説明

アレイ基板および表示装置

【課題】 表示領域が非矩形状を有する補助容量共通配線方式のアレイ基板、および、このアレイ基板と表示媒体を用いた表示装置を提供すると共に、補助容量配線の共通電位のバラツキによる表示ムラを低減する。
【解決手段】 表示領域Dが非矩形状を有するアレイ基板110において、画素50には補助容量Csを形成する補助容量配線3が配置され、表示領域Dの外の額縁領域Eには、走査引き出し配線21と信号引き出し配線71の交差領域Fが存在し、走査引き出し配線21の配置された額縁領域E側に、補助容量配線3を共通に接続する共通引き出し配線31が配置され、共通引き出し配線31は、交差領域Fには配置されず、走査引き出し配線の領域Gと、信号引き出し配線71の領域Sとの間の領域Comに、走査引き出し配線21、または信号引き出し配線71のいずれか一方と交差して配置されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ基板および表示装置に関するもので、特に、表示領域が通常の矩形状(正方形、長方形)でなく、円形、楕円形、多角形(矩形は除く)等の非矩形状の表示領域を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置は様々な機器において、人への情報伝達手段として使用されている。現在の代表的な薄型表示装置としては、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transitor)が形成されたアレイ基板を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置が、表示品位、薄型、軽量および低消費電力の点で優れた特徴を有しており、現在の薄型表示装置の主流になっている。
【0003】
近年、薄型表示装置が主流になるにつれて、要求される製品の機能、形態も多様化している。表示領域の形状も従来の正方形、長方形のような矩形状でなく、円形、楕円形、多角形(矩形は除く)等の様々な非矩形状の表示領域を有する薄型表示装置の要求が生じている。
【0004】
上述のような要望のある表示装置として、例えば、携帯電話用表示装置、車載用表示装置がある。例えば、このような非矩形状の表示領域を有する液晶表示装置が、特許文献1、2、3に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−276359号公報(図1、2)
【特許文献2】特開2006−276360号公報(図1、2、13)
【特許文献3】特開2006−276361号公報(図1、2、12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で開示された液晶表示装置は、表示領域の形状に沿って、表示領域の外の額縁領域に、走査引き出し配線および信号引き出し配線を配置することは記載されているが、液晶表示装置で一般的に設けられる液晶の電圧を保持するための補助容量Csやこの補助容量Csを形成する補助容量配線について、および、額縁領域において、この補助容量配線を共通に接続する共通引き出し配線の配置について具体的な記述はない。
【0007】
また、特許文献2で開示された液晶表示装置は、補助容量を設けているが、走査配線と重ねて補助容量Csを形成するCs on Gate方式である。現在の液晶表示装置では、補助容量配線を走査配線または信号配線に沿って分離して配置するCs on Common方式が主流であり、非矩形状の表示領域を有する液晶表示装置にCs on Common方式を適用した構成についての具体的な記述はない。
【0008】
また、特許文献3で開示された液晶表示装置も、補助容量Csを走査配線と重ねて形成するCs on Gate方式である。また、図12に従来技術として、Cs on Common方式で、楕円形の表示領域を有する液晶表示装置が記載されているが、補助容量電極に接続される配線Zn(補助容量配線)は、配線の断線や配線間の短絡を誘発する課題があると記載されている。また、楕円形の表示領域の左下側の額縁領域では、例えば、配線Znは最外周にある配線Z(共通引き出し配線)に接続されており、この配線Znは、額縁領域にある走査線X1(走査引き出し配線)および信号線Y1(信号引き出し配線)等の両方の引き出し配線と交差する構成が示されている。しかし、配線Znは、どのような層構成で配線Zと接続するかについて具体的な記述はない。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、表示領域が非矩形状を有するCs on Common方式(補助容量共通配線方式)のアレイ基板、および、このアレイ基板を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、表示領域の外の額縁領域において、補助容量配線と、これを共通に接続する共通引き出し配線とを接続する変換部のコンタクト抵抗が小さく、補助容量配線の共通電位のバラツキによる表示ムラを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明におけるアレイ基板は、基板上に、走査配線と、この走査配線と交差する信号配線と、これらの配線に囲まれた領域に、走査配線および信号配線に接続された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに接続された画素電極と、補助容量を形成する補助容量配線とを有する画素が構成され、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域が非矩形状であるアレイ基板において、表示領域の外の額縁領域には、走査引き出し配線と信号引き出し配線との交差領域が存在し、走査配線に接続された走査引き出し配線と、信号配線に接続された信号引き出し配線と、走査引き出し配線の配置された額縁領域側に、補助容量配線を共通に接続する共通引き出し配線とが配置され、共通引き出し配線は額縁領域の交差領域には配置されず、走査引き出し配線の領域と、信号引き出し配線の領域との間の領域に、走査引き出し配線、または信号引き出し配線のいずれか一方と交差して配置されるものである。
【0012】
または、本発明におけるアレイ基板は、基板上に、走査配線と、この走査配線と交差する信号配線と、これらの配線に囲まれた領域に、走査配線および信号配線に接続された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに接続された画素電極と、補助容量を形成する補助容量配線とを有する画素が構成され、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域が非矩形状であるアレイ基板において、表示領域の外の額縁領域には、走査引き出し配線と信号引き出し配線の交差領域が存在し、走査配線に接続された走査引き出し配線と、信号配線に接続された信号引き出し配線と、走査引き出し配線の配置された額縁領域に、補助容量配線を共通に接続する共通引き出し配線とが配置され、共通引き出し配線は、額縁領域の交差領域には配置されず、走査引き出し配線の領域、および信号引き出し配線の領域よりも、基板端に近い領域に配置され、補助容量配線と共通引き出し配線を接続する接続線は、交差する引き出し配線の層とは異なる層で構成され、絶縁膜を介して配置されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示領域が非矩形状を有する補助容量共通配線方式のアレイ基板および、これを用いた表示装置を得ることができる。また、製造工程を増やすことなく得ることができる。
【0014】
また、表示領域の外の額縁領域において、補助容量配線と共通引き出し配線とを接続する変換部でのコンタクト抵抗が小さくでき、補助容量配線の共通電位のバラツキによる表示ムラを軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のアレイ基板および表示装置についての実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施の形態を説明するための各図において、同一符号は、同一または相当部分を示しているので、原則として重複する説明は省略する。また、図面は、概略構成を示すものであり、実際の形状や寸法は多少異なっていてもよい。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における表示装置の概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示す表示装置の表示領域を構成する1画素を拡大した平面図である。図3は、図2のA−A断面図である。
【0017】
図1において、液晶表示装置100は、走査配線2とこれに交差する信号配線7に囲まれた領域に画素50が構成され、複数の画素50がマトリクス状に配置された非矩形状の表示領域Dを有するアレイ基板110と、これに対向して配置された対向基板120がスペーサにより隙間を空けてシール材で貼り合わされ、この隙間に液晶が封入されている。また、後述するが、透過型の液晶表示装置100では、アレイ基板110の背面にはバックライトが配置され、アレイ基板110と対向基板120の外側面には偏光板が貼付されている。
【0018】
実施の形態1では、表示領域Dの形状は、表示領域端55が円形である。画素50は、走査配線2と信号配線7に接続されたTFT、画素電極等を有し、また液晶の電圧を保持するための補助容量配線3が、走査配線2または信号配線7に沿って配置されている。ここでは、補助容量配線3は走査配線2に沿って走査配線2と分離して配置されている。
【0019】
また、表示領域Dの外の額縁領域Eには、走査配線2に接続された走査引き出し配線21の領域Gと、信号配線7に接続された信号引き出し配線71の領域Sと、補助容量配線3を共通に接続する共通引き出し配線31の領域Com等が配置されている。
【0020】
実施の形態1では、横(行)方向に延びている走査配線2は、偶数行と奇数行が表示領域Dに対して、左右交互から走査信号が入力される構成となっている。
【0021】
また、横(行)方向に延びている補助容量配線3は、両端で共通引き出し配線31と接続されている。また、共通引き出し配線31は表示領域Dを囲むように配置されている。
【0022】
また、図1の液晶表示装置では、アレイ基板110の一端部に実装領域M、接続端子領域Nがまとめて配置され、走査配線2と信号配線7の両方を駆動できる駆動回路80であるドライバICが、アレイ基板上110にCOG(Chip on Glass)実装されている。
【0023】
アレイ基板110の下端の接続端子領域Nには、外部回路と接続するフレキシブル基板を接続するための接続端子17が列をなして配置されている。
【0024】
なお、走査配線2と信号配線7を駆動する駆動回路80は、別々でもよく、また、それぞれがアレイ基板110の異なる位置の額縁領域Eに実装されていてもよい。また、駆動回路はCOG実装に限らず、TAB(Tape Automated Bonding)実装や、アレイ基板110上に形成されたポリシリコンTFT回路等でも構わない。
【0025】
また、実施の形態1では、表示領域Dは円形であるが、楕円形、多角形(矩形を除く)等の任意の形状でも構わない。走査配線2と信号配線7に囲まれる領域が画素50(画素形状も矩形に限られない)を構成し、複数の画素50がマトリクス状に配置されることで、表示領域Dが構成されていればよい。
【0026】
そして、表示領域Dが非矩形状の場合は、額縁領域Eの一部において、走査引き出し配線21と信号引き出し配線71が交差する交差領域Fが存在し、この交差部の数は走査配線2または信号配線7の行(横)または列(縦)によって異なっている。なお、交差領域Fの位置や形状は、走査引き出し配線21、信号引き出し配線71のパターンや、実装領域Mの位置等に依存する。
【0027】
従来の表示装置の表示領域Dの形状は、行(横)または列(縦)の画素数が、どの走査配線2、または、信号配線7も同一数である矩形が一般的であり、行(横)または列(縦)によって異なる事はなかった。また、額縁領域Eにおいても、走査引き出し配線21と信号引き出し配線71の交差領域Fは、表示領域Dの外の額縁領域Eに設けられるダミー画素に使用されるダミー走査配線とダミー信号配線の交差部がある程度であり、交差領域Fは矩形の小さい面積のものであった。従って、非矩形状の表示領域Dの額縁領域Eある交差領域Fのように、交差部の数が走査配線2または信号配線7の行(横)または列(縦)によって異なることはなかった。
【0028】
次に、図2、3を用いて、図1の画素50の平面構造と断面構造の詳細、および、液晶表示装置100の製造方法について説明する。なお、製造方法は、一般的な5枚マスク工程で説明するが、これに限られたものではない。
【0029】
まず、ガラス等の透明材料からなる基板1上にスパッタリング等を用いて、Al、Cu、Mo、Ta、Ti、Cr、ITO等の第一の導電膜を成膜して、走査配線2、ゲート電極2a、走査引き出し配線21、および補助容量配線3、接続端子17等を所定のパターンで形成する。
【0030】
次に、プラズマCVD等により、酸化膜、窒化膜等からなるゲート絶縁膜4、半導体能動膜5、オーミックコンタクト膜6を連続して成膜して、半導体能動膜5、オーミックコンタクト膜6を、TFTの一部となる所定のパターンで形成する。
【0031】
次に、スパッタリング等を用いてAl、Cu、Mo、Ta、Ti、Cr、ITO等の第二の導電膜を成膜して、信号配線7、TFTのソース電極8、ドレイン電極9、および、信号引き出し配線71等を所定のパターンで形成する。この後に、TFTのソース電極8とドレイン電極9間のチャネル部のオーミックコンタクト膜6を除去して、逆スタガ型TFTを形成する。
【0032】
次に、酸化膜、窒化膜、有機樹脂膜、または、これらの積層膜等からなる保護膜10を形成する。この後に、ドレイン電極9上にコンタクトホール11を形成する。この時に、後述するが、共通引き出し配線31用のコンタクトホールや、実装領域MのCOG実装用の接続端子、接続端子領域Nの接続端子17上にも、第一の導電膜または第二の導電膜が露出するように、コンタクトホールを形成する。
【0033】
次に、保護膜10上に、透過型ではITO等の透明な導電膜を、反射型ではAl、Ag等の高反射率な導電膜からなる画素電極12を成膜して、コンタクトホール11を介してドレイン電極9と接続する。また、画素電極12と補助容量配線3との重なり領域は、液晶90の電圧を保持する補助容量Csを構成する。
【0034】
なお、半導体能動膜5、オーミックコンタクト膜6は、TFTを形成する部分以外にも配置ができる。例えば、走査配線2、補助容量配線3と信号配線7との交差部にも配置する。このように、第一の導電膜と、第二の導電膜の交差部にも配置して、ゲート絶縁膜4の被覆不良による配線間の短絡の抑制を図ることができる。
【0035】
図3の断面図に示すように、アレイ基板110と対向して、ガラス等からなる透明な基板上121に、カラー表示を行うための基本原色(例えば、赤、緑、青)からなる色材122、共通電位(基準電位)となるITO等の透明導電膜からなる対向電極123、画素50における不要な光漏れを遮光するCr、酸化Cr、黒色樹脂等からなるブラックマスク(図示せず)等が形成された対向基板120を、樹脂スペーサ95によって1〜数μmの隙間を空けて貼り合せ、この隙間に液晶90を封入して液晶パネルを形成する。
【0036】
なお、図示していないが、アレイ基板110と対向基板120の液晶90側の最表面には、液晶90の分子配向方向を制御する配向膜が形成されている。また、IPS(In Plane Switching)方式等の水平電界方式の液晶表示装置100では、対向電極120はアレイ基板110側に形成するので、対向基板120にはない。
【0037】
アレイ基板110と対向基板120の外側面には、偏光板130を貼付する。また、透過型では、アレイ基板110の背面にバックライト140を配置することで液晶表示装置100が形成される。
【0038】
次に、本発明の主要部である共通引き出し配線31の構成の詳細、効果について説明する。図4は、図1のアレイ基板100における額縁領域Eの左下側領域を拡大した平面図である。図5は、図4のB−B断面図である。なお、図4の表示領域Dの画素50は、図面の簡素化のためにTFT、画素電極12等は省略して記載している。
【0039】
図4、5に示すように、額縁領域Eにおいて、共通引き出し配線31は、走査引き出し配線21と信号引き出し配線71との交差部がある交差領域Fと重ならないように配置される。すなわち、信号引き出し配線71の領域Sの外側と、走査引き出し配線21の領域Gの内側との間に、走査引き出し配線21と信号引き出し配線71との交差部が存在しない領域Comが存在する。この領域Comに共通引き出し配線31が配置される
【0040】
実施の形態1では、共通引き出し配線31は、主要部分は信号配線7、信号引き出し配線71と同一層である第二の導電膜から構成されている。
【0041】
また、走査配線2は表示領域Dに対して、左右側から交互に走査信号を入力する構成であるので、走査配線2と同一層の第一の導電膜からなる補助容量配線3の偶数行と奇数行の2本が、それぞれ信号引き出し配線71の領域Sの外側まで延在しており、補助容量配線3は延在した両端でこの2本が接続され、共通引き出し配線31のパターン形状に沿って、島状の孤立した補助容量配線パッド3aが形成されている。補助容量配線パッド3aを島状とするのは、同一層からなる走査引き出し配線21があるためである。
【0042】
一般的な5枚マスク工程の製造方法では、ゲート絶縁膜4と保護膜10を同一工程で同時エッチングしてコンタクトホールを形成するので、共通引き出し配線31と補助容量配線パッド3aとを接続するためには、画素電極12と同一層からなる接続膜で接続する必要がある。
【0043】
そこで、共通引き出し配線31の一部に、共通引き出し配線31を構成する第二の導電膜がない、くり抜き部31bが設けられている。また、共通引き出し配線31の上層には、共通引き出し配線31のパターン形状に沿って、画素電極12と同一層からなる接続膜となる補助共通引き出し配線18が配置されている。
【0044】
この補助共通引き出し配線18は、共通引き出し配線31のくり抜き部31bに設けられたコンタクトホール15と、共通引き出し配線31上に設けられたコンタクトホール16を介して、共通引き出し配線31と補助容量配線パッド3aとを接続している。
【0045】
図5の断面図に示すように、くり抜き部31bに設けられたゲート絶縁膜4と保護膜10を貫通するコンタクトホール15と、共通引き出し配線31上の保護膜10を貫通するコンタクトホール16を介して、共通引き出し配線31と補助容量配線パッド3aが補助共通引き出し配線18で接続されている。
【0046】
また、補助共通引き出し配線18は、共通引き出し配線31と補助容量配線パッド3aとを接続するだけでない。共通引き出し配線31のパターンに沿って、共通引き出し配線31の上下層に、コンタクトホール15、16を介して、補助導電膜となる補助容量配線パッド3aおよび補助共通引き出し配線18を配置した3層の積層構造とすることによって、共通引き出し配線31の低抵抗化を図っている。
【0047】
また、補助容量配線パッド3aおよび補助共通引き出し配線18は、共通引き出し配線31の断線不良時の迂回回路にもなっているので、共通引き出し配線31の断線による表示不良を抑制できる。
【0048】
また、走査引き出し配線21の領域Gと、信号引き出し配線71の領域Sの間に、共通引き出し配線31を配置する領域Comを配置することにより、共通引き出し配線31は、走査引き出し配線21、または信号引き出し配線71のいずれか一方とだけ交差し、両方とは交差することがない。
【0049】
従って、非矩形状の表示領域Dの表示領域端55に沿って、共通引き出し配線31を交差領域Fにも配置するよりも、コンタクトホール15、16の寸法の大きさに制約が少なく、共通引き出し配線31と同一層の引き出し配線(実施の形態1では第二の導電膜である信号引き出し配線71)との交差部で必要となる別の層に変換する接続膜(例えば、画素電極12と同一層の補助共通引き出し配線18)が不要であるので、変換に必要なコンタクトホール数も少なくでき、コンタクト不良や、コンタクト抵抗の増加も抑制できる。
【0050】
このように、実施の形態1では、補助容量配線パッド3aの寸法は、縦(列)方向は、2つの画素50の縦寸法に近い寸法とすることができ、横(行)方向は画素50の横寸法とは独立して、共通引き出し配線31の幅に近い寸法としている。従って、画素50の微細化が進んでも、補助容量配線パッド3aに設けるコンタクトホール15の寸法、および共通引き出し配線31上のコンタクトホール16の寸法を、所定の大きさで確保できるので、コンタクト抵抗のバラツキの影響を小さくでき、補助容量配線3の共通電位(基準電位)を均一にできるので、補助容量配線3の電位のバラツキによる表示ムラを低減できる。
【0051】
また、実施の形態1では、共通引き出し配線31は、実装領域M、接続端子領域Nから離れた額縁領域Eでは、共通引き出し配線31の幅が広くなるように構成されており、共通引き出し配線31の距離が長くなっても低抵抗が維持でき、表示領域Dの画素50の位置によらず補助容量配線3の電位が、さらに均一にできる構成となっている。
【0052】
なお、実施の形態1では、走査引き出し配線21の領域Gが、信号引き出し配線71の領域Sよりも外側にくる構成を示したが、実装領域M、接続端子領域Nの配置位置によっては、信号引き出し配線71の領域Sが、走査引き出し配線21の領域Gより外側にくる構成も可能であり、共通引き出し配線31をこの間の領域Comに配置することで、同様の効果を得ることができる。
【0053】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2における液晶表示装置のアレイ基板における額縁領域を拡大した平面図である。図7は、図6のC−C断面図である。
【0054】
実施の形態1では、共通信号配線31を、交差領域Fを避けて、走査引き出し配線21の領域Gと、信号引き出し配線71の領域Sとの間の領域Comに配置したが、実施の形態2では、図6に示すように、共通信号配線31は、交差領域Fを避けると共に、領域Comを、走査引き出し配線21の領域G、および信号引き出し配線71の領域Sよりも、アレイ基板110端に近傍に配置して、共通引き出し配線31が、走査引き出し配線21、および信号引き出し配線71のどちらとも交差することなく配置したものである。
【0055】
ただし、実施の形態2では、走査配線2と同一層の第一の導電膜で形成された補助容量配線3と、アレイ基板110端に近い領域Comにある共通引き出し配線31とを接続するためには、額縁領域Eにおいて、補助容量配線3をそのまま延在させると、別層の第二の導電膜で形成された信号引き出し配線71とは交差できるが、同一層の走査引き出し配線21とは交差することはできない。
【0056】
そこで、補助容量配線3を延在して、信号引き出し配線71の領域Sの外側に補助容量配線パッド3aを設け、共通引き出し配線31と接続する接続線32を、共通引き出し配線31と同一層の第二の導電膜、または画素電極と同一層で構成して、ゲート絶縁膜4または保護膜10を介して走査引き出し配線21と交差できるようにして、補助容量配線3と共通引き出し配線31を接続したものである。
【0057】
図7は、図6の補助容量配線パッド3aと共通引き出し配線31を接続する接続線32の部分を含むC−C断面図である。実施の形態2では、接続線32は、共通引き出し配線31の一部を表示領域D側へ延在した部分で構成され、接続線32の端に共通引き出し配線パッド31aを設けて、補助容量配線パッド3aに隣接して配置している。
【0058】
そして、補助容量配線パッド3a上に設けられたゲート絶縁膜4と保護膜10を貫通するコンタクトホール13と、共通引き出し配線パッド31a上に設けられた保護膜10を貫通するコンタクトホール14を介して、画素電極12と同一層からなる変換膜19で接続されている。
【0059】
また、共通引き出し配線31の主要部分は、実施の形態1と同様に、第二の導電膜として、この上下層に補助の導電膜である補助共通引き出し配線3cと補助共通引き出し配線18を設けた3層の積層構成となっている。これによって、共通引き出し配線31の低抵抗化が図れると共に、共通引き出し配線31の断線不良時の迂回回路にもなっているので、共通引き出し配線31の断線による表示不良を抑制できる。
【0060】
また、実施の形態1では、共通引き出し配線31の下に配置される第一の導電膜からなる補助容量パッド3aは、走査信号引き出し配線21があるために、島状に分離して配置されていたが、実施の形態2では、島状に分離して形成する必要はなく、共通引き出し配線31に沿って連続したパターンの補助共通引き出し配線3cとして配置している。
【0061】
また、画素電極12と同一層からなる補助共通引き出し配線18は、共通引き出し配線31に沿って連続したパターンであると共に、その一部は、接続線32のパターン上にも形成されて、接続線32と共に延在して、そのまま変換膜19と接続されている。従って、補助共通引き出し配線18は、接続線32の断線不良時の迂回回路にもなっている。
【0062】
このように、実施の形態2における共通引き出し配線31は、実質的に、主要部分の第二の導電膜と、島状ではない連続した第一の導電膜からなる補助共通引き出し配線3cと、画素電極と同一層からなる補助共通引き出し配線18からなる3層の積層構成であり、実施の形態1よりも補助容量配線3までの配線抵抗をさらに低くすることができるので、補助容量配線3の共通電位のバラツキによる表示ムラをさらに低減できる。また、共通引き出し配線31の断線不良による表示不良をさらに抑制できる。
【0063】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3における表示装置の概略構成を示す平面図である。駆動回路80であるドライバICから延びた共通引き出し配線31は、実施の形態2と同様に、アレイ基板110端近傍の額縁領域Eに、走査引き出し配線21および信号引き出し配線71の両方とも交差することのない領域Com1に配置されると共に、表示領域Dに対して、駆動回路80と反対の額縁領域Eの側で、再び、駆動回路80に向かって折り返して延在して、実施の形態1と同様に、走査引き出し配線21の領域Gと、信号引き出し配線71の領域Sとの間の領域Com2に、共通信号配線31を配置したものである。
【0064】
このような構成にする理由は、駆動回路80を構成するドライバICの仕様によっては、共通電位(基準電位)を与える出力端子が、ドライバICの端部にあり、実施の形態1のように、走査引き出し信号線21の領域Gと、信号引き出し配線71の領域Sとの間に共通引き出し配線31の領域Comを配置する構成がとれないことがあるためである。
【0065】
実施の形態3は、共通電位(基準電位)を与える出力端子が、ドライバICの両端部にある場合に有効である。このように、駆動回路80を構成するドライバICの端子の仕様によって、共通引き出し配線31の配置を、実施形態1、2と組み合わせて、適宜選択するとよい。
【0066】
なお、実施の形態1〜3において、走査線2は偶数、奇数で表示領域Dの左右交互入力の場合を示したが、本発明は、これに限らず、片側から走査信号を入力する構成にも適用できる。この場合、共通引き出し配線31は、走査引き出し配線21の配置される額縁領域E側に配置される。また、表示領域Dの上半分と下半分で走査信号を入力する側を変える構成にも適用できる。
【0067】
また、実施の形態1〜3において、表示装置100は液晶表示装置の例を示したが、本発明は、共通引き出し配線31を有するアレイ基板であれば、表示媒体は液晶90に限らず、有機または無機のエレクトロルミネッセンス膜、電子ペーパーと呼ばれる表示装置に使用される微細球、微粉末、油滴等の表示媒体、その他の表示媒体を用いた表示装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における表示装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における表示領域を構成する1画素を拡大した平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における液晶表示装置のアレイ基板における額縁領域を拡大した平面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2における液晶表示装置のアレイ基板における額縁領域を拡大した平面図である。
【図7】図6のC−C断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3における表示装置の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 基板
2 走査配線
3 補助容量配線
3a 補助容量配線パッド
3c 補助共通引き出し配線
4 ゲート絶縁膜
5 半導体能動膜
6 オーミックコンタクト膜
7 信号配線
8 ソース電極
9 ドレイン電極
10 保護膜
11 コンタクトホール
12 画素電極
13、14、15、16、 コンタクトホール
18 補助共通引き出し配線
19 変換膜
21 走査引き出し配線
31 共通引き出し配線
31a 共通引き出し配線パッド
31b くり抜き部
32 接続線
50 画素
55 表示領域端
71 信号引き出し配線
80 駆動回路
90 液晶
100 液晶表示装置
110 アレイ基板
120 対向基板
Com、Com1、Com2 共通引き出し配線の領域
Cs 補助容量
D 表示領域
E 額縁領域
F 引き出し配線の交差領域
G 走査引き出し配線の領域
S 信号引き出し配線の領域
M 実装領域
N 接続端子領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、走査配線と、該走査配線と交差する信号配線と、これらの配線に囲まれた領域に、前記走査配線および前記信号配線に接続された薄膜トランジスタと、
該薄膜トランジスタに接続された画素電極と、
補助容量を形成する補助容量配線と、を有する画素が構成され、
複数の前記画素がマトリクス状に配置された表示領域が非矩形状であるアレイ基板において、
前記表示領域の外の額縁領域には、
前記走査配線に接続された走査引き出し配線と、
前記信号配線に接続された信号引き出し配線と、
前記走査引き出し配線の配置された前記額縁領域側に、前記補助容量配線を共通に接続する共通引き出し配線と、が配置され、
前記額縁領域には、前記走査引き出し配線と前記信号引き出し配線の交差領域が存在し、
前記共通引き出し配線は、前記交差領域には配置されず、
前記走査引き出し配線の領域と、前記信号引き出し配線の領域との間の領域に、
前記走査引き出し配線、または前記信号引き出し配線のいずれか一方と交差して配置されることを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
基板上に、走査配線と、該走査配線と交差する信号配線と、これらの配線に囲まれた領域に、前記走査配線および前記信号配線に接続された薄膜トランジスタと、
該薄膜トランジスタに接続された画素電極と、
補助容量を形成する補助容量配線と、を有する画素が構成され、
複数の前記画素がマトリクス状に配置された表示領域が非矩形状であるアレイ基板において、
前記表示領域の外の額縁領域には、
前記走査配線に接続された走査引き出し配線と、
前記信号配線に接続された信号引き出し配線と、
前記走査引き出し配線の配置された前記額縁領域側に、前記補助容量配線を共通に接続する共通引き出し配線と、が配置され、
前記額縁領域には、前記走査引き出し配線と前記信号引き出し配線の交差領域が存在し、
前記共通引き出し配線は、前記交差領域には配置されず、
前記走査引き出し配線の領域、および前記信号引き出し配線の領域よりも、前記基板端に近い領域に配置され、
前記補助容量配線と前記共通引き出し配線とを接続する接続線は、
交差する引き出し配線の層とは異なる層からなり、絶縁膜を介して配置されることを特徴とするアレイ基板。
【請求項3】
前記共通引き出し配線は、該共通引き出し配線とは別層で、かつ、前記走査配線、または前記信号配線と同一層からなる補助共通引き出し配線とコンタクトホールを介して接続される積層構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記共通引き出し配線は、前記画素電極と同一層からなる補助共通引き出し配線とコンタクトホールを介して接続される積層構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記アレイ基板と、表示媒体とを組み合わせたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−186737(P2009−186737A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26319(P2008−26319)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】