説明

アンギオテンシンII受容体ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカーおよび他の活性剤の組合せ

本発明は、心血管障害の予防、発症遅延および/または処置のための:
(a)アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b)カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c) 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(ii)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;
を含む組合せに関し、その方法は、それを必要とする温血動物に、治療的有効量の本発明の組合せを投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一つの局面において、本発明は:
(a)アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b)カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c) 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(ii)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩
を含む、医薬組合せのような組合せに関する。
【発明の開示】
【0002】
さらなる局面において、本発明は、心血管障害の予防、発症遅延および/または処置の方法であって、それを必要とするヒトを含む温血動物に、治療的有効量の:
(a)アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b)カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c) 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(ii)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩
を含む組合せを投与することを含む、方法を提供する。
【0003】
心血管障害は、高血圧(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期性、または高血圧の他の二次的なタイプであれ)、拡張期および鬱血性心不全(急性および慢性)のような心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞(MI)およびその続発症、冠動脈疾患(CAD)を含むアテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定型であれ安定型であれ)、腎臓不全(糖尿病性および非糖尿病性)、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病(PKD)、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群のような腎不全状態、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症および末期腎臓病(ESRD)、偏頭痛、末梢血管疾患(PVD)、レイノー病、管腔肥大、認知障害(例えばアルツハイマー)、緑内障のような末梢血管疾患および塞栓性または血栓性卒中のような脳血管疾患の管理を含むが、これらに限定されない。
【0004】
長期間の制御されていない高血圧性血管疾患は、最終的に、心臓および腎臓のような標的臓器における種々の病的変化をもたらす。さらに、持続した高血圧は、卒中の発症率の増加をもたらし得る。故に、抗高血圧剤での処置の利益のさらなる見識を得るために、血圧低下以外の、さらなる心血管系エンドポイントを試験することにより、抗高血圧治療の効果を評価する大きな必要性が存在している。
【0005】
高血圧性血管疾患の性質は多源性であり、ある状況下では、種々の作用機序の治療剤が組み合わされている。しかしながら、単に異なる作用機序を有する薬剤の組合せを考えるだけでは、必ずしも有益な効果を有する薬剤組合せには至らない。従って、例えば、上記の心血管および腎臓病の処置のための、有害な副作用が少ない、より有効な治療、特に組合せ治療を同定する緊急の要求がある。
【0006】
腎臓から放出される天然酵素レニンは、循環中でアンギオテンシノーゲンを開裂し、アンギオテンシンIと呼ばれるデカペプチドを形成する。次に、これが肺、腎臓および他の臓器中でアンギオテンシン変換酵素(ACE)により開裂され、アンギオテンシンIIと呼ばれるオクタペプチドを形成する。標的細胞表面上の特異的受容体との相互作用を介して、本オクタペプチドは血圧を動脈血管収縮により直接的に、そして、細胞外流体量の増加を伴い副腎からナトリウム−イオン−保持ホルモンアルドステロンを遊離することにより間接的に、療法で血圧を高める。例えば、AT−およびAT−受容体と呼ばれる受容体サブタイプの同定が可能となっている。
【0007】
レニン酵素活性の阻害剤はアンギオテンシンIの形成の減少をもたらす。その結果として、より少量のアンギオテンシンIIが産生される。その活性ペプチドホルモンの減少した濃度が、例えば、レニン阻害剤の抗高血圧効果の直接の原因である。従って、レニン阻害剤、またはその塩を、例えば、降圧剤としてまたは鬱血性心不全の処置のために使用できる。
【0008】
他方で、最近の非常な努力により、AT−受容体に拮抗する物質が同定されている。このような活性成分は、しばしばアンギオテンシンIIアンタゴニストまたはアンギオテンシンIIブロッカー(ARB)と呼ばれる。AT−受容体活性阻害の結果として、このようなアンタゴニストは、例えば、多くの適応症の中で、特に降圧剤として、または鬱血性心不全の処置に、使用できる。アンギオテンシンIIブロッカーは、故に、AT−受容体サブタイプに結合するが、該受容体の活性化をもたらさない活性剤と理解される。
【0009】
さらなる評価が、レニン阻害剤およびアンギオテンシンIIブロッカーがまたより広い範囲の治療適応症に用いられる可能性を確認している。
【0010】
中性エンドペプチダーゼ(EC 3.4.24.11;エンケファリナーゼ;アトリオペプチダーゼ(atriopeptidase);NEP;Biochem. J., 241, p. 237-247, 1987)が、芳香族性アミノ酸のアミノ末端側上の種々のペプチド基質を開裂する亜鉛含有メタロプロテイナーゼである。この酵素の基質は、心房性ナトリウム利尿因子(ANF、ANPとしても既知)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、metおよびleuエンケファリン、ブラジキニン、ニューロキニンA、およびサブスタンスPを含むが、これらに限定されない。
【0011】
ANPは、多くの最近の文献、例えば、Annu. Rev. Pharm. Tox., 29, 23-54, 1989の対象となっている冠拡張剤、利尿剤および抗高血圧性ペプチドのファミリーである。一つの形態であるANF 99−126は、心膨脹の状態の間、心臓から放出される循環しているペプチドホルモンである。ANFの機能は、塩および水ホメオスタシスの維持ならびに血圧制御である。ANFは、少なくとも2つのプロセス:Am. J. Physiol., 256, R469-R475, 1989により報告されている受容体仲介クリアランスにより、およびBiochem. J., 243, 183-187, 1987に記載されている通り、NEPを介した酵素的不活性化により、循環中で急速に不活性化される。NEP阻害剤が、実験動物におけるANFの薬理学的注射に対する、降圧性、利尿性、ナトリウム利尿性および血漿ANF応答を増強することが以前に証明されている。2種の特異的NEP阻害剤におけるANFの増強が、Sybertz et al. in J. Pharmacol. Exp. Ther. 250, 2, 624-631, 1989, およびHypertension, 15, 2, 152-161, 1990に記載されており、一方、NEPによるANFの増強は、一般的に米国特許4,749,688に開示された。米国特許4,740,499において、Olinsは、心房性ペプチドを増強するためのチオルファンおよびケラトルファン(kelatorphan)の使用を開示している。さらに、NEP阻害剤は、いくつかの型の実験的高血圧において、血圧を低下し、利尿および増加したサイクリックグアノシン3',5'−モノホスフェート(cGMP)排出のようなANF様効果を発揮する。NEP阻害剤の抗高血圧性作用は、ANFに対する抗体が血圧の低下を中和するため、ANFを介して仲介される。
【0012】
以下は、本発明の一定の局面を記載するためにここで使用する種々の付加的用語のいくつかの定義である。しかしながら、ここで使用する用語の定義は当分野、例えば、高血圧、心不全およびアテローム性動脈硬化症で一般的に既知のものであり、具体的な状況で他に限定されていない限り、明細書を通してその用語が使用されている限り適用される。
【0013】
用語“予防”は、ここに記載の状況の発症を予防するための健康な患者への予防的投与を意味する。さらに、用語“予防”は、処置すべき状態の前段階にある患者への予防的投与を意味する。
【0014】
ここで使用する用語“発症の遅延”は、処置すべき状態の前段階の患者への投与を意味する(ここで、対応する状態の前形態を有する患者は診断されている)。
【0015】
用語“処置”は、疾患、状態または障害と戦うことを目的とした患者の管理およびケアと理解される。
【0016】
用語“治療的有効量”は、研究者または医師により調べられている組織、全身または動物(ヒトを含む)の所望の生物学的または医学的応答を誘発する、薬剤または治療剤の量を意味する。所望の効果の非限定的例は、AT1受容体の少なくとも部分的阻害または不活性化、またはカルシウムチャネルブロッカー、またはレニン阻害剤、または中性エンドペプチダーゼ;または血圧の制御;またはコレステロールレベルの低下;または心血管もしくは代謝状態または疾患、例えば、本明細書に記載の疾患または状態の処置を含むが、これらに限定されない。
【0017】
ここで使用する用語“相乗的”は、本発明の方法、組合せおよび医薬組成物で達成される効果が、本発明の複数活性成分を別々に含む個々の方法および組成物からの効果の合計よりも大きいことを意味する。
【0018】
用語“温血動物”または“患者”は、本明細書中で交換可能に使用され、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、マウスおよび実験動物を含むが、これらに限定されない。好ましい哺乳動物はヒトである。
【0019】
用語“薬学的に許容される塩”は、医薬業界において一般的に使用される非毒性塩を意味し、それは当分野で既知の方法に従い、製造できる。
【0020】
高血圧を伴う2型糖尿病を含む“2型糖尿病”なる用語は、膵臓が、膵臓ベータ細胞機能の障害のために十分なインスリンを分泌しないおよび/または産生されたインスリンに対する非感受性(インスリン抵抗性)が存在する疾患を意味する。典型的に、空腹時血糖は126mg/dL未満であるが、前糖尿病は、例えば、以下の状態により特徴付けられる状態である:空腹時血中ブドウ糖不良(110−125mg/dL)および耐糖能障害(126mg/dL未満の空腹時グルコースレベルおよび140mg/dLから199mg/dLの食後グルコースレベル)。2型真性糖尿病は高血圧を伴うか、または伴わないことがある。真性糖尿病は、例えば、アフリカ系アメリカ人、ラテン・アメリカ人/スペイン系アメリカ人、ネイティブアメリカン、ネイティブアメリカン、アジア系アメリカ人および太平洋諸島系住民で頻繁に起こる。インスリン抵抗性のマーカーはHbA1C、HOMA IR、コラーゲンフラグメント、尿中TGF−β、PAI−1およびプロレニンの測定を含む。
【0021】
用語“高血圧”は、血管中の血液の圧力が、それが体中を循環しているとき正常よりも単回状態を意味する。長期間収縮期圧が150mmHgを超えるかまたは拡張期圧が90mmHgを超えるとき、体に障害が起こる。例えば、過度の収縮期圧はどこかの血管を破壊し得て、それが脳内で起こったとき、卒中の結果となる。高血はまた血管の肥厚化および狭小化ももたらし得て、それは最終的にアテローム性動脈硬化症に至る。
【0022】
用語“重篤な高血圧”は、≧180mmHgの収縮期血圧および≧110mmHgの拡張期血圧により特徴付けられる高血圧である。
【0023】
用語“肺高血圧”(PH)は、例えば、肺に血液を供給する小血管の収縮または締め付けのために、肺動脈の圧力が≦25/10の正常レベルを超えて上がる(とりわけ原発性および続発性PH)、肺の血管障害である。WHOによると、PHは5カテゴリーに分類される:肺動脈性高血圧(PAH)(既知の原因が無く起こるPHは原発性肺高血圧と呼び、一方、続発性PHは例えば、気腫;気管支炎;コラーゲン血管疾患、例えば強皮症、クレスト症候群または全身性エリテマトーデス(SLE)から選択される状態により引き起こされる);呼吸器の障害と関連するPH;慢性血栓性または塞栓性疾患が原因のPH;肺血管に直接影響する障害が原因のPH;および肺静脈性高血圧(PVH)。
【0024】
用語“悪性高血圧”は、通常、鬱血乳頭(グレードIV Keith-Wagner高血圧性網膜症)と呼ばれる、眼の後の視神経の腫脹を伴う非常に高い血圧として定義される。これはまた、小児の悪性HTNも含む。
【0025】
用語“孤立性収縮期高血圧”は、≧140mmHgの収縮期血圧および<90mmHgの拡張期血圧により特徴付けられる高血圧である。
【0026】
用語“家族性異脂肪血症高血圧”は、混合型の異脂肪血症性障害により特徴付けられる。バイオマーカーは、酸化LDL、HDL、グルタチオンおよびホモシステインLPaを含む。
【0027】
用語“腎血管性高血圧”(腎臓動脈狭窄)は、腎臓から送り出されるシグナル由来の血圧の上昇をもたらす、腎臓動脈の狭小化が顕著である状態を意味する。バイオマーカーはレニン、PRAおよびプロレニンを含む。
【0028】
高血圧を伴うまたは伴わない“内皮細胞機能不全”なる用語は、内皮由来冠拡張因子の不足のために、血管の正常の拡張が障害される状態を意味する。バイオマーカーはCRP、IL6、ET1、BIG−ET1、VCAMおよびICAMを含む。生存MI後バイオマーカーはBNPおよびプロコラーゲン因子を含む。
【0029】
用語“拡張機能障害”は、心臓筋肉(心筋)の異常な機械的特性を意味し、駆出率が正常か低下しているか、および患者が症候性か無症候性かに関係なく、異常な左心室(LV)拡張期伸展性、障害性充填物、および遅いもしくは遅延した弛緩を含む。無症候性拡張機能障害は、正常な駆出率およびLV充填の異常エコー・ドップラーパターンの無症候性患者に言及するために使用し、これは、例えば、高血圧性心臓疾患の患者にしばしば見られる。故に、高血圧性左室肥大ならびに、正常駆出率および異常左心室充填を示す心エコー図の無症候性患者は、拡張機能障害を有すると言える。このような患者が、努力不耐性(effort intolerance)および呼吸困難を示すならば、とりわけ静脈性鬱血および肺浮腫の証拠があるならば、用語拡張期心不全を使用するのがより適当であろう。この用語は、LV収縮期機能不全を有する無症候性および症候性患者において使用される用語に近似し、そして症状があってもなくてもLV機能不全の全ての患者を含む、病態生理学的、診断的および治療的フレームワークの使用を促進する(William H. GaaschおよびMichael R. Zile, Annu. Rev. Med. 55:373−94, 2004;Gerard P. Aurigemma, William H. Gaasch, N. Engl. J. Med. 351:1097-105, 2004)。
【0030】
用語“心線維症”は、コラーゲンおよび他の細胞外マトリックスタンパク質の、これらのタンパク質の増加した産生または低下した分解が原因の異常に高い蓄積として定義する。バイオマーカーは、BNP、プロコラーゲン因子、LVH、AGE RAGEおよびCAGEを含む。
【0031】
用語“末梢血管疾患”(PVD)は、末梢血管の損傷または機能不全を意味する。末梢血管疾患には2タイプある:障害された末梢動脈を意味する末梢動脈性疾患(PAD)および末梢静脈性障害(足関節・上腕血圧指数により測定できる)。PADは、徐々にプラークが形成されることにより動脈が進行性に硬化および狭小化する状態であり、心臓外の体内の動脈、静脈および毛細血管のような血管が影響する状態を意味する。これはまた末梢静脈性障害としても既知である。
【0032】
用語“アテローム性動脈硬化症”は、ギリシャ語athero(粥またはペースト)およびsclerosis(硬化症)から来ている。脂肪性物質、コレステロール、細胞性老廃物、カルシウムおよび他の物質の沈着物が、動脈の内張に構築される過程の名前である。この構築物をプラークと呼ぶ。これは、通常、大きなおよび中程度の動脈に影響する。ヒトの加齢にしたがい、動脈のいくぶんかの硬化がしばしば起こる。プラークは、動脈を通る血液を顕著に減少させるのに十分大きく成長し得る。しかし、ほとんどの損傷は、それらが脆弱になり、破裂したときに起こる。破裂したプラークは血塊の形成の原因となり、それが血流を遮断するかまたは剥がれて体内の他の場所に移動し得る。いずれかが起こり、心臓に供給される血管が遮断されたならば、それは心臓発作の原因となる。脳に供給される血管が遮断されたら、それは卒中の原因となる。そして腕または足に供給される血液が低下したら、それは歩行困難および最終的に壊疽をもたらし得る。
【0033】
用語“冠動脈疾患”(CAD)はまた、心臓内の動脈のような血管に影響する、プラークが徐々に構築されることによる動脈が進行性に硬化および狭小化する状態も意味する。CADは、酸素に富む血液を心臓筋肉に供給する3つの小動脈において起こるアテローム性動脈硬化症の独特の形態である。バイオマーカーはCPKおよびトロポニンを含む。
【0034】
用語“脳血管疾患”は、塞栓性および血栓性卒中;大血管血栓症および小血管疾患;および出血性卒中のような卒中状態を含む。
【0035】
用語“塞栓性卒中”は、脳内の血流から降りてきたとき、例えば、心臓に形成される血塊の形成により特徴付けられる状態を意味する。これは小血管の破壊をもたらし得て、卒中の原因となり得る。
【0036】
用語“血栓性卒中”は、血流が、脳への1つまたは2つの動脈供給の遮断により障害されている状態を意味する。この過程は、通常血栓性卒中の原因の血栓症に至る。バイオマーカーは、PAI 1、TPAおよび血小板機能を含む。
【0037】
用語“メタボリック症候群”(シンドロームX)は、以下の基準の3つ異常により特徴付けられる総合的な状態を意味する:
1. 腹部肥満:ウェスト周囲男性>102cm、および女性>88cm;
2. 高トリグリセリド血症:>150mg/dL(1.695mmol/L);
3. 低HDLコレステロール:男性<40mg/dL(1.036mmol/L)、および女性<50mg/dL(1.295mmol/L);
4. 高血圧:>130/85mmHg;および
5. 高空腹時グルコース:>110mg/dL(>6.1mmol/L)。
【0038】
メタボリック症候群はまた以下の基準の3つ異常により特徴付けられ得る:トリグリセライド>150mg/dL、収縮期血圧(BP)≧130mmHgまたは拡張期BP≧85mmHg、または抗高血圧処置中、高密度リポタンパク質コレステロール<40mg/dL、空腹時血糖(FBS)>110mg/dL、および肥満指数(BMI)>28.8kg/m
【0039】
メタボリック症候群はまた糖尿病、耐糖能障害、空腹時血中ブドウ糖不良、またはインスリン抵抗性とそれに加えて以下の基準の2個以上によりまた特徴付けられ得る:
1. 高血圧:≧160/90mmHg;
2. 高脂血症:トリグリセライド濃度≧150mg/dL(1.695mmol/L)および/またはHDLコレステロール男性<35mg/dL(0.9mmol/L)、および女性<39mg/dL(1.0mmol/L);
3. 中心性肥満:ウェスト対ヒップ比男性>0.90、および女性>0.85および/またはBMI>30kg/m;および
4. 微量アルブミン尿:尿のアルブミン排出速度≧20μg/分またはアルブミン−対−クレアチニン比≧20mg/g。バイオマーカーは、タンパク質尿、TGF−β、TNF−αおよびアディポネクチンを含む。
バイオマーカーは、LDL、HDLおよび全内皮細胞機能不全マーカーを含む。
【0040】
用語“心房細動”(AF)は、血液が心臓に集まる原因と成り得て、血塊を作る可能性があり、それが脳に移動する可能性があり、卒中をもたらし得る不規則なまたはドキドキした心拍のタイプを意味する。
【0041】
用語“腎不全”、例えば、慢性腎不全;は、例えば、タンパク質尿および/または血漿クレアチニン濃度のわずかな上昇(1.2−2.0mg/dLに対応する106−177mmol/L)により特徴付けられる。
【0042】
用語“糸球体腎炎”は、ネフローゼ症候群、高血圧および低下した腎臓機能、巣状、分節性糸球体腎炎、微小変化型ネフローゼ、ループス腎炎、ストレプトコッカス感染後GNおよびIgA腎症と関連し得る状態を意味する。
【0043】
用語“ネフローゼ症候群”は、大量のタンパク質尿、浮腫および中枢神経系(CNS)変則性を含む状態の合併症を意味する。バイオマーカーは尿のタンパク質排出を含む。
【0044】
用語“プラーク安定化”は、繊維性キャップ薄化/破裂、平滑筋細胞損失および炎症性細胞蓄積の要望により、プラークの危険性を低下させることを意味する。
【0045】
用語“腎臓線維症”は、腎臓機能に至る、コラーゲンおよび他の細胞外マトリックスタンパク質の異常蓄積を意味する。バイオマーカーは、尿中のコラーゲンフラグメントおよびTGF−βを含む。
【0046】
用語“末期腎臓病”(ESRD)は、透析または腎移植が必要な程度までの、腎臓機能の損失を意味する。バイオマーカーは、糸球体濾過速度およびクレアチニンクリアランスを含む。
【0047】
用語“多嚢胞性腎臓病”(PKD)は、腎臓内における多くの嚢胞の増殖により特徴付けられる一般的疾患である。PKD嚢胞は、腎臓の主要部のほとんどをゆっくり減少し、腎臓機能の低下および腎臓不全に至り得る。PKDは、常染色体優性遺伝性PKDおよび常染色体劣性遺伝PKDであるPKDの二つの大きな遺伝形態に分類でき、一方、非遺伝性のPKDは、後天性嚢胞性腎臓病と呼ぶ。バイオマーカーは、非侵襲製造影による、腎臓脳胞の減少を含む。
【0048】
アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;およびレニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤から選択される2種の活性剤のうち1個、またはそれらの薬学的に許容される塩の“組合せ”なる用語は;これらの成分を一緒に一つの医薬組成物として、または、同じ、単一の投与形態として投与できることを意味する。組合せはまた、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩、カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;およびレニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤から選択される2種の活性剤のうち1個、またはそれらの薬学的に許容される塩;の各々を、別々に、しかし、同じ治療レジメンの一部として投与することも含む。これらの成分を、別々に投与するならば、必ずしも同時に投与する必要はないが、そう望むなら可能である。故に、組合せはまた、例えば、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;およびレニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤から選択される2種の活性剤のうち1個、またはそれらの薬学的に許容される塩;を別々の投与量または投与形態としてであるが、同時に投与することを含む。組合せはまた、異なる時点で、任意の順番の別々の投与も含む。
【0049】
本発明が適用されるレニン阻害剤は、インビボでレニン阻害活性を有し、故に、例えば、高血圧(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期性、または高血圧の他の二次的なタイプであれ)、拡張期および鬱血性心不全(急性および慢性)のような心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞(MI)およびその続発症、冠動脈疾患(CAD)を含むアテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定型であれ安定型であれ)、腎臓不全(糖尿病性および非糖尿病性)、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病(PKD)、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群のような腎不全、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症および末期腎臓病(ESRD)の予防、偏頭痛、末梢血管疾患(PVD)、レイノー病、管腔肥大、認知障害(例えばアルツハイマー)、緑内障のような末梢血管疾患および塞栓性または血栓性卒中のような脳血管疾患の管理のための、発症遅延および/または処置のための治療剤として医薬的有用性を有する、すべてのレニン阻害剤である。
【0050】
特に、本発明は、米国特許5,559,111;No。6,197,959およびNo。6,376,672(それらの内容全体を引用により本明細書に包含させる)に記載のレニン阻害剤に関する。
【0051】
本発明の組合せにおいて用い得る適当なアンギオテンシンII受容体ブロッカーは、種々の構造特性を有するAT−受容体アンタゴニストを含み、好ましいのは非ペプチド構造のものである。例えば、特記し得るのは、バルサルタン(EP443983)、ロサルタン(EP253310)、カンデサルタン(EP459136)、エプロサルタン(EP403159)、イルベサルタン(EP454511)、オルメサルタン(EP503785)、タソサルタン(EP539086)、テルミサルタン(EP522314)、式
【化1】

のE−4177と名付けられた化合物、式
【化2】

のSC−52458と名付けられた化合物、および式
【化3】

の化合物ZD−8731、または、それぞれの場合、それらの薬学的に許容される塩である。
【0052】
好ましいAT−受容体アンタゴニストは、上市されている医薬であり、最も好ましいのはバルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0053】
本発明の組合せにおいて用い得る適当なカルシウムチャネルは、以下のものを含む。CCBのクラスは、本質的にジヒドロピリジン類(DHP)およびジルチアゼム型およびベラパミル型CCBのような非DHPを含む。
【0054】
本発明の組合せにおいて有用なCCBは、好ましくはアムロジピン、フェロジピン、リオシジン(ryosidine)、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびニバルジピンから成る群から選択される代表的DHPであり、好ましくはフルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル(tiapamil)およびベラパミル、およびそれぞれの場合、それらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、代表的非DHPである。全てのこれらのCBを、例えば抗高血圧、抗狭心症または抗不整脈剤として使用できる。
【0055】
好ましいCCBは、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびベラパミル、または、例えば具体的CCBに依存して、それらの薬学的に許容される塩である。DHPとしてとりわけ好ましいのは、アムロジピンまたは薬学的に許容される塩、とりわけそのベシル酸塩である。とりわけ好ましい代表的非DHPは、ベラパミルまたは薬学的に許容される塩、とりわけその塩酸塩である。
最も好ましいCCBは、ベシル酸アムロジピンである。
【0056】
本発明の組合せにおいて有用な適当なレニン阻害剤は、種々の構造特性を有する化合物を含む。例えば、ジテキレン(ditekiren)(化学名:[1S−[1R,2R,4R(1R,2R)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル(mrthyl))アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−アルファ−メチル−L−ヒスチジンアミド);テルラキレン(terlakiren)(化学名:[R−(R,S)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);およびザンキレン(化学名:[1S−[1R[R(R)],2S,3R]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−アルファ−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]−アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、好ましくは、それぞれの場合、その塩酸塩から成る群を特記し得る。
【0057】
本発明の好ましいレニン阻害剤は、各々式(I)および(II)
【化4】

のRO 66−1132およびRO 66−1168、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0058】
特に、本発明は、式
【化5】

〔式中、Rはハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;Rはハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;RおよびRは、独立して分枝C3−6アルキルであり;そしてRはシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである。〕
のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体;またはそれらの薬学的に許容される塩であるレニン阻害剤に関する。
【0059】
アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは1〜6個のC原子、とりわけ1〜4個のC原子を含む。例は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。
【0060】
ハロゲンアルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは1〜4個のC原子、とりわけ1または2個のC原子を含む。例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2−クロロエチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0061】
アルコキシとして、RおよびRは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは1〜4個のC原子を含む。例は、メトキシ、エトキシ、n−およびi−プロピルオキシ、n−、i−およびt−ブチルオキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシである。
【0062】
アルコキシアルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルコキシ基は、好ましくは1〜4個、とりわけ1または2個のC原子を含み、アルキル基は、好ましくは1〜4個のC原子を含む。例は、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、エトキシメチル、2エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、6−エトキシヘキシル、プロピルオキシメチル、ブチルオキシメチル、2−プロピルオキシエチルおよび2−ブチルオキシエチルである。
【0063】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルコキシ基は、好ましくは1〜4個、とりわけ1または2個のC原子を含み、アルキルオキシ基は、好ましくは1〜4個のC原子を含む。例は、メトキシメチルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、5−メトキシペンチルオキシ、6−メトキシヘキシルオキシ、エトキシメチルオキシ、2−エトキシエチルオキシ、3−エトキシプロピルオキシ、4−エトキシブチルオキシ、5−エトキシペンチルオキシ、6−エトキシヘキシルオキシ、プロピルオキシメチルオキシ、ブチルオキシメチルオキシ、2−プロピルオキシエチルオキシおよび2−ブチルオキシエチルオキシである。
【0064】
好ましい態様において、Rはメトキシ−またはエトキシ−C1−4アルキルオキシであり、そしてRは好ましくはメトキシまたはエトキシである。特に好ましいのはRが3−メトキシプロピルオキシであり、そしてRがメトキシである式(III)の化合物である。
【0065】
分枝アルキルとして、RおよびRは、好ましくは3〜6個のC原子を含む。例は、i−プロピル、i−およびt−ブチル、ならびにペンチルおよびヘキシルの分枝異性体である。好ましい態様において、式(III)の化合物のRおよびRは、それぞれの場合i−プロピルである。
【0066】
シクロアルキルとして、Rは、好ましくは3〜8環炭素原子を含み得て、3または5がとりわけ好ましい。いくつかの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルである。シクロアルキルは、所望により1個以上の置換基、例えば、アルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、ヘテロシクリル等で置換されていてよい。
【0067】
アルキルとして、Rは、アルキルの形の直鎖または分枝鎖であってよく、好ましくは1〜6個のC原子を含む。アルキルの例は、上記に挙げている。メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチルが好ましい。
【0068】
1−6ヒドロキシアルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは2〜6個のC原子を含む。いくつかの例は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−、3−または4−ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシルである。
【0069】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルコキシ基は、好ましくは1〜4個のC原子を含み、そしてアルキル基は、好ましくは2〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、2−、3−または4−メトキシブチル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、および2−、3−または4−エトキシブチルである。
【0070】
1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルカノイルオキシ基は、好ましくは1〜4個のC原子を含み、そしてアルキル基は、好ましくは2〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、ホルミルオキシメチル、ホルミルオキシエチル、アセチルオキシエチル、プロピオニルオキシエチルおよびブチロイルオキシエチルである。
【0071】
1−6アミノアルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、好ましくは2〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、2−アミノエチル、2−または3−アミノプロピルおよび2−、3−または4−アミノブチルである。
【0072】
1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルおよびC1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよい。アルキルアミノ基は、好ましくはC1−4アルキル基を含み、アルキル基は、好ましくは2〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、2−メチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチルおよび4−ジメチルアミノブチルである。
【0073】
HO(O)C−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、アルキル基好ましくは2〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピルおよびカルボキシブチルである。
【0074】
1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、アルキル基は、好ましくは互いに独立して、1〜4個のC原子を含む。いくつかの例は、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、4−メトキシ−カルボニルブチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−エトキシカルボニルプロピル、および4−エトキシカルボニルブチルである。
【0075】
N−C(O)−C1−6アルキルとして、Rは直鎖でも分枝鎖でもよく、アルキル基は、好ましくは2〜6個のC原子を含む。いくつかの例は、カルバミドメチル、2−カルバミドエチル、2−カルバミド−2,2−ジメチルエチル、2−または3−カルバミドプロピル、2−、3−または4−カルバミドブチル、3−カルバミド−2−メチルプロピル、3−カルバミド−1,2−ジメチルプロピル、3−カルバミド−3−エチルプロピル、3−カルバミド−2,2−ジメチルプロピル、2−、3−、4−または5−カルバミドペンチル、4−カルバミド−3,3−または−2,2−ジメチルブチルである。好ましくは、Rが2−カルバミド−2,2−ジメチルエチルである。
【0076】
従って、好ましいのは、式
【化6】

〔式中、Rが3−メトキシプロピルオキシであり;Rがメトキシであり;そしてRおよびRがイソプロピルである。〕
の式(III)の
δ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体;またはそれらの薬学的に許容される塩である;化学的に2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドとして定義され、アリスキレンとしても既知である。
【0077】
用語“アリスキレン”は、特記しない限り、遊離塩基としておよびそれらの塩としての療法、とりわけそれらの薬学的に許容される塩、最も好ましくはそのヘミフマル酸塩を含むと理解すべきである。
【0078】
本発明の組合せにおいて用い得る適当なNEP阻害剤は、例えば、式
【化7】

〔式中、
はC−Cアルキル、トリフルオロメチル、所望により置換されていてよいフェニルまたは−(CH)1−4−(所望により置換されていてよいフェニル)であり;
は、水素、C−Cアルキル、所望により置換されていてよいフェニル、−(CH)1−4−(所望により置換されていてよいフェニル)であり;
は、ヒドロキシ、C−CアルコキシまたはNHであり;
nは1〜15の整数である。〕
の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【0079】
用語“所望により置換されていてよいフェニル”は、所望によりC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、ヒドロキシ、CI、Br、またはFから選択される置換基で置換されていてよいフェニル基を意味する。
【0080】
好ましい式(V)の選択的NEP阻害剤は:
がベンジルであり;
が水素であり;
nが1〜9の整数であり;
がヒドロキシである;
化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0081】
さらに好ましいのは:
がベンジルであり;
が水素であり;
nが1であり;および
がヒドロキシである、
SQ 28,603として文献に報告されている式(V)の選択的NEP阻害剤である。
【0082】
がトリフルオロメチル以外である式(V)の選択的NEP阻害剤の製造法は、Delaneyらにより、米国特許4,722,810に記載されている。Rがトリフルオロメチルである式(V)の選択的NEP阻害剤の製造法は、Delaneyらにより、米国特許5,223,516に記載されている。
【0083】
さらに本発明の範囲内のNEP阻害剤は、米国特許4,610,816(ここに引用により包含する)に開示の化合物、特にN−[N−[1(S)−カルボキシル−3−フェニルプロピル]−(S)−フェニルアラニル]−(S)−イソセリンおよびN−[N−[((1S)−カルボキシ−2−フェニル)エチル]−(S)−フェニルアラニル]−β−アラニン;米国特許4,929,641に開示の化合物、特にN−[2(S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)−プロピオニル]−メチオニン;南アフリカ特許出願84/0670に開示のSQ 28,603(N−[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]−β−アラニン);UK 69578(cis−4−[[[1−[2−カルボキシ−3−(2−メトキシエトキシ)−プロピル]−シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−シクロヘキサンカルボン酸)およびその活性エナンチオマー(複数もある);チオルファンおよびそのエナンチオマー;レトロ−チオルファン;ホスホラミドン;およびSQ 29,072(7−[[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]−ヘプタン酸)も含む。また使用に適しているのは、上記NEP阻害剤のプロドラッグ形態、例えば、1個以上のカルボン酸基がエステル化されている化合物である。
【0084】
本発明の範囲内のNEP阻害剤は、米国特許5,217,996に開示の化合物、特に、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルおよびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれぞれの場合、それらの薬学的に許容される塩;EP00342850に開示の化合物、特に(S)−cis−4−[1−[2−(5−インダンylオキシカルボニル)−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]−1−シクロペンタンカルボキサミド]−1−シクロヘキサンカルボン酸;GB02218983に開示の化合物、特に3−(1−[6−エンド−ヒドロキシメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−エキソ−カルバモイル]−シクロペンチル)−2−(2−メトキシエチル)プロパン酸;WO92/14706に開示の化合物、特にN−(1−(3−(N−t−ブトキシカルボニル−(S)−プロリルアミノ)−2(S)−t−ブトキシ−カルボニルプロピル)−シクロペンタンカルボニル)−O−ベンジル−(S)−セリンメチルエステル;EP00343911に開示の化合物;JP06234754に開示の化合物;EP00361365に開示の化合物、特に4−[[2−(メルカプトメチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]安息香酸;WO90/09374に開示の化合物、特に3−[1−(cis−4−カルボキシカルボニル−cis−3−ブチルシクロヘキシル−r−1−カルバモイル)シクロペンチル]−2S−(2−メトキシエトキシメチル)プロパン酸;JP07157459に開示の化合物、特にN−((2S)−2−(4−ビフェニルメチル)−4−カルボキシ−5−フェノキシバレリル)グリシン;WO94/15908に開示の化合物、特にN−(1−(N−ヒドロキシカルバモイルメチル)−1−シクロペンタンカルボニル)−L−フェニルアラニン;米国特許5,273,990に開示の化合物、特に(S)−(2−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イル)エチルアミノ)メチルホスホン酸;米国特許5,294,632に開示の化合物、特に(S)−5−(N−(2−(ホスホノメチルアミノ)−3−(4−ビフェニル)プロピオニル)−2−アミノエチル)テトラゾール;米国特許5,250,522に開示の化合物、特にβ−アラニン、3−[1,1'−ビフェニル]−4−イル−N−[ジフェノキシホスフィニル)メチル]−L−アラニル;EP00636621に開示の化合物、特にN−(2−カルボキシ−4−チエニル)−3−メルカプト−2−ベンジルプロパンアミド;WO93/09101に開示の化合物、特に2−(2−メルカプトメチル−3−フェニルプロピオンアミド)チアゾル−4−イルカルボン酸;EP00590442に開示の化合物、特に((L)−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ)カルボニル)−2−フェニルエチル)−L−フェニルアラニル)−β−アラニン、N−[N−[(L)−[1−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ]カルボニル]−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン、N−[N−[(L)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン、N−[2−アセチルチオメチル−3−(2−メチル−フェニル)−プロピオニル]−メチオニンエチルエステル、N−[2−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)プロピオイル]−メチオニン、N−[2(S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)プロパノイル]−(S)−イソセリン、N−(S)−[3−メルカプト−2−(2−メチルフェニル)プロピオニル]−(S)−2−メトキシ−(R)−アラニン、N−[1−[[1(S)−ベンジルオキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アミノ]シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン、N−[1−[[1(S)−カルボニル−3−フェニルプロピ(propy)]アミノ]−シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン、1,1'−[ジチオビス−[2(S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−イソセリン、1,1'−[ジチオビス−[2(S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−メチオニン、N−(3−フェニル−2−(メルカプトメチル)−プロピオニル)−(S)−4−(メチルメルカプト)メチオニン、N−[2−アセチルチオメチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸、N−[2−メルカプトメチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸、N−[1−(2−カルボキシ−4−フェニルブチル)−シクロペンタンカルボニル]−(S)−イソセリン、N−[1−(アセチルチオメチル)−シクロペンタン−カルボニル]−(S)−メチオニンエチルエステル、3(S)−[2−(アセチルチオメチル)−3−フェニル−プロピオニル]アミノ(amimo)−ε−カプロラクタム;およびWO93/10773に開示の化合物、特に、N−(2−アセチルチオメチル−3−(2−メチルフェニル)プロピオニル)−メチオニンエチルエステルも含む。
【0085】
とりわけ適当なNEP阻害剤は、各々、式
【化8】

のN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルおよびN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれぞれの場合、それらの薬学的に許容される塩を含む。式(VI)の化合物の好ましい塩は、米国特許5,217,996に開示のナトリウム塩;およびWO03/059345に開示のトリエタノールアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩を含む。
【0086】
上記に引用した、例えば、米国特許およびEP、GB、JPまたはWO特許出願におけるNEP阻害剤に関する主題、とりわけここに開示のNEP阻害剤、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および医薬組成物に対応する主題は引用により本明細書に包含する。
【0087】
本発明の組合せは、さらに利尿剤を含み得る。利尿剤は、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチクロチアジド(methylclothiazide)、およびクロロサリドンから成る群から選択されるチアジド誘導体である。最も好ましい利尿剤は、ヒドロクロロチアジドである。さらなる利尿剤は、アミロライドまたはトリアムテレン(triameterine)、またはそれらの薬学的に許容される塩のようなカリウム節約型利尿剤である。
【0088】
好ましいのは、アンギオテンシンIIブロッカー、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、とりわけそのベシル酸塩の形のアムロジピン;およびレニン阻害剤、例えば、とりわけそのヘミフマル酸塩の形のアリスキレンを含む、本発明の組合せである。
【0089】
好ましいのは、また、アンギオテンシンIIブロッカー、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、とりわけそのベシル酸塩の形のアムロジピン;およびNEP阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む、本発明の組合せである。
【0090】
好ましいのは、また、アンギオテンシンIIブロッカー、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、とりわけそのベシル酸塩の形のアムロジピン;レニン阻害剤、例えば、とりわけそのヘミフマル酸塩の形のアリスキレン;および利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドを含む、本発明の組合せである。
【0091】
好ましいのは、また、アンギオテンシンIIブロッカー、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、とりわけそのベシル酸塩の形のアムロジピン;NEP阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩;および利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドを含む、本発明の組合せである。
【0092】
上記の通り、組み合わせる化合物は、それらの薬学的に許容される塩として存在できる。これらの化合物が、例えば、少なくとも1個のアミノ基のような塩基性中心を有するならば、それらは、その酸付加塩を形成できる。同様に、少なくとも1個の酸基(例えばCOOH)を有する化合物は、塩基と塩を形成できる。対応する分子内塩も、化合物が、例えば、カルボキシおよびアミノ基の両方を含むならば、さらに形成され得る。
【0093】
対応する活性成分または薬学的に許容される塩はまた水和物または、例えば、それらの結晶化に使用した他の溶媒を含む、溶媒和物の形でも使用できる。
【0094】
さらに、本発明は:
(a)アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b)カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c) 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(ii)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩
および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0095】
上記の通り、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドを、医薬組成物として併用投与できる。これらの成分を一緒に慣用の投与剤形で、通常、また薬学的に許容される担体または希釈剤と共に投与できる。
【0096】
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物への経腸、例えば経口または直腸、経皮および非経腸投与に適するものである。経口投与のために、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドを含む医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル剤、粉末、マイクロエマルジョン、単位投与パケット等の形で投与できる。好ましいのは、活性成分を:a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;望むならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む、錠剤およびゼラチンカプセル剤である。注射用組成物は、好ましくは水性等張溶液または懸濁液であり、坐薬は有利には脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造する。
【0097】
該組成物は、滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは、治療的に価値ある他の物質も含み得る。該組成物は、慣用の混合、造粒またはコーティング法に各々従い製造し、約0.1−90%、好ましくは約1−80%の活性成分を含む。
【0098】
活性成分の投与量は、投与形態、恒温動物種、年齢および/または個々の状態のような種々の因子に依存し得る。
【0099】
本発明の医薬組合せの活性成分の好ましい投与量は、治療的有効投与量、とりわけ、市販の量である。
【0100】
通常、経口投与の場合、約1mgから約360mgのおおよその1日量が、例えば、体重約75kgの患者について概算される。
【0101】
例えば、アンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えば、バルサルタンは、適当な投与単位形態、例えば、カプセル剤または錠剤の形でそして、治療的有効量のアンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えば、約20から約320mgのバルサルタンを含んで提供され、それは患者に適用できる。活性成分の投与は、1日3回まで、例えば、20mgまたは40mgのアンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えば、バルサルタンで開始して、1日80mgおよびさらに1日160mg、そして最終的には1日320mgまで増やして行い得る。好ましくは、アンギオテンシンII受容体ブロッカー、例えば、バルサルタンを1日1回または1日2回、それぞれ好ましくは各80mgまたは160mgの投与量で投与する。対応する投与量を、例えば、朝、昼または晩に摂取し得る。
【0102】
カルシウムチャネルブロッカーの場合、好ましい投与単位形態は、例えば、具体的CCBに依存して、約1.0mgから約180mg、好ましくは約2.5mgから約50mg、より好ましくは2.5から10mgのCCB、例えばアムロジピンを含む、錠剤またはカプセル剤である。好ましい投与単位形態は、例えば、CCB、特にアムロジピンを経口投与するとき、1日、約1mgから約40mg、好ましくは2.5から20mg、より好ましくは2.5から10mgを含む、錠剤またはカプセル剤である。
【0103】
体重約75kgのヒトを含む温血動物に投与すべきレニン阻害剤、例えばアリスキレンの量、とりわけレニン活性の阻害、例えば、血圧の低下に有効な量は、好ましくは約3mgから約3g、より好ましくは約10mgから約1g、例えば、20から200mg/ヒト/日であり、好ましくは、例えば、同じ量であり得る1〜4回の単回投与量に分割する。通常、小児は成体の約半量を受ける。各個体に必要な投与量は、例えば、活性成分の血清濃度を測定することによりモニターし、最適レベルに調節できる。単回投与量は、成体患者あたり、例えば、75mg、150mgまたは300mgを含む。
【0104】
NEP阻害剤の場合、好ましい投与単位形態は、好ましくは1日1回投与する、例えば、約20mgから約800mg、好ましくは約50mgから約700mg、さらに好ましくは約100mgから約600mg、および最も好ましくは約100mgから約300mgのNEP阻害剤を含む、例えば、錠剤またはカプセル剤である。
【0105】
利尿剤の場合、好ましい投与単位形態は、例えば、約5mgから約50mg、好ましくは約6.25mgから約25mgを含む、例えば、錠剤またはカプセル剤である。6.25mg、12.5mgまたは25mgの1日量の、例えばヒドロクロロチアジドを、好ましくは1日1回投与する。
【0106】
上記投与量は、治療的有効量の本発明の活性成分を包含する。
【0107】
好ましい組成物の例は、60から100mg、例えば80mg量のバルサルタン、2から12mg、例えば2.5または5mg量のアムロジピン、20から200mg、例えば、75mg、150mgまたは300mg量のアリスキレンおよび8から16mg、例えば12.5mg量のHCTZを含む。
【0108】
好ましい組成物の他の例は、140から180mg、例えば160mg量のバルサルタン、2から12mg、例えば2.5または5または10mg量のアムロジピン、20から200mg、例えば、75mg、150mgまたは300mg量のアリスキレン、および8から16mg、例えば12.5mg量のHCTZを含む。
【0109】
好ましい組成物の他の例は、140から180mg、例えば160mg量のバルサルタン、4から12mg、例えば5mgまたは10mg量のアムロジピン、20から200mg、例えば、75mg、150mgまたは300mgのアリスキレン、および20から30mg、例えば25mg量のHCTZを含む。
【0110】
本発明が、別々に投与できる化合物の組合せで、予防、発症遅延および/または処置する方法に関連する局面を有するため、本発明はまたキットの形の組み合わせた別々の医薬組成物にも関する。本キットは、例えば、3〜4種の医薬組成物:(1)アンギオテンシンIIブロッカー、またはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物;(2)CCB、またはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物;(3)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩、およびNEP阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物;および(4)所望により利尿剤、またはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含み得る。(1)、(2)、(3)および(4)の量は、別々に併用投与したとき、有益な治療効果が達成されるようなものである。本キットは、分割されたビンまたは分割されたホイルパケットのような別々の組成物を入れるための容器を含み、ここで、各区画が、例えば、(1)、(2)または(3)を含む、複数の投与形態(例えば、錠剤)を含む。あるいは、活性成分含有投与形態を分けるよりむしろ、本キットは、各々が全投与量を含む別々の区画を含み、それがまた別々の投与形態を含み得る、別々の区画を含み得る。このタイプのキットの例は、各個々のブリスターが、3〜4個(またはそれ以上)の錠剤を含み、1個目(またはそれ以上)の錠剤が医薬組成物(1)を含み、2個目(またはそれ以上)の錠剤が医薬組成物(2)を含み、3個目(またはそれ以上)の錠剤が医薬組成物(3)を含み、そして、所望により4個目(またはそれ以上)の錠剤が医薬組成物(4)を含む、ブリスターパックである。典型的に本キットは、これら別々の成分の投与のための指示を含む。本キット形は、これらの別々の成分を、好ましくは別の投与形態(例えば、経口および非経腸)で投与するとき、異なる投与間隔で投与するとき、または組合せ中の個々の成分のタイトレーションを処方医が望むとき、特に有利である。本発明の場合、キットは:
(1)第一投与形態で、アンギオテンシンIIブロッカー、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、治療的有効量の組成物;
(2)第二投与形態で、CCB、特に、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、治療的有効量の組成物;
(3)第三投与形態で、レニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形、および薬学的に許容される担体または希釈剤、および投与後に、有益な治療効果が達成される量で中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または希釈剤;から選択される2種の活性剤のうち1個を含む治療的有効量の組成物;
(4)第四投与形態で、所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(5)該第一、第二、第三および所望により第四投与形態を含む、容器
を含む。
【0111】
本発明は、さらにアンギオテンシンIIおよび/またはNEP活性が仲介する疾患または状態の予防、発症遅延および/または処置の方法であって、それを必要とする、ヒトを含む温血動物に:
(a)アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b)カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c) 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i)レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(ii)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;
および薬学的に許容される担体
を含む、治療的有効量の医薬組成物を投与することを含む、方法に関する。
【0112】
本発明により、驚くべきことに、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドの組合せが、アンギオテンシンIIブロッカー、CCB、レニン阻害剤、NEP阻害剤または利尿剤単独の投与よりも大きな治療効果を達成することが、判明した。大きな効果は、延長された作用期間によりまた証明できる。作用期間は、次の投与前にベースラインに戻るまでの時間または曲線下面積(AUC)のいずれかとしてモニターでき、水銀柱ミリメートルでの血圧の変化の発生(mmHgの変化)および効果の時間(分、時間または日間)として表現する。
【0113】
さらなる利点は、本発明に従い組み合わせる個々の薬剤の低投与量を使用し、用量を減らす、例えば、必要な投与量がしばしば少ないだけでなく、また、少ない頻度で適用するか、または、副作用の事象を減らすために使用できることである。アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドの組合せ投与は、状態の根底の病因とは無関係に、処置患者の大きな割合での顕著な応答、すなわち、大きな応答者率をもたらす。これは、処置する患者の望みおよび要求に合う。
【0114】
アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドでの組合せ治療が、改善された効果および大きな応答者率を介して、より有効な抗高血圧性治療(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期性、または高血圧の他の二次的なタイプであれ)をもたらすことを示し得る。本組合せはまた、心不全、例えば(急性および慢性)鬱血性心不全、左室機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心房粗動、有害な血管リモデリングまたはプラーク安定化の予防、発症遅延および/または処置にも有用である。アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)およびカルシウムチャネルブロッカー(CCB)、およびレニン阻害剤および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤から選択される2種の活性剤のうち1個および所望により利尿剤での治療が、心筋梗塞およびその続発症の処置および予防に有用であることが判明することも示し得る。本発明の組合せはまた、冠動脈疾患(CAD)を含むアテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定型であれ安定型であれ)、腎臓不全(糖尿病性および非糖尿病性)、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病(PKD)およびメタボリック症候群の処置にも有用である。加えて、本発明の組合せを使用した組合せ治療は、内皮細胞機能不全を改善でき、それにより、正常な内皮機能が障害されている疾患、例えば心不全、狭心症および2型糖尿病において利益を提供する。さらに、本発明の組合せは、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群のような腎不全、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症および末期腎臓病(ESRD)、偏頭痛、末梢血管疾患(PVD)、レイノー病、管腔肥大、認知障害(例えばアルツハイマー)、緑内障のような末梢血管疾患および塞栓性または血栓性卒中のような脳血管疾患の管理の予防、発症遅延および/または処置に使用できる。
【0115】
一般名もしくは商品名またはコード番号により同定している活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現行版またはデータベース、例えば、Life Cycle Patents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。これらの対応する内容は、引用により本明細書に包含させる。全ての当業者は、これらの参考文献に基づいて、活性剤を同定することが十分に可能であり、同様に、製造し、医薬適応および統制を標準試験藻であるで、インビトロおよびインビボの両方で試験できる。
【0116】
本発明は、さらに心血管障害の予防、発症遅延および/または処置用薬剤の製造のための、本発明の組合せの使用に関する。
【0117】
従って、本発明の他の態様は、心血管障害、とりわけ高血圧(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、孤立性収縮期性、または高血圧の他の二次的なタイプであれ)、拡張期および鬱血性心不全(急性および慢性)のような心不全、左心室または内皮細胞機能不全、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞(MI)およびその続発症、冠動脈疾患(CAD)を含むアテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定型であれ安定型であれ)、腎臓不全(糖尿病性および非糖尿病性)、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病(PKD)、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群のような腎不全、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症および末期腎臓病(ESRD)、偏頭痛、末梢血管疾患(PVD)、レイノー病、管腔肥大、認知障害(例えばアルツハイマー)、緑内障のような末梢血管疾患および塞栓性または血栓性卒中のような脳血管疾患の管理から選択される疾患または状態の予防、発症遅延および/または処置用薬剤の製造のための本発明の組合せの使用に関する。
【0118】
とりわけ、本発明の組合せは、例えば、上記に記載した群から選択される疾患および状態それらに関連する、または直面するもしくは関係する疾患、病気、状態または症状の予防、発症遅延および/または処置に用いることができる。
【0119】
好ましくは、本発明の組合せは、高血圧、鬱血性心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮細胞機能不全、および腎臓不全の処置に用い得る。
【0120】
特に、一番驚くことは、本発明の組合せが、有益な、とりわけ相乗的な治療効果をもたらすだけでなく、驚くべき硬化の持続、治療的処置の広い多様性、および前記および後記の疾患および状態に対する驚くべき有益な効果をもたらすとの実験的発見である。
【0121】
アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド各々の投与により起こる薬理活性は、例えば、当分野で既知の対応する薬理学的モデルを使用して証明できる。当業者は、前記および後記の治療適応および有益な効果を確認するための適切な試験モデルを選択することが完全に可能である。
【0122】
本発明の組合せは種々の投与経路で投与できる。各薬剤を広範囲の投与量で試験し、最大応答を誘発するための、具体的に組合せにおける各治療剤の最適薬剤レベルを決定できる。これらの試験のために、少なくとも1群あたり6匹の動物から成る処置群を使用することが好ましい。各試験は、組合せ処置群の効果が、個々の成分を評価するのと同時に決定される方法で最良に働く。薬剤効果は、急性投与で観察できるが、慢性設定における応答を観察することが好ましい。長期間試験は、補償応答の完全な発生を可能にするのに十分な期間行い、故に、観察される効果が、持続的または永続性の作用を示す試験系の実際の応答をほぼ表すようである。
【0123】
代表的試験は、アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、例えば、バルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩;カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、例えば、アムロジピン、好ましくはそのベシル酸塩の形;およびレニン阻害剤、特に、アリスキレン、好ましくはそのヘミフマル酸塩の形;および中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、例えば、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される2種の活性剤のうち1個;および所望により利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジドを含む組み合わせで行うことができ、例えば、以下の方法を適用する:
【0124】
薬剤の効果は、通常の塩餌または塩負荷餌(ラット餌に4−8%塩または飲料水として1%NaCl)のいずれかで維持する、デオキシコルチコステロン酢酸塩ラット(DOCA−塩)、Dahl塩感受性(DS)および塩耐性(DR)ラット、および本態性高血圧性ラット(SHR)を含む種々のモデルで評価する。
【0125】
DOCA−塩試験モデルは、急性または慢性試験プロトコールを用いる。急性試験方法は、留置した大腿動脈および静脈カテーテルを有するラットを使用する、種々の試験物質の、6時間実験期間にわたる効果の評価を含む。急性試験方法は、試験物質が、DOCA−塩高血圧の確立相中の血圧を低下させる能力を評価する。対照的に、慢性試験方法は、試験物質が、DOCA−塩高血圧の発生相中の血圧の増加を予防するまたは遅延させる能力を評価する。故に、血圧は、慢性試験方法では、無線送信機の手段によりモニターする。本無線送信機は、ラットの腹部大動脈に外科的にインプラントし、その後DOCA−塩処置を開始し、故に、その後高血圧を誘発させる。血圧を、6週間の間、慢性的にモニターする(概ね、DOCA−塩投与前1週間およびその後5週間)。
【0126】
ラットを、酸素吸入中の2−3%イソフルラン、続くアミタールナトリウム(アモバルビタール)100mg/kg、ipで麻酔する。麻酔レベルを、安定したリズムの呼吸パターンにより評価する。
【0127】
急性試験方法
ラットを、DOCAインプラント時に一側性腎摘出術に付す。左脇腹および首の背側の毛を挟み、滅菌アルコールスワブおよびポビドン/ヨウ素でこする。手術中、ラットを体温を37℃に維持するために、加温パッド上に維持する。
【0128】
20mm切開を、皮膚および下の筋肉を通して作成し、左腎臓を暴露させる。腎臓から周りの組織を無くし、露出させ、2本の結紮糸(3−0シルク)で腎臓動脈の周りをおよび、静脈を動脈の接合点の近位で硬く結ぶ。次いで、腎臓動脈および静脈を切断し、腎臓を摘出する。筋肉および皮膚創傷を各々4−0シルク針およびステンレススチール創傷クリップで閉じる。同時に、15mm切開を首背部に作り、酢酸デオキシコルチコステロン(100mg/kg)含有3週間放出ペレット(Innovative Research of America, Sarasota, Florida)を皮下にインプラントする。次いで、創傷をステンレススチールクリップで閉じ、両方の創傷をポビドン/ヨウ素で処置する;ラットはプロカインペニシリンG(100,000U)の術後筋肉内注射、およびブプレノルフィン(0.05−0.1mg/kg)s.c.を受ける。ラットを、直ぐに1%NaCl+0.2%KCl飲料水に飼育する;この処置を少なくとも3週間続け、その時に動物は高血圧となり、実験に利用可能となる。
【0129】
実験48時間前、動物をイソフルランで麻酔し、動脈圧の測定、血液の回収、および試験化合物の投与のためにカテーテルを大腿動脈および静脈にインプラントする。ラットを48時間回復させ、その間、実験チャンバーとしても使用するプレキシガラス飼育ケージに拘束する。
【0130】
慢性試験方法
この方法は、ラットに、一側性腎摘出術ならびにDOCAおよび塩の塩投与する7−10日前に無線送信機をインプラントする以外、上記の方法と同じである。加えて、ラットは、大腿動脈および静脈性カテーテル設置のための手術を受けない。無線送信機は、M.K. Bazil, C. Krulan and R.L. Webb. in J. Cardiovasc. Pharmacol. 22:897-905, 1993に記載の通りインプラントする。
【0131】
次いで、予定された時点で血圧、心拍数等を測定するために、コンピュータ上でプロトコールを設定する。ベースラインデータを種々の時点で、そして種々の間隔で集める。例えば、ベースラインまたは投与前値は、通常薬剤投与前の3回の連続的な24時間の期間の、データ回収および平均化から成る。
【0132】
血圧、心拍数および活性を、薬剤投与前、投与中および投与後の種々の予め選択した時点で決定する。全ての測定を拘束しておらず、平静な動物で行う。バッテリーの寿命から決定される最大実験期間は、最長で9ヶ月であろう。この期間中の試験のために、ラットに経口で(1−3ml/kg媒体)を投与する(1日2回を超えない)か、または、飲料水を介してまたは餌に混ぜて薬剤を投与する。短期間すなわち、8週間までの試験のために、薬剤を皮下にインプラントした浸透性ミニポンプを介して与える。浸透性ミニポンプは薬剤送達速度および時間に基づいて選択する。
【0133】
Dahl塩感受性(DSS)および塩耐性(DSR)ラットも、本発明の組合せの試験のために使用できる。DSRラットは、一般に、これらの試験で正常血圧コントロールとして使用する。種々の組合せの試験のために、典型的なプロトコールは下記に定義の通りである:
【0134】
Dahl塩感受性(DSS)ラットは、我々の動物設備に到着したとき6週齢である。無線送信機を、7週齢時にDahl塩感受性ラットにインプラントする。全動物を、7から8週齢の間、高塩餌(8%)で飼育する。薬剤処置を9週齢時に開始し、3週間続ける。薬剤を、1日1回経口胃管栄養法により投与するが、他の経路(例えば、腹腔内、静脈内、または皮下)で与えても良い。Dahl塩感受性ラットを具体的に上に記載の種々の処置の一つを受けるために無作為化する。薬剤を、1日1回、朝に3週間経口胃管栄養法で投与する。血圧(平均、収縮期、および拡張期)および心拍数を、1日24時間、無線遠隔操作(radiotelemetric)法を使用して、全試験期間中連続的にモニターする。全ての値は、各動物の24時間平均応答を表すが、また、データの要約を、他の時間間隔、例えば、1時間平均を使用してまた行い得る。体重を週間隔で測定する。試験完了時、全ラットを殺し、心臓を摘出し、切開し、秤量する。心質量を、処置群内の各動物の左心室重量対体重比として決定する。腎臓を含むが、それに限定されない他の組織を、組織損傷(組織学、免疫組織化学等)の程度を評価するための、生化学マーカーの決定のために、および遺伝子発現プロファイリングのために、屠殺時に摘出する。
【0135】
加えて、SHRを使用して、主張している組合せの効果を試験する。SHRの高血圧性バックグラウンドを、レニンアンギオテンシン系(RAS)を抑制するために慢性塩負荷により、または、SHRにおけるRASの活性化のために慢性塩涸渇により改変する。これらの操作は、種々の試験物質の効果をより精密に評価するために行う。本態性高血圧性ラット(SHR)で行う実験は、Taconic Farms, Germantown, New York(Tac:N(SHR)fBR)により提供される。無線遠隔操作デバイス(Data Sciences International, Inc., St. Paul, Minnesota)を、14〜16週齢の間に全試験動物の下腹部大動脈にインプラントする。全SHRを、実験開始の前少なくとも2週間外科的インプラント工程から回復させる。心血管パラメータを、無線送信機を介して連続的にモニターし、レシーバーに伝達され、次いでそこで、デジタル化シグナルがコンピュータ化データ獲得システムを使用して、収集され、貯蔵される。血圧(平均動脈、収縮期および拡張期圧)および心拍数を、意識があり、自由に動き、そして平静なSHRで、その飼育ケージにおいてモニターする。動脈性血圧および心拍数を、10分毎に10秒測定し、記録する。各ラットについて報告するのは、各日144個の10分収集サンプルから成る、24時間の期間にわたり平均化した平均値である。血圧および心拍数のベースライン値は、薬剤処置開始前に取った3連続24時間読出しの平均から成る。全ラットを個々に、温度および湿度が制御された部屋で飼育し、12時間明暗サイクルに維持する。
【0136】
心血管パラメータに加えて、毎週の体重測定を全ラットで記録する。処置剤を、上記の通り、飲料水で、胃管栄養法を通してまたは浸透性ミニポンプで投与する。飲料水で与えるとき、水消費を週に5回測定する。次いで、個々のラットの活性剤量を各ラットの水消費、飲料水中の薬剤濃度、および個々の体重に基づき計算する。飲料水中の全薬剤溶液を、3〜4日毎に新たに製造する。
【0137】
慢性試験完了時、SHRまたはDOCA−塩ラットを麻酔し、心臓を直ぐに摘出する。分離し、心房付属物を除去後、左心室および左と右心室(合計)を秤量し、記録する。次いで、左心室および全心室質量を体重に対して標準化し、報告する。血圧および心質量について報告する全値は、平均±semである。
【0138】
血管機能および構造を、組合せの有益な効果を評価するために、処置後に評価する。SHRを、Intengan HD, Thibault G, Li JS, Schiffrin EL, Circulation 100(22):2267-2275, 1999に記載の方法に従い試験する。同様に、DOCA−塩ラットにおける血管機能の評価のための方法論は、Intengan HD, Park JB, Schiffrin, EL, Hypertension 34(4 Part 2):907-913, 1999に記載されている。
【0139】
以上の記載は、好ましい態様を含み、本発明を十分に開示する。ここに具体的に開示の態様の改変および改善は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。さらなる労作なく、当業者は、前記の記載を使用して、本発明をその完全な程度まで実施できると信じる。故に、ここに記載の実施例は本発明の一定の局面の単なる説明と解釈すべきであり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0140】
以下の実施例に記載の生成物および組合せは、予期されない治療的利点、または、個々の単剤療法よりも優れたもしくはより有効な特性を提供する。
【0141】
実施例1:
アリスキレン150mg(遊離塩基)非被覆錠の組成(mg/単位)。
【表1】

【0142】
アリスキレン150mg(遊離塩基)非被覆錠の組成(重量%)。
【表2】

【0143】
アリスキレン150mg(遊離塩基)非被覆錠の組成(mg/単位)(内/外相に分割)。
【表3】

【0144】
アリスキレン150mg(遊離塩基)非被覆錠(重量%)の組成(内/外相に分割)。
【表4】

【0145】
実施例2:
アリスキレン(投与形態3)フィルムコート錠の組成(mg/単位)。
【表5】

【0146】
投与形態1、2および3は、例えば、下記の通り製造できる:
1)性成分および添加剤を混合し、該成分を造粒液と共に造粒し;
2)得られた顆粒を乾燥させ;
3)乾燥顆粒と外相賦形剤を混合し;
4)得られた混合物を圧縮して、コア錠剤として固体経口投与形を形成し;そして
5)所望により得られるコア錠剤をコーティングして、フィルムコート錠を得る。
【0147】
該造粒液は、エタノール、エタノールと水の混合物、エタノール、水およびイソプロパノールの混合物、または前記混合物中のポリビニルピロリドン(PVP)の溶液であり得る。エタノールと水の好ましい混合物は、約50/50から約99/1(%w/w)の範囲であり、最も好ましくは、それは約94/6(%w/w)である。エタノール、水およびイソプロパノールの好ましい混合物は、約45/45/5から約98/1/1(%w/w/w)の範囲、最も好ましくは約88.5/5.5/6.0から約91.5/4.5/4.0(%w/w/w)である。上記混合物中のPVPの好ましい濃度は、約5から約30重量%、好ましくは約15から約25%、より好ましくは約16から約22%の範囲である。
【0148】
当分野で用いられている造粒、乾燥および混合の多くの既知方法、例えば、流動床中の噴霧造粒、高剪断ミキサー中の湿式造粒、溶融造粒、流動床ドライヤー中の乾燥、フリーフォールまたはタンブルブレンダー中の混合、一パンチまたは回転錠剤プレス上での錠剤の圧縮に留意すべきである。
【0149】
顆粒の製造は、有機造粒法に適する標準装置で行うことができる。最終混合の製造および錠剤の圧縮もまた標準装置で行い得る。
【0150】
例えば、工程(1)は、高剪断造粒機、例えば、Collette Gralで行い得て;工程(2)は流動床ドライヤーで行い得て;工程(3)はフリーフォールミキサー(例えばコンテナブレンダー、タンブルブレンダー)で行い得て;そして工程(4)は、乾式圧縮法、例えば、回転錠剤プレスを使用して行い得る。
【0151】
実施例3(フィルムコート錠):
【表6】

*)加工中に除去。
【0152】
フィルムコート錠を、例えば、下記の通り、製造できる:
バルサルタン、微晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状無水シリカ/コロイド状二酸化ケイ素/Aerosil 200の一部、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムを、拡散ミキサーで予混合し、次いでスクリーニングミルを通して篩う。得られる混合物を再び拡散ミキサーで混合し、ローラーコンパクターで圧縮し、次いで、スクリーニングミルを通して篩う。得られる混合物に、コロイド状無水シリカ/コロイド状二酸化ケイ素/Aerosil 200の残りを添加し、最終混合物を拡散ミキサー中で作る。完全な混合物を、回転打錠機で圧縮し、錠剤を、穿孔パン中でDIOLACK薄赤色を使用してフィルムで被覆する。
【0153】
実施例4(フィルムコート錠):
【表7】

フィルムコート錠を、例えば、実施例3に記載の通り製造する。
【0154】
実施例5(フィルムコート錠):
【表8】

*)Opadry(登録商標)OOF16711着色剤の組成は以下の表に示す。
**)加工中に除去。
【0155】
Opadry(登録商標)組成物:
【表9】

フィルムコート錠を、例えば、実施例3に記載の通り製造する。
【0156】
実施例6(カプセル剤):
【表10】

【0157】
カプセル剤を、例えば、以下の通り製造する:
造粒/乾燥:
バルサルタンおよび微晶性セルロースを、流動床造粒機中で、精製水に溶解したポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムから成る造粒溶液と噴霧造粒する。得られた顆粒を流動床ドライヤーで乾燥させる。
粉砕/混合:
乾燥させた顆粒をクロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムと共に挽く。次いで、塊を約10分、円錐スクリュー(srew)ミキサーで混合する。
カプセル封入:
殻の硬ゼラチンカプセルに混合したバルク顆粒を、制御された温度および湿度条件下で充填する。充填したカプセルを脱塵し、目視検査し、秤量し、品質保証部によるまで隔離する。
【0158】
実施例7(カプセル剤):
【表11】

カプセル剤を、例えば、実施例6に記載の通り製造する。
【0159】
実施例8(硬ゼラチンカプセル剤):
【表12】

【0160】
実施例9(硬ゼラチンカプセル剤):
【表13】

成分(1)および(2)を、成分(3)および(4)の水溶液と造粒する。成分(5)および(6)を乾燥顆粒に添加し、混合物を、サイズ1硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0161】
実施例10
バルサルタンおよびアムロジピンの組成および量
【表14】

錠剤を、本質的に、製剤実施例1に記載の通り製造する。
【0162】
ここに記載の全刊行物および特許は、その全体を、ここにそれが明示されているかのように引用により本明細書に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a). アンギオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(b). カルシウムチャネルブロッカー(CCB)、またはそれらの薬学的に許容される塩;および
(c). 次の二つの活性剤群から選択される1個
(i). レニン阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩;
(ii). 中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容される塩
を含む、組合せ。
【請求項2】
アンギオテンシンII受容体がバルサルタン、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
カルシウムチャネルブロッカーがアムロジピン、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の組合せ。
【請求項4】
レニン阻害剤が、RO 66−1132、RO 66−1168および式
【化1】

〔式中、
はハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;Rはハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;RおよびRは、独立して分枝C3−6アルキルであり;そしてRはシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである。〕
の化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の組合せ。
【請求項5】
レニン阻害剤が、式
【化2】

〔式中、Rは3−メトキシプロピルオキシであり;Rはメトキシであり;そしてRおよびRはイソプロピルである。〕
を有する式(III)の化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項4に記載の組合せ。
【請求項6】
式(IV)の化合物がそのヘミフマル酸塩の形である、請求項5に記載の組合せ。
【請求項7】
中性エンドペプチダーゼ阻害剤がSQ 28,603、N−[N−[1(S)−カルボキシル−3−フェニルプロピル]−(S)−フェニルアラニル]−(S)−イソセリン、N−[N−[((1S)−カルボキシ−2−フェニル)エチル]−(S)−フェニルアラニル]−β−アラニン、N−[2(S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)−プロピオニル]メチオニン、(cis−4−[[[1−[2−カルボキシ−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]−シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−シクロヘキサン−カルボン酸)、チオルファン、レトロ−チオルファン、ホスホラミドン、SQ 29,072、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニル−フェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、(S)−cis−4−[1−[2−(5−インダンylオキシ−カルボニル)−3−(2−メトキシエトキシ)プロピル]−1−シクロペンタンカルボキサミド]−1−シクロヘキサンカルボン酸、3−(1−[6−エンド−ヒドロキシメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2−エキソ−カルバモイル]シクロペンチル)−2−(2−メトキシエチル)プロパン酸、N−(1−(3−(N−t−ブトキシカルボニル−(S)−プロリルアミノ)−2(S)−t−ブトキシ−カルボニルプロピル)シクロペンタンカルボニル)−O−ベンジル−(S)−セリンメチルエステル、4−[[2−(メルカプト−メチル)−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]安息香酸、3−[1−(cis−4−カルボキシカルボニル−cis−3−ブチルシクロヘキシル−r−1−カルバモイル)シクロペンチル]−2S−(2−メトキシエトキシ−メチル)プロパン酸、N−((2S)−2−(4−ビフェニルメチル)−4−カルボキシ−5−フェノキシバレリル)グリシン、N−(1−(N−ヒドロキシカルバモイル−メチル)−1−シクロペンタンカルボニル)−L−フェニルアラニン、(S)−(2−ビフェニル−4−イル)−1−(1H−テトラゾール−5−イル)エチルアミノ)メチルホスホン酸、(S)−5−(N−(2−(ホスホノメチル−アミノ)−3−(4−ビフェニル)−プロピオニル)−2−アミノエチル)テトラゾール、β−アラニン、3−[1,1'−ビフェニル]−4−イル−N−[ジフェノキシホスフィニル)−メチル]−L−アラニル、N−(2−カルボキシ−4−チエニル)−3−メルカプト−2−ベンジルプロパンアミド、2−(2−メルカプト−メチル−3−フェニルプロピオンアミド)チアゾル−4−イルカルボン酸、(L)−(1−((2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ)カルボニル)−2−フェニルエチル)−L−フェニルアラニル)−β−アラニン、N−[N−[(L)−[1−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メトキシ]カルボニル]−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン、N−[N−[(L)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−L−フェニルアラニル]−(R)−アラニン、N−[2−アセチルチオメチル−3−(2−メチル−フェニル)プロピオニル]−メチオニンエチルエステル、N−[2−メルカプト−メチル−3−(2−メチルフェニル)−プロピオイル]−メチオニン、N−[2(S)−メルカプトメチル−3−(2−メチルフェニル)プロパノイル]−(S)−イソセリン、N−(S)−[3−メルカプト−2−(2−メチルフェニル)プロピオニル]−(S)−2−メトキシ−(R)−アラニン、N−[1−[[1(S)−ベンジルオキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アミノ]−シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン、N−[1−[[1(S)−カルボニル−3−フェニルプロピ(propy)]アミノ]−シクロペンチルカルボニル]−(S)−イソセリン、1,1'−[ジチオビス−[2(S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−イソセリン、1,1'−[ジチオビス−[2(S)−(2−メチルベンジル)−1−オキソ−3,1−プロパンジイル]]−ビス−(S)−メチオニン、N−(3−フェニル−2−(メルカプトメチル)−プロピオニル)−(S)−4−(メチルメルカプト)−メチオニン、N−[2−アセチルチオメチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸、N−[2−メルカプト−メチル−3−フェニル−プロピオニル]−3−アミノ安息香酸、N−[1−(2−カルボキシ−4−フェニルブチル)−シクロペンタンカルボニル]−(S)−イソセリン、N−[1−(アセチルチオメチル)−シクロペンタン−カルボニル]−(S)−メチオニンエチルエステル、3(S)−[2−(アセチルチオメチル)−3−フェニル−プロピオニル]アミノ(amimo)−ε−カプロラクタムおよびN−(2−アセチルチオメチル−3−(2−メチルフェニル)プロピオニル)−メチオニンエチルエステル、またはそれぞれの場合、それらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の組合せ。
【請求項8】
中性エンドペプチダーゼ阻害剤がN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル、またはそれらの薬学的に許容される塩;またはN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1から7のいずれかに記載の組合せ。
【請求項9】
利尿剤をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の組合せ。
【請求項10】
利尿剤がヒドロクロロチアジド、またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項9に記載の組合せ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の組合せおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項12】
心血管障害の予防、発症遅延および/または処置のための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
心血管障害が、高血圧、心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、腎臓不全、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症、末期腎臓病、偏頭痛、末梢血管疾患、レイノー病、管腔肥大、認知障害、緑内障および脳血管疾患から成る群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
心血管障害の予防、発症遅延および/または処置の方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効量の請求項1から10のいずれかに記載の組合せおよび薬学的に許容される担体を投与することを含む、方法。
【請求項15】
心血管障害が高血圧、心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、腎臓不全、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症、末期腎臓病、偏頭痛、末梢血管疾患、レイノー病、管腔肥大、認知障害、緑内障および脳血管疾患から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
心血管障害の予防、発症遅延および/または処置用医薬の製造のための、請求項1から10のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
心血管障害が高血圧、心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、腎臓不全、腎臓線維症、多嚢胞性腎臓病、2型糖尿病、メタボリック症候群、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化症、原発性腎臓病のタンパク質尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症、末期腎臓病、偏頭痛、末梢血管疾患、レイノー病、管腔肥大、認知障害、緑内障および脳血管疾患から成る群から選択される、請求項16に記載の使用。

【公表番号】特表2009−514961(P2009−514961A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540109(P2008−540109)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/043250
【国際公開番号】WO2007/056324
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】