説明

VAパターン欠損検査方法および検査装置

【課題】線幅5μm〜10μmのVAの、部分VA欠損を検出することで、VAパターン形成不良基板を早期に発見し、ラインの生産効率を向上させることが可能な欠陥検査方法、および、この欠陥検査方法を適応した欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】透明基板10上に、少なくともブラックマトリクス(BM)、着色層、透明導電膜、フォトスペーサ及びVAパターンが形成されたカラーLCD用カラーフィルタの特定箇所のVAパターン欠損を検出するVAパターン欠損検査方法において、白色光源30から特定箇所に白色光を照射し、その同軸反射照明光を、白色干渉法または、白色共焦点法を用いて、モノクロCCDセンサ20を搭載した顕微鏡ユニット25からなる撮像手段にて撮像を行う。VA欠損検出には特定のアルゴリズムロジックを適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置(Liquid Crystal Display:以下LCDと略称する)に用いられるカラーフィルタに設けられた、広視野角を目的に適用される突起状のVA(Vertical Alignment)パターンの欠損を検査する検査方法ならびに、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCDは、ブラウン管(陰極線管cathode ray tube:CRT)に比べて消費電力が少なく、薄くできるメリットがあり、パーソナルコンピュータや、薄型カラーテレビの発達に伴い、カラーLCDの需要が増加しており、低価格化や大型化が進展している。特に、大型薄型テレビについては、高コントラスト、高速応答等の高画質化が求められ、液晶の弱点と言われていた視野角を改善する技術として、VA(Vertical Alignment=垂直配向)方式の技術が広く利用されている。VAは、電圧をかけない時には液晶が基板に対して垂直に立って光を遮断して暗くなり(黒)、電圧をかけた時には液晶が倒れて光を通し明(白)を作り出す方式である。VA方式と共に、視野角を改善し、高画質化を実現する技術として、IPS(In Plane Switching=横電界)方式が有力な技術として採用されているが、本発明では、対象をVA方式のLCD用カラーフィルタとする。
【0003】
VA方式のLCD用カラーフィルタ製造工程においては、どの方向から見ても見え方が同じとなる(広視野角)ことを目的として、一般にフォトリソグラフィ法によって、カラーフィルタ上にVAパターンと呼ばれる突起状の構造物が設けられている。図1に、VAパターンが付加形成されたカラーフィルタの部分拡大概略図を示す。図1(a)は正常品を、図1(b)は枝リブの一部が欠損したものを示す。VAパターンはプロセス条件により、その高さや幅が変化する。VAパターンには主リブ、枝リブの2パターンが存在し、これらが欠損した場合、液晶配向規制力の低下及び、パネル表示不良を発生させる。主としては枝リブの欠損であり、以降この欠損を部分VA欠損と称する。部分VA欠損発生の主要因としては、露光ギャップの分布(面内バラツキ)、プレベークの温度分布(面内バラツキ),現像時間の設定範囲の問題が挙げられるが、5μm〜10μm線幅のVAの、部分VA欠損は従来の光学検査では検出が困難で、パネル点灯してはじめて顕在化することが多く、完全な工程改善には至っていないのが実情である。
【0004】
従来から、基板上に形成されたパターンの欠陥を検査する方法としてはCCD(Charge Coupled Device=電荷結合素子)を光検出器とした光学検査が広く行われている。例えば、特許文献1では、単色光の光源を用いてカラーフィルタを照射し、反射光もしくは透過光を光検出器で検出して、その出力を正常部あるいは隣接部と比較する検査方法が開示されている。また、特許文献2では、規則的なパターンで着色層を部分的に重ね合わせてスペーサ用突起部を形成するカラーフィルタの欠陥突起部を検出する方法として、検出された突起部の位置データから予め記憶したスペーサ用突起部の位置データを消去することで欠陥部を検出する検査方法が開示されている。また、特許文献3では、リブ付カラーフィルタ基板において、規則的なカラーパターン及びリブパターンをCCDカメラにより撮像し、入力された画像データから、リブを含むカラーパターンデータと近傍のリブを含まないカラーパターンデータとの比較を行い、リブのみを検出し、予め設計されたデータと比較することにより、リブの欠落を検出する技術が開示されている。そして、これらの欠陥やパターン不良の早期発見を目標として、LCD用カラーフィルタ製造工程においては上記した各種の光学検査を用いた自動欠陥検査装置での不良検出が行われ、VA欠損によるムラに関しては、検査員による目視確認及びLCD用自動ムラ検査装置等にて工程監視が行なわれている。
【0005】
しかしながら、従来の工程監視方法では、VAパターンの線幅がLCD用自動欠陥検査装置のCCD解能より小さいために、その不良の検出が困難である。また、LCD用自動欠陥検査装置のCCD分解能レベルを上げた場合、LCD用カラーフィルタのブラックマトリクス(BM)もしくは着色層のフリンジ等を検出し、工程内のラインタクトが伸びてしまう問題がある。また、分解能のレベルを上げることにより、LCD用自動欠陥検査装置のタクトが遅くなり、ラインタクトに収まらなくなる問題がある。図1にVAパターンを付加したときのカラーフィルタの一例の概略図を示す。VAパターンには主リブと枝リブの2パターンが存在する。自動欠陥検査装置のラインセンサ画像では、主リブは認識することは可能だが、枝リブを認識することはできていない。これは、前述したとおり、自動欠陥検査装置のCCD分解能がVAパターン線幅よりも大きいためである。
【0006】
VA欠損を含む不良の改善要求には、家電用途や自動車搭載機器への搭載等への普及で、LCD用カラーフィルタにおける規格が厳しくなってきた背景と、コスト面で大変厳しい要求があることが背景としてある。今後もLCD用カラーフィルタの規格は厳しくなり、また、晶表示装置を構成する部材の中でもコスト比重が高いカラーフィルタには一層のコストダウンが要求されている。一方、基板の大型化の進展に対して、プロセス・設備技術を核とした、更なる生産性向上、収率改善が課題としてあり、ラインタクト内でのVA欠損の検出自動化への要求は大きいものがある。
【特許文献1】特開平05−288640号公報
【特許文献2】特開平10−104117号公報
【特許文献3】特開2000−221514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は線幅5μm〜10μmのVAの、部分VA欠損を検出することで、VAパターン形成不良基板を早期に発見し、ラインの生産効率を向上させることが可能な欠陥検査方法を提供することであり、また、この欠陥検査方法を適応した欠陥検査装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は前記の課題を克服するために鋭意検討を行った結果、従来のLCD用自動欠陥検査装置での検出ではなく、白色干渉及び白色共焦点の撮像技術を利用することで線幅5μm〜10μmのVA欠損に対して工程監視を行うことが可能なことを見いだし本発明を得るに至った。
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、透明基板上に、少なくともブラックマトリクス(BM)、着色層、透明導電膜、フォトスペーサ(PS:Photo Spacer)及びVA(Vertical Alignment)パターンが形成されたカラーLCD用カラーフィルタの特定箇所のVAパターン欠損を検出するVAパターン欠損検査方法において、白色光源(キセノン・メタルハライド光源)から特定箇所に白色光を照射し、その同軸反射照明光を、白色干渉法または、白色共焦点法を用いて、モノクロCCDセンサを搭載した顕微鏡ユニットからなる撮像手段にて撮像を行い、欠損を検出することを特徴とするVAパターン欠損検査方法である。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記撮像手段のZ軸の駆動にピエゾ光学素子を
用いて、被検査対象サンプルまでの光路長を、1/4波長、1/2波長、3/4波長だけ一方向に変化させて、前記CCDセンサに取り込まれた干渉縞明暗情報を処理することを特徴とする請求項1に記載するVAパターン欠損検査方法である。

さらに、本発明の請求項3に係る発明は、少なくとも、以下の(1)〜(12)の段階で構成される欠損を検出する処理手順を有することを特徴とする請求項1または2に記載するVAパターン欠損検査方法である。
(1)前記撮像手段で視野内に入る範囲の欠陥位置(検査対象領域)に、XY軸を移動し、次に、CCDに映像化された欠陥を画像処理により欠陥位置を取得する段階。
(2)その欠陥位置に対して検査区間を設定し、設定した検査区間について、白色干渉・共焦点法を用いて、Z軸を走査しN枚撮像する段階。
(3)任意の1Pixelに着目し、輝度分布が正規関数であることを利用して、輝度のサーチを行う段階。
(4)前記任意の1Pixelの輝度ピークがN枚中のa枚目であるならば、枚数情報をaとする段階。
(5)前記aの枚数情報を、濃淡値情報0〜255に変換する段階。
(6)全Pixelに関して、上記(3)〜(5)の処理を行い、得られた濃淡値情報から、対象物の形状情報を有した濃淡画像を形成する段階。
(7)これとは別に、前記(2)で設定した区間の中で、予め設定しているリファレンスエリアの濃度平均のピークを導出する段階。
(8)このリファレンスエリアのピークが、輝度サーチの結果(2)で撮像したN枚の中でb枚目であるならば、枚数情報をbとし、このbの枚数情報を、濃淡値情報0〜255に変換する段階。
(9)リファレンスエリアの濃淡値情報をもとに、2値化処理の閾値を定め、この閾値に対し上限と下限の設定を設ける段階。
(10)(6)で形成取得した濃淡画像に対して、2値化処理を行い、2値化画像を取得する段階。
(11)事前に、検査対象領域を正常部とした以外は(2)〜(10)と同様の段階で構成される処理手順で、正常部の2値化画像を取得する段階。
(12)最後に、正常部の2値化画像と(10)で取得した測定部の2値化画像を差分し、その結果、片側の画素数が閾値を超えた場合、VAパターン欠損ありと判定する段階。
【0011】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、透明基板上に、少なくともブラックマトリクス(BM)、着色層、透明導電膜、フォトスペーサ(PS:Photo Spacer)及びVA(Vertical Alignment)パターンが形成されたカラーLCD用カラーフィルタの特定箇所のVAパターン欠損を検出するVAパターン欠損検査装置において、白色光源(キセノン・メタルハライド光源)から特定箇所に白色光を照射し、その同軸反射照明光を、白色干渉法または、白色共焦点法を用いて撮像を行う機構を有した、モノクロCCDセンサを搭載した顕微鏡ユニットからなる撮像手段を備えることを特徴とするVAパターン欠損検査装置である。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る発明は、前記撮像手段のZ軸の駆動にピエゾ光学素子を用いて、被検査対象サンプルまでの光路長を、1/4波長、1/2波長、3/4波長だけ一方向に変化させて、前記CCDセンサに取り込まれた干渉縞明暗情報を処理する機構を有することを特徴とする請求項4に記載するVAパターン欠損検査装置である。
【0013】
さらに、本発明の請求項6に係る発明は、請求項3に記載するVAパターン欠損検査方法の処理機構を備えることを特徴とする請求項4または5に記載するVAパターン欠損検査装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のVAパターン欠損検査方法によれば、これまでにブラックマトリクスの不良(異物)、着色層の不良(白抜け・異物)等、あるいは、レジストコート起因のムラ等を検出してきた従来の、(イ)LCD用自動欠陥検査装置や(ロ)LCD用自動ムラ検査装置の各手法において、検出が不可とされた部分VA欠損に対して、白色干渉及び白色共焦点の撮像技術の特定のアルゴリズムを応用することで、不良の早期発見が可能となる。
【0015】
また、これまでに、従来のLCD用検査装置によって検出することが出来なかったVA欠損の検出が、白色干渉及び白色共焦点の撮像技術を用い、かつ、対物レンズをピエゾ素子を用いて精度良く動かすことで、1/4波長ずつ光路長を一方向に変化させることが数秒以内の短い測定時間で検査可能であり、本発明のVAパターン欠損検査装置を用いることで、ラインタクトの中で検査が可能となり、工程条件の安定化を図ることができ、良品化できる基板を増やし、収率の改善が可能となる。
【0016】
また、焦点深度と開口数(N.A.=Numerical Aperture)は反比例の関係にある。5〜10μmのVAパターン欠損を検出するには、高倍率・高分解能のCCDカメラを搭載した顕微鏡ユニットを用いる必要がある。本発明のVAパターン欠損検査方法によれば、白色干渉法を用いることで、高倍率・高分解能でも焦点深度を浅くすることなく、すなわち焦点面を移動させても像がボケないため、VA欠損を検出することが可能となる。LCD用カラーフィルタは、前述したように、その規格及び品質が厳しく、VAやPSのような付加価値をつけたものへと要求が移行してきている。さらに、カラーフィルタのコスト低減に対する要求も高まっており、更なる収率改善が望まれている。このような背景の中、本発明の白色干渉及び白色共焦点の撮像技術を用いたVA欠損の検出は、VAパターン形成不良基板を早期に発見し、ラインの生産効率を向上させることが可能となり、収率改善に大きな効果をもたらすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のVAパターン欠損検査方法を一実施形態に基づいて、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明のVAパターン欠損検査方法に適用する、白色共焦点法の概要を説明する。図2の概略説明図に示すように、光源30からの白色光の一部はハーフミラー31を介して対物レンズ33から被検査基板10に照射され、一部はハーフミラー31、で反射され、参照ミラー32に照射される。CCDカメラ20では、参照ミラー32と被検査基板10からの反射光の信号が重ね合わされ干渉を引き起す。この干渉信号のレベルは、集光レンズ34から参照ミラー32までの距離L0とハーフミラー31から被測定物である被検査基板10までの距離L1の値がL0=L1となったとき最大の値を示す。図3の干渉波形説明図に示すように、幅の異なるA、B、2つの部分からなるサンプルを測定したとき、その幅に応じて干渉の強度が変化する。このとき、サンプルのある測定点で二つの反射光に位相差がなければ、最も明るくなり、半波長ずれていると、最も暗くなる。この強度の違いがA、B、2種類の測定差となる。
【0019】
図4は本発明のVAパターン欠損検査装置の一実施形態の概略図である。基本的にCCDエリアセンサ20を具備した顕微鏡ユニット、キセノン・メタルハライド光源30、光学系のZ軸駆動にピエゾ光学素子21を用い、被検査基板10を保持するための、XY駆動する機構23に制御された基板ステージ22から成っている。光学構造は、同軸反射照明を白色光源の白色干渉・白色共焦点法を用いてモノクロCCDセンサにて撮像を行う。
【0020】
以下に本発明の具体的実施形態についてさらに説明する。
【0021】
まず、透明ガラス基板上に、ブラックマトリクス(BM)層、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各着色層、ITO透明導電膜、PS,VAパターンを形成し、LCD用カラーフィルタを作成した。BM層、RGB着色層、PS,VAパターンはフォトリソグラフ手法により形成を行った。また、透明電極膜はスパッタリング手法により形成した。このカラーフィルタに対して、VA欠損検出のアルゴリズムロジックを適用する。
【0022】
(1)まず、上記で形成したVAパターンまでを形成したLCD用カラーフィルタを、XY駆動する機構23に制御された基板ステージ22上に、被検査基板10として保持する。基板ステージ22をXY移動させて、被検査基板10を水平方向に動かし、撮像手段であるCCDエリアセンサ20を具備した顕微鏡ユニット25で、視野内に入る範囲の欠陥位置(検査対象領域)に移動する。次に、CCDに入力された欠陥を画像処理装置26により映像化して欠陥位置を取得する。
【0023】
(2)その欠陥位置に対して、図5に示すように検査区間を設定し、白色干渉、または、白色共焦点法を用いて、Z軸を走査し256枚撮像する。図5において、外側の枠内の領域(イ)が設定区間であり、内側の点線で囲んだ領域(ロ)はリファレンスポイントでVAパターンと比較して高さがない箇所であり、この場合は、ITO透明導電膜までの高さが不必要な情報となる。リブ(ハ)は、高さがあり必要な情報で、実際にはVAパターンの高さ情報である。
【0024】
(3)任意の1Pixelに着目し、輝度分布が正規関数であることを利用して、図6に示すように、輝度のサーチを行う。測定エリアをCCDの分解能に合わせてpixelごと(pixel画像)に表示する。この1pixelに対して測定を行う。N枚撮像し、その時の1pixelあたりのピーク値を導出する。次に、1pixelあたりのピーク値を0〜255の濃淡値情報に変換する。これを測定エリアの全pixelに展開し、濃淡マップを作成する。図6には、例として、2Pixel分のプロファイルデータの結果を示し、10枚目のプロファイルデータを細い点線で、50枚目のプロファイルデータを太い点線で表している。
【0025】
(4)ここで、(3)で着目した任意の1Pixel目の輝度のピークが256枚中の10枚目であるならば、枚数情報10とする。
【0026】
(5)次に、10という枚数情報を濃淡値情報0〜255に変換する。ここでN枚撮像したときのピーク値がa枚目、濃淡値0〜255に変換すると、(a/N)×256すなわち([輝度ピークの枚数]/[撮像枚数])×濃淡値(0〜255)から、(10/256)×256=10の輝度値が得られる。
【0027】
(6)上記した(3)〜(5)の処理を全Pixelに関して行い、得られた濃淡値情報から、図7に示すように対象物の形状情報を有した濃淡画像を形成する。図7は、設定エリアを0〜255の階調の濃淡情報に表したものである。
【0028】
(7)これとは別に、前記(2)で設定した区間の中で、予め設定しているリファレンスエリアの濃度平均のピークを導出する。
【0029】
(8)このリファレンスエリアのピークが、輝度サーチの結果、(2)で撮像した256枚の中で、50枚目であるならば、枚数情報50とし、濃淡値情報0〜255に変換する。そして、(5)と同様に濃淡値に変換すると、50の輝度値を得ることができる。
【0030】
(9)リファレンスエリアの濃淡値情報をもとに、2値化処理の閾値を定め、この閾値に対し上限と下限の設定を設ける。図8の閾値設定画面に示すように、閾値を50、上限
出力値100、下限出力値0の設定を行うことにより、図7の濃淡画像に対して白黒の切り分けを行う。
【0031】
(10)この閾値をもとに、(6)で形成取得した濃淡画像に対して、2値化処理を行い、2値化画像を取得する。このとき、2値化画像に対して画像処理を行い、白側,黒側の画素数を導出する。
【0032】
(11)事前に、検査対象領域をリファレンス部(正常部)とした以外は、(2)〜(10)と同様にして、正常部の2値化画像を取得する。この2値化画像では高さ情報が閾値以上であれば白に、高さ情報が閾値未満であれば黒とする。同様に、この2値化画像に対して画像処理を行い、白側,黒側の画素数を導出する。ここで、図9(a)にリファレンス部(正常部)の2値化画像を、図9(b)にVAパターンの欠損がある部分(不良部)の2値化画像を示す。
【0033】
(12)最後に、この図9(a)と図9(b)の2値化画像を差分して図9(c)の画像を得る。その結果、白側の画素数が閾値を超えた場合、VAパターン欠損ありと判定する。本実施形態では、図9(c)の画像が図8で設定した、白側の閾値を超えている場合、アラームが発報する設定を設ける。
【0034】
以上のようにして、透明ガラス基板上に、ブラックマトリクス(BM)層、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各着色層、ITO透明導電膜、PS,VAパターンを形成したLCD用カラーフィルタを、前述した欠陥検査方法により画像検査を行ったところ、AVパーン欠損の枝リブ部分の微小な不良が判定することが出来た。同じLCD用カラーフィルタ基板を、従来のLCD用自動欠陥検査装置にかけたところ、AV不良は発見されず、別に人間による目視検査を行うことで検出された。AVパターン欠損は、目視によりある程度発見できるが、その位置特定が難しく、また、不良部分の画像をリアルタイムに得られないため原因推定に時間がかかる欠点があり、本発明のAVパターン欠損検査方法ならびにその機構を備えた検査装置の有用性は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】VAパターンが形成されたカラーフィルタの部分拡大図。
【図2】白色共焦点法の概略説明図。
【図3】白色共焦点法での干渉波形の説明図。
【図4】本発明のVAパターン欠損検査装置の一例の概略図。
【図5】本発明のVAパターン欠損検査方法での、検査測定エリアの説明図。
【図6】本発明のVAパターン欠損検査方法での、輝度サーチの概略説明図。
【図7】本発明のVAパターン欠損検査方法での、濃淡画像説明図。
【図8】本発明のVAパターン欠損検査方法での、閾値設定画面説明図。
【図9】本発明のVAパターン欠損検査方法での、2値化画像説明図。
【符号の説明】
【0036】
10・・・被検査基板 11・・・VAパターン(主リブ:V字型)
12・・・VAパターン(枝リブ) 13・・・VAパターン(枝リブ:単独)
14・・・部分VAパターン欠損 20・・・CCD
21・・・ピエゾユニット 22・・・基板ステージ 23・・・ステージ駆動機構25・・・顕微鏡ユニット 26・・・画像処理装置 30・・・白色光源 31・・・ハーフミラー 32・・・参照ミラー 33・・・対物レンズ 34・・・集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、少なくともブラックマトリクス(BM)、着色層、透明導電膜、フォトスペーサ(PS:Photo Spacer)及びVA(Vertical Alignment)パターンが形成されたカラー液晶表示装置用カラーフィルタの特定箇所のVAパターン欠損を検出するVAパターン欠損検査方法において、
白色光源(キセノン・メタルハライド光源)から特定箇所に白色光を照射し、その同軸反射照明光を、白色干渉法または、白色共焦点法を用いて、モノクロCCDセンサを搭載した顕微鏡ユニットからなる撮像手段にて撮像を行い、欠損を検出することを特徴とするVAパターン欠損検査方法。
【請求項2】
前記撮像手段のZ軸の駆動にピエゾ光学素子を用いて、被検査対象サンプルまでの光路長を、1/4波長、1/2波長、3/4波長だけ一方向に変化させて、前記CCDセンサに取り込まれた干渉縞明暗情報を処理することを特徴とする請求項1に記載するVAパターン欠損検査方法。
【請求項3】
少なくとも、(1)〜(12)の段階で構成される欠損を検出する処理手順を有することを特徴とする請求項1または2に記載するVAパターン欠損検査方法。
(1)前記撮像手段で視野内に入る範囲の欠陥位置(検査対象領域)に、XY軸を移動し、次に、CCDに映像化された欠陥を画像処理により欠陥位置を取得する段階。
(2)その欠陥位置に対して検査区間を設定し、設定した検査区間について、白色干渉・共焦点法を用いて、Z軸を走査しN枚撮像する段階。
(3)任意の1Pixelに着目し、輝度分布が正規関数であることを利用して、輝度のサーチを行う段階。
(4)前記任意の1Pixelの輝度ピークがN枚中のa枚目であるならば、枚数情報をaとする段階。
(5)前記aの枚数情報を、濃淡値情報0〜255に変換する段階。
(6)全Pixelに関して、上記(3)〜(5)の処理を行い、得られた濃淡値情報から、対象物の形状情報を有した濃淡画像を形成する段階。
(7)これとは別に、前記(2)で設定した区間の中で、予め設定しているリファレンスエリアの濃度平均のピークを導出する段階。
(8)このリファレンスエリアのピークが、輝度サーチの結果(2)で撮像したN枚の中でb枚目であるならば、枚数情報をbとし、このbの枚数情報を、濃淡値情報0〜255に変換する段階。
(9)リファレンスエリアの濃淡値情報をもとに、2値化処理の閾値を定め、この閾値に対し上限と下限の設定を設ける段階。
(10)(6)で形成取得した濃淡画像に対して、2値化処理を行い、2値化画像を取得する段階。
(11)事前に、検査対象領域を正常部とした以外は(2)〜(10)と同様の段階で構成される処理手順で、正常部の2値化画像を取得する段階。
(12)最後に、正常部の2値化画像と(10)で取得した測定部の2値化画像を差分し、その結果、片側の画素数が閾値を超えた場合、VAパターン欠損ありと判定する段階。
【請求項4】
透明基板上に、少なくともブラックマトリクス(BM)、着色層、透明導電膜、フォトスペーサ(PS:Photo Spacer)及びVA(Vertical Alignment)パターンが形成されたカラー液晶表示装置用カラーフィルタの特定箇所のVAパターン欠損を検出するVAパターン欠損検査装置において、
白色光源(キセノン・メタルハライド光源)から特定箇所に白色光を照射し、その同軸反射照明光を、白色干渉法または、白色共焦点法を用いて撮像を行う機構を有した、モノクロCCDセンサを搭載した顕微鏡ユニットからなる撮像手段を備えることを特徴とするV
Aパターン欠損検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段のZ軸の駆動にピエゾ光学素子を用いて、被検査対象サンプルまでの光路長を、1/4波長、1/2波長、3/4波長だけ一方向に変化させて、前記CCDセンサに取り込まれた干渉縞明暗情報を処理する機構を有することを特徴とする請求項4に記載するVAパターン欠損検査装置。
【請求項6】
請求項3に記載するVAパターン欠損検査方法の処理機構を備えることを特徴とする請求項4または5に記載するVAパターン欠損検査装置。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−8066(P2010−8066A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164271(P2008−164271)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】