説明

アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する新規の直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体およびその使用

第二級アミノアルキル基で官能化された有機ポリシロキサンと、エポキシ基およびアミンを含有する化合物から形成された反応生成物との反応によって得ることができる、アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体、その使用、およびその調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する新規の直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体に関する。本発明はさらに、布地(fabric)、例えば、織物(woven)、特にテキスタイル織物(textile woven)、薄織物(tissue)、不織布および/または天然および/または合成原料の繊維、および/またはなめし革(leather)、髪もしくは皮革(hide)のための柔軟剤としてのこれらのポリマーの使用、および化粧品用途、例えばヘアケア、スキンケア、および個人衛生におけるこれらのポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
布地、例えば、織物、テキスタイル織物、メリヤス生地(knit)、不織布および/または天然および/または合成原料の繊維のための柔軟剤は、上記原料に柔らかく滑らかな手触りを与える物質である。特に好適な柔軟剤は、第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンである。静電引力によって、イオン基がシロキサンを繊維に固着させる。このように、摩擦が低減され、所望の柔軟剤効果が得られる。シロキサンはマイクロエマルションの形態で塗布されると、さらに繊維に浸透し、繊維の内部に柔らかさと膨らみをもたらすことができる。
【0003】
特に、傷んだ髪の櫛どおり、手触りおよび輝きを改善するヘアリンス、ヘアリペアトリートメント(hair repair treatment)、シャンプー、リーブオンコンディショナ(leave-on conditioner)などの傷んだ髪をケアする特定の配合物がある。そのような従来のヘアケア組成物は主に、アルキルアンモニウム系のカチオン性界面活性剤、ポリマー、ろうもしくは油またはシリコーン油を含む。これらの化合物の効能は、原因の中でも髪の表面の疎水化によるものであることがある。
【0004】
これらのすべての組成物において、髪に良好なケア作用(コンディショニング)が達成されるが、髪の外観、特に輝きはケア製品によって改善されず、悪化することさえある。
【0005】
したがって、洗浄作用に加えて、髪のケアを改善するとともに、優れた輝きを与え、髪の構造への損傷から髪を保護し、環境の影響ならびに成形およびカラーリングトリートメントによって既に髪に生じた構造的損傷を最小限に抑える、シャンプー、ヘアトリートメント用組成物、およびヘアアフタートリートメント用組成物などの個人衛生およびケア製品のための汎用性のある活性成分が必要とされている。
【0006】
第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンはヘアケアのための添加物として知られている。例えば、DE1493384、EP0017122およびUS4,895,964には、シロキサンがポリマー上にランダムに分布したペンダントアンモニウム基で修飾される構造が記載されている。これらの化合物には顕著なシリコーン特性が全くなく、優れた効能が確認されないという欠点がある。
【0007】
より顕著なシリコーン特性は、DE3719086およびEP0294642に記載されるカチオン性ポリシロキサンによって保持されている。DE3719086およびEP0294642に記載される構造では、第四級官能基はポリシロキサンの末端に結合されている。そのような化合物には、髪およびテキスタイルだけでなく硬い表面にもコンディショナとして作用するという利点がある。化粧用配合物におけるそのような化合物の使用は、例えば、EP0530974、EP617607、EP1080714、WO2001/082879およびUS6,207,141に記載されている。
【0008】
しかしながら、それらに記述された構造には2個しかカチオン性基がない。末端に2個の電荷中心を有するポリシロキサンの静電的相互作用が比較的小さいため、特定の表面への親和性、およびその結果として保持性(substantivity)、すなわち長期にわたり固着される傾向も比較的低い。
【0009】
ポリマー上にランダムに分布したペンダント第四級アンモニウム基を有するポリシロキサン、およびテキスタイル用柔軟剤としてのその使用が、例えばDE−B1493384に記載されている。これらの化合物には顕著なシリコーン特性がなく、テキスタイル用柔軟剤として良好な効能が確認されないという欠点がある。
【0010】
対照的に、EP0294642に記載されるカチオン性シリコーンはさらにより顕著なシリコーン特性を有している。EP0294642には、第四級官能基がシロキサンセグメントの末端に結合されている構造が記載されている。テキスタイルはそのような化合物で処理されると優れた柔らかさを得るが、シロキサンは、保持性が低いために、例えば洗濯操作によって相当するテキスタイルから容易に再度除去可能である。しかしながら、家庭用の布地柔軟剤とは対照的に、洗濯の後でもシロキサンがテキスタイルに残り、それによって柔らかさが損なわれない産業用テキスタイル仕上げ処理が望ましい。
【0011】
増加した親水性の態様に関して、US5,807,956およびUS5,981,681は、ポリシロキサンとアミノ−ポリアルキレンオキシドとからなる交互単位を有する(AB)A型の非加水分解性ブロック共重合体およびその調製経路を特許請求している。例えば、貴金属触媒ヒドロシリル化によって、α,ω−二水素ポリジメチルシロキサとエポキシ基を有するオレフィンとをSiC結合させ、得られたエポキシ末端シロキサンをアミノ末端ポリアルキレンオキシドと反応させる。別の代替方法では、α,ω−二水素ポリジメチルシロキサンとエポキシ末端アリルポリエーテルをヒドロシリル化結合させ、次に得られたエポキシ官能化シロキサンをジアミンと反応させる。
【0012】
WO02/092904の教示は、(AB)構造を保持さず、第一級アミンおよび/または第一級アミンおよび第二級アミンからなる混合物の存在下でエポキシ基を有するポリジメチルシロキサンAとエポキシ末端を有するポリアルキレンオキシドBとの反応によって得られる、非加水分解性ブロック型共重合体からなる組成物に関する。異なるエポキシ基質の存在によって、アミン反応物質の存在下で、ほぼ制御不能な自己組織化された重付加プロセスとなり、そのプロセスによって、厳密な(A(アミン)B)は達成されず、それぞれアミンで結合した均一分布(A(アミン)A)および(B(アミン)B)二分子と不均一分布(A(アミン)B)二分子との両方を様々な数で有する共重合体が導かれる。エポキシ官能基を有するシロキサン反応物質により、このように得られた共重合体構造は、エーテル官能基を介して共重合体のアミノ有機基と特定のシロキサニル(siloxanyl)単位を結合することができる。任意でさらに中和および/または四級化を行い、テキスタイルまたは繊維の表面の保持性を調整することができる。使用上の欠点は、これらのランダム共重合体構造の特性である本来的に高い粘度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の先行技術の欠点を認識のもと、本発明の目的は、合成し易く、制御された方法で測定することができる多くの構造が可能となり、それによって広範囲にわたり調整することができる特性プロファイルも可能となる、アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンに基づく新規の共重合体を見出すことである。
【0014】
WO02/092904の教示において認められたランダム性の原理から逸脱し、アミン官能基またはアンモニウム官能基、シロキサンセグメント、およびポリオキシアルキレンセグメントを含む明確に配列された共重合体構造の形成が可能になるであろう。共重合体の形成の原理は、導入された窒素の含有量を特定の範囲内で自由に選択する選択肢をさらに与える。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、新規の直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリマー共重合体によって達成される。
【0016】
したがって、本発明は、第二級アミノアルキル基で官能化された有機ポリシロキサンと、エポキシ基およびアミンを含有する化合物から形成された反応生成物との反応によって得ることができる、アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する新規の直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体を提供する。
【0017】
テキスタイルおよび/または繊維状担体への親和性、およびその結果として、最終的に本発明にしたがって特許請求される共重合体構造の保持性は、基質の表面から静電的相互作用に関与する窒素官能基の所定の距離によって決定される。換言すれば、本発明にしたがって特許請求される合成経路によって、シロキサン官能基およびアミノ有機官能基の望ましくない蓄積がない構造上バランスのとれた柔軟剤添加物が得られる。その結果、ここで特許請求される調製方法および当該方法から得られる共重合体は、極端な場合の考慮として、純粋な有機シリコーン(A(アミン)A)および純粋な有機(B(アミン)B)化合物をなお含み得るWO02/092904の教示による共重合体組成物とは異なる。正反対の極性によって特徴付けられる化合物が存在すると、望ましくない濁りおよび分離現象が生じる。
【0018】
より特定すれば、第二級アミノアルキル基で官能化された有機ポリシロキサンを調製するためのUS5486634に示された方法がこれらの反応物質に好適な経路であると分かる。
【0019】
したがって、本発明はさらに、本発明の共重合体を調製する方法を提供する。
【0020】
本発明の共重合体の調製は段階的に進み、以下によって特徴づけられる:
a)まずジエポキシドを少なくとも1つのアミン化合物と反応させて末端グリシジル基を有する鎖延長(chain-extended)付加物を生成し、ジエポキシドとアミンのモル比は可変であるが、少なくとも1:1より大きく、
b)次いで、この中間体を、末端第二級アミノ基を有する直鎖状ポリシロキサンと反応させ、
c)任意選択により、窒素原子を、酸またはアルキル化試薬を添加することにより該方法の任意の時点で完全にまたは部分的に四級化することができ、
d)任意選択により、水、またはポリエーテル、ポリオール、もしくはアルコールの群から選択される有機化合物を希釈剤、乳化剤、または調整剤として添加することができる。
【0021】
本発明によるこの方法で使用されるエポキシ成分は、好ましくは式(1)のジエポキシドまたはジグリシジルエーテルである。
【化1】


式中、
Yは、任意の二価有機基、好ましくは酸素原子によって中断され得る二価炭化水素基である。より特定すれば、Yは、−(CH−CHR−O)−CH−CHR−型の二価ポリエーテル基であり、式中、mは0〜50の整数であり、Rは水素または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0022】
特に好適なものは、例えば、DOW(D.E.R(登録商標)732、D.E.R(登録商標)736)およびDOW Epoxy Systems(Polypox(登録商標)R19、上記の登録商標はすべて、Dow Chemical Corp.の商標である)から入手可能なポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのジグリシジルエーテルである。また、式(1)の異なるジエポキシドを混合させて使用することもできる。
【0023】
そのようなジグリシジルエーテルに好適な反応相手は基本的に、窒素に結合した2個の反応性水素原子を有するすべてのアミン化合物である。好ましくは、式(2)のジ二級アミン(di-secondary amine)を使用することであり、
【化2】


式中、
は独立して、OおよびNなどのヘテロ原子によって中断され得るか、または代わりにN含有基もしくはO含有基によって置換され得る、直鎖状もしくは分枝状脂肪族炭化水素基であるか、または脂環式基であり;Rは、pが0の場合、一価であり、またはpが1の場合、二価であり;Rは、好ましくは炭化水素基であり、より好ましくは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはアルキレン基であり、
Zは、OおよびNなどのヘテロ原子によって中断され得るか、または代わりにN含有基もしくはO含有基によって置換され得る、二価の直鎖状もしくは分枝状脂肪族炭化水素基であり;Zは好ましくは2〜18個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
は独立してZ基であり、
pは0または1である。
【0024】
pが1の場合、式(2)は環状アミンを包含し、2つの窒素原子はこのヘテロ環式フラグメントの構成成分である。これはピペラジンを含んでおり、これは好ましく使用される。好適な直鎖状ジ二級アミンは、例えば、N,N’−ジメチルヘキサメチレン−1,6−ジアミンおよびN,N’−ジメチルテトラメチレン−1,4−ジアミンである。
【0025】
本発明の文脈において、モル過剰の式(1)の少なくとも1つのジエポキシド成分を、式(2)の少なくとも1つのアミン化合物と反応させて、末端グリシジル基を有する鎖延長付加物を得る。ジエポキシドとアミンのモル比は可変であり、少なくとも1:1より大きく、好ましくは10:1〜1.1:1であり、特に、6:1〜1.5:1である。ジエポキシド過剰が少ないほど、式(6)の添字xの値が大きくなり、得られる付加物の鎖長が長くなる。ジエポキシド過剰が大きいほど、より多くの未付加のジグリシジル化合物が、形成される反応混合物中に存在する。いずれの場合も、反応生成物は、モル質量分布を有する付加物の混合物である。反応は、20〜180℃、好ましくは50〜120℃の温度範囲内で行うことができる。量的に主要な成分(通常ジエポキシド)を最初に充填し、撹拌し任意選択により冷却しながら第2の成分(一般にアミン)を添加することが最も好適である。溶剤中で反応を行うことも可能であるが、通常必要ではない。これが必要な場合、例えば高粘度のために、好適な溶剤は、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、THF、アセトン、トルエンなどである。反応が窒素下などの不活性条件下で行われる場合、淡色または淡黄色の最終生成物が得られる。
【0026】
本発明の共重合体を調製するために、末端第二級アミン基を有する式(3)の直鎖状ポリシロキサンが使用され、
【化3】


式中、
Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基であり、
は、任意の炭化水素基、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基またはエチル基であり、
Xは、1〜20個の炭素原子を有し、窒素原子またはアミン基によって中断され得る二価の直鎖状または分枝状炭化水素基であり、
nは、1〜500の整数であり、好ましくは5〜300の整数、より好ましくは10〜200の整数である。
【0027】
末端第二級アミン基で官能化されたそのようなポリシロキサンは、例えば、US5,486,634に記載される経路によって調製可能である。本発明の文脈において特に好適なものは、それらのアミン官能性ポリシロキサンであり、α、ω−SiH−シロキサンによりN−エチルメチルアリルアミンをヒドロシリル化させて得ることができる。ここで、Rはエチル基、XはCH−CH(CH)−CHフラグメントに相当する。
【0028】
式(3)の少なくとも1つのアミノシロキサンと少なくとも1つのジエポキシド−アミン付加物との反応は、2つの反応物質を相溶化するために、好ましくはイソプロパノール、エタノール、プロパノールまたはTHFなどの溶剤中で行われる。化学量論は基本的に所望のとおりであるが、好ましくはほぼ等モル比で2つの成分を反応させることである。式(3)のシロキサンからの第二級アミノ基とジエポキシド−アミン付加物のエポキシ基の関係は、好ましくは1.5:1〜0.7:1、より好ましくは1.3:1〜0.9:1である。2つの反応物質のうちどちらが過剰に使用されるかによって、直線構造の共重合が末端エポキシまたはアミン基を伴って形成される。より貯蔵安定性のある生成物を得るために、ジエポキシド−アミン付加物の成分に対してわずかに過剰なアミノシロキサンを使用することが有利である。反応は、20℃〜180℃、好ましくは60℃〜120℃の温度で行うことができる。シロキサン化合物を最初に充填し、ジエポキシド−アミン付加物を添加することも、その逆の順序で計量供給して進めることも可能である。溶剤は最後に生成物中に残留する可能性があり、必要な場合は、当業者に公知の方法、例えば蒸留によって除去することができる。調製方法の任意の地点で、最も好適には溶剤をさらに含むシステムにおいて上記反応が終了した後に、酸、好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、クエン酸または酒石酸などのカルボン酸、安息香酸またはサリチル酸などの芳香族カルボン酸を任意選択により添加することが可能であるが、同様にリン酸、硫酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸または塩酸などの無機酸も可能であり、それによって第四級アンモニウム基が形成される。窒素に対する酸の使用量は可変であり、窒素原子1個当たり、好ましくは0.01mol〜2mol、好ましくは0.1〜1.5molである。
【0029】
本発明の教示の文脈において、中和されていない共重合体を分離し、次に、詳細を上述するように、それを中和するかまたはアミノ基の四級化を行うこともまた可能である。アミン官能基の四級化では、ハロゲン化アルキルまたはアルキル硫酸塩(例えば硫酸ジメチル)などのアルキル化試薬が一般的に使用される。四級化に伴って、共重合体は、未修飾のアミン先駆物質またはその塩に比べて、テキスタイルまたは繊維基質への保持性を獲得し、帯電する傾向にも影響を与える。
【0030】
本発明による方法によって、シロキサン単位およびアミン官能性の有機配列が厳密に規則的に交互に配列する厳密に直鎖状の共重合体構造が簡単な方法で形成される。疎水性シロキサンの特性は、シロキサン鎖長によってほぼ所望のとおりに調整することができ、親水性特性およびアミン含量は、先駆物質のジエポキシド−アミンのストイキオメトリの選択によって調整することができる。したがって、共重合体鎖の繰り返し単位の配列について明確に規定された構造を再現可能に生成することが可能である。
【0031】
したがって、本発明は、ポリシロキサンブロックとアミノ有機ブロックとが交互し、その窒素原子が任意選択により第四級アンモニウム基の形態である、新規の直鎖状共重合体構造を調製する方法を提供する。この方法において、
a)まず、モル過剰の式(1)のジグリシジルエーテルと、式(2)の少なくとも1つのアミン化合物を反応させて、末端グリシジル基を有する鎖延長付加物を得、ジエポキシドとアミンのモル比は可変であり、好ましくは10:1〜1.1:1であり、
b)続いて、この中間体と、末端第二級アミノ基を有する式(3)の直鎖状ポリシロキサンを、好ましくは1.5:1〜0.7:1のモル比で任意選択により溶剤中で反応させ、
c)任意選択により、窒素原子は、該方法の任意の時点で、最も好適には溶剤をさらに含むシステムにおいて上記反応が終了した後に、任意選択により、好ましくはカルボン酸などの酸であるが無機酸またはハロゲン化アルキルもしくはアルキル硫酸塩などのアルキル化試薬も添加することによって、完全にまたは部分的に四級化することができ、
d)任意選択により、水、またはポリエーテル、ポリオールもしくはアルコールなどの有機化合物を、希釈剤、乳化剤または調整剤として添加する。
【0032】
このように、本発明にしたがって調製された共重合体は一般式(4)の化合物であり、
H−A−[(B−C)−B−A]−H 式(4)
式中、
Aは、式(5)による式(3)のアミノシロキサンの構造からのシロキサンフラグメントであり、
【化4】


Bは、式(6)による式(1)のジグリシジルエーテルのエポキシ開環から生じる有機フラグメントであり、
【化5】


Cは、式(7)による式(2)のアミン構造からのフラグメントであり、
【化6】


式中、X、Y、Z、Z、R、R、RおよびR基、ならびにn、mおよびpの添字はそれぞれ上で定義したとおりであり、
xは、0.1〜10、好ましくは0.2〜5であり、
yは、1.1〜50、好ましくは1.2〜30である。
【0033】
式(4)は、本発明による調製方法によって定義された繰り返し単位A、B、およびCの厳密なブロック配列だけでなく、もっぱら−XN(R)−型のアミン基を介したアミノ有機ブロックへのシロキサン体の結合も示しており、それにより本発明の共重合体とWO02/092904の非(AB)構造とは明白に区別される。
【0034】
ここに示された式で表わされた添字および報告された添字の値の範囲は、実際に存在する構造および/またはその混合物の可能な統計的分布の平均値として解釈されるものとする。これは、厳密な形態自体で示されるそれらの構造式にも当てはまる。
【0035】
本発明はさらに、示した方法によって調製可能な式(4)の共重合体、およびアンモニウム基を有し、酸および/またはアルキル化剤で四級化されたその誘導体を提供する。
【0036】
化合物は、統計法則によって本質的に調節される上記の添字の分布を有する混合物の形態で存在することが当業者によく知られている。
【0037】
シロキサン構造およびその鎖長によって、アミノ基または第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンは水に自己乳化可能(self-emulsifiable)でも可溶でもない。それらは乳化剤および/または溶剤の添加によって水性配合物に導入することができる。使用される乳化剤は、通常、3〜12のエトキシ化の程度を有する脂肪族アルコールエトキシレートであり、特に共重合体と脂肪族アルコールエトキシレートの比率が5:1〜1:1である。同様に、溶剤、例えばジプロピレングリコールまたはブチルジグリコールなどの高沸点グリコールも使用することができる。
【0038】
したがって、本発明はさらに、本発明の共重合体を含む組成物、特にそれらの濃縮物、化合物/エマルション濃縮物および/または水性配合物、水性エマルションおよび/または水溶液、ポリエーテル、ポリオール、アルコールなどの有機化合物中の配合物またはエマルションを提供する。
【0039】
本発明はさらに、例えば、織物、テキスタイル織物、メリヤス生地、不織布、薄織物(紙繊維)および/または天然および/または合成原料の繊維を含む群から選択される布地、および/またはなめし革および/または髪および/または皮革のための非持続性または持続性柔軟剤として、本発明による方法によって入手可能であり、いずれの場合も、柔軟剤は任意選択により、それで処理した布地に親水性を与えることもできる本発明の化合物の使用を提供する。より特定すれば、本発明の化合物は、親水性と同時に良好な手触りおよび良好な持続性を与える。
【0040】
本発明のさらなる目的は、傷んでいない髪および傷んだ髪の櫛どおり、柔らかさ、ボリューム、形状性、扱いやすさ、もつれにくさ(disentangleability)などの特性を改善し、および/または髪に魅力的な輝きを与えることができる化合物およびこれらの化合物を含有する配合物を提供することである。このように、化合物は、改善されたまたは少なくとも同等の良好な個々の効果を示すが、全体で、機械特性および他の特性の改善された併用の効果を示す。
【0041】
本発明はさらに、輝きを改善する化粧用配合物中において、例えば顕著なコンディショニング作用のあるまたはないシャンプー、コンディショナ、2イン1シャンプー、リンス、ヘアリペアトリートメント、ヘアマスク、スタイリング助剤、スタイリング用組成物、髪乾燥用(hair drying)ローション、ヘアセッティング用(hair setting)組成物、パーマネントウェーブ用組成物、ヘアスムージング用(hair smoothing)組成物および/または髪染色用組成物中において、髪から洗い流されるかまた髪に残留するヘアトリートメント用組成物およびヘアアフタートリートメント用組成物として、一般式(4)の共重合体の使用またはこれらの化合物を含有する混合物の使用を提供する。
【0042】
本発明の使用のさらなる利点は、式(4)の第四級官能基を有するポリシロキサンが顕著なコンディショニング効果を皮膚に与えることができるということである。皮膚に対するこのコンディショニング効果によって、化粧用水性界面活性剤配合物の使用後に、皮膚の乾燥、かさつき、または荒れを防ぎ、心地よい、絹のような滑らかな肌触りを得ることができる。
【0043】
本発明はさらに、本発明の共重合体の使用によって得られ、例えば、軟化剤、乳化剤および界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定剤、UV光保護フィルタ、酸化防止剤、ヒドロトロープ(またはポリオール)、固形物および充填剤、塗膜形成剤、真珠光沢添加物、活性脱臭剤および制汗剤成分、防虫剤、セルフタンニング剤(self-tanning agent)、保存剤、コンディショナ、香料、染料、化粧品有効成分、ケア添加物、過脂肪剤、溶剤を含む群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む、化粧用、皮膚科用、および医薬配合物、ならびに化粧品パーソナルケアおよび身体/皮膚洗浄組成物を提供する。個々の群の例示的な代表として使用することができる物質は、当業者に公知であり、例えばドイツ特許出願第DE102008001788.4号から得ることができる。この特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれ、開示の一部であるとみなす。
【0044】
本発明による方法によって、非常に様々な配列長のブロック構造を制御することで、有機成分および任意選択によりに四級化された窒素原子の数に対するシロキサン含有量を広い範囲内で柔軟に所望の分野に適用できるようにする。例えば、シリコーン含有量が高い共重合体は、これで処理された織布に心地よい手触りを与えると同時に、比較的低粘度であり、それによりこのような化合物を水性の形態で配合することができる。
【0045】
より特定すれば、本発明の直鎖状の有機修飾ポリシロキサンは、織物テキスタイル布地に非常に優れた親水性の柔らかさを与え、テキスタイルへの向上した持続性を有する。さらに、このように仕上げた布地の高い反発弾性(rebound elasticity)および改善されたしわ(crease)回復性は、さらなる有益な特性と考えられる。
【0046】
本発明の共重合体は、それらから製造される濃縮物、化合物/エマルション濃縮物、配合物および液剤(liquor)の形態で、例えば、テキスタイルおよび織布用の柔軟剤として使用および任意選択により塗布することができ、共重合体は、配合物全体に対して、0.5〜99重量%で、好ましくは3〜70重量%、特に5〜50重量%の割合でそのような系で使用される。
【0047】
「液剤」は通常、テキスタイルを洗濯、漂白、染色、含浸する水性液体を表わす。用語「液剤」は、溶剤(通常水)全体およびそこに存在する(溶解、乳化、または分散した)すべての構成成分、例えば、染料、乳化剤、さらに助剤を意味する。液剤に溶解した構成成分全体は一般に固形分と呼ばれ、固形分とは(約100℃〜105℃で)揮発性構成成分が蒸発した後の乾燥残留物のことである。液剤の成分の量は、通常、液体におけるg/lまたは(布地重量に対する)%で報告される。
【0048】
テキスタイルの分野では、処理用液剤は、非常に一般的に、1つまたは複数の(表面活性)物質で織布を仕上げる槽(通常水性)と呼ばれる。主な系に加えて、製品の最終用途、したがって粘度に応じて、スプレー塗布、ナイフ塗布、またはローラー塗布などのさらなる塗布の形態がある。
【0049】
水性系については、主に2つの系が使用される:
保持性生成物(substantive product)、すなわち、カチオン性生成物について−吸尽方法(exhaustion process):ここで、基本的には洗濯機中の布地柔軟剤のように、特定の時間、特定の温度で液剤中で織布をかき回す。続いて、液剤を排出し、織布を乾かす。
【0050】
非保持性および保持性生成物について−例えばMatthis HVF実験用パッダー(padder)によるパディング塗布;ここで、織布を液剤に通過させ、(マングル(mangle)の原理によって)ローラーに挟んで残留水分を絞り出し、次いで乾燥させる。
【0051】
したがって、本発明はさらに、以下の定義にしたがって、濃縮物、化合物/エマルション濃縮物、配合物またはエマルションを提供する。
【0052】
濃縮物とは、約90〜100重量%の含有量の式(4)の実質的に純粋な共重合体化合物を指し、これは少ない割合の溶剤のみと混合される。これらは一般に、水に可溶でも自己乳化可能でもない。
【0053】
化合物またはエマルション濃縮物は、50〜90重量%、好ましくは50〜80重量%の共重合体化合物、さらなる構成成分として、水、および/またはグリコール、1〜6個の炭素原子を有する非分枝状および/または分枝状アルコールおよび/またはアルキルエーテルの群から選択される溶剤、および任意選択により1つまたは複数の非イオン性乳化剤、例えば3〜25個のエチレンオキサイド単位を有するアルコールエトキシレートを含む。化合物およびエマルション濃縮物は、一般に、水溶性であるか自己乳化可能である。
【0054】
配合物および/または(水性)エマルションは、5〜20重量%の本発明の共重合体、溶剤、乳化剤(カチオン性または両性乳化剤を含む)、水を含む。これらの配合物またはエマルションの固形分は一般に約40重量%である。
【0055】
上記の濃縮物、化合物および/または配合物/エマルションは水で希釈することによって使用され、製造現場(manufacturing premise)/仕上げ現場(finishing premise)で(塗布用)液剤(塗布/仕上げ槽)を生成する。パディング塗布の場合の典型的な液剤濃縮物は、例えば、液剤溶液または塗布用液剤1リットル当たり5〜80gの配合物/エマルションである。
【0056】
本発明の共重合体は、他の活性成分および助剤と組み合わせてヘアケア系で使用することができる。最終用途によれば、そのような組成物は、アニオン性、非イオン性、両性、または両性イオン性界面活性剤の群からの1つまたは複数の洗浄活性(wash-active)界面活性剤を2〜25重量%、1つまたは複数の乳化剤を0.5〜10重量%、1つまたは複数の増粘剤を0.5〜10重量%、1つまたは複数の好ましくはカチオン性界面活性剤または乳化剤を0.5〜10重量%、1つまたは複数の化粧用油、シリコーン油または皮膚軟化剤(emollient)を0.5〜20の重量%、および慣用の濃度の慣用の助剤および添加物を含み、さらに、カチオン性ポリマー、例えば四級化セルロースおよびその誘導体、キトサンおよびその誘導体、カチオン性アルキルグリコシド、カチオン性グアル(guar)誘導体、ジメチルジアリルアンモニウム塩のポリマーならびにアクリル酸およびメタクリル酸のエステルおよびアミドとのその共重合体、ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートの四級化誘導体との共重合体、例えばジエチル硫酸四級化ビニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルピロリドン−ビニルイミダゾリウムメトクロリド共重合体、ビニルピロリドン、カプロラクタムおよびアクリルアミドモノマーの三元共重合体、四級化ポリビニルアルコール、およびINCI名ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−17、ポリクオタニウム−18、ポリクオタニウム−27およびポリクオタニウム−37によって知られているポリマー、ケラチン、コラーゲン、エラスチン、コムギ、イネ、ダイズ、ミルク、シルク、トウモロコシに基づく野菜または動物由来のカチオン性または非イオン性タンパク加水分解物、またはさらにシリコーン誘導体、例えばジメチコノールまたはジメチコン(ポリジメチルシロキサンのINCI名)および末端官能化(INCI接頭辞ビス−)および/またはグラフト官能化されていてもよい修飾シリコーンすなわち、例えば、長鎖アルキル基を有するアルコキシシリコーンおよびアルキルシリコーン、アルキルエーテル基およびそのエステルを有するまたは有さないPEG/PPG−3/10ジメチコンまたはビス−PEG/PPG−20/20ジメチコンなどのポリオキシアルキル修飾シリコーン、例えばジメチコンPEG−7ココエートおよび多官能化シリコーン、例えばセチルPEG/PPG−10/1ジメチコンまたはメチルオイゲニルPEG−8ジメチコン、さらにアルキル修飾されたおよびアルキル修飾のないシリコーン共重合体を含むアクリレートを有するシリコーン共重合体、ジメチコン/シルセスキオキサン共重合体などの分枝状シリコーン誘導体、ジメチコンクロスポリマー、アルキルジメチコン/ジビニルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマーまたはセテアリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーなどの架橋シリコーン共重合体、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、PEG−7アモジメチコン、メトキシPEG/PPG−7/3アミノプロピルジメチコンなどのアミノ官能化シリコーン、またはジメチコンプロピルPGベタインなどのイオン修飾シリコーン、ビタミン、パンテノール、ピロリドンカルボキシル酸、ビサボロール、植物抽出物、クレアチン、セラミドおよびUV吸収性物質の群から選択される1つまたは複数の活性毛髪化粧品成分を含む組成物である。
【0057】
本発明のさらなる構成および主題は特許請求の範囲から明白であり、その開示内容は、本明細書に完全に組み込まれる。
【0058】
アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する本発明の共重合体およびその調製方法は、以下に例として記載されるが、本発明がこれらの例示の実施形態に制限されることを意図しない。
【0059】
範囲、一般式または化合物の分類が以下で特定される場合、これらは、明示した化合物の対応する範囲または群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物の選択により得ることができる化合物の下位の範囲および下位の群も含むものとする。
【発明を実施するための形態】
【0060】
実験項:
本発明の共重合体の調製では、以下の直鎖状アミノシロキサンを使用し、これらは、US5,486,634に記載の方法により、対応するα,ω−SiH−ポリジメチルシロキサンをN−エチルメチルアリルアミンでヒドロシリル化することによって得た。
【0061】
【表1】

【0062】
使用したジエポキシドは、エポキシド等量329g/molおよびエポキシド数171mgKOH/gを有する、DOW Epoxy Systems(Polypox(登録商標)R19)からのポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとした。
【0063】
粘度は25℃でブルックフィールド(Brookfield)(モデルLVT)回転粘度計によってDIN53019に基づいて測定した。
【0064】
シロキサン第四級窒素の含有量の定量:
第四級窒素は、特別な耐溶剤性センサー電極、例えばSurfactrode Resistant(Metrohm AG)と基準電極(Ag/AgClカートリッジダブルジャンクション、Metrohm AG)とからなる電極の組み合わせを使用して、滴定液として硫酸ドデシル溶液を用いて、電位差滴定によって定量する。第四級窒素について定量する試料を0.1mgの精度で滴定用ビーカーに計量充填する。MIBK10mlで希釈した後、変性エタノール10mlおよびTEGO(登録商標)添加剤(Metrohm AG Art.製品番号6.2317.100から)0.2mlをピペットで加え、次いでpH10緩衝液10mlを添加し、混合液を蒸留水80mlで希釈する。続いて、0.005モルのドデシル硫酸ナトリウム溶液に対してタイトロプロセッサー(titroprocessor)で滴定を行う。この滴定溶液の消費量および重量を基に、第四級窒素の含有量を定量する。
【0065】
ジエポキシド−ジアミン付加物の調製:
付加物1:
まず、ガラス製フラスコにPolypox(登録商標)R19ジエポキシド400gを充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。約50℃で融解したピペラジン25.6g(68%水溶液)を、1時間撹拌および冷却しながら少しずつ添加する。2時間の連続反応によって帯黄色の透明な反応生成物(25℃での粘度:1020mPas)を形成する。
【0066】
付加物2:
まず、ガラス製フラスコにPolypox(登録商標)R19ジエポキシド400gを充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。約50℃で融解したピペラジン30.4g(68%水溶液)を、1時間撹拌および冷却しながら少しずつ添加する。2時間の連続反応によって帯黄色の透明な反応生成物(25℃での粘度:1100mPas)を形成する。
【0067】
付加物3:
まず、ガラス製フラスコにPolypox(登録商標)R19ジエポキシド400gを充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。約50℃で融解したピペラジン38.0g(68%水溶液)を、1時間撹拌および冷却しながら少しずつ添加する。2時間の連続反応によって帯黄色の透明な反応生成物(25℃での粘度:2870mPas)を形成する。
【0068】
本発明の共重合体の調製:
共重合体1:
まず、アミノシロキサン1(2500g)およびイソプロパノール(2500g)を還流冷却器を備えるガラス製フラスコに充填し、窒素ブランケット下で80℃に加熱する。付加物1(383.8g)を45分以内で撹拌しながら添加する。2時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸16.7gを添加する。20分間撹拌した後、透明な帯黄色の生成物が得られる(25℃での粘度:8500mPas)。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0069】
共重合体2:
まず、アミノシロキサン2(250g)およびイソプロパノール(250g)を還流冷却器を備えるガラス製フラスコに充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。付加物2(67.2g)を45分以内で撹拌しながら添加する。2時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸1.8gを添加する。20分間撹拌した後、やや濁った帯黄色の生成物が得られる(25℃での粘度:5150mPas)。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0070】
共重合体3:
まず、アミノシロキサン1(250g)およびイソプロパノール(250g)を還流冷却器を備えるガラス製フラスコに充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。付加物3(52.2g)を45分以内で撹拌しながら添加する。2時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸1.8gを添加する。20分間撹拌した後、やや濁った帯黄色の生成物が得られる(25℃での粘度:約10500mPas)。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0071】
共重合体4:
まず、アミノシロキサン3(250g)およびイソプロパノール(250g)を還流冷却器を有するガラス製フラスコに充填し、窒素不活性で80℃に加熱する。付加物1(97.5g)を45分以内で撹拌しながら添加する。2時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸2.3gを添加する。20分間撹拌した後、透明な帯黄色の生成物が得られる(25℃での粘度:4200mPas)。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0072】
共重合体5:
まず、アミノシロキサン1(150g)およびイソプロパノール(150g)を還流冷却器を有するガラス製フラスコに充填し、窒素ブランケット下で80℃に加熱する。付加物1(23.0g)を10分以内で撹拌しながら添加する。2.45時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸1.6gを添加する。20分間撹拌した後、透明な帯黄色の生成物が得られる(25℃での粘度:9000mPas)。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0073】
共重合体6:
まず、アミノシロキサン1(150g)およびイソプロパノール(150g)を還流冷却器を有するガラス製フラスコに充填し、窒素ブランケット下で80℃に加熱する。付加物1(25.0g)を15分以内で撹拌しながら添加する。2時間80〜82℃で連続反応(還流)させた後、還流冷却器を蒸留システムと交換し、最高110℃の底部温度および20mbar以上の真空下での蒸留によってイソプロパノールを除去する。窒素減圧を行い、80℃未満に冷却した後、撹拌しながら、酢酸1.0gを添加する。20分間撹拌した後、帯黄色の不透明な生成物が得られる。滴定分析によって定量されたシロキサン第四級窒素含有量は、理論と一致する。
【0074】
使用例:
一般的配合物:
まず、5〜50重量%のアミノシロキサンをプロペラ撹拌機で撹拌しながらビーカーに充填する。続いて、5〜25重量%のジプロピレングリコールまたはブチルジグリコール、エトキシ化の程度が6である3〜15重量%の脂肪族アルコールエトキシレートをこの順で撹拌しながら添加する。最後に、混合液を水で100重量%になるようにする。
【0075】
配合物1−本発明:
まず、実施例1の第四級アンモニウム基を備える本発明の共重合体1(20重量部)を、プロペラ撹拌機で撹拌しながらビーカーに充填する。続いて、10部のジプロピレングリコール、エトキシ化の程度が6である10部の脂肪族アルコールエトキシレートをこの順で撹拌しながら添加する。最後に、混合液を60部の水で作成する。これによって透明な低粘度の配合物が得られる。
【0076】
配合物2−本発明:
配合物1の調製と同様に、配合物2を本発明の共重合体5から調製した。
【0077】
配合物3−非発明:
配合物1によるエマルションは、市販のSiliconquat、Tegopren(登録商標)6924を用いて調製した。Tegopren(登録商標)6924は第四級官能基で末端修飾された直鎖状シロキサンである。
【0078】
配合物4−非発明:
市販のアミノシロキサン(例えばBioTexからのBiosoft)のエマルションを20重量%の活性含有量(active content)で調製した。
【0079】
配合物5−本発明:
配合物1の調製と同様に、配合物5を本発明の共重合体6から調製した。
【0080】
配合物6−非発明:
互いに横に並んだポリエーテルおよびアミノ官能基を含むペンダント修飾を有するシロキサンの市販のエマルションであるTegopren(登録商標)7100を20重量%の活性含有量に調製した。
【0081】
塗布例:
アミノシロキサンを使用した場合に達成可能な手触り(触感評価)、さらに達成可能な親水性を検査するために、天然繊維からなる製品を以下の方法によってアミノシロキサンで仕上げた:
【0082】
パディング法:
特定のエマルションの柔らかさを検討するために、メリヤス綿布地(160g/m)およびテリー織綿布地(400g/m)を20g/lの対応するエマルションをそれぞれ含む液剤でパディング塗布し、次いでテキスタイルを約100重量%の液剤吸収(liquor pickup)まで絞り出し、3分間130℃の温度で乾燥させた。
【0083】
親水性を検討するために、織綿布地(200g/m)を、30g/lの対応するエマルションをそれぞれ含む液剤でパディング塗布し、次いで約100重量%の液剤吸収まで絞り出し、3分間130℃で乾燥させた。
【0084】
試験方法:
手触り評価:
布地の手触りを評価するために、経験豊富なチームを編成し、手触りパネル試験によって、匿名にした手触り試料、すなわちエマルションで仕上げたメリヤス布地およびテリー織布地を評価した。メリヤス布地の手触り試料には、目立たないラベルが付けられた未処理の試料をさらに補った。
【0085】
親水性の試験:
親水性を検査するために、水の上昇の高さを測定するDIN53924に基づいた試験方法を使用した。この方法は、仕上げた綿試験布地をそれぞれ長さ25cmおよび幅1.5cmの5枚の小片にカットし、側面に水溶性ペンで印をつけ、その小片を、たるみがない(taut)垂直の位置で緊張させないようにホルダーに固定することを含む。続いてホルダーを5分間水浴中に配置し、2cmの小片を水に浸す。水溶性の印は、水に濡れた時にインクが流動することによって上昇の高さが認識しやすくなる。一旦ホルダーを10分間水浴の外に静置してから、上昇の高さをcmで読み取り、ブランク値に対して定量し(未処理の綿小片における上昇の高さxcm=100%)、ブランク値の%で報告する。
【0086】
洗濯操作:
洗濯操作は、IECAベース規格WFK洗濯用洗剤および綿バラスト布地(cotton ballast fabric)3kgを使用し、40℃で予洗なしで水性塗料を用いて、市販のMiele Novotronic W 918洗濯機で行った。最後に、このように処理した織物布を12時間室温で乾燥させた。
【0087】
柔らかさについての試験結果を表1〜3に、親水性についての試験結果を表4に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
表4の結果では、本発明の配合物で処理された織綿布地の吸水が、未処理の試料の上昇の高さの80%を超えるという優れた吸水を示している。このようにして、本発明の配合物の親水性の増加は、特に非発明の配合物4と比較して実証される。同時に、本発明の配合物で処理されたテキスタイル布地は、非常に良好な持続性を兼ね備えた優れた柔らかさを示す(表3の配合物5)。良好な持続性を兼ね備えた優れた柔らかさは、非発明の配合物4によっても達成することができるが、これは例外的に疎水性であり、したがって吸水に関して所望されない挙動を示す。
【0093】
表4はさらに、吸水に関して非発明の配合物3、特に配合物6の結果が本発明による配合物と類似していることを示しているが、表3から推論することができるように、メリヤス綿布地の柔らかさはこれらの配合物では全く不十分である。
【0094】
説明:
本発明の生成物(配合物1、2および5)で仕上げたテキスタイル布地は柔らかく、非常にふわふわして、絹のような手触りが得られ、基本的には洗濯を繰り返した後でも維持される(配合物5)。本発明の生成物は、市販の製品と比較して、優れた親水性を同時に兼ね備えた優れた手触りを示す。
【0095】
配合物5はさらに、滑らかな織布(メリヤス綿布地)において、5回の洗濯を通して著しく改善された持続性を示しており、それは手触りにおける実質的に一定の良い評価に反映されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第二級アミノアルキル基で官能化された有機ポリシロキサンと、エポキシ基およびアミンを含有する化合物から形成された反応生成物との反応によって得ることができる、アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体。
【請求項2】
アミノおよび/または第四級アンモニウム基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサン−ポリエーテル共重合体を調製する方法であって、
a)まずジエポキシドを少なくとも1つのアミン化合物と反応させて、末端グリシジル基を有する鎖延長付加物を生成し、ジエポキシドとアミンのモル比は可変であるが、少なくとも1:1より大きく、
b)次いで、この中間体を、末端第二級アミノ基を有する直鎖状ポリシロキサンと反応させ、
c)任意選択により、窒素原子を、酸またはアルキル化試薬を添加することにより該方法における任意の時点で完全にまたは部分的に四級化することができ、
d)任意選択により、水、またはポリエーテル、ポリオールもしくはアルコールの群から選択される有機化合物を、希釈剤、乳化剤、または調整剤として添加することができることを特徴とする方法。
【請求項3】
使用されるジエポキシドが、式(1)の化合物であり、
【化1】


式中、
Yは、酸素原子によって中断され得る任意の二価有機炭化水素基であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Yが、−(CH−CHR−O)−CH−CHR−型の二価ポリエーテル基であり、式中、mは、0〜50の整数であり、Rは、水素または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
方法工程(a)で使用される前記アミン化合物が、式(2)のジ第二級アミンであり、
【化2】


式中、
は、独立して、OおよびNなどのヘテロ原子によって中断され得るかまたはN含有基もしくはO含有基によって置換され得る直鎖状もしくは分枝状脂肪族炭化水素基であるか、または脂環式基であり;Rは、pが0の場合、一価であり、またはpが1の場合、二価であり;
Zは、OおよびNなどのヘテロ原子によって中断され得るかまたはN含有基もしくはO含有基によって置換され得る二価の直鎖状もしくは分枝状炭化水素基であり;Zは、好ましくは2〜18個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
は、独立して、Z基であり、
pは、0または1である、請求項2〜4の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項6】
式(2)の化合物が、pが1である環状アミンまたは直鎖状ジアミンであり、あるいは2つの窒素原子が、ヘテロ環式フラグメントの構成成分であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
使用される式(2)の化合物が、ピペラジンおよび/またはN,N’−ジメチルヘキサメチレン−1,6−ジアミンおよび/またはN,N’−ジメチルテトラメチレン−1,4−ジアミンであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応工程(b)で使用される化合物が、式(3)の末端第二級アミノ基を有する直鎖状ポリシロキサンであり、
【化3】


式中、
Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基であり、
は、任意の炭化水素基であり、
Xは、1〜20個の炭素原子を有し、窒素原子またはアミン基によって中断され得る二価の直鎖状または分枝状炭化水素基であり、
nは、1〜500の整数であることを特徴とする、請求項2〜7の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項9】
酸またはアルキル化試薬が方法工程(c)で添加されることを特徴とする、第四級アンモニウム基を含む請求項2〜8の少なくとも1つに記載の化合物を調製する方法。
【請求項10】
式(4)の請求項1に記載の共重合体であって、
H−A−[(B−C)−B−A]−H 式(4)
式中、
Aは、式(5)による式(3)のアミノシロキサンの構造からのシロキサンフラグメントであり、
【化4】


Bは、式(6)による式(1)のジグリシジルエーテルのエポキシ開環から生じる有機フラグメントであり、
【化5】


Cは、式(7)による式(2)のアミン構造からのフラグメントであり、
【化6】


式中、X、Y、Z、Z、R、R、RおよびR基、ならびにn、mおよびpの添字はそれぞれ上で定義したとおりであり、
xは、0.1〜10であり、
yは、1.1〜50である、共重合体。
【請求項11】
請求項10に記載の式(4)の共重合体、および酸および/またはアルキル化剤で四級化され、アンモニウム基を有するそれらの誘導体。
【請求項12】
請求項1および10または11に記載の共重合体、それらの濃縮物、化合物/エマルション濃縮物および/または水性配合物、水性エマルションおよび/または水溶液を含み、ポリエーテル、ポリオール、アルコールなどの有機化合物中に前記共重合体、配合物またはエマルションを含む、組成物。
【請求項13】
織物、テキスタイル織物、メリヤス生地、不織布、薄織物、紙繊維および/または天然および/または合成原料の繊維、および/またはなめし革および/または髪および/または皮革を含む群から選択される布地のための持続性柔軟剤としての、請求項2〜9の少なくとも1つの方法によって得ることができる請求項1および10〜12に記載の共重合体の使用。
【請求項14】
前記柔軟剤は、柔軟剤で処理した布地に親水性を与えることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
傷んでいない髪および傷んだ髪の櫛どおり、柔らかさ、ボリューム、形状性、扱いやすさ、およびもつれにくさを改善し、および/または髪に輝きを与えることを特徴とする、配合物中での請求項13および14の少なくとも1つに記載の使用。
【請求項16】
髪から洗い流されるかまた髪に留まるヘアトリートメント用組成物およびヘアアフタートリートメント用組成物、コンディショナ、2イン1シャンプー、リンス、ヘアリペアトリートメント、ヘアマスク、スタイリング助剤、スタイリング用組成物、髪乾燥用ローション、ヘアセッティング用組成物、パーマネントウェーブ用組成物、ヘアスムージング用組成物および/または髪染色用組成物として、輝きを改善する化粧用配合物中に一般式(4)の共重合体または前記組成物を含有する混合物における請求項13〜15の少なくとも1つに記載の使用。
【請求項17】
化粧用、皮膚科用、および医薬配合物、ならびに化粧品パーソナルケアおよび身体/皮膚洗浄組成物において一般式(4)の共重合体または前記組成物を含み、皮膚軟化剤、乳化剤および界面活性剤、増粘剤/粘度調節剤/安定剤、UV光保護フィルタ、酸化防止剤、ヒドロトロープまたはポリオール、固形物および充填剤、塗膜形成剤、真珠光沢添加物、活性脱臭剤および制汗剤成分、防虫剤、セルフタンニング剤、保存剤、コンディショナ、香料、染料、化粧品有効成分、ケア添加物、過脂肪剤、溶剤を含む群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む混合物における請求項13および14の少なくとも1つに記載の使用。
【請求項18】
心地よい、絹のような滑らかな肌触りを達成するための水性界面活性剤配合物の形態での化粧品用途のための一般式(4)の共重合体または前記組成物を含む混合物における請求項13、14および17の少なくとも1つに記載の使用。

【公表番号】特表2013−518930(P2013−518930A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550352(P2012−550352)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070838
【国際公開番号】WO2011/091933
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】