説明

cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体

式(I)で表されるcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体が提供され、この式中、変数は本明細書に記載の通りである。かかる化合物は、in vivoまたはin vitroでの特異的な受容体活性を調節するために用いることができるリガンドであり、ヒト、ペットおよび家畜における病理学的受容体活性に関連する状態の処置において、特に有用である。かかる疾患を処置するための、医薬組成物およびかかる化合物を用いる方法が提供され、また、かかるリガンドを受容体局在化試験に用いるための方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年11月6日に出願された米国特許仮出願第60/864,460号の利益を主張し、この内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、有用な薬理学的特性を有するcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体に関する。本発明はさらに、かかる化合物の使用であって、カプサイシン受容体活性化と関連する状態を処置するための、カプサイシン受容体に結合する他の剤を同定するための、およびカプサイシン受容体の検出および局在化のためのプローブとしての、前記使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明が解決しようとする課題
痛みの知覚、または痛覚は、「侵害受容器」と呼ばれる特殊な感覚ニューロン群の末梢端により媒介される。広範囲の物理的および化学的刺激が、哺乳類においてかかるニューロンの活性化を誘発し、潜在的に危険な刺激を認識させる。しかし、侵害受容器の不適切または過剰な活性化は、急性または慢性の痛みを悪化させ得る。
神経障害性の疼痛には、刺激のない状態での疼痛シグナルの伝達が関与し、これは一般に神経系の損傷から生じる。多くの場合、かかる疼痛は、末梢系への最初の損傷後に、末梢および中枢神経系における増感によって生じると考えられている(例えば、直接の損傷または全身性疾患を介して)。神経障害性疼痛は典型的には焼けるような、ずきずきする、強くしつこい痛みであり、時には、これを誘発した元の損傷または疾患過程よりもさらに衰弱性となり得る。
【0004】
神経障害性疼痛に対する現在の処置は、大部分は効果がない。例えばモルヒネなどのアヘンは強力な鎮痛剤であるが、しかしこれらの有用性は、副作用のために限定される。これらの副作用としては、例えば身体的中毒性および離脱特性、ならびに呼吸抑制障害、情緒の変化、ならびに便秘、吐き気、嘔吐などを伴う腸運動の低下、ならびに内分泌および自律神経系の変化などがある。さらに、神経障害性疼痛は多くの場合、従来のアヘン鎮痛療法に非応答的または部分的にしか応答的ではない。N−メチル−D−アスパルテート・アンタゴニストであるケタミン、またはα(2)−アドレナリン・アゴニストであるクロニジンを用いる処置は、急性または慢性の疼痛を低下させ、アヘン消費量を低下させるが、これらの剤は多くの場合、副作用のために耐容性が低い。
【0005】
カプサイシンによる局所処置は、神経障害性疼痛を含む慢性および急性の痛みの処置に用いられてきた。カプサイシンは、ナス科の植物(辛いチリペパーを含む)に由来する辛味物質であり、痛みを媒介すると考えられている直径の小さい求心性神経線維(A−δおよびC線維)に、選択的に作用するように見られる。カプサイシンに対する応答は、末梢組織における侵害受容器の持続的な活性化と、続く1または2以上の刺激に対する周辺侵害受容器の脱感作を特徴とする。動物での実験から、カプサイシンは、カルシウムおよびナトリウムに対する陽イオン選択性チャネルを開くことにより、C線維膜の脱分極を誘発するように見える。
【0006】
同様の応答が、共通のバニロイド部分を有するカプサイシンの構造的類似体によっても引き起こされる。かかる類似体の1つが、トウダイグサ属(Euphorbia)植物の天然産物であるレシニフェラトキシン(RTX)である。バニロイド受容体(VR)という用語は、カプサイシンおよびかかる関連する刺激性の化合物に対する、神経膜認識部位を表すために作られた。カプサイシン応答は、他のカプサイシン類似体であるカプサゼピンによって競合的に阻害され(そしてそれにより拮抗され)、また、非選択性陽イオンチャネルブロッカーであるルテニウムレッドによっても阻害され、ここでこのルテニウムレッドは中程度以下の親和性(典型的には140μM以上のK値で)でVRに結合する。
【0007】
ラットおよびヒトのバニロイド受容体は、後根神経節細胞からクローニングされた。同定されたバニロイド受容体の第1の型は、バニロイド受容体1型(VR1、これはTRPV1としても知られている)として知られており、用語「VR1」および「カプサイシン受容体」は、本明細書において、ラットおよび/またはヒトのこの型の受容体および哺乳類の相同体を指すために、同義で用いられる。痛みの知覚におけるVR1の役割は、この受容体を欠いたマウスを用いて確認され、このマウスはバニロイド誘発性の疼痛行動を示さず、熱および炎症に対して障害された応答を示す。VR1は、温度の上昇、低いpH、およびカプサイシン受容体アゴニストに応答して低下する、開状態(opening)に対する閾値を有する、非選択性陽イオンチャネルである。カプサイシン受容体チャネルを開くと、一般に、受容体を発現するニューロンからおよび他の近くのニューロンから炎症性ペプチドが放出され、痛み応答を増加させる。カプサイシンによる最初の活性化の後、カプサイシン受容体は、cAMP依存性タンパク質キナーゼのリン酸化を介して、急速に脱感作される。
【0008】
末梢組織で侵害受容器を脱感作する能力のために、VR1アゴニストであるバニロイド化合物は、局所麻酔薬として用いられてきた。しかし、アゴニストの適用はそれ自体が灼熱痛を引き起こし得るため、これの治療的使用は限定される。近年、ある種の非バニロイド化合物を含むVR1アンタゴニストもまた、痛みの処置に有用であることが報告された(例えば、PCT国際出願公報WO 02/08221、WO 03/062209、WO 04/054582、WO 04/055003、WO 04/055004、WO 04/056774、WO 05/007646、WO 05/007648、WO 05/007652、WO 05/009977、WO 05/009980、WO 05/009982、WO 05/049601、WO 05/049613、WO 06/120481およびWO 06/122200を参照)。
【0009】
したがって、VR1と相互作用するが、VR1アゴニストであるバニロイド化合物の最初の痛み知覚を引き起こさない化合物が、神経障害性疼痛およびカプサイシン受容体調節に応答する他の状態を含む慢性および急性の疼痛の処置に望ましい。本発明はこの要求を満たし、さらに関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、式I:
【化1】

で表されるcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体、およびかかる化合物の薬学的に許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)およびエステルを提供する。式Iにおいて、
【化2】

は、環内に1、2または3個のヘテロ原子を含む縮合5または6員ヘテロアリールを表し、前記へテロ原子は、O、NおよびSから独立して選択され、残りの環原子は炭素であり、ここで前記縮合ヘテロアリールは、随意に置換されており;好ましくは、前記縮合ヘテロアリールは、(i)アミノおよびヒドロキシ;および(ii)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキルスルホニルアミノ、C〜Cアルカノイルアミノ、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノであって、各々はヒドロキシ、アミノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている;から独立して選択される、0〜2個の置換基で置換されており;
【0011】
Arは、6〜10員アリールまたは5〜10員ヘテロアリールであり、これらの各々は随意に置換されており、およびこれらの各々は、好ましくは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノから独立して選択される、0〜4個または0〜3個の置換基で置換されており;および
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、これらの各々は随意に置換されており、これらの各々は、好ましくは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシおよびC〜Cアルキルから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0012】
ある側面において、本明細書で提供されるcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体は、式II:
【化3】

を満たすか、またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物(例えば水和物)またはエステルである。式IIにおいて、
【化4】

は、環内に1、2または3個のヘテロ原子を含む縮合5または6員ヘテロアリールを表し、前記へテロ原子は、O、NおよびSから独立して選択され、残りの環原子は炭素であり、ここで前記縮合ヘテロアリールは、随意に置換されており;好ましくは、前記縮合ヘテロアリールは、(i)アミノおよびヒドロキシ;および(ii)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキルスルホニルアミノ、C〜Cアルカノイルアミノ、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノであって、各々はヒドロキシ、アミノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている;から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されており;
Xは、NまたはCHであり;
は、0〜3個の置換基を表し;好ましくは、かかる置換基の各々は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノから独立して選択され;および、
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり、これらの各々は随意に置換されており、これらの各々は、好ましくは、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシおよびC〜Cアルキルから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている。
【0013】
ある側面において、式Iまたは式IIの化合物はVR1調節剤であり、これは、カプサイシン受容体結合アッセイにおいて、1マイクロモル以下、500ナノモル以下、100ナノモル以下、50ナノモル以下、10ナノモル以下または1ナノモル以下のKを示し、および/または、カプサイシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト活性を決定するためのin vitroアッセイにおいて、1マイクロモル以下、500ナノモル以下、100ナノモル以下、50ナノモル以下、10ナノモル以下または1ナノモル以下のEC50またはIC50値を有する。ある態様において、かかるVR1調節剤はVR1アンタゴニストであり、カプサイシン受容体活性化のin vitroアッセイ(例えば、本明細書の例6に提供されるアッセイなど)において、IC50に等しい濃度、またはIC50の10倍、またはIC50の100倍の濃度において、検出可能なアゴニスト活性を示さない。
【0014】
ある側面において、ここで提供される化合物は、検出可能なマーカー(例えば放射標識またはフルオレセイン結合マーカー)で標識されている。
本発明はさらに、他の側面において、少なくとも1種のcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体を生理学的に許容し得る担体または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。
さらなる側面において、細胞のカプサイシン受容体のカルシウム・コンダクタンスを低下させるための方法が提供され、これは、カプサイシン受容体を発現する細胞(たとえば中枢神経系または末梢神経節の細胞などの神経細胞、尿路上皮細胞または肺細胞)を、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤と接触させることを含む。かかる接触は、in vivoまたはin vitroで起こってよく、一般に、in vitroでのバニロイドリガンドのVR1への結合を変化させるのに十分なVR1調節剤濃度を用いて(例5に提供されるアッセイを用いて)行われ、および/またはVR1媒介性シグナル変換を用いて(例6に提供されるアッセイを用いて)行われる。
【0015】
バニロイドリガンドのカプサイシン受容体への結合を阻害するための方法が、さらに提供される。ある側面において、阻害はin vitroで起こる。かかる方法は、カプサイシン受容体を、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤と、バニロイドリガンドのカプサイシン受容体への結合を検出可能な程度阻害するような条件下でこれに十分な量または濃度において、接触させることを含む。他の態様において、カプサイシン受容体は患者内に存在する。かかる方法は、患者のカプサイシン受容体を発現する細胞を、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤と、バニロイドリガンドのin vitroでクローニングされたカプサイシン受容体を発現する細胞への結合を検出可能な程度阻害するのに十分な量または濃度において接触させることを含む。
【0016】
本発明はさらに、患者におけるカプサイシン受容体調節に応答する状態を処置するための方法を提供し、これは、患者に対して、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤の治療有効量を投与することを含む。
他の側面において、患者の痛みを処置するための方法が提供され、これは、痛みに苦しむ(またはそのリスクのある)患者に対して、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤の治療有効量を投与することを含む。
【0017】
患者の、かゆみ、尿失禁、過活動膀胱、更年期症状、咳および/またはくしゃみを処置するための方法がさらに提供され、これは、1または2以上の前記状態に苦しむ(またはそのリスクのある)患者に対して、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤の治療有効量を投与することを含む。
本発明はさらに、肥満患者において体重の減少を促進するための方法を提供し、これは、肥満患者に対して、本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤の治療有効量を投与することを含む。
【0018】
さらに、カプサイシン受容体に結合する剤を同定するための方法が提供され、これは、(a)カプサイシン受容体を、本明細書に記載の標識化合物と、該化合物のカプサイシン受容体への結合を許容する条件下で接触させ、これにより結合標識化合物を生成すること;(b)試験剤の不在のもとで、結合標識化合物の量に対応するシグナルを検出すること;(c)結合標識化合物を試験剤と接触させること;(d)試験剤の存在下で、結合標識化合物の量に対応するシグナルを検出すること;および(e)ステップ(b)での検出シグナルと比較した、ステップ(d)での検出シグナルにおける減少を検出すること、を含む。
【0019】
さらなる側面において、本発明は、試料中のカプサイシン受容体の有無を決定するための方法を提供し、これは、(a)試料を、本明細書に記載の化合物と、前記化合物のカプサイシン受容体への結合を許容する条件下で接触させること;および(b)カプサイシン受容体に結合した前記化合物のレベルを示すシグナルを検出することを含む。
本発明はまた、パッケージ化された医薬製剤を提供し、これは、(a)容器内の、本明細書に記載の医薬組成物;および(b)カプサイシン受容体調節に応答する1種または2種以上の状態、例えば痛み、かゆみ、尿失禁、過活動膀胱、更年期症状、咳、くしゃみおよび/または肥満などを処置するために、組成物を用いるための指示書を含む。
【0020】
さらに他の側面において、本発明は、中間体を含む、本明細書に開示された化合物を調製するための方法を提供する。
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の詳細な説明を参照してさらに明らかにされる。
【0021】
詳細な説明
上記のように、本発明はcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体を提供する。かかる化合物はin vitroまたはin vivoで用いて、様々な状況においてカプサイシン受容体活性を調節することができる。
【0022】
専門用語
本明細書において、化合物は標準の学術用語を用いて一般的に記載される。不斉中心を有する化合物については、(別に指示されない限り)その全ての光学異性体および混合物が包含されると理解される。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物はZ型およびE型で存在することができ、別に指示されない限り、化合物の全ての異性体型は本発明に含まれる。化合物が種々の互変異性型で存在する場合、引用された化合物は、任意の1つの特定の互変異性体に限定されず、むしろ全ての互変異性型を包含することが意図される。ある化合物は、本明細書において変数(例えばR、A、X)を含む一般式で記載される。別に指示されない限り、かかる式内の各変数は任意の他の変数から独立して定義され、式の中で2回以上出現する全ての変数は、各出現時において独立して定義される。
【0023】
本明細書で用いられる「cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体」の句は、式Iで表される全ての化合物、および本明細書に提供される他の式で表される化合物(全てのエナンチオマー、ラセミ体および立体異性体を含む)、およびかかる化合物の、薬学的に許容し得る塩、溶媒和物およびエステルを包含する。
【0024】
本明細書に列挙される、化合物の「薬学的に許容し得る塩」とは、ヒトまたは動物の組織に接触させて用いるのに好適で、過剰な毒性または発癌性がなく、好ましくは刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、酸性または塩基性の塩である。かかる塩は、塩基性残基の鉱酸塩および有機酸塩、例えばアミン、および酸性残基のアルカリ塩または有機塩、例えばカルボン酸を含む。塩の形成に用いるための、具体的な薬学的に許容し得るアニオンは、限定することなく以下を含む:酢酸塩、2−アセトキシベンゾエート、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩化水素化物、二リン酸塩、二酒石酸塩、エデト酸塩、エストレート(エチルスクシネート)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩(hydroxynaphthoate)、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムカート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、酢酸フェニル、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、スクシン酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、スルホン酸塩であって、これは、ベシレート(ベンゼンスルホネート)、カンシル酸塩(カンホルスルホネート)、エジシル酸塩(エタン−1,2−ジスルホネート)、エシレート(エタンスルホネート)2−ヒドロキシエチルスルホネート、メシラート(メタンスルホネート)、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)およびトシレート(p−トルエンスルホネート)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩およびトリエチオジドを含む。同様に、塩の形成に用いるための、薬学的に許容し得るカチオンは、限定することなく以下を含む:アンモニウム、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、および金属類であって例えばアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛。当業者は、本明細書で提供される化合物に対するさらなる薬学的に許容し得る塩を認識する。一般に、薬学的に許容し得る酸性塩または塩基性塩は、任意の従来の化学的方法により、塩基性もしくは酸性部分を含む親化合物から、合成することができる。簡単に言えば、かかる塩は、これら化合物の遊離の酸または塩基性形態を、適切な塩基または酸の化学量論量と、水中もしくは有機溶媒中、またはこれら2つの混合物中において反応させることにより、調製可能である;一般に、非水性の媒体、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、メタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの使用が好ましい。
【0025】
本明細書で提供される各化合物は、溶媒和物(例えば水和物)または非共有結合錯体として製剤化してもよいが、必ずしもその必要はないことは明らかである。さらに、種々の結晶形および多形体も、本発明の範囲内である。本明細書でさらに提供されるのは、示された式で表される化合物のプロドラッグである。「プロドラッグ」は、本明細書で提供される化合物の構造的要求事項を完全には満たしていない可能性もあるが、患者への投与後にin vivoで修飾されて、本明細書で提供される化合物を生成する化合物である。例えば、プロドラッグは、本明細書で提供される化合物のアシル化誘導体であってよい。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、哺乳類の対象に投与された場合に開裂してそれぞれ遊離のヒドロキシ、アミノまたはスルフヒドリル基を形成するような任意の基に結合している、化合物を含む。プロドラッグの例は、限定することなく、本明細書で提供される化合物内のアルコールおよびアミン官能基の、アセテート、ホルマートおよびベンゾエート誘導体を含む。本明細書で提供される化合物のプロドラッグは、化合物に存在する官能基を修飾して、修飾物がin vivoで開裂されて親化合物を生成するようにすることにより、調製することができる。
【0026】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。アルキル基は、1〜8個の炭素原子(C〜Cアルキル)、1〜6個の炭素原子(C〜Cアルキル)、および1〜4個の炭素原子(C〜Cアルキル)を有する基を含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、および3−メチルペンチルである。「C〜Cアルキル」は、1つの共有結合(C)または1〜n個の炭素原子を有するアルキル基を指す;たとえば、「C〜Cアルキル」は、1つの共有結合またはC〜Cアルキル基を指す。いくつかの例において、アルキル基の置換基は、具体的に指示される。例えば「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシ置換基で置換されたアルキル基を指す。
【0027】
「アルキレン」は、上で定義されたように二価のアルキル基を指す。C〜Cアルキレンはメチレンまたはエチレンである;C〜Cアルキレンは、1つの共有結合または1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキレン基である;C〜Cアルキレンは、1つの共有結合または1もしくは2個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0028】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合を含む直鎖または分枝鎖のアルケン基を指す。アルケニル基は、2〜8個、2〜6個または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有する、C〜Cアルケニル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルケニル基を含み、例えばエテニル、アリルまたはイソプロペニルである。アルキニル」は、1つまたは2つ以上の不飽和炭素−炭素結合を有し、これの少なくとも1つが三重結合である、直鎖または分枝鎖のアルキン基を指す。アルキニル基は、2〜8個、2〜6個または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有する、C〜Cアルキニル、C〜CアルキニルおよびC〜Cアルキニル基を含む。
【0029】
「シクロアルキル」は、全ての環員が炭素である、1または2以上の飽和および/または部分飽和環を含む基であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、およびこれらの部分飽和変異形(variant)例えばシクロヘキセニルである。シクロアルキル基は、芳香環または複素環を含まない。あるシクロアルキル基はC〜Cシクロアルキルであり、このシクロアルキル基は、全て炭素である3〜7個の環員を有する1つの環を含む。「(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル」は、1つの共有結合またはC〜Cアルキレン基を介して結合されたC〜Cシクロアルキル基である。
【0030】
本明細書において用いる「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合している、上記のアルキル基を意味する。アルコキシ基は、1〜6個または1〜4個の炭素原子をそれぞれ有する、C〜CアルコキシおよびC〜Cアルコキシ基を含む。代表的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシである。
【0031】
「アルキルアミノ」は、一般構造−NH−アルキルまたは−N(アルキル)(アルキル)を有し、式中の各アルキルがアルキル、シクロアルキル、および(シクロアルキル)アルキル基から独立して選択される、二級または三級アミンを指す。かかる基は、例えばモノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ基であって、各C〜Cアルキルは同じかまたは異なっていてもよいものを含む。用語「アルキルアミノ」において用いる「アルキル」の定義は、シクロアルキルおよび(シクロアルキル)アルキル基(例えば、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル)を含む、他の全てのアルキル含有基に対して用いる「アルキル」の定義と異なっていることは、明らかである。
【0032】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
「ハロアルキル」は、独立して選択される1または2以上のハロゲンで置換されたアルキル基である(例えば、「C〜Cハロアルキル」基は1〜6個の炭素原子を有する)。ハロアルキル基の例は、限定することなく、以下を含む:モノ−、ジ−またはトリ−フルオロメチル;モノ−、ジ−またはトリ−クロロメチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−フルオロエチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−クロロエチル;および1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トルフルオロメチル−エチル。代表的なハロアルキル基はトルフルオロメチルおよびジフルオロメチルである。用語「ハロアルコキシ」は、酸素架橋を介して結合している、上記定義のハロアルキル基を指す。
2つの文字または記号の間ではない所に存在するダッシュ記号(「−」)は、置換基の結合点を示す。例えば−CONHは、炭素原子を介して結合される。
【0033】
「アリール」は、全ての環員が炭素であり、少なくとも1つの環が芳香族である、環式部分を指す。アリール基は、例えば、フェニルおよび縮合環を有する基、例えばナフチル、フルオレニル、インダニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルを含む。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香族環が、少なくとも1個の、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいる、芳香族基である。ヘテロアリールは例えば以下を含む:5−および6員ヘテロアリール、例えばイミダゾール、フラン、フラザン、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、テトラゾール、チアゾールおよびチオフェン、さらに、少なくとも1つがヘテロアリールである縮合環を含む基。
【0034】
本明細書において用いる「置換基」は、目的分子内の原子に共有結合している分子の部分を指す。例えば、環置換基は、環員である原子(好ましくは炭素または窒素原子)に共有結合している、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基または他の基などの部分であってよい。芳香族基の置換基は、一般に、環炭素原子に共有結合している。用語「置換」は、分子構造内の水素原子を、指定の原子の原子価を超えないように、および化学的に安定な化合物(すなわち、単離し、特徴付けし、および生物活性について試験することのできる化合物)が置換によって生じるように、置換基で置き換えることを指す。
【0035】
「随意に置換されている」基は、無置換であるか、または、水素以外により、1または2以上の利用可能な位置において、一般には1、2、3、4または5位において、1つまたは2つ以上の好適な基(これは同じであるか、または異なっていてよい)により置換されている。随意の置換はまた、「0〜X個の置換基により置換されている」との句によっても指示され、ここでXは、可能な置換基の最大数である。ある随意に置換された基は、0〜2、3または4個の独立して選択された置換基で置換されている(すなわち、これらは無置換であるか、または、挙げられた最大数までの置換基により置換されている)。他の随意に置換された基は、少なくとも1つの置換基により置換されている(例えば、1〜2、3または4個の独立して選択された置換基により置換されている)。
【0036】
用語「VR1」および「カプサイシン受容体」は、本明細書において、バニロイド受容体1型を指すのに同義で用いられる。他の指示がない限り、これらの用語はラットおよびヒトのVR1受容体(例えば、GenBank Accession Numbers AF327067およびAJ277028およびNM_018727;あるヒトVR1cDNAの配列およびコーディングされたアミノ酸配列は、米国特許第6,482,611号に提供されている)、および他の種に見出される相同体を包含する。
本明細書において「調節剤(modulator)」とも呼ばれる「VR1調節剤」は、VR1活性化および/またはVR1媒介性シグナル変換を調節する化合物である。本明細書に具体的に記載されるVR1調節剤は、式Iで表される化合物およびその薬学的に許容し得る塩、水和物およびエステルである。ある好ましいVR1調節剤は、バニロイドではない。VR1調節剤は、VR1アゴニストまたはアンタゴニストであってよい。ある調節剤は、VR1に、1マイクロモル未満、好ましくは500ナノモル未満、100ナノモル未満、10ナノモル未満または1ナノモル未満のKで結合する。VR1においてKを決定するための代表的なアッセイは、本明細書例5に提供される。
【0037】
調節剤は、バニロイドリガンドのVR1への結合および/またはVR1媒介性シグナル変換を、検出可能な程度抑制する場合(例えば、例6に提供される代表的なアッセイを用いて)には、「アンタゴニスト」と考えられる;一般に、かかるアンタゴニストは、VR1活性化を、例6に記載のアッセイにおいて、1マイクロモル未満、好ましくは500ナノモル未満、より好ましくは100ナノモル未満、10ナノモル未満または1ナノモル未満のIC50で抑制する。VR1アンタゴニストは、ニュートラルアンタゴニストおよびインバースアゴニストを含む。
【0038】
VR1の「インバースアゴニスト」は、バニロイドリガンドを加えることなく、VR1の活性を基底活性レベルより下に低下させる化合物である。VR1のインバースアゴニストはまた、バニロイドリガンドの活性を、VR1においておよび/またはバニロイドリガンドのVR1への結合において、抑制することができる。VR1アンタゴニストの存在による、VR1の基底活性およびVR1活性の低下は、例6のアッセイなどのカルシウム動員アッセイから決定することができる。
【0039】
VR1の「ニュートラルアンタゴニスト」は、VR1においてバニロイドリガンドの活性を抑制するが、受容体の基底活性を大幅に変化させない化合物である(すなわち、バニロイドリガンド不在のもとで行う例6に記載のカルシウム動員アッセイにおいて、VR1の活性を、10%以下、好ましくは5%以下、およびさらに好ましくは2%以下だけ、低下させるか;最も好ましくは、活性において検出可能な低下はない)。VR1のニュートラルアンタゴニストは、バニロイドリガンドのVR1への結合を抑制することができる。
【0040】
本明細書で用いられる「カプサイシン受容体アゴニスト」または「VR1アゴニスト」は、受容体の活性を、受容体の基底活性レベルより上に高める化合物である(すなわち、VR1活性、および/またはVR1媒介性のシグナル変換を増強する)。カプサイシン受容体アゴニスト活性は、例1に記載の代表的なアッセイを用いて同定することができる。一般にかかるアゴニストは、例6に記載のアッセイにおいて、1マイクロモル未満、好ましくは500ナノモル未満、より好ましくは100ナノモル未満または10ナノモル未満の、EC50値を有する。
【0041】
「バニロイド」は、2つの酸素原子が隣接する環炭素原子(この炭素原子の1つは、フェニル環に結合している第3部分の結合点に対してパラ位にある)に結合しているフェニル環を含む、任意の化合物である。カプサイシンは代表的なバニロイドである。「バニロイドリガンド」は、10μM以下のK(本明細書の記載と同様にして決定する)を有するVR1に結合するバニロイドである。バニロイドリガンドアゴニストは、カプサイシン、オルバニル、N−アラキドノリル−ドーパミンおよびレシニフェラトキシン(RTX)を含む。バニロイドリガンドアンタゴニストは、カプサゼピンおよびヨードレシニフェラトキシンを含む。
【0042】
「治療有効量」(または用量)は、患者に投与された場合に、識別可能な患者の利益をもたらす量である(例えば、少なくとも1つの処置される状態に対して検出可能な軽減を提供する)。かかる軽減は、痛みなどの1または2以上の症状の緩和を含む、任意の適切な基準によって検出してよい。治療有効量または用量は、一般に、体液(例えば血液、血漿、血清、CSF、滑液、涙または尿)における化合物の濃度を、バニロイドリガンドのVR1へのin vitroでの結合を変化させるか(例5に記載のアッセイを用いて)、および/またはVR1媒介性のシグナル変換を変化させる(例6に記載のアッセイを用いて)のに十分な程度とする。識別可能な患者の利益については、化合物が投与される適応症に依存して、単回投与後に明らかとなるか、または、所定の処方に従った治療有効量の繰り返しの投与後に明らかになることは明白である。
【0043】
本明細書で用いる「統計的に有意」とは、スチューデントt検定などの統計的有意性の標準的パラメトリックアッセイを用いて測定した場合に、p<0.1の有意水準において、対照とは異なる結果を意味する。
「患者」とは、本明細書に提供される化合物で処置される、任意の個体である。患者には、ヒトおよび他の動物、例えばペット(イヌやネコなど)および家畜を含む。患者は、カプサイシン受容体の調節に応答する状態の1または2以上の症状を経験しているか(例えば、痛み、バニロイドリガンドへの暴露、かゆみ、尿失禁、過活動膀胱、更年期、呼吸器疾患、咳および/またはくしゃみ)、または、1または2以上のかかる症状を患っていない(すなわち、処置は、かかる症状の発症のリスクが考えられる患者において、予防的であってよい)。
【0044】
cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体
上記のように、本発明は式Iで表されるcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体を提供する。ある側面において、かかる化合物は、以下を含む様々な状況において用いることのできる、VR1調節剤である:疼痛の処置(例えば神経障害性疼痛または末梢神経媒介性疼痛);カプサイシンへの暴露;酸、熱、光、催涙ガス、大気汚染物質(例えば煙草の煙)、病原菌(ウィルス、細菌および酵母菌を含む)、唐辛子スプレーまたは関連する剤への暴露;呼吸器の状態、例えば喘息または慢性閉塞性肺疾患;かゆみ;尿失禁または過活動膀胱;更年期症状、聴覚損傷(例えば蝸牛の損傷)、耳鳴り、聴覚過敏、糖尿病および前糖尿病状態(例えばインスリン抵抗性または耐糖能)、咳またはくしゃみ;および/または肥満。かかる化合物はまた、in vitroアッセイにおいて(例えば受容体活性のアッセイ)、VR1の検出および局在化用のプローブとして、ならびにリガンド結合およびVR1媒介性シグナル変換アッセイにおける標準としても、用いることができる。
【0045】
本発明の文脈において、式Iで表される化合物は、少なくとも部分的には式Iのピリミジノンの2位におけるcis−置換シクロヘキシル部分のために、予想外に高いVR1調節活性を有することが見出された。
上で述べたように、
【化5】

は、1、2または3個の環員がO、NおよびSから独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環員は炭素である、随意に置換された縮合5または6員ヘテロアリールを表す。ある態様において、
【化6】

は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルから独立して選択される、0〜2個の置換基で置換されている。さらなる態様において、
【化7】

は、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルおよびC〜Cハロアルキルから独立して選択される、0〜2個の置換基で置換されている。
【0046】
ある態様において、
【化8】

は、上記の(例えば、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルから独立して選択される)0〜2個の置換基で置換された5員ヘテロアリールである。ある態様において、
【化9】

は、次の式:
【化10】

式中、Rは、例えば水素、シアノ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、R’は、水素、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルアミノまたはC〜Cアルキルスルホニルアミノである、
のいずれかで表される5員ヘテロアリールである。代表的なかかる基は、例えば、
【化11】

【化12】

であり、この式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。ある態様において、
【化13】

である。かかる
【化14】

部分の配置は、示したように保持されることが意図される(例えば、
【化15】

の場合は、二環式のコア:
【化16】

である)。
【0047】
ある態様において、
【化17】

は、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、モノ−(C〜Cアルキル)アミノ、C〜CアルカノイルアミノおよびC〜Cアルキルスルホニルアミノから独立して選択される、0〜3個の置換基で置換されている、6員ヘテロアリールである;ある態様において、
【化18】

は、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択される、0〜2個の置換基で置換されている、6員ヘテロアリールである。代表的なかかる基は、例えば、
【化19】

であり、この式中、Rは、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択される、0〜1、2または3個の置換基を表す。
【0048】
Arは、上に述べたように、6〜10員アリールまたは5〜10員ヘテロアリールであり、これらの各々は随意に置換されている。代表的なAr基は以下を含む:随意に置換されたフェニル;随意に置換された6員ヘテロアリール基、例えばピリジルまたはピリミジニル;随意に置換された5員ヘテロアリール基、例えば
【化20】

ならびに縮合二環式基、例えば
【化21】

ならびに、縮合環が1または2個以上の追加の二重結合を含有する前記の変異体、例えば
【化22】

ならびに式:
【化23】

式中、nは0または1であり、T、UおよびVは、随意に置換された炭素および随意に置換された窒素から独立して選択される、で表される基。
【0049】
ある態様における変数Rは、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルから独立して選択される、0〜3個、好ましくは1〜3個の置換基を表す。例えば、ある態様において、Rは正確に1個の置換基(例えば環の結合点に対してパラ位における)を表す。ある態様において、Rで表される少なくとも1個の置換基は、ハロゲンまたはCNである;かかる置換基は、ある態様においてパラ位(すなわち、XがCHの場合は4位)に存在する。
【0050】
ある態様において、式Iの化合物はさらに、式III、IV、VまたはVIを満たす:
【化24】

この式中、Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;Rは、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;Rは、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される、0〜2個の置換基を表し;および、残りの変数は上記の通りである。ある態様において、RはハロゲンまたはCNである。
【0051】
変数Rは、式I〜VIのある態様において、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。代表的なR部分は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルを含む。
本明細書で提供される代表的な化合物は、例2および3において具体的に記載されたものを含むが、これに限定されない。本明細書に挙げた特定の化合物は代表的なもののみであり、本発明の範囲の限定を意図しないことは明白である。さらに、上に述べたように、本発明の全ての化合物は、遊離の酸または塩基として、または薬学的に許容し得る塩として存在することができる。さらに、かかる化合物の水和物およびプロドラッグなどの他の形態も、本発明により具体的に意図される。
【0052】
本発明のある態様において、本明細書で提供されるcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体は、カルシウム動員アッセイなどのin vitroVR1機能アッセイを用いて決定されるVR1活性を、検出可能な程度変化させる(調節する)。かかる活性の初めのスクリーニングとして、VR1リガンド結合アッセイを用いてよい。本明細書における「VR1リガンド結合アッセイ」への言及は、例5に記載されているような、標準のin vitro受容体結合アッセイへの言及を意図し、「カルシウム動員アッセイ」(本明細書においては「シグナル変換アッセイ」とも呼ばれる)は、例6の記載と同様にして行ってよい。簡潔に述べると、VR1への結合を評価するために競合アッセイを行うことができ、ここでは、VR1調製物を、VR1(例えば、RTXなどのカプサイシン受容体アゴニスト)に結合する標識された(例えば125IまたはH)化合物および非標識の試験化合物を用いてインキュベーションする。本明細書に記載のアッセイにおいて、用いるVR1は、好ましくは哺乳類のVR1であり、より好ましくはヒトまたはラットVR1である。受容体は、組換え的または自然に発現されてよい。VR1調製物は、例えば、組換え的にヒトVR1を発現するHEK293またはCHO細胞からの膜調製物であってよい。バニロイドリガンドのVR1への結合を検出可能な程度調節する化合物によるインキュベーションは、VR1調製物に結合した標識の量における増加または減少を、化合物不在下において結合した標識の量と比較した場合に、生じさせる。一般に、かかるアッセイにおいてVR1調製物に結合した標識の量を減少させる化合物が好ましい。
【0053】
本明細書で提供されるあるVR1調節剤は、ナノモル(すなわち、マイクロモル以下)の濃度において、ナノモル未満の濃度において、または100ピコモル、20ピコモル、10ピコモルまたは5ピコモル未満の濃度において、VR1活性を検出可能な程度調節する。
上記のように、ある態様においては、VR1アンタゴニストである化合物が好ましい。かかる化合物のIC50値は、例6に記載のように、標準のin vitroでのVR1媒介性のカルシウム動員アッセイを用いて決定することができる。簡潔に述べると、カプサイシン受容体を発現する細胞を、目的の化合物および細胞内カルシウム濃度の指示薬(indicator)(例えば、Fluo-3またはFura-2(Molecular Proves, Eugene, OR)などの膜透過性カルシウム感受性染料、これらの各々はCa++に結合すると蛍光シグナルを生成する)と接触させる。かかる接触は好ましくは、前記化合物および溶液中の指示薬のいずれかまたは両方を含む、緩衝液または培養培地中で、細胞を1または2回以上インキュベーションすることにより行う。接触は、染料が細胞内に入ることを許容するのに十分な時間、維持する(例えば1〜2時間)。細胞を洗浄するかまたはろ過して、過剰な染料を除去し、次にバニロイド受容体アゴニスト(例えばカプサイシン、RTXまたはオルバニル)と、一般的にはEC50濃度に等しい濃度において接触させ、蛍光反応を測定する。アゴニストが接触した細胞が、VR1アンタゴニストである化合物と接触すると、蛍光反応は一般に、試験化合物不在のもとでアゴニストと接触した細胞と比べて、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、およびより好ましくは少なくとも80%減少する。本明細書で提供されるVR1アンタゴニストのIC50は、好ましくは1マイクロモル未満、100nM未満、10nM未満または1nM未満である。ある態様において本明細書で提供されるVR1アンタゴニストは、IC50に等しい化合物濃度におけるカプサイシン受容体アゴニズム(agonism)のin vitroアッセイにおいて、検出可能なアゴニスト活性を示さない。あるかかるアンタゴニストは、IC50より100倍高い化合物濃度における、カプサイシン受容体アゴニズムのin vitroアッセイにおいて、検出可能なアゴニスト活性を示さない。
【0054】
他の態様においては、カプサイシン受容体アゴニストである化合物が好ましい。カプサイシン受容体アゴニスト活性は、一般に、例6の記載のようにして決定することができる。細胞を、VR1アゴニストである化合物1マイクロモルと接触させた場合、蛍光反応は一般に、細胞を100nMのカプサイシンと接触させた場合に観察されるより少なくとも30%の量のだけ、増加する。本明細書で提供されるVR1アゴニストのEC50は、好ましくは1マイクロモル未満、100nM未満または10nM未満である。
【0055】
VR1調節活性はまた、あるいは代替的に、例7に記載の培養後根神経節アッセイを用いて、および/または例8に記載のin vivo鎮痛アッセイを用いて評価してもよい。本明細書で提供されるVR1調節剤は好ましくは、本明細書に記載の1または2以上の機能アッセイにおいて、VR1活性に対する統計的に有意な特定の効果を有する。
ある態様において、本明細書で提供されるVR1調節剤は、他の細胞表面受容体、例えばEGF受容体チロシンキナーゼまたはニコチン性アセチルコリン受容体への、リガンドの結合を、顕著に調節しない。言い換えれば、かかる調節剤は、ヒト上皮細胞増殖因子(EGF)受容体チロシンキナーゼまたはニコチン性アセチルコリン受容体などの細胞表面受容体の活性を、顕著に阻害しない(例えば、かかる受容体におけるIC50またはIC40は、好ましくは1マイクロモルより大、および最も好ましくは10マイクロモルより大である)。好ましくは、調節剤は、EGF受容体活性またはニコチン性アセチルコリン受容体活性を、0.5マイクロモル、1マイクロモルまたはより好ましくは10マイクロモルの濃度において、検出可能な程度に阻害しない。細胞表面受容体活性を決定するためのアッセイは商業的に入手可能であり、Panvera(Madison, WI)から入手可能なチロシンキナーゼアッセイキットを含む。
【0056】
ある態様において、好ましいVR1調節剤は非鎮静的である。言い換えれば、鎮痛決定のための動物モデル(例えば本明細書の例8に記載のモデルなど)において、痛覚の消失(analgesia)を提供するのに十分な最小用量の2倍の、VR1調節剤の用量は、一時的にのみ(すなわち、痛み止めが効く時間の1/2以下のみの間持続する)か、または好ましくは、鎮静の動物モデルアッセイ(Fitzgerald et al., (1988) Toxicology 49(2-3):433-9に記載された方法を用いて)において統計的に有意でない、鎮静効果をもたらす。好ましくは、痛覚の消失を提供するのに十分な最小用量の5倍の用量は、統計的に有意な鎮静効果をもたらさない。より好ましくは、本明細書で提供されるVR1調節剤は、25mg/kg未満(好ましくは10mg/kg未満)の静脈内用量において、または140mg/kg未満(好ましくは50mg/kg未満、より好ましくは30mg/kg未満)の経口用量において、鎮静効果をもたらさない。
【0057】
必要に応じて、本明細書で提供される化合物は、一定の薬学的特性について評価してもよく、これらの特性は、限定することなく以下を含む:経口バイオアベイラビリティ(好ましい化合物は、経口用量において140mg/kg未満で、好ましくは50mg/kg未満で、より好ましくは30mg/kg未満で、さらにより好ましくは10mg/kg未満で、さらになお好ましくは1mg/kg未満で、および最も好ましくは0.1mg/kg未満で達成される化合物の治療有効濃度が許容される程度まで、経口的に生物が利用可能である)、毒性(好ましい化合物は、治療有効量が対象に投与された場合に無毒性である)、副作用(好ましい化合物は、化合物の治療有効量が対象に投与された場合に、プラシーボと同等の副作用を生成する)、血清タンパク結合ならびにin vitroおよびin vivo半減期(好ましい化合物は、Q.I.D.用量を、好ましくはT.I.D.用量を、より好ましくはB.I.D用量を、および最も好ましくは1日1回の用量を許容するin vivo半減期を示す)。さらに、脳血流関門の異なる通過は、次のように用いられるVR1調節剤に好ましく、すなわち上記の合計1日経口用量が、治療的に有効な程度にかかる調節を提供するような様式で、CNSのVR1活性を調節することにより痛みを処置するために用いられるVR1調節剤に望ましく、一方、末梢神経媒介性の痛みを処置するために用いられるVR1調節剤は、脳での低いレベルが好ましい(すなわち、かかる用量はVR1活性を顕著に調節するのに十分な化合物の脳でのレベル(例えばCSF)を提供しない)。当分野で知られているルーチンのアッセイを用いてこれらの特性を評価することができ、特定の使用のための、優れた化合物を同定することができる。
【0058】
例えば、バイオアベイラビリティを推定するために用いるアッセイには、Caco−2細胞単層を含む、ヒト腸細胞単層にわたる輸送を含む。化合物のヒトにおける脳血流関門の通過は、該化合物を(例えば静脈内投与で)与えた実験動物における化合物の脳レベルから、推定することができる。血清タンパク結合は、アルブミン結合アッセイから推定できる。化合物の半減期は、化合物の用量の頻度に反比例する。化合物のin vitro半減期は、例えば米国特許公開番号2005/0070547の例7に記載されているミクロソーム半減期アッセイから推定できる。
【0059】
上記のように、本明細書で提供される好ましい化合物は無毒性である。一般に、用語「無毒性」は、相対的な意味において理解されるべきであり、米国食品医薬品局(FDA)により哺乳類(好ましくはヒト)への投与が承認されたか、または、FDAにより哺乳類(好ましくはヒト)への投与が承認される余地のある、任意の物質を指すことが意図される。さらに、非常に好ましい無毒性の化合物は一般に、1または2以上の次の基準を満たす:(1)細胞ATP産生を顕著に阻害しない;(2)心臓QT間隔を大幅に引き伸ばさない;(3)顕著な肝腫大を引き起こさない、または(4)肝臓酵素の顕著な放出を引き起こさない。
【0060】
本明細書において用いる場合、細胞ATP産生を顕著に阻害しない化合物は、米国特許公開番号2005/0070547の例8に示された基準を満たす化合物である。すなわち、100μMのかかる化合物でこの記載の通りに処置された細胞は、処置なしの細胞において検出されるATPレベルの、少なくとも50%のATPレベルを示す。さらに好ましい態様において、かかる細胞は、処置なしの細胞において検出されるATPレベルの、少なくとも80%のATPレベルを示す。
心臓QT間隔を大幅に引き伸ばさない化合物は、モルモット、ミニブタ、またはイヌに、化合物のEC50またはIC50に等しい血清濃度を生じさせる用量を投与した場合に、心臓QT間隔(心電図検査法により決定される)の統計的に有意な延長をもたらさない化合物である。ある好ましい態様において、非経口または経口的に投与された、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40または50mg/kgの用量は、心臓QT間隔の統計的に有意な延長をもたらさない。
【0061】
化合物は、実験げっ歯類(例えばマウスまたはラット)を化合物のEC50またはIC50に等しい血清濃度を生じさせる用量で5〜10日間毎日処置した場合に、対応対照に対して体重に対する肝臓比率において100%未満の増加をもたらす場合にも、顕著な肝腫大を引き起こさない。さらに好ましい態様において、かかる用量は、対応対照の75%を超える、または50%を超える、肝腫大を引き起こさない。非げっ歯類である哺乳類(例えばイヌ)を用いる場合、かかる用量は、未処置の対応対照に対して、体重に対する肝臓比率において50%を超える増加をもたらさず、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満である。かかるアッセイにおける好ましい用量は、非経口または経口的に投与される、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40または50mg/kgの用量を含む。
【0062】
同様に、化合物は、VR1において化合物のEC50またはIC50に等しい血清濃度を生成する最少用量の2倍の投与が、実験動物(たとえばげっ歯類)のALT、LDHまたはASTの血清レベルを、擬似処置された対応対照の100%を超えるまでには上昇させない場合に、肝臓酵素の顕著な放出を促進しない。さらにより好ましい態様において、かかる用量は、対応対照の75%または50%を超えるまでにはかかる血清レベルを上昇させない。代替的に、化合物は次の場合に、肝臓酵素の顕著な放出を促進しない:すなわち、in vitroの肝細胞アッセイにおいて、化合物のEC50またはIC50に等しい濃度(in vitroで肝細胞に接触させられインキュベートされる培養培地中、または他のかかる溶液中において)が、擬似処置された対応対照から培地中に観察される基底レベルを超える、任意のかかる肝臓酵素の培養培地中への検出可能な放出を引き起こさない場合。さらにより好ましい態様においては、かかる化合物濃度が、化合物のEC50またはIC50の5倍、および好ましくは10倍である場合に、任意のかかる肝臓酵素の、培養培地中への基底レベルを超える検出可能な放出はない。
【0063】
他の態様において、ある好ましい化合物は、ミクロソームのチトクロームP450酵素活性を、例えばCYP1A2活性、CYP2A6活性、CYP2C9活性、CYP2C19活性、CYP2D6活性、CYP2E1活性またはCYP3A4活性を、VR1での化合物のEC50またはIC50に等しい濃度において、抑制したり、または誘発することはない。
ある好ましい化合物は、化合物のEC50またはIC50に等しい濃度において、染色体異常誘発性ではない(例えば、マウスの赤血球前駆体細胞小核試験、Ames小核試験、らせん小核試験などを用いて決定されるように)。他の態様において、ある好ましい化合物は、かかる濃度において姉妹染色分体交換(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞において)を誘発しない。
【0064】
検出の目的で、以下にさらに詳細に記載されるように、本明細書で提供されるVR1調節剤は、同位体標識または放射標識されていてもよい。例えば、化合物は、同じ要素の原子であって、天然に通常見出される原子質量または原子番号とは異なる原子質量または原子番号を有する前記原子により置換された、1または2個以上の原子を有してよい。本明細書で提供される化合物中に存在可能な同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clである。さらに、例えばジュウテリウム(すなわちH)などの重同位体による置換は、より高い代謝安定性から生じる一定の治療的有効性、例えば、in vivo半減期の増加または必要用量の減少をもたらす可能性があり、したがっていくつかの状況においてはより好ましい。
【0065】
cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体の調製
cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体は一般に、標準の合成法を用いて調製することができる。出発物質はSigma-Aldrich Corp. (St. Louis, MO)などの供給業者から商業的に入手可能であるか、または市販の前駆体から、確立されたプロトコルを用いて合成することができる。例として、以下のスキームのいずれかに示されたものと類似の合成経路を、合成有機化学の分野で知られた合成法と共に用いることができる。以下のスキームにおいて、各変数は、本明細書で提供される化合物の説明に整合する任意の基を指す。
【0066】
以下のスキームおよび本明細書の他の部分において用いられる一定の略号は以下を含む:
δ 化学シフト
DCM ジクロロメタン
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
H NMR プロトン核磁気共鳴
HPLC 高圧液体クロマトグラフィ
Hz ヘルツ
Me メチル
min 分
MS 質量分析
(M+1) 質量+1
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
RT 室温
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィ
【0067】
【化25】

【0068】
ある態様において、本明細書で提供される化合物は、1または2個以上の不斉炭素原子を含んでよく、これにより、該化合物は異なる立体異性体形態で存在することができる。かかる形態は、例えば、ラセミ体または光学活性体であることができる。上記のように、本発明は全てのcis−シクロヘキシル立体異性体を包含する。しかし、単一のエナンチオマー(すなわち、光学活性体)を得ることが望ましい場合もある。単一のエナンチオマーを調製するための標準法は、不斉合成およびラセミ体の分解を含む。ラセミ体の分解は、例えば、分解剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィなどの従来法により、実施することができる。
【0069】
化合物は、放射性同位体である少なくとも1個の原子を含む前駆体を用いて化合物の合成を行うことにより、放射標識してもよい。各放射性同位体は、好ましくは炭素(例えば14C)、水素(例えばH)、イオウ(例えば35S)、またはヨウ素(例えば125I)である。トリチウム標識化合物はまた、化合物を基質として用いた、トリチウム化酢酸でのプラチナ触媒交換、トリチウム化トリフルオロ酢酸での酸触媒交換、またはトリチウムガスによる不均一触媒交換を介して、触媒的に調製することもできる。さらに、ある前駆体を、必要に応じて、トリチウムガスによるトリチウム−ハロゲン交換、不飽和結合のトリチウムガス還元、またはボロトリチドナトリウム(sodium borotritide)を用いた還元に付すこともできる。放射標識化合物の調製は、放射標識プローブ化合物のカスタム合成を専門とする放射性同位体供給業者により、便利に行うことができる。
【0070】
医薬組成物
本発明はまた、本明細書で提供される1または2種以上の化合物を、少なくとも1種の生理学的に許容し得る担体または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、例えば、1または2以上の、水、緩衝液(例えば中性緩衝食塩水またはリン酸緩衝食塩水)、エタノール、鉱油、植物油、ジメチルスルホキシド、炭水化物(例えばグルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、アジュバント、ポリペプチドまたはグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、EDTAなどのキレート化剤またはグルタチオンおよび/または保存剤を含んでよい。さらに他の活性成分も、本明細書で提供される医薬組成物に含まれてよい(しかし含まれる必要はない)。
【0071】
医薬組成物は、局所的、経口、鼻腔内、直腸内または非経口投与を含む、任意の適切な投与の様式用に製剤化することができる。本明細書で用いる非経口の用語は、経皮、皮内、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、くも膜下腔内および腹腔内注射、および任意の類似の注射または注入技術を含む。ある態様においては、経口使用に適する組成物が好ましい。かかる組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性または油性の懸濁液、分散性の粉末もしくは顆粒、乳剤、硬質もしくは軟質カプセル、またはシロップまたはエリキシル剤を含む。さらに他の態様において、医薬組成物は凍結乾燥物として製剤化してもよい。局所投与用の製剤は、ある条件に対して好ましい(例えば、火傷またはかゆみなどの皮膚状態の処置において)。膀胱内への直接投与用(膀胱内投与)の製剤は、尿失禁および過活動膀胱の処置に好ましい。
【0072】
経口的使用を意図する組成物はさらに、甘味剤、香味剤、着色剤、および/または保存剤などの1または2種以上の成分を、美味しそうで口当たりのよい調製物を提供するために、含むことができる。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に好適な生理学的に許容し得る賦形剤との混合物において含有する。かかる賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、造粒および粉状化剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム)および湿潤剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)を含む。錠剤は、乾燥造粒、直接圧縮および湿式造粒法を含む、標準の技術を用いて形成することができる。錠剤は、被覆なしでもよく、または既知の技術により被覆されてもよい。
【0073】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される、硬質ゼラチンカプセルとして提供されてもよく、または、活性成分が水または油性媒体(例えばラッカセイ油、液体パラフィンまたはオリーブ油)と混合される、軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
水性懸濁液は、1または2種以上の活性物質を、好適な賦形剤との混合において含有し、該賦形剤は例えば以下である:懸濁化剤(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴム);および分散剤または湿潤剤(例えば、レシチンなどの天然のリン脂質、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合物でステアリン酸ポリオキシエチレンなど、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物でヘプタデカエチレンオキシセタノールなど、酸化エチレンと、脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルとの縮合物でポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど、または、酸化エチレンと、脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合物でポリエチレンソルビタンモノオレエートなど)。水性懸濁液はまた、1または2種以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピルなど、1または2種以上の着色剤、1または2種以上の香味剤、および/または甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリンなども含んでよい。
【0074】
油性懸濁液は、1または2種以上の活性成分を、植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナツ油)または液体パラフィンなどの鉱油中に懸濁させて製剤化することができる。油性懸濁液は、みつろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの粘稠化剤を含有してもよい。上記したものなどの甘味剤、および/または香味剤は、口当たりのよい経口製剤を提供するために加えてよい。かかる懸濁液は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存することができる。
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散可能な粉末および顆粒は、活性成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1または2以上の保存剤との混合において提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤の例は、上に記載したものである。追加の賦形剤、例えば甘味剤、香味剤および着色剤もまた、存在することができる。
【0075】
医薬組成物はまた、水中油型乳剤としても製剤化することができる。油相は、植物油(例えばオリーブ油またはラッカセイ油)、鉱油(例えば液体パラフィン)またはこれらの混合物であってよい。好適な乳化剤は、天然のゴム(例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然のリン脂質(例えば大豆レシチン、および脂肪酸とヘキシトール由来のエステルまたは部分エステル)、無水物(例えばモノオレイン酸ソルビタン)および脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルと、酸化エチレンとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を含む。乳剤はまた、1または2種以上の甘味剤および/または香味剤も含んでよい。
シロップおよびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と共に製剤化することができる。かかる製剤はまた、1または2種以上の鎮痛薬、保存剤、香味剤および/または着色剤を含んでよい。
【0076】
局所投与用の製剤は一般に、局所的ビヒクルを1または2種以上の活性剤と組み合わせて、追加の随意の成分ありまたはなしで、含む。好適な局所的ビヒクルおよび追加成分は当分野に周知であり、ビヒクルの選択は、特定の物理的形状および送達の様式に依存することは明らかである。局所的ビヒクルは、以下を含む:水;アルコールなどの有機溶媒(例えばエタノールまたはイソプロピルアルコール)またはグリセリン;グリコール(例えばブチレン、イソプレンまたはプロピレングリコール);脂肪族アルコール(例えばラノリン);水と有機溶媒の混合物、および例えばアルコールとグリセリンなどの複数有機溶媒の混合物;脂質ベースの物質、例えば脂肪酸、アシルグリセロール(例えば鉱油などの油、および天然または合成由来の脂肪を含む)、ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質およびろう;タンパク質ベースの物質、例えばコラーゲンおよびゼラチン;シリコーンベースの物質(非揮発性および揮発性);および炭化水素ベースの物質、例えばマイクロスポンジおよびポリマーマトリクス。組成物はさらに、適用される製剤の安定性または有効性を改善するよう適合された、1または2種以上の成分を含んでよく、これらは例えば以下である:安定化剤、懸濁化剤、乳化剤、粘度調節剤、ゲル化剤、保存剤、抗酸化剤、皮膚透過増強剤、保湿剤および持続放出物質。かかる成分の例は、Martindale--The Extra Pharmacopoeia (Pharmaceutical Press, London 1993)およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA (2005)に記載されている。製剤は、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロ乳剤、ナノ粒子またはナノカプセルなどのマイクロカプセルを含んでよい。
【0077】
局所用製剤は、例えば固体、ペースト、クリーム、泡沫、ローション、ゲル、粉末、水性液体および乳濁液を含む任意の種々の物理形状に調製することができる。かかる医薬的に許容し得る形態の物理的外見および粘性は、製剤中に存在する1または2種以上の乳化剤および粘度調節剤の存在および量によって調節することができる。固体は、一般に硬く、流し込むことができず、通常は棒またはスティック状に、または粒子形状に製剤される;固体は不透明または透明であることができ、随意に、溶媒、乳化剤、保湿剤、緩和剤、フレグランス、染料/着色剤、保存剤および最終生成物の有効性を増加または増強する他の活性成分を含むことができる。クリームおよびローションは多くの場合互いに類似しており、主にその粘度において異なる;クリームおよびローションは両方とも、不透明、半透明または透明であってよく、多くの場合、乳化剤、溶媒、および粘度調節剤、ならびに保湿剤、緩和剤、フレグランス、染料/着色剤、保存剤、および最終生成物の有効性を増加または増強する他の活性成分を含むことができる。ゲルは、どろどろした、または高粘度のものから薄い、または低粘度のものまでの一定範囲の粘度を有して、調製可能である。これらの製剤は、ローションおよびクリーム状のものと同様に、溶媒、乳化剤、保湿剤、緩和剤、フレグランス、染料/着色剤、保存剤、および最終生成物の有効性を増加または増強する他の活性成分を含むことができる。液体はクリーム、ローションまたはゲルよりも薄く、多くの場合乳化剤を含まない。多くの液体状局所用製品は、溶媒、乳化剤、保湿剤、緩和剤、フレグランス、染料/着色剤、保存剤、および最終生成物の有効性を増加または増強する他の活性成分を含む。
【0078】
局所用製剤において用いるのに好適な乳化剤には、イオン性乳化剤、セテアリルアルコール、非イオン性乳化剤例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、PEG−40ステアレート、セテアレス−12、セテアレス−20、セテアレス−30、セテアレスアルコール、PEG−100ステアレートおよびステアリン酸グリセリルを含むが、これに限定されない。好適な粘度調節剤は、保護コロイドまたは非イオン性ゴム、例えばヒドロキシエチルセルロース、キサンタンゴム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、シリカ、微結晶ワックス、みつろう、パラフィン、およびパルミチン酸セチルを含むが、これに限定されない。ゲル組成物は、ゲル化剤の添加により形成することができ、ゲル化剤は例えば、チトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリクオタニウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマーまたはアンモニア処理グリチルリチン酸である。好適な界面活性剤は、非イオン性、両性、イオン性およびアニオン性界面活性剤を含むが、これに限定されない。例えば1または2以上の、ジメチコンコポリオール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウラミドDEA、コカミドDEA、およびコカミドMEA、オレイルベタイン、コカミドプロピルホスファチジルPG−ジモニウムクロリド、および硫酸ラウレスアンモニウムも、局所的製剤内で用いることができる。
【0079】
好適な保存剤は以下を含むがこれに限定されない:抗菌剤、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、安息香酸、およびホルムアルデヒド、ならびに物理的安定剤および抗酸化剤、例えばビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム/アスコルビン酸および没食子酸プロピル。好適な保湿剤は、乳酸および他のヒドロキシ酸ならびにそれらの塩、グリセリン、プロピレングリコールおよびブチレングリコールを含むが、これに限定されない。好適な緩和剤は、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル、および鉱油を含む。好適なフレグランスおよび着色剤は、FD&C Red No. 40およびFD&C Yellow No. 5を含むが、これに限定されない。局所用製剤が含むことのできる他の好適な追加の成分は、以下を含むがこれに限定されない:研磨剤、吸収剤、アンチケーキング剤、消泡剤、静電防止剤、収斂剤(例えばマンサク、アルコールおよび例えばカモミール抽出物などのハーブ抽出物、)、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート化剤、塗膜形成剤、調整剤、推進剤、不透明剤、pH調節剤および保護剤。
【0080】
ゲルの製剤に好適な局所用ビヒクルの例は以下である:ヒドロキシプロピルセルロース(2.1%);70/30イソプロピルアルコール/水(90.9%);プロピレングリコール(5.1%);およびポリソルベート80(1.9%)。泡沫として製剤化するために好適な局所用ビヒクルの例は以下である:セチルアルコール(1.1%);ステアリルアルコール(0.5%;クオタニウム52(1.0%);プロピレングリコール(2.0%);エタノール95PGF3(61.05%);脱イオン水(30.05%);P75炭化水素推進剤(4.30%)。パーセントは全て重量パーセントである。
局所用組成物の送達の代表的な様式は、指による適用;布、ティッシュ、綿棒、スティックまたはブラシなどの物理的アプリケータを用いる適用;吹付け(スプレー)(ミスト、エアロゾル、または泡沫吹付けを含む);ドロッパー適用;振りまき(スプリンクリング);浸漬;およびすすぎを含む。
【0081】
医薬組成物は、無菌の注射用水性または油性懸濁液として調製することもできる。本明細書で提供される1または2種以上の化合物は、用いるビヒクルおよび濃度に依存して、ビヒクルに懸濁させるか、または溶解させることができる。かかる組成物は、公知の技術にしたがって、上に記したものなどの好適な分散剤、湿潤剤および/または懸濁剤を用いて、製剤化することができる。使用可能な許容し得るビヒクルおよび溶媒は、水、1,3−ブタンジオール、リンガー溶液および等張食塩水である。さらに、無菌の固定油も、溶媒または懸濁媒体として用いてよい。この目的で、任意の無刺激性固定油を用いてよく、合成モノ−またはジグリセリドを含む。さらにオレイン酸などの脂肪酸も、注射用組成物の調製において使用が見出され、アジュバント、例えば局所麻酔薬、保存剤および/または緩衝剤も、ビヒクルに溶解可能である。
【0082】
医薬組成物はまた、座剤(例えば、直腸内投与用)として製剤化することもできる。かかる組成物は、薬物を、通常温度では固体であるが、直腸内温度では液体の、したがって直腸で溶けて薬物を放出する好適な非刺激性の賦形剤と混合することにより、調製できる。好適な賦形剤は、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコールを含む。
吸入用の組成物は一般に、溶液、懸濁液、もしくは乾燥粉末として投与可能な乳濁物の形態で、または従来の推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン)を用いるエアロゾルの形態で、提供することができる。
【0083】
医薬組成物は、所定の速度で放出されるように製剤化することができる。瞬時放出は、例えば、舌下投与を介して実現できる(すなわち、1または2以上の活性成分が、消化管を介するよりも舌下にて血管壁を介して迅速に吸収されるような方法での、口内投与)。制御放出製剤(すなわち、投与後の1または2以上の活性成分の放出を減速するか、および/または遅延させる、カプセル、錠剤またはコーティング錠剤などの製剤)は、例えば、経口、直腸内、または皮下移植により、または標的部位での移植により、投与することができる。一般に制御放出製剤は、消化管(または移植部位)での分解および吸収を遅延させるマトリクスおよび/またはコーティングを含み、これにより、より長い期間にわたり、作用の遅延または作用の持続を提供する。制御放出製剤の1つの種類は、持続放出製剤であり、ここでは少なくとも1種の活性成分が、ある期間、一定の速度で、連続して放出される。
【0084】
好ましくは、治療剤は、血液(例えば血漿)濃度が治療範囲内であって毒性のレベルより下である範囲に、少なくとも4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも12時間にわたって維持されるような速度で放出される。かかる製剤は、一般に、よく知られた技術により調製し、例えば経口、直腸内または皮下移植により、または所望の標的部位への移植により、投与することができる。かかる製剤で用いるための担体は生体適合性であり、また生分解性であってもよい;好ましくは、製剤は比較的一定レベルの調節剤を放出する。持続放出製剤内に含有される調節剤の量は、例えば、移植の部位、放出の速度および期待される持続時間、ならびに処置または予防される状態の性質に依存する。
【0085】
制御放出は、1または2種以上の活性成分を、それ自体が放出速度を変化させるマトリクス材料と組み合わせることにより、および/または制御放出コーティングの使用を通して、実現される。放出速度は、当分野に公知の方法を用いて変化させることができ、これには、(a)コーティングの厚さまたは組成を変えること、(b)コーティングにおける可塑剤の添加量またはその様式を変えること、(c)放出修飾剤などの追加成分を加えること、(d)マトリクスの組成、粒径または粒子形状を変えること、および(e)コーティングを通過する1または2以上の通路を提供すること、を含む。持続放出製剤が含有する調節剤の量は、例えば、投与方法(例えば移植の部位)、放出の速度および期待される持続時間、ならびに処置または予防される状態の性質に依存する。
【0086】
マトリクス材料は、それ自体制御放出機能を持っていてもいなくてもよく、一般に、1または2種以上の活性成分を保持する、任意の材料である。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を用いてよい。1または2種以上の活性成分は、マトリクス材料と、剤形(例えば錠剤)の形成の前に混合してよい。この代わりに、またはこれに加えて、1または2種以上の活性成分を、マトリクス材料を含む粒子、顆粒、球体、微細球体、ビーズまたはペレットの表面にコーティングしてもよい。かかるコーティングは、従来の方法により、例えば、1または2種以上の活性成分を水または他の好適な溶媒に溶解し、噴霧することにより、実現してよい。随意に、追加成分を、コーティングの前に加える(例えば、1または2種以上の活性成分のマトリクス材料への結合を支援するため、または溶液を着色するために)。マトリクスは次に、遮断剤(barrier agent)で、制御放出コーティングの適用の前に被覆してもよい。必要に応じて、多層被覆マトリクスユニットは、最終剤形の生成のためにカプセル化してもよい。
【0087】
ある態様において、制御放出は、制御放出コーティングの使用により実現される(すなわち、1または2種以上の活性成分の、水性媒体中での制御された速度における放出を可能とするコーティング)。制御放出コーティングは、強度のある連続したフィルムであって、滑らかで、顔料および他の添加剤を支持することができ、無毒性、不活性および不粘着性であるべきである。調節剤の放出を調節するコーティングは、pH独立性コーティング、pH依存性コーティング(胃内に調節剤を放出するため用いることができる)および腸溶コーティング(これは製剤が胃を無傷で通過して小腸へと進むことを許容し、小腸においてコーティングは溶解し、中身が身体に吸収される)を含む。多層コーティングを用いてよいことは明らかである(例えば、用量の一部は胃で放出され、一部はさらに胃腸管に沿って放出されることを可能とする)。例えば、1または2種以上の活性成分の一部は、腸溶コーティング上に被覆され、これにより胃内で放出され、一方、マトリクスコア内の残りの活性成分は腸溶コーティングによって保護され、GI管のさらに下部で放出される。pH依存性コーティングは、例えば、セラック、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル(polyvinyl acetate phthalate)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸エステルコポリマーおよびゼインを含む。
【0088】
ある態様において、コーティングは疎水性材料であり、好ましくは、投与後にゲル化剤の水和作用を遅延させるのに有効な量で用いる。好適な疎水性材料は以下を含む:アルキルセルロース(例えば、エチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース)、セルロースエーテル、セルロースエステル、アクリルポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アルカミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、アンモニオメタクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリレートコポリマー)、およびこれらの混合物。エチルセルロースの代表的な水性分散物は、例えば、AQUACOAT(登録商標)(FMC Corp., Philadelphia, PA)およびSURELEASE(登録商標)(Colorcon, Inc., West Point, PA)を含み、これらは両者とも、製造業者の指示に従って基質に適用可能である。代表的なアクリルポリマーは、例えば、種々のEUDRAGIT(登録商標)(Rohm America, Piscataway, NJ)ポリマーを含み、これらは、所望の放出プロファイルに依存し、製造業者の指示に従って、単一でまたは組み合わせて用いることができる。
【0089】
疎水性材料の水性分散液を含むコーティングの物理的特性は、1または2種以上の可塑剤の添加により改善することができる。アルキルセルロースのための好適な可塑剤は、例えば、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンを含む。アクリルポリマーのための好適な可塑剤は、例えば、クエン酸トリエチルおよびクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油およびトリアセチンを含む。
【0090】
制御放出コーティングは一般に、水性分散液の形態における吹き付けなどの、従来技術を用いて適用される。所望により、コーティングは孔またはチャネルを含んで、活性成分の放出を促進することができる。孔およびチャネルは、よく知られた方法により生成でき、これには、使用環境においてコーティングから溶解、抽出または滲出される、有機または無機材料の添加を含む。ある種のこのような孔形成材料は、以下を含む:親水性ポリマー、例えばヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、セルロースエーテル、合成水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンおよび酸化ポリエチレン)、水溶性ポリデキストロース、サッカリドおよびポリサッカリドおよびアルカリ金属塩。この代わりに、またはこれに追加して、制御放出コーティングは、1または2種以上の開口(orifice)を含んでもよく、これは、米国特許第3,845,770号;第4,034,758号;第4,077,407号;第4,088,864号;第4,783,337号および第5,071,607号に記載の方法などにより形成することができる。制御放出はまた、従来技術を用いた経皮パッチの使用を通して実現することもできる(例えば、米国特許第4,668,232号参照)。
【0091】
制御放出製剤およびその成分のさらなる例は、例えば、次の米国特許に見出すことができる:4,572,833;4,587,117;4,606,909;4,610,870;4,684,516;4,777,049;4,994,276;4,996,058;5,128,143;5,202,128;5,376,384;5,384,133;5,445,829;5,510,119;5,618,560;5,643,604;5,891,474;5,958,456;6,039,980;6,143,353;6,126,969;6,156,342;6,197,347;6,387,394;6,399,096;6,437,000;6,447,796;6,475,493;6,491,950;6,524,615;6,838,094;6,905,709;6,923,984;6,923,988;および6,911,217;これらの各々は、制御放出剤形の調製の教示について、本明細書に参照として組み込まれる。
【0092】
投与の上記の様式に加えて、またはこれと共に、本明細書で提供される化合物は食品または飲料水に便利に添加することができる(例えば、ペット動物(イヌおよびネコなど)および家畜を含む、非ヒト動物への投与のために)。動物の餌および飲料水の成分は、動物がその食事と共に適切な量の組成物を摂取するように製剤化してよい。組成物を餌または飲料水用のプレミックス物として提供することも便利である。
【0093】
化合物は一般に、治療有効量で投与される。好ましい全身用量は、1日体重1kg当たり50mg以下(例えば、1日体重1kg当たり約0.001mg〜50mgの範囲)であり、経口用量は静脈内用量(例えば、1日体重1kg当たり約0.01mg〜40mgの範囲)より5〜20倍高い。
担体材料と組み合わせて単一用量を作ることのできる活性成分の量は、例えば処置される患者、投与の特定の様式および任意の他の共同投与薬剤などに依存して変化する。用量単位は一般に、約10μg〜約500mgの活性成分を含む。最適用量は、ルーチンの試験および当分野で公知の手順を用いて確立することができる。
【0094】
医薬組成物は、VR1の調節に応答する状態(例えば、バニロイドリガンドまたは他の刺激物への暴露、痛み、かゆみ、肥満または尿失禁の処置)を処置するためにパッケージ化してもよい。パッケージ化された医薬組成物は一般に、(i)本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤を含む、医薬組成物を保持する容器、および(ii)含まれている組成物は、患者においてVR1調節に応答する状態を処置するために用いることを指示する、指示書(例えば、ラベルまたはパッケージ挿入物)を含む。
【0095】
使用法
本明細書で提供されるVR1調節剤を用いて、in vitroおよびin vivo両方において、種々の文脈においてカプサイシン受容体の活性および/または活性化を変えることができる。ある態様において、VR1アンタゴニストを用いて、バニロイドリガンドアゴニスト(カプサイシンおよび/またはRTXなど)の、in vitroまたはin vivoでのカプサイシン受容体への結合を抑制することができる。一般に、かかる方法は、カプサイシン受容体を、本明細書で提供される1または2種以上のVR1調節剤と、水溶液中のバニロイドリガンドの存在下において、リガンドのカプサイシン受容体への結合にそれ以外は好適な条件下において、接触させるステップを含む。1または2種以上のVR1調節剤は一般に、バニロイドリガンドのVR1へのin vitroでの結合(例5に記載のアッセイを用いて)、および/またはVR1媒介性シグナル変換(例6に記載のアッセイを用いて)を変化させるのに十分な濃度で存在する。カプサイシン受容体は、溶液もしくは分散液(例えば、単離された膜または細胞調製物)中に、または、培養細胞もしくは単離細胞内に存在してよい。ある態様において、カプサイシン受容体は、患者に存在する神経細胞により発現され、水溶液は体液である。好ましくは、1または2種以上のVR1調節剤は、動物に対して、VR1調節剤が動物の少なくとも1種の体液中に治療有効濃度、すなわち5マイクロモル以下;好ましく1マイクロモル以下;より好ましくは100ナノモル以下の濃度で存在するような量で、投与される。例えば、かかる化合物は、20mg/体重1kg未満、好ましくは5mg/1kg未満、およびある場合においては1mg/kg未満の治療有効用量で投与してよい。
【0096】
本明細書でさらに提供されるのは、細胞カプサイシン受容体のシグナル変換活性(すなわち、カルシウムコンダクタンス)を調節するための、好ましくは低下させるための方法である。かかる調節は、カプサイシン受容体を(in vitroまたはin vivoのどちらかで)、本明細書で提供される1または2種以上のVR1調節剤に、1または2種以上のVR1調節剤の受容体への結合に好適な条件下で接触させることにより、実現することができる。1または2種以上のVR1調節剤は一般に、本明細書に記載のように、バニロイドリガンドのVR1へのin vitroでの結合、および/またはVR1媒介性シグナル変換を変化させるのに十分な濃度で存在する。受容体は、溶液もしくは分散液中に、または培養細胞もしくは単離細胞調製物中に、または患者の細胞内に存在してよい。例えば、細胞は神経細胞であってよく、これは動物内でin vivoで接触される。代替的に細胞は、膀胱上皮細胞(尿路上皮細胞)または気道上皮細胞などの上皮細胞であってもよく、これは動物内でin vivoで接触される。シグナル変換活性の調節は、カルシウムイオンコンダクタンスへの効果を検出することにより評価することができる(カルシウム動員またはフラックスとも呼ぶ)。代替的に、シグナル変換活性の調節は、本明細書で提供される1または2種以上のVR1調節剤で処置される患者の症状(例えば、痛み、焼け付くような感覚、気管支収縮、炎症、咳、くしゃみ、かゆみ、尿失禁または過活動膀胱、または更年期症状)の変化を検出することにより評価することができる。
【0097】
本明細書において提供される1または2種以上のVR1調節剤は、好ましくは患者(例えばヒト)に、経口的または局所的に投与され、動物の少なくとも1種の体液中に存在して、VR1シグナル変換活性を調節する。かかる方法で用いるのに好ましいVR1調節剤は、VR1シグナル変換活性を、in vitroにおいて1ナノモル以下の濃度、好ましくは100ピコモル以下、より好ましくは20ピコモル以下の濃度において、およびin vivoにおいて血液などの体液中、1マイクロモル以下の濃度、好ましくは500ナノモル以下、または100ナノモル以下の濃度において、調節する。
【0098】
本発明はさらに、VR1調節に応答する状態を処置するための方法を提供する。本発明の文脈において、用語「処置」は、疾患修飾的処置(disease-modifying treatment)および対症処置(symptomatic treatment)の両方を包含し、これらのどちらも、予防的(すなわち、症状の発症前に、症状の重篤度を予防、遅延または減少させるために)または治療的(すなわち、症状の発症後に、症状の重篤度および/または持続時間を低減させるために)であってよい。状態が「VR1調節に応答する」とは、局所的に存在するバニロイドリガンドの量に関係なく、カプサイシン受容体の不適切な活性を特徴とするか、および/またはカプサイシン受容体活性の調節が、その状態または症状の緩和をもたらすことを意味する。かかる状態は、例えば以下を含む:VR1活性化刺激に暴露されることによる症状、痛み、呼吸器疾患(例えば咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、膵嚢胞性繊維症およびアレルギー性鼻炎を含む鼻炎、例えば季節性および永続性の鼻炎、および非アレルギー性鼻炎)、うつ、かゆみ、尿失禁、過活動膀胱、更年期症状、聴覚障害(例えば蝸牛の障害)、耳鳴り、聴覚過敏、糖尿病および前糖尿病症状(例えば、インスリン抵抗性または糖耐性)、くしゃみおよび肥満などの、以下にさらに詳細に記載されるもの。かかる状態は、当分野において確立された基準を用いて診断およびモニタリングすることができる。患者は、ヒト、ペットおよび家畜を含むことができ、用量は上記の通りである。
【0099】
処置計画は、用いる化合物および処置される特定の状態に依存して変わり得る;しかし、ほとんどの疾病の処置に対して、1日4回以下の投与が好ましい。一般に、1日2回の投与計画がより好ましく、1日1回の投与が特に好ましい。急性の疼痛の処置に対して、有効濃度を迅速に達成する単回投与が望ましい。しかし、任意の特定の患者用の具体的な用量レベルおよび処置計画は、種々の要因に依存し、これには、用いる具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路および排泄率、薬剤の組合せおよび治療を行う特定の疾患の重篤度などを含む。一般に、有効な治療を提供するのに十分な、最小用量の使用が好ましい。患者は一般に、治療の有効性について、処置または予防される状態に好適な医学または獣医学の基準を用いて、モニタリングすることができる。
【0100】
カプサイシン受容体活性化刺激への暴露により生じる症状を経験している患者には、熱、光、催涙ガスまたは酸による火傷を有する個人、および、カプサイシン(例えばホットペッパーまたは唐辛子スプレーから)または関連する刺激物、例えば酸、催涙ガス、病原菌類もしくは大気汚染物質類に粘膜が暴露されている者(摂取、吸入または眼への接触)を含む。生じる症状(本明細書で提供されるVR1調節剤、特にアンタゴニストを用いて処置できるもの)は、例えば、痛み、気管支収縮および炎症を含んでよい。
【0101】
本明細書で提供されるVR1調節剤を用いて処置できる痛みは、慢性または急性の、末梢神経媒介性疼痛(特に神経障害性疼痛)を含んでよいが、これに限定されない。本明細書で提供される化合物は、例えば以下の処置に用いることができる:乳房切除術後の疼痛症候群、断端痛、幻肢痛、口腔神経障害性疼痛、歯痛(歯の痛み)、義歯の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、化学療法誘発性神経障害、反射性交感神経性ジストロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛、ギランバレー症候群、感覚異常性大腿神経痛、口腔灼熱症候群、および/または神経および歯根に関連する痛みであって、末梢神経障害に関連する痛みを含むもの(例えば、神経エントラップメントおよび腕神経叢剥離(brachial plexus avulsion)、切断術、末梢神経障害であって、両側性末梢神経障害、疼痛性チック、異型顔面疼痛、神経根障害、およびクモ膜炎を含むもの。さらなる神経障害性疼痛状態は、以下を含む:灼熱痛(灼熱痛−RSD、末梢神経の損傷に二次的に生じるもの)、神経炎(例えば、坐骨神経炎、末梢神経炎、多発性神経炎、視神経炎、発熱後神経炎、遊走性神経炎、分節性神経炎、およびゴンボー神経炎を含む)、
【0102】
ニューロン炎、神経痛(例えば、上記のもの、頚腕神経痛、頭部神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、片頭痛性神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、顎関節神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スラダー神経痛、脾口蓋(splenopalatine)神経痛、眼窩上神経痛およびヴィディウス神経痛)、手術関連疼痛、筋骨格痛、顔面筋痛症候群、AIDS関連神経障害、MS関連神経障害、中枢神経系疼痛(たとえば、脳幹障害、坐骨神経痛および強直性脊椎炎による痛み)、および脊髄損傷関連疼痛を含む脊髄の疼痛。末梢神経活性の関与する頭痛を含む頭痛もまた、本明細書の記載と同様にして処置することができる。かかる痛みは、例えば、洞頭痛、群発性頭痛(すなわち片頭痛性神経痛)および緊張性頭痛、片頭痛、側頭下顎疼痛および上顎洞疼痛を含む。例えば片頭痛は、患者が片頭痛前の予兆を感じると直ちに本明細書で提供される化合物を投与することにより、予防することができる。
【0103】
本明細書に記載のようにして処置可能なさらなる状態は、以下を含む:シャルコー疼痛、腸内ガス痛、耳痛、心臓の痛み、筋肉痛、眼痛、口腔顔面痛(例えば歯痛)、腹痛、婦人科関連痛(例えば月経痛、月経困難症、膀胱炎に付随する痛み、陣痛、慢性骨盤痛、慢性前立腺炎(chronic prostitis)および子宮内膜症)、急性および慢性の背痛(例えば腰痛)、痛風、瘢痕痛、痔疾患の痛み、消化不良性疼痛、咽喉痛、神経根痛、「痛みのない」神経障害、複合性局所疼痛症候群、同所痛および異所痛−癌に付随する痛みを含み、多くの場合、癌痛と呼ばれる(例えば骨癌の患者において)、毒液暴露による痛み(および炎症)(例えば、蛇咬傷、クモの咬傷、または虫刺され)および外傷関連疼痛(例えば術後疼痛、会陰切開痛、切断による痛み、筋骨格痛、打撲および骨折、および火傷の痛み、特にこれに伴う原発性(primary)痛覚過敏症)。本明細書に記載のようにして処置可能なさらなる疼痛状態は、上記の呼吸器疾患に関連する疼痛、自己免疫疾患、免疫不全症、一過性熱感、炎症性腸疾患、胃食道逆流性疾患(GERD)、過敏性腸症候群および/または炎症性腸疾患を含む。
【0104】
ある側面において、本明細書において提供されるVR1調節剤は、機械的な痛みに用いてもよい。本明細書において用語「機械的な痛み」とは、頭痛以外の痛みであって、神経障害性でなく、または熱、寒冷、もしくは外的化学的刺激への暴露によらない痛みを指す。機械的な痛みは、身体的外傷(次のものを除く:熱火傷または化学火傷または有害化学物質に対する他の炎症性および/または疼痛性の暴露)を含み、例えば、術後疼痛および切断、打撲および骨折による痛み;歯痛;義歯の痛み、神経根痛、変形性関節症、関節リューマチ;線維筋痛;知覚異常性大腿神経痛;背痛;癌関連疼痛;咽喉痛;手首トンネル症候群;ならびに骨折、陣痛、痔、腸内ガス、消化不良、および月経による痛みである。
【0105】
処置できるかゆみの状態は、乾癬掻痒症、血液透析によるかゆみ、水誘発性のかゆみ、および、外陰部前庭炎、接触性皮膚炎、昆虫咬傷および皮膚アレルギーに関連するかゆみを含む。本明細書に記載のように処置してよい尿路状態は、尿失禁(溢流性尿失禁、急迫性尿失禁およびストレス性尿失禁を含む)および過活動または不安定な膀胱状態(膀胱排尿筋過反射、脊髄起源の排尿筋過反射および膀胱過敏症を含む)を含む。あるかかる処置方法において、VR1調節剤はカテーテルまたは類似の装置を介して投与され、VR1調節剤が膀胱内に直接注入される。本明細書で提供される化合物はまた、咳止め剤(ACE阻害剤などの医薬により誘発された咳を含む、咳を予防、緩和または抑制するため)として、およびくしゃみの処置用に、および肥満患者において体重減少を促進するためにも用いてよい。
【0106】
他の側面において、本明細書で提供されるVR1調節剤は、疼痛および/または炎症性要素が関与する状態の処置のための併用療法において用いてもよい。かかる状態は、例えば、自己免疫疾患および病原性自己免疫反応であって、限定することなく以下の炎症性要素を有することが知られているものを含む:関節炎(時に関節リューマチ)、乾癬、クローン病、紅斑性狼瘡、過敏性腸症候群、組織移植片拒絶、および移植臓器の超急性拒絶反応。他のかかる状態は、外傷(例えば、頭部または脊髄の損傷)、心血管性および脳血管性疾患およびある種の感染症を含む。
【0107】
かかる併用療法において、VR1調節剤は患者に対し、鎮痛薬および/または抗炎症剤と共に投与される。VR1調節剤および鎮痛薬および/または抗炎症剤は、同じ医薬組成物内に存在してもよく、または、任意の順序で別々に投与してもよい。抗炎症剤は、例えば、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、非特異的およびシクロオキシゲナーゼ−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキサート、腫瘍壊死因子(TNF)受容体アンタゴニスト、抗−TNFα抗体、抗−C5抗体、およびインターロイキン−1(IL−1)受容体アンタゴニストを含む。NSAIDの例は、限定することなく、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセンまたはナプロキセンナトリウム、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの組合せ、スリンダク、オキサプロジン、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、フェノプロフェンカルシウム、ケトプロフェン、ネブメトンナトリウム、スルファサラジン、トルメチンナトリウム、およびヒドロキシクロロキンを含む。NSAIDの1クラスは、シクロオキシゲナーゼ酵素を阻害する化合物からなる;かかる化合物は、セレコキシブおよびロフェコキシブを含む。NSAIDはさらに、サルチル酸塩類、例えばアセチルサルチル酸またはアスピリン、サルチル酸ナトリウム、サルチル酸コリンおよびサルチル酸マグネシウム、およびサルサラート(salsalate)、ならびにコルチコステロイド類、例えばコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、およびプレドニゾンを含む。さらなる抗炎症剤は、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブおよびチリコキシブを含む。
【0108】
かかる併用療法におけるVR1調節剤の好適な用量は、一般に上記の通りである。抗炎症剤の用量および投与方法は、例えば、Physician's Desk Referenceの製造業者の指示書に見出すことができる。ある態様において、VR1調節剤と抗炎症剤との組合せ投与は、治療効果を生成するのに必要な抗炎症剤の用量の減少をもたらす(すなわち、最小治療有効量の減少)。したがって、好ましくは、組合せまたは併用処置法での抗炎症剤の用量は、VR1アンタゴニストの組合せ投与なしでの抗炎症剤の投与について製造業者により指示された最大用量より少ない。より好ましくは、この用量は、VR1アンタゴニストの組合せ投与なしでの抗炎症剤の投与について製造業者により指示された最大用量の3/4未満、より好ましくは1/2未満、およびさらに好ましくは1/4未満であり、最も好ましくは、用量は、10%未満である。所望の効果を達成するのに必要な、組合せのVR1アンタゴニスト要素の用量は、同様に、組合せにおける抗炎症剤成分の用量および効力に影響され得る。
【0109】
ある好ましい態様において、VR1調節剤と抗炎症剤との組合せ投与は、1または2種以上のVR1調節剤および1または2種以上の抗炎症剤を同じパッケージにおいて、パッケージ内の別の容器内か、または、1もしくは2種以上のVR1アンタゴニストおよび1もしくは2種以上の抗炎症剤の混合物として同一の容器内に包装することにより、実現される。好ましい混合物は、経口投与用に製剤化される(例えば、ピル、カプセル、錠剤などとして)。ある態様において、パッケージは、1または2種以上のVR1調節剤および1または2種以上の抗炎症剤を、炎症性の疼痛状態の処置のために、一緒に服用すべきであることを指示する表示を記載したラベルを含む。
【0110】
さらなる側面において、本明細書において提供されるVR1調節剤は、1または2種以上の追加の鎮痛薬と組み合わせて用いてもよい。あるこのような薬剤も抗炎症剤であり、上に記載されている。他のかかる薬剤は鎮痛剤(analgesic agent)であり、1または2種以上のオピオイド受容体サブタイプ(例えば、μ、κ、および/またはδ)において、好ましくはアゴニストまたは部分アゴニストとして一般に作用する麻薬剤を含む。かかる剤は、アヘン、アヘン誘導体およびオピオイド、ならびにこれらの薬学的に許容し得る塩および水和物を含む。麻薬性鎮痛薬の具体的な例は、好ましい態様において以下を含む:アルフェンタニル、アルファプロジン、アニレリジン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアセチルジヒドロモルフィン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、エチルモルフィン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、レボメトルファン、レボルファン、レボルファノール、メペリジン、メタゾシン、メタドン、メトルファン、メトポン、モルフィン、ナルブフィン、アヘン抽出物、アヘン液体抽出物、粉末アヘン、顆粒状アヘン、生アヘン、アヘンチンキ剤、オキシコドン、オキシモルホン、パレゴリック、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、ピミノジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、スルフェンタニル、テバイン、ならびに前述の剤の薬学的に許容し得る塩および水和物。
【0111】
麻薬性鎮痛財の他の例は、以下を含む:アセトルフィン、アセチルジヒドロコデイン、アセチルメタドール、アリルプロジン、アルファアセチルメタドール、アルファメプロジン、アルファメタドール、ベンゼチジン、ベンジルモルフィン、ベータアセチルメタドール、ベータメプロジン、ベータメタドール、ベータプロジン、クロニタゼン、コデインメチルブロミド、コデイン−N−オキシド、シプレノルフィン、デソモルフィン、デキストロモラミド、ジアムプロミド、ジエチルチアムブテン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、ドロテバノール、エタノール、エチルメチルチアムブテン、エトニタゼン、エトルフィン、エトキセリジン、フレチジン、ヒドロモルフィノール、ヒドロキシペチジン、ケトベミドン、レボモラミド、レボフェナシルモルファン、メチルデソルフィン、メチルジヒドロモルフィン、モルフェリジン、モルフィンメチルプロミド、モルフィンメチルスルフォネート、モルフィン−N−オキシド、ミロフィン、ナロキソン、ナルチヘキソン、ニココデイン、ニコモルフィン、ノルアシメタドール、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、ペンタゾカイン、フェナドキソン、フェナンプロミド、フェノモルファン、フェノペリジン、ピリトラミド、フォルコジン、プロヘプタゾイン、プロペリジン、プロピラン、ラセモラミド、テバコン、トリメペリジン、ならびに前述の剤の薬学的に許容し得る塩および水和物。
【0112】
さらなる具体的な代表的麻酔剤は、例えば以下を含む:アセトアミノフェン(パラセタモール);イブプロフェン;アスピリン、および上記の他のNSAID類;NR2Bアンタゴニスト;ブラジキニンアンタゴニスト;抗片頭痛剤;抗痙攣薬、例えばオクスカルバゼピンおよびカルバマゼピン;抗うつ剤(例えばTCA、SSRI、SNRI、P物質アンタゴニスト等);腰椎麻酔;ペンタゾシン/ナロキソン;メペリジン;レボルファノール;ブプレノルフィン;ヒドロモルフォン;フェンタニル;スフェンタニル;オキシコドン;オキシコドン/アセトアミノフェン;ナルブフィンおよびオキシモルホン。さらなる麻薬剤は、CB2−受容体アゴニスト、例えばAM1241、カプサイシン受容体アンタゴニスト、および電位依存カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合する化合物、例えばガバペンチンおよびプレガバリンを含む。
【0113】
本明細書で提供されるVR1調節剤と組み合わせて用いるための代表的な抗片頭痛剤は、CGRPアンタゴニスト、エルゴタミン、および5−HTアゴニスト、例えばスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルマトリプタンおよびリザトリプタンを含む。
さらなる側面において、本明細書で提供されるVR1調節剤は、1または2種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えばシステイニルロイコトリエンCysLT受容体を阻害する剤)と組み合わせて用いてもよい。CysLTアンタゴニストは、Montelukast(SINGULAIR(登録商標); Merck & Co., Inc.)を含む。かかる組合せは、喘息などの肺疾患の処置において使用が見出される。
【0114】
咳の処置または予防のために、本明細書で提供されるVR1調節剤を、この状態を処置するように設計された他の医薬と組み合わせて用いてよく、これらは例えば抗生物質、抗炎症剤、シスチニルロイコトリエン、ヒスタミンアンタゴニスト、コルチコステロイド、オピオイド、NMDAアンタゴニスト、プロトンポンプ阻害剤、ノシセプチン、ニューロキニン(NK1、NK2およびNK3)およびブラジキニン(BK1およびBK2)受容体アンタゴニスト、カンナビノイド、Na依存性チャネルのブロッカーおよび高コンダクタンスCa+2依存性Kチャネル活性剤である。具体的な剤としては、デキスブロムフェニルアミン+偽エフェドリン、ロラタジン、オキシメタゾリン、イプラトロピウム、アルブテロール、ベクロメタゾン、モルフィン、コデイン、フォルコデインおよびデキストロメトルファンを含む。
【0115】
本発明はさらに、尿失禁の処置のための併用療法を提供する。かかる側面において、本明細書で提供されるVR1調節剤は、この状態を処置するように設計された他の医薬と組み合わせて用いてよく、これらは例えば、エストロゲン置換療法、プロゲステロン同族体、電気刺激、カルシウムチャネルブロッカー、抗痙攣剤、コリン作動のアンタゴニスト、抗ムスカリン性薬剤、三環系抗うつ薬、SNRI、ベータアドレナリン受容体作動薬(アゴニスト)、ホスホジステラーゼ阻害剤、カリウムチャネル開口薬、ノシセプチン/オルファニンFQ(OP4)アゴニスト、ニューロキニン(NK1およびNK2)アンタゴニスト、P2X3アンタゴニスト、筋向性薬剤および仙骨神経調節である。具体的な剤は、以下を含む:オキシブチニン、エメプロニウム、トルテロジン、フラボキサート、フルルビプロフェン、トルテロジン、ジシクロミン、プロピベリン、プロパンテリン、ジシクロミン、イミプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、1−デアミノ−8−D−アルギニンバソプレシン、ムスカリン性受容体アンタゴニスト、例えばトルテロジン(DETROL(登録商標);Pharmacia Corporation)および抗コリン剤、例えばオキシブチニン(DITROPAN(登録商標);Ortho-McNeil Pharmaceutical Inc., Raritan, NJ)。
【0116】
このような併用療法におけるVR1調節剤の好適な用量は、一般に、上記の通りである。他の鎮痛薬剤の投与の用量および方法は、例えば、Physician's Desk Referenceの製造業者の指示書に見出すことができる。ある態様において、VR1調節剤と1または2種以上の追加の鎮痛医薬の組合せ投与は、治療効果を生成するのに必要な各治療剤の用量の減少をもたらす(例えば、片方または両方の剤の用量は、上記のまたは製造業者による指示の最大用量の、3/4未満、1/2未満、または1/4未満、または10%未満であることができる)。
【0117】
併用療法で用いるために、上記の医薬組成物はさらに、上記の1または2種以上の追加の医薬を含んでよい。あるかかる組成物において、追加の医薬は麻酔剤である。本明細書においてさらに、1または2種以上のVR1調節剤および1または2種以上の追加の医薬(例えば麻酔剤)を、同じパッケージ内に含む、パッケージ化された医薬製剤も提供される。かかるパッケージ化された医薬製剤は、一般に、以下を含む:(i)本明細書に記載の少なくとも1種のVR1調節剤を含む医薬組成物を保持する容器;(ii)上記の少なくとも1種の追加の医薬(例えば鎮痛および/または抗炎症薬)を含む医薬組成物を保持する容器、および(iii)組成物を、同時に、別々に、または順番に、患者におけるVR1調節に反応する状態(例えば、痛みおよび/または炎症が主となっている状態)を処置または予防するために用いるべきであることを指示した、指示書(例えばラベルまたはパッケージの挿入物)。
【0118】
VR1アゴニストである化合物はさらに、例えば、群集の制御において(催涙ガスの代替として)、または個人保護のため(例えば、スプレー製剤として)、または、カプサイシン受容体の脱感作を介した、痛み、かゆみ、尿失禁または過活動膀胱の処置用の医薬剤として、用いることができる。
【0119】
別の側面において、本発明は、本明細書で提供される化合物についての、in vitroおよびin vivoでの種々の非医薬的使用を提供する。例えば、かかる化合物は標識されて、カプサイシン受容体の検出および局在化のためのプローブとして用いることができる(細胞調製物または組織片などの試料、これらの調製物または断片において)。さらに、好適な反応基(例えばアリールカルボニル、ニトロまたはアジド基)を含む、本明細書で提供される化合物は、受容体結合部位の光親和性標識試験において用いることができる。さらに、本明細書で提供される化合物は、受容体活性のアッセイにおいて、候補剤のカプサイシン受容体に結合する能力を決定するための標準として、または、ポジトロン放出断層撮影(PET)画像法または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)用の放射性トレーサーとして、用いることができる。かかる方法は、生きている対象中でカプサイシン受容体を特徴付けるために用いることができる。例えば、VR1調節剤は、種々のよく知られた技術の任意のものを用いて標識可能であり(例えば本明細書に記載のように、トリチウムなどの放射性核種で放射標識する)、試料を用いて、好適なインキュベーション時間の間(例えば、結合の時間経過の最初のアッセイにより決定する)インキュベーションする。インキュベーションの後に、未結合の化合物を除去し(例えば洗浄により)、結合化合物を、用いた標識に好適な任意の方法を用いて検出する(例えば、放射標識化合物についてはオートラジオグラフィーまたはシンチレーション計数;発光基および蛍光基の検出には、分光法を用いることできる)。対照として、標識化合物およびより大量(例えば10倍多い)の非標識化合物を含有する、対応する試料を同じ様式で処理する。対照に比べて、試験試料中に残る、より大量の検出可能な標識は、該試料中にカプサイシン受容体が存在することを示す。培養細胞中または組織試料中のカプサイシン受容体の受容体オートラジオグラフィー(受容体マッピング)を含む検出アッセイは、KuharによるCurrent Protocols in Pharmacology (1998) John Wiley & Sons, New Yorkのsections 8.1.1〜8.1.9の記載と同様にして、実施することができる。
【0120】
本明細書で提供される化合物はまた、種々のよく知られた細胞分離法において用いることができる。例えば、調節剤は、組織培養プレートまたは他の支持体の内表面に結合でき、不動化のための親和性リガンドとして用いて、これにより、in vitroでカプサイシン受容体を単離する(例えば、受容体発現細胞を単離する)ことができる。1つの好ましい態様において、フルオレセインなどの蛍光マーカーに結合した受容体を細胞に接触させ、次にこれを蛍光活性化細胞分類(FACS)により分析(または単離)する。
【0121】
本明細書で提供されるVR1調節剤はさらに、カプサイシン受容体に結合する他の剤の同定のためのアッセイにおいて用いることができる。一般に、かかるアッセイは標準の競合結合アッセイであり、ここでは、結合され標識されたVR1調節剤が、試験化合物により置き換えられる。簡潔に述べると、かかるアッセイは次のようにして実施される:(a)カプサイシン受容体を、本明細書に記載の放射標識VR1調節剤と、該VR1調節剤のカプサイシン受容体への結合を許容する条件下で接触させ、これにより結合標識VR1調節剤を生成すること;(b)試験剤の不在のもとで、結合標識VR1調節剤の量に対応するシグナルを検出すること;(c)結合標識VR1調節剤を試験剤と接触させること;(d)試験剤の存在下で、結合標識VR1調節剤の量に対応するシグナルを検出すること;および(e)ステップ(b)での検出シグナルと比較した、ステップ(d)での検出シグナルにおける減少を検出すること。
【0122】
以下の例は、例示目的で提供されたものであり、限定のために提供されたものではない。別に指定のない限り、全ての剤および溶媒は標準の市販の等級であり、さらなる精製なしで用いられる。ルーチンの修飾を用い、出発材料を変化させ追加のステップを用いて、本明細書で提供される他の化合物を製造することができる。
本明細書で引用される全ての特許出願、特許および広報は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0123】
例1
代表的な中間体の調製
この例は、cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体の合成に用いるための、代表的な中間体の調製を説明する。
A.エチル3−ニトリロアラニナート
【化26】

水440mL中のエチル・シアノグリオキシレート2−オキシム(ethyl cyanoglyoxylate-2-oxime)(5g、352mmol)の混合物を、340mLの飽和NaHCO水溶液で慎重に処理し、次にハイドロサルファイトナトリウム(165g、950mmol)を一部づつ加える。反応物を次に内部温度35℃で35分間加熱する。RTに冷却した後、反応物をNaCl(約250g)で飽和させ、CHCl(6×150mL)で抽出する。合わせたCHCl抽出物を乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空で濃縮して、表題化合物を茶色の油として得る。
【化27】

【0124】
B.5−アミノ−1−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化28】

MeCN(400mL)中のエチル3−ニトリロアラニナート(25g、0.195mol)の溶液に、トリエチルオルトフォルマート(32.5mL、28.9g、0.195mol)を加え、得られた溶液を90℃に加熱する。70分後、溶液をRTに冷却し、エチルアミン(THF中2M、98mL、0.195mol)の溶液を加え、反応物をRTで18時間撹拌する。反応物を真空で粘性の油に濃縮し、次に塩酸(1N、200mL)に取る。水相をDCM(2×200mL、1×100mL)で洗浄する。水相を固体の重炭酸ナトリウム(〜25g)を添加して中和し、次にDCM(5×200mL)で抽出する。有機相を合わせて、MgSO上で乾燥し、真空で濃縮して、茶/赤色の固体の残留物を得る。残留物をEtOAc(50mL)中でスラリー化し、ろ過し、固体をジエチルエーテルですすぎ、乾燥して、表題化合物を得る。
【化29】

【0125】
C.5−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化30】

MeCN(400mL)中のエチル3−ニトリロアラニナート(20g、0.156mol)の溶液に、トリエチルオルトフォルマート(26mL、23.2g、0.156mol)を加え、得られた溶液を90℃に加熱する。1時間後、溶液をRTに冷却し、メチルアミン(EtOH中8M、20mL、0.156mol)の溶液を加え、反応物をRTで18時間撹拌する。反応物を真空で粘性の油に濃縮し、次に塩酸(1N、180mL)に取る。水相をDCM(2×200mL、1×100mL)で洗浄する。水相を固体の重炭酸ナトリウム(〜20g)を添加して中和し、次にDCM(5×200mL)で抽出する。有機相を合わせて、MgSO上で乾燥し、真空で濃縮して、茶/赤色の固体の残留物を得る。残留物をEtOAc(40mL)中で音波処理によりスラリー化し、ろ過し、次に固体をエーテルですすぎ、乾燥して、表題化合物を得る。
【化31】

【0126】
D.5−アミノ−1−プロピル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化32】

この化合物は、基本的に例1Bの記載と同様にして、エチルアミンの代わりにn−プロピルアミンを用いて調製する。
【化33】

【0127】
E.5−アミノ−1−シクロプロピル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化34】

この化合物は、基本的に例1Bの記載と同様にして、エチルアミンの代わりにシクロプロピルアミンを用いて調製する。
【化35】

【0128】
F.5−アミノ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化36】

この化合物は、基本的に例1Bの記載と同様にして、エチルアミンの代わりに2,2,2−トリフルオロエチルアミンを用いて調製する。
【化37】

【0129】
G.5−アミノ−1−(2,2−ジフルオロエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル
【化38】

この化合物は、基本的に例1Bの記載と同様にして、エチルアミンの代わりに2,2−ジフルオロエチルアミンを用いて調製する。
【0130】
H.3−アミノピリジン−2−カルボン酸エチル
【化39】

26mLのEtOHと8mLの濃硫酸中の3−アミノピリジン−2−カルボン酸(6.4g、46.3mol)の混合物を、還流で2日間加熱する。冷却後、混合物を約15〜20mLに濃縮し、20gの氷に注ぐ。混合物を、氷バス中で冷却しつつ濃縮NHOHでpH8〜9に塩基性化する。得られた茶色の沈殿物をろ過により除去し、ろ液をエーテル(4×60mL)で抽出する。合わせたエーテル抽出物をブライン(4×60mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、濃縮して、黄色/茶色の固体を得る。この固体を上記のろ過からのものと合わせて、全体を冷却エーテルで粉砕し、表題化合物を薄茶色の固体として得る。
【化40】

【0131】
I.5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化41】

トリメチルアルミニウム(ヘキサン中の2Mの溶液;8.9mL、17.7mmol)を1滴ずつ、1,2−ジクロロエタン(18mL)中の4−クロロアニリン(1.13g、8.87mmol)の溶液に、N雰囲気下、RTで5分かけて加える。得られた懸濁液を30分間撹拌した後、5−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(1.00g、5.91mmol)を加え、スラリーを還流で6時間加熱する。冷却し、溶液をCHCl(60mL)で希釈し、飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液(60mL)を加え、次に飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)およびMeOH(10mL)を加える。混合物を1時間激しく撹拌し、次に1時間静置し、相を分離する。水相を、8%MeOH/DCM(50mL)で抽出し、合わせた有機相を1Mの酒石酸カリウムナトリウム(150mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、真空で濃縮して、オレンジ色の固体を得る。固体をジエチルエーテル中でスラリー化し、混合物をろ過する。残留物をエーテルで洗浄し、気流で1時間乾燥して、表題化合物を金色の固体として得る。
【化42】

【0132】
J.5−アミノ−N−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化43】

この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、4−クロロアニリンの代わりに4−フルオロアニリンを用いて調製する。
K.3−アミノ−N−(4−クロロフェニル)ピコリンアミド
【化44】

この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、3−アミノピリジン−2−カルボン酸エチルおよび4−クロロアニリンを用いて調製する。
【0133】
L.5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化45】

この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、5−アミノ−1−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルおよび4−クロロアニリンを用いて調製する。
【化46】

【0134】
M.酢酸ギ酸無水物
無水酢酸(35.94g、352mmol)およびギ酸(16.20g、352mmol)を丸底フラスコに入れ、55℃で3時間加熱する。反応混合物を例1Oにおいてさらなる精製なして用いる。
【0135】
N.エチルN−ホルミル−3−ニトリロアラニナート
【化47】

エチル3−ニトリロアラニナート(26.9g、210mmol)を、無水エーテル(200mL)に溶解し、氷/水バス中で冷却する。酢酸ギ酸無水物(上記のようにして混合物として調製)を1滴ずつ加える。添加終了後、反応混合物をRTにまで温め、RTで一晩撹拌する。ほとんどの揮発分は真空中で除去され、残った溶媒はトルエン(100mL×4)を用いた共蒸発により除去する。得られた赤い油は、エーテル中でスクラッチすると析出し、得られた固体をエーテル中で再結晶させて、表題化合物を白い固体として得る。
【化48】

【0136】
O.5−アミノ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル
【化49】

エチルN−ホルミル−3−ニトリロアラニナート(11.22g、71.86mmol)を、無水ベンゼン(220mL)に溶解する。ローソン試薬(14.53g、35.93mmol)の添加の後、懸濁液を24時間還流する。ほとんどの溶媒は真空中で除去され、粘性の赤い残留物をシリカゲル上に予め吸収させて、シリカゲルカラム(溶出溶媒:EtOAc:ヘキサン=50:50)に充填する。表題化合物を黄色の固体として得る。
【化50】

【0137】
P.5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド
【化51】

この化合物は、5−アミノ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(Tetrahedron, 1985, 41, 5989)および4−クロロアニリンから、基本的に例1Iの記載と同様にして調製するが、ただし、反応時間を90℃において3時間に短縮し、生成物をCHCl(8%MeOH/CHClの代わりに)で抽出し、10%EtO/ヘキサン(EtOの代わりに)で洗浄することについては1Iとは異なる。
【化52】

【0138】
Q.3−アミノ−N−(6−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルチオフェン−2−カルボキサミド
【化53】

この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、3−アミノ−4−メチルチオフェン−2−カルボン酸メチルおよび2−クロロ−5−アミノ−ピリジンを用いて調製する。
【0139】
R.5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化54】

この化合物は、5−アミノ−1−シクロプロピル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルおよび4−クロロアニリンから、基本的に例1Iの記載と同様にして調製する。m/z(ES)277(M+H
【0140】
S.5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−(2,2−ジフルオロエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化55】

この化合物は、5−アミノ−1−(2,2−ジフルオロエチル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルおよび4−クロロアニリンから、基本的に例1Iの記載と同様にして調製する。
【0141】
T.1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−チオキソ−1,2,3,9−テトラヒドロ−6H−プリン−6−オン塩酸塩
【化56】

5−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(8.45g、0.05モル)および4−フルオロフェニルイソチオシアネート(7.65g、0.05モル)を、45℃にてピリジン(125mL)中で20時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、氷冷水を添加して希釈する。反応混合物をCHCl(2×250mL)で抽出し、水(200mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥する。ろ液を真空で濃縮して、粗中間体を赤橙色の粘性油として得る。油を1%の水酸化ナトリウム水溶液(300mL)中でスラリー化し、90℃で20時間加熱する。反応混合物を冷却し、固体をろ過する。ろ液を真空で濃縮して容積を減らす(100mL)。混合物を、濃HClを用いてpH4.0に酸性化し、RTで一晩置く。分離した黄色の固体をろ過し、70度で乾燥して、表題化合物を得る。
【化57】

【0142】
U.2−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−9−エチル−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン
【化58】

1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−チオキソ−1,2,3,9−テトラヒドロ−6H−プリン−6−オン塩酸塩(6.5g、0.021モル)を、過剰量のオキシ塩化リン(150mL)に懸濁させ、135℃で40時間加熱する。反応混合物を冷却し、真空で濃縮し、トルエンで2回共沸する。得られた粘着性の茶色の油をDCM(200mL)に溶解し、次に飽和NaHCO(水性)で中和する。水相をDCM(2×200mL)で抽出し、乾燥する(MgSO)。乾燥した抽出物をろ過し、真空で濃縮して、粗生成物を薄茶色の固体として得る。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィで、1〜2.5%MeOH/CHClを用いて精製し、表題化合物を白色固体として得る。
【化59】

【0143】
V.1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘクス−1−エニル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化60】

2−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−1H−プリン−6(9H)−オン(500mg、1.8mmol)を、ジオキサン(20ml)中の4,4,5,5−テトラメチル−2−(4−(トリフルオロメチル−シクロヘクス−1−エニル)[1,3,2]−ジオキサボロラン[J. Med. Chem., 2006, 49, 3719-3742](694mg、2.5mmol)、Pd(PPh(103mg、0.09mmol)、およびKPO(2M、1.8ml、3.6mmol)と混合する。混合物をNで5分間パージし、次に110℃に加熱し、密封管内で18時間撹拌する。反応物をRTに冷却し、HOとCHCl(2×40mL)の間で分配する。層を分離し、水相をCHCl(2×40mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥し(NaSO)、ろ過して、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィによる精製により、表題化合物を白色固体として得る。
【0144】
W.3−(4−フルオロフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリド[3,2−d]ピリミジン−4(1H)−オン
【化61】

7mLの無水ピリジン中の3−アミノピリジン−2−カルボン酸エチル(2.0g、12.0mmol)および4−フルオロフェニルイソチオシアネート(1.84g、12.0mmol)を、45℃で21時間撹拌する。冷却後、ピリジンを真空で蒸発させ、残留物に氷水を加える。得られた混合物をEtOAc内でスラリー化し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得る。
【化62】

【0145】
X.2−クロロ−3−(4−フルオロフェニル)ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【化63】

30mLのPOCl中の3−(4−フルオロフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロピリド[3,2−d]ピリミジン−4(1H)−オン(2.6g、9.5mmol)を、135℃まで加熱し、2日間撹拌する。RTに冷却後、過剰なPOClを真空内で除去し、残留物をトルエンで2回、共沸する。得られた粘着性の茶色の油/固体の混合物をCHClに溶解し、次に飽和NaHCOでpH7〜8に中和する。相を分離し、CHCl相を乾燥し(NaSO)、ろ過し、濃縮して、茶色の粘着性固体を得る。カラムクロマトグラフィ(勾配:CHClから20%EtOAc/CHCl)による精製により、表題化合物をオフホワイトの固体として得る。
【化64】

【0146】
Y.6−(4−フルオロフェニル)−5−メルカプト[1,3]チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−7(6H)−オン塩酸塩
【化65】

5−アミノ−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(1.05g、6.10mmol)および4−フルオロフェニルイソチオシアネート(0.93g、6.10モル)を、ピリジン(3.5mL)に加え、45℃で15時間加熱する。ほとんどの溶媒を真空下で除去し、得られた黄色の固体をCHCl(150mL)に溶解し、HO(20mL×2)およびブライン(20mL×2)で洗浄する。CHCl相をMgSO上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた残留物を1%NaOH溶液(37mL)で処理し、90℃で15時間加熱する。反応混合物をろ過し、ろ液を濃HClを添加してpH3に調節する。ほとんどの水を真空下で除去し、分離した黄色の固体をろ過し、乾燥して、表題化合物を黄色の固体として得る。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) 8.90 (1 H, s), 7.31 (4 H, m)
【0147】
Z.5−クロロ−6−(4−フルオロフェニル)[1,3]チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−7(6H)−オン
【化66】

6−(4−フルオロフェニル)−5−メルカプト[1,3]チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−7(6H)−オン塩酸塩(0.2g、0.633モル)をPOCl(10mL)に加え、得られた溶液を135℃で41時間還流する。ほとんどの溶媒は減圧下で除去され、残留溶媒をトルエンで共沸する(50mL×3)。得られた濃い色の固体をCHCl(200mL)中に溶解し、飽和NaHCO溶液(100mL×5)およびブライン(50mL×2)で洗浄し、MgSO上で乾燥する。溶媒を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(EtOAc:ヘキサン=50:50)により表題化合物を黄色の固体として得る。
【化67】

【0148】
AA.3−(4−クロロフェニル)−2−メルカプト−7−メチルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【化68】

表題化合物は、市販の3−アミノ−4−メチルチオフェン−2−カルボン酸メチルおよび4−クロロフェニルイソチオシアネートから、基本的に例1Yの記載と同様にして調製する。
【0149】
BB.2−クロロ−3−(4−クロロフェニル)−7−メチルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【化69】

表題化合物は、3−(4−クロロフェニル)−2−メルカプト−7−メチルチエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オンから、基本的に例1Zの記載と同様にして調製する。
【0150】
CC.N−(6−クロロピリジン−3−イル)−4−メチル−3−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキサミド
【化70】

3−アミノ−N−(6−クロロピリジン−3−イル)−4−メチルチオフェン−2−カルボキサミド(1.14mmol)、4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸(1.93mmol)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(1.93mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.93mmol)およびジクロロエタン(10ml)を混合し、電子レンジで160℃で20分間加熱し、その後、TLCにより反応の完了が示される。混合物をDCM(30ml)と10%水性炭酸カリウム(30ml)の間で分配する。相を分離し、水相をさらなるDCM(30ml)で抽出し、有機相を合わせて、水(30ml)およびブラインで洗浄する。有機相を乾燥し(MgSO)濃縮する。残留物をエーテルで粉砕して、表題化合物を得る。
【0151】
DD.5−アミノ−N−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド
【化71】

この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、ベンゾ[d]チアゾール−6−アミンおよび5−アミノ−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルを用いて調製する。
【0152】
EE.3−アミノ−N−(ベンゾ[d]]チアゾール−6−イル)ピコリンアミド
この化合物は、基本的に例1Iの記載と同様にして、ベンゾ[d]チアゾール−6−アミンおよび3−アミノピリジン−2−カルボン酸エチルを用いて調製する。
【化72】

【0153】
例2
代表的cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体の合成
この例は、代表的なcis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体の合成を示す。
A.3−(6−クロロピリジン−3−イル)−7−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【化73】

N−(6−クロロピリジン−3−イル)−4−メチル−3−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボキサミド)チオフェン−2−カルボキサミド(3.73mmol)を、POCl(10mL)に加え、得られた溶液を110℃で4時間還流する。ほとんどの揮発物を減圧下で除去し、残留物をDCMに取る。有機物を飽和NaHCO溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィによる精製により、表題化合物を得る。
【0154】
B.5−{4−オキソ−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−3(4H)−イル}ピリジン−2−カルボニトリル
【化74】

3−(6−クロロピリジン−3−イル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(1.4g、3.43mmol)、Zn(CN)(0.8mg、6.87mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.31g、0.343mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.19g、0.343mmol)を、ジメチルホルムアミド(15mL)に加える。混合物をNで3分間パージし、次に120℃で18時間加熱する。水(20mL)を加え、得られた混合物をDCMで抽出する(2×40mL)。有機相をセライトおよびNaSOに通し、溶媒を真空内で除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(MeOH:CHCl=2:98)で精製して、表題化合物をcisとtrans体の混合物として得る。所望のcis異性体を、MeOH/EtOAc(1:25)で溶出する分取プレートシリカゲル精製(preparative plate silica gel purification)を用いて、trans異性体から分離する。
【化75】

【0155】
C.1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン
【化76】

1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘクス−1−エニル)−1H−プリン−6(9H)−オン(1.4g、3.57mmol)を、EtOH(200mL)中のPtO(850mg)と混合する。混合物を、60℃および50psiで3日間、水素化する。反応物をRTに冷却し、セライトを通してろ過し、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィによる精製により、表題化合物を白色固体として得る。
【0156】
D.1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−8−(メチルアミノ)−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
ステップ1.1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−[4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1H−プリン−6(9H)−オン
【化77】

5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−エチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド(1.0g、3.78mmol)を、管内で4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸(314mg、1.6mmol)およびポリリン酸(2.0mL)と混合する。混合物を100℃に加熱し、1時間撹拌し、次に140℃で30分間加熱する。反応物を室温に冷却し、氷を加える。ポリリン酸プラグを砕き、懸濁物を4Nの水性NaOHおよびCHClの間で分配する。相を分離し、水相をCHCl(2×50mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空で濃縮する。分取TLCによる精製により、表題化合物のcis/trans混合物を白色固体として得る。
【化78】

【0157】
ステップ2.8−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化79】

酢酸(2mL)中のBr(0.38g、2.36mmol)、1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−[4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン(1.0g、2.36mmol)を、50℃で24時間加熱する。RTに冷却後、反応物を氷−HO(75mL)に撹拌しつつ注ぎ、室温で2時間静置する。沈殿物を収集し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl:MeOH=99:1)により精製して、表題化合物のcis/trans混合物を白色固体として得る。
【化80】

【0158】
ステップ3.8−(アリル(メチル)アミノ)−1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−(4−トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化81】

8−ブロモ−1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−(4−トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン(0.1g、0.2mmol)およびアリルメチルアミン(2.1mL)を、120℃で36時間加熱する。RTに冷却後、反応物をCHClで希釈し、NaCOで慎重に洗浄する。有機物を合わせて、乾燥し(NaSO)、真空で濃縮する。分取TLC(CHCl:MeOH=99:5)による精製により、表題化合物のcis/trans混合物を白色固体として得る。
【化82】

【0159】
ステップ4.1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−8−(メチルアミノ)−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化83】

ジクロロエタン中の、8−(アリル(メチル)アミノ)−1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン(70mg、0.14mmol)およびN,N−ジメチルバルビツール酸(0.42mmol)を、窒素で10分間パージする。次に、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)(10mg、0.14mmol)を加え、反応物を80℃で6時間加熱する。混合物をRTに冷却し、CHClで希釈する。有機相を飽和NaCOで洗浄し、真空で濃縮する。分取TLC(CHCl:MeOH=99:5)による精製により、表題化合物のcis/trans混合物を白色固体として得る。
【化84】

必要に応じ、半分取HPLCによるcis/trans混合物の分離を用いて、表題化合物のcis異性体を得てもよい。
【0160】
ステップ5.1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−8−(メチルアミノ)−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化85】

1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−8−(メチルアミノ)−2−(4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オンを、半分取HPLCを用いたcis/trans混合物の分離により得る。表題化合物を、白色固体として得る。
【化86】

【0161】
E.1−(4−クロロフェニル)−9−シクロプロピル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−オン
【化87】

5−アミノ−N−(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミド(200mg、0.80mmol)を、密封管内で4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸(314mg、1.6mmol)およびポリリン酸(2.0mL)と混合する。混合物を100℃に加熱し、1時間撹拌し、次に140℃で30分間加熱する。反応物をRTに冷却し、氷を加える。ポリリン酸プラグを砕き、懸濁液を4Nの水性NaOHおよびCHClの間で分配する。相を分離し、水相をCHCl(50mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空内で濃縮する。半分取HPLCによる精製により、表題化合物を白色固体として得る。
【0162】
F.1−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−9−メチル−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン
【化88】

この化合物は、基本的に例2Eの記載と同様にして、5−アミノ−N−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボキサミドおよび4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸を用いて調製する。
【化89】

【0163】
G.3−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン
【化90】

この化合物は、基本的に例2Eの記載と同様にして、3−アミノ−N−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)ピコリンアミドおよび4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸を用いて調製する。
【化91】

【0164】
例3
追加の代表的cis−シクロヘキシル置換ピリミジノン誘導体
ルーチンの修飾を用い、出発物質を変化させ、追加のステップを用いて、本明細書で提供される他の化合物を製造することができる。表Iに挙げる化合物はかかる方法を用いて調製される。例6に記載のようにして決定されるIC50は、表Iに挙げた全ての化合物について、100ナノモル以下である(すなわち、カプサイシンの1つのIC50に暴露された細胞の蛍光反応において50%の減少をもたらすのに必要なかかる化合物の濃度が、100ナノモル以下である)。「MS」と記された欄における質量分析データは、エレクトロスプレーMSであり、15Vまたは30Vのコーン電圧での正のイオンモードにおいて、Waters 600ポンプおよびWaters 996フォトダイオード検出器、Gilson 215オートサンプラーおよびGilson 841マイクロインジェクターを備えたMicromass Time-of-Flight LCTを用いて得た。MassLynx(Advanced Chemistry Development Inc; Toronto, Canada)のVersion 4.0ソフトウェアを、データ収集および解析に用いる。1μLの試料容量を50×4.6mmのChromolith SpeedROD C18カラムに注入し、流量6ml/分の2相直線勾配を用いて溶出する。試料は、220〜340nmのUV範囲にわたり、全吸収計測を用いて検出する。溶出条件は以下である:移動相A−95/5/0.05の水/メタノール/TFA;移動相B−5/95/0.025の水/メタノール/TFA。
【表1】

総駆動時間は注入から注入まで2分間である。
質量分析保持時間は、「保持時間」の欄に記される。
【0165】
【表2】

【0166】
【表3】

【0167】
【表4】

【0168】
【表5】

【0169】
例4
VR1トランスフェクト細胞および膜製剤
この例は、カプサイシン結合アッセイ(例5)で用いるための、VR1トランスフェクト細胞およびVR1含有膜製剤の調製について示す。
cDNAコード化全長ヒトカプサイシン受容体(米国特許第6,482,611号の配列番号1、2または3)を、哺乳類細胞での組換え発現のためにプラスミドpBK−CMV(Stratagene, La Jolla, CA)にサブクローニングする。
ヒト胎児腎臓細胞(HEK293)を、標準法を用いて、全長ヒトカプサイシン受容体をコーディングするpBK−CMV発現コンストラクトでトランスフェクトする。トランスフェクト細胞を、G418(400μg/ml)を含有する培地中で2週間選択し、安定したトランスフェクト細胞のプールを得る。独立したクローンをこのプールから限界希釈法により単離して、次の実験に用いるための、安定なクローン細胞株を得る。
【0170】
放射性リガンド結合実験のために、細胞をT175細胞培養フラスコ内の抗生物質なしの培地中に播種し、約90%の細胞密集度まで増殖させる。フラスコを次にPBSで洗浄し、5mMのEDTAを含有するPBS中に収集する。細胞をゆっくりした遠心分離によりペレット状にして、アッセイまで−80℃で保管する。
予め凍結させた細胞を、氷冷HEPES均質化緩衝液(5mMのKCl5、5.8mMのNaCl、0.75mMのCaCl、2mMのMgCl、320mMスクロースおよび10mMのHEPES、pH7.4)中で、組織ホモジナイザーを援用して粉砕する。組織ホモジェネートを最初に100×g(4℃)で10分間遠心分離して核断片および砕片を除去し、次に最初の遠心分離からの上清をさらに30分間、35,000×g(4℃)で遠心分離して、部分的に精製された膜断片を得る。膜は、アッセイの前に、HEPES均質化緩衝液に再度懸濁させる。この膜ホモジェネートのアリコートを用いて、ブラッドフォード法(BIO-RAD Protein Assay Kit, #500-0001, BIO-RAD, Hercules, CA)によりタンパク質濃度を決定する。
【0171】
例5
カプサイシン受容体結合アッセイ
この例は、カプサイシン(VR1)受容体への化合物の結合親和性を決定するために用いることのできる、カプサイシン受容体結合の代表的なアッセイ法を示す。
H]レシニフェラトキシン(RTX)との結合試験を、基本的にSzallasi and Blumberg (1992) J. Pharmacol. Exp. Ter. 262: 883-888による記載と同様にして行う。このプロトコルにおいて、非特異的RTX結合は、ウシα酸性糖タンパク質(100μg/管)を結合反応の終了後に添加することにより低減される。
【0172】
H]RTX(37Ci/mmol)は、Chemical Synthesis and Analysis Laboratory, National Cancer Institute-Frederick Cancer Research and Development Center, Frederick MDにより合成され、これから得る。[H]RTXはまた、民間供給業者(例えば、Amersham Pharmacia Biotech, Inc.; Piscataway, NJ)からも入手することができる。
例4の膜ホモジェネートは、前記のようにして遠心分離し、均質化緩衝液中にタンパク質濃度333μg/mlで再懸濁させる。結合アッセイ混合物を氷上にセットし、これは、[H]RTX(特異的活性2200mCi/ml)、2μlの非放射性試験化合物、0.25mg/mlのウシ血清アルブミン(コーン(Cohn)断片)、および5×10〜1×10のVR1トランスフェクト細胞を含有する。最終容量は、上記の氷冷HEPES均質化緩衝溶液(pH7.4)を用いて、500μl(競合結合アッセイ用)または1,000μl(飽和結合アッセイ用)に調節する。非特異的結合は、1μMの非放射性RTX(Alexis Corp.; San Diego, CA)の存在下において起こるものと定義される。飽和結合については、[H]RTXを1〜2の希釈を用いて7〜1,000pMの範囲の濃度で加える。典型的には、1つの飽和結合曲線毎に11の濃度点を収集する。
【0173】
競合結合アッセイは、60pMの[H]RTXおよび種々の濃度の試験化合物の存在下で行う。結合反応は、アッセイ混合物を37℃の水バスに移して開始させ、60分のインキュベーション期間の後に管を氷上で冷却することにより、停止させる。膜結合RTXは、遊離の、および任意のα酸性糖タンパク質結合RTXから、ろ過により、使用前に2時間1.0%のPEI(ポリエチレンイミン)に浸漬したWALLACガラスファイバーフィルタ(PERKIN-ELMER, Gaithersburg, MD)へ分離する。フィルタは一晩乾燥させ、次に、WALLAC BETA SCINTシンチレーション液体の添加後に、WALLAC 1205 BETA PLATEカウンターで計測する。
平衡結合パラメータは、アロステリックなヒルの式を、コンピュータプログラムFIT P(Biosoft, Ferguson, MO)の支援により計測値に適合させて、Szallasi et al. (1993) J. Pharmacol. Exp. Ther. 266: 678-683による記載と同様にして決定する。本明細書で提供される化合物は一般に、本アッセイにおいて、1μM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満、または1nM未満の、カプサイシン受容体に対するK値を示す。
【0174】
例6
カルシウム動員アッセイ
この例は、試験化合物をアゴニストおよびアンタゴニスト活性について評価するために用いる代表的カルシウム動員アッセイを示す。
発現プラスミド(例4に記載のような)でトランスフェクトされ、これによりヒトカプサイシン受容体を発現する細胞を、FALCON黒壁透明底の96ウェルプレート(#3904, BECTON-DICKINSON, Franklin Lakes, NJ)に播種し、70〜90%の細胞密集度まで増殖させる。培養培地を96ウェルプレートから取り除き、FLUO-3 AMカルシウム感受性染料(Molecular Probes, Eugene, OR)を各ウェルに加える(染料溶液:1mgFLUO-3 AM、440μlのDMSO、およびDMSO中440μlの20%プルロニック酸(pluronic acud)を、1:250でKrebs-Ringer HEPES(KRH)緩衝液(25mMのHEPES、5mMのKCl、0.96mMのNaHPO、1mMのMgSO、2mMのCaCl、5mMのグルコース、1mMのプロベネシド、pH7.4)に希釈;各ウェルに50μlの希釈溶液)。プレートをアルミニウム箔で覆い、37℃で1〜2時間、5%のCOを含む環境中でインキュベートする。インキュベーション後、染料をプレートから取り除き、細胞をKRH緩衝液で1回洗浄し、KRF緩衝液中に再懸濁させる。
【0175】
カプサイシンEC50の決定
カプサイシン受容体を発現する細胞における、カプサイシンまたは他のバニロイドアゴニストに対するカルシウム動員反応を作動するかまたは拮抗する、試験化合物の能力を測定するために、アゴニストカプサイシンのEC50を最初に決定する。追加の20μlのKRH緩衝液および1μlのDMSOを、上記のように調製した各ウェルの細胞に加える。KRH緩衝液中の100μlのカプサイシンを、FLIPR機器により各ウェルに自動的にトランスフェクトする。カプサイシンが誘発するカルシウムの動員を、FLUOROSKAN ASCENT(Labsystems; Franklin, MA)またはFLIPR(蛍光定量画像化プレートリーダーシステム;Molecular Devices, Sunnyvale, CA)装置のどちらかを用いてモニタリングする。アゴニストの適用後30〜60秒の間に得られたデータを、8点の濃度応答曲線、最終カプサイシン濃度1nM〜3μMの作成のために用いる。KALEIDAGREAPHソフトウェア(Synergy Software, Reading, PA)を用いて、データを次の式:
y=a*(1/(1+(b/x)))
に適合させて、応答についての50%興奮濃度(EC50)を決定する。この式において、yは最大蛍光シグナルであり、xはアゴニストまたはアンタゴニスト(この場合はカプサイシン)の濃度であり、aはEmaxであり、bはEC50値に対応し、cはヒル係数である。
【0176】
アゴニスト活性の決定
試験化合物をDMSOに溶解し、KRH緩衝液で希釈し、その後直ちに、上記のようにして調製した細胞に加える。100nMのカプサイシン(ほぼEC90濃度)もまた、同じ96ウェルプレート中の細胞に陽性対照として加えた。アッセイウェル中の試験化合物の最終濃度は、0.1nM〜5μMの間である。
試験化合物のカプサイシン受容体のアゴニストとして作用する能力を、化合物濃度の関数として該化合物により引き起こされる、カプサイシン受容体を発現する細胞の蛍光応答を測定することにより、決定する。このデータは上記のようにして、EC50を得るために適合され、これは、一般に1マイクロモル未満、好ましくは100nM未満、およびさらに好ましくは10nM未満である。各試験化合物の有効性の程度は、100nMのカプサイシンにより引き起こされる応答に対する、ある濃度の試験化合物(典型的には1μM)により引き起こされる応答を計算することによっても、決定される。この値は、シグナル百分率(POS)と呼ばれ、次の式により計算される。
POS=100*(試験化合物の応答)/(100nMカプサイシンの応答)
【0177】
この解析は、ヒトカプサイシン受容体アゴニストとしての、試験化合物の効力(potency)および有効性(efficacy)の両方の定量的評価を提供する。ヒトカプサイシン受容体のアゴニストは一般に、100μM未満の濃度で、または好ましくは1μM未満の濃度で、または最も好ましくは10nM未満の濃度で、検出可能な応答を引き起こす。ヒトカプサイシン受容体における有効性の程度は、1μMの濃度において、好ましくは30POSより大、より好ましくは80POSより大である。一定のアゴニストは、以下に記載のアッセイにおいて、4nM未満の化合物濃度において、好ましくは10μM未満の濃度において、および最も好ましくは100μM以下の濃度において検出可能なアンタゴニスト活性の不在により例証されるように、基本的にアンタゴニスト活性が不在である。
【0178】
アンタゴニスト活性の決定
試験化合物をDMSOに溶解し、20μlのKRH緩衝液で希釈してアッセイウェル中の試験化合物の最終濃度を1μM〜5μMの間とし、上記のようにして調製した細胞に加える。調製した細胞および試験化合物を含有する96ウェルプレートを、暗所にて室温で0.5〜6時間インキュベートする。インキュベーションが6時間を越えないことが重要である。蛍光反応を決定する直前に、KRH緩衝液中の、上記のようにして決定したEC50濃度の2倍の濃度の100μlのカプサイシンを、96ウェルプレートの各ウェルにFLIPR装置により自動的に加えて、最終試料容積を200μlとし、最終カプサイシン濃度をEC50に等しくする。アッセイウェル中の試験化合物の最終濃度は、1μM〜5μMの間である。カプサイシン受容体のアンタゴニストは、この反応を、10マイクロモル以下または好ましくは1マイクロモル以下の濃度における対応する対照(すなわち、試験化合物の不在下で、EC50濃度の2倍の濃度のカプサイシンで処置した細胞)と比較して、少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約50%、および最も好ましくは少なくとも80%、低下させる。カプサイシンの存在下でアンタゴニストの不在において観察される反応と比較して、50%の低下を提供するのに必要なアンタゴニストの濃度は、アンタゴニストについてのIC50であり、好ましくは1マイクロモル未満、100ナノモル未満、10ナノモル未満、または1ナノモル未満である。
【0179】
データは次のようにして解析する。最初に、陰性対照ウェル(アゴニストなし)からの平均最大相対蛍光単位(RFU)応答を、他の実験ウェル各々について検出された最大応答から差し引く。次に、平均最大RFU応答を、陽性対照ウェル(アゴニストウェル)について計算する。次に、試験した各化合物についての抑制パーセントを、次の式を用いて計算する:
抑制パーセント=100−100×(試験細胞中のピークシグナル/対照細胞中のピークシグナル)
【0180】
抑制パーセントデータを試験化合物濃度の関数としてプロットし、試験化合物のIC50を、例えばKALEIDAGREAPHソフトウェア(Synergy Software, Reading, PA)の、次の式に対する最良適合データを用いて決定するが、
y=m*(1/(1+(m/mm3))
この式中、yは抑制パーセント、mはアゴニストの濃度、mは最大RFU、mは試験化合物のIC50に相当し(アゴニスト存在下でアンタゴニスト不在の場合に観察される応答に対して、50%の減少を提供するのに必要な濃度)、およびmはヒル係数である。代替的に、試験化合物のIC50は線形回帰を用いて決定され、ここでxはln(試験化合物の濃度)であり、yはln(抑制パーセント/(100−抑制パーセント))である。90%より大または15%未満の抑制パーセントのデータは棄却され、回帰には用いない。この様式で計算したIC50は、e(−切片/傾き)である。
【0181】
ある好ましいVR1調節剤は、上記のアッセイにおいて化合物濃度が4nM未満にて、より好ましくは10μM未満の濃度にて、最も好ましくは100μM以下の濃度にて検出可能なアゴニスト活性なしの場合に例証されるように、基本的にアゴニスト活性なしのアンタゴニストである。
【0182】
例7
後根神経節細胞アッセイ
この例は、化合物のVR1アンタゴニストまたはアゴニスト活性を評価するための、代表的な後根神経節細胞アッセイを示す。
DRGを新生仔ラットから切り取って分離し、標準法を用いて培養する(Aguaryo and White (1992) BrainResearch 570: 61-67)。48時間のインキュベーションの後に、細胞を1度洗浄し、カルシウム感受性染料Fluo 4 AM(2.5〜19μg/ml;TefLabs, Austin, TX)と共に30〜60分間インキュベートする。次に細胞を1度洗浄する。カプサイシンの細胞への添加により、細胞内カルシウムレベルのVR1依存性が増加し、これは、蛍光光度計によるFluo 4蛍光の変化によりモニタリングされる。データを60〜180秒間収集して、最大蛍光シグナルを決定する。
【0183】
アンタゴニストアッセイのために、種々の濃度の化合物を細胞に加える。次に蛍光シグナルを化合物濃度の関数としてプロットし、カプサイシン活性化による応答の50%抑制を達成するのに必要な濃度、またはIC50を、同定する。カプサイシン受容体のアンタゴニストは好ましくは、1マイクロモル未満、100ナノモル未満、10ナノモル未満または1ナノモル未満のIC50を有する。
アゴニストアッセイのために、カプサイシンの添加なしで、種々の濃度の化合物を細胞に加える。カプサイシン受容体アゴニストである化合物は、細胞内カルシウムレベルのVR1依存性の増加をもたらし、これは、蛍光光度計によるFluo 4蛍光の変化によりモニタリングされる。EC50、あるいは、カプサイシン活性化による応答に対して最大シグナルの50%を達成するのに必要な濃度は、好ましくは、1マイクロモル未満、100ナノモル未満または10ナノモル未満である。
【0184】
例8
痛みの軽減を決定するための動物モデル
この例は、化合物が提供する痛み軽減の度合いを評価するための代表的な方法を示す。
A.鎮痛試験
次の方法を鎮痛の評価に用いることができる。
【0185】
機械的異痛
機械的異痛(無害な刺激に対する異常な反応)を、基本的にChaplan et al. (1994) J. Neurosci. Methods 53: 55-63およびTal and Eliav (1998) Pain 64(3): 511-518に記載の方法により評価する。異なる剛性の一連のフォンフレイ・フィラメント(一般には8〜14本の一連のフィラメント)を、該フィラメントを曲げるのに丁度十分な力で後足の底面に適用する。フィラメントをこの位置に、3秒以内か、またはラットが陽性の異痛性応答を示すまで保持する。陽性の異痛性応答とは、影響を受けた足を上げ、続いて直ちにその足をなめるかまたは振ることからなる。個々のフィラメントを適用する順序および頻度は、ディクソンのアップ−ダウン法を用いて決定する。試験は、一連のうちの真中のヘア(hair)から開始し、最初のフィラメントで陰性または陽性の応答を得るかどうかにより、連続して次のフィラメントを、それぞれ昇順または降順に適用する。
【0186】
化合物は、かかる化合物で処置されたラットが、対照または処置なしまたはビヒクルで処置されたラットと比較して、陽性の異痛応答を誘発するためにより剛性の高いフォンフレイ・フィラメントによる刺激が必要であれば、機械的異痛様症状を逆転させるかまたは防ぐのに有効である。代替的に、またはこれに加えて、化合物投与の前または後に、慢性疼痛の動物の試験を行うこともできる。かかるアッセイにおいて、有効な化合物は、処置前に応答を誘発するフィラメントと比べて、または慢性疼痛を有するが処置なしであるか、またはビヒクルにより処置された動物と比べて、処置後に、応答を誘発するのに必要なフィラメントの剛性の増加をもたらす。試験化合物は、疼痛の発症前に、または後に投与される。試験化合物を疼痛発症後に投与した場合、試験は投与後10分〜3時間の間に行う。
【0187】
機械的痛覚過敏
機械的痛覚過敏(疼痛刺激に対する過剰な反応)を、基本的にKoch et al. (1996) Analgesia 2(3): 157-164の記載のようにして試験する。ラットを、暖めた、穴あきの金属床のケージ内の個別の区画に入れる。後足を引っ込めている時間(すなわち、動物がその足を再度床につける前に上にあげたまま保持している時間の長さ)を、どちらかの後足の底面を針でやわらかく刺した後に、測定する。
化合物は、後足を引っ込めている時間に統計的に有意な減少があれば、機械的痛覚過敏の低減をもたらす。試験化合物は、疼痛発生の前または後に投与してよい。疼痛発生後に投与した化合物については、試験は投与後10分〜3時間の間に行う。
【0188】
熱的痛覚過敏
熱的痛覚過敏(有害な熱刺激に対する過剰な反応)を、基本的にHargraves et al. (1988) Pain 32(1): 77-88の記載のようにして試験する。簡潔に述べると、一定の放射熱源を動物の一方の後足の底面に適用する。後足を引っ込めるまでの時間(すなわち、動物がその足を動かす前に熱を適用した時間の長さ)は、他では熱閾値または反応時間と記載され、これが動物の後足の熱に対する感受性を決定する。
化合物は、後足を引っ込めるまでの時間に統計的に有意な延長があれば(すなわち、応答への熱的閾値または反応時間が増加すれば)、熱的痛覚過敏の低減をもたらす。試験化合物は、疼痛発生の前または後に投与してよい。疼痛発生後に投与した化合物については、試験は投与後10分〜3時間の間に行う。
【0189】
B.疼痛モデル
疼痛は、化合物の鎮痛効果を試験するために、次の方法のいずれかを用いて誘発してよい。一般に、本明細書において提供される化合物は、雄のSDラットおよび以下のモデルの少なくとも1つを用いて、前記の試験方法の少なくとも1つにより決定される疼痛において、統計的に有意な低減をもたらす。
【0190】
急性炎症性疼痛モデル
急性炎症性疼痛は、基本的にField et al. (1997) Br. J. Pharmacol. 121(8): 1513-1522に記載のカラゲナンモデルを用いて誘発する。100〜200μlの1〜2%カラゲナン溶液をラットの後足に注射する。注射の3〜4時間後、動物の、熱的および機械的刺激に対する感受性を、上記の方法を用いて試験する。試験化合物(0.01〜50mg/kg)を動物に、試験前に、またはカラゲナンの注射の前に投与する。化合物は経口または任意の非経口経路により、または局所的に足に、投与することができる。このモデルにおいて疼痛を軽減する化合物は、機械的異痛および/または熱的痛覚過敏において統計的に有意な低減をもたらす。
【0191】
慢性炎症性疼痛モデル
慢性炎症性疼痛は、次のプロトコルの1つを用いて誘発する:
1.基本的にBertorelli et al. (1999) Br. J. Pharmacol. 128(6): 1252-1258およびStein et al. (1998) Pharmacol. Biochem. Behav. 31(2): 455-51の記載のようにして、200μlの完全フロインドアジュバント(0.1mgの熱殺菌および乾燥結核菌)をラットの後足に注射する:100μlを背面に、および100μlを底面に。
2.基本的にAbbadie et al. (1994) J Neurosci. 14(10): 5865-5871の記載のようにして、ラットに150μlのCFA(1.5mg)を脛足根関節(tibio-tarsar joint)内に注射する。
【0192】
いずれかのプロトコルにおいてCFAを注射する前に、動物の後足への機械的および熱的刺激に対する個々のベースライン感受性を、各実験動物について得ておく。
CFAの注射後、ラットを熱的痛覚過敏、機械的異痛および機械的痛覚過敏について、上記のようにして試験する。症状の発生を確認するために、ラットを、CFA注射後5、6および7日目に試験する。7日目に、動物を試験化合物、モルヒネ、またはビヒクルで処置する。1〜5mg/kgのモルヒネは陽性対照として適当である。一般に、0.01〜50mg/kgの試験化合物を用いる。化合物は、試験前に単一のボーラス投与で、または試験前の数日間に、毎日1、2もしくは3回、投与することができる。薬剤は経口または任意の非経口経路で、または局所的に、動物に投与する。
【0193】
結果はパーセント最大潜在的有効性(MPE)で表す。0%MPEはビヒクルと類似の効果として定義され、100%MPEは動物のCFA前のベースライン感受性への回帰として定義される。このモデルにおいて疼痛を軽減する化合物は、少なくとも30%のMPEをもたらす。
【0194】
慢性神経障害性疼痛モデル
慢性神経障害性疼痛は、基本的にBennett and Xie (1988) Pain 33: 87-107に記載されるように、ラットの坐骨神経への慢性狭窄性障害(CCI)を用いて誘発される。ラットに麻酔をかける(例えば50〜65mg/kgの腹腔内用量および追加の用量を必要に応じて投与する)。各後肢の外側面の毛をそり、殺菌する。無菌技術を用いて、大腿部の中央の位置で後肢の外側面を切開する。大腿二頭筋をざっと切り開き、坐骨神経を暴露する。各動物の1つの後肢で、約1〜2mm離して坐骨神経の周りに4つのゆるく結んだ結紮をつくる。他の側では、坐骨神経を結紮せず、操作しない。筋肉を連続パターンで閉じ、皮膚を創傷クリップまたは縫合糸でとじる。ラットを、機械的異痛、機械的痛覚過敏および熱的痛覚過敏について、上記のようにして評価する。
【0195】
このモデルにおいて、疼痛を軽減する化合物は、機械的異痛、機械的痛覚過敏および/または熱的痛覚過敏において、試験の直前に単回のボーラス投与、または試験前に数日間、毎日1、2または3回投与(0.01〜50mg/kg、経口、非経口、または局所投与)された場合に、統計的に有意な低減をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

式中、
【化2】

は、O、NおよびSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、縮合5または6員ヘテロアリールを表し、ここで前記縮合ヘテロアリールは、(i)アミノおよびヒドロキシ;および(ii)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルカノイルオキシ、C〜Cアルキルスルホニルアミノ、C〜Cアルカノイルアミノ、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノであって、各々はヒドロキシ、アミノ、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている;から独立して選択される0〜2個の置換基で置換されており;
Arは、6〜10員アリールまたは5〜10員ヘテロアリールであり、これらの各々は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノから独立して選択される、0〜4個または0〜3個の置換基で置換されており;および
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり、これらの各々は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ヒドロキシおよびC〜Cアルキルから独立して選択される、0〜2個の置換基で置換されている;
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩もしくは水和物。
【請求項2】
構造:
【化3】

式中、
Xは、NまたはCHであり;および
は、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、およびモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノから独立して選択される、0〜3個の置換基を表す;
で表される、請求項1に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項3】
【化4】

が、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、およびC〜Cハロアルキルから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている5員ヘテロアリールである、請求項1または2に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項4】
【化5】

であり、式中Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである、請求項3に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項5】
【化6】

が、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択される0〜2個の置換基で置換されている6員ヘテロアリールである、請求項1または2に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項6】
【化7】

であり、式中Rは、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルコキシから独立して選択される0〜3個の置換基を表す、請求項5に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項7】
が、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、およびC〜Cハロアルキルから独立して選択される1〜3個の置換基を表す、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項8】
で表される1個の置換基が、パラ配位におけるハロゲンまたはシアノである、請求項7に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項9】
が、正確に1個の置換基を表す、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項10】
化合物が、式:
【化8】

式中、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;
は、ハロゲン、シアノ、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;および
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルから独立して選択される0〜2個の置換基を表す、
で表される、請求項9に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項11】
が、ハロゲンまたはCNである、請求項10に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項12】
が、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項13】
が、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルである、請求項12に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項14】
化合物が、
1−(4−クロロフェニル)−9−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
1−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
3−(4−フルオロフェニル)−7−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
3−(4−クロロフェニル)−7−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
9−シクロプロピル−1−(4−フルオロフェニル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
4−{9−メチル−6−オキソ−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−6,9−ジヒドロ−1H−プリン−1−イル}ベンゾニトリル;
1−(4−クロロフェニル)−9−シクロプロピル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
9−エチル−1−(4−フルオロフェニル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
6−(4−クロロフェニル)−5−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル][1,3]チアゾロ[5,4−d]ピリミジン−7(6H)−オン;
3−(4−クロロフェニル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
3−(6−クロロピリジン−3−イル)−7−メチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−2−(cis−4−イソプロピルシクロヘキシル)−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
4−{9−エチル−6−オキソ−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−6,9−ジヒドロ−1H−プリン−1−イル}ベンゾニトリル;
1−(6−クロロピリジン−3−イル)−9−エチル−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
4−{4−オキソ−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−3(4H)−イル}ベンゾニトリル;
3−(4−フルオロフェニル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
9−エチル−1−(6−メチルピリジン−3−イル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
9−エチル−1−(6−シアノピリジン−3−イル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
3−(6−シクロピリジン−3−イル)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
1−(4−クロロフェニル)−9−エチル−8−(メチルアミノ)−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン;
5−{4−オキソ−2−[cis−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル]ピリド[3,2−d]ピリミジン−3(4H)−イル}ピリジン−2−カルボニトリル;
1−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−9−メチル−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)−1H−プリン−6(9H)−オン;または
3−(ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)−2−((1s,4s)−4−(トリフルオロメチル)シクロヘキシル)ピリド[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン;
である、請求項1に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項15】
化合物が、カプサイシン受容体アゴニズムのin vitroアッセイにおいて検出可能なアゴニスト活性を示さない、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項16】
化合物が、カプサイシン受容体カルシウム動員アッセイにおいて1マイクロモル以下のIC50値を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種を、生理学的に許容し得る担体または賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項18】
組成物が、注射可能な液体、エアロゾル、クリーム、経口液体、錠剤、ゲル、ピル、カプセル、シロップ、または経皮パッチとして製剤化される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
細胞のカプサイシン受容体のカルシウムコンダクタンスを低下させるための方法であって、カプサイシン受容体を発現する細胞を、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種と接触させ、これによりカプサイシン受容体のカルシウムコンダクタンスを低下させることを含む、前記方法。
【請求項20】
細胞が、動物内でin vivoで接触させられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
細胞が神経細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞が尿路上皮細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
接触の間、化合物またはその塩もしくは水和物が動物の体液中に存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
動物がヒトである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
化合物が経口投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
バニロイドリガンドのカプサイシン受容体へのin vitroでの結合を阻害するための方法であって、カプサイシン受容体を、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種と、バニロイドリガンドのカプサイシン受容体への結合を検出可能な程度阻害するのに十分な量で、そのための条件下で接触させることを含む、前記方法。
【請求項27】
患者においてバニロイドリガンドのカプサイシン受容体への結合を阻害するための方法であって、カプサイシン受容体を発現する細胞を、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種と、バニロイドリガンドのin vitroでクローニングされたカプサイシン受容体を発現する細胞への結合を検出可能な程度阻害するのに十分な量で接触させ、これにより患者におけるバニロイドリガンドのカプサイシン受容体への結合を阻害することを含む、前記方法。
【請求項28】
患者がヒトである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
患者におけるカプサイシン受容体調節に応答する状態を処置するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種の治療有効量を投与し、これにより該患者における状態を緩和することを含む、前記方法。
【請求項30】
患者が、(i)カプサイシンへの暴露、(ii)熱への暴露による火傷または炎症、(iii)光への暴露による火傷または炎症、(iv)催涙ガス、病原菌、大気汚染物質または唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮または炎症、あるいは(v)酸への暴露による火傷または炎症を患っている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
状態が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
患者の痛みを処置するための方法であって、痛みに苦しむ患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種の治療有効量を投与し、これにより該患者の痛みを緩和することを含む、前記方法。
【請求項33】
患者が神経障害性疼痛を患っている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
痛みが、乳房切除術後の疼痛症候群、断端痛、幻肢痛、口腔神経障害性疼痛、歯痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、反射性交感神経性ジストロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛、ギランバレー症候群、感覚異常性大腿神経痛、口腔灼熱症候群、両側性末梢神経障害、灼熱痛、神経炎、神経細胞炎、神経痛、AIDS関連神経障害、MS関連神経障害、脊髄損傷関連疼痛、手術関連疼痛、筋骨格痛、背痛、頭痛、片頭痛、咽頭痛、陣痛、痔、消化不良、シャルコー疼痛、腸内ガス、月経、癌、毒物暴露、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患および外傷から選択される状態に付随する痛みである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
患者がヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
患者の痛みを処置するための方法であって、痛みに苦しむ患者に対して、(i)請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の少なくとも1種、および(ii)イブプロフェンの組合せの治療有効量を投与し、これにより該患者の痛みを緩和することを含む、前記方法。
【請求項37】
患者のかゆみを処置するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の治療有効量を投与し、これにより該患者のかゆみを緩和することを含む、前記方法。
【請求項38】
患者の咳またはくしゃみを処置するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の治療有効量を投与し、これにより該患者の咳またはくしゃみを緩和することを含む、前記方法。
【請求項39】
患者の尿失禁または過活動膀胱を処置するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の治療有効量を投与し、これにより該患者の尿失禁または過活動膀胱を緩和することを含む、前記方法。
【請求項40】
患者の更年期症状を処置するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の治療有効量を投与し、これにより該患者の更年期症状を緩和することを含む、前記方法。
【請求項41】
肥満患者の体重の減少を促進するための方法であって、患者に対して、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の治療有効量を投与し、これにより該患者の体重の減少を促進することを含む、前記方法。
【請求項42】
化合物が放射標識されている、請求項1に記載の化合物またはその塩もしくは水和物。
【請求項43】
試料中のカプサイシン受容体の有無を決定するための方法であって、
(a)試料を、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物と、該化合物のカプサイシン受容体への結合を許容する条件下で、接触させること;および
(b)カプサイシン受容体に結合した化合物またはその塩もしくは水和物のレベルを示すシグナルを検出し、これから、試料中のカプサイシン受容体の有無を決定すること;
のステップを含む、前記方法。
【請求項44】
化合物またはその塩もしくは水和物が放射標識され、検出のステップが、次のステップ:
(i)未結合化合物を、結合した化合物から分離すること;および
(ii)試料中の結合放射標識の有無を検出すること;
を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(a)容器内の、請求項17に記載の医薬組成物;および
(b)痛みの処置に前記組成物を用いるための指示書;
を含む、パッケージ化された医薬製剤。
【請求項46】
(a)容器内の、請求項17に記載の医薬組成物;および
(b)咳またはくしゃみの処置に前記組成物を用いるための指示書;
を含む、パッケージ化された医薬製剤。
【請求項47】
(a)容器内の、請求項17に記載の医薬組成物;および
(b)肥満の処置に前記組成物を用いるための指示書;
を含む、パッケージ化された医薬製剤。
【請求項48】
(a)容器内の、請求項17に記載の医薬組成物;および
(b)尿失禁または過活動膀胱の処置に前記組成物を用いるための指示書;
を含む、パッケージ化された医薬製剤。
【請求項49】
カプサイシン受容体調節に応答する状態を処置するための医薬の製造のための、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物またはその塩もしくは水和物の使用。
【請求項50】
状態が、痛み;喘息;慢性閉塞性肺疾患;咳;くしゃみ:肥満;尿失禁;過活動膀胱;更年期症状、カプサイシンへの暴露;熱への暴露による火傷もしくは炎症;光への暴露による火傷もしくは炎症;催涙ガス、病原菌、大気汚染物質もしくは唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮もしくは炎症;または酸への暴露による火傷もしくは炎症である、請求項49に記載の使用。

【公表番号】特表2010−509224(P2010−509224A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535353(P2009−535353)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/023318
【国際公開番号】WO2008/066664
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(500015456)ニューロジェン・コーポレーション (48)
【Fターム(参考)】