説明

ひび割れ抑制構造及びひび割れ抑制方法並びにプレキャストコンクリート部材

【課題】ひび割れを抑制することが可能なひび割れ抑制構造及びひび割れ抑制方法並びにプレキャストコンクリート床版等のプレキャストコンクリート部材を提供すること。
【解決手段】コンクリートにひび割れ10が発生すると予想されるひび割れ想定境界面5に交差するように、隣合うコンクリート部分に渡って鉄筋等の棒鋼6aを配置すると共に、その棒鋼6には、前記ひび割れ想定境界面5を挟んで棒鋼長手方向の両側に、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材7がそれぞれ固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6が、隣合うコンクリート部分に渡って埋め込み配置されている。ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を備えたプレキャストコンクリート部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RC床版相互の目地コンクリートの乾燥収縮あるいは地震時等におけるコンクリート部材相互の接合境界面のひび割れを抑制するため、あるいは、コンクリートの乾燥収縮あるいは地震時等の外力等による応力集中により、コンクリート構造物における角部(コーナー部)あるいは変断面部などの応力集中箇所におけるひび割れが想定される境界面でのひび割れを抑制するためのひび割れ抑制構造、及び、ひび割れ抑制方法並びにプレキャストコンクリート床版等のプレキャストコンクリート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート等の構造物に発生するひび割れには種々の原因があるが、その1つにコンクリートの打ち継目又は、断面の変化がある。その発生を抑制するために、補強鉄筋を配置する方法等が取られてきたが、施工面、コスト面で十分とは言えない(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一例として、(1)鋼桁に橋軸方向にPC(プレキャストコンクリート)床版を並べて架設し、橋軸方向に隣合うPC床版同士の目地部に、後打ちコンクリートを打設する工法において、橋軸方向に隣合う床版相互を目地部において連結する継手として重ね継手、ループ継手などの方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記(1)の工法の場合は、橋軸方向に隣合うPC床版相互の接合に着目した工法であり、PC床版と目地コンクリートとの打ち継ぎ部に発生するひび割れについては、単に小径鉄筋の付着のみによるものであり、ひび割れを抑制する為の積極的な工法ではない。また、PC床版相互の目地コンクリートとの打ち継ぎ部に発生するひび割れを積極的に抑制することは知られていない。
なお、橋軸直角方向には、プレストレスを導入されているプレキャストコンクリート床版相互の橋軸方向の連結では、橋軸方向に隣合うPC床版相互は、通常、連続したPC鋼材によりプレキャストコンクリート床版にプレストレスを導入して連結すると、プレキャストコンクリート床版の修復工事が大掛かりとなるため、橋軸方向へは、プレストレスが導入されない形態のRC継手構造で構築される。
【0005】
また、前記(1)の重ね継手の連結形態をさらに改良進化させた目地部の連結形態として、図10および図11に示すように、目地部に位置する継手鉄筋21cの先端部に、鋼製筒体を圧着固定した圧着グリップからなる連結用突起部材17を設け、目地部コンクリート9を目地部に打設することにより、プレキャストコンクリート床版1相互を、前記連結用突起部材17の係止効果および鉄筋の付着効果を期待してプレキャストコンクリート床版1相互を連結するようにした形態も知られている。しかし、前記の連結用突起部材17は、床版相互の連結を目的とし、プレキャストコンクリート床版1と目地部コンクリート9との境界面5におけるひび割れを防止するためのものではなく、プレキャストコンクリート床版1内には、一つの突起部材が配置されていないため、本発明の場合と構造および作用効果が異なるものであり、似て非なるものである。
また、他の例として、コンクリート構造物における開口部の隅角部に発生するひび割れについても、縦・横・斜めに、縦鉄筋・横鉄筋・傾斜鉄筋等の補強筋を配置したり、メッシュ筋を埋め込み配置したりしているが、より確実なひび割れ抑制方法は知られていない。
【0006】
なお、2002年制定のコンクリート標準示方書によると、許容ひび割れ幅Waについて、鋼材の腐食に対する環境条件の区分として、塩化物イオンが飛来しない通常の屋外の場合あるいは土中の場合等の一般の環境区分、または前記の一般の環境に比較して乾湿の繰り返しが多い場合等の腐食環境区分、あるいは干満帯あるいは飛沫帯にある海洋コンクリート構造物等の特に厳しい腐食環境区分の3種類の環境区分に応じて、異形鉄筋・普通丸鋼かPC鋼材かの2種類の鋼材区分と、コンクリートのかぶり厚C(100mm以下を標準とする。)との関係で、(A)異形鉄筋・普通丸鋼では、一般環境で0.005C,腐食性環境で0.004C、特に厳しい腐食性環境で0.035Cと定めてよい旨、(B)PC鋼材では、一般環境で0.004Cと定めてよい旨規定されている。
【特許文献1】特開2000−328704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来のように、目地コンクリートとの打ち継ぎ部に発生するひび割れを積極的に抑制することは知られていない。
本発明は、従来の補強鉄筋を配置する場合に比べて、より確実にひび割れを抑制することが可能なひび割れ抑制構造及びひび割れ抑制方法並びにプレキャストコンクリート床版等のプレキャストコンクリート部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のコンクリートのひび割れ抑制構造では、コンクリート構造物における開口隅部またはコンクリート床版と目地コンクリートとの接合境界面あるいはコンクリート部材相互の接合境界面等のコンクリートにひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に交差するように、隣合うコンクリート部分に渡って鉄筋等の棒鋼を配置すると共に、その棒鋼には、前記ひび割れ想定境界面を挟んで棒鋼長手方向の両側に、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材が固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼が、隣合うコンクリート部分に渡って埋め込み配置されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明の請求項1に記載のコンクリートのひび割れ抑制構造において、前記のひび割れ想定境界面を挟んで隣合う突起部材間の間隔が3cm〜12cmであることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明のコンクリートのひび割れ抑制構造において、突起部材の外径が、鉄筋等の棒鋼の外径の1.3〜3倍であることを特徴とする。
第4発明では、第1発明のコンクリートのひび割れ抑制構造において、ひび割れ想定境界面が、コンクリート床版と目地コンクリートとの接合境界面であり、前記コンクリート床版が、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼の一端側を埋め込み固定しているプレキャストコンクリート床版であることを特徴とする。
第5発明のプレキャストコンクリート床版などのプレキャストコンクリート部材では、棒鋼長手方向に間隔をおいて、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きい複数のひび割れ抑制用突起部材がそれぞれ固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼における少なくとも一つのひび割れ抑制用突起部材を埋め込み固定したひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を備えていることを特徴とする。
第6発明のコンクリートのひび割れ抑制方法では、第1発明〜第4発明のいずれかのひび割れ抑制構造とするにあたり、製作しようとするコンクリート構造物または部材におけるコンクリートのひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に交差するように、鉄筋等の棒鋼を配置すると共に、その棒鋼には、前記ひび割れ想定境界面を挟んで棒鋼長手方向の両側に、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材が固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を埋め込むようにコンクリートを打設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1または第4発明によると、コンクリートにおけるひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面の両側に、突起付き部材が固定された突起部材付き棒鋼によるひび割れ抑制用棒鋼が埋め込み配置されているので、コンクリートに対する棒鋼の付着と、棒鋼に固定された外径寸法の大きい突起部材の付着および突起部材による支圧作用を発揮させることができ、ひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に作用する分離させようとする応力に、前記の棒鋼による付着および突起部材の付着並びに突起部材によるコンクリート部の支圧作用により、ひび割れの発生を抑制することができる。
特に、本発明では、ひび割れが予想される境界面の近傍に突起付き棒鋼が配置されているので、新旧のコンクリート打設の境界面、あるいは目地部のコンクリートを介してコンクリート部材相互を連結する橋梁用の鋼桁上等のプレキャストコンクリート床版相互の継手連結部のひび割れを、抑制または制御することができる。また、本発明のひび割れ抑制構造は構造が簡単であるなどの効果も得られる。
また、市販の安価な棒鋼を使用して、コンクリートのひび割れ抑制構造とすることができる。
第2発明によると、ひび割れが想定されるひび割れ想定境界面を挟んで、配置されるひび割れ抑制用突起付き棒鋼における突起間の間隔を3cm〜12cmとしたので、隣合うコンクリート部分相互が鉛直荷重などにより、互いに離反する応力が作用した場合にも、各突起部材は、突起部材間のコンクリート相互を接近する方向に抵抗するので、ひび割れを抑制することができる。また、突起部材間の間隔を、設置すべきコンクリート部分に応じて設定することにより、ひび割れを制御することも可能になる。
第3発明によると、突起部材の外径が、鉄筋等の棒鋼の外径の1.3〜3倍としたので、鉄筋等の棒鋼の断面に対する大きさをそれほど大きくすることなく、効率よくひび割れを抑制することができる。
第5発明によると、棒鋼長手方向に間隔をおいて、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きい複数のひび割れ抑制用突起部材がそれぞれ固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼における少なくとも一つのひび割れ抑制用突起部材を埋め込み固定したひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を備えているプレキャストコンクリート床版とされているので、これに隣接してコンクリート(あるいは無収縮モルタル等)を打設した場合に、プレキャストコンクリート床版との境界面におけるひび割れを抑制することができる。
第6発明によると、コンクリートにおけるひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面の両側に、突起付き部材が固定された突起部材付き棒鋼によるひび割れ抑制用棒が埋め込み配置するようにしたので、コンクリートに対する棒鋼の付着と、棒鋼に固定された外径寸法の大きい突起部材の付着および突起部材によるコンクリートの支圧作用を発揮させることができ、ひび割れが発生すると予想される境界面に作用する分離させようとする応力に、前記の突起部材付き棒鋼の棒鋼部の付着および突起部材の付着およびこれによる突起部材間のコンクリート部に対する支圧作用により、ひび割れの発生を抑制することができる。
特に、本発明では、ひび割れが予想される境界面の近傍に突起付き棒鋼を埋め込み配置するだけでよいので、容易に施工することができる。また、新旧のコンクリート打設の境界面、あるいは目地部のコンクリートを介してコンクリート部材相互を連結する橋梁用の鋼桁上等のプレキャストコンクリート床版相互の継手連結部のひび割れを、容易に抑制または制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明のひび割れ抑制構造および抑制方法の概念図を説明するための説明図を示すものであって、一般に、プレキャストコンクリート床版等の既設コンクリート部材1に隣接して連結するように、現場打ちコンクリート等の施工時期の異なる新設のコンクリート2を打設して新設のコンクリート部材3を構築した場合、新設コンクリート2と、既設のコンクリート4との打ち継ぎ目の境界面5は、通常、新旧両コンクリート部分2、4を曲げるように鉛直荷重が作用した場合には、下縁側に引張力が作用するようになるために、この打ち継ぎ目の境界面5を境にして、ひび割れ10が生じる。
【0012】
前記のようなひび割れ10は、図3および図11に示すような桁16上に架設されているプレキャストコンクリート床版1の側端面と、目地部コンクリート9との境界面5にも起こるため、本発明の第1実施形態では、プレキャストコンクリート床版1に埋め込み配置されている鉄筋等の棒鋼6a、例えば、前記の境界面5に交差するように鉄筋等の棒鋼6aが配置され、かつ前記の棒鋼6aの前記の境界面5を境にしてその両側に、鋼製筒状スリーブが、近接してまたは間隔をおいて嵌合配置されると共に、鉄筋等の棒鋼6aに押し潰し変形性能されて圧着固定されて圧着グリップからなるひび割れ抑制用突起部材7が形成された、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6とされている。
【0013】
前記の打ち継ぎ境界面5はひび割れが発生しやすい境界面であるので、この境界面を、本発明では、ひび割れ想定境界面5の一形態として捉えている。また、本発明では、前記のような施工時期の異なるコンクリート相互の境界面以外にも、図6に示すような矩形状の開口部11の内隅部では、ほぼ一定の角度(例えば、開口部11の上部下面から、45度)の方向が、水平力が作用した場合に最大の引張応力が作用することが想定される面となり、この面部分でのひび割れが想定される境界面と想定されることから、このような想定される境界面と、前記の新旧のコンクリート境界面を含めて、ひび割れ想定境界面として説明する。したがって、本発明を、コンクリート構造物における開口隅部またはコンクリート床版と目地コンクリートとの接合境界面あるいはコンクリート部材相互の接合境界面等のコンクリートにおけるひび割れを対象とする箇所に適用することができる。
【0014】
本発明では、ひび割れを抑制または制御するための発明であり、ひび割れそのものをなくすことは困難であるが、従来の場合より、ひび割れの幅が大きくなることを抑制または制御するようにした発明で、図1(a)(b)に一実施形態を示すように、ひび割れ抑制用の突起部材付き棒鋼6aにおけるひび割れ抑制用突起部材7を、新設のコンクリート部材3と、既設コンクリート部材1の境界面(すなわち、ひび割れ想定境界面5)に交差するように、新設コンクリート部材3および既設コンクリート部材1に渡って埋め込み配置される。また、前記のひび割れ想定境界面5を挟んで、その両側における一方に、少なくとも一つのひび割れ抑制用突起部材7が配置されると共に、他方に少なくとも一つのひび割れ抑制用突起部材7が配置される。
【0015】
施工時期の異なるコンクリート部材1、3同士の間に、ひび割れ抑制用突起部材7を配置する場合、例えば、一方の部材がプレキャストコンクリート床版1(以下、PCa床版とも言う)等のプレキャスト部材である場合には、予めひび割れ抑制用突起部材7をPCa床版1から突出するようにひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を埋め込み配置しておくことができる。
【0016】
ひび割れ抑制用突起部材7は、ひび割れ想定境界面5から間隔をおいて離れた比較的近い位置であることが望ましく、例えば、ひび割れ想定境界面5からそれぞれ1.5cm〜6cm程度離れた位置で(ひび割れ抑制用突起部材7間の距離Lで、3cm〜12cm)程度であるとよい。
【0017】
その理由は、ひび割れ想定境界面5からのコンクリート部分12を介してひび割れ抑制用突起部材7が存在するので、ひび割れ10を拡大させるような引張力がコンクリート部材1,3間に作用するような場合、ひび割れ抑制用突起部材7間で挟まれている前記のコンクリート部分12を、ひび割れ抑制用突起部材7相互を接近させるように作用するため、ひび割れ抑制用突起部材7相互が接触している状態よりは、ひび割れ抵抗力は高くなる。ひび割れ抑制用突起部材7相互が接触している状態でも、鉄筋等の棒鋼6aの外径よりもひび割れ抑制用突起部材7の外径が大きいために、ひび割れ抑制用突起部材7が設置されている部分の棒鋼6aよりもコンクリートとの付着面積が大きいので、ひび割れ抑制用突起部材7を設けない従来の場合よりは、抵抗力は高い。
【0018】
また、ひび割れ抑制用突起部材7間の距離が大きくなると、ひび割れ抑制用突起部材7間の比較的長い棒鋼区間の伸びを許容するようになり、逆に棒鋼6aの引張抵抗力が小さくなるため、ひび割れ抑制用突起部材7間の距離は、前記の3cm〜12cmように比較的近い位置であるのが、ひび割れ抑制効果が大きいので望ましい。
【0019】
前記の点に関連して、ひび割れ10に関係している付着切れ範囲と、応力分布について説明する。図1(b)に示すひび割れ抑制用突起部材7を有する本発明の場合の応力分布および付着切れの範囲と、図1(c)に示す従来の鉄筋のみの場合の応力分布と付着切れ範囲について説明すると、本発明の場合では、ひび割れ抑制用突起部材7があり、この間の間隔が小さいため、付着切れ範囲が短く、鉄筋等の棒鋼の単に長さ当たりの伸びひずみが大きいため、その分、ひび割れが拡大に抵抗する応力が高くなる特徴がある。また、図1(c)(d)に示す従来の場合には、鉄筋による付着範囲は、前記本発明の場合よりも長いため、付着切れ範囲が長くなり、鉄筋の単に長さ当たりの伸びひずみが小さい。
【0020】
ひび割れ抑制用突起部材7の外径は、鉄筋等の棒鋼の外径の1.3〜3倍であるとよい。このようにすると、鉄筋等の棒鋼の断面に対する大きさをそれほど大きくすることなく、効率よくひび割れを抑制することができる。
突起部材の外径が、前記鉄筋等の棒鋼の外径の1.3倍より下であると、棒鋼に対する半径方向の突出量が少なく、突起部材間のコンクリートに対する支圧効果も大きく期待できないので、また、突起部材の外径が、前記鉄筋等の棒鋼の外径の3倍より上であると、コンクリートのかぶり厚を確保するためには、コンクリートの厚さ寸法を大きくする必要があるので、経済的なプレキャストコンクリート床版に適用する場合には、前記の範囲に設定するとよい。
【0021】
このように、本発明では、コンクリート4,2に対する棒鋼6aの付着と、棒鋼6aに固定された外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材7の付着および間隔をおいて対抗する各ひび割れ抑制用突起部材7の軸方向端面によるコンクリートに対する支圧作用を発揮させることができ、地震時等における外力あるいはコンクリートの乾燥収縮等により、ひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に作用する分離させようとする応力に、前記の棒鋼による付着および突起部材の付着並びに突起部材によるコンクリート部の支圧作用により、ひび割れの発生を抑制することができる。
【0022】
特に、本発明では、ひび割れが予想される境界面の近傍に突起付き棒鋼6aが配置されているので、新旧のコンクリート打設の境界面、あるいは目地部のコンクリートを介してコンクリート部材相互を連結する橋梁用の鋼桁上等のプレキャストコンクリート床版相互の継手連結部のひび割れを、抑制または制御することができる。また、本発明のひび割れ抑制構造は、棒鋼にひび割れ抑制用突起部材7を設ける構造であるので、構造が簡単である。
なお、棒鋼6aには、市販の安価な鉄筋を使用すると安価なひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6とすることができる。
【0023】
次に、図2〜図4を参照して、前記のひび割れ抑制用突起部材7を備えたひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を有するプレキャストコンクリート床版1およびそのプレキャストコンクリート床版1を使用して橋梁用床版部13を構築する場合について説明する。
【0024】
図2では、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を備えたプレキャストコンクリート床版1を示し、図3および図4では、前記プレキャストコンクリート床版1を架設して橋梁用床版を構築している状態が示されている。
【0025】
橋軸方向に延長するように床版鉄筋としてのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6が配置され、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6の中間部がプレキャストコンクリート床版1に埋め込まれている。ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6に固定されている最も内側に位置するひび割れ抑制用内側突起部材7aは、プレキャストコンクリート床版1におけるコンクリート14に埋め込まれ、前記ひび割れ抑制用内側突起部材7aに間隔をおいて対向するひび割れ抑制用外側突起部材7bは、間詰め部コンクリート支承部8上面に接続する間詰め部外側面15から間隔をおいて外側に位置するように配置固定され、棒鋼6aの各外端部には、連結用突起部材17が固定され、隣接して設置されるプレキャストコンクリート床版1と、間詰めコンクリート9を介した連結して一体化可能にされている。図2に示すように、前記のひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6は、PCa床版1における橋軸直角方向に延長する平面ほぼ長方形状のPCa床版本体の長手方向に間隔をおいて平行に埋め込み配置されている。
【0026】
図3および図4に示すように、前記のPCa床版1が多数、間隔をおいて並行な一対の鋼桁等の桁16上に架設され、かつ橋軸方向に多数並べて設置される。桁16とPCa床版1との結合は、図示省略のPCa床版1に適宜開孔部が設けられ、桁16に固定のスタッドが前記開口部に位置するように設置され無収縮モルタルなどが充填されて固定される。また橋軸方向に隣合うPCa床版1相互は、間詰め部に打設される間詰めコンクリート9を介して連結される。この場合には、間詰めコンクリート9とPCa床版1との境界面がひび割れ想定境界面5とされる。
【0027】
PCa床版1としては、前記以外にも、図5に示すように、ループ継手部18を有する鉄筋からなる棒鋼6aにひび割れ抑制用突起部材7を固定してもよい。また、連結用突起部材17を固定するようにしてもよい。この場合には、ループ継手部18がループ状に加工形成される前に、ひび割れ抑制用突起部材7および連結用突起部材17を、鉄筋等に固定するようにすればよい。
【0028】
図6は、コンクリート構造物における各種窓用開口部または昇降用階段あるいはエレベータ配置用開口部、さらには採光用開口部等の開口部、あるいは枠形コンクリート部材のコーナー部等に、本発明のひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を埋め込み設置し、ひび割れを抑制するようにしもよいことを説明するための図であり、図示の形態では、コンクリート構造物19における開口部11を有する内隅部のコーナー部20に、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を埋め込み配置してもよいことを説明するための説明図であり、同図に示すように、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6の長手方向が、前記開口部11の対角方向に直角になるように、かつコーナー部20から離れる方向に延長するように埋め込み配置されている。前記のひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6は、コンクリート構造物19の厚さ方向あるいは対角方向に間隔をおいて並行に複数埋め込み配置するようにしてもよい。
【0029】
ここで、図12(a)〜(d)に、従来の場合と本発明の場合との相違の構造比較図を示すと、図12(a)は従来の継手鉄筋21aによりひび割れに抵抗する構造の場合、(b)は連結用突起部材17のみを固定した継手鉄筋21bの場合、(c)は本発明のひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を継手鉄筋21cとして埋め込み配置している場合、(d)は連結用突起部材17およびひび割れ抑制用突起部材7を備えたひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を、継手鉄筋21cとして埋め込み配置している形態を示している。これらの形態図からわかるように、連結用突起部材17とひび割れ抑制用突起部材7とは、ひび割れ想定境界面5からの距離が大きく異なる。そのため、連結用突起部材17のみによっては、ひび割れ抑制する効果をほとんど得ることができない。
【0030】
次に、図7から図9を参照しながら施工時期が異なり、中央に打ち継ぎ目を有する新旧コンクリート床版1間の前記打ち継ぎ目(境界面)をひび割れ想定境界面5とし、通常の鉄筋を埋め込み配置した場合と、本発明のひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を埋め込み配置した場合の比較試験について説明する。なお、従来の試験体22および本発明の試験体23の製作は、打ち継ぎ目(ひび割れ想定境界面5)に表面処理剤を塗布材して試験体の半分(試験体の右側半分)にコンクリートを打設し、翌日脱型・打ち継ぎ目の処理を行い、直ちに残りの半分(試験体の左側半分)のコンクリートの打設を行った。各試験体22,23における右側の材令は5日、圧縮強度(N/mm)は40.7、弾性係数(N/mm)は29393であり、左側の材令は4日、圧縮強度(N/mm)は54.8、弾性係数(N/mm)は32589であった。
【0031】
図7(a)(b)は、それぞれ従来の試験体(試験体NO.1)22の縦断側面図および平面図を示している。引張縁側(下縁側)に2本の鉄筋(直径(D)16mm)6bを埋め込み配置し、打ち継ぎ目(ひび割れ想定境界面5)から鉄筋の直径(D)の20倍以上かつ下記式(1)に規定される重ね継手長Laを確保するように張り出し、鉄筋6b,6c相互を重ねた普通重ね継手とし、新設側のコンクリート2を打設し埋め込んだ試験体22である。鉄筋配置位置は図7に示す。)
La=(σsa/4τoa)・φ (1)
ここで、La:付着応力度により算出する重ね継手長(mm)
σsa:鉄筋の許容引張応力度(N/mm
τoa:コンクリートの許容引張応力度(N/mm
φ:鉄筋の直径(mm)
【0032】
図8(a)(b)は、それぞれ本発明の試験体(試験体NO.2)23の側面図および平面図を示している。引張縁側(下縁側)に2本の鉄筋(直径(D)16mm)からなる棒鋼6aを埋め込み配置し、打ち継ぎ目(ひび割れ想定境界面5)からそれぞれ40mmの位置から始まるようにひび割れ抑制用突起部材7を位置させて埋め込み固定した試験体である。鉄筋配置位置は図7に示す。ひび割れ抑制用突起部材7の材質はSD345、長さ30mm、厚さ4mmの鋼製筒状スリーブのもの圧着固定した。
【0033】
前記の従来の試験体22と本発明の試験体23の両方について、図13に示すような4点曲げ試験を行った。曲げ試験は、打ち継ぎ目(ひび割れ想定境界面5)から均等距離(450mm)の2支点で下側から支持した支間900mm、打ち継ぎ目(ひび割れ想定境界面5)から均等距離(125mm)の2箇所で上側から荷重Pを載荷した載荷スパン250mmの4点曲げ試験である。載荷は、鉄筋ひずみが300μから700μ(床版鉄筋の応力制限140MPa)となる区間で10回の繰り返しを行った後に、破壊までの載荷を行った。計測は、変位計24により支間中央たわみと、打ち継ぎ目5の下縁ひび割れ幅計測および引張鉄筋位置のひび割れ計測をそれぞれπゲージ25で行った。
【0034】
従来の試験体(NO.1)22および本発明の試験体(試験体NO.2)23の各試験体22、23を試験し、鉄筋ひずみ700μ時のひび割れ幅(mm)の変化について、下記表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
また、同じ荷重でのひび割れ幅の比較した場合を表2に示す。表2は、載荷荷重P=55.4kN時のひび割れ幅の比較である。
【0037】
【表2】

【0038】
また、載荷荷重Pと、下縁側のひび割れ幅の関係の傾向を示すグラフを図9に示す。
【0039】
前記の表1,2および図9に示すグラフから、本発明のように、ひび割れ抑制用突起部材7を有するひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を、境界面5にわたって埋め込み場合では、従来の場合に比べて、(1)載荷荷重Pの繰り返しによるひび割れの進展が抑制され、(2)同じ鉄筋ひずみでひび割れ幅が小さく、(3)同じ載荷荷重Pでひび割れ幅が小さいことがわかる。したがって、ひび割れ抑制用突起部材7を有するひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6は有効に働くことがわかる。ひび割れ抑制用突起部材7を有するひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼6を使用することにより、次のようなことがわかった。
(1)ひび割れの進展を抑制することができ、ひび割れ幅を抑制することができる。
(2)同じ鉄筋ひずみでひび割れ幅が小さくすることができ、また、ひび割れ抑制用突起部材7の取付位置を変えるにより、ひび割れの進展およびひび割れ幅を制御することができる。
(3)ひび割れ幅が小さくすることができる。
(4)ひび割れ抑制用突起部材7の前面が支圧面で引張力に抵抗することで、鉄筋(棒鋼)の付着切れ区間の進展を抑制し、鉄筋(棒鋼)の付着切れ区間を短くすることができる。
【0040】
なお、前記のひび割れ抑制用突起部材7は、継手鉄筋からなる棒鋼6aの引っ張り強度よりも強度の高い鋼製材料であり、ひび割れ抑制用突起部材7の長さ寸法は、設計により、例えば下記のように設定される。
【0041】
例えば、継手鉄筋からなる棒鋼6aとしては、鉄筋の呼び径D13〜D22(例えば、D13,D16,D19,D22)を使用することもでき、これに固定する鋼製筒状スリーブ(ひび割れ抑制用突起部材7)7aの外径D2は20.5mm〜34.5mm(具体的には、前記の呼び径の小さい順に対応して、それぞれ20.5mm、26.5mm、29mm、34.5mm)のものを使用してひび割れ抑制用突起部材7を形成すればよく、また、前記の各対応寸法関係に対応して、鋼製筒状スリーブ7aを圧着する部分の長さL1は、37〜62mm(例えば、30mm、37mm、45mm、54mm、62mm)とすれば、継手鉄筋を通常の鉄筋(異形棒鋼を含む)とし、鋼製筒状スリーブ7aを市販の高強度の鋼製筒状スリーブとした場合には、鉄筋本体の部分以上の強度を発揮することができる。
【0042】
なお、プレキャストコンクリート床版1よりも外側に配置されているひび割れ抑制用突起部材7は、プレキャストコンクリート床版1を製作した後、鋼製筒状スリーブ7aを嵌合配置すると共に、押し潰し変形して、鉄筋に圧着固定されたひび割れ抑制用突起部材7を形成するようにしてもよい。なお、ひび割れ抑制用突起部材7を各継手鉄筋などの棒鋼の軸方向に間隔をおいて複数設けてもよい。
【0043】
前記実施形態のように、突起部材7(7a,7b)が、鉄筋等の鋼棒に圧着固定された圧着グリップ等の鋼製筒状スリーブからなる突起部材であると、鉄筋等の棒鋼の周り全体に鋼製筒状スリーブを固定することになるため、突起部材間の境界面においてひび割れしようとした場合、前記の各突起部材がひび割れあるいは分離しようとするコンクリート部分を支承するようになるので、ひび割れを抑制することができる。また、ひび割れした箇所がさらにひび割れ幅を拡大しようとする外力が作用するような場合、突起部材相互がこれらの間のコンクリート部分を支承するので、ひび割れ幅が拡大するのを抑制することができる。
【0044】
本発明を実施する場合、鋼材の腐食に対する環境条件の区分として、塩化物イオンが飛来しない通常の屋外の場合あるいは土中の場合等の一般の環境区分のコンクリート構造物、または、前記の一般の環境に比較して乾湿の繰り返しが多い場合等の腐食環境区分のコンクリート構造物、あるいは干満帯あるいは飛沫帯にある海洋コンクリート構造物等の特に厳しい腐食環境区分のコンクリート構造物などに適用するようにして、ひび割れを抑制するようにしてもよい。
【0045】
また、本発明を実施する場合、ひび割れ想定境界面を挟んで棒鋼長手方向の両側に、複数の突起部材が固定された突起部材付き棒鋼によるひび割れ抑制棒鋼を埋め込み配置するようにしてもよい。棒鋼としては、異形棒鋼等の各種断面形態の棒鋼を使用することもでき、鉄筋あるいは鋼製棒状部材を使用するようにしてもよいが、市販の棒鋼を使用すると安価である。
なお、本発明を実施する場合、プレキャストコンクリート部と無収縮モルタルとの境界部に本発明を適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ひび割れ抑制の概念図を示す図であり、(a)はコンクリート部材相互に渡ってひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を設けた場合の縦断正面図を示し、(b)はその棒鋼に作用する応力分布を示す図、(c)は普通鉄筋に作用する応力分布を示す図、(d)は前記(c)に対応するコンクリート部材相互に渡って普通鉄筋を設けた場合の縦断正面図を示す図である。
【図2】本発明のひび割れ抑制用棒鋼を備えたプレキャストコンクリート床版を示すものであって、(a)は平面図、(b)はそのA−A線断面図である。
【図3】図2に示すプレキャストコンクリート床版相互を橋軸方向に並べて配置すると共に連結した状態を示す縦断正面図である。
【図4】図3の縦断側面図である。
【図5】本発明のひび割れ抑制用棒鋼を継手部に備えているループ継手鉄筋を備えたプレキャストコンクリート床版を示すものであって、(a)は平面図、(b)はそのB−B線断面図である。
【図6】コンクリート構造物における開口部の隅部において、ひび割れ抑制用棒鋼を埋め込み配置した形態を示す正面図である。
【図7】従来の試験体を示すものであって、(a)は縦断正面図、(b)は平面図である。
【図8】本発明の試験体を示すものであって、(a)は縦断正面図、(b)は平面図である。
【図9】試験体を試験した荷重とひび割れ幅との関係を示す線図である。
【図10】本発明のひび割れ抑制用突起と、接合用突起との相違を説明するために示す接合用突起を備えた継手部を備えたプレキャストコンクリート床版を示す縦断側面図である。
【図11】図11の概略平面図である。
【図12】従来のひび割れ抑制構造(a)と、床版相互の連結用に設けられる突起(b)と、本発明のひび割れ抑制用突起(c)と、床版連結用突起およびひび割れ抑制用突起を備えた継手付き鉄筋による床版相互の連結部(d)とを示す、それぞれ縦断側面図である。
【図13】4点曲げ試験状況を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 既設コンクリート部材(プレキャストコンクリート床版)
2 新設のコンクリート
3 新設のコンクリート部材
4 既設のコンクリート
5 打ち継ぎ目の境界面(ひび割れ想定境界面)
6a 棒鋼
6b 鉄筋
6c 鉄筋
6 ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼
7 ひび割れ抑制用突起部材
7a ひび割れ抑制用内側突起部材
7b ひび割れ抑制用外側突起部材
8 間詰め部コンクリート支承部
9 目地部コンクリート(間詰めコンクリート)
10 ひび割れ
11 開口部
12 コンクリート部分
13 橋梁用床版部
14 コンクリート
15 間詰め部外側面
16 桁
17 連結用突起部材
18 ループ継手部
19 コンクリート構造物
20 コーナー部
21a 継手鉄筋
21b 継手鉄筋
21c 継手鉄筋
22 試験体
23 試験体
24 変位計
25 πゲージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートにひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に交差するように、隣合うコンクリート部分に渡って鉄筋等の棒鋼を配置すると共に、その棒鋼には、前記ひび割れ想定境界面を挟んで棒鋼長手方向の両側に、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材が固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼が、隣合うコンクリート部分に渡って埋め込み配置されていることを特徴とするコンクリートのひび割れ抑制構造。
【請求項2】
前記のひび割れ想定境界面を挟んで隣合う突起部材間の間隔が3cm〜12cmであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートのひび割れ抑制構造。
【請求項3】
突起部材の外径が、鉄筋等の棒鋼の外径の1.3〜3倍であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリートのひび割れ抑制構造。
【請求項4】
ひび割れ想定境界面が、コンクリート床版と目地コンクリートとの接合境界面であり、前記コンクリート床版が、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼の一端側を埋め込み固定しているプレキャストコンクリート床版であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートのひび割れ抑制構造。
【請求項5】
棒鋼長手方向に間隔をおいて、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きい複数のひび割れ抑制用突起部材がそれぞれ固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼における少なくとも一つのひび割れ抑制用突起部材を埋め込み固定したひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を備えていることを特徴するプレキャストコンクリート床版などのプレキャストコンクリート部材。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかのひび割れ抑制構造とするにあたり、製作しようとするコンクリート構造物または部材におけるコンクリートのひび割れが発生すると予想されるひび割れ想定境界面に交差するように、鉄筋等の棒鋼を配置すると共に、その棒鋼には、前記ひび割れ想定境界面を挟んで棒鋼長手方向の両側に、それぞれ前記棒鋼の外径寸法よりも外径寸法の大きいひび割れ抑制用突起部材が固定されて、ひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼とされ、そのひび割れ抑制用突起部材付き棒鋼を埋め込むようにコンクリートを打設することを特徴とするコンクリートのひび割れ抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−111228(P2008−111228A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293077(P2006−293077)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000103769)オリエンタル白石株式会社 (136)
【Fターム(参考)】