説明

PLL周波数シンセサイザ

【課題】電圧制御発振器のゲイン特性の変動を抑制する。
【解決手段】電圧制御発振器11は、インダクタ100と、微調整コンデンサ101pと、粗調整コンデンサ102pとを含み、発振クロックCKoutを生成する。分周器12は、発振クロックCKoutを分周して分周クロックCKdivを生成する。直流電圧供給回路13は、粗調整モードにおいて、直流電圧V13を制御ノードNiに供給するとともに発振電圧VPの直流値に応じて直流電圧V13の電圧値を変化させる。周波数帯域選択回路14は、粗調整モードにおいて、電圧制御発振器11の発振周波数帯域が目標周波数に対応する発振周波数帯域に設定されるように、基準クロックと分周クロックとの周波数差に基づいて粗調整コンデンサ102pの容量値を切り替える。発振制御回路15は、微調整モードにおいて、基準クロックと分周クロックとの位相差に応じて制御電圧VTを増減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PLL周波数シンセサイザに関し、さらに詳しくは、PLL周波数シンセサイザの特性変動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発振周波数を任意に設定可能なPLL周波数シンセサイザは、様々な技術分野において利用されている。例えば、無線通信分野において、PLL周波数シンセサイザは、電波の送受に必要なローカル信号を発生させるために利用されている。その一例として、特許文献1には、インダクタおよび容量を有する電圧制御発振器を備えたPLL周波数シンセサイザが開示されている。この電圧制御発振器は、インダクタと、両端の電圧差に応じて容量値が変化する可変容量素子と、複数のスイッチと、複数のスイッチにそれぞれ直列に接続された複数のコンデンサなどを有する。このPLL周波数シンセサイザでは、最初に、可変容量素子の一端に任意の制御電圧が与えられ、基準クロックと分周クロックとの周波数差に基づいて複数のスイッチのオン/オフが制御される。これにより、電圧制御発振器の発振周波数帯域が設定される。次に、基準クロックと分周クロックとの位相差に応じて、可変容量素子の一端に与えられる制御電圧が制御される。この制御電圧を変化させることにより、可変容量素子の容量値が変化し、その結果、電圧制御発振器から出力される発振クロックの発振周波数が変化する。このようして、発振クロックの発振周波数が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−339301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、可変容量素子の容量値は、可変容量素子の両端の電圧差に応じて非線形的に変化するため、電圧制御発振器のVCOゲイン(制御電圧の単位電圧変化に対する発振周波数の変化量)は一定値にはならない。また、製造ばらつき、電源電圧の変動、温度変化などによって可変容量素子の他端電圧の直流値が変動した場合、電圧制御発振器のf−V特性(制御電圧と発振周波数との関係)が変動し、電圧制御発振器のVCOゲインも変動してしまう。そのため、PLL周波数シンセサイザの特性変動(例えば、ループ時定数のばらつき)を抑制することが困難であった。
【0005】
例えば、可変容量素子の他端電圧の直流値が増加した場合、図14のように、電圧制御発振器のf−V特性(制御電圧VTと発振周波数fvcoとの関係)を示したf−V特性曲線は、右側(制御電圧VTが増加する方向)にシフトし、電圧制御発振器のVCOゲインKvcoを示したゲイン特性曲線も、右側にシフトする。そのため、電圧制御発振器の発振周波数帯域が発振周波数帯域B0,B1,B2,B3のいずれかに設定された後に、制御電圧VTは、電圧値VL9〜VH9の範囲よりも広い電圧値V91〜VH9の範囲で変化してしまう。この場合、VCOゲインKvcoは、ゲイン値KL9〜KH9の範囲よりも広いゲイン値K91〜KH9の範囲で変化してしまう。また、可変容量素子の他端電圧の直流値が減少した場合、図15のように、f−V特性曲線は、左側(制御電圧VTが減少する方向)にシフトし、ゲイン特性曲線も、左側にシフトする。そのため、制御電圧VTは、電圧値VL9〜VH9の範囲よりも広い電圧値V92〜VH9の範囲で変化し、VCOゲインKvcoは、ゲイン値KL9〜KH9の範囲よりも広いゲイン値K92〜KH9の範囲で変化してしまう。
【0006】
そこで、この発明は、電圧制御発振器のゲイン特性の変動を抑制できるPLL周波数シンセサイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の1つの局面に従うと、PLL周波数シンセサイザは、粗調整モードおよび微調整モードを有するPLL周波数シンセサイザであって、インダクタと、制御ノードと発振ノードとの間に接続され上記制御ノードと上記発振ノードとの電圧差に応じて容量値を連続的に変更可能な微調整コンデンサと、容量値を段階的に切替可能な粗調整コンデンサとを含み、上記インダクタのインダクタンス値と上記微調整コンデンサおよび上記粗調整コンデンサの容量値とに応じた発振周波数を有する発振クロックを生成する電圧制御発振器と、上記発振クロックを分周して分周クロックを生成する分周器と、上記粗調整モードにおいて、直流電圧を上記制御ノードに供給するとともに上記発振ノードにおける発振電圧の直流値に応じて上記直流電圧の電圧値を変化させ、上記微調整モードにおいて、上記直流電圧の供給を停止する直流電圧供給回路と、上記粗調整モードにおいて、上記電圧制御発振器の発振周波数帯域が基準クロックの周波数と上記分周器の分周比とによって定められる目標周波数に対応する発振周波数帯域に設定されるように、上記基準クロックと上記分周クロックとの周波数差に基づいて上記粗調整コンデンサの容量値を切り替える周波数帯域選択回路と、上記微調整モードにおいて、上記基準クロックと上記分周クロックとの位相差に応じて上記制御ノードにおける制御電圧を増減させる発振制御回路とを備える。このように構成することにより、電圧制御発振器のゲイン特性の変動を抑制でき、PLL周波数シンセサイザの特性変動を抑制できる。
【0008】
また、上記微調整コンデンサは、上記発振電圧から上記制御電圧を減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有し、上記直流電圧供給回路は、上記発振電圧の直流値が予め定められた基準値よりも高い場合には、上記発振電圧の直流値と上記基準値との差に応じて上記直流電圧の電圧値を増加させ、上記発振電圧の直流値が上記基準値よりも低い場合には、上記発振電圧の直流値と上記基準値との差に応じて上記直流電圧の電圧値を減少させても良い。
【0009】
または、上記微調整コンデンサは、上記制御電圧から上記発振電圧を減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有し、上記直流電圧供給回路は、上記発振電圧の直流値が予め定められた基準値よりも高い場合には、上記発振電圧の直流値と上記基準値との差に応じて上記直流電圧の電圧値を減少させ、上記発振電圧の直流値が上記基準値よりも低い場合には、上記発振電圧の直流値と上記基準値との差に応じて上記直流電圧の電圧値を増加させても良い。
【0010】
さらに、上記PLL周波数シンセサイザは、上記電圧制御発振器と同一の構成を有するモニタ回路をさらに備え、上記直流電圧供給回路は、上記モニタ回路の発振ノードに発生するモニタ電圧を受け、上記モニタ電圧の直流値に応じて上記直流電圧の電圧値を変化させても良い。このように構成することにより、発振クロックにノイズが重畳することを抑制できる。
【0011】
または、上記PLL周波数シンセサイザは、上記電圧制御発振器の発振ノードにおける電圧特性を擬似的に再現し、上記電圧特性に基づいて上記発振電圧の直流値に相当するモニタ電圧を生成するモニタ回路をさらに備え、上記直流電圧供給回路は、上記モニタ回路によって生成されたモニタ電圧を受け、上記モニタ電圧に応じて上記直流電圧の電圧値を変化させても良い。このように構成することにより、発振クロックにノイズが重畳することを抑制しつつ、モニタ回路の回路面積を削減できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、電圧制御発振器のゲイン特性の変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す図。
【図2】図1に示した直流電圧供給回路の構成例を示す図。
【図3】図1に示したPLL周波数シンセサイザの基本動作について説明するための図。
【図4】発振電圧の直流値が基準値よりも高い場合における電圧制御発振器のf−V特性およびゲイン特性について説明するための図。
【図5】発振電圧の直流値が基準値よりも低い場合における電圧制御発振器のf−V特性およびゲイン特性について説明するための図。
【図6】図1に示した直流電圧供給回路の変形例について説明するための図。
【図7】電圧生成部の変形例について説明するための図。
【図8】実施形態2によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す図。
【図9】図8に示したモニタ回路および直流電圧供給回路の変形例について説明するための図。
【図10】実施形態3によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す図。
【図11】図10に示した直流電圧供給回路の構成例を示す図。
【図12】発振電圧の直流値が基準値よりも高い場合における電圧制御発振器のf−V特性およびゲイン特性について説明するための図。
【図13】発振電圧の直流値が基準値よりも低い場合における電圧制御発振器のf−V特性およびゲイン特性について説明するための図。
【図14】可変容量素子の他端電圧の直流値が増加した場合について説明するための図。
【図15】可変容量素子の他端電圧の直流値が減少した場合について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付してその説明を繰り返さない。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す。このPLL周波数シンセサイザは、粗調整モードと、微調整モードとを有するものであり、電圧制御発振器11と、プログラマブル分周器12と、直流電圧供給回路13と、周波数帯域選択回路14と、発振制御回路15とを備える。
【0016】
〔電圧制御発振器〕
電圧制御発振器11は、インダクタ100と、微調整コンデンサ101p,101nと、粗調整コンデンサ102p,102nと、pMOSトランジスタMP1,MP2と、nMOSトランジスタMN1,MN2とを含む。
【0017】
インダクタ100は、発振ノードNpと発振ノードNnとの間に接続される。微調整コンデンサ101pは、制御ノードNiと発振ノードNpとの間に接続され、微調整コンデンサ101nは、制御ノードNiと発振ノードNnとの間に接続される。微調整コンデンサ101pの容量値は、微調整コンデンサ101pの両端の電圧差(すなわち、制御ノードNiと発振ノードNpとの電圧差)に応じて連続的に変更可能である。ここでは、微調整コンデンサ101pは、発振ノードNpにおける発振電圧VPから制御ノードNiにおける制御電圧VTを減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有する。例えば、微調整コンデンサ101pは、制御ノードNiに接続されたソースおよびドレインと発振ノードNpに接続されたゲートとを有するMOS型可変容量素子によって構成される。微調整コンデンサ101nは、微調整コンデンサ101pと同様の構成である。
【0018】
粗調整コンデンサ102pは、発振ノードNpと接地ノードとの間に接続され、粗調整コンデンサ102nは、発振ノードNnと接地ノードとの間に接続される。粗調整コンデンサ102pの容量値は、周波数帯域選択回路14からの制御信号CNTによって段階的に切替可能である。例えば、粗調整コンデンサ102pは、複数の固定コンデンサと、制御信号CNTに応答して複数の固定コンデンサの接続状態を切り替える複数のスイッチ素子とによって構成される。粗調整コンデンサ102nは、粗調整コンデンサ102pと同様の構成である。
【0019】
pMOSトランジスタMP1,MP2のソースは、電源ノードに接続され、pMOSトランジスタMP1のドレインおよびpMOSトランジスタMP2のゲートは、発振ノードNpに接続され、pMOSトランジスタMP1のゲートおよびpMOSトランジスタMP2のドレインは、発振ノードNnに接続される。nMOSトランジスタMN1,MN2のソースは、接地ノードに接続され、nMOSトランジスタMN1のドレインおよびnMOSトランジスタMN2のゲートは、発振ノードNpに接続され、nMOSトランジスタMN1のゲートおよびnMOSトランジスタMN2のドレインは、発振ノードNnに接続される。
【0020】
〔発振周波数帯域〕
電圧制御発振器11は、インダクタ100のインダクタンス値と微調整コンデンサ101p,101nおよび粗調整コンデンサ102p,102nの容量値とに応じた発振周波数を有する発振クロックCKoutを生成する。電圧制御発振器11の発振周波数帯域は、粗調整コンデンサ102p,102nの容量値に応じて切り替えられる。例えば、図3のように、電圧制御発振器11は、4段階の発振周波数帯域B0,B1,B2,B3を有しており、粗調整コンデンサ102p,102nの容量値を最小値から1段階ずつ高くした場合、電圧制御発振器11の発振周波数帯域は、発振周波数帯域B0,B1,B2,B3の順番で切り替わる。それぞれの発振周波数帯域における発振周波数は、微調整コンデンサ101p,101nの容量値に応じて連続的に変化する。例えば、図3のように、発振周波数帯域B0,B1,B2,B3のそれぞれにおいて、発振周波数fvcoは、制御電圧VTの増加に応じて非線形的に増加していく。
【0021】
さらに、図3では、制御電圧VTが電圧値VL0〜VH0の範囲で変化した場合、電圧制御発振器11のVCOゲインKvcoは、ゲイン値K1〜K2の範囲で変化する。VCOゲインKvcoは、制御電圧VTの単位電圧変化に対する発振周波数fvcoの変化量(発振周波数fvcoを制御電圧VTで微分した値)に相当する。なお、PLL周波数シンセサイザの特性変動(例えば、ループ時定数のばらつき)を抑制するためには、VCOゲインKvcoの変化幅を狭くすることが好ましい。また、電圧値VL0〜VH0の範囲において発振周波数帯域B0,B1,B2,B3が互いに重複しないように、発振周波数帯域B0,B1,B2,B3が設定されている(すなわち、粗調整コンデンサ102p,102nの容量値の変化幅が設定されている)。このように、発振周波数帯域B0,B1,B2,B3は、それぞれ、周波数f0〜f1の範囲,周波数f1〜f2の範囲,周波数f2〜f3の範囲,周波数f3〜f4の範囲に対応している。
【0022】
〔プログラマブル分周器〕
図1に戻って、プログラマブル分周器12は、予め設定された分周比D12に応じて発振クロックCKoutを分周して分周クロックCKdivを生成する。
【0023】
〔直流電圧供給回路〕
直流電圧供給回路13は、粗調整モードにおいて、直流電圧V13を制御ノードNiに供給するとともに、発振電圧VP,VNの直流値に応じて直流電圧V13の電圧値を変化させる。ここでは、直流電圧供給回路13は、発振電圧VP,VNの直流値が予め定められた基準値(例えば、電源電圧の1/2)よりも高い場合には、発振電圧VP,VNの直流値と基準値との差に応じて直流電圧V13の電圧値を増加させ、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも低い場合には、発振電圧VP,VNの直流値と基準値との差に応じて直流電圧V13の電圧値を減少させる。また、直流電圧供給回路13は、粗調整モードにおいて、直流電圧V13の供給を停止する。
【0024】
図2のように、例えば、直流電圧供給回路13は、電圧検出部111と、電圧生成部112と、出力切替部113とを含む。電圧検出部111は、発振電圧VP,VNの高周波数成分を減衰させて発振電圧VP,VNの直流値VDを検出する。電圧検出部111は、抵抗素子R121,R122および容量素子C123によって構成されたローパスフィルタであっても良い。電圧生成部112は、電圧検出部111によって検出された発振電圧VP,VNの直流値VDに応じた直流電圧V13を生成する。ここでは、電圧生成部112は、直流電圧V13の電圧値が発振電圧VP,VNの直流値VDに一致するように、直流電圧V13の電圧値を変化させる。電圧生成部112は、オペアンプA124,pMOSトランジスタT125,および抵抗素子R126によって構成された定電圧回路であっても良い。出力切替部113は、周波数帯域選択回路14からの制御信号S13に応答してオン/オフを切り替える。出力切替部113は、微調整モードにおいてオン状態に設定され、微調整モードにおいてオフ状態に設定される。
【0025】
〔周波数帯域選択回路〕
図1に戻って、周波数帯域選択回路14は、粗調整モードにおいて、電圧制御発振器11の発振周波数帯域が目標周波数(基準クロックCKrefの周波数とプログラマブル分周器12の分周比D12とによって定められる周波数)に対応する発振周波数帯域に設定されるように、基準クロックCKrefと分周クロックCKdivとの周波数差に基づいて粗調整コンデンサ102p,102nの容量値を切り替える。
【0026】
〔発振制御回路〕
発振制御回路15は、微調整モードにおいて、基準クロックCKrefと分周クロックCKdivとの位相差に応じて制御ノードNiにおける制御電圧VTを増減させる。また、発振制御回路15は、粗調整モードにおいて、制御電圧VTの増減処理を実行しない。例えば、発振制御回路15は、位相差検出器(PD)16と、チャージポンプ(CP)17と、ローパスフィルタ(LPF)18とを含む。位相差検出器16は、分周クロックCKdivの位相が基準クロックCKrefの位相よりも遅れている場合にはアップ信号UPを出力し、分周クロックCKdivの位相が基準クロックCKrefの位相よりも進んでいる場合にはダウン信号DNを出力する。チャージポンプ17は、アップ信号UPに応答して出力電圧を増加させ、ダウン信号DNに応答して出力電圧を減少させる。また、チャージポンプ17は、周波数帯域選択回路14からの制御信号S15によってハイ・インピーダンス状態に設定される。ローパスフィルタ18は、チャージポンプ17の出力電圧の高周波成分を減衰させて制御ノードNiに供給する。なお、直流電圧V13は、ローパスフィルタ18を介して制御ノードNiに供給されても良いし、ローパスフィルタ18を介さずに制御ノードNiに直接供給されても良い。
【0027】
〔基本動作〕
次に、図3を参照しつつ、図1に示したPLL周波数シンセサイザによる基本動作について説明する。PLL周波数シンセサイザは、粗調整モードにおいて発振周波数帯域B0,B1,B2,B3の中から目標周波数fxに対応する発振周波数帯域B1を選択した後に微調整モードに移行し、微調整モードにおいて基準クロックCKrefと分周クロックCKdivとの位相差に応じて発振クロックCKoutの発振周波数を制御する。
【0028】
まず、周波数帯域選択回路14は、制御信号S13を用いて直流電圧供給回路13の出力切替部113をオン状態に設定し、制御信号S15を用いてチャージポンプ17をハイ・インピーダンス状態に設定する。直流電圧供給回路13は、電圧値VH0を有する直流電圧V13を供給する。これにより、制御電圧VTの電圧値は“電圧値VH0”に設定される。また、周波数帯域選択回路14は、粗調整コンデンサ102p,102nの容量値を切り替えながら(すなわち、電圧制御発振器11の発振周波数帯域を切り替えながら)、基準クロックCKrefの周波数と分周クロックCKdivの周波数とを比較する。例えば、周波数帯域選択回路14は、電圧制御発振器11の発振周波数を発振周波数帯域B3,B2,B1,B0の順番で1段階ずつ上げていく。この場合、制御電圧VTの電圧値は“電圧値VH0”に設定されているので、発振クロックCKoutの発振周波数は、周波数f3,f2,f1,f0の順番で増加していく。ここで、電圧制御発振器11の発振周波数帯域が発振周波数帯域B2から発振周波数帯域B1に切り替えられると、分周クロックCKdivの周波数は、基準クロックCKrefの周波数よりも高くなる。すなわち、分周クロックCKdivと基準クロックCKrefとの周波数の高低が逆転する。このようにして、電圧制御発振器11の発振周波数帯域は、目標周波数fxに対応する発振周波数帯域B1に設定される。
【0029】
次に、周波数帯域選択回路14は、制御信号S13を用いて直流電圧供給回路13の出力切替部113をオン状態からオフ状態に設定し、制御信号S15を用いてチャージポンプ17のハイ・インピーダンス状態を解除する。発振制御回路15は、基準クロックCKrefと分周クロックCKdivとの位相差に応じて制御電圧VTを増減させる。これにより、制御電圧VTの電圧値は“電圧値Vx”に設定され、発振クロックCKoutの発振周波数は“目標周波数fx”に設定される。
【0030】
〔発振電圧の直流値の変動〕
次に、製造ばらつき、電源電圧の変動、温度変化などによって発振電圧VP,VNの直流値が基準値から変動した場合について説明する。
【0031】
発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも高くなった場合、図4のように、発振電圧VP,VNの直流値の増加分に応じて、電圧制御発振器11のf−V特性(制御電圧VTと発振周波数fvcoとの関係)を示したf−V特性曲線は、右側(制御電圧VTが増加する方向)にシフトする。これに伴い、電圧制御発振器11のVCOゲインKvcoを示したゲイン特性曲線も、右側にシフトする。これにより、VCOゲインKvcoがゲイン値K1〜K2の範囲で変化する制御電圧VTの範囲は、電圧値VL0〜VH0の範囲から電圧値VL1〜VH1の範囲にシフトする。ここで、直流電圧供給回路13は、発振電圧VP,VNの直流値の増加分に応じて直流電圧V13の電圧値を増加させる。これにより、直流電圧V13の電圧値は、電圧値VH0から電圧値VH1にシフトする。その結果、微調整モードにおいて制御電圧VTを電圧値VL1〜VH1の範囲で変化させることができるので、VCOゲインKvcoの変化幅をゲイン値K1〜K2の範囲に維持できる。
【0032】
一方、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも低くなった場合、図5のように、発振電圧VP,VNの直流値の減少分に応じて、f−V特性曲線は、左側(制御電圧VTが減少する方向)にシフトする。これに伴い、ゲイン特性曲線も左側にシフトするため、VCOゲインKvcoがゲイン値K1〜K2の範囲で変化する制御電圧VTの範囲は、電圧値VL0〜VH0の範囲から電圧値VL2〜VH2の範囲にシフトする。ここで、直流電圧供給回路13は、発振電圧VP,VNの直流値の減少分に応じて直流電圧V13の電圧値を減少させる。これにより、直流電圧V13の電圧値は、電圧値VH0から電圧値VH2にシフトする。そのため、微調整モードにおいて制御電圧VTを電圧値VL2〜VH2の範囲で変化させることができるので、VCOゲインKvcoの変化幅をゲイン値K1〜K2の範囲に維持できる。
【0033】
以上のように、発振電圧VP,VNの直流値の変動量に応じて直流電圧V13の電圧値を変化させることにより、電圧制御発振器11のゲイン特性の変動を抑制できる。これにより、PLL周波数シンセサイザの特性変動(例えば、ループ時定数のばらつき)を抑制できる。
【0034】
(実施形態1の変形例)
なお、直流電圧供給回路13は、発振電圧VP,VNの両方ではなくいずれか一方の直流値に応じて直流電圧V13の電圧値を変化させても良い。また、直流電圧供給回路13は、直流電圧V13の電圧値が発振電圧VP,VNの直流値(または、発振電圧VP,VNのいずれか一方の直流値)に予め定められたオフセット値を加算して得られる電圧値に一致するように直流電圧V13の電圧値を変化させても良い。例えば、図1に示したPLL周波数シンセサイザは、直流電圧供給回路13に代えて、図6に示した直流電圧供給回路13aを備えていても良い。直流電圧供給回路13aにおいて、電圧検出部111aは、発振電圧VPの高周波数成分を減衰させて発振電圧VPの直流値VDを検出する。例えば、電圧検出部111aは、抵抗素子R121および容量値C123によって構成されたローパスフィルタである。電圧生成部112aは、電圧検出部111aによって検出された発振電圧VPの直流値VDにオフセット値を加算して得られる電圧値を有する直流電圧V13を生成する。例えば、電圧生成部112aは、オペアンプA124,pMOSトランジスタT125,抵抗素子R126,R127によって構成された定電圧回路である。このように、直流電圧V13がオフセット値を含むことにより、粗調整モードにおける制御電圧VTの電圧値を発振電圧VP,VNの直流値とは異なる任意の電圧値(例えば、電圧値VL0)に設定できる。また、粗調整モードにおける制御電圧VTの電圧値を調整することにより、微調整モードにおける制御電圧VTの変化範囲を調整できるので、電圧制御発振器11のゲイン特性をさらに改善できる。
【0035】
さらに、直流電圧V13に含まれるオフセット値は、可変値であっても良い。例えば、図2,図6に示した直流電圧供給回路13,13aは、電圧生成部112,112aに代えて、図7に示した電圧生成部112bを含んでいても良い。電圧生成部112bは、直流電圧V13の電圧値が発振電圧VP,VNの直流値にオフセット値を加算して得られる電圧値に一致するように、直流電圧V13の電圧値を変化させる。また、電圧生成部112bは、外部からの制御信号SEL1,SEL2に応答してオフセット値を変更する。例えば、電圧生成部112bは、図2に示した抵抗素子R126に代えて、直列接続されたn個の抵抗素子R1,R2,…,Rnと、切替部131,132とを含む。切替部131は、制御信号SEL1に応答してn個の抵抗素子R1,R2,…,Rnのうちいずれか1つをオペアンプA124の非反転入力端子に接続し、切替部132は、制御信号SEL2に応答してn個の抵抗素子R1,R2,…,Rnのうちいずれか1つを出力切替部113に接続する。このように、直流電圧V13に含まれるオフセット値を可変値にすることにより、粗調整モードにおける制御電圧VTの電圧値および微調整モードにおける制御電圧VTの変化範囲を任意に設定できる。
【0036】
(実施形態2)
図8は、実施形態2によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す。このPLL周波数シンセサイザは、図1に示したPLL周波数シンセサイザの構成に加えて、電圧制御発振器11と同一の構成を有するモニタ回路21を備える。周波数帯域選択回路14は、電圧制御発振器11に含まれる粗調整コンデンサ102p,102nの容量値を切り替えるとともに、モニタ回路21に含まれる粗調整コンデンサ102p,102nの容量値も切り替える。また、電圧制御発振器11と同様に、モニタ回路21の制御ノードNiには、制御電圧VTが供給される。直流電圧供給回路13は、発振電圧VP,VNの代わりにモニタ回路21の発振ノードNp,Nnに発生するモニタ電圧VMP,VMNを受け、モニタ電圧VMP,VMNの直流値に応じて直流電圧V13の電圧値を変化させる。
【0037】
以上のように、電圧制御発振器11の発振電圧VP,VNの代わりにモニタ回路21のモニタ電圧VMP,VMNを直流電圧供給回路13に与えることにより、電圧制御発振器11の発振ノードNp,Nnに直流電圧供給回路13を接続しなくても良くなるので、発振クロックCKoutにノイズが重畳することを抑制できる。
【0038】
(実施形態2の変形例)
なお、図8に示したPLL周波数シンセサイザは、モニタ回路21および直流電圧供給回路13に代えて、図9に示したモニタ回路21aおよび直流電圧供給回路23を備えていても良い。モニタ回路21aは、pMOSトランジスタMP3と、nMOSトランジスタMN3とを含む。pMOSトランジスタMP3のソースは、電源ノードに接続され、nMOSトランジスタMN3のソースは、接地ノードに接続され、pMOSトランジスタMP3のドレインおよびゲートとnMOSトランジスタMN3のドレインおよびゲートは、モニタノードNmに接続される。すなわち、pMOSトランジスタMP3およびnMOSトランジスタMN3は、電圧制御発振器11に含まれるpMOSトランジスタMN1およびnMOSトランジスタMN1にそれぞれ対応する。このように構成することにより、電圧制御発振器11の発振ノードNpにおける電圧特性がモニタノードNmに擬似的に再現される。これにより、モニタノードNmには、電圧制御発振器11の発振ノードNpにおける発振電圧VPの直流値に相当するモニタ電圧VMが発生する。
【0039】
直流電圧供給回路23は、発振電圧VP,VNの代わりにモニタ回路21aによって生成されたモニタ電圧VMを受け、モニタ電圧VMに応じて直流電圧V13の電圧値を変化させる。ここでは、モニタ電圧VMの直流値を検出しなくても良いので、直流電圧供給回路23は、電圧検出回路111,111aを含んでいなくても良い。
【0040】
以上のように、簡素化されたモニタ回路によって電圧制御発振器11の発振電圧VP,VNの直流値を擬似的に再現することにより、発振クロックCKoutにノイズが重畳することを抑制しつつ、図8に示したモニタ回路21よりも回路面積を削減できる。
【0041】
(実施形態3)
図10は、実施形態3によるPLL周波数シンセサイザの構成例を示す。このPLL周波数シンセサイザは、図1に示した電圧制御発振器11および直流電圧供給回路13に代えて、電圧制御発振器31および直流電圧供給回路33を備える。
【0042】
〔電圧制御発振器〕
電圧制御発振器31は、図1に示した微調整コンデンサ101p,101nに代えて、微調整コンデンサ301p,301nを含む。その他の構成は、図1に示した電圧制御発振器11と同様である。微調整コンデンサ301pは、制御電圧VTから発振電圧VPを減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有する。例えば、微調整コンデンサ301pは、発振ノードNpに接続されたソースおよびドレインと制御ノードNiに接続されたゲートとを有するMOS型可変容量素子によって構成される。微調整コンデンサ301nは、微調整コンデンサ301pと同様の構成である。
【0043】
〔直流電圧供給回路〕
直流電圧供給回路33は、粗調整モードにおいて、直流電圧V33を制御ノードNiに供給する。ここでは、直流電圧供給回路33は、発振電圧VP,VNの直流値が予め定められた基準値(例えば、電源電圧の1/2)よりも高い場合には、発振電圧VP,VNの直流値と基準値との差に応じて直流電圧V33の電圧値を減少させ、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも低い場合には、発振電圧VP,VNの直流値と基準値との差に応じて直流電圧V33の電圧値を増加させる。また、直流電圧供給回路33は、微調整モードにおいて、直流電圧V33の供給を停止する。
【0044】
例えば、図11のように、直流電圧供給回路33は、電圧検出部111と、電圧生成部312と、出力切替部113とを含む。電圧生成部312は、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも高い場合には、直流電圧V33の電圧値が所定値(例えば、基準値)から差分値(発振電圧VP,VNの直流値と基準値と差)を減算して得られる電圧値に一致するように直流電圧V33の電圧値を変化させ、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも低い場合には、直流電圧V33の電圧値が所定値に差分値を加算して得られる電圧値に一致するように直流電圧V33の電圧値を変化させる。電圧生成部312は、pMOSトランジスタT321および抵抗素子R322,R323によって構成されていても良い。
【0045】
〔位相差検出器〕
また、ここでは、位相差検出器16は、分周クロックCKdivの位相が基準クロックCKrefの位相よりも遅れている場合には、ダウン信号DNを出力し、分周クロックCKdivの位相が基準クロックCKrefの位相よりも進んでいる場合には、アップ信号UPを出力する。
【0046】
〔発振電圧の直流値の変動〕
次に、製造ばらつき、電源電圧の変動、温度変化などによって発振電圧VP,VNの直流値が基準値から変動した場合について説明する。
【0047】
発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも高くなった場合、図12のように、発振電圧VP,VNの直流値の増加分に応じて、f−V特性曲線は、左側(制御電圧VTが減少する方向)にシフトする。これに伴い、ゲイン特性曲線も、左側にシフトする。これにより、VCOゲインKvcoがゲイン値K1〜K2の範囲で変化する制御電圧VTの範囲は、電圧値VL0〜VH0の範囲から電圧値VL3〜VH3の範囲にシフトする。ここで、直流電圧供給回路33は、発振電圧VP,VNの直流値の増加分に応じて直流電圧V33の電圧値を減少させる。これにより、直流電圧V13の電圧値は、電圧値VH0から電圧値VH3にシフトする。そのため、微調整モードにおいて制御電圧VTを電圧値VL3〜VH3の範囲で変化させることができるので、VCOゲインKvcoの変化幅をゲイン値K1〜K2の範囲に維持できる。
【0048】
一方、発振電圧VP,VNの直流値が基準値よりも低くなった場合、図13のように、発振電圧VP,VNの直流値の減少分に応じて、f−V特性曲線は、右側(制御電圧VTが増加する方向)にシフトする。これに伴い、ゲイン特性曲線も右側にシフトする。これにより、VCOゲインKvcoがゲイン値K1〜K2の範囲で変化する制御電圧VTの範囲は、電圧値VL0〜VH0の範囲から電圧値VL4〜VH4の範囲にシフトする。ここで、直流電圧供給回路33は、発振電圧VP,VNの直流値の減少分に応じて直流電圧V33の電圧値を増加させる。これにより、直流電圧V33の電圧値は、電圧値VH0から電圧値VH4にシフトする。そのため、微調整モードにおいて制御電圧VTを電圧値VL4〜VH4の範囲で変化させることができるので、VCOゲインKvcoの変化幅をゲイン値K1〜K2の範囲に維持できる。
【0049】
以上のように、発振電圧VP,VNの直流値の変動量に応じて直流電圧V33の電圧値を変化させることにより、電圧制御発振器31のゲイン特性の変動を抑制できる。これにより、PLL周波数シンセサイザの特性変動を抑制できる。
【0050】
なお、実施形態1の変形例と同様に、直流電圧V33は、オフセット値を含んでいても良い。さらに、直流電圧V33に含まれるオフセット値が可変値であっても良い。
【0051】
また、実施形態2と同様に、図10に示したPLL周波数シンセサイザは、電圧制御発振器31と同一の構成を有するモニタ回路をさらに備えていても良い。この場合、直流電圧供給回路33は、モニタ回路の発振ノードNp,Nnにそれぞれ発生するモニタ電圧の直流値に応じて直流電圧V33の電圧値を変化させても良い。または、実施形態2の変形例と同様に、図10に示したPLL周波数シンセサイザは、図9に示したモニタ回路21aをさらに備えていても良い。この場合、直流電圧供給回路33は、電圧検出部111を含んでいなくても良い。
【0052】
(その他の実施形態)
以上の各実施形態において、微調整コンデンサ101p,101n,301p,301nは、MOS型可変容量素子であっても良いし、可変容量ダイオードであっても良い。また、電圧制御発振器11,31の構成は、図1,図10に示した構成(差動型)に限らず、他の構成であっても良い。電圧制御発振器は、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つの微調整コンデンサと、少なくとも1つの粗調整コンデンサとを含むものであっても良い。
【0053】
さらに、周波数帯域選択回路14は、電圧制御発振器の発振周波数帯域を目標周波数に対応する発振周波数帯域に設定するために、電圧制御発振器の発振周波数を発振周波数帯域B0,B1,B2,B3の順番で1段階ずつ下げていっても良いし、その他の手順で電圧制御発振器11の発振周波数を切り替えても良い。また、粗調整モードにおいて、制御電圧VTの電圧値(すなわち、直流電圧の電圧値)は、電圧値VL0に設定されても良いし、電圧値VL0〜VH0の範囲に属する任意の電圧値に設定されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、上述のPLL周波数シンセサイザは、電圧制御発振器のゲイン特性の変動を抑制できるので、電波の送受に必要なローカル信号を発生させるためのクロック生成回路などとして有用である。
【符号の説明】
【0055】
11,31 電圧制御発振器(VCO)
12 プログラマブル分周器
13,23,33 直流電圧供給回路
14 周波数帯域選択回路
15 発振制御回路
16 位相差検出器(PD)
17 チャージポンプ(CP)
18 ローパスフィルタ(LPF)
100 インダクタ
101p,102n 微調整コンデンサ
102p,102n 粗調整コンデンサ
MP1,MP2 pMOSトランジスタ
MN1,MN2 nMOSトランジスタ
21,21a モニタ回路(MON)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗調整モードおよび微調整モードを有するPLL周波数シンセサイザであって、
インダクタと、制御ノードと発振ノードとの間に接続され前記制御ノードと前記発振ノードとの電圧差に応じて容量値を連続的に変更可能な微調整コンデンサと、容量値を段階的に切替可能な粗調整コンデンサとを含み、前記インダクタのインダクタンス値と前記微調整コンデンサおよび前記粗調整コンデンサの容量値とに応じた発振周波数を有する発振クロックを生成する電圧制御発振器と、
前記発振クロックを分周して分周クロックを生成する分周器と、
前記粗調整モードにおいて、直流電圧を前記制御ノードに供給するとともに前記発振ノードにおける発振電圧の直流値に応じて前記直流電圧の電圧値を変化させ、前記微調整モードにおいて、前記直流電圧の供給を停止する直流電圧供給回路と、
前記粗調整モードにおいて、前記電圧制御発振器の発振周波数帯域が基準クロックの周波数と前記分周器の分周比とによって定められる目標周波数に対応する発振周波数帯域に設定されるように、前記基準クロックと前記分周クロックとの周波数差に基づいて前記粗調整コンデンサの容量値を切り替える周波数帯域選択回路と、
前記微調整モードにおいて、前記基準クロックと前記分周クロックとの位相差に応じて前記制御ノードにおける制御電圧を増減させる発振制御回路とを備える
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項2】
請求項1において、
前記微調整コンデンサは、前記発振電圧から前記制御電圧を減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有し、
前記直流電圧供給回路は、前記発振電圧の直流値が予め定められた基準値よりも高い場合には、前記発振電圧の直流値と前記基準値との差に応じて前記直流電圧の電圧値を増加させ、前記発振電圧の直流値が前記基準値よりも低い場合には、前記発振電圧の直流値と前記基準値との差に応じて前記直流電圧の電圧値を減少させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項3】
請求項2において、
前記直流電圧供給回路は、前記直流電圧の電圧値が前記発振電圧の直流値に一致するように、前記直流電圧の電圧値を変化させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項4】
請求項2において、
前記直流電圧供給回路は、前記直流電圧の電圧値が前記発振電圧の直流値に予め定められたオフセット値を加算して得られる電圧値に一致するように、前記直流電圧の電圧値を変化させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項5】
請求項4において、
前記オフセット値は、可変値である
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項6】
請求項1において、
前記微調整コンデンサは、前記制御電圧から前記発振電圧を減算して得られる差電圧が大きくなるほど容量値が大きくなる容量特性を有し、
前記直流電圧供給回路は、前記発振電圧の直流値が予め定められた基準値よりも高い場合には、前記発振電圧の直流値と前記基準値との差に応じて前記直流電圧の電圧値を減少させ、前記発振電圧の直流値が前記基準値よりも低い場合には、前記発振電圧の直流値と前記基準値との差に応じて前記直流電圧の電圧値を増加させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記電圧制御発振器と同一の構成を有するモニタ回路をさらに備え、
前記直流電圧供給回路は、前記モニタ回路の発振ノードに発生するモニタ電圧を受け、前記モニタ電圧の直流値に応じて前記直流電圧の電圧値を変化させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記電圧制御発振器の発振ノードにおける電圧特性を擬似的に再現し、前記電圧特性に基づいて前記発振電圧の直流値に相当するモニタ電圧を生成するモニタ回路をさらに備え、
前記直流電圧供給回路は、前記モニタ回路によって生成されたモニタ電圧を受け、前記モニタ電圧に応じて前記直流電圧の電圧値を変化させる
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−9849(P2011−9849A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148810(P2009−148810)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】