説明

P2Y12拮抗薬としてのピロール誘導体

本発明は式Iの化合物に関し、
式中、R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7;R8;R9;R10;R11;R12;R13;A;B;DおよびEは、特許請求の範囲に示した意味を有する。式Iの化合物は、価値のある薬理活性化合物である。これらは、血小板に対して強力な抗凝集効果を示し、そのため、抗血栓効果があり、例えば、血栓塞栓症または再狭窄のような心臓血管障害の治療および予防に適している。これらは、血小板ADP受容体P2Y12の可逆的拮抗薬であり、一般的には血小板ADP受容体P2Y12の望ましくない活性化が存在する病態に、または血小板ADP受容体P2Y12の阻害が意図される治療または予防に適用することができる。本発明はさらに式Iの化合物の製造方法、それらの使用(特に薬剤中で活性成分として)、およびそれらを含有する薬学的製剤に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I
【化1】

(式中、R1;R2;R3;R4;R5;R6;R7;R8;R9;R10;R11;R12;R13;A;B;DおよびEは、以下に示す意味を有する)の化合物に関する。この式Iの化合物は、価値ある薬理活性化合物である。これらは、血小板に対して強力な抗凝集効果を示し、そのため、抗血栓効果があり、例えば、血栓塞栓症または再狭窄のような心臓血管障害の治療および予防に適している。これらは、血小板ADP受容体P2Y12の可逆的拮抗薬であり、一般的には血小板ADP受容体P2Y12の望ましくない活性化が存在する状態に、または血小板ADP受容体P2Y12の阻害が意図される治療または予防に適用することができる。本発明はさらに式Iの化合物の製造方法、それらの使用(特に薬剤中で活性成分として)、およびそれらを含有する薬学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
工業世界において、血栓性合併症は、死の主要な原因のうちの一つである。病的な血栓形成に関連する状態の例としては、深部静脈血栓、静脈および動脈の血栓塞栓症、血栓静脈炎、冠状動脈および大脳動脈の血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症および肺塞栓症、汎発性血管内凝固症候群、一過性脳虚血発作、脳卒中、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、末梢血管疾患(peripheral vascular disease)、子癇前症/子癇、ならびに特発性血小板減少性紫斑病(thrombotic cytopenic purpura)が挙げられる。血管内デバイスおよび補綴(endovascular devices and protheses)の挿入、頸動脈血管内膜切除術、血管形成術、CABG(冠動脈大動脈バイパス移植術)手術、血管移植手術(vascular graft surgery)、ならびにステント留置(stent placements)を含む侵襲性の手技の間またはその後にもまた、血栓および再狭窄の合併症を発症する可能性がある。
【0003】
血小板粘着および血小板凝集はこれらの血管内の血栓事象において重要な役割を果たす。血小板は、循環細胞および血管の内膜の損傷した内皮細胞から放出されるメディエーターによって、またはコラーゲンのような露出した内皮細胞下マトリックス分子によって、または凝固カスケードで形成されるトロンビンによって活性化され得る。さらに、血小板は罹患した血管中の高ずり血流(high shear blood flow)の条件下で活性化され得る。通常脈管構造および他の細胞中を自由に循環している血小板は、活性化後、血管の損傷部位に蓄積して血栓を形成し、さらに多くの血小板を動員して血栓を成長させる。このプロセスの間に血栓形成は十分な大きさに成長し、部分的にまたは完全に動脈血管を閉塞させる。
【0004】
静脈において、血栓は静止もしくは遅い血流の部分においても生じ得る。これらの静脈血栓は、それら自身の一部が容易に剥離するため循環系を移動する栓子を作出する場合がある。これらの移動栓子は肺動脈や冠状動脈などの他の血管を閉塞し、それによって肺塞栓や冠状動脈塞栓のような上述の病的結果をもたらす場合がある。
【0005】
要約すると、静脈血栓については血管の塞栓形成または遠隔遮断(distant blockade)後に罹病率および死亡率が一時的に上昇するのに対し、動脈血栓は局所的な遮断によって重篤な病的状態を引き起こす。
【0006】
ADP(アデノシン5’−ジホスフェート)が血小板の活性化および凝集の重要なメディエーターであることは、多くの研究によって実証された。従ってADPは、動脈血栓形成の開始および進行において重要な役割を果たす(非特許文献1;非特許文献2)。
【0007】
種々の作用物質(例えばコラーゲンやトロンビン)によって活性化されると、ADPは血管中の血小板から、及び損傷した血球、内皮または組織から放出される。ADP誘発血小板凝集は、ヒト血小板の原形質膜に発現した2つの特異的Gタンパク質供役受容体(P2Y1、およびP2Y12)への結合が引き金となる。これらの受容体に結合するADPは、アデニリルシクラーゼの阻害、および細胞内シグナル伝達経路の変調、例えば細胞内Ca+2の流入および動員、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)の活性化、形状変化、他のメディエーターの分泌並びに血小板凝集を誘発する(非特許文献3)。ADPによる活性化は、さらに多くの血小板の動員および既存の血小板凝集物の安定化をもたらす。P2Y1受容体の活性化は、細胞内ストアからのカルシウム動員、血小板形状変化および凝集の開始につながる。
【0008】
ADPによるP2Y12受容体(HORK3、P2RY12、SP1999、P2TAC、またはP2YACともよばれる)の活性化は、アデニリルシクラーゼの阻害およびPI3Kの活性化をもたらす。P2Y12の活性化は、血小板分泌および血小板凝集物の安定化のために必要である(非特許文献4;非特許文献5)。
【0009】
抗血栓活性を示す、ADP依存性血小板凝集の合成阻害薬を直接的もしくは間接的に作用させることに関する報告はいくつか存在する。
【0010】
経口投与で有効なチエノピリジン類、チクロピジンおよびクロピドグレルは、P2Y12受容体と共有結合的に反応し、インビボで不可逆的な血小板阻害をもたらす。これらはまた、放射標識されたADP受容体拮抗薬である2−メチルチオアデノシン5’−ジホスフェートの血小板への結合および他のADP依存性事象を阻害する(非特許文献6)。
【0011】
特許文献1および特許文献2は、血小板ADP受容体の阻害を介して抗血栓剤として有用なキノリン誘導体を開示している。特許文献3および特許文献4は、P2Y12阻害薬としてのキノリン誘導体および4−キノリン−3−カルボキサミド誘導体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2002/098856(Bryantら)
【特許文献2】WO2004/052366(Bryantら)
【特許文献3】Watanukiら WO2005/009971
【特許文献4】Kogaら WO2006/077851
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Maffrandら、Thromb.Haemostas.(1988);59:225−230
【非特許文献2】Herbertら、Arterioscl.Thromb.(1993)、13:1171−1179
【非特許文献3】Dangelmaierら Thromb.Haemost.(2001)、85:341−348
【非特許文献4】Gachet、Thromb.Haemost.(2001)、86、222−232
【非特許文献5】Andreら、J.Clin.Invest.、(2003)、112、398−406
【非特許文献6】Saviら、Thromb Haemost.(2000)、84:891−896
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、血小板ADP受容体上で内因性ADPの作用に拮抗する有効なP2Y12拮抗薬に加え、このような拮抗薬がさらなる有利な特性、例えば血漿および肝臓内での安定性、および目的としていない作動性もしくは拮抗性の他の受容体に対する選択性を有することが望ましい。有効でかつ上記の利点をさらに備える、さらなる低分子P2Y12拮抗薬が現在も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、より良いP2Y12拮抗活性を示し、高い生物学的利用能を有する良好な薬剤である式Iの新規化合物を提供することにより上記の必要性を満たす。
【0016】
従って、本発明は、全ての立体異性体の形態、および任意の比率のそれらの混合物の式Iの化合物
【化2】

[式中、
R1は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
4)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
5)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、単環式または二環式であり、3〜15個の環炭素原子を含み、ここで該環炭素原子のうち1つまたはそれ以上が窒素、硫黄または酸素から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子によって置換されており、またここで該ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−CF3、または
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16、
4)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
5)−(C3−C8)−シクロアルキル−C(O)−O−R16、または
6)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル(ここで、アルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合している原子と一緒になって5員、6員または7員の炭素環(ここで、該炭素環は、芳香族であって部分的に不飽和であるかまたは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つは、窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子によって置換されている炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるか、もしくはR15で1、2、3もしくは4回置換されており、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)=O、または
4)−OH、から選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CN、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C8)−アルキル、−C(O)NH2または−NH2であり、
R16は、水素原子、−(C1−C8)−アルキルもしくは−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキルであり、
R17は、水素原子もしくは−(C1−C8)−アルキルであるか、または
R17とR16は、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで、該炭素環は、不飽和であるかもしくは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つが窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子で置換されいる炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるか、もしくはR15で1、2、3もしくは4回置換されている]
およびこれらの生理学的に許容される塩に関する。
【0017】
2)本発明はまた、全ての立体異性体の形態および任意の比率のそれらの混合物の式Iの化合物、およびこれらの生理学的に許容可能な塩に関し、
式中、
R1は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル(cyloheptyl)またはシクロオクチルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、インダニル、アントリルまたはフルオレニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
4)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、アクリジニル、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキルまたは
2)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
3)−(C1−C8)−アルキルまたは
4)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに
独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって以下:シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニル、シクロヘプタ−1,3,5−トリエニル、フェニル、1,4−ジアゼパン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、ジアジリジン、ジアジリン、ジヒドロイミダゾロン、ジオキサゾール、ジオキサジン、1,4−ジオキシン、ジオキソール、1,3−ジオキソレン、1,3−ジオキソラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、イソチアゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、1,2−オキサ−チエパン、1,2−オキサチオラン、1,4−オキサゼパン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、オキサゾロン、オキサゾール、[1,3,4]オキサチアジナン、3,3−ジオキシド、オキサジリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、オキシラン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリジノン、ピリミジン、ピリミジン−2,4−ジオン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、チアジアジン、チアジアゾール、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,3−チアゾール、チアゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアゾリン、チエニル、チエタン、チオモルホリン、1,1−ジオキシド チオピラン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾール、もしくは1,2,4−トリアゾールから選択される5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで該炭素環は、非置換であるかまたはR15で1、2、3もしくは4回置換されている)を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキルまたは
3)−OHから選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R16は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルであり、
R17は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルである。
【0018】
3)本発明はまた、全ての立体異性体の形態、および任意の比率のそれらの混合物の式Iの化合物、およびそれらの生理学的に許容可能な塩に関し、
式中、
R1は、1)−(C1−C4)−アルキル、
2)−(C0−C2)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択される)、
3)−(C0−C2)−アルキレン−フェニル、または
4)−(C0−C2)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、フラニル、ピリジルまたはテトラヒドロピラニルから選択される)であり、
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−、または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、水素原子、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−、または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、または
2)−(C1−C4)−アルキル、から選択され、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである。
【0019】
4)本発明はまた、全ての立体異性体の形態および任意の比率のそれらの混合物の式Iの化合物、およびそれらの生理学的に許容可能な塩に関し、
式中、
R1は、−フェニルであり、
Eは、共有結合であり、
R2は、水素原子であり、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子であり、
Bは、窒素原子であり、
Dは、共有結合であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、それぞれ水素原子であり、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである。
【0020】
本明細書で使用される「アルキル」なる用語は、線状、例えば、直鎖状、または分枝鎖状であってよい炭化水素基である。「−(C1−C8)−アルキル」または「−(C1−C8)−アルキレン」は1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有するアルキル基であり、その例はメチル、メチレン、エチル、エチレン、プロピル、プロピレン、ブチル、ブチレン、ペンチル、ペンチレン、ヘキシル、へキシレン、ヘプチルまたはオクチル、すべてのこれらの基のn−異性体、イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、sec−ブチル、t−ブチルまたはt−ペンチルである。「−(C0−C8)−アルキル」または「−(C0−C8)−アルキレン」なる用語は1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含有する炭化水素基である。「−C0−アルキル」または「−C0−アルキレン」なる用語は共有結合を意味する。
【0021】
「−(C2−C6)−アルケニレン」なる用語は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子および1または2個の二重結合を含むアルキル基を意味し、例えば、ビニレン(エテニレン(−CH=CH−))、1−プロペニレン、2−プロペニレン(=アリル)、2−ブテニレン、3−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、5−ヘキセニレンまたは1,3−ペンタジエニレンである。
【0022】
「−(C3−C8)−シクロアルキル環状アルキル」なる用語はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルのような3、4、5、6、7または8個の環炭素原子を含有するシクロアルキル基を意味する。
【0023】
「6−〜14−員のアリール」または「−(C6−C14)−アリール」なる用語は環に6〜14個の炭素原子を含有する単環式または二環式の芳香族炭化水素基を意味する。例としては、フェニル、ナフチル(例えば1−ナフチルおよび2−ナフチル)、ビフェニリル(例えば2−ビフェニリル、3−ビフェニリルおよび4−ビフェニリル)、インダニル、アントリルまたはフルオレニルである。ビフェニリル基、ナフチル基、特にフェニル基が好ましいアリール基である。
【0024】
「単環式または二環式の3〜15員環ヘテロシクリル」または「−(C3−C15)−ヘテロシクリル」なる用語は3〜15個の環炭素原子のうち1個またはそれ以上が窒素、酸素または硫黄のようなヘテロ原子により置換される複素環を意味する。その例としては、アクリジニル、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルがある。
【0025】
用語「=O」は、カルボニル(−C(O)−)またはニトロソ(−N=O)のような基を意味する。
【0026】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素または沃素、好ましくはフッ素、塩素または臭素、特に好ましくは塩素または臭素である。
【0027】
用語「R5とR6またはR6とR7はそれらが結合している原子と一緒になって5員、6員または7員の炭素環(該炭素環は、芳香族であって部分的に不飽和であるかもしくは飽和している、または該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つは、窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子によって置換されている)」は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニル、シクロヘプタ−1,3,5−トリエニル、フェニル、1,4−ジアゼパン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、ジアジリジン、ジアジリン、ジヒドロイミダゾロン、ジオキサゾール、ジオキサジン、1,4−ジオキシン、ジオキソール、1,3−ジオキソレン、1,3−ジオキソラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリノン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、イソチアゾリン、イソキサゾール、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、モルホリン、1,2−オキサ−チエパン、1,2−オキサチオラン、1,4−オキサゼパン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、オキサゾロン、オキサゾール、[1,3,4]オキサチアジナン3,3−ジオキシド、オキサジリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、オキシラン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリジノン、ピリミジン、ピリミジン−2,4−ジオン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、チアジアジン、チアジアゾール、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,3−チアゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアゾリン、チエニル、チエタン、チオモルホリン、チオモルホリン1,1−ジオキシドチオピラン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾールまたは1,2,4−トリアゾールのような基である。
【0028】
式Iの化合物の生理学的に許容される塩は生理学的に許容しうる非毒性の塩、特に薬学的に利用できる塩である。酸性基、例えばカルボキシル基COOHを含有する式Iの化合物のこのような塩は例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、さらにテトラメチルアンモニウムまたはテトラエチルアンモニウムのような生理学的に許容される第四級アンモニウムイオンとの塩、並びにアンモニアおよび生理学的に許容される有機アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの酸付加塩である。式Iの化合物に含まれる塩基性基、例えばアミノ基またはアミジノ基は例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸のような無機酸、あるいはギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸のような有機カルボン酸およびスルホン酸と酸付加塩を形成する。本発明はまた、例えば、1つまたは2つの酸等価物を有する2つの塩基性基を含む式Iの化合物の酸付加塩を含む。
【0029】
式Iの化合物の塩は当業者に知られている慣用の方法により、例えば式Iの化合物を溶媒または希釈液中で無機または有機の酸または塩基と混合することにより、あるいは他の塩から陽イオン交換または陰イオン交換により得ることができる。本発明はまた、生理学的に認容性が低いため直接的に薬剤として使用するのに適さないが例えば式Iの化合物をさらに化学的に変更するための中間体として、または生理学的に許容される塩を製造するための出発物質として適した式Iの化合物の塩をすべて包含する。
【0030】
式Iの化合物中の酸付加塩中に存在しうる上記の酸の陰イオンはまた、それらがR3を示す1つまたはそれ以上のトリアルキルアンモニオ−置換基(すなわち、プラスに帯電した窒素原子を介して結合した式(アルキル)3+の基)のようなプラスに帯電した基を含む場合、または複素環式基中に4級化された環窒素原子を含む場合、式Iの化合物中に存在しうる陰イオンの例である。一般的には、式Iの化合物は、トリアルキルアンモニオのような常にプラスに帯電した基を1つまたはそれ以上含む場合、対イオンとして1つまたはそれ以上の生理学的に許容可能な陰イオンまたは陰イオン等価物を含む。
【0031】
式Iの化合物に存在する光学的に活性な炭素原子は互いに独立してR配置またはS配置を有しうる。式Iの化合物は純粋なエナンチオマーまたは純粋なジアステレオマーの形態、あるいはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形態、例えばラセミ化合物の形態で存在することができる。本発明は純粋なエナンチオマーおよびエナンチオマー混合物、並びに純粋なジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物に関する。本発明は2種またはそれ以上の式Iの立体異性体の混合物を包含し、またすべての比率の立体異性体の混合物を包含する。式Iの化合物がE型異性体またはZ型異性体(あるいはシス異性体またはトランス異性体)として存在することが可能な場合、本発明は純粋なE型異性体および純粋なZ型異性体、並びにすべての比率のE/Z混合物に関する。本発明はまた、式Iの化合物のすべての互変異性体を包含する。
【0032】
E/Z異性体を含むジアステレオマーは例えばクロマトグラフィーにより個々の異性体に分離することができる。ラセミ化合物は慣用の方法、例えばキラル相上のクロマトグラフィーにより、あるいは例えば光学的に活性な酸または塩基を用いて得られるジアステレオマー塩の結晶化による分割により2種のエナンチオマーに分離することができる。立体化学的に均一な式Iの化合物は立体化学的に均一な出発物質を使用することにより、または立体選択的な反応を使用することにより得ることもできる。
【0033】
本発明はまた、それにより式Iの化合物を得ることができる製造方法に関する。式Iの化合物は、一般的には逆合成的に式Iから誘導され得る2つまたはそれ以上のフラグメント(またはビルディングブロック)の結合によって製造することができる。式Iの化合物の製造において、合成段階において望ましくない反応または副反応の原因となり得る官能基を後に所望の官能基に転換される前駆体の形態で導入することは、合成方法において一般的に有利または必要であり得る。前駆基の例として、後にアミノ基に変換され得るニトロ基を挙げることができる。官能基上に存在し得る保護基(またはブロック基)としては、ヒドロキシ、カルボン酸およびアミノのための保護基として、アリル、tert−ブチル、ベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。
【0034】
特に、式Iの化合物の製造において、ビルディングブロックは、アミド結合のような1つ以上の縮合反応および/または置換反応を行うことによって(すなわち、一つのビルディングブロックのカルボン酸基と別のビルディングブロックのアミノ基との間にアミド結合を形成することによって)、または一つのビルディングブロックの脱離基の別のビルディングブロックの求核基による求核置換によって(すなわち、一つのビルディングブロックのハロゲンを別のビルディングブロックのアミノ基で置換することによって)、結合され得る。例えば、式Iの化合物は、式IIのビルディングブロックと式IIIのビルディングブロックを結合させることによって、または自体公知の形成方法によって、式IVにおいて示されるカルボン酸基G1と式Vにおいて示されるアミノ基G2との間または式IVにおいて示されるカルボン酸基G1と式Vにおいて示されるヒドロキシ基G2との間にアミド結合またはエステル結合を形成することで、式IVのビルディングブロックと式Vのビルディングブロックを結合させることによって製造され得る。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
式II、III、IVおよびVの出発化合物ならびに特定の構造単位を導入するために式Iの化合物の合成において用いられる他の化合物は、市販されているか、または市販の化合物から容易に製造され得るか、あるいは以下もしくは当業者に容易に利用可能な文献に記載された手順またはそれらの手順と同様に製造され得る、すなわち、式IIのビルディングブロックは、I.K.Khanna et al.J.Med.Chem.1997、40、1619−1633に記載される手順によって製造することができる。
【0038】
置換パターンによって、この式VIIのピロールは式VIの適切な1,4−ジケトンから合成することができる。
【化5】

【0039】
式VIの1,4−ジケトンビルディングブロックの、式IIのピロールへの変換は、標準的なパール−クノール合成方法(Paal−Knorr procedure)によってなされ得る。例えば、式VIIのピロールへの環化は、式VIの1,4−ジケトンを適切なアミノビルディングブロックR2−NH2と共に(例えば、アルコール中の(C1−C8)−アルキル−NH2)加熱するか、またはビルディングブロックVIをアンモニアと共に(例えば、アンモニウム塩の形態で)加熱することによってなされ得る。この反応は、酢酸中の酢酸アンモニウムまたは溶媒を含まない炭酸アンモニウムで行うことができる。この1,4−ジケトンは、式VIIIおよびIXの適切なビルディングブロックから出発するStetter反応条件(H.Stetter、Angew.Chem.88(1976)695)を用いて合成することができる。
【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
式IIのビルディングブロックは、式VIIのビルディングブロックとTHF中の塩化オキサリルとの反応、あるいは式VIIのビルディングブロックと塩化アセチルとのフリーデル・クラフツ型アシル化反応、その後のビルディングブロックXの酸化によって合成され得る。例えば、この酸化は、ピリジン中のSeO2または水中のKMnO4/KOHまたは酢酸エチル/水中の過酸およびRuCl3によってなされ得る。
【0043】
本発明の化合物は、血小板ADP P2Y12受容体の活性化の血小板凝集作用に拮抗する血小板ADP P2Y12受容体拮抗薬である。特に、これらはP2Y12受容体の高度に活性な拮抗薬である。これらは、活性化または阻害が望まない他の受容体の活性を実質的に阻害または促進しないことから、特異的な血小板ADP受容体拮抗薬である。式Iの化合物の活性は、例えば、以下に記載したアッセイ、または当業者に公知の他のインビトロ、エキソビボもしくはインビボアッセイで測定することが可能である。例えば、P2Y12受容体に結合する化合物の活性は、先行技術に記載される方法と同様の方法および以下に記載するアッセイによって測定することができる。P2Y12結合親和性について、本発明の好ましい実施形態は、記載されたアッセイで測定してP2Y12結合親和性がIC50<1mMである化合物を含み、この化合物は、好ましくは(同じ濃度の拮抗薬を用いて)それらの阻害または活性化が所望でない血小板凝集およびフィブリン溶解に関係している他の受容体の活性に実質的に影響を及ぼさない。血小板のADP誘導凝集を阻害する化合物の能力は、先行技術に記載されている方法と同様の方法および以下に記載する方法によって測定することができる。インビボまたはエキソビボで血栓形成を阻害するための化合物の能力は、先行技術に記載されるのと同様の方法によって測定することができる。これらのアッセイの結果は、明らかに本発明の化合物が、血小板アデノシンジホスフェート受容体の機能的拮抗薬であり、従って血小板凝集および血栓形成を阻害するのに有用であることを示している。
【0044】
血小板ADP P2Y12受容体拮抗薬である式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグは、一般的に血小板ADP P2Y12受容体の活性が一因となっているかもしくは所望でない程度を有している状態、もしくはP2Y12受容体の阻害もしくはその活性の減少によって好ましい影響を受け得る状態の治療および予防、または血小板ADP P2Y12受容体の阻害または活性の減少が医師に望まれる予防、緩和もしくは治療に適切である。血小板ADP P2Y12受容体の阻害は血小板の活性化、血小板凝集および血小板脱顆粒に影響を及ぼし、血小板脱凝集を促進するので、式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグは、一般的には血液の血栓形成の低減、もしくは血小板凝集の活性とそれによる血液凝固系が一因となるかもしくは所望でない程度を有する状態、もしくは血栓形成を低減することによって好ましい影響を受け得る状態、の治療および予防のため、または血小板凝集系の活性を低減することが医師によって所望される状態の予防、緩和もしくは治療のために適切である。従って、本発明の特定の主題は、特に個体の有効量の式Iの化合物および/または生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグ、およびこれらの薬学的製剤を投与することにって、望まれない血栓形成の低減または阻害することである。
【0045】
本発明はまた、医薬(又は薬剤)として使用するための式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグに関し、P2Y12受容体を阻害するため、または血小板活性化、血小板凝集および血小板脱顆粒に影響を及ぼし、血小板脱凝集、炎症反応を促進するため、または上記もしくは以下に述べる疾患を治療もしくは予防する薬剤を製造するため、例えば心臓血管障害、血栓塞栓疾患、もしくは再狭窄を治療および予防する薬剤を製造するための、式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグの使用に関する。本発明はまた、P2Y12受容体を阻害するためまたは血小板活性化、血小板凝集および血小板脱顆粒に影響を及ぼし、血小板脱凝集を促進するため、または上記もしくは以下に述べる疾患を治療もしくは予防するための、例えば心臓血管障害、血栓塞栓疾患、もしくは再狭窄を治療および予防するための、式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグの使用、ならびに該治療および予防方法を含むこのような目的を目指す治療方法に関する。本発明はまた、有効量の少なくとも1つの式Iの化合物および/またはこれらの生理学的に許容可能な塩および/またはこれらのプロドラッグに加え、通常の薬学的に受容可能な担体(すなわち、1つまたはそれ以上の薬学的に受容可能な担体物質または賦形剤および/または助剤または添加剤)を含む薬学的製剤(または薬剤組成物)に関する。
【0046】
本発明はまた、異常な血栓形成、急性心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症;血栓溶解療法もしくは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、一過性脳虚血発作、脳卒中、間欠性跛行、または冠状動脈もしくは抹消動脈のバイパス移植術と関連する急性血管閉塞;血管内腔狭窄、冠状動脈または静脈形成術後の再狭窄;長期の血液透析患者の血管アクセス開通性の維持;腹部、膝または股関節部の手術後の下肢静脈で起こる病的な血栓形成;腹部、膝および股関節部の手術後の下肢静脈で起こる病的な血栓形成;肺血栓塞栓症の危険性;または敗血症性ショック、特定のウイルス性感染症またはガンに罹患中に血管系で起こる全身性の播種性血管内凝固障害のような疾患状態の治療に関する。
【0047】
本発明の化合物はまた、炎症性反応を減少させるために使用することができる。その治療または予防のために式Iの化合物を使用することができる特定の疾患の例は冠状動脈性心臓疾患、心筋梗塞、狭心症、血管再狭窄、例えばPTCAのような血管形成術後の再狭窄、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全および播種性血管内凝固障害である。手術に伴う関連する合併症の例は手術後に起こりうる深部静脈および近位静脈血栓症のような血栓症である。
【0048】
式Iの化合物およびそれらの生理学的に許容される塩およびそれらのプロドラッグは動物、好ましくは哺乳類、特にヒトに治療または予防のための薬剤として投与することができる。これらは単独で、または他のものと混合して、または経腸もしくは非経口投与を可能にする薬学的製剤の形態で投与することができる。
【0049】
医薬は例えば丸剤、錠剤、ラッカー錠剤(lacquered tablets)、コーチング錠、顆粒剤、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤またはエアゾール混合物の形態で経口的に投与することができる。また一方、投与は例えば坐剤の形態で直腸的に;または例えば注射用液剤、注入液剤、マイクロカプセル剤、インプラント剤またはロッド剤の形態で非経口的に;または例えば軟膏剤、液剤またはチンキ剤の形態で経皮的にもしくは局所的に;または例えばエアゾール剤もしくは鼻スプレー剤の形態で他の方法により行なうこともできる。
【0050】
本発明の薬学的製剤は、それ自体周知で、当業者に知られている方法により調製され、式Iの化合物および/またはその(それらの)生理学的に許容される塩および/またはその(それらの)プロドラッグの他に薬学的に許容しうる不活性な無機および/または有機担体が使用される。丸剤、錠剤、コーチング錠およびゼラチン硬カプセル剤を製造する場合、例えばラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを使用することができる。ゼラチン軟カプセル剤および坐剤のための担体は例えば脂肪、ロウ、半固体および液体のポリオール、天然油または硬化油などである。液剤、例えば注射用液剤、あるいは乳剤またはシロップ剤の調製に適した担体は例えば水、生理食塩水、アルコール、グリセロール、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、植物油などである。マイクロカプセル剤、インプラント剤またはロッド剤に適した担体は例えばグリコール酸および乳酸のコポリマーである。薬学的製剤は通常、約0.5〜90質量%の式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/またはそれらのプロドラッグを含有する。薬学的製剤中における式Iの活性成分および/またはその生理学的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの量は通常、約0.5mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約500mgである。
【0051】
式Iの活性成分および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/またはプロドラッグおよび担体物質の他に、薬学的製剤は添加剤、例えば充填剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香剤、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポー効果を達成する物質、浸透圧を変える塩、コーティング剤または抗酸化剤を含有することができる。これらは2種またはそれ以上の式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/またはそれらのプロドラッグを含有することもできる。薬学的製剤が2種またはそれ以上の式Iの化合物を含有する場合、個々の化合物の選択は薬学的製剤の特定の全体的な薬理学的プロフィルに照準を定めることができる。例えば、効力が高く作用持続時間が短い化合物を効力が低く長時間作用する化合物と組合せることができる。式Iの化合物における置換基の選択に関して認められる柔軟性により本化合物の生物学的および物理化学的特性をかなり制御することができ、そのため所望の化合物の選択が可能になる。さらに、少なくとも1種の式Iの化合物および/またはその生理学的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの他に、薬学的製剤は1種またはそれ以上の別の治療的または予防的に活性な成分を含有することもできる。
【0052】
本発明の1つの実施形態に置いて、式Iの化合物は、フィブリノゲン受容体拮抗薬、トロンビン阻害薬、Xa因子阻害薬、ヘパリン、低分子ヘパリンまたはアスピリンと組み合わせて投与される。例えば、フィブリノゲン受容体拮抗薬は、臨床的に認可されたGP IIb/IIIa モノクローナル抗体 アブシキマブ[レオプロ(ReoPro)]、エプチフィバチド[インテグリリン(Integrelin)]、チロフィバン[アグラスタット(Aggrastat)]を使用することができる。フィブリノゲン受容体拮抗薬のさらなる例は、ロキシフィバン、ロトラフィバン、オルボフィバン、シブラフィバンおよびキセミロフィバンである。トロンビン阻害薬の例は、キシメラガトラン、ダビガトラン エテキシラートである。適切なXa因子阻害薬には、例えば、オタミキサバン、リバロキサバン、アピキサバンが使用され得る。式Iの化合物はまた、イドラパリヌクスまたはホンダパリヌクスのようなXa因子阻害薬のような間接的Xa因子阻害薬と組み合わせて投与することができる。例えば、エノキサパリンは、低分子ヘパリンとして使用することができる。
【0053】
式Iの化合物を使用する場合、その投与量は広い範囲内で変動し、慣用的に、また医師に知られているように、個々の症例でそれぞれの状態に適合すべきである。例えば、使用する特定の化合物、治療する疾患の性質および重症度、投与の方法および計画に応じて、あるいは急性または慢性の状態を治療するのか、または予防を行なうのかどうかによって変わる。好適な投与量は医療分野でよく知られている臨床アプローチを使用して確立することができる。一般に、体重が約75kgの成人で所望の結果を達成するための1日の投与量は0.01mg/kg〜100mg/kg、好ましくは0.1mg/kg〜50mg/kg、特に0.1mg/kg〜10mg/kg(それぞれ体重1kgあたりのmg数)である。特に比較的多量を投与する場合、1日の投与量を数回、例えば2、3または4回に分けて投与することができる。従来通り、個体の挙動に応じて、指示された1日の投与量を多めにまたは少なめにする必要があり得る。
【0054】
式Iの化合物はまた、個体外の抗凝固剤として有利に使用することができる。例えば、有効量の本発明の化合物を採血したばかりの試料と接触させて血液試料の凝固を防止することができる。さらに、式Iの化合物またはその塩は診断目的で、例えば体外診断において、また生化学検査の補助物質として使用することができる。例えば、式Iの化合物はアッセイでP2Y12受容体の存在を確認するために、または組織を含むP2Y12受容体を実質的に純粋な形態で単離するために使用することができる。本発明の化合物は例えば放射性同位体で標識することができ、次にP2Y12受容体と結合した標識化合物は特定の標識を検出するのに有用な常法を使用して検出される。したがって、式Iの化合物またはその塩はインビボ、エキソビボまたはインビトロでP2Y12受容体活性の位置または量を検出するプローブとして使用することができる。
【0055】
さらに、式Iの化合物は例えば置換基の導入または官能基の変更により式Iの化合物から得られうる他の化合物、特に他の薬学的に活性な成分を製造するための合成中間体として使用することができる。
【0056】
本発明において有用な化合物を製造するための一般的な合成経路を下記の実施例で概説する。必要に応じて本発明の種々の局面についての説明および実際の手順を共に記載する。次の実施例は本発明を単に説明するためのものであり、本発明の範囲または趣旨を限定するものではない。当業者ならば、実施例に記載した条件および方法を知られているように変更して本発明の化合物を合成するために使用され得ることは容易に理解されよう。
【0057】
本発明の様々な実施形態の活性に実質的に影響を与えない変更は本明細書で開示した本発明の範囲内に包含されるものとする。したがって、次の実施例は本発明を詳しく説明するためのものであり、制限するものではない。
【実施例】
【0058】
化合物の合成の最終段階においてトリフルオロ酢酸または酢酸のような酸を使用する場合、例えば、トリフルオロ酢酸を酸標識保護基(例えば、tBu基)に利用する場合、またはこのような酸を含有する溶離液を用いるクロマトグラフィーにより化合物を精製する場合、場合によっては、後処理手順、例えば、凍結乾燥方法の内容に依存して、化合物は、使用した酸の塩の形態、例えば、酢酸塩、ギ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩もしくは塩酸塩の形態で、部分的または完全に得られた。同様に、例えば、塩基性窒素のような塩基性中心を有する出発物質または中間体は、遊離塩基として、または例えば、トリフルオロ酢酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、または塩酸塩のような塩形態で得られ、そして使用される。
【0059】
使用される略語:
tert−ブチル tBu
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフチル Binap
ビス−(オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリド BOP−Cl
ジベンジリデンアセトン dba
ジクロロメタン DCM
ジシクロヘキシル−カルボジイミド DCC
ジエチルホスホリルシアニド DEPC
ジイソプロピルエチルアミン DIPEA
4−ジメチルアミノピリジン DMAP
N,N−ジメチルホルムアミド DMF
ジメチルスルホキシド DMSO
1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン DPPF
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート HATU
高速液体クロマトグラフィー HPLC
N−ブロモスクシンイミド NBS
N−クロロクスシンイミド NCS
N−ヨードスクシンイミド NIS
N−エチルモルホリン NEM
メタノール MeOH
室温20℃〜25℃ RT
飽和 sat.
テトラヒドロフラン THF
トリフルオロ酢酸 TFA
O−((エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート TOTU
【0060】
実施例1:1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン
【化8】

a)2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール:1−フェニル−1,4−ペンタンジオン(pentandedione)(5.00g、28.37mmol)に炭酸アンモニウム(6.815g、71mmol)を添加した。混合物を100℃で4日間加熱した。この間、さらに炭酸アンモニウム(6.815 g)を1gずつ添加した。反応混合物を水で処理し、そして酢酸エチルで抽出した。分離した有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートし、2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール(4.13g、93%)を得た。
b)(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−オキソ−酢酸:2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール(14.32g、91mmol)のTHF(50ml)撹拌溶液に、塩化オキサリル(11.56g、91mmol)のTHF(10ml)溶液を0℃でゆっくりと添加した。溶液をRTまで温め、そして2時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ、Na2CO3で処理し、そして酢酸エチルで抽出した。分離した有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートし、2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−オキソ−酢酸(10.5g、50%)を得た。
c)1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン:2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−オキソ−酢酸(1.00g、4.362mmol)のDMF(30ml)溶液に、TOTU(1.431g、4.362mmol)を添加した。RTで30分後、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン(1.004g、4.362mmol)およびN−エチルモルホリン(3.014g、26.17mmol)を添加した。RTで24時間撹拌した後、溶液をエバポレートし、そして残留物をNaHCO3の飽和水溶液で処理した。水溶液を酢酸エチルで抽出した。分離した有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートした。残留物をHPLCにより精製し、そして凍結乾燥させ、表題化合物(890mg、37%)を得た。MS 442.2(M+H)+
【0061】
表1の以下の化合物を上記の手順を使用して合成した:
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
実施例55:3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル
【化9】

a)3,5−ジメチル−4−オキサリル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル:4−アセチル−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル(0.2g、0.956mmol)のピペリジン(3ml)溶液に、アルゴン下でSeO2(0.318g、2.868mmol)を添加した。反応混合物を100℃で4時間撹拌した。混合物を濾過し、そしてNaOH(5%)(20ml)を溶液に添加した。水相をジエチルエーテルで抽出し、次いで水相を1N HClで酸性化した。水溶液を酢酸エチルで抽出した。次いで、有機相をブラインで洗浄し、そして無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をエバポレートし、表題化合物(180mg、79%)を得た。
b)3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル:3,5−ジメチル−4−オキサリル−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル(0.15g、0.627mmol)のDMF(3ml)溶液に、TOTU(0.205g、0.627mmol)を添加した。RTで30分後、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン(0.144g、0.627mmol)およびN−エチルモルホリン(0.216g、1.881mmol)を添加した。RTで24時間撹拌した後、溶液をエバポレートし、そして残留物をNaHCO3の飽和水溶液で処理した。水溶液を酢酸エチルで抽出した。分離した有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートした。残留物をHPLCにより精製し、そして凍結乾燥させ、表題化合物(120mg、28%)を得た。MS 452.17(M+H)+
【0069】
実施例56:3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸
【化10】

3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル(0.100g、0.221mmol)のエタノール(2ml)および水(1ml)溶液にNaOH(0.018g、0.443mmol)を添加した。溶液を80℃で5時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、そして1N HClを残留物に添加した。沈殿物を濾過し、そして乾燥させ、表題化合物(80mg、85%)を得た。MS 424.15(M+H)+
【0070】
上記のTOTU手順を使用し、実施例56から開始して表2の以下の化合物を合成した:
【表8】

【0071】
【表9】

【0072】
実施例69:1−(4−ブロモ−2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン
【化11】

1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン(970mg、2.197mmol)のアセトニトリル(10ml)溶液に、Cu(II)Br2(981mg、4.394mmol)を添加した。混合物をRTで4時間撹拌した後、溶媒を除去し、そして残留物を0℃で酢酸エチルおよびNH3水溶液で処理した。分離した有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートし、表題化合物(840mg、73%)を得た。MS 519.08(M+H)+
【0073】
実施例70:(E)−3−(5−メチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−2−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−アクリル酸メチルエステル
【化12】

1−(4−ブロモ−2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン(200mg、0.384mmol)のDMF(4ml)溶液にアクリル酸メチル(453mg、5.266mmol)およびトリエチルアミン(1.5ml)を添加した。溶液を脱気し、アルゴンで充填しなおし(backfill)、その後ビス(トリフェニルホスフィン(パラジウム(II)−クロリド(38mg、0.053mmol)を添加した。混合物を110℃で4時間加熱した。溶媒をエバポレートし、そして残留物を水で処理し、そして酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、そしてエバポレートした。残留物をHPLCにより精製し、そして凍結乾燥させ、表題化合物(88mg、44%)を得た。MS 526.20(M+H)+
【0074】
実施例71:(E)−3−(5−メチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−2−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−アクリル酸
【化13】

(E)−3−(5−メチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−2−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−アクリル酸メチルエステル(155mg、0.295mmol)のエタノール(2ml)溶液に、水酸化ナトリウム(12mg、0.295mmol)および水(0.5ml)を添加した。混合物をRTで24時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、そして残留物を1N HClで処理した。沈殿物を濾過し、そして乾燥させ、表題化合物(120mg、80%)を得た。MS 512.17(M+H)+
【0075】
薬理学試験
ヒトP2Y12組変え細胞膜結合アッセイ
試験化合物がP2Y12受容体に結合する能力を、組み換え細胞膜結合アッセイで評価した。この競合的結合アッセイにおいて、細胞膜上に発現されるP2Y12受容体への結合について、試験化合物は放射標識アゴニストと競合した。標識物質の結合阻害を測定し、そしてその量と試験化合物の有効性に相関させた。この結合アッセイは、Takasaki,J.et.al,MoI.Pharmacol.,2001,Vol.60,pg.432によって記載された手順の変法である。
【0076】
P2Y12の供給源として、膜調製物を、標準的な手順に従って、ヒトP2Y12受容体の組み換え発現を用いて、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から調製した。
【0077】
96ウェルマイクロタイタープレートに以下を添加した:a)アッセイ緩衝液(10mM HEPES、138mM NaCl、2.9mN KCl、12mM NaHCO3、1mM EDTA−Na、0.1% BSA、pH 7.4)(24μl)、b)DMSO中の化合物(1μl)、c)P2Y12 CHO膜(20μg/ml)(50μl)およびRTで15分後に d)アッセイ緩衝液で作った1,61nM 33P 2MeS− ADP(Perkin Elmer NENカスタム合成、比活性度約2100Ci/mmol)(25μl)。
【0078】
RTで20分間インキュベートした後、サンプルを96ウェルマイクロタイターフィルタープレート(Millipore HTS GF/B)に移し、ストップ緩衝液(stop buffer)(10mM HEPES、138mM NaCl pH 7.4)(300μl)で20分間予め湿らせ(pre−wetted)、次いでMilliporeプレートバキュームで、完全に濾過した。次いで、ウェルをプレートバキューム上でストップ緩衝液(400μl/ウェル)で4回洗浄した。プレートを分解し、そしてフィルターを吊るしたままにして一晩空気乾燥させた。フィルタープレートをアダプタープレートにはめ込み、そしてMicroscint 20 Scintillation Fluid(Perkin Elmer # 6013621)(0.1ml)を各ウェルに添加した。フィルタープレートの上部をプラスチックプレートカバーで密閉した。密閉したフィルタープレートを室温で2時間インキュベートした。Microbeta Scintillation Counterを使用して、カウントを測定した。化合物の結合を1mM ADPのバックグラウンドを減法することにより定義される特異結合の%阻害として表す。
【0079】
化合物を10mM DMSOストックとして希釈し、そして10μMの最終濃度で開始し、三連で行う4点、5倍希釈系列で試験した。各プレートの平均ポジティブおよびネガティブ対照として実験的に定義される固定最小値および最大値を用いて、4つのパラメータの曲線フィッティングを使用してデータを分析した。
【0080】
結果(P2Y12を結合するMeSADPの阻害、IC50(μM))を表3に示す:
【表10】

【0081】
ヒト血小板凝集の阻害
P2Y12受容体に結合する化合物の能力を測定する結合アッセイの代わりに、細胞機能に対する効果もまた測定することができる。化合物のこの能力は2つの血小板凝集アッセイにおいて評価することができる:96ウェルプレートを用いるアッセイおよび使い捨てキュベット(single 「use」cuvette)を使用する「Born」法。
【0082】
96ウェルアッセイ:
ACD−A(Aqua−Citrat−Dextrose−A、Fresenius)(2ml)を含む20mlのシリンジを使用して健常人ボランティアから全血を採取した。抗凝固処理全血を15mlのポリプロピレン円錐チューブに移した(1つのチューブあたり10ml)。遠心分離のブレーキを使用せずに、チューブを室温、150×gで15分間遠心分離した。この手順により細胞成分のペレットおよび多血小板血漿(PRP)の上清を得る。PRP相を各チューブから集め、そしてドナーごとにプールした。遠心分離後、細胞成分のキャリーオーバーを避けるために、約5mlのPRPをチューブに残した。Coulter Counterを使用して、血小板濃度を測定した。
【0083】
細胞成分のペレットを含む15mlチューブを再び1940×gで10分間遠心分離した。これにより残っているほとんどの微粒子状血液成分をペレット化し、乏血小板血漿(PPP)の相をそのままにしておいた。PPPを各ドナーごとに回収した。前もって取っておいたPRP相を、PPPで約3×E8 血小板/mlの最終濃度まで希釈した。
【0084】
マイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devicesから入手したSpectraMax Plus 384 with SoftMax Proソフトウェア)を使用して、ヒト血小板凝集アッセイを96ウェルプレートで行う。
【0085】
プレート中で、NaCl中10×最終濃度の試験化合物(15μl)を新鮮なPRP(120μl)と混合し、そして5分間インキュベートする。インキュベート後、40μM ADP(15μl)を反応混合物に添加する。このADPの添加は、阻害剤の不在下、凝集を誘導するのに十分である。次いで、プレートをマイクロプレートリーダーに移し、そして凝集を20分間にわたって測定する。機器の設定は以下である(include):吸光度;650nM、実行時間;1分間隔での読み取りを20分間および読み取りの間50秒振とう、全て37℃で行われる。アッセイの結果を%阻害として表し、そして20分にわたる吸光度の濃度曲線下面積(AUC)を使用して計算する。
【0086】
「Born」法:
緩衝化クエン酸塩(2ml)を含む20mlのシリンジを使用して健常人ボランティアから全血を採取した。抗凝固処理全血を15mlのポリプロピレン円錐チューブに移した(1つのチューブあたり10ml)。遠心分離のブレーキを使用せずに、チューブを室温、340×gで15分間遠心分離した。この手順により細胞成分のペレットおよび多血小板血漿(PRP)の上清を得る。PRP相を各チューブから集め、そしてドナーごとにプールした。遠心分離後、細胞成分のキャリーオーバーを避けるために、約5mlのPRPをチューブに残した。Coulter Counterを使用して、血小板濃度を測定した。
【0087】
細胞成分のペレットを含む15mlチューブを再び1940×gで10分間遠心分離した。これにより残っているほとんどの微粒子状血液成分をペレット化し、乏血小板血漿(PPP)の相をそのままにしておいた。PPPをドナーごとに回収した。前もって取っておいたPRP相を、PPPで約3×E8 血小板/mlの最終濃度まで希釈した血小板凝集プロファイラー(PAP−4または−8、Bio/Data corporation)を使用して、ヒト血小板凝集アッセイを使い捨てキュベットで行う。
【0088】
アッセイキュベット中で、DMSO中100×最終濃度の試験化合物(4μl)を新鮮なPRP(392μl)と混合し、そして37℃で2分間、1.200rpm振とうでインキュベートする。インキュベート後、250μM ADP(4μl)を反応混合物に添加する。ADPの添加は、阻害剤の不在下、凝集を誘導するのに十分である。その後、凝集を37℃、1.200rpm振とうで6分間にわたって測定する。アッセイの結果を%阻害として表し、そして6分間にわたる吸光度の最大凝集(Tmax)または濃度曲線下面積(AUC)を使用して計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての立体異性体の形態、および任意の比率のそれらの混合物の、式Iの化合物
【化1】

[式中、
R1は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
4)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
5)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、単環式または二環式であり、3〜15個の環炭素原子を含み、ここで該環炭素原子のうち1つまたはそれ以上が窒素、硫黄または酸素から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子によって置換されており、またここで該ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−CF3、または
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16、
4)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
5)−(C3−C8)−シクロアルキル−C(O)−O−R16、または
6)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル(ここで、アルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または、
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合している原子と一緒になって5員、6員または7員の炭素環(ここで、該炭素環は、芳香族であって部分的に不飽和であるかまたは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つは、窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子によって置換されている炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるか、もしくはR15で1、2、3もしくは4回置換されており、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)=O、または
4)−OH、から選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CN、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C8)−アルキル、−C(O)NH2または−NH2であり、
R16は、水素原子、−(C1−C8)−アルキルもしくは−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキルであり、
R17は、水素原子もしくは−(C1−C8)−アルキルであるか、または
R17とR16は、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで、該炭素環は、不飽和であるかもしくは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つが窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子で置換されている炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるか、もしくはR15で1、2、3もしくは4回置換されている]
およびこれらの生理学的に許容される塩。
【請求項2】
全ての立体異性体の形態および任意の比率のそれらの混合物の、請求項1に記載の式Iの化合物であって、
〔式中、
R1は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、インダニル、アントリルまたはフルオレニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
4)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、アクリジニル、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキルまたは
2)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
3)−(C1−C8)−アルキルまたは
4)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって以下:シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニル、シクロヘプタ−1,3,5−トリエニル、フェニル、1,4−ジアゼパン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、ジアジリジン、ジアジリン、ジヒドロイミダゾロン、ジオキサゾール、ジオキサジン、1,4−ジオキシン、ジオキソール、1,3−ジオキソレン、1,3−ジオキソラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、イソチアゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、1,2−オキサ−チエパン、1,2−オキサチオラン、1,4−オキサゼパン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、オキサゾロン、オキサゾール、[1,3,4]オキサチアジナン3,3−ジオキシド、オキサジリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、オキシラン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリジノン、ピリミジン、ピリミジン−2,4−ジオン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、チアジアジン、チアジアゾール、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,3−チアゾール、チアゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアゾリン、チエニル、チエタン、チオモルホリン1,1−ジオキシド チオピラン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾール、もしくは1,2,4−トリアゾールから選択される5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで該炭素環は、非置換であるかまたはR15で1、2、3もしくは4回置換されている)を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキルまたは
3)−OHから選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R16は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルであり、
R17は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルである〕
化合物およびこれらの生理学的に許容可能な塩。
【請求項3】
全ての立体異性体の形態、および任意の比率のそれらの混合物の請求項1または2に記載の式Iの化合物であって、
[式中、
R1は、1)−(C1−C4)−アルキル、
2)−(C0−C2)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択される)、
3)−(C0−C2)−アルキレン−フェニル、または
4)−(C0−C2)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、フラニル、ピリジルまたはテトラヒドロピラニルから選択される)であり、
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−、または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、水素原子、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−、または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、または
2)−(C1−C4)−アルキル、から選択され、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである]
化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【請求項4】
全ての立体異性体の形態、および任意の比率のそれらの混合物の請求項1〜3に記載の式Iの化合物であって、
[式中、
R1は、−フェニルであり、
Eは、共有結合であり、
R2は、水素原子であり、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子であり、
Bは、窒素原子であり、
Dは、共有結合であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、それぞれ水素原子であり、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである]
化合物およびそれらの生理学的に許容可能な塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の式Iの化合物であって、ここで式Iの化合物は以下である:
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−(4−フェニル−ピペラジン−1−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−メチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−メトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−アセチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−(3−メチル−4−m−トリル−ピペラジン−1−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(1H−インドール−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
4−{4−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペラジン−1−イル}−ベンゾニトリル、
1−[4−(3,5−ジメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−ブロモ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−(2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン 1−オキシム、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(4−ニトロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
3−(3−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−プロピオン酸、
2−(3−{4−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペラジン−1−イル}−フェノキシ)−アセトアミド、
(3−{4−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペラジン−1−イル}−フェノキシ)−酢酸エチルエステル、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−{4−[3−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−エタン−1,2−ジオン、
1−{4−[3−(2−メトキシ−エトキシ)−フェニル]−ピペラジン−1−イル}−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[2−メチル−5−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−1H−ピロール−3−イル]−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
3−{4−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペラジン−1−イル}−安息香酸エチルエステル、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−(4−m−トリル−ピペリジン−1−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−メトキシ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−アミノ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
3−{1−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペリジン−4−イル}−ベンゾニトリル、
3−{1−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペリジン−4−イル}−安息香酸メチルエステル、
1−[4−(3−ブロモ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−フルオロ−3−ニトロ−フェニル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
3−{1−[2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−オキソ−アセチル]−ピペリジン−4−イル}−安息香酸、
1−[4−(4−メトキシ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−クロロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−メチル−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−メチル−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−メチル−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(4−ブロモ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−[4−(3−クロロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル]−2−(2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−ピリジン−2−イル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
1−(2−メチル−5−ピリジン−3−イル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸エチルエステル、
3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸、
[(3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボニル)−アミノ]−酢酸エチルエステル、
4−{2−[4−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(フラン−2−イルメチル)−アミド、
4−{2−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(フラン−2−イルメチル)−アミド、
4−{2−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸シクロプロピルメチル−アミド、
4−{2−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸プロピルアミド、
4−{2−[4−(3−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸シクロプロピルメチル−アミド、
4−{2−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸シクロプロピルアミド、
4−{2−[4−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(ピリジン−3−イルメチル)−アミド、
3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸プロピルアミド、
3,5−ジメチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−1H−ピロール−2−カルボン酸(フラン−2−イルメチル)−アミド、
4−{2−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸(フラン−2−イルメチル)−アミド、
4−{2−[4−(3−クロロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−アセチル}−3,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボン酸シクロプロピルメチル−アミド、
1−(4−ブロモ−2−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタン−1,2−ジオン、
(E)−3−(5−メチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−2−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−アクリル酸メチルエステル、または
(E)−3−(5−メチル−4−{2−オキソ−2−[4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−アセチル}−2−フェニル−1H−ピロール−3−イル)−アクリル酸。
【請求項6】
式IIの化合物を式IIIの化合物
【化2】

(式中、
残基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、A、B、DおよびEは、式Iにおいて示される意味を有する)
と反応させて、式Iの化合物を得るか、または
式IVの化合物を式Vの化合物
【化3】

(式中、
残基R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、A、BおよびDは、式Iに示される意味を有し、G1はカルボン酸基であり、G2はアミノ基またはヒドロキシル基である)
と反応させて式Iの化合物を得る、
ことを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の式Iの化合物、薬学的に受容可能な担体、およびフィブリノゲン受容体拮抗薬(例えば、GPIIb/IIIa モノクローナル抗体 アブシキシマブ(レオプロ)、エプチフィバチド(インテグリリン)、チロフィバン(アグラスタット)、ロキシフィバン、ロトラフィバン、オルボフィバン、シブラフィバンまたはキセミロフィバン)、トロンビン阻害剤(例えば、キシメラガトラン、ダビガトランまたはエテキシラート)、Xa因子阻害薬(例えば、オタミキサバン、リバロキサバン、アピキサバン、イドラパリヌクスまたはホンダパリヌクス)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(例えば、エノキサパリンまたはダルテパリン)またはアスピリンからなる組み合わせ製剤。
【請求項8】
異常な血栓形成、急性心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症;血栓溶解療法もしくは経皮経管冠動脈形成術、一過性脳虚血発作、脳卒中、間欠性跛行、または冠状動脈もしくは抹消動脈のバイパス移植術と関連する急性血管閉塞;血管内腔狭窄、冠状動脈または静脈形成術後の再狭窄;長期の血液透析患者の血管アクセス開通性の維持;腹部、膝または股関節部の手術後の下肢静脈で起こる病的な血栓形成;腹部、膝および股関節部の手術後の下肢静脈で起こる病的な血栓形成;肺血栓塞栓症の危険性;もしくは敗血症性ショック、特定のウイルス性感染症もしくはガンに罹患中に血管系で起こる全身性の播種性血管内凝固障害の治療に;または冠状動脈性心臓疾患、心筋梗塞、狭心症、血管再狭窄、血管形成術後の再狭窄、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全および播種性血管内凝固障害の治療もしくは予防に;または手術後に起こりうる深部静脈および近位静脈血栓症の治療もしくは予防に、使用するための、全ての立体異性形態、および任意の比率のそれらの混合物の式Iの化合物
【化17】

[式中、
R1は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
4)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
5)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、単環式または二環式であり、3〜15個の環炭素原子を含み、ここで該環炭素原子のうち1つまたはそれ以上が窒素、硫黄または酸素から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子によって置換されており、またここで該ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−CF3、または
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16、
4)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
5)−(C3−C8)−シクロアルキル−C(O)−O−R16、または
6)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル(ここで、アルキルは、非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合している原子と一緒になって5員、6員もしくは7員の炭素環(該炭素環は、芳香族であって部分的に不飽和であるかまたは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つは、窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子によって置換されている炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるか、もしくはR15で1、2、3もしくは4回置換されており、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)=O、または
4)−OH、から選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CN、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C8)−アルキル、−C(O)NH2または−NH2であり、
R16は、水素原子、−(C1−C8)−アルキルもしくは−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキルであり、
R17は、水素原子もしくは−(C1−C8)−アルキルであるか、または
R17とR16は、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで該炭素環は、不飽和であるかもしくは飽和している)、もしくは該5〜7個の環炭素原子のうちの1つ、2つもしくは3つが窒素、酸素もしくは硫黄のようなヘテロ原子で置換されている炭素環を形成し、かつここで炭素環は非置換であるかまたはR15で1、2、3もしくは4回置換されている]、
およびこれらの生理学的に許容される塩。
【請求項9】
R1は、1)−(C1−C8)−アルキル、
2)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C8)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、ハロゲンで一、二もしくは三置換されている)
3)−(C0−C4)−アルキレン−(C6−C14)−アリール(ここで、アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、インダニル、アントリルまたはフルオレニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R15で一、二もしくは三置換されている)、または
4)−(C0−C4)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、アクリジニル、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル、アザインドール(1H−ピロロピリジニル)、アザベンゾイミダゾリル、アザスピロデカニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、4,5−ジヒドロオキサゾリニル、ジオキサゾリル、ジオキサジニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキソレニル、3,3−ジオキソ[1,3,4]オキサチアジニル、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]−テトラヒドロフラニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、ケトピペラジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2−オキサ−チエパニル、1,2−オキサチオラニル、1,4−オキサゼパニル、1,2−オキサジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソカニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラジニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、1,3−チアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、チエニル、チエタニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエタニル、チオモルホリニル、チオフェノリル、チオフェニル、チオピラニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルから選択され、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であり;
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、1)水素原子または
2)−(C1−C8)−アルキルであり、
R3は、1)−(C1−C8)−アルキルまたは
2)−(C1−C8)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−(C2−C6)−アルケニレン−C(O)−O−R16、
3)−(C1−C8)−アルキルまたは
4)ハロゲンであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下から選択され:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキル、
3)−(C0−C4)−アルキレン−O−R16、
4)ハロゲン、
5)−(C0−C4)−アルキレン−O−(C1−C8)−アルキレン−O−R16、
6)−NO2
7)−CN、
8)−(C0−C4)−アルキレン−N(R16)−R17、
9)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−R16、
10)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
11)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
12)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
13)−O−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
14)−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)、もしくは
15)−O−(C0−C4)−アルキレン−(C3−C15)−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、上記で定義されたとおりであり、かつ非置換であるか、または互いに独立して、R14で一、二もしくは三置換されている)であるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって以下:シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニル、シクロヘプタ−1,3,5−トリエニル、フェニル、1,4−ジアゼパン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、ジアジリジン、ジアジリン、ジヒドロイミダゾロン、ジオキサゾール、ジオキサジン、1,4−ジオキシン、ジオキソール、1,3−ジオキソレン、1,3−ジオキソラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イソチアゾール、イソチアゾリジン、イソチアゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、1,2−オキサ−チエパン、1,2−オキサチエパン、1,2−オキサチオラン、1,4−オキサゼパン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、オキサゾロン、オキサゾール、[1,3,4]オキサチアジナン、3,3−ジオキシド、オキサジリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、オキシラン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリジノン、ピリミジン、ピリミジン−2,4−ジオン、ピロール、ピロリジン、ピロリジノン、ピロリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、チアジアジン、チアジアゾール、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,3−チアゾール、チアゾール、チアゾリジン、チアゾリン、チエニル、チエタン、チオモルホリン、1,1−ジオキシド チオピラン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾール、もしくは1,2,4−トリアゾールから選択され5員、6員もしくは7員の炭素環(ここで該炭素環は、非置換であるか、またはR15で1、2、3もしくは4回置換されている)を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C8)−アルキルまたは
3)−OHから選択され、
R14は、ハロゲン、−OH、=O、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R15は、ハロゲン、−OH、−(C1−C8)−アルキル、−O−(C1−C8)−アルキル、−CF3、−O−CF3、−NO2、−CNまたは−NH2であり、
R16は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルであり、
R17は、水素原子または−(C1−C8)−アルキルである、
請求項8に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項10】
R1は、1)−(C1−C4)−アルキル、
2)−(C0−C2)−アルキレン−(C3−C6)−シクロアルキル(ここで、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルから選択される)、
3)−(C0−C2)−アルキレン−フェニル、または
4)−(C0−C2)−アルキレン−ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、フラニル、ピリジルまたはテトラヒドロピラニルから選択される)であり、
Eは、1)共有結合、
2)−NH−C(O)−、または
3)−O−C(O)−であり、
R2は、水素原子、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子またはN−OHから選択され、
Bは、窒素原子またはCHから選択され、
Dは、1)共有結合、
2)−C(O)−、または
3)−CH2−であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、互いに独立して以下:
1)水素原子、または
2)−(C1−C4)−アルキル、から選択され、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである、
請求項8または9に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項11】
R1は、−フェニルであり、
Eは、共有結合であり、
R2は、水素原子であり、
R3は、1)−(C1−C4)−アルキル、または
2)−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16であり、
R4は、1)水素原子、
2)−エテニレン−C(O)−O−R16、または
3)−(C1−C4)−アルキルであり、
Aは、酸素原子であり、
Bは、窒素原子であり、
Dは、共有結合であり、
R5、R6、R7、R8およびR9は、互いに独立して以下:
1)水素原子、
2)−(C1−C4)−アルキル、
3)−O−R16、
4)塩素、
5)フッ素、
6)−O−(C1−C4)−アルキレン−O−R16、
7)−NO2
8)−CN、
9)−NH2
10)−C(O)−R16、
11)−C(O)−O−R16、
12)−(C0−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、
13)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−O−R16、
14)−O−(C1−C4)−アルキレン−C(O)−N(R16)−R17、もしくは
15)−O−(C1−C4)−アルキレン−ピペリジニルから選択されるか、または
R5とR6もしくはR6とR7は、それらが結合する原子と一緒になって1,4−ジオキシンもしくはピロールから選択される環を形成し、
R10、R11、R12およびR13は、それぞれ水素原子であり、
R16は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルであり、かつ
R17は、水素原子または−(C1−C4)−アルキルである、
請求項8〜10のいずれかに記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2010−530380(P2010−530380A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512555(P2010−512555)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004459
【国際公開番号】WO2008/155022
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】