説明

X線散乱用のX線回折機器

【課題】SAXSおよび/またはSAXS−WAXSに適したX線散乱チャンバを提供する。
【解決手段】X線散乱チャンバ12は、X線回折機器内に設置されたハウジング14を有し、このハウジングは、X線源2とX線検出器4の間に配置され、例えばゴニオメータアーム6上に配置される。ハウジング14は、サンプルホルダ16と、ビーム調整光学素子22、24とを有する。このシステムでは、ハウジングの外側に、一次光学素子10が使用されても良い。本機器は、SAXSおよび/またはSAXS−WAXSに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線散乱試験を実施する際の機器に関し、特に広角X線散乱法(WAXS)および小角X線散乱法(SAXS)を含む機器に関する。
【背景技術】
【0002】
X線回折は、良く知られた技術であり、この技術では、X線ビームがサンプルに向かって誘導され、回折または散乱され、このX線の測定により、サンプルに関する情報が得られる。回折角度は、測定により精査される長さスケールに関係し、大きな長さスケールは、小さな散乱角度に対応する。
【0003】
小角X線散乱法は、nm領域の構造評価に使用される測定技術である。X線ビームは、サンプルの方に誘導され、小さな散乱角度、通常の場合、7゜未満の散乱角度で、散乱角度の関数としての強度が測定される。これらの小角度では、X線ビームは、従来の広角X線回折で精査されるサブnmの領域よりも僅かに大きな長さスケールで、サンプルの構造を精査することができる。
【0004】
従来のX線回折(XRD)技術とは異なり、小角散乱法用のサンプルは、結晶質である必要はなく、そのためこの技術は、巨大分子の特性の評価に使用することができる上、X線回折法では不向きな、部分的に秩序化された構造に使用することができる。サンプルは、固体状である必要はなく、この技術は、液体、溶液、およびサスペンションにも、固体と同様に使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SAXSのほとんどの適用では、空気散乱を防ぐため、真空分離が必要である。
【0006】
通常の場合、SAXS機器は、真空ハウジングで構成され、このハウジングは、別個のX線源に固定される。ハウジングは、サンプル保持部と、特に、入射ビームの軌跡を制限する、いくつかのビーム調整器を含む各種X線アライメント部材と、全く散乱されなかったX線を吸収するビーム停止手段とを収容する。ハウジングの内部または外部には、X線検出器が配置される。
【0007】
SAXS技術は、期待されるほど広くは使用されていないが、これは、専用の機器が必要であるためであると推察される。小角散乱放射線を検出するため、従来のXRD機器を使用した場合、最良の品質の結果は得られない。
【0008】
広角X線散乱(WAXS)法は、広角度での同様の手法である。WAXSは、電子密度の周期的なパターンからの散乱、または分離粒子からの散乱をターゲットにし、SAXSに対して有意な測定を行う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様では、請求項1に記載のX線回折器が提供される。
【0010】
別の態様では、本発明は、請求項11に記載のX線散乱チャンバに関する。
【0011】
本発明では、従来の回折器において、外界から隔離された取り外し可能なチャンバを使用する。このチャンバは、単一のマウント(mount)により、容易に取り付けたり取り外したりすることができる。
【0012】
このチャンバにより、従来の回折器において行われる測定を可能にしたまま、X線ビーム経路の相当の部分を、外界から隔離されたX線散乱チャンバに通すことが可能となる。これにより、ビームが真空中、または必要な場合選択ガス中を、通過し得るようになる。いくつかの適用例では、これにより、X線と空気の相互作用が大きなバックグラウンド散乱の原因となる従来の回折法に比べて、測定状態が改善される。
【0013】
本方法の別の利点は、取り外し可能なx線散乱チャンバ内において、ビーム調整器のようないくつかの素子が、サンプルの前後、すなわち一次側および二次側の双方の位置に、提供されることである。ビーム調整器は、取り外し可能なx線散乱チャンバ内に固定され、整列される。チャンバは、従来の機器内に単純かつ迅速に取り付けられ、不要な際には迅速に除去することができる。これは、測定の高速化と自由度の向上につながる。
【0014】
従来のX線回折器、特に従来型のゴニオメータを有するX線回折器に固定されるチャンバを提供することにより、機器のユーザが、ビーム経路を真空状態/ガス分離状態にして実験を行うため、カメラを備える専用のシステムを確保する必要がなくなる。
【0015】
この方法は、SAXS測定の実施に特に適している。本発明は、特注のSAXSシステムを必要とせずに、高品質なSAXS測定を行うことができる。
【0016】
ビーム調整器は、小角散乱サンプルホルダとX線出口窓との間に取り付けられた、ビーム停止手段を有し、これにより未散乱のX線を停止させても良い。真空ハウジング内にビーム停止手段を収容することにより、X線がビーム停止手段から大気に散乱し、さらに大気からX線が放射されるという問題を回避することができる。
【0017】
またビーム調整器光学素子は、X線入力窓と小角散乱サンプルホルダの間に、一次ビーム調整器を有しても良い。ビーム停止手段と同一のハウジングに、一次ビーム調整器を取り付けることにより、完全なラビリント(labirint)が形成され、強い誘導ビーム成分が有益な散乱強度に影響を及ぼすことが抑制される。従って、従来のXRD機器にチャンバを設置することにより、過度の調整を行わずに、SAXS測定の実施に最適な構成が得られる。
【0018】
本発明は、WAXS測定に適用することもできる。この場合、X線散乱チャンバは、小角散乱サンプルホルダにおいて、サンプルにより所定の角度以下の角度で散乱されたX線の経路を提供するように定形される。ここで所定の角度とは、10゜から90゜の範囲である。
【0019】
真空中または周囲とは異なる環境中にサンプルおよびX線軌道の大部分が配置された、従来のX線回折法のいくつかの適用例があり、本発明は、これらに対して特に有益である。
【0020】
回折器は、X線源とX線回折器チャンバとの間に、一次光学素子を有しても良い。
【0021】
一次光学素子は、単色光分光器、楕円もしくは放物線x線ミラー、またはハイブリッドタイプの光学素子を有しても良い。
【0022】
本発明のさらなる理解のため、以下、実施例について説明する。実施例は、一例に過ぎず、添付図面を参照して示される。
【0023】
異なる図において、同様のまたは対応する素子には、同様の参照符号が付されており、図面は、概略的なものであり、スケールは示されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1を参照すると、第1の実施例によるX線回折器は、X線源2と、X線検出器4とを有する。一組のゴニオメータ軸6が提供され、X線源2および検出器4は、それぞれ、一つのゴニオメータ軸6に設置される。必要な場合、X線源および検出器は、アーム5を用いてゴニオメータに設置される。x線サンプルを測定位置に保持するように、第1のサンプルホルダ8が配置される。X線源2とX線検出器4の双方は、測定位置の周囲で回転可能である。例えばコリメータおよび/または単色光分光器のようなX線一次光学素子10が、X線源とサンプルステージの間に提供される。
【0025】
あるいは、X線源2は、固定式であっても良く、サンプルホルダ8は、一つのゴニオメータ軸6上で回転可能であり、検出器4は、別のゴニオメータ軸6上で回転可能であっても良い。他の構成も可能であり、これは当業者には明らかである。
【0026】
従来のX線回折器として使用する場合、第1の回折サンプルホルダ8上に、サンプルが設置され、X線回折(XRD)サンプルホルダ8およびX線検出器4が回転して、X線回折走査が実施される。
【0027】
図2に示すように、このシステムを用いて、小角X線散乱法を実施しても良い。第1のXRDサンプルホルダ8は、ビーム経路から簡単に取り外すことができる。あるいは、XRDサンプルホルダ8は、ビーム経路からずらして除去しても良い。
【0028】
XRDサンプルホルダ8の代わりに、x線散乱チャンバ12が取り外し可能に設置される。x線散乱チャンバ12は、取り付け手段7により、ゴニオメータ軸6上に取り外し可能に設置される。この手段は、取り付け板、ネジ、アームまたはいかなる適当な固定技術を有しても良い。x線散乱チャンバ12は、測定の実施のためにシステム内に設置されるが、同システムにより再度通常の測定を実施することができるように、再度除去することができる。x線散乱チャンバ12は、再生可能な方法で設置され、すなわちこれに置換する際、x線散乱チャンバ12は、以前の位置の極めて近くに配置される。
【0029】
チャンバ12は、気密ハウジング14(実施例では、管として知られる)と、第2のサンプルホルダ16とを有する。ポート15により、ハウジング14は、真空処理され、ハウジングが真空密閉される。あるいは、必要な場合、ハウジングに、気体を充填しても良い。
【0030】
またチャンバ12は、入口窓18および出口窓20を有する。入口窓18と第2のサンプルホルダ16の間には、ビーム調整器22、23が設置され、第2のホルダ16と出口窓との間には、ビーム停止手段24が設置される。ビーム停止手段24は、二次ビーム調整器と見なされ得る。
【0031】
特にビーム調整器は、入口窓とサンプルホルダ16の間に、一次ビーム調整器22、23を有する。これらは、ビーム経路に沿った複数のスリット22と、最後の一次ビーム調整器23とを有する。スリット22を通過しないX線は、実質的に減衰される。スリットは、平行板コリメータの代わりに使用することが好ましい。平行板コリメータは、散乱の原因となるためである。ただし、必要な場合、平行板コリメータを、代わりにまたは加えて使用しても良い。
【0032】
最後の一次ビーム調整器23は、第2のサンプルホルダ16に隣接して配置され、他の一次調整器からの全ての寄生散乱を除去する役割を有する。ビーム停止手段24は、サンプルホルダ16と出口窓20の間に提供される。一次ビーム調整器22、23およびビーム停止手段24は、協働して未散乱X線が出口窓20に到達することを抑止する。最後の一次ビーム調整器23およびビーム停止手段24は、X線ビーム経路26の反対側に配置されることに留意する必要がある。
【0033】
「ビーム停止手段」という用語が使用されているが、ビーム停止手段は、ビームを完全に停止させる必要はなく、単に未散乱ビームを少なくとも104倍だけ実質的に減衰させるものであっても良い。
【0034】
使用時には、X線源2からX線入力窓18を介して、X線が、X線ビーム経路26に沿って入射され、一次ビーム調整器22、23を通り、サンプルホルダ16内のサンプルに衝突する。サンプルにより散乱されなかったX線は、ビーム停止手段24に進み、ここで吸収される。散乱X線は、ビーム停止手段24を通り過ぎ、出口窓20を通り、ここで検出器4により検出される。検出器は、必要な場合、アーム5上で、ゴニオメータ軸6の周囲を移動しても良い。あるいは、検出器は、平行な角度範囲にわたってX線を測定することが可能な、検出器配列であっても良い。この場合、検出器の移動は、不要となり得る。
【0035】
実施例では、多くの利点が得られる。
【0036】
この実施例では、チャンバ12は、SAXSチャンバである。従来のSAXS機器では、特にSAXS用測定用に構成された単一のハウジング内に、全ての部材をX線源から離して設置することにより、信頼性が確保される。本願発明者は、重要部材は、一次ビーム調整器、ビーム停止手段、およびサンプルホルダであり、これらは、単一の取り外し可能なハウジングに統合することができるという事実を見出した。この場合、X線源、検出器、発生器およびX線シールド部材のような、X線システムのいくつかの高価な部品を、従来のXRD機器で再利用することが可能となる。
【0037】
従来の機器でSAXSを実施するという以前の試みは、真空を使用しておらず、一次ビーム調整器、ビーム停止手段およびサンプルホルダは、単一の胴体部に設置されていない。そのようなシステムにおいて得られる結果は、限定的なものであり、真空の欠如、ビーム調整器のこれまでのようなSAXS配置の不存在のため、SAXS用途としての感度は著しく低い。
【0038】
本実施例を使用した場合、従来のSAXS機器とは異なり、SAXSチャンバは、独自の検出器を含まず、SAXSチャンバは、従来のXRD機器とともに使用することができる。従って、SAXSの追加のコストが、従来の解決策に比べて大きく抑制される。
【0039】
従来のXRD機器と組み合わせてチャンバ12を使用する実施例では、SAXS測定の結果は、良好であり、これは、SAXSチャンバにより、最良の質の結果を得るために必要な真空が提供されるとともに、一次ビーム調整器22、23、SAXSサンプルホルダ16、およびビーム停止手段24の間で、高精度な位置合わせが可能となるためである。従って、X線が空気中を通過し、SAXS測定の実施例に使用される配置が不可能な、従来のXRD機器における単純な小角散乱測定で得られるものに比べて、結果の質は良好である。
【0040】
特に、真空チャンバ内への一次調整器22およびビーム停止手段24の提供により、空気と相互作用し、さらなる放射の原因となる散乱X線を回避することができる。そうでなければ、散乱X線は、検出器4に到達して、結果の質を低下させる。
【0041】
一次ビーム調整器22を、サンプルホルダ16と同一のハウジングに固定することにより、実質的に一次ビーム調整器を予備整列させることができる。これは、過度の位置合わせ手順を実施せずに、SAXSチャンバ12を所定の位置に簡単に取り付けられることを意味する。
【0042】
特定の実施例の別の利点は、SAXSチャンバ12が、設置の際にさらなる位置合わせを必要とせずに、正確に位置が合わされ設置されることである。従って、SAXSチャンバは、X線源の近傍の各種一次光学素子と協働することができ、X線源2に対して正確に位置が合わされる。
【0043】
別の実施例では、SAXSチャンバ12は、XRD機器内において、ゴニオメータ軸6の代わりに、キャビネット等の基部に簡単に設置することができる。
【0044】
他の改良も可能である。一次光学素子10は、楕円ミラーを有しても良い。SAXSにおいて楕円ミラーを使用することは、良く知られており、従ってここではこれ以上説明しない。
【0045】
別の代替例は、一次光学素子10に、いわゆるハイブリッド単色光分光器を使用することである。この場合、一次光学素子は、放物線ミラーと水晶の組み合わせを有する。
【0046】
完全なシステムに戻す場合、各種部材が迅速かつ容易に除去され、交換される。各種部材を機械つめ(click-on)式に交換するようにすることが特に有意である。この場合、これらを迅速かつ容易に交換することができる。これは、異なる一次光学素子、異なるX線管、異なる検出器にも適用される。
【0047】
実際には、単一の検出器のみで、角度の関数としてX線強度を測定する従来の検出器と同様の、二次元検出器または複数の検出器を使用することが可能である。
【0048】
サンプルホルダ16は、例えばキャピラリのような管を保持することが好ましい。管は、Oリングで密封され、真空ハウジング14の真空状態が維持される。
【0049】
サンプルホルダ16は、サンプルの温度を変化させることができても良い。
【0050】
あるいは、図3に示すような、流入式のサンプルホルダを使用しても良い。管30は、ハウジング14を貫通し、概略的に示されたOリング32により密封される。この場合、測定の間、サンプルホルダ内を液体34が流通し、ビーム経路26に沿って移動するX線が測定される。
【0051】
そのような配置は、粉末用に使用されても良い。
【0052】
必要な場合、X線散乱チャンバ12は、X線散乱チャンバ12内で、ハウジング14の内部または外部のいずれかに、特注の検出器が統合されるようにしても良い。
【0053】
使用時には、いくつかの適用例では、X線散乱チャンバ12内に、真空ではなく特定のガスが使用される。気密ハウジングによってこれを行っても良い。
【0054】
チャンバサンプルホルダ16は、チャンバ12と一体構成する必要はないことに留意する必要がある。いくつかの実施例では、サンプルホルダは、気密サンプルチャンバの外側に接続され、これにより、X線ビームをある雰囲気または真空を通過させる一方で、サンプルを異なる環境に曝すことが可能になる。サンプルは、チャンバ12に取り付けた状態のまま、設置したり、置換したりしても良い。他の実施例では、サンプルホルダ16は、チャンバ12内にあり、チャンバ12とともに取り外され、置換される。
【0055】
別の構成には、好ましくはハウジング14の内部で、チャンバ12と一体化された一次光学素子10により、前述の実施例において提供されるいくつかの機能が含まれる。ただし、これらは、ハウジング14の外側で固定されても良い。例えば、管の内部に単色光分光器が提供され、これは、楕円の単色光分光器またはハイブリッドの単色光分光器であっても良い。
【0056】
図2の配置では、SAXSチャンバは、実質的に水平に設置され、X線経路は、実質的に水平となる。ただし、これは必ずしも必要ではなく、SAXSチャンバを適当な機器内に垂直に取り付けることも可能である。
【0057】
前述の実施例では、SAXS用のチャンバが使用されるが、他の種類の測定のため、他のチャンバを使用しても良い。
【0058】
別の実施例では、SAXSチャンバは、図4に示すような別の形状を有し、いわゆるSAXS−WAXS技術を用いて、小角と広角の両方の散乱が測定されても良い。出口窓18は、図2の実施例よりも大きい。この場合、最大散乱角度は、90゜であっても良い。検出器4を各位置に移動し、小角および広角の両方の散乱データを収集しても良い。
【0059】
別の実施例は、特にSAXSに適合されておらず、単に、測定位置の前後に、ビーム調整光学素子を配置するためにチャンバが使用され、これによりビーム経路が、真空または選択ガスを通るようにすることができる。これにより、コリメータまたはビーム停止手段により散乱したX線が、空気と相互作用することが回避されるとともに、追加の偽X線が形成されこれが検出器に到達することが回避され、測定品質が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】散乱チャンバを有さない、本発明によるX線回折器を示した図である。
【図2】チャンバが取り付けられた、図1のX線回折器を示す図である。
【図3】流入サンプルホルダを有する、別の実施例を示した図である。
【図4】さらに別の実施例によるチャンバを示した図である。
【符号の説明】
【0061】
2 X線源
4 X線検出器
5 アーム
6 ゴニオメータ
7 取り付け手段
8 第1のサンプルホルダ
10 一次光学素子
12 X線散乱チャンバ
14 気密ハウジング
16 第2のサンプルホルダ
18 入口窓
20 出口窓
22、23 ビーム調整器
24 ビーム停止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射X線をサンプル測定位置まで誘導するX線源と、
前記サンプル測定位置からの出力X線を検出するX線検出器と、
前記X線源、検出器および前記サンプルのうち少なくとも一つの位置を調整するゴニオメータと、
取り外し可能なX線散乱チャンバと、
を有するX線回折器であって、
前記X線散乱チャンバは、前記X線源からの入射X線を受光するx線入力窓、および散乱X線を前記X線検出器の方に通すX線出力窓を有する気密ハウジングと、
前記x線入力窓とサンプル測定位置の間の少なくとも一つのビーム調整器、および
前記サンプル測定位置と前記X線出力窓の間の少なくとも一つのビーム停止手段と、
前記チャンバを取り外し可能に設置する取り付け手段と、
を有する、X線回折器。
【請求項2】
複数の交換可能なサンプルホルダを有し、該サンプルホルダは、
前記X線散乱チャンバを取り外した場合、前記サンプル測定位置にサンプルを保持する第1のサンプルホルダと、
前記X線散乱チャンバを取り付けた場合、前記X線散乱チャンバ内の前記サンプル測定位置にサンプルを保持するため、前記X線散乱チャンバに取り付けられた、第2のサンプルホルダと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のX線回折器。
【請求項3】
前記検出器は、前記ゴニオメータに設置されることを特徴とする請求項1または2に記載のX線回折器。
【請求項4】
前記入力窓と前記サンプル測定位置の間の、前記X線散乱チャンバ内のビーム調整器は、少なくとも一つのスリットを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のX線回折器。
【請求項5】
前記X線散乱チャンバは、前記測定位置のサンプルにより、所定の角度以下の角度で散乱されたX線の経路を提供するように定形され、前記所定の角度は、10゜から140゜の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のX線回折器。
【請求項6】
さらに、前記X線源と前記X線散乱チャンバの間に、一次ビーム光学素子を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のX線回折器。
【請求項7】
前記一次ビーム光学素子は、X線ミラーおよび/または水晶単色光分光器を有することを特徴とする請求項6に記載のX線回折器。
【請求項8】
X線源と、X線検出器と、サンプル測定位置の周囲で、前記X線源および検出器のうち少なくとも一つの位置を調整するゴニオメータとを有するX線回折器に取り付けられるように適合された、X線散乱チャンバであって、
当該チャンバの除去および配置の再生が可能なマウントと、
前記X線源からのX線を受光するX線入力窓、および散乱出力X線を前記X線検出器の方に通すX線出力窓を有する気密ハウジングと、
前記X線入力窓と前記サンプル測定位置の間の、前記入力ビームを調整する少なくとも一つのビーム調整器、および前記サンプル測定位置と前記X線出力窓の間の、前記出力X線を調整する少なくとも一つのビーム停止手段と、
を有するX線散乱チャンバ。
【請求項9】
前記ビーム調整器は、前記ビーム停止手段と協働して、前記サンプル測定位置でサンプルにより散乱されなかったX線が、前記検出器に到達することを抑止するように適合され、測定が実施されることを特徴とする請求項8に記載のX線散乱チャンバ。
【請求項10】
当該X線散乱チャンバは、前記測定位置のサンプルにより、所定の角度以下の角度で散乱されたX線の経路を提供するように定形され、前記所定の角度は、10゜から140゜の範囲であることを特徴とする請求項8または9に記載のX線散乱チャンバ。
【請求項11】
さらに、流入管の形態のサンプルホルダを有することを特徴とする請求項8に記載のX線散乱チャンバ。
【請求項12】
X線散乱チャンバを作動させる方法であって、
前記X線散乱チャンバは、
前記チャンバの除去および配置の再生が可能なマウントと、
X線源からのX線を受光するX線入力窓、および散乱出力X線をX線検出器の方に通すX線出力窓を有する気密ハウジングと、
前記X線入力窓とサンプル測定位置の間の、前記入力ビームを調整する少なくとも一つのビーム調整器、および前記サンプル測定位置と前記X線出力窓の間の、前記出力X線を調整する少なくとも一つのビーム停止手段と、
を有し、
当該方法は、
X線回折機器に、前記X線散乱チャンバを取り外し可能に取り付けるステップと、
X線散乱カメラを用いて、サンプルの測定を実施するステップと、
前記X線回折機器から、前記X線散乱チャンバを取り外すステップと、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175820(P2008−175820A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9212(P2008−9212)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(503310327)
【Fターム(参考)】