説明

X線管及びそれを用いたX線装置

【課題】X線管のX線主放射方向とターゲット傾斜面との間の角度を可変とする。
【解決手段】X線管10の外囲器16の大径部40と陽極絶縁部44との間に蛇腹状に形成された可撓筒状部50を設ける。陽極12の陽極端30に引張力を与えることにより、外囲器16の可撓筒状部50が撓み(右側50aが伸長し、左側50bが収縮する)、陽極12の中心軸27がX線主放射方向51に対して傾き、X線主放射方向51とターゲット18の傾斜面28とが作るターゲット角度52が増加するので、その結果X線照射範囲は増加する。また、陽極12の陽極端30にかける引張力を変えることにより、ターゲット角度52及びX線照射範囲の増加を変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用または医療用のX線透視装置などに好適なX線管に係り、特にX線主放射方向とターゲット傾斜面との間の角度を可変することができるX線管及びそれを用いたX線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を透過したX線の線量を測定し、その線量データに基づいてX線画像を作成し、被検体の検査または診断を行うX線装置は、産業用としては種々製品の異物検査や欠陥検査などに、また医療用としてはX線透視装置やX線撮影装置などに広く利用されている。このようなX線装置では、被検体内の検査対象物(1個または複数個)が大きい場合に、これをより短い時間で検査または診断を行うためには、対象物全体または複数個の対象物のX線像を1回のX線照射で均質な画像として得ることが望ましい。そのためにはX線装置またはこれに内挿されるX線管の、X線の照射角度または照射範囲をできるだけ大きくする必要がある。
【0003】
このようにX線装置のX線照射範囲などを大きくする場合、X線装置では一般に反射型ターゲットのターゲット角度が大きいX線管が用いられる。しかし、非特許文献1から引用した図7に示すように、X線管から放射されるX線の線量分布は一様ではなく、X線照射範囲の端部では中央部に比べて線量が少ない。また、従来のX線管では、X線主放射方向をターゲットに向かう電子線の進行方向と直交する方向に設定して、この方向にX線放射窓を設けて外部にX線を放射しているが、実際には線量分布の最大X線量値を示す方向はこのX線主放射方向に対しやや陰極方向に偏っていることが知られている。これは、陽極のターゲットに衝突した電子のターゲット部材内部への侵入深さによるX線の減衰が方向によって異なることに起因する。
【非特許文献1】青柳泰司著 放射線機器工学1、X線診断機器、42〜43頁、コロナ社、1990年 発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のX線管及びそれを用いたX線装置では、X線主放射方向に取り出したX線の照射範囲内において、X線の線量分布は一様ではなく、その最大線量方向がやや陰極側に傾いており、X線照射範囲の端部と中央部とで線量的に大きな差があるため、この装置で得られるX線画像もX線照射範囲の端部と中央部で大きく異なってしまうという問題をかかえている。
【0005】
また、X線の最大線量方向をX線主放射方向と一致させないでX線管を使用しているため、X線管電圧に拘わらず、X線の照射範囲内の最大線量方向を効果的に利用せず、照射範囲の両端の線量差を大きくして使用していることになり、X線の利用に関しては非効率的であった。
【0006】
上記に鑑み、本発明では、X線管のターゲット角度を可変として、X線照射範囲の増減を可能にし、ターゲット角度が小さいときには高解像度のX線画像の取得を可能とし、ターゲット角度が大きいときには、利用X線の線量分布の均一性を向上し、さらにX線の利用効率を向上することにより、従来のX線照射範囲内における線量分布の非均一性に基く欠陥を補正したX線画像の取得を可能とするX線管及びそれを利用したX線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のX線管は、電子線を発生するカソードと、カソードが発生する電子線を集束する電子集束系を有する陰極と、陰極からの電子線が衝突することによりX線を発生するターゲットを有する陽極と、陰極と陽極を対向させて真空気密に内包し、絶縁支持する外囲器とを備えたX線管において、X線主放射方向に対し、前記陽極のターゲット上のX線源が形成される傾斜面の傾斜角度を変化させる、あるいはX線主放射方向に対し、前記陽極の中心軸を傾斜させる陽極傾斜手段を備えたものである(請求項1)。
【0008】
また、本発明のX線管は、電子線を発生するカソードと、カソードの発生する電子線を集束する電子集束系を有する陰極と、陰極からの電子線が衝突することによりX線を発生するターゲットを有する陽極と、陰極と陽極を対向させて真空気密に内包し、絶縁支持する外囲器を備えたX線管において、前記外囲器の一部で、かつ前記陽極に接続された部分に撓む部材から成る可撓構造を有し、該可撓構造を撓ませることにより、前記陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜可能としたものである。
【0009】
また、本発明のX線管では、前記外囲器の可撓構造は蛇腹状に形成された筒状部(可撓筒状部)を含む。
【0010】
また、本発明のX線管では、前記外囲器の可撓構造は前記外囲器のターゲット部分を囲む大径部と前記陽極の陽極端を支持する部分との間に設けられる。また、前記外囲器の可撓構造は前記陽極のターゲットに近接する位置に配置される。
【0011】
また、本発明のX線管では、前記陽極の陽極端に引張力または押圧力を加えることにより前記陽極端を前記陽極の中心軸と直交する方向に移動して、前記陽極の中心軸のX線主放射方向に対する傾斜角度を変化させるものである。
【0012】
また、本発明のX線管では、前記陽極が回転陽極である。
【0013】
また、本発明のX線発生装置は、X線を発生するX線管と、X線管を支持するX線管支持体と、X線管に高電圧を供給する高電圧電源と、X線管の陰極にカソード加熱電圧などを供給する陰極電源と、X線管などを絶縁し冷却する絶縁油と、少なくともX線管とX線管支持体と絶縁油を内包する容器などを備えたX線発生装置において、X線管は本発明のX線管であり、更に前記陽極傾斜手段を駆動する手段(以下、ターゲット傾斜面駆動手段という)を備えたものである(請求項2)。
【0014】
また、本発明のX線発生装置では、前記ターゲット傾斜面駆動手段の駆動力生成部は回転力を発生する部分と回転力をほぼ直線方向の駆動力に変換する部分を含み、駆動力作用部は駆動力生成部で生成した駆動力をX線管の陽極端に伝達する棒状体から成る。
【0015】
また、本発明のX線発生装置では、X線管の陽極はその陽極端においてX線管の陽極部分を支持する陽極支持体に支持され、該陽極支持体は前記ターゲット傾斜面駆動手段で生成される駆動力を受けて前記陽極端が移動可能なように前記容器の内壁面に直接的にまたは間接的に支持されている。
【0016】
また、本発明のX線発生装置では、前記陽極支持体はほぼ直線状に形成されたガイドレールによって、前記陽極端が前記ターゲット傾斜面駆動手段で生成された駆動力を受けて移動可能なように支持されている。
【0017】
また、本発明のX線発生装置では、前記X線管の陽極は回転陽極であり、前記X線管の陽極の外周に該陽極を回転するためのステータが配置されている。
【0018】
また、本発明のX線装置は、X線を発生するX線発生装置と、X線発生装置から放射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出装置と、X線検出装置から出力される検出X線量に対応する信号を入力して被検体のX線画像を作成する画像形成装置と、X線発生装置とX線検出装置と画像形成装置を制御する制御装置を備えたX線装置において、前記X線発生装置は本発明のX線発生装置である(請求項3)。
【0019】
また、本発明のX線装置では、前記制御装置が前記ターゲット傾斜面駆動手段の動作を制御する手段を備えている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のX線管は、X線主放射方向に対し、陽極のターゲット上のX線源が形成される傾斜面の傾斜角度を変化させることができるので、ターゲット傾斜面の傾斜角度の変化によりX線照射範囲の増減が可能となり、X線照射範囲を小さくしたときは、小さい被検体または数の少ない被検体などについて高解像度のX線画像を取得することができ、X線照射範囲を大きくしたときは大きい被検体または数の多い被検体について、均一かつ高線量の線量分布のもとで、均一な画質のX線画像を取得することができる。後者の場合、X線検査の検査効率が向上するとともに、従来の線量分布の非均一性に基づく欠陥も補正することができる(請求項1)。
【0021】
また、本発明のX線管は、X線主放射方向に対し、陽極の中心軸を傾斜させることができるので、この陽極の中心軸の傾斜と連動して変化するターゲット傾斜面の傾斜角度がX線主放射方向に対し変化するために、X線照射範囲の増減が可能となり、上述した場合と同様な効果が得られる。
【0022】
また、本発明のX線管は、外囲器の一部で、かつ陽極に接続された部分に撓む部材から成る可撓構造を有し、この可撓構造を撓ませることにより、陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜可能としているので、この構成によりターゲット傾斜面の傾斜角度がX線主放射方向に対し変化し、X線照射範囲の増減が可能となるため、請求項1の場合と同様な効果が得られる。
【0023】
また、本発明のX線管では、外囲器の可撓構造は蛇腹状に形成された筒状部(可撓筒状部)であるので、この可撓筒状部の蛇腹状の部分を変形し、撓ませることにより陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜させることができる。
【0024】
また、本発明のX線管では、外囲器の可撓構造が外囲器のターゲット部分を囲む大径部と陽極の陽極端を支持する部分との間に設けられているので、陽極の陽極端に駆動力を付与して移動させることにより、可撓構造が撓み、陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜させることができ、またその傾斜角度を変化させることができる。また、外囲器の可撓構造が陽極のターゲットに近接する位置に配置されているので、陽極の中心軸の傾斜時のこの中心軸の傾斜に伴う回転中心が焦点に近い位置にあるため、この動作時にターゲット上の焦点位置の移動を小さく抑制することができる。
【0025】
また、本発明のX線管では、陽極の陽極端に引張力または押圧力を加えることにより陽極の陽極端を移動して、陽極の中心軸のX線主放射方向に対する傾斜角度を変化させることができるので、このX線管を内挿するX線発生装置などにおいて、陽極の陽極端に引張力や押圧力を可変して付与できる駆動機構を設けることにより、X線管の陽極の中心軸のX線主放射方向に対する傾斜角度を容易に変化させることができる。
【0026】
また、本発明のX線管では、陽極が回転陽極であるので、陽極を回転させることにより、同一焦点寸法の場合固定陽極X線管よりも大きな短時間負荷をターゲットに印加することができるので、同一負荷の場合焦点寸法を小さくすることが可能となり、高解像度でのX線検査などを行うことが可能となる。
【0027】
また、本発明のX線発生装置は、本発明のX線管と、X線管支持体と、高電圧電源と陰極電源と、絶縁油と、容器などを備え、更に陽極傾斜手段を駆動する手段(ターゲット傾斜面駆動手段)を備えているので、このターゲット傾斜面駆動手段によってX線管のターゲット傾斜面の傾斜角度を変化させることができ、ターゲット傾斜面の傾斜角度の変化によりX線照射範囲の増減が可能となり、X線照射範囲を大きくしたとき、大きい被検体や数の多い被検体について、均一かつ高線量の線量分布のもとで均一な画質のX線画像を取得することができ、その結果、X線検査の検査効率が向上するとともに、従来の線量分布の非均一性に基づく欠陥も補正することができる(請求項2)。
【0028】
また、本発明のX線発生装置は、陽極傾斜手段が、X線管の陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜させる場合にも、この陽極の中心軸の傾斜と連動して変化するターゲット傾斜面の傾斜角度がX線主放射方向に対し変化するために、X線照射範囲の増減が可能となり、上述の場合と同様な効果が得られる。
【0029】
また、本発明のX線発生装置では、ターゲット傾斜面駆動手段は駆動力生成部と駆動力作用部とから成り、駆動力生成部にてほぼ直線方向の引張力または押圧力を生成し、この引張力または押圧力を駆動力作用部がX線管の陽極端またはその近傍に作用し、X線管の陽極の中心軸をX線主放射方向に対し傾斜させるので、ターゲット傾斜面駆動手段の作動によって、X線管の陽極の中心軸と連動してターゲット傾斜面の傾斜角度を変化させることができる。
【0030】
また、本発明のX線発生装置では、ターゲット傾斜面駆動手段の駆動力生成部は回転力を発生する部分と回転力をほぼ直線方向の駆動力に変換する部分を含み、駆動力作用部は駆動力生成部で生成した駆動力をX線管の陽極端またはその近傍に伝達する棒状体から成っているので、ターゲット傾斜面駆動手段の駆動力生成部で生成されたほぼ直線方向の駆動力が駆動力作用部の棒状体によりX線管の陽極端に伝達され、陽極端を例えば前後方向または左右方向に移動することになり、その結果陽極の中心軸はX線主放射方向に対し前後方向または左右方向に傾斜し、それに連動してターゲット傾斜面の傾斜角度も変化する。
【0031】
また、本発明のX線発生装置では、X線管の陽極はその陽極端において陽極支持体に支持され、陽極支持体はターゲット傾斜面駆動手段で生成される駆動力を受けて陽極端が移動可能なように容器の内壁面に直接的または間接的に支持されているので、ターゲット傾斜面駆動手段からの駆動力は陽極支持体を介して陽極端に付与され、その駆動力によって陽極端は陽極支持体と共に移動し、それに伴って陽極の中心軸がX線主放射方向に対して傾斜する。
【0032】
また、本発明のX線発生装置では、陽極支持体はほぼ直線状に形成されたガイドレールによって、陽極端がターゲット傾斜面駆動手段で生成された駆動力を受けて移動可能なように支持されているので、X線管の陽極端はターゲット傾斜面駆動手段の駆動力を受けることにより、陽極支持体と共にガイドレールに沿ってほぼ直線方向に移動し、それに伴って陽極の中心軸がX線主放射方向に対して傾斜する。
【0033】
また、本発明のX線発生装置では、X線管の陽極は回転陽極であり、X線管の陽極の外周に陽極を回転させるためのステータが配置されているので、X線管の陽極をステータにて回転することにより、同一焦点寸法の場合、ターゲットに固定陽極X線管よりも大きな短時間負荷を印加することができ、その結果焦点寸法を小さくすることが可能となり、高解像度でのX線検査などを行うことができる。
【0034】
また、本発明のX線装置は、本発明のX線発生装置と、X線検出装置と、画像形成装置と、制御装置を備えているので、X線管のターゲット傾斜面のX線主放射方向に対する傾斜角度を変化させてX線照射範囲の増減することができ、X線照射範囲を大きくしたときには、大きい被検体や多数の被検体について、均一かつ高線量の線量分布のもとで、均一な画質のX線画像を取得することができ、その結果、X線検査の検査効率が向上するとともに、従来の線量分布の非均一性に基づく欠陥も補正することができる(請求項3)。
【0035】
また、本発明のX線装置では、制御装置がターゲット傾斜面駆動手段の動作を制御する手段を備えているので、制御装置からX線発生装置のターゲット傾斜面駆動手段を制御することによって、X線管のターゲット傾斜面のX線主放射方向に対する傾斜角度を変化させて、X線照射範囲を増減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しながら説明する。
先ず、図1を用いて本発明に係わるX線管の構造について説明する。図1は本発明に係わるX線管の一実施例の全体構造図である。図1において、X線管10は回転陽極X線管で、回転陽極(以下、陽極と略称する)12と陰極14と外囲器16とから構成される。本発明のX線管10では、外囲器16の構造に特徴がある。本実施例では回転陽極形の構造のもので説明するが、本発明はこれに限定されず固定陽極形の構造のものでもよい。
【0037】
図1において、陰極14は電子線を発生する部分であり、外囲器16の左側に陽極12のターゲット18に対向して配置されている。陰極14は電子線を発生するカソード32と、電子線を細いビームに集束する電子集束系34と、カソード32と電子集束系34を支持する陰極支持体36などから構成される。陽極12は、陰極14からの電子線が衝突してX線を発生するターゲット18と、ターゲット18を支持ロータ20と、ロータ20を支持する回転軸22と、回転軸22を回転自在に支持する軸受24と、軸受24の外輪を固定する固定部26などから構成される。ターゲット18は傘形で円盤状をしており、タングステンなどの高原子番号で高融点の金属材料またはその合金などから成る。ターゲット18の電子線が衝突してX線を発生する面(以下、ターゲット傾斜面という)28は陽極12の中心軸27に対し傾斜しており、そのターゲット傾斜面28にX線源(焦点)29が形成される。
【0038】
次に、外囲器16は、陽極12のターゲット18と、陰極14の電子集束系34の先端部を囲み、接地電位に保持される大径部40と、陽極12の固定部26の端部(以下、陽極端という)30と結合されて、陽極12を絶縁支持する陽極絶縁部44と、陰極14の陰極支持体36と結合されて陰極14を絶縁支持する陰極絶縁部46などから構成される。大径部40は陽極12のターゲット18の外周を取り囲む円筒部41と、ターゲット18の上面を覆う円板部42とから成り、前者は肉厚の円筒形状をしており、後者は大略円板形状をしていて、両者とも銅やステンレス鋼などの金属材料から成る。円板部42のターゲット18上の焦点29に近接する部分に設けた開口にX線放射窓48が取り付けられている。X線放射窓48はX線透過性の良いベリリウムなどから成り、窓枠などを介して、溶接またはろう付けによって円板部42の開口に結合されている。陽極絶縁部44は陽極12のロータ20の外径より少し大径の円筒部44aと、大径部40の円筒部41と結合するためにコーン上に広げられたフレア部44bと、陽極12の固定部26と結合するための陽極接続部44cとから構成される。陽極絶縁部44の大部分は耐熱性ガラスやセラミックなどの絶縁物から成り、両端の大径部40や固定部26との接続部分には前記絶縁物と熱的になじみのよい金属材料が用いられている。陰極絶縁部46は大径部40の円筒部41の側面に円筒部41の中心軸とほぼ直交する方向に結合されている。陰極絶縁部46は細い外径の円筒形状をしており、その一端は大径部40の側面に、その他端は陰極14の陰極支持体36に結合されている。陰極絶縁部46もその大部分は耐熱性ガラスやセラミックなどの絶縁物から成る。
【0039】
図1において、本発明では、外囲器16の大径部40と陽極絶縁部44との接合部分の一部に伸縮自在なフレキシブル構造を有する可撓筒状部50を設けたものである。可撓筒状部50は薄肉の金属筒を蛇腹状に加工したもので、筒の長さ方向に伸縮可能なように形成されている。図示の例では、可とう筒状部50の一端は陽極絶縁部44のフレア部44bに溶着などにより結合され、他端は大径部40の円筒部41の端部に溶接などにより結合されている。このため、可撓筒状部50の材料としては、コバールなどのフレア部44bの絶縁材料と熱的になじみのよい金属材料が好ましい。また、可撓筒状部50の陽極絶縁部44との結合構造としては、フレア部44bと直接結合せずに、間に絶縁材料と熱的になじみのよい金属材料から成る円筒状の部材を挿入し、その部材と可撓筒状部50の一端を結合してもよい。この場合には、可撓筒状部50の材料の選択範囲が広がり、ステンレス鋼やその他の鋼材などの高強度で、加工性のよい金属材料を使用することができる。また、可撓筒状部50の材料の厚さは強度の点から約0.5mm以上のものが適当である。また、可撓筒状部50の蛇腹状部の長さは、外囲器16の大きさによって異なり、約10mm以上となる。
【0040】
図1において、X線管10の使用時には陽極12のターゲット18の焦点29で発生したX線53はX線放射窓48を通して上方に取り出される。以下、このX線53の照射範囲の中心軸となる焦点29から上方に向いた線で、大径部40の円板部42及びX線放射窓48に垂直な線をX線主放射方向51と呼ぶ。X線管10から外部に取り出されるX線53はX線主放射方向51をほぼ中心線とした円錐状に分布する。ここで、図示のX線管10では陽極端30に左側への引張力が働き、陽極端30が左側に引っ張られた状態にあり、外囲器16の可撓筒状部50の右側部分50aが伸長し、左側部分50bが収縮している。その結果、陽極12の中心軸27はX線主放射方向51に対して、右側に傾斜している。X線主放射方向51とターゲット18の傾斜面28とで作る角度αはターゲット角度52と呼ばれているが、このターゲット角度52は上記の陽極12の中心軸27の右側への傾斜により増加している。また、図示のX線管10の状態とは逆に、陽極端30に右側へ押す力を加えた場合には、外囲器16の可撓筒状部50の右側部分50aは収縮し、左側部分50bは伸長し、陽極12の中心軸27はX線主放射方向51に対し左側に傾斜することになり、その結果としてターゲット角度52は減少する。
【0041】
X線管10のX線放射窓48から放出されるX線53の照射範囲及び線量分布はX線放射窓48の大きさとターゲット傾斜面28のX線主放射方向51に対する傾斜角度すなわちターゲット角度52の影響を受けて変化する。X線放射窓48の大きさは通常X線照射範囲の大きさを限定する。ターゲット角度52は陰極側と反対の側におけるX線53をターゲット傾斜面28でカットすることによりX線照射範囲を小さく限定するとともに、最大線量方向の位置を変化させて線量分布も変化させる。本発明ではX線管10のターゲット角度52を変化させてX線照射範囲の増減することを意図しているため、X線放射窓48の大きさは通常ターゲット角度52が最大になったときに適正となるように設定してある。例えばターゲット角度52を20度〜40度の範囲で変化させる場合には40度のときに適正になるようにしてある。このため、ターゲット角度52が最小値から最大値に向けて変化するにつれて、陰極側と反対の側におけるX線照射範囲が漸増し、その結果X線照射範囲全体も漸増する。また、X線量分布に関しては、ターゲット角度52が最小値に近いときは最大線量方向が陰極側のX線主放射方向51から離れた位置にあるが、ターゲット角度52が最大値に近づくにつれて最大線量方向はX線主放射方向51に接近し、その線量分布はX線主放射方向51を中心にして周囲方向に偏りない分布となる。
【0042】
次に、図2及び図3を用いて、本発明に係わるX線発生装置の構成について説明する。図2は本発明に係わるX線発生装置の一実施例の全体構成図、図3は図2のX線管の陽極及びターゲット傾斜面駆動部の構造を説明するための図である。図2において、本発明に係わるX線発生装置60は、モノタンク式の装置で、図1に例示した本発明に係わるX線管10と、X線管10を内包する容器62と、X線管10の陽極12と陰極14に高電圧を供給する高電圧電源64と、X線管10の陰極14にカソードを加熱するための電圧や電子線を集束するための電圧を供給する陰極電源66と、X線管10の陽極12のロータを回転駆動するステータ68と、X線管10の陽極12やステータ68などを支持する陽極支持体70と、容器62内に充填されてX線管10や高電圧電源64や陰極電源66などを絶縁し、冷却する絶縁油72と、X線管10の陽極12のターゲット18の傾斜面28の傾斜角度を可変するためのターゲット傾斜面駆動部74と、ターゲット傾斜面駆動部74で生成した駆動力を陽極支持体70に伝達する陽極支持体駆動体76と、陽極支持体70を容器62の内壁に結合して支持する陽極支持体保持部82などから構成される。
【0043】
容器62は鋼材またはアルミニウム(またはアルミニウム合金)などで略直方体状に溶接または鋳造にて作られている。容器62のX線管10の取付部周辺には鉛板を貼るなどの防X線処理が施されており、また容器62全体として油密構造に作られている。また、容器62の壁面の一部には、X線管10などを挿入するための大きな開口や絶縁油72を注入するための小さな開口とそれらの蓋が設けられている。高電圧電源64は高電圧変圧器と整流回路などから構成され、容器62外から導入される商用電源を用いてX線管電圧を生成し、X線管10の陽極12と陰極14との間に印加する。陰極電源66は絶縁変圧器と整流回路などから構成され、容器62外から導入される商用電源を用いて、陰極14のカソードの加熱電圧やグリッド電圧などを生成し、陰極14のカソードや電子集束系に印加する。ステータ68はX線管10の陽極12のロータの外周に配置される。ステータ68を付勢する電圧は低電圧であるので、通常容器62の外部で生成されて、供給される。
【0044】
X線管10の支持とX線管10の陽極12のターゲット傾斜面の駆動については、図3を参照しながら説明する。図3において、図3(a)は、X線管10の支持構造とターゲット傾斜面の駆動部の概略構造を、図3(b)はターゲット傾斜面の駆動部の一部の細部構造を示している。図3(a)において、X線管10は2個所で支持されており、一方は外囲器16の大径部40の円板部42が容器62の上側の内壁面に油密に固定されており、他方は陽極12の陽極端30において陽極支持体70に支持されている。このとき、X線放射窓48は外部に露出している。陽極支持体70はX線管10の陽極端30を絶縁支持する絶縁支持体77と、陽極端30を直接固定し絶縁支持体77に支持される陽極支持部79と、ステータ68を絶縁支持し絶縁支持体77に支持されるステータ支持部81と、ステータ68とX線管10ロータとの間を絶縁するステータ絶縁筒80と、ステータ68などの外周を絶縁する絶縁筒78などから構成される。陽極支持体70の中で、陽極支持部79とステータ支持部81の一部は金属材料から成るが、他の部材はエポキシ樹脂などの耐油性、耐熱性で高強度の絶縁材料から成る。
【0045】
陽極支持体70は陽極支持体保持部82によって容器62の内壁面などに移動可能なように支持されている。陽極支持体保持部82は図示の例ではステンレス鋼などの鋼材から成る棒状体で、陽極支持体70の絶縁支持体77の円盤部の底面に固定されている。陽極支持体保持部82の両端は図3(b)に示すようなガイドレール83の溝83aに支持され、陽極支持体保持部82はガイドレール83に沿って移動可能になっている。ガイドレール83は陽極支持体保持部82の端部がゆるく嵌合する溝83aを有し、この溝83aは陽極支持体保持部82が図示の左右方向に移動するために必要な距離分の長さを有している。このガイドレール83は、普通容器62の内壁面の対向する位置に取り付けられて、陽極支持体保持部82を支持することになるが、これに限定されず、他の部分に設けてもよい。また、陽極支持体保持部82についても、絶縁支持体77以外の部分に、例えば絶縁筒78の外周などに固定してもよい。陽極支持体保持部82の形状についても図示の棒状体に限定されず、板状体などでもよく、また他の構造体のものでもよい。
【0046】
ターゲット傾斜面駆動部74は陽極支持体駆動体76を介して陽極支持体70及び陽極端30を図示の矢印87の如く左右方向に移動させるもので、この移動によりX線管10の陽極12の中心軸27がターゲット18に近い点を回転中心にして左右方向に回転することにより、ターゲット傾斜面28が回転し、ターゲット角度(α)52が変化する。ターゲット傾斜面駆動部74はモータ84と駆動体接続部85などから構成される。駆動体接続部85はモータ84で発生する回転駆動力をほぼ直線方向の駆動力に変換し、この線状駆動力を陽極支持体駆動体76に伝達するもので、例えば減速ギヤやラックとピニオンなどの組合せから成る。
【0047】
次に、図3を用いて、X線管10のターゲット傾斜面28の駆動操作の一例について説明する。先ず、この操作ではターゲット傾斜面28とX線主放射方向51とで形成されるターゲット角度(α)52を、例えば20度から40度の範囲で変化させるものと設定する。すなわち30度を中心にして、−10度から+10度の範囲で変化させることにする。このような設定条件のもとでは、ターゲット角度(α)52が30度のときにX線管10の陽極12の中心軸27がX線主放射方向51と平行になるようにターゲット18自体の傾斜面28の角度は30度にしておく。また、図3(b)において、このときの陽極支持体保持部82のガイドレール83a内における位置は運動方向のほぼ中心位置にあるようにし、運動方向に左右同程度の距離だけ移動できるようにする。陽極支持体保持部82のガイドレール83の溝83a内の移動距離は通常の大きさのX線管では左右方向にそれぞれ1.5〜3cm程度となるので、溝83aの左右方向の長さはそれ以上にしておく必要がある。
【0048】
この操作においては、ターゲット傾斜面駆動部74への電力供給及びその制御は外部のX線装置の制御装置(後で説明する)によって行われる。先ず、ターゲット角度(α)52を20度にする場合には、制御装置からの指示によりターゲット傾斜面駆動部74のモータ84がターゲット角度(α)52を−10度変化させるために必要な回転角度だけ回転する。このモータ84の回転角度は駆動体接続部85によって直線状の移動距離に変換される。この駆動体接続部85に接続された陽極支持体駆動体76は上記の直線状の移動距離分だけ陽極支持体保持部82をガイドレール83内で移動させる。すなわち陽極支持体保持部82を押してターゲット角度(α)52を−10度変化させるのに必要な距離だけ右側に移動させる。その結果、陽極12の中心軸27がX線主放射方向に対し10度だけ左側に傾き、ターゲット角度(α)52は10度減少し、20度となる。次に、ターゲット角度(α)52を40度にする場合には、制御装置からのモータ84への回転角度の指示をターゲット角度(α)52を+10度変化させるために必要な回転角度とする。それにより、モータ84、駆動体接続部85、陽極支持体駆動部76はターゲット角度(α)52を−10度変化させた場合とは逆方向の動作をし、陽極支持体駆動部76は陽極支持体保持部82を引張ってターゲット角度(α)52を+10度変化させるのに必要な距離だけ左側に移動させる。その結果、陽極12の中心軸27がX線主放射方向に対し10度だけ右側に傾き、ターゲット角度(α)52が10度増加し、40度となる。
【0049】
また、ターゲット角度(α)52を20度〜40度の間の中間の角度にする場合には、中心角度(30度)からの変化分に基づいて、その変化分の移動を制御装置からターゲット傾斜面駆動部74に指示すればよい。また、上記の操作では、ターゲット角度(α)52を変化させる場合の基準角度を角度変化領域(20度〜40度)の中心角度(30度)としたが、これに限定されず、前回に設定されたターゲット角度α52を基準にしてもよい。この場合には、前回に設定されたターゲット角度α1と、次回に設定されるターゲット角度α2との差分(α2−α1)を計算し、その差分(α2−α1)だけターゲット角度(α)52を変化するように、制御装置からターゲット傾斜面駆動部74に指示すればよい。
【0050】
また、図示の例では、X線管10の陽極12の中心軸27とX線主放射方向51と平行なときに、ターゲット角度(α)52がその変化領域の中心値となるように設定しているが、これに限定されず、他の角度であってもよい。例えば、ターゲット角度(α)52の変化領域を20度から40度とした場合、ターゲット角度(α)52が20度のときにX線管10の陽極12の中心軸27とX線主放射方向51とが平行になるようにしてもよい。このようなターゲット角度としては、最も使用頻度の高いターゲット角度を選定するのが機能的にも望ましい。また、本実施例ではX線管10を回転陽極形のもので説明したが、これに限定されず固定陽極形のものであってもよい。
【0051】
次に、本発明に係るX線装置の一実施例の概略構成について説明する。図4は本発明に係るX線装置の一実施例の構成内容を説明するための図である。図4において、本実施例のX線装置90は、本発明に係るX線発生装置60と、被検体92を支持、固定する支持台93と、X線発生装置60から放射され被検体92を透過したX線53を検出するX線検出装置94と、X線検出装置94からの出力信号に基づいて被検体92のX線画像を形成する画像形成装置96と、X線発生装置60、支持台93、X線検出装置94、画像形成装置96の動作を制御する制御装置98などから構成される。X線発生装置60には、図2に示したように、本発明に係るX線管10が内挿されている。X線検出装置94としては、ラインセンサーのようにX線検出素子を線状に配列したものや、イメージインテンシファイア(I.I)などのようにX線検出素子を面状に配列したものなどが用いられる。X線検出装置94からは通常受光したX線量に応じた強度の電気信号を出力するので、画像形成装置96ではX線検出装置94からの線状分布または面状分布の電気信号に基づいて、面状のX線画像を形成する。制御装置96では、X線発生装置60を駆動するための条件の制御、支持台93の位置の制御、X線検出装置94のX線検出動作の制御、画像形成装置96の画像作成動作の制御などを行う。また、制御装置98はX線発生装置60をはじめとする他の装置への電源電圧の供給なども行う。
【0052】
本発明に係るX線装置90では、従来品に対し、特にX線発生装置60と制御装置98が異なり、X線発生装置60は図2と図3に示した如くX線管10のターゲット傾斜面のX線主放射方向に対する傾斜角度を変化させる機構を備えており、制御装置98は上記機構を制御する手段を備えている。上記機構を制御する手段は具体的には図2のX線発生装置60に関する説明の際に説明した如く、ターゲット傾斜面駆動部74のモータ84の回転角度を制御するもので、必要なターゲット角度に対応して、制御装置98においてモータ84の回転角度が設定され、それに基づいてモータ84がその回転角度だけ回転するように駆動される。
【0053】
次に、図5と図6を用いて、本発明に係るX線装置を使用したときの効果について説明する。図5と図6はX線装置のX線発生装置と被検体とX線検出装置との間の関係を、特にX線管から照射されるX線の線量分布を基準にして示している。両図とも、X線発生装置60の上側に支持台93に載置された被検体92とX線検出装置94が配置されているが、同時にX線管10からのX線の線量分布も示してある。図5はX線管10の陽極12の中心軸27がX線主放射方向51と平行、すなわち陽極12を傾斜させない場合のもの、図6は陽極12を右側に傾斜させてターゲット角度(α)52を大きくした場合のものである。陽極12を傾斜させない図5において、X線管12のX線53の線量分布は、X線照射範囲の端部と中央部では線量が異なるとともに、線量が最大値を示す方向、すなわち最大線量方向100がX線主放射線方向51に対し若干陰極14側に偏った位置にあるためX線量は陰極14側で多くその反対側で少なくなっている。その結果、図中の2個被検体92の(A)と(B)が同様な構造のものであっても、(A)は陰極14側にあり、(B)はその反対側にあるため、照射線量が大きく異なり、その線量差に伴いそれらのX線画像が異なったものとなり、2個の被検体92の(A)と(B)の内部構造の検査結果が異なってしまう可能性がある。陽極12を適当な角度傾斜させた図6においては、最大線量方向100とX線主放射方向51とがほぼ一致し、その結果最大線量方向100が2個の被検体92の(A)と(B)のほぼ中間の位置となるため、X線量分布は陰極14側とその反対側とでほぼ同等の分布となり、被検体92の(A)と(B)にほぼ同量のX線量が照射されるため、被検体92の(A)と(B)について同質のX線画像が得られ、それらの内部構造の検査についても同質の検査結果が得られる。また、図6の場合には、最大線量方向100がX線照射範囲のほぼ中心に位置するので、被検体92の(A)と(B)については最大線量に近いX線量の照射を受けたX線画像が得られるので、X線の利用効率の観点からも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るX線管の一実施例の全体構造図。
【図2】本発明に係るX線発生装置の一実施例の全体構成図。
【図3】図2のX線管の陽極及びターゲット傾斜面駆動部の構造を説明するための図。
【図4】本発明に係るX線装置の一実施例の構成内容を説明するための図。
【図5】本発明に係るX線装置の効果を説明するための図で、X線管の陽極を傾斜させない場合。
【図6】本発明に係るX線装置の効果を説明するための図で、X線管の陽極を傾斜させた場合。
【図7】X線管から放射されるX線の線量分布の一例。
【符号の説明】
【0055】
10・・・回転陽極X線管(X線管)
12・・・回転陽極(陽極)
14・・・陰極
16・・・外囲器
18・・・ターゲット
27・・・陽極の中心軸
28・・・ターゲット傾斜面
29・・・X線源(焦点)
30・・・陽極端
40・・・大径部
41・・・円筒部
42・・・円板部
44・・・陽極絶縁部
48・・・X線放射窓
50・・・可撓筒状部
51・・・X線主放射方向
52・・・ターゲット角度
53・・・X線
60・・・X線発生装置
62・・・容器
68・・・ステータ
70・・・陽極支持体
74・・・ターゲット傾斜面駆動部
76・・・陽極支持体駆動体
77・・・絶縁支持体
78・・・絶縁筒
82・・・陽極支持体保持部
83・・・ガイドレール
84・・・モータ
85・・・駆動体接続部
87・・・矢印
90・・・X線装置
92・・・被検体
93・・・支持台
94・・・X線検出装置
96・・・画像形成装置
98・・・制御装置
100・・・最大線量方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を発生するカソードと、カソードが発生する電子線を集束する電子集束系を有する陰極と、陰極からの電子線が衝突することによりX線を発生するターゲットを有する陽極と、陰極と陽極を対向させて真空気密に内包し、絶縁支持する外囲器とを備えたX線管において、X線主放射方向に対し前記陽極のターゲット上のX線源が形成される傾斜面の傾斜角度を変化させる、あるいはX線主放射方向に対し、前記陽極の中心軸を傾斜させる陽極傾斜手段を備えたことを特徴とするX線管。
【請求項2】
X線を発生するX線管と、X線管を支持するX線管支持体と、X線管に高電圧を供給する高電圧電源と、X線管の陰極にカソード加熱電圧などを供給する陰極電源と、X線管などを絶縁し冷却する絶縁油と、少なくともX線管とX線管支持体と絶縁油を内包する容器とを備えたX線発生装置において、前記X線管が請求項1記載のX線管であり、更に前記陽極傾斜手段を駆動する手段を備えたことを特徴とするX線発生装置。
【請求項3】
X線を発生するX線発生装置と、X線発生装置から放射され、被検体を透過したX線を検出するX線検出装置と、X線検出装置から出力される検出X線量に対応する信号を入力して被検体のX線画像を作成する画像形成装置と、X線発生装置とX線検出装置と画像形成装置を制御する制御装置を備えたX線装置において、前記X線発生装置は請求項2記載のX線発生装置であることを特徴とするX線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−141595(P2007−141595A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332421(P2005−332421)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】