説明

SiCで被覆された基材上に堆積物を作製する方法

【課題】炭化ケイ素(SiC)の表面を有する部品上にコーティングを作製する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、炭化ケイ素(SiC)からなる表面を有する部品にコーティングを堆積する方法に関する。方法は、(a)上記表面の粗さを増加させる目的で、レーザー衝突を重ねることにより、SiC表面にレーザー処理を適用するステップと、(b)常圧溶射によってSiC表面上にコーティング(30)を堆積するステップと、を含む。
本発明はまた、変形を測定する装置を提供し、装置は、レーザー衝突を重ねることによって処理された後、部品の基材を被覆する炭化ケイ素層上の、常圧溶射によって得られた第1のアルミナコーティング(30)と、コーティング(30)上に置かれたフリーフィラメントひずみゲージ(40)と、ひずみゲージ上への常圧溶射によって得られたさらなるアルミナコーティングと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素(SiC)からなる表面を有する部品上にコーティングを堆積する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品は、中実SiC部品であってもよく、またはSiCからならず、SiC層で被覆された基材を有する部品であってもよい。SiC層で被覆された基材を含む部品は、高温用途、つまり300℃から1100℃の範囲の温度の用途で使用される。一例として、基材は、例えば、セラミックマトリックス複合物(CMC)、つまり、セラミックまたは炭素繊維によって強化されたセラミックマトリックスであってもよい。SiC層は、部品に高温でより良好な耐酸化性およびより良好な機械的特性を付与する。これらの特性のために、そのような部品は、特に、航空用ターボ機械で使用される。
【0003】
ある用途では、SiC表面にコーティング、例えば、金属またはセラミックのコーティングを堆積することが必要である。特に、セラミックを堆積することが可能であり、セラミックコーティングは、セラミックが堆積された部品の高温性能を向上する目的のためのものである。堆積は、常圧溶射(atompspheric thermal spraying)によって、またはセメントによって行われてもよい。通常、堆積されたセラミックは、アルミナ(Al)であり、アルミナの常圧溶射(粉末の常圧プラズマ溶射またはワイヤーのフレーム溶射)によって、または他にアルミナ系セメントの形態で、または最先端技術において知られているこれらの方法を実際に組み合わせることによって堆積される。
【0004】
セラミックコーティングで被覆されたSiC表面を有する部品に対して実行される機械的テストおよび熱的テストは、主な破壊態様が、恐らくSiC表面の物理化学的特性のために、SiC表面とセラミックコーティングとの界面での破断であることを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
界面の靭性を改善するために、改良がSiC表面の状態になされた。したがって、SiC表面の粗さを増加させるために、サンドブラスト(圧縮空気を使用して、数百ミクロンの直径を有するアルミナの粒子を吹き付ける)がSiC表面上で行われた。しかし、サンドブラストは、好適な粗さを生成することなく、SiC表面にダメージをもたらす。
【0006】
本発明は、それらの欠点を改善することを目的とする。
【0007】
本発明は、炭化ケイ素(SiC)の表面を有する部品上にコーティングを作製する方法を提供することを目的とし、SiC表面とコーティングとの界面の靭性が改善されることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、方法が、以下のステップを含むことによって達成される:
(a)上記表面の粗さを増加させる目的で、レーザー衝突を重ねることにより、SiC表面にレーザー処理を適用するステップ、および
(b)常圧溶射によってSiC表面上にコーティングを堆積するステップ。
【0009】
SiC表面へのレーザービームの繰り返される衝突によって、この表面の粗さは増加され、それによって、SiC表面上のコーティングの機械的アンカーリングを向上する。さらに、レーザービームは、SiC表面の物理化学的状態を改良し、それによって、コーティングとSiC表面との物理化学的結合を向上する。したがって、部品とコーティングとの界面は、高温により良好に耐える。
【0010】
例えば、上記コーティングを構成する材料は、アルミナである。
【0011】
アルミナは、高温で良好な電気的絶縁を付与する材料であるので、コーティングとして通常使用される。
【0012】
炭化ケイ素(SiC)の層で被覆された基材を有する部品は、上記されるように、高温用途で一般的に使用される。サイズ、重量および費用の理由で、上記部品の寸法決定を最適化することが必要である。この寸法決定は、特に、実験室でのテストによって、または熱力学的応力下でそのような部品の変形が研究される作業条件下でテストすることによって行われる。そのような変形を測定することができるために、ひずみゲージ、通常、フリーフィラメントゲージ(それはまた、層ゲージを薄くすることが可能であるが、層ゲージの複合堆積技術は、それらをそれほど広く使用させない)の使用がなされる。そのようなゲージは、部品に固定される合金フィラメントを含む。部品が変形する場合、フィラメントは伸縮され、それによって、その電気抵抗率の対応する変化がもたらされる。フィラメントを介して電流を流すことによって、リアルタイムで、フィラメントの電気抵抗率の変化を測定し、その結果、合金フィラメントが固定される部品の変形を測定することが可能である。そのような変形を有効に測定するために、ゲージが、部品の表面にしっかりと接着することを確実にすることが必要であり、その結果、部品の表面の変形がゲージに有効に伝えられる。通常、ゲージは、部品上に予め堆積された第1のアルミナコーティング上に置かれ、次いで、ゲージおよび上記第1のコーティングは、第1のコーティングとの密接した接触で、ゲージを保持するさらなるアルミナコーティングで被覆される。
【0013】
しかし、第1のコーティングは、部品の表面から分離することがよくあり得、したがって、ゲージは、部品の表面の変形を測定する際に有効に作用せず、得られた測定は信頼できない。上記のように、SiCで基材が被覆され、最先端技術のアルミナコーティングで被覆される部品に関して、部品/コーティング界面で、高温で剥離が生じる可能性がある。そのような剥離は、SiC層がサンドブラストを受ける場合にさえ生じる。したがって、第1のセラミックコーティングとSiC層、したがって、下層部品との接着を改善する必要がある。このより良好な接着は、SiC層の上記レーザー処理を使用することにより得られる。
【0014】
したがって、本発明はまた、化学気相成長によって堆積されたSiC層で被覆された基材の変形を測定する装置を作製する方法を提供し、方法は、以下のステップを含む:
(a)上記層の粗さを増加させる目的で、レーザー衝突を重ねることにより、SiC層にレーザー処理を適用するステップ、
(b)SiC層上に常圧溶射によってアルミナコーティングを堆積するステップ、
(c)コーティング上に、開口を有する支持体上に保持されたフリーフィラメントひずみゲージを置くステップ、
(d)開口を介して常圧溶射によってひずみゲージ上およびコーティング上に第2のアルミナコーティングを堆積するステップ、
(e)支持体を取り除くステップ、および
(f)コーティング上、第2のコーティング上、およびひずみゲージ上に、常圧溶射によって第3のアルミナコーティングを堆積するステップ。
【0015】
本発明はまた、化学気相成長によって堆積された炭化ケイ素(SiC)の層で被覆された基材によって構成された部品の変形を測定する装置を提供する。
【0016】
本発明によれば、装置は、炭化ケイ素層がレーザー衝突を重ねることにより処理された後、炭化ケイ素層上への常圧溶射によって堆積された第1のアルミナコーティングと、第1のコーティング上に置かれたフリーフィラメントひずみゲージと、常圧溶射によってひずみゲージ上に堆積されたさらなるアルミナコーティングと、を含む。
【0017】
SiC層の表面上でのレーザービームの繰り返される衝突のために、上記表面の粗さが増加し、それによって、SiC層上でのコーティングの機械的アンカーリングを向上する。さらに、レーザーは、SiC層の表面の物理化学的状態を改良し、それにより、コーティングとSiC層の物理化学的結合を改善する。
【0018】
したがって、部品とコーティングとの界面は、高温により良好に耐え、ひずみゲージは、SiC層、したがって、変形が高温で測定される部品に固定された状態のままとなる。結果、ゲージが固定される部品の変形のより正確な測定をとることが可能である。
【0019】
本発明は、一層よく理解されることができ、その利点は、例示的に限定されることなく付与される実施の以下の詳細な記載を読むことでより明らかとなる。説明は添付図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1Aは、炭化ケイ素(SiC)の層12で被覆される基材10を有する、非常に高温の用途での使用のための部品を示す。一例として、基材10は、セラミックマトリックス複合材料または自己回復セラミックマトリックス複合材料からなる。複合材料は、SiCであってもよく、またはシリコン−ホウ素−炭素(Si−B−C)三成分系ガラスの前駆体である複数の耐火性セラミック層によって形成されてもよい。そのような複合物は、例えば、炭素またはセラミックからなるファイバによって強化される。航空用ターボ機械への用途では、そのような部品は、通常、裁頭円錐形状または矩形平面形状の薄い部品であり、それらは、数百ミリメートルの大きさを示す。
【0021】
基材上に堆積されるSiC層12は、例えば、化学気相成長として知られる技術によって堆積される。
【0022】
図1Bは、レーザー20がSiC層12に向かってレーザービームを放射する状態での同一の部品を示す。レーザービームは、SiC層12に繰り返し衝突し、それによって、上記層12上に粗さ14を生成して、上記層12の表面の物理化学的状態を改良する。結果は、そのようなレーザー処理を受けないSiC層の接着と比較して、SiC層12上に堆積されたコーティングのより良好な接着である。レーザー処理のパラメーター(レーザーのタイプ、流束量(fluence)(単位面積当たりのエネルギー)、パルス時間、レーザー衝突頻度、レーザーと部品との間の移動の相対速度など)は、コーティングとSiC層12との最良の可能な結合を得るような方法で選択される。表面上の各ポイントでのレーザー衝突数Nは、下記式によって付与され、ここで、Vは、部品に対するレーザーの移動速度であり、dは、上記移動方向におけるレーザービームの大きさであり、vは、レーザー衝突の頻度(レーザー衝突数/秒)である:
N=(d/V)×v
【0023】
通常、パルスNd:YAGレーザーで、10ナノ秒(nm)のパルス時間で、表面上の各ポイントでのレーザー衝突数Nは、90から1000の範囲にあり、レーザーの流束量は、1.8J/cmから2J/cmである。例えば、8mm×4mmのビームの大きさおよび120ヘルツ(Hz)の衝突頻度v、2J/cmの流束量でNd:YAGレーザーを使用し、1mm/sの相対レーザー/部品速度Vで処理を操作することが可能である。これは、レーザーが、そのビームの短い寸法の方向に移動するために、480の数Nを付与する。
【0024】
表面上の各ポイントへのレーザー衝突の数Nが200から500の範囲にあり、流束量が2J/cmである状態で、10nsのパルス時間を有するパルスNd:YAGレーザーが使用されることが好ましい。
【0025】
図1Cは、コーティング30が堆積された図1Bと同一の部品を示す。通常、このコーティング30は、ムライト(3Al2SiO)、ジルコニアZrOまたはアルミナAlなどのセラミックからなる。
【0026】
このコーティング30は、通常、常圧溶射によって堆積される。セメントは高温で割れる傾向があるので、常圧溶射による堆積は、一般に、セメントを堆積することより好ましい。常圧溶射によりなされた堆積物は、より密着性および靭性がある。「溶射」とは、基材上に溶融または半溶融状態で堆積用の材料の微粒子が堆積される一群の表面コーティング方法を意味する。常圧溶射は、プラズマ溶射またはフレーム溶射とすることができる。これら2つの技術は知られており、したがって、それらの一般的原理のみが以下に要約される。
【0027】
プラズマ溶射技術は、非常に高いエネルギージェット(プラズマジェット)に、粉末の形態(つまり、粒子の形態で、粒子は、何十ミクロンの平均径を有する)で堆積用の材料を導入することにある吹き付けられるアークプラズマトーチを使用する溶射技術である。次いで、粒子は、供給源によって溶解され、同時にコーティング用の部品に向けて加速される。粒子は、このように、それらの熱が奪われることによって衝突後に非常に速く凝固する液滴の形態で部品の表面に対して平らになり、それによって、部品の表面上にプレートレットを形成する。これらプレートレットを部品の表面に垂直に積み重ねると、堆積物は次第に積み重なる。溶射は、空気中において大気圧で行われる。コーティングの成長速度は、約100μm/分である。
【0028】
フレーム溶射技術は、部品の表面上に溶射される材料のワイヤー(ロッド)を酸素アセチレントーチの炎に導入することにある。次いで、材料は溶融され、コーティング用の部品に向けて加速される微粒子に霧化され、それらは、それらの熱が奪われることによって衝突後に非常に速く凝固する液滴の形態で部品の表面上で平らになり、それによって、部品の表面上でプレートレットを形成する。これらのプレートレットを積み重ねると、堆積物が次第に積み重ねられる。溶射は、空気中において大気圧で形成される。コーティングの成長速度は、約100μm/分である。
【0029】
上記するように、レーザー処理を受けた後、SiC層を有するセラミックマトリックス複合基材を有する部品に、およびレーザー処理を受けなかった同一の部品に、出願人によってテストが行われた。次いで、部品は、すべてフレーム溶射によってアルミナで被覆された。熱疲労テスト(60サイクルの間、各サイクルは、1100℃に温度を上昇すること、1100℃で1時間保持すること、空気中で300℃まで冷却することを含む)は、SiC層がレーザー処理を受けなかった部品と異なり、SiC/アルミナ界面で、レーザー処理を受けたそれらのSiC層を有する部品が剥離のいかなる跡も示さなかったことを示した。
【0030】
コーティングがアルミナからなる場合、本発明の方法によって得られる部品は、通常、航空用ターボ機械、例えば、ノズルフラップ、ミキサー、燃焼室要素で使用される部品である。
【0031】
本発明によれば、装置は、化学気相成長(一例として、基材は、上記したセラミック複合物のうちの1つからなることができる)によってSiC層が堆積された基材によって構成された部品での変形を測定するために作製される。測定装置は、部品の変形を測定するために使用されるフリーフィラメントひずみゲージを含む。
【0032】
図2は、フリーフィラメントひずみゲージ40を示す。そのようなひずみゲージは、当業者に知られており、その一般的な構造のみが以下に要約される。ひずみゲージ40は、以下のようなアコーディオン形状のフィラメントを含む。フィラメントは、まず、それ自体に沿って折り返されて、所与の高さのU字形状を形成し、次いで、再度折り重ねて、第1のU字形状の同じ平面に位置し、同じ長さの突出部(limb)を有するが別向きの第2のU字形状を形成する。フィラメントは、このように、同じプロセスを使用して、多数回それ自体に沿って曲げ戻し、一方、U字形状の突出部が、平面内においてグリッド41を形成するように接触しないことを確実にする。連続するU字形状の突出部は、したがって、グリッド41のストランドを構成し、ストランドは互いに平行である。グリッド41は、一般的に、矩形形状であり、第1のU字形状の第1の突出部から、およびグリッド41の最後のU字形状の最後の突出部からそれぞれ延在する2つのフィラメント端部42によって一方側に延在される。端部42は、実質的に平行であり、グリッド41と同じ平面にある。ひずみゲージはまた、支持体43を含む。通常、支持体43は、グリッド41が貼り付けられる粘着性リボンである。特に、ストランドが接触しないように(フィラメント中での短絡を回避するように)、グリッド41を構成するストランドと一緒に適所にU字形状のループを維持するように、ひずみゲージ40が扱われながら、支持体43は、したがって、グリッド41の構成が維持されることを可能にする。支持体43は、フィラメントの端部42のみが支持体43を越えて延在するように、グリッド41を越えて延在する矩形形状を有する。支持体43は、その辺のうちの2つが、グリッド41のストランドと平行になるように置かれ、他の2辺はそれに垂直である。フィラメントの端部42は、フィラメントの電気抵抗率における変化、したがって、それが固定される部品の変形をリアルタイムで測定するように、フィラメントに沿って電流を通すために電気機器に接続される。部品がグリッド41を形成するストランドの方向に変形する場合、フィラメントは、伸ばされる、または収縮がもたらされ、したがって、その電気抵抗率は変化する。上記するように、グリッド41を形成するために、フィラメントがそれ自体に沿って数回折り返されるのは、測定感度を増加させる目的のためである。2つの矩形開口44が、長い寸法がグリッド41を形成するストランドまで垂直に延在するように、支持体43において切り取られる。開口44は、これら開口において、グリッド41のストランドをすべて明らかにするように十分に長い。開口44(ストランド方向)の幅は、グリッド41によって画定された表面のごくわずかのみを被覆するように限定されている。このように、グリッド41を構成するフィラメントの長さの大部分は、支持体43に貼り付けられたままである。開口44のうちの1つは、フィラメント端42に近いグリッド41の端の方に位置し、他の開口44は、グリッド41の他端の方に位置する。
【0033】
ひずみゲージ40のフィラメントは、金属合金、例えば、ニッケル−クロム(Ni−Cr)合金、鉄−クロム−アルミニウム(Fe−Cr−Al)合金、またはプラチナ−タングステン(Pt−W)合金からなる。一例として、フィラメントの直径は、グリッド41において18μm、端部42において76μmである。
【0034】
部品の変形を測定するための装置は、以下のように作製される。図1Bの記載で説明されるように、SiC層12(予め化学気相成長によって部品の基材10上に堆積された)は、最初に、レーザー衝突を重ねることにより処理される。レーザー処理は、SiC層12上に粗さ14を生成する。その後、第1のアルミナコーティング30が、常圧溶射(プラズマ溶射またはフレーム溶射)によって、層12の一部上に堆積される。例えば、22μmから45μmの範囲にある粒度の研磨溶融されたアルミナ粉末を使用することが可能であり、45キロワット(kW)の電力で、アルゴンと30体積%の水素とを含む混合物で、プラズマトーチによって粉末が溶射される。SiC層12における粗さ14は、上記層12上のアルミナの第1のコーティング30に良好な接着を提供する。
【0035】
その後、ひずみゲージ40は、支持体43がグリッド41上方にある状態で、アルミナの第1のコーティング30上に置かれる。この例において、アルミナの第1のコーティング30は、基材からひずみゲージ40を絶縁する働きをする。ゲージ40は、支持体43によって適所に保持され、第1のコーティングに類似するアルミナの第2のコーティング50は、窓44を介して、グリッド41上に堆積される。第2のコーティング50は、常圧溶射によって同様に堆積される。この第2の層50は、2つの矩形一片の形態であり、それぞれは、窓44のうちの1つの領域と等しく、上記窓44のうちの1つの位置に堆積される。第2のコーティング50は、このように、グリッド41のフィラメントおよび第1のコーティング30上のフィラメントの穴に直接接している。その結果、支持体43を取り除くことは可能であり、グリッドは、次に、第2のコーティング50によって適所に保持される。その後、アルミナ(第1の2つのコーティングに類似する)の第3のコーティング60は、第2のコーティング50、第2のコーティング50によって被覆されないグリッド41の一部、および端部42の一部を被覆するように、常圧溶射によって堆積される。端部42の2つの先端は、グリッド41のフィラメントの変形を測定するために、それらを電源に接続することを可能にするように、第3のコーティング60によって被覆されない。一例として、第1のコーティングの厚さは、100μmであり、第2のコーティングの厚さは、50μmであり、第3のコーティングの厚さは、100μmである。
【0036】
第2のコーティング50および第3のコーティング60は、第1のコーティング30上でひずみゲージ40を保持するさらなるアルミナコーティングをともに構成し、ひずみゲージ40は、したがって、第1のコーティング30およびさらなるコーティングのアルミナ中に埋め込まれる。SiC層12における粗さ14のために、第1のコーティング30およびさらなるコーティングによって構成されるアルミナブロックは、部品が稼動時(例えば、航空用ターボ機械)において受ける高温(300℃から1100℃)においてでさえ部品に固定される。したがって、部品の変形は、アルミナブロック、したがってひずみゲージ40のフィラメントに適切に伝わり、正確な測定が、部品の変形について取られることを可能にする。
【0037】
第1の層30上にひずみゲージ40を堆積する上記方法は、一例として付与され、原理は、堆積方法の最後に、ひずみゲージ40のフィラメントが、第1のコーティング30によって、およびさらなるコーティングによって構成されるアルミナブロックに埋め込まれるという条件で、任意の他のフリーフィラメントひずみゲージを堆積するために同様である。
【0038】
SiCからなる表面を有する基材上にコーティングを作製する方法は、本発明で説明されるように、コーティングが中実SiC部品上に作製される状況も含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】SiCの層で被覆された基材に適用された本発明の方法のステップを示す。
【図1B】SiCの層で被覆された基材に適用された本発明の方法のステップを示す。
【図1C】SiCの層で被覆された基材に適用された本発明の方法のステップを示す。
【図2】その支持体上のひずみゲージの斜視図である。
【図3】変形を測定するための本発明の装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10 基材
12 SiC層
30 アルミナコーティング
40 フリーフィラメントひずみゲージ
43 支持体
44 開口
50 第2のアルミナコーティング
60 第3のアルミナコーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形測定装置を作製する方法であって、
(a)化学気相成長によって堆積されたSiC層(12)で被覆された基材(10)によって構成された部品のSiC表面に、前記表面の粗さを増加させる目的で、レーザー衝突を重ねることを含むレーザー処理を適用するステップと、
(b)前記SiC表面上に常圧溶射によってアルミナコーティング(30)を堆積するステップと、
(c)前記コーティング(30)上に、開口(44)を有する支持体(43)上に保持されたフリーフィラメントひずみゲージ(40)を置くステップと、
(d)前記開口(44)を介して常圧溶射によって、ひずみゲージ(40)上およびコーティング(30)上に第2のアルミナコーティング(50)を堆積するステップと、
(e)前記支持体(43)を取り除くステップと、
(f)前記第1のコーティング(30)上、前記第2のコーティング(50)上、および前記ひずみゲージ(40)上に、常圧溶射によってアルミナの第3のコーティング(60)を堆積するステップと、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
レーザーが、10nsのパルス時間を有するNd:YAGレーザーであり、表面ポイント当たりレーザー衝突の数は200から500の範囲にあり、レーザーの流束量は2J/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
常圧溶射が、プラズマ溶射とフレーム溶射との間で選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材(10)が、炭化ケイ素(SiC)マトリックスを有する複合材料と、自己回復セラミックマトリックスを有する複合材料との間で選択されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
化学気相成長によって堆積された炭化ケイ素(SiC)の層(12)で被覆された基材(10)によって構成される部品の変形を測定する装置であって、
前記炭化ケイ素層がレーザー衝突を重ねることによって処理された後、前記炭化ケイ素層上に常圧溶射によって堆積された第1のアルミナコーティング(30)と、
前記第1のコーティング(30)上に堆積されたフリーフィラメントひずみゲージ(40)と、
前記ひずみゲージ上に常圧溶射によって堆積されたさらなるアルミナコーティングと、
を含むことを特徴とする、装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−275617(P2008−275617A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−116868(P2008−116868)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】