説明

アルツハイマー型認知症を治療するための方法及び組成物

アルツハイマー型認知症に罹患した患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の最大耐薬量を増加させ、そして従ってその効力を増加させるための方法であって、前記AChEIを非抗コリン性制吐剤と組み合わせて投与することにより、前記患者の中枢神経系において増進されたアセチルコリンエステラーゼ阻害が達成され、そしてそれによって、前記患者におけるアルツハイマー型認知症の症状がより高い度合いまで改善される、前記方法を記載する。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わせたアルツハイマー型認知症の治療用の医薬組成物の調製のための非抗コリン性制吐剤の使用並びに(a)制吐剤として、5HT受容体アンタゴニスト、ドーパミン・アンタゴニスト、H1受容体アンタゴニスト、カンナビノイド・アゴニスト、アプレピタント又はカソピタント、及び(b)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を含んでなる医薬組成物もまた記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー型の認知症に罹患している患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤を制吐剤と組み合わせることによって、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の最大効力及び最大耐薬量を増進させるための方法、又は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わせたアルツハイマー型認知症の治療用医薬組成物調製のための、中枢抗コリン活性を実質的に欠く制吐剤の使用に関する。本発明はまた、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と関連して、アルツハイマー型の疾患における認知症の治療薬などこれらの従来のコリン様治療薬の効力を増加及び延長させ、そしてその毒性を減少させるための制吐剤、特にセロトニン5HT受容体アンタゴニスト化合物を含んでなる、医薬組成物に関する。
【0002】
定義
「AChEI(s)」:アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(群)。
「CNS」:中枢神経系。
【0003】
「PNS」:末梢神経系。
「IR」:活性成分の組成物からの即時放出。
「ER」:活性成分の組成物からの持続放出(extended release)(又は緩慢放出(slow release))。
【0004】
「非抗コリン性剤」は、主に抗コリン性剤としては見なされない制吐剤を指し;これらは抗コリン活性を完全に欠くか、又はアセチルコリンがコリン性受容体部位で作用するのを防ぐ能力が極端に低い。
【0005】
「MTD」:最大(又は最大限)耐薬量、すなわち、許容されえない副作用を引き起こさない薬物又は治療の最高用量。最大耐薬量は、人々の異なる群に対して、許容できる副作用を伴う最高用量が見出されるまで用量を増加している臨床試験において決定される(NCI Drug Dictionary)。
【背景技術】
【0006】
アルツハイマー型の認知症には、限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病認知症、及びレビー小体認知症のような、認知及び行動の機能不全を伴うヒトの関連疾病が含まれる。ほとんどは、進行性の認知障害、多様な神経行動及び/又は神経精神医学系の障害並びに日常生活の活動における制約を特徴とする、ヒトの中枢神経系(CNS)の慢性の神経変性障害である。
【0007】
アルツハイマー病は、最も一般的な認知症の形態である。罹患率の研究は、2000年度に全世界で約2500万人のアルツハイマー病患者がいて、そしてこの数字は、有効な予防又は神経保護治療が現れなければ、2050年までに1億1400万へ増加すると予測されることを示した。発症は、通常、65歳をすぎた人々において起こる。臨床適応症には、日常生活の諸活動を行う能力の低下を伴う、進行性の認知損失及び他の関連した神経行動上の障害が含まれる。
【0008】
おそらくはこの疾患が不均質性であり(heterogenous)、そして遺伝及び環境上の危険因子の複雑な相互作用に相俟った加齢関連の変化を伴うために、孤発性アルツハイマー病の根本原因は知られていない。アルツハイマー病の病態生理を説明すべく進展した現行の仮説は、2つのミスフォールディングしそして凝集したタンパク質である細胞外ベータ・アミロイドと細胞内タウの推定上の有害な作用に注目する。おそらくは、この選択的な神経変性プロセスの結果として、神経伝達物質のアセチルコリンの合成が低下する。この低減は、疑いなく、脳内の正常なシナプス伝達を妨げる。従って、このアセチルコリン不足を正すように作用する薬物が現行の治療の主軸を構成するのである。
【0009】
アルツハイマー型の認知症にはまた、パーキンソン病に関連した認知障害も含まれる。1例はパーキンソン病認知症であり、相対的に晩年に発症する、やはり慢性の進行性中枢神経系(CNS)変性障害である。パーキンソン病それ自体は、主として運動機能に影響を及ぼす。しかし、二次症状には、認知の悪化、特に、実行機能不全が含まれる。
【0010】
パーキンソン病とよく結び付けられる、別のアルツハイマー型認知症は、レビー小体を伴う認知症、又はレビー小体認知症として知られている。今日、レビー小体認知症は、一般的には別の疾患とみなされているが、アルツハイマー病及びパーキンソン病認知症からの識別は、臨床的に難しい場合がある。従って、レビー小体認知症は、診断されないか又はアルツハイマー病又はパーキンソン病認知症と誤診されがちである。レビー小体認知症の臨床症状は、典型的には、皮質及び皮質下の認知障害の1つであり、視空間及び実行機能不全がアルツハイマー病より顕著である。レビー小体認知症の中核的な臨床特徴は、パーキンソニズムに加えて、認知低下に注意変動及び再発性の視覚性幻覚が加わることである。
【0011】
パーキンソン病認知症及びレビー小体認知症のどちらも、神経病理学的には、皮質レビー小体の病理及びシヌクレインタンパク質の沈積の存在を特徴とする。この病因には、遺伝因子がある役割を担うらしい。パーキンソン病認知症及びレビー小体認知症の病理が不均質でそして重複していて、アルツハイマー型及び血管型の諸変化としばしば混同されるのも、驚くことではない。脳アセチルコリン媒介性神経伝達の減少は、上記障害のいずれにも見出される主要な臨床異常と結び付けられてきて、今日、コリン作用性の伝達を刺激するように作用する薬物が治療の主要アプローチを構成する。
【0012】
上記に言及した障害に加えて、中枢神経系のコリン作用性伝達を強める薬物を他の様々な認知障害のために適応外投与することは、普及している。この使用の中には、コリン作用性の機能不全の明確な証拠が現行では相対的にほとんど存在しない認知障害も含まれる。それでも、ますます多くの臨床試験によって、限定されないが、血管型認知症、ダウン症候群、外傷性脳損傷、及び軽度認知障害が含まれる、様々な追加の認知機能障害へAChEI治療を合理的に広げることが今や裏付けられている。
【0013】
上記に注目したように、アルツハイマー型の認知症及び関連障害では、アセチルコリンが含まれる神経伝達物質のレベル低下が報告されてきた。特に、アセチルコリン媒介性伝達の欠損は、これらの障害に関連した認知異常とある種の神経行動異常に寄与すると考えられている。従って、中枢神経系におけるコリン作用性の伝達を強めることが知られている薬物が広く治療に使用されている。
【0014】
今日、AChEIsは、アルツハイマー型認知症に罹患している患者の標準治療法の一部であり、そして他の様々な慢性・進行性の認知機能障害に広く適応外使用されている。AChEIsには、一般的な作用機序として、アセチルコリン媒介性神経伝達の増進がある。いずれも、ヒトの中枢神経系において、アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害することによって、アセチルコリンの利用可能量(availability)を増加してそして持続するように作用する。4種のAChEIsがアルツハイマー病及びパーキンソン病認知症の治療のために米国FDAによって承認されている:タクリン、ドネペジル[Aricept(登録商標)]、リバスチグミン[Exelon(登録商標)]、及びガランタミン[Razadyne(登録商標)]。AChEIsは、錠剤、カプセル剤、及び溶液剤のような即時放出型並びに経口投与用の迅速溶解及び持続放出型並びに非経口(例、経皮)投与用の放出型が含まれる様々な製剤で利用可能である。
【0015】
その他のAChEIs、特にイピダクリンのようなタクリン類似体;フェンセリン及びその類似体;イコペジル;並びにザナペジルについては、評価中である。
現在利用可能なAChEIsによる、中枢神経系中のコリン作用性伝達の増強は、アルツハイマー型認知症の患者へ治療利益を付与する。治療効力は、標準化された尺度を使用して、認知機能不全及びこれらの障害に関連した他の神経行動異常の改善の度合いによって測定可能である。
【0016】
しかしながら、残念なことに、現在利用可能なコリン様医薬品の中で、これらの医薬品をその最大の安全及び耐薬量で投与するときでも、上記に言及した認知障害のいずれかに罹患している患者に対してわずかな臨床利益以上のものをもたらすものはない。このことがアルツハイマー型認知症への現行のAChEI治療の成功を制限している第一の問題である。
【0017】
アルツハイマー型認知症に罹患した患者における、1日あたり5〜10mgの用量のドネペジル(Rogers et al., Neurology 1998, 50, 136-45; Winblad et al. Neurology. 2001 Aug 14; 57(3): 489-95)、1日あたり1〜4及び6〜12mgの用量のリバスチグミン(Rosler et al., Brit. Med. J. 1999, 318, 633-38; Farlow et al. Eur. Neurol., 2000, 44, 236-41)、及び1日あたり8〜32mgの間、通常、1日あたり16〜24mgの間の範囲の用量のガランタミン(Raskind et al., Neurology, 2000, 54, 2261-68; Tariot et al., Neurology, 2000, 54, 2269-76)の慎重に実施された臨床試験では、認知症に関連した認知測定値及び全般測定値に関して、わずかではあるが統計学的には有意な利益が実証された。より最近、リバスチグミンが、1日2回1.5mgの初期用量で、非盲検でパーキンソン病(PD)患者に投与され、そして用量は、4週後に1日2回3mgに増加され、8週後に1日2回4.5mgに、そして試験12週〜26週の間、最大耐薬量での一定のリバスチグミン用量を維持することを試みることによって、12週後に1日2回6mgの最大用量に増加された。著者らによると、リバスチグミンは、運動機能を悪化させることなく、認知症を伴うPD患者の認知機能を改善しうる(Giladi et al., Acta Neurol Scand 2003, 108, 368-373)。
【0018】
アルツハイマー型認知症の現行のAChEI治療の成功を制限している第二の問題は、推奨量であっても、これらの薬物がいずれも、投薬制限性の有害反応をもたらすことである。これらの副作用には、一般的に、上記のAChEIs、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、及びガランタミンに関するものが含まれ;食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、及び体重減少が含まれる(Physicians Desk Reference 2008, Thomson PDR, ニュージャージー州モントベール)。
【0019】
最も頻繁に報告されるリバスチグミンの有害作用は、例えば、胃腸系の有害作用、特に悪心である。この薬物を6〜12mg/日の推奨される治療経口用量範囲で服用する患者の約半数が吐気を催して、そして約1/3が少なくとも1回嘔吐する。嘔吐は、リバスチグミン処置患者の2%で重篤であり、そして14%で軽度又は中等度であった。プラセボ群の患者での1%未満に対し、5%の患者が嘔吐のためにリバスチグミンを中止した。17%の患者で食欲の喪失が報告されて、そしてリバスチグミン治療の間に25%の患者で体重が低下(平均して7〜10ポンド)した。おそらくは、この観察された体重減少には、薬物誘発性の食欲不振、悪心、及び嘔吐が寄与する。これらのやっかいな胃腸系の有害作用は、AChEI治療で生じる他の有害作用とともに、ほとんどの患者においてリバスチグミン投薬量を1日6mg以上に増やすことを困難にしている。
【0020】
有害事象は、AChEI治療の安全性及び忍容性を有意に低下させる。臨床診療においてそれらを制限しようとする試みは、今のところ、AChEI治療を低用量で開始し、その用量をゆっくり増加させることに依っている。それでもやはり、現行の臨床診療では、神経精神医学系疾患の治療に使用されるほとんどの薬物とは対照的に、AChEI投与量は、治療効果によってではなく、主に副作用によって決められる。推奨用量より高い用量の投与は、これらの副作用の頻度及び重篤性を高めるだけでなく、追加の種類の有害反応を招く傾向がある。これらには、コリン様作用薬の高用量投与で通常見出されるものが含まれる。これらの高用量有害作用の頻度及び潜在的な重篤性を考慮して、臨床診療では、AChEIsの最大推奨経口用量が意図的に超えられることはほとんどない。
【0021】
推奨最大1日用量として意図される、これら薬物の推奨最大用量レベルでも、典型的には、アルツハイマー病患者の中枢神経系においてアセチルコリンエステラーゼ阻害は約45%にしか至らないこと(Brannan S et al. ACNP 第46回年次会合、プログラム番号4、フロリダ州ボカラトン、2007年12月10日−「Brannan 2007」)、そしてアセチルコリンエステラーゼ活性の阻害と認知改善は有意に相関していること(Giacobini et al. J Neural Transm. 2002 Jul; 109 (7-8): 1053-65)、そして、通常は、最大の機能効果のためにはより高い度合いで酵素遮断を達成しなければならないこと(Jann et al., Clin Pharmacokinet. 2002; 41(10): 719-39−「Jann 2002」)が報告されている。
【0022】
一方、リバスチグミンの用量を2倍にすること(このことは、即時放出錠剤によるAChEI投与を、ピーク血液レベルを緩やかにすることによって副作用を減らす皮膚パッチ剤に置き換えることにより臨床的に現実的となる)は、アルツハイマー病の患者において、副作用を増やすことなく、認知改善の量を有意に高めた。
【0023】
これらの有害作用はまた、用量制限性であるために、AChEI治療の効力を制約する。ヒト認知機能不全の動物モデルでの諸研究は、アセチルコリンエステラーゼ阻害の量と認知改善の度合いの間に正の用量反応関係があることを示している(Bennett BM et al., Neuropsychopharmacology. 2007 Mar; 32(3): 505-13)。アルツハイマー病のヒト患者における認知及び行動症状に対するAChEIの効果に関しても、同様の結論が導かれてきた(Jann 2002; Winblad B, Cummings J, Andreasen N, Grossberg G, Onofrj M, Sadowsky C, Zechner S, Nagel J, Lane R. Int J Geriatr Psychiatry. 2007 May; 22(5): 456-67)。
【0024】
AChEI治療によって誘導される嘔吐及び関連胃腸症状の正確な原因は知られていない。おそらく、これらは、AChEI投与に伴うコリン作用性受容体過剰刺激を反映する。嘔吐は、脳の基底部に位置する中枢において調整される。嘔吐中枢は、近傍の化学受容体誘発帯と連絡しあい、その該帯の刺激は、食欲不振、悪心及び嘔吐などの胃腸障害などの愁訴につながりうる。多くのセロトニン5−HT3及びドーパミンD2受容体並びにアセチルコリン、オピオイド及びサブスタンスP受容体を含有する化学受容体誘発帯は、血液脳関門の外側に位置する。従って、これらの又は関連する伝達物質受容体部位で作用する、全身投与された制吐剤は、中枢神経系に進入不能な場合であっても、嘔吐を阻害することが可能である。
【0025】
先行技術
AChEIのタクリンでのアルツハイマー病の治療における末梢性コリン作用性の胃腸の副作用(特に、激しい腹痛、悪心、嘔吐、及び下痢)を併発した4名の患者に関する報告には、AChEIの副作用を軽減することの利益が記載されている(Faber et al. Am J Psychiatry 156: 1, 1999, 156頁−「Faber 1999」)。これらの有害事象は、1日4回、7.5mg〜15mgを服用する抗コリン作用薬、プロパンテリン(Pro−Banthine(登録商標))の併用によって改善された。これらの結果に基づいて、著者らは、コリンエステラーゼ阻害剤によるやっかいな胃腸のコリン性作用を有する患者でのプロパンテリンの併用を推奨した。
【0026】
既知の制吐剤を用いて、これらのGI有害事象に利益を与えるいくつかの報告が刊行されてきている。例えば、Jhee SS, Clin Neuropharmacol. 2002 Mar-Apr;25(2): 122-3, "Centrally acting antiemetics mitigate nausea and vomiting in patients with Alzheimer's disease who receive rivastigmine";及びScarzella L, Funct Neurol. 2007 Apr- Jun;22(2): 101-4を参照されたい。
【0027】
それでも、このアルツハイマー型認知症の治療を改善するための上記の一般的なコンセプトの適用は、これらの障害に罹患している患者に対して限られた利益しか提供しない。プロパンテリン及びドンペリドンなどの制吐剤並びに他のものを単に同時に使用すると、副作用を弱める可能性がある一方、アルツハイマー型認知症の治療に対する、このアセチルコリンエステラーゼ・アプローチの完全な治療ポテンシャルは十分に達成されない。Faber et al. による、使用に選択されたこの抗コリン作用薬に関してはいくつかの大きな問題がある:(1)きわめて服薬履行性が悪い認知症の患者における現行の使用実情としては、制吐剤の作用時間が短すぎたこと;そして(2)これらの報告では、特に胃腸の、有害事象を減少させることによって、AChEI用量を増加させ、そしてそれによって効力を増進することが可能でありうることが開示も又は示唆もされていないこと。
【0028】
これらの論文は、制吐剤を用いて、主に、AChEI用量を推奨最大用量レベルより高く上昇させ、そして従って抗認知症効力を改善させることを、言及も又は示唆もしていない。
【0029】
要約すると、文献は、プロパンテリンで達成される、Faber 1999 によって発見された副作用軽減、又は制吐剤で達成される悪心/嘔吐副作用軽減を利用して、前記AChEIの用量を、推奨される最大用量レベルより高く増加させ、そして同時に神経行動機能及び生活の質を改善することを可能にすることによって、他のやり方では不十分なAChEIへの治療応答の大きさ及び/又は期間を改善しうることを開示も又は示唆もしていない。これまでは、この方向での試みがなされなかったのである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Neurology 1998, 50, 136-45;
【非特許文献2】Neurology. 2001 Aug 14; 57(3): 489-95
【非特許文献3】Brit. Med. J. 1999, 318, 633-38
【非特許文献4】Eur. Neurol., 2000, 44, 236-41
【非特許文献5】Neurology, 2000, 54, 2261-68
【非特許文献6】Neurology, 2000, 54, 2269-76
【非特許文献7】Acta Neurol Scand 2003, 108, 368-373
【非特許文献8】ACNP 第46回年次会合、プログラム番号4、フロリダ州ボカラトン、2007年12月10日−「Brannan 2007」
【非特許文献9】J Neural Transm. 2002 Jul; 109 (7-8): 1053-65
【非特許文献10】Clin Pharmacokinet. 2002; 41(10): 719-39−「Jann 2002」
【非特許文献11】Neuropsychopharmacology. 2007 Mar; 32(3): 505-13
【非特許文献12】Int J Geriatr Psychiatry. 2007 May; 22(5): 456-67
【非特許文献13】Faber et al. Am J Psychiatry 156: 1, 1999, 156頁−「Faber 1999」
【非特許文献14】Clin Neuropharmacol. 2002 Mar-Apr;25(2): 122-3
【非特許文献15】Funct Neurol. 2007 Apr- Jun;22(2): 101-4
【発明の概要】
【0031】
ヒト認知機能の動物モデルにて、AChEIsの量及び臨床的に妥当な用量範囲で得られる認知改善の度合いとの間に用量相関関係があることを示している、上記に引用した既報の諸研究の結果を考慮すると、AChEIsの用量制限性の副作用を抑制又は消失させることが可能であれば、より高い用量の投与により、同時に安全性又は忍容性に顕著な有害効果を及ぼさずに、大いに必要とされる治療効果を増大させ、そして薬物作用時間を延長させることが可能になると仮定される。
【0032】
先行技術全体によって教示されているように、AChEIの中枢活性をかなり減弱することなく、しかしその効力を増幅することもなく、その副作用に対処するのに対し、副作用を全体的に同時に抑制することによりAChEIの治療効果を増加(すなわち効力を増加)させるという意味で、本発明に従った治療アプローチは、先行技術によって教示されるアプローチとは逆である。
【0033】
このように、AChEIを、上記に定義されている非抗コリン性制吐剤と組み合わせて患者に投与することにより、アルツハイマー型認知症の症状を有する患者で前記症状を改善するということにおいてAChEIの効果を最大にすることが実際に可能であることが見出されてきている。この定義の目的のため、非抗コリン性制吐剤は、アトロピンが有するアセチルコリン遮断及びコリン性受容体刺激の臨床効果に影響を及ぼす効力の20パーセント未満、好ましくは5パーセント未満のものであろう。
【0034】
特に、本発明に従って、非抗コリン性制吐剤は、AChEIと組み合わし、前記AChEIの用量を制限する副作用を、除去に至るまでを含めて減少させ、それにより、AChEIの治療用量の、特にAChEIの推奨される最大用量レベルの驚くべき増加を可能にし、そしてその結果、その治療効果を増加させる。
【0035】
驚くべきことに、制吐剤/AChEIの組合せ治療によって、現行の最大耐薬量又は最大推奨量より高いAChEI用量レベルで、そして嘔吐を防止するために現在用いられているものに等しいか又はそれより低い制吐剤用量でも、コリン様有効性の最大化が達成されることも見出された。
【0036】
最後に、アルツハイマー型認知症症状に罹患している患者において、その重篤な副作用のためにAChEI治療を中止した患者又はもはやAChEI治療に反応しなくなっている患者の場合であっても、薬理活性量のAChEI及び薬理活性量の非抗コリン性制吐剤を医薬担体と組み合わせて含んでなる医薬組成物は、前記症状を改善することが見出されてきており、従って患者の生活の質の改善だけでなく、それらの症状を客観的で、そしてかつては実現されなかったほど改善すると言える。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、中枢性嘔吐中枢及び化学受容体誘発帯並びに末梢部位での嘔吐及び嘔吐関連症状を媒介するコリン性受容体も同時に刺激する結果として生じる、アルツハイマー型認知症のコリン様治療の一般的な有害事象を軽減することによって、アルツハイマー型認知症に対する従来のコリン性治療の効力を増強するために改善された方法を提起する。コリン様治療より生じる、悪心/嘔吐副作用を阻害するよう作用する、非抗コリン性制吐剤には、その有害作用を抑えるポテンシャルがあるため、より高いコリン様治療薬の用量が投与可能であり、より高く、そしてより延長された抗認知症効力がもたらされる。有利な薬理作用期間を有する非抗コリン性制吐剤と持続放出性のコリン様薬を単一剤形において組み合わせることによって、さらに長い作用期間という患者にとっての利益もまた達成される。
【0038】
このように、本発明の目的は、アルツハイマー型認知症に罹患している患者において、併発する明らかな有害作用を伴わずに、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の最大耐薬量を、そして従ってその治療効果を増幅するための方法を提供することであり、前記方法は、前記AChEIを非抗コリン性制吐剤と組み合わせて前記患者へ投与することを含む。それによって、前記患者の中枢神経系においてアセチルコリンエステラーゼ阻害の増進が達成され、そして前記患者におけるアルツハイマー型認知症の症状は改善される。
【0039】
本発明はまた、AChEIと組み合わせた、アルツハイマー型認知症の治療用に使用するための非抗コリン性制吐剤を提供し、これにより前記AChEIの最大耐薬量は増進され、中枢神経系中でのより高い度合いのアセチルコリンエステラーゼ阻害が達成されて、そしてアルツハイマー型認知症の症状は、より大きな程度まで改善される。
【0040】
アルツハイマー型認知症の症状を改善する際の非抗コリン性制吐剤の効力は、前記制吐剤がすべてのAChEIsの治療用量の最大4倍までの増加を可能にするという事実による。従って、本発明に従って、アルツハイマー型認知症の非抗コリン性制吐剤/AChEIの組み合わせ治療において、単独で投与された際の前記AChEIの最大耐薬量又は推奨される最大用量レベルよりも高い用量レベル、前記AChEIの治療用量よりも最大4倍まで、そして特に、アルツハイマー型認知症の治療において、AChEIの現在推奨される1日用量よりも1.5〜3倍高い用量レベルで投与することによって、AChEI治療効果は増加する。
【0041】
より詳細には、本発明は、アルツハイマー型認知症に罹患した患者において、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の治療効果を増加させるための方法であって、前記患者に、前記AChEI用量レベルの用量制限性副作用を、除去に至るまでを含めて減少させる化合物と組み合わせて、推奨最大用量レベルよりも高い用量レベルの前記AChEIを前記患者に投与する工程を含み、前記化合物が非抗コリン性制吐剤である、前記方法を提供する。
【0042】
本発明はさらに、最大耐薬量又は推奨される最大用量レベルよりも高い用量レベルで患者に投与されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わせた、アルツハイマー型認知症に罹患した患者の治療用に使用するための非抗コリン性制吐剤を提供する。
【0043】
本発明はまた、推奨される用量よりも1.5〜3倍高い用量レベルで患者に投与されるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わせた、アルツハイマー型認知症に罹患した患者の治療用に使用するための非抗コリン性制吐剤も提供する。
【0044】
さらに、本発明は、アルツハイマー型認知症に罹患した患者の中枢神経系において、より高いアセチルコリンエステラーゼ阻害を誘導するための医薬組成物であって、前記患者が、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を、単独で投与された際に達成可能である最大耐薬量よりも高い用量で服用する、前記組成物を提供する。
【0045】
さらに、本発明は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の最大推奨用量レベルを増加させるため、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなる、医薬組成物であって、前記AChEIが、アルツハイマー型認知症に罹患した患者に、前記組成物と同時に又は連続して投与される、前記組成物を提供する。
【0046】
最後に、本発明は、アルツハイマー型認知症に罹患した患者の治療用の、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなる、医薬組成物であって、前記患者が、推奨される用量より1.5〜3倍高い用量でアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)を同時に又は連続して服用する、前記組成物を提供する。
【0047】
上述のように、本発明に従って、最大耐薬量又は推奨される最大用量レベルのこうした驚くべき増加は、アルツハイマー型認知症に罹患した患者の状態の同様に驚くべき改善を誘導しつつ、同時に起こる認識されうる有害事象を伴わずに達成される。
【0048】
AChEI
前記AChEIsは、1,2,3,4−テトラヒドロ−9−アクリジンアミン(タクリン)、9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]キノリン(イピダクリン);(±)−2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン(ドネペジル)及び医薬的に許容されうるその塩、特に塩酸塩、3−[2−(1−ベンジル−4−ピペリジル)エチル]−5,7−ジヒドロ−6H−ピロロ[3,2−f]−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−オン(イコペジル)及び医薬的に許容されうるその塩、特にマレイン酸塩、3−[1−ベンジルピペリジン−4−イル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンザゼピン−8−イル)プロパン−1−オン(ザナペジル)及び医薬的に許容されうるその塩、特にフマル酸塩、(S)−N−エチル−N−メチル−3−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−フェニルカルバメート(リバスチグミン)及び医薬的に許容されうるその塩、特に(2R,3R)−酒石酸水素塩、4aS,6R,8aS−3−メトキシ−11−メチル−4a,5,9,10,11,12−ヘキサヒドロキシ−6H−ベンゾフロ[3a,3,2−e,f]ベンザピン−6−オール(ガランタミン)及び医薬的に許容されうるその塩;(1R,9S,13E)−1−アミノ−13−エチリデン−11−メチル−6−アザトリシクロ[7.3.1.02,7]トリデカ−2(7),3,10−トリエン−5−オン(ヒュペルジンA)並びに一般式I:
【0049】
【化1】

【0050】
[式中、Qは、(C−C)アルキル又はメトキシ基で場合によって置換されるフェニル基であり、Zは、酸素又はイオウ原子、或いはN−E’基であり、E及びE’は、独立して、水素であるか又は、フェニル若しくはベンジル基で場合によって置換される]によって含まれる、フェンセリン及びその類似体のように、この適応症のために現在使用されているか又は試験されているものである。
【0051】
US6,683,105に記載されている例示の式(I)のAChEIsは、フェンセリン(Q=フェニル;E=CH;Z=N−CH);(−)−N,N−ビスノルフェンセリン(Q=フェニル;E=H;Z=N−H);4’−メトキシフェンセリン(Q=4’−メトキシフェニル;E=CH;Z=N−CH);(−)−N,N−ビスベンジルノルフェンセリン(Q=フェニル;E=CH;Z=N−CH);トルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=N−CH);N−ベンジルノルトルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=N−CH−C);N−フェネチルノルトルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=N−CH−CH−C);N−ノルトルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=N−H);N−ベンジルノルトルセリン(Q=o−トリル;E=N−CH−C;Z=N−CH);N−フェネチルノルトルセリン(Q=o−トリル;E=N−CH−CH−C;Z=N−CH);N−ノルトルセリン(Q=o−トリル;E=H;Z=N−CH);N,N−ビスノルトルセリン(Q=o−トリル;E=H;Z=N−H);(−)−N,N−ビスベンジルノルトルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=N−CH);シムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=N−CH);N−ベンジルノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=N−CH−C);N−フェネチルノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=N−CH−CH−C);N−ノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=N−H);N−ベンジルノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=N−CH−C;Z=N−CH);N−フェネチルノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=N−CHCH;Z=NCH);N−ノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=H;Z=N−CH);N,N−ビスノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=H;Z=N−H);(−)−N,N−ビスベンジルノルシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=N−CH);チアシムセリン(Q=p−イソプロピルフェニル;E=CH;Z=S);チアトルセリン(Q=o−トリル;E=CH;Z=S)である。
【0052】
アルツハイマー型の認知症を改善するため、塩酸ドネペジル、リバスチグミン(2R,3R)−酒石酸水素塩、及び臭化水素酸ガランタミンが最も用いられるAChEIであり、酒石酸フェンセリン及びヒュペルジンAもまた、有利なAChEIである。
【0053】
本発明に従って、前記AChEIは、単独で投与された際の同じAChEIの最大耐薬量又は推奨される最大用量レベルよりも高い1日用量で投与され、特に現在の治療用量よりも最大4倍まで高い用量で、好ましくはアルツハイマー型認知症の治療において現在用いられている最大推奨AChEI用量よりも1.5〜3倍高い用量で、投与される。
【0054】
好ましくは、IR調製中で投与される際の上述の有利なAChEIsの中で、酒石酸としてのフェンセリンは、45mg〜90mg、有利には60mg〜90mg、最大120mgまでの1日用量で投与され;タクリンは240mg〜320mg、有利には320mg〜480mg、最大640mgまでの1日用量で投与され;塩酸塩としてのドネペジルは、15〜30mg、有利には20mg〜30mg、最大40mgまでの1日用量で投与され;酒石酸水素塩としてのリバスチグミンは、18mg〜36mg、有利には24mg〜36mg、最大48mgまでの1日用量で投与され;臭化水素酸塩としてのガランタミンは、36mg〜72mg、有利には48mg〜72mg、最大96mgまでの1日用量で投与され;ヒュペルジンAは、0.2mg〜0.8mg、有利には0.6mg〜0.8mg、最大1.2mgまでの1日用量で投与される。
【0055】
非抗コリン性制吐剤
本発明に従って、中枢抗コリン作用効果を実質的に欠く任意の制吐剤は、AchEIの治療用量の有効増加を可能にし、その効力を改善することが可能である。
【0056】
典型的な非抗コリン性制吐剤は
−5−HT受容体アンタゴニスト(5HT3アンタゴニスト)、例えば9−メチル−3−[(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)メチル]−1,2,3,9−テトラヒドロカルバゾール−4−オン(オンダンセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩二水和物、EP 191562記載; 3S−オンダンセトロン; 3R−オンダンセトロン; (3R)−10−オキソ−8−アザトリシクロ[5.3.1.03.8]ウンデク−5−イル1H−インドール−3−カルボキシレート(ドラセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にそのモノメタンスルホン酸塩(メシル酸塩(mesylate又はmesilate))一水和物、EP 266730記載; 1−メチル−N−(9−メチル−9−アザビシクロ[3.3.1]ノン−3−イル)−インダゾール−3−カルボキサミド(グラニセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、EP 200444記載; [(1S,5S)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]1H−インドール−3−カルボキシレート(トロピセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその一塩酸塩、US 4789673記載; 1−フェニルメチル−2−ピペラジニル−1H−ベンズイミダゾール(レリセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、EP 512939記載; (R)−5−[(1−メチル−3−インドリル)カルボニル]−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ベンズイミダゾール(ラモセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、US 5,344,927記載; (3aR)−2−[(3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル]−2,3,3a,4,5,6−ヘキサヒドロ−1H−ベンズ[デ]イソキノリン−1−オン(パロノセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、US 5,202,333記載; 2,3,4,5−テトラヒドロ−5−メチル−2−[(5−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)メチル]−1H−ピリド[4,3−b]インドール−1−オン(アロセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、US 5,360,800記載;並びに(±)−6−クロロ−,3,4−ジヒドロ−4−メチル−3−オキソ−N−(キヌクリジニル)−2H−1,4−ベンゾキサジン−8−カルボキサミド(アザセトロン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩、US 4,892,872記載;これらは、中枢神経系及び胃腸管におけるセロトニン受容体遮断剤であることが知られ、そして術後並びに細胞傷害性薬物の悪心及び嘔吐を治療するための使用が提唱されてきている;
−ドーパミン・アンタゴニスト(「DA−アンタゴニスト」)、例えば、5−クロロ−1−(1−[3−(2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−1−イル)プロピル]ピペリジン−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−オン(ドンペリドン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にそのマレイン酸塩; 1−[1−[4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−ブチル]−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−4−イル]−3H−ベンゾイミダゾール−2−オン(ドロペリドール); 4−[4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジル]−1−(4−フルオロフェニル)−ブタン−1−オン(ハロペリドール); 3−(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)−N,N−ジメチル−プロパン−1−アミン(クロルプロマジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩; 2−クロロ−10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−10H−フェノチアジン(プロクロルペラジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にそのジマレイン酸塩、ジメシル酸塩、又は1,2−エタンジスルホン酸塩(1:1)(エジシル酸塩);ジメチル[1−(10H−フェノチアジン−10−イル)プロパン−2−イル]アミン(プロメタジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩; 4−アミノ−5−クロロ−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2−メトキシベンズアミド(メトクロプラミド)のような4−アミノサリチルアミド及びベンズアミド誘導体並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えばその一塩酸塩一水和物; 4−アミノ−5−ブロモ−N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−2−メトキシベンズアミド(ブロモプリド)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその一塩酸塩、及びその二塩酸塩一水和物; 4−アミノ−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−5−クロロ−2−メトキシベンズアミド(クレボプリド)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にそのリンゴ酸塩、又はその塩酸塩一水和物; N−[(1−アリルピロリジン−2−イル)メチル]−6−メトキシ−1H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−5−カルボキサミド(アリザプリド)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩; (L)−2−メトキシ−N−((1−プロピルピロリジン−2−イル)メチル)−5−スルファモイルベンズアミド(レボスルピリド); N−{[4−(2−ジメチルアミノエトキシ)フェニル]メチル}−3,4,5−トリメトキシ−ベンズアミド(トリメトベンズアミド)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩;これらは、脳において、そして特に化学受容体誘発帯で作用し、そして新生物疾患、放射線病、オピオイド、細胞傷害性薬物及び全身麻酔に関連する悪心及び嘔吐を治療するのに使用されることが知られる;
−H1ヒスタミン受容体アンタゴニスト(「HI−アンタゴニスト」)、例えば1−[(4−クロロフェニル)−フェニル−メチル]−4−[(3−メチルフェニル)メチル]ピペラジン(メクリジン又はメクロジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその二塩酸塩一水和物;ジメチル[1−(10H−フェノチアジン−10−イル)プロパン−2−イル]アミン(プロメタジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にその塩酸塩; 3−(2−クロロ−10H−フェノチアジン−10−イル)−N,N−ジメチル−プロパン−1−アミン(クロルプロマジン)又はその塩、特にその塩酸塩; 2−クロロ−10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−10H−フェノチアジン(プロクロルペラジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にそのジマレイン酸塩、ジメシル酸塩、又は1,2−エタンジスルホン酸塩(1:1)(エジシル酸塩);並びに2−(2−{4−[(4−クロロフェニル)(フェニル)メチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)エタノール(ヒドロキシジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えばその塩酸塩又は1,1’−メチレン−ビス(2−ヒドロキシ−3−ナフタレンカルボン酸塩(パモ酸塩)、これらは、乗り物酔い及び妊娠中の重度のつわりを含む多くの状態において有効であることが知られる;
−カンナビノイド受容体アゴニスト(「カンナビノイド類」)、例えばカンナビス; (6aR−トランス)−6a,7,8,10a−テトラヒドロ−6,6,9−トリメチル−3−ペンチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−1−オール(ドロナビノール); (6aR,10aR)−rel−3−(1,1−ジメチルヘプチル)−6,6a,7,8,10,10a−ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ,6,6−ジメチル−9H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−オン(ナビロン);及び(−)−シス−3−[2−ヒドロキシ−4−(1,1−ジメチルヘプチル)−フェニル]−トランス−4−(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサノール(CP 55,940);これらは悪液質並びに細胞傷害性悪心及び嘔吐の患者において用いられることが知られる;
−ニューロキニン1受容体のアンタゴニスト(NK1アンタゴニスト)、例えば、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(アプレピタント);及び(2S,4S)−4−(4−アセチル−1−ピペラジニル)−N−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル]−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−N−メチル−1−ピペリジンカルボキサミド(カソピタント);これらは、中枢及び末梢神経系両方においてニューロキニン−1受容体遮断剤であることが知られ、そして細胞傷害性薬物の悪心及び嘔吐を治療するための使用に提唱されてきている。
【0057】
有利には、用いられる非抗コリン性制吐剤は、少なくとも6時間、有利には8〜24時間、より有利には10〜24時間、好ましくは12〜24時間の作用期間を持つ化合物であるが、同時に投与されるAChEIの作用期間に対応する適切な作用期間を有する非抗コリン性制吐剤が成功裡に使用可能である。
【0058】
本発明に従って、非抗コリン性制吐剤は、制吐適応症において現在推奨されるIR用量の50%〜300%の用量であり、、即時放出単位形態では50%〜200%の用量、一方、持続放出又は経皮適用可能単位形態では75%〜300%の用量であると解釈される。こうした用量は、胃腸障害、特に食欲不振、悪心又は嘔吐の臨床的に重大な症状を伴わずに、アルツハイマー型認知症に罹患した患者に対して、AChEIを現在の最大耐薬量よりも高い1日用量、特に、少なくとも現在推奨される用量と同程度に高い、そして好ましくは前記の現在推奨される用量よりも高い用量、特にAChEIの前記の推奨される用量の100%〜300%、そして好ましくは150%又は200%、最大300%の用量を用いて、コリン様効力の最大化を可能にするであろう。
【0059】
1つの態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき非抗コリン性制吐剤は、0.25mg〜6mgの1日用量(アロセトロンにして)のアロセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;50mg〜300mgの1日用量(ドラセトロンにして)のドラセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1mg〜6mgの1日用量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;12mg〜72mgの1日用量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;並びに2.5mg〜15mgの1日用量(トロピセトロンにして)のトロピセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物からなる群より選択される、5HT3アンタゴニストである。
【0060】
別の態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき非抗コリン性制吐剤は、15mg〜90mgの1日用量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.25mg〜60mgの1日用量のハロペリドール;25mg〜450mgの1日用量(クロルプロマジンにして)のクロルプロマジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;7.5mgから120〜150mgの1日用量(プロクロルペラジンにして)のプロクロルペラジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;15mg〜90mgの1日用量(メトクロプラミドにして)の4−アミノサリチルアミド誘導体メトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;10mg〜180mgの1日用量(ブロモプリドにして)のブロモプリド;0.75mg〜4.5mgの1日用量(クレボプリドにして)のクレボプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;37.5mg〜900mgの1日用量のレボスルピリド;25mg〜600mgの1日用量(アリザプリドにして)のアリザプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;並びに450mg〜3,600mgの1日用量(トリメトベンズアミドにして)のトリメトベンズアミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物からなる群より選択される、ドーパミン・アンタゴニストである。
【0061】
別の態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき非抗コリン性制吐剤は、12.5mg〜300mgの1日用量(メクロジンにして)のメクリジン(メクロジンとも呼ばれる)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;並びに12.5mg〜112.5mgの1日用量(プロメタジンにして)のプロメタジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物からなる群より選択される、H1ヒスタミン受容体アンタゴニストである。
【0062】
別の態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき非抗コリン性制吐剤は、1.25mg〜60mgの1日用量のドロナビノール、及び1mg〜12mgの1日用量のナビロンからなる群より選択される、カンナビノイド受容体アゴニストである。
【0063】
別の態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき制吐作用を有する非抗コリン性剤は、40mg〜375mgの1日用量のアプレピタント;及び25mg〜450mgの1日用量のカソピタントからなる群より選択される、ニューロキニン1受容体アンタゴニストである。
【0064】
本発明の有利な態様に従って、AChEIを用いた治療を受けている患者に投与されるべき制吐作用を有する非抗コリン性剤は、既知の技術に従って、特に例えばUS 6,562,363又はWO 2006/028866に記載されるように製造された、2mg/24時間〜6mg/24時間のグラニセトロンを送達する経皮デバイス中のグラニセトロン又は医薬的に許容されうるその塩である。
【0065】
アルツハイマー型認知症に罹患した患者に対する、制吐作用を有する非抗コリン性剤の投与によって、胃腸障害の臨床的に重大な症状、特に食欲不振、悪心又は嘔吐を伴わずに、AChEIの最大推奨用量での治療が可能になり、そしてまたその推奨用量より高い用量で、例えば推奨用量の1.1倍から2〜3倍で、前記患者を治療することが可能になり、またその前記用量は単独で使用された際の最大AChEI耐薬量よりも高い用量での治療が可能になる、従って、前記患者における認知症症状を有意に改善する。
【0066】
臨床評価
非抗コリン性制吐剤が、AChEIsの最大治療耐薬量の増加を可能にするという事実は、健常志願者における、ドネペジル、リバスチグミン又はガランタミンなどのAChEI剤単独並びにオンダンセトロン、メクリジン、プロメタジン、ドンペリドン、メトクロプラミド又はアプレピタントなどの非抗コリン性制吐剤とAChEIの併用の、ランダム化対照安全性、忍容性、薬物動態学的及び薬力学的試験の結果に起因する。
【0067】
プロトコルは、健常志願者における、リバスチグミン単独(代表的AChEIとして)、及びオンダンセトロン(代表的非抗コリン性制吐剤として)との併用にて標準用量を増加させる第1相試験であり、主要評価項目として、単剤治療としてのリバスチグミン最大耐薬量及びオンダンセトロンと併用されたリバスチグミンの最大耐薬量の間の相違を決定し、二次評価項目は有害事象プロファイル及び薬物血漿レベルである。
【0068】
リバスチグミン(2R,3R)−酒石酸水素塩(該試験においては単に、リバスチグミンと呼ぶ)及びオンダンセトロン一塩酸塩二水和物(該試験においては単に、オンダンセトロンと呼ぶ)の両方の標準的な認可経口剤型を用いる。目的:3mg〜12mgの範囲の1日経口用量で単独投与された場合、そして最大24mgまでの1日経口用量のオンダンセトロンと併用投与された際の、リバスチグミンの最大耐薬量(MTD)、安全性及び忍容性並びに薬物動態学的及び薬力学的プロファイルを決定すること。MTDは、このプロトコルの目的のため、明らかな嘔吐、又は許容されえない吐気を生じる用量、或いは研究主任研究者によって再投与が医学的に不適切であると見なされる用量の少し手前のリバスチグミン用量と定義される。いかなる志願者も、この研究を離脱可能であり、或いはいかなる投薬又は処置も拒絶可能であることが、繰り返し表明される。
【0069】
志願者は、両端を含めて年齢18〜80歳の、全身状態が優れていると見なされる、男性及び女性である。他併用薬の投薬は認められない。
試験は、単一施設で、志願者に対して行われる、ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー及び平行群用量範囲非治療研究であろう。志願者は、A群又はB群いずれかにランダム化された後、盲検条件下で評価される。
【0070】
全試験中、リバスチグミン又はリバスチグミンプラセボ、及びオンダンセトロン又はオンダンセトロンプラセボの経口用量を、8AM頃に1日1回、最大10日間、同時投与するであろう。すべての被験者は、投与前8時間の間(名目上、真夜中)及び薬物投与の4時間後(名目上、正午)まで、絶食下で維持される。医学的に適切であると見なされるように、リバスチグミンの1日用量は、3mgで始まり、そして最大12mgまでの範囲で3mgずつ増量する。毎日の投薬は、被験者が嘔吐するか、許容されえない吐気を示すか、さらなる研究投薬を拒絶するか、又は主任研究者が医学的理由のためにさらなる投薬を終結させるまで続く。オンダンセトロンの1日用量は24mgであり、リバスチグミンと同時に、1日1回投与される。オンダンセトロン不耐性の場合、主任研究者の意見によって、オンダンセトロンの1日用量を12mgに減少させ、そして維持してもよい。
【0071】
A群にランダム化された志願者は、1日あたり3mgで開始して、そして忍容される限り、各研究日に最大1日あたり12mgまで3mgずつ増加された単回1日用量を投与される。単剤治療としてのリバスチグミンのMTD(上に定義するとおり)が決定されたら、同時オンダンセトロン投与を1日あたり24mgの用量で開始し、そして各研究日に、この用量で続ける。オンダンセトロン導入翌日、先に決定したMTDでリバスチグミン投与を再開し、そして忍容される限り、各研究日に最大1日あたり12mgまで3mgずつ上昇させる。志願者がオンダンセトロンと組み合わせて投与された際のリバスチグミンのMTDに到達したら、各志願者に関して研究を終了する。
【0072】
B群にランダム化された志願者は、まず、12mgの1日用量で与えられ、そして次いで、忍容される限り、研究第2日に24mgまで増加して、そして維持される、オンダンセトロンを投与される。次いで、同時に投与されるリバスチグミンの1日用量を導入し、3mgで開始し、そして忍容される限り、各研究日に、各被験者のMTD又は12mgのいずれか先に到達するほうまで3mgずつ増量させる。
【0073】
各研究日の間、すべての被験者は、一定数の同様の外見のリバスチグミン又はリバスチグミンプラセボカプセル、及びオンダンセトロン又はオンダンセトロンプラセボ錠剤を1日1回投与される。研究被験者及び施設スタッフのどちらも、研究中のどの時点でも、投与される薬物タイプ又は量に関してまったく情報を得ない。医学的に資格がある研究者からの命令に従って、担当者(attendant)によって、薬物が投与され、そしてコンプライアンスが保証される。どちらも、研究被験者とも、又はこれらの被験者と接触する者とも、情報交換しないであろう。
【0074】
薬物投薬は、主任研究者によって医学的に適切であると見なされるように、上記の投薬スケジュールにしたがうであろう。リバスチグミン及びオンダンセトロン両方の標準的な認可経口剤形が用いられるであろう。プラセボ錠剤(又はカプセル)は、活性薬物錠剤(又はカプセル)と類似の外見を有するであろう。すべての薬物は、朝の0800時頃に1日1回、経口投与されるであろう。試験日、被験者は、0000時(真夜中)から薬物投与の少なくとも4時間後(約1200時)まで、絶食下で維持されるであろう。
【0075】
安全性及び忍容性は、被験者からの報告によって並びに医療スタッフの観察及び測定によって、試験薬物投与前、投与中及び投与後に評価される。既往歴及び理学的検査、バイタルサイン及びラボラトリー検査を含む医学的処置は、スクリーニング時、及び最後の薬物投与のほぼ7日後の追跡来院時に実行される。いくつかの医学的処置がさらに、各試験日に行われる。
【0076】
各試験日中、すべての被験者は、薬物投与直前から薬物投与4時間後まで、又はすべての医学的に重大な試験に関連する異常が治まるまで、連続して観察され続ける。各試験日中、以下の試験を行う:薬物投与直前及び2時間後又はいかなる異常も治まるまで、全身の検査(用いた薬物の既知の有害事象に焦点を当てる)、及びバイタルサイン(座位収縮期及び拡張期血圧並びに橈骨動脈脈拍数)。入院時、及びリバスチグミンMTD投与2時間後に再び、12誘導ECGを実施する。ラボラトリー検査には、試験初日及び最終日の、検尿及び静脈血試料のルーチン評価(絶食時血糖、血液尿素窒素、クレアチニン、肝臓トランスアミナーゼ、アルカリホスファターゼ及びビリルビンを含む)が含まれる。
【0077】
以下の有害事象を観察する:
(a)食欲不振又は悪心。毎日、0(なし)から5(非常に重度)の数値スケールで、ピーク用量期間(薬物投与1〜2時間後)の試験被験者からの反応に従って、ピーク用量期間(経口薬物投与1〜2時間後)中に盲検観察者が評価。
【0078】
(b)吐気。毎日、盲検観察者によって証言されるようなピーク用量期間中になし又はありいずれかとして評価。
(c)嘔吐。毎日、盲検観察者によって証言されるように、ピーク用量期間中になし又はありいずれかとして評価。
【0079】
(d)その他。試験被験者からの反応:下痢、腹痛、咳又は他の呼吸器障害、胸痛、動悸、排尿障害又は他の尿障害、視野のぼやけ、意識朦朧(light headedness)、失神、傾眠、焦燥、錯乱に従い、盲検被験者がなし又ありいずれかとしての評価。
【0080】
薬物動態学的測定のため、静脈血試料を各被験者から3回採取する:(1)最初のリバスチグミン投与直前のベースライン時、(2)リバスチグミンMTD投与の75分後のピーク用量時、及び(3)MTDリバスチグミン投与4時間後。すべての標本を遠心分離し、そして血清を分離し、そして続くアッセイのため、凍結保存する。
【0081】
試験完了者及びintent−to−treat(ITT)集団の両方において、主要結果の解析を行う。ITT集団には、ベースライン評価及び少なくとも1回のランダム化後評価の各々を受けた、すべてのランダム化被験者が含まれるであろう。
【0082】
被験者内及び2つの治療群各々に割り当てられた被験者間の両方で、記述統計学を用いて、単独で投与された際及びオンダンセトロンとともに投与された際の、リバスチグミンのMTDの相違を解析する。
【0083】
安全性パラメータを解析して、リバスチグミン単剤治療、及びリバスチグミンにオンダンセトロンを加えた治療群の間の相違を比較する。
これらのパラメータには、治療により発現した有害事象、バイタルサイン、ルーチンのラボラトリー検査、及びECG測定が含まれる。
【0084】
非抗コリン性制吐剤を含有する組成物
意図される使用のため、抗コリン性制吐剤は、活性成分として、医薬担体と混合された非抗コリン性制吐剤を含んでなる医薬組成物中に製剤化される。
【0085】
経口投与のためのIR又はER単位形態、或いは非経口、すなわち筋内、静脈内、直腸又は経皮投与のための単位形態において、前記組成物を前記医薬担体とともに製剤化してもよい。
【0086】
非抗コリン性制吐剤は、従来達成された限界を超えて、疾患関連認知症及び他の神経行動学的症状を最大限に緩和するのに十分なAChEIの用量を投与することによって引き起こされるであろう末梢媒介胃腸有害事象を減少させる量で存在する。
【0087】
有利には、これらの医薬組成物は、悪心、嘔吐又は乗り物酔いなどの治療に現在用いられる組成物中で用いられる投薬量の50%〜300%の量の非抗コリン性制吐剤活性成分を含んでなる。本発明に従って、非抗コリン性制吐剤を用いて組成物を調製すると、特に、推奨されるAChEIの1日用量の1.5倍から最大3倍を、アルツハイマー型認知症に罹患した患者に投与することによって、胃腸障害、特に食欲不振、悪心又は嘔吐の臨床的に重大な症状を伴わずに、現在の最大耐薬量よりも高いAChEI用量を用いた、コリン様効力の最大化が可能になり、従って、認知症症状の有意な改善が可能になる。
【0088】
組成物は好ましくは、経口又は非経口、特に経皮投与のための投薬単位形態で製剤化され、ここで、非抗コリン性制吐剤活性成分は医薬担体と混合される。
本発明に従って、同時に又は連続して投与されるAChEIの現在用いられる用量の、そしてまた最大耐薬量の増加もまた可能にすることによって、前記治療用量の前記増加を妨害する副作用を伴わずに、アルツハイマー型認知症の症状をより高い度合いまで改善するため、非抗コリン性制吐剤を用いて調製される医薬組成物は、アルツハイマー型認知症の症状の治療に適応される。
【0089】
前記医薬組成物において、非抗コリン性制吐剤は、悪心、嘔吐又は乗り物酔いなどの障害の治療のために、現在投与されるIR投薬単位形態に含有される前記非抗コリン性制吐剤の量の50%〜300%の量で存在する。より詳細には、非抗コリン性制吐剤は、IR単位形態では、上に引用する障害の治療のために、現在投与されるIR投薬単位形態に含有される前記非抗コリン性制吐剤の量の50%〜200%の範囲の量で、又はER単位形態では、上に引用する障害の治療のために、現在投与されるIR投薬単位形態に含有される前記非抗コリン性制吐剤の量の75%〜300%の範囲の量で存在する。
【0090】
前記医薬組成物中の有利な非抗コリン性制吐剤は、0.25mg〜3mgの量(アロセトロンにして)のアロセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;25mg〜300mgの量(ドラセトロンにして)のドラセトロン及び医薬的に許容されうるその塩;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン及び医薬的に許容されうるその塩;2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;2.5mg〜15mgの量(トロピセトロンにして)のトロピセトロン及び医薬的に許容されうるその塩;5mg〜3mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜30mgの量のハロペリドール;12.5mg〜300mgの量(クロルプロマジンにして)のクロルプロマジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;2.5mg〜30mgの量のプロクロルペラジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(ブロモプリドにして)のブロモプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.25mg〜1.5mgの量(クレボプリドにして)のクレボプリド及び医薬的に許容されうるその塩;12.5mg〜300mgの量のレボスルピリド;25mg〜150mgの量(アリザプリドにして)のアリザプリド及び医薬的に許容されうるその塩;150mg〜900mgの量(トリメトベンズアミドにして)のトリメトベンズアミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;6.25mg〜150mgの量(メクリジンにして)のメクリジン(メクロジンとも呼ばれる)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;12.5mg〜150mgの量(プロメタジンにして)のプロメタジン及び医薬的に許容されうるその塩;1.25mg〜30mgの量のドロナビノール、0.25mg〜3mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの量のカソピタントからなる群からなる群より選択される。
【0091】
固定用量の組み合わせ
有利な態様に従って、本発明に従った抗コリン性制吐剤を使用することによって調製される医薬組成物は、他の活性成分、特に、中枢神経系においてコリン作用剤として作用してアルツハイマー型認知症の症状を改善するAChEIもまた、治療関連の有害作用をほとんど伴わずに、疾患関連の神経行動症状を最大限に緩和するのに十分な量で含有する、単位形態でも存在する。
【0092】
このように、本発明の別の目的は:
(a)非抗コリン性制吐剤;及び
(b)AChEI
を医薬担体と混合して含んでなる医薬単位形態を提供することである。
【0093】
本発明の医薬単位形態において、非抗コリン性制吐剤、成分(a)は、現在用いられているブランド又はジェネリック薬物の単独活性成分として含有される前記非抗コリン性制吐剤の量の50%〜300%の量で存在する。
【0094】
好ましい態様に従って、前記成分(a)は、(a1)5HT3アンタゴニスト、(a2)DAアンタゴニスト、(a3)H1アンタゴニスト、(a4)カンナビノイド類、(a5)アプレピタント及び(a6)カソピタントからなる群より選択される、非抗コリン性制吐剤である。
【0095】
本発明に従ったアルツハイマー型のヒト認知症の治療を改善させる医薬組成物は、成分(a)である非抗コリン性制吐剤及び成分(b)であるAChEI、の混合物であって、成分(b)が、疾患関連神経行動学的症状を最大限に緩和するのに十分な量で存在し、そして成分(a)が、非抗コリン性制吐剤を伴わずに投与された場合にAChEIによって引き起こされるであろう有害事象を減少させる、第二の量で存在する、前記混合物を含んでもよい。
【0096】
疾患に関連する認知及び他の神経行動学的症状を最大限に緩和するのに十分な成分(b)の前記量は、現在用いられているブランド又はジェネリックAChEIsに含有される最大用量の、1〜3倍、有利には1.5倍〜3倍、好ましくは2〜3倍である。
【0097】
成分(a)に関しては、典型的な5HT3アンタゴニスト非抗コリン性制吐剤(a1)は、EP 191562に記載される化合物、特にオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;EP 200444に記載される化合物、特にグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;EP 266730に記載される化合物、特にドラセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;US 4,789,673に記載される化合物、特にトロピセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;そしてEP 430190に記載される化合物、特にパロノセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物である。
【0098】
典型的なDAアンタゴニスト(a2)は、ドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えばマレイン酸塩;クロルプロマジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩;プロクロルペラジン並びにその塩及び溶媒和物、特にジマレイン酸塩及びジメシル酸塩;プロメタジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩;並びに、メトクロプラミドなどの4−アミノサリチルアミド誘導体並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩一水和物、ブロモプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば一塩酸塩又は二塩酸塩一水和物、アリザプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩並びにクレボプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えばリンゴ酸塩及び塩酸塩一水和物である。
【0099】
典型的なヒスタミンH1受容体アンタゴニスト(a3)は、メクリジン(メクロジン)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩一水和物; プロメタジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩;クロルプロマジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば塩酸塩、プロクロルペラジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えばジマレイン酸塩、ジメシル酸塩、又は1,2−エタンジスルホン酸塩(1:1)(エジシル酸塩);ヒドロキシジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば二塩酸塩、又は1,1’−メチレン−ビス(2−ヒドロキシ−3−ナフタレンカルボン酸塩(パモ酸塩)である。
【0100】
典型的なカンナビノイド類(a4)はナビロン及びドロナビノールである。
前記の典型的な非抗コリン性制吐剤は、医薬組成物中、成分(a)として、IR形態において、制吐適応症のため、対応する、現在用いられるジェネリック又はブランド薬物に含有される前記の典型的な非抗コリン性制吐剤の最小量の50%〜最大量の300%の範囲の量で存在する。
【0101】
有利な成分(a)は、0.25mg〜3mgの量(アロセトロンにして)のアロセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;25mg〜300mgの量(ドラセトロンにして)のドラセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にメシル酸塩;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩二水和物;2.5mg〜15mgの量のトロピセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;5mg〜30mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜30mgの量のハロペリドール;12.5mg〜75mgの量(クロルプロマジンにして)のクロルプロマジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;2.5mgから30mgの量(プロクロルペラジンにして)のプロクロルペラジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特にジマレイン酸塩;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に一塩酸塩一水和物;5mg〜30mgの量(ブロモプリドにして)のブロモプリド並びに医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、特に一塩酸塩及び二塩酸塩一水和物;0.25mg〜1.5mgの量(クレボプリドにして)のクレボプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に一塩酸塩一水和物;12.5mg〜300mgの量のレボスルピリド;25mg〜150mgの量(アリザプリドにして)のアリザプリド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;150mg〜900mgの量(トリメトベンズアミドにして)のトリメトベンズアミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、例えば一塩酸塩;6.25mg〜150mgの量(メクリジンにして)のメクリジン(メクロジンとも呼ばれる)並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;12.5mg〜150mgの量(プロメタジンにして)のプロメタジン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物、特に塩酸塩;1.25mg〜60mgの用量のドロナビノール、1mg〜12mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの用量のカソピタントからなる群からなる群より選択される。
【0102】
好ましい成分(a)は、2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1.25mg〜30mgの量のドロナビノール;0.25mg〜3mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの量のカソピタントからなる群からなる群より選択される。
【0103】
成分(b)に関しては、典型的なAChEIsは、1,2,3,4−テトラヒドロ−9−アクリジンアミン(タクリン)、9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]キノリン(イピダクリン);(±)−2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン(ドネペジル)及び医薬的に許容されうるその塩、(S)−N−エチル−N−メチル−3−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−フェニルカルバメート(リバスチグミン)及び医薬的に許容されうるその塩、4aS,6R,8aS−3−メトキシ−11−メチル−4a,5,9,10,11,12−ヘキサヒドロキシ−6H−ベンゾフロ[3a,3,2−e,f]ベンザピン−6−オール(ガランタミン)及び医薬的に許容されうるその塩;(1R,9S,13E)−1−アミノ−13−エチリデン−11−メチル−6−アザトリシクロ[7.3.1.02,7]トリデカ−2(7),3,10−トリエン−5−オン(ヒュペルジンA)並びに(3aS,8aR)−1,2,3,3a,8,8a−ヘキサヒドロ−1,3a,8−トリメチルピロロ[2,3−b]インドール−5−オール5−(N−フェニルカルバメート)及び医薬的に許容されうるその塩(フェンセリン)及び一般式Iにより含まれるその類似体である。
【0104】
有利なAChEIsには、アルツハイマー型の認知症に罹患している患者への標準治療の今や一部であり、そして他の様々な認知機能の慢性進行性障害に適応外でも広く使用されているものが含まれる。AChEIsは、一般的な作用機序として、アセチルコリン媒介性神経伝達の増進を有する。いずれも、タクリン;ヒュペルジンA;ドネペジル;ドネペジルの医薬的に許容されうる塩、特にその塩酸塩;イコペジル、イコペジルの医薬的に許容されうる塩、特にそのマレイン酸塩;ザナペジル;ザナペジルの医薬的に許容されうる塩、特にそのフマル酸塩;リバスチグミン;リバスチグミンの医薬的に許容されうる塩、特にその酒石酸水素塩;ガランタミン;ガランタミンの医薬的に許容されうる塩、特にその臭化水素酸塩のように、ヒトの中枢神経系において、アセチルコリンの分解酵素、アセチルコリンエステラーゼを阻害することによって、その利用可能量(アベイラビリティ)を高めてそして延長させるように作用する。
【0105】
好ましい成分(b)は、フェンセリン及び医薬的に許容されうるその塩;タクリン;ヒュペルジンA;ドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩;リバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩、特にその(2R,3R)−酒石酸水素塩(酒石酸リバスチグミン);ガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩、特に臭化水素酸塩からなる群より選択されるAChEIであり、最後の3つのAChEIs及び医薬的に許容されうるそれらの塩からなる群が特に好ましい。上記に示したように、これらのAChEIsは、その薬理学的プロファイル並びにアセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼへのその親和性において様々である。
【0106】
本発明の単位形態において、即時放出又は持続放出のため、制吐性成分(a)は、嘔吐又は乗り物酔いなどの障害の治療のために現在投与されるIR投薬単位形態中に含有される前記制吐剤の量の50%〜300%の量で存在する。
【0107】
より詳細には、非抗コリン性制吐剤は、IR単位形態中、上に引用する障害の治療のために現在投与されるIR投薬単位形態中に含有される前記制吐剤の最大量の50%〜200%の範囲の量で存在し、又は、ER単位形態中、上に引用する障害の治療のために現在投与されるIR投薬単位形態の75%〜300%の範囲の量で存在する。
【0108】
例えば、成分(a)として用いられる有利な非抗コリン性制吐剤の中で、オンダンセトロン或いは医薬的に許容されうるその塩又は溶媒和物、特にその塩酸塩二水和物は、IR単位形態中の投薬型単位あたり2mg〜16mgの量(オンダンセトロンにして)で、又はER単位形態中、3mg〜24mg、好ましくは8mg〜24mgの量で存在し;アロセトロン又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり0.25mg〜2mgの量(アロセトロンにして)で、又はER単位形態中、0.375mg〜3mg、好ましくは1mg〜3mgの量で存在し;トロピセトロン又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり2.5mg〜10mgの量(トロピセトロンにして)で、又はER単位形態中、3.75mg〜15mg、好ましくは5mg〜24mgの量で存在し;グラニセトロン又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり0.5mg〜2mgの量(グラニセトロンにして)で、又はER単位形態中、0.75mg〜3mg、好ましくは1mg〜3mgの量で存在し;ドラセトロン又は医薬的に許容されうるその塩、特にそのメシル酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり25mg〜200mgの量(ドラセトロンにして)で、又はER単位形態中、37.5mg〜300mg、好ましくは100mg〜300mgの量で存在し;ドンペリドン又は医薬的に許容されうるその塩、特にそのマレイン酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり5mg〜20mgの量(ドンペリドンにして)で、又はER単位形態中、7.5mg〜60mg、好ましくは10mg〜60mgの量で存在し;メトクロプラミド或いは医薬的に許容されうるその塩又は溶媒和物、特にその一塩酸塩一水和物は、IR単位形態中の投薬型単位あたり5mg〜20mgの量(メトクロプラミドにして)で、又はER単位形態中、7.5mg〜30mg、好ましくは10.0mg〜30.0mgの量で存在し;アリザプリド又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり25mg〜100mgの量(アリザプリドにして)で、又はER単位形態中、37.5mg〜300mg、好ましくは100mg〜300mgの量で存在し;メクリジン又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり6.25mg〜100mgの量(メクリジンにして)で、又はER単位形態中、37.5mg〜150mg、好ましくは50mg〜150mgの量で存在し;クロルプロマジン又は医薬的に許容されうるその塩、特にその塩酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり12.5mg〜200mgの量(クロルプロマジンにして)で、又はER単位形態中、75mg〜300mg、好ましくは150mg〜300mgの量で存在し;プロクロルペラジン又は医薬的に許容されうるその塩、特にそのマレイン酸塩は、IR単位形態中の投薬型単位あたり6.25mg〜100mgの量(プロクロルペラジンにして)で、又はER単位形態中、37.5mg〜150mg、好ましくは50mg〜150mgの量で存在し;ドロナビノールは、IR単位形態中の投薬型単位あたり1.25mg〜20mgの量で、又はER単位形態中、1.8mg〜60mg、好ましくは2.5mg〜60mgの量で存在し;ナビロンは、IR単位形態中の投薬型単位あたり0.25mg〜2mgの量で、又はIR単位形態中、0.75mg〜3mgの量で存在し;アプレピタントは、IR単位形態中の投薬型単位あたり20mg〜250mgの量で、又はER単位形態中、30mg〜750mg、好ましくは125mg〜500mgの量で存在し;そしてカソピタントは、IR単位形態中の投薬型単位あたり25mg〜150mgの量で存在する。
【0109】
好ましい成分(a)は、2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1.25mg〜30mgの量のドロナビノール;0.25mg〜3mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの量のカソピタントからなる群より選択される非抗コリン性制吐剤である。
【0110】
即時放出又は持続放出のための単位形態において、AChEI成分(b)は、アルツハイマー型認知症の治療のために現在投与されるIR又はER投薬単位形態に含有される前記AChEIの量の100%〜300%の量で存在する。
【0111】
より詳細には、AChEI成分(b)は、アルツハイマー型認知症の対症療法のために現在投与されるIR投薬単位形態に含有される前記AChEIの量の約100%〜約300%、好ましくは150%〜300%の範囲の量で、IR単位形態中に存在する。
【0112】
例えば、本発明に従って、好ましい成分(b)の中で、フェンセリン又は医薬的に許容されうるその塩、好ましくは酒石酸塩は、投薬単位あたり、15mg〜45mg、有利には22.5mg〜45mg、好ましくは30mg〜45mgの量(フェンセリンにして)で存在し;タクリンは、投薬単位あたり、10mg〜120mg、有利には40mg〜120mg、好ましくは60mg〜120mgの量で存在し;ヒュペルジンAは、投薬単位あたり、50μg〜400μg、通常、50μg〜150μg、有利には75μg〜150μg、好ましくは100μg〜150μg、そして最適には200μg〜400μgの量で存在し;ドネペジル又は医薬的に許容されうるその塩、好ましくは塩酸塩は、投薬単位あたり、5mg〜30mg、有利には10mg〜30mg、好ましくは15mg〜30mgの量(ドネペジルにして)で存在し;リバスチグミン又は医薬的に許容されうるその塩、好ましくは酒石酸水素塩は、用量単位あたり、1.5mg〜18mg、有利には6mg〜18mg、好ましくは9mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)で存在し;そしてガランタミン又は医薬的に許容されうるその塩、好ましくは臭化水素酸塩は、投薬単位あたり、4mg〜36mg、有利には12mg〜36mg、好ましくは16mg〜36mgの量(ガランタミンにして)で存在する。
【0113】
AChEI成分(b)はまた、アルツハイマー型認知症の治療のために現在投与されるER単位投薬形態に含有される前記AChEIの量の100%〜300%の範囲の量で、そして現在投与されるIR投薬単位形態の約250%〜600%に対応する量で、ER単位形態中に存在する。
【0114】
例えば、好ましい成分(b)の中で、リバスチグミンは(その酒石酸水素塩として)、10mg/24時間〜24mg/24時間、好ましくは15mg/24時間〜24mg/24時間を放出するパッチ剤として、ER形態中に存在し;そしてガランタミンは(その臭化水素酸塩として)、投薬単位あたり、24mg〜72mg、好ましくは48mg〜72mgの量で、ER経口単位形態で存在する。
【0115】
有利には、前記AChEIは、単独で投与されるとき、同じAChEIの最大耐薬量又は推奨最大1日用量より高い用量レベルで投与可能であり、そして好ましくは、アルツハイマー型認知症の治療において現在推奨される量より1.5〜3倍高いものである。
【0116】
製剤
本発明の単位形態は、錠剤、カプセル剤、経口投与用に予め測定した容量の液体溶液剤又は懸濁液剤、或いは経皮適用のためのパッチ剤であってよい。前記単位形態において、制吐剤及びAChEIは、既知の技術に従って、医薬組成物中の医薬担体と混合して、一緒に混合しても分離させてもよい。
【0117】
成分(a)及び成分(b)は、経口使用のための既知製剤において従来の医薬担体とともに製剤化されて、ここで前記成分は、例えば、カプセル剤又は2コンパートメントカプセル剤に導入される2つの錠剤、或いは多層(二層)錠剤において一緒に混合されるか又は分離され、ここでこの2つの成分は、既知の技術に従って、ともにIR又はER形態であるか、又は2つの成分の一方がIR形態にあって、そして他方がER形態にある。
【0118】
医薬担体及び媒体は、経口、頬内、及び非経口、特に経皮の投与のための組成物の調製に通常使用されるものである。適正な単位形態は、錠剤、軟又は硬ゼラチンカプセル剤、サシェ剤中の散剤又は顆粒剤、及び適切に測定された経口溶液剤又は懸濁液剤のような経口形態並びに経皮投与用のパッチ剤を含む。
【0119】
成分(a)及び成分(b)はまた、シクロデキストリン、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、又はメチル−β−シクロデキストリンとのその複合体の1つの形態で存在してよい。
【0120】
成分(a)及び成分(b)はまた、場合によって1以上の担体又は添加剤を伴う、マイクロカプセル剤の形態で製剤化可能である。
経口投与では、成分(a)及び成分(b)は、一緒に又は別々に、その活性成分を、前記活性成分を錠剤、糖衣錠剤、経口崩壊錠剤、カプセル剤、液体溶液剤又は懸濁液剤、シロップ剤等に製剤化することを可能にする従来の医薬的に許容されうる担体と混合することによって製剤化される。
【0121】
IR錠剤用の担体には、例えば、デンプン、セルロース及びその誘導体;タルク、ステアリン酸、又はステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;タルク、粉末化セルロース、乳糖、トウモロコシデンプン又はコーンスターチのようなデンプン、マンニトール、ソルビトールのような希釈剤;微結晶性セルロース又はクロスポビドンのような崩壊剤;ポリエチレングリコール又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤(lubrifiants);メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸塩のようなリガンド;サッカロース、デキストロース、マンニトール、サッカリンのような甘味剤;又は天然若しくは合成オイル剤のような香味剤が含まれる。
【0122】
経口崩壊錠剤用の担体には、例えば、滑沢剤、凝集剤、甘味剤、香味剤、又は脱凝集剤並びに、ソルビトール、マンニトール、乳糖、及びセルロースのように、成分(a)及び(b)の頬内粘膜吸収を向上させる剤が含まれる。
【0123】
液体、通常は水性の懸濁液剤又は溶液剤用の担体には、例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルピロリドンのような濃化剤、メチルパラベン、エチルパラベン、エチレンジアミノ四酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、又はソルビン酸のアルカリ塩のような保存剤並びに香味剤及び甘味剤が含まれる。
【0124】
経口崩壊錠剤及び液体の懸濁液剤又は溶液剤に含有される甘味剤は、ショ糖、デキストロース、キシリトール、マンニトール、又はソルビトールのような、場合によって還元されている天然糖、或いは、サッカリンナトリウム又はアスパルテームのような合成産物であってよい。
【0125】
香味剤は、合成オイル及び天然オイルの医薬的に許容されうるフレーバー及びテイストであり、後者は、シナモン、ペパーミント、アニス及びシトロンの葉、苦味扁桃、柑橘類、特にオレンジ及び/又はレモン、リンデン及びグレープフルーツのオイルといった、植物、葉、花、果実、及びこれらの組合せより抽出される。また、チョコレート、バニラ、又はユーカリのフレーバー並びに、果実、特に、リンゴ、洋ナシ、モモ、イチゴ、チェリー、アプリコット、オレンジ、レモン、及びブドウのエキスも、有利に使用可能である。
【0126】
本発明による組成物は、本明細書の上記に記載のように、2つの錠剤を含有するカプセル剤の形態であってよく、そのうちの一方は成分(a)を含んでなり、そして他方は成分(b)を含んでなる。
【0127】
非抗コリン性制吐剤及びAChEIの会合物(association)は、この2つの成分の一方又は両方が、例えば前記成分のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はフィルムコート微顆粒剤中の分散剤として制御放出製剤にある錠剤に製剤化可能である。有利にも、AChEIは、ER製剤において、錠芯にあり、そして非抗コリン性制吐剤は、IR製剤において、多層錠剤の外層にあり、ここでは、例えば、錠芯及び外層がともにフィルムでコートされている。同様に、一方が成分(a)をIR又はER製剤において含有して、そして他方が成分(b)をIR又はER製剤において含有する、2つの別々の部分より作製されるカプセル剤も使用可能である。
【0128】
ER錠剤の担体及び媒体には、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、又はナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ゴム;ワックス;グリセリド又は脂肪族アルコール、或いはこれらの混合物のような放出遅延(retardant)材料が含まれる。
【0129】
特に、本発明の単位形態は
−成分(a)として、2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及びその溶媒和物;25mg〜300mgの量(ドラセトロンにして)のドラセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;25mg〜150mgの量(アリザプリドにして)のアリザプリド及び医薬的に許容されうるその塩;投薬単位あたり1.25mg〜30mgの量のドロナビノール;1mg〜12mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの量のカソピタントからなる群より選択される非抗コリン性制吐剤;並びに
−成分(b)として、10mg〜120mg、有利には40mg〜120mg、好ましくは60mg〜120mgの量のタクリン;50μg〜400μgの量のヒュペルジンA;5mg〜30mg、有利には10mg〜30mg、好ましくは15mg〜30mgの量(ドネペジルにして)のドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩;1.5mg〜18mg、有利には6mg〜18mg、好ましくは9mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;並びに4mg〜36mg、有利には12mg〜36mg、好ましくは16mg〜36mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択されるメンバー
を、医薬担体と混合して含んでなる。
【0130】
好ましい単位形態は
(a)2mg〜16mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜2mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜20mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜20mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1.25mg〜20mgの量のドロナビノール;0.25mg〜2mgの量のナビロン;20mg〜250mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜100mgの量のカソピタントからなる群より選択される、非抗コリン性制吐剤;並びに
(b)15mg〜30mgの量(ドネペジルにして)のドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩;9mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;並びに16mg〜36mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される、AChEI
を、医薬担体と混合して含んでなる。
【0131】
IR経口組成物として製剤化されるこうした単位形態が特に好ましい。
1つの態様に従って、本発明の組成物は、即時放出又は持続放出のため、医薬担体と混合して、成分(a)及び成分(b)を一緒に混合することによって、製剤化される。この態様に従って、有利な組成物は、成分(a)として、0.5mg〜2mgのグラニセトロンに対応する量のグラニセトロン塩酸塩;及び成分(b)として
−10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgのドネペジル(塩酸塩として);又は
−6mg〜18mg、好ましくは9mg〜18mgのリバスチグミン(酒石酸水素塩として);又は
−12mg〜24mg、好ましくは18mg〜24mgのガランタミン(臭化水素酸塩として)
を含んでなり、ここで、成分(a)及び(b)は、IR製剤中で、ともに、そして医薬担体と混合され、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるよう予定されている。
【0132】
別の態様に従って、本発明の組成物は、例えば、GB1204580又はUS2007/0224259に記載されるように、成分(a)を即時又は持続放出のため、医薬担体と錠剤(錠剤A)において混合し、そして成分(b)を、別に、即時又は持続放出のため、医薬担体と錠剤(錠剤B)において混合して、そして錠剤A及び錠剤Bを経口投与用のカプセル剤に導入することによって製剤化する。この態様による有利な組成物は、25〜200mgのドラセトロンを成分(a)として、IR製剤において医薬担体と混合して含んでなる錠剤A;及び
−10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgのドネペジル(塩酸塩として);又は
−6mg〜18mg、好ましくは9mg〜18mgのリバスチグミン(酒石酸水素塩として);又は
−12mg〜24mg、好ましくは18mg〜24mgのガランタミン(臭化水素酸塩として)を成分(b)として、IR製剤において医薬担体とともに含んでなる錠剤Bを各々含有する軟又は硬ゼラチンカプセル剤からなり、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0133】
さらなる態様に従って、本発明に従った組成物は、例えばWO2006/089493に記載のように、一方の薬物含有層からの薬物の放出が他方の薬物含有層からの薬物の放出に干渉しない、2つの薬物用量を放出する二層錠剤に製剤化される。この態様による有利な組成物は、
層A(8mg〜16mg、好ましくは12mg〜16mgのオンダンセトロンと同等の量のオンダンセトロン塩酸塩二水和物を成分(a)として、IR製剤において医薬担体とともに含んでなる)及び
層B(12mg〜24mg、好ましくは18mg〜24mgのガランタミン(臭化水素酸塩として)を成分(b)として、IR製剤において医薬担体と混合して含んでなる)からなり、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0134】
別の態様に従って、本発明の組成物は、口腔で崩壊可能な錠剤に製剤化される。この態様による特に有利な組成物は、
−8mg〜16mg、好ましくは12mg〜16mgのオンダンセトロンと同等の量のオンダンセトロン塩酸塩二水和物を成分(a)として;及び
−10〜20mg、好ましくは15mg〜20mgの塩酸ドネペジルを成分(b)として、頬内粘膜吸収用のIR製剤において医薬担体と混合して含んでなる経口崩壊錠剤であり、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0135】
別の態様に従って、本発明の組成物は、成分(a)及び成分(b)が従来の担体又は媒体と混合して水に溶解又は懸濁している、経口投与用の溶液剤に製剤化される。この態様に従った特に有利な組成物は、
−8mg〜16mg、好ましくは12mg〜16mgの量のオンダンセトロン(塩酸塩二水和物として);10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgの量のドンペリドン(マレイン酸塩として);及び10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgの量のメトクロプラミド(塩酸塩一水和物として)からなる群より選択される成分(a);及び
−成分(b)として12mg〜24mg、好ましくは18mg〜24mgのガランタミン(臭化水素酸塩として)を経口投与のため、液体IR製剤において医薬担体と混合して含んでなる経口溶液剤又は懸濁液剤であり、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0136】
別の態様に従って、本発明の組成物は、経皮投与用のパッチ剤に製剤化される。この態様に従った特に有利な組成物は、
−2mg/24時間〜6mg/24時間のグラニセトロン(塩酸塩として)を成分(a)として;及び
−10〜15mg/24時間から24mg/24時間のリバスチグミン(酒石酸水素塩として)を成分(b)として、全身の経皮投与に適している医薬的に許容されうる担体又は希釈剤とともに含んでなる経皮パッチ製剤である。
【0137】
本発明の別の態様は、
−10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgのメトクロプラミド(塩酸塩一水和物として)を成分(a)として;及び
−12mg〜24mg、好ましくは18mg〜24mgのガランタミン(臭化水素酸塩として)を成分(b)として、経口投与用のIR製剤において医薬担体と混合して含んでなる錠剤からなる単位形態を提供し、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0138】
本発明の別の態様は、
−10mg〜20mg、好ましくは15mg〜20mgのドンペリドン(マレイン酸塩として)を成分(a)として;及び
−6mg〜18mg、好ましくは9mg〜18mgのリバスチグミン(酒石酸水素塩として)を成分(b)として、経口投与用のIR製剤において医薬担体と混合して含んでなる錠剤からなる単位形態を提供し、前記組成物は、1日1回又は2回投与されるように予定される。
【0139】
本発明の特に有利な態様は、
−40mg〜250mg、好ましくは80mg〜250mgのアプレピタントを成分(a)として;及び
−15mg〜30mg、好ましくは20mg〜30mgのドネペジル(塩酸塩として)を成分(b)として、経口投与用のIR製剤において医薬担体と混合して含んでなるカプセルからなる単位形態を提供し、前記組成物は、1日1回投与されるように予定される。
【0140】
アルツハイマー型認知症の治療において現在単独で使用されているアセチルコリンエステラーゼ阻害剤タイプの既知の薬物と比較して、上記の組み合わされた医薬組成物は、前記アセチルコリンエステラーゼ阻害剤のより多い、そしてより治療上有効な量の、安全で忍容しうる投与を可能にすることによって、より大きく、そしてより長い効力、及びより少ない有害作用を示す。特に、本発明の医薬組成物のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害を必要とする患者、特にアルツハイマー型の認知症を1日1回又は2回のベースで治療するときに、単独でも、又は他の医薬品と組み合わせても安全でそして有効である。
【0141】
本発明の組成物で治療される病理学的状態には、限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病認知症、及び、脳のアセチルコリン媒介性の神経伝達を増強するように企図された医薬品によって一部治療される、ヒトの認知及び神経行動機能の他の障害が含まれる。
【0142】
治療効力は、アルツハイマー型の認知症に関連した認知及び他の神経行動の障害が抑えられる度合いによって、文献にあるような標準尺度を使用して測定する。
【実施例】
【0143】
以下の実施例により、本発明を例解する。
実施例1
15mgの塩酸ドネペジル及び4mgのオンダンセトロンを含有する経口崩壊錠剤。
【0144】
1.5キログラムの塩酸ドネペジル及び1.8kgのコーンスターチを徹底的に混合して、この混合物を完全に均質化し、35メッシュ篩いに通過させた後で、2.4kgのコーンスターチと一緒に徹底的に撹拌して、そして35メッシュの篩いにかけた、すでに調製済みの400gのオンダンセトロン基剤の混合物を加える。このように入手した混合物に0.6kgのイチゴフレーバー粉末、0.2kgのサッカリンナトリウム、13.08kgの乳糖、4.4kgの微結晶性セルロース、及び2.9kgのソルビトールを加える。この混合物を完全な均質化に至るまで混合してから、0.1kgのステアリン酸マグネシウムを加え、再び混合し、そして7mmのパンチで圧縮して、以下の組成を有する100,000個の経口崩壊錠剤を得る:
塩酸ドネペジル 15.00mg
オンダンセトロン 4.00mg
コーンスターチ 42.00mg
イチゴフレーバー粉末 6.00mg
サッカリンナトリウム 2.00mg
乳糖 130.00mg
微結晶性セルロース 44.00mg
ソルビトール 29.00mg
ステアリン酸マグネシウム 1.00mg
実施例2
以下の成分を混合することによって、IR経口投与用のカプセル剤を調製する:
成分 重量部
リバスチグミン(酒石酸水素塩として) 900
ドンペリドン(マレイン酸塩として) 1,000
乳糖USP 7,350
コロイド状二酸化シリコン 50
混合後、この混合物を40メッシュ篩いに通して篩って、そして各々、9mgのリバスチグミン及び10mgのドンペリドンを含有する2ピース硬ゼラチンカプセル3号に導入する。
【0145】
実施例3
医薬担体とともに製剤化された5mgの塩酸ドネペジルを含有するIR経口投与用の錠剤、医薬担体とともに製剤化された10mgの塩酸ドネペジルを含有する錠剤、及び医薬担体とともに製剤化された10mgのメトクロプラミドを含有する錠剤を、単位投薬形態が15mgの塩酸ドネペジル及び10mgのメトクロプラミドを含有するように、GB1,254,580に記載されるようなカプセル中で調製する。
【0146】
実施例4
従来技術に従って、計算した量のメトクロプラミミド一塩酸塩一水和物、臭化水素酸ガランタミン、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、サッカリンナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、プロピレングリコール、エタノール、マンダリン油、キャラメル油、カスタード油、水酸化ナトリウム及び精製水を混合し、そして製剤化して、以下の組成を有するIR投与用の、10mg/mlのメトクロプラミド及び6mg/mlのガランタミンを含有する100mlの経口溶液を調製した。
【0147】
メトクロプラミド一塩酸塩一水和物 105.000mg
臭化水素酸ガランタミン 7.668mg
p−ヒドロキシ安息香酸メチル 80.000mg
p−ヒドロキシ安息香酸プロピル 20.000mg
ソルビン酸ナトリウム 100.000mg
ヒドロキシメチルセルロース 400.000mg
サッカリンナトリウム 0.076mg
プロピレングリコール 0.500ml
エタノール 1.000ml
マンダリン油 0.400ml
キャラメル油 0.500ml
カスタード油 0.010ml
水酸化ナトリウム pH3.0まで
精製水で100.000mlに
実施例5
従来技術に従って、計算した量の臭化水素酸ガランタミン、メトクロプラミミド一塩酸塩一水和物、グアーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、シリカゲル、ジャガイモデンプン、ソルビトール及びペンタエリトリトールを混合し、そして製剤化して、以下の組成を有する150mg IR錠剤を調製した。
【0148】
臭化水素酸ガランタミン 23.06mg
メトクロプラミド一塩酸塩一水和物 10.50mg
グアーガム 2.00mg
メチルセルロース 2.00mg
エチルセルロース 2.00mg
シリカゲル 3.00mg
ジャガイモデンプン 5.00mg
ソルビトール 2.44mg
ペンタエリトリトール 97.00mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わされ、それによって、同時に生じる有害事象を同時に減少させることによって、前記AChEIの最大耐薬量を安全にそして忍容可能に増加させ、中枢神経系において、より高いアセチルコリンエステラーゼ阻害を達成し、そして、アルツハイマー型認知症症状の軽減を改善することを可能にする、アルツハイマー型認知症の治療用に使用するための非抗コリン性制吐剤。
【請求項2】
前記AChEIが、最大耐薬量又は推奨最大用量レベルより高い用量レベルで前記患者に投与される、請求項1に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項3】
前記AChEIが、アルツハイマー型認知症の治療における推奨用量よりも、1.5〜3高い用量レベルで前記患者に投与される、請求項1に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項4】
嘔吐を防止するために用いられる投薬量の50%〜300%の量で、医薬担体と組み合わせて、医薬組成物中に製剤化される、請求項1に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項5】
前記非抗コリン性制吐剤が、5−HT3受容体アンタゴニスト、ドーパミン・アンタゴニスト、H1ヒスタミン受容体アンタゴニスト、NK1受容体アンタゴニスト及びカンナビノイド・アゴニストからなる群より選択される、請求項1に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項6】
前記5HT3アンタゴニストが、オンダンセトロン、オンダンセトロンの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、グラニセトロン、グラニセトロンの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、トロピセトロン、トロピセトロンの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、レリセトロン、レリセトロンの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、ラモセトロン並びにラモセトロンの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物からなる群より選択される、請求項5に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項7】
前記ドーパミン・アンタゴニストが、ドンペリドン、ドンペリドンの医薬的に許容されうる塩、メトクロプラミド、メトクロプラミドの医薬的に許容されうる塩及び溶媒和物、ブロモプリド、ブロモプリドの医薬的に許容されうる塩、クレボプリド、クレボプリドの医薬的に許容されうる塩、アリザプリド及びアザプリドの医薬的に許容されうる塩からなる群より選択される、請求項5に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項8】
前記H1ヒスタミン受容体アンタゴニストが、メクリジン或いは医薬的に許容されうるその塩又は溶媒和物である、請求項5に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項9】
前記カンナビノイド・アゴニストがドロナビノール又はナビロンである、請求項5に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項10】
前記NK1受容体アンタゴニストがアプレピタント又はカソピタントである、請求項5に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項11】
AChEIが、1,2,3,4−テトラヒドロ−9−アクリジンアミン(タクリン);(1R,9S,13E)−1−アミノ−13−エチリデン−11−メチル−6−アザトリシクロ[7.3.1.02,7]トリデカ−2(7),3,10−トリエン−5−オン(ヒュペルジンA);(±)−2,3−ジヒドロ−5,6−ジメトキシ−2−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]メチル]−1H−インデン−1−オン(ドネペジル)及び医薬的に許容されうるその塩;(S)−N−エチル−N−メチル−3−[1−(ジメチルアミノ)エチル]−フェニルカルバメート(リバスチグミン)及び医薬的に許容されうるその塩;並びに4aS,6R,8aS−3−メトキシ−11−メチル−4a,5,9,10,11,12−ヘキサヒドロキシ−6H−ベンゾフロ[3a,3,2−e,f]ベンザゼピン−6−オール(ガランタミン)及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される、請求項1に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項12】
非抗コリン性制吐剤を含有する前記医薬組成物が、やはりAChEIも含有する単位形態である、請求項4に請求されるような使用のための非抗コリン性制吐剤。
【請求項13】
(a)5−HT3受容体アンタゴニスト、ドーパミン・アンタゴニスト、H1ヒスタミン受容体アンタゴニスト、カンナビノイド・アゴニスト、アプレピタント及びカソピタントからなる群より選択される、非抗コリン性制吐剤;並びに
(b)AChEI
を、医薬担体と混合して含んでなる医薬単位形態。
【請求項14】
前記非抗コリン性制吐剤が、2mg〜24mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン及び医薬的に許容されうるその塩;0.5mg〜3mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン及び医薬的に許容されうるその塩;5mg〜30mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン及び医薬的に許容されうるその塩;5mg〜30mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1.25mg〜30mgの量のドロナビノール;0.25mg〜3mgの量のナビロン;20mg〜375mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜150mgの量のカソピタントからなる群より選択される、請求項13の単位形態。
【請求項15】
前記AChEIが、15mg〜45mgの量(フェンセリンにして)のフェンセリン及び医薬的に許容されうるその塩;10mg〜120mgの量のタクリン;50μg〜400μgの量のヒュペルジンA;5mg〜30mgの量(ドネペジルにして)のドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩;1.5mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;4mg〜36mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される、請求項13の単位形態。
【請求項16】
前記AChEIが、15mg〜30mgの量(ドネペジルにして)のドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩;9mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;並びに16mg〜36mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される、請求項13の単位形態。
【請求項17】
前記AChEIが、10mg〜24mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;並びに24mg〜72mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される、請求項13の単位形態であって;ER投与用に製剤化されている、前記単位形態。
【請求項18】
(a)非抗コリン性制吐剤が、2mg〜16mgの量(オンダンセトロンにして)のオンダンセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;0.5mg〜2mgの量(グラニセトロンにして)のグラニセトロン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜20mgの量(ドンペリドンにして)のドンペリドン並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;5mg〜20mgの量(メトクロプラミドにして)のメトクロプラミド並びに医薬的に許容されうるその塩及び溶媒和物;1.25mg〜20mgの量のドロナビノール;0.25mg〜2mgの量のナビロン;20mg〜250mgの量のアプレピタント;並びに25mg〜100mgの量のカソピタントからなる群より選択され;そして
(b)該AChEIが、15mg〜30mgの量(ドネペジルにして)のドネペジル及び医薬的に許容されうるその塩;9mg〜18mgの量(リバスチグミンにして)のリバスチグミン及び医薬的に許容されうるその塩;並びに16mg〜36mgの量(ガランタミンにして)のガランタミン及び医薬的に許容されうるその塩からなる群より選択される
請求項13の単位形態であって;
IR経口組成物として製剤化されている、前記単位形態。
【請求項19】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の最大推奨1日用量を増加させるため、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなる医薬組成物であって、前記AChEIが、アルツハイマー型認知症に罹患している患者に前記組成物とともに同時投与される、前記組成物。
【請求項20】
アルツハイマー型認知症に罹患している患者の中枢神経系においてより高いアセチルコリンエステラーゼ阻害を誘導するための医薬組成物であって、前記患者が、単独投与時に達成可能な最大耐薬量より高いアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の用量を服用し、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなる、前記組成物。
【請求項21】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)の治療用量を最大4倍まで増加させるため、活性成分として非抗コリン性制吐剤を含んでなる医薬組成物であって、前記AChEIが、アルツハイマー型認知症に罹患している患者に前記組成物とともに同時に、又は連続して投与される、前記組成物。
【請求項22】
前記AChEI用量が、前記AChEIの推奨用量よりも1.5〜3倍より高い、請求項21の組成物。
【請求項23】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)と組み合わされ、それによって、同時に生じる有害事象を同時に減少させることによって、前記AChEIの最大耐薬量を安全にそして忍容可能に増加させ、中枢神経系において、より高いアセチルコリンエステラーゼ阻害を達成し、そして、アルツハイマー型認知症症状の軽減を改善することを可能にする、アルツハイマー型認知症の治療用に使用するための非抗コリン性制吐剤。

【公表番号】特表2013−505235(P2013−505235A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529733(P2012−529733)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/002475
【国際公開番号】WO2011/034568
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(510257514)チェイス・ファーマスーティカルズ・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】