アンテナユニット、灯器、交通信号灯器及び交通信号制御機
【課題】アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができる灯器を提供する。
【解決手段】所定のパターンで配置された複数の発光体7と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材9とを有する光学ユニット2と、前記カバー部材9から前記発光体7の前端までの範囲に設けられているパッチ素子11と、このパッチ素子11の後方にあるグランド素子12とを有するアンテナ4とを備えている。前記パッチ素子11は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっている。このメッシュ体は、左右の縦格子20と上下の横格子21とからなる略矩形の枠格子22と、前記左右の縦格子20を接続する、少なくとも1本の補助横格子21aと、前記上下の横格子21を接続する、少なくとも1本の補助縦格子20aとで構成されている。
【解決手段】所定のパターンで配置された複数の発光体7と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材9とを有する光学ユニット2と、前記カバー部材9から前記発光体7の前端までの範囲に設けられているパッチ素子11と、このパッチ素子11の後方にあるグランド素子12とを有するアンテナ4とを備えている。前記パッチ素子11は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっている。このメッシュ体は、左右の縦格子20と上下の横格子21とからなる略矩形の枠格子22と、前記左右の縦格子20を接続する、少なくとも1本の補助横格子21aと、前記上下の横格子21を接続する、少なくとも1本の補助縦格子20aとで構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は灯器に関するものであり、特に道路に設置される交通信号灯器、交通信号制御機、及び、この灯器に設けられるアンテナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が提案されている。このITSでは、道路に通信装置(インフラ装置)が設置されており、この通信装置のアンテナから発せられた情報を、道路を走行する車両の車載機が受信し、この情報を活用することにより、車両の走行についての安全性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような路車間通信を無線によって行なう場合、無線通信の見通しを確保する観点から、歩道等に設置した支柱から車道側にアームを張り出し、このアーム上に通信装置のアンテナを取り付けている。また、前記アームを設けなくても見通しが確保できる場合、前記支柱にアンテナを取り付けることが可能となる。
【0004】
前記通信装置のアンテナを道路に設置するためにアンテナ専用の支柱を新たに設けることは経済的でなく、また、道路の美観の点でも好ましくないことから、本出願人は、さきに、光学ユニットにアンテナを組み込んだ交通信号灯器を提案している(特願2007−186019)。
【0005】
この交通信号灯器は、発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニット、及び、前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナとを備えており、前記パッチ素子は可視光透過性を有している。かかる交通信号灯器では、アンテナが交通信号灯器の光学ユニットに組み込まれるため、アンテナ設置用の支柱を不要とでき、かつ、道路の美観を損なうことがない。さらに、パッチ素子は可視光透過性を有しているので、アンテナを光学ユニットに組み込んでも、発光体による発光の妨げとなることを防止することができる。
【0006】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記可視光透過性を有するパッチ素子として、例えば導線をメッシュ状に編んだものを用いることができる。この場合、メッシュを構成する格子の本数が少ないほど、発光体からの光を遮る妨害物が少なくなるため、良好な光透過性という観点からは有利であるが、一方において、極端に格子の本数が少なくなると、アンテナ性能が低下するか、さらにはアンテナとして充分機能しなくなることが考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができるアンテナユニット、灯器、交通信号灯器及び交通信号制御機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第1の観点に係る灯器では、アンテナのパッチ素子が可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっている。そして、このメッシュ体が、略矩形の枠格子と、左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されている。換言すれば、本発明の灯器におけるメッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
なお、本明細書において、補助横格子と補助縦格子との交差部分の形状は、単純に両格子を交差させた十字状の形状だけに限定されるものではなく、後述するように、当該交差部分にリング形状の格子を設けた形状であってもよい。
【0011】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状であるのが好ましい。アンテナの偏波面が垂直偏波の場合、メッシュ体の形状を左右対称にすることで、偏波面に直交する成分である水平偏波成分が発生しにくくなり、一方、水平偏波の場合、メッシュ体の形状を上下対称にすることで、偏波面に直交する成分である垂直偏波成分が発生しにくくなるためである。
【0012】
前記発光体を発光ダイオードとすることができ、この場合、発光ダイオードの発光部を覆う筒状レンズ部の外径をdとすると、前記メッシュ体の各格子の太さないしは幅Dが、D=0.1〜1.0dの範囲であるのが好ましい。この構成によれば、灯器を前方から視認する場合に、或る角度において、発光ダイオードの前方に配置されるメッシュ体の格子により特定の発光ダイオードからの光が略完全に遮られるのを抑制することができる。
【0013】
前記複数の発光体が同心円状に配置されており、且つ、前記メッシュ体が正方形であるのが好ましい。複数の発光体(LEDなど)を同心円状に配置し、メッシュ体を正方形にすることで、どの角度から灯器を見上げても、格子によって同時に隠される発光体(格子の存在により視認することができない発光体)の数を少なくすることができる。
前記補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所にリング形状の格子を設けることができる。補助横格子と補助縦格子とを単純に交差させたときに当該交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係る灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されていることを特徴としている。
【0015】
本発明の第2の観点に係る灯器では、アンテナのパッチ素子が、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されており、簡素な構造であるとともにパッチ素子として優れた光透過性を得ることができる。また、2本の互いに略直交する十字型の格子と、外側に配置される左右対称の枠格子とからなるパッチ素子により、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮させることができる。
前記略十字型の格子の交差部分に、リング形状の格子を設けることができる。略十字型の格子の交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0016】
本発明の交通信号灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の交通信号灯器においても、前記灯器の場合と同様に、メッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
【0018】
本発明の灯器用のアンテナユニットは、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットに組み込まれる灯器用のアンテナユニットであって、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられるパッチ素子と、このパッチ素子の後方に設けられるグランド素子とを有しており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明のアンテナユニットにおいても、前記灯器の場合と同様に、メッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
【0020】
本発明の交通信号制御機は、前記交通信号灯器に接続され、当該交通信号灯器の点灯及び消灯を行う交通信号制御機であって、
前記アンテナを介して、前記交通信号灯器の設置された道路上を走行する車両に対して、現在及び将来の前記交通信号灯器の表示に関する信号情報を送信するように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアンテナユニット、灯器、交通信号灯器及び交通信号制御機によれば、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る灯器の正面図である。図1に示される灯器は道路に設置される交通信号灯器1(以下、単に「信号灯器」ともいう)であり、車両用のものである。
【0023】
歩道等の路側に支柱40が設置され、この支柱40から車道側にアーム41が張り出されて設けられており、このアーム41に信号灯器1が取り付けられている。なお、図1において、15は後述するアンテナ用の同軸ケーブルである。
【0024】
信号灯器1は、複数(図1に示される例では三つ)の光学ユニット2と、これら光学ユニット2が組み込まれている筐体3とを有している。三つの光学ユニット2は、それぞれ赤、黄、青の灯光色を有している。各光学ユニット2にはひさし(図示せず)が取り付けられる。
【0025】
また、支柱40には、信号灯器1を制御する制御装置5が取り付けられている。なお、信号灯器1の設置構造は図示しているもの以外であってもよく、図示しないが前記支柱40及び前記アーム41の形態が異なっていてもよく、また、信号灯器1が歩道橋に架設されたものであってもよい。また、制御装置5は、信号灯器1の筐体3内に設けられたものであってもよい。
【0026】
なお、信号灯器1の点灯等を制御する制御装置5が、後述するアンテナ4を介した無線通信制御を行うように構成することができるが(又は無線通信制御を行う装置を同一筐体内に内蔵させることができるが)、別々の装置としても良い。別々とする場合、前記無線通信制御を行う装置は、信号灯器1の点灯等を制御する制御装置の近傍(同一の支柱40)に設置することが好ましい。
【0027】
図2は、一つの光学ユニット2の断面説明図である。光学ユニット2は、発光体としての発光ダイオード7(以下、「LED」ともいう)と、複数のLED7が前面8aに実装された基板8と、この基板8を収容する収容部材6と、カバー部材9とを有している。基板8は、その裏面に配線パターンが形成されており、LED7の端子37は、当該配線パターンと繋がっている。基板8上には複数のLED7が面状に広がって配設されている。より詳細には、複数のLED7は同心円状の放射パターンを形成するように配設されており、隣接する同心円間の径方向寸法は略均一である(図3参照)。
【0028】
LED7はレンズ部38を有しており、このレンズ部38内に、実際に発光する部位であるLED素子ないしは発光部(図示せず)が設けられている。
【0029】
収容部材6は、底部(底壁)6aと、この底部6aの周縁から立設した側部(側壁)6bとを有する皿形状であり、前方に開口している。側部6bの開口側端面に、カバー部材9が取り付けられている。これにより、収容部材6とカバー部材9との間に収容空間部Sが形成されており、この収容空間部SにLED7及び基板8が収容されている。そして、基板8は収容部材6に固定されている。収容空間部Sのうち、基板8よりも前方を前空間部S1とし、基板8よりも後方を後空間部S2としている。
【0030】
カバー部材9は可視光透過性を有しており(可視光に対して透明であり)複数のLED7を前方で覆っている。なお、この光学ユニット2において、前方とは光の投光側であり(カバー部材9側であり)、後方とは収容部材6の底部6a側である。
【0031】
そして、この光学ユニット2にアンテナ4が組み込まれている。アンテナ4はパッチアンテナであり、パッチ素子11とグランド素子12とを有している。すなわち、図2において、パッチ素子11とグランド素子12とが、前記光学ユニット2内に、つまり前記収容空間部Sに格納(収容)されている。
【0032】
パッチ素子1は、導線等の導電体によりメッシュ状に形成されており(図3等参照)、基板8から前方へ立設した支持部材13によって支持されかつ固定されている。支持部材13は絶縁部材からなる。また、パッチ素子11は、可視光透過用の複数の開口を有しており、カバー部材9からLED7の前端39までの範囲Aに設けられている。また、図2において、カバー部材9は、その後面(背面)9aが凹曲面であって、前面9bが凸曲面であり、パッチ素子11はカバー部材9の後面9aから後方に離れて設けられている。なお、ここではカバー部材9を凹凸の曲面としたが、信号灯器1がLED灯器であれば、平面とすることもできる。
【0033】
グランド素子12は、円形の平面状(平板状)に形成されており、基板8の前面8aにおいて当該基板8に取り付けられている。例えば、グランド素子12は、収容部材6に基板8と共にネジによって共締めされる。そして、このグランド素子12は、パッチ素子11の後方であって、前後方向について基板8とLED7の前端39との間に設けられている。また、グランド素子12の輪郭形状はパッチ素子11の輪郭形状よりも大きくなっている。なお、本発明において、グランド素子12の形状は円形に限定されるものではなく、パッチ素子11よりもある程度大きければ、どのような形状であってもよい。
【0034】
これにより、グランド素子12とパッチ素子11とが、前空間部S1内に設けられ、パッチ素子11は、基板8の前面8aからLED7の前端39までの範囲Aに設けられ、グランド素子12はパッチ素子11の後方に設けられた状態となる。そして、グランド素子12とパッチ素子11とが、前後方向に対向した配置となり、このアンテナ4の指向性は信号灯器1から前方へ向かう方向となる。すなわち、光学ユニット2による投光方向と、アンテナ指向性とを略一致させることができ、信号灯器1は車両に対して見通しが良い位置に設置されることから、このアンテナ指向性によって、車両の車載機(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0035】
また、このアンテナ4が格納された信号灯器1を、路車間で無線通信を行なう高度道路交通システム(ITS)に利用するために、使用周波数を715MHz〜725MHzと設定する場合、グランド素子12とパッチ素子11との前後方向の間隔を10〜40mmに設定することができる。なお、これはグランド素子12とパッチ素子11との間に、空気が介在している場合である。
【0036】
収容部材6(底部6a)には、アンテナ4用の同軸ケーブル15を接続させる端子部19が取り付けられており、この端子部19に、図1の制御装置5から延びる同軸ケーブル15を接続することができる。そして、この端子部19から後空間部S2へ延びる同軸ケーブル15aが、アンテナ4と接続されている。同軸ケーブル15aは、内導体15b、絶縁体15c、外導体15d及び被覆部15eを有しており、この同軸ケーブル15aの内導体15bがパッチ素子11に接続されており、外導体15dがグランド素子12に接続されている。なお、内、外導体15b、15dと各素子11、12(各素子の導電体部分)とを半田によって接続し固定することができるが、半田以外の方法であってもよい。
【0037】
なお、図1の制御装置5から延びるLED7用の電源ケーブル(図示せず)が、収容部材6の底部6aに取り付けた端子部(図示せず)を介して、LED用基板8と接続されている。
【0038】
本発明の特徴は、前記パッチ素子11を可視光透過用の開口を有するメッシュ体で構成し、さらにこのメッシュ体を、略矩形の枠格子と、左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成したことである。
【0039】
本発明者は、パッチ素子11として略矩形状のメッシュ体を採用する場合において、メッシュを構成する格子の本数とアンテナ性能との関係について種々検討を重ねた結果、アンテナ性能を確保するのに必要な格子の本数の条件を見出した。すなわち、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた略「田」の字状のメッシュであれば、所定のアンテナ性能を満たし得ることを見出した。この略「田」の字状のメッシュの場合、メッシュを構成する格子の数が縦3本、横3本と非常に少なく、当該メッシュの後方に配置される発光ダイオード7からの光が遮られる確率ないしは割合が少なくなる。その結果、良好な光透過性を確保することができる。
【0040】
メッシュ体を構成する格子の本数は、本発明において特に限定されるものではないが、本数が増えると、アンテナ性能が安定化する反面、発光ダイオード7からの光を遮る妨害物が多くなり光透過性が低下することから、枠格子の本数も含めて、通常、縦横ともに20本程度が上限である。この格子の本数の好ましい上限値は、当該格子の太さないしは幅(格子がワイヤからなる場合は外径)とも関連しており、細径の導体ほど前記上限値は大きくなる。例えば、直径2mm程度の細径ワイヤからなる格子の場合、格子の本数は、縦横ともに8本程度とすることができる。一方、直径5mm程度の太径ワイヤからなる格子の場合、縦横ともに4本程度とすることができる。
【0041】
また、格子の好ましい径は、発光体の大きさとも関連しており、発光ダイオード7の発光部を覆う筒状レンズ部38の外径をd(図2参照)とすると、前記メッシュ体の各格子の径D(図3参照)を、D=0.1〜1.0dの範囲で選定するのが好ましい。このようにして格子の径Dを選定した場合、信号灯器1を前方から視認する場合に、或る角度において、発光ダイオード7の前方に配置されるメッシュ体の格子により特定の発光ダイオード7からの光が略完全に遮られるのを抑制することができる。
【0042】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状であるのが好ましい。アンテナの偏波面が垂直偏波の場合、メッシュ体の形状を左右対称にすることで、偏波面に直交する成分である水平偏波成分が発生しにくくなり、一方、水平偏波の場合、メッシュ体の形状を上下対称にすることで、偏波面に直交する成分である垂直偏波成分が発生しにくくなるためである。また、前記複数の発光体が同心円状に配置されている場合、前記メッシュ体は、正方形であるのが好ましい。複数の発光体(LEDなど)を同心円状に配置した場合、メッシュ体を正方形にすることで、どの角度から灯器を見上げても、格子によって同時に隠される発光体(格子の存在により視認することができない発光体)の数を少なくすることができる。
【0043】
パッチ素子11を構成するメッシュ体は、グランド素子12の前方における前記空間部S1内に配設されるが、メッシュ体の格子の後端から前記グランド素子12の前面までの距離h(図3参照)は、通常、10〜40mmの範囲である。この距離hは、アンテナの周波数特性や整合特性(VSWR)などを考慮して選定される。
【0044】
以下、種々の実施の形態に基づいて、本発明の灯器について説明をする。
〔実施の形態1〕
図3は、本発明の実施の形態1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。本実施の形態並びに後述する各実施の形態及び参考例では、LED7の配置パターンは、円筒座標系の配列となっている同心円状の放射パターンである。ただし、本発明において、LED(発光体)7の配置パターンは、同心円状の放射パターンに限定されるものではなく、格子状パターンなど他の配置パターンであってもよい。
【0045】
パッチ素子11を構成するメッシュ体は、左右の縦格子20、20と上下の横格子21、21とからなる略矩形の枠格子22と、前記左右の縦格子20、20を接続する6本の補助横格子21aと、前記上下の横格子21、21を接続する6本の補助縦格子20aとで構成されている。すなわち、実施の形態1におけるパッチ素子11は、縦8本、横8本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっている(8×8素子)。各格子は、導線などの導電体で作製されており、その径(ワイヤ径)は、例えば0.5〜5.0mmの範囲で選定することができる。パッチ素子11を構成するメッシュ体は左右対称であり、また、複数の補助縦格子20a及び補助横格子21aは、いずれも隣接する格子間の間隔が均一になるように配置されている。なお、図3において、50は素子給電点である同軸であり、この同軸は、後出する図6、9、12、15、18、21、24及び27に示されるパッチ素子にもそれぞれ設けられている。
【0046】
図4の(a)は、図3に示される8×8素子において、素子の大きさ(枠格子を構成する導線の中心間の距離)を171.48mm×171.48mmとし、隣接する格子間のピッチを24.497mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを26.44mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR)を示しており、同(b)は、指向性を示している。図4の(b)、及び後出するアンテナの指向性を示す図において、細い実線は水平面の指向性、太い実線は垂直面の指向性をそれぞれ示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmであり、またVSWRは素子入力を50Ωとして規定している。
【0047】
また、図5は、かかる仕様の8×8素子のロバスト性を示す図である。図5、及び後出するロバスト性を示す各図において、太線は素子外形(素子の大きさ)が設計値±0、細線は素子外形が設計値−0.5mm、破線は素子外形が設計値+0.5mmにおけるVSWRをそれぞれ示している。
【0048】
図4の(a)に示されるように、実施の形態1に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が34であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図4の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0049】
また、図5より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0050】
〔実施の形態2〕
図6は、本発明の実施の形態2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態2におけるパッチ素子は、縦6本、横6本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(6×6素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0051】
図7の(a)は、図6に示される6×6素子において、素子の大きさを166.19mm×166.19mmとし、隣接する格子間のピッチを33.238mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを28.29mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図8は、かかる仕様の6×6素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0052】
図7の(a)に示されるように、実施の形態2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が16、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が31であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図7の(b)に示されるように、指向性の最大点で約9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で76°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0053】
また、図8より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0054】
〔実施の形態3〕
図9は、本発明の実施の形態3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態3におけるパッチ素子は、縦4本、横4本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×4素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0055】
図10の(a)は、図9に示される4×4素子において、素子の大きさを157.55mm×157.55mmとし、隣接する格子間のピッチを52.516mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを34.97mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図11は、かかる仕様の4×4素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0056】
図10の(a)に示されるように、実施の形態3に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図10の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.8dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で56°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0057】
また、図11より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が13、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0058】
〔実施の形態4〕
図12は、本発明の実施の形態4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態4におけるパッチ素子は、縦4本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0059】
図13の(a)は、図12に示される4×3素子において、素子の大きさを160.20mm×160.20mmとし、隣接する格子間のピッチを縦80.1mm、横53.4mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを35mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図14は、かかる仕様の4×3素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0060】
図13の(a)に示されるように、実施の形態4に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が19、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図13の(b)に示されるように、指向性の最大点で約9.0dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で73°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0061】
また、図14より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が14、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が26であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0062】
〔実施の形態5〕
図15は、本発明の実施の形態5におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態5におけるパッチ素子は、縦3本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(3×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。実施の形態5では、補助縦格子及び補助横格子の数がそれぞれ1本と、最低限の数の補助格子が配置されており、メッシュ体は「田」の字形状である。
【0063】
図16の(a)は、図15に示される3×3素子において、素子の大きさを149.38mm×149.38mmとし、隣接する格子間のピッチを74.688mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを40.5mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図17は、かかる仕様の3×3素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0064】
図16の(a)に示されるように、実施の形態5に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図16の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.6dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0065】
また、図17より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が15、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が30であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0066】
[参考例1]
図18は、本発明の参考例1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例1におけるパッチ素子は、縦4本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助縦格子の数は2本であるが、補助横格子の数はゼロであり、横方向の格子は枠格子を構成する上下の横格子だけである。
【0067】
図19の(a)は、図18に示される4×2素子において、素子の大きさを156mm×156mmとし、隣接する縦方向の格子間のピッチを52mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを26.0mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図20は、かかる仕様の4×2素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0068】
図19の(a)に示されるように、参考例1に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が6、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が12であり、帯域幅は実施の形態のものと比較して狭くなっている。また、図19の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0069】
しかしながら、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においては、図20に示されるように、VSWR<1.5となる帯域はなくなっており(0MHz)、また、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が5と非常に狭くなっていて、安定したアンテナ性能が得られていない。
【0070】
[参考例2]
図21は、本発明の参考例2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例2におけるパッチ素子は、縦3本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(3×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助縦格子の数は1本であるが、補助横格子の数はゼロであり、横方向の格子は枠格子を構成する上下の横格子だけである。
【0071】
図22の(a)は、図21に示される3×2素子において、素子の大きさを146.0mm×146.0mmとし、隣接する縦方向の格子間のピッチを73.00mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを38.5mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図23は、かかる仕様の3×2素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0072】
図22の(a)に示されるように、参考例2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が24であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図22の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.6dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で76°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0073】
しかしながら、図23のロバスト性を示す図より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合において、安定したアンテナ性能が得られないことがわかる。
図23の場合、VSWR<1.5となる帯域は6MHz、VSWR<2.0となる帯域は17MHzであるが、実施の形態における同様のロバスト性評価では、VSWR<1.5で10MHz以上、VSWR<2.0で20MHz以上の帯域幅を実現している。
【0074】
[参考例3]
図24は、本発明の参考例3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例3におけるパッチ素子は、縦2本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(2×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助横格子の数は1本であるが、補助縦格子の数はゼロであり、縦方向の格子は枠格子を構成する左右の縦格子だけである。
【0075】
図25の(a)及び(b)は、いずれも図24に示される2×3素子において、素子の大きさを174.2mm×174.2mmとし、隣接する横方向の格子間のピッチを87.1mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを90mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、図26は、指向性を示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0076】
図25に示されるように、参考例2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)は4、及びVSWR<2.0の帯域幅(MHz)が9となっていて、実施の形態と比較して非常に狭い帯域特性となっている。また、図26に示されるように、指向性の正面方向で約−6.3dBiのゲインとなっており、アンテナの正面方向に電波が発射されず、アンテナとして利用するには不都合な指向性となっている。
【0077】
[参考例4]
図27は、本発明の参考例4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例4におけるパッチ素子は、縦2本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(2×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子と異なり、補助縦格子及び補助横格子が採用されておらず、メッシュ体は、枠格子を構成する上下の横格子及び左右の縦格子だけからなっている。
【0078】
図28の(a)は、図27に示される2×2素子において、素子の大きさを132mm×132mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを42mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0079】
図28の(a)に示されるように、参考例4に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)及びVSWR<2.0の帯域幅(MHz)がいずれもゼロであり、アンテナとして必要な整合特性/帯域特性が確保できていない。また、図28の(b)に示されるように、指向性の最大点で約7.4dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で64°、垂直面で56°の角度を有している。
表1は、以上の結果をまとめたものである。また、設計値でのグリッド数(縦×横)と帯域幅との関係、及び、ロバスト性でのグリッド数(縦×横)と帯域幅との関係をそれぞれ図29及び図30に示す。図29及び図30において、楕円で囲った部分がアンテナ特性「良」の部分(本明細書での実施の形態1〜5に相当)である。
【0080】
【表1】
【0081】
前述した交通信号灯器1を制御する制御装置5(交通信号制御機)は、アンテナ4を介して、交通信号灯器1を設置した道路又は近傍の道路等を走行する車両に対して、前記交通信号灯器1の現在及び将来の表示に関する信号情報を提供することができる。
【0082】
信号情報としては、交通信号灯器1が表示する現在又は将来の信号灯色に関する情報を指し、各信号灯色の表示継続予定期間や表示する順序等に関する情報等を含むものである。
【0083】
例えば、現在表示している灯色は青信号でその継続予定時間は5秒であり、その次に表示する灯色は黄信号でその継続予定時間は8秒であり、その次に表示する灯色は右折青矢印灯でその継続予定時間は5乃至10秒である、といった情報を所定の形式で表現して含ませると良い。なお、提供するのは現在表示している灯色とその継続時間だけとしても良いし、1サイクル分の情報をまとめて提供するようにしても良い。また、これらの情報に加えて、地点感応制御を実施している地点では、当該制御に関するパラメータ情報や制御を実施する時間帯の情報等を含ませても良い。
【0084】
そして、前記信号情報を受信した車両側の車載コンピュータは、停止線までの距離と車両の走行速度や加速度等から、停止線に到着するまでの所要時間を推定した上で、当該所要時間経過後の信号灯色を推定することができる。そして、例えば現時点で青信号を表示していたとしても、停止線に到着する時点で信号灯色が赤信号と予測されるような場合には、安全に停止線の手前で停止するように、車載コンピュータは制御すれば良い。逆に、減速しなければ安全に交差点を通過できると判断できるような場合には、速度を維持するように制御すれば良い。
【0085】
また、車載コンピュータは、車載装置の主導による制御のみならず、ブレーキアシストなど、ドライバの運転動作を補助する動作をしても良い。
【0086】
また、車載コンピュータは、前記判断の結果を車両の搭乗者に対して、音声や画像情報によって通知するようにしても良い。例えば、「間もなく信号が変わるので停止すべきである」といった内容の音声をドライバに向けて発したり、ヘッドアップディスプレイやナビゲーション装置の画面上に文字や図柄で表示したりしても良い。
【0087】
なお、本発明の灯器は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、信号灯器は車両用以外にも、歩行者用のものであってもよい。また、信号灯器が有する発光体はLED以外に電球であってもよい。また、前記各実施の形態ではグランド素子12を円形としたが、これ以外に矩形とすることもできる。
【0088】
また、以上の実施の形態では、パッチ素子としてメッシュ体からなるものを用いているが、図31に示されるように、略十字型の格子100と、この格子100の外側に配置される左右対称の枠格子122とで構成されたパッチ素子111を用いることもできる。左右対称の枠格子122は、図31の(b)のような円形であってもよいし、また、図31の(a)のように、矩形の角部をR状にした形状であってもよい。
かかる構成のパッチ素子111でも、メッシュ体からなるパッチ素子11と同様に、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができる。なお、略十字型の格子100を構成する2本の格子は、図31の(a)及び(b)のように必ずしも上下方向又は左右方向に沿って配置する必要はなく、図31の(c)のように上下方向又は左右方向に対して傾いて配置することもできる。
また、図32に示されるように、略十字型の格子100の交差部分に、リング形状の格子101を設けることもできる。図32の(b)に示される例では、リング形状の格子101の内部にさらに第2の略十字型の格子120とリング形状の格子130が配置されている。また、図32の(c)に示される例では、リング形状の格子101と同心に第2、第3のリング形状の格子140、150が配置されている。略十字型の格子の交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。なお、このリング形状の格子は、前述した実施の形態における補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所に設けることもできる。この場合も、交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0089】
さらに、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の灯器の一実施の形態の正面図である。
【図2】図1に示される灯器における光学ユニットの断面説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図7】(a)は実施の形態2に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図8】実施の形態2に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図10】(a)は実施の形態3に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図11】実施の形態3に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図13】(a)は実施の形態4に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図14】実施の形態4に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態5におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図16】(a)は実施の形態5に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図17】実施の形態5に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図18】参考例1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図19】(a)は参考例1に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図20】参考例1に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図21】参考例2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図22】(a)は参考例2に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図23】参考例2に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図24】参考例3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図25】参考例3に係るアンテナによるVSWRを示す図である。
【図26】参考例3に係るアンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図27】参考例4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図28】(a)は参考例4に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図29】設計値でのグリッド数(縦×横)と帯域幅の関係を示す図である。
【図30】ロバスト性でのグリッド数(縦×横)と帯域幅の関係を示す図である。
【図31】本発明におけるパッチ素子の他の態様を説明する図である。
【図32】本発明におけるパッチ素子のさらに他の態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
1 信号灯器
2 光学ユニット
4 アンテナ
5 制御装置
6 収容部材
7 発光ダイオード
8 基板
9 カバー部材
11 パッチ素子
12 グランド素子
20 縦格子
20a 補助縦格子
21 横格子
21a 補助横格子
22 枠格子
100 略十字型の格子
101 リング状の格子
111 パッチ素子
122 枠格子
【技術分野】
【0001】
本発明は灯器に関するものであり、特に道路に設置される交通信号灯器、交通信号制御機、及び、この灯器に設けられるアンテナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が提案されている。このITSでは、道路に通信装置(インフラ装置)が設置されており、この通信装置のアンテナから発せられた情報を、道路を走行する車両の車載機が受信し、この情報を活用することにより、車両の走行についての安全性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような路車間通信を無線によって行なう場合、無線通信の見通しを確保する観点から、歩道等に設置した支柱から車道側にアームを張り出し、このアーム上に通信装置のアンテナを取り付けている。また、前記アームを設けなくても見通しが確保できる場合、前記支柱にアンテナを取り付けることが可能となる。
【0004】
前記通信装置のアンテナを道路に設置するためにアンテナ専用の支柱を新たに設けることは経済的でなく、また、道路の美観の点でも好ましくないことから、本出願人は、さきに、光学ユニットにアンテナを組み込んだ交通信号灯器を提案している(特願2007−186019)。
【0005】
この交通信号灯器は、発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニット、及び、前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナとを備えており、前記パッチ素子は可視光透過性を有している。かかる交通信号灯器では、アンテナが交通信号灯器の光学ユニットに組み込まれるため、アンテナ設置用の支柱を不要とでき、かつ、道路の美観を損なうことがない。さらに、パッチ素子は可視光透過性を有しているので、アンテナを光学ユニットに組み込んでも、発光体による発光の妨げとなることを防止することができる。
【0006】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記可視光透過性を有するパッチ素子として、例えば導線をメッシュ状に編んだものを用いることができる。この場合、メッシュを構成する格子の本数が少ないほど、発光体からの光を遮る妨害物が少なくなるため、良好な光透過性という観点からは有利であるが、一方において、極端に格子の本数が少なくなると、アンテナ性能が低下するか、さらにはアンテナとして充分機能しなくなることが考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができるアンテナユニット、灯器、交通信号灯器及び交通信号制御機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点に係る灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第1の観点に係る灯器では、アンテナのパッチ素子が可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっている。そして、このメッシュ体が、略矩形の枠格子と、左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されている。換言すれば、本発明の灯器におけるメッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
なお、本明細書において、補助横格子と補助縦格子との交差部分の形状は、単純に両格子を交差させた十字状の形状だけに限定されるものではなく、後述するように、当該交差部分にリング形状の格子を設けた形状であってもよい。
【0011】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状であるのが好ましい。アンテナの偏波面が垂直偏波の場合、メッシュ体の形状を左右対称にすることで、偏波面に直交する成分である水平偏波成分が発生しにくくなり、一方、水平偏波の場合、メッシュ体の形状を上下対称にすることで、偏波面に直交する成分である垂直偏波成分が発生しにくくなるためである。
【0012】
前記発光体を発光ダイオードとすることができ、この場合、発光ダイオードの発光部を覆う筒状レンズ部の外径をdとすると、前記メッシュ体の各格子の太さないしは幅Dが、D=0.1〜1.0dの範囲であるのが好ましい。この構成によれば、灯器を前方から視認する場合に、或る角度において、発光ダイオードの前方に配置されるメッシュ体の格子により特定の発光ダイオードからの光が略完全に遮られるのを抑制することができる。
【0013】
前記複数の発光体が同心円状に配置されており、且つ、前記メッシュ体が正方形であるのが好ましい。複数の発光体(LEDなど)を同心円状に配置し、メッシュ体を正方形にすることで、どの角度から灯器を見上げても、格子によって同時に隠される発光体(格子の存在により視認することができない発光体)の数を少なくすることができる。
前記補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所にリング形状の格子を設けることができる。補助横格子と補助縦格子とを単純に交差させたときに当該交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係る灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されていることを特徴としている。
【0015】
本発明の第2の観点に係る灯器では、アンテナのパッチ素子が、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されており、簡素な構造であるとともにパッチ素子として優れた光透過性を得ることができる。また、2本の互いに略直交する十字型の格子と、外側に配置される左右対称の枠格子とからなるパッチ素子により、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮させることができる。
前記略十字型の格子の交差部分に、リング形状の格子を設けることができる。略十字型の格子の交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0016】
本発明の交通信号灯器は、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の交通信号灯器においても、前記灯器の場合と同様に、メッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
【0018】
本発明の灯器用のアンテナユニットは、所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットに組み込まれる灯器用のアンテナユニットであって、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられるパッチ素子と、このパッチ素子の後方に設けられるグランド素子とを有しており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明のアンテナユニットにおいても、前記灯器の場合と同様に、メッシュ体は、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた簡素な構成でよく、メッシュを構成する格子の本数を減らすことでパッチ素子の光透過性を向上させることができる。しかも、略矩形の枠格子以外に、縦1本及び横1本の格子を備えておれば、アンテナとしての所定の性能を充分に発揮することができる。
【0020】
本発明の交通信号制御機は、前記交通信号灯器に接続され、当該交通信号灯器の点灯及び消灯を行う交通信号制御機であって、
前記アンテナを介して、前記交通信号灯器の設置された道路上を走行する車両に対して、現在及び将来の前記交通信号灯器の表示に関する信号情報を送信するように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明のアンテナユニット、灯器、交通信号灯器及び交通信号制御機によれば、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る灯器の正面図である。図1に示される灯器は道路に設置される交通信号灯器1(以下、単に「信号灯器」ともいう)であり、車両用のものである。
【0023】
歩道等の路側に支柱40が設置され、この支柱40から車道側にアーム41が張り出されて設けられており、このアーム41に信号灯器1が取り付けられている。なお、図1において、15は後述するアンテナ用の同軸ケーブルである。
【0024】
信号灯器1は、複数(図1に示される例では三つ)の光学ユニット2と、これら光学ユニット2が組み込まれている筐体3とを有している。三つの光学ユニット2は、それぞれ赤、黄、青の灯光色を有している。各光学ユニット2にはひさし(図示せず)が取り付けられる。
【0025】
また、支柱40には、信号灯器1を制御する制御装置5が取り付けられている。なお、信号灯器1の設置構造は図示しているもの以外であってもよく、図示しないが前記支柱40及び前記アーム41の形態が異なっていてもよく、また、信号灯器1が歩道橋に架設されたものであってもよい。また、制御装置5は、信号灯器1の筐体3内に設けられたものであってもよい。
【0026】
なお、信号灯器1の点灯等を制御する制御装置5が、後述するアンテナ4を介した無線通信制御を行うように構成することができるが(又は無線通信制御を行う装置を同一筐体内に内蔵させることができるが)、別々の装置としても良い。別々とする場合、前記無線通信制御を行う装置は、信号灯器1の点灯等を制御する制御装置の近傍(同一の支柱40)に設置することが好ましい。
【0027】
図2は、一つの光学ユニット2の断面説明図である。光学ユニット2は、発光体としての発光ダイオード7(以下、「LED」ともいう)と、複数のLED7が前面8aに実装された基板8と、この基板8を収容する収容部材6と、カバー部材9とを有している。基板8は、その裏面に配線パターンが形成されており、LED7の端子37は、当該配線パターンと繋がっている。基板8上には複数のLED7が面状に広がって配設されている。より詳細には、複数のLED7は同心円状の放射パターンを形成するように配設されており、隣接する同心円間の径方向寸法は略均一である(図3参照)。
【0028】
LED7はレンズ部38を有しており、このレンズ部38内に、実際に発光する部位であるLED素子ないしは発光部(図示せず)が設けられている。
【0029】
収容部材6は、底部(底壁)6aと、この底部6aの周縁から立設した側部(側壁)6bとを有する皿形状であり、前方に開口している。側部6bの開口側端面に、カバー部材9が取り付けられている。これにより、収容部材6とカバー部材9との間に収容空間部Sが形成されており、この収容空間部SにLED7及び基板8が収容されている。そして、基板8は収容部材6に固定されている。収容空間部Sのうち、基板8よりも前方を前空間部S1とし、基板8よりも後方を後空間部S2としている。
【0030】
カバー部材9は可視光透過性を有しており(可視光に対して透明であり)複数のLED7を前方で覆っている。なお、この光学ユニット2において、前方とは光の投光側であり(カバー部材9側であり)、後方とは収容部材6の底部6a側である。
【0031】
そして、この光学ユニット2にアンテナ4が組み込まれている。アンテナ4はパッチアンテナであり、パッチ素子11とグランド素子12とを有している。すなわち、図2において、パッチ素子11とグランド素子12とが、前記光学ユニット2内に、つまり前記収容空間部Sに格納(収容)されている。
【0032】
パッチ素子1は、導線等の導電体によりメッシュ状に形成されており(図3等参照)、基板8から前方へ立設した支持部材13によって支持されかつ固定されている。支持部材13は絶縁部材からなる。また、パッチ素子11は、可視光透過用の複数の開口を有しており、カバー部材9からLED7の前端39までの範囲Aに設けられている。また、図2において、カバー部材9は、その後面(背面)9aが凹曲面であって、前面9bが凸曲面であり、パッチ素子11はカバー部材9の後面9aから後方に離れて設けられている。なお、ここではカバー部材9を凹凸の曲面としたが、信号灯器1がLED灯器であれば、平面とすることもできる。
【0033】
グランド素子12は、円形の平面状(平板状)に形成されており、基板8の前面8aにおいて当該基板8に取り付けられている。例えば、グランド素子12は、収容部材6に基板8と共にネジによって共締めされる。そして、このグランド素子12は、パッチ素子11の後方であって、前後方向について基板8とLED7の前端39との間に設けられている。また、グランド素子12の輪郭形状はパッチ素子11の輪郭形状よりも大きくなっている。なお、本発明において、グランド素子12の形状は円形に限定されるものではなく、パッチ素子11よりもある程度大きければ、どのような形状であってもよい。
【0034】
これにより、グランド素子12とパッチ素子11とが、前空間部S1内に設けられ、パッチ素子11は、基板8の前面8aからLED7の前端39までの範囲Aに設けられ、グランド素子12はパッチ素子11の後方に設けられた状態となる。そして、グランド素子12とパッチ素子11とが、前後方向に対向した配置となり、このアンテナ4の指向性は信号灯器1から前方へ向かう方向となる。すなわち、光学ユニット2による投光方向と、アンテナ指向性とを略一致させることができ、信号灯器1は車両に対して見通しが良い位置に設置されることから、このアンテナ指向性によって、車両の車載機(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0035】
また、このアンテナ4が格納された信号灯器1を、路車間で無線通信を行なう高度道路交通システム(ITS)に利用するために、使用周波数を715MHz〜725MHzと設定する場合、グランド素子12とパッチ素子11との前後方向の間隔を10〜40mmに設定することができる。なお、これはグランド素子12とパッチ素子11との間に、空気が介在している場合である。
【0036】
収容部材6(底部6a)には、アンテナ4用の同軸ケーブル15を接続させる端子部19が取り付けられており、この端子部19に、図1の制御装置5から延びる同軸ケーブル15を接続することができる。そして、この端子部19から後空間部S2へ延びる同軸ケーブル15aが、アンテナ4と接続されている。同軸ケーブル15aは、内導体15b、絶縁体15c、外導体15d及び被覆部15eを有しており、この同軸ケーブル15aの内導体15bがパッチ素子11に接続されており、外導体15dがグランド素子12に接続されている。なお、内、外導体15b、15dと各素子11、12(各素子の導電体部分)とを半田によって接続し固定することができるが、半田以外の方法であってもよい。
【0037】
なお、図1の制御装置5から延びるLED7用の電源ケーブル(図示せず)が、収容部材6の底部6aに取り付けた端子部(図示せず)を介して、LED用基板8と接続されている。
【0038】
本発明の特徴は、前記パッチ素子11を可視光透過用の開口を有するメッシュ体で構成し、さらにこのメッシュ体を、略矩形の枠格子と、左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成したことである。
【0039】
本発明者は、パッチ素子11として略矩形状のメッシュ体を採用する場合において、メッシュを構成する格子の本数とアンテナ性能との関係について種々検討を重ねた結果、アンテナ性能を確保するのに必要な格子の本数の条件を見出した。すなわち、メッシュの外枠を構成する略矩形の枠格子以外に、最低限縦1本及び横1本の格子を備えた略「田」の字状のメッシュであれば、所定のアンテナ性能を満たし得ることを見出した。この略「田」の字状のメッシュの場合、メッシュを構成する格子の数が縦3本、横3本と非常に少なく、当該メッシュの後方に配置される発光ダイオード7からの光が遮られる確率ないしは割合が少なくなる。その結果、良好な光透過性を確保することができる。
【0040】
メッシュ体を構成する格子の本数は、本発明において特に限定されるものではないが、本数が増えると、アンテナ性能が安定化する反面、発光ダイオード7からの光を遮る妨害物が多くなり光透過性が低下することから、枠格子の本数も含めて、通常、縦横ともに20本程度が上限である。この格子の本数の好ましい上限値は、当該格子の太さないしは幅(格子がワイヤからなる場合は外径)とも関連しており、細径の導体ほど前記上限値は大きくなる。例えば、直径2mm程度の細径ワイヤからなる格子の場合、格子の本数は、縦横ともに8本程度とすることができる。一方、直径5mm程度の太径ワイヤからなる格子の場合、縦横ともに4本程度とすることができる。
【0041】
また、格子の好ましい径は、発光体の大きさとも関連しており、発光ダイオード7の発光部を覆う筒状レンズ部38の外径をd(図2参照)とすると、前記メッシュ体の各格子の径D(図3参照)を、D=0.1〜1.0dの範囲で選定するのが好ましい。このようにして格子の径Dを選定した場合、信号灯器1を前方から視認する場合に、或る角度において、発光ダイオード7の前方に配置されるメッシュ体の格子により特定の発光ダイオード7からの光が略完全に遮られるのを抑制することができる。
【0042】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状であるのが好ましい。アンテナの偏波面が垂直偏波の場合、メッシュ体の形状を左右対称にすることで、偏波面に直交する成分である水平偏波成分が発生しにくくなり、一方、水平偏波の場合、メッシュ体の形状を上下対称にすることで、偏波面に直交する成分である垂直偏波成分が発生しにくくなるためである。また、前記複数の発光体が同心円状に配置されている場合、前記メッシュ体は、正方形であるのが好ましい。複数の発光体(LEDなど)を同心円状に配置した場合、メッシュ体を正方形にすることで、どの角度から灯器を見上げても、格子によって同時に隠される発光体(格子の存在により視認することができない発光体)の数を少なくすることができる。
【0043】
パッチ素子11を構成するメッシュ体は、グランド素子12の前方における前記空間部S1内に配設されるが、メッシュ体の格子の後端から前記グランド素子12の前面までの距離h(図3参照)は、通常、10〜40mmの範囲である。この距離hは、アンテナの周波数特性や整合特性(VSWR)などを考慮して選定される。
【0044】
以下、種々の実施の形態に基づいて、本発明の灯器について説明をする。
〔実施の形態1〕
図3は、本発明の実施の形態1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。本実施の形態並びに後述する各実施の形態及び参考例では、LED7の配置パターンは、円筒座標系の配列となっている同心円状の放射パターンである。ただし、本発明において、LED(発光体)7の配置パターンは、同心円状の放射パターンに限定されるものではなく、格子状パターンなど他の配置パターンであってもよい。
【0045】
パッチ素子11を構成するメッシュ体は、左右の縦格子20、20と上下の横格子21、21とからなる略矩形の枠格子22と、前記左右の縦格子20、20を接続する6本の補助横格子21aと、前記上下の横格子21、21を接続する6本の補助縦格子20aとで構成されている。すなわち、実施の形態1におけるパッチ素子11は、縦8本、横8本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっている(8×8素子)。各格子は、導線などの導電体で作製されており、その径(ワイヤ径)は、例えば0.5〜5.0mmの範囲で選定することができる。パッチ素子11を構成するメッシュ体は左右対称であり、また、複数の補助縦格子20a及び補助横格子21aは、いずれも隣接する格子間の間隔が均一になるように配置されている。なお、図3において、50は素子給電点である同軸であり、この同軸は、後出する図6、9、12、15、18、21、24及び27に示されるパッチ素子にもそれぞれ設けられている。
【0046】
図4の(a)は、図3に示される8×8素子において、素子の大きさ(枠格子を構成する導線の中心間の距離)を171.48mm×171.48mmとし、隣接する格子間のピッチを24.497mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを26.44mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR)を示しており、同(b)は、指向性を示している。図4の(b)、及び後出するアンテナの指向性を示す図において、細い実線は水平面の指向性、太い実線は垂直面の指向性をそれぞれ示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmであり、またVSWRは素子入力を50Ωとして規定している。
【0047】
また、図5は、かかる仕様の8×8素子のロバスト性を示す図である。図5、及び後出するロバスト性を示す各図において、太線は素子外形(素子の大きさ)が設計値±0、細線は素子外形が設計値−0.5mm、破線は素子外形が設計値+0.5mmにおけるVSWRをそれぞれ示している。
【0048】
図4の(a)に示されるように、実施の形態1に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が34であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図4の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0049】
また、図5より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0050】
〔実施の形態2〕
図6は、本発明の実施の形態2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態2におけるパッチ素子は、縦6本、横6本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(6×6素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0051】
図7の(a)は、図6に示される6×6素子において、素子の大きさを166.19mm×166.19mmとし、隣接する格子間のピッチを33.238mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを28.29mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図8は、かかる仕様の6×6素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0052】
図7の(a)に示されるように、実施の形態2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が16、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が31であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図7の(b)に示されるように、指向性の最大点で約9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で76°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0053】
また、図8より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0054】
〔実施の形態3〕
図9は、本発明の実施の形態3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態3におけるパッチ素子は、縦4本、横4本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×4素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0055】
図10の(a)は、図9に示される4×4素子において、素子の大きさを157.55mm×157.55mmとし、隣接する格子間のピッチを52.516mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを34.97mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図11は、かかる仕様の4×4素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0056】
図10の(a)に示されるように、実施の形態3に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図10の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.8dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で56°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0057】
また、図11より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が13、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が28であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0058】
〔実施の形態4〕
図12は、本発明の実施の形態4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態4におけるパッチ素子は、縦4本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。
【0059】
図13の(a)は、図12に示される4×3素子において、素子の大きさを160.20mm×160.20mmとし、隣接する格子間のピッチを縦80.1mm、横53.4mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを35mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図14は、かかる仕様の4×3素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0060】
図13の(a)に示されるように、実施の形態4に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が19、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図13の(b)に示されるように、指向性の最大点で約9.0dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で73°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0061】
また、図14より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が14、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が26であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0062】
〔実施の形態5〕
図15は、本発明の実施の形態5におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。実施の形態5におけるパッチ素子は、縦3本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(3×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。実施の形態5では、補助縦格子及び補助横格子の数がそれぞれ1本と、最低限の数の補助格子が配置されており、メッシュ体は「田」の字形状である。
【0063】
図16の(a)は、図15に示される3×3素子において、素子の大きさを149.38mm×149.38mmとし、隣接する格子間のピッチを74.688mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを40.5mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図17は、かかる仕様の3×3素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0064】
図16の(a)に示されるように、実施の形態5に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が18、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が33であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図16の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.6dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0065】
また、図17より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においても、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が15、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が30であり、安定したアンテナ性能が得られることがわかる。
【0066】
[参考例1]
図18は、本発明の参考例1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例1におけるパッチ素子は、縦4本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(4×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助縦格子の数は2本であるが、補助横格子の数はゼロであり、横方向の格子は枠格子を構成する上下の横格子だけである。
【0067】
図19の(a)は、図18に示される4×2素子において、素子の大きさを156mm×156mmとし、隣接する縦方向の格子間のピッチを52mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを26.0mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図20は、かかる仕様の4×2素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0068】
図19の(a)に示されるように、参考例1に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が6、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が12であり、帯域幅は実施の形態のものと比較して狭くなっている。また、図19の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.9dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で75°、垂直面で58°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0069】
しかしながら、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合においては、図20に示されるように、VSWR<1.5となる帯域はなくなっており(0MHz)、また、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が5と非常に狭くなっていて、安定したアンテナ性能が得られていない。
【0070】
[参考例2]
図21は、本発明の参考例2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例2におけるパッチ素子は、縦3本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(3×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助縦格子の数は1本であるが、補助横格子の数はゼロであり、横方向の格子は枠格子を構成する上下の横格子だけである。
【0071】
図22の(a)は、図21に示される3×2素子において、素子の大きさを146.0mm×146.0mmとし、隣接する縦方向の格子間のピッチを73.00mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを38.5mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。また、図23は、かかる仕様の3×2素子のロバスト性を示す図である。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0072】
図22の(a)に示されるように、参考例2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)が12、VSWR<2.0の帯域幅(MHz)が24であり、良好なアンテナ性能を有している。また、図22の(b)に示されるように、指向性の最大点で約8.6dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で76°、垂直面で57°の角度を有しており、高度道路交通システム(ITS)において車載機と無線通信するために充分なビーム幅を有している。
【0073】
しかしながら、図23のロバスト性を示す図より、設計誤差や製作誤差などにより素子寸法が若干変動した場合において、安定したアンテナ性能が得られないことがわかる。
図23の場合、VSWR<1.5となる帯域は6MHz、VSWR<2.0となる帯域は17MHzであるが、実施の形態における同様のロバスト性評価では、VSWR<1.5で10MHz以上、VSWR<2.0で20MHz以上の帯域幅を実現している。
【0074】
[参考例3]
図24は、本発明の参考例3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例3におけるパッチ素子は、縦2本、横3本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(2×3素子)、実施の形態1におけるパッチ素子とは、補助縦格子及び補助横格子の数が異なっている。より詳細には、補助横格子の数は1本であるが、補助縦格子の数はゼロであり、縦方向の格子は枠格子を構成する左右の縦格子だけである。
【0075】
図25の(a)及び(b)は、いずれも図24に示される2×3素子において、素子の大きさを174.2mm×174.2mmとし、隣接する横方向の格子間のピッチを87.1mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを90mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、図26は、指向性を示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0076】
図25に示されるように、参考例2に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)は4、及びVSWR<2.0の帯域幅(MHz)が9となっていて、実施の形態と比較して非常に狭い帯域特性となっている。また、図26に示されるように、指向性の正面方向で約−6.3dBiのゲインとなっており、アンテナの正面方向に電波が発射されず、アンテナとして利用するには不都合な指向性となっている。
【0077】
[参考例4]
図27は、本発明の参考例4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。参考例4におけるパッチ素子は、縦2本、横2本の格子がメッシュ状に配置されたメッシュ体からなっており(2×2素子)、実施の形態1におけるパッチ素子と異なり、補助縦格子及び補助横格子が採用されておらず、メッシュ体は、枠格子を構成する上下の横格子及び左右の縦格子だけからなっている。
【0078】
図28の(a)は、図27に示される2×2素子において、素子の大きさを132mm×132mmとし、格子の後端からグランド素子12の前面までの距離hを42mmとした場合におけるアンテナ素子の整合特性(VSWR:素子入力を50Ωとして規定)を示しており、同(b)は、指向性を示している。なお、格子を構成するワイヤの径ないしは幅は2mmである。
【0079】
図28の(a)に示されるように、参考例4に係る光学ユニットでは、VSWR<1.5の帯域幅(MHz)及びVSWR<2.0の帯域幅(MHz)がいずれもゼロであり、アンテナとして必要な整合特性/帯域特性が確保できていない。また、図28の(b)に示されるように、指向性の最大点で約7.4dBiのゲインとなっており、この最大点から3dB低下する範囲は、水平面で64°、垂直面で56°の角度を有している。
表1は、以上の結果をまとめたものである。また、設計値でのグリッド数(縦×横)と帯域幅との関係、及び、ロバスト性でのグリッド数(縦×横)と帯域幅との関係をそれぞれ図29及び図30に示す。図29及び図30において、楕円で囲った部分がアンテナ特性「良」の部分(本明細書での実施の形態1〜5に相当)である。
【0080】
【表1】
【0081】
前述した交通信号灯器1を制御する制御装置5(交通信号制御機)は、アンテナ4を介して、交通信号灯器1を設置した道路又は近傍の道路等を走行する車両に対して、前記交通信号灯器1の現在及び将来の表示に関する信号情報を提供することができる。
【0082】
信号情報としては、交通信号灯器1が表示する現在又は将来の信号灯色に関する情報を指し、各信号灯色の表示継続予定期間や表示する順序等に関する情報等を含むものである。
【0083】
例えば、現在表示している灯色は青信号でその継続予定時間は5秒であり、その次に表示する灯色は黄信号でその継続予定時間は8秒であり、その次に表示する灯色は右折青矢印灯でその継続予定時間は5乃至10秒である、といった情報を所定の形式で表現して含ませると良い。なお、提供するのは現在表示している灯色とその継続時間だけとしても良いし、1サイクル分の情報をまとめて提供するようにしても良い。また、これらの情報に加えて、地点感応制御を実施している地点では、当該制御に関するパラメータ情報や制御を実施する時間帯の情報等を含ませても良い。
【0084】
そして、前記信号情報を受信した車両側の車載コンピュータは、停止線までの距離と車両の走行速度や加速度等から、停止線に到着するまでの所要時間を推定した上で、当該所要時間経過後の信号灯色を推定することができる。そして、例えば現時点で青信号を表示していたとしても、停止線に到着する時点で信号灯色が赤信号と予測されるような場合には、安全に停止線の手前で停止するように、車載コンピュータは制御すれば良い。逆に、減速しなければ安全に交差点を通過できると判断できるような場合には、速度を維持するように制御すれば良い。
【0085】
また、車載コンピュータは、車載装置の主導による制御のみならず、ブレーキアシストなど、ドライバの運転動作を補助する動作をしても良い。
【0086】
また、車載コンピュータは、前記判断の結果を車両の搭乗者に対して、音声や画像情報によって通知するようにしても良い。例えば、「間もなく信号が変わるので停止すべきである」といった内容の音声をドライバに向けて発したり、ヘッドアップディスプレイやナビゲーション装置の画面上に文字や図柄で表示したりしても良い。
【0087】
なお、本発明の灯器は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、信号灯器は車両用以外にも、歩行者用のものであってもよい。また、信号灯器が有する発光体はLED以外に電球であってもよい。また、前記各実施の形態ではグランド素子12を円形としたが、これ以外に矩形とすることもできる。
【0088】
また、以上の実施の形態では、パッチ素子としてメッシュ体からなるものを用いているが、図31に示されるように、略十字型の格子100と、この格子100の外側に配置される左右対称の枠格子122とで構成されたパッチ素子111を用いることもできる。左右対称の枠格子122は、図31の(b)のような円形であってもよいし、また、図31の(a)のように、矩形の角部をR状にした形状であってもよい。
かかる構成のパッチ素子111でも、メッシュ体からなるパッチ素子11と同様に、アンテナ性能を確保しつつ光透過性を向上させることができる。なお、略十字型の格子100を構成する2本の格子は、図31の(a)及び(b)のように必ずしも上下方向又は左右方向に沿って配置する必要はなく、図31の(c)のように上下方向又は左右方向に対して傾いて配置することもできる。
また、図32に示されるように、略十字型の格子100の交差部分に、リング形状の格子101を設けることもできる。図32の(b)に示される例では、リング形状の格子101の内部にさらに第2の略十字型の格子120とリング形状の格子130が配置されている。また、図32の(c)に示される例では、リング形状の格子101と同心に第2、第3のリング形状の格子140、150が配置されている。略十字型の格子の交差部分の後方に発光体が隠れてしまうような場合に、かかる交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。なお、このリング形状の格子は、前述した実施の形態における補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所に設けることもできる。この場合も、交差部分にリング形状の格子を設けることで、発光体の透過性を担保することができる。
【0089】
さらに、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の灯器の一実施の形態の正面図である。
【図2】図1に示される灯器における光学ユニットの断面説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図7】(a)は実施の形態2に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図8】実施の形態2に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図10】(a)は実施の形態3に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図11】実施の形態3に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図13】(a)は実施の形態4に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図14】実施の形態4に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態5におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図16】(a)は実施の形態5に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図17】実施の形態5に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図18】参考例1におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図19】(a)は参考例1に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図20】参考例1に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図21】参考例2におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図22】(a)は参考例2に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図23】参考例2に係るアンテナのロバスト性を示す図である。
【図24】参考例3におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図25】参考例3に係るアンテナによるVSWRを示す図である。
【図26】参考例3に係るアンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図27】参考例4におけるパッチ素子と発光部の正面説明図である。
【図28】(a)は参考例4に係るアンテナによるVSWRを示す図であり、(b)は当該アンテナの水平面及び垂直面の指向性を示す図である。
【図29】設計値でのグリッド数(縦×横)と帯域幅の関係を示す図である。
【図30】ロバスト性でのグリッド数(縦×横)と帯域幅の関係を示す図である。
【図31】本発明におけるパッチ素子の他の態様を説明する図である。
【図32】本発明におけるパッチ素子のさらに他の態様を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
1 信号灯器
2 光学ユニット
4 アンテナ
5 制御装置
6 収容部材
7 発光ダイオード
8 基板
9 カバー部材
11 パッチ素子
12 グランド素子
20 縦格子
20a 補助縦格子
21 横格子
21a 補助横格子
22 枠格子
100 略十字型の格子
101 リング状の格子
111 パッチ素子
122 枠格子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする灯器。
【請求項2】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状である請求項1に記載の灯器。
【請求項3】
前記発光体が発光ダイオードであり、この発光ダイオードの発光部を覆う筒状レンズ部の外径をdとすると、前記メッシュ体の各格子の太さないしは幅Dが、D=0.1〜1.0dの範囲である請求項1〜2のいずれかに記載の灯器。
【請求項4】
前記複数の発光体が同心円状に配置されており、且つ、前記メッシュ体が正方形である請求項1〜3のいずれかに記載の灯器。
【請求項5】
前記補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所にリング形状の格子が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の灯器。
【請求項6】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されていることを特徴とする灯器。
【請求項7】
前記略十字型の格子の交差部分に、リング形状の格子が設けられている請求項6に記載の灯器。
【請求項8】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする交通信号灯器。
【請求項9】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットに組み込まれる灯器用のアンテナユニットであって、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられるパッチ素子と、このパッチ素子の後方に設けられるグランド素子とを有しており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする灯器用のアンテナユニット。
【請求項10】
請求項8に記載の交通信号灯器に接続され、当該交通信号灯器の点灯及び消灯を行う交通信号制御機であって、
前記アンテナを介して、前記交通信号灯器の設置された道路上を走行する車両に対して、現在及び将来の前記交通信号灯器の表示に関する信号情報を送信するように構成されていることを特徴とする交通信号制御機。
【請求項1】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする灯器。
【請求項2】
前記アンテナの偏波面が垂直偏波である場合には、前記メッシュ体が左右対称の形状であり、前記アンテナの偏波面が水平偏波である場合には、前記メッシュ体が上下対称の形状である請求項1に記載の灯器。
【請求項3】
前記発光体が発光ダイオードであり、この発光ダイオードの発光部を覆う筒状レンズ部の外径をdとすると、前記メッシュ体の各格子の太さないしは幅Dが、D=0.1〜1.0dの範囲である請求項1〜2のいずれかに記載の灯器。
【請求項4】
前記複数の発光体が同心円状に配置されており、且つ、前記メッシュ体が正方形である請求項1〜3のいずれかに記載の灯器。
【請求項5】
前記補助横格子と補助縦格子との交差部分のうち少なくとも1箇所にリング形状の格子が設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の灯器。
【請求項6】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、略十字型の格子と、この格子の外側に配置される左右対称の枠格子とで構成されていることを特徴とする灯器。
【請求項7】
前記略十字型の格子の交差部分に、リング形状の格子が設けられている請求項6に記載の灯器。
【請求項8】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し当該複数の発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットと、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられているパッチ素子と、このパッチ素子の後方にあるグランド素子とを有するアンテナと、
を備えており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする交通信号灯器。
【請求項9】
所定のパターンで配置された複数の発光体と、可視光透過性を有し前記発光体を前方で覆うカバー部材とを有する光学ユニットに組み込まれる灯器用のアンテナユニットであって、
前記カバー部材から前記発光体の前端までの範囲に設けられるパッチ素子と、このパッチ素子の後方に設けられるグランド素子とを有しており、
前記パッチ素子は、可視光透過用の開口を有するメッシュ体からなっており、
このメッシュ体が、左右の縦格子と上下の横格子とからなる略矩形の枠格子と、前記左右の縦格子を接続する、少なくとも1本の補助横格子と、前記上下の横格子を接続する、少なくとも1本の補助縦格子とで構成されていることを特徴とする灯器用のアンテナユニット。
【請求項10】
請求項8に記載の交通信号灯器に接続され、当該交通信号灯器の点灯及び消灯を行う交通信号制御機であって、
前記アンテナを介して、前記交通信号灯器の設置された道路上を走行する車両に対して、現在及び将来の前記交通信号灯器の表示に関する信号情報を送信するように構成されていることを特徴とする交通信号制御機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2010−9089(P2010−9089A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163971(P2008−163971)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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