケルでの接触水素化によって還元して、相当するアミンとすることができる。
【0071】
d)参考実施例
下記の実施例は、本発明の説明を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものではない。
【0072】
(実施例1)
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド
実施例1A
5−アミノ−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
(2,3−ジクロロ−フェニル)−ヒドラジン塩酸塩(1.0g、4.9mmol)のエタノール(30mL)溶液を、ナトリウムエトキシド(21%エタノール溶液)(1.8mL、4.9mmol)で処理した。この混合物に、2−エトキシメチレン−マロノニトリル(570mg、4.9mmol)を滴下した。混合物を終夜還流した。反応混合物を水に投入し、酢酸エチルで抽出した(2回)。溶媒を除去し、得られた残留物を、CHClで溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(850mg、69%)。MS(DCI/NH)m/z253(M)
【0073】
実施例1B
2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルアミン
実施例1Aからの生成物(850mg、3.36mmol)を濃塩酸(15mL)で処理した。混合物を12時間還流し、溶媒を減圧下に除去し、混合物のpHを濃水酸化アンモニウムで調節して11とし、混合物を酢酸エチルで抽出した(2回)。溶媒を減圧下に除去し、得られた残留物を、CHClで溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(550mg、72%)。MS(DCI/NH)m/z228(M)、230(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm5.19(s、2H)5.38(d、J=1.84Hz、1H)7.28(d、J=1.84Hz、1H)7.42(dd、J=7.98、1.84Hz、1H)7.49(t、J=7.98Hz、1H)7.76(dd、J=7.98、1.53Hz、1H)。
【0074】
実施例1C
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド
実施例1Bからの生成物(550mg、2.4mmol)のピリジン(10mL)溶液に、2−メチルベンゾイルクロライド(556mg、3.6mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を終夜にて昇温させて室温とし、溶媒を減圧下に除去し、得られた残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(6:1から4:1への勾配溶離)で溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(526mg、63%)。MS(DCI/NH)m/z346(M)、348(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.18(s、3H)6.57(s、1H)7.24(m、3H)7.33(td、J=7.36、1.53Hz、1H)7.50(s、1H)7.51(s、1H)7.70(d、J=1.84Hz、1H)7.79(t、J=4.60Hz、1H)10.40(brs、1H)。
【0075】
(実施例2)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミン
実施例1Cからの生成物(280mg、0.81mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を、室温でBH(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)(4.05mL、4.05mmol)で処理した。反応混合物を65℃で終夜加熱し、MeOHで反応停止し、減圧下に濃縮し、残留物に室温でMeOH(4mL)、濃HCl(1mL)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱し、室温で終夜攪拌した。混合物を5N NaOHでpH=7に調節し、酢酸エチルで抽出した(2回)。有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物を、流量40mL/分で10%:85%:5%(アセトニトリル:HO:酢酸アンモニウム)から95%:4%:1%(アセトニトリル:HO:酢酸アンモニウム)とする勾配を用いるウォーターズ・シンメトリーC18カラム(40mm×100mm、粒径7μm)での分取高速液体クロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(56.9mg、21%)。MS(DCI/NH)m/z332(M)、334(M+2)H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm2.26(s、3H)4.14(d、J=5.80Hz、2H)5.34(d、J=1.83Hz、1H)5.91(t、J=5.49Hz、1H)7.13(m、3H)7.26(t、J=4.58Hz、1H)7.32(d、J=1.83Hz、1H)7.46(dd、J=7.93、1.53Hz、1H)7.51(t、J=7.93Hz、1H)7.78(dd、J=7.93、1.53Hz、1H)。
【0076】
(実施例3)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−ピリジン−3−イルメチル−アミン
実施例3A
2−(2,3−ジクロロフェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタ[c]ピラゾール−3−アミン
(2,3−ジクロロ−フェニル)−ヒドラジン塩酸塩(3g、10mmol)のエタノール(40mL)懸濁液に、2−オキソ−シクロペンタンカルボニトリル(アポロ・サイエンティフィック(Apollo cientific)から購入)(1g、9.2mmol)を加えた。反応液を4時間加熱還流し、冷却し、溶媒を減圧下に除去した。粗取得物を酢酸エチル/水(20/5)に取り、2M NaOH(20mLで1回)および水(20mLで1回)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチルで抽出し(20mLで2回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し(40mLで1回)、脱水し(MgSO)、濃縮して、粗固体2.1g(85%)を得て、それをそれ以上精製せずに用いた。MS(ESI/NH)m/z269(M+H)
【0077】
実施例3B
N−[2−(2,3−ジクロロフェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロシクロペンタピラゾール−3−イル]ニコチンアミド
実施例3A(0.3g、1.19mmol)およびトリエチルアミン(0.2g、2mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ニコチノイルクロライド(0.48g、2.68)を加えた。反応液を室温で18時間維持し、酢酸エチル(30mL)で希釈した。有機層を飽和NaHCO(20mLで1回)、水(20mLで1回)、ブライン(15mLで1回)で洗浄し、脱水し(MgSO)、濾過し、濃縮して、黄色固体0.35g(79%)を得た。MS(ES/NH)m/z372(M+H)H NMR(δ、DMSO−d)2.25−2.4(m、2H)、2.65−2.78(m、4H)、7.4−7.6(m、3H)、7.72−7.8(dd、1H)、8.05−8.12(dd、1H)、8.7−8.75(d、1H)、8.85(s、1H)、10.42(s、1H)。
【0078】
実施例3C
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−ピリジン−3−イルメチル−アミン
実施例1Cに代えて実施例3Bからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z359(M)、361(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.19(qt、J=7.36Hz、2H)2.38(t、J=6.75Hz、2H)2.45(t、J=7.67Hz、2H)4.26(d、J=6.14Hz、2H)5.85(t、J=6.14Hz、1H)7.33(dd、J=7.67、4.60Hz、1H)7.43(dd、J=7.98、1.53Hz、1H)7.48(t、J=7.98Hz、1H)7.66(d、J=7.67Hz、1H)7.75(dd、J=7.67、1.53Hz、1H)8.43(dd、J=4.91、1.53Hz、1H)8.49(d、J=1.53Hz、1H)。
【0079】
(実施例4)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミン
段階A
実施例1Bに代えて実施例3Aからの生成物を用いた以外は、実施例1Cの方法に従って実施例3Aを処理した。
【0080】
段階B
実施例1Cに代えて段階Aから得られた中間体を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z372(M)、374(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.20(qt、J=7.36Hz、2H)2.26(s、3H)2.34(t、J=7.36、6.75Hz、2H)2.49(t、J=7.67、7.06Hz、2H)4.23(d、J=5.83Hz、2H)5.69(t、J=5.83Hz、1H)7.16(m、3H)7.28(m、1H)7.50(m、2H)7.77(dd、J=7.06、2.15Hz、1H)。
【0081】
(実施例5)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例5A
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−2−メチル−ニコチンアミド
実施例3A(268mg、1.0mmol)、2−メチル−ニコチン酸(137mg、1.0mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(570mg、1.5mmol)およびトリエチルアミン(836μL、6.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中混合物を室温で終夜攪拌した。反応混合物を水に投入し、酢酸エチルで抽出した(2回)。有機層を減圧下に濃縮し、得られた残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(6:1)と次に酢酸エチルで溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(195mg、50%)。MS(DCI/NH)m/z387(M)、389(M+2)
【0082】
実施例5B
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例5Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z373(M)、375(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.16(qt、J=7.06Hz、2H)2.26(t、J=7.06、6.14Hz、2H)2.41(s、3H)2.45(t、J=7.06Hz、2H)4.21(d、J=5.83Hz、2H)5.79(t、J=5.83Hz、1H)7.17(dd、J=7.67、4.60Hz、1H)7.47(s、1H)7.48(dd、J=10.13、7.98Hz、1H)7.56(d、J=1.67Hz、1H)7.75(dd、J=5.83、3.68Hz、1H)8.29(dd、J=4.60、1.23Hz、1H)。
【0083】
(実施例6)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例6A
2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イルアミン
(2,3−ジクロロ−フェニル)−ヒドラジン塩酸塩(1.0g、4.9mmol)および4−オキソテトラヒドロチオフェン−3−カルボニトリル(TCIアメリカ(TCI America)から購入)(622mg、4.9mmol)のエタノール(30mL)中混合物を終夜還流した。溶媒除去後、得られた残留物をNaCO(飽和)で塩基性とし、酢酸エチルで抽出した(2回)。溶媒を除去し、残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いてクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(1.19g、85%)。MS(DCI/NH)m/z286(M)、288(M+2)
【0084】
実施例6B
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−2−メチル−ニコチンアミド
実施例3Aに代えて実施例6Aからの生成物を用いた以外は、実施例5Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z405(M)、407(M+2)
【0085】
実施例6C
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例6Bからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z391(M)、393(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.41(s、3H)3.54(s、2H)3.76(s、2H)4.25(d、J=5.83Hz、2H)6.04(t、J=6.14Hz、1H)7.19(dd、J=7.36、4.60Hz、1H)7.51(d、J=3.99Hz、1H)7.52(s、1H)7.56(d、J=8.59Hz、1H)7.79(dd、J=6.44、2.76Hz、1H)8.30(dd、J=4.91、1.23Hz、1H)。
【0086】
(実施例7)
5−ベンジルアミノ−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
実施例7A
5−ブロモ−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
実施例1Aからの生成物(4.5g、17.8mmol)の還流CHBr(20mL)溶液に、亜硝酸t−ブチル(6mL)を滴下した。混合物を87℃で1時間加熱し、溶媒を減圧下に除去し、得られた残留物を、CHClで溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(3.37g、60%)。MS(DCI/NH)m/z316(M−1)、318(M+1)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm7.65(t、J=8.29Hz、1H)7.77(dd、J=7.98、1.23Hz、1H)7.98(dd、J=7.98、1.23Hz、1H)8.51(s、1H)。
【0087】
実施例7B
5−ベンジルアミノ−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
実施例7Aからの生成物(50mg、0.16mmol)およびベンジルアミン(500μL)の混合物を、150℃で終夜加熱した。混合物を冷却して室温とし、流量40mL/分で10%:85%:5%(アセトニトリル:HO:酢酸アンモニウム)から95%:4%:1%(アセトニトリル:HO:酢酸アンモニウム)の勾配を用いるウォーターズ(Waters)シンメトリー(Symmetry)C18カラム(40mm×100mm、粒径7μm)での分取高速液体クロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(5.6mg、10%)。MS(DCI/NH)m/z343(M)、345(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.54(s、3H)4.52(d、J=6.75Hz、2H)7.30(m、6H)7.55(s、1H)7.57(d、J=1.53Hz、1H)7.83(s、1H)7.87(dd、J=5.52、3.99Hz、1H)。
【0088】
(実施例8)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミン
実施例8A
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−2−メチル−ベンズアミド
実施例1Bに代えて実施例6Aからの生成物を用いた以外は、実施例1Cに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z404(M)、406(M+2)
【0089】
実施例8B
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミン
実施例1Cからの生成物に代えて実施例8Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z390(M)、392(M+2)H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm2.23(s、3H)3.53(s、2H)3.75(s、2H)4.22(d、J=6.10Hz、2H)5.98(t、J=5.80Hz、1H)7.14(m、3H)7.24(d、J=6.71Hz、1H)7.50(s、1H)7.52(s、1H)7.79(t、J=4.88Hz、1H)。
【0090】
(実施例9)
1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
ベンジルアミンに代えてC−ピリジン−3−イル−メチルアミンを用いた以外は、実施例7Bに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z344(M)、346(M+2)H NMR(500MHz、DMSO−d)δppm4.56(t、J=5.49Hz、2H)7.37(d、J=4.88Hz、1H)7.39(d、J=4.58Hz、1H)7.58(d、J=8.85Hz、1H)7.59(d、J=3.36Hz、10H)7.69(dt、J=7.93、1.83Hz、1H)7.85(s、1H)7.89(dd、J=7.63、2.14Hz、1H)8.47(dd、J=4.58、1.53Hz、1H)8.52(d、J=1.83Hz、1H)。
【0091】
(実施例10)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例10A
2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール−3−イルアミン
4−オキソテトラヒドロチオフェン−3−カルボニトリルに代えて2−オキソ−シクロヘキサンカルボニトリル(マトリクス・サイエンティフィック(Matrix Scientific)から購入)を用いた以外は、実施例6Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。(DCI/NH)m/z282(M)、284(M+2)
【0092】
実施例10B
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール−3−イル]−2−メチル−ニコチンアミド
実施例3Aに代えて実施例10Aからの生成物を用いた以外は、実施例5Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z401(M)、403(M+2)
【0093】
実施例10C
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例10Bからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z387(M)、389(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm1.57(m、2H)1.65(m、2H)2.31(t、J=6.14Hz、2H)2.32(s、3H)2.45(t、J=6.14Hz、2H)4.14(d、J=6.44Hz、2H)5.40(t、J=6.44Hz、1H)7.14(dd、J=7.67、4.91Hz、1H)7.37(dd、J=7.98、1.53Hz、1H)7.43(t、J=7.98Hz、1H)7.51(d、J=7.36Hz、1H)7.71(dd、J=7.98、1.84Hz、1H)8.26(dd、J=4.60、1.53Hz、1H)。
【0094】
(実施例11)
1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−5−[(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
ベンジルアミンに代えてC−(2−メチル−ピリジン−3−イル)−メチルアミンを用いた以外は、実施例7Bに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z358(M)、360(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.43(s、3H)4.51(d、J=6.14Hz、2H)7.20(dd、J=7.67、4.60Hz、1H)7.33(t、J=6.14Hz、1H)7.54(d、J=8.90Hz、1H)7.58(t、J=7.98Hz、1H)7.64(dd、J=7.98、1.53Hz、1H)7.84(m、1H)7.88(dd、J=7.98、1.53Hz、1H)8.32(dd、J=4.60、1.23Hz、1H)。
【0095】
(実施例12)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例12A
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル)−2−フェノキシ−ニコチンアミド
2−フェノキシニコチン酸(Lancaster Synthesis)(512mg、2.38mmol)のCHCl(20mL)溶液を、オキサリルクロライド(250μL)で処理した。混合物に、N,N−ジメチルホルムアミド2滴を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去し、得られた残留物を実施例6Aからの生成物(300mg、1.05mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(50mg)およびトリエチルアミン(2mL)のテトラヒドロフラン(30mL)中混合物に加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。溶媒を除去し、残留物をヘキサン/酢酸エチル(2:1)で溶離を行うシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、標題化合物を得た(220mg、43%)。MS(DCI/NH)m/z483(M)、485(M+2)
【0096】
実施例12B
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル)−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例12Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。粗取得物を、流量70mL/分で10%から100%アセトニトリル:0.1%TFA水溶液の勾配を用いるウォーターズ・シンメトリーC8カラム(40mm×100mm、粒径7μm)での分取HPLCによって精製して、標題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。MS(DCI/NH)m/z469(M)、471(M+2)H NMR(400MHz、CDOD)δppm3.76(s、2H)3.84(s、2H)4.45(s、2H)7.02(m、2H)7.10(dd、J=7.36、5.22Hz、1H)7.19(t、J=7.36Hz、1H)7.38(m、2H)7.46(m、2H)7.72(t、J=5.22Hz、1H)7.78(d、J=7.36Hz、1H)7.97(d、J=4.91Hz、1H)。
【0097】
(実施例13)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例13A
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−2−フェノキシ−ニコチンアミド
実施例6Aに代えて実施例3Aからの生成物を用いた以外は、実施例12Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z465(M)、467(M+2)
【0098】
実施例13B
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例13Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。粗取得物を、流量70mL/分で10%から100%アセトニトリル:0.1%TFA水溶液の勾配を用いるウォーターズ・シンメトリーC8カラム(40mm×100mm、粒径7μm)での分取HPLCによって精製して、標題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。MS(DCI/NH)m/z451(M)、453(M+2)H NMR(400MHz、DMSO−d)δppm2.20(qt、J=7.06Hz、2H)2.37(t、J=7.36、6.75Hz、2H)2.49(t、J=7.98Hz、2H)4.34(brs、2H)5.95(brs、1H)7.07(m、2H)7.11(dd、J=7.36、4.91Hz、1H)7.20(tt、J=7.36、0.92Hz、1H)7.40(m、2H)7.50(d、J=2.15Hz、1H)7.51(s、1H)7.73(dd、J=7.36、1.53Hz、1H)7.78(dd、J=5.83、3.68Hz、1H)7.98(dd、J=4.91、1.84Hz、1H)。
【0099】
(実施例14)
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ベンジル)−アミン
実施例14A
N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−2−フェノキシ−ベンズアミド
実施例6Aに代えて実施例3Aからの生成物を用い、2−フェノキシニコチン酸に代えて2−フェノキシ安息香酸(アルドリッチ)を用いた以外は、実施例12Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z464(M)、466(M+2)
【0100】
実施例14B
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ベンジル)−アミン
実施例1Cに代えて実施例14Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z450(M)、452(M+2)H NMR(500MHz、CDOD)δppm2.28(qt、J=7.63、7.02Hz、2H)2.47(t、J=7.63、6.41Hz、2H)2.55(t、J=7.63、6.71Hz、2H)4.33(s、2H)6.84(m、3H)7.07(t、J=7.63Hz、1H)7.10(t、J=7.32Hz、1H)7.22(td、J=7.93、1.53Hz、1H)7.31(m、2H)7.34(dd、J=7.93、1.53Hz、1H)7.39(m、2H)7.66(dd、J=7.93、1.53Hz、1H)。
【0101】
(実施例15)
[2−(3−クロロ−フェノキシ)ピリジン−3−イルメチル]−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−アミン
実施例15A
2−(3−クロロ−フェノキシ)−N−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−ニコチンアミド
実施例6Aに代えて実施例3Aからの生成物を用い、2−フェノキシニコチン酸に代えて2−(3−クロロ−フェノキシ)−ニコチン酸(フジワラらの報告(Fujiwara, Hidetoshi; Okabayashi, Ichizo; Chem. Pharm. Bull., 1993, 41, 1163)に記載の手順を用いて製造)を用いた以外は、実施例12Aに記載の手順を用いて標題化合物を製造した。MS(DCI/NH)m/z500(M)、502(M+2)
【0102】
実施例15B
[2−(3−クロロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルメチル]−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−アミン
実施例1Cに代えて実施例15Aからの生成物を用いた以外は、実施例2に記載の手順を用いて標題化合物を製造した。粗取得物を、流量70mL/分で10%から100%アセトニトリル:0.1%TFA水溶液の勾配を用いるウォーターズ・シンメトリーC8カラム(40mm×100mm、粒径7μm)での分取HPLCによって精製して、標題化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。MS(DCI/NH)m/z486(M)、488(M+2)H NMR(500MHz、CDOD)δppm2.32(qt、J=7.32Hz、2H)2.51(m、2H)2.59(t、J=7.32Hz、2H)4.42(s、2H)6.98(dd、J=8.24、1.53Hz、1H)7.06(t、J=1.83Hz、1H)7.12(dd、J=7.32、4.88Hz、1H)7.21(dd、J=7.93、1.83Hz、1H)7.37(t、J=8.24Hz、1H)7.43(m、2H)7.69(dd、J=7.32、2.44Hz、1H)7.79(d、J=7.32Hz、1H)7.99(dd、J=4.88、1.83Hz、1H)。
【0103】
(e)生物データ
イン・ビトロアッセイ
組織培養:THP−1単球細胞系の細胞(American Type Culture Collection, Rockville, MD)を、確立された手順(Humphrey and Dubyak, J. Immunol. Vol. 275, pages 26792-26798, 1996)に従って高グルコースおよび10%ウシ胎仔血清(BRL, Grand Island, NY)を含むRPMI培地中で対数相の増殖に維持した。8週間ごとに、凍結THP−1細胞の新鮮なバイアルで増殖を開始した。THP−1細胞をマクロファージ表現型に分化させるために、最終濃度25ng/mLのLPSおよび10ng/mLのIFNγを、IL−1β放出アッセイの場合は3時間にわたり、あるいはポア形成試験の場合は終夜(16時間)にわたり、細胞に加えた(Humphrey and Dubyak, 1996)。組換えヒトP2X受容体を安定に発現する1321N1細胞を、既報のプロトコール(Bianchi, et al, Eur. J. Pharmacol. Vol. 376, pages 127-138, 1999;Lynch et al, Mol. Pharmacol. Vol. 56. pages 1171-1181, 1999)に従って増殖させ、使用した。ポア形成アッセイおよびIL−1β放出アッセイの両方において、細胞密度および生存率を粗く評価してから、トリパン色素除外による各実験を行ったところ、細胞は分化後に>90%生存であることが認められた。
【0104】
P2X介在ポア形成
P2X受容体の活性化は、非特異的ポア形成を誘発し、最終的に細胞溶解を誘発する(Verhoef et al, The Journal of Immunology, Vol. 170, pages 5728-5738, 2003)。従って、本発明の拮抗薬の阻害活性は、蛍光色素YO−PRO(MW=629)および蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices, Sunnydale, CA)を用いて、その薬剤が作働薬誘発ポア形成を阻害する能力によって求めることができる。YO−PRO色素添加に先立って、ポア形成を阻害することが明らかになっている(Michel et al., N-S Arch Pharmacol 359:102-109, 1999)Mg2+およびCa2+イオンを含まないPBSで細胞を1回洗う。YO−PROヨージド色素(1mM DMSO溶液)を、リン酸緩衝生理食塩水(Mg2+およびCa2+を含まないPBS)で2μMの最終濃度まで希釈し、細胞に乗せてから、作働薬であるBzATPを加える。THP−1細胞は非接着性細胞系であることから、細胞をPBSで洗浄し、円錐管中で色素を加えてから、光散乱を低減するのに用いられるポリリジンを被覆した黒色壁96ウェルプレート上に細胞をスピン塗布する。作働薬であるBzATP(50μM、作働薬活性化についてのEC70値)を加えた後、アルゴンレーザ(波長=488nm)およびCCDカメラを搭載したFLIPR装置で、YO−PRO色素取り込みを観察する。作働薬曝露の最初の10分間は15秒ごとにCCDカメラによって蛍光強度を捕捉し、その後、それからの50分間については20秒ごとに、インターフェース接続されたPCにデータをデジタル転送する。カメラの露光設定は、Fストップ設定2で0.25秒である。拮抗薬の10mM DMSO溶液を、YO−PRO色素を含む緩衝溶液で順次希釈することで、拮抗薬化合物の溶液を調製する。拮抗薬化合物について、0.003〜100μMの濃度範囲にわたって活性を調べる。被験化合物を、室温にてTHP−1細胞とともに10分間温置し、その後に細胞をBzATPで刺激し、拮抗薬の非存在下で上記の方法に従って蛍光を測定する。拮抗薬活性測定の場合は、最大強度パーセントを50μM BzATPによって誘発されるものに正規化し、各化合物濃度に対してプロットして、IC50値を計算し、プレート間の変動性を確認する。
【0105】
IL−1β放出:THP−1細胞を、細胞1×10個/ウェル/mLの密度で24ウェルプレートで平板培養する。実験当日、細胞を、25ng/mLのLPSおよび10ng/mLの最終濃度のγIFNとともに37℃で3時間分化させる。拮抗薬の10mM DMSO溶液をPBS溶液で連続希釈することで、拮抗薬化合物の溶液を調製する。分化培地の存在下に、細胞を本発明の拮抗薬とともに37℃で30分間温置し、次に37℃でさらに30分間にわたり1mM BzATPで処理する。微量遠心管中で5分間遠心した後に、サンプルの上清を回収して、細胞および残屑をペレット化し、製造者の説明に従ってR&Dシステムズ(R&D Systems)のヒトIL−1β ELISAアッセイまたはエンドゲン(Endogen)のヒトIL−1β ELISAを用いて、上清中に放出された成熟IL−1βを調べる。被験化合物の各濃度での最大IL−1β放出を、BzATP単独によって誘発されるものに正規化して、被験化合物の活性を求める。拮抗薬の効力を、IL−1β放出における50%低下またはIC50を生じる濃度として表す。
【0106】
上記イン・ビトロアッセイを用いて、P2X拮抗薬としての本発明の化合物の活性を示すことができる。
【0107】
イン・ビボアッセイ
抗侵害受容効果の測定
動物の取り扱いおよび実験プロトコールは、アボット・ラボラトリーズの社内動物ケア・使用委員会(IACUC)によって承認を受けた。いずれの外科手術においても、動物はハロタン麻酔下に維持し(導入に4%、維持に2%)、切開部位は、手術前および手術後に10%ポビドン−ヨウ素溶液を用いて滅菌した。
【0108】
CFAモデル:拮抗薬が炎症性痛覚過敏を低減する能力を、完全フロインドアジュバント(CFA)モデルを用いて評価することができる。これらの実験では、動物に対してCFAの足底注射を行ってから、48時間後にP2X拮抗薬を投与する。拮抗薬投与から30分後に、足引き込みの待ち時間の観察および対側足の応答との比較によって、温熱性痛覚過敏の阻害を測定する。
【0109】
チュン(Chung)モデル:ラットでのL5/L6脊髄神経強(tight)結紮(チュン)モデルを用いて、神経因性疼痛の軽減における効力を評価することができる。これらの実験では、脊髄神経結紮を行ってから7〜14日後にアッセイを行う。拮抗薬の投与から30分後に、フォン・フライ・ヘアを用いることで接触性アロディニアを誘発する。足引き込み閾値の測定および対側足との比較によって、接触性アロディニアの軽減を測定する(Jarvis et al., Proc. Natl. Acad. USA Vol. 99, pages 17179-17184, 2002)。
【0110】
ザイモサン法:マウスに対して、実験化合物を経口または皮下で投与してから、30分後にザイモサンを注射する。次に、生理食塩水に懸濁させた2mg/動物のザイモサンを、マウスに腹腔内注射する。4時間後、動物をCO吸入によって屠殺し、10単位のヘパリン/mLを含む氷冷リン酸緩衝生理食塩水1.5mLで腹腔を2回洗浄する。IL−1β測定の場合、サンプルを冷蔵した微量遠心管(4℃)で10000×gで遠心し、上清を除去し、ELISA(酵素結合免疫測定法)を行うまで冷凍する。ELISAは、製造者の説明に従って実施する。IL−1βは、媒体対照との比較で測定する(Perretti M. et al., Agents Actions Vol 35(1-2) pages 71-78 (1992);Torek K, et al., Inflamm Res. Vol 44(6) pages 248-252 (1995))。
【0111】
上記のイン・ビボアッセイを用いて、慢性炎症性疼痛、神経因性疼痛および炎症を改善する上での本発明の化合物の活性を示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)を有する化合物または製薬上許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせ。
【化1】

[式中、
は、水素または−CNであり、Rは水素であり;または
およびRはこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6または7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、この環の炭素原子のうちの一つはS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;前記環は、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−C(O)アルキルおよび−S(O)アルキルからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていても良く;
は、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、アルキル、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、水素、アルキル、ハロゲン、−CN、ハロアルキル、アルコキシまたはハロアルコキシであり;
は、−N(H)−Wまたは−N(H)−C(R)(H)−Wであり;
は、水素、アルキルまたはハロアルキルであり;
Wは、
【化2】

であり;
Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であり、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;
Bは、フェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、これらは、ハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;
qは0または1であり;
はXまたは−L−Xであり;
はフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり、各Wはフェニル、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキルおよびシクロアルケニルからなる群から選択される単環式の5もしくは6員環と縮合していても良く;Wによって表される各環は独立に、未置換であるか、1、2もしくは3個のRで置換されているか、0、1もしくは2個のRおよびXおよび−L−Xからなる群から選択される1個の置換基で置換されており;
Lは各場合で独立に、O、N(H)、N(アルキル)、S、S(O)、S(O)、S(O)N(H)、SON(アルキル)、N(H)S(O)、N(アルキル)S(O)、CON(H)、CON(アルキル)、N(H)COまたはN(アルキル)CO)であり;
Xは各場合で独立に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環であり;これらはそれぞれ独立に、未置換であるか1、2もしくは3個のRで置換されており;
は各場合で独立に、アルキル、アルケニル、CN、NO、ハロ、=O、−OR、−SR、−S(O)R、−S(O)、−S(O)N(R)(R)、−N(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、ハロアルキル、−アルキル−OR、−アルキル−SR、−アルキル−S(O)R、−アルキル−S(O)、−アルキル−S(O)N(R)(R)、−アルキル−N(R)(R)、−アルキル−C(O)R、−アルキル−C(O)ORまたは−アルキル−C(O)N(R)(R)であり;
は各場合で独立に、水素、アルキル、アルケニルまたはハロアルキルであり;
は各場合で独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルである。]
【請求項2】
が水素または−CNであり;
が水素であり;
が−N(H)−C(R)(H)−Wである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素であり;
が、独立に未置換であるか、1、2もしくは3個のRで置換されているか、0、1もしくは2個のRおよびXおよび−L−Xからなる群から選択される1個の置換基で置換されているフェニルまたは単環式ヘテロアリールである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素であり;
が置換フェニルであり;
およびRがハロゲンであり;
が水素であり;
がアルキルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミンである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が−CNであり;
が未置換フェニルであり;
およびRがハロゲンであり;
が水素である請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
5−ベンジルアミノ−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が−CNであり;
およびRがハロゲンであり;
が水素であり;
が未置換単環式ヘテロアリールである請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルである請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が−CNであり;
およびRがハロゲンであり;
が置換単環式ヘテロアリールであり;
がアルキルである請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−5−[(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
およびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6または7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、前記環の炭素原子のうちの1個がS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;前記環がアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−C(O)アルキルおよび−S(O)アルキルからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていても良く;Rが−N(H)−C(R)(H)−Wである請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
およびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって、5炭素単環式飽和環を形成しており;
が水素であり;
がハロゲンであり;
がハロゲンであり;
がフェニルまたは単環式ヘテロアリールである請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が置換フェニルであり;
がアルキルである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミンである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
がL−Xで置換されたフェニルであり、LがOであり、Xがアリールである請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
アリールがフェニルである請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ベンジル)−アミンである請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が未置換単環式ヘテロアリールである請求項13に記載の化合物。
【請求項20】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−ピリジン−3−イルメチル−アミンである請求項10に記載の化合物。
【請求項21】
が置換単環式ヘテロアリールであり;
がアルキルである請求項13に記載の化合物。
【請求項22】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミンである請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
がL−Xで置換された単環式ヘテロアリールであり、LがOであり、Xがアリールである請求項13に記載の化合物。
【請求項24】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミン;および
[2−(3−クロロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イルメチル]−[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタピラゾール−3−イル]−アミン
からなる群から選択される請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
およびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって、5炭素単環式飽和環を形成しており、前記環の炭素原子のうちの1個がS、SOまたはSOによって置き換わっている請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
がハロゲンであり;
がハロゲンであり;
が−N(H)−C(R)(H)−Wであり;
が水素であり;
がフェニルまたは単環式ヘテロアリールである請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がRで置換されたフェニルであり、Rがアルキルである請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ベンジル)−アミンである請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
がRで置換された単環式ヘテロアリールであり、Rがアルキルである請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミンである請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
がL−Xで置換された単環式ヘテロアリールであり、LがOであり、Xがアリールである請求項26に記載の化合物。
【請求項32】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2,6−ジヒドロ−4H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−イル]−(2−フェノキシ−ピリジン−3−イルメチル)−アミンである請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
およびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって6炭素単環式飽和環を形成しており;
がハロゲンであり;
がハロゲンであり;
が−N(H)−C(R)(H)−Wであり;
が水素であり;
がフェニルまたは単環式ヘテロアリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
がRで置換された単環式ヘテロアリールであり、Rがアルキルである請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
[2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−2H−インダゾール−3−イル]−(2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−アミンである請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
が水素または−CNであり;
が水素であり;
が−N(H)−Wであり、
Wが、
【化3】

であり;
Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であり、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;Bはハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良いフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり;qは0または1であり;RはXまたは−L−Xである請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
およびRがこれらが結合している炭素原子と一体となって、5、6または7個の炭素原子からなる単環式飽和環を形成しており、前記環の炭素原子のうちの1個がS、N、NH、O、SOおよびSOからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっていても良く;
が−N(H)−Wであり、
Wが、
【化4】

であり;
Aは、シクロアルキルおよび複素環からなる群から選択される5もしくは6員の単環式環であり、アルキル、ハロおよびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良く;Bは、ハロ、アルキル、−CN、−OR、−SR、−N(R)(R)およびハロアルキルからなる群から選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていても良いフェニルまたは単環式ヘテロアリールであり;qは0または1であり;RはXまたは−L−Xである請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物または治療上許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせならびに製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の式(I)の化合物または治療上許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせならびに製薬上許容される担体を投与する段階を有する、疼痛、神経因性疼痛、慢性炎症性疼痛、炎症、関節リウマチ、抑鬱およびアルツハイマー病、パーキンソン病、抑鬱、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レヴィー小体認知症、多発性硬化症など(これらに限定されるものではない。)のいくつかの進行性CNS障害関連の神経変性状態ならびに外傷性脳損傷から生じるCNS機能低下からなる群から選択される状態または障害の治療または予防方法。
【請求項40】
前記障害が、慢性炎症性疼痛または神経因性疼痛である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記障害が関節リウマチである請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記障害が、アルツハイマー病、パーキンソン病、抑鬱、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、レヴィー小体認知症、多発性硬化症など(これらに限定されるものではない。)のCNS障害関連の神経変性状態ならびに外傷性脳損傷から生じるCNS機能低下である請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記障害が抑鬱である請求項39に記載の方法。
【請求項44】
治療上有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物または治療上許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組み合わせを、処置を必要とする患者に投与する段階を有する、P2X活性の阻害方法。
【請求項45】
P2X受容体活性を阻害することで改善され得る疾患または状態の治療または予防のための医薬の製造で使用される請求項1に記載の式(I)の化合物。

【公表番号】特表2009−514952(P2009−514952A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540080(P2008−540080)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/042867
【国際公開番号】WO2007/056091
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】