説明

アミノアルキル−アミドメチル置換2−スルホニルアミノ)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体およびそのカリウムチャンネル遮断薬としての使用

一般式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは説明に示す意味を持つ)の心血管作用化合物およびこれらの化合物の製造方法および該方法の中間生成物について説明する。
さらに、式(I)の医薬組成物について明示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カリウムチャンネル遮断効果、特に心血管系に影響を及ぼす効果を持つ新規アミノアルキル−アミドメチル置換 2−(4−スルホニルアミノ)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体およびこれらの化合物を含む薬剤に関する。さらに、本発明は、該方法の新規化合物および中間生成物の製造方法に関する。
【0002】
カリウムチャンネル遮断効果、特に心血管系に有益な効果を持つインダン、ベンゾピランおよびそのような化合物のアナログは、既に明細書WO 00/12077 A1に記載されている。
【0003】
文書WO 00/58300は、薬剤、特に抗不整脈薬として適したクロマン誘導体を開示する。
【0004】
公開された国際特許出願WO 2005/037780 は、カリウムチャンネル遮断効果、特に心血管系に影響を及ぼす効果を持つ新規アミドメチル置換 2−(4−スルホニルアミノ)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体およびこれらの化合物を含有する医薬に関する。
【0005】
本発明は、良好な適合性を持つ高い有効性によって、および抗不整脈作用の場合には明白な心房選択的作用プロファイルによっても優れた新規作用物質が特定の心血管疾患、好ましくは心不整脈の治療に使用できるようにすることを目的とする。
【0006】
今回驚くべきことに、新規アミノアルキル−アミドメチル置換 2−(4−スルホニルアミノ)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体の発明によるグループはカリウムチャンネル遮断特性を持ち、心血管疾患の治療、好ましくは心不整脈の治療に適していることが分かった。本発明による化合物は、良好な適合性および高い有効性によって、また抗不整脈作用の場合には明白な心房選択的作用プロファイルによっても優れる。さらに、本発明による化合物は比較的良好なバイオアベイラビリティーを特徴とする。
【0007】
また、本発明による該化合物は、免疫系に影響を及ぼす付加的な作用を期待させる特性を持っている。
【0008】
本発明の主題は、一般式I
【化1】

(式中、R1はC1-4−アルキル、R2はC1-4−アルキル、R3は必要に応じて任意のハロゲン、C1-6−アルキルまたはC1-4−アルコキシルのいずれかで1〜3度置換されるフェニル、R4は水素、C1-6−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル−C−1−4−アルキル、R5は水素、およびR6は水素、およびR7は水素、およびR8は水素、およびR9はC1-4−アルキル、およびR5およびR9がともにC2アルキレンを形成するか、またはR5およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、またはR6およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、またはR7およびR9がともにC2-4−アルキレンまたはC1-3−アルキレンオキシを形成するか、またはR8およびR9がともにC3-5−アルキレンを形成するか、またはR9およびR10がともにC4-6−アルキレンを形成する場合にR10がフェニルではないという条件でR10はC1-6−アルキル、フェニル−C0-4−アルキルまたはピリジニル−C0-4−アルキルであり、およびnは0または1である)で表わされる新規アミノアルキル−アミドメチル置換 2−(4−スルホニルアミノ−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体またはその生理的に適合可能な塩および/または溶媒和物である。
【0009】
さらに、本発明の主題は式Iで表わされる化合物を含む医薬組成物である。さらに、本発明の主題は、式Iで表わされる化合物の製造方法および該方法の中間生成物である。
【0010】
式Iで表わされる化合物あるいは本発明の文脈において記載される他の化合物において置換基はC1-4−アルキルまたはC1-6−アルキルであるかまたはそれを含有し、これらは各々直鎖かまたは分枝している。
【0011】
1およびR2は好ましくは各々メチルを表わす。
【0012】
3は、好ましくは必要に応じてハロゲン、C1-4−アルキルまたはC1-4−アルコキシによって1〜2回置換されるフェニルを表わす。
特に、R3はC1-4−アルキルによって一回置換されたフェニルを表わす。ただし、R3はハロゲンに置換されたフェニルであり、フッ素、塩素または臭素およびヨウ素はハロゲンと考える。特に好ましくは、R3は4−エチルフェニルを表わす。
【0013】
4は好ましくは水素、C1-6−アルキルまたはシクロプロピル−C1-4−アルキル、特にシクロプロピルメチルである。R4はC1-6−アルキルを表わすが、これは特に分枝し、好ましくはネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−エチルブチル、3−メチルブチルまたは2−メチルプロピルを表わす。
【0014】
好ましくは、R5およびR9はともにC1-3−アルキレンを形成する。
【0015】
10は好ましくはC1-4−アルキル、ベンジルまたはフェニルである。より好ましくは、R10はフェニル−C1-4−アルキルまたはピリジニル−C1-4−アルキル、例えばピリジニルメチル、特に2−ピリジニルメチル、3−ピリジニルメチルまたは4−ピリジニルメチルであるか、あるいは、R9およびR10はともにC4-6−アルキレンを形成する。
【0016】
特に好ましい式Iで表わされる化合物は、N−{6−[2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−4−イル}−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド、4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)―エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミド、4−エチル−N―{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル]−ベンゼンスルホンアミドオヨビ4−エチル−Nー{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミドから成るグループから選択される。
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミドは、式Iで表わされる特に好ましい化合物である。
【0017】
本発明によれば、式Iで表わされる新規化合物は、
a)一般式II
【化2】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは上記の意味を持つ)の化合物と一般式III
X−SO2−R3 III
(式中、R3は上記の意味を持ち、またXは分解可能な脱離基である)で表わされる化合物を反応させるか、あるいは
b)一般式IV
【化3】

(式中、R1、R2、R3およびR4は上記の意味を持つ)で表わされる化合物と一般式V
【化4】

(式中、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは、上記の意味を持つ)で表わされる化合物を反応させることによって得られる。
工程a)による反応は、反応条件下で不活性な有機溶媒特にジクロロメタンなどの双極性非プロトン性溶媒内あるいはそのような溶媒の混合物内および塩基の存在下で従来の湿式化学処理を使用して実行することができる。適切な塩基は、第三級アルキルアミン例えばトリエチルアミンなどの非求核性有機窒素塩基である。過剰に使用される液体有機塩基も溶媒として使用することができる。必要であれば、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(=DMAP)など既知の結合補助剤により反応を触媒してもよい。
【0018】
適切な反応温度は、室温および80℃の間、例えば65℃である。適切な反応圧力は、標準圧および約200 barの間、例えば180 barである。使用される式IIIで表わされる化合物が液体の場合、既知の方法、例えば減圧圧力で溶媒に溶解した式IIで表わされる化合物に式IIIで表わされる化合物を添加後、反応液から溶媒を除去することは有利である。式IIで表わされる出発化合物においてR4が水素を表わす場合は、等モル量の式IIIで表わされる化合物を使用すると好都合である。通常、式IIIで表わされる化合物における脱離基Xとしてハロゲン、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素を使用する。さらに、式IIIで表わされる化合物と式IIで表わされる化合物の反応は固相、特にアミノメチルポリスチレン(AMPS)など反応性樹脂上で既知の方法で行なうことができる。この異種反応は、好ましくは少量の物質、例えば1〜10mmolの物質の製造に使用することができる。合成が固相上の場合は、好ましくは既知の高分子担持メチルピペリジン(=PSメチルピペリジン)または高分子担持ピペリジン(=PSピペリジン)など容易に濾過できる塩基を塩基として使用することができる。固相合成に適している反応温度は10℃および40℃の間、好ましくは室温である。式Iで表わされる化合物は、既知の方法で反応液から分離し、必要であれば既知の方法で精製してもよい。式Iで表わされる化合物において、R9および/またはR10は芳香族または複素芳香族環系の一部ではなく、塩形成が可能である。したがって、結果として生じる式Iで表わされる適切な遊離化合物は生理的に適合可能な塩に変換されるか、あるいは式Iで表わされる化合物の塩は式Iで表わされる遊離化合物に変換される。
【0019】
工程b)による反応は、アミノアシル化で知られる方法で実行することができる。式IVで表わされるカルボン酸または酸ハロゲン化物などそれらの反応誘導体、特に酸塩化物または酸性臭化物は、アシル化剤として使用される。式IVで表わされる酸そのものをアシル化剤として使用する場合は、それと式Vで表わされるアミノ化合物との反応は、ひとつ以上のアミノアシル化反応用の既知のカップリング試薬、例えば1,1−カルボニルジイミダゾール1、エチルクロロホルメート、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(=HOBT)、アルキルカルボジイミド、例えばN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(=EDC)あるいはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(=DIC))、あるいはジシクロヘキシルカルボジイミドなどシクロアルキルカルボジイミドの存在下においても都合よく実行することができる。アシル化は、−30℃から+50℃の温度、好ましくは室温の反応条件下で不活性な有機溶媒内で生じる。適切な溶媒は、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはテトラヒドロフランまたはジオキサンなどの環状エーテルまたはこれらの溶媒の混合物である。
【0020】
式Iで表わされる化合物の生理的に適合可能な塩は、無機酸、例えば硫酸、リン酸、ハロゲン化水素酸、好ましくは塩酸など、あるいは有機酸、例えばマレイン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、クエン酸などの低級の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸など、あるいはスルホン酸、例えばメタンスルフォン酸などの低級アルカンスルフォン酸あるいはトリフルオロメタンスルホン酸、あるいはp−トルエンスルフォン酸のように必要に応じてハロゲンまたはより低級アルキルによってベンゼン環を置換したベンゼンスルフォン酸などとの通常の塩である。式Iで表わされる化合物の塩酸塩が好ましい。
【0021】
式IIで表わされる化合物は、新規薬理活性物質の製造、例えば式Iで表わされる化合物の製造を行うための中間生成物として都合よく適切な新規化合物である。
【0022】
4が水素を表わす式IIで表わされる化合物は、一般式VI
【化5】

(式中、R1、R2、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは、上記の意味を持ち、PG1は酸性媒体好ましくはタートブトキシカルボニル(=Boc)において分解できるアミノ保護基を表わし、mは0または1である)の化合物から保護基PG1のある酸性媒体において分解することによって既知の方法で製造することができる。保護基の分解は、例えば鉱酸のような酸、好ましくは塩酸、例えば4Mの塩酸を式VIで表わされる化合物に加えることにより達成できる。式VIで表わされる化合物あるいは保護基PG1を含有する任意の化合物において、また以後mが0である場合は、ピラン環の3−位の置換基は各例においてヒドロキシであることを意図する。
【0023】
本出願で述べる適切な保護基PG1または他の保護基は、本技術において知られており、該技術の熟達者によって日常的に選択することができる。例えばT.W. Greene、P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley&Sonsの最新版より。
【0024】
4がC1-6−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル基−C1-4−アルキルを表わす式Iで表わされる化合物が必要である場合は、R4が水素である式Iで表わされる化合物、またはR4が水素である式Iで表わされる化合物の前駆体化合物、すなわち式IIまたはIVで表わされる前駆体化合物は、既知の方法でアルキル化することができる。アルキル化は、いずれの場合も最初にR4が水素を表わす式I、IIまたはIVで表わされる化合物を一般式VII
401−CHO VII
(式中、R401は水素、C2−5−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル基−C0-3−アルキルである)のアルデヒドと反応させ、次に式I、IIまたはIVで表わされるアルキルアミン化合物に還元剤を添加して結果として生じるイミン中間生成物を還元することによって特にアミノアルキル化として実行することができる。適切な還元剤は、NaBH3CNまたは既知の高分子担持ホウ化水素(=PS−BH4)などのホウ化水素複合体である。最初の変種においては、反応条件下で不活性なプロトン性極性有機溶媒において反応を実行することができる。特にメタノール中では、同一溶媒内で分離せずにそのままイミンの還元が行なわれる。この変種に適している反応温度は、室温および60℃の間、例えば50℃である。第2の変種においては、R4は水素を意味する式I、IIまたはIVで表わされる化合物と式Vで表わされるアルデヒドのイミン中間生成物を形成する反応は、双極性非プロトン性溶媒、特にテトラヒドロフラン(=THF)において実行することができる。その場合、反応を促進するために触媒量の親水性剤、例えばオルトエステル、特にオルトギ酸トリメチル(=TMOF)を加えることは有利である。次に、イミン中間生成物を分離し、最初の変種のために上述のプロトン性極性溶媒に採取してこの溶媒中で還元を行なうことができる。この第2の変種は、好ましくは室温で実行してもよい。
【0025】
式VIで表わされる化合物は、アミノアシル化と呼ばれる、上で詳細に説明した方法で一般式VIII
【化6】

(式中、R1、R2、PG1およびmは上記の意味を持つ。)のカルボン酸誘導体を式Vで表わされるアミノ誘導体と反応させることによって製造することができる。
【0026】
式VIIIのカルボン酸またはそれらの反応的な誘導体、例えば酸ハロゲン化物、特に酸塩化物または酸臭化物などをアシル化剤として使用してもよい。アシル化剤として式VIIIで表わされる酸自体を使用する場合、それと式Vで表わされるアミノ化合物との反応も、1つ以上の既知のアミノアシル化反応用カップリング試薬、例えば1,1カルボニルジイミダゾール、エチルクロロホルメート、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(=HOBT)、アルキルカルボジイミド、例えばN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(=EDC)あるいはN,N’−ジイソ−プロピルカルボジイミド(=DIC))、あるいはジシクロヘキシルカルボジイミドなどのシクロアルキルカルボジイミドの存在下において都合よく実行することができる。該アシル化は、−30℃から+50℃までの温度、好ましくは室温の反応条件下で不活性である有機溶媒において生じる。適切な溶媒は、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはテトラヒドロフランまたはジオキサンなどの環状エーテルまたはこれらの溶媒の混合液である。
【0027】
式Vで表わされる化合物および式VIIで表わされる化合物はそれ自体既知であるか、あるいは既知の方法により既知の化合物から製造することができる。
【0028】
式VIIIで表わされる化合物は、塩基性溶媒において保護基PG2を一般式IX
【化7】

(式中、R1、R2、PG1およびmは上記の意味を持ち、PG2は塩基性溶媒において分離できる炭酸保護基を表わす)で表わされる化合物から分離することによって既知の方法で製造することができる。
【0029】
PG2は一般に、塩基性溶媒または酸性溶媒において分離できる炭酸保護基を表わすことができる。PG2が塩基性溶媒において分離できる炭酸保護基を表わす場合、直鎖または分枝したC1-4−アルキルラジカル、好ましくはイソプロピルまたはメチルが適切である。塩基性溶媒において分離できる保護基PG2の分離は、通常、アルカリ水酸化物塩、例えば水酸化リチウムなどの塩基の添加によって達成することができる。この場合、適切な溶媒は、水またはTHFのようなプロトン性極性有機溶媒、または好ましくは該有機溶媒と水の混合液である。PG2が酸性溶媒において分離できる炭酸保護基を表わす場合は、分枝したC1-4−アルキルラジカル、好ましくはタートブチルが適切である。酸性溶媒において分離できる保護基PG2の分離は、通常、トリフルオロ酢酸などの酸の添加によって達成することができる。この場合、適切な溶媒は、トルエンまたはキシレンなどの極性非プロトン性有機溶媒、または該有機溶媒の混合物である。
【0030】
式IXで表わされる化合物は、一般式X
【化8】

(式中、R1、R2およびPG2は式IXで表わされる化合物の場合と同様に上記の意味を持つ)で表わされるアミノヒドロキシクロマン誘導体を酸性溶媒において分離できるアミノ保護基、好ましくはBoc基で保護することによって既知の方法で製造することができる。式Xで表わされるBoc−アミノ保護化合物を製造した場合、Boc−無水物をそれ自体既知の方法で試薬として使用してもよい。通常、この場合は、式Xで表わされるモノプロテクト化合物および式Xで表わされるジプロテクト化合物の混合物が得られる。一般的に、2:1配分でモノプロテクト生成物の方が多い。通常、式Xで表わされる化合物からスタートし、式Iで表わされる化合物を得る次の反応は、どちらの場合も出発原料として保護化合物の混合物を使用しながら問題なく行なうことができる。
【0031】
式Xで表わされる化合物は、低級アルキルアルコール、好ましくはエタノールなどの双極性プロトン性溶媒において既知の方法で一般式XI
【化9】

(式中、R1、R2およびPG2は式Xで表わされる化合物の場合と同様に上記の意味を持つ)で表わされるエポキシド化合物を求核性の有機窒素化合物、好ましくは水酸化アンモニウムのような水溶液中のアンモニアと反応させることにより製造することができる。適切な反応温度は、室温および70℃の間である。
【0032】
式XIで表わされる化合物は、反応条件下で不活性である有機極性非プロトン性溶媒、好ましくはジクロロメタンにおいて、塩基の存在下において既知の方法で一般式XII
【化10】

(式中、R1、R2およびPG2は式XIで表わされる化合物の場合と同様に上記の意味を持つ)の化合物をエポキシド形成が可能な過酸化物化合物、好ましくはm−クロロ過安息香酸(MCPBA)と反応させることにより製造することができる。適切な塩基は、特に炭酸水素ナトリウムの水溶液である。該反応は、好ましくは室温で実行してもよい。
【0033】
式XIIで表わされる化合物は、既知の方法で、一般式XIII
【化11】

(式中、PG21は式XIIで表わされる化合物におけるPG2と同じ意味を持ち、PG21の好ましい代替物はC1-4−アルキル、好ましくはメチルなどの直鎖の低級アルキルラジカルである)で表わされる化合物を、一般式XIV
【化12】

(式中、R1およびR2は上記の意味を持つ)で表わされる化合物と反応させることによって、さらに必要に応じて、保護基PG21を希望する任意の保護基PG2と既知の方法で交換することによって製造することができる。該反応は、トルエンまたはキシレンなど反応条件下で不活性な有機溶媒において、および共沸蒸留によって水と分離される酸の存在下において実行することができる。適切な酸は、例えば酢酸またはプロピオン酸である。有利なことに、操作はルイス酸、例えばフェニルボロン酸などの触媒の添加も行う。適切な反応温度は、室温および溶媒または混合溶媒の沸点の間、例えば約120℃である。
【0034】
式XIIIおよび式XIVで表わされる化合物はそれ自体既知であるか、または既知の方法で既知の化合物から製造することができる。
【0035】
式IVで表わされる化合物は、新規薬理活性物質の製造、例えば式Iで表わされる化合物の製造のための中間生成物として都合よく適切な新規化合物である。
【0036】
4が水素を意味する式IVで表わされる化合物は、既知の方法で、例えば一般式XV
【化13】

(式中、R1、R2およびR3は上記の意味を持ち、PG2は分枝または直鎖C1-4−アルキルラジカル、好ましくは第三ブチルなどの酸性溶媒において分離される炭酸保護基を表わす)で表わされる化合物から保護基PG3を分離することによって製造することができる。
【0037】
式XVで表わされる化合物は、既知の方法で、例えば式X(式中、PG2は式XVで表わされる化合物と同じ意味を持つ)で表わされる化合物を式IIIで表わされる化合物と反応させることによって製造することができる。この反応は、式IIIで表わされる化合物を式Iで表わされる化合物と反応させる工程a)において上述のように実行することができる。
【0038】
式Iで表わされる化合物は、少なくともピラン環の3位および4位に、どちらの場合もキラル中心に隣接炭素原子を持ち、したがっていくつかの異性体が生じ得る。本発明の主題は、式Iで表わされる異性的に純粋な化合物およびこれらの異性体の混合物の両者である。式Iで表わされる光学活性化合物は、例えば式Iで表わされる化合物の異性体の混合物から、あるいは式IIまたはIVで表わされる化合物の異性体の混合物から既知の方法で得ることができる。R9および/またはR10は芳香族または複素芳香族環系の一部ではない場合に式Iで表わされる化合物の異性体の混合物、または式IIで表わされる化合物の異性体の混合物は、適切な光学活性な酸、例えばカンフルスルホン酸あるいはDまたはL酒石酸との反応および得られた塩の分別結晶法によってそれぞれの光学対蹠地へ分別によっても得られる。式IVで表わされる化合物の異性体の混合物は、適切な光学活性塩基との反応および得られた塩の分別結晶法によってそれぞれの光学対蹠地へ分別によっても得られる。
【0039】
式Iで表わされる化合物は、さらに置換基R5、R6、R7および/またはR8を持つ炭素原子にキラル中心を持ってもよい。それらのキラル中心は、適切なキラル中心が既知の方法で既に存在する式VIIIで表わされる適切な化合物の選択または合成によって変わってもよい。
【0040】
式Iで表わされる光学活性化合物は、部分的にはキラル合成によって直接製造することもできる。ピラン環3位のヒドロキシ置換基およびピラン環4位のR4NSO23置換基が互いに立体化学的に明確なトランス位にある式Iで表わされる化合物を調整する場合、どちらの場合も出発点は適切な立体化学が予め決定されている式XIで表わされるエポキシドでもよい。従って予め決定された立体化学を有する式XIで表わされるエポキシドは、例えば式XIIで表わされるアルケンをキラル触媒、例えばヤコブセンの方法(例えばWO 91/14694 A1を参照)に従って(S,S)−(+)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロライド(=「ヤコブセンの触媒」、「(S,S)―マンガン(III)サレン」)を使用して既知の方法でエポキシド化することにより製造できる。例えば、ピラン環3位のキラル中心がS位にあり、ピラン環4位のキラル中心がR位にある式Iで表わされる化合物を製造する場合、反応条件下で不活性である有機溶媒、特にジクロロメタンにおいてキラル触媒、特に(S,S)−マンガン(III)サレンおよび酸素ドナー、特に次亜塩素酸ナトリウム水溶液の存在下において式XIIの中間生成物を反応させることができる。有利的に、該反応は9.5および11.5の間のpH値で実行される。適切なpH値を設定するために、好ましくはNa2HPO4およびピリジンN−オキシドから成る緩衝液を反応混合液に加えることができる。適切な反応温度は、−10℃および室温の間で、好ましくは0℃である。ピラン環3位のキラル中心がR位にあり、ピラン環4位のキラル中心がS位にある式Iで表わされる化合物を製造する場合は、手順は上記の説明と類似しているが、(S,S)−マンガン(III)サレンの代わりに「(R,R)−マンガン(III)サレン」が使用される。
【0041】
2つの変種における、上記の式XIで表わされるエポキシドの求核性開環反応において、概してピラン環の3位および4位の隣接置換基、すなわち水酸基およびアミノ基がそれぞれ互いにトランス位にある式Xで表わされる化合物が得られる。
【0042】
式Iで表わされる化合物の薬理活性物質としての効果は、以下の背景から明らかである。
【0043】
心臓のカリウムチャンネルを遮断する物質が、心血管疾患、特に心不整脈に対抗する作用物質として使用することができることは既に分かっている。心臓の外向きのカリウム電流を遮断することによって、心臓の活動電位を延長することができ、不整脈心疾患に有益な効果がある。この既知の治療例は、クラスIIIの抗不整脈薬である。そのような非特異性カリウムチャンネル遮断薬の1つの問題は、別の心臓組織に対する効果に関して選択性が低いことである。したがって、比較的長いこと、特にクラスIIIの抗不整脈薬は心電図(=ECG)においてQT間隔の望ましくない延長および多形性心室性頻脈(「トルサード・ド・ポワント」)につながり、それによって結局望ましくない合併症例えば心室細動が引き起されるとされていた。そのため、心房のカリウム電流に選択的に作用することができるが心室のカリウム電流には作用しないカリウムチャンネル遮断薬が求められていた。以前発見された心臓内のKV1.5カリウムチャンネルが心室ではなく専ら心房に位置するため、これらのKV1.5カリウムチャンネル遮断化合物は、心房選択性の抗不整脈薬として適切であると考えられる。しかしながら、KV1.5カリウムチャンネルおよび他のカリウムチャンネルは、心臓内だけでなく例えば身体血管内にも存在する。したがって、必ずしもKV1.5カリウムチャンネル遮断化合物が血管内のカリウムチャンネルの遮断によって血圧を上昇させる可能性を否定することはできない。血圧を上昇させる副作用のないKV1.5カリウムチャンネル遮断化合物は、したがって好ましい。多くのKV1.5カリウムチャンネル遮断化合物の投与で生じるその他の有害な副作用は、付加的なクラスl−抗不整脈性副作用および陰性変力作用である。
【0044】
式Iで表わされる化合物は、特に明白に且つ選択的に心臓のKV1.5カリウムチャンネルを遮断する作用によって区別される。特に良好な有効性および明白な心房選択的抗不整脈作用プロファイルに加えて、式Iで表わされる化合物は血圧の上昇、クラス1−抗不整脈性副作用および陰性変力作用など多くともわずかに有害な副作用しかない。したがって、式Iで表わされる化合物は大型の哺乳動物およびヒトにおいて、心血管疾患、特に心房細動、心房粗動および他の心不整脈の治療および/または予防に適用される。
式Iで表わされる化合物は比較的高い水溶性によってさらに特徴づけられ、特に置換基R10がC1-6−アルキルを意味し、フェニル−C1-4−アルキルまたはピリジニル−C1-4−アルキルであり、窒素原子がR10に直接結合し、したがって芳香族または複素芳香族環系の一部ではない式Iで表わされる化合物である。改善された水溶性はバイオアベイラビリティーの向上につながると予想され、したがって有機溶媒および/または溶解増加剤の量が減る、あるいは使用する必要性がない製剤処方が容易になる。
さらに、式Iで表わされる化合物は、KV1.3カリウムチャンネルの明らかな遮断効果を示す。KV1.3カリウムチャンネルは、免疫系の細胞に優先的に存在する。KV1.3カリウムチャンネル遮断と特に抗増殖および/または免疫抑制効果の間に関係がある(参照:C.Beeton et al.,The Journal of Immunology 166 (2001) 936−944)。したがって、KV1.3カリウムチャンネルを遮断できる化合物、例えば式Iで表わされる化合物は、増殖性、慢性的炎症性および自己免疫性疾患の治療および/または予防に適していると考えられる。この点に関して自己免疫性疾患は、例えばアジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自閉症、自己免疫性アテローム性動脈硬化症、自己免疫性糖尿病、尿崩症、自己免疫性子宮内膜症、自己免疫性眼疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性血友病、自己免疫性肝炎、自己免疫性間質性膀胱炎、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性脊髄障害、自己免疫性心筋炎、自己免疫性神経障害、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性甲状腺疾患、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性脈管炎、ベーチェット病、ベル麻痺、水疱性類天疱瘡、セリアック病、慢性疲労症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、円板状エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、グレーヴス疾患、ギラン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、妊娠疱疹、ハンチントン病、IgA腎症、免疫性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、ループスライム病、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、腫瘍随伴性自己免疫性症候群、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、悪性貧血、ペーロニー病、多腺内分泌欠損症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性糸球体腎炎、原発性硬化性胆管炎、乾癬、乾癬性関節炎、ラスムッセン脳炎、再発性多発性軟骨炎、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、皮膚硬化症、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、側頭動脈炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、白斑、ヴェーゲナー肉芽腫症などである。さらに、KV1.3カリウムチャンネル遮断および代謝疾患の間に関係がある(参照:J.Xu et al., Human Molecular Genetics 2003 Vol.12 No.5,551−559)。したがって、KV1.3カリウムチャンネルを遮断できる化合物、例えば式Iで表わされる化合物または公開された国際特許出願WO 2005/037780 (= US 2005/0148659)において開示および請求された化合物について、それらの化合物は、また、代謝障害または中心性肥満、高血圧、特に動脈高血圧、インスリン耐性、特にII型糖尿病、耐糖能障害または耐糖能異常、異常リポ蛋白血症、特にHDLコレステロール低下により生じた異常リポ蛋白血症を伴う高トリグリセリド血症、および高尿酸血症などの疾患の治療および/または予防に適していると考えられる。
【0045】
本発明のアミノアルキル−アミドメチル−置換 2−(4−スルホニルアミノ)―3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体あるいはWO 2005/037780に開示されたアミドメチル−置換−2−(4−スルホニルアミノ)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル誘導体を、α−アドレナリン受容体拮抗薬(非選択的)、例えばトラゾリンまたはフェノキシベンザミン、α−アドレナリン受容体拮抗薬(選択的)、例えばドキサゾシン(メシレート)、プラゾシン(塩酸塩)(およびポリチアジド)、テラゾシン(塩酸塩)またはウラピジル、α2−アドレナリン受容体拮抗薬(中枢作用α2−アドレナリン受容体拮抗薬を含む)、例えばクロニジン、グアンファシン、酢酸グアナベンズ、メチルドーパおよびモキソニジン、抗狭心症薬、例えばベプリジル、β遮断薬、ジルチアゼム、ニカルジビン、ニフェジピン、硝酸塩、抗凝血薬、例えばダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、ヘパリン、チンザパリン、ワルファリン、抗血小板薬、例えばアブシキシマブ、アスピリン、アスピリンおよびジピリダモール(アグレノックス)、シロスタゾール、クロピドグレル、ジピリダモール、エプチフィバチド、チクロジピン、チロフィバン、クラスI抗不整脈薬などの抗不整脈薬、例えばナトリウムチャネル遮断薬、ジソピラミド、フレカイニド、リドカイン、メキシレチン、モリシジン、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、トカイニド、またはクラスII抗不整脈薬、例えばβ遮断薬、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルベジロール、エスモロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソトロール、チモロール、またはクラスIII抗不整脈薬、例えばカリウムチャンネル遮断薬、アミオダロン、アジミライド、ベプリジル、ドフェチリド、イブタリド、ソタロール、テジサミル、またはクラスIV抗不整脈薬、例えばカルシウムチャネル遮断薬、ジルチアゼム、ベラパミル、β−アドレナリン作動性受容体拮抗薬(β遮断薬)、例えばアセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ブプラノロール、カラゾロール・カルテオロール、セリプロロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロール、カルシウムチャネル遮断薬(=カルシウム拮抗薬)、例えばアムロジピン、ベプリジル、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジビン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ガロパミル、ベラパミル、ジルチアゼムおよびフェンジリン、利尿薬、例えばアデノシンA1受容体拮抗薬、チアシド系利尿薬、サイアザイドアナログ、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬、炭酸アンヒドラーゼ阻害剤および/またはエタクリン酸から選択される少なくとも1つの他の心血管作用薬化合物と(固定した組合せあるいはどちらかの順で)併用投与した場合、有益な効果を期待してもよい。適切なアデノシンA1受容体拮抗薬は、1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン(DPCPX)、4−[(2−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]4−トランス−シクロヘキサノール、(4S)−4−ヒドロキシ−1−(2−フェニル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−L−プロリンアミド、8−シクロペンチル−3−N−[3−((3−(4−フルオロスルフォニル)ベンゾイル)−オキシ)−プロピル]−1−Nプロピル−キサンチン(FSCPX)、BG−9928 (CAS No. 340021−17−2)、CPX (CAS No. 102146−07−6)、FK−352 (CAS No. 143881−08−7)、FK−453 (CAS No. 121524−18−3)、FK−838 (CAS No. 131185−37−0)、FR−166124 (CAS No. 171050−45−6)、KW−3902 (CAS No. 136199−02−5)、KW−3902 (CAS No. 136199−02−5)、N−0861 ([+/−]N6−エンドノルボルナン−2−イル−9−メチルアデニン、 CAS No. 141696−90−4)、WRC−0342 (CAS No. 175097−37−7)、 WRC−0571(8−(N−メチルイソプロピル)アミノ−N6−(5’−エンドヒドロキシ−エンドノルボルニル)−9−メチルアデニン、CAS No. 175097−35−5)、naXifylline(CAS Nos. 166374−48−7および166374−49−8) または任意の生理的に適合可能な互変異性体、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそのエステルから成るグループから選択することができる。適切なチアシド系利尿薬は、アルチアジド、ベメチジド、ベンドロフルメサイアザイド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ベンズチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、シクロチアジド、シクロペンチアジド、エチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチルクロチアジド、パラフルチジド、ポリチアジド、テクロチアジド、トリクロルメチアジドまたは任意の生理的に適合可能な互変異性体、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそのエステルから成るグループから選択することができる。適切なチアジドアナログ利尿薬は、クロラミノフェナミド、クロルタリドン、クロフェナミド、クロパミド、クロレキソロン、フェンキゾン、インダパミド、メフルシド、メトラゾン、キネサゾン、トリパミドおよびキシパミドから成るグループから選択することができる。適切なループ利尿薬は、アゾセミド、ブメタニド、フロセミド、ピレタニド、トルセミドまたは任意の生理的に適合可能な互変異性体、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそのエステルから成るグループから選択することができる。適切なカリウム保持性利尿薬は、アミロリド、カンレノ酸カリウム、スピロノラクトン、トリアムテレンまたは任意の生理的に適合可能な互変異性体、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそのエステルから成るグループから選択することができる。適切な炭酸アンヒドラーゼ阻害剤利尿薬は、アセタゾラミド、ブリンゾールアミド、ジクロロフェナミド、ドルゾルアミド、エトキスゾラミド、インジスラム・メタゾラミド、ゾニサミドまたは任意の生理的に適合可能な互変異性体、塩、溶媒和物、プロドラッグまたはそのエステルから成るグループあるいはαおよびβ−アドレナリン受容体混合拮抗薬、例えばカルベジロールまたはラベタロールから選択することができる。様々なアデノシン、ジゴキシン。
【0046】
薬理試験法の説明
引用した実施例番号は、下記に述べる製造例に関する。
【0047】
1. 該物質のKV1.5カリウムチャンネル遮断効果のin−vitro試験
該物質のKV1.5カリウムチャンネル遮断効果は、既知の試験モデルにおいて、またはこの試験モデルと同じように実証される(参照:W. Hu et al., J. Pharmacol. ToXicol, Methods 34 (1995) 1−7)。この試験モデルにおいて、チャイニーズハムスターの卵細胞の細胞株(=「チャイニーズハムスター卵母細胞」、「CHO」)が使用されるが、これは単細胞から生じて安定してKV1.5チャンネルを発現する。RbClを含有する培養液または「ローディングバッファー」(全てmM値:RbCl 5、NaCl 140、CaCl2 2、MgSO4 1、HEPES緩衝液 10、グルコース 5)において一晩培養することによって、Na+/K+ATPアーゼの影響下でRb+wp用いて前述の卵母細胞をロードする。その後、参照基準として阻害薬のない状態で卵母細胞の一部を培養し、一方、式Iで表わされる各抑制試験物質の存在下において卵母細胞の別の部分を培養する。次に、細胞外のカリウムイオン濃度を増大させて卵母細胞を脱分極化し、卵母細胞のKV1.5カリウムチャンネルを開く。阻害薬非存在下で、Rb+イオンはKV1.5カリウムチャンネルを通じて周囲の液体に流れ込む。一方式Iで表わされる抑制試験物質の存在下においては、Rb+イオンは卵母細胞内に固定されたままである。式Iで表わされる試験物質のKV1.5カリウムチャンネル遮断効果の程度は、参照基準に対する原子吸光分析によって周囲の液体内のRb+イオン濃度を測定することにより決定する。
【0048】
チャイニーズハムスター卵母細胞(上を参照)を既知の、RbCl含有CHO細胞用培養液で培養し、96サンプル容量サンプルプレートのサンプルウエル(「96枚のウエルプレート」)に入れた。卵母細胞を一晩増殖させ、卵母細胞の単層を得た。次に、まず培養液をピペットで除去し、各サンプルウエルを1回につき100μLの低カリウムイオン濃度のプレインキュベーション緩衝液(全てmMの値: KCl 5、NaCl 140、CaCl2 2、MgSO4 1、HEPES緩衝液10、グルコース5)で3回洗浄した。次に各試験物質の溶液(DMSO内の原液、プレインキュベーション緩衝液で希釈、試験バッチ10μM内の最終濃度)あるいは溶媒(陰性対照として)の50μLを各サンプルウエルに加え、どちらの場合も室温で10分間培養した。次に高カリウムイオン濃度の刺激用緩衝液50μL(KCl 145 mM、NaCl 0 mM、さもなければプレインキュベーション緩衝液と同じ)を各サンプルウエルに加え、サンプルを室温で10分間さらに培養した。どちらの場合も、各サンプルウエルから卵母細胞の周囲の液体80μLを別々に分析用サンプルプレートのサンプルウエルに移し、液体中のRb+イオン濃度を原子吸光分析によって測定した。該試験物質は各々二度試験した。陽性対照として既知の高濃度カリウムチャンネル4−AP遮断薬(KV1.5チャンネル用100×IC50)を使用することによって、Rb+流出のKV1.5成分を表わす信号部分を測定した。これにより、Rb+流出のどの部分が4−APに左右され、したがって、KV1.5チャンネルに割り当てられるか判断することができるようになった。10μMの濃度で使用した物質については、Rb+流出は少なくとも50%減少し、半最大有効濃度を決定できるように低濃度の該試験物質で追試を行なった。どちらの場合も、式Iで表わされる試験物質の半最大阻害濃度(IC50)を固有変数として求めた。
【0049】
この試験モデルにおいては、次の表1に示す式Iで表わされる該試験物質は以下に示すIC50値を示した。
【0050】
第1表:in vitroにおける該試験物質のKV1.5カリウムチャンネル遮断効果
【表1】

【0051】
2. 該物質のKV1.3カリウムチャンネル遮断効果のin−vitro試験
該物質のKV1.3カリウムチャンネル遮断効果を既知の試験モデル(例えばGenion社、ハンブルグ)により、あるいはこの試験モデルと同様に実証する(参照:J.Plasek and K. Sigler, J.Photochem. Photobiol. 33 (1996) 101−124)。この試験モデルにおいて、安定してKV1.3カリウムチャンネルを移入したチャイニーズハムスターの既知の卵母細胞(=CHO)を使用する。移入した細胞における該細胞特有のKV1.3カリウムチャンネル活性の遮断には、およそ−40mVから−30mVへの膜電位の正の変化が伴うが、平行して試験した野生型のCHO細胞においては膜電位の有意な変化は認められない。したがって、膜電位の変化はKV1.3カリウムチャンネル活性の減少に関係する。KV1.3カリウムチャンネルを例えば式Iで表わされる物質による遮断およびその結果生じる膜電位の変化によって、卵母細胞の細胞内区画における膜電位感受性蛍光色素が蓄積し、その結果蛍光の増大が生じる。したがって、卵母細胞の膜電位の変化は膜電位感受性色素の蛍光の増加量によって間接的に測定される。
【0052】
該細胞は、市販の移入試薬(DMRIE−C、ドイツGIBCO BRL社製)を用いて既知の方法でKV1.3プラスミドを移入した。移入の成功は、免疫蛍光検査法およびカリウムイオン流の「パッチクランプ」試験によって確認した。Tecan社(ドイツ)のTecan Safire蛍光リーダーを使用して蛍光測定を行なった。いずれの場合も、卵母細胞において濃度10μMの式Iで表わされる物質でKV1.3カリウムチャンネル遮断によって引き起こされた蛍光強度の増加量を固有の変数として決定した。蛍光強度の増加量は、いずれの場合も標準物質マルガトキシンによって引き起こされる蛍光強度の増加量と比較した割合(%)で示した。マルガトキシンは、選択的なKV1.3カリウムチャンネル遮断薬として知られている(例えば次を参照:M.Garcia−Calvo et al., J. Biol. Chem. 268 (1993) 18866−18874)。
【0053】
この試験モデルにおいて、次の第2表に示す式Iで表わされる該試験物質は、以下に示す割合であった。
【0054】
第2表:in vitroにおける該試験物質のKV1.3カリウムチャンネル遮断効果
【表2】

【0055】
3. in vitroにおけるラット心臓の心房に対する該物質の機能的有効性試験
該物質の機能的な抗不整脈的有効性は、以下に述べる試験モデルにおいて実証される。この試験モデルにおいて、ラットの左心房において式Iで表わされる該KV1.5遮断物質によって機能的不応期がどの程度延長されるか決定される。不応期は、基礎刺激および追加の刺激の間の新たな収縮を引き起こすことができる最小経過時間である。機能的不応期の延長の程度は、本発明による該物質の抗不整脈的有効性の尺度である。機能的不応期は、電気的に刺激した標本で前の収縮からのどれくらいの経過時間で新たな収縮が付加的な電気刺激によって引き起こされるかという試験によって決定される。
【0056】
屠殺した直後のラット(Sprague−Dawley社, Charles−River, ドイツ)から心臓を取り出した。左心房を分離し、温度管理(30℃)され曝気(O2 95%およびCO2 5%)され修飾タイロード液(全てmM値: NaCl 137、KCl 2.7、CaCl2 1.8、MgCl 0.8、Na−HCO3 11.9、NaH2PO4 0.6、グルコース5)で満たされた器官バス内の力変換器に固定した。規則的な収縮を引き起こすため、標本を電気的に刺激した(矩形パルス、パルス振幅3.5×閾値刺激、パルス幅1.5ms、周波数1Hz)。最初に、基礎刺激の他にエキストラパルスを適用することにより機能的不応期(それ以上の付加的な収縮が生じなくなるまで短縮される前の基礎刺激からの経過時間)の初期値を決定した。次に、式Iで表わされる物質濃度を上げつつ(0.1〜32μM)20分間隔で累積的に添加し、それぞれの場合に添加の18分後に不応期を決定した。測定前に、試験物質の原液(100%DMSO中で3.2および0.32 mM)を製造した。器官バス(容積25mLまたは100mL)における該物質の所望の最終濃度(0.1〜32μM)を得るために、これらの原液の対応量を器官バスに注入した。
【0057】
いずれの場合も、式Iで表わされる各物質の10μMまたは32μMの心房標本への添加後数ミリ秒で観察されたラット心臓の左心房において機能的不応期(FRP)の延長を固有の変数とした。
【0058】
この試験モデルにおいて、次の第3表に示す式Iで表わされる該試験物質は、以下に示す強い抗不整脈的有効性を表わす高い値の不応期の延長を示した。
【0059】
第3表:in vitroにおける該試験物質(10μMまたは32μM)のラット心臓左心房に及ぼすFRP延長効果
【表3】

【0060】
4. in vitroにおける該試験物質のモルモット心臓に対する機能的有効性の試験
以下に示す試験モデルにおいて、本発明による該物質は心室の再分極に対して軽度の有害な不整脈誘発効果を示す。このために、in vivoにおいて式Iで表わされる化合物の有効不応期(ERP)に及ぼす影響およびモルモット心臓に及ぼす他の影響変数を調べた。この試験モデルにおいて、本発明に準拠しないHERGおよび/またはKVLQT1チャンネルも遮断する非選択的カリウムチャンネル遮断薬は、心電図(=ECG)においてERPおよびQT時間の有害な延長を引き起こした。QT時間も同様に心臓における再分極の尺度である。該物質によるERPおよびQT時間の延長は、どちらも各々独立して有害なトルサード・ド・ポワント不整脈発生のリスクの指標として解釈される。さらに、いずれの場合も、心室における刺激の伝導速度の尺度としてQRS間隔をECGから決定した。該試験物質によって引き起こされたQRS間隔の延長でさえも有害な催不整脈副作用のリスクと関係がある。したがってこの試験モデルにおいて、ERPおよびQTの時間延長の欠如は低リスクを意味するが、これに反して適切なERPおよびQT延長の発生は有害な不整脈誘発効果のリスクが高いことを意味する。またQRS延長の欠如は心室において影響を受けない刺激の伝導を示すため、式Iで表わされる該物質によるQRS間隔の延長の欠如は、有害な催不整脈副作用のリスクが低いことを示す。逆に、一般的にクラスI不整脈治療薬によって引き起こされるQRSの延長は、伝導速度の低下を示し、心室細動や心室性頻脈の発生を促進する可能性がある。
【0061】
オスのモルモット(Dunkin−Hartley、Charles River社)に麻酔(ケタミン50mg/kg、キシラジン10mg/kg)を施行し、各々に頚静脈から式Iで表わされる化合物または賦形剤を静脈内投与した。双極刺激カテーテル(刺激周波数5Hz)を他の頚静脈を経由してモルモットの右心室に挿入した。ステーサム圧力変換器に接続され頚動脈内に挿入したカテーテルによって動脈圧を測定した。針電極を経由してECGを記録した。測定データをA/D変換器によってデジタル化し、適切なソフトウェアをインストールしたコンピューター(Ponemah Physiology Platform、Gould社(米国)により記録した。45分の平衡時間後に、モルモットに式Iで表わされる化合物あるいは賦形剤の用量を増加させながら12分間隔で静脈内(=i.v.)投与した。最初の投与前およびいずれの場合も式Iで表わされる物質の用量(0.1〜最大30μmol/kg)を増大投与の1分後、有効不応期を測定した。このため、いずれの場合も5回の通常の刺激後に追加のパルスを適用し、前のパルスからのその経過時間を心臓活動が起きるまで増大した。観察した時間間隔は、心室筋のERPに対応する。
【0062】
該試験物質が血圧に及ぼし得る効果を検出するため、同一の試験モデルにおいて該物質の各投与後に収縮期および拡張期血圧を決定し、以前の血圧レベルと比較した。該物質の各投与の1分および8分後にパラメーターを自動的に記録した。第4表は、さらに以下に示す式Iで表わされる該化合物による収縮期血圧の変化(賦形剤によるマイナス効果)を示す。表の該化合物によって血圧は適切に上昇しなかった。
【0063】
この試験モデルにおいて、以下の第4表に示した式Iで表わされる該試験物質は、以下の効果を示した。有意水準P<0.05のt検定で統計的検定を行い、統計的に有意な効果のみを示した。以下の第4表において、指標「n.s.」(=「統計的に有意でない」)は対応する実施例の物質がリストされた測定変数に対して統計的に有意な影響を及ぼさないことを意味する。
【0064】
第4表:モルモット心室におけるERP、QTおよびQRS間隔に対する該試験物質(10または30μmol/kg 静脈内投与の1分後)の効果および同時に測定したin vivoにおける収縮期血圧の変化(n.s.=統計的に有意でない、負の値は短縮または減少を示す。)
【表4】

【0065】
本発明による該化合物の特に良好な適合性は、さらなる薬理試験モデルにおいて実証することができる。したがって、例えばモルモットの心筋標本のin vitro試験において式Iで表わされる該化合物は高々軽度のクラスI不整脈治療薬副作用を有するだけであることを実証することができる。さらに、ラット心臓のin vitroモデルおよびモルモットの心臓の別のin vitroモデルにおいて式Iで表わされる該化合物は高々軽度の陰性変力作用を引き起こすだけであることを実証することができる。
【0066】
式Iで表わされる該化合物は、従来の医薬組成物で投与してもよい。個々の場合に、特別な剤形を適応してもよい。使用する用量は個々に異なり、もちろん治療する疾患のタイプおよび使用する物質によって異なる。しかしながら、一般に、有効成分を0.2〜500mg、特に10〜200mgを含む剤形、個々の用量当たりの有効成分はヒトおよび大型の哺乳動物への投与に適している。
【0067】
本発明による該化合物は、投与に適する従来の薬剤添加物および/または担体と共に固体または液体の医薬組成物に含ませてもよい。該医薬組成物は、液体または固体の担体などの補助剤を使用する通常の方法によって生成してもよい。使用する医薬組成物の種類は、当業者にとっては仕様および/または該技術の一般知識から明らかである。
【0068】
固体の組成物の例は、コートタブレット、マイクロタブレットおよびチュアブル錠を含むタブレット、マイクロカプセルを含むカプセル、粉末または顆粒、クリーム剤およびゲル剤を含む坐剤または軟膏剤などである。
固体の剤形の製造のために、作用物質は例えば従来の方法で補助剤および/または担体と混合し、湿潤または乾燥顆粒状であってもよい。顆粒または粉末をカプセルに直接詰めるか、または従来の方法でタブレットコアに押し固めてもよい。必要に応じて、これらを既知の方法でコーティングしてもよい。
【0069】
活性物質の溶液、非経口液、懸濁液または乳剤などの液状組成物は、水、オイルなどの通常の賦形剤および/またはポリエチレングリコールなどの懸濁剤を含んでもよい。さらに、保存剤、調味剤などその他の補助剤を加えてもよい。
【0070】
したがって、本発明の医薬組成物は、固体または液体のいずれかで、例えば経腸的、経口的、非経口的(筋肉内または静脈内)、経直腸的または局部的(局所的)に投与される。そのような製剤に適している添加剤は、薬学的に通常の液体または固体の担体、賦形剤および増量剤、溶剤、乳化剤、潤滑剤、錠剤崩壊剤、調味料、着色剤および/または緩衝剤である。言及される頻繁に使用される補助剤は、炭酸マグネシウム、2酸化チタン、ラクトース、マニトールおよび他の糖類または、糖アルコール類、タルク、乳汁タン白、ゼラチン、デンプン、セルロースおよびその誘導体、魚肝油、ヒマワリ、落花生またはゴマ油のような動植物油、ポリエチレングリコールおよび例えば滅菌水のような溶媒、グリセロールなどの一価または多価アルコールなどである。
【0071】
本発明の該化合物は、化合物、より具体的にはここに開示する特定の化合物の存在のために一般に本発明の重要で新規実施例である医薬組成物として投与される。本発明の実施例において、本発明の1つ以上の医薬組成物成分で満たされた1つ以上の容器から成る薬剤パックまたはキットを提供する。使用説明または医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された書式の注意、該機関によるヒトまたは動物投与のための製造、使用または販売の承認を反映する注意など様々な文書資料が、そのような容器に付随することもある。
【0072】
以下の実施例は、本発明について、その範囲を限定するものではないが、さらに説明することを意図している。
【0073】
実施例1
(3S,4R)−N−{6−[2−ベンジルピペラジン−1−イル]]−2−オキソエチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル}−4−nプロピルベンゼンスルホンアミド
【化14】

【0074】
A) 5Lのフランジフラスコに4−ヒドロキシフェニル酢酸メチル(175.6g)、フェニルボロン酸(128.9g)およびm−キシレン(3.5L)を満たした。この混合物に、3−メチルブタ−2−エナール(88.9g)および氷酢酸(130mL)を添加した。ディーン・スターク装置を使用して、得られた混合物を窒素下、140℃で加熱した。HPLC−MS(高速液体クロマトグラフィー質量分析法)により反応を観察し、それ以上進展が見られない場合に(およそ72時間)停止した。その後、反応混合物を室温まで冷却、濾過して、真空内で溶媒を除去した。残渣物を1:1 v/v(体積比)のTHF/水酸化アンモニウムに溶解し、2時間撹拌した。真空内でTHFを除去し、酢酸エチルを添加した。有機質層を分離し、1M(1モル)の水酸化ナトリウム、ブラインで洗浄して、Na2SO4にて乾燥させ、さらに溶媒を真空内で除去した。粗生成物(155g)をヘキサン/酢酸エチル15:1〜10:1 v/v(体積比)の勾配溶出法を使用して乾燥したフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸メチルエステル106gを得た。
H−NMR(δppm、CDCl3):7.00 (dd, 1H, J = 8.16, 2.32Hz), 6.89 (d, 1H, J = 2.32Hz), 6.72 (d, 1H, J = 8.24 Hz), 6.29 (d, 1H, J = 9.80Hz), 5.60 (d, 1H, J = 9.80Hz), 3.69 (s, 3H), 3.51 (s, 2H), 1.42 (s, 6H)
HPLC−MS (ES+, 10eV): 233.25(M, 10%), 173.16([M−C2+, 100%).
【0075】
B) 1Lのフランジフラスコに(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸メチルエステル(製造法については上を参照)(50g)、500mLのイソプロパノールおよびTi(OEt)4(0.7等量)を満たした。得られた溶液を還流下で16時間加熱した。該反応を複合液体クロマトグラフィー/質量分析(=LCMS)によって観察し、該反応が完了した時点で停止した。全出発原料の転換(5%のエチルエステルの形成)後に、該反応混合物を室温まで冷却した。水(50mL)を滴下して添加し、真空内で溶媒を除去した。得られた固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。酢酸エチル溶液をシリカを通して濾過し、真空内で蒸発させて、(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸イソプロピルエステル56gを得て、さらに精製を行わずに次のステップで使用した。
H−NMR (δ ppm, CDCl): 7.00 (dd, 1H, J = 8.08, 2.20Hz), 6.89 (d, 1H, J= 1.96Hz), 6.71 (d, 1H, J = 8.08Hz), 6.28 (d, 1H, J = 9.76Hz), 5.60 (d, 1H, J = 9.80Hz), 5.00 (septet, 1H, J= 6.12Hz), 3.46 (s, 2H), 1.42 (s, 6H), 1.22 (d, 6H, J= 6.12Hz)
HPLC−MS(ES+): 261.03 ([M+H],11%), 218.91 ([M−C3H7],100%),172.84s([M−C4H7O2,97%)。
【0076】
C)(S,S)−(+)−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロライド(「ヤコブセンの触媒」、5 mol%)触媒およびピリジンN−酸化物(0.5 等量)を0℃のクロメン(1等量)のジクロロメタン溶液に添加した。冷却したNaHPO4(0.05M)水溶液および新鮮なNaOCl(0.6M)を混合物に加えた。反応を、0℃で6時間撹拌させた。該反応物にジクロロメタンおよびシーライト(登録商標)を加え、シーライト(登録商標)で覆われたシンターで濾過した。濾過液の有機質層を水層から分離し、ブラインで洗浄してMgSO4で乾燥させた後、減圧下で蒸発させた。得られた黒色油をヘプタン/酢酸エチル内で再結晶させた(最初にヘプタンを添加し、次にエポキシドが完全に溶解するまで酢酸エチルを添加した)。((3S,4R)−2,2−ジメチル−1アール,7b−ジヒドロ−2H−1,3−ジオキサ−シクロプロパ[a]ナフタレン−6−イル)酢酸イソプロピルエステルが白い針として得られた。
【0077】
HPLC−MS (ES+): Rt = 1.26mins 235.26([M−C3H7O]+, 100%), 277.40 (M+, 40%), 312.51 (13%), 317.49 (15%).
【0078】
D)上記のように製造した((3S,4R)−2,2−ジメチル−1a,7b−ジヒドロ−2H−1,3−ジオキサ−シクロプロパ[a]ナフタレン−6−イル)酢酸イソプロピルエステルをEtOH:NHOH(6:5、v/v)溶液で処理して0.2Mのエポキシド溶液を製造した。該溶液を50℃に16時間加熱した。冷却しながら溶媒を真空内で除去した。得られた粗生成物は、酢酸エチル、ジクロロメタン、MeOHの勾配溶出法を使用したカラムクロマトグラフィーによって精製することができた。純粋な((3S,4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−酢酸イソプロピルエステル7.3gを得た。
1H−NMR (δ ppm, CDCl): 7.28 (s, 1H), 7.05 (dd, 1H, J= 1.72, 8.28Hz), 6.74 (d, 1H, J = 8.32Hz), 5.00 (septet, 1H, J = 6.36Hz), 3.70 (d, 1H, J = 9.76Hz), 3.51 (s, 2H), 3.30 (d, 1H, J = 9.52Hz), 2.90 (broad, s, 3H), 1.47 (s, 3H), 1.23 (d, 6H, J = 6.36Hz), 1.18 (s,3H)
HPLC−MS (ES+):Rt = 1.09mins 235.29 ([M−C3H7O]+, 100%), 263.36 (16%), 277.42 ([M−NH2]+, 22%), 294.48 (M+, 38%) ([M+Na]+, 35%)。
【0079】
E) 上記のように得られた((3S, 4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−酢酸イソプロピルエステル(54g)をジクロロメタン(10倍量)に溶解し、Boc無水物(100g)、トリエチルアミン(78mL)およびDMAP(22.5g)を添加した。得られた溶液を一晩振盪した。溶媒を真空内で濃縮し、残渣物をヘプタン:酢酸エチル6:1を使用したカラムクロマトグラフィーによって精製して、66.7gの生成物を得た。(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸イソプロピルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸イソプロピルエステル(ジプロテクト生成物)をモノプロテクト生成物によって2:1の混合物として分離した。
1H−NMR (δ ppm,CDCl3): 7.1(複合体, 3H), 6.85 (d, 1H, J = 9.04Hz), 6.75 (d, 0.5H, J = 8.32Hz), 5.0 (複合体, 2H), 4.90 (d, 1H, 11.7Hz), 4.78 (複合体, 1H), 3.92 (d, 1H, J = 11.7Hz), 3.50 (s,), 3.49 (s, ), 1.63 (s, 9H), 1.48 (複合体), 1.22 (複合体, 12H)
HPLC−MS(ES+):モノプロテクト Rt = 1.71 非割当、ジプロテクト Rt=1.86 非割当
【0080】
F) 上記のように得られた(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸イソプロピルエステルおよび(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸イソプロピルエステルの混合物(66.7g)をTHF:H20(1:1、1.4L)およびLiOH(14.7g)の溶液内で16時間撹拌した。該反応をHPLC−MSで観察した。続いてLiOH(0.26g)をさらに添加し、該反応物をさらに4時間振盪して、IPC分析によって反応の完了を判断した。1M HClを滴下して該溶液を酸性化し、酢酸エチルにて抽出した。混合有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空内で濃縮して(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸(モノプロテクト生成物)および(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸(ジプロテクト生成物)の混合物(59g)の白色固体を得た。
HPLC−MS(ES+):モノプロテクト Rt=1.13 374.19 ([M+Na]+, 70%), 296.07 ([M−C4H8]+, 30%), 234.95 ([M−C5H10NO2]+,55%), 146.82 (100%);ジプロテクト Rt = 1.57 925.46 ([2M+Na+H]+, 20%), 474.28 ([M+Na+H]+, 40%), 320.10 (50%), 232.93(100%)
【0081】
G)上記のように得られた(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S, 4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)およびN−ベンジルピペラジン(1.90g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。真空内で溶液を濃縮し、得られた(3S, 4R)−{6−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマンー4−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S,4R)−炭酸6−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イル−エステル−tert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を、ジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)へ、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加する勾配溶媒を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製した。
HPLC−MS (ES+):モノプロテクト Rt = 1.12mins 454.37([M−C4H9]+, 100%), 510.41(M+, 26%), 532.39 ([M+Na]+, 31%) ジプロテクト Rt = 1.52mins 498.34 ([M−C8H18]+, 54%), 554.38 ([M−C4H9]+, 100%), 610.43 (M+, 67%), 632.40 ([M+Na]+, 43%)
【0082】
H)上記のように得られた(3S, 4R)−{6−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸6−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イル−エステル−tert−ブチルエステルの混合物(6.0g)をジオキサン(12.6mL)において4M HClに溶解し、室温で16時間振盪した。反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)−1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)エタノンを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS(ES+):Rt = 0.65mins, 819.43 ([2M+H]+, 20%), 410.28 ([M+H]+, 50%), 393.25 ([M−NH2]+,100%)
【0083】
I)上記のように得られた(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)エタノン(15mg)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に4−プロピルベンゼンスルホニルクロリド(1等量)を添加した。該反応物を室温で2日間振盪した。樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンの他にPS−AMPS(30mg)を添加した。該反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+): 592.27 ([M+H]+, 100%)
【0084】
実施例2
(3S,4R)−2−{4−[(4−クロロ−3−メチルベンゼンスルホニル−(2−エチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]アセトアミド
【化15】

【0085】
A)(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸(製造法については上記の実施例1Fを参照)の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)および2−(2−アミノエチル)−1−メチルピロリジン(1.37g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。該溶液を真空内で濃縮し、得られた(3S,4R)−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−{[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチルカルバモイル)メチル]クロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S, 4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチル−6−{[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチルカルバモイル)メチル]クロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を、ジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)へ、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加する勾配溶媒を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製した。
HPLC−MS (ES+):モノプロテクト Rt=1.05mins462.51(M+,100%) ジプロテクトRt=1.46mins562.47(M+, 100%).
【0086】
B)上記のように得られた(3S, 4R)−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−{[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)−エチルカルバモイル]メチル}クロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチル−6−{[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチルカルバモイル]メチル}クロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステルの混合物(6.0g)を4M HClのジオキサン溶液(12.6mL)に溶解し、室温で16時間振盪した。該反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。 該反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。 AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S, 4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)−エチル]アセトアミドを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS(ES+):Rt=0.72mins345.49([M−NH2]+,84%),362.53(M+,100%),384.53([M+Na]+, 15%)
【0087】
C)上記のように得られた(3S, 4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]アセトアミドをメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。2−エチルブチルアルデヒドを添加し、反応物を室温で16時間振盪した。イミン形成完了後、HPLC−MSおよび/またはH NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加した。未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせて、真空内で濃縮した。粗生成物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル)アセトアミドを得た。
【0088】
D)上記のように得られた(3S,4R)−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]アセトアミド(15mg)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、続いてジクロロメタン(0.4mL)溶液の4−クロロ−2,5−ジメチルベンゼンスルフォニルクロリド(3等量)を添加した。反応物を室温で2日間振盪した。樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加え、PS−AMPS(30mg)を添加した。反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+): 648.53/650.53([M+H]+,100%)
【0089】
実施例3
(3S, 4R)−2−{3−ヒドロキシ−4−[(4−ヨードベンゼンスルホニル)−(3−メチルブチル)アミノ]−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル}−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)アセトアミド
【化16】

【0090】
A)(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸(製造法については上記の実施例1Fを参照)の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)およびN−(2−アミノエチル)ピペリジン(1.37g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。溶液を真空内で濃縮し、粗生成物をジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)の勾配溶媒を使用して、カラムクロマトグラフィーによって試薬および副産物を除去して精製し、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加して(3S,4R)−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(2−ピペリジン−1−イルエチル−カルバモイル)メチル]クロマン−4−イル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S,4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチル−6−[(2−ピペリジン−1−イルエチルカルバモイル)メチル]クロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を溶出した。
HPLC−MS (ES+): モノプロテクト Rt=1.03mins 406.40([M−C4H9]+,30%),462.49(M+,100%),484.46([M+Na]+, 14%) ジプロテクト Rt = 1.44mins 506.46([M−C4H9]+,14%),562.50(M+,100%),584.47([M+Na]+,15%)
【0091】
B)上記のように得られた(3s,4r)−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[(2−ピペリジン−1−イルエチル−カルバモイル)メチル]クロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチル−6−[(2−ピペリジン−1−イルエチル−カルバモイル)メチル)クロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステルの混合物(6.0g)を4M HClのジオキサン溶液(12.6mL)に溶解し、室温で16時間振盪した。反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。 反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。 AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。 溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)アセトアミドを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS(ES+):Rt=0.75mins 361.57([M−NH2]+,41%),378.61(M+,100%)
【0092】
C) 上記のように得られた(3S, 4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−アセトアミド(1等量、2mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。イソバレルアルデヒドを添加し、反応物を室温で16時間振盪した。イミン形成完了後、HPLC−MSおよび1H NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。 反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加した。 未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。 次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせ、真空内で濃縮した。残渣物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)−2−[3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(3−メチルブチルアミノ)クロマン−6−イル]−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)−アセトアミドを得た。
【0093】
D)上記のように得られた(3S, 4R)−2−[3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルー4−(3−メチルブチルアミノ)クロマン−6−イル]−N−(2−ピペリジン−1−イルエチル)アセトアミド(15mg)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に4−ヨードベンゼンスルホニルクロリド(3等量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を添加した。反応物を室温で2日間振盪した。樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加ええPS−AMPS(30mg)を添加した。反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
【0094】
実施例4
(3S,4R)−N−(1−ベンジルピロリジン−3R−イル)−2−{4−[(2−エチルブチル)−(3−メトキシベンゼンスルホニル)−アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル}アセトアミド
【化17】

【0095】
A) (3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)および(3R)−(−)−1−ベンジル−3−アミノピロリジン(1.89g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。溶液を真空内で濃縮し、粗生成物をジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)の勾配溶媒を使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加して(3S,4R)−{6−[(1−ベンジルピロリジン−3R−イルカルバモイル)メチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S,4R)−炭酸6−[(1−ベンジルピロリジン−3R−イルカルバモイル)メチル]−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を溶出させた。
HPLC−MS (ES+): モノプロテクト Rt = 1.13mins 454.45([M−C4H9]+, 63%), 510.51(M+, 100%), 532.49 ([M+Na]+, 46%); ジプロテクト Rt = 1.52mins 554.49 ([M−C4H9]+, 32%), 610.54 (M+, 100%), 632.50 ([M+Na]+, 16%)
【0096】
B)上記のように得られた(3S,4R)−{6−[(1−ベンジルピロリジン−3R―イルカルバモイル)メチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル}カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸6−[(1−ベンジルピロリジン−3R−イルカルバモイル)メチル]−4−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステルの混合物(6.0g)を4M HClのジオキサン溶液(12.6mL)に溶解し、室温で16時間振盪した。該反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。 反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。 AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。 溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−1−ベンジルピロリジン−3R−イル)アセトアミドを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS (ES+): Rt = 0.67mins 361.56([M−OH]+, 100%), 378.59 (M+, 72%), 400.60 ([M+Na]+, 35%)
【0097】
C)(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−1−ベンジルピロリジン−3R−イル)アセトアミドをメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。2−エチルブチルアルデヒドを添加し、反応物を室温で16時間振盪した。イミン形成完了後、HPLC−MSおよび1H NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。 反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加した。 未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。 反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。 次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせて、真空内で濃縮した。 残渣物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)―N―(1−ベンジルピロリジン−3R−イル)−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)―3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]アセトアミドを得た。
【0098】
D)上記のように得られた(3S,4R)―N―(1−ベンジルピロリジン−3−イル)−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)―3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル]アセトアミド(15mg) をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に4−ヨードベンゼンスルホニルクロリド(3等量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を添加した。 反応物を室温で2日間振盪した。樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加え、PS−AMPS(30mg)を添加した。反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+):664.73([M+H]+,100%)
【0099】
実施例5
(3S,4R)−N−[2−(ブチルエチルアミノ)エチル]−2−{4−[(2−エチルブチル)−(4−ヨードベンゼンスルホニル)アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)アセトアミド
【化18】

【0100】
A)(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸(製造法については上記の実施例1Fを参照)の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)および2−(エチル−N−ブチルアミノ)エチルアミン(1.55g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。該溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)の勾配溶媒を使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加して(3S,4R)−(6−{[2−(ブチルエチルアミノ)エチルカルボミル]メチル}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S,4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−6−{[2−(ブチルエチルアミノ)エチルカルバモイル]メチル}−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を溶出させた。
HPLC−MS (ES+): モノプロテクト Rt = 1.12mins 478.58 (M+,100%); ジプロテクト Rt = 1.53mins 578.56 (M+, 100%)
【0101】
B)上記のように得られた(3S,4R)−(6−{[2−(ブチルエチルアミノ)エチルカルボミル]メチル}−3−)ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−6−{[2−(ブチルエチルアミノ)エチルカルバモイル]メチル}−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステルの混合物(6.0g)を4M HClのジオキサン(12.6mL)に溶解し、室温で16時間振盪した。反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。 反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。 AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。 溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−[2−(ブチルエチルアミノ)エチル]アセトアミドを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS(ES+):Rt=0.84mins 407.43([M−OH]+,100%),424.47(M+,44%)
【0102】
C)上記のように得られた(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−[2−(ブチルエチルアミノ)−エチル]アセトアミドをメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。2−エチルブチルアルデヒドを添加し、反応物を室温で16時間振盪した。 イミン形成完了後、HPLC−MSおよび1H NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。 反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加した。 未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。 反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。 次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせて、真空内で濃縮した。 残渣物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)−N−[2−(ブチルエチルアミノ)−エチル]−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]アセトアミドを得た。
【0103】
D)上記のように得られた(3S,4R)−N−[2−(ブチルエチルアミノ)−エチル]−2−[4−(2−エチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]アセトアミド(15mg)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に4−ヨードベンゼンスルホニルクロリド(3等量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を添加した。 反応物を室温で2日間振盪した。 樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加え、PS−AMPS(30mg)を添加した。反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+):728.68([M+H]+,100%)
【0104】
実施例6
(3S,4R)−N−(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)−2−{4−[(3−メトキシベンゼンスルホニル)−3−メチルブチル)アミノ]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル}アセトアミド
【化19】

【0105】
A) (3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−6−イル)酢酸および(3S,4R)−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシカルボニルオキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)酢酸(製造法については上記の実施例1Fを参照)の混合物(4.0g)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。DIC(1.68mL)、HOBT(1.46g)およびN−ベンジル−3−アミノメチルモルホリン(2.21g)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。 該溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:酢酸エチル(4:1)からジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)の勾配溶媒を使用して、カラムクロマトグラフィーによって精製し、次に酢酸エチル:MeOH(1:1)に増加して(3S,4R)−(6−{[(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)カルバミル]メチル}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(モノプロテクト生成物)および(3S,4R)−炭酸6{[(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)カルバモイル]メチル}−4−tert− ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステル(ジプロテクト生成物)の混合物を溶出させた。
HPLC−MS (ES+): モノプロテクト Rt=1.15mins 484.38 ([M−C4H9]+,17%),540.37(M+,100%),562.34 ([M+Na]+,12%);ジプロテクト Rt=1.51 mins 584.33([M−C4H9]+, 8%), 640.43(M+,100%),662.40[M+Na]+,10%)
【0106】
B) 上記のように得られた(3S,4R)―(6−{[(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)カルバモイル]メチル}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルおよび(3S,4R)−炭酸6−{[(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)カルバモイル]メチル}−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジメチルクロマン−3−イルエステルtert−ブチルエステルの混合物(6.0g)を4M HClのジオキサン溶液(12.6mL)に溶解し、室温で16時間振盪した。反応をHPLC−MSで観察し、該反応を完了させるために必要な場合はさらに試薬を添加した。 反応完了後、溶液を真空内で濃縮し、残渣物をジクロロメタン:MeOH(1:1)に再度溶解した。 AMPS(2.5等量)を添加し、懸濁液を室温で5時間振盪した。 溶液を濾過し、真空内で濃縮して(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N―(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)アセトアミドを生成し、さらに精製せずに使用した。
HPLC−MS (ES+): Rt = 0.84mins 423.59([M−OH]+, 100%), 440.62 (M+, 18%), 462.61 ([M+Na]+, 16%)
【0107】
C)上記のように得られた(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−N−(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)アセトアミド(1等量、2mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。 イソバレルアルデヒド(1.0等量、2mmol)を添加し、反応物を室温で16時間振盪した。 イミン形成完了後、HPLC−MSおよび/または1H NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。 反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加することができる。 未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。 反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。 次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせて、真空内で濃縮した。 残渣物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)―N―(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)−2−[4−(3−メチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]アセトアミドを得た。
【0108】
D)上記のように得られた(3S,4R)−N−(4−ベンジルモルホリン−2−イルメチル)−2−[4−(3−メチルブチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]アセトアミド(15mg) をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に3−メトキシベンゼンスルホニルクロリド(3等量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を添加した。 反応物を室温で2日間振盪した。 樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加え、PS−AMPS(30mg)を添加した。 反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+):702.56([M+Na]+,21%),680.57 ([M+H],100%),256.27([M−C25H31 N2O4]+,40%)
【0109】
実施例7
(3S,4R)−N−{6−[2−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−イル}−N−シクロプロピルメチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド
【化20】

【0110】
A)(3S,4R)−2−(4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル)−1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)エタノン(製造法については上記の実施例1Hを参照)をメタノール(20mL)に溶解し、TMOF(0.22mL)を添加した後、分子ふるいにかけた。 シクロプロパンカルボキシアルデヒドを添加し、反応物を室温で16時間振盪した。 イミン形成完了後、HPLC−MSおよび1H NMR分析によって確認し、PS−BH4(5等量)を添加して、反応物をさらに16時間振盪した。 反応を完了させるために必要な場合は、さらにPS−BH4を添加した。 未精製の2級アミンをジクロロメタンに溶解し、PS−CHO(0.4等量)およびAMPS(0.6等量)を連続して添加した。 反応混合物を室温でさらに16時間振盪した。 次に、樹脂を濾過し、THFで洗浄して、濾過液を合わせて、真空内で濃縮した。 残渣物をジクロロメタンからジクロロメタン:MeOH(20:80)への勾配を使用してカラムクロマトグラフィーによって精製し、(3S,4R)−1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−[4−(シクロプロピルメチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]エタノンを得た。
【0111】
B)上記のように得られた(3S,4R)−1−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−2−[4−(シクロプロピルメチルアミノ)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−6−イル]エタノン(15mg)をジクロロメタン(0.6mL)に溶解した。PSピペリジン(20mg)を添加し、次に4−メチルベンゼンスルホニルクロリド(3等量)のジクロロメタン(0.4mL)溶液を添加した。 反応物を室温で2日間振盪した。 樹脂を濾過し、必要な場合はさらにジクロロメタンに加え、PS−AMPS(30mg)を添加した。 反応物を室温でさらに16時間振盪した後、濾過し、真空内で濃縮して表題化合物を得た。
HPLC−MS(ES+):618.65([M+H]+,100%)
【0112】
実施例8
4−エチル−N−((3S,4R)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−{2−オキソ−2−[4−(ピリジン−3−イルメチル)ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル)ベンゼンスルホンアミド
【化21】

【0113】
A)メチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸(25.0g)、3,3−ジメチルアクロレイン(14.5mL)およびフェニルボロン酸(18.3g)を無水トルエン1.0 Lにおいて7時間還流させた。次に、氷酢酸(60mL)を添加し、得られた混合物を還流下でさらに7時間加熱し、進行を薄層クロマトグラフィー(=TLC)で観察した。次に、該混合物を冷却し、大部分は真空内で蒸発させて、残渣物を酢酸エチル/水の1:1混合液300mLに注入した。炭酸ナトリウムでpHを5に調整し、真空内で酢酸エチル層を分離および濃縮した。残渣物のカラムクロマトグラフィー(移動相:石油エーテル/酢酸エチル10:1)により淡黄色油としてのメチル(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)アセテート16gが得られた。
【0114】
B)メチル(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)アセテート(18.3g)をエチルアルコール125mLに懸濁した。15%の水酸化ナトリウム溶液150mLを添加し、該混合物を室温で30分撹拌した。次に、水300mLおよび酢酸エチル150mLを添加し、得られた混合物を10分間強く撹拌した。有機質層を分離し廃棄した。アルカリ性の水層を酢酸エチル100mLで一回洗浄した。層を分離し、水層を塩酸溶液でpH 2.0に酸性化した。次に酢酸エチル200mLを添加し、得られた混合物を10分間強く撹拌した。有機質層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した後、真空内で濃縮した。黄色の残渣物を冷却し、続いて石油エーテルを満たして30分間撹拌した。得られた結晶を濾過し、50℃で真空乾燥させて(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸6.2gを得た。母液を真空内で濃縮し、冷却後、再度石油エーテルで満たした。得られた結晶を真空内で乾燥させ、さらに2.9gの(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸を得た。
【0115】
C)上記のように得られた(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)酢酸(31g、いくつかのバッチからの生成物を合わせた)をジクロロメタン(450mL)に溶解し、cc.H2SO4(1.5mL)を添加した。この受容溶液に、−10℃で2−メチルプロペン(21.0g)を添加し、次に反応混合物を室温で6時間撹拌した。次に、水(500mL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。有機質層をNaHCO3水溶液で抽出し、ブラインで洗浄、Na2SO4で乾燥させ、濾過後蒸発させた。残渣物を真空内で乾燥させて、褐色油としてtert−ブチル(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)アセテート(30g)を得た。
【0116】
D)上記のように得られたtert−ブチル(2,2−ジメチル−2H−クロメン−6−イル)アセテート(30.0 g)をジクロロメタン(600mL)に溶解し、(S,S)−(+)−N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−サリチリデン)−1,2−シクロヘキサン−ジアミノ−マンガン(lll)−クロリド(4.25g)およびピリジン−N−オキシド(5.25g)を添加した。市販のNaOCl水溶液(555mL、Flukaより購入、室温でアッセイ〜10%)および9%のNa2HPO4水溶液(75mL)を氷冷却下で45分間にわたり添加した。次に、得られた混合物を0℃で4時間撹拌した。有機質層を濾過(セライト タイプ503)し、ジクロロメタンで洗浄して、合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥させた。濾過および真空内蒸発により褐色油を得て、ジエチルエーテルに溶解した。結晶化が始まるまでリグロインを添加した。結晶を吸引濾過により濾過し、乾燥させてtert−ブチル−[(1aS,7bS)−2,2−ジメチル−1a,7bジヒドロ−2H−オキシレノ[c]クロメン−6−イル]アセテート(18.4g)を得た。
【0117】
E)上記のように得られたtert−ブチル−[(1aS,7bS)−2,2−ジメチル−1a,7bジヒドロ−2H−オキシレノ[c]クロメン−6−イル]アセテート(18.4g)をエタノール(300mL)に溶解した。この受容溶液に濃縮したNH4OH(300mL)を添加し、得られた混合物を1時間撹拌して、室温で一晩保存した。ジクロロメタン(400mL)を添加し、さらに15分間撹拌した。有機質層をNa2SO4で乾燥させ、濾過後、大部分を真空内で蒸発させて粗製油を得た。該油をジエチルエーテルに溶解し、水で抽出して、有機質層をNa2SO4で乾燥させた。濾過、蒸発、乾燥後、褐色油としてtert−ブチル[(3S,4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル]アセテート(16.3g)を得た。
【0118】
F)上記のように得られたtert−ブチル[(3S,4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル]アセテート(12.0g)のジクロロメタン(280mL)溶液に最初にトリエチルアミン(10.8mL)を添加し、次に4−エチルスルホニルクロリド(80g)を添加した。得られた懸濁液を室温で5時間撹拌した後、水で抽出した。有機質層をNaHCO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過後、最後に真空内で蒸発させて褐色油としてtert−ブチル((3S,4R)−4−{[(4−エチルフェニル)フルホニル]アミノ}3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)アセテート(19.6g)を得た。さらに精製するため、該油状生成物1.8gをクロマトグラフィー(中圧液体クロマトグラフィー、MPLC: 固定相Sili Tech(登録商標)(32−63、60 A)移動相シクロヘキサン/酢酸エチル3:1))で分離した。
【0119】
G) 上記のように得られたtert−ブチル((3S,4R)−4−{[(4−エチルフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル]アセテート(17.2g)のトルエン(170mL)溶液にトリフルオロ酢酸(17mL)を添加した。反応混合物を40℃で5.5時間撹拌した後、水(200mL)で抽出した。有機質層をNa2CO3水溶液で抽出した。水層をpH6(HCl)に調整し、次に酢酸エチルで2度抽出した。合わせた有機質層をNa2SO4で乾燥させ、濾過後、真空内で蒸発させて未精製の褐色油を得た。該油をジエチルエーテルに溶解し、リグロインを添加した。該混合物を結晶化が完了するまで室温で撹拌した。得られた結晶を吸引し、乾燥させて、((3S,4R)−4−{[(4−エチルフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)酢酸(9.3g)を得た。
【0120】
H)250mLの丸底フラスコに入れた((3S,4R)−4−{[(4−エチルフェニル)スルホニル]アミノ}−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−イル)酢酸1.3gのTHF溶液45mLにCDl 550mgを添加した。該懸濁液を室温で0.5時間撹拌した。3−ピリジルメチルピペラジン600mgを添加し、4時間撹拌した。その後、混合物を室温で一晩保存した。翌日、混合物を蒸発および乾燥させ、2:1の酢酸エチル/H2Oに溶解した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液pH 10で抽出した後、HCl水溶液pH1で抽出した。HCl層のpHをNaOH水溶液でpH 8に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機質層をNa2SO4で乾燥させ、濾過後、真空内で蒸発させて黄色の発泡体0.85gを得た。該発泡体をイソプロパノールに溶解し、MeOHを3滴滴下した。6N HClのイソプロパノール溶液を添加したところ塩酸塩の結晶化が直ちに始まった。結晶は吸引し、ジエチルエーテルで洗浄後、乾燥させて、4−エチルN−((3S、4R)3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−{2−オキソ−2−[4−(ピリジン−3−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]エチル}−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩(融点159℃)0.75gを得た。
13C−NMR (101 MHz, MeOH) δ ppm 15.7 (q, 1 C) 19.0 (q, 1 C) 27.0 (q, 1 C) 29.7 (t, 1 C) 39.7 (t, 1C) 40.0 (t, 1 C) 44.2 (t, 1 C) 52.6 (t, 1 C) 53.0 (t, 1 C) 56.0 (d, 1 C) 56.9 (t, 1 C) 74.8 (d, 1 C) 79.9 (s, 1 C) 118.6 (d, 1 C) 124.2 (s, 1 C) 127.8 (s, 1 C) 128.4 (d, 2 C) 128.9 (d, 1 C) 129.3 (d, 3 C) 130.7 (s, 1 C) 130.9 (d, 1 C) 140.6 (s, 1 C) 144.3 (d, 1 C) 145.9 (d, 1 C) 150.6 (s, 1 C) 151.0 (d, 1 C) 153.3 (s, 1 C) 172.3 (s, 1 C).
【0121】
次の第5表に示す式Iで挙げられる化合物は、上記実施例に記載の方法に従ってあるいはそれに類似する方法に従って製造することもできる。
【0122】
第5表:式Iで表わされるその他の化合物
【表5】

EX. =実施例の番号、Me=メチル、4−et−phenyl = 4−エチルフェニル、−et−R9 = 置換基R9とのエチレン架橋の形成、R5−et−= 置換基R5とのエチレン架橋の形成、bz=ベンジル、2−/3−/4−py=2−/3−/4−ピリジニル、S, R:Cahn−Ingold−Prelog表示法による炭素原子の絶対立体配置
以下の分光データは13C−NMRにおいて測定した。
実施例10(HCl塩):13C−NMR (101 MHz, DMSO−D6) δ ppm 15.1 (q, 1 C) 18.7 (q, 1 C) 26.4 (q, 1 C) 27.9 (t, 1 C) 37.8 (t, 1 C) 38.3 (t, 1 C) 41.9 (t, 1 C) 50.1 (t, 1 C) 50.5 (d, 1 C) 54.1 (d, 1 C) 58.6 (t, 1 C) 72.3 (d, 1 C) 78.5 (s, 1 C) 116.4 (d, 1 C) 122.8 (s, 1 C) 126.7 (d, 2 C) 126.8 (s, 1 C) 127.9 (d, 2 C) 128.7 (d, 2 C) 129.1 (d, 1 C) 129.2 −129.6 (2d,s,3 C) 131.3 (d, 2 C) 140.0 (s, 1 C) 147.9 (s, 1 C) 151.1 (s, 1 C) 169.0 (s, 1 C)
【0123】
実施例I
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミドを含むカプセル
1カプセル当たり以下の組成を持つカプセルを製造した。
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミド 20 mg
コーンスターチ 60mg
ラクトース 300mg
EA 適量
EAを使用して、有効成分、コーンスターチおよびラクトースを均質なペースト状の混合物にした。ペーストを挽き、得られた顆粒を適切なトレーに入れ、45℃で乾燥させて溶媒を除去した。乾燥した顆粒を粉砕機に通し、ミキサーによりさらに以下の補助剤と混合した。
滑石粉 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
コーンスターチ 9mg
そして、次に400mgのカプセル(=カプセルサイズ0)に注入した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

(式中、
1はC1-4−アルキルであり、
2はC1-4−アルキルであり、
3は、ハロゲン、C1-6−アルキルまたはC1-4−アルコキシルのいずれかで1〜3度置換されていてよいフェニルであり、
4は水素、C1-6−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル−C1-4−アルキルであり、
5は水素であり、かつ
6は水素であり、かつ
7は水素であり、かつ
8は水素であり、かつ
9はC1-4−アルキルであり、かつ
10はC1-6−アルキル、フェニル−C0-4−アルキルまたはピリジニル−C0-4−アルキルであるが、但し、
5およびR9がともにC2アルキレンを形成するか、または
5およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
6およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
7およびR9がともにC2-4−アルキレンまたはC1-3−アルキレンオキシを形成するか、または
8およびR9がともにC3-5−アルキレンを形成するか、または
9およびR10がともにC4-6−アルキレンを形成する場合に
10がフェニルではなく、かつ
nは0または1である)で表わされる化合物、またはその任意の生理的に適合可能な塩および/または溶媒和物。
【請求項2】
1およびR2が各々メチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3が4−エチルフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
4が水素、C1-6−アルキルまたはシクロプロピルメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
5およびR9がともにC1-3−アルキレンを形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
10がC1-6−アルキル、フェニル−C1-4−アルキルまたはピリジニル−C1-4−アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
10がベンジルまたはピリジニルメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の式Iで表わされる化合物であって、以下の
N−{6−[2−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−クロマン−4−イル}−4−エチル−ベンゼンスルホンアミド、
4−エチルN−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミド、
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミド、および
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミド
から成るグループから選択される化合物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の式Iで表わされる化合物であって、
4−エチル−N−{3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−6−[2−オキソ−2−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−クロマン−4−イル}−ベンゼンスルホンアミドである化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の式Iで表わされる化合物の薬理活性量および従来の補助剤および/または担体を含有する医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の式Iで表わされる化合物の、哺乳動物およびヒトの心血管疾患治療のための薬剤を製造するための使用。
【請求項12】
心血管疾患が不整脈である請求項11に記載の使用。
【請求項13】
式I
【化2】

(式中、
1はC1-4−アルキルであり、
2はC1-4−アルキルであり、
3は、ハロゲン、C1-6−アルキルまたはC1-4−アルコキシルのいずれかで1〜3度置換されていてもよいフェニルであり、
4は水素、C1-6−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル−C1-4−アルキルであり、
5は水素であり、かつ
6は水素であり、かつ
7は水素であり、かつ
8は水素であり、かつ
9はC1-4−アルキルであり、かつ
10はC1-6−アルキル、フェニル−C0-4−アルキルまたはピリジニル−C0-4−アルキルであるが、但し、
5およびR9がともにC2アルキレンを形成するか、または
5およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
6およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
7およびR9がともにC2-4−アルキレンまたはC1-3−アルキレンオキシを形成するか、または
8およびR9がともにC3-5−アルキレンを形成するか、または
9およびR10がともにC4-6−アルキレンを形成する
場合に、
10がフェニルではなく、かつ
nは0または1である)で表わされる化合物またはその任意の生理的に適合可能な塩および/または溶媒和物の製造方法において、
a) 一般式II
【化3】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは上記の意味を持つ)の化合物と
一般式III
X−SO2−R3 III
(式中、R3は上記の意味を持ち、またXは分解可能な脱離基である)の化合物を反応させるか、あるいは
b) 一般式IV
【化4】

(式中、R1、R2、R3およびR4は上記の意味を持つ)の化合物と
一般式V
【化5】

(式中、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびnは、上記の意味を持つ)の化合物を反応させ、必要であれば得られた式Iで表わされる遊離化合物をそれらの生理的に適合可能な塩に変換するか、または式Iで表わされる化合物の塩を式Iで表わされる遊離化合物に変換することを特徴とする製造方法。
【請求項14】
一般式II
【化6】

(式中、
1はC1-4−アルキルであり、
2はC1-4−アルキルであり、
4は水素、C1-6−アルキル、またはC3-7−シクロアルキル−C1-4−アルキルであり、
5は水素であり、かつ
6は水素であり、かつ
7は水素であり、かつ
8は水素であり、かつ
9はC1-4−アルキルであり、かつ
10はC1-6−アルキル、フェニル−C0-4−アルキルまたはピリジニル−C0-4−アルキルであるが、但し
5およびR9がともにC2アルキレンを形成するか、または
5およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
6およびR9がともにC1-3アルキレンを形成するか、または
7およびR9がともにC2-4−アルキレンまたはC1-3−アルキレンオキシを形成するか、または
8およびR9がともにC3-5−アルキレンを形成するか、または
9およびR10がともにC4-6−アルキレンを形成する
場合に
10がフェニルではなく、かつ
nは0または1である)で表わされる化合物、またはその任意の塩または溶媒和物。
【請求項15】
一般式IV
【化7】

(式中、
1はC1-4−アルキルであり、
2はC1-4−アルキルであり、
3は、ハロゲン、C1-6−アルキルまたはC1-4−アルコキシルのいずれかで1〜3度置換されていてよいフェニルであり、
4は水素、C1-6−アルキルまたはC3-7−シクロアルキル−C1-4−アルキルである)で表わされる化合物、またはその任意の塩または溶媒和物。

【公表番号】特表2008−536842(P2008−536842A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505885(P2008−505885)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061511
【国際公開番号】WO2006/108837
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】