説明

アプリケーションソフト開発支援システム

【課題】 PCで編集するアプリケーションのファイルを携帯端末装置に簡単且つ迅速に転送できるようにする。
【解決手段】 PC1は、本体2にディスプレイ3およびキーボード4などの入力手段を備える。バーコード・ハンディ・ターミナル(BHT)5は、パラメータファイルのデータを参照しながら業務アプリを実行するもので、表示部6、操作部7、読取部を備える。PC1側でアプリケーション設計ツールを起動し、パラメータファイルのデータを設定すると、これが二次元コードもしくは複数の分割コードに変換されて表示される。BHT5側でこれを読み取ってパラメータファイルのデータを取り込んでコード処理し、パラメータファイルを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラメータ(データ)が設定されることによって機能が定義されるアプリケーションソフトに対して、パラメータを設定し、設定したパラメータのパラメータファイルを作成するアプリケーション設計ツールを有する処理装置でパラメータファイルを作成すると共に、そのパラメータファイルを携帯端末装置に転送して実行する構成のアプリケーションソフト開発支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケーションソフトを開発するためのアプリケーション設計ツールとしては、例えば特許文献1に示されるようなものがある。これは、プログラマでないユーザでもユーザに必要な会計ソフトが簡単に作成できるようにしたもので、プログラムの基本処理は予め準備されていて、これにユーザが会計処理上で必要なパラメータを設定することでユーザの目的に合った会計ソフトを作成できるというものである。
【特許文献1】特開平5−113879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような特許文献1に示されるものは、その作成および実行はPC(Personal Computer)上で処理されるものであるから、作成したパラメータファイルを外部に転送する必要のない場合には適しているが、これを他の携帯端末装置などに転送する場合には、ダウンロードする方法が問題となる。
【0004】
携帯端末装置にパラメータファイルをダウンロードするタイプのアプリケーションソフトとしては、例えば、携帯端末装置を用いて、棚卸やピッキングあるいは入出庫管理などの現場でのデータ収集を行い、収集したデータをPCに転送することにより集計管理などを行うようにしたものがある。このように携帯端末装置側でパラメータファイルのデータに従って実行できるアプリケーションソフトでは、PCで作成したアプリケーションソフトのパラメータファイルをダウンロードするのに、別途に通信手段を設けたり、あるいは通信の手続を設定するなどの処理を実行したりする必要があるので煩雑で手間がかかる。
【0005】
また、一旦携帯型の端末装置に転送されたパラメータファイルのデータに従って、携帯端末装置でアプリケーションソフトの実行をしたところ、パラメータ(データ)の変更が必要となる場合などにおいては、その変更内容が簡単な場合でも、PC側でパラメータ(データ)を変更し再作成されたパラメータファイルをPC側から再度ダウンロードする必要があり、同様の面倒な処理が必要となる。したがって、携帯端末装置でアプリケーションソフトの実行がうまくいくことを確認しながら最終的な設定条件を決めようとするような場合には非常に面倒な作業となるものであった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、アプリケーションソフトを実行するように設けられた携帯端末装置で、そのパラメータファイルのダウンロードを簡単且つ迅速に行えるようにして、開発のための作業や編集作業を効率良く実施できるようにしたアプリケーションソフト開発支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、処理装置は、パラメータ(データ)が設定されることによって機能が定義されるアプリケーションソフトに対して、パラメータを設定し、設定したパラメータのパラメータファイルを作成するアプリケーション設計ツールを実行するように設けられており、第1のコード変換手段により、アプリケーション設計ツールにて設定されたパラメータファイルのデータをコードに変換し、第1の表示手段により変換したコードを表示する。そして、携帯端末装置は、処理装置の第1の表示手段に表示されたコードを第1の読取手段により読み取り、第1のデコード手段により第1の読取手段により読み取られたコードをデコードしてパラメータファイルのデータを復元し、第1の更新手段により第1のデコード手段が復元したパラメータファイルのデータに基づいて予め記憶されたアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する。これにより、携帯端末装置は、処理装置により作成されたパラメータファイルを第1の読取手段により読み取ることで簡単に取り込むことができ、設定されたパラメータファイルのデータに基づいてアプリケーションソフトを実行することができるようになる。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記発明において、処理装置が有する第1のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きい場合には、第1の分割手段によりパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割し、第1の表示手段により複数の分割コードを一画面もしくは複数画面で表示し、一方、携帯端末装置が有する第1のデコード手段は、第1の合成手段により、第1の読取手段にて読み取られた分割コードのデコード結果を合成してパラメータファイルを復元するので、パラメータファイルのデータ量が大きくなる場合でも、その制限を受けることなく携帯端末装置との間で簡単に取り扱うことができるようになる。
【0009】
請求項3の発明によれば、携帯端末装置は、第2のコード変換手段により記憶されたアプリケーションソフトに対するパラメータファイルのデータをコードに変換し、第2の表示手段により変換されたコードを表示する。また、処理装置は、第2の読取手段により携帯端末装置の第2の表示手段に表示されたコードを読み取り、第2のデコード手段により第2の読取手段が読み取ったコードをデコードしてパラメータファイルのデータを復元し、第2の更新手段により、第2のデコード手段が復元したパラメータファイルのデータに基づいて、アプリケーション設計ツールが予め所有するアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する。これにより、携帯端末装置側から処理装置側へのパラメータファイルのデータの授受を行うことができるようになる。
【0010】
請求項4の発明によれば、上記請求項3の発明において、携帯端末装置が有する第2のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きい場合に、第2の分割手段によりパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割し、第2の表示手段により複数の分割コードを一画面もしくは複数画面で表示し、一方、処理装置が有する第2のデコード手段は、第2の合成手段により、第2の読取手段が読み取った分割コードのデコード結果を合成して、パラメータファイルのデータを復元するので、携帯端末装置側においてもパラメータファイルのデータ量が大きくなる場合でも、その制限を受けることなく処理装置との間で簡単に取り扱うことができるようになる。
【0011】
請求項5の発明によれば、上記請求項3および4の発明において、携帯端末装置は、修正手段を備え、これにより記憶されたアプリケーションソフトに対するパラメータファイルのデータを修正することができ、第2のコード変換手段により修正手段が修正したパラメータファイルのデータをコードに変換し、第2の表示手段により変換された修正パラメータファイルのデータのコードを表示するので、処理装置側で作成したパラメータファイルのデータを一旦携帯端末装置側に取り込んだ後で、たとえば実際にアプリケーションソフトを実行した結果パラメータファイルのデータの修正が必要になった場合においても、携帯端末装置側で修正手段により修正し、しかもこれを処理装置側に読み取り可能なコードに変換することにより、最終的なパラメータファイルのデータを決定するまでの修正作業を簡単且つ迅速に行うことができるようになる。
【0012】
請求項6の発明によれば、第1の携帯端末装置は、第2のコード変換手段により、記憶されたアプリケーションソフトに対するパラメータファイルのデータをコードに変換し、第2の表示手段により変換されたコードを表示する。これに対して、第2の携帯端末装置は、第3の読取手段により第1の携帯端末装置の第2の表示手段に表示されたコードを読み取り、第3のデコード手段により第3の読取手段が読み取ったコードをデコードしてパラメータファイルのデータを復元し、第3の更新手段により第3のデコード手段が復元したパラメータファイルのデータに基づいて予め記憶されたアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する。これにより、第1および第2の携帯端末装置の間でもパラメータファイルのデータの授受を行うことができるようになる。
【0013】
請求項7の発明によれば、上記請求項6の発明において、第1の携帯端末装置が有する第2のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きい場合に、第2の分割手段によりパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割し、第2の表示手段により複数の分割コードを一画面もしくは複数画面で表示し、一方、第2の携帯端末装置が有する第3のデコード手段は、第3の読取手段が読み取った分割コードをデコードした結果を合成して、パラメータファイルのデータを復元するので、第1および第2の携帯端末装置の間においてもパラメータファイルのデータ量が大きくなる場合でも、その制限を受けることなく簡単に取り扱うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。
図1はシステムの概略的な構成を示すもので、処理装置としてのPC(パソコン)1は、本体2,第1の表示手段としてのディスプレイ3,編集入力用のキーボード4から構成されている。なお、図示はしないが、編集入力用の手段として、マウスも使用することができるようになっている。
【0015】
携帯端末装置としてのバーコード・ハンディ・ターミナル(以下、BHTと称する)5は、QRコードやバーコードなどの図形化されたコードを読み取るためのもので、読み取り用の開口部5aが一端側の下方に向けて形成されると共に、上面一端側に表示手段としての液晶表示器からなる表示部6および多数のキースイッチが配置された操作部7が設けられている。BHT5の開口部5aをPC1のディスプレイ3に向けると、表示されている情報を読み取ることができるようになっている。
【0016】
PC1は、後述するアプリケーション設計ツールを実行可能に備えたもので、BHT5で使用するアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを作成することができるものである。アプリケーション設計ツールは、パラメータ(データ)が設定されることによって機能が定義されるアプリケーションソフトに対して、パラメータを設定し、設定したパラメータのパラメータファイルを作成するものである。
【0017】
なお、ここではBHT5で使用するアプリケーションソフトは業務用アプリケーションソフト(以下業務用アプリと称する)であり、後述するように、棚卸、発注、同一チェック、互換品チェック、ピッキング、検品などの各種業務を実施するためのものである。
【0018】
図2は、電気的なブロック構成を示すもので、PC1は、本体2内に設けられCPUを主体として構成された制御回路8と、これに接続されるディスプレイ3、キーボード4および記憶手段としてのメモリ9などから構成されている。ここで、制御回路8は、第1のコード変換手段およびその機能の一つとして設定された第1の分割手段としても機能するものである。メモリ9は、具体的には半導体メモリ以外にも、ハードディスク装置なども含まれる。
【0019】
BHT5は、内部に設けられCPUを主体として構成された制御回路10と、これに接続される表示部6、操作部7に加えて、読取部11、メモリ12および通信部13などから構成される。ここで、制御回路10は、第1のデコード手段、第1の更新手段および第1の合成手段としても機能するものである。第1の読取手段としての読取部11は、開口部5aの内部に設けられた光照射部と、撮像部とから構成され、撮影した画像データを制御回路10に転送する。たとえばQRコードやバーコードなどのコードを読み取ってこれをデータとして内部に取り込み、業務用アプリで設定されている各種のデータ処理を行うものである。このため、制御回路10は、画像データを二値化処理して読み取ったコードの明暗パターンを判別し、得られた明暗パターンからデコード処理をするようになっている。
【0020】
メモリ12は、フラッシュメモリに代表される半導体メモリからなるもので、業務アプリケーションソフトのプログラムが記憶されていると共に、これを実施するために必要なパラメータファイルのデータが記憶可能に設けられている。通信部13は、読み取ったデータなどを外部のデータ集計用のPCなどに送信するためのものである。
【0021】
次に、本実施形態の作用について図3ないし図10も参照して説明する。
この実施形態においては、アプリケーション設計ツールとして、前述のように種々の業務メニューの実行を行うにあたって、ユーザ毎に設定して決めておくべきパラメータが設けられていて、これらを設定することで、対応する業務アプリをBHT5で実行させる場合に、設定したパラメータのデータに対応した条件で処理することができるものである。そして、設定すべきパラメータファイルのデータとしては、この実施形態においては、例えばBHT5へのデータの入力方法や表示部6への表示方法などを設定するためのデータである。
【0022】
PC1において、アプリケーション設計ツールを起動すると、制御回路8はプログラムをスタートさせてディスプレイ3に図7に示すようなメイン画面S1を表示させるようになる。このメイン画面では、画面左上部分に業務メニューを示すウインドウW1が設定され、画面右上部分に選択された業務について設定するパラメータの種類を示すウインドウW2が設定されている。また、画面左下部分には、このアプリケーション設計ツールを使って作成したパラメータファイルのデータをQRコードに変換して表示するプレビューウインドウW3が設定され、画面右下部分には、BHT5の表示部6の画面表示のイメージW4を示している。
【0023】
PC1は、アプリケーション設計ツールのパラメータ設定処理では、制御回路8により、図3(a)に示すフローチャートに従って処理を進行させる。まず、パラメータ設定入力処理(ステップA1)を実行する。この処理では、具体的には、例えば図3(b)に示すような内容の処理が実行される。
【0024】
まず、ユーザがPC1のキーボード4あるいは図示しないマウスなどによってメイン画面S1の業務メニューのウインドウW1から、たとえば「棚卸」を選択した場合(ステップB1)には、制御回路8により、その業務メニューに対応した入力設定の画面をウインドウW2に表示する。このウインドウW2には、入力設定すべき項目が列挙されており、マウスでダブルクリックするかカーソルを移動させて選択することができる。
【0025】
いま、「第1情報入力」の「担当者ID入力」の項目から順番に選択して設定していく場合を例にとって説明する。カーソルが「担当者ID入力」に配置されると、制御回路8は、その項目についてのBHT5の表示部6のイメージを画面右下に表示する(図7)。初めて設定する場合には、デフォルトの設定パターンが表示されており、既に設定している場合には、現在の設定パターンが表示される。
【0026】
そして、「担当者ID入力」が選択されると(ステップB2)、制御回路8は、図8に示すような詳細設定画面S2を表示する。ここでは、画面左上にBHT5の表示部6のイメージT1a(図8中、T1aで示す斜線領域)が表示されている。このイメージT1aでは、実際には固定表示の文字である「担当者ID?」が反転表示された状態となっている。また、画面左下には、前に設定している画面をクリアするかどうかが指定できるクリア設定部T2が表示されている。
【0027】
画面中央には、上部に「固定表示」、「データ入力」のボタンT3,T4が表示され、下方に「確定」、「キャンセル」のボタンT5,T6が表示されている。図中、現在の表示状態は「固定表示」T3が操作された状態を示している。また、画面右側には、現在イメージT1に表示している「固定表示」の表示条件についてのプロパティを記載した表示部T7が表示されている。
【0028】
ユーザが入力設定するのは、例えば、固定文字列の表示場所を指定するデータの入力(ステップB3)や、他の変更設定可能な各種の条件である。表示場所の指定は、ここでは、「担当者ID?」の文字列について、その先頭位置のX座標およびY座標を数値で設定する。設定した表示部6の表示イメージは、図9(a)に示すようになる。
【0029】
次に、「データ入力」T4のボタンを操作すると(ステップB4)、制御回路8は、イメージT1の表示状態として実際に担当者IDを入力する「>**…」の部分T1bを反転表示させ、プロパティT7もその部分のデータ入力形式や、表示条件を指定する表示に切り替える。同様にしてユーザの必要とする条件についてデータを入力して設定することができる(ステップB5)。設定した表示部6の表示イメージは、図9(b)に示すようになる。
【0030】
なお、この「データ入力」については、入力されるデータがコードや記号あるいは数字の組み合わせの場合に、作業者が具体的に認識することができるように、入力されたデータについてテーブルなどを参照して置換表示をさせることもできる。データと共に置換した表示を行うようにしたり、あるいはデータに代えて置換した結果を表示したりするなど、必要に応じて設定可能なようにしても良い。
【0031】
これらの設定が終了すると、「確定」のボタンT5を操作することで指定した条件に変更設定することができる。また、設定をやめる場合には「キャンセル」ボタンT6を操作する。これにより、変更入力した条件はキャンセルされる。これら「確定」、「キャンセル」の各ボタンT5,T6が操作されると、制御回路8は、再びメイン画面S1(図7)の表示状態に戻る。
【0032】
以下、「第2情報入力」の「棚番入力」の設定(ステップB6〜B9)、あるいは「第3情報入力」の「部品番号入力」の設定(ステップB10〜B13)、「個数入力」の設定(ステップB14〜B17)を順次選択してそれぞれについてデータ入力設定を行うことができる。それぞれの設定では、図8と同様にして、制御回路8は、詳細設定画面を表示し、その画面上でプロパティの変更設定を受け付けるようになる。各設定で指定された表示部6の表示イメージは、図9(c)〜(h)に示すようになる。
【0033】
なお、上記各項目の設定については、実際には、図3(b)に示したように順次ユーザが選択して設定する方法を採用しても良いし、必要な項目についてのみ選択設定する方法を採用しても良い。また、順次設定する場合には、変更設定する必要のない項目についてはスキップするようにして進めていっても良く、かならずしも図示のフローチャートに従った処理を実施する必要はない。
【0034】
以上のように各項目についての設定を行い、設定が終了の場合には、確定の処理を行うと、制御回路8は、入力設定した各パラメータについて設定値をメモリ9に保存してパラメータ設定入力処理のルーチンを終了し、図3(a)のステップA2に進む。
【0035】
制御回路8は、上述のようにしてメモリ9に保存したパラメータについて、これを二次元コードここでは具体的にはQRコードに変換する二次元コード変換処理を実施する(ステップA2)。この二次元コード変換処理(ステップA2)は、図4に示すような処理を実行する。すなわち、制御回路8は、まず、今回のデータ量が1つの二次元コードのデータ量を超えるか否かを判断し(ステップC1)、1つの二次元コードのデータ量の範囲である場合には1つの二次元コードを作成し(ステップC2)、超える場合には複数の分割コードを作成する(ステップC3)。
【0036】
具体的には、変換しようとするパラメータファイルのサイズが二次元コードのサイズを超えている場合には、複数の分割コードに分けて変換する。制御回路8は、変換した結果の二次元コードもしくは分割コードを、メイン画面S1のプレビューウインドウW3に表示する。
【0037】
ここでは、24個の分割コードのうちの1個が表示されており、ウインドウをスクロールさせることで残りの23個の分割コードも表示させることができる。また、プレビューウインドウW3をダブルクリックあるいは選択操作をすることで、図10に示すような全画面表示により分割コードを表示させることができる。この表示では、画面をスクロールさせることで残りの分割コードを表示させるようにしているが、分割コードを1個ずつ、もしくは図示のように4個ずつなどの複数個を1画面に表示し、他の分割コードを別の画面に切り替えて表示するようにしても良い。
【0038】
次に、BHT5により二次元コードに変換したパラメータファイルをダウンロードする手順について説明する。図5はBHT5により二次元コードを読み取る手順について示している。ユーザがBHT5の操作部7を操作して、メニュー画面からパラメータ変更モードを選択すると、制御回路10は、パラメータ変更モードに移行する(ステップD1)。このモードでは、制御回路10により、読取部11を起動して二次元コードの読み取り動作を開始する(ステップD2)。
【0039】
ここで、読取部11が読み取り動作を開始すると、制御回路10は、デコード処理を実行するようになる(ステップD3)。具体的には、制御回路10は、図6に示すデコード処理を実施する。二次元コードが表示されたディスプレイ3に向けて本体の開口部5aを向けて読み取りを実施すると(図1参照)、読取部11により読み取ったデータを取り込み(ステップE1)、これをデコード処理する(ステップE2)。
【0040】
制御回路10は、読み取った二次元コードが分割コードであるか否かを判断し(ステップE3)、「NO」の場合にはデコード処理を終了し、「YES」の場合には次の二次元コードを読み取りでコード処理を行う(ステップE4,E5)。以下、同様にして全ての分割コードを読み取るまでステップE4〜E6を繰り返し、読み取りが終了すると、デコード結果を合成して(ステップE7)でコード処理を終了し、図5の処理にリターンする。
【0041】
続いて制御回路10は、復元したパラメータファイルにより変更設定されているデータを内部に設定して更新する(ステップD4)。この後、パラメータ更新モードを解除して(ステップD5)メニュー画面に戻る。
【0042】
このようにして更新されたパラメータファイルのデータは、業務モードが選択されたときに使用される。すなわち、メニュー画面で業務モードが選択されると、制御回路10は、業務モードとして、予め内部に設定されている業務アプリ(業務用アプリケーションソフト)を起動する(ステップD6)。業務アプリは、図5では示していないが、例えば棚卸の処理を実行するように設けられたもので、その実行に際して必要に応じてパラメータファイルの各種パラメータのデータが参照され、入力データの条件や表示部6の表示条件などが適用される。制御回路10は、業務が終了すると(ステップD7)、メニュー画面に戻る。
【0043】
このような第1の実施形態によれば、PC1で作成したパラメータファイルを二次元コードに変換してディスプレイ3に表示させ、これをBHT5により読み取ってデコード処理することで、PC1側からパラメータファイルのデータをダウンロードするように構成したので、PC1側で編集されたパラメータファイルを簡単且つ迅速にBHT5側に取り込むことができるようになる。
【0044】
また、パラメータファイルのデータ量が大きい場合に、複数の分割コードに変換すると共にこれを表示し、BHT5側で読み取る際に、デコード後に合成してパラメータファイルのデータを復元するので、パラメータファイルのデータ量の制約を受けることがなくなり、簡単且つ迅速にしかも自由度の高い状態でパラメータファイルを取り扱うことができるようになる。
【0045】
(第2の実施形態)
図11ないし図15は本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と異なるところは、BHT5側においてもパラメータファイルのデータについて簡単な変更設定を行うことができるようにしたところである。
図11および図12に示すように、PC1には、第1の実施形態の構成に加えて、第2の読取手段としてのカメラ14が設けられている。このカメラ14は、BHT5の表示部6に表示される図11(b)のような画面の二次元コードPを撮影してこれを取り込むための読取手段で、例えばディスプレイ3の上部に配設され、これにより撮影した二次元コードPの画像データを制御回路8に転送するように設けられている。
【0046】
なお、この実施形態においては、BHT5の制御回路10は、第2のコード変換手段、第2の分割手段および修正手段として機能し、表示部6は第2の表示手段として機能し、また、PC1の制御回路8は、第2のデコード手段、第2の更新手段および第2の分割手段として機能するものである。
図13はPCの処理プログラムを示すもので、第1の実施形態と同様のステップA1〜A3に加えて、二次元コードあるいは分割コード読み取り用の処理ステップA11〜A15が追加されている。また、図14はBHT5の実行プログラムを示すもので、第1の実施形態と同様のステップD1〜D7に加えて、パラメータ変更設定のための処理ステップD8〜D11が追加されている。
【0047】
この実施形態においては、第1の実施形態と同様にしてPC1により一旦パラメータファイルを作成してBHT5に転送した後の編集作業を行う場合の処理が追加されている。これは、PC1でパラメータを編集して二次元コードを媒介してBHT5にダウンロードした場合に、BHT5側で実際に業務アプリを実行して試用したときに、若干の変更を加えたいといった場合に、再びPC1で編集するよりもBHT5側で簡単な変更設定を行った上でパラメータを確定したいような場合に対応するものである。
【0048】
まず、BHT5において、メニュー画面からパラメータ編集モードを選択すると、制御回路10は、パラメータ編集モードに移行する(ステップD1a)。このモードでは、まずパラメータ設定入力処理を実行する(ステップD8)。これは、PC1側で実施したパラメータ設定入力処理と同様にして各項目について選択して各種の設定を行うものであるが、ここでは、BHT5の表示部6により簡単な設定変更を取り扱えるようにしている。
【0049】
既にパラメータは設定されている状態であるから、項目が選択されると、制御回路10は、その設定状態を表示部6に表示させる。前述の「担当者ID入力」を例にとると、図15(a)のような設定パラメータが表示される。ここで、表示位置を示す座標データを変更するために、カーソルを移動させて反転表示させ、変更する部分を選択して操作部7によりデータを入力することで変更設定をすることができる。
【0050】
制御回路10は、ENTキーが操作されてこの変更設定が確定されると、これをメモリ12に記憶させるようになる。他の項目についても同様にしてこのパラメータ設定入力処理において実施可能である。このようにして変更するパラメータの編集が終了すると、制御回路10は、変更されたパラメータファイルを二次元コードに変換し(ステップD9)、これを表示部6に表示させる(ステップD10)。ここでも、制御回路10は、第1の実施形態におけるPC1の二次元コード変換処理(図4参照)と同様にして、パラメータファイルのデータ量が大きい場合には複数の分割コードに分割して変換する。
【0051】
このように二次元コードを表示部6に表示させた状態で、これをPC1側で読み取る処理を図13に従って実行する。ユーザによりメニュー画面からパラメータ更新モードが選択設定されると、制御回路8は、パラメータ更新モードに移行し(ステップA11)、カメラ14によりBHT5の表示部6に表示された二次元コードを撮影する(ステップA12)。続いて、制御回路8は、撮影された二次元コードの画像データを内部に取り込んでデコード処理を実施し(ステップA13)、パラメータファイルのデータを復元する。
【0052】
なお、このデコード処理は、第1の実施形態におけるBHT5のデコード処理(図6参照)と同様にして、分割コードを読み取った場合には全てを読み取った後に合成処理を行うようになっている。そして、制御回路8は、パラメータファイルに変更設定されているパラメータをPC1側においても更新設定し、ディスプレイ3の画面に表示する(ステップA15)。
【0053】
以上の処理を実施することにより、BHT5側にて編集したパラメータファイルのパラメータがBHT5の内部で設定できると共に、PC1側においても設定変更されるようになる。そして、上記したような簡単な設定変更をBHT5側で行ってPC1側にも二次元コードを媒介として簡単に戻すことができるので、編集処理が簡単且つ迅速に行え、使い勝手も向上する。
【0054】
(第3の実施形態)
図16および図17は本発明の第3の実施形態を示すもので、前記第1および第2の実施形態と異なるところは、BHT同士でパラメータファイルのデータをダウンロードすることができるようにしたところである。
【0055】
すなわち、図16において、第1の携帯端末装置としてのBHT15は、読み取り用の開口部15aが一端側の下方に向けて形成されると共に、第2の表示手段としての表示部16および操作部17を備えている。また、第2の携帯端末装置としてのBHT18は、同様に開口部18a、表示部19、操作部20を備えている。
【0056】
電気的なブロック構成を示す図17において、BHT15は、制御回路21と、これに接続される表示部16、操作部17に加えて、読取部22、メモリ23および通信部24を備えている。ここで、制御回路21は、第2のコード変換手段、第2の分割手段として機能するものである。
【0057】
BHT18は、制御回路25と、これに接続される表示部19、操作部20に加えて、読取部26、メモリ27および通信部28を備えている。ここで、制御回路25は、第3のデコード手段、第3の更新手段および第3の合成手段として機能し、読取部26は第3の読取手段として機能する。
【0058】
そして、上記構成において、各BHT15,18は、いずれも第2の実施形態における図14に示したような実行プログラムを内部に記憶すると共に、業務用アプリが実行可能に記憶されている。図16に示しているように、BHT15において、パラメータファイルのデータをコードに変換したものを表示部16に表示させ、これをBHT18の読取部26により読み取り、パラメータファイルのデータをダウンロードするものである。
【0059】
この場合、BHT15側からパラメータファイルのデータを転送する際には、BHT15において、制御回路21により、図14のプログラムを実行してステップD1aにてパラメータ編集モードに移行し、ステップD8のパラメータ設定入力処理が不要な場合にはそのままの状態でステップD9に移行する。ここで、制御回路21は、パラメータファイルのデータについて二次元コード変換処理(ステップD9)を実行し、変換された二次元コードを表示部16に表示させる。
【0060】
一方、BHT18側では、制御回路25は、BHT15の表示部16に表示された二次元コードを読み取るべく、図14のプログラムを実行し、パラメータ更新モードに移行する。以降の処理は前述同様であるので省略するが、このようにしてBHT15からパラメータファイルのデータについて二次元コードを媒介として取り込み、パラメータファイルを更新することができるようになる。
なお、上記のBHT15と18との機能を逆にして、BHT15側でBHT18のパラメータファイルのデータを読み取るようにすることもできるし、双方向でこのようなパラメータファイルの転送をすることができるようにしても良い。
【0061】
このような第3の実施形態によれば、BHT15が有するパラメータファイルのデータをBHT18側に直接転送してパラメータの更新を図ることができるので、処理装置としてのPCから転送することのみならず、携帯端末装置としてのBHT15,18間でも転送を実施できることで、BHTが多数存在する場合や、作業現場にPCが設けられていない場合でも、簡単且つ迅速にパラメータファイルの転送処理を実施することができるようになる。
【0062】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形また拡張できる。
コードとして、二次元コードのひとつであるQRコードを用いる場合で説明したが、他の二次元コードを用いることもできるし、二次元コード以外ではバーコードなどの一次元コードを用いることもできる。
【0063】
業務用アプリケーションソフトの場合で説明したが、業務用以外にも研究用あるいは業務に実施する前の試用や、さらには一般のアプリケーションソフトの開発支援ツールに適用することもできる。
携帯端末装置としてBHT5,15,18を用いる場合で説明したが、これに限らず、携帯端末装置として、例えば携帯電話機などにおいても、そのカメラ機能を利用してコードを読み取るようにした構成を採用することができ、これによって、PC側でアプリケーション設計ツールを用いて編集するパラメータファイルのダウンロードにも適用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す全体構成図
【図2】電気的なブロック構成図
【図3】PCによる業務用アプリケーションソフト開発支援ツールの実行手順を示すフローチャート
【図4】二次元コード変換処理のフローチャート
【図5】BHTの業務用アプリケーションソフトの実行手順を示すフローチャート
【図6】デコード処理のフローチャート
【図7】PCのメイン画面を示す図
【図8】PCの詳細設定画面を示す図
【図9】BHTの表示部のイメージを示す図
【図10】データコードの画面を示す図
【図11】本発明の第2の実施形態を示す全体構成図(a)とBHTの表示部の表示例を示す図(b)
【図12】電気的なブロック構成図
【図13】PCによる業務用アプリケーションソフト開発支援ツールの実行手順を示すフローチャート
【図14】BHTの業務用アプリケーションソフトの実行手順を示すフローチャート
【図15】BHTによるパラメータ設定画面を示す図
【図16】本発明の第3の実施形態を示す全体構成図
【図17】電気的なブロック構成図
【符号の説明】
【0065】
図面中、1はPC(処理装置)、3はディスプレイ(第1の表示手段)、4はキーボード、5はバーコード・ハンディ・ターミナル(BHT)(携帯端末装置)、6は表示部(第2の表示手段)、7は操作部、8は制御回路(第1のコード変換手段、第1の分割手段、第2のデコード手段、第2の更新手段、第2の合成手段)、10は制御回路(第1のデコード手段、第1の更新手段、第1の合成手段、第2のコード変換手段、第2の分割手段、修正手段)、11は読取部(第1の読取手段)、14はカメラ(第2の読取手段)、15はBHT(第1の携帯端末装置)、16は表示部(第2の表示手段)、18はBHT(第2の携帯端末装置)、21は制御回路(第2のコード変換手段、第2の分割手段)、25は制御回路(第3のデコード手段、第3の更新手段、第3の合成手段)、26は読取部(第3の読取手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメータが設定されることによって機能が定義されるアプリケーションソフトに対して、前記パラメータを設定し、設定した前記パラメータのパラメータファイルを作成するアプリケーション設計ツールを有する処理装置を備えたアプリケーションソフト開発支援システムにおいて、
前記処理装置は、前記アプリケーション設計ツールにて設定された前記パラメータファイルのデータをコードに変換する第1のコード変換手段、および前記コードを表示する第1の表示手段、を有し、
更に、
前記第1の表示手段に表示された前記コードを読み取る第1の読取手段、この第1の読取手段により読み取られたコードをデコードして前記パラメータファイルのデータを復元する第1のデコード手段、この第1のデコード手段により復元された前記パラメータファイルのデータに基づいて予め記憶されたアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する第1の更新手段、を有する携帯端末装置、
を備えることを特徴とするアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項2】
前記処理装置が有する前記第1のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きいパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割する第1の分割手段を備え、前記第1の表示手段は、前記分割コードを一画面もしくは複数画面で表示するものであり、
前記携帯端末装置が有する前記第1のデコード手段は、前記第1の読取手段にて読み取られた前記分割コードをデコードした結果を合成して、前記パラメータファイルのデータを復元する第1の合成手段を備えることを特徴とする請求項1記載のアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項3】
記憶されたアプリケーションソフトに対するパラメータファイルのデータをコードに変換する第2のコード変換手段、および前記コードを表示する第2の表示手段、を備える携帯端末装置と、
前記第2の表示手段に表示された前記コードを読み取る第2の読取手段、この第2の読取手段により読み取られたコードをデコードして前記パラメータファイルのデータを復元する第2のデコード手段、およびこの第2のデコード手段により復元された前記パラメータファイルのデータに基づいて、アプリケーション設計ツールが予め所有するアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する第2の更新手段、を備える処理装置と、
からなることを特徴とするアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項4】
前記携帯端末装置が有する前記第2のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きいパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割する第2の分割手段を備え、前記第2の表示手段は、前記分割コードを一画面もしくは複数画面で表示するものであり、
前記処理装置が有する前記第2のデコード手段は、前記第2の読取手段にて読み取られた前記分割コードをデコードした結果を合成して、前記パラメータファイルのデータを復元する第2の合成手段を備えることを特徴とする請求項3記載のアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項5】
前記携帯端末装置は、記憶されたアプリケーションソフトに設定されたパラメータファイルのデータを修正可能な修正手段を有するものであり、前記第2のコード変換手段は、前記修正手段により修正されたパラメータファイルのデータをコードに変換すると共に、前記第2の表示手段は、修正されたパラメータファイルのデータが変換された前記コードを表示することを特徴とする請求項3または4記載のアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項6】
記憶されたアプリケーションソフトに対するパラメータファイルのデータをコードに変換する第2のコード変換手段、および前記コードを表示する第2の表示手段、を備える第1の携帯端末装置と、
前記第2の表示手段に表示された前記コードを読み取る第3の読取手段、この第3の読取手段により読み取られたコードをデコードして前記パラメータファイルのデータを復元する第3のデコード手段、およびこの第3のデコード手段により復元された前記パラメータファイルのデータに基づいて予め記憶されたアプリケーションソフトのパラメータファイルのデータを更新する第3の更新手段、を有する第2の携帯端末装置、
を備えることを特徴とするアプリケーションソフト開発支援システム。
【請求項7】
前記第1の携帯端末装置が有する前記第2のコード変換手段は、作成するコードに記録可能なデータ量よりもデータ量が大きいパラメータファイルのデータを複数の分割コードに分割する第2の分割手段を備え、前記第2の表示手段は、前記分割コードを一画面もしくは複数画面で表示するものであり、
前記第2の携帯端末装置が有する前記第3のデコード手段は、前記第3の読取手段にて読み取られた前記分割コードをデコードした結果を合成して、前記パラメータファイルのデータを復元する第3の合成手段を備えることを特徴とする請求項6記載のアプリケーションソフト開発支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−235927(P2006−235927A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48836(P2005−48836)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】