説明

ひずみセンサ及びひずみ検知システム

【課題】ひずみの状態を検知しようとする被検知物に容易に設置することができ、検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができるひずみセンサ及びひずみ検知システムを提供する。
【解決手段】
ひずみセンサ2は、一端から可視光が導入される光ファイバ5と、光ファイバ5の一部を被覆するように光ファイバ5に外挿され、剛性を有する管6とを備える。管6は、その内周面と光ファイバ5の外周面とが接着されているとともに、その周壁部の一部を切り欠くことにより形成された開口部11を有し、開口部11は、管6の外周面が被検知部4に固設された状態で、被検知部4に生じたひずみに応じて発生する応力を開口部箇所11に集中させるとともに、ひずみが所定値を超えたときに、光ファイバ5を応力の集中によって開口部箇所11で破断させるように形成されている。ひずみ検知システム1は、ひずみセンサ2と可視光源3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知部に生じたひずみを検知するためのひずみセンサ及びひずみ検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物における日常的な維持管理では、外観を目視することによる目視点検が広く実施されている。目視点検は、構造物の損傷や劣化の早期発見、及び劣化の進み具合の確認等を目的として実施されているが、構造物にひび割れ、浮き、漏水、沈下、変形、変色等の損傷が発生した直後ではなく、しばらく時間が経過した後に点検されることが多いため、本質的な意味での維持管理とは言い難い。
【0003】
一方、構造物に生じたひずみを検知するためのひずみセンサとして、図13に示されるひずみセンサが従来知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたひずみセンサ101は、1本の光ファイバ102の途中の一部分102aを被検知物(ひずみ状態を検知しようとする対象物)110に固定し、該一部分102aを除いた部分102bを保護部材103で被覆してなり、一端が光源104に接続され、他端が受光部105に接続されている。光ファイバ固定部分102は、図示しない接着剤によって被検知物110に固着されていて、被検知物110において光ファイバ固定部分102が固着された部分がひずみセンサ101の被検知部110aとなる。
【0005】
また、ひずみセンサ101は、被検知物110が被検知部110aで損傷した場合には、光ファイバ102が光ファイバ固定部分102aで損傷し、一方、被検知物110が被検知部110a以外の部分110bで損傷した場合には、光ファイバ102が光ファイバ固定部分102で損傷しないように形成されている。
【0006】
ひずみセンサ101によれば、光ファイバ102内を透過した光源104からの透過光の有無を受光部105によって検知することにより、透過光を検知できない場合には、被検知物110の損傷箇所は被検知部110aであり、一方、透過光を検知できる場合には、被検知物110の損傷箇所は被検知部110a以外の部分110bである、あるいは被検知物110は損傷を受けていないと判断される。
【0007】
しかしながら、ひずみセンサ101を被検知物110に固設する際には、作業者が光ファイバ102を損傷させないように注意しながら光ファイバ固定部分102を被検知物110に固着することとなるので、ひずみセンサ101の固設作業が煩雑であるという不都合がある。また、ひずみセンサ101が検知するひずみの大きさ、すなわち光ファイバ102が破断するようなひずみの大きさは光ファイバ102の強度や前記接着剤の強度等に依存するので、検知するひずみの大きさを所望の値に管理するのは困難であるという不都合がある。
【特許文献1】特開2002−48676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、ひずみの状態を検知しようとする被検知物に容易に固設することができ、検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができるひずみセンサ及びひずみ検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明のひずみセンサは、可視光が導入される光ファイバと、該光ファイバの一部を被覆するように該光ファイバに外挿され、剛性を有する管とを備え、該管は、その内周面と該光ファイバの外周面とが接着されているとともに、その周壁部の一部を切り欠くことにより形成された開口部を有し、前記開口部は、前記管の外周面が被検知部に固設された状態で、該被検知部に生じたひずみに応じて発生する応力を該開口部箇所に集中させるとともに、前記ひずみが所定値を超えたときに、前記光ファイバを前記応力の集中によって前記開口部箇所で破断させるように形成されていることを特徴とする。被検知部とは、ひずみ状態を検知しようとする部位のことである。
【0010】
本発明のひずみセンサにおいて、前記管の外周面が前記被検知部に固設された状態で前記光ファイバの一端から可視光を導入させると、該被検知部にひずみが生じていない場合には前記光ファイバは破断していないので、該光ファイバに導入された可視光は、前記開口部箇所で漏れることはなく、該光ファイバの一端から他端に到達する。
【0011】
ところが、前記被検知部にひずみが生じると、前記開口部によって前記管の周壁部の一部が切り欠かれていることにより、前記ひずみに応じて発生する応力が該管の開口部に集中する。また、前記管の内周面と前記光ファイバの外周面とが接着されていることにより、前記ひずみに応じて発生する応力は該光ファイバの開口部箇所にも集中する。そして、前記被検知部に生じたひずみが所定値を超えると、前記光ファイバは、該光ファイバの開口部箇所に集中した応力によって、該開口部箇所で破断する。この破断により、前記光ファイバ内に導入された可視光は、該開口部箇所から外部に漏れ、他端に到達できなくなる。このとき、ひずみセンサを外部から見ると、前記開口部箇所から外部に漏れた可視光によって、前記光ファイバの開口部箇所で発光が確認される。そして、この発光をひずみセンサの外部から目視で確認することにより、前記被検知部に前記所定値を超える大きさのひずみが生じたことを検知することができる。
【0012】
また、ひずみセンサは、前記管の外周面が前記被検知部に固設されるように被検知物に固設されていればよいので、作業者は、前記光ファイバを損傷させることなく、ひずみセンサを該被検知物に容易に固設することができる。さらに、ひずみセンサは、前記管の開口部の大きさ、形状等を変更することにより検知するひずみの大きさ、すなわち前記光ファイバが破断するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができる。
【0013】
したがって、本発明によれば、ひずみの状態を検知しようとする被検知物に容易に固設することができ、検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができるひずみセンサを実現することができる。
【0014】
また、本発明のひずみセンサにおいて、前記管は前記開口部の側方に絞り構造を備えてもよい。該絞り構造の大きさ、形状等を変更することにより、ひずみセンサが検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができる。
【0015】
また、本発明のひずみセンサにおいて、前記管は、前記外周面に平坦面を有し、該平坦面を前記被検知部に対向させて固設されるようにしてもよい。前記管を前記平坦面で前記被検知部にスポット溶接したり、前記平坦面に塗布された接着剤により前記管を前記被検知部に接着したりすることにより、ひずみセンサを前記被検知部に容易かつ強固に固設することができる。
【0016】
また、本発明のひずみセンサにおいて、さらに、前記管の両端のそれぞれと前記開口部との間で該管の外周面に固着され、可撓性を有する基板を備え、前記管は該基板を介して前記被検知部に固設されるようにしてもよい。前記基板を前記被検知部にスポット溶接したり、前記基板に塗布された接着剤により該基板を前記被検知部に接着したりすることにより、ひずみセンサを前記被検知部に容易に固設することができる。また、前記基板は、前記管の両端のそれぞれと開口部との間で該管の外周面に固着されるので、前記ひずみに応じて発生する応力が開口部に集中することを妨げることがない。
【0017】
前記基板は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有するようにしてもよい。これにより、前記基板の前記管に固設されている面とは反対面に接着剤を塗布してひずみセンサを前記被検知部に接着させるときに、前記貫通孔内に接着剤が入り込み、接着力が増すので、ひずみセンサを前記被検知部に強固に固設することができる。
【0018】
さらに、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサを1つ以上備えるとともに、前記ひずみセンサの光ファイバの一端から可視光を導入させる可視光源を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明のひずみ検知システムによれば、現場で被検知物に容易に固設することができ、検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができるひずみ検知システムを実現することができる。
【0020】
また、本発明のひずみ検知システムを被検知物に複数固設することにより、被検知物の複数の箇所に生じたひずみを検出することができる。
【0021】
さらに、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサを複数備え、各前記ひずみセンサの光ファイバの一端は互いに近接して設けられ、少なくとも各前記ひずみセンサの光ファイバの前記一端から可視光を導入可能としたことを特徴とする。
【0022】
本発明のひずみ検知システムによれば、複数のひずみセンサへの可視光の導入を前記光ファイバの一端が互いに近接している一箇所で実施することができる。
【0023】
また、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサを複数備え、各前記ひずみセンサの光ファイバとして、一本の光ファイバが共用され、各前記ひずみセンサの管は、前記一本の光ファイバの長手方向に間隔を有して設けられ、前記一本の光ファイバの両端のうちの一方から可視光を導入可能としたことを特徴とする。
【0024】
本発明のひずみ検知システムによれば、前記ひずみセンサの光ファイバとして前記一本の光ファイバを用いているので、安価なシステムを実現することができる。
【0025】
なお、この場合、前記一本の光ファイバの両端のうちの一方から可視光を導入している状態で、いずれか1つの前記ひずみセンサの開口部箇所で一本の光ファイバが破断すると、破断した箇所よりも下流側に存在する他のひずみセンサに可視光を到達させることはできなくなる。この場合には、前記一本の光ファイバの両端のうちの一方からではなく他方から可視光を導入させることにより、上記他のひずみセンサに可視光を到達させることができるようになる。
【0026】
このとき、前記一本の光ファイバは、その両端が互いに近接するように延設されているようにしてもよい。前記一本の光ファイバの両端のうちの他方から可視光を導入させるために、前記一本の光ファイバの両端のうちの一方に接続されている可視光源を、前記一本の光ファイバの両端のうちの他方に接続されるように切り替える場合に、前記一本の光ファイバの両端が互いに近接しているので、可視光源の設置箇所をほとんど変更する必要がなく、現地での作業を簡略化することができる。
【0027】
また、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサと、入力部及び複数の出力部を有し、該ひずみセンサの光ファイバの一端が一つの出力部に接続された分岐用光カプラと、複数の入力部及び出力部を有し、該ひずみセンサの光ファイバの他端が一つの入力部に接続された合流用光カプラと、前記分岐用光カプラの他の一つの出力部及び前記合流用光カプラの他の一つの入力部に両端がそれぞれ接続されたバイパス用光ファイバとを有するセットを複数備え、前記複数のセットは、互いに隣り合う2つのセットのうちの一方のセットの前記合流用光カプラの出力部と、他方のセットの前記分岐用光カプラの入力部とを、連結用光ファイバによって接続することにより直列に接続されていて、その直列に接続された前記複数のセットのうちの一端側に存在するセットの前記分岐用光カプラの入力部から可視光を導入可能としたことを特徴とする。
【0028】
前記分岐用光カプラは、一つの光路を複数の光路に分岐させるための部品であり、前記合流用光カプラは、複数の光路を一つの光路に合流させるための部品である。
【0029】
前記互いに隣り合う2つのセットのうちの一方のセットの分岐用光カプラに入力された可視光は、該分岐用光カプラの複数の出力部に分岐して出力される。この分岐用光カプラの一つの出力部から出力された可視光は、この一方のセットのひずみセンサの光ファイバを介して、この一方のセットの合流用光カプラの一つの入力部に到達する。一方、この分岐用光カプラの他の一つの出力部から出力された可視光は、この一方の前記バイパス用光ファイバを介して、前記合流用光カプラの他の一つの入力部に到達する。前記合流用光カプラに到達したそれぞれの可視光は合流し、前記連結用光ファイバを介して、前記互いに隣り合う2つのセットのうちの他方のセットの分岐用光カプラの入力部に到達する。
【0030】
このとき、いずれかの前記セットのひずみセンサの光ファイバが破断した場合には、そのセットの分岐用光カプラに入力された可視光は、そのセットのバイパス用光ファイバを介してそのセットの合流用光カプラに到達し、前記互いに隣り合う2つのセットのうちの他方のセットの分岐用光カプラに到達し、前記連結用光ファイバを介して前記光ファイバが破断したセットに隣り合うセットの分岐用光カプラに到達する。その結果、前記光ファイバが破断したひずみセンサを有するセットの下流側に存在する他のセットのひずみセンサに可視光を到達させることができる。したがって、本発明のひずみ検知システムによれば、いずれかの前記ひずみセンサの光ファイバが破断した場合でも、他のひずみセンサに可視光を到達させることができる。
【0031】
また、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサを複数備えるとともに、入力部及び複数の出力部を有する複数の分岐用光カプラと、入力された可視光を複数の出力部から分配して供給する光分配供給手段とを備え、該光分配供給手段の各出力部は、連結用光ファイバによって各前記分岐用光カプラの入力部に接続され、前記分岐用光カプラの各出力部は、各前記ひずみセンサの光ファイバの一端に接続されていることを特徴とする。
【0032】
本発明のひずみ検知システムでは、前記光分配供給手段に入力された可視光は、該光分配供給手段の各出力部から前記連結用光ファイバを介して前記分岐用光カプラに到達し、該分岐用光カプラの各出力部から各前記ひずみセンサの光ファイバに導入される。このとき、一つの前記ひずみセンサに到達する可視光は、他の前記ひずみセンサの光ファイバを介することはない。
【0033】
したがって、いずれかの前記ひずみセンサの光ファイバが破断した場合でも、他のひずみセンサの光ファイバに可視光を到達させることができる。また、前記光分配供給手段の出力部の数を増やすことによって、該出力部に前記分岐用光カプラを介して接続される前記ひずみセンサの総数を増やすことができる。
【0034】
なお、前記光分配供給手段は、例えば1つ以上の分岐用光カプラを用いて構成される。
【0035】
また、本発明のひずみ検知システムは、本発明のひずみセンサを複数備えるとともに、入力された可視光を複数の出力部から選択的に出力する光スイッチとを備え、該光スイッチは、各出力部に各前記ひずみセンサの光ファイバの一端が接続されていることを特徴とする。
【0036】
本発明のひずみ検知システムでは、前記光スイッチに入力された光は、該光スイッチの各出力部に接続された前記ひずみセンサの光ファイバに選択的に導入される。このとき、一つの前記ひずみセンサに到達する可視光は、他の前記ひずみセンサの光ファイバを介することはない。
【0037】
したがって、いずれかの前記ひずみセンサの前記光ファイバが破断した場合でも、他の前記ひずみセンサの光ファイバに可視光を到達させることができる。
【0038】
また、前記光スイッチに前記ひずみセンサの光ファイバを直接接続するので、現地での接続作業が容易である。
【0039】
また、前記光スイッチの出力部の数を増やすことによって、該出力部に接続される前記ひずみセンサの総数を増やすことができる。
【0040】
さらに、各前記ひずみセンサの光ファイバの他端は、外部から視認可能な位置に設けられるようにしてもよい。前記光ファイバの開口部箇所にて発光の有無を確認する代わりに、前記光ファイバの他端にて発光の有無を確認することにより、ひずみを検知することができる。このとき、各前記光ファイバの他端を集中して設けることにより、発光の有無を効率よく確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。図1は第1実施形態のひずみセンサを備えるひずみ検知システムの一構成例を示すシステム構成図である。図2は図1に示す第1実施形態のひずみセンサの構成を示す説明図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)はA−A拡大断面図である。図3は第1実施形態のひずみセンサの作動を示す説明図である。図4は図1に示す第1実施形態のひずみセンサの変形例の構成を示す説明図であり、図4(a)は第1変形例を示す説明図、図4(b)は第2変形例を示す説明図である。図5は第2実施形態のひずみセンサの構成を示す説明図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)は平面図、図5(c)は側面図である。図6は本実施形態のひずみセンサの管の開口部の例を示す説明的側面図であり、図7は本実施形態のひずみセンサの管の絞り構造の例を示す説明的平面図である。図8〜図10は本実施形態のひずみ検知システムを示すシステム構成図である。図11は本実施形態のひずみ検知システムの取り付け説明図であり、図12は本実施形態のひずみ検知システムの変形例を示すシステム構成図である。
【0042】
図1示のひずみ検知システム1は、第1実施形態のひずみセンサ2と、可視光源3とを備える。ひずみセンサ2は、例えば橋梁、柱、梁、壁等の構造物である被検知物4の一部に固設されている。また、可視光源3は、ひずみセンサ2の近くに設けられていてもよいし、ひずみセンサ2から離れた場所に設けられていてもよいし、ひずみの有無を検査する時のみに設けられるようにしてもよい。
【0043】
ひずみセンサ2は、一端が可視光源3に接続され可視光が導入される光ファイバ5と、光ファイバ5の一部を被覆するように光ファイバ5に外挿された管6と、管6の外周面に固設された一対の基板7,7とを備える。
【0044】
光ファイバ5は、例えばコア径が50μm、被覆径が250μmの一般的な通信用光ファイバである。光ファイバ5は、一端がコネクタ8を介して可視光源3に接続されていて、コネクタ8と管6との間の部分は、例えば外径が600μm、内径が400μmの可撓性を有する合成樹脂製の保護チューブ9によって被覆されている。
【0045】
管6は、例えば外径が1.2mm、内径が1.0mm、長さが28mmのステンレス製の剛性を有する円管である。光ファイバ5は、管6に挿通され、管6の内周面の最下部に配置されている。また、管6内には、可視光が透過するような透明の材質から成る接着剤10が充填されている。光ファイバ5は、接着剤10によりその外周面が管6の内周面に接着されている。
【0046】
また、管6は、長手方向の中央付近に開口部11を有している。開口部11は、図2(c)示のように、基板7と平行な平面により例えば管6の外周面の最上端から0.2mmの深さまでを切り欠いて形成されたものである。開口部11の平面視形状は、図2(a)示のように長さが8mm、幅が0.6mmの矩形状となっている。また、開口部11の側面視形状も、図2(b)示のように長さが8mm、深さが0.2mmの矩形状となっている。開口部11から管6の内部を見ると、接着剤10越しに光ファイバ5を視認可能である。
【0047】
開口部11を有する管6は、例えば次のようにして作成される。まず、開口部11を有していない管6を形成し、光ファイバ5を管6に挿通させ、管6の内周面の最下部に配置する。次に、管6の周壁部を切り欠くことにより開口部11を形成する。次に、管6の両端部を塞いだ状態で開口部11から接着剤10を管6に注入し、充填する。次に、真空引きすることにより、管6内に充填された接着剤10中に残留する気泡を排出する。この接着剤10の注入と真空引きとを複数回繰り返すことにより、管6の内部を接着剤10で満たす。最後に、開口部11から溢れ出た接着剤10を除去する。なお、管6に開口部11を形成した後に、光ファイバ5を管6に挿通させるようにしてもよい。
【0048】
各基板7は、例えば厚さが0.16mmの薄膜状のステンレス板であって、可撓性を有する。各基板7は、管6の端部から開口部11の端までの長さに等しい長さを有している。一対の基板7,7は、それぞれ管6の各端部と開口部11との間で管6の外周面に固着されている。
【0049】
ひずみセンサ2は、被検知物4の被検知部(ひずみ状態を検知しようとする部位)に、基板7がスポット溶接されることにより基板7を介して固設されている。
【0050】
以上の構成を有するひずみセンサ2は、開口部11の大きさや形状等を適切に設定しておくことにより、被検知物4の被検知部に生じたひずみが所定値を超えたときに、開口部11箇所に集中する応力によって光ファイバ5が破断するように形成されている。この所定値は、光ファイバ5が破断するのに必要なひずみの最小値であって、これがひずみセンサ2が検知するひずみの大きさとなる。第1実施形態のひずみセンサ2は、被検知部のひずみが5500μ以上のときに光ファイバ5が破断するように形成されている。
【0051】
可視光源3は、例えばNTTアドバンステクノロジ株式会社製の光ファイバ導通チェッカを用いることができ、この可視光源3は赤色レーザー光(可視光)を出力する。
【0052】
次に、以上から成る第1実施形態のひずみセンサ2の作動について説明する。まず、可視光源3をONにすると、可視光源3からの可視光が一端から光ファイバ5に導入される。被検知物4にひずみが生じていない状態では光ファイバ5は破断していないので、光ファイバ5に導入された可視光は、開口部11箇所で漏れることなく他端に到達する。
【0053】
次に、被検知物4の被検知部にひずみが生じると、管6の開口部11が切り欠かれていることにより、このひずみに応じてひずみセンサ2に発生する応力が管6の開口部11箇所に集中する。また、管6の内周面と光ファイバ5の外周面とが接着されていることにより、このひずみに応じて発生する応力は光ファイバ5に作用する。そして、被検知物4の被検知部に生じたひずみが5500μを超えると、図3示のように、光ファイバ5は、ひずみに応じて発生した応力によって開口部11箇所で破断する。この破断により、光ファイバ5に導入された可視光は、開口部11箇所から外部に漏れ、他端に到達できなくなる。そして、ひずみセンサ2を外部から見ると、開口部11箇所から外部に漏れた可視光によって、光ファイバ5の開口部11箇所で発光13が確認される。
【0054】
この発光13を目視で確認することにより、被検知物4のひずみセンサ2が固設された被検知部に5500μ以上の大きさのひずみが生じたことを検知することができる。
【0055】
ひずみセンサ2によれば、従来技術のひずみセンサ101とは異なり、光ファイバ5が管6によって被覆され、管6の外周面に固着された基板7を介して被検知物4に固設されているので、作業者は、光ファイバ5を損傷させることなく、ひずみセンサ2を被検知物4に容易に固設することができる。さらに、ひずみセンサ2によれば、開口部11の大きさ、形状等を変更することにより検知するひずみの大きさ、すなわち光ファイバ5が破断するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができる。
【0056】
なお、ひずみセンサ2の管6及び基板7は、耐蝕性に優れた金属が望ましく、ステンレスの他にインコネル(登録商標)等が挙げられる。
【0057】
また、ひずみセンサ2は、基板7にスポット溶接を施すことによって、被検知物4に固設されているが、スポット溶接の代わりに、基板7の管6に固設されている面とは反対面に図示しない接着剤を塗布しひずみセンサ2を被検知物4に接着させることにより固設するようにしてもよい。このとき、基板7は、図4(a)示のように厚さ方向に貫通する複数の貫通孔14を有することが好ましい。これにより、貫通孔14内に接着剤が入り込み、接着力が増すので、ひずみセンサ2を被検知部4に強固に固設することができる。
【0058】
また、ひずみセンサ2は基板7を介して管6を被検知物4に固設させているが、管6を被検知物4に直接固設させるようにしてもよい。このとき、ひずみセンサ2の外部から光ファイバ5を視認できるように、管6の開口部11が被検知物4とは反対方向になるようにひずみセンサ2を固設させるのが好ましい。このように、管6を被検知物4に直接固設する場合には、さらに、管6の被検知物4に対向する面(被検知物4に固設する面)が平坦面であることが好ましい。例えば、図4(b)示のように、断面形状が半円形状に形成された管6の場合には、円管の管6の場合と比較すると、被検知物4に対向する面が平坦面であるので、この面での被検知物4へのスポット溶接や、この面に塗布された接着剤による被検知物4への接着が容易であるとともに、管6を被検知物4へ強固に固設することができる。
【0059】
さらに、ひずみセンサ2の開口部11の大きさを変更することによって、ひずみセンサ2が検知するひずみの大きさを所望の値に容易に管理することができる。
【0060】
例えば、図5示の第2実施形態のひずみセンサ20は、第1実施形態のひずみセンサ2の開口部11の大きさを変更したものである。ひずみセンサ20の開口部11は、基板7と平行な平面により管6の外周面の上半分、すなわち管6の外周面の最上端から0.6mmの深さまでを切り欠くことにより形成され、開口部11の平面視形状は、図5(b)示のように長さが1.5mm、幅が1mmの矩形状となっている。このように形成されることにより、第2実施形態のひずみセンサ20が検知するひずみの大きさは2400μとなっている。
【0061】
また、管6の開口部11の大きさや形状を変更したり、管6の開口部11近傍に絞り構造を設けたりすることにより、このようなひずみセンサ2,20が検知するひずみの大きさを管理することも可能である。
【0062】
例えば図6(a)示のように、図1と同様に側面形状で矩形状に切り欠くようにした場合には、開口部11の開口深さDを大きくするとともに開口長さLを小さくすることにより、管6の開口部11箇所に応力が集中しやすくなり、ひいては検知するひずみの大きさが小さくなる。また、図6(b)示のように、開口部11を側面視形状で半円形状に切り欠くようにしてもよい。この場合には、開口部11の開口半径Rを大きくすることにより、管6の開口部11に応力が集中しやすくなる。また、例えば図6(c)示のように側面形状で三角形状に切り欠くようにしてもよい。この場合には、開口部11の開口深さDを大きくするとともに開口長さLを小さくすることにより、管6の開口部11に応力が集中しやすくなる。なお、実機では、加工の容易さも含めて考えると、開口部11は図6(c)の形状が好ましい。
【0063】
また、例えば図7(a)示のように、管6の開口部11側方に平面形状で半円状の絞り構造(凹み部)15を設けるようにしてもよい。この場合には、絞り構造15の絞り半径Rを大きくすることにより、管6の開口部11に応力が集中しやすくなる。また、例えば図7(b)示のように平面形状で三角形状の絞り構造15を設けたり、例えば図7(c)のように平面形状で矩形状の絞り構造15を設けたりしてもよい。この場合には、絞り構造15の絞り幅Wを大きくするとともに絞り長さLを小さくすることにより、管6の開口部11に応力が集中しやすくなる。なお、実機では、絞り構造15は図7(a)の形状が好ましい。
【0064】
次に、複数の被検知部のひずみを、複数のひずみセンサを用いて検知するシステムの例を説明する。
【0065】
まず、図8(a)は、図1示のひずみ検知システム1を複数配設したものである。各ひずみ検知システム1の可視光源3は、互いに近接して配置され、1箇所で操作できるようになっている。各ひずみ検知システム1の光ファイバ5は、互いに長さが異なるように形成され、各ひずみセンサ2を各被検知部に固設できるようになっている。
【0066】
このとき、可視光源3をひずみセンサ2の光ファイバ5の一端に着脱可能に接続できるようにして、1つの可視光源3を各ひずみ検知システム1に順番に設けるようにしてもよい。このようにすることにより、複数のひずみセンサ2への可視光の導入を、1つの可視光源3によって実施することができる。
【0067】
さらに、このとき、各ひずみ検知システム1のひずみセンサ2の光ファイバ5の一端を互いに近接して配置するとともに、その近接位置に1つの可視光源3を配置し、各光ファイバ5の一端から可視光を導入させるようにしてもよい。このようにすることにより、複数のひずみセンサ2への可視光の導入を、各ひずみセンサ2の光ファイバ5の一端が互いに近接している一箇所で実施することができる。
【0068】
また、図8(b)示のひずみ検知システム30は、複数のひずみセンサ2a〜2cを備え、各ひずみセンサ2a〜2cの光ファイバとして、一本の光ファイバ5が共用されている。ひずみセンサ2a〜2cの管は、一本の光ファイバ5の長手方向に間隔を有して設けられている。また、可視光源3は、一本の光ファイバ5の一端に着脱自在に接続されるとともに、必要に応じて一本の光ファイバ5の他端にも接続することができる。
【0069】
可視光は、一端から一本の光ファイバ5に導入され、各ひずみセンサ2a〜2cに到達する。また、一本の光ファイバ5の他端に可視光源3を接続させた場合には、可視光は他端から一本の光ファイバ5に導入され、各ひずみセンサ2c〜2aに到達する。
【0070】
ひずみ検知システム30によれば、各ひずみセンサ2a〜2cの光ファイバとして一本の光ファイバ5を用いているので、安価なシステムを実現することができる。
【0071】
なお、この場合、一本の光ファイバ5の一端から可視光を導入している状態で、いずれかの1つのひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2a)の開口部11箇所で一本の光ファイバ5が破断すると、破断した箇所よりも下流側に存在する他のひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2b,2c)に可視光を到達させることはできなくなる。この場合には、可視光源3を一本の光ファイバ5の他端近く(図中の一点鎖線の位置)に移動するとともに、可視光源3に一本の光ファイバ5の他端を接続し、一本の光ファイバ5の他端から可視光を導入させることにより、上記他のひずみセンサ2(ひずみセンサ2b,2c)に可視光を到達させることができるようになる。
【0072】
また、図8(c)示のひずみ検知システム40は、ひずみ検知システム30の一本の光ファイバ5の両端が互いに近接するように延設したものである。可視光源3は、一本の光ファイバ5の一端から可視光を導入する。いずれかのひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2a)の開口部11箇所で一本の光ファイバ5が破断し、可視光源3に一本の光ファイバ5の他端を接続しようとする場合に、一本の光ファイバ5の両端が互いに近接しているので、可視光源3の設置箇所をほとんど変更する必要がなく、現地での作業を簡略化することができる。
【0073】
さらに、図9示のひずみ検知システム50は、ひずみセンサ2と、入力部51及び複数の出力部52を有し、ひずみセンサ2の光ファイバ5の一端が一つの出力部52aに接続された分岐用光カプラ53と、複数の入力部54及び出力部55を有し、ひずみセンサ2の光ファイバ5の他端が一つの入力部54aに接続された合流用光カプラ56と、分岐用光カプラ53の他の一つの出力部52b及び合流用光カプラ56の他の一つの入力部54bに両端がそれぞれ接続されたバイパス用光ファイバ57とを有するセット58を複数備える。分岐用光カプラ53は、一つの光路を複数の光路に分岐させるための部品であり、合流用光カプラ56は、複数の光路を一つの光路に合流させるための部品である。
【0074】
各セット58a〜58cは、互いに隣り合う2つのセット58(例えば、セット58a及びセット58b)のうちの一方のセット58(例えば58a)の合流用光カプラ56の出力部55と、他方のセット58(例えば58b)の分岐用光カプラ53の入力部51とを、連結用光ファイバ59によって接続することにより直列に接続されている。
【0075】
その直列に接続された複数のセット58のうちの一端側に存在するセット58(例えば58a)の分岐用光カプラ53の入力部51に、可視光源3に接続された導入用光ファイバ60が接続されている。
【0076】
可視光源3からの可視光は、導入用光ファイバ60を介して複数のセット58のうちの一端側に存在するセット58aの分岐用光カプラ53に入力し、一つの出力部52aから出力される可視光と他の一つの出力部58bから出力される可視光とに分岐する。一つの出力部58aから出力された可視光は、ひずみセンサ2の光ファイバ5を介して合流用光カプラ56の一つの入力部54aに到達する。一方、他の一つの出力部58bから出力された可視光は、バイパス用光ファイバ57を介して合流用光カプラ56の他の一つの入力部54bに到達する。合流用光カプラ56に到達したそれぞれの可視光は合流し、連結用光ファイバ59を介してセット58aに隣り合うセット58bの分岐用光カプラ53に入力される。
【0077】
次に、セット58bの分岐用光カプラ53に入力された可視光は、セット58aと同様にして合流用光カプラ56に到達し、連結用光ファイバ59を介してセット58bに隣り合うセット58cの分岐用光カプラ53に入力される。
【0078】
次に、セット58cの分岐用光カプラ53に入力された可視光は、セット58aと同様にして合流用光カプラ56に到達する。
【0079】
このとき、例えばセット58aのひずみセンサ2aの光ファイバ5aが破断した場合には、セット58aの分岐用光カプラ53に入力された可視光は、セット58aのバイパス用光ファイバ57を介して、セット58aの合流用光カプラ56に到達し、連結用光ファイバ59を介して、セット58aに隣り合うセット58bの分岐用光カプラ53に到達する。その結果、光ファイバ5aが破断したひずみセンサ2aを有するセット58aの下流側に存在する他のセット58b,58cのひずみセンサ2b,2cに可視光を到達させることができる。したがって、ひずみ検知システム50によれば、いずれかのひずみセンサ2の光ファイバ5が破断した場合でも、他のひずみセンサ2に可視光を到達させることができる。
【0080】
また、図10(a)のひずみ検知システム70は、複数のひずみセンサ2a〜2dと、入力部51及び複数の出力部52a,52bを有する複数の分岐用光カプラ53a,53bと、入力部71から入力された可視光を複数の出力部72a,72bから分配して供給する光分配供給手段73とを備える。ここでは、光分配供給手段73として、1つの分岐用光カプラを用いている。ただし、ひずみセンサ2の個数によっては、分岐用光カプラの各出力部に連結用光ファイバを介して他の分岐用光カプラを接続したものを用いてもよいし、1つの分岐用光カプラの代わりに後述の光スイッチを用いることにしてもよい。
【0081】
光分配供給手段73の入力部71は、導入用光ファイバ60によって可視光源3に接続されている。一方、光分配供給手段73の各出力部72a,72bは、連結用光ファイバ59によって各分岐用光カプラ53a,53bの入力部51に接続されている。各分岐用光カプラ53a,53bの出力部72aは、各ひずみセンサ2a,2bの光ファイバ5a,5bの一端に接続され、各分岐用光カプラ53a,53bの出力部72bは、各ひずみセンサ2c,2dの光ファイバ5c,5dの一端に接続される。
【0082】
可視光源3から光分配供給手段73に入力された可視光は、分岐して各出力部72a,72bから出力し、各分岐用光カプラ53a,53bに入力される。各分岐用光カプラ53a,53bに入力された可視光は、分岐して各光ファイバ5a〜5dを介してひずみセンサ2a〜2dに到達する。このとき、各ひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2a)に到達する可視光は、他のひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2b〜2d)の光ファイバ5(例えば光ファイバ5b〜5d)を介することはない。
【0083】
したがって、いずれかのひずみセンサ2の光ファイバ5(例えばひずみセンサ2aの光ファイバ5a)が破断した場合でも、他のひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2b〜2d)に可視光を到達させることができる。
【0084】
また、光分配供給手段73の構成を変更して出力部72の数を増やす、例えば光分配供給手段73として10個の出力部を有する光スイッチを用いることにより、出力部72に分岐用光カプラを介して接続されるひずみセンサ2の総数を容易に増やすことができる。
【0085】
また、図10(b)のひずみ検知システム80は、複数のひずみセンサ2a〜2dと、入力部81から入力された可視光を複数の出力部82a〜82dから選択的に出力する光スイッチ83とを備える。
【0086】
光スイッチ83の入力部83は、導入用光ファイバ60によって可視光源3に接続されている。一方、光スイッチ83の各出力部82,82bは、各ひずみセンサ2a〜2dの光ファイバ5a〜5dの一端に接続されている。
【0087】
可視光源3から光スイッチ83に入力された可視光は、分岐して各出力部82a〜82dから出力し、各光ファイバ5a〜5dを介してひずみセンサ2a〜2dに到達する。このとき、各ひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2a)に到達する可視光は、他のひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2b〜2d)の光ファイバ5(例えば光ファイバ5b〜5d)を介することはない。
【0088】
したがって、いずれかのひずみセンサ2の光ファイバ5(例えばひずみセンサ2aの光ファイバ5a)が破断した場合でも、他のひずみセンサ2(例えばひずみセンサ2b〜2d)に可視光を到達させ、ひずみを検知することができる。
【0089】
また、光スイッチ83にひずみセンサ2の光ファイバ5と可視光源3とを直接接続しているので、現地での接続作業が容易である。また、図では4つの出力部82a〜82dを有する光スイッチ83を用いているが、出力部の数が多い光スイッチを用いることにより、接続させるひずみセンサ2の数を増やすことができる。
【0090】
以上のひずみ検知システム1,30,40,50,70,80は、例えば図11示のように橋梁90における亀裂管理に用いることができる。ここでは、ひずみ検知システム70を用いる場合について説明する。まず、ひずみを検査する前に、複数の分岐用光カプラ53a〜53cを橋桁91の上部に固設し、分岐用光カプラ53aの各出力部に連結用光ファイバ59によって分岐用光カプラ53b,53cを接続する。また、複数のひずみセンサ2a〜2dを主桁92のひずみが発生しやすい箇所、例えば溶接部近傍に固設し、各ひずみセンサ2a〜2dの光ファイバ5を分岐用光カプラ53b,53cの各出力部に接続する。ひずみセンサ2は、予想される亀裂方向に複数固設しておくことが望ましい。次に、ひずみの有無を検査するときに、橋桁91の下部に可視光源3を設け、可視光源3と分岐用光カプラ53aとを導入用光ファイバ60によって接続し、可視光を導入する。このとき、外部からひずみセンサ2a〜2dを外部から観察し、各光ファイバ5a〜5dの開口部箇所にて発光の有無を確認することにより、ひずみセンサ2a〜2dの被検知部に所定値を超える大きさのひずみが生じたことを検知することができる。
【0091】
また、以上のひずみ検知システム1,70,80を用いて、例えば壁の内側のように外部から観察できない箇所についてひずみを検出することも可能である。ここでは、ひずみ検知システム70を用いる場合について説明する。予め、図12示のように、各ひずみセンサ2a〜2dを被検知部に固設するとともに、各光ファイバ5a〜5dの他端を外部から視認可能な位置、例えば壁の外側に導出しておく。そして、各光ファイバ2a〜2dの開口部箇所にて発光の有無を確認する代わりに、各光ファイバ2a〜2dの他端にて発光の有無を確認することにより、ひずみを検知することができる。また、このとき、各光ファイバ5a〜5dの他端を集中して設けることにより、発光の有無を効率よく確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1実施形態のひずみセンサを備えるひずみ検知システムの一構成例を示すシステム構成図。
【図2】図1に示す第1実施形態のひずみセンサの構成を示す説明図。
【図3】第1実施形態のひずみセンサの作動を示す説明図。
【図4】図1に示す第1実施形態のひずみセンサの変形例の構成を示す説明図。
【図5】第2実施形態のひずみセンサの構成を示す説明図。
【図6】本実施形態のひずみセンサの管の開口部の例を示す説明的側面図
【図7】本実施形態のひずみセンサの管の絞り構造の例を示す説明的平面図。
【図8】本実施形態のひずみ検知システムを示すシステム構成図。
【図9】本実施形態のひずみ検知システムを示すシステム構成図。
【図10】本実施形態のひずみ検知システムを示すシステム構成図。
【図11】本実施形態のひずみ検知システムの取り付け説明図。
【図12】本実施形態のひずみ検知システムの変形例を示すシステム構成図。
【図13】従来技術のひずみセンサを示す説明図。
【符号の説明】
【0093】
1,30,40,50,70,80…ひずみ検知システム、 2,20…ひずみセンサ、 3…可視光源、 5…光ファイバ、一本の光ファイバ、 6…管、 7…基板、 11…開口部、 13…発光、 14…貫通孔、 15…絞り構造、 51…分岐用光カプラの入力部、 52…分岐用光カプラの出力部、 53…分岐用光カプラ、 54…合流用光カプラの入力部、 55…合流用光カプラの出力部、 56…合流用光カプラ、72…光分配供給手段の出力部、 73…光分配供給手段、 82…光スイッチの出力部、 83…光スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光が導入される光ファイバと、
該光ファイバの一部を被覆するように該光ファイバに外挿され、剛性を有する管とを備え、
該管は、その内周面と該光ファイバの外周面とが接着されているとともに、その周壁部の一部を切り欠くことにより形成された開口部を有し、
前記開口部は、前記管の外周面が被検知部に固設された状態で、該被検知部に生じたひずみに応じて発生する応力を該開口部箇所に集中させるとともに、前記ひずみが所定値を超えたときに、前記光ファイバを前記応力の集中によって前記開口部箇所で破断させるように形成されている
ことを特徴とするひずみセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のひずみセンサにおいて、
前記管は、前記開口部の側方に絞り構造を備えることを特徴とするひずみセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のひずみセンサにおいて、
前記管は、前記外周面に平坦面を有し、該平坦面を前記被検知部に対向させて固設されることを特徴とするひずみセンサ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサにおいて、
さらに、前記管の両端のそれぞれと前記開口部との間で該管の外周面に固着され、可撓性を有する基板を備え、
前記管は該基板を介して前記被検知部に固設されることを特徴とするひずみセンサ。
【請求項5】
請求項4記載のひずみセンサにおいて、
前記基板は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有することを特徴とするひずみセンサ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサを1つ以上備えるとともに、前記ひずみセンサの光ファイバの一端から可視光を導入させる可視光源を備えることを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサを複数備え、
各前記ひずみセンサの光ファイバの一端は互いに近接して設けられ、
少なくとも各前記ひずみセンサの光ファイバの前記一端から可視光を導入可能としたことを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサを複数備え、
各前記ひずみセンサの光ファイバとして、一本の光ファイバが共用され、
各前記ひずみセンサの管は、前記一本の光ファイバの長手方向に間隔を有して設けられ、
前記一本の光ファイバの両端のうちの一方から可視光を導入可能としたことを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項9】
請求項8記載のひずみ検知システムにおいて、前記一本の光ファイバは、その両端が互いに近接するように延設されていることを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサと、入力部及び複数の出力部を有し、該ひずみセンサの光ファイバの一端が一つの該出力部に接続された分岐用光カプラと、複数の入力部及び出力部を有し、該ひずみセンサの光ファイバの他端が一つの該入力部に接続された合流用光カプラと、前記分岐用光カプラの他の一つの出力部及び前記合流用光カプラの他の一つの入力部に両端がそれぞれ接続されたバイパス用光ファイバとを有するセットを複数備え、
前記複数のセットは、互いに隣り合う2つのセットのうちの一方のセットの前記合流用光カプラの出力部と、他方のセットの前記分岐用光カプラの入力部とを、連結用光ファイバによって接続することにより直列に接続されていて、
その直列に接続された前記複数のセットのうちの一端側に存在するセットの前記分岐用光カプラの入力部から可視光を導入可能としたことを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項11】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサを複数備えるとともに、入力部及び複数の出力部を有する複数の分岐用光カプラと、入力された可視光を複数の出力部から分配して供給する光分配供給手段とを備え、
該光分配供給手段の各出力部は、連結用光ファイバによって各前記分岐用光カプラの入力部に接続され、
前記分岐用光カプラの各出力部は、各前記ひずみセンサの光ファイバの一端に接続されていることを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項5のうちのいずれか1項に記載のひずみセンサを複数備えるとともに、入力された可視光を複数の出力部から選択的に出力する光スイッチとを備え、
該光スイッチは、各出力部に各前記ひずみセンサの光ファイバの一端が接続されていることを特徴とするひずみ検知システム。
【請求項13】
請求項6又は11又は12記載のひずみ検知システムにおいて、
各前記ひずみセンサの光ファイバの他端は、外部から視認可能な位置に設けられていることを特徴とするひずみ検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−175529(P2008−175529A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6520(P2007−6520)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000151520)株式会社東京測器研究所 (29)
【Fターム(参考)】