説明

PLL(PHASELOCKEDLOOP)回路内のチャージポンプリークに起因した制御電圧リプルを最小化する技術

【解決手段】位相ロックループ回路を含む装置においてチャージポンプリーク電流の影響を和らげるようループフィルタのサンプリング間隔を適切に制御する技術を提供する。一態様において、装置は電圧制御発振器(VCO)、位相周波数検知部(PFD)、VCOを固定するための制御電圧を提供するループフィルタ、及びUPパルスDOWNパルスの少なくともいずれか1つに応じてループフィルタに出力信号を供給するよう構成されたチャージポンプを含む。ループフィルタの入力とチャージポンプの出力との間で結合されサンプリング間隔によって特徴付けられたスイッチを含む。サンプリングスイッチ制御部は位相比較動作の前にスイッチを閉じ位相比較動作が完了するとスイッチを開くことでチャージポンプからのリーク電流の影響を和らげるようサンプリング間隔幅を適切に制御するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【米国連邦法規集35編第119条による利益の主張】
【0001】
本明細書は、2008年11月12日に提出され、本願の譲受人に譲渡され、且つ参照によりその開示が明示的に組み込まれる、“TECHNIQUES FOR MINIMIZING CONTROL VOLTAGE RIPPLE AND NOISE DUE TO CHARGE PUMP LEAKAGE IN PHASE LOCKED LOOP CIRCUITS”と表題されたUS仮特許出願番号61/114,041に対する優先権を主張する。
【特許同時係属出願の参照】
【0002】
特許出願された本明細書は、本願の譲受人によって譲渡され、且つ以下参照によって明示的に組み込まれ、代理人整理番号08S1050U2を有し、本願と共に同時出願され、“TECHNIQUES FOR MINIMIZING CONTROL VOLTAGE RIPPLE AND NOISE DUE TO CHARGE PUMP LEAKAGE IN PHASE LOCKED LOOP CIRCUITS”と表題された同時係属の米国特許出願に関連する。
【技術分野】
【0003】
本開示は、一般的に電気回路分野に関し、より具体的には位相ロックループ回路に関する。
【背景技術】
【0004】
図1は、チャージポンプに搭載される典型的な位相ロックループ(PLL)回路の概念図を示す。典型的なPLL回路100は、REF_CLKと記載されたリファレンスクロック信号とN分周の周波数分周器124からの分周された出力クロックとの間の位相比較を介して、位相エラーを検知する位相周波数検知器(PFD)104から成る。PFD104は、チャージポンプ106を駆動するUP、DOWN信号を生成し、出力する。チャージポンプ106は、検知した位相エラーに比例する電荷をループフィルタ116に供給する。ループフィルタ116は、電圧(または電流)制御発振器(VCO)122への供給とされる制御電圧Vctrl(または電流)を生成する。VCO122はVCO_CLKと記載されたVCO出力信号を生成する。その周波数は、制御電圧Vctrlに比例する。PDF104はリファレンスクロック信号REF_CLKによってクロック(clocked)されているということに留意すべきである。つまり、リファレンス周波数の間隔で位相比較が行われる。
【0005】
リファレンスクロック信号REF_CLKとは、外部のリファレンス発振器(図示せぬ)からのクロック信号の関数であり、外部リファレンス発振器の分数(fraction)となり得る。その分数は、外部リファレンス発振器とPFD104との間の経路に配置された周波数分周器(図示せぬ)によって得られる。
【0006】
ロック条件で、UP、及びDOWNパルスは実質的には同じデュレーションを有し、ループフィルタ116に正味の電荷が供給されない。それ故、制御電圧Vctrl(または電流)は、VCO出力信号VCO_CLKが一定周波数であることを保証する理想的には一定の値とされる。ループフィルタ116は、通常、VCO122の出力周波数を整える、フィルタを通過した制御電圧を生成するため電荷を蓄積する。
【0007】
ループフィルタ116はチャージポンプ106の出力と並列に、直列に組み合わせられた抵抗(RFILT)118とキャパシタ(CFILT)120を備えた第1次ループフィルタ装置を含むよう示される。ループフィルタ116は、単なる例示であり、他の構成を含み得る。例えば、通例であると、付加的なポールキャパシタ(図示せぬ)がチャージポンプ106の出力と並列に配置される。その付加的なポールキャパシタは、キャパシタ120の値の1/10となり得る。付加的なポールキャパシタは、PLL100のセッティング時間またはループ安定度に影響を与えないが、VCO122の出力信号における参照不要波(reference spur)の混入を改善する。
【0008】
チャージポンプ106は、電流源108及び114並びにスイッチ110及び112を含む。スイッチ110が閉じると、UPパルスをループフィルタ116に渡す。スイッチ112が閉じると、DOWNパルスをループフィルタ116に渡す。PFD104の出力は、VCO122の入力に供給する制御電圧Vctrl(または電流)を増減させるため、チャージポンプ106を制御する。
【0009】
図2は、図1のPLL回路100に関するリファレンスクロック信号REF_CLK、VCO出力信号VCO_CLK、UP、及びDOWNパルス、及び制御電圧Vctrl“リプル”に関する1組の波形200を示す。制御電圧Vctrlの波形は、オフ状態におけるチャージポンプでのリークによる電圧低下を示す。電圧低下は、UPまたはDOWNパルスの立ち下がり遷移した後に開始され、次のREF_CLKの立ち上がりエッジが始まるまで又はUPパルスの立ち上がり遷移し始まるまで低下し続ける制御電圧Vctrlのスロープ(減少)した波形に相当する。制御電圧Vctrlの波形はループフィルタ116のノードVctrlで測定される。電圧低下を補完するため、UPパルスは、拡長し、リークによる電荷損失を補完する。UPパルスの拡長された部分は、波形内の斜線に示す。したがって、制御電圧Vctrlは、DOWNパルスが立ち上がり遷移するまで徐々に増加する。DOWNパルスの期間中では、制御電圧Vctrlは一定のレベルで実質的に維持される。VCOの出力信号VCO_CLKの波形は、制御電圧Vctrl上の電圧低下または電圧リプルに起因するVCO122の出力周波数(VCO出力信号)の変調を表している。ロック条件の期間では、制御電圧Vctrlは、理想的に一定値、またはDC電圧とされる。このDC成分または平均値からのあらゆる周期的な偏差を、リプルと呼ぶ。
【0010】
現在のナノメータプロセスでは、“オフ”状態でのトランジスタのリーク電流が相当重要となり得る。PLL回路100内のチャージポンプ106は、UPまたはDOWNパルスがデュレーションとされる間、オン状態とされ、それ以外はオフ状態とされる電流源に基づくトランジスタを使用することによって広く実装される。しかし、オフ状態におけるこれらトランジスタのリーク電流は、ループフィルタ116上に蓄積される電荷を著しく変化させ得る。PLL回路100は、リークによるこの電荷の損失を補完することによってロック条件が維持されることを保証する必要がある。補完は、各々の位相比較が開始される時に更なる電荷と同等であって反対の量(equal and opposite amount)が注入されることによって達成される。リーク電流の電荷損失及び電荷の補完は、電圧制御発振器(VCO)に供給する制御電圧Vctrl上の電圧“リプル”を発生させ、タイムドメイン内の決定的なジッタ(jitter)又はVCO122におけるVCO出力信号VCO_CLK上の周波数ドメイン内の参照不要波として現れる。両者の影響は、目的とするアプリケーションに依存して好ましいものとはならないだろう。その悪影響は、同調レンジ(例えば、制限された制御電圧または電流レンジから周波数の広角レンジを生成すること)を最大とするための典型的な高電圧又は電流ゲインVCO設計を使用する低電圧設計において更に悪化される。
【0011】
リーク電流を減少させる1つの対策として、厚い酸化膜を有したトランジスタをチャージポンプに使用する。しかし、厚い酸化膜を有したトランジスタを使用するといった選択肢は、特定の集積回路プロセス技術において、利用可能とはされ得ず、または値の張った更なるマスクプロセス工程を必要とし得る。別の対策に、大容量のループキャパシタンスは、集積回路面積及びコスト上の不利益といった結果を招くあるリーク電流に関する電圧変化を最小とするよう使用される。
【0012】
それ故、オンチップの高価な厚い酸化膜を有したトランジスタまたは大容量のループキャパシタを用いずにチャージポンプのリーク電流を和らげる必要性がある。
【0013】
集積回路のコスト及び面積的な不利を最小とする位相ロックループにおいて、チャージポンプのリークの影響を低減する回路も必要とされる。
【発明の概要】
【0014】
位相ロックループ回路を含む装置において、チャージポンプのリーク電流の影響を緩和するループフィルタのサンプリング間隔を適切に制御する技術を提供する。一態様において、装置は、電圧制御発振器(VCO)、位相比較動作を提供する位相周波数検知器(PFD)、好ましい動作周波数にVCOを固定(lock)するための制御電圧を提供するよう構成されたループフィルタ、及び少なくともUPパルスまたはDOWNパルスのうちいずれか1つに反応してループフィルタに出力信号を供給するよう構成されたチャージポンプを含む。その装置は、更にループフィルタの入力とチャージポンプの出力とが結合され、サンプリング間隔によって特徴付けられたサンプリングスイッチを含む。サンプリングスイッチ制御部は、位相比較動作に先だちサンプリングスイッチを閉じることで、そして位相比較動作が完了した際、サンプリングスイッチを開くことで、チャージポンプからのリーク電流の影響を低減するためサンプリング間隔の幅を適切に制御するよう構成されている。
【0015】
開示されたさまざまな他の態様及び実施例は、更に以下詳細で説明する。
【0016】
本サマリは、本開示の最大の限度及び範囲の代表例としては意図せず、また解釈すべきではない。これらのそして更なる付加的な態様は、特に添付した図面とともに用いてひとまとめにして考えた時、詳細な説明から直ちにより明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、チャージポンプを備える典型的な位相ロックループ(PLL)回路の一例としての概念図を示す。
【図2】図2は、図1のPLL回路に関するリファレンスクロック、VCO出力信号、UP、及びDOWNパルス、及び制御電圧“リプル”に関する一組の波形例を示す。
【図3】図3は、チャージポンプのリークの影響を低減するためループフィルタのサンプリング間隔を適切に制御するチャージポンプ位相ロックループ(PLL)回路を有する装置の一例としての概念図を示す。
【図4】図4は、ループフィルタのためにサンプリング間隔を適切に制御する一工程例のフローチャートを示す。
【図5】図5は、図3の装置に従ったリファレンスクロック、アドバンスリファレンスクロック、UP、及びDOWNパルス、スイッチ制御信号PHI1、PHI2、チャージポンプ出力電圧V、及びVCO制御電圧Vctrlに関する一組の波形を示す。
【0018】
理解を分かりやすくするため、素子を区別するため、適切に添え字が加えられうる場合を除いて、同一の参照符号が使用され、その場合、図面で共通とされる同一の素子を示し得る。図面内に描かれたイメージは、趣旨を例示するために簡素化され、スケールを示す必要性はない。
【0019】
添付した図面は、本開示の構成例を例示し、それ自体、均等に効果のある他の構成までに、許容しうる開示の範囲を限定して考えるべきではない。同様に、更なる詳細の説明がない他の構成に有益に組み合わせ得るいくつか構成の特徴を考慮する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
“典型的には”という用語は、以下“一例として、事例、または例示”という意味で使用される。“例えば”として以下記述されるあらゆる構成または設計は、別の実施例やその設計以上に望ましいまたは有利なものとして解釈する必要はない。
【0021】
図3は、チャージポンプのリーク電流の影響を低減するためループフィルタのサンプリング間隔を適切に制御するチャージポンプ位相ロックループ(PLL)回路301を有した装置300の概念図である。装置300は、チャージポンプPLL回路301、プログラマブル遅延302、及びサンプリングスイッチ制御部340を備える。プログラマブル遅延302は、リファレンスクロック信号の前進したバージョン(REF_CLK_ADVと記載される)を受け取る。リファレンスクロックの前進したバージョンを以後、“アドバンスリファレンスクロック”と呼ぶ。プログラマブル遅延302の出力は、PLL回路301への入力とされ、REF_CLKとして記載されたリファレンスクロックを表す。
【0022】
PLL回路301は、位相周波数検知部(PFD)304、チャージポンプ306、ループフィルタ320、電圧(または電流)制御発振器(VCO)330、及びN分周周波数分周器332を含む。動作において、PFD304は、リファレンスクロック信号REF_CLKとN分周周波数分周器332から分周された出力クロックとの位相比較によって位相エラーを検知する。PFD304は、チャージポンプ306を駆動するUP、及びDOWNパルスを発生し、出力する。
【0023】
アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADV、及びアドバンス分周クロック信号DIV_CLK_ADV、及びUP、及びDOWNパルスはサンプリングスイッチ制御部340に送られる。PHI1及びPHI2と記載されたサンプリングスイッチ制御部の出力は、サンプリングスイッチ316及び317(共に開放状態で示す)を介してループフィルタ320のサンプリング間隔を同期させるよう構成される。サンプリングスイッチ316は、チャージポンプ306の出力とループフィルタ320の入力との間に位置される。一構成として、サンプリングスイッチ制御部340は、ステートマシーンである。
【0024】
図3に示す構成例において、サンプリングスイッチ317は、ユニティゲインアンプ318の出力とチャージポンプ306の出力との間に位置する。サンプリングスイッチ317とユニティゲインアンプ318の目的とするところは、寄生容量315(CPAR)の両端のチャージポンプ306の出力リークを低減するため、チャージポンプ306の出力電圧Vをループフィルタの出力電圧Vctrlにプリチャージすることである。図5に示すように、サンプリングスイッチ316を閉じる前に、サンプリングスイッチ317を開放状態とする。サンプリングスイッチ317、ユニティゲインアンプ318、及びPHI2制御信号は付加的なものであり、またチャージポンプ306の出力をプリチャージすることの利点は、寄生容量315の値(CPAR)に依存する。
【0025】
チャージポンプ306は、サンプリングスイッチ316が閉じている際、検知した位相エラーに比例した電荷をループフィルタ320に注入する。ループフィルタ320は、VCO330への周波数制御入力とされる制御電圧Vctrl(又は電流)を生成する。VCO330は、VCO_CLKと記載され、その周波数が、制御電圧Vctrl(又は電流)に比例するVCO出力信号を生成する。
【0026】
PLL回路301は、ロック状態及びそのロック状態を達成するためのロック取得期間を有する。ロック状態において、UP、及びDOWNパルスは、実質同等のデュレーションであり、ループフィルタ320に正味の電荷は注入されない。それ故、制御電圧(又は電流)Vctrlは、理想的には、VCO330の出力信号VCO_CLKが一定の周波数とされることを保証する一定の値とされる。
【0027】
ループフィルタ320は、位相比較毎に(必要であれば)補正された電圧を供給する制御周波数を“設定する”制御電圧を生成するために、電荷を蓄積するキャパシタ(CFLIT)324と抵抗(RFLIT)322とを含みうる。PFD304は、リファレンスクロック信号REF_CLKによってクロックされていることに留意するべきである。つまり、位相比較がリファレンス周波数の間隔で生じる。
【0028】
装置300は、更に外部のリファレンス発振器(図示せぬ)を含み得る。アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVは、外部のリファレンス発振器(図示せぬ)からのクロック信号の関数とされ、外部のリファレンス発振器の分数(fraction)となり得る。その分数は、外部リファレンス発振器とプログラマブル遅延302との間の経路に配置された分周割(図示せぬ)によって得られ得る。
【0029】
ループフィルタ320は単なる例であって、別の構成や別の設計をも含みうる。例えば、通例、付加的なポールキャパシタ(図示せぬ)が、ループフィルタ320に追加される。付加的なポールキャパシタは、キャパシタ324の1/10の値とされ得る。その付加的なポールキャパシタは、PLL301の修正時間(settling time)またはループ安定度に影響を及ぼさないが、VCO330の出力信号における参照不要波を改善する。同様に、チャージポンプの構成も単なる例である。
【0030】
リークの視点からは、ループフィルタのサンプリング間隔に応じたサンプリング動作は、最小のデュレーションのサンプリング動作を有するべきである。つまり、ループフィルタ320はUPまたはDOWNパルスがアクティブ(オン状態)の時のみチャージポンプに接続され、それ以外は非接続とされる。ロック状態で、そのUP、及びDOWNパルスは最小のデュレーションを有する。つまり、最小パルス幅は、デッドゾーンを生じさせないよう、両パルス間は常に一定に維持される。そのため、PFD304は、とても小さな位相エラーの影響を受けることはない。しかし、ロック取得期間中では、サンプリングスイッチ316によるサンプリング動作のデュレーションの最小制約を規定するためにも、UP、及びDOWNパルスは、とても長くなり得る(リファレンスサイクルにおける広い部分)。UP、及びDOWNパルスがアクティブ(オン状態)とされたままで、仮にサンプリングスイッチ316がオフ状態とされると、誤り電荷の一部が“消失”し、効果的なループゲインが減少する。その結果、ループ原動力は、変化し、安定度問題が生じる。
【0031】
本明細書で説明する装置300は、通信回路を含む様々な電気回路に使用され得る。例えば、装置300は、(1)周波数をアップコンバートするために使用される局部発振器(LO)信号を発生させるための送信サブシステム、(2)周波数をダウンコンバートするために使用されるLO信号を発生させるための受信サブシステム、(3)フリップフロップ及びラッチのような同期回路のために使用されるクロック信号を発生させるためのデジタルサブシステム、及び(4)他の回路及びサブシステム、に使用され得る。
【0032】
図4は、チャージポンプ306内のあらゆる電圧リーク経路に接続されるループフィルタ320の時間を最小にするため、ループフィルタ320のループフィルタサンプリング間隔の適切な制御のプロセス400の一例のフローチャートを示す。プロセス400は、ハードウェアステートマシーンまたはハードウェアロジック関数に実装され得る。サンプリング間隔は、サンプリングスイッチ制御部340によって制御される。典型的な実施例において、プロセス400の通り、スイッチ制御部340を介して、開閉するよう同期された2つのサンプリングスイッチ316及び317が示される。
【0033】
プロセス400は、ブロック402でサンプリングスイッチ制御部340にアドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVを送る(send)ことから始まる。ブロック404で、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVは、PFD304にリファレンスクロック信号REF_CLKを発生させるプログラマブル遅延302によって遅延される。ブロック406で、PFD304は、UP、及びDOWNパルスをチャージポンプ306及びサンプリングスイッチ制御部340に送る。N分周周波数分周器332は、アドバンス分周クロックDIV_CLK_ADVをサンプリングスイッチ制御部340に送る。ブロック407で、スイッチ制御部340は、チャージポンプ306の出力をプリチャージさせるため、DIV_CLK_ADVとREF_CLK_ADV信号との組み合わせを利用してPHI2プリチャージパルスを発生させ、サンプリングスイッチ317(PHI2 HIGH)を閉じる。
【0034】
ブロック408において、位相比較(又は次のサイクル)が始まるかどうかの判定(determination)がなされる。仮に、判定がノーであれば、プロセス400はブロック408の開始時に戻る。仮に、ブロック408において判定がイエスであれば、ループフィルタのサンプリング間隔の開始に対応するブロック410でサンプリングスイッチ317は開放状態(PHI2 LOW)、サンプリングスイッチ316は短絡状態(PHI1 HIGH)とされる。ブロック412において、検知されたUP、及びDOWNパルスの両者の立ち下がり遷移(falling transitions)が検知されたかどうかので判定(determination)がなされる。仮に、判定が、ノーであると、ブロック412はブロック412の始まりに戻る。しかし、仮に、判定が、イエスであれば、ループフィルタのサンプリング間隔の終点に対応するブロック414でサンプリングスイッチ316は開放状態とされる。ブロック414はブロック402に戻る。
【0035】
プロセス400は、UP、及びDOWNパルスの長さに基づきループフィルタのサンプリング間隔(サンプリングスイッチ316は閉じているデュレーション)の幅を適切に制御する。つまり、ループフィルタのサンプリング間隔は、長いUP/DOWNパルス(ロック取得期間の期間)に対応するよう、及び最小長のUP/DOWNパルス(ロック状態で)に対応するように自動的に調整がなされる。
【0036】
PLL回路300へのリファレンスクロック信号REF_CLKは、プログラム可能な量(amount)で遅延される。サンプリングスイッチ制御部340は、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADV又はアドバンス分周クロック信号DIV_CLK_ADVがオン状態とされると、クロックされる。その場合、サンプリングスイッチ316は、位相比較を行う瞬間の直前に閉じている。次いで、サンプリングスイッチ制御部340はUP、及びDOWNパルスの立ち下がり遷移が生じるまで待機する。一旦これら両者の事象を検知すると、サンプリングスイッチ316は開放状態とされる。このようにして、プロセス400によって、ループフィルタ320がチャージポンプ306内のあらゆる電圧リーク経路に接続される時間を最小にしつつ、それと同時にループフィルタ320上に実質の全誤り電荷がサンプリングされることが保証される。アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADV、又はアドバンス分周クロック信号DIV_CLK_ADV(どちらが最初に生じたとしても)がオン状態とされる次の位相比較を行うまで一旦サンプリングスイッチ316が開放状態とされると、結果として生じる制御電圧Vctrlは一定値を保持する。
【0037】
ユニティゲインアンプ318のフィートバックパスとサンプリングスイッチ317とは、REF_CLKとDIV_CLKとの間の位相比較の前における、チャージポンプ306の出力をプリチャージするために利用される。サンプリングスイッチ316(PHI1 HIGH)が次の位相比較を行う瞬間で閉じた際の、CFILTとCPARとの間でのチャージシェアを防止するよう、仮にCPARをチャージポンプの出力上に配置した場合、そのフィートバック回路が必要となる。
【0038】
図5は、図3における装置300に関する、リファレンスクロック信号REF_CLK、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADV、UP、及びDOWNパルス、PHI1とPHI2とを制御するスイッチ、チャージポンプ306の出力電圧V、及び制御電圧Vctrlの一組の波形500を示す。
【0039】
スイッチ制御PHI1は、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVまたはアドバンス分周クロック信号REF_CLK_ADV(どちらが先でもよい)の立ち上がり遷移に対応する立ち上がり遷移を有する同期サンプリングスイッチ制御である。更にはUP、及びDOWNパルスの立ち下がり遷移とスイッチ制御PHI1とが一致する。動作時、サンプリングスイッチ制御部340は、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVまたはアドバンス分周クロックのいずれかのオン状態(どちらが先でもよい)に基づき、サンプリングスイッチ316をオン(閉じた)状態にスイッチする(スイッチ制御PHI1の立ち上がり遷移に対応する)。更には、サンプリングスイッチ制御部340は、UP、及びDOWNパルスの立ち下がり遷移に応じて同期するサンプリングスイッチ316をオフ(開放)状態にスイッチングする(スイッチ制御PHI1の立ち下がり遷移に対応する)。従って、サンプリングスイッチ316は、PFD304によって位相比較動作が開始される直前にオンに切り替えられ、一旦位相比較動作が完了すると、オフに切り替えられる。
【0040】
スイッチ制御PHI2は、PHI1信号の立ち上がり遷移に対応して立ち下がり遷移を有する同期サンプリングスイッチ制御である。PHI2のパルスデュレーションは、PHI1がlowとされる期間と同じくらいの長さとなり得るし、又チャージポンプ306の出力ノードをVにプリチャージするために必要とされるくらい短くなり得る。動作において、サンプリングスイッチ制御部340は、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADV及びアドバンス分周クロックのオフ状態に基づき、サンプリングスイッチ317をオン(閉じた)状態にスイッチングする(スイッチ制御PHI2の立ち上がり遷移に対応する)。更には、サンプリングスイッチ制御部340は、サンプリングスイッチ316(PHI1 HIGH)の立ち上がり遷移に応じて同期するサンプリングスイッチ317をオフ(開放)状態にスイッチングする(スイッチ制御PHI2の立ち下がり遷移に対応する)。従って、サンプリングスイッチ317は、チャージポンプ306の出力をVにプリチャージするための位相比較動作に先立ちオン状態に切り替えられ、一旦、位相比較動作が開始(PHI1の立ち上がり遷移)されるとオフ状態に切り替わる。
【0041】
動作状態において、チャージポンプのリークからスロープ状の減少(電圧対時間)を示す制御電圧Vctrlの電圧低下は、オン状態にするアドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVの立ち上がり遷移とUP、及びDOWNパルスの立ち上がり遷移との間のデュレーションに原則制限される。スロープ状の増加を示す制御電圧Vctrlは、DOWNパルスの立ち上がり遷移まで上昇する。その後、制御電圧Vctrlは、オン状態への、アドバンスリファレンスクロック信号REF_CLK_ADVによる次の立ち上がり遷移まで原則一定値とされる。図5の例図においては、ループフィルタキャパシタ324上に蓄積された電荷を除去しようと、チャージポンプのリーク電流によって試みがなされることを仮定している。チャージポンプリーク電流の極性が反転する場合にはケースで別の分析が使用され得る。つまり、リーク電流により、ループフィルタ320上に追加の電荷を加算しようとする。
【0042】
図面に記載された装置300は、プロセス400及びタイミングチャート500を利用するPLL300内のチャージポンプリークの影響を緩和する。加えて、装置300はチャージポンプ306の出力を、位相比較する瞬間以外の全ての時間でループフィルタ320とVCO330から切り離す。電源電圧ノイズがチャージポンプ306(Vddノード)で生じる実例では、その電源電圧ノイズは、PHI1のアクティブデューティサイクル(PHI1のクロック周期のうちhighの部分のパーセンテージ)によって更に緩和されるだろう。
【0043】
本明細書で説明する装置300は、さまざまなシステム及びアプリケーションにて使用され得る。例えば、装置300は、セルラーシステム、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)システム、多入力多出力(MIMO)システム、無線ローカルエリアネットワーク(WLANs)などに使用されうる。そのセルラーシステムは、符号分割多重アクセス(CDMA)システム、移動体通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))、などを含む。CDMAシステムは、IS−95、IS−2000、IS−856、及びワイドバンド−CDMA(W−CDMA)システムを含む。装置300は、基地局と同様に無線装置内に搭載され得る。GSMシステム又はIEEE802.11システムのように、異なった時間で送信と受信とを行う時分割多重(TDD)システムについては、PLL回路301を備えた1つの装置300で送信及び受信の経路を共に使用され得る。CDMAシステムのように、異なる周波数を同じ時間で送信及び受信する周波数分割(FDD)システムに関しては、PLL回路301を備える一方の装置300で送信経路のために使用され、他方で受信経路として使用されうる。
【0044】
以下説明した装置300は、さまざまな構成において実装され得る。例えば、装置300又は/及びPLL回路301の全部又は多数の回路ブロックは、集積回路(IC)、RF集積回路(RFIC)、特定用途向けの集積回路(ASIC)、などの中に実装され得る。装置300は、1つ以上のICでの組み合わせ、個別の構成などもまた実装し得る。装置300はまた、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、バイポーラ接合トランジスタ、バイポーラ−CMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)、などのようなさまざまなICプロセス技術で製造され得る。
【0045】
開示された実施例で前述された記述内容は、いかなる当業者に本発明を作成または使用させることを可能とするために提供される。これら実施例に対するさまざまな変形例は、当業者にとって容易に明白とされ、またここで定義された総括的な定義は、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、別の実施例に適用し得る。従って、本発明は、ここで示した実施例に限定されることを意図したものではなく、またここで開示した原理及び新規の特徴と一致する最大の広域範囲が与えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御発振器(VCO)と、
位相比較動作を提供する位相周波数検知部(PFD)と、
所望の動作周波数に前記VCOをロックするための制御電圧を生成するループフィルタと、
少なくともUPパルス及びDOWNパルスのうち1つに応じて前記ループフィルタに出力信号を生成するチャージポンプと、
前記ループフィルタの入力及び前記チャージポンプの出力に結合され、サンプリング間隔によって特徴付けられたサンプリングスイッチと、
前記位相比較動作に先立ち前記サンプリングスイッチを閉じ、前記位相比較動作が完了した時に前記サンプリングスイッチを開くことで、前記チャージポンプからのリーク電流の影響を低減するよう前記サンプリング間隔の幅を適切に制御するサンプリングスイッチ制御部と
を具備する装置。
【請求項2】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記チャージポンプへのUP、及びDOWNパルス両者の幅に基づいたデュレーションの間、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項1の装置。
【請求項3】
前記サンプリングスイッチ制御部は、ロック取得期間中、前記UP及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるか応じ、前記チャージポンプへの前記UP、及びDOWNパルスのそれぞれの最長の関数(function)として、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項1の装置。
【請求項4】
前記サンプリングスイッチ制御部は、ロック状態で前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるか応じ、前記UP、及びDOWNパルスのそれぞれの最大長の関数として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項3の装置。
【請求項5】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UP、及びDOWNパルスの立ち下がり遷移が生じたことを更に検知するよう動作可能とされ、前記UP、及びDOWNパルスの両者の前記立ち上がり遷移を検知すると、前記サンプリングスイッチを開くように、更に制御するよう動作可能とされる請求項1の装置。
【請求項6】
前記サンプリングスイッチ制御部は、位相比較動作に先立ち、前記チャージポンプの出力ノードを前記ループフィルタに存在する前記制御電圧に更にプリチャージするよう、動作可能とされる請求項1の装置。
【請求項7】
前記PFDは、更に前記UP及びDOWNパルスを生成するよう構成され、更に、プログラマブル遅延を具備し、
前記サンプリングスイッチ制御部及び前記プログラマブル遅延はアドバンス分周クロック信号のみならずアドバンスリファレンスクロック信号を受信し、前記プログラマブル遅延は、前記位相比較動作を始めるためのリファレンスクロック信号を生成するための前記アドバンスリファレンスクロック信号を遅延させるよう構成され、
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記PFDによる前記位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じるよう制御するように構成され、前記位相比較動作の直後に開くよう構成され、これにより、前記ループフィルタが前記チャージポンプにおける電圧(potential)リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項5の装置。
【請求項8】
前記ループフィルタから前記VCOへの結果として得られる制御電圧は、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック(いずれが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、一旦前記サンプリングスイッチが開くと、一定を維持する請求項7の装置。
【請求項9】
電圧制御発振器(VCO)と、
所望の動作周波数に前記VCOをロックするよう制御電圧を生成するループフィルタと、
UPパルス、及びDOWNパルスの少なくとも1つに応じて前記ループフィルタに出力信号を生成するチャージポンプと、
前記ループフィルタの入力及び前記チャージポンプの出力に結合され、サンプリング間隔によって特徴付けられたサンプリングスイッチと、
初めて生じる前記UP及び前記DOWNパルスに起因して、前記UP及び前記DOWNパルスが共にオフ状態に戻った(return)後、前記サンプリングスイッチを開くことで、また前記UPパルス、又は前記DOWNパルスのオン状態に先だち、前記サンプリングスイッチを閉じることで、前記チャージポンプからのリーク電流の影響を和らげるよう前記サンプリング間隔の幅を適切に制御するサンプリングスイッチ制御部と
を具備する集積回路。
【請求項10】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記チャージポンプへの前記UP及び前記DOWNパルスの両者の長さに基づいたデュレーションの間、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項9の集積回路。
【請求項11】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、ロック取得期間中に前記チャージポンプへの前記UPパルス及び前記DOWNパルスいずれの最長(longest length)の関数(function)として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項9の集積回路。
【請求項12】
前記サンプリングスイッチ制御部は、ロック状態で、前記UPパルス、及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最大長(maximum length)の関数として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項11の集積回路。
【請求項13】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UP及び前記DOWNパルスの立ち下がり遷移が生じたことを検知するよう更に構成され、前記UP及び前記DOWNパルスの両者の前記立ち上がり遷移を検知すると、前記サンプリングスイッチを開くよう制御するように、更に構成される請求項9の集積回路。
【請求項14】
前記サンプリングスイッチ制御部は、位相比較動作に先だって、前記チャージポンプの出力ノードを、前記ループフィルタに存在する前記制御電圧にまでプリチャージするよう、更に構成される請求項9の集積回路。
【請求項15】
前記位相比較動作及び前記UP及び前記DOWNパルスの生成を行う位相周波数検知部(PFD)及びプログラマブル遅延を更に備え、
前記サンプリングスイッチ制御部及び前記プログラマブル遅延は、アドバンス分周クロック信号のみならずアドバンスリファレンスクロック信号を受信(receive)し、
前記プログラマブル遅延は、前記アドバンスリファレンスクロック信号を遅延させ、前記位相比較動作を開始するためのリファレンスクロック信号を生成し、
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記PFDによる前記位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じるよう制御し、また前記位相比較動作の直後に前記前記サンプリングスイッチを開くよう制御し、これにより、前記ループフィルタが前記チャージポンプにおける電圧(potential)リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項13の装置。
【請求項16】
前記ループフィルタから前記VCOへの前記制御電圧は、一旦前記サンプリングスイッチが開くと、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック(どちらが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、一定とされるよう更に構成される請求項15の装置。
【請求項17】
ループフィルタと、
UPパルス及びDOWNパルスのうち少なくとも1つに応じて前記ループフィルタに出力信号を供給するチャージポンプと、
前記ループフィルタと前記チャージポンプとの間に結合され、サンプリング間隔によって特徴付けられたサンプリングスイッチと、
を含む位相ロックループ(PLL)回路を備えて動作するよう構成される装置であって、
前記装置は、前記UPまたは前記DOWNパルスのいずれかオン状態とされる前に、前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが始めに発生したかに起因して、前記サンプリングスイッチを閉じ、
前記UP及び前記DOWNパルスの両者がオフ状態へと戻った後、前記サンプリングスイッチを開くことで、前記チャージポンプからのリーク電流の影響を和らげるよう前記サンプリング間隔の幅を適切に制御するサンプリングスイッチ制御部を備える装置。
【請求項18】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記チャージポンプへのUP及びDOWNパルスの両者の長さに基づいたデュレーションの間、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成された請求項17の装置。
【請求項19】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UPパルス、及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、ロック取得期間中に前記チャージポンプへの前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最大長(longest length)の関数(function)として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項17の装置。
【請求項20】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記PLL回路のロック状態で、前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、前記UP及び前記DOWNパルスいずれの最大長(maximum length)の関数(function)として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御するよう、更に構成される請求項19の装置。
【請求項21】
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UP及び前記DOWNパルスの立ち下がり遷移が生じることを検知するよう構成され、前記UP及び前記DOWNパルスの両者の前記立ち上がり遷移を検知すると、前記サンプリングスイッチを開くよう制御するように、更に構成される請求項17の装置。
【請求項22】
前記サンプリングスイッチ制御部は、位相比較動作に先だち、前記チャージポンプの出力ノードを、前記ループフィルタに存在する前記制御電圧にプリチャージするよう、更に構成される請求項17の装置。
【請求項23】
前記PLL回路は、位相比較動作を提供し、前記UP及び前記DOWNパルスを生成する位相周波数検知部(PFD)を更に含み、
前記装置は、更にプログラマブル遅延で動作可能とするよう更に構成され、
前記サンプリングスイッチ制御部及び前記プログラマブル遅延はアドバンス分周クロック信号のみならずアドバンスリファレンスクロック信号を受信し、
前記プログラマブル遅延は、前記位相比較動作を開始するためのリファレンスクロック信号を生成するよう前記アドバンスリファレンスクロック信号を遅延させるよう構成され、
前記サンプリングスイッチ制御部は、前記PFDによる前記位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じるよう制御し、また前記位相比較動作の直後に前記サンプリングスイッチを開くよう制御するよう更に構成され、
これにより、前記ループフィルタが前記チャージポンプにおける電圧(potential)リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項21の装置。
【請求項24】
前記ループフィルタから前記VCOへの前記制御電圧は、一旦前記サンプリングスイッチが開くと、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック(どちらが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、一定とされるよう更に構成される請求項23の装置。
【請求項25】
ループフィルタと、
UPパルス及びDOWNパルスのうち少なくとも1つに応じて前記ループフィルタに出力信号を生成するチャージポンプと、
前記ループフィルタと前記チャージポンプとの間に結合され、サンプリング間隔で特徴付けられたサンプリングスイッチと、
を具備し、サンプリングスイッチ制御部で動作するよう適合された位相ロック(PLL)ループ回路であって、
それによって、前記サンプリングスイッチ制御部は、前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが始めに生じたかに応じて、前記UP及び前記DOWNパルスがオン状態とされる前に前記サンプリングスイッチを閉じることによって、
また前記UP及び前記DOWNパルスの両者がオフ状態へと戻ったあと、前記サンプリングスイッチを開けることによって、
前記チャージポンプからのリーク電流の影響を和らげるよう前記サンプリング間隔の幅を適切に制御する位相ロック(PLL)ループ回路。
【請求項26】
位相比較動作を提供し、前記UP及び前記DOWNパルスを生成し、プログラマブル遅延で動作するよう適合された位相周波数検知部(PFD)を更に具備し、
それによって、前記サンプリングスイッチ制御部及び前記プログラマブル遅延は、アドバンスリファレンスクロック信号を受信し、
前記プログラマブル遅延は、前記位相比較動作を開始するリファレンスクロック信号を生成するための前記アドバンスリファレンスクロック信号を遅延させるよう構成され、
それによって、前記サンプリングスイッチ制御部は、前記PFDによる前記位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じ、前記位相比較動作の直後に前記サンプリングスイッチを開き、
これにより、前記ループフィルタが、前記チャージポンプにおける電圧(potential)リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項21のPLL回路。
【請求項27】
前記ループフィルタから前記VCOへの前記制御電圧は、一旦前記サンプリングスイッチが開くと、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック信号(どちらが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、一定とされるよう更に構成される請求項23のPLL回路。
【請求項28】
位相ロックループ(PLL)回路と、
前記UPパルスまたは前記DOWNパルスのうちいずれが初めに発生したかに応じて、前記PLL回路の位相周波数検知部(PFD)からチャージポンプへのUPまたはDOWNパルスがオン状態とされる前に、サンプリングスイッチを閉じる手段と、
前記UP及び前記DOWNパルスの両者が、前記チャージポンプからのリーク電流の影響を和らげるよう、前記サンプリングスイッチによるサンプリング間隔の幅を制御するためオフ状態に戻った後、前記サンプリングスイッチを開く手段と
を具備する装置。
【請求項29】
前記チャージポンプへの前記UP及び前記DOWNパルスの両者の長さに基づいたデュレーションの間、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御する手段を、更に具備する請求項28の装置。
【請求項30】
前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、ロック取得期間中にチャージポンプへの前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最長(longest length)の関数(function)として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御する手段を、更に具備する請求項28の装置。
【請求項31】
前記PLL回路のロック状態で、前記UPパルス、及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最大長(maximum length)の関数(function)として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御する手段を、更に具備する請求項30の装置。
【請求項32】
前記UP、及び前記DOWNパルスの立ち下がり遷移が生じることを検知する手段と、
前記UP及び前記DOWNパルスの両者の前記立ち上がり遷移の検知に応じて、前記サンプリングスイッチを開くよう制御する手段と
を更に具備する請求項28の装置。
【請求項33】
位相比較動作に先立ち、前記チャージポンプの出力ノードを前記ループフィルタに存在する前記制御電圧にまでプリチャージする手段を、更に具備する請求項28の装置。
【請求項34】
前記PFDによる位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じ、前記位相比較動作の直後に前記サンプリングスイッチを開く手段を更に具備し、
これにより、前記ループフィルタが、前記チャージポンプにおける電圧(potential)リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記PLL回路の前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項32の装置。
【請求項35】
一旦前記サンプリングスイッチが開くと、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック(どちらが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、前記ループフィルタから前記VCOまでの前記制御電圧を一定に保持する手段、を更に具備する請求項34の装置。
【請求項36】
位相ロックループ(PLL)回路内のチャージポンプからのリーク電流の影響を和らげる方法であって、
前記PLL回路の位相周波数検知部(PFD)から前記チャージポンプへのUPまたはDOWNパルスがオン状態とされる前に、前記UPパルスまたは前記DOWNパルスのうちいずれが初めに発生したかに応じて、サンプリングスイッチを閉じることと、
前記PLL回路内の前記チャージポンプからの前記リーク電流の影響を和らげるよう前記サンプリングスイッチのサンプリング間隔の幅を制御するためオフ状態に戻った後、前記UP及び前記DOWNパルスの両者が前記サンプリングスイッチを開くことと
を具備する方法。
【請求項37】
前記チャージポンプへのUP及びDOWNパルスの両者の長さに基づいたデュレーションの間、前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御することを更に具備する請求項36の装置。
【請求項38】
前記UPパルス、及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、ロック取得期間中に前記チャージポンプに対する前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最長の関数として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御することを、更に具備する請求項36の方法。
【請求項39】
前記PLL回路のロック状態で、前記UPパルス及び前記DOWNパルスのうちいずれが最長の幅であるかに応じて、前記UP及び前記DOWNパルスのそれぞれの最大長(maximum length)の関数として前記サンプリング間隔の前記幅を適切に制御することを、更に具備する請求項38の方法。
【請求項40】
前記UP及び前記DOWNパルスの立ち下がり遷移が生じたことを検知することと、
前記UP及び前記DOWNパルスの両者の前記立ち上がり遷移の検知に応じて、前記サンプリングスイッチを開くよう制御することと
を更に具備する請求項35の方法。
【請求項41】
PFDの位相比較動作に先立ち、前記ループフィルタに存在する前記制御電圧にまで前記チャージポンプの出力ノードをプリチャージすること、を更に具備する請求項36の方法。
【請求項42】
前記PFDによる位相比較動作の直前で前記サンプリングスイッチを閉じるよう制御することと、
前記位相比較動作の直後に前記サンプリングスイッチを開くよう制御することと
を更に具備し、
これにより、前記ループフィルタが、前記チャージポンプにおける電圧リーク経路に接続されるデュレーションを最小化しつつ、同時に前記PLL回路の前記ループフィルタ上にすべての誤り電荷をサンプリングすることを保証する請求項40の方法。
【請求項43】
一旦前記サンプリングスイッチが開くと、前記アドバンスリファレンスクロック信号または前記アドバンス分周クロック(どちらが先に生じてもよい)がオン状態とされる次のサイクルまで、前記ループフィルタから前記VCOまでの前記制御電圧を一定に保持する手段、を更に具備する請求項42の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509024(P2012−509024A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536483(P2011−536483)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064267
【国際公開番号】WO2010/056912
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】