説明

ナビゲーション装置

【目的】電気自動車を運転するドライバがSPAサービスに対応する有料道路を走行中に、充電すべき状況になったとき、SPAサービスを有効に活用した充電施設案内をすることが可能なナビゲーション装置を提供することである。
【解決手段】経路設定部116は、SPA対象IC出口から有料道路を降りて、SPAとSPA周辺の充電施設を経由し、SPA対象IC入口から有料道路に乗る経路の内、移動時間、希望充電時間、SPA利用時間の合計がSPAサービスの定める所定時間内であり、かつ、経由する充電施設の数が一番多い経路を誘導経路として設定する。もしくは、経路設定部116は、経由する充電施設への到着予想時刻から希望充電時間分の充電予約が可能であり、かつ、移動時間、希望充電時間、SPA利用時間の合計がSPAサービスの定める所定時間以内である経路の内、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最も早い経路を誘導経路として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを動力源として走行する電気自動車(以下、EVという)に備えられたナビゲーション装置に係り、特に、ETC(Electronic Toll Collection System)を活用した有料道路の利用に好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーキングエリアが十分に整備されていない首都高速道路等において、トイレ休憩等のサービスを補完することを目的として、ETCを活用したスマートパーキングエリア(以下、SPAという)サービスの運用が、検討されている。ここで、SPAとは、首都高速道路の高架下や出入口付近等に設置された予め指定されたトイレや商業施設等の首都高速道路外の施設である。
【0003】
このSPAサービスとは、首都高速道路の指定されたインターチェンジ出口(以下、SPA対象IC出口という)からETCを利用して(すなわち、ETC出口ゲートを通過して)首都高速道路を一旦降りた後に、2時間以内に、SPAを利用(SPAに設けられたゲートを通過)した上で当該指定されたSPA対象IC出口に対応する首都高速道路の指定されたインターチェンジ入口(以下、SPA対象IC入口という)からETCを利用して(すなわち、ETC入口ゲートを通過して)首都高速道路に再び乗った場合に、利用料金が再課金されず、首都高速道路を一旦降りなかった場合と同じ料金となるサービスである。
【0004】
このSPAサービスにおいては、2時間という時間枠さえ遵守すれば、この時間内にSPA以外の施設への立ち寄りが禁じられているわけではない。よって、SPAサービスを利用可能な高速道路を走行中に、コンビニやガソリンスタンドに立ち寄りたい場合、このSPAサービス利用し、高速道路をSPA対象IC出口から一旦降りてから2時間以内に、SPAとSPA周辺の施設(コンビニやガソリンスタンド)を利用し、再度、SPA対象IC入口から高速道路に入ることが、ユーザにとって余計な料金が発生しないので望ましい。
【0005】
従来、特許文献1に記載の目標物検索装置では、高速道路を走行中に、周辺施設検索を行った際、現在走行中の高速道路から一般道路に降りるIC出口を検索基準位置として決定し、その検索基準位置に対して周辺施設を検索する技術が開示されている。
【0006】
さらに、本願出願人は、SPAサービスを考慮した施設検索を行う技術として、自車がSPAサービス対象の有料道路を走行中、現在位置から走行方向にあるSPA対象IC出口から出て、利用すべきSPAとそのSPA近隣のガソリンスタンドを検索するナビゲーション装置を先行出願している(特願2010−96737)。この先行出願では、検索結果で得られた複数のガソリンスタンドを表示するとともに、立ち寄りたいガソリンスタンドを指定することで、選択された施設を目的地とし、SPAを経由地とするルートの案内がされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3736391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、自動車の動向として、地球環境の観点から、環境にやさしい電気自動車(EV)の普及が促進されてきており、EVを利用するユーザが増えてきている。また、それに伴い、EVを充電する充電設備(充電施設)の設置も充実してきているが、EVの充電は、ガソリン車の燃料補給とは異なり、充電するのに時間がかかってしまう。
【0009】
よって、上記先行出願に記載のナビゲーション装置では、SPA周辺の充電施設を検索し、その検索した充電施設とSPAを経由する経路を案内することができるが、充電施設に到着したとき、充電待ちの状況が発生しており、SPAサービス適用のための2時間を考慮すると、充電に十分な時間をかけられない場合がある。その場合、次の充電施設の検索操作を行う必要があるが、次の充電施設でも同様の状況である可能性もあり、同様の操作を再度行う必要があり、何度も検索操作を行うことが煩わしいと感じる。
【0010】
以上のことから、本発明の目的は、EVを運転するドライバがSPAサービスに対応する高速道路を走行中に、充電すべき状況になったとき、SPAサービスを有効に活用した充電施設案内をすることが可能なナビゲーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する為に、本発明のナビゲーション装置は、有料道路を走行中に、特定施設利用のために指定されたインターチェンジ出入口を利用し、一時的な出入場を所定時間内で認めるサービスを受けるときに利用可能な車載用ナビゲーション装置であって、充電施設と前記特定施設の位置情報を含む地図データを記憶する記憶部と、現在の自車位置を特定する車両位置特定部と、道路の交通情報を取得する交通情報取得部と、前記充電施設の検索及び希望充電時間を指示する操作部と、前記有料道路を走行中に、前記操作部から前記検索指示があったときに、自車の走行方向に存在する前記特定施設利用のための前記インターチェンジ出口を出て、利用すべき前記特定施設の位置を検索する特定施設検索部と、前記特定施設検索部が検索した前記特定施設から所定の距離内に存在する1以上の前記充電施設を検索する周辺施設検索部と、前記地図データに基づいて、前記インターチェンジ出口を出て、前記特定施設と、前記1以上の前記充電施設の少なくとも1つを経由し、前記インターチェンジ入口に入る複数の経路を探索する経路探索部と、前記地図データと前記交通情報に基づいて、前記複数の経路の移動時間を算出する移動時間算出部と、前記複数の経路のうち、前記移動時間と、前記希望充電時間と、予め設定された前記特定施設の利用時間の和で算出される総所要時間が前記サービスの定める所定時間内であり、かつ、経由する前記充電施設の数が一番多い経路を誘導経路として設定する経路設定部と、を備えている。
【0012】
ここで、前記経路設定部は、経由する充電施設の数が一番多い経路が複数存在した場合、前記総所要時間が最短である経路を誘導経路として設定するようにしてもよい。
【0013】
そして、前記特定施設検索部は、自車位置から最も近い前記インターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索するようにしてもよい。
【0014】
また、目的地までの経路が設定されているときに、前記特定施設検索部は、前記有料道路の前記経路上における、前記特定施設への出口として決められている現在位置から最も近いインターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索するようにしてもよい。
【0015】
好ましくは、前記充電施設で、前記車両に充電したか否かを判定する充電判定部と、前記有料道路の前記インターチェンジ出入口及び、前記特定施設に備えられた送受信装置と通信可能であり、前記送受信機との通信履歴により、前記送受信機を備える設備を利用したか否か判断する狭域無線通信部と、をさらに備え、前記経路検索部は、前記充電判定部により充電したと判定し、かつ、前記通信履歴より前記特定施設を利用したと判定したときに、現在位置から前記インターチェンジ入口へ向かう経路を探索し、前記経路設定部は、前記経路を新しい誘導経路として設定する。
【0016】
もしくは、上記課題を解決する為に、本発明のナビゲーション装置は、有料道路を走行途中に、特定施設利用のために指定されたインターチェンジ出入口を利用し、一時的な出入場を所定時間内で認めるサービスを受けるときに利用可能な車載ナビゲーション装置であって、充電施設と前記特定施設の位置情報を含む地図データを記憶する記憶部と、現在の自車位置を特定する車両位置特定部と、道路の交通情報を取得する交通情報取得部と、前記充電施設の検索及び希望充電時間を指示する操作部と、前記有料道路を走行中に、前記操作部から前記検索指示があったときに、自車の走行方向に存在する前記特定施設利用のための前記インターチェンジ出口を出て、利用すべき前記特定施設の位置を検索する特定施設検索部と、前記特定施設検索部が検索した前記特定施設から所定の距離内に存在する1以上の前記充電施設を検索する周辺施設検索部と、前記周辺施設検索部により検索された前記充電施設の予約状況を前記充電施設から取得する予約状況取得部と、前記地図データに基づいて、前記インターチェンジ出口を出て、前記特定施設と、前記周辺施設検索部が検索した前記充電施設のうちの1つを経由し、前記インターチェンジ入口に入る複数の経路を探索する経路探索部と、前記地図データと前記交通情報に基づいて、前記複数の経路の移動時間を算出する移動時間算出部と、前記充電施設と前記インターチェンジ入口の到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、前記到着予想時刻算出部が算出した前記充電施設への到着予想時刻から、前記希望充電時間分の充電施設の予約が可能であり、かつ、前記移動時間と、前記希望充電時間と、前記利用時間との和で算出される総所要時間が前記サービスの定める所定の時間以内である経路を前記経路探索部が探索した複数の経路の中から特定し、当該経路をユーザに提供する誘導経路として設定する経路設定部と、を備えている。
【0017】
ここで、前記経路設定部は、前記誘導経路としての条件を満たす経路が複数存在する時、前記到着予想部が算出したインターチェンジ入口への到着予想時刻が一番早い経路を誘導経路として設定するようにしてもよい。
【0018】
さらに、前記経路設定部は、前記経路が複数存在するときに、前記インターチェンジ入口に近い充電施設を経由する経路を特定し、当該経路をユーザに提供する誘導経路として設定するようにしてもよい。
【0019】
そして、前記特定施設検索部は、自車位置から最も近い前記インターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索するようにしてもよい。
【0020】
また、目的地までの経路が設定されているときに、前記特定施設検索部は、前記有料道路の前記経路上における、前記特定施設への出口として決められている現在位置から最も近いインターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索するようにしてもよい。
【0021】
好ましくは、前記経路探索部が探索した前記誘導経路上の前記充電施設への到着予想時刻を基に、前記充電施設へ、前記到着予想時刻から前記充電時間の間の前記充電施設へ充電予約を行う予約要求部をさらに備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電気自動車(EV)を運転するドライバがSPAサービスに対応する高速道路を走行中に、充電すべき状況になったとき、SPAサービスを有効に活用した充電施設の案内を行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に係るナビゲーション装置の構成図である。
【図2】地図画面の表示例を示す図である。
【図3】実施例1に係る経路探索処理のフローチャート(その1)である。
【図4】実施例1に係る経路探索処理のフローチャート(その2)である。
【図5】充電時間入力画面の表示例を示す図である。
【図6】実施例1に係る充電施設とSPAを経由する経路の組み合わせ及び合計時間を示す図である。
【図7】実施例1に係る充電時間とSPAを経由する誘導経路を強調表示した地図画面の表示例を示す図である。
【図8】実施例1に係る誘導経路再探索処理のフローチャートである。
【図9】実施例2に係るナビゲーション装置の構成図である。
【図10】各充電施設の予約状況データの例を示す図である。
【図11】実施例2に係る経路探索処理のフローチャートである。
【図12】実施例2に係る誘導経路設定処理のフローチャートである。
【図13】実施例2に係る充電施設とSPAを経由する経路の組み合わせ及び合計時間及び、各施設への到着予想時間を示す図である。
【図14】実施例2に係る充電時間とSPAを経由する誘導経路を強調表示した地図画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置について、図面を参照して詳細に説明する。本発明に好ましい実施の形態として、本発明に係るナビゲーション装置は、電気自動車に備えられているナビゲーション装置として利用され、この電気自動車はETC車載機を備えており、ナビゲーション装置と接続しているものとして、説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係るナビゲーション装置1の構成を示した図である。
ナビゲーション装置1は、記憶部20、GPS受信機30、自律航法センサ40、車両位置特定部50、交通情報取得部60、操作部70、表示部80、充電判定部90、処理ユニット100と、によって構成される。
【0026】
ETC車載機10は、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)の一種であり、ナビゲーション装置1の処理ユニット100に接続されている。このETC車載機10は、ETCカードがセットされた状態で通行料金前払い式の有料道路(例えば、首都高速道路)等におけるICの入口や出口に設置された送受信装置とで、交わされる情報に基づいて、その有料道路の通行料金の課金等がなされる。また、ETC車載機10は、首都高速道路で試行されるSPAサービスにおいて、SPAへの出口として決められているSPA対象IC出口に設置された出口通過送受信機、前記SPAからの入口として決められているSPA対象IC入口に設置された入口通過送受信機、更に、一般道路沿いに位置するSPAのゲートに設置されたSPA通過送受信機のそれぞれと無線通信可能であり、それぞれの送受信機との通信履歴を記憶しておく。
【0027】
記憶部20は、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)により構成され、地図データを記憶する。地図データは、リンク、ノード、道路名称、通行条件、および交通看板等の情報である道路データ、点、ポリライン、ポリゴンおよびテキスト等の情報である背景データ、ノードやリンクに対する経路計算コスト情報である経路計算データ、エリア名称、住所、郵便番号およびPOI(Point Of Interest)の属性(位置、名称、住所および種別等)を示すPOIデータやアイコンデータ等の情報である施設データにより構成されている。
【0028】
ここで、SPAサービスを受けることのできる有料道路であるかを示すSPA対象道路の情報は、道路データに含まれ、SPAとSPA対象IC出入口の情報は、施設データに含まれる。このSPAとSPA対象IC出入口情報とは、SPA対象IC出口の位置情報、このSPA対象IC出口で降りた場合に、利用すべきSPAの情報、そして、SPA利用後に有料道路にのるためのSPA対象IC入口の位置情報のことである。
【0029】
なお、本実施例では、SPAとSPA対象IC出入口情報を、道路データや施設データに含むように、すなわち、地図データに含まれる情報であるようにしたが、地図データとは別の個別情報として、記憶するようにしてもよい。
【0030】
また、これらの地図データは、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(例えば、レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されている。
【0031】
さらに、ここでは、記憶部20をHDDで構成しているが、光ディスクドライブで構成し、これらの地図データを記憶したディスク(例えば、DVD等)を読み込むようにすることも可能である。
【0032】
GPS受信機30は、GPS(Global Positioning System)衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報を後述する車両位置特定部50に出力する。
【0033】
自律航法センサ40は、車速センサやジャイロセンサ等からなり、車両の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果を後述する車両位置特定部50に出力する。
【0034】
車両位置特定部50は、GPS受信機30と自律航法センサ40から出力される情報を基に、自車両の位置を特定し、処理ユニット100に出力する。
【0035】
交通情報取得部60は、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)(登録商標)受信機やDSRC受信機で構成され、交通情報の送信元(提供者)から送信された交通情報を受信し、処理ユニット100(特に、地図描画部101、経路探索部104、移動時間計算部105)に出力する。この交通情報は、現在の混雑具合(渋滞具合)や、工事による通行禁止情報、交通事故情報などの情報であり、道路データのリンク情報対応付けされる。
【0036】
操作部70は、リモコン、固定スイッチ、表示部のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイク等により構成され、ユーザの操作内容に応じた操作信号を処理ユニット100に入力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能である。
具体的には、目的地および経由地の設定操作、充電施設の検索操作や、希望充電時間の入力操作等を受け付け、これらの操作内容を経路探索部104または経路設定部106に入力する。
表示部80は、液晶ディスプレイ等で構成され、地図表示画面、交差点拡大図画面、各種設定画面等を表示する。
【0037】
充電判定部90は、車両に備える蓄電量検出装置(図示しない)が検出した蓄電量を取得し、その変化量を監視することで、充電したか否かを判定する。充電判定部90により自車両が充電されたと判定した場合には、充電完了を示すデータを経路探索部104に出力する。
【0038】
処理ユニット100は、ナビゲーション装置1の全体を制御し、地図描画部101、特定施設検索部102、周辺施設検索部103、経路探索部104、移動時間算出部105、経路設定部106、経路案内部107と、によって構成される。
【0039】
地図描画部101は、記憶部20に記憶される地図データと、車両位置特定部50が特定した自車位置(図2の自車位置マークA1)と、交通情報取得部60が取得した交通情報(図2の破線矢印TI)と、経路設定部106が設定した誘導経路とを合成した地図画面を生成して表示部80に表示する。
【0040】
特定施設検索部102は、SPAサービス対象道路を走行中に、操作部70から充電施設の検索指示があったときに、記憶部20の施設データにアクセスし、自車両の走行方向に存在するSPA対象IC出口を利用し、SPAサービス対象道路を降りて、利用すべきSPAを検索する。このとき、特定施設探索部102は、経路設定の有無に応じて、SPAの検索を変更する。具体的には、経路設定がされている場合、自車両の走行方向に存在するSPA対象IC出口のうち、誘導経路上かつ現在位置から最も近いSPA対象IC出口でSPAサービス対象道路を降りて、利用すべきSPAを検索する。
【0041】
一方、経路設定がされていない場合、自車両の走行方向に存在するSPA対象IC出口のうち、現在位置から最も近いSPA対象IC出口でSPAサービス対象道路を降りて、利用すべきSPAを検索し、その位置を特定する。そして、検索されたSPAを周辺施設検索部103に入力し、また、検索されたSPA及びそのSPA対象IC出入口を経路探索部104に入力する。
【0042】
周辺施設検索部103は、記憶部20の施設データにアクセスし、特定施設検索部102で検索されたSPAから所定の距離内に存在する全ての充電施設を検索する。そして、検索された充電施設の情報と充電施設数Nを経路探索部104に入力する。
例えば、図2に示すSPA(S1)が特定施設検索部102で検索された場合、このSPAから所定距離(破線円L1)内に位置する充電施設を検索する。その結果、周辺施設検索部103では、充電施設A、充電施設B、充電施設Cが検索され、この3つの充電施設の情報と充電施設数(N=3)が経路探索部104に入力される。
【0043】
経路探索部104は、車両位置特定部50によって特定された自車位置から、操作部70を用いて設定された目的地までの経路を、記憶部20に記憶されている道路データや経路計算データ及び交通情報取得部60が取得した交通情報に基づいて探索する。また、操作部70を用いて経由地が設定された場合は、自車位置から、経由地を経由して、目的地までの経路を、記憶部20に記憶されている道路データや経路計算データ及び交通情報取得部60が取得した交通情報に基づいて探索する。これらの経路は、経路設定部106に出力され、経路設定部106にて誘導経路として設定される。
【0044】
さらに、特定施設検索部102からSPA及びSPA対象IC出入口の情報と、周辺施設検索部103から充電施設の情報及び充電施設数Nが入力されると、経路探索部104は、自車位置からSPA対象IC出口を利用し、SPAサービス対象道路を降りて、SPA、N個のうちのM個の充電施設を経由し、SPA対象IC入口を利用し、SPAサービス対象道路に乗る複数の経路を探索する。ここで、Mの初期値はNとする。そして、この複数の探索経路を移動時間算出部105及び経路設定部106に出力する。
【0045】
また、経路設定部106から、経由する充電施設数Mを1つ減らした経路の探索指示が入力されると、経路探索部104は、自車位置からSPA対象IC出口からSPAサービス対象道路を出て、SPA及び(M−1)個の充電施設を経由し、SPA対象IC入口からSPAサービス対象道路に戻る複数の経路を探索する。
【0046】
その後、経路設定部106により、複数の経路から誘導経路が特定され、ユーザがこの誘導経路に従って、充電施設に到着し、車両への充電が完了すると、充電判定部90から充電完了を示すデータが経路探索部104に入力され、経路探索部104は、この充電完了を示すデータを受け、ETC車載機10の通信履歴を取得して、SPAが経由済みであるか判定する。そして、SPAを経由済みである場合には、自車位置からSPA対象IC入口に直接戻る経路を再探索し、SPAを経由済みでない場合には、自車位置からSPAを経由してSPA対象IC入口に戻る経路を再探索する。この再探索された経路は、経路設定部106に出力され、経路設定部106にて誘導経路として設定される。
【0047】
移動時間算出部105は、経路探索部104から入力された各経路について、SPA対象IC出口からSPA対象IC入口に戻るまでに必要な時間を算出する。なお、この移動時間は、交通情報取得部60から出力された交通情報、ナビゲーション装置1に予め設定されている走行速度、リンク情報に含まれる距離情報等から算出することができる。そして、この各経路の移動時間を経路設定部106に出力する。
【0048】
経路設定部106は、経路探索部104が探索した複数の経路のうち、移動時間算出部105が算出した移動時間が最短となる経路を特定する。さらに、この移動時間が最短となる経路に対して、この移動時間と、操作部70から入力操作された希望充電時間と、予め設定されているSPAの利用時間の合計時間が、SPAサービスが定める2時間以内であるか判定し、2時間以内であれば、誘導経路として設定する。
【0049】
一方、この合計時間が、2時間以上であれば、SPAサービスが適用外となるため、経路探索部104に、経由する充電施設数Mを1つ減らして再度探索する指示を出力する。
すなわち、合計時間が、2時間以内の経路であり、かつ、最も多くの充電施設を通る経路を誘導経路として設定する。
【0050】
また、経路探索部104から、自車位置からSPA対象IC入口に直接戻る経路および、自車位置からSPAを経由してSPA対象IC入口に戻る経路の再探索結果が出力されると、この再探索された経路を経路設定部106で誘導経路として設定する。
【0051】
経路案内部107は、経路設定部106が設定した誘導経路について、経路案内の処理を行う。経路案内の処理について、具体的には、経路設定部106が設定した誘導経路について、強調表示するように地図描画部101に出力する処理、交差点拡大図の表示を行う処理や、スピーカ(図示しない)を介して交差点右左折案内等の音声案内を行う処理等を行う。
【0052】
次に、実施例1に係るナビゲーション装置1の経路探索処理について、図3を用いて説明する。なお、本実施例では、現在、自車が車両位置特定部50で特定された自車位置及び記憶部20に記憶された地図データに基づいて、SPAサービス対象道路(例えば、首都高速道路)を走行している状態が判断されているものとする。
【0053】
ユーザが、操作部70を用いて、充電施設の検索操作を行う(S101)と、処理ユニット100は、ユーザの希望充電時間を入力するための画面(図5)を作成して表示部80に表示する。
【0054】
そして、ユーザが操作部70から希望充電時間(例えば、30分)を入力すると(S103)、特定施設検索部102は、SPA特定処理を行う(S105)。このSPA特定処理は、図4を用いて説明する。
【0055】
処理ユニット100は、車両位置特定部50から出力される自車位置情報を基に、自車位置の特定を行う(S201)。
【0056】
特定施設検索部102は、経路設定部106にて自車位置から目的地までの誘導経路が設定されているか判断する(S203)。目的地までの誘導経路が設定されている場合、特定施設検索部102は、その設定された誘導経路上、かつ、自車位置から最も近いSPA対象IC出口に対応するSPAを検索し、その位置を取得する(S205)。
一方、目的地までの誘導経路が設定されていない場合、特定施設検索部102は、自車位置から最も近いSPA対象IC出口に対応するSPAを検索し、その位置を取得する(S207)。
【0057】
次に、周辺施設検索部103は、ステップS205またはステップS207で特定されたSPAの位置から所定距離内に存在する全ての充電施設を検索し、充電施設情報(施設名、位置)の取得及び、検索した充電施設数Nを設定する(S107)。
【0058】
そして、経路探索部104は、周辺施設検索部103からN個の充電施設情報が入力されると、経由地として設定する充電施設数をM(M≦N)とし、M=Nを設定する(S108)。
【0059】
続いて、経路探索部104は、自車位置から特定施設検索部102により検索されたSPAに対応するSPA対象IC出口を通過し、このSPAと周辺施設検索部103で検索されたN個の充電施設のうちのM個の充電施設を経由し、SPAに対応するSPA対象IC入口に戻る複数の経路を、交通情報取得部60から出力される交通情報を考慮して探索する(S109)。
【0060】
なお、具体的には、SPA及びM個の充電施設を経由地とし、経由する順序を考慮すると、数式1で算出されるX通りの経路が探索される。
【数1】

【0061】
そして、経路探索部104は、このX通りの経路を、移動時間算出部105と経路設定部106に出力する。このとき、移動時間算出部105は、この経路探索部104から入力された各経路について、SPA対象IC出口からSPA対象IC入口に戻るまでに必要な移動時間を算出し、その結果を経路設定部106に出力する(S111)。
【0062】
続いて、経路設定部106は、経路探索部104から入力されたX通りの経路と、移動時間算出部105から入力されたそれぞれの経路における移動時間から、移動時間が最小である経路を特定する(S113)。
【0063】
経路設定部106は、移動時間が最小である経路を特定すると、この特定した経路の移動時間と、ステップS103にて入力した希望充電時間(30分)と、予め設定されたSPAの利用時間(例えば、15分)の合計時間が、SPAサービスが定める所定時間以内(例えば、2時間以内)であるかを判定する(S115)。
【0064】
ここで、SPAの利用時間を15分としたが、これに限らず、ユーザ操作により、自由に設定できるようにしてもよい。SPAサービス適用の為に、SPAを利用したか否かの判断は、SPAに備えられたゲートとETC受信機が交信することで判断される為、例えば、経由するだけで、SPAを利用する必要がないときは、0分と設定することも可能である。
【0065】
ステップS115において、合計時間が2時間以内であった場合、この経路を走行することで、SPAサービスの適用時間内にSPAの経由及び充電完了をして、再度SPAサービス対象道路に戻ることができるため、経路設定部106は、この経路を誘導経路に設定し(S119)、経路案内部107は経路案内を開始する。
【0066】
一方、ステップS115において、合計時間が2時間以上であった場合、このM個の充電施設とSPAを経由する経路では、SPAサービスが適用できないため、経由する充電施設数を1つ減らし(M=M−1を設定)、ステップS109の処理に戻る(S117)。
【0067】
上記処理について、図2に示す状況において具体的に説明する。
充電施設検索操作がされ(S101)、希望充電時間を入力する(S103)と、ステップS105において、特定施設検索部102によりSPAとして施設S1が特定され、周辺施設検索部103により、所定距離(破線円L1)内の充電施設として、充電施設A、B、Cが検索される。その後、ステップS108及びS109において、経路探索部104は、SPA(S1)に対応するSPA対象IC出口(IC1)を通過し、このSPA(S1)及び、3つの充電施設(A、B、C)を経由し、SPA(S1)に対応するSPA対象IC入口(IC2)に戻る複数の経路を、交通情報取得部60からの交通情報を考慮し探索する。
【0068】
この場合の複数の経路は、数式1において、SPA周辺の全充電施設数N=3、経由する充電施設数M=3を代入することにより、24通りと求めることができ、具体的には、図6に示す組み合わせが存在する。そして、経路探索部104は、この24通りの経路を探索する。
【0069】
そして、ステップS111及びS113において、移動時間算出部105及び、経路設定部106により、この24通りの経路について、合計時間を算出し、この時間が最小である経路が特定される(本例では図6の経路番号7)。また、この経路は合計時間が2時間以内であるため、ステップS119において、この経路が誘導経路として設定される。
【0070】
これにより、地図描画部101は、誘導経路を強調した地図画面(図7)を表示させるとともに、経路案内部107は、この誘導経路の案内を開始する(S121)。
【0071】
続いて、図3に示した経路探索処理により誘導経路が設定され、そして、経路案内が開始された後、自車に充電がされた場合の経路再探索処理について図8を用いて説明する。
SPAサービスを適用した経路案内が開始されると、充電判定部90は、自車の充電が完了されたか否かを判定する(S123)。具体的には、充電判定部90は、車両に備える蓄電量検出装置が検出した蓄電量の変化量を監視し、蓄電量が増加したときに、その充電施設で自車両に充電したと判定し、蓄電量に変化が無くなると、充電が完了したと判定する。ステップS123にて、充電が完了されていないと判定された場合、ステップS123の処理を継続する。
【0072】
一方、ステップS123にて、充電が完了されたと判定された場合、充電判定部90は、充電完了を示すデータを経路探索部104に出力し、経路探索部104は、ETC車載機10の通信履歴を取得し、SPAを経由済みであるか否かを判定する(S125)。
ステップS125にて、ETC車載機10の通信履歴からSPAを経由済みであると判定した場合、経路探索部104は、自車位置からSPA対象IC入口に直接戻る経路を再探索する(S127)。
【0073】
一方、ステップS125にて、ETC車載機10の通信履歴からSPAを経由していないと判定した場合、経路探索部104は、自車位置からSPAを経由してSPA対象IC入口に直接戻る経路を再探索する(S129)。
その後、経路設定部106は、ステップS127またはステップS129で再探索された経路を誘導経路として再設定する(S131)。
【0074】
これにより、地図描画部101は、再設定された誘導経路を強調した地図画面を表示させるとともに、経路案内部107は、この誘導経路の案内を開始する(S133)。
【0075】
上記の構成と処理により、移動時間、希望充電時間、SPAの利用時間の合計時間がSPAサービスの定める所定時間内であり、かつ、経由する充電施設の数が一番多い経路を誘導経路として設定することで、電気自動車(EV)を運転するドライバがSPAサービスに対応する高速道路を走行中に、充電すべき状況になったとき、SPAサービスを有効に活用した充電施設の案内を行う事ができる。
また、充電が完了した時点でSPA対象IC入口へ戻る経路を再探索するため、充電が完了した後に、無駄な経路を通行せず、電力を節約する効果が得られる。
【実施例2】
【0076】
図9は、実施例2に係るナビゲーション装置1の構成を示した図である。なお、実施例1に示すナビゲーション装置と同じ構成要素については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
ナビゲーション装置1は、記憶部20、GPS受信機30、自律航法センサ40、車両位置特定部50、交通情報取得部60、操作部70、表示部80、処理ユニット110、予約機能部120と、によって構成される。
また、実施例2に係るナビゲーション装置1は、ネットワーク3を介し、充電施設管理サーバ2と接続可能である。
【0078】
充電施設管理サーバ2は、ナビゲーション装置1やパーソナルコンピュータ(PC)(図示しない)とネットワーク3を介して、通信可能に構成されているとともに、複数の充電施設とインターネット等のネットワーク(図示しない)を介して、通信可能に構成されている。
【0079】
この充電施設管理サーバ2は、図示しないネットワークを介して接続された複数の充電施設から、充電予約状況や利用状況、閉店時間(営業時間外)等の情報を入手し、例えば図10のような予約状況データにより管理する。図10において、黒色部分は、その充電施設の閉店時間(営業時間外)を示しており、斜線部分は、既に他ユーザが予約している時間帯を示しており、白色部分が、充電予約可能な時間帯を示している。また、黒矢印は、現在の充電施設の利用状況を示している。
【0080】
さらに、充電施設管理サーバ2は、ナビゲーション装置1(予約状況判定部122)から予約状況出力指示を受信すると、予約状況出力指示に含まれる充電施設情報を基に充電施設を特定し、予約状況データから特定した充電施設の予約状況を取得し、予約状況判定部122に送信する。
【0081】
また、充電施設管理サーバ2は、各充電施設に対して充電施設の予約を行う。
例えば、ユーザがPCを用いて、充電施設管理サーバ2に接続し、充電施設と充電開始時間と充電終了時間を指定すると、充電施設管理サーバ2は、上記指定された充電施設に対し、充電予約を行う。また、充電施設管理サーバ2は、ナビゲーション装置1(予約要求部123)から予約指示が入力されると、予約指示に含まれる情報(予約対象の充電施設の情報と、充電開始時刻、充電終了時刻等)を基に、充電施設を特定し、その充電施設に対し、充電予約を行う。
そして、充電施設管理サーバ2は、充電施設から予約確定の報告を受けると、PCまたはナビゲーション装置1に充電予約完了報告を送信する。
【0082】
処理ユニット110は、地図描画部101、特定施設検索部102、周辺施設検索部113、経路探索部114、移動時間算出部105、到着予想時刻算出部115、経路設定部116、経路案内部107と、によって構成される。
【0083】
周辺施設検索部113は、記憶部20の施設データにアクセスし、特定施設検索部102で検索されたSPAから所定の距離内に存在する全ての充電施設を検索する。そして、検索された充電施設の情報と充電施設数Nを経路探索部114に入力する。
例えば、図2に示すSPA(S1)が特定施設検索部102で検索された場合、このSPAから所定距離(破線円L1)内に位置する充電施設を検索する。その結果、周辺施設検索部113では、充電施設A、充電施設B、充電施設Cが検索され、この3つの充電施設の情報と充電施設数(N=3)が経路探索部114に入力される。
また、特定した全ての充電施設に関する情報(施設名、位置等)を予約機能部120(予約状況判定部122、予約要求部123)に出力する。
【0084】
経路探索部114は、車両位置特定部50によって特定された自車位置から、操作部70を用いて設定された目的地までの経路を、記憶部20に記憶されている道路データや経路計算データ及び交通情報取得部60が取得した交通情報に基づいて探索する。また、操作部70を用いて経由地が設定された場合は、自車位置から、経由地を経由して、目的地までの経路を、記憶部20に記憶されている道路データや経路計算データ及び交通情報取得部60が取得した交通情報に基づいて探索する。これらの経路は経路設定部116にて誘導経路として設定される。
【0085】
さらに、特定施設検索部102からSPAおよびSPA対象IC出入口情報と、周辺施設検索部113から充電施設の情報と充電施設数Nが入力されると、経路探索部114は、自車位置からSPA対象IC出口を利用し、SPAサービス対象道路を降りて、SPAとN個の充電施設のうちの1個を経由し、SPA対象IC入口を利用し、SPAサービス対象道路に乗る経路を探索する。そして、この複数の探索経路を移動時間算出部105及び、到着予想時刻算出部115、経路設定部116に出力する。
【0086】
到着予想時刻算出部115は、経路探索部114が検索した経路に対して、経由する充電施設の到着予想時刻と、SPA対象IC入口の到着予想時刻を、交通情報取得部60から出力された交通情報、ナビゲーション装置1に予め設定されている走行速度、リンク情報に含まれる距離情報等を基に算出する。算出した到着予想時刻は、経路設定部116に出力する。
【0087】
経路設定部116は、経路探索部114が探索した複数経路のうち、移動時間と希望充電時間とSPA利用時間の合計時間が所定時間(例えば、2時間)以内であり、かつ、経由する充電施設の到着予想時刻から希望充電時間分の充電予約が可能であり、かつ、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最短となる経路を誘導経路として設定する。
【0088】
このとき、移動時間算出部105が算出した移動時間と、操作部70より入力された希望充電時間と、予め設定されているSPA利用時間(例えば、15分)と、到着予想時刻算出部115が算出した経由する充電施設の到着予想時刻と、SPA対象IC入口への到着予想時刻と、予約状況判定部122から入力される充電予約可否判定等と、を用いて、誘導経路が設定される。この誘導経路設定処理についての詳細は、後述する。
【0089】
そして、経路設定部116は、誘導経路を設定すると、予約要求部123にこの誘導経路において経由する充電施設情報とその充電施設への到着予想時刻及び、希望充電時間を出力し、また同時に地図描画部101と経路案内部107に、誘導経路に関する経路情報を出力する。
【0090】
予約機能部120は、通信部121と、予約状況判定部122と、予約要求部123と、によって構成される。
【0091】
通信部121は、ネットワーク3と接続可能であり、充電施設管理サーバ2とデータ通信が可能である。ナビゲーション装置1と充電施設管理サーバ2とのデータのやり取りは、全てこの通信部121を介して行われる。
【0092】
予約状況判定部122は、経路設定部116から候補経路が入力されると、この候補経路から、経由する充電施設を特定し、この充電施設を特定する名称や位置情報などの情報を、通信部121を介して、充電施設管理サーバ2に送信して予約状況を出力するように指示する。
そして、充電施設管理サーバ2より、要求した充電施設の予約状況データを受信すると、充電施設の到着予想時刻から希望充電時間分の充電予約が可能か判定し、その結果を処理ユニット110に出力する。
【0093】
予約要求部123は、経路設定部116が誘導経路を設定すると、この誘導経路において経由予定の充電施設の情報と、充電開始時刻と、充電終了時刻から予約指示を作成し、その予約指示を、通信部121を介して、充電施設管理サーバ2に送信する。ここで、充電開始時刻は、充電施設への到着予想時刻を設定し、充電終了時刻は、充電施設への到着予想時刻から希望充電時間分経過した時刻を設定する。
そして、充電施設管理サーバ2から充電予約完了報告を受信すると、この予約完了報告を処理ユニット110に出力する。
【0094】
次に、実施例2に係るナビゲーション装置1の経路探索処理について、図11を用いて説明する。
【0095】
ユーザが、操作部70を用いて、充電施設の検索操作を行う(S301)と、処理ユニット110は、ユーザの希望充電時間を入力するための画面(図5)を作成して表示部80に表示する。
【0096】
そして、ユーザが操作部70から希望充電時間(例えば、30分)を入力すると(S303)、特定施設検索部102は、SPA特定処理を行う(S305)。このSPA特定処理は実施例1に係るSPA特定処理(図4)と同じため、その説明を省略する。
【0097】
次に、周辺施設検索部113は、SPA特定処理(図4)のステップS205またはステップS207で特定されたSPAの位置から所定距離内に存在する全ての充電施設を検索し、充電施設情報(施設名、位置)の取得及び、検索した充電施設数Nを設定する(S307)。
そして、周辺施設検索部113は、この充電施設情報と充電施設数Nを、経路探索部114に出力する。
【0098】
続いて、経路探索部114は、自車位置から特定施設検索部102により検索されたSPAに対応するSPA対象IC出口を通過し、このSPAと周辺施設検索部113で検索されたN個の充電施設のうちの1個の充電施設を経由し、SPAに対応するSPA対象IC入口に戻る複数の経路を、交通情報取得部60から出力される交通情報を考慮し探索する(S309)。
【0099】
なお、具体的には、SPA及びN個のうちの1個の充電施設を経由地とし、経由する順序を考慮すると、数式2で算出されるY通りの経路が探索される。
【数2】

【0100】
そして、経路探索部114は、このY通りの経路を、移動時間算出部105と、到着予想時刻算出部115と、経路設定部116に出力する。
【0101】
続いて、処理ユニット110は、誘導経路設定処理を行う(S311)。この誘導経路設定処理の詳細は、図12を用いて説明する。
【0102】
移動時間算出部105は、経路探索部114から入力されたY通りの経路について、それぞれ、SPA対象IC出口からSPA対象IC入口に戻るまでに必要な移動時間を算出する(S401)。そして、移動時間算出部105は、算出した移動時間を経路設定部116に出力する。
また、到着予想時刻算出部115は、経路探索部114から入力された各経路について、それぞれ、SPA対象IC入口の到着予想時刻と経由する充電施設の到着予想時刻とを算出する(S403)。そして、到着予想時刻算出部115は、算出した到着予想時刻を経路設定部116に出力する。
【0103】
経路設定部116は、経路探索部114から入力されたY通りの経路と、到着予想時刻算出部115が算出したそれぞれの経路におけるSPA対象IC入口の到着予想時刻から、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最も早い経路を特定し、その経路を誘導経路の候補経路として設定する。(S405)。
なお、ステップS405にて、SPA対象IC入口への到着予想時刻が同じ経路が複数存在する場合、SPA対象IC入口に近い充電施設を経由する経路を誘導経路の候補経路として設定する。
【0104】
続いて、この候補経路での移動時間と、ステップS303にて入力した希望充電時間と、予め設定されたSPA利用時間(例えば、15分)の合計時間が、SPAサービスが定める所定時間以内(例えば、2時間以内)であるかを判定する(S407)。
【0105】
このとき、合計時間が2時間以内であった場合、経路設定部116は、この候補経路での充電施設への到着予想時刻を確認し(S409)、続いて、充電施設予約可否判定を行う(S411)。
一方、合計時間が2時間以上であった場合、経路設定部116は、この候補経路と、これ以降に候補経路となる経路も含めて、SPAサービスを適用できないと判断できるため、例えば、「ご希望の経路は、検索できませんでした。」という警告画面を表示部80に表示して(S410)、経路探索処理を終了する。
【0106】
次に、ステップS411の充電施設予約可否判定において、経路設定部116は、候補経路において経由する充電施設情報を、予約機能部120の予約状況判定部122に出力する。すると、予約状況判定部122は、この候補経路において経由する充電施設情報についての充電予約状況を、充電施設管理サーバ2に要求する。
【0107】
充電施設管理サーバ2はこの要求を受け、予約状況データから、上記充電施設の予約状況を抜き出し、予約状況判定部122に出力する。
【0108】
予約状況判定部122は、入力された充電施設の予約状況と、候補経路における到着予想時刻から、ステップS303で入力した希望充電時間分の充電予約が可能か判定する(S413)。
【0109】
ここで、予約状況判定部122が、充電予約が不可能であると判定すると、予約状況判定部122は、その結果を、経路設定部116に出力する。
経路設定部116は、充電予約不可の情報を受け、この候補経路では、充電施設で充電ができないと判断し、これまでに候補経路となった経路以外のステップS309で検索した経路のうち、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最も早い経路を特定し、候補経路として設定する(S415)。
【0110】
なお、このステップS415の場合においても、SPA対象IC入口への到着予想時刻が同じ経路が複数存在する場合、SPA対象IC入口に近い充電施設を経由する経路を誘導経路の候補経路として設定する。
【0111】
一方、予約状況判定部122が、充電予約が可能であると判定すると、経路設定部116は、この候補経路を誘導経路に設定し(S417)、予約要求部123にこの誘導経路において経由する充電施設情報とその充電施設への到着予想時刻及び、希望充電時間を出力し、また同時に地図描画部101と経路案内部107に、誘導経路に関する経路情報を出力する。
【0112】
予約要求部123は、この誘導経路において経由する充電施設情報とその充電施設への到着予想時刻及び、希望充電時間が入力されると、充電施設への到着予想時刻に基づき充電開始時間を設定するとともに、充電開始時刻から、希望充電時間経過後の時刻に基づき充電終了時刻を設定する。そして、予約要求部123は、充電施設の情報と、充電開始時刻と、充電終了時刻を含んだ予約指示を充電施設管理サーバ2に出力し、充電施設管理サーバ2は、この予約指示を受け、充電施設の予約を行う(S313)。
【0113】
そして、充電施設管理サーバ2は、充電施設から返信された充電予約完了報告を受け、予約要求部123に、充電予約完了報告を出力し、予約要求部123は、充電予約完了報告を処理ユニット110に出力する。そして、処理ユニット110は、表示部80に充電予約が完了したことを示す画面を表示させる。
【0114】
その後、経路設定部116からの誘導経路の入力を受け、地図描画部101は、誘導経路を強調した地図画面(例えば、図14)を表示させるとともに、経路案内部107は、この誘導経路の案内を開始する(S315)。
【0115】
上記処理について、図2に示す状況において具体的に説明する。
充電施設検索操作がされ(S301)、希望充電時間を入力する(S303)と、ステップS305において、特定施設検索部102によりSPAとして施設S1が特定され、周辺施設検索部113により、所定距離(破線円L1)内の充電施設として、充電施設A、B、Cが検索される。
【0116】
その後、ステップS309において、経路探索部114は、SPA(S1)に対応するSPA対象IC出口(IC1)を通過し、SPA(S1)及び、3つの充電施設(A、B、C)のうちの1個を経由し、SPA(S1)に対応するSPA対象IC入口(IC2)に戻る複数の経路を、交通情報取得部60からの交通情報を考慮し探索する。
【0117】
この場合の複数の経路は、数式2において、SPA周辺の全充電施設数N=3を代入することにより、6通りと求めることができ、具体的には、図13に示す組み合わせが存在する。そして、経路探索部114は、この6通りの経路を探索する。
【0118】
そして、ステップS401からステップS405において、移動時間算出部105及び、到着予想時刻算出部115により、この6通りの経路についてのSPA対象IC入口(IC2)への到着予想時刻や移動時間が図13のように算出され、経路設定部116は、この到着予想時刻が最も早い経路を特定する。
【0119】
このとき、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最も早い13:10である経路が経路番号1と経路番号6の2つ存在するため、SPA対象IC入口(IC2)により近い場所に位置する充電施設Cを経由する経路番号6の経路を候補経路として設定する。
【0120】
続いて、この候補経路において、移動時間と、希望充電時間と、SPA施設利用時間の合計時間が2時間以内であるため、続いて、この充電施設Cについての充電状況データを充電施設管理サーバ2から取得し、到着予想時刻である12:35から希望充電時間である30分間の充電予約が可能か判定する。
【0121】
その結果、予約状況判定部122は、充電施設Cの予約状況データ(図10)より、充電予約が可能であると判定されるため、経路設定部116は、この候補経路を誘導経路として設定する。
経路設定部116により誘導経路が設定されると、予約要求部123により予約処理が行われる。
【0122】
このとき、予約要求部123は、充電施設Cへの到着予想時刻である12:35を充電開始時刻として設定し、希望充電時間である30分を足した13:05を充電終了時刻として設定する。
そして、充電施設Cの情報と充電開始時刻12:35、充電終了時刻13:05を充電施設管理サーバ2に出力し、充電施設管理サーバ2は、充電施設Cに対し、この充電開始時刻12:35から充電終了時刻13:05の充電予約を行う。
【0123】
充電施設管理サーバ2は、充電施設Cの予約が完了すると、処理ユニット110に予約完了報告を出力し、処理ユニット110は、この予約完了報告を表示部80に表示させる。
【0124】
また、経路設定部116は、設定した誘導経路を、地図描画部101及び、経路案内部107に出力し、地図描画部101は、誘導経路を強調した地図画面(図14)を表示させるとともに、経路案内部107は、この誘導経路の案内を開始する。
【0125】
上記の構成と処理により、経由する充電施設への到着予想時刻から希望充電時間分の充電が可能であり、かつ、移動時間と、希望充電時間と、SPA利用時間の合計時間がSPAサービスの定める所定時間以内である経路のうち、SPA対象IC入口への到着予想時刻が最も早い経路を誘導経路として提供することができ、電気自動車(EV)を運転するドライバがSPAサービスに対応する高速道路を走行中に、充電すべき状況になったとき、SPAサービスを有効に活用した充電施設の案内を行う事ができる。
また、このとき、経由する充電施設に対し、到着予想時刻から希望時間分の充電予約を行うため、確実に充電することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 ナビゲーション装置
2 充電施設管理サーバ
3 ネットワーク
10 ETC車載機
20 記憶部
30 GPS受信機
40 自律航法センサ
50 車両位置特定部
60 交通情報取得部
70 操作部
80 表示部
90 充電判定部
100、110 処理ユニット
101 地図描画部
102 特定施設検索部
103、113 周辺施設検索部
104、114 経路探索部
105 移動時間算出部
106、116 経路設定部
107 経路案内部
115 到着予想時刻算出部
120 予約機能部
121 通信部
122 予約状況判定部
123 予約要求部
S1 SPA(特定施設)
IC1、IC2、IC3 インターチェンジ
A、B、C、D 充電施設
A1 自車位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有料道路を走行途中に、特定施設利用のために指定されたインターチェンジ出入口を利用し、一時的な出入場を所定時間内で認めるサービスを受けるときに利用可能な車載用ナビゲーション装置であって、
充電施設と前記特定施設の位置情報を含む地図データを記憶する記憶部と、
現在の自車位置を特定する車両位置特定部と、
道路の交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記充電施設の検索及び希望充電時間を指示する操作部と、
前記有料道路を走行中に、前記操作部から前記検索指示があったときに、自車の走行方向に存在する前記特定施設利用のための前記インターチェンジ出口を出て、利用すべき前記特定施設の位置を検索する特定施設検索部と、
前記特定施設検索部が検索した前記特定施設から所定の距離内に存在する1以上の前記充電施設を検索する周辺施設検索部と、
前記地図データに基づいて、前記インターチェンジ出口を出て、前記特定施設と、前記1以上の前記充電施設の少なくとも1つを経由し、前記インターチェンジ入口に入る複数の経路を探索する経路探索部と、
前記地図データと前記交通情報に基づいて、前記複数の経路の移動時間を算出する移動時間算出部と、
前記複数の経路のうち、前記移動時間と、前記希望充電時間と、予め設定された前記特定施設の利用時間の和で算出される総所要時間が前記サービスの定める所定時間内であり、かつ、経由する前記充電施設の数が一番多い経路を誘導経路として設定する経路設定部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経路設定部は、経由する充電施設の数が一番多い経路が複数存在した場合、前記総所要時間が最短である経路を誘導経路として設定する、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特定施設検索部は、自車位置から最も近い前記インターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索する、
ことを特徴とする請求項1、2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
目的地までの経路が設定されているときに、前記特定施設検索部は、前記有料道路の前記経路上における、前記特定施設への出口として決められている現在位置から最も近いインターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索する、
ことを特徴とする請求項1、2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記充電施設で、前記車両に充電したか否かを判定する充電判定部と、
前記有料道路の前記インターチェンジ出入口及び、前記特定施設に備えられた送受信装置と通信可能であり、前記送受信機との通信履歴により、前記送受信機を備える設備を利用したか否かする判断する狭域無線通信部と、
を更に備え、
前記経路検索部は、前記充電判定部により充電したと判定し、かつ、前記通信履歴より前記特定施設を利用したと判定したときに、現在位置から前記インターチェンジ入口へ向かう経路を探索し、前記経路設定部は、前記経路を新しい誘導経路として設定する、
ことを特徴とする請求項1〜4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
有料道路を走行途中に、特定施設利用のために指定されたインターチェンジ出入口を利用し、一時的な出入場を所定時間内で認めるサービスを受けるときに利用可能な車載ナビゲーション装置であって、
充電施設と前記特定施設の位置情報を含む地図データを記憶する記憶部と、
現在の自車位置を特定する車両位置特定部と、
道路の交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記充電施設の検索及び希望充電時間を指示する操作部と、
前記有料道路を走行中に、前記操作部から前記検索指示があったときに、自車の走行方向に存在する前記特定施設利用のための前記インターチェンジ出口を出て、利用すべき前記特定施設の位置を検索する特定施設検索部と、
前記特定施設検索部が検索した前記特定施設から所定の距離内に存在する1以上の前記充電施設を検索する周辺施設検索部と、
前記周辺施設検索部により検索された前記充電施設の予約状況を前記充電施設から取得する予約状況取得部と、
前記地図データに基づいて、前記インターチェンジ出口を出て、前記特定施設と、前記周辺施設検索部が検索した前記充電施設のうちの1つを経由し、前記インターチェンジ入口に入る複数の経路を探索する経路探索部と、
前記地図データと前記交通情報に基づいて、前記複数の経路の移動時間を算出する移動時間算出部と、
前記充電施設と前記インターチェンジ入口の到着予想時刻を算出する到着予想時刻算出部と、
前記到着予想時刻算出部が算出した前記充電施設への到着予想時刻から、前記希望充電時間分の充電施設の予約が可能であり、かつ、前記移動時間と、前記希望充電時間と、前記利用時間との和で算出される総所要時間が前記サービスの定める所定の時間以内である経路を前記経路探索部が探索した複数の経路の中から特定し、当該経路をユーザに提供する誘導経路として設定する経路設定部と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
前記経路設定部は、前記誘導経路としての条件を満たす経路が複数存在する時、前記到着予想部が算出したインターチェンジ入口への到着予想時刻が一番早い経路を前記経路探索部が探索した誘導経路として設定する、
ことを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記経路設定部は、前記経路が複数存在するときに、前記インターチェンジ入口に近い充電施設を経由する経路を特定し、当該経路をユーザに提供する誘導経路として設定する、
ことを特徴とする請求項6、7記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記特定施設検索部は、自車位置から最も近い前記インターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索する、
ことを特徴とする請求項6〜8記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
目的地までの経路が設定されているときに、前記特定施設検索部は、前記有料道路の前記経路上における前記特定施設への出口として決められている現在位置から最も近いインターチェンジ出口から出て利用すべき前記特定施設の位置を検索する、
ことを特徴とする請求項6〜8記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記経路探索部が探索した前記誘導経路上の前記充電施設への到着予想時刻を基に、前記充電施設へ、前記到着予想時刻から前記充電時間の間の前記充電施設へ充電予約を行う予約要求部を更に備える
ことを特徴とする請求項6〜10記載のナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−61198(P2013−61198A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198933(P2011−198933)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】