説明

アルコールおよびアンモニアからアミンを調製する方法

本発明は、新規ルテニウムに基づく触媒、およびアミンの調製方法を、1級アルコールおよびアンモニアを、前記触媒の存在下にて反応し、アミンおよび水を生成することによるアミンを調整する方法を提供する。本発明の方法にしたがって、1級アルコールは直接アンモニアと反応させて、1級アミンおよび水を、高収率および高い転換数にて生成する。この反応は新規ルテニウム複合体によって触媒され、好ましくはピンサー型リガンドに基づくキノリニルまたはアクリジニルから構成されるものによって触媒される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ルテニウム触媒および一級アミンをアルコールとアンモニアを前記触媒の存在下において反応させて調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミンは化学および生物学において、非常に重要な化合物のファミリーである。これらは医薬、ファインケミカル、農薬、重合体、染料、色素、乳化剤および可塑剤の製造に幅広く使用されている(1)。アミンの中でも、末端1級アミン(例えば、RNH2においてRは有機基である)が、最も有効であるが、これらの選択的な合成はそれらの高反応性のため困難である。
【0003】
アルコールからアミンへの従来の方法による変換は、通常2から3工程を必要とし、それぞれの工程が一般的に分離および精製を必要とするため、工程をさらに小規模の合成にするには扱いにくい(2)。比較的少ない典型的な方法が、アルコールから1級アミンへの変換の階段的、ワンポットとして知られているが、前記方法は環境を配慮したものでなく、大規模な製造には不適切である(3〜6)。1級アミンの既存の方法による調製は、一般的に毒物の化学量論的量を利用し、結果として貧しい選択性および非常に低い原子経済となる(7〜9)。2級および3級の直鎖アミンの内部オレフィンのヒドロアミノメチル化反応による興味深い調整方法を報告した(10)。生成物の混合物に結びつくような通常厳しい条件下において、アミンをまた、アミドの還元によって調製した(11)。アミンのアルデヒドからのイリジウムおよびロジウム触媒作用による調製を、また報告した(12)。高水素圧力がアルデヒドの還元的アミノ化に必要であり、アルコールが副産物として形成するにも関わらず、前記方法は最初の均一な触媒の還元的アミノ化方法を示した。還元的アミノ化方法によって触媒作用を及ぼすアミン合成のためのルイス酸が、また知られている(13,14)。近年では、アリルアミンの合成を、パラジウム触媒によるアンモニアのアリール化をジオキサン中に達成した(75)。1級アミンをアルコールによって、2級アミンを得るためにアルキル化することができる(16)。アルコールとアンモニウム塩のイリジウム触媒作用によるマルチアルキル化が、2級および3級アミンの合成として報告されたが、1級アミンの選択的合成が興味深い作業として残存する(17)。
【0004】
アミンの商業生産のために利用される方法(1、18)の中で、明らかに最も広範且つ最も利用されているのは、アンモニアとアルコールの反応に基づく。しかしながら、アルコールとアンモニアの固体酸触媒反応は、非常に高温(300〜500℃)を必要とし、1級、2級および3級アミンの混合物、また脱水の結果として多量のアルケンを形成する。アルコールおよびアミンの高温および高圧における金属酸化物触媒反応は、またアミンの混合物に結果としてなり、触媒安定性のため水素圧力の下で実施される。さらにこの反応は、アルケンをCO押出成形物の結果として形成する(18)。
【0005】
アリールおよびアルキル1級アミンの直接的な調製のための有機基質とアンモニアの触媒カップリングは、触媒作用における10の最大の課題のうちの2つとして考えられる(19)。アルコールを活性化し、直接的な求核置換およびアジドおよびヒドラジンを除く「N」中心化学のための原子経済的な方法が、製薬業界において最も必要とされる方法の1つである(20)。一級アミンの選択的な触媒合成は、1級アミンがアンモニアより求核性であり、反応において親電子物質、例えばハロゲン化アルキルまたはアルデヒドと競争するため、反応性である2級アミン(21)を生成し、生成物の混合の形成へと導き、矛盾な挑戦である。
【0006】
従って、1級アミンの直接的なアルコールおよびアンモニアからの選択的触媒合成は、水の脱離を、比較的軽度な条件下にて、排出物を生成することもなく、経済的および環境的に非常に望ましい。しかしながら、上記の安易な方法は、知られていない。
【0007】
ピンサー型複合体は、顕著な触媒特性を有することができる(22、23)。本発明の出願人は、PNP−およびPNN−Ru(II)水素化物複合体の触媒作用によるアルコールの脱水を以前報告した(24)。2級アルコールがキトンを導くのに対して(25、26)、1級アルコールをエステルおよび二水素へと変換した(25〜26)。脱芳香族化PNNピンサー型複合体は特に効率的である(28);これは前記工程を、高収率にて中性の条件下で、受容体または促進剤の不存在下にて触媒作用を及ぼした。本発明の出願人に対する米国特許出願公開第2009/0112005号明細書は、1級アミンおよび1級アルコールを、ルテニウム触媒の存在下において反応させることによってアミド化合物および分子水素を生成するためのアミド調整方法を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生化学および化学システムにおけるアミンの広範囲に渡る重要性に対して、従来の方法の欠点を回避する効率的な合成が非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1級アミン化合物および水を生成するため、1級アルコールおよびアンモニアを前記触媒の存在下にて反応することによって新規ルテニウムに基づく触媒および1級アミンの調製方法を提供する。本明細書に考えられるように、アミン調製のための新規方法であり、1級アミンを1級アルコールおよびアンモニアから毒薬、高圧および厳しい実験条件の化学量論的量を除いた軽度な条件下にて直接調製する方法を、発明者は見出した。反応は、新規、空気安定性ルテニウムピンサー型複合体による均質化触媒であり、水中、種々の有機溶媒、溶媒の不存在下、または水および有機溶媒の異種または均一混合物にて進行することができる。本方法の単純、一般且つ優れた原子経済は、アルコールからアミンの変換の小規模および大規模双方の応用に関連がある。
【0010】
本発明の方法、即ちアルコールおよびアンモニアからアミンおよび水への直接的な触媒変換を、案1に例示する。この新規、環境を配慮した反応は、種々のアミンを非常に単純な基質から高原子経済と、あらゆる化学量論活性化剤の使用なしに生成するため、使用することができ、従って排出物も生み出さない。
【0011】
【化1】

【0012】
本発明の応用は、新規ルテニウム複合体が、アンモニアと1級アルコールの反応において、1級アミンおよびHOを形成するため、触媒作用を起こすことを予期せずに見出した。一実施形態において、ルテニウム触媒は、一般式Aの構造によって示される:
【0013】
【化2】

【0014】
およびLは、それぞれ独立してホスフィン(PR);アミン(NR);イミン;硫化物(SR);チオール(SH);スルホキシド(S(=O)R);窒素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロアリール;アルシン(AsR)、スチビン(SbR)ならびに以下の構造で示されるN複素環式カルベンからなる群から選択され:
【0015】
【化3】

【0016】
は一座配置の2つの電子供与体、例えばCO、PR、NO、AsR、SbR、SR、ニトリル(RCN)、イソニトリル(RNC)、N、PF、CS、ヘテロアリール(例えば、ピリジン、チオフェン)、テトラヒドロチオフェンおよびN複素環カルベンであり;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらが一般式Aのキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり;。
R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールであり:
Yはモノアニオン性リガンド、例えばハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、OR、NRであり、Rは上のように規定する。Yが中性のとき、全ての分子が正電荷を有する点に留意すべきである。
【0017】
Xはアクリジニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1,2,3,4,5,6または7の置換基か、(RおよびRはそれらが結合する炭素と共に、一般式Aのキノリニル部位と結合するフェニル環を示す場合);キノリニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4または5の置換基(RおよびRが、それぞれ水素である場合)を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体(例えば二酸化ケイ素)および重合部位(例えばポリスチレン)からなる群から選択される。
【0018】
一実施形態において、RおよびRはそれぞれHであり、ルテニウム触媒を以下の構造で示す:
【0019】
【化4】

【0020】
他の実施形態において、RおよびRは、それらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して形成する、共に炭素であり、以下の構造でルテニウム触媒を示す:
【0021】
【化5】

【0022】
本発明のルテニウム触媒のいくつかの制限しない実施形態は、以下の通りである:
【0023】
【化6】

【0024】
およびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである。いくつかの制限しない実施例は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、メシチル等である。
【0025】
置換基Yは、モノアニオン性リガンド、例えばハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、ORまたはNRであり、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである。いくつかの制限しない実施例は、F、Cl、Br、I、OCOCH、OCOCF、OSOCFおよび他の陰イオンリガンドである。いくつかの制限しない実施例は、F、Cl、Br、I、OCOCH、OCOCF、OSOCFおよび他の陰イオンリガンドである。Yはまた中性溶媒分子、NH、NR、RNSOR等であることができる。Yが中性のとき、複合体は電荷されていて、実施形態を以下に例証するように、Yは溶媒リガンドである:
【0026】
【化7】

【0027】
溶媒リガンド分子の実施例(即ち、Y=溶媒分子)は、アセトン、ジアルキルケトン(例えば2−ブタノン)、環状ケトン(例えばシクロヘキサノン)、THF、アニソール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、CHl2、トルエン、水、ピリジン等を含有するが、制限しない。
【0028】
一般的に好ましい実施形態において、LはCOである。
【0029】
特定の実施形態において、ルテニウム触媒を、以下の一般式1の構造に示す:
【0030】
【化8】

【0031】
別の実施形態において、ルテニウム触媒は一般式Aの触媒のボラン誘導体であり、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)と複合体Aを反応させることによって得られる。ボラン誘導体を、一般式Bの構造で示す。
【0032】
【化9】

【0033】
特定の実施形態において、ボラン誘導体を一般式3の構造に示す。複合体3は、しばしば本明細書に「RuH(BH)(A−Pr−PNP)(CO)」として示す。
【0034】
【化10】

【0035】
本明細書において使用されるように、「1級アルコール」という用語は、一般式RCHOHの化合物とし、Rは有機基である。種々の一級アルコールを、本発明の方法に用いることができる。一実施形態において、アルコールを一般式RCHOHで示し、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリールおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される。いくつかの例示的実施形態において、アルコールはメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、o−、m−またはp−メトキシベンジルアルコール、o−、m−またはp−ハロベンジルアルコール、ピリジン−2−イル−メタノール、2−フリルメタノール、2−フェニルエタノール、2−メトキシエタノール、2−メチル−1−ブタノール、シクロヘキシルメタノール、および3−メチルオキセタン−3−イル)メタノールからなる群から選択される。
【0036】
本明細書に使用するように「アンモニア」という用語を、化合物「NH」とする。通常、アンモニアは、ガスとして用いられる。しかしながら、別の実施形態において、水が反応溶媒として使用されるとき、本発明は水中の水酸化アンモニウム(NH4OH)の溶液の使用を想定するものである。したがって、この実施形態にしたがって、アンモニアを水中の水酸化アンモニウム溶液として提供する。
【0037】
本明細書において使用されるように、「1級アミン」という用語は、一般式RNHの化合物とし、Rは有機基である。1級アミンは、一般的に一般式RNHの化合物であり、Rは有機基である。好ましくは、1級アミンは、一般式RCHNHの化合物であり、Rは有機基である。種々の一級アミンを、本発明の方法にて調製することができる。一実施形態において、本発明の方法から得られる1級アミンは、一般式RCHNHに示され、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリールおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される。
【0038】
本発明の方法は、溶媒の有無にて実施することができる。溶媒が存在するとき、それは水溶性(即ち、水)、有機溶媒またはそれらの混合物であることができる。水および有機溶媒の混合物を使用するとき、溶媒システムは均一な溶液または不均質な混合物を形成することができる。いくつかの有機溶媒の制限しない実施例は、ベンゼン、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、およびメシチレン(1、3、5−トリメチルベンゼン)、ジオキサン、THF、DME(ジメトキシエタン)、アニソールおよびシクロヘキサンである。
【0039】
アンモニアおよび1級アルコールを等量使用することができるが、アンモニアを過度に添加することが好ましい。
【0040】
他の実施形態において、本発明は本発明のルテニウム触媒を調製するための前駆体を提供する。一実施形態において、前駆体を構造式2Aに示す:
【0041】
【化11】

【0042】
それぞれRは、独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールであり;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり;
Xは、アクリジニル部位にいずれかの炭素原子で位置する1、2、3、4、5、6または7の置換基(RおよびRはそれらが結合する炭素と共に、一般式Aのキノリニル部位と結合するフェニル環を示す場合);キノリニル部位にいずれかの炭素原子で位置する1、2、3、4または5の置換基(RおよびRが、それぞれ水素である場合)を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体(例えば二酸化ケイ素)および重合部位(例えばポリスチレン)からなる群から選択される。
【0043】
一般式2Aの特定の実施形態は、化合物であり、それぞれRはイソプロピルであり、 RおよびRは、それらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり、化合物を一般式2の構造として示される。
【0044】
【化12】

【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、1級アルコールおよびアンモニアを前記触媒の存在下にて反応することによって1級アミンおよび水を唯一の生成物として生成する、新規ルテニウム触媒および1級アミンの調製方法に関する。
【0046】
この反応は新規ルテニウム複合体であり、好ましくはキノリニルまたはアクリジニルリガンドに基づいて触媒作用を起こし、塩基または酸の促進剤を必要としない。
【0047】
一実施形態において、ルテニウム触媒は、以下の構造で示され、
【0048】
【化13】

【0049】
およびLが、それぞれ独立してホスフィン(PR);アミン(NR);イミン;硫化物(SR);チオール(SH);スルホキシド(S(=O)R);窒素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロアリール;アルシン(AsR)、スチビン(SbR)ならびに以下の構造で示されるN複素環式カルベンからなる群から選択され:
【0050】
【化14】

【0051】
は、例えばCO、PR、NO、AsR、SbR、SR、ニトリル(RCN)、イソニトリル(RNC)、N、PF、CS、ヘテロアリール(例えば、ピリジン、チオフェン)、テトラヒドロチオフェンである一座配位の2つの電子供与体である。
およびRは、それぞれ水素、またはそれらが一般式Aのキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり;
R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールであり:
Yは、モノアニオン性リガンド、例えばハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、OR、NR;中性溶媒分子NH、NRまたはRNSORであり、Rを上のように規定する。Yが中性のとき、全ての分子が正電荷を有する点に留意すべきである。
【0052】
Xは、アクリジニル部位にいずれかの炭素原子で位置する1、2、3、4、5、6または7の置換基を示し(RおよびRはそれらが結合する炭素と共に、一般式Aのキノリニル部位に縮合するフェニル環を示す場合);
キノリニル部位のいずれかの炭素原子に位置する1、2、3、4または5の置換基(RおよびRが、それぞれ水素である場合)を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体(例えば二酸化ケイ素)および重合部位(例えばポリスチレン)からなる群から選択される。
【0053】
一実施形態において、RおよびRはそれぞれHであり、ルテニウム触媒を以下の構造に示す:
【0054】
【化15】

【0055】
他の実施形態において、RおよびRは、それらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して形成する、共に炭素原子のいずれかであり、ルテニウム触媒を以下の構造に示す:
【0056】
【化16】

【0057】
本発明のルテニウム触媒のいくつかの制限しない実施形態は、以下の通りである:
【0058】
【化17】

【0059】
置換基RおよびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである。いくつかの制限しない実施例は、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、メシチル等である。
【0060】
置換基Yは、モノアニオン性リガンド、例えばハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、ORまたはNRであり、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである。いくつかの制限しない実施例は、F、Cl、Br、I、OCOCH、OCOCF、OSOCFおよび他の陰イオンリガンドである。一般的に好ましいY置換基は、ハロゲン、例えばClである。Yはまた中性溶媒分子、NH、NR、RNSOR等であることができる。
Yが中性のとき、複合体は電荷されていて、実施形態を以下に例証するように、Yは溶媒リガンドである:
【0061】
【化18】

【0062】
実施形態の例において、Yは溶媒であるアセトン、ジアルキルケトン(例えば、2−ブタノン)、環状ケトン(例えばシクロヘキサノン)、THF、アニソール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、CHCl、トルエン、水、ピリジン等を含有するが、制限しない。
【0063】
一般的に好ましい実施形態において、LはCOである。
【0064】
特定の実施形態において、ルテニウム触媒を、以下の一般式1の構造に示す:
【0065】
【化19】

【0066】
一実施形態において、ルテニウム触媒は一般式Aの触媒のボラン誘導体であり、下記の案2に例示するように水酸化ホウ素ナトリウム(NaBH)と化合物Aを反応させて得られる。ボラン誘導体を、一般式Bの構造に示す。
【0067】
【化20】

【0068】
一実施形態において、ボラン誘導体を一般式3の構造に示す:
【0069】
【化21】

【0070】
一般式3のボラン誘導体を、案3のような工程から得ることができる:
【0071】
【化22】

【0072】
触媒が1つ以上のキラル中心を有するとき、全ての立体異性体が本発明の範囲に含有されると解釈される。
【0073】
種々の一級アルコールを、本発明の方法に用いることができる。一実施形態において、アルコールを一般式RCHOHに示し、Rは有機基である。他の実施形態において、アルコールを一般式RCHOHに示し、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アリールオキシアルキルおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される。いくつかの例示的実施形態において、アルコールはメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、o−、m−またはp−メトキシベンジルアルコール、o−、m−またはp−ハロベンジルアルコール、(ピリジン−2−イル)メタノール、2−フリルメタノール、2−フェニルエタノール、2−メトキシエタノール、2−メチル−1−ブタノール、シクロヘキシルメタノール、および(3−メチルオキセタン−3−イル)メタノールからなる群から選択される。
【0074】
種々の一級アミンを、本発明の方法のように調製することができる。一実施形態において、本発明の方法から得られた1級アミンを、一般式RNHに示し、Rは有機基である。他の実施形態において、本発明の方法から得られた1級アミンを一般式RCHNHに示し、Rは有機基である。好ましくは、本発明の方法から得られる1級アミンを、一般式RCHNHに示し、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリールおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される。
【0075】
本発明の方法は、溶媒の有無において実施することができる。溶媒が存在するとき、それは水溶性(即ち、水)、有機溶媒またはそれらの混合物であることができる。水および有機溶媒の混合物を使用するとき、溶媒システムは均一な溶液または不均質な混合物を形成することができる。有機溶媒の制限しない実施例は、ベンゼン、トルエン、o−、m−またはp−キシレンメシチレン(1、3、5トリメチルベンゼン)、ジオキサン、THF、DME、アニソールおよびシクロヘキサンである。一実施形態において、水を反応溶媒として使用するとき、本発明は水中の水酸化アンモニウム(NHOH)の溶液の使用を想定するものである。
【0076】
一級アルコールに対するアンモニアの化学量論的比率は、異なることができ、反応に使用される特定のアルコールおよび溶媒に依存する。一実施形態において、アンモニアおよびアルコールを等モルの量添加することができる。しかしながら、好ましい実施形態において、アンモニアを過度に使用することができる。アンモニアの例示的な量は、1atm〜約100atm、例えば5〜500atm、5〜100atm、5〜20atm、好ましくは7〜10atm、例えば5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10atmである。アルコールの例示的な相当量は、1〜100mmole以上の量、例えば100〜500mmole、好ましくは1〜10mmole、より好ましくは1〜5mmoleである。
【0077】
1級アルコールから1級アミンへの変換に作用するため、本発明の反応を必要な限り実施することができ、例えば1h〜24hまたは24hを越える長さである。温度範囲は、室温から加熱状態までと異なることができ、例えば最高200℃である。
【0078】
他の実施形態において、本発明の方法を、1級アミンおよび1級アルコールの反応による2級アミンの調製に使用することができる。1級アルコールは上記一般式RCHOHのアルコールのいずれかであることができる。1級アミンは、例えば一般式RNHであることができ、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリールおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される。いくつかの例示的実施形態において、1級アミンはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン等からなる群から選択される。この実施形態に従って、結果として生じる2級アミンは、一般式RCHNRHを有する。通常、1級アルコールおよび1級アミンとの2級アミンを生成する反応は、上昇した温度(例えば、160〜180℃)にて、溶媒、例えばキシレンまたはメシチレンで、24から72時間までの一定の時間にて実施する。しかしながら、前記反応は当業者に明白であるが、通常の技術を有する人が考えるように適切に反応条件を最適化することができる。
【0079】
化学的定義
本明細書に使用されるように、アルキルという用語を、単独または他の基の一部として使用し、一実施形態において、「CからC12アルキル」とし、直鎖および分岐、飽和性または不飽和性(例えば、アルケニル、アルキニル)基を意味し、後者はアルキル鎖の炭素原子数が2以上の場合のみであり、混構造を含むことができる。好ましくは、炭素原子1〜6を有するアルキル基(C〜Cアルキル)である。より好ましくは、炭素原子1〜4を有するアルキル基(C〜Cアルキル)である。飽和アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、tert−アミルおよびヘキシルを含有するが、制限しない。アルケニル基の例は、ビニル、アリールおよびブテニル等を含有するが、限定しない。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル等を含有するが、限定しない。同様に「C〜C12アルキレン」という用語は、炭素1〜12の2価ラジカルを意味する。
【0080】
アルキル基は、非置換またはハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルアリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、オキソ基、シクロアルキル基、フェニル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、ナフチル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アルキルヘテロアリールアミノ基、アリールヘテロアリールアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルバモイル基、カルボキサミド基、シアノ基、スルホニル基、スルホニルアミノ基、スルフィニル基、スルフィニルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基もしくはアルキルスルホニル基からなる群から選択された1以上の置換基と置換されたものであることができる。あらゆる置換基を非置換とすることができるか、さらにこれら前記置換基のいずれか一つと置換することができる。実例として、「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基と置換されるアルキルである。
【0081】
本明細書において単独または他の基の一部として使用される「シクロアルキル」という用語は、「C〜Cシクロアルキル」とし、あらゆる不飽和または不飽和(例えば、シクロアルケニル、シクロアルキニル)単環または多環基を意味する。シクロアルキル基の非制限の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロブチルである。シクロアルケニル基の例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を含む。シクロアルキル基は、非置換または上記アルキルとして規定されるあらゆる1以上の置換基と置換することができる。同様に、上記記載のように、「シクロアルキレン」という用語は、2価のシクロアルキルを意味し、シクロアルキルラジカルは、2つの別々の付加的な基を共に結合し、2ヶ所を結合する。アルキルシクロアルキル基は、シクロアルキル基に結合するアルキル基を意味する。
【0082】
本明細書において単独または他の基の一部として使用される「アリール」という用語は、炭素原子の環6〜14を含有する芳香族環系を意味する。アリール環は、単環、二環、三環等であることができる。アリール基の非制限の例は、フェニル、ナフチルであり、1−ナフチルおよび2−ナフチル等を含有する。アリール基は非置換または利用できる炭素原子とアルキルとして上に規定される1以上の基と置換することができる。アルキルアリール基は、アリール基に結合するアルキル基(例えば、ベンジル)を意味する。
【0083】
本明細書において単独または他の基の一部として使用される「ヘテロアリール」は、複素環式芳香族系を意味し、窒素、硫黄および酸素から選択される少なくとも1つのヘテロ原子環原子を含む。ヘテロアリールは、5つ以上の環原子を有する。ヘテロアリール基は、単環、二環、三環等であることができる。またこの語句に含まれるのは、ベンゾヘテロサイクリック環である。窒素が環原子である場合、本発明は同様にヘテロアリールを含有する窒素のN−オキシドとして考えられる。ヘテロアリールの制限しない例は、チエニル、ベンゾ・チエニル、1−ナフトチエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピロールイル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリニル、キノリニル、アクリジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ピペリジニル、カルボリニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル等を含む。ヘテロアリール基は非置換または利用できる原子とアルキルとして上に規定する1以上の基と置換することができる。アルキルヘテロアリール基は、ヘテロアリール基に結合するアルキル基を意味する。
【0084】
本明細書において単独または他の基の一部として使用される「複素環」または「ヘテロシクリル」は、5員〜8員環であり、1〜4のヘテロ原子、例えば酸素、硫黄および/または窒素を有すことを意味する。前記5員〜8員環は、飽和、完全に不飽和または部分的に不飽和であることができる。複素環の非制限の例は、ピペリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾロニル、ピラゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、インドリニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル等を含有する。ヘテロシクリル基は非置換または利用できる原子とアルキルとして上に規定する1以上の基と置換することができる。アルキルヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基に結合するアルキル基を意味する。
【0085】
「アルコキシ」という用語は、酸素に結合するアルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ等とする。「アリールオキシ」という用語は、酸素に結合するアリール、例えばフェノキシ等とする。「ハロゲン」という用語は、F、C、BrまたはIとする。「アミド」という用語を、RCONH、RCONHRまたはRCON(R)とし、本明細書にRを規定する。「エステル」という用語をRCOORとし、Rを本明細書に規定する。「シアノ」という用語を、CN基とする。「ニトロ」という用語を、「NO」基とする。
【0086】
一般式Aのピリジン環に結合する無機担体は、例えば二酸化ケイ素、シリカゲル、ガラス、ガラス繊維、チタニア、酸化ジルコニウム、アルミナおよび酸化ニッケルであることができる。
【0087】
一般式Aのピリジン環に結合するポリマーは、例えばポリオレフィン、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタル酸塩、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレンのランダム共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、シクロオレフィン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS、スチレン−無水マレイン酸共重合体、クロロプレン重合体、イソブチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等から選択することができる。
【0088】
本明細書において使用されるように、「キノリニル」という用語は、以下の構造に示す群とする:
【0089】
【化23】

【0090】
本明細書において使用されるように、「キノリニル」という用語は、以下の構造に示す群とする:
【0091】
【化24】

【0092】
当業者が容易に理解することができ、本明細書に記載されたように、キノリニルまたはアクリジニル官能基は、本発明のルテニウム触媒に結合することができる。
【0093】
例示的方法:ベンジルアルコールをアンモニアとルテニウム触媒1(0.1モル%)の存在下、還流メシチレン中に反応させた(沸点163℃)。表1エントリー1〜3に示すように、アルコールの98%変換を1時間後、収率ベンジルアミン69%およびN−ベンジリデンベンジルアミン28%として観測された。わずかに高収率なベンジルアミンが、長時間の反応において観測された。同様の結果が、比較的低温のp−キシレン(沸点138℃)還流3時間後に観測された(表1、エントリー4)。同期間トルエン(沸点110.5℃)の中にて反応を行ったとき、ベンジルアルコールの変換は効率的でなかったが(表1、エントリー5)、13時間後99%のベンジルアルコールの変換が発生し(表1、エントリー6)、収率87%のベンジルアミンをN−ベンジリデンベンジルアミン(12%)と共に提供した。ジオキサン(沸点100℃)を溶媒として使用して反応温度をさらに低下し、低変換の結果となった(表1、エントリー7)。
【0094】
ルテニウム複合体1による触媒作用を及ぼされたベンジルアルコールおよびアンモニアからのベンジルアミンの直接合成。複合体1(0.01mmol)、ベンジルアルコール(10mmol)、アンモニア(7.5atm)および溶媒(3mL)を、Fischer−Porterフラスコ内にて還流で加熱した。アルコールの変換および生成物の収率をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。
【0095】
【表1】

【0096】
アルコールと比較して上昇したアンモニアの濃度が、イミン形成を減少することがありえるかを調べるため(例えば想定される中間アルデヒドを取り込み、その1級アミンとの反応を防ぐことによって)、トルエン中の複合体1(0.01mmol)、ベンジルアルコール(2.5mmol)およびアンモニア(8atm)を還流下にて、Fischer−Porterチューブの中で、ベンジルアミン(64.6%)およびN−ベンジリデンベンジルアミン(19.3%)を得るために加熱する、一方ベンジルアルコールの変換は84.7%であった(表1、エントリー6と比較)。したがって、アンモニアの濃度を上昇させることは、イミン形成の範囲に影響を及ぼさなかった。
【0097】
1−ヘキサノールを、ベンチマーク基質として、単純な脂肪族アルコールの直接的なアミノ化反応を研究するために選択した。後者の上昇した収率の比較的高度な反応温度および比較的長い反応時間において、1−ヘキシルアミンおよび字ヘキシルアミンが形成された(表2)。反応を還流トルエンで15時間実施し、1−ヘキシルアミンが収率63%にて得られた一方、主な副産物はイミンに一致した(表2、エントリー3)。同じ反応を24時間、ジヘキシルアミン収率の上昇3〜18%の場合である一方、1−ヘキシルアミン収率は58%まで減少した(表2、エントリー4)。
【0098】
ルテニウム複合体1による触媒作用を及ぼされた1−ヘキサノールおよびアンモニアからの1−ヘキシルアミンの直接合成。複合体1(0.01mmol)、1−ヘキサノール(10mmol)、アンモニア(7.5atm)および溶媒(3mL)を、Fischer−Porterフラスコ内にて還流で加熱した。アルコールの変換および生成物の収率をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。
【0099】
【表2】

【0100】
還流トルエン中にて、複合体1(0.1mol%)の触媒作用を及ぼされたアンモニアとアルコールの直接的なアミノ化の範囲を、アルコールに関して研究した(表3)。アリールメタノールは、ベンジルアミンを良好な収率で提供し、容易な反応を経た。ベンゼン環上の電子供与基を有するベンジルアルコール(表3、エントリー1、2)は、電子求引基を有するベンジルアルコール(表3、エントリー3)より比較的速く反応した。電子に豊富なヘテロアリールメタノールは、1級アミンとして優れた選択性を示した。ピリジン2−イルメタノールおよび2−フリルメタノールは、相当する一級アミンにそれぞれ96および94.8%の収率で変換させた(表3、エントリー4、5)。1−ヘキサノールと同様に、1−ペンタノールはまた1−ペンチルアミン(61%)およびジペンチルアミン(34.6%)の形成の結果として生じる(表3、エントリー6)。2−フェニルエタノールが同様に反応したが、2級アミンの形成は特別に有利でなかった(表3、エントリー7)。2−メトキシエタノールは、1級アミンに対して非常に良好な選択性を示し、2−メトキシエチルアミンを94.5%収率にて提供した(表3、エントリー8)。優れた選択性を、アリールおよびヘテロアリールメチルアミンの合成に関して達成した。アルキルアルコールのβ位における立体障害の上昇は、イミンおよび相当する2級アミンの形成を減少し、したがって選択性および1級アミンの収率を上昇した(表3、エントリー9〜11)。(3−メチルオキセタン−3−イル)メタノール(表3、エントリー9)の歪んだ4員環が、完全に残存し、1級アミンの高収率の結果と至る点に留意すべきである。反応は有効に適切なアルコール(neat alcohols)にて、付加的な溶媒も必要とせず生じた(表3、エントリー6,9)。
【0101】
ルテニウム複合体1による触媒作用を及ぼされたアルコールおよびアンモニアからのアミンの直接合成。複合体1(0.01mmol)、アルコール(10mmol)、アンモニア(7.5atm)およびトルエン(3mL)を、Fischer−Porterフラスコ内にて加熱した。アルコールの変換および生成物の収率をガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。
【0102】
【表3】

【0103】
水中の反応における化学量論量の生成が、複合体1による触媒に影響を及ぼさないため、水の反応溶媒としての使用の可能性を調査した。関連して、アンモニアとアルコールの複合体1による直接的なアミノ化は、1級アミンへの優れた選択性と「水上」にて十分に進んだ。水が自然且つ最も環境にやさしいと考えられる溶媒である反面、その触媒への現在の応用は制限されている(28)。非常に過剰な水の存在は、1級アミンのさらなる反応から形成されたイミンを加水分解へと導くことができるため有利であり、従って1級アミンへの選択性を向上した(表4、エントリー1〜3)。ベンジルアルコールおよび2−フェニルエチルアルコールであり、室温で水中に溶解しないものを、加熱して均一な溶液を形成し、従って反応は「水中」とみなされることがありえる。脂肪族アルコール、例えば1−ヘキサノールは、加熱したとしても水に混合できず、反応は「水上」にて生じた(29)(表4、エントリー4)。意外にも、水溶性アルコールが直接的なアミノ化反応に「水中」にて対象としたとき、長期にわたる加熱(30h)後にさえ反応は非常に遅くなり、変換は効率的でなく、トルエンの優れた反応に対してきわめて対照である(表3、エントリー4〜8)。
【0104】
水中および水上におけるルテニウム複合体1による触媒作用を及ぼされたアルコールおよびアンモニアからのアミンの直接合成。複合体1(0.01mmol)、アルコール(10mmol)、アンモニア(7.5atm)および水(3mL)を、Fischer−Porterフラスコ内にて還流加熱した。アルコールの変換および生成物の収率をGCによって分析した。
【0105】
【表4】

【0106】
本出願の発明者は、本発明のルテニウム触媒のボラン誘導体が、また製造過程において本発明に従って1級アルコールから1級アミンへと変換する触媒として作用することをさらに発見した。前記ボラン誘導体が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)とルテニウム触媒の処理によって得られた。例えば、ベンジルアルコールからベンジルアミンへ優れた収率にて変換するため、以下の案4に例示するような複合体3(RuH(BH)(A−Pr−PNP)(CO))を使用することができる。
【0107】
【化25】

【0108】
アンモニアガスの代わりに、水中の水酸化アンモニウム溶液を使用することができる点に留意すべきである。水中での反応は、水溶性および有機層が、冷却すると反応の終わりに分離するため、いくつかの有用な利点を有し、さらなる生成物の精製を減圧蒸留によって実施することができる。直鎖1級アミンの選択性は溶解共力剤、例えば水中のトルエンまたはジオキサンの使用によって改善される(表4、エントリー5〜7)。
【0109】
商業的に重要な1級アミンの選択的合成に加えて、本発明はまた直接アルコールから複雑な天然生成物の合成であり、排出物の生成なしのアミン官能性を付与するための手段を提供する。
【0110】
全ての引用文献の開示を、参照として本明細書に完全に記載するものとして組み込むものとする。
【実施例】
【0111】
実施例1
アクリジンに基づくピンサー型複合体RuHCl(A−Pr−PNP)(CO)1の調製
新規アクリジンに基づくピンサー型複合体RuHCl(A−Pr−PNP)(CO)1を、トルエン中、65℃2時間のRuHCl(PPh(CO)と新規電子の豊富な三座PNPリガンド2の反応によって定量的に調製した(案5)。1の31P{1H}NMRは、シングレットを69.35 ppmにて示した。1のH NMRスペクトルは、トリプレットレゾナンスを−16.09ppmにてRu−Hに対して示す。メチレン陽子「アーム」は、2つのダブルトリプレットを、3.50および5.24pmにて発生する(JHH=12.8Hz、JPH=3.7Hz)。1つのシングレットレゾナンスのアクリジン環のC9Hが、8.15ppmにて、リガンド2相当する陽子(8.61)に関して0.46の高磁場シフトを示し、ルテニウムと複合体形成のためアクリジンの減少した芳香性を示唆して発生する。複合体1の構造は、単結晶X線回折であり、ルテニウム中心の周りの歪んだ八面体結合構造を明らかにしたものによって確定した(30)。複合体形成に応じて、アクリジンはその平面性を緩和し、アリール環の真ん中で折り曲げて、上反角167.6でボート形状を導入する。複合体1が、数ヶ月の間空気中にて安定しているため、実用的な用途に重要である。
【0112】
案5.リガンド2および複合体1の合成。
【0113】
【化26】

【0114】
重要点:a)i.ジイソプロピルホスフィン/MeOH、50℃、48h;ii.トリエチルアミン、室温、1h、83%。b)RuHCl(PPh(CO)/トルエン、65℃、2h、定量的またはRuHCl(PPh(CO)/THF、室温、9h、82%。
【0115】
実施例2
合成方法
一般的な実験
金属複合体およびホスフィンリガンドとの全ての実験を、精製した窒素の雰囲気中のVacuum Atmospheresグローブボックスであり、MO40−2不活性ガス精製機を備えたか、通常のSchlenk方法を使用して実施した。全ての溶剤は、試薬またはそれより良い品質であった。全ての非重水素化溶媒を、ナトリウム/ベンゾフェノンケチルで還流し、アルゴン雰囲気中で蒸留した。重水素化溶媒をそのままの状態で使用した。全ての溶剤はアルゴンで脱気し、グローブボックスにて4Å分子篩を保った。触媒反応にて使用された大半の化学製品は、減圧蒸留によって精製されている。しかしながら、市販品質の試薬が使用されるとき、相当する生成物の収率が得られた。Barnstead NANOpure DiamondTM浄水システムから得られた超高純度の水を、水の触媒作用反応に使用した。4、5−ビス(ブロモメチル)アクリジン(31)およびRuHCl(CO)(PPh(32)を文献の方法にしたがって調製した。
【0116】
H、13Cおよび31P NMRスペクトルが、それぞれ500、100および162MHzにて、Bruker AMX−500NMR分光計を使用して記録された。Hおよび13C{1H}NMR化学シフトが、ppmにおけるテトラメチルシランから低磁場にて報告された。31P NMR化学シフトが、100万分の1におけるHPOから低磁場にて報告され、DOのリン酸の外部85%溶液を基準とした。NMR追跡実験にて使用された略語:b、ブロード(broad);s、シングレット(singlet);d、ダブレット(doublet);t、トリプレット(triplet);q、カルテット(quartet);m、マルチプレット(multiplet)、v、仮想(virtual)。
【0117】

【0118】
4,5−ビス(ジイソ−プロピルホスフィンメチル)アクリジン(2):炉乾燥した撹拌子を備えた100mLSchlenkフラスコに、4,5−ビス(ブロモメチル)アクリジン(3,2g、5.48mmol)、ジイソプロピルホスフィン(1.71g、14.52mmol)および25mLMeOHを加えた。フラスコを密閉し、50℃にて48時間撹拌とともに加熱した。反応混合物を冷却した後、トリエチルアミン(2.20g、21.78mmol)を添加し、反応混合物を、1時間室温で撹拌された。溶媒は、減少した圧力下で、黄色い固体を得るために取り除かれた。鮮やかな黄色の固体を収集するため、残留物をエーテル(4×15mL)と洗浄し、エーテルは減圧力下で取り除かれた。4,5−ビス[(ジイソプロピルホスファニル)メチル]アクリジン(2)2.0g(83%)を得るため、それはペンタン/アセトン混合物から再結晶化された。




【0119】
シグナルの帰属は、DEPT135によって確認された。
【0120】
RuH(Cl)(A−Pr−PNP)(CO)1の合成:RuHCl(PPh(CO)(301mg、0.32mmol)、リガンド2(A−Pr−PNP;153mg、0.35mmol)およびトルエン(20mL)を、窒素雰囲気中で密閉されたSchlenkフラスコに添加された。反応混合物は65℃、2時間加熱した。溶媒を蒸発し、オレンジ色の固体はペンタンと洗浄され、減圧下、オーバーナイトで乾燥され、定量的収率(191mg)において精製された複合体1の結果に至った。
【0121】

シグナルの帰属は、DEPT135によって確認された。IR (KBr, pellet): 2048.7 (vRuH), 1881.9 (vco) cm-1, MS (ESI, MeOH): 569 (100%, (M-Cl)+); MS (ESI, CH3CN): 569 (42%, M-Cl)+, 610 (100%, [(M-Cl)(CH3CN)]+).
【0122】
1の調製のための代替方式:THF(5mL)中のRuHCl(PPh(CO)(95.3mg、0.1mmol)の懸濁液にリガンド2(48mg、0.11mmol)を添加し、混合物を室温で9時間撹拌した。オレンジ色の溶液を濾過し、濾液は、乾燥減圧下にて蒸発された。オレンジ色の固体であり、減圧下にて濾過され、乾燥されたものを沈殿させるため、オレンジ色の残留物を、最小量のTHF(0.5mL)に溶解し、ペンタン(5mL)にゆっくり添加した。
【0123】
RuH(BH)(A−Pr−PNP)(CO)(化合物3)の合成:
窒素雰囲気にて、THF中(3mL)の複合体1(121mg、0.2mmol)の懸濁液に、THF中(2mL)のNaBH(0.21mmol)を添加した。混合物を室温にて2時間撹拌した。無色溶液が濾過され、溶媒は蒸発された。複合体を減圧下、オーバーナイトで乾燥し、AcPNP−ボランルテニウム複合体(一般式3RuH(BH)(A−Pr−PNP)(CO))における定量的収率(117mg)に結果として生じた。この複合体は、NMRおよび単結晶 X 線結晶学によって完全に特徴付けられた。
【0124】

【0125】
アルコールからアミンへの触媒による直接的なアミノ化の一般的な方法:
複合体1(0.01mmol)、アルコール(10mmol)および溶媒(該当する場合、3mL)を90mLFischer−Porterチューブに、精製された窒素の大気中、VacuumAtmospheresグローブボックスにて添加した。チューブを箱の外に取り出し、アンモニア(7.5atm)をFischer−Porterチューブに添加し、反応混合物を防護遮へいでおおわれた油浴で、特定の時間還流した(報告の表1〜3)。室温まで冷却した後、生成物を、HP−5架橋の5%PH MEシロキサンカラム(30mL×0.32mm×0.25μm膜厚)のHP6890シリーズGCシステムを使用して、内部標準法としてトルエンまたはメシチレンでGCによって分析した。
【0126】
アルコールからアミンへの水中での触媒による直接的なアミノ化の一般的な方法:
複合体1(0.01mmol)およびアルコール(10mmol)を、90mL体積のFischer−Porterに精製された窒素雰囲気中、Vacuum Atmospheresグローブボックスにて添加した。Fischer−Porterチューブはグローブボックスから取り出し、脱気水(3mL)をアルゴンの雰囲気中にて添加した。アンモニア(7.5atm)をFischer−Porterに添加し、防護遮へいにおおわれた油浴で、反応混合物を特定の時間還流した(報告の表4)。室温に冷却した後、HP−5架橋された5%PH MEシロキサンカラム(30m×32mm×0.25μm膜厚)のHP6890シリーズGCシステムを使用して、生成物をGCとメシチレンを内部標準として分析した。
【0127】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されていると共に、発明が本明細書に記載の実施形態に制限されていないことが明白である。数々の変更、変化、変異体、置換および等価物は、後に続く請求項に記載されているように本発明の趣旨および範囲に反することなく、当業者に明白である。
【0128】
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30. Structural data of complex 1を、追って開示される。
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32. Ahmad, N.; Levison, J. J.; Robinson, S. D.; Uttley, M. F. Inorg. Synth. 15, 45 (1974).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Aの構造によって示されるルテニウム触媒において、
【化1】

およびLが、それぞれ独立してホスフィン(PR);アミン(NR);イミン;硫化物(SR);チオール(SH);スルホキシド(S(=O)R);窒素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロアリール;アルシン(AsR)、スチビン(SbR)ならびに以下の構造で示されるN複素環式カルベンからなる群から選択され:
【化2】

は、CO、PR、NO、AsR、SbR、SR、ニトリル(RCN)、イソニトリル(RNC)、N、PF、CS、ヘテロアリール、テトラヒドロチオフェンからなる群から選択される一座配位の2つの電子供与体であり;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり;
R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールであり:
Yは、ハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、OR、NR、NH、NR、RNSORまたは中性溶媒分子であり、Rを上記のように規定し;
Xは、アクリジニル部位にいずれかの炭素原子で位置する1,2,3,4,5,6または7の置換基;キノリニル部位にいずれかの炭素原子で位置する1、2、3、4または5の置換基を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体および重合部位、または水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)と前記触媒の反応によって得られる前記触媒のボラン誘導体からなる群から選択される。
【請求項2】
およびRは、それぞれHであり、ルテニウム触媒は以下の構造で示す、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【化3】

【請求項3】
およびRは、共に炭素原子でありそれらがフェニル環を形成し、ルテニウム触媒を以下の構造によって示される、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【化4】

【請求項4】
以下構造のいずれかによって示される、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【化5】

【請求項5】
一般式1の構造によって示される、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【化6】

【請求項6】
一般式Bの構造によって示される、請求項1に記載のルテニウム触媒のボラン誘導体。
【化7】

【請求項7】
一般式3の構造によって示される、請求項6に記載のボラン誘導体。
【化8】

【請求項8】
Yはハロゲンである、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【請求項9】
はCOである、請求項1に記載のルテニウム触媒。
【請求項10】
1級アミンを調製する方法において、請求項1に記載のルテニウム触媒またはそのボラン誘導体の存在下にて1級アルコールおよびアンモニアを反応させて、1級アミンを生成する工程を含有する方法。
【請求項11】
およびRは、それぞれHであり、ルテニウム触媒は以下の構造よって示される、請求項10に記載の方法。
【化9】

【請求項12】
およびRは、共に炭素原子でありそれらがフェニル環を形成し、ルテニウム触媒を以下の構造によって示される、請求項10に記載の方法。
【化10】

【請求項13】
前記ルテニウム触媒は以下の構造のいずれかによって示される、請求項10に記載の方法。
【化11】

【請求項14】
前記ルテニウム触媒は一般式1の構造によって示される、請求項10に記載の方法。
【化12】

【請求項15】
前記ボラン誘導体は一般式Bの構造によって示される、請求項10に記載の方法。
【化13】

【請求項16】
前記ボラン誘導体は一般式3の構造によって示される、請求項15に記載の方法。
【化14】

【請求項17】
前記1級アルコールは、一般式RCHOHで示され、Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリールおよびアルコキシアルキルからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、o−、m−またはp−メトキシベンジルアルコール、o−、m−またはp−ハロベンジルアルコール、ピリジン−2−イル−メタノール、2−フリルメタノール、2−フェニルエタノール、2−メトキシエタノール、2−メチル−1−ブタノール、シクロヘキシルメタノールおよび3−メチルオキセタン−3−イル)メタノールからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応は触媒の存在下にて実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒は水;またはベンゼン、トルエン、o−、m−またはp−キシレン、メシチレン(1、3、5−トリメチルベンゼン)、ジオキサン、THF、DME、アニソールおよびシクロヘキサンからなる群から選択される有機触媒である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒は水であり、アンモニアは水中の水酸化アンモニウムの溶液として付与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒は水および有機溶媒の混合物である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
水および有機溶媒は均一な溶液を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
水および有機溶媒は不均等な混合物を形成する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記反応を溶媒の不存在下にて実行する、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
前記方法を熱または不活性ガス下で実行する、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
過度なアンモニアを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載の一般式Aのルテニウム触媒またはそのボラン誘導体の使用であって、1級アルコールおよびアンモニアを前記触媒の存在下で反応することによってアミンを調製する使用。
【請求項29】
1級アルコールおよびアンモニアを、一般式Aの構造に示されるルテニウム触媒、または前記触媒と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を反応させて得られる前記触媒のボラン誘導体の存在下で反応させて、1級アミンを形成する工程を含有し、
【化15】

およびLは、それぞれ独立してホスフィン(PR);アミン(NR);イミン;硫化物(SR);チオール(SH);スルホキシド(S(=O)R);窒素、硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロアリール;アルシン(AsR);スチビン(SbR)および以下の構造に示されるN複素環式カルベンからなる群から選択される:
【化16】

は、CO、PR、NO、AsR、SbR、SR、ニトリル(RCN)、イソニトリル(RNC)、N、PF、CS、ヘテロアリールおよびテトラヒドロチオフェンからなる群から選択される単座の2つの電子供与体である;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかであり;
R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールであり:
Yはハロゲン、OCOR、OCOCF、OSOR、OSOCF、CN、OH、OR、NR、NH、NR、RNSORまたは中性溶媒分子であり、Rを上記のように規定する;
Xは、アクリジニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4、5、6または7の置換基;またはキノリニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4または5の置換基を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体および重合部位からなる群から選択される
1級アミンを調製する方法。
【請求項30】
【化17】

それぞれのRは、独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかである;
Xは、アクリジニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4、5、6または7の置換基;またはキノリニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4または5の置換基を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体(例えばシリカ)および重合部位(例えばポリスチレン)を示され、
一般式2Aの構造で示される化合物。
【請求項31】
一般式2の構造で示される、請求項30に記載の化合物。
【化18】

【請求項32】
一般式2Aの構造に示される化合物の使用であって、
【化19】

それぞれのRは、独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリルまたはアルキルヘテロアリールである;
およびRは、それぞれ水素、またはそれらがキノリニル部位に結合してアクリジニル部位を形成するフェニル環を付属して示される、共に炭素のいずれかである;
Xは、アクリジニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4、5、6または7の置換基;またはキノリニル部位のいずれかの炭素原子で位置した1、2、3、4または5の置換基を示し、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、アルキルアリール、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、ハロゲン、ニトロ、アミド、エステル、シアノ、アルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、無機担体(例えばシリカ)および重合部位(例えばポリスチレン)を示す、
化合物の使用。
【請求項33】
一般式Bの構造で示されるルテニウム触媒を調製する方法において、請求項1に記載された一般式Aのルテニウム触媒と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を反応させる工程を含有し、
【化20】

、R、L、L、L、YおよびXを請求項1に規定する方法。

【公表番号】特表2011−530408(P2011−530408A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522611(P2011−522611)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000778
【国際公開番号】WO2010/018570
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(502379147)イェダ リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド (14)
【Fターム(参考)】