PLL回路およびそれを用いた光ディスク装置
【課題】 PLL回路において位相誤差信号の線形性を改善して位相スリップを防止する。
【解決手段】 位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段(2〜8)と、位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段(13〜17)と、位相誤差信号と2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段(18)とを備え、加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とする。
【解決手段】 位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段(2〜8)と、位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段(13〜17)と、位相誤差信号と2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段(18)とを備え、加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コスタスループ方式を用いたPLL回路およびそれを用いた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを書き換え可能な光ディスクとして様々な形式の光ディスクが提案されているが、ディスクのトラック溝(以下、グルーブと呼ぶ)を蛇行(以下、ウォブルと呼ぶ)させ、そのウォブルにアドレス情報を記録する方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の光ディスクにおいては、位相変調をかけたウォブルを用いる技術が開示されている。また、同文献に記載の光ディスク装置は、検出したウォブル信号の周期が一定となるようにスピンドルモータの回転制御を行う。
【0003】
このような光ディスク装置において、アドレスの検出やスピンドル制御を行うために、ウォブル信号に同期したウォブルクロック生成するPLL回路は重要な構成要素である。PLLの方式は各種方式が提案されているが、直交検波方式を用いた方法の1つとして公知のコスタスループ法がある。
【0004】
この公知のコスタスループ法について図2のブロック図を用いて説明する。
【0005】
符号1は、図示せぬ光ピックアップの出力から生成されたウォブル信号であり、図3(a)に示すように位相変調された信号となっており、その信号は
【0006】
【数1】
【0007】
と表される。
【0008】
ここで、A1は振幅、ωC1は角周波数、tは時間である。また、φは位相情報でありウォブル信号の1周期を1単位として0°か180°のどちらかとなる。
【0009】
符号2は、搬送波生成回路であり後述するループフィルタ9の出力に応じて周波数が変化する搬送波を生成する。搬送波生成回路2には電圧制御発振器(VCO:Voltage Control Oscillator)を用いることができる。
搬送波生成回路2が出力する信号は
【0010】
【数2】
【0011】
で表される。
【0012】
ここで、A2は振幅、ωC2は角周波数、Δθはウォブル信号と搬送波の位相誤差である。
【0013】
PLL制御がロックしているときはウォブル信号の角周波数ωC1と搬送波のωC2角周波数は一致するので以降の説明は
【0014】
【数3】
【0015】
とする。
【0016】
また、数式の簡略化のため振幅A1,A2は
【0017】
【数4】
【0018】
として以降説明する。
【0019】
符号3は、積算回路でありウォブル信号1と搬送波生成回路2の出力信号とを積算して出力する。その出力は(数1)と(数2)を積算したものであるから
【0020】
【数5】
【0021】
となる。
【0022】
符号4は、ローパスフィルタ(以下、LPFと呼ぶ)であり、その遮断周波数は(数5)の第1項の周波数2ωCより十分低く設定されているものとする。このため第1項の成分はLPF4によって十分抑圧されるがDC成分である第2項成分はLPF4を通過する。よって、LPF4の出力は
【0023】
【数6】
【0024】
となる。
【0025】
符号5は、90°位相器であり、搬送波生成回路2の出力に対して位相を90°進める。すなわち、その出力は
【0026】
【数7】
【0027】
と表される。(数2)がウォブル信号に対して同相搬送波であるのに対して(数7)は直交搬送波となる。
【0028】
符号6は、積算回路でありウォブル信号1と90°位相器5の出力信号とを積算して出力する。その出力は(数4)より
【0029】
【数8】
【0030】
となる。
【0031】
符号7は、LPFであり前述したLPF4と同じ遮断周波数が設定されているものとする。このとき(数8)の第1項は十分抑圧されるので、LPF7の出力は
【0032】
【数9】
【0033】
となる。
【0034】
符号8は、積算回路でありLPF4の出力とLPF7の出力とを積算して出力する。積算回路8は(数6)と(数9)とを積算するので、その出力は
【0035】
【数10】
【0036】
となる。(数10)は位相誤差Δθに応じて変化する信号であり、PLL回路における位相誤差信号となる。
【0037】
符号9は、ループフィルタであり、PLL制御の安定性を向上するために制御特性のゲインと位相を補償する。
【0038】
符号10は、識別器であり、(数6)の極性に応じた2値信号を出力する。(数6)においてPLLがロックしている状態では位相誤差Δθはほぼ0であるので、φ=0°のときは(数6)は正極性となる。このとき、識別器10の出力は0(Lowレベル)を出力するものとする。一方、φ=180°のときは(数6)は負極性となる。このとき、識別器10の出力は1(Hiレベル)を出力するものとする。
【0039】
すなわち、図3(a)に示したウォブル信号にPLLがロックしている状態においては、識別器10は図3(b)に示す信号を出力する。図3(b)において、Lowレベルが位相=0°を示しており、Hiレベルが位相=180°を示している。
【0040】
以上に述べたように、コスタスループ法を用いると(数10)に示した位相誤差Δθに応じた位相誤差信号を生成してフィードバック制御を行うことによって、ウォブル信号にロックしたウォブルクロックを生成することができる。また、識別器10によって(数6)の極性を判別することによって、ウォブル信号に含まれる位相情報を取り出すことができる。
【0041】
以上に述べたコスタスループ法を用いたPLL回路の問題点を以下に説明する。
【0042】
光ディスク装置のPLL回路独特の問題としては、高帯域化が難しいという点がある。PLLの帯域を高くすればゲインが大きくなるので残留位相誤差は小さくなる。しかし一方で、ディスクの表面上に付着したゴミや指紋などの欠陥部におけるウォブル信号の乱れにPLLが追従し易くなり、ウォブルクロックが乱れてスピンドル制御が不安定になってしまう。
【0043】
PLLが追従すべきウォブル信号の外乱の主成分はディスクの偏芯成分であり、その周波数成分は欠陥部での乱れの周波数成分に比べて十分低い。そこで、PLLの帯域を偏芯によるウォブル信号のゆらぎに追従できる程度に下げて欠陥部のウォブル信号の乱れに追従しないようにする方法が一般的に用いられる。
【0044】
なお、残留位相誤差はウォブル1周期の10分の1程度まで許容できることが経験的に知られている。
【0045】
積算回路8が出力する(式10)の位相誤差信号の波形図を図4に示す。同図において横軸が位相誤差Δθであり、縦軸が位相誤差信号のレベルである。上述したように残留位相誤差は1ウォブル周期の10分の1、つまり±36°まで許容できるので、図4の点Aから点Bまでの範囲内を遷移することになる。
【0046】
ここで、図4に示した位相誤差信号における傾きは、PLLの一巡伝達関数の一部である。つまり、位相誤差=+36°のときと位相誤差=0°のときにおける位相誤差信号の傾きの比は
【0047】
【数11】
【0048】
より0.309となる。
【0049】
つまり、位相誤差=0°のときに比べて位相誤差=+36°の時は一巡伝達関数のゲインが0.309倍(=-10.2dB)となる。なお、位相誤差=-36°のときも同様に一巡伝達関数のゲインは-10.2dBとなることは言うまでもない。
【0050】
このように、ゲインが約10dBも低下すると位相誤差を十分抑圧できなくなるので、位相誤差は図4の位相誤差=±45°以内の区間を超えてしまう。位相誤差=±45°の区間は負帰還領域であり、この区間以外では位相誤差信号の傾きが逆になってしまう。つまり位相誤差信号の傾きが逆になる区間は正帰還領域であるのでPLLはロックすることができず、位相誤差信号の傾きが再びロック時と同じになる位相誤差=±180°においてロックする。
【0051】
この現象を位相スリップと呼ぶ。位相スリップが発生すると(数6)のΔθはπとなるので、(数6)の極性が反転する。このことは図3(b)に示した位相情報の極性が逆になることを意味するので、ウォブル信号に含まれる位相情報を正しく検出することができない。
【0052】
以上に述べた位相スリップの原因は、負帰還領域における位相誤差信号の傾きが変動する、つまり位相誤差信号の線形性が悪いことである。この対策として、位相誤差信号の線形性を改善する方法が提案されている。例えば、非特許文献1では、位相誤差信号をsinθとした場合に、位相誤差信号に対して位相が90°ずれたcosθを生成して
【0053】
【数12】
【0054】
と演算することで位相誤差信号の線形性を改善する方法を提案している。なお、(数12)におけるαは0.7程度が望ましい。
【0055】
【特許文献1】特開2000−339861号公報
【非特許文献1】畑 雅恭・古川計介著「PLL−ICの使い方」図6.5 産報出版 1976年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0056】
PLL回路を実現するにあたって、部品点数削減や特性の安定化を目的として、ディジタル回路を用いることがある。
【0057】
例えば、図5に示すようにウォブル信号1を符号11で示すアナログ・ディジタル変換回路(以下、A/D変換回路)によりディジタル信号へ変換し、図2において説明した位相誤差信号の生成及びループフィルタ演算をディジタル信号処理により行い、ループフィルタ9の出力を符号12で示すディジタル・アナログ変換回路(以下D/A変換回路)によりアナログ信号へ変換する構成が考えられる。
【0058】
なお、符号3から9までの構成要素は図2で説明したものと同じ動作をするものとしてその詳細説明は省略するが、各信号はディジタル信号であるものとする。また、搬送波生成回路2はD/A変換回路12が出力するアナログ信号に応じて周波数が変化する搬送波を出力するが、その搬送波はディジタルデータであるものとする。例えば、D/A変換回路12の出力に応じてVCOによりクロックを生成してカウンタを動作させ、そのカウント値に従ってテーブルデータを参照し出力する構成が考えられる。
【0059】
このようなディジタル回路を用いたPLL回路に、上述した非特許文献1に記載の技術を適用しようとすると、除算回路が必要となる。ディジタル回路においては、加算回路や積算回路は1クロックで演算が終了するのに対して、除算回路は演算が終了するまで複数のクロック期間が必要であり、データのビット数が多ければ多いほど演算時間が長くなることは一般的に知られている。
【0060】
このことより、多ビットの高精度なデータを演算することが求められるディジタルPLL回路に上記非特許文献1を適用すると、演算時間の増大を招くことになる。
【0061】
光ディスク装置は熾烈な高速化競争が行われており、それに伴いPLL回路にも動作速度の向上が求められている。このような状況において、光ディスク装置の高速化を妨げる要因となる除算回路が必要な上記非特許文献1に記載の技術を用いることは好ましくない。
【0062】
以上の課題に鑑みて本発明の目的は、高速にディジタル処理を行うことが可能であり、位相誤差信号の線形性を改善して位相スリップを防止したPLL回路、およびそれを用いた光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0063】
本発明は、PLL回路において、入力信号から位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段と、前記位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段と、前記位相誤差信号と前記2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段とを備え、前記加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とする。
【0064】
ここで、前記2次高調波はその極性が前記位相誤差信号とは逆極性であることを特徴とする。
【0065】
また本発明は、前記PLL回路において、前記位相誤差生成手段は前記入力信号に対して同相となる搬送波を生成する同相搬送波生成手段と、同相搬送波生成手段の出力波形に対して直交する搬送波を生成する直交搬送波生成手段と、前記入力信号と前記同相搬送波生成手段の出力との積をとる第1の積算手段と、受信入力信号と前記直交搬送波生成手段の出力との積をとる第2の積算手段と、前記第1の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第1のローパスフィルタと、前記第2の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第2のローパスフィルタと、前記第1のローパスフィルタの出力と前記第2のローパスフィルタの出力との積をとる第3の積算手段とを備えて、前記第3の積算手段の出力を位相誤差信号として出力し、前記2次高調波生成手段は前記第1のローパスフィルタの出力を2乗する第1の2乗手段と、前記第2のローパスフィルタの出力を2乗する第2の2乗手段と、前記第2の2乗手段の出力から前記第1の2乗手段の出力を減算する減算手段と、前記第3の積算手段の出力に所定の係数をかけるゲイン手段と、前記減算手段の出力と前記ゲイン手段の出力の積をとる第4の積算手段とを備え、前記第4の積算手段の出力を2次高調波として出力し、前記第3の積算手段の出力と前記第4の積算手段の出力との和をとる加算手段と、前記加算手段の出力に対してゲインと位相の補償を行う補償手段とを備え前記補償手段の出力に応じて前記同相搬送波生成手段は搬送波の周波数を変化させることを特徴とする。
【0066】
ここで、前記PLL回路において、前記ゲイン手段は前記入力信号に2倍の係数をかけることを特徴とする。
【0067】
さらに、前記PLL回路において、前記補償手段の出力に応じたクロックを生成するクロック生成手段を備え、前記同相搬送波生成手段の出力および前記直交搬送波生成手段の出力は前記クロック生成手段の出力に応じて生成されることを特徴とする。
【0068】
また、前記PLL回路であり、光ディスクに対してレーザ光を照射する発光手段と、光ディスクからの反射光に応じた信号を生成して出力する信号生成手段と、前記信号生成手段の出力からウォブル信号を生成するウォブル信号生成手段とを備え、前記ウォブル信号を前記入力信号とすることを特徴とする。
【0069】
さらに、前記PLL回路を備える光ディスク装置であって、前記第1のローパスフィルタの出力から前記ウォブル信号に含まれる位相情報を判別する位相判別手段と、前記位相判別手段の出力から光ディスクのアドレス情報を検出するアドレス検出手段とを備えることを特徴とする。
【0070】
また、前記PLL回路を備える光ディスク装置であって、前記搬送波生成手段の出力を2値化する2値化手段と、前記2値化手段の出力を所定の値に分周する分周手段とを備え、前記分周手段の出力を用いてスピンドルモータの制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、位相スリップを防止したPLL回路、およびそれを用いた光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、本発明の実施形態に係るPLL回路について図1のブロック図を用いて説明する。
【0073】
符号1はウォブル信号であり、先に説明したA/D変換回路11によりディジタルデータに変換される。
【0074】
符号2、3、4は、前述した搬送波生成回路、積算回路、LPFであり、搬送波生成回路2の出力とA/D変換回路11の出力が積算回路3で積算され、その積算出力はLPF4により高域成分が抑圧される。
【0075】
符号5、6、7は、前述した90°位相器、積算回路、LPFであり、搬送波生成回路2の出力は90°位相器5により位相が90°進められた後、積算回路6によりA/D変換回路11の出力と積算され、その積算出力はLPF7により高域成分が抑圧される。
【0076】
符号8は前記の積算回路であり、LPF4とLPF7の出力を積算して出力する。
【0077】
符号13、14は積算回路であり、それぞれLPF4の出力、LPF7の出力を2乗して出力する。
【0078】
符号15は、減算回路であり、積算回路14の出力から積算回路13の出力を減算して出力する。
【0079】
符号16は、ゲイン回路であり、積算回路8の出力に所定の係数Gを積算して出力する。
【0080】
符号17は、積算回路であり、減算回路15の出力とゲイン回路16の出力とを積算して出力する。
【0081】
符号18は、加算回路であり、積算回路8と積算回路17の出力を加算して出力する。
【0082】
符号9は、先に説明したループフィルタであり、PLL制御の安定性を向上するために制御特性のゲインと位相を補償する。
【0083】
符号12は、先に説明したD/A変換回路であり、ループフィルタ9の出力をアナログ信号へ変換して出力し、搬送波生成回路2へ制御信号として供給される。
【0084】
以上の構成において、各構成要素の動作について以下に説明する。
【0085】
LPF4の出力が(数6)であることは先に説明したが、積算回路13により(数6)は2乗されるので、積算回路13の出力は
【0086】
【数13】
【0087】
となる。
【0088】
位相情報φは0°または180°であるので
【0089】
【数14】
【0090】
となる。
【0091】
同様に、LPF7の出力(数9)は積算回路14により2乗されるので、積算回路14の出力は
【0092】
【数15】
【0093】
となる。
【0094】
減算回路15により積算回路14の出力(数15)から積算回路13の出力(数14)を減算すると
【0095】
【数16】
【0096】
となり、DC成分が除去される。
【0097】
ゲイン回路16は、積算回路8の出力(数10)にゲインGを積算するので、その出力は
【0098】
【数17】
【0099】
となる。
【0100】
積算回路17は、減算回路15の出力(数16)とゲイン回路16の出力(数17)を積算するので、その出力は
【0101】
【数18】
【0102】
となる。
【0103】
ここで、(数18)と従来の位相誤差信号である(数10)を比較すると、(数18)は従来の位相誤差信号に対して、2次高調波となっていることが分かる。
【0104】
加算回路18は、積算回路8の出力(数10)と積算回路17の出力(18)とを加算するので、その出力は
【0105】
【数19】
【0106】
となり、従来の位相誤差信号である(数10)に対して2次高調波である(数18)が加算された信号となる。
【0107】
(数19)の波形を図6に示す。図6において横軸は位相誤差Δθであり、縦軸は位相誤差信号のレベルである。図6において、ゲインGに応じて位相誤差信号の波形が変化していることが分かる。さらに、位相誤差信号の傾きは(数19)を微分したものであるから
【0108】
【数20】
【0109】
となる。
【0110】
(数20)の波形を図7に示す。図7において横軸は位相誤差Δθであり、縦軸は位相誤差信号の傾きである。図7において、PLLの残留許容位相誤差±36°の範囲内における位相誤差信号の最大値と最小値およびその差分を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1においては、G=2の場合が最大値の最小値に差分が一番小さい。つまり、位相誤差信号の傾きの変動が一番小さいといえる。G=0の場合が従来の位相誤差信号と同じであるから、G=0の場合と比較して位相誤差信号の線形性が改善されていることが分かる。
【0113】
なお、ゲインGを0から3まで詳細に設定した場合の位相誤差信号の最大値と最小値の差分を図8に示す。図8において横軸は位相誤差Δθ、縦軸は位相誤差信号レベルの最大値と最小値の差分である。図8より、ゲインG=1.6程度で差分は最も小さくなり、位相誤差信号の傾きの変動が最小となる。
【0114】
しかしながら、G=2でも位相誤差信号の線形性改善の効果は十分であり、さらにはG=2とした場合、ゲイン回路16は1ビット左シフトの回路という簡単な構成で実現できる。よって、コストと効果のバランスを考えるとG=2が望ましい。
【0115】
ここで従来の位相誤差信号(数10)とG=2の場合のときの2次高調波(数18)の波形を図11に示す。図11より、位相誤差信号と2次高調波はその極性が逆になっていることが判る。
【0116】
つまり、以上に述べた本発明の実施の形態は、従来の位相誤差信号に対して、逆極性の2次高調波を生成して加算することにより、位相誤差信号の線形性を改善することができる。そして、この線形性を改善した位相誤差信号を用いてPLLの制御を行うことで位相スリップを防止することができる。さらに、2次高調波のゲインGを2とすることで、簡単で低コストな回路構成で位相誤差信号の線形性を改善可能としている。
【0117】
なお、本実施の形態ではループフィルタ9の出力をD/A変換回路12を用いてアナログ信号に変換する構成を説明したループフィルタ9の出力をPWM信号として出力し、その出力信号をLPFで平滑化してもよい。
【0118】
また、搬送波生成回路2の構成の一例を図9に示す。符号19はVCOであり、ループフィルタ9の出力に応じた周波数のクロック信号を出力する。符号20はカウンタ回路であり、VCO19が出力するクロック信号に応じて所定の数までカウントアップする。所定の数までカウントアップした後は再び0に戻りカウントアップする。符号21はテーブルデータであり、カウンタ回路20の出力をアドレスとして、アドレスに対応するディジタルデータを出力する。なお、テーブルデータ21の出力はディジタルデータであるが、便宜的にアナログ的に表すと(数2)と同様な波形となるものとする。
【0119】
さらに、90°位相器5に関しては、図10に示すように、図9の構成に第2のテーブルデータ22を追加する構成でもよい。テーブルデータ22にはカウンタ回路20の出力が供給され、カウンタ回路の出力をアドレスとして、アドレスに対応するディジタルデータを出力する。なお、テーブルデータ22の出力はディジタルデータであるが、便宜的にアナログ的に表すと(数7)と同様な波形となるものとする。
【0120】
次に、本発明のPLL回路を用いた光ディスク装置の実施の形態を図12のブロック図を用いて説明する。
【0121】
符号23は光ディスクであり、相変化膜または有機膜などで構成される記録層を有する。また、記録トラックはウォブリング形状となっている。
【0122】
符号24はスピンドルモータであり、後述するスピンドル制御回路32からの出力信号に応じて、光ディスク23を回転させる。
【0123】
符号25は光ピックアップであり、図示しない対物レンズや半導体レーザ、対物レンズを駆動するアクチュエータ等を備え、光ディスク23に対してレーザ光を照射する。また、光ディスク23からの反射光に応じた信号を出力する。
【0124】
符号26は信号処理回路であり、光ピックアップ25からの出力を用いて光ディスク23に対する対物レンズの位置誤差を示すサーボ誤差信号を生成する。また、光ピックアップ25の出力から光ディスク23のウォブル信号を抽出して出力する。
【0125】
符号27はサーボ制御回路であり、信号処理回路26が出力するサーボ誤差信号に制御の安定性を改善するようにゲインと位相の補償を行い、光ピックアップ25内のアクチュエータを駆動する。
【0126】
符号28は、図1で説明したPLL回路全体である。なお、PLL回路28内の搬送波生成回路2および90°位相器5は図9および図10で説明した構成であるものとする。PLL回路28は、信号処理回路26が出力するウォブル信号が入力信号として供給される。また、PLL回路28からは内部のLPF4の出力が識別器29に供給される。さらに、内部のVCO19が出力するクロックが外部の分周回路31へ供給される。
【0127】
符号29は、識別器でありLPF4が出力する信号のHiレベルとLowレベルを識別する。
【0128】
符号30は、アドレスデコーダであり、識別器29が出力する信号から光ディスクのアドレス情報をデコードして出力する。なお、アドレスデコーダが出力するアドレス情報は、図示しないインターフェース回路を通じて、ホストであるコンピュータへ受け渡される。
【0129】
符号31は、分周回路であり、PLL回路28内部のVCO19が出力するクロック信号を所定の分周値に分周して出力する。
【0130】
符号32は、スピンドル制御回路であり、分周回路31が出力する信号が所定の周期となるようにスピンドルモータ24の回転を制御する。
【0131】
以上の構成から成る光ディスク装置においては、位相誤差信号の線形性が改善されているので位相スリップという問題が発生せず、識別器29が出力するウォブル信号の位相情報の信頼性が高い。よって、アドレスデコーダ30が出力するアドレス情報も信頼性が高いといえる。
【0132】
さらには、位相スリップが発生しないため分周回路31へ供給されるクロック信号のジッタも小さくなり、高精度なスピンドル制御が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明のPLL回路は、コスタスループ方式のPLL回路を用いる装置、例えば無線通信装置等に対しても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施形態に係るPLL回路のブロック図である。
【図2】公知のコスタスループ法を用いたPLL回路のブロック図である。
【図3】ウォブル信号と位相情報の信号波形図である。
【図4】位相誤差信号の波形図である。
【図5】ディジタル方式を用いたPLL回路のブロック図の例である。
【図6】本発明における位相誤差信号の波形図である。
【図7】本発明における位相誤差信号の傾きを示す図である。
【図8】本発明における位相誤差信号の傾きの最大値と最小値の差分を示す図である。
【図9】本発明における搬送波生成回路の一例である。
【図10】本発明における搬送波生成回路の他の一例である。
【図11】従来の位相誤差信号と本発明で生成する2次高調波の波形図である。
【図12】本発明のPLL回路を用いた光ディスク装置の実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0135】
1…ウォブル信号、2…搬送波生成回路、3,6,8,13,14,17…積算回路、4,7…ローパスフィルタ、5…90°位相器、9…ループフィルタ、10…識別器、11…アナログ・ディジタル変換回路、12…ディジタル・アナログ変換回路、15…減算回路、16…ゲイン回路、18…加算回路、19…電圧制御発振器、20…カウンタ回路、21,22…テーブルデータ、23…光ディスク、24…スピンドルモータ、25…光ピックアップ、26…信号処理回路、27…サーボ制御回路、28…PLL回路、29…識別器、30…アドレスデコーダ、31…分周回路、32…スピンドル制御回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コスタスループ方式を用いたPLL回路およびそれを用いた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを書き換え可能な光ディスクとして様々な形式の光ディスクが提案されているが、ディスクのトラック溝(以下、グルーブと呼ぶ)を蛇行(以下、ウォブルと呼ぶ)させ、そのウォブルにアドレス情報を記録する方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の光ディスクにおいては、位相変調をかけたウォブルを用いる技術が開示されている。また、同文献に記載の光ディスク装置は、検出したウォブル信号の周期が一定となるようにスピンドルモータの回転制御を行う。
【0003】
このような光ディスク装置において、アドレスの検出やスピンドル制御を行うために、ウォブル信号に同期したウォブルクロック生成するPLL回路は重要な構成要素である。PLLの方式は各種方式が提案されているが、直交検波方式を用いた方法の1つとして公知のコスタスループ法がある。
【0004】
この公知のコスタスループ法について図2のブロック図を用いて説明する。
【0005】
符号1は、図示せぬ光ピックアップの出力から生成されたウォブル信号であり、図3(a)に示すように位相変調された信号となっており、その信号は
【0006】
【数1】
【0007】
と表される。
【0008】
ここで、A1は振幅、ωC1は角周波数、tは時間である。また、φは位相情報でありウォブル信号の1周期を1単位として0°か180°のどちらかとなる。
【0009】
符号2は、搬送波生成回路であり後述するループフィルタ9の出力に応じて周波数が変化する搬送波を生成する。搬送波生成回路2には電圧制御発振器(VCO:Voltage Control Oscillator)を用いることができる。
搬送波生成回路2が出力する信号は
【0010】
【数2】
【0011】
で表される。
【0012】
ここで、A2は振幅、ωC2は角周波数、Δθはウォブル信号と搬送波の位相誤差である。
【0013】
PLL制御がロックしているときはウォブル信号の角周波数ωC1と搬送波のωC2角周波数は一致するので以降の説明は
【0014】
【数3】
【0015】
とする。
【0016】
また、数式の簡略化のため振幅A1,A2は
【0017】
【数4】
【0018】
として以降説明する。
【0019】
符号3は、積算回路でありウォブル信号1と搬送波生成回路2の出力信号とを積算して出力する。その出力は(数1)と(数2)を積算したものであるから
【0020】
【数5】
【0021】
となる。
【0022】
符号4は、ローパスフィルタ(以下、LPFと呼ぶ)であり、その遮断周波数は(数5)の第1項の周波数2ωCより十分低く設定されているものとする。このため第1項の成分はLPF4によって十分抑圧されるがDC成分である第2項成分はLPF4を通過する。よって、LPF4の出力は
【0023】
【数6】
【0024】
となる。
【0025】
符号5は、90°位相器であり、搬送波生成回路2の出力に対して位相を90°進める。すなわち、その出力は
【0026】
【数7】
【0027】
と表される。(数2)がウォブル信号に対して同相搬送波であるのに対して(数7)は直交搬送波となる。
【0028】
符号6は、積算回路でありウォブル信号1と90°位相器5の出力信号とを積算して出力する。その出力は(数4)より
【0029】
【数8】
【0030】
となる。
【0031】
符号7は、LPFであり前述したLPF4と同じ遮断周波数が設定されているものとする。このとき(数8)の第1項は十分抑圧されるので、LPF7の出力は
【0032】
【数9】
【0033】
となる。
【0034】
符号8は、積算回路でありLPF4の出力とLPF7の出力とを積算して出力する。積算回路8は(数6)と(数9)とを積算するので、その出力は
【0035】
【数10】
【0036】
となる。(数10)は位相誤差Δθに応じて変化する信号であり、PLL回路における位相誤差信号となる。
【0037】
符号9は、ループフィルタであり、PLL制御の安定性を向上するために制御特性のゲインと位相を補償する。
【0038】
符号10は、識別器であり、(数6)の極性に応じた2値信号を出力する。(数6)においてPLLがロックしている状態では位相誤差Δθはほぼ0であるので、φ=0°のときは(数6)は正極性となる。このとき、識別器10の出力は0(Lowレベル)を出力するものとする。一方、φ=180°のときは(数6)は負極性となる。このとき、識別器10の出力は1(Hiレベル)を出力するものとする。
【0039】
すなわち、図3(a)に示したウォブル信号にPLLがロックしている状態においては、識別器10は図3(b)に示す信号を出力する。図3(b)において、Lowレベルが位相=0°を示しており、Hiレベルが位相=180°を示している。
【0040】
以上に述べたように、コスタスループ法を用いると(数10)に示した位相誤差Δθに応じた位相誤差信号を生成してフィードバック制御を行うことによって、ウォブル信号にロックしたウォブルクロックを生成することができる。また、識別器10によって(数6)の極性を判別することによって、ウォブル信号に含まれる位相情報を取り出すことができる。
【0041】
以上に述べたコスタスループ法を用いたPLL回路の問題点を以下に説明する。
【0042】
光ディスク装置のPLL回路独特の問題としては、高帯域化が難しいという点がある。PLLの帯域を高くすればゲインが大きくなるので残留位相誤差は小さくなる。しかし一方で、ディスクの表面上に付着したゴミや指紋などの欠陥部におけるウォブル信号の乱れにPLLが追従し易くなり、ウォブルクロックが乱れてスピンドル制御が不安定になってしまう。
【0043】
PLLが追従すべきウォブル信号の外乱の主成分はディスクの偏芯成分であり、その周波数成分は欠陥部での乱れの周波数成分に比べて十分低い。そこで、PLLの帯域を偏芯によるウォブル信号のゆらぎに追従できる程度に下げて欠陥部のウォブル信号の乱れに追従しないようにする方法が一般的に用いられる。
【0044】
なお、残留位相誤差はウォブル1周期の10分の1程度まで許容できることが経験的に知られている。
【0045】
積算回路8が出力する(式10)の位相誤差信号の波形図を図4に示す。同図において横軸が位相誤差Δθであり、縦軸が位相誤差信号のレベルである。上述したように残留位相誤差は1ウォブル周期の10分の1、つまり±36°まで許容できるので、図4の点Aから点Bまでの範囲内を遷移することになる。
【0046】
ここで、図4に示した位相誤差信号における傾きは、PLLの一巡伝達関数の一部である。つまり、位相誤差=+36°のときと位相誤差=0°のときにおける位相誤差信号の傾きの比は
【0047】
【数11】
【0048】
より0.309となる。
【0049】
つまり、位相誤差=0°のときに比べて位相誤差=+36°の時は一巡伝達関数のゲインが0.309倍(=-10.2dB)となる。なお、位相誤差=-36°のときも同様に一巡伝達関数のゲインは-10.2dBとなることは言うまでもない。
【0050】
このように、ゲインが約10dBも低下すると位相誤差を十分抑圧できなくなるので、位相誤差は図4の位相誤差=±45°以内の区間を超えてしまう。位相誤差=±45°の区間は負帰還領域であり、この区間以外では位相誤差信号の傾きが逆になってしまう。つまり位相誤差信号の傾きが逆になる区間は正帰還領域であるのでPLLはロックすることができず、位相誤差信号の傾きが再びロック時と同じになる位相誤差=±180°においてロックする。
【0051】
この現象を位相スリップと呼ぶ。位相スリップが発生すると(数6)のΔθはπとなるので、(数6)の極性が反転する。このことは図3(b)に示した位相情報の極性が逆になることを意味するので、ウォブル信号に含まれる位相情報を正しく検出することができない。
【0052】
以上に述べた位相スリップの原因は、負帰還領域における位相誤差信号の傾きが変動する、つまり位相誤差信号の線形性が悪いことである。この対策として、位相誤差信号の線形性を改善する方法が提案されている。例えば、非特許文献1では、位相誤差信号をsinθとした場合に、位相誤差信号に対して位相が90°ずれたcosθを生成して
【0053】
【数12】
【0054】
と演算することで位相誤差信号の線形性を改善する方法を提案している。なお、(数12)におけるαは0.7程度が望ましい。
【0055】
【特許文献1】特開2000−339861号公報
【非特許文献1】畑 雅恭・古川計介著「PLL−ICの使い方」図6.5 産報出版 1976年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0056】
PLL回路を実現するにあたって、部品点数削減や特性の安定化を目的として、ディジタル回路を用いることがある。
【0057】
例えば、図5に示すようにウォブル信号1を符号11で示すアナログ・ディジタル変換回路(以下、A/D変換回路)によりディジタル信号へ変換し、図2において説明した位相誤差信号の生成及びループフィルタ演算をディジタル信号処理により行い、ループフィルタ9の出力を符号12で示すディジタル・アナログ変換回路(以下D/A変換回路)によりアナログ信号へ変換する構成が考えられる。
【0058】
なお、符号3から9までの構成要素は図2で説明したものと同じ動作をするものとしてその詳細説明は省略するが、各信号はディジタル信号であるものとする。また、搬送波生成回路2はD/A変換回路12が出力するアナログ信号に応じて周波数が変化する搬送波を出力するが、その搬送波はディジタルデータであるものとする。例えば、D/A変換回路12の出力に応じてVCOによりクロックを生成してカウンタを動作させ、そのカウント値に従ってテーブルデータを参照し出力する構成が考えられる。
【0059】
このようなディジタル回路を用いたPLL回路に、上述した非特許文献1に記載の技術を適用しようとすると、除算回路が必要となる。ディジタル回路においては、加算回路や積算回路は1クロックで演算が終了するのに対して、除算回路は演算が終了するまで複数のクロック期間が必要であり、データのビット数が多ければ多いほど演算時間が長くなることは一般的に知られている。
【0060】
このことより、多ビットの高精度なデータを演算することが求められるディジタルPLL回路に上記非特許文献1を適用すると、演算時間の増大を招くことになる。
【0061】
光ディスク装置は熾烈な高速化競争が行われており、それに伴いPLL回路にも動作速度の向上が求められている。このような状況において、光ディスク装置の高速化を妨げる要因となる除算回路が必要な上記非特許文献1に記載の技術を用いることは好ましくない。
【0062】
以上の課題に鑑みて本発明の目的は、高速にディジタル処理を行うことが可能であり、位相誤差信号の線形性を改善して位相スリップを防止したPLL回路、およびそれを用いた光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0063】
本発明は、PLL回路において、入力信号から位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段と、前記位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段と、前記位相誤差信号と前記2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段とを備え、前記加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とする。
【0064】
ここで、前記2次高調波はその極性が前記位相誤差信号とは逆極性であることを特徴とする。
【0065】
また本発明は、前記PLL回路において、前記位相誤差生成手段は前記入力信号に対して同相となる搬送波を生成する同相搬送波生成手段と、同相搬送波生成手段の出力波形に対して直交する搬送波を生成する直交搬送波生成手段と、前記入力信号と前記同相搬送波生成手段の出力との積をとる第1の積算手段と、受信入力信号と前記直交搬送波生成手段の出力との積をとる第2の積算手段と、前記第1の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第1のローパスフィルタと、前記第2の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第2のローパスフィルタと、前記第1のローパスフィルタの出力と前記第2のローパスフィルタの出力との積をとる第3の積算手段とを備えて、前記第3の積算手段の出力を位相誤差信号として出力し、前記2次高調波生成手段は前記第1のローパスフィルタの出力を2乗する第1の2乗手段と、前記第2のローパスフィルタの出力を2乗する第2の2乗手段と、前記第2の2乗手段の出力から前記第1の2乗手段の出力を減算する減算手段と、前記第3の積算手段の出力に所定の係数をかけるゲイン手段と、前記減算手段の出力と前記ゲイン手段の出力の積をとる第4の積算手段とを備え、前記第4の積算手段の出力を2次高調波として出力し、前記第3の積算手段の出力と前記第4の積算手段の出力との和をとる加算手段と、前記加算手段の出力に対してゲインと位相の補償を行う補償手段とを備え前記補償手段の出力に応じて前記同相搬送波生成手段は搬送波の周波数を変化させることを特徴とする。
【0066】
ここで、前記PLL回路において、前記ゲイン手段は前記入力信号に2倍の係数をかけることを特徴とする。
【0067】
さらに、前記PLL回路において、前記補償手段の出力に応じたクロックを生成するクロック生成手段を備え、前記同相搬送波生成手段の出力および前記直交搬送波生成手段の出力は前記クロック生成手段の出力に応じて生成されることを特徴とする。
【0068】
また、前記PLL回路であり、光ディスクに対してレーザ光を照射する発光手段と、光ディスクからの反射光に応じた信号を生成して出力する信号生成手段と、前記信号生成手段の出力からウォブル信号を生成するウォブル信号生成手段とを備え、前記ウォブル信号を前記入力信号とすることを特徴とする。
【0069】
さらに、前記PLL回路を備える光ディスク装置であって、前記第1のローパスフィルタの出力から前記ウォブル信号に含まれる位相情報を判別する位相判別手段と、前記位相判別手段の出力から光ディスクのアドレス情報を検出するアドレス検出手段とを備えることを特徴とする。
【0070】
また、前記PLL回路を備える光ディスク装置であって、前記搬送波生成手段の出力を2値化する2値化手段と、前記2値化手段の出力を所定の値に分周する分周手段とを備え、前記分周手段の出力を用いてスピンドルモータの制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0071】
本発明によれば、位相スリップを防止したPLL回路、およびそれを用いた光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
以下、本発明の実施形態に係るPLL回路について図1のブロック図を用いて説明する。
【0073】
符号1はウォブル信号であり、先に説明したA/D変換回路11によりディジタルデータに変換される。
【0074】
符号2、3、4は、前述した搬送波生成回路、積算回路、LPFであり、搬送波生成回路2の出力とA/D変換回路11の出力が積算回路3で積算され、その積算出力はLPF4により高域成分が抑圧される。
【0075】
符号5、6、7は、前述した90°位相器、積算回路、LPFであり、搬送波生成回路2の出力は90°位相器5により位相が90°進められた後、積算回路6によりA/D変換回路11の出力と積算され、その積算出力はLPF7により高域成分が抑圧される。
【0076】
符号8は前記の積算回路であり、LPF4とLPF7の出力を積算して出力する。
【0077】
符号13、14は積算回路であり、それぞれLPF4の出力、LPF7の出力を2乗して出力する。
【0078】
符号15は、減算回路であり、積算回路14の出力から積算回路13の出力を減算して出力する。
【0079】
符号16は、ゲイン回路であり、積算回路8の出力に所定の係数Gを積算して出力する。
【0080】
符号17は、積算回路であり、減算回路15の出力とゲイン回路16の出力とを積算して出力する。
【0081】
符号18は、加算回路であり、積算回路8と積算回路17の出力を加算して出力する。
【0082】
符号9は、先に説明したループフィルタであり、PLL制御の安定性を向上するために制御特性のゲインと位相を補償する。
【0083】
符号12は、先に説明したD/A変換回路であり、ループフィルタ9の出力をアナログ信号へ変換して出力し、搬送波生成回路2へ制御信号として供給される。
【0084】
以上の構成において、各構成要素の動作について以下に説明する。
【0085】
LPF4の出力が(数6)であることは先に説明したが、積算回路13により(数6)は2乗されるので、積算回路13の出力は
【0086】
【数13】
【0087】
となる。
【0088】
位相情報φは0°または180°であるので
【0089】
【数14】
【0090】
となる。
【0091】
同様に、LPF7の出力(数9)は積算回路14により2乗されるので、積算回路14の出力は
【0092】
【数15】
【0093】
となる。
【0094】
減算回路15により積算回路14の出力(数15)から積算回路13の出力(数14)を減算すると
【0095】
【数16】
【0096】
となり、DC成分が除去される。
【0097】
ゲイン回路16は、積算回路8の出力(数10)にゲインGを積算するので、その出力は
【0098】
【数17】
【0099】
となる。
【0100】
積算回路17は、減算回路15の出力(数16)とゲイン回路16の出力(数17)を積算するので、その出力は
【0101】
【数18】
【0102】
となる。
【0103】
ここで、(数18)と従来の位相誤差信号である(数10)を比較すると、(数18)は従来の位相誤差信号に対して、2次高調波となっていることが分かる。
【0104】
加算回路18は、積算回路8の出力(数10)と積算回路17の出力(18)とを加算するので、その出力は
【0105】
【数19】
【0106】
となり、従来の位相誤差信号である(数10)に対して2次高調波である(数18)が加算された信号となる。
【0107】
(数19)の波形を図6に示す。図6において横軸は位相誤差Δθであり、縦軸は位相誤差信号のレベルである。図6において、ゲインGに応じて位相誤差信号の波形が変化していることが分かる。さらに、位相誤差信号の傾きは(数19)を微分したものであるから
【0108】
【数20】
【0109】
となる。
【0110】
(数20)の波形を図7に示す。図7において横軸は位相誤差Δθであり、縦軸は位相誤差信号の傾きである。図7において、PLLの残留許容位相誤差±36°の範囲内における位相誤差信号の最大値と最小値およびその差分を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1においては、G=2の場合が最大値の最小値に差分が一番小さい。つまり、位相誤差信号の傾きの変動が一番小さいといえる。G=0の場合が従来の位相誤差信号と同じであるから、G=0の場合と比較して位相誤差信号の線形性が改善されていることが分かる。
【0113】
なお、ゲインGを0から3まで詳細に設定した場合の位相誤差信号の最大値と最小値の差分を図8に示す。図8において横軸は位相誤差Δθ、縦軸は位相誤差信号レベルの最大値と最小値の差分である。図8より、ゲインG=1.6程度で差分は最も小さくなり、位相誤差信号の傾きの変動が最小となる。
【0114】
しかしながら、G=2でも位相誤差信号の線形性改善の効果は十分であり、さらにはG=2とした場合、ゲイン回路16は1ビット左シフトの回路という簡単な構成で実現できる。よって、コストと効果のバランスを考えるとG=2が望ましい。
【0115】
ここで従来の位相誤差信号(数10)とG=2の場合のときの2次高調波(数18)の波形を図11に示す。図11より、位相誤差信号と2次高調波はその極性が逆になっていることが判る。
【0116】
つまり、以上に述べた本発明の実施の形態は、従来の位相誤差信号に対して、逆極性の2次高調波を生成して加算することにより、位相誤差信号の線形性を改善することができる。そして、この線形性を改善した位相誤差信号を用いてPLLの制御を行うことで位相スリップを防止することができる。さらに、2次高調波のゲインGを2とすることで、簡単で低コストな回路構成で位相誤差信号の線形性を改善可能としている。
【0117】
なお、本実施の形態ではループフィルタ9の出力をD/A変換回路12を用いてアナログ信号に変換する構成を説明したループフィルタ9の出力をPWM信号として出力し、その出力信号をLPFで平滑化してもよい。
【0118】
また、搬送波生成回路2の構成の一例を図9に示す。符号19はVCOであり、ループフィルタ9の出力に応じた周波数のクロック信号を出力する。符号20はカウンタ回路であり、VCO19が出力するクロック信号に応じて所定の数までカウントアップする。所定の数までカウントアップした後は再び0に戻りカウントアップする。符号21はテーブルデータであり、カウンタ回路20の出力をアドレスとして、アドレスに対応するディジタルデータを出力する。なお、テーブルデータ21の出力はディジタルデータであるが、便宜的にアナログ的に表すと(数2)と同様な波形となるものとする。
【0119】
さらに、90°位相器5に関しては、図10に示すように、図9の構成に第2のテーブルデータ22を追加する構成でもよい。テーブルデータ22にはカウンタ回路20の出力が供給され、カウンタ回路の出力をアドレスとして、アドレスに対応するディジタルデータを出力する。なお、テーブルデータ22の出力はディジタルデータであるが、便宜的にアナログ的に表すと(数7)と同様な波形となるものとする。
【0120】
次に、本発明のPLL回路を用いた光ディスク装置の実施の形態を図12のブロック図を用いて説明する。
【0121】
符号23は光ディスクであり、相変化膜または有機膜などで構成される記録層を有する。また、記録トラックはウォブリング形状となっている。
【0122】
符号24はスピンドルモータであり、後述するスピンドル制御回路32からの出力信号に応じて、光ディスク23を回転させる。
【0123】
符号25は光ピックアップであり、図示しない対物レンズや半導体レーザ、対物レンズを駆動するアクチュエータ等を備え、光ディスク23に対してレーザ光を照射する。また、光ディスク23からの反射光に応じた信号を出力する。
【0124】
符号26は信号処理回路であり、光ピックアップ25からの出力を用いて光ディスク23に対する対物レンズの位置誤差を示すサーボ誤差信号を生成する。また、光ピックアップ25の出力から光ディスク23のウォブル信号を抽出して出力する。
【0125】
符号27はサーボ制御回路であり、信号処理回路26が出力するサーボ誤差信号に制御の安定性を改善するようにゲインと位相の補償を行い、光ピックアップ25内のアクチュエータを駆動する。
【0126】
符号28は、図1で説明したPLL回路全体である。なお、PLL回路28内の搬送波生成回路2および90°位相器5は図9および図10で説明した構成であるものとする。PLL回路28は、信号処理回路26が出力するウォブル信号が入力信号として供給される。また、PLL回路28からは内部のLPF4の出力が識別器29に供給される。さらに、内部のVCO19が出力するクロックが外部の分周回路31へ供給される。
【0127】
符号29は、識別器でありLPF4が出力する信号のHiレベルとLowレベルを識別する。
【0128】
符号30は、アドレスデコーダであり、識別器29が出力する信号から光ディスクのアドレス情報をデコードして出力する。なお、アドレスデコーダが出力するアドレス情報は、図示しないインターフェース回路を通じて、ホストであるコンピュータへ受け渡される。
【0129】
符号31は、分周回路であり、PLL回路28内部のVCO19が出力するクロック信号を所定の分周値に分周して出力する。
【0130】
符号32は、スピンドル制御回路であり、分周回路31が出力する信号が所定の周期となるようにスピンドルモータ24の回転を制御する。
【0131】
以上の構成から成る光ディスク装置においては、位相誤差信号の線形性が改善されているので位相スリップという問題が発生せず、識別器29が出力するウォブル信号の位相情報の信頼性が高い。よって、アドレスデコーダ30が出力するアドレス情報も信頼性が高いといえる。
【0132】
さらには、位相スリップが発生しないため分周回路31へ供給されるクロック信号のジッタも小さくなり、高精度なスピンドル制御が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明のPLL回路は、コスタスループ方式のPLL回路を用いる装置、例えば無線通信装置等に対しても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施形態に係るPLL回路のブロック図である。
【図2】公知のコスタスループ法を用いたPLL回路のブロック図である。
【図3】ウォブル信号と位相情報の信号波形図である。
【図4】位相誤差信号の波形図である。
【図5】ディジタル方式を用いたPLL回路のブロック図の例である。
【図6】本発明における位相誤差信号の波形図である。
【図7】本発明における位相誤差信号の傾きを示す図である。
【図8】本発明における位相誤差信号の傾きの最大値と最小値の差分を示す図である。
【図9】本発明における搬送波生成回路の一例である。
【図10】本発明における搬送波生成回路の他の一例である。
【図11】従来の位相誤差信号と本発明で生成する2次高調波の波形図である。
【図12】本発明のPLL回路を用いた光ディスク装置の実施の形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0135】
1…ウォブル信号、2…搬送波生成回路、3,6,8,13,14,17…積算回路、4,7…ローパスフィルタ、5…90°位相器、9…ループフィルタ、10…識別器、11…アナログ・ディジタル変換回路、12…ディジタル・アナログ変換回路、15…減算回路、16…ゲイン回路、18…加算回路、19…電圧制御発振器、20…カウンタ回路、21,22…テーブルデータ、23…光ディスク、24…スピンドルモータ、25…光ピックアップ、26…信号処理回路、27…サーボ制御回路、28…PLL回路、29…識別器、30…アドレスデコーダ、31…分周回路、32…スピンドル制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLL回路において、入力信号から位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段と、前記位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段と、前記位相誤差信号と前記2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段とを備え、前記加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
請求項1に記載のPLL回路において、前記2次高調波はその極性が前記位相誤差信号とは逆極性であることを特徴とするPLL回路。
【請求項3】
請求項1に記載のPLL回路において、前記位相誤差生成手段は前記入力信号に対して同相となる搬送波を生成する同相搬送波生成手段と、同相搬送波生成手段の出力波形に対して直交する搬送波を生成する直交搬送波生成手段と、前記入力信号と前記同相搬送波生成手段の出力との積をとる第1の積算手段と、受信入力信号と前記直交搬送波生成手段の出力との積をとる第2の積算手段と、前記第1の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第1のローパスフィルタと、前記第2の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第2のローパスフィルタと、前記第1のローパスフィルタの出力と前記第2のローパスフィルタの出力との積をとる第3の積算手段とを備えて、前記第3の積算手段の出力を位相誤差信号として出力し、前記2次高調波生成手段は前記第1のローパスフィルタの出力を2乗する第1の2乗手段と、前記第2のローパスフィルタの出力を2乗する第2の2乗手段と、前記第2の2乗手段の出力から前記第1の2乗手段の出力を減算する減算手段と、前記第3の積算手段の出力に所定の係数をかけるゲイン手段と、前記減算手段の出力と前記ゲイン手段の出力の積をとる第4の積算手段とを備え、前記第4の積算手段の出力を2次高調波として出力し、前記第3の積算手段の出力と前記第4の積算手段の出力との和をとる加算手段と、前記加算手段の出力に対してゲインと位相の補償を行う補償手段とを備え、前記補償手段の出力に応じて前記同相搬送波生成手段は搬送波の周波数を変化させることを特徴とするPLL回路。
【請求項4】
請求項3に記載のPLL回路において、前記ゲイン手段は前記入力信号に2倍の係数をかけることを特徴とするPLL回路。
【請求項5】
請求項3に記載のPLL回路において、前記補償手段の出力に応じたクロックを生成するクロック生成手段を備え、前記同相搬送波生成手段の出力および前記直交搬送波生成手段の出力は前記クロック生成手段の出力に応じて生成されることを特徴とするPLL回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のPLL回路であり、光ディスクに対してレーザ光を照射する発光手段と、光ディスクからの反射光に応じた信号を生成して出力する信号生成手段と、前記信号生成手段の出力からウォブル信号を生成するウォブル信号生成手段とを備え、前記ウォブル信号を前記入力信号とすることを特徴とするPLL回路。
【請求項7】
請求項6に記載のPLL回路を備える光ディスク装置であって、前記第1のローパスフィルタの出力から前記ウォブル信号に含まれる位相情報を判別する位相判別手段と、前記位相判別手段の出力から光ディスクのアドレス情報を検出するアドレス検出手段とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項6に記載のPLL回路を備える光ディスク装置であって、前記搬送波生成手段の出力を2値化する2値化手段と、前記2値化手段の出力を所定の値に分周する分周手段とを備え、前記分周手段の出力を用いてスピンドルモータの制御を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項1】
PLL回路において、入力信号から位相誤差信号を生成する位相誤差生成手段と、前記位相誤差信号の2次高調波を生成する2次高調波生成手段と、前記位相誤差信号と前記2次高調波生成手段の出力とを加算する加算手段とを備え、前記加算手段の出力を新たな位相誤差信号とすることを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
請求項1に記載のPLL回路において、前記2次高調波はその極性が前記位相誤差信号とは逆極性であることを特徴とするPLL回路。
【請求項3】
請求項1に記載のPLL回路において、前記位相誤差生成手段は前記入力信号に対して同相となる搬送波を生成する同相搬送波生成手段と、同相搬送波生成手段の出力波形に対して直交する搬送波を生成する直交搬送波生成手段と、前記入力信号と前記同相搬送波生成手段の出力との積をとる第1の積算手段と、受信入力信号と前記直交搬送波生成手段の出力との積をとる第2の積算手段と、前記第1の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第1のローパスフィルタと、前記第2の積算手段の出力から搬送波の2次高調波を除去する第2のローパスフィルタと、前記第1のローパスフィルタの出力と前記第2のローパスフィルタの出力との積をとる第3の積算手段とを備えて、前記第3の積算手段の出力を位相誤差信号として出力し、前記2次高調波生成手段は前記第1のローパスフィルタの出力を2乗する第1の2乗手段と、前記第2のローパスフィルタの出力を2乗する第2の2乗手段と、前記第2の2乗手段の出力から前記第1の2乗手段の出力を減算する減算手段と、前記第3の積算手段の出力に所定の係数をかけるゲイン手段と、前記減算手段の出力と前記ゲイン手段の出力の積をとる第4の積算手段とを備え、前記第4の積算手段の出力を2次高調波として出力し、前記第3の積算手段の出力と前記第4の積算手段の出力との和をとる加算手段と、前記加算手段の出力に対してゲインと位相の補償を行う補償手段とを備え、前記補償手段の出力に応じて前記同相搬送波生成手段は搬送波の周波数を変化させることを特徴とするPLL回路。
【請求項4】
請求項3に記載のPLL回路において、前記ゲイン手段は前記入力信号に2倍の係数をかけることを特徴とするPLL回路。
【請求項5】
請求項3に記載のPLL回路において、前記補償手段の出力に応じたクロックを生成するクロック生成手段を備え、前記同相搬送波生成手段の出力および前記直交搬送波生成手段の出力は前記クロック生成手段の出力に応じて生成されることを特徴とするPLL回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のPLL回路であり、光ディスクに対してレーザ光を照射する発光手段と、光ディスクからの反射光に応じた信号を生成して出力する信号生成手段と、前記信号生成手段の出力からウォブル信号を生成するウォブル信号生成手段とを備え、前記ウォブル信号を前記入力信号とすることを特徴とするPLL回路。
【請求項7】
請求項6に記載のPLL回路を備える光ディスク装置であって、前記第1のローパスフィルタの出力から前記ウォブル信号に含まれる位相情報を判別する位相判別手段と、前記位相判別手段の出力から光ディスクのアドレス情報を検出するアドレス検出手段とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項6に記載のPLL回路を備える光ディスク装置であって、前記搬送波生成手段の出力を2値化する2値化手段と、前記2値化手段の出力を所定の値に分周する分周手段とを備え、前記分周手段の出力を用いてスピンドルモータの制御を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−286154(P2006−286154A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108407(P2005−108407)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
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