X線液面検査装置
【課題】 実際に液面検査を行っているときに、無検査状態を検知することができるX線液面検査装置を提供する。
【解決手段】 X線液面検査装置では、制御部において、X線検出・判定用位置検出器からの被検査容器検出信号とX線センサからのX線センサ出力信号とを対比し、前記X線センサ出力信号が減弱した場合に(ステップS1)、前記X線検出・判定用位置検出器で前記被検査容器が検出されていないと判断した場合(ステップS2)、前記X線検出・判定用位置検出器が異常であると判断する(ステップS3)。
【解決手段】 X線液面検査装置では、制御部において、X線検出・判定用位置検出器からの被検査容器検出信号とX線センサからのX線センサ出力信号とを対比し、前記X線センサ出力信号が減弱した場合に(ステップS1)、前記X線検出・判定用位置検出器で前記被検査容器が検出されていないと判断した場合(ステップS2)、前記X線検出・判定用位置検出器が異常であると判断する(ステップS3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール、ジュース等の液体あるいは液状体(以下、単に液体という)が充填、密封された容器内の液面をX線照射により検査するX線液面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線液面検査装置として、搬送手段によって搬送されてきた被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器が液面検査位置に到達したことを検出する位置検出器とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
このようなX線液面検査装置では、被検査容器に向かってX線源からX線が照射され、X線センサにおいて被検査物を透過したX線を検出し、これに基づいて判定部で液面の高さの良否が判定されるようになっている。判定部における判定は、位置検出器で被検査物が検査位置に到達したことが検知された後、所定のタイミングで行われるようになっている。
【特許文献1】特開平11−173999号公報
【特許文献2】特開2003−185490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなX線液面検査装置において、例えば、X線源、X線センサ、位置検出器等の寿命や故障等により、検査が行われなくなる状態となることも考えられる。従来、このような無検査状態となることを防止する方策としては、検査を行う前に、液量の分かっている被検査容器の検査を行い、正常に検査が行われているかを確認するといったことが行われていた。
【0005】
しかし、実際に検査を行っているときに寿命などがきてしまうこともある。従来のX線液面検査装置では、実際に液面検査を行っているときに、その検査が正常に行われているかをチェックすることはできなかった。
【0006】
本発明の目的は、実際に液面検査を行っているときに、無検査状態を検知することができるX線液面検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、搬送手段によって搬送された被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器の液面検査位置への到達を検出する位置検出器とを備えたX線液面検査装置であって、前記位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、前記X線源、前記X線センサ、及び前記位置検出器の何れかが異常であると判断する制御部を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような請求項1に記載の発明では、搬送手段によりX線液面検査装置に搬送された被検査容器に、X線源からX線を照射する。そして、位置検出器により、被検査容器の液面検査位置への到達を検出すると、被検査容器を透過したX線をX線センサで検出し、検出した透過X線により判定部が被検査容器内の液面の適否を判定する。
このとき、位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、X線源、X線センサ、および位置検出器の何れかが異常であると判断される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記制御部は、前記位置検出器によって前記被検査容器が検出されないにも拘わらず、前記X線センサ出力信号が減弱された場合、前記位置検出器が異常であると判断することを特徴とする。
【0010】
このような請求項2に記載の発明では、位置検出器が正常に機能しており、液面検査が正常に行われている場合には、被検査容器が液面検査位置に到達すると、位置検出器で被検査容器が検出され、また、X線源から照射されるX線は被検査容器を透過することにより減弱することから、X線センサ出力信号は減弱する。しかし、位置検出器が正常に機能していない場合には、被検査容器が液面検査位置に到達した場合、X線センサ出力信号は減弱するが、位置検出器では被検査容器が検出されない。したがって、制御部は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号とを対比することにより、位置検出器で被検査容器が検出されていないにも拘わらず、X線センサ出力信号が減弱した場合、位置検出器が異常であると判断することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の前記制御部は、前記位置検出器で前記被検査容器が検出されたにも拘わらず、前記X線センサからのX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、前記X線源あるいは前記X線センサが異常であると判断することを特徴とする。
【0012】
このような請求項3に記載の発明では、X線源あるいはX線センサが正常に機能しており、液面検査が正常に行われている場合には、被検査容器が液面検査位置に到達すると、位置検出器で被検査容器が検出され、また、X線源から照射されるX線は被検査容器を透過することにより減弱して、X線センサ出力信号は所定の減弱量よりも減弱する。しかし、X線源あるいはX線センサのいずれかが正常に機能しなくなると、液面検査位置に被検査容器が到達した場合、この被検査容器は位置検出器で検出されるが、X線センサ出力信号は所定よりも減弱量が小さくなる。したがって、制御部は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号とを対比することにより、位置検出器で被検査容器が検出されたにも拘わらず、X線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、X線源あるいはX線センサが異常であると判断することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、X線源、X線センサ、および位置検出器のうちの何れかの異常を検知することができ、これらの何れかが正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、位置検出器の異常を検知することができ、該位置検出器が正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、X線源あるいはX線センサの異常を検知することができ、これらX線源あるいはX線センサが正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例について詳細に説明する。
図1は本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す平面図、図2は本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す側面図、図3は図1,2に示すX線液面検査装置のX線センサを示す図である。
【0017】
図において、符号1は本例のX線液面検査装置を示している。このX線液面検査装置1は、図1に二点鎖線で示した装置本体2を備えている。この装置本体2の内部は、放射線防護室を構成しており、かかる装置本体2内に、X線源3、X線センサ4、X線検出・判定用位置検出器5が設けられている。
【0018】
装置本体2内には、搬送手段としてのコンベア6により被検査容器7が搬送されるようになっている。そして、コンベア6によって装置本体2内に搬送された被検査容器7には、液面検査位置8において、X線源3からX線が照射され液面適否の判定が行われるようになっている。
【0019】
その他、X線液面検査装置1は、X線源3を制御するためのX線制御器9、X線源3からX線を照射するために、コンベア6上の被検査容器7を検出するためのX線照射用位置検出器10を備え、さらに、増幅回路11、判定部12、制御部13を備えている。
【0020】
前記X線センサ4は、図3に示すように、幅Wが例えば1mm以下、高さhがそれ以下の小寸法のセンサ素子4aが多数個、例えば64個、ライン上に密着配列されて構成されているX線ラインセンサである。前記センサ素子4aは、液面方向(水平方向)に対して垂直となる向き、すなわち鉛直方向に向けて配列されている。
【0021】
このように構成されたX線センサ4は、被検査容器の透過X線を電気信号に変換し、これをX線センサ出力信号として増幅回路11に出力するようになっている。増幅回路11では、前記X線センサ出力信号を増幅してこれを判定部12に出力するようになっており、判定部12は増幅されたX線センサ出力信号に基づいて液面の適否を判定するようになっている。判定部12は、液面の適否を判定すると、制御部13に対して液面検査終了信号を出力するようになっている。
【0022】
前記X線検出・判定用位置検出器5、X線照射用位置検出器10は、光電センサや赤外線センサなどであり、発信部から受信部へ発信される光あるいは赤外線が被検査容器7によって遮られたときに、被検査容器7を検出することができるようになっている。そして、このとき被検査容器検出信号が制御部13に出力されるようになっている。
【0023】
このようにしてX線照射用位置検出器10によって被検査容器7が検出されると、X線源3からX線が照射されるようになっている。また、液面検査位置8に被検査容器7が到達し、X線検出・判定用位置検出器5により被検査容器7が検出されると、X線源3から被検査容器7に照射された透過X線をX線センサ4に検出させ、その検出信号が増幅回路11、判定部12に送られて、判定部12で液面適否の判定が行われるようになっている。言い換えれば、X線検出・判定用位置検出器5により被検査容器7が検出されると、X線センサ4でX線データが収集され、液面の適否の判定が行われるようになっている。したがって、X線検出・判定用位置検出器5が正常に機能しなくなり、被検査容器7が液面検査位置8に到達しても、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7が検出されなくなると、前記のようにX線センサ4で透過X線を検出してその強弱により液面の適否を判定することが行われなくなる。すなわち、無検査状態となってしまう。そこで、本例ではこのようにして無検査状態の原因となるX線検出・判定用位置検出器5の異常をも検知することができるようになっている(後に詳述する)。
【0024】
前記制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5からの被検査容器検出信号とX線センサ4からのX線センサ出力信号とを対比することにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常、または、X線源3あるいはX線センサ4の異常を判断するようになっている(詳細は後述する)。また、制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5によって被検査容器が検出されたにも拘わらず、判定部12から被検査容器に対応した液面検査終了信号が入力されない場合には、異常と判断するようになっている(詳細は後述する)。
【0025】
次に、このように構成されるX線液面検査装置1による被検査容器7の液面検査の際の動作を説明する。
コンベア6により、被検査容器7は図1の左側から右側へ向かって搬送される。そして、X線照射用位置検出器10が被検査容器7を検出すると、X線源3からX線が照射される。被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5が被検査容器7を検出すると、被検査容器7を透過したX線をX線センサ4が検出する。このとき、X線センサ4を構成するセンサ素子4aのうち、被検査容器7の液面より低い位置に位置するセンサ素子4aには、被検査容器7の壁面と被検査容器7内の内容物とで減弱された弱いX線が入射する。また、被検査容器7内の液面より高い位置にあるセンサ素子4aにはそのX線通過路に内容物がないため被検査容器7の壁面のみで減弱された強いX線が入射する。
【0026】
そして、X線センサ4のセンサ素子4aへの入射X線はこれらセンサ素子4aで電気信号に変換され、増幅回路11、判定部12に送られて液面の適否の判定が行われる(具体的な判定方法については、特許文献1参照)。
【0027】
以上のようにして液面検査が行われるX線液面検査装置1では、制御部13において、X線検出・判定用位置検出器5からの被検査容器検出信号とX線センサ4からのX線センサ出力信号の対比を行うことにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常と、X線源3あるいはX線センサ4の異常の判断を行う。以下、これについて具体的に説明する。
【0028】
先ず、X線検出・判定用位置検出器5の異常の判断について説明する。図4はX線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号と、X線センサ4のX線センサ出力信号を示す図である。図において、X線センサ出力信号は、被検査容器7の液面よりも低い位置のセンサ素子4aにおけるものを示している。
【0029】
被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5の発信部と受信部の間を被検査容器7が遮ると、図に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)から容器有り(ON)となる。これは被検査容器7が検出された状態である。また、被検査容器7が液面検査位置8に到達してX線源からのX線が被検査容器7に照射されると、図に示すように被検査容器7によってX線が減弱される。このときの減弱量をV1とする。V1は、被検査容器7の壁面と内容物を透過したときのX線の減弱量である。
【0030】
しかしながら、X線検出・判定用位置検出器5が故障などにより正常に機能していない場合、液面検査位置8に被検査容器7が到達すると、図5に示すようにX線センサ出力信号はV1だけ減弱されるが、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)の状態のままで、被検査容器7が検出されない。
【0031】
このようなことから、制御部13は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号の対比を行い、図6に示すステップS1からステップS3の処理を行うことにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常を判断する。すなわち、ステップS1において、X線センサ出力信号が減弱した場合、次のステップS2において被検査容器7が検出されたか否かを判断する。そして、このステップS2において被検査容器7が検出されたと判断した場合には、ステップS1へと戻る。一方、ステップS2において被検査容器7が検出されないと判断した場合には、次のステップS3へと移行し、このステップS3においてX線検出・判定用位置検出器5の異常と判断する。
【0032】
次に、X線源3またはX線センサ4の異常の判断について説明する。X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合、X線センサ出力信号と被検査容器出力信号は図4に示す通りとなる。一方、X線源3またはX線センサ4のいずれかが故障などにより正常に機能していない場合、液面検査位置8に被検査容器7が到達すると、図7に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)の状態から容器有り(ON)の状態となり被検査容器7が検出されるが、X線センサ出力信号は、僅かな減弱が起きるに止まる(あるいは全く減弱が起きない)。そこで、X線センサ出力信号が、X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合のX線センサ出力信号の減弱量のうちで最小の減弱量よりも小さい減弱量となった場合、X線源3またはX線センサ4が異常であるということができる。
【0033】
ここで、前記X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合のX線センサ出力信号の減弱量のうちで最小の減弱量をV2とする(請求項2にいう所定の減弱量に相当)。被検査容器7の透過X線の減弱量は、内容物の入っている部分、すなわち被検査容器7内の液面より低い位置の減弱量(前記V1)よりも、内容物の入っていない部分、すなわち被検査容器7内の液面よりも高い位置の減弱量の方が小さいことから、かかる後者の減弱量がV2である。しかしながら、被検査容器7内の液面よりも高い位置の透過X線の減弱量は一様ではない。これについて図8を用いて説明する。図8は、被検査容器7内の液面よりも高い位置のX線センサ出力信号を示す図である(X線センサ出力信号の大きさは、他の図よりも拡大して示している)。図において、X線センサ出力信号の減弱部分は、減弱量が一様ではなく、その両端の減弱量が大きくなっている。これは、被検査容器7を正面から見た場合、その両端の壁面の肉厚が厚くなることから、この部分でのX線の吸収量が多くなるためである。前記所定の減弱量V2は、このような減弱量が一様ではないX線センサ出力信号の減弱部分のうち、最も減弱量の小さい部分の減弱量である。
【0034】
したがって、所定の減弱量V2は、内容物の入った被検査容器7内の液面よりも高い位置の部分(内容物のない部分)のX線センサ出力信号の減弱量(空の被検査容器7の透過X線の減弱量と等しい)であって、なおかつかかる減弱量のうち、最も小さい減弱量である。
【0035】
制御部13は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号の対比を行い、被検査信号が検出されたにも拘わらず、X線センサ出力信号の減弱量がV2より小さい場合、X線源3またはX線センサ4が異常であると判断する。このときの制御部13の処理を図9に基づき説明する。図9のステップS10において、X線検出・判定用位置検出器5によって被検査容器7を検出した場合、次のステップS11において、X線センサ出力信号が所定の減弱量V2よりも減弱したか否かを判断する。そして、このステップS11においてX線センサ出力信号の減衰量が所定の減弱量V2よりも大きいと判断した場合には、ステップS10に戻る。一方、ステップS11においてX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量V2よりも小さいと判断した場合には、次のステップS12へと移行し、このステップS12においてX線センサ出力信号の異常、X線源3またはX線センサ4が異常であると判断する。
【0036】
また、本例のX線液面検査装置1では、制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7が検出されたにも拘わらず、判定部12から被検査容器7に対応した液面検査終了信号が入力されない場合にも異常と判断する。以下これについて具体的に説明する。
【0037】
図10は、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号と、判定部の液面検査終了信号を示す図である。
上述したように、被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5の発信部と受信部の間を被検査容器7が遮ると、図に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)から容器有り(ON)となる。そして、被検査容器検出信号が容器無し(OFF)から容器有り(ON)となってt1秒後に液面判定の有効期間(t2)となり、X線センサのX線データの収集を開始して、判定部12において液面適否の判定を行う。判定部12は、液面適否判定の有効期間であるt2を過ぎたとき、すなわち被検査容器検出信号がONになってからt3秒後に、液面検査終了のパルス信号(液面検査終了信号)を出力する。
【0038】
しかしながら、例えば、X線検出・判定用位置検出器5において、被検査容器7によって発信部からの光が遮られているにも拘わらず、乱反射などによって受光部に光が入射されたような場合には、被検査容器検出信号は図11に示すように、遮られた期間だけOFFとなる。これにより、被検査容器検出信号がONになってからt3秒たたずに被検査容器検出信号がOFFになってしまうので、液面検査終了信号が出力されないことになる。
【0039】
その他、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号が出力されたにも拘わらず、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が出力されない場合の例としては、複数の被検査容器7が互いに接触したような状態で液面検査位置に到達した場合を挙げることができる。これについて、図12を参照して説明すると、複数の被検査容器7が互いに接触したような状態で液面検査位置に到達した場合、図に示すように、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号がONになっても(この場合、複数の被検査容器7がX線検出・判定用位置検出器5の発信部および受信部を遮る時間は一つのときよりも長くなるので被検査容器検出信号がONの状態となる時間も長くなる)、液面検査終了信号はt3秒後に一つしか出力されず、被検査容器7の個数に対応した液面検査終了信号が出力されない。被検査容器7一つ当たりの被検査容器検出信号がONになる時間は予め把握できるので、かかる時間よりも被検査容器検出信号がONになっている時間が長いにも拘わらず、液面検査終了信号が一つしか出力されていない場合、被検査容器7の個数に対応した液面検査終了信号が出力されていないことになる。
【0040】
このように、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号が出力されたにも拘わらず、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が出力されない場合、液面検査終了信号が出力されていないものについては液面適否の判定が行われない(すなわち無検査状態となる)。したがって、制御部13では、図13に示すステップS20からステップS22の処理を行うことにより異常と判断する。
【0041】
先ず、ステップS20において、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7を検出した場合、次のステップS21において、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生したか否かを判断する。そして、このステップS21において被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生したと判断した場合には、ステップS20に戻る。一方、ステップS21において被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生していないと判断した場合には、次のステップS22へ移行し、このステップS22において異常と判断する。
【0042】
以上説明した本例のX線液面検査装置1によれば、液面適否の検査を行っているときに、X線検出・判定用位置検出器5の異常や、X線源3あるいはX線センサ4の異常を検知することができ、また、液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す平面図。
【図2】本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す側面図。
【図3】図1,2に示すX線液面検査装置のX線センサを示す図。
【図4】X線検出・判定用位置検出器、X線源あるいはX線センサが正常に機能している場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図5】X線検出・判定用位置検出器が正常に機能していない場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図6】制御部による処理フローを示す図。
【図7】X線源またはX線センサが正常に機能していない場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図8】被検査容器内の液面よりも高い位置におけるX線センサ出力信号を示す図。
【図9】制御部による処理フローを示す図。
【図10】液面検査が正常に行われている場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図11】液面検査が正常に行われていない場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図12】液面検査が正常に行われていない場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図13】制御部による処理フローを示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 X線液面検査装置
2 装置本体
3 X線源
4 X線センサ
4a センサ素子
5 X線検出・判定用位置検出器
6 コンベア
7 被検査容器
8 液面検査位置
9 X線制御器
10 X線照射用位置検出器
11 増幅回路
12 判定部
13 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール、ジュース等の液体あるいは液状体(以下、単に液体という)が充填、密封された容器内の液面をX線照射により検査するX線液面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線液面検査装置として、搬送手段によって搬送されてきた被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器が液面検査位置に到達したことを検出する位置検出器とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
このようなX線液面検査装置では、被検査容器に向かってX線源からX線が照射され、X線センサにおいて被検査物を透過したX線を検出し、これに基づいて判定部で液面の高さの良否が判定されるようになっている。判定部における判定は、位置検出器で被検査物が検査位置に到達したことが検知された後、所定のタイミングで行われるようになっている。
【特許文献1】特開平11−173999号公報
【特許文献2】特開2003−185490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなX線液面検査装置において、例えば、X線源、X線センサ、位置検出器等の寿命や故障等により、検査が行われなくなる状態となることも考えられる。従来、このような無検査状態となることを防止する方策としては、検査を行う前に、液量の分かっている被検査容器の検査を行い、正常に検査が行われているかを確認するといったことが行われていた。
【0005】
しかし、実際に検査を行っているときに寿命などがきてしまうこともある。従来のX線液面検査装置では、実際に液面検査を行っているときに、その検査が正常に行われているかをチェックすることはできなかった。
【0006】
本発明の目的は、実際に液面検査を行っているときに、無検査状態を検知することができるX線液面検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、搬送手段によって搬送された被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器の液面検査位置への到達を検出する位置検出器とを備えたX線液面検査装置であって、前記位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、前記X線源、前記X線センサ、及び前記位置検出器の何れかが異常であると判断する制御部を備えたことを特徴とする。
【0008】
このような請求項1に記載の発明では、搬送手段によりX線液面検査装置に搬送された被検査容器に、X線源からX線を照射する。そして、位置検出器により、被検査容器の液面検査位置への到達を検出すると、被検査容器を透過したX線をX線センサで検出し、検出した透過X線により判定部が被検査容器内の液面の適否を判定する。
このとき、位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、X線源、X線センサ、および位置検出器の何れかが異常であると判断される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記制御部は、前記位置検出器によって前記被検査容器が検出されないにも拘わらず、前記X線センサ出力信号が減弱された場合、前記位置検出器が異常であると判断することを特徴とする。
【0010】
このような請求項2に記載の発明では、位置検出器が正常に機能しており、液面検査が正常に行われている場合には、被検査容器が液面検査位置に到達すると、位置検出器で被検査容器が検出され、また、X線源から照射されるX線は被検査容器を透過することにより減弱することから、X線センサ出力信号は減弱する。しかし、位置検出器が正常に機能していない場合には、被検査容器が液面検査位置に到達した場合、X線センサ出力信号は減弱するが、位置検出器では被検査容器が検出されない。したがって、制御部は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号とを対比することにより、位置検出器で被検査容器が検出されていないにも拘わらず、X線センサ出力信号が減弱した場合、位置検出器が異常であると判断することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の前記制御部は、前記位置検出器で前記被検査容器が検出されたにも拘わらず、前記X線センサからのX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、前記X線源あるいは前記X線センサが異常であると判断することを特徴とする。
【0012】
このような請求項3に記載の発明では、X線源あるいはX線センサが正常に機能しており、液面検査が正常に行われている場合には、被検査容器が液面検査位置に到達すると、位置検出器で被検査容器が検出され、また、X線源から照射されるX線は被検査容器を透過することにより減弱して、X線センサ出力信号は所定の減弱量よりも減弱する。しかし、X線源あるいはX線センサのいずれかが正常に機能しなくなると、液面検査位置に被検査容器が到達した場合、この被検査容器は位置検出器で検出されるが、X線センサ出力信号は所定よりも減弱量が小さくなる。したがって、制御部は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号とを対比することにより、位置検出器で被検査容器が検出されたにも拘わらず、X線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、X線源あるいはX線センサが異常であると判断することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、X線源、X線センサ、および位置検出器のうちの何れかの異常を検知することができ、これらの何れかが正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、位置検出器の異常を検知することができ、該位置検出器が正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、X線源あるいはX線センサの異常を検知することができ、これらX線源あるいはX線センサが正常に機能していないことが原因で液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例について詳細に説明する。
図1は本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す平面図、図2は本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す側面図、図3は図1,2に示すX線液面検査装置のX線センサを示す図である。
【0017】
図において、符号1は本例のX線液面検査装置を示している。このX線液面検査装置1は、図1に二点鎖線で示した装置本体2を備えている。この装置本体2の内部は、放射線防護室を構成しており、かかる装置本体2内に、X線源3、X線センサ4、X線検出・判定用位置検出器5が設けられている。
【0018】
装置本体2内には、搬送手段としてのコンベア6により被検査容器7が搬送されるようになっている。そして、コンベア6によって装置本体2内に搬送された被検査容器7には、液面検査位置8において、X線源3からX線が照射され液面適否の判定が行われるようになっている。
【0019】
その他、X線液面検査装置1は、X線源3を制御するためのX線制御器9、X線源3からX線を照射するために、コンベア6上の被検査容器7を検出するためのX線照射用位置検出器10を備え、さらに、増幅回路11、判定部12、制御部13を備えている。
【0020】
前記X線センサ4は、図3に示すように、幅Wが例えば1mm以下、高さhがそれ以下の小寸法のセンサ素子4aが多数個、例えば64個、ライン上に密着配列されて構成されているX線ラインセンサである。前記センサ素子4aは、液面方向(水平方向)に対して垂直となる向き、すなわち鉛直方向に向けて配列されている。
【0021】
このように構成されたX線センサ4は、被検査容器の透過X線を電気信号に変換し、これをX線センサ出力信号として増幅回路11に出力するようになっている。増幅回路11では、前記X線センサ出力信号を増幅してこれを判定部12に出力するようになっており、判定部12は増幅されたX線センサ出力信号に基づいて液面の適否を判定するようになっている。判定部12は、液面の適否を判定すると、制御部13に対して液面検査終了信号を出力するようになっている。
【0022】
前記X線検出・判定用位置検出器5、X線照射用位置検出器10は、光電センサや赤外線センサなどであり、発信部から受信部へ発信される光あるいは赤外線が被検査容器7によって遮られたときに、被検査容器7を検出することができるようになっている。そして、このとき被検査容器検出信号が制御部13に出力されるようになっている。
【0023】
このようにしてX線照射用位置検出器10によって被検査容器7が検出されると、X線源3からX線が照射されるようになっている。また、液面検査位置8に被検査容器7が到達し、X線検出・判定用位置検出器5により被検査容器7が検出されると、X線源3から被検査容器7に照射された透過X線をX線センサ4に検出させ、その検出信号が増幅回路11、判定部12に送られて、判定部12で液面適否の判定が行われるようになっている。言い換えれば、X線検出・判定用位置検出器5により被検査容器7が検出されると、X線センサ4でX線データが収集され、液面の適否の判定が行われるようになっている。したがって、X線検出・判定用位置検出器5が正常に機能しなくなり、被検査容器7が液面検査位置8に到達しても、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7が検出されなくなると、前記のようにX線センサ4で透過X線を検出してその強弱により液面の適否を判定することが行われなくなる。すなわち、無検査状態となってしまう。そこで、本例ではこのようにして無検査状態の原因となるX線検出・判定用位置検出器5の異常をも検知することができるようになっている(後に詳述する)。
【0024】
前記制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5からの被検査容器検出信号とX線センサ4からのX線センサ出力信号とを対比することにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常、または、X線源3あるいはX線センサ4の異常を判断するようになっている(詳細は後述する)。また、制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5によって被検査容器が検出されたにも拘わらず、判定部12から被検査容器に対応した液面検査終了信号が入力されない場合には、異常と判断するようになっている(詳細は後述する)。
【0025】
次に、このように構成されるX線液面検査装置1による被検査容器7の液面検査の際の動作を説明する。
コンベア6により、被検査容器7は図1の左側から右側へ向かって搬送される。そして、X線照射用位置検出器10が被検査容器7を検出すると、X線源3からX線が照射される。被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5が被検査容器7を検出すると、被検査容器7を透過したX線をX線センサ4が検出する。このとき、X線センサ4を構成するセンサ素子4aのうち、被検査容器7の液面より低い位置に位置するセンサ素子4aには、被検査容器7の壁面と被検査容器7内の内容物とで減弱された弱いX線が入射する。また、被検査容器7内の液面より高い位置にあるセンサ素子4aにはそのX線通過路に内容物がないため被検査容器7の壁面のみで減弱された強いX線が入射する。
【0026】
そして、X線センサ4のセンサ素子4aへの入射X線はこれらセンサ素子4aで電気信号に変換され、増幅回路11、判定部12に送られて液面の適否の判定が行われる(具体的な判定方法については、特許文献1参照)。
【0027】
以上のようにして液面検査が行われるX線液面検査装置1では、制御部13において、X線検出・判定用位置検出器5からの被検査容器検出信号とX線センサ4からのX線センサ出力信号の対比を行うことにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常と、X線源3あるいはX線センサ4の異常の判断を行う。以下、これについて具体的に説明する。
【0028】
先ず、X線検出・判定用位置検出器5の異常の判断について説明する。図4はX線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号と、X線センサ4のX線センサ出力信号を示す図である。図において、X線センサ出力信号は、被検査容器7の液面よりも低い位置のセンサ素子4aにおけるものを示している。
【0029】
被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5の発信部と受信部の間を被検査容器7が遮ると、図に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)から容器有り(ON)となる。これは被検査容器7が検出された状態である。また、被検査容器7が液面検査位置8に到達してX線源からのX線が被検査容器7に照射されると、図に示すように被検査容器7によってX線が減弱される。このときの減弱量をV1とする。V1は、被検査容器7の壁面と内容物を透過したときのX線の減弱量である。
【0030】
しかしながら、X線検出・判定用位置検出器5が故障などにより正常に機能していない場合、液面検査位置8に被検査容器7が到達すると、図5に示すようにX線センサ出力信号はV1だけ減弱されるが、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)の状態のままで、被検査容器7が検出されない。
【0031】
このようなことから、制御部13は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号の対比を行い、図6に示すステップS1からステップS3の処理を行うことにより、X線検出・判定用位置検出器5の異常を判断する。すなわち、ステップS1において、X線センサ出力信号が減弱した場合、次のステップS2において被検査容器7が検出されたか否かを判断する。そして、このステップS2において被検査容器7が検出されたと判断した場合には、ステップS1へと戻る。一方、ステップS2において被検査容器7が検出されないと判断した場合には、次のステップS3へと移行し、このステップS3においてX線検出・判定用位置検出器5の異常と判断する。
【0032】
次に、X線源3またはX線センサ4の異常の判断について説明する。X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合、X線センサ出力信号と被検査容器出力信号は図4に示す通りとなる。一方、X線源3またはX線センサ4のいずれかが故障などにより正常に機能していない場合、液面検査位置8に被検査容器7が到達すると、図7に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)の状態から容器有り(ON)の状態となり被検査容器7が検出されるが、X線センサ出力信号は、僅かな減弱が起きるに止まる(あるいは全く減弱が起きない)。そこで、X線センサ出力信号が、X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合のX線センサ出力信号の減弱量のうちで最小の減弱量よりも小さい減弱量となった場合、X線源3またはX線センサ4が異常であるということができる。
【0033】
ここで、前記X線源3またはX線センサ4が正常に機能している場合のX線センサ出力信号の減弱量のうちで最小の減弱量をV2とする(請求項2にいう所定の減弱量に相当)。被検査容器7の透過X線の減弱量は、内容物の入っている部分、すなわち被検査容器7内の液面より低い位置の減弱量(前記V1)よりも、内容物の入っていない部分、すなわち被検査容器7内の液面よりも高い位置の減弱量の方が小さいことから、かかる後者の減弱量がV2である。しかしながら、被検査容器7内の液面よりも高い位置の透過X線の減弱量は一様ではない。これについて図8を用いて説明する。図8は、被検査容器7内の液面よりも高い位置のX線センサ出力信号を示す図である(X線センサ出力信号の大きさは、他の図よりも拡大して示している)。図において、X線センサ出力信号の減弱部分は、減弱量が一様ではなく、その両端の減弱量が大きくなっている。これは、被検査容器7を正面から見た場合、その両端の壁面の肉厚が厚くなることから、この部分でのX線の吸収量が多くなるためである。前記所定の減弱量V2は、このような減弱量が一様ではないX線センサ出力信号の減弱部分のうち、最も減弱量の小さい部分の減弱量である。
【0034】
したがって、所定の減弱量V2は、内容物の入った被検査容器7内の液面よりも高い位置の部分(内容物のない部分)のX線センサ出力信号の減弱量(空の被検査容器7の透過X線の減弱量と等しい)であって、なおかつかかる減弱量のうち、最も小さい減弱量である。
【0035】
制御部13は、被検査容器検出信号とX線センサ出力信号の対比を行い、被検査信号が検出されたにも拘わらず、X線センサ出力信号の減弱量がV2より小さい場合、X線源3またはX線センサ4が異常であると判断する。このときの制御部13の処理を図9に基づき説明する。図9のステップS10において、X線検出・判定用位置検出器5によって被検査容器7を検出した場合、次のステップS11において、X線センサ出力信号が所定の減弱量V2よりも減弱したか否かを判断する。そして、このステップS11においてX線センサ出力信号の減衰量が所定の減弱量V2よりも大きいと判断した場合には、ステップS10に戻る。一方、ステップS11においてX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量V2よりも小さいと判断した場合には、次のステップS12へと移行し、このステップS12においてX線センサ出力信号の異常、X線源3またはX線センサ4が異常であると判断する。
【0036】
また、本例のX線液面検査装置1では、制御部13は、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7が検出されたにも拘わらず、判定部12から被検査容器7に対応した液面検査終了信号が入力されない場合にも異常と判断する。以下これについて具体的に説明する。
【0037】
図10は、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号と、判定部の液面検査終了信号を示す図である。
上述したように、被検査容器7が液面検査位置8に到達し、X線検出・判定用位置検出器5の発信部と受信部の間を被検査容器7が遮ると、図に示すように、被検査容器検出信号は容器無し(OFF)から容器有り(ON)となる。そして、被検査容器検出信号が容器無し(OFF)から容器有り(ON)となってt1秒後に液面判定の有効期間(t2)となり、X線センサのX線データの収集を開始して、判定部12において液面適否の判定を行う。判定部12は、液面適否判定の有効期間であるt2を過ぎたとき、すなわち被検査容器検出信号がONになってからt3秒後に、液面検査終了のパルス信号(液面検査終了信号)を出力する。
【0038】
しかしながら、例えば、X線検出・判定用位置検出器5において、被検査容器7によって発信部からの光が遮られているにも拘わらず、乱反射などによって受光部に光が入射されたような場合には、被検査容器検出信号は図11に示すように、遮られた期間だけOFFとなる。これにより、被検査容器検出信号がONになってからt3秒たたずに被検査容器検出信号がOFFになってしまうので、液面検査終了信号が出力されないことになる。
【0039】
その他、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号が出力されたにも拘わらず、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が出力されない場合の例としては、複数の被検査容器7が互いに接触したような状態で液面検査位置に到達した場合を挙げることができる。これについて、図12を参照して説明すると、複数の被検査容器7が互いに接触したような状態で液面検査位置に到達した場合、図に示すように、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号がONになっても(この場合、複数の被検査容器7がX線検出・判定用位置検出器5の発信部および受信部を遮る時間は一つのときよりも長くなるので被検査容器検出信号がONの状態となる時間も長くなる)、液面検査終了信号はt3秒後に一つしか出力されず、被検査容器7の個数に対応した液面検査終了信号が出力されない。被検査容器7一つ当たりの被検査容器検出信号がONになる時間は予め把握できるので、かかる時間よりも被検査容器検出信号がONになっている時間が長いにも拘わらず、液面検査終了信号が一つしか出力されていない場合、被検査容器7の個数に対応した液面検査終了信号が出力されていないことになる。
【0040】
このように、X線検出・判定用位置検出器5の被検査容器検出信号が出力されたにも拘わらず、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が出力されない場合、液面検査終了信号が出力されていないものについては液面適否の判定が行われない(すなわち無検査状態となる)。したがって、制御部13では、図13に示すステップS20からステップS22の処理を行うことにより異常と判断する。
【0041】
先ず、ステップS20において、X線検出・判定用位置検出器5で被検査容器7を検出した場合、次のステップS21において、被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生したか否かを判断する。そして、このステップS21において被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生したと判断した場合には、ステップS20に戻る。一方、ステップS21において被検査容器7に対応した液面検査終了信号が発生していないと判断した場合には、次のステップS22へ移行し、このステップS22において異常と判断する。
【0042】
以上説明した本例のX線液面検査装置1によれば、液面適否の検査を行っているときに、X線検出・判定用位置検出器5の異常や、X線源3あるいはX線センサ4の異常を検知することができ、また、液面適否の検査が行われていないことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す平面図。
【図2】本発明に係るX線液面検査装置の実施の形態の一例の概略を示す側面図。
【図3】図1,2に示すX線液面検査装置のX線センサを示す図。
【図4】X線検出・判定用位置検出器、X線源あるいはX線センサが正常に機能している場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図5】X線検出・判定用位置検出器が正常に機能していない場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図6】制御部による処理フローを示す図。
【図7】X線源またはX線センサが正常に機能していない場合における被検査容器検出信号とX線センサ出力信号を示す図。
【図8】被検査容器内の液面よりも高い位置におけるX線センサ出力信号を示す図。
【図9】制御部による処理フローを示す図。
【図10】液面検査が正常に行われている場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図11】液面検査が正常に行われていない場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図12】液面検査が正常に行われていない場合における被検査容器検出信号と液面検査終了信号を示す図。
【図13】制御部による処理フローを示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 X線液面検査装置
2 装置本体
3 X線源
4 X線センサ
4a センサ素子
5 X線検出・判定用位置検出器
6 コンベア
7 被検査容器
8 液面検査位置
9 X線制御器
10 X線照射用位置検出器
11 増幅回路
12 判定部
13 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送された被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器の液面検査位置への到達を検出する位置検出器とを備えたX線液面検査装置であって、
前記位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、前記X線源、前記X線センサ、及び前記位置検出器の何れかが異常であると判断する制御部を備えた
ことを特徴とするX線液面検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置検出器によって前記被検査容器が検出されないにも拘わらず、前記X線センサ出力信号が減弱された場合、前記位置検出器が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線液面検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記位置検出器で前記被検査容器が検出されたにも拘わらず、前記X線センサからのX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、前記X線源あるいは前記X線センサが異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線液面検査装置。
【請求項1】
搬送手段によって搬送された被検査容器に対してX線を照射するX線源と、該X線源から照射され前記被検査容器を透過したX線を検出するX線センサと、該X線センサで検出された透過X線により前記被検査容器内の液面の適否を判定する判定部と、前記被検査容器の液面検査位置への到達を検出する位置検出器とを備えたX線液面検査装置であって、
前記位置検出器によって検出された到達検査位置と前記X線センサによって検出された透過X線に基づいて、前記X線源、前記X線センサ、及び前記位置検出器の何れかが異常であると判断する制御部を備えた
ことを特徴とするX線液面検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置検出器によって前記被検査容器が検出されないにも拘わらず、前記X線センサ出力信号が減弱された場合、前記位置検出器が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線液面検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記位置検出器で前記被検査容器が検出されたにも拘わらず、前記X線センサからのX線センサ出力信号の減弱量が所定の減弱量よりも小さい場合、前記X線源あるいは前記X線センサが異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線液面検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−10454(P2006−10454A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186716(P2004−186716)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
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