説明

RFIDを利用して空気感染による伝染病を発見および抑制するための飛沫回収装置および方法

(a)マスク本体と、(b)装着者が伝染病に感染しているかどうかを確認するための少なくとも1つの診断器具装置とを有する濾過フェイスマスク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDを利用して人および/または動物の空気感染による伝染病を発見および抑制するための飛沫回収装置および方法に関するものである。本発明は、呼気飛沫回収装置に対してとりわけ適用性があり、RFID(無線識別)技術およびその他の自動識別システムを利用して、感染の可能性のある人および/または動物を識別、追跡および隔離することによって、空気感染による伝染病の発生を検出および抑制する機能を有しており、この機能はフェイスマスクと組み合わせられるか、またはフェイスマスクに組み込まれることが可能である。
【背景技術】
【0002】
医学および医療技術が大幅に進歩しているにもかかわらず、深刻な空気感染による伝染病の発生を抑制するための社会的な対策措置は、何世紀も前に開発された物理的隔離措置からあまり進歩していない。患者を治療するための治療法は極めて多くの選択肢から選ぶことができるが、既存の治療法による治療に対して耐性があって治療が難しい、伝染性の強い、深刻な、命にかかわる新たな病気が常に存在する。鳥インフルエンザおよび重症急性呼吸器症候群(SARS)等の近年の伝染病により、海外旅行の繁栄と人気によって、伝染病の地域的な発生が世界的流行に急速に変わり得ることが確認された。公共交通機関、職場、病院、学校、ショッピングモール、飛行機、レストランおよびその他の人が集まる場所などの高密度環境に交じることは我々の日常生活によくあることであり、空中病原体が素早く知らぬ間に広がる可能性があり、現にそうなる環境を作り出す。ある種の病原体は、感染した家畜、鶏、ペットまたはその他の動物に接触することによって人に広がる可能性もある。さらにまた、遺伝子工学の発達により、意図的に作り出された病原体の脅威を伝染性が強く、それに伴って回復率も低いバイオテロの手段として利用することが可能である。
【0003】
起こり得る世界的流行病の人的損失に加えて、発生が疑われると、人々が感染とその後に考えられる隔離を恐れるので、地域経済に経済的大混乱をまきおこす可能性もある。2003年のSARSパニックの際、トロントでは、熱を検知するためのデジタル耳式体温計を利用して到着した国際旅客を個別にスクリーニングする処置を行った。一部のアジア諸国は、そのような処置を使用するだけでなく、熱画像スキャンのような同様の処置を採用し続けている。今にして思えば、トロントでの処置は、発熱が病気の後期に起こってしまったために、間接伝染・接触伝染した人を識別できなかったことで批判された。したがって、偽陽性または偽陰性結果を表す検査がまかり通り、この種のスクリーニング処置に対して大きな欠点をもたらす。さらにまた、この方法の実用性により、処置に大きな労働力を要することを考えて、空港外での広範な使用が制限されていた。
【0004】
2003年の中国および台湾におけるSARSの発生は、深刻な伝染病の発生を抑制および処理するための現在の処置のさらなる不備も明らかにした。それらのケースでは、彼らの社会で感染者や病人の治療に必然的に頼らざるを得ない病院および医療従事者を保護するために不適切な方法が採られた。結果として、医師や看護婦が命を失い、全病院が隔離された。その上、当局は、感染や病気の証拠ではなく、配置や、時間と場所に基づいて過剰包括的に順序不同に隔離されることへの人々の不安から、感染の可能性のある人を見つけるのに苦労した。例えば、より自由な基準を有し、隔離命令への順守を怠った場合の厳罰への恐れが少ない個人中心文化を特徴とする米国で同じことが展開すると、個人や家族の反応を予測することは難しい。そのような人が隔離される前に感染地域から逃げる決心をすることによって、病気の広がりを抑制する目的が損なわれる。
【0005】
空気を手段として伝播可能な伝染病の伝播を抑制するために、何年にもわたって使い捨てフェイスマスクや使い捨てでないフェイスマスクが使用されている。医療分野では、初期のマスクは、特に手術中の汚染や、その結果として患者のまたは患者による間接伝染を防止するために使用されていた。近年は、空中病原体による一般人の汚染や間接伝染を防止することへの意識や関心も高まってきている。疾病管理センター(CDC)の現在のガイドラインと勧告は、例えば、一般人の免疫不足によりインフルエンザ感染の頻度が増加した場合に、インフルエンザを抑制するためにフェイスマスクの使用を推奨している。
【0006】
人インフルエンザは、主に感染者が咳やくしゃみをした際に発生するウイルスに感染した大きな飛沫(直径5μmより大きな粒子)を介して人から人へ伝播する。これらの大きな飛沫は、飛沫源の近く(すなわち、3フィート以内)にいる感染しやすい人の上気道の粘膜面に直接堆積し得る。伝播は、感染性気道分泌物や感染性呼気飛沫または空気飛沫核と直接および間接的に接触することによっても起こる可能性がある。
【0007】
医療現場でのインフルエンザの伝播を減らすために、感染制御戦略を組み合わせることが推奨される。これらは、インフルエンザ患者を極力個室に移すとともに、患者に密接(すなわち、3フィート以内)に接触する医療従事者にマスクを着用させ、呼気飛沫に接触しそうな場合は上衣と手袋を着用させることなどである。感染患者が外科処置用マスクを使用することは、呼気飛沫を封じ込めて、他者への曝露を制限するのに役立つ。同様に、患者が隔離室にいてマスクを着用していない場合、患者と密接に接触する医療従事者にマスクを着用させることによって、鼻と口が呼吸器飛沫に接触しないようにする。米国では、呼吸器感染の危険を防止するために、使い捨ての外科処置用マスクが医療現場で広く用いられてきたが、社会環境(例えば、学校、会社および公共の場)で広く用いられることはなかった。
【0008】
従来技術の標準的な防護フェイスマスクは使い捨ての紙マスクであり、一般的に成形カップ型マスクと折りたたみ式マスクの2つのカテゴリに分類される。成形カップ型マスクは、しっかりと構成されたマスク本体を有しており、着用者の顔から離れているという利点がある。このマスクは、1層以上の通気材料から形成される。鳥インフルエンザやSARS等の病気の発生時、医療従事者を最大限に保護するためにCDCが推奨した「N95」マスクの多くは、成形カップ型である。そのようなマスクの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5に記載されている。折りたたみ式マスクは、収納時は折りたたまれ、使用中は着用者の鼻と口を覆うカップ型空気室を形成するように開かれる構成になっている。これらのマスクも、通気材料の層から形成される。折りたたみ式マスクの例は、特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9に記載されている。
【0009】
フェイスマスクは着用者の鼻と口を覆うことが望ましく、さらには着用者の顔の一部、すなわち、頬、顎、顎先などを覆うことが望ましい。使い捨てフェイスマスクは、軽量かつ安価であることが好ましい。マスクを着用者の頭部に固定するために、多くのフェイスマスクは両側にひもを有しているが、一部のフェイスマスクは、マスクの片側から反対側に伸びる1つ以上の弾性バンドまたはストラップを有する。マスクには、バルブ、ノーズクリップおよびフェイスシールドなど、すべて当該技術分野で周知の他の付属部品を組み込むこともできる。
【0010】
非医療現場では、密接に接触する他者への伝播のリスクを制限するために、症状のある人が出掛ける時や公共の場にいる時は常にフェイスマスクの着用が推奨されている。深刻な空気感染による伝染病の発生の疑いや可能性がある場合には、フェイスマスクは一般の人によく使用される。これまで使われたフェイスマスクは一般的に、空気感染による伝染病から着用者を保護するとともに、着用者が伝播しかねない感染性エアロゾルや粒子への曝露から他者を保護する働きをする。空気感染可能な、深刻になる可能性のある病気の発生の広がりを制限するために、病院、公共交通機関およびその他の人が集まる場所などの公共の場だけでなく、鶏肉加工施設でのフェイスマスクの義務的な使用が保健局によって義務付けられることがある。フェイスマスクの着用命令の他に、保健局は歴史的に、感染の危険性が高いと考えられる地域への滞在から感染の危険性が高いと考えられる人の隔離や排除を命令することによって、さらなる予防策を講じてきた。1918年のインフルエンザの世界的大流行に直面して、例えば、ニューヨーク州は公共の場での市民の集まりを禁止する命令を出した。2002年11月から2003年7月の間に起こった中国でのSARSの発生中、病気の広がる可能性を阻止するために、中国政府は特定の地域の住民を隔離した。2003年に、トロント保健局は、到着する航空機の乗客に対して、到着時に各乗客の耳の中に電子式温度計を入れることによってSARS感染の可能性を個別にスクリーニングする処置を義務付けた。2003年にはまた、シンガポールのチャンギ空港で熱画像スキャンを設けて乗客をスクリーニングした。そのような措置は、一人ずつを検査する手間のかかる過程と、それに伴って被験者が負わされる不都合や遅れとがなかったら、より広く適用されたであろう。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,536,440号明細書
【特許文献2】米国特許第4,807,619号明細書
【特許文献3】米国特許第4,850,347号明細書
【特許文献4】米国特許第5,307,796号明細書
【特許文献5】米国特許第5,374,458号明細書
【特許文献6】米国特許第5,322,061号明細書
【特許文献7】米国特許第5,020,533号明細書
【特許文献8】米国特許第4,920,960号明細書
【特許文献9】米国特許第4,600,002号明細書
【特許文献10】米国特許第6,107,920号明細書
【特許文献11】米国特許第6,206,292号明細書
【特許文献12】米国特許第6,262,292号明細書
【特許文献13】米国特許出願第10/748,455号明細書
【特許文献14】米国特許第6,987,451号明細書
【特許文献15】米国特許出願第11/040,496号明細書
【発明の開示】
【0012】
上記のことを考慮して、効率的かつ信頼性のあるシステム、すなわち、例えば位置や旅行歴に基づく過度に広範な隔離措置を恐れた感染の可能性のある人の社会経済的負担および措置による逆効果であるパニックを最小限に抑えつつ、深刻な空気感染による伝染病の発生を迅速かつ効果的に識別および抑制するための方法および装置の必要性が存在する。したがって、本発明の目的は、伝染性の強い病気の発生または発生の疑いに対して、迅速に回収、識別、分析、追跡、抑制、正確な隔離および治療法の改善を行う新規の装置および方法を提供することであるが、本発明は深刻な世界的流行の兆しがある病気への利用に必ずしも限定されるものではない。
【0013】
本発明のさらなる目的は、生体サンプルの回収および分析によって都合良くかつ迅速に感染者を識別可能で、感染者を非感染者から引き離すことができる診断器具装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、フェイスマスクの継続着用による個人保護を妨げない生体サンプリング装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、感染者および非感染者からの個人情報を収集することによって、集団にわたる発生を追跡する診断器具装置の使用法を提供することである。本発明の別の目的は、個人保護マスクを不適切に使用するか使用しなかった人の証拠を提示することによって、不必要に隔離またはその他の制約を受ける可能性のある人の数を削減する推奨手順によってコンプライアンスを改善することである。
【0015】
本明細書で参照されたすべての特許および公開特許出願は、その全体が参照として本明細書に援用される。
【0016】
本発明は「高性能」呼吸濾過フェイスマスクを包含しており、例えば、外部の空気感染による伝染病の病原体への曝露からマスクの着用者を保護する濾過装置を提供するとともに、マスクの着用者が吐き出す可能性のある空気感染による伝染病の病原体への曝露から他者を保護する濾過装置を提供する従来技術のフェイスマスクの従来の機能を果たすものである。これらの従来の濾過および保護機能に加えて、本発明はさらに、間接伝染・接触伝染の可能性があるため、他者に感染の脅威を与えかねない着用者を識別する少なくとも1つの診断器具装置を包含する。本発明はまた、政府、保健局、病院およびその他に、深刻になる可能性のある伝染病の発生を確認および追跡する効率的かつ好都合かつ費用効果的な方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面に1つ以上の例が示される本発明の現時点で好適な実施形態の詳細について言及する。各例は本発明の説明として提供されるものであり、本発明を限定するものではない。例えば、一実施形態または図面の一部として例示および説明された特徴を別の実施形態または図面に使用することによって、さらに別の実施形態を得ることができる。本発明は、そのような修正形態および変更形態を含むことを目的としている。
【0018】
定義
本発明に関して、下記の用語は以下に説明するように定義される。
【0019】
本明細書では、「空気(空中)」は、感染性飛沫の伝播による「飛沫感染」や、感染性「空気飛沫核」の伝播による「空気感染」によって、人または動物または環境から伝播し得る感染性因子を言う。
【0020】
本明細書では、「空気飛沫核」という表現は、空中に長期間浮遊し続ける蒸発飛沫の残留小粒子(5μm以下のサイズ)を言う。空気飛沫核によって伝播する深刻な病気の例としては、これらに限定されないが、はしか、水痘帯状疱疹ウイルス感染、レジオネラ症、播種性帯状疱疹、結核、犬インフルエンザ、オウム病、ボア科ヘビの封入体病、口蹄疫(FMD)、SARS、インフルエンザA(H5N1)およびH5N9などの鳥インフルエンザなどがある。
【0021】
本明細書では、「空気感染」という表現は、感染性因子を含有する空気飛沫核や塵埃粒子の伝播を言う。感染者または感染動物からの感染性微生物はこのようにして運ばれて、気流によって室内または遠方に広く分散することによって、感受性宿主に吸入されて堆積する可能性がある。
【0022】
本明細書では、「空気予防策」という表現は、空気感染を防止するために必要な特別な空調と換気を言う。空気感染による伝播が分かっているまたは疑わしい病気にかかっている患者と接触することになる人々は、疾病管理センターによって、使い捨てサージカルマスク、またはより好ましくはN95呼吸器マスク等の呼吸用保護具の着用が勧められている。
【0023】
本明細書では、「エアロゾル」という用語は、固体および/または液体粒子のガス状浮遊物を言う。
【0024】
本明細書では、「動物」という用語は、哺乳類、鳥類および爬虫類など、気管と肺を含む気道を有する呼吸器系をもつあらゆる生物を言う。
【0025】
本明細書では、「伝染」および「接触伝染」という単語は、1人の人から別の人へ、体からの分泌物に接触することによって直接的に、または物質すなわち無生物によって間接的に伝播する病気の種類を言う。
【0026】
本明細書では、「汚染物質」という用語は、人間または動物に悪影響を与える可能性のある化学物質または生物有機体/病原体を言い、「汚染」という用語は、汚染する行為または課程を言う。
【0027】
本明細書では、「診断器具」とは、診断、すなわち、身体的徴候、症状、病歴、臨床検査結果および/または処置の科学的評価による1つ以上の病原体の特定を行うために使用されるものを意味する。診断器具には、確定診断を目的とする装置ではなく、例えば、確定診断を得るためのさらなる検査のために選別して使用される有益な情報を提供することができるスクリーニングタイプの装置が含まれる。
【0028】
本明細書では、「飛沫」という表現は、病原微生物を含有する流体の大きな粒子の飛沫(5μmより大きなサイズ)で浮遊する病原微生物を言う。飛沫は、臨床疾患に感染している患者または病気の保菌者が息を吐いたり、咳をしたり、くしゃみをしたり、話をしたりする時に発生し得る。飛沫はその後、感受性宿主の鼻と口の結膜または粘膜と接触することによって伝播し得る。その結果、飛沫内の微生物が宿主によって吸い込まれて、間接伝染の原因となる。飛沫がエアロゾル化すると、「空気飛沫核」と呼ばれる。飛沫によって広がる病気の例としては、これらに限定されないが、水疱瘡、風邪、インフルエンザ、はしかおよびおたふく風邪などがある。
【0029】
本明細書では、「飛沫感染」という表現は、飛沫の吸入による間接伝染を言う。
【0030】
本明細書では、「飛沫予防策」という表現は、感染性因子の飛沫感染のリスクを減らすことを目的として策定された予防措置を言う。これらの予防策は、感染性飛沫によって伝播し得る疫学的に重大な病原体に感染していることが分かっているまたは疑わしいすべての患者に適用される。飛沫は空中に浮遊し続けることがなく、通常3フィート以内の距離を移動するので、大きな粒子の飛沫が伝播するには、飛沫源と受け手の間の密接な接触が必要である。したがって、飛沫感染を防止するために特別な空調や換気(すなわち「空気予防策」)を必要としないが、疾病管理センターは、汚染を防止するために、飛沫感染によって伝播する病気にかかっている患者の3フィート以内にいる人々がマスク(例えば、サージカルマスク)を着用することを勧めている。
【0031】
本明細書では、「呼気」という用語は、肺からの呼気のことである。
【0032】
本明細書では、「吐き出す」とは、患者の肺から吐き出されたあらゆる気体および/または粒子状物質を言う。
【0033】
本明細書では、「流体」という用語は、あらゆる気体、液体または気体と液体の混合物を言い、さまざまなタイプのエアロゾルや粒子状物質がそのような流体に混入し得る。
【0034】
本明細書では、「間接伝染」とは、病原微生物の体内への侵入に起因し、患者と実際に接触するしないにかかわらず、患者間の感染によって伝播し得る病気を言う。
【0035】
本明細書では、「フェイスマスク」という表現は、顔に着用されて少なくとも鼻と口を覆い、着用者が有害な空中浮遊粒子(塵埃粒子や感染性因子を含む)、気体または蒸気を吸入するリスクを減らすために使用されるあらゆる個人防護器具を言う。利用可能な多様なマスクには、(1)空中浮遊粒子を濾過して取り除く微粒子用マスク、(2)化学物質や気体を濾過して取り除く「ガスマスク」、(3)遠隔源からの圧縮空気を使用するエアラインマスク、(4)独自の空気源を含む自給式呼吸器、(5)折りたたみ式サージカルマスク、(6)成形カップ型マスクなどがある。
【0036】
本明細書では、「濾過」とは、外部の伝染病原体への曝露からマスクの着用者を保護するための濾過装置、または着用者が吐き出す可能性のある伝染病原体への曝露から他者を保護するための濾過装置、もしくはその両方を含むフェイスマスクのタイプを言う。
【0037】
本明細書では、「病原体」という用語は、病気を引き起こす物質を言い、例えば、バクテリア、真菌、ウイルス、ウイロイド、プリオン/タンパク質などの生きている微生物を含むがこれに限定されるものではない。
【0038】
本明細書では、「N95呼吸器マスク」という用語は、9種類の使い捨て微粒子用マスクの1つを言う。微粒子用マスクは、人が呼吸する時に空気から粒子を濾過するので、「濾過式呼吸用保護具」としても知られている。これらの呼吸用保護具は、気体や蒸気ではない粒子のみから保護するものである。バクテリアやウイルス等の空中浮遊生物学的因子は粒子なので、微粒子マスクによって濾過することができる。
【0039】
本明細書では、「サージカルマスク」という用語は、飛沫に対するバリア保護を提供する使い捨てマスクを言う。
【0040】
本明細書では、「一方向」という用語は、着用者のフェイスマスクの片側のみに挿入される呼気飛沫回収ストリップの種類を言う。それに比べて、「双方向」呼気飛沫回収ストリップは、マスクの両側に伸びるようにフェイスマスク全体に組み込むか挿入することができる。
【0041】
これらの用語は、本明細書の残りの部分においてさらなる言葉で定義される。
【0042】
呼気飛沫回収ストリップ
本発明は、着用者の口とフェイスマスクの内部の間に挿入または取付可能な呼気飛沫回収ストリップを包含する。図1は折りたたみ式濾過フェイスマスク1の背面図であり、マスク着用前の前記フェイスマスク1の内部への一方向呼気飛沫回収ストリップ2の適切な位置決めを示している。図2Aは、一方向呼気飛沫回収ストリップ2の例の正面図である。図2Bは、一方向呼気飛沫回収ストリップ2の例の背面図である。本発明の一実施形態では、呼気飛沫回収ストリップは、ストリップまたはマスクに含まれる粘着剤によって、マスクの着用前にフェイスマスクの内側に都合良く取り付けることができる。
【0043】
本発明の別の実施形態では、呼気飛沫回収ストリップは、フェイスマスクの着用後に使用者が着用したままで、使用者の口とフェイスマスクの間に挿入することができる。図2Aに示すように、15はストリップの丸みのある縁部であり、フェイスマスクが既に定位置にあっても、頬の皮膚とフェイスマスクの間に挿入し易くするものである。ストリップは、折りたたみ式サージカルマスクや成形カップ型使い捨て防塵マスクを含むがこれらに限定されない多種多様なフェイスマスクに適応できるという利点を有する。さらにまた、ストリップがフェイスマスクを着用したままで着用者のフェイスマスクに迅速かつ都合良く挿入することができることによって、既に定位置にあるフェイスマスクの取り外しや交換に伴う着用者の露出のリスクを回避することができる。このようにして、呼気飛沫回収ストリップは、空中病原体への曝露の危険性が高い、人が集まる場所やその他の人の良く通る環境の中で着用者に配布して取り付けることができる。本発明の好適な実施形態では、ストリップは平らで曲げることができるので、着用者のマスクと頬の間に挿入して、装置の回収手段領域3を使用者の口の周りの領域全体に適切に位置付けるような所定の位置に摺動するようになっている。
【0044】
図3は、半折りたたみ式の一方向呼気飛沫回収ストリップ2の側断面図であり、ストリップの回収領域3に貼り付けられるポリエステルや他の適当な繊維性の回収材料を含んでいる。タブ20および21は、非永久的に粘着取付された取り外し可能な回収材料ユニットの取り外しに役立つものである。そのようなユニットは、その両側(図示せず)で独自に識別される。ストリップ材料22は、既に定位置にある着用者のフェイスマスクへストリップを挿入するのに十分な厚さの柔軟な紙またはプラスチックである。23および24は、着用者の顔へのストリップの粘着を可能にするように、あるいは折りたたみ位置で着用されている場合、フェイスマスクの外側部分に貼り付けられるように配置された粘着ラベルの側面図である。25は、本発明の折りたたみバージョンの代替実施形態を示しており、固着点26で貼り付けられた2つの別個の材料を利用しており、2つの材料間に張力を発生させることによって、フェイスマスクの縁部に留めて、着用の際にストリップの適切な位置を保持するのに役立つものである。
【0045】
図4は成形カップ型マスク27の側面図であり、折りたたまれていない一方向呼気飛沫回収ストリップ2が顔の皮膚と着用者のフェイスマスク27の内側部分の間に矢印26で示す方向に挿入されて適切に位置決めされている。着用者の顔に面してストリップの側面に貼り付けられた呼気飛沫回収ストリップの回収領域3は正確に位置付けられ、フェイスマスク27の内側部分に吐いた病原体を捕捉および回収するように着用者の口の前に直接位置付けられる。
【0046】
本発明のストリップは、マスクにいったん挿入された回収ストリップを定位置に保持または固定するための手段を組み込んでおり、適切な位置決めを維持するとともに、着用者の口と顎の動作の邪魔になるのを回避するようになっている。一実施形態では、固定手段は粘着剤であり、回収ストリップに付着または塗布される。図2Bに示すように、18は粘着剤および/または使い捨ての紙に覆われた粘着剤であり、着用者がストリップを着用者のフェイスマスクの内部に付着させるために選択的に利用することができ、着用者の口の周りの領域全体への回収領域の適切な位置決めを維持するとともに、着用者の口と顎の動作の邪魔になるのを回避するようになっている。粘着剤18は、使用者の口を覆うフェイスマスクの内部に付着するように、回収領域3の反対側のストリップ2の領域に貼り付けてもよい。本発明の別の実施形態では、固定手段は、定位置にあってマスクの内部と接触するストリップが動かないように、マスクの内部の繊維に緩く取り付けることができる非粘着性材料またはとげ状突起手段を有する。本発明の別の実施形態では、固定手段は、頬の皮膚、耳の領域または顎先等の着用者の皮膚に付着させることによって、回収ストリップを定位置に保持することができる非アレルギー性の粘着剤を有する。本発明のさらなる実施形態では、固定手段は、フェイスマスクの縁部に取り付けるように設計されたクリップ、折り目または粘着剤を含み得る。図4は再利用可能なスプリングクリップすなわち留め具28を示しており、着用者のフェイスマスクの縁部に留められ、そのようなクリップすなわち留め具の内部に埋め込まれるか組み込まれた挿入スリット29内に使い捨てストリップを挿入できるようにする。
【0047】
本発明の別の実施形態では、固定が回収ストリップの折り目で行われることによって、フェイスマスクの外部に伸びるストリップの外側部分をフェイスマスクの外面に折り重ねて取り付けることができる。折り目の代わりに、ストリップが分離されて挿入されると、フェイスマスクの外面全体に伸びるように、別個の材料層を回収ストリップの外端部に取り付けることによって、「洗濯ばさみ」様式でフェイスマスクに取り付けるのに必要な張力を提供する。本発明のさらなる実施形態では、ストリップは、挿入時にフェイスマスクの反対側、例えば装着者の顔の反対側の頬とフェイスマスクの間に伸びるように十分な長さを有する。そのようなストリップは、フェイスマスクが使用者の顔に接触する2点で定位置に保持することができるという利点を有する。そのようなストリップは、着用者の顔の両側で外部から視認、読取および回収することができるというさらなる利点も有する。そのようなストリップは、着用者によるほんのわずかな補助で反対側に正しく簡単に通すことができる。そのような双方向設計の場合、回収領域は理想的には、本発明者が前述した「一方向」ストリップの場合のように一方の近接端部に向かうのとは対照的に、回収ストリップの中心に向かって位置付けられる。さらなる実施形態では、回収ストリップは、着用者の口の周りの領域を覆うマスクの内側部分に付着し、装着者の顔の片側または両側の皮膚に付着するように設計されるか、もしくはフェイスマスクの外側部分を覆う回収ストリップの外側部分に伸長および/または付着するような折り目または洗濯ばさみ設計をさらに有する。さらなる実施形態では、そのような双方向回収ストリップは、両端を接触させて、粘着剤やそれ自身のみで結合する粘着材料等のその他の手段によって、互いに固定または付着させることができるような十分な長さを有する。
【0048】
本発明の別の実施形態では、外部から視認可能なように着用者の皮膚に付着する固定手段が、熱を表す皮膚温が上昇した着用者を潜在的に識別できるように、皮膚と接触する点に液晶比色温度検査(アッセイ)も組み込んでいる。図2Aに示すように、16は任意の粘着ステッカー、すなわちバイオドット等の粘着性の比色温度計であり、着用者の頬の皮膚にストリップを付着させて、着用者の口の周りの領域を覆う回収領域の適切な位置決めを維持するとともに、着用者の熱があることが疑わしい状態の指標の役目を果たすようになっている。図2Bに示すように、透明な粘着ステッカーすなわち比色アッセイ19が、着用者の頬の皮膚に付着するように配置される。図4は、着用者の頬に付着することによって、ストリップを定位置に保持する粘着ラベルすなわち比色温度計16を示す。そのような例は、実際のフェイスマスクのオリジナル製品にありとあらゆるアッセイを組み込むことを除外することや、そのような装置のマスクへの後の追加を除外することを目的としていない。
【0049】
あらゆるフェイスマスクの再利用性と寿命を維持するために、留め具を回収ストリップから分離させ、フェイスマスクに取り付けて、追加の回収ストリップを定位置に正確に配置および維持するのにほとんどもしくはまったくさらなる努力をせずに、複数の呼気飛沫回収ストリップの迅速な挿入、取り外しおよび再挿入を可能にする。そのような留め具は、装着者に関する外部から明らかな有用情報を組み込むこともできる。図4に示すように、再利用可能なクリップまたは留め具は、例えば、装着者の写真またはデジタル画像30とともに、名前、性別、年齢、身長、体重などの情報と、ストリップの配給元の時間と場所などの装着者を識別するのに役立つ情報を含み得る。この情報の追加により、隔離される、すなわち感染の可能性のある人が、他者に配給された呼気飛沫回収装置を着用して他人の身元を語ることによって発見を逃れる可能性を低下させることができる。図4に示すように、再利用可能な留め具/バッジは、バーコード31やその他の機械可読情報および/または内部に埋め込まれた固有の無線識別(RFID)タグ32も含み得る。無線識別タグは、装着者に関連付けて追跡すると、ストリップの回収時点にバーコード化または別の方法で独自に識別された呼気飛沫回収ストリップにたどり着く高速電子手段を提供する。このようにして、後に対象の伝染病の検査で陽性反応を示す呼気飛沫回収ストリップを元の着用者まで即座に遡ることができる。いったん識別されると、感染した人はその後、集団の他のメンバーを保護するために設置されたさまざまな保護用の統合検問所を通過するので、例えばRFIDの場合、個人の固有のバーコードすなわち機械可読識別番号を利用して、彼らを識別し、接触し、検査することができ、隔離する可能性もある。
【0050】
呼気飛沫回収材料
多様な材料が呼吸に伴う空中病原体の回収に適しており、本発明の呼気飛沫回収ストリップに組み込むことができる。例としては、これらに限定されないが、ポリエステル、ダクロンおよび綿などの鼻腔または咽頭スワブに従来から利用されている材料と、紙、タイベックおよびプラスチックなどのその他の繊維性材料などがある。例えば、現在、世界保健機関(WHO)によって、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)を回収するための鼻腔および咽頭スワブ用に、ポリエステルが推奨されている。呼吸保護フェイスマスクの製造に従来から利用されている濾紙およびその他の通気材料も使用済みの廃棄されたフェイスマスクの回収および検査に適しており、そのようなフェイスマスクは医療従事者、患者または見舞客によって医療現場の出口で回収することができる。回収材料には、得られたサンプルの保存および輸送に有効な物質、例えばこれらに限定されないが、硫酸ゲンタマイシンやアムホテリシンB等の抗生物質や抗真菌剤のみならず、乾燥させた仔牛抽出液、乾燥させたアルブミン分画V、スチュアート媒体またはその他の保存料や一般的なウイルス輸送媒体なども含浸されている。理想的には、そのような添加剤は着用者との接触を避けるような方法で取り入れるべきである。
【0051】
本発明の一実施形態では、使用済みの回収材料のサンプルが1つ以上の穴あけ器またはその他の手段によって得られ、パンチされたサンプルの後の識別、追跡、関連付けに役立つ各マスクまたはストリップに固有の識別子を鼻/口の周りの領域に配置または印刷することによって、従来技術で説明されたフェイスマスクやスワブと区別することができる。図2Aに示すように、回収領域3は呼気飛沫回収ストリップに直接組み込んでもよく、あるいは呼気飛沫回収ストリップに貼り付けられたポリエステル等の適当な繊維性回収材料を備えていてもよい。4および5は、回収材料またはストリップの1つ以上のミシン目(6および7)によって分離することができる2つの回収領域であり、もう一方の回収領域5および/またはストリップ全体を個別に保存して後に再サンプリングするために残しつつ、プールされたサンプル群の領域4の別個の検査をし易くするものである。8および9は、呼気飛沫回収ストリップを全体的にまたはストリップの回収領域4および5のみを自動的に回収、保存、輸送および処理するのに役立つパンチ穴である。10は、回収されたストリップを追跡してサンプルが得られた個人と関連付けるためのストリップの識別に役立つ事前印刷または標示された機械可読バーコードである。11は、10と同じ識別番号の英数字形式のものである。12は、政府機関、病院またはストリップの他の配給者の色分けされた名前および/またはロゴである。13および14は月日情報であり、当該ストリップが使用される予定の月日または期限切れとみなされる月日を示すために事前印刷または標示されるとともに、個別に色分けされる。図2Bに示すように、17は、1つ以上の取り外し可能な回収領域のすぐ反対に印刷されたさらなる印刷バーコードと英数字の固有識別子であり、ストリップから取り外されたときに回収領域の追跡に役立つものである。
【0052】
よく使われる鼻腔または咽頭スワブとは対照的に、呼吸器フェイスマスクで使用される本発明の呼気飛沫回収ストリップの回収領域は、より大きな表面積を利用するのが理想的であり、着用者の鼻と口の前の外部かつ着用者のフェイスマスクの内部に位置付けられる。そのような回収材料は、鼻腔または咽頭スワブを得るのに必要な時間よりも実質的に長い期間、定位置に保持される。本発明の代替実施形態では、呼気飛沫回収材料は、防塵マスクとして良く使われ、当該技術において既知の特定の使い捨て呼吸用保護具など、一方向排気弁を有する呼吸器フェイスマスクの外側部分に配置される。排気弁を有するフェイスマスクの場合、回収材料の他に、着用者による空中病原体の伝播から他者を保護するように、さらに濾過材料を排気弁の外側部分全体にはめ込むことが予想される。呼気飛沫回収材料は、弁の内側か外側のどちらかに取り付ければよい。一実施形態では、さらなる濾過材料は、排気弁に取り付けることのできる取り外し可能なカートリッジの形態でもよい。図6は、取り外し可能な飛沫回収装置と排気濾過カートリッジ36を有する排気弁35が取り付けられた成形カップ型呼吸器マスク34の斜視図である。
【0053】
無菌包装
本発明は、装着者を他者による交差感染から保護するだけでなく、最終的に診断および/またはスクリーニングプロセスが実行される分析の整合性を維持するように無菌状態を維持するための設計および方法を包含する。したがって、本発明の一実施形態では、呼気飛沫回収ストリップは、着用者が使用する直前まで紙またはホイル等の個別の無菌包装に入れられる。図2Aに示すように、14は折り目であり、これによって呼気飛沫回収ストリップを折りたたんで、無菌回収物が封じ込まれるストリップの内側に折りたたまれた側の無菌状態を維持するとともに、ストリップの汚染された可能性のある外側に折りたたまれた表面領域への曝露を制限することが可能になる。本発明の別の実施形態では、呼気飛沫回収ストリップは、1回限り使われる無菌の使い捨て包装紙で密封される。包装紙は、ストリップを読み取り易くするために透明にすることができる。外装はさらに、中に含まれる呼気飛沫回収ストリップと一致する固有のバーコードまたはRFID等のその他の機械可読識別子を有しており、配布された呼気飛沫回収ストリップの追跡および関連付けに役立つ。本発明のさらなる実施形態では、外装は、呼気飛沫回収ストリップを保存および輸送するとともに、使用後の汚染および交差汚染を制限するための手段を使用者に提供するというさらなる目的も果たしている。さらなる実施形態では、呼気飛沫回収ストリップは、再密閉可能な試験管でパッケージングされるか内部に収容される。そのようなパッケージすなわち試験管は、呼気飛沫回収ストリップサンプルの後の保存および輸送に必要な液体試薬も含み得る。本発明のまたさらなる実施形態では、パッケージ、試験管またはキットは、対象の1つ以上の病原体に特有な内部の個別ラテラルフローまたはその他の免疫アッセイも含み得る。パッケージおよび回収ストリップは、誤用を防止するための不正開封防止またはその他の機能を組み込んでおり、回収または分析の前の液体への接触を示す事前印刷されたマーカーやインクおよび/または分析時に取り入れられる陽性対照などを含むがこれらには限定されない。
【0054】
使用済みマスクの回収装置および方法
本発明は、本発明の呼気飛沫回収ストリップを有するフェイスマスクの大量回収に有効な装置を包含する。本発明の一実施形態では、使用済みまたは廃棄されたフェイスマスクは、例えば戸外へ、すなわち病院、公共交通機関、航空会社の航空便、空港またはオフィスビルなどの人が集まる密閉または閉鎖された領域から退出する際に、返却および回収される。好ましくは、マスク間の交差汚染を防止するために、各フェイスマスクは回収前に装着者によって別個に袋詰めされる。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、各フェイスマスクは、個々の装着者まで遡って調べることができる固有識別子を含んでおり、バイオハザード容器内に回収される。そのような容器に収容された多くの使用済みマスクからのサンプルに刺して穴をあけるために、1つ以上の鋭い先端を有する中空金属棒または金属片が使用される。サンプルを含有する金属棒または金属片は、徹底的に洗い流され、かつ/または対象の1つ以上のウイルスまたはバクテリアに適した適切な輸送および保存媒質で洗浄される。洗い流した液体は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分析される。そのような容器サンプルの1つまたは群が対象の病原体に関する検査で陽性を示す場合、個々の容器、さらにはそのような容器からの個々のフェイスマスクは、1つ以上の感染したフェイスマスクが確認されるまで個別に検査される。フェイスマスクに付随する固有識別子は、装着者の身元を捜すために利用される。
【0056】
使用済みストリップの回収装置および方法
前述した使用済みマスクの回収に関する方法は進歩的かつ実用的であるが、世界的流行下での適用に制限される可能性が予測されており、その制限は本発明のさらなる実施形態によって克服される。最初に、説明したような使用済みフェイスマスクの直接サンプリングには、使用済みフェイスマスクをまず取り外すことが必要であり、用心すべき伝染病に着用者やその他の人を曝してしまう可能性がある。どんな鼻腔または咽頭スワブのスクリーニング手順にも同様のリスクが伴うが、それは、そのような侵襲的手順は、保護フェイスマスクを既に着用している対象者をさらなる危険にさらさずに行うことが難しいためである。次に、着用者はまた、そのような追跡可能なフェイスマスクの初回配布時および着用の時間と場所で曝露する。したがって、人々は、人前に出掛ける前に自宅で個人的にフェイスマスクを着用することを好む。これにより、追跡可能なフェイスマスクの配布が実施上の問題となり、着用者がいったん表に出ると、追跡可能なフェイスマスクの代わりに追跡できないマスクを使う必要があるため、使用者は交換の時と場所で曝露する危険がある。世界的流行病の航空機による移動が起こり得る場合、人や動物が世界中のあらゆる国や都市から到着することが考えられ、均一な適用が難しく不可能になる。さらにまた、フェイスマスクの世界的規模の大きな需要がある時に、さまざまなメーカー製の追跡可能なフェイスマスクを適時に製造および配給するには実際的制限が伴う可能性がある。最後に、全部のフェイスマスクの回収は厄介であり、容器の状態のばらつきのため、上述のサンプリング方法によってマスクから一貫したサンプルを入手するのが難しい。
【0057】
したがって、本発明の一態様は、別個に販売または配給され、あらゆるタイプの呼吸器フェイスマスクと共に使用することのできる呼気飛沫回収ストリップを包含する。図5は、独自に識別され、コンピュータ処理され、大量生産され、事前印刷され、バーコード化された呼気飛沫回収ストリップのシート33を示しており、切断、折りたたみ、個別包装および滅菌前の、要求に応じて独自に印刷された呼気飛沫回収ストリップを迅速に製造し易くするための重要な製造ステップを表している。本明細書でさらに説明する呼気飛沫回収ストリップは、着用者に保護フェイスマスクを取り外すことを要求せずに、着用者からの回収を容易にする利点がある。したがって、本発明のさまざまな実施形態において、そのようなストリップは最初の製造時点にマスクに組み込むか、既に製造されたフェイスマスクに組み込むか、フェイスマスクと1つ以上の呼気飛沫回収ストリップと留め具を収容する個別に包装された無菌バッグ入りキットとして配給することができる。好ましくは、呼気飛沫回収ストリップは、使用直前に着用者が開封する個別に包装された無菌包装で配給される。本明細書でさらに説明する呼気飛沫回収ストリップは、装着者が既に定位置にあるフェイスマスクを取り外すことを要求せずに、無菌回収領域をあらゆるフェイスマスクの内部の口の外側領域に到達させる方法で、あらゆるタイプまたはメーカーのほとんどすべてのフェイスマスクに容易に挿入することができる。同様に、呼気飛沫回収ストリップは続いて、着用者に保護フェイスマスクを取り外すことを要求せずに、引っ張り出されて回収される。柔軟な薄いストリップ設計を利用することにより、呼気飛沫回収ストリップは、ストリップが定位置にある間は着用者の顔とフェイスマスクの間の接触面にしか影響を及ぼさない。上述の呼吸器飛沫回収ストリップは、ストリップが定位置にあるときにストリップの外部から視認可能な部分で視認される、有効な人間および機械可読情報の直接印刷および標示を可能にする重要な利点も有する。そのような情報としては、これらに限定はされないが、英数字識別子、バーコード、発行者名、年月日などがあり、その各々が少し離れても容易にわかるようにさまざまな色分けインクの組み合わせを利用している。ストリップの外側部分の情報はさらに、可視および/または紫外線可視インクやホログラムの偽造防止印刷が施されている。外部領域は、着用者の識別を有効にするために、配置直前または回収時点またはその両方に着用者の指紋を得るための領域も含んでいる。呼気飛沫回収ストリップは、着用者の口を覆う適切な位置にストリップの回収領域を維持するように、呼気飛沫回収ストリップおよび着用者のフェイスマスクに取り付けることができる、別個の、再使用可能な、外部から視認可能な、調節可能な留め具またはクリップを利用する。好ましくは、そのような再使用可能な留め具またはクリップは、写真、対象とする着用者の説明および/または無線識別子を組み込んだバッジとしての機能を果たすこともできる。
【0058】
本発明の好適な実施形態では、呼気飛沫回収ストリップはサンプルの回収および輸送用の複数の分離または取り外し可能な回収領域を含んでいる。複数の回収領域を備える目的はプールサンプルをスクリーニングし易くすることであり、それによって、少なくとも1つの取り外し可能な回収領域を回収および輸送して、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による分析またはスクリーニング用に多数の他のサンプルまでプールすることによって速やかな検出が行える。1つ以上のその他のサンプルは、個別に回収し、冷蔵および/または冷凍保存されて、後で個別にサンプリングされる。対象の病原体がプールサンプルで検出された場合、そのようなプールの群からなる、離れて個別に保存されたサンプルは、1人以上の感染者を特定するために個別に検査される。そのようなプールスクリーニング方法は、検査対象の群の中の各々の個別サンプルが必要なのとは対照的に、少なくとも1つの陽性の検査結果を含むことがわかっているサンプルの群の個別検査が必要なだけなので、分析要件を大いに最小化することが期待されている。サンプルは、グループまたはサブグループの集団全体が対象の伝染病に対して陰性である不必要なスクリーニングの必要時間と複雑さを減少させるために、グループ、サブグループおよび個人基準の階層で回収および検査することができる。
【0059】
本発明はまた、呼吸分析ストリップの回収用の回収装置を包含する。ストリップは、回収および検査プロセスを保持、調整および自動化するために片側に事前に開けられた穴を有している。ストリップは、金属磁性材料も取り入れている。回収されたストリップは、PCRまたはその他の手段によって自動的に検査されるように設計されている。ストリップすなわち回収領域は丸めて回収されて、自動処理、検査、保存および再現される。好適な実施形態において、携帯用回収装置は、無線でストリップのバーコードを読み取るだけでなく、着用者のバッジや、磁気読取式の運転免許証やクレジットカードなどのその他の身分証明書から着用者の情報を得ることができる。
【0060】
ソフトウェア
本発明はまた、陽性サンプルをその装着者までたどるための手段を提供すべく、関連情報を収集して、個々の独自に識別された呼気飛沫回収ストリップの配給を記録するためのソフトウェア、好ましくはウェブソフトとデータベースを包含する。中央データベースは、この目的を維持するとともに、危険に曝されているかリスクを抱えていると考えられ、そのためにさらにスクリーニングおよび/または隔離を受けることになっている個人の動きを確認および追跡するための機能を提供するものである。ソフトウェアとデータベースはまた、病気を発見および追跡するための海外、国、州および市の疫学的生体監視活動の支援と、さまざまな補助的な封じ込め戦略の成功・不成功の迅速な評価に大いに役立つ可能性がある。
【0061】
RFタグおよびRFID
本発明の一実施形態では、フェイスマスクおよび/または回収ストリップは、呼気飛沫回収サンプルの回収を補助し、ひいては個々の装着者のコンプライアンスの追跡および監視も補助するために、無線タグ(「RFタグ」)または無線識別装置(「RFID」)を組み込んでいる。アッセイストリップまたはフェイスマスク内に含まれるRFタグは、無線周波数検出エリアまたはゲートを通り抜ける時に個人をスクリーニングするための可聴式またはその他の電子手段を提供することができる。RFタグシステムは現在、小売店で万引きの抑制や在庫管理のために広く使われている。
【0062】
RFIDタグおよびラベルは、アンテナと、例えば通信電子、データメモリおよび制御論理を含むアナログおよび/またはデジタル電子機器の組み合わせを有する。RFIDタグおよびラベルは、対象物を識別コードと関連付けるために広く使われている。例えば、RFIDタグは、車の安全ロックと併せて、建物への出入管理、在庫品や荷物の追跡に使用される。RFIDタグおよびラベルのいくつかの例は、参照として本明細書に援用される特許文献10、特許文献11および特許文献12で見られる。
【0063】
RFIDタグおよびラベルには、電源を含むアクティブタグと、電源を含まないパッシブタグとラベルが含まれる。パッシブタグの場合、チップからの情報を取り出すために、「基地局」または「読取機」が励起信号をRFIDタグまたはラベルに送信する。励起信号はタグまたはラベルを励起し、RFID回路がもとの読取機に保存情報を送信する。読取機は、RFIDタグからの情報を受信して解読する。一般的に、RFIDタグは、個人、パッケージ、在庫品などを独自に識別するために十分な情報を保有および送信することができる。RFIDタグおよびラベルはまた、情報が一度しか書き込まれない(情報は繰り返し読むことができる)ものと、使用時に情報が書き込まれるものとに特徴付けることができる。例えば、RFIDタグには、環境データ(関連センサによって検出される)、物流履歴、状態データ等が保存される。
【0064】
呼気飛沫回収ストリップまたは装置に組み込まれるRFタグは、可聴式またはその他の電子信号がないこと、ひいてはノンコンプライアンス状態の可能性を職員に通報することによって、無線周波数検出器を通り抜ける時に呼気飛沫回収ストリップまたはフェイスマスク等の呼気飛沫回収装置を着用していない個人を特定するために使用することができる。あるいは、装着者および/または回収職員に、呼気飛沫回収装置の取り外しや回収に失敗した状況を明確な可聴RF信号で警告することができる。無線識別装置すなわちRFIDは、個々の装着者の識別や、例えば配給の場所と時間に基づくさまざまなグループまたは集団の区別に役立たせることができる。固有のRFIDは、特定の人を着用者から同時に回収した呼気飛沫回収ストリップと関連付けるための効率的な手段として用いることができる。
【0065】
現在、無線識別(RFID)タグまたは他の無線(RF)追跡システムを利用した監視安全システムは、装置の誤差の範囲内でタグを装着している対象物や個人の動きや位置を追跡することができる。しかしながら、これらのシステムは、RF追跡タグを装着していない個人または対象物を追跡する手段は備えていない。同様に、一部の最新式ビデオ監視システムは、所定エリア内で対象物の動きや位置を検出および監視することができる。しかしながら、これらのビデオ監視システムには、対象物または個人が特定エリア内に入っていいのかいけないのかを確認するためのヒューマンインターフェースが必要である。これらのビデオ監視によるエリア監視や、対象物や個人がそのエリアへ入るのを許可されているかどうかの確認の問題を解決することが望ましい。
【0066】
参照として本明細書に援用される特許文献13は、病院環境でよく見られる多種多様な再使用可能または使い捨て用品と組み合わせられる可能性のある多岐にわたるさまざまなバイオセンサーと結合させることのできるRFIDタグの使用法を説明している。
【0067】
参照として本明細書に援用される特許文献14は、監視システムを用いてエリアを監視するとともに、監視システム(例えば、これらに限定されないが、デジタル、非デジタル、赤外線ビデオなど)によって追跡される対象物の位置と、追跡システム(例えば、RF追跡システムや、GPSおよび無線信号送受信機を含むがこれに限定されない同様の装置)によって追跡される対象物の位置を相互に関連付けることによって、個人または対象物がそのエリアに入ることを許可されているかどうかを確認するシステムを説明している。該システムは、監視システムによって所定エリア内で監視される対象物のリストと、これらの対象物が監視および追跡システムによって追跡されるRF追跡タグ等の追跡タグと関連しているかどうかを出力する。該システムは、システムオペレータに所定エリア内の未許可の対象物または個人を通知することができる。
【0068】
参照として本明細書に援用される特許文献15は、IDバッジ、ステッカー等による訪問者を識別する現在のプロセスを向上させることによって、医療現場という状況でより多く制限付きアクセスを許可することが可能になる、訪問者の追跡および監視用のRFIDタグの使用法を説明している。そのような特許出願明細書は、訪問者バッジが未許可エリアに入った場合に安全システムに即座に警戒態勢を取らせることにより、単なる事件の記録に留まらない作動システムのコンセプトも説明している。
【0069】
特許文献13、特許文献14、特許文献15はどれも、個別にも全部ひっくるめても、空気感染による伝染病の伝染性を検出するために、または個人用保護具(例えば、RFID技術を取り入れたフェイスマスク、手袋、シールドまたは上衣など)の使用を要求する感染制御処置に関するコンプライアンスを向上させるために、または隔離処置の実行により空気感染による伝染病の伝播を減少させるために、人、動物または環境からの呼吸器飛沫をサンプリングおよび回収する目的のRFID方法またはシステムを説明していない。
【0070】
本発明の目的は、呼吸器飛沫を回収する方法および装置を提供し、例えば、フェイスマスクやフェイスマスク対応バッジを含むがこれに限定されない個人用保護具と、RFIDタグと組み合わされる呼吸飛沫回収ストリップ等の装置を利用して、感染制御処置のコンプライアンスを向上させ、隔離処置の実施を支援することである。さらに、本発明の目的は、発生の監視と、回収、分析および保存プロセスの進行時の複数の読み書きステップによる追跡を補助する1つ以上のRFIDタグを含む飛沫回収装置も包含しており、後の分析時に対象の病原体に対して陽性もしくは対象の病原体だと判定される飛沫回収装置の感染源を決定する能力が向上するものである。
【0071】
本発明の一実施形態では、RFIDタグの送信は、RFIDタグがマスクの飛沫回収ストリップおよび/またはその他の装置から回収されたデータを人が介在しなくても、疫学的監視および病例報告のために、例えば疾病管理センターや公衆衛生当局などのデータ集約センターに送信するように自動化されている。
【0072】
本発明の一実施形態では、RFIDタグの送信は、パケット交換によってデータを送信するマスク着用者の相互接続ネットワークとして、マスク着用者間で行われる。これらのネットワークは、標準インターネットプロトコル(IP)を使用するがこれに限定されない同一プロトコルをサポートする他のタイプのデバイスネットワークと結合させることができる。1つのマスクからのデータが圏内のマスクの使用者に送信されるのが「ネットワークのネットワーク」であり、個々の装着者に関する疾病状態等の様々な情報を共有する、マスク着用者の何千にもなり得る小さなネットワークで構成されるものである。
【0073】
温度計装置
本発明の一実施形態では、フェイスマスクは、平均の正常域(すなわち、華氏温度98.6)を超える体温を有する個々の装着者を特定することができる体温計によって、感染の可能性のある個人を識別することができる診断器具装置を組み込んでいる。追加の温度計装置は、さまざまな形態を採ることができる。
【0074】
好適な実施形態では、温度計は、頬や鼻梁などの装着者の顔の皮膚と接触する、マスクに取り付けられた安価な色変化、光発色性または熱変色性フィルムまたは塗料を有する。発熱の疑いがある人は、異常に高い体温を示す色が認められた状態の人の集団から迅速かつ容易に識別することができる。
【0075】
さらなる好適な実施形態では、温度計は使用者の呼気の温度を計測することができ、装着者の皮膚に接触させる必要はない。またさらなる実施形態では、温度計に測色塗料を塗布することができ、例えば、NY州ニューヨークのエドモンド・サイエンティフィック社から入手可能な測色塗料がある。塗料はマスクの一部分に塗布してもよく、その色によって体温が測定され、その色は通常の状態と熱っぽい状態に対応しているので、管轄の観察者が判断する際に決まった色の関連性が明らかとなる。
【0076】
別の好適な実施形態では、呼気飛沫回収分析および識別システムは、耳式体温計や熱画像カメラ等の電子的な外部感温装置と併せて利用して、感染している可能性のある個人を特定および選択することができる。体温やその他の疾病の徴候に基づいて特定されると、その個人が選択されて現場スクリーニングが行われる。そのような状況下では、他の場所に前もって挿入された呼気飛沫回収ストリップは、検査用のサンプル試料を得るために呼吸器フェイスマスクを迅速に取り外すことによって、個人を危険に曝すことがないという重要な利点を有する。呼気飛沫回収ストリップに相当量の時間息を吐くことにより、単純に、結果が得られるまで待つことを要求されている感染の疑いがある個人が身に付けている呼気飛沫回収ストリップを取り外すことによって、分析に適した十分なサンプルが容易に得られる。そのような結果が陽性を示す場合、その人はさらに選ばれて確認のための鼻腔スワブおよび/または血液テストが行われ、それも陽性結果を示すと、隔離と治療が施される可能性がある。
【0077】
生体サンプリング装置
本発明の別の実施形態では、フェイスマスクは、着用者の口腔および/または鼻腔の呼気流と直接接触し、装着者が吐き出す感染性粒子を回収することができる生体サンプリング材料または装置によって、感染の可能性のある個人や病気を識別することができる診断器具装置を組み込んでいる。そのような生体サンプリング材料は、マスクを構成している濾過材料が後の分析のために生体サンプルを回収することができるのであれば、さらに特別な生体サンプリング材料を追加する必要なく、使用者の呼気流と直接接触することが予想されるマスクの内部に指定領域を有する。さらなる好適な実施形態では、生体サンプリング領域の外部または内部には、後で材料の生体分析が対象の病気の検査で陽性反応を示した場合に装着者を特定するのに役立つように、例えば、シリアルナンバーや機械可読バーコードとその他の関連情報などの固有の事前印刷識別子が含まれている。事前印刷シリアルナンバーを対象の生体サンプリング領域の内部に配置することによって、必要な回収と処理が飛躍的に減少し、例えば関連の生体サンプリング領域のみに穴をあけて回収するパンチシステムによるさらなる検査が標準化されて、装着者に関する関連情報を失わずにマスクの残りの部分を廃棄することができる。関連情報には、装着者に関する情報だけでなく、配布の時間と場所を含んでも含まなくてもよいが、それによって病気の経過や広がりの可能性に関する関連情報が提供される。
【0078】
好適な実施形態では、生体サンプリング材料は、多種多様なフェイスマスクの内部に貼り付けることができる、マスクから切り離されて独自に識別可能な事前印刷材料またはストリップを有している。そのような材料は、便利な取り外しと回収が可能で、迅速な自動検査と分析を促進するための均一性を有していながら、装着者の吸入を避けるような方法で貼り付ける必要がある。
【0079】
本発明の別の実施形態では、フェイスマスクは、着用された時間の長さを示す装置を有する。これを行う1つの方法は、密封の直前に、窒素やアルゴンなどの不活性ガスパージを利用して、密封アルミやその他の大気を通さない材料でフェイスマスクを包装することである。マスクの外部には、色の変化する酸化物質すなわちインク製の文字または時間依存性の文字のマークを含み得る。そのような指標を組み込むことで、新しく支給されたものと交換に使用済みマスクを返却する必要のある装着者の特定する役目を果たすことによって、生体サンプリングを容易にするだけでなく、生体サンプル内で測定されたウイルスの総数が使用者の着用時間によって直線的に増加するので、それを参照して相対潜在率の数値を正確に示す役目を果たすこともできる。
【0080】
さらなる好適な実施形態では、フェイスマスクは、フェイスマスクを取り外す必要なく、外部から視認可能で観察と非侵襲的な生体サンプリングが行えるように、口の前に半透明材料を含んでいる。さらなる実施形態では、半透明な前部を有するフェイスマスクは、伝染病の非侵襲的な検出が可能な装置、例えば、半透明な生体サンプル材料に向けられた発光体を1つ以上の伝染病や病気の経過を示す生体サンプルに反射される波長を検出することができる分光検出器と組み合わせることによって、非侵襲的にサンプリングすることができる。
【0081】
本発明のさらなる好適な実施形態では、フェイスマスクは、外部の空気感染による伝染病の病原体への曝露から装着者を保護するためのフィルタと、一方向呼気弁を組み込んでいる。呼気弁は、マスク内の温度と湿度を低下させることによって装着者を楽にする役目を果たすだけでなく、生体アッセイおよび一貫したより効き目のある方法で追加可能な装置に向けて装着者の吐いた息を指向および集中させる手段を提供する重要な機能も果たしている。さらにまた、呼気弁の使用は、呼気粒子およびガスをマスクの内部からマスクの外部の回収地点まで送る重要な目的も果たすことによって、マスクの取り外しを要求することなく円滑に回収および分析を行うことができる。
【0082】
本発明のさらなる好適な実施形態では、フェイスマスクは、呼気弁に干渉する外部カートリッジを含んでおり、この外部カートリッジは装着者が吐き出した感染性粒子の他者への曝露を防止する濾過機構を含んでいる。別の実施形態では、外部カートリッジは、装着者の吐き出した粒子を回収することができる生体サンプリング材料を含んでおり、そのようなカートリッジの取り外し時にさらなる検査を行う。本発明のさらなる実施形態では、外部カートリッジは、対象の1つ以上の特定伝染病に対して選択できる抗体またはその他のタンパク質と選択的に結合する、装着者の吐き出した粒子を即座に識別および特徴付けすることができる移動またはその他の免疫アッセイ装置を含んでいる。そのような免疫アッセイは、カートリッジに取り付けられた水またはその他の液体の容器を有しており、装着者の吐き出した粒子を含有する溶液を形成して移動免疫アッセイによる分析を行うように穴をあけて放出することができる。さらなる実施形態では、カートリッジは、当局に返却されるのではなく、使用すべき日数またはその他の期間と一致するように色分けまたは標示される。
【0083】
本発明はさらに、呼吸器病原体、唾液、痰、赤色または白色の血漿、呼吸ガスおよび尿等の生体液を捕捉および保存することができる装置を包含する。さらなる実施形態では、該装置は、電子的またはその他の手段(心拍数、血圧、体温等)によって生体測定情報を収集することもできる。該装置は、発生が疑われる前か後に配布することが有効である。該装置は、発生時に迅速に読み取って解釈することができる安価な回収装置である。そのような安価な装置は、例えば、ロボット、PCR、ELISA、HPLC、免疫アッセイ、毛管泳動、二次元または三次元ゲル電気泳動などによって順次分析することができる機械可読均一フォーマットで作成される。該装置は、直接または局所分析のみならず、例えば疾病管理センターなどの任意のセンターと遠隔通信が可能な進歩した電子装置である。
【0084】
試料捕捉に適した日時情報は、試料との接触(すなわち使用)時に開始される非電子的な分解/変換が予想される化学物質を利用して証明することができる。該装置は、発達や欠落の個人ログとなるようにさらなる情報を順次獲得することも可能である。そのような装置は、例えば、その装置がブレスレットとして設計されている場合、不正開封防止シールなどのように、不正開封が防止されるように設計することができる。さらに、現場検証は、真偽を確認するために、例えば以前のサンプルに照らして、新たな唾液サンプルの即時分析を介して比較される。
【0085】
本発明の一実施形態では、装置は、部分的または全面的なフェイスマスク(軽量紙やその他の粒子保持材料を利用している)に組み込まれる。そのような呼吸器マスクは、個人を空中病原体から保護する二重の目的を果たす。例えば、口と鼻を覆うために使用される一般的な紙やその他の通気材料と似ている。しかしながら、マスクはまた、そのような回収ストリップまたはポートから、またはその周囲で吐き出された生体サンプルやその他のサンプルの回収および閉じ込めに適した材料も含んでいる。そのような回収材料はマスクから取り外し可能であるか、または機械で読むことのできる輪郭領域を単純に表わしている。回収装置は、バクテリアやウイルス等の有機体を保存するための保存料を含むか、または生物有機体を非活性化する安全な殺菌剤を含んでいる。フェイスマスクは、定期的に配給される新しいマスクを身につけることが(例えば、公共交通機関などで)義務付けられている。そのようなマスクは、感染の可能性のある個人を識別できるように、裸眼または電子手段によって視認可能な反応性生物学的またはその他の作用物質を含有している。そのようなマスクは、配給元(時間、場所、さらには個人)まで最短で追跡することができるバーコードやその他の固有識別子も有する。新しいマスクは、コンプライスを支援するために、例えば、以前に配布したマスクの返却時にのみ配布される。また、配置後に取り外されたかどうかを示すために、不正開封防止装置を含んでもよい。マスクは、ほとんどまたはまったく空気を含まない材料で包装されるか、または窒素やアルゴンパージなど、改善された大気条件下で包装される。いったん開けると、外部からわかる化学物質や通常の大気条件と反応する他の目印が、段階的な色変化や、例えば、使い捨て電池の残りの寿命を評価するのに利用されるタイムラインが消えることなどで、使用時間を評価して明らかにすることができる。
【0086】
本発明の一実施形態では、装置は、例えば、PCR、ELISA、HPLC、携帯用現地試料採取器、免疫アッセイ、毛細血管の流動、二次元または三次元のゲル電気泳動やその他の手段によって機械で読み取ることのできる安価でさらに均一な形態で供給される。別の実施形態では、装置は、USB接続またはテレフォンジャックを介してその状態を遠隔通信するための電子的またはその他の手段を組み込んでいる。
【0087】
本発明の別の実施形態では、新しく開発された装置から得られる情報は、治療開始前に同種のグループを迅速に識別できるとともに、治療やその他の介入戦略を迅速に最適化するために、重要な代理人や病気の活動性の実際の指標を常に迅速に検索できるという利点を有しており、選択的な既存または治験中の治療行為を迅速に指示するために使用される。
【0088】
本発明の回収装置の態様は、深刻である/進行性、中程度、新規感染/軽度から、無症状の個人までの多くのウイルス性、細菌性またはその他の病原体を回収するための均一で一貫した手段を提供することによって、対象の病原体を特定するのに役立つとともに有効であるという重要な利点も有している。
【0089】
本発明の別の実施形態では、装置は、着用可能なフェイスマスクとともに、1つ以上の唾液回収プローブ、血液サンプルを回収するための1つ以上のニードル、1つ以上の尿回収スティックおよび/または顔面試料採取器を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明にしたがった、第1実施形態の一方向呼気飛沫回収ストリップ2が取り付けられた折りたたみ式濾過フェイスマスク1の背面図である。
【図2A】本発明にしたがった一方向呼気飛沫回収ストリップ2の正面図である。
【図2B】本発明にしたがった一方向呼気飛沫回収ストリップ2の背面図である。
【図3】本発明にしたがった半折りたたみ式の一方向呼気飛沫回収ストリップ2の上面断面図である。
【図4】本発明にしたがった、第1実施形態の一方向呼気飛沫回収ストリップ2が取り付けられた成形カップ型マスク27の側断面図である。
【図5】本発明にしたがった、独自に識別され、コンピュータ処理され、大量生産され、事前印刷され、バーコード化された一方向呼気飛沫回収ストリップ2のシート33の写しである。
【図6】本発明にしたがった、取り外し可能な濾過カートリッジ36を有する呼気弁35が取り付けられた成形カップ型濾過フェイスマスク34の斜視図である。
【図7】本発明にしたがった、免疫アッセイ装置37が取り付けられた成形カップ型濾過フェイスマスク34の斜視図である。
【図8】図7に示す、流体回収室37Bを有する第1実施形態の免疫アッセイ装置37の斜視図である。
【図9】本発明にしたがった、第1実施形態の生体サンプル回収装置38が取り付けられた濾過フェイスマスク34の背面図である。
【図10】本発明にしたがった、タブ40を下向き方向に引っ張ることによってマスク34から取り外すことができる吸収性生体サンプル回収スワブ39が内部に取り付けられた濾過フェイスマスク34の斜視図である。
【図11】本発明にしたがった、タブ40を下向き方向に引っ張ることによってマスク34から取り外すことができる吸収性生体サンプル回収スワブ39が内部に取り付けられた濾過フェイスマスク34の側断面図である。
【図12】本発明にしたがった、層に貼られるエイブリィ・デニソン社のAD−220RFIDタグのインレー41が取り付けられた1層の一方向呼気飛沫回収ストリップ2の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)マスク本体と、(b)装着者が伝染病に感染しているか否かを確認するための少なくとも1つの診断器具装置とを有することを特徴とする濾過フェイスマスク。
【請求項2】
(a)該マスク本体が、折りたたみ式マスク、標準規格サージカルマスク、成形本体、カップ型本体またはN95呼吸器マスクであること、
(b)該診断器具装置が温度計であって、該温度計が選択的に、
(i)デジタル装置であること;
(ii)色変化装置であること;
(iii)光発色装置であること;
(iv)熱変色装置であること;
(v)温度の表示器として熱膨張性材料を利用すること;
(vi)装着者の皮膚と接触していること;
(vii)該マスクに組み込まれており、装着者の皮膚と該マスクの間の接触点で装着者の皮膚に接触すること;
(viii)該フェイスマスクの鼻梁との接触面で装着者の皮膚に接触すること;及び
(ix)装着者の呼気と接触すること、
(c)該診断器具装置が該マスクの内部に貼り付けられる生体サンプリング材料であり、該材料が装着者によって吐き出された病原体を捕捉することができること、
(d)該診断器具装置が、該濾過フェイスマスクの該本体全体を形成するために利用される生体サンプリング材料であること;
(e)該マスクが識別情報を標示しており、該情報が、該マスクの装着者、該マスクの配給の時間と場所、または該マスクの回収の時間と場所を選択的に特定すること、
(f)該マスクがさらに該識別情報が刻印された取り外し可能なステッカーを有しており、該識別情報が好ましくは英数字のシリアルナンバーまたはバーコードであること、
(g)該マスクが、外部から視認可能な色分けマークを標示しており、該マークが交換や特別な処理が必要なフェイスマスクを特定すること、
(h)該マスクが、通常の大気条件に曝された時に、外部から視認可能に色が変化する物質で標示されており、例えば酸化による色の変化が、マスクが着用された時間の長さを示すこと、
(i)該マスクが、該マスクの関連する生体サンプリング領域に位置付けられた識別情報を標示しており、該生体サンプリング領域が好ましくは、
(i)鼻孔と口の周りの領域に対応すること;
(ii)識別情報を失うことなく、生体サンプルの回収および処理を円滑に行うために、該フェイスマスクの該本体から物理的に分離できること;
(iii)該マスクの該本体を形成するために使用される材料とは異なる材料であり、該生体サンプリング材料が、該マスクの内部の使用後に都合良く取り外すことができる場所に貼り付けられること;
(iv)粘着剤によって該マスクの内部に貼り付けられること;
(v)該マスクの内部に貼り付けられた該生体サンプリング材料の全部または一部が、ほぼ口と鼻の前に位置付けられた該フェイスマスクの切り抜きを介して外部から視認可能であり、該切り抜きが、該生体サンプリング材料の外に面する側が外部から視認可能に半透明材料で取り外せないように密閉されており、該生体サンプリング材料の該外に面する側が好ましくは識別情報を有し、及び/または該半透明材料の内側が該生体サンプリング材料を有していること;
(vi)該識別情報が、該マスクが着用された時間の長さを示すこと;及び
(vii)該識別情報が着用者の体温を示すこと、
の1つ以上の特色を有することを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
(a)外部の空気感染による伝染病の病原体への曝露から装着者を保護するためのフィルタと、(b)一方向呼気弁と、(c)該呼気弁の外部からアクセス可能な側と接する取り外し可能な外部カートリッジであって、該装着者が吐き出す可能性のある空気感染による伝染病の病原体への曝露から一般の人を保護するためのフィルタを含んでいる該カートリッジとを有することを特徴とするフェイスマスク。
【請求項4】
(a)該カートリッジが、少なくとも一部分が透明または部分的に透明な材料で作られていること、
(b)該カートリッジが、感染している可能性のある個人を識別するための少なくとも1つの診断器具装置を有しており、該診断器具装置が好ましくは、
(i)温度計であること;
(ii)咳現象装置であること;
(iii)該マスクの該呼気弁と連携し、装着者の呼吸病原体を捕捉することができる生体サンプリング材料であること;及び
(iv)1つ以上の対象の病原体に対して効力のある1つ以上の抗体群で被覆された移動免疫検査ストリップであること、
(c)該カートリッジが識別情報を標示していること、
(d)該カートリッジが、交換や特別な処理が必要なカートリッジの迅速な識別に役立つように、外部から視認可能な色分けラベルまたはマークを標示していること、
(e)該カートリッジが、通常の大気条件にいったん曝されると、着用された時間の長さを示すように酸化または他の方法で色が変化する物質で外部に印刷または標示されていること、の1つ以上の特色を有することを特徴とする請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
伝染病に感染している可能性のある個人を識別するための、濾過フェイスマスクおよび移動免疫検査装置を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
(a)移動免疫検査に必要な液体が、該マスクの内部に配置される密閉容器に回収されること、
(b)移動免疫検査に必要な液体が、該マスクの内部に配置される回収装置を介して該マスクの装着者が吐き出した蒸気から回収されること、
(c)該マスクが蒸気を回収するための乾燥剤を利用する回収装置を有しており、該乾燥剤が好ましくは塩化カルシウムであること、
(d)該マスクがコンデンサを有する回収装置を有しており、該コンデンサが好ましくは、外気に曝される片側と、該マスクの内部に曝される凝縮側とを有する熱伝導性材料から形成されて、該材料の温度を低下させ、該マスクの内部に曝される該材料の側の凝縮が促進されるようになっていること、
(e)該移動免疫検査が、該マスクの保護機能の取り外しまたは分離を必要とせずに迅速な観察または回収が行われるように、該マスクの内部から該マスクの外部まで移動すること、
(f)該移動が、湿潤状態から乾燥状態までの勾配を有する材料で起こること、
(g)該移動が毛管吸収によって起こること、
(h)該移動が、高気圧から低気圧への勾配を有する材料内の正の気圧によって起こり、該勾配が所望の移動方向に対応していること、
(i)該移動が毛細血管の側方流動によって起こること、
(j)該移動が、容器のタップ上の中心からの半径方向に指向する毛細血管流動によって起こる毛細血管の側方流動によって起こること、及び
(k)該移動が重力下で起こること、の1つ以上の特色を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
(a)外部の空気感染による伝染病の病原体への曝露から装着者を保護するためのフィルタと、(b)装着者が吐き出す可能性のある空気感染による伝染病の病原体への曝露から他者を保護するためのフィルタと、(c)感染の可能性のある個人を識別するための少なくとも1つの診断器具装置とを有することを特徴とするフェイスマスク。
【請求項8】
(a)該診断器具装置が温度計であり、好ましくは
(i)デジタル装置であること;
(ii)色変化装置であること;
(iii)光発色装置であること;
(iv)熱変色装置であること;または
(v)温度の表示器としての熱膨張性材料であること、
(b)該診断器具装置が装着者の皮膚と接触する温度計であること、
(c)該診断器具装置が、装着者の皮膚と該マスクの間の接触点で装着者の皮膚に接触するように該マスクに組み込まれた温度計であり、該温度計が、好ましくは該フェイスマスクの鼻梁との接触面で装着者の皮膚に接触すること、
(d)該診断器具装置が装着者の呼気と接触する温度計であること、
(e)該診断器具装置が該マスクの内部に貼り付けられる生体サンプリング材料であり、該材料が装着者によって吐き出される病原体を捕捉することができること、
(f)該診断器具装置が、該フェイスマスクの本体全体からなる生体サンプリング材料であること、
(g)該マスクが識別情報を標示していること、
(h)該マスクが、該マスクの装着者を識別する情報を標示していること、
(i)該マスクが、該マスクの配給の時間と場所を識別する情報を標示していること、
(j)該マスクが、該マスクの回収の時間と場所を識別する情報を標示していること、
(k)該マスクがさらに、識別情報が刻印された取り外し可能なステッカーを有していること、
(l)該マスクが英数字のシリアルナンバーを標示していること、
(m)該マスクがバーコードを標示していること、
(n)該マスクが外部から視認可能な色分けマークを標示しており、該マークが交換や特別な処理が必要なフェイスマスクを特定すること、
(o)該マスクが、通常の大気条件に曝されると、例えば酸化によって色が変化する物質で外部に標示されており、色の変化が、該マスクが着用された時間の長さを示すこと、
(p)該マスクが、該マスクの生体サンプリング領域に位置付けられた識別情報を標示していること、
(q)該診断器具装置が、鼻腔と口の周りの領域に対応する生体サンプリング領域であること、
(r)該診断器具装置が、識別情報を失うことなく、生体サンプルの回収および処理を円滑にするために、該フェイスマスクの該本体から物理的に分離される生体サンプリング領域であること、
(s)該診断器具装置が、該マスクの該本体を形成するために使用される材料とは異なる材料の生体サンプリング材料であり、該生体サンプリング材料が、使用後に都合良く取り外すことのできる該マスクの内部に貼り付けられていること、
(t)該診断器具装置が、粘着剤によって該マスクの内部に貼り付けられた生体サンプリング材料であること、
(u)該診断器具装置が、ほぼ口と鼻の前に位置付けられた該フェイスマスクの切り抜きを介して外部から視認可能な該マスクの内部に貼り付けられた生体サンプリング材料であり、該切り抜きが、該生体サンプリング材料の外に面する側が外部から視認可能に半透明材料で取り外せないように密閉されており、該半透明材料の内側が好ましくは該生体サンプリング材料であること、及び
(v)該診断器具装置が、識別情報を含む外に面する側を有する生体サンプリング材料であること、の1つ以上の特色を有することを特徴とする請求項7に記載のフェイスマスク。
【請求項9】
(1)請求項8の(u)に記載の該半透明生体サンプリング材料に向けられた発光器と、(2)伝染病または病気の経過を示す該生体サンプルによって反射される波長を検出することができる分光検出器手段とを有することを特徴とする対象の伝染病の非侵略的な検出が可能な装置。
【請求項10】
(a)マスク本体と、(b)装着者が吐き出す飛沫を回収することができる装置とを有することを特徴とする濾過フェイスマスク。
【請求項11】
伝染病の広がりに関する情報を回収するため、または伝染病の発生を検出するため、または伝染病に感染している個人を前記伝染病に感染していない個人から分離させるため、または呼気飛沫サンプルを回収するため、または呼気飛沫サンプルを分析するための、請求項1に記載のマスクを配給および/または利用することからなることを特徴とする方法。
【請求項12】
病気の発生を抑制するため、または伝染病に感染している個人を識別するための、着用者が伝染病に感染しているかどうかを検出する装置を有するフェイスマスクを提供することからなることを特徴とする方法。
【請求項13】
病気の発生を追跡するための、(a)着用者が伝染病に感染しているかどうかを識別する装置を有するフェイスマスクを配給すること、(b)該フェイスマスクを回収すること、(c)該フェイスマスクからサンプルを入手すること、および(d)該フェイスマスクの着用者が前記病気に感染しているかどうかを判定するためにサンプルを検査すること、からなることを特徴とする方法。
【請求項14】
隔離処置を改善するための、外部から視認可能な個人識別情報を含むフェイスマスクを配給することからなることを特徴とする方法。
【請求項15】
隔離処置の際のフェイスマスク着用の勧告に従っていない個人を特定するための、請求項1に記載のフェイスマスクを配給および利用することからなることを特徴とする方法。
【請求項16】
さらに、感染者に関する情報を保存するためのソフトウェアプログラムを利用し、該情報がフェイスマスク上のRFIDタグから読み取られるものであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フェイスマスクに組み込まれることを特徴とする呼気飛沫回収装置。
【請求項18】
(a)該装置がストリップであること、
(b)該装置が回収材料であること、
(c)該装置が粘着材料であること、及び
該ストリップが選択的に、
(i)折りたたまれること;
(ii)フェイスマスクに一方向に挿入されること;
(iii)フェイスマスクに双方向に挿入されること;
(iv)ソフトウェアを用いて事前印刷されること、及び
(v)識別情報を含んでいること、
(d)該装置が、識別情報を保存するために無線識別技術を利用すること、の1つ以上の特色を有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
装着者から該フェイスマスクを取り外すことなく、フェイスマスクと装着者の頬の間に該装置を挿入することからなることを特徴とする請求項17に記載の装置の使用方法。
【請求項20】
該粘着剤からなる該装置の外側を露出し、フェイスマスク本体の内部に該装置を粘着させるために該粘着剤を使用することからなることを特徴とする請求項18の(c)に記載の装置の使用方法。
【請求項21】
(1)ソフトウェアを用いて該呼気飛沫回収ストリップ用の固有ラベルを作成し、(2)ソフトウェアを用いて前記ストリップのシートを印刷し、(3)前記シートに粘着剤を取り付け、(4)前記シートに呼気飛沫回収材料を取り付け、(5)前記シートを切り取って個別のストリップにすることによって製造されることからなることを特徴とする請求項18に記載のストリップの製造方法。
【請求項22】
フェイスマスクの呼気弁の外部からアクセス可能な側に接するカートリッジであって、装着者が吐き出す可能性のある空気感染による伝染病の病原体への曝露から一般の人を保護するためのフィルタを有することを特徴とするカートリッジ。
【請求項23】
(1)請求項2の(i)(v)に記載の該半透明生体サンプリング材料に向けられた発光器と、(2)伝染病または病気の経過を示す該生体サンプルによって反射される波長を検出することができる分光検出器とを有することを特徴とする対象の伝染病の非侵略的な検出用の装置。
【請求項24】
人々の集団に向けられた少なくとも1つの熱画像カメラを利用することからなることを特徴とする発熱の疑いのある個人を検出する方法。
【請求項25】
該熱画像カメラが好ましくは同じ対象者群に対してさまざまな角度で配置されて、距離の相違、及び、対象者の歩行または走行速度を考慮するコンピュータによって分析されることを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−516298(P2010−516298A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518405(P2009−518405)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/061082
【国際公開番号】WO2008/097307
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(508225060)
【Fターム(参考)】