説明

アクチュエータ

【課題】取り付けの作業性を向上させることができるアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータ10は、レール部60に脱着可能に取り付けられ、スライド部31を覆うカバー18を有する。このカバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、アクチュエータ10をボルトで固定することが可能になる。詳しくは、アクチュエータ10を作業台120に固定する場合、カバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、レール部60のベース61に形成された貫通孔61aを介して、ボルト121を作業台120のねじ孔120aに挿入することができる。これにより、アクチュエータ10の作業台120への取り付けがしやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドタイプのリニアアクチュエータは、例えば、ボールねじを有しており、このボールねじが、モータの回転運動をロッドの直線運動に変換する。この変換により、ロッドが往復運動し、ロッドの先端に取り付けられた任意の工具が、様々な作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−130419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カバーを有さないアクチュエータの場合は、作業台に固定する場合、作業者が、作業台の下に潜り込んで下方からアクチュエータを取り付けなければならない。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、取り付けの作業性を向上させることができるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明のアクチュエータは、
回転軸を備えたモータと、
前記回転軸の回転運動とともに回転運動するボールねじ軸と、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するボールねじナットと、を有するボールねじと、
前記ボールねじナットとともに直線運動するように前記ボールねじナットに接続され、先端に工具が取り付けられる作業軸と、
前記作業軸に固定されたスライド部と、
前記スライド部が取り付けられたレール部と、
前記レール部に脱着可能に取り付けられ、前記スライド部を覆うカバーと、
を有することを特徴とする。
【0007】
前記レール部には、ボルトを挿入するための貫通孔が形成され、
前記アクチュエータは、前記カバーを取り外すことにより、前記ボルトで作業台に固定されてもよい。
【0008】
前記アクチュエータは、
剛性の素材からなる転動体を有し、
前記スライド部は、前記作業軸に固定され、前記スライド部には、前記作業軸の運動方向に沿って第1溝部が形成され、
前記レール部は、剛性の素材からなり、前記レール部には、前記第1溝部に対向し、前記作業軸の運動方向に沿って第2溝部が形成され、
前記転動体は、前記第1溝部及び前記第2溝部に挟まれることにより前記第1溝部及び前記第2溝部を転動して、前記スライド部を移動可能に支持していてもよい。
【0009】
前記スライド部は、前記転動体が通過する転動体循環路が内部に形成された転動体収納ユニットを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動した前記転動体は、前記転動体循環路を通過して、前記第1溝部と前記第2溝部との間に移動し、再び、前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動してもよい。
【0010】
前記転動体収納ユニットには、グリスを注入するための注入口が形成され、
前記注入口は、前記転動体循環路に通じていてもよい。
【0011】
前記転動体は、球形状に形成され、
前記第1溝部及び前記第2溝部の内面は、湾曲面として構成されており、
前記湾曲面の曲率半径は、前記転動体の半径と同等であってもよい。
【0012】
前記スライド部の前記第1溝部、前記レール部の前記第2溝部、及び前記転動体循環路は、それぞれ2つずつ形成され、
前記転動体は、前記第1溝部と前記第2溝部とに、前記作業軸の運動方向と直交する方向に挟まれていてもよい。
【0013】
前記作業軸は、前記ボールねじ軸の先端部が挿入されるための孔が形成された円筒形状に形成され、
前記ボールねじ軸の前記先端部には、前記作業軸の前記孔の内周面と接触する弾性部材が配置されていてもよい。
【0014】
前記弾性部材には、前記作業軸の運動方向に沿って、溝が形成されていてもよい。
【0015】
前記弾性部材に形成された前記溝は、前記ボールねじ軸の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されていてもよい。
【0016】
前記作業軸には、雄ねじ部が形成され、
前記スライド部には、雌ねじ部が形成されており、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合により、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上側から作業台に取り付けることができるため、アクチュエータの取り付けの作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
【図2】(A)は、カバーを取り外したときのアクチュエータの斜視図であり、(B)は、カバーを取り外したときのアクチュエータのYZ断面図である。
【図3】アクチュエータの分解断面図である。
【図4】(A)は、ガイド装置の斜視図であり、(B)は、ガイド装置のXZ断面図である。
【図5】(A)は、スライド部の斜視図であり、(B)は、スライド部の分解斜視図である。
【図6】(A)は、スライド部本体の斜視図(その1)であり、(B)は、スライド部本体の斜視図(その2)であり、(C)は、スライド部本体のXZ断面図であり、(D)は、スライド部本体のYZ断面図である。
【図7】(A)は、スライド部本体のXZ断面における部分拡大図(その1)であり、(B)スライド部本体のXZ断面における部分拡大図(その2)である。
【図8】(A)は、リターンの斜視図であり、(B)は、リターンのXY断面図であり、(C)は、リターンのXZ断面図である。
【図9】(A)は、スライド部の組み立てを説明するためのXZ断面図であり、(B)は、スライド部の組み立てを説明するための斜視図である。
【図10】ボールの軌道を説明するためのXY断面図である。
【図11】(A)は、レール部の斜視図であり、(B)は、レール部のXZ断面図である。
【図12】(A)は、レール部のXZ断面における部分拡大図(その1)であり、(B)レール部のXZ断面における部分拡大図(その2)である。
【図13】(A)は、ガイド装置の組み立てを説明するためのXZ断面図(その1)であり、(B)は、ガイド装置の組み立てを説明するためのXZ断面図(その2)であり、(C)は、ガイド装置の組み立てを説明するためのXZ断面図(その3)である。
【図14】ロッドのガイド装置への取り付けを説明するための斜視図である。
【図15】(A)は、ボールねじのYZ断面図であり、(B)は、ボールねじ軸の先端部の斜視図であり、(C)は、ボールねじ軸の先端部のYZ断面図である。
【図16】(A)は、弾性部材の斜視図であり、(B)は、弾性部材のXZ断面図である。
【図17】ボールねじのガイド装置への取り付けを説明するための斜視図である。
【図18】(A)は、ボールねじのガイド装置への取り付けを説明するためのYZ断面図であり、(B)は、ボールねじのガイド装置への取り付けを説明するためのXZ断面図である。
【図19】(A)は、ボールねじのベアリングハウジングへの取り付けを説明するためのYZ断面図であり、(B)は、モータユニットのベアリングハウジングへの取り付けを説明するためのYZ断面図である。
【図20】(I)、(II)、及び(III)は、アクチュエータの動作を説明するためのYZ断面図である。
【図21】(I)及び(II)は、ガイド装置の動作を説明するためのXY断面図である。
【図22】(I)及び(II)は、弾性部材の作用を説明するためのYZ断面図である。
【図23】(A)は、ボールねじ軸の先端の振れの発生を説明するための比較例であり、(B)は、ボールねじ軸の先端の振れの発生を説明するための本発明の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
【図24】アクチュエータの作業台への取り付けを説明するための図である。
【図25】弾性部材の変形例を示すXZ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。なお、図中のXY平面は水平な面であり、図中のZ軸の方向は鉛直方向である。
【0020】
アクチュエータ10は、図1に示すように、Y軸方向に往復運動するロッド11(作業軸)を有するリニアアクチュエータである。このアクチュエータ10は、ロッド11と、モータユニット20と、フロントハウジング80と、ベアリングハウジング90と、カバー18とを有している。
【0021】
カバー18は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。カバー18には、図2(A)に示すように、Z軸方向に貫通する貫通孔18aが形成されており、ボルト19によって、フロントハウジング80及びベアリングハウジング90に固定されている。
【0022】
アクチュエータ10は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ロッド11等に加えて、ロッド11をY軸方向に案内するガイド装置30と、モータユニット20の回転運動を直線運動に変換するボールねじ70とを有している。
【0023】
ロッド11は、図3に示すように、内部に孔11aが形成された円筒状の部材で、例えば、ステンレス鋼からなる。ロッド11の−Y側の端部には、外周に雄ねじが形成された先端金具12がねじ込まれることによって固定されている。また、ロッド11の+Y側の端部の外周には、雄ねじ部11bが形成されている。
【0024】
モータユニット20は、モータ21と、モータ21を収納するモータハウジング22と、アクチュエータケーブル24とを有する。
【0025】
モータ21は、例えば、ステッピングモータであり、出力軸23、ロータ、ステータ、エンコーダ、減速器等を有している。モータ21には、アクチュエータケーブル24を介して電源からの電力が供給される。モータ21に電力が供給されることによって、モータ21のロータが回転する。このロータの回転運動は、例えば、減速器によって所定の減速比で減速され、出力軸23に出力される。また出力軸23の先端は、カップリング(継ぎ手)として構成されている。
【0026】
モータハウジング22は、略直方体のケースであり、モータハウジング22の−Y側の面には、開口22aが形成されている。モータ21の出力軸23は、この開口22aから外部に露出している。また、開口22aの上側(+Z側)には、Z方向に貫通するねじ孔22bが形成されている。このねじ孔22bには、ボルト25が挿入される。
【0027】
ガイド装置30は、ロッド11がスライド部31に固定されることにより、ロッド11を+Y方向及び−Y方向の双方向に案内する。このガイド装置30は、図4に示すように、スライド部31と、レール部60と、スライド部31とレール部60との間に配置されたボール50(転動体)とを有する。このボール50は、剛性の素材からなり、具体的には、鋼材からなる。ボール50は、スライド部31とレール部60との間に複数配置されている。
【0028】
スライド部31は、図5に示すように、ボール50を介して、レール部60にY軸方向に移動可能に支持されている。なお、スライド部31は、複数のボール50のみでレール部60に支持されている。スライド部31は、スライド部本体32と、スライド部本体32の−Z側の面にボルト49で固定されたリターン40とを有する。
【0029】
スライド部本体32は、図6に示すように、Y方向に貫通する貫通孔32aが形成された略直方体の部材で、例えば、鉄等の金属からなる。貫通孔32aの−Y側の開口近傍の内周面には、雌ねじ部32bが形成されている。また、スライド部本体32の下端には、−Z方向に突出する一対の凸部33,34が形成されている。この凸部33,34は、Y方向に沿って形成されており、+X側の面及び−X側の面には、ボール50が転動するための溝部33a,34aがそれぞれ形成されている。溝部33a,34aの内面は、略湾曲面として構成されている。具体的には、図7(A)に示すように、溝部33a,34aの内面は、二つの円弧部からなるゴシックアーチ形状に形成されている。しかしながら、これに限らず、溝部33a,34aの内面は、図7(B)に示すように、その曲率半径R1が、ボール50の半径R2と同等となる湾曲面に形成されていてもよい。
【0030】
また、貫通孔32aには、図6に示すように、リング36が嵌め込まれている。また、スライド部本体32の下面(−Z側の面)には、ねじ孔32c及び一対のボス孔32dが形成され、スライド部本体32の+X側の側面には、孔32eが形成されている。
【0031】
リターン40は、図8に示すように、ボール50が配置される一対のボール循環路43,44が形成された部材であり、リターン40の+X側の面及び−X側の面には凹部45,46が形成されている。このリターン40は、筐体41と、この筐体41の上面に取り付けられる蓋体42とを有する。筐体41及び蓋体42は、例えば、ポリアセタール樹脂を射出成形することによって形成される。
【0032】
筐体41には、一対のボール循環路43,44が形成されている。このボール循環路43,44は、ボール50が移動するための通路で、ストレート通路部43a,44aとカーブ通路部43b,44bとから構成されている。ボール循環路43,44は、その断面形状がボール50の直径と同等の直径の円形になるように形成されている。また、筐体41の上面(+Z側の面)には、+Z方向に突出した円筒形状の一対のボス部47が2つ形成されている。このボス部47は、その径が、スライド部本体32のボス孔32dの径と同等になるように形成されている。また、筐体41には、Z方向に貫通する貫通孔41aが4つ形成されている。この貫通孔41aには、ボルト49が挿入される。
【0033】
蓋体42には、Z方向に貫通する一対のボス孔42aが形成されている。ボス孔42aには、筐体41のボス部47が挿入される。また、蓋体42には、Z方向に貫通する一対の貫通孔42bが4つ形成されている。貫通孔42bと、筐体41の貫通孔41aとには、ボルト49が挿入される。また、蓋体42には、グリスを注入するための注入孔48が形成されている。注入孔48は、蓋体42に形成されたグリス通路を介して、ボール循環路43,44に通じている。
【0034】
次に、スライド部31の組み立て方法について、図9を参照して説明する。
【0035】
先ず、図9(A)に示すように、スライド部本体32の凸部33,34が、リターン40の凹部45,46に嵌め込まれる。このとき、リターン40の筐体41のボス部47も、スライド部本体32のボス孔32dに嵌め込まれる。ボス部47がボス孔32dに嵌め込まれることにより、図9(B)を参照するとわかるように、スライド部本体32のねじ孔32cと、リターン40の蓋体42の貫通孔42bと、リターン40の筐体41の貫通孔41aとが同軸上に配置される。
【0036】
次に、図9(B)に示すように、ボルト49が、貫通孔41aと貫通孔42bとを介して、スライド部本体32のねじ孔32cにねじ込まれる。ボルト49がねじ込まれることにより、リターン40は、スライド部本体32に固定される。
【0037】
リターン40がスライド部本体32に固定されることにより、図10に示すように、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路43と、スライド部本体32の凸部33に形成された溝部33aとが、ボール50の軌道T1に沿って配置される。同様に、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路44と、スライド部本体32の凸部34に形成された溝部34aとが、ボール50の軌道T2に沿って配置される。これら軌道T1,T2は、ストレート部分とカーブ部分とを有する長円形状に形成される。これにより、スライド部31の組み立てが、完了する。
【0038】
ボール50は、リターン40の筐体41に形成されたボール循環路43,44や、スライド部本体32の凸部33に形成された溝部33a、凸部34に形成された溝部34a等に配置される。これにより、ボール50は、図10に示す軌道T1,T2に沿って配置される。
【0039】
レール部60は、図11に示すように、Y軸方向を長手方向とする板状のベース61と、このベース61の+X側及び−X側に形成された側壁62,63とを有する。レール部60は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成される。ベース61には、Z方向に貫通する複数の貫通孔61aが形成されている。また、側壁62の−X側の面及び側壁63の+X側の面には、凹部62a,63aがそれぞれ形成されている。この凹部62a,63aには、Y軸方向を長手方向とする略直方体に形成された鋼製部材64,65が取り付けられている。鋼製部材64の−X側の面及び鋼製部材65の+X側の面には、溝部64a,65aがそれぞれ形成されている。溝部64a,65aは、対向するように形成されており、溝部64a,65aの内面は、略湾曲面として構成されている。具体的には、図12(A)に示すように、溝部64a,65aの内面は、二つの円弧部からなるゴシックアーチ形状に形成されている。しかしながら、これに限らず、溝部64a,65aの内面は、図12(B)に示すように、その曲率半径R3が、ボール50の半径R2と同等となる湾曲面に形成されていてもよい。
【0040】
レール部60には、図13に示すように、複数のボール50を介して、スライド部31が取り付けられる。レール部60にスライド部31が取り付けられると、レール部60の鋼製部材64の溝部64aと、スライド部31のスライド部本体32の凸部33に形成された溝部33aとにボール50が挟まれる。同様に、レール部60の鋼製部材65の溝部65aと、スライド部31のスライド部本体32の凸部34に形成された溝部34aとにボール50が挟まれる。溝部64aと溝部33aとの間にボール50が挟まれるとともに、溝部65aと溝部34aとの間にボール50が挟まれることにより、スライド部31は、ボール50のみでレール部60に支持される。また、レール部60に対して、Y軸方向に移動可能になる。
【0041】
ガイド装置30は、レール部60にスライド部31が取り付けられることによって完成する。そして、スライド部31のスライド部本体32の貫通孔32aには、図14に示すように、ロッド11の+Y側の端部が挿入される。ロッド11の+Y側の端部が挿入されると、貫通孔32aに形成された雌ねじ部32bに、ロッド11の+Y側の端部に形成された雄ねじ部11bが螺合する。これにより、ロッド11は、ガイド装置30のスライド部31に固定される。
【0042】
ボールねじ70は、図15、図2(B)、及び図3に示すように、ボールねじ軸71と、ボールねじナット72と、ボールねじ軸71の−Y側の端部に取り付けられた弾性部材110とを有する。
【0043】
ボールねじ軸71は、外周面が螺旋状のボールねじ面として構成されたボールねじ軸本体71aと、ボールねじ軸本体71aの+Y側の端部及び−Y側の端部それぞれに形成された小径部71b,71cとから構成される。小径部71b,71cは、その径がボールねじ軸本体71aの径よりも小さく形成されている。また、ボールねじ軸71の小径部71cには、弾性部材110が嵌め込まれて、抜け止め部材112によって、抜け止めされている。これにより、弾性部材110は、ボールねじ軸71に回転可能に取り付けられる。
【0044】
ボールねじナット72は、ボールねじ軸71のボールねじ軸本体71aの外周に配置されている。ボールねじナット72の内周面にはボールねじ部が形成されている。このボールねじナット72は、ボールねじ軸71に剛性の球体を介して嵌め込まれる。これにより、ボールねじ軸71の回転運動が、ボールねじナット72の直線運動に変換される。
【0045】
また、ボールねじ軸71の小径部71bは、カップリング(継ぎ手)として構成されている。この小径部71bが、カップリングとして構成されたモータユニット20の出力軸23に、出力軸23の回転とともに回転するように接続される。これにより、出力軸23の回転運動がボールねじ軸71に伝達される。
【0046】
弾性部材110は、例えば、樹脂からなり、図16に示すように、中央に貫通孔110aが形成されたリング形状に形成されている。また、この弾性部材110は、その外径が、ロッド11の孔11aの内径とほぼ同等に形成されている。具体的には、ボールねじ軸71の小径部71cを、ロッド11の孔11aに挿入した場合に、弾性部材110の外周が、孔11aの内周面に接触するように形成されている。弾性部材110の外周が、孔11aの内周面に接触することにより、弾性部材110は、ボールねじ軸71の小径部71cの振れを抑えることができる。すなわち、弾性部材110は、ボールねじ軸71の小径部71cの振れを抑える振れ止め部材として構成されている。また、弾性部材110には、Y軸を中心とした円周上に沿って等間隔に形成された複数の溝111が形成されている。本実施形態のおいては、溝111は、8つ形成されている。
【0047】
ボールねじ70は、図17に示すように、ガイド装置30に固定される。具体的には、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、スライド部本体32の貫通孔32aに+Y側から挿入され、これにより、ボールねじナット72が、貫通孔32a内に配置される。そして、スライド部本体32の孔32eに挿入されたボルト74がねじ込まれて締結されることにより、ボールねじ70は、ガイド装置30に固定される。
【0048】
また、ボールねじ70が、ガイド装置30に固定されると、図18に示すように、ボールねじ軸71の−Y側の小径部71cは、ロッド11の孔11a内まで移動する。このとき、弾性部材110の外周が、ロッド11の孔11aの内周面に接触する。これにより、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、この弾性部材110によって支持される。
【0049】
フロントハウジング80は、図3に示すように、ガイド装置30の−Y側に、ボルト81によって固定されている。フロントハウジング80は、例えば、ダイカストにより形成されている。また、フロントハウジング80には、ロッド11を通すための貫通孔80aが形成されており、この貫通孔80aの内周面には、オイルレスベアリング82が配置されている。オイルレスベアリング82は、ロッド11をY軸方向に移動可能に支持する。また、フロントハウジング80は、+Y方向に突出する突出部83が形成されており、この突出部83の上面(+Z側の面)には、ねじ孔が形成されている。この突出部83のねじ孔は、カバー18を固定するために用いられる。突出部83のねじ孔には、カバー18に形成された貫通孔18aを介して、ボルト19が挿入される。
【0050】
ベアリングハウジング90は、図3に示すように、ガイド装置30の+Y側に、ボルト91によって固定されている。ベアリングハウジング90は、フロントハウジング80と同様に、ダイカストにより形成されている。また、ベアリングハウジング90は、ボールねじ軸71を挿入するための貫通孔90aが形成されており、この貫通孔90aの内周面には、ベアリング92が配置されている。ベアリング92は、貫通孔90aの+Y側から嵌め込まれ、ベアリング押さえ92aによって固定されている。このベアリング92によって、ボールねじ軸71は回転可能に支持される。
【0051】
また、ベアリングハウジング90には、−Y方向に突出する突出部93が形成されており、この突出部93の上面(+Z側の面)には、ねじ孔が形成されている。このねじ孔は、カバー18を固定するために用いられる。突出部93のねじ孔には、カバー18に形成された貫通孔18aを介して、ボルト19が挿入される。また、突出部93の−Y側の面には、+Y方向に移動してきたスライド部31に接触し、スライド部31からの衝撃を吸収する衝撃吸収部材94が配置されている。衝撃吸収部材94は、弾性の素材からなり、衝撃吸収部材94の素材には、任意の樹脂が用いられる。また、ベアリングハウジング90には、+Y方向に突出する突出部95が形成されている。
【0052】
ベアリングハウジング90には、図19(A)に示すように、ボールねじ軸71の小径部71bが挿入される。これにより、ボールねじ70は、ベアリングハウジング90に回転可能に支持される。また、ベアリングハウジング90の突出部95は、モータユニット20のモータハウジング22の開口22aに嵌め込まれる。このとき、カップリングとして構成されたボールねじ軸71の小径部71bが、カップリングとして構成された出力軸23に、出力軸23の回転とともに回転するように接続される。これにより、モータ21内で生じた回転運動が、ボールねじ軸71に伝達される。そして、図19(B)に示すように、モータハウジング22に形成されたねじ孔22bには、ボルト25がねじ込まれる。これにより、ベアリングハウジング90の突出部95の上面(+Z側の面)が、ボルト25の下端に押し付けられるため、モータユニット20は、ベアリングハウジング90に対して固定される。
【0053】
上述のように構成されたアクチュエータ10の動作について、図20〜図22を用いて説明する。
【0054】
先ず、モータユニット20のモータ21に電源が供給されることによって、図20(I)に示すように、モータ21の出力軸23が所定の方向に回転する。出力軸23が所定の方向に回転すると、出力軸23に接続されているボールねじ軸71が、出力軸23とともに回転する。
【0055】
ボールねじ軸71が回転すると、図20(II)に示すように、ボールねじ軸71の回転運動に伴って、ボールねじナット72が、例えば、−Y方向に直線運動をする。ボールねじナット72が、−Y方向に移動すると、ボールねじナット72に固定されているガイド装置30のスライド部31も、ボールねじナット72とともに−Y方向に移動をする。
【0056】
このとき、図21(I)に示すように、レール部60の鋼製部材64の溝部64aと、スライド部本体32の凸部33の溝部33aと間に配置されたボール50は、溝部64a及び溝部33aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、+Y方向に移動していき、溝部64aと溝部33aとの間から、リターン40に形成されたボール循環路43に移動する。ボール循環路43に移動したボール50は、ボール循環路43のカーブ通路部43b、ストレート通路部43aを通過し、再び、ボール循環路43から、溝部64aと溝部33aとの間に移動する。そして、ボール50は、溝部64a及び溝部33aに転がり接触しながら転動する。
【0057】
同様に、レール部60の鋼製部材65の溝部65aと、スライド部本体32の凸部34の溝部34aと間に配置されたボール50は、溝部65a及び溝部34aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、+Y方向に移動していき、溝部65aと溝部34aとの間から、リターン40に形成されたボール循環路44に移動する。ボール循環路44に移動したボール50は、ボール循環路44のカーブ通路部44b、ストレート通路部44aを通過し、再び、ボール循環路44から、溝部65aと溝部34aとの間に移動する。そして、ボール50は、溝部65a及び溝部34aに転がり接触しながら転動する。
【0058】
ボール50が、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動することにより、スライド部31は、レール部60に案内されつつ、−Y方向に移動する。
【0059】
ガイド装置30のスライド部31が−Y方向に移動をすると、図20(II)に示すように、スライド部31に固定されているロッド11も、スライド部31とともに−Y方向に移動する。これにより、ロッド11の先端に取り付けられた先端金具12が−Y方向に移動する。
【0060】
また、図22(I)に示すように、ロッド11が−Y方向に移動するのに対し、ボールねじ軸71は、−Y方向には移動せずに回転する。このため、ロッド11の孔11aの内周面は、ボールねじ軸71に取り付けられた弾性部材110に対して摺動する。このとき、ロッド11の孔11aと、弾性部材110の−Y側の面とによって規定される空間Sの容積は、ロッド11の−Y方向への移動に伴って大きくなる。これにより、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111から流入し、空間Sの内圧を一定に保つ。
【0061】
以上により、ロッド11及び先端金具12の−Y方向への移動が完了する。
【0062】
次に、モータユニット20の出力軸23が所定の方向とは逆方向に回転すると、図20(III)に示すように、出力軸23に接続されているボールねじ軸71は、出力軸23とともに回転する。
【0063】
ボールねじ軸71が回転すると、ボールねじ軸71の回転運動に伴って、ボールねじナット72が、+Y方向に直線運動をする。ボールねじナット72が、+Y方向に移動すると、ボールねじナット72に固定されているガイド装置30のスライド部31も、ボールねじナット72とともに+Y方向に移動をする。
【0064】
このとき、図21(II)に示すように、レール部60の鋼製部材64,65の溝部64a,65aと、スライド部本体32の凸部33,34の溝部33a,34aと間に配置されたボール50は、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動する。ボール50は、−Y方向に移動していき、やがて、リターン40に形成されたボール循環路43,44に移動する。ボール循環路43,44に移動したボール50は、ボール循環路43,44のカーブ通路部43b,44b、ストレート通路部43a,44aを通過し、再び、溝部64a,65aと溝部33a,34aとの間に移動する。溝部64a,65aと溝部33a,34aとの間に移動したボール50は、転がり接触しながら転動する。
【0065】
ボール50が、溝部64a,65a及び溝部33a,34aに転がり接触しながら転動することにより、スライド部31は、レール部60に案内されつつ、+Y方向に移動する。
【0066】
ガイド装置30のスライド部31が+Y方向に移動をすると、図20(III)に示すように、スライド部31に固定されているロッド11も、スライド部31とともに+Y方向に移動する。これにより、ロッド11の先端に取り付けられた先端金具12が+Y方向に移動する。
【0067】
また、図22(II)に示すように、ロッド11が+Y方向に移動するのに対し、ボールねじ軸71は+Y方向には移動せずに回転する。このため、空間Sは、ロッド11の+Y方向への移動に伴って小さくなる。これにより、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111から流出し、空間Sの内圧を一定に保つ。
【0068】
以上により、ロッド11及び先端金具12の+Y方向への移動が完了し、ロッド11及び先端金具12は、初期位置まで戻る。
【0069】
以上、説明したように、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、スライド部31が、鋼製の素材からなるボール50を介してレール部60の鋼製部材64,65に支持されている。これにより、モータユニット20の出力軸23の回転に起因したトルクが、ボールねじ軸71を介して、スライド部31に加わっても、スライド部31は、レール部60に対して、出力軸23周りに動かなくなる。このため、出力軸23の回転に起因したトルクが、ガイド装置30を介して、ロッド11に伝わりにくく、ロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができる。ひいては、ロッド11に固定された先端金具12の振れを抑制することができ、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0070】
また、このガイド装置30により、ロッド11は、Y軸方向に円滑に往復運動することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、ボールねじ軸71の小径部71cに弾性部材110が取り付けられている。そのため、ボールねじ軸71の−Y側の端部は、この弾性部材110によって、ロッド11の孔11aの内周面に支持される。これにより、ボールねじ軸71の先端部の振れの発生を抑制することができる。
【0072】
例えば、図23(A)を参照するとわかるように、ボールねじ軸71の先端に弾性部材110が取り付けられていない場合は、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、ロッド11の孔11aの内周面に対して支持されないため、ボールねじ軸71の先端部の振れが発生しやすくなる。特に、ボールねじナット72が、+Y方向に大きく移動している場合には、ボールねじナット72から出力軸23までの距離L2に対して、ボールねじナット72からボールねじ軸71の先端部までの距離L1が大きくなり、大きな振れが発生するおそれがある。
【0073】
これに対し、本実施形態においては、図23(B)を参照するとわかるように、ボールねじ軸71の−Y側の端部が、弾性部材110によって支持されているため、ボールねじナット72が+Y方向に大きく移動している場合においても、ボールねじ軸71の先端部の振れの発生を抑制することができる。これにより、ボールねじ軸71の先端部の振れに起因したロッド11の先端部の振れの発生を抑制することができ、ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0074】
また、弾性部材110には、溝111が形成されているため、ロッド11の移動時における空間Sの内圧の変化を防ぐことができる。例えば、弾性部材110に、溝111が形成されていない場合には、空間Sは、ロッド11の孔11aと、弾性部材110の−Y側の面とによって規定された密閉空間となってしまう。このため、ロッド11のY軸方向への移動に伴い、空間Sの内圧が変化し、ロッド11の円滑な動きが阻害されてしまう。
【0075】
これに対し、本実施形態の弾性部材110には、溝111が形成されているため、空間S内の空気が、弾性部材110の溝111を介して流入出するため、空間Sの内圧を一定に保つことができ、空間Sの内圧変化によるロッド11の動きへの影響を排除することができる。ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0076】
また、溝111が、ボールねじ軸71の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されているため、ロッド11の孔11aと弾性部材110との接触面積を小さくすることができる。これにより、ロッド11の弾性部材110に対する摩擦係数を小さくすることができ、ロッド11と弾性部材110との摩擦によるロッド11の動きへの影響を小さくすることができる。ひいては、アクチュエータ10の作業精度の低下を防ぐことができる。
【0077】
また、アクチュエータ10は、カバー18を有している。このため、このカバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、アクチュエータ10をボルトで固定することが可能になる。詳しくは、図24に示すように、アクチュエータ10を作業台120に固定する場合、カバー18を取り外すことにより、アクチュエータ10の上側(+Z側)から、レール部60のベース61に形成された貫通孔61aを介して、ボルト121を作業台120のねじ孔120aに挿入することができる。これにより、アクチュエータ10の作業台120への取り付けがしやすくなる。
【0078】
これに対して、カバーを有さないアクチュエータの場合は、作業台に固定する場合、作業者が、作業台の下に潜り込んで下方(−Z側)からアクチュエータを取り付けなければならない。しかしながら、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、上側(+Z側)から作業台120に取り付けることができるため、アクチュエータ10の取り付けの作業性を向上させることができる。
【0079】
また、同様に、アクチュエータ10は、カバー18を有しているため、このカバー18を取り外すことにより、上側(+Z側)から、ボール50のグリスを、ガイド装置30のリターン40に形成されたグリス注入孔48から注入することができる。これに対して、カバーを有さないアクチュエータの場合は、ボール50のグリスを注入するためには、筐体等を分解する必要があり、グリスの注入作業が煩雑なものとなってしまう。しかしながら、本実施形態に係るアクチュエータ10においては、このカバー18を取り外すことにより、上側(+Z側)から、グリスをグリス注入孔48から注入することができるため、グリスの注入作業の作業性を良好とすることができる。
【0080】
また、ロッド11は、ガイド装置30のスライド部31に螺合により固定されている。このため、ボルト等で固定する場合と比べて、強固に固定できるとともに、ボルト等の部品を別途用意する必要はなくなる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0082】
例えば、本実施形態においては、弾性部材110には、8つの溝111が形成されているが、これに限らず、図25に示すように、4つの溝111を形成してもよい。また溝111を1つのみ形成してもよいし、8つよりも多くの溝111を形成してもよい。
【0083】
また、ガイド装置30のスライド部31とリターン40との間には、複数のボール50が配置されているが、これに限らず、ころ(ローラ)を配置してもよい。
【0084】
また、ロッド11は、スライド部31に螺合により固定されているが、これに限らず、ボルト等で固定してもよい。
【0085】
また、レール部60の鋼製部材64,65には、溝部64a,65bが形成されているが、レール部60の側壁62,63に直接溝部を形成してもよい。
【0086】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0087】
(付記)
上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうるが、以下には限られない。また、以下のように記載されることで、以下のような背景技術にも対応し、以下のような課題も解決し、以下のような効果も奏する。
【0088】
ロッドタイプのリニアアクチュエータは、例えば、ボールねじを有しており、このボールねじが、モータの回転運動をロッドの直線運動に変換する。この変換により、ロッドが往復運動し、ロッドの先端に取り付けられた任意の工具が、様々な作業を行う。このようなアクチュエータにおいては、モータの回転運動を直線運動に変換しているため、モータの回転運動に起因したトルクがロッドに伝わり、ロッドの先端に振れが生じやすい。この場合、アクチュエータの作業の精度が低下するおそれがある。
【0089】
これに対して、下記特許文献1には、ロッドの振れを規制する回転規制部材を備えたアクチュエータが開示されている。
【0090】
(特許文献1)特開2002−130419号公報
【0091】
上記特許文献1に記載のアクチュエータの回転規制部材は、樹脂からなる。そのため、モータの回転運動により、回転規制部材にトルクが加わり、回転規制部材が弾性変形をしてしまい、ロッドの先端部に振れが生じるおそれがある。
【0092】
本付記は、上述の事情の下になされたもので、ロッドの先端部の振れを抑制できるアクチュエータを提供することを目的とする。
【0093】
上述の目的を達成するために、本付記のアクチュエータは、
回転軸を備えたモータと、
前記回転軸の回転運動とともに回転運動するボールねじ軸と、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するボールねじナットと、を有するボールねじと、
前記ボールねじナットとともに直線運動するように前記ボールねじナットに接続され、先端に工具が取り付けられる作業軸と、
前記作業軸に固定され、前記作業軸の運動方向に沿って第1溝部が形成されたスライド部と、
前記第1溝部に対向し、前記作業軸の運動方向に沿って第2溝部が形成され、剛性の素材からなるレール部と、
剛性の素材からなり、前記第1溝部及び前記第2溝部に挟まれることにより前記第1溝部及び前記第2溝部を転動して、前記スライド部を移動可能に支持する転動体と、
を有することを特徴とする。
【0094】
前記スライド部は、前記転動体が通過する転動体循環路が内部に形成された転動体収納ユニットを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動した前記転動体は、前記転動体循環路を通過して、前記第1溝部と前記第2溝部との間に移動し、再び、前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動していてもよい。
【0095】
前記転動体は、球形状に形成され、
前記第1溝部及び前記第2溝部の内面は、湾曲面として構成されており、
前記湾曲面の曲率半径は、前記転動体の半径と同等であってもよい。
【0096】
前記スライド部の前記第1溝部、前記レール部の前記第2溝部、及び前記転動体循環路は、それぞれ2つずつ形成され、
前記転動体は、前記第1溝部と前記第2溝部とに、前記作業軸の運動方向と直交する方向に挟まれていてもよい。
【0097】
前記作業軸は、前記ボールねじ軸の先端部が挿入されるための孔が形成された円筒形状に形成され、
前記ボールねじ軸の前記先端部には、前記作業軸の前記孔の内周面と接触する弾性部材が配置されていてもよい。
【0098】
前記弾性部材には、前記作業軸の運動方向に沿って、溝が形成されていてもよい。
【0099】
前記弾性部材に形成された前記溝は、前記ボールねじ軸の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されていてもよい。
【0100】
前記アクチュエータは、
前記レール部に脱着可能に取り付けられ、前記スライド部を覆うカバーをさらに有していてもよい。
【0101】
前記作業軸には、雄ねじ部が形成され、
前記スライド部には、雌ねじ部が形成されており、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合により、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていてもよい。
【0102】
本付記によれば、スライド部は、剛性の素材からなる転動体を介して、剛性の素材からなるレール部に支持されるため、モータの回転に起因したトルクが、スライド部に加わっても、スライド部は、レール部に対して、モータの回転軸周りに動かなくなる。このため、モータの回転に起因したトルクが、スライド部を介して、作業軸(ロッド)に伝わりにくく、作業軸の先端部の振れの発生を抑制することができる。また、アクチュエータの作業精度の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0103】
10 アクチュエータ
11 ロッド(作業軸)
11a 孔
11b 雄ねじ部
12 先端金具
18 カバー
18a 貫通孔
19 ボルト
20 モータユニット
21 モータ
22 モータハウジング
22a 開口
22b ねじ孔
23 出力軸(回転軸)
24 アクチュエータケーブル
25 ボルト
30 ガイド装置
31 スライド部
32 スライド部本体
32a 貫通孔
32b 雌ねじ部
32c ねじ孔
32d ボス孔
32e 孔
33、34 凸部
33a、34a 溝部(第1溝部)
36 リング
40 リターン
41 筐体
41a 貫通孔
42 蓋体
42a ボス孔
42b 貫通孔
43、44 ボール循環路
43a、44a ストレート通路部
43b、44b カーブ通路部
45、46 凹部
47 ボス部
48 注入孔
49 ボルト
50 ボール(転動体)
60 レール部
61 ベース
61a 貫通孔
62、63 側壁
62a、63a 凹部
64、65 鋼製部材
64a、65a 溝部(第2溝部)
70 ボールねじ
71 ボールねじ軸
71a ボールねじ軸本体
71b、71c 小径部
72 ボールねじナット
74 ボルト
80 フロントハウジング
80a 貫通孔
81 ボルト
82 オイルレスベアリング
83 突出部
90 ベアリングハウジング
90a 貫通孔
91 ボルト
92 ベアリング
92a ベアリング押さえ
93、95 突出部
94 衝撃吸収部材
110 弾性部材
110a 貫通孔
111 溝
112 抜け止め部材
120 作業台
120a ねじ孔
121 ボルト
T1、T2 軌道
R1、R3 曲率半径
R2 半径
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を備えたモータと、
前記回転軸の回転運動とともに回転運動するボールねじ軸と、前記ボールねじ軸の回転運動に伴って直線運動するボールねじナットと、を有するボールねじと、
前記ボールねじナットとともに直線運動するように前記ボールねじナットに接続され、先端に工具が取り付けられる作業軸と、
前記作業軸に固定されたスライド部と、
前記スライド部が取り付けられたレール部と、
前記レール部に脱着可能に取り付けられ、前記スライド部を覆うカバーと、
を有することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記レール部には、ボルトを挿入するための貫通孔が形成され、
前記カバーを取り外すことにより、前記ボルトで作業台に固定されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
剛性の素材からなる転動体を有し、
前記スライド部は、前記作業軸に固定され、前記スライド部には、前記作業軸の運動方向に沿って第1溝部が形成され、
前記レール部は、剛性の素材からなり、前記レール部には、前記第1溝部に対向し、前記作業軸の運動方向に沿って第2溝部が形成され、
前記転動体は、前記第1溝部及び前記第2溝部に挟まれることにより前記第1溝部及び前記第2溝部を転動して、前記スライド部を移動可能に支持することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記スライド部は、前記転動体が通過する転動体循環路が内部に形成された転動体収納ユニットを有し、
前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動した前記転動体は、前記転動体循環路を通過して、前記第1溝部と前記第2溝部との間に移動し、再び、前記第1溝部と前記第2溝部との間を転動することを特徴とする請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記転動体収納ユニットには、グリスを注入するための注入口が形成され、
前記注入口は、前記転動体循環路に通じていることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記転動体は、球形状に形成され、
前記第1溝部及び前記第2溝部の内面は、湾曲面として構成されており、
前記湾曲面の曲率半径は、前記転動体の半径と同等であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記スライド部の前記第1溝部、前記レール部の前記第2溝部、及び前記転動体循環路は、それぞれ2つずつ形成され、
前記転動体は、前記第1溝部と前記第2溝部とに、前記作業軸の運動方向と直交する方向に挟まれることを特徴とする請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記作業軸は、前記ボールねじ軸の先端部が挿入されるための孔が形成された円筒形状に形成され、
前記ボールねじ軸の前記先端部には、前記作業軸の前記孔の内周面と接触する弾性部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記弾性部材には、前記作業軸の運動方向に沿って、溝が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記弾性部材に形成された前記溝は、前記ボールねじ軸の中心とする円周に沿って等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記作業軸には、雄ねじ部が形成され、
前記スライド部には、雌ねじ部が形成されており、
前記雄ねじ部と前記雌ねじ部との螺合により、前記作業軸は、前記スライド部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−19534(P2013−19534A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−264152(P2011−264152)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2011−155183(P2011−155183)の分割
【原出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(391008515)株式会社アイエイアイ (107)
【Fターム(参考)】