アンテナ装置およびアレーアンテナ装置
【課題】簡易な給電構造で直交偏波を放射可能なアンテナ装置を得る。
【解決手段】キャビティ1〜3、導体線路層6および給電回路層4、5を備える。キャビティ1は、正方形の上面開口部1aを有し、キャビティ2、3は、貫通孔2a、3aを有する。給電回路層4は、グランド部がキャビティ2に導通され、給電線路7および給電プローブ9を有する。給電回路層5は、グランド部がキャビティ3に導通され、給電線路8および給電プローブ10を有する。給電プローブ9、10は、互いに直行するように形成され、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成される。導体線路層6は、給電プローブ10が放射する偏波方向と同一方向に並行配置された金属導体線6aにより構成される。底面から導体線路層6までの高さは、給電プローブ9、10の間隔と等しい値に設定される。
【解決手段】キャビティ1〜3、導体線路層6および給電回路層4、5を備える。キャビティ1は、正方形の上面開口部1aを有し、キャビティ2、3は、貫通孔2a、3aを有する。給電回路層4は、グランド部がキャビティ2に導通され、給電線路7および給電プローブ9を有する。給電回路層5は、グランド部がキャビティ3に導通され、給電線路8および給電プローブ10を有する。給電プローブ9、10は、互いに直行するように形成され、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成される。導体線路層6は、給電プローブ10が放射する偏波方向と同一方向に並行配置された金属導体線6aにより構成される。底面から導体線路層6までの高さは、給電プローブ9、10の間隔と等しい値に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば航空機に搭載されて、衛星通信および地上通信などに用いられる方形ホーンアンテナを構成するアンテナ装置、およびアレーアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アンテナを航空機などに搭載する場合、積載スペース、積載重量が制限されるため、アンテナは小型で、かつ軽量であることが求められる。
従来の衛星搭載用のアレーアンテナの例として、ホーンアンテナが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、アンテナには直交偏波を共用とすることを求められる場合があり、この場合、アンテナ間の結合を低減させることが重要となる。
そこで、2つの矩形ホーンアンテナを交差させて上下に配置することにより、アンテナ間の結合を低減させる技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−76761号公報
【特許文献2】US 2007/0085744 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のアンテナ装置の場合には、複雑な構造を有する部品を多数重ねているので、製造コストおよび製造工程が増大するという課題があった。
2つのアンテナ間の結合を低減させる方法として、偏波ごとに給電プローブを2つ用意し、互いに逆相給電するという方法がある。
この場合、偏波ごとの給電プローブを同一平面上に構成する必要があり、給電回路が物理的に干渉する。これを回避するためには、給電プローブをそれぞれ別層に構成する必要があるが、一方の給電プローブがアンテナ底面からの高さが変わることになり、反射特性が劣化するという問題が発生する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な給電構造で直交偏波を放射することのできるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るアンテナ装置は、金属導体からなる第1のキャビティと、第1のキャビティの上面に導体線路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、第2のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第3のキャビティと、を備えたアンテナ装置であって、
第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、第2のキャビティは、上面開口部と対向する位置に、上面開口部と同一形状または相似形状の第1の貫通孔を有し、第3のキャビティは、上面開口部と対向する位置に、上面開口部と同一形状または相似形状の第2の貫通孔を有し、
第1の給電回路層は、グランド部が第2のキャビティに導通されるとともに、第2のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
第2の給電回路層は、第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が第3のキャビティに導通されるとともに、第3のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
第1および第2の給電プローブは、上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部から延長した第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
導体線路層は、第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線により構成され、
第1のキャビティの底面から導体線路層までの高さは、第1の給電プローブと第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、簡易な給電構成で直交偏波共用アンテナ装置およびアレーアンテナ装置を得ることができ、製造コストの削減、製造工程の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1内のA−A線による断面図である。
【図4】図1内のB−B線による断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1による効果を示すスミスチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1によるリターンロスを示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるストリップ線路を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるサスペンデッド線路を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図10】図9のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図である。
【図11】図9のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図13】図12のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図である。
【図14】図12のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係るアレーアンテナ装置の外観を示す斜視図である。
【図16】図15のアレーアンテナ装置を上面から見た平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
図1〜図4はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、図1は装置全体の外観を示す斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1内のA−A線(Y−Z平面)による断面図、図4は図1内のB−B線(Z−X平面)による断面図である。なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0011】
図1〜図4において、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置は、金属導体により構成された方形筒状のキャビティ1、2、3と、キャビティ2とキャビティ3との間に介在された給電回路層4、5と、キャビティ1とキャビティ2との間に介在された導体線路層6と、給電回路層4、5内に個別に配設された給電線路7、8と、給電線路7、8により個別に給電される給電プローブ9、10とを備えている。
【0012】
キャビティ1は、正方形の底面と正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ2、3は、上下開口面を有する。
また、キャビティ1の上層側に位置するキャビティ2、3は、キャビティ1の上面開口部1aと同一形状(または、相似形状)で上下面を貫通する貫通孔2a、3aを有している。なお、キャビティ2、3は、一般的なホーンアンテナのように、キャビティ1から順次にテーパ状に広がっていく形状を有していてもよい。
【0013】
給電プローブ9の上層に位置する給電プローブ10は、給電プローブ9の配設方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に配置されている。
また、導体線路層6は、給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)に対して平行(給電プローブ9が放射する偏波方向に対して直角)に配置された複数本の金属導体線6aにより構成されている。
【0014】
重ね配置された給電回路層4、5内の各給電プローブ9、10は、キャビティ1〜3の開口面に位置している。
また、給電回路層4のグランド部は、下層側のキャビティ2と導通し、給電回路層5のグランド部は、上層側のキャビティ3と導通している。
【0015】
給電プローブ9は、キャビティ1の底面からの高さがλg/4(λgは、キャビティ内部での波長)となるように設置されている。これにより、給電プローブ9から上方に放射する電波と、下方に放射されてキャビティ1の底面で反射された電波とが、同位相で合成され、給電構造で良好な反射特性が得られる。
【0016】
給電プローブ9、10は、図2に示すように、それぞれ1対の素子により構成されており、1対の素子において互いに逆相励振される。
したがって、各給電プローブ9、10(1対の素子)に給電するための給電線路7、8は、図2のように、分岐部7a、8aからの長さが異なって給電されるように形成されている。すなわち、給電線路7、8の分岐部7a、8aからの各給電プローブ9、10(1対の素子)までの長さは、一方の素子までの長さと他方の素子まで長さとの位相差が、約180度となるように設定されている。
【0017】
次に、図5および図6を参照しながら、図1〜図4に示したこの実施の形態1に係るアンテナ装置の動作について説明する。
なお、ここでは、送信用のアンテナ装置として説明するが、可逆性の原理から、受信用のアンテナ装置として適用することも可能である。
【0018】
まず、給電線路7から入力された電力が給電プローブ9に給電されると、給電プローブ9を構成する1対の素子からは、X軸方向を主偏波とする電波が放射される。
このとき、キャビティ1の底面から給電プローブ9までの高さは、λg/4に設定されているので、良好な反射特性が得られる。
【0019】
また、導体線路層6は、給電プローブ9からの放射電波の偏波方向(X軸方向)に対して直行する方向(Y軸方向)に配置されているので、導体線路層6によってアンテナ装置の反射特性が変化することはない。
【0020】
一方、給電線路8から入力された電力が給電プローブ10に給電されると、給電プローブ10を構成する1対の素子からは、Y軸方向を主偏波とする電波が放射される。
このとき、キャビティ1の底面から給電プローブ10までの高さは、キャビティ1の底面から給電プローブ9までの高さλg/4よりもhgだけ高くなるので、λg/4+hgとなる。
【0021】
これにより、キャビティ1の底面から給電プローブ10までの高さがλg/4からずれるので、通常は反射特性が劣化することになる。
しかし、前述のように、導体線路層6がY軸方向に配置されているので、給電プローブ10から放射された電波は、導体線路層6で反射し、キャビティ1の底面から高さhgだけ底上げされたのと同等の動作を得ることができる。
したがって、給電プローブ10に対しても、良好な反射特性を得ることができる。
【0022】
図5は給電プローブ9、10の反射特性を示すスミスチャートであり、図6は周波数に対するリターンロス(dB)を示す特性図である。
図5および図6において、この発明の実施の形態1による特性曲線(実線)と比較するために、導体線路層6が無い場合の特性曲線(1点鎖線)を対比して示している。
また、図6において、横軸は中心周波数fcで正規化された周波数(/fc)である。
【0023】
さらに、図5、図6においては、中心周波数fcの波長λcに対し、キャビティ1の底面から給電回路層5までの高さh1と、アンテナ装置全体(キャビティ1の底面からキャビティ3の上面まで)の高さh2と、キャビティ1の高さ(=給電プローブ9と給電プローブ10との距離)hgとを、それぞれ以下のように設定した場合の特性を示している。
【0024】
h1=0.23×λc
h2=0.42×λc
hg=0.04×λc
【0025】
図6において、導体線路層6がない場合(1点鎖線)には、0.85fc以上の周波数に対してリターンロスが増大している。
したがって、図5、図6から明らかなように、導体線路層6がない場合(1点鎖線)には、給電プローブ10の反射特性が劣化していることが分かる。
一方、この発明の実施の形態1(図1〜図4)のように、導体線路層6がある場合(実線)には、反射特性の劣化は抑制されることが分かる。
【0026】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図4)に係るアンテナ装置は、金属導体からなるキャビティ1(第1のキャビティ)と、キャビティ1の上面に導体線路層6を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ2(第2のキャビティ)と、キャビティ2の上面に給電回路層4、5(第1および第2の給電回路層)を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ3(第3のキャビティ)と、を備えている。
【0027】
キャビティ1は、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ2は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔2a(第1の貫通孔)を有し、キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3a(第2の貫通孔)を有する。
【0028】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ2に導通されるとともに、キャビティ2で覆われた部分に給電線路7(第1の給電線路)および給電プローブ9(第1の給電プローブ)を有する。
給電回路層5は、給電回路層4の上面に重ね配置されて、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8(第2の給電線路)および給電プローブ10(第2の給電プローブ)を有する。
【0029】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0030】
導体線路層6は、上層側の給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線6aにより構成されている。
また、キャビティ1の底面から導体線路層6までの高さhg(電気長)は、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hg(電気長)と等しい値に設定されている。
これにより、簡易な給電構造で直交偏波を放射することのできるアンテナ装置を得ることができる。
【0031】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、キャビティ1、導体線路層6およびキャビティ2を、重ね配置して積層構造としたが、各々の側壁を一体構造としてもよい。
また、給電回路層4、5の具体的な構成について言及しなかったが、たとえば図7のように、給電回路層4Aをストリップ線路で構成してもよい。
【0032】
図7はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の給電回路層4Aを示す断面図であり、前述(図1〜図4参照)と同様のものについては、前述と同一符号の後に「A」が付されている。
ここでは、同一構成からなる給電回路層4A、5Aのうち、代表的に給電回路層4Aのみを示すものとする。
【0033】
図7において、給電回路層4Aは、ストリップ線路からなり、ストリップ線路は、給電線路7Aと、給電線路7Aの上下を覆う誘電体12と、誘電体12の上下表面を覆う導体グランド11とにより構成されている。また、給電線路7Aは、エッチングによりパターニングされる。
【0034】
図7と同様に、給電回路層5A(図示せず)もストリップ線路により構成されており、給電線路8A(図示せず)が、図7の誘電体12とは別の誘電体の内部に配置され、別の誘電体の上下表面が、別の導体グランドで覆われている。
【0035】
以上のように、この発明の実施の形態2(図7)によれば、給電回路層4A、5Aが、それぞれストリップ線路で構成されているので、給電線路7A、8Aを、エッチングにより簡単にパターニングすることができ、構成を簡略化することができる。
【0036】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図7)では、給電回路層4A、5Aをストリップ線路で構成したが、たとえば図8のように、給電回路層4B、5Bをサスペンデッド線路で構成してもよい。
【0037】
図8はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の給電回路層4B、5Bを示す断面図であり、前述(図1〜図4参照)と同様のものについては、前述と同一符号の後に「B」が付されている。
【0038】
図8において、給電回路層4B、5Bは、サスペンデッド線路により構成されており、サスペンデッド線路は、誘電体12Bと、誘電体12Bの上下表面に配置された給電線路7B、8Bとにより構成されている。この場合も、給電線路7B、8Bは、エッチングによりパターニングされる。
【0039】
以上のように、この発明の実施の形態3(図8)によれば、給電回路層4B、5Bがサスペンデッド線路で構成されているので、上記実施の形態2と同様に、給電線路7B、8Bを、エッチングにより簡単にパターニングすることができ、構成を簡略化することができる。
【0040】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、キャビティ1とキャビティ2との間に導体線路層6を介在させたが、たとえば図9〜図11のように、キャビティ1、2を一体化して単一のキャビティ1Cとして構成するとともに、導体線路層6に代えて、上面開口部1aの底部にコルゲート13を形成してもよい。
【0041】
図9〜図11はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、各図中、前述(図1〜図4)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
図9は装置全体の分解斜視図、図10は図9のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図、図11は図9のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【0042】
なお、図9においては、コルゲート13を透視し易いように、便宜的にキャビティ1Cを2分割して、積層構造として示している。
また、キャビティ1Cの側壁部と、コルゲート13の形成部とを個別に作成してから一体化してもよく、図9のように重ね配置して積層した後に一体化処理してもよい。
【0043】
図9〜図11において、前述の実施の形態1と異なる点は、前述の導体線路層6を削除したこと、前述の最下部および中央部のキャビティ1、2を一体化してキャビティ1Cとしたこと、ならびに、キャビティ1Cの底部に金属導体からなるコルゲート13を形成したことのみである。
【0044】
すなわち、この発明の実施の形態4(図9〜図11)に係るアンテナ装置は、金属導体からなるキャビティ1C(第1のキャビティ)と、キャビティ1Cの上面に給電回路層4、5を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ3(第2のキャビティ)と、を備えている。
【0045】
キャビティ1Cは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aと、上面開口部1a内の底部に形成された金属導体からなるコルゲート13とを有する。
キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3aを有する。
【0046】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ1Cに導通されるとともに、キャビティ1Cで覆われた部分に給電線路7および給電プローブ9を有する。
給電回路層5は、給電回路層4の上面に重ね配置されて、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8および給電プローブ10を有する。
【0047】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0048】
コルゲート13は、上層側の給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配列された複数枚の金属導体により構成されている。
また、キャビティ1Cの底面からコルゲート13の先端部までの高さhg(電気長)は、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hg(電気長)と等しい値に設定されている。
【0049】
このように、コルゲート13の各金属導体片が給電プローブ10の放射電波の偏波方向(Y軸方向)と同一方向に平行に配列され、かつ給電プローブ間隔hgと同一高さhgに設定されていることから、コルゲート13は、実質的に導体線路層6と同様に作用するので、前述の実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
また、この発明の実施の形態4によれば、導体線路層6およびキャビティ2が不要となるので、部品点数を削減することができる。
【0050】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図9〜図11)では、キャビティ1Cの上面開口部1aの底部にコルゲート13を形成したが、たとえば図12〜図14のように、コルゲート13に代えて、導体板14の突出底部14aをキャビティ1Dの上面開口部1a内に挿入してもよい。
【0051】
図12〜図14はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、図12は装置全体の分解斜視図、図13は図12のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図、図14は図12のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
なお、各図中、前述(図1〜図4)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0052】
図12〜図14において、前述の実施の形態1と異なる点は、前述の最下部および中央部のキャビティ1、2を一体化してキャビティ1Dとしたこと、および、前述の導体線路層6に代えて、突出底部14aを有する導体板14を設け、突出底部14aをキャビティ1Dの上面開口部1a内に挿入したことのみである。
【0053】
すなわち、この発明の実施の形態5(図12〜図14)に係るアンテナ装置は、キャビティ1D(第1のキャビティ)と、キャビティ1Dの上面に、導体板14および給電回路層4、5を介して重ね配置されたキャビティ3(第2のキャビティ)と、を備えている。
【0054】
キャビティ1Dは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3aを有する。
【0055】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ1Dに導通されるとともに、キャビティ1Dで覆われた部分に給電線路7および給電プローブ9を有する。
上層側の給電回路層5は、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8および給電プローブ10を有する。
【0056】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0057】
導体板14は、上面開口部1a内に挿入される突出底部14aを有し、突出底部14aは、給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配列された複数本の金属導体線により構成されている。
【0058】
導体板14は、一体化されたキャビティ1Dと導通するとともに、上部の給電線路7のグランド部とも導通している。
また、キャビティ1Dの底面から突出底部14aまでの高さhgは、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hgと等しい値に設定されている。
【0059】
このように、最下部および中央部の2つのキャビティを一体化して、単一のキャビティ1Dで構成するとともに、前述の導体線路層6に代えて、Y軸方向の並行導体線構造からなる突出底部14aを上面開口部1a内に挿入し、導体板14を、給電回路層4のグランド部およびキャビティ1Dと導通させることにより、前述と同様の効果を奏することができる。
【0060】
また、この発明の実施の形態5によれば、一体化されたキャビティ1D上に導体板14を配置する構成なので、前述の実施の形態4と同様に、導体線路層6およびキャビティ2が不要となり、部品点数を削減して構成を簡略化することができる。
【0061】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態1〜5(図1〜図14)では、単体のアンテナ装置について説明したが、任意のアンテナ装置を複数配列して、図15および図16のようにアレーアンテナ装置を構成してもよい。
【0062】
図15はこの発明の実施の形態6に係るアレーアンテナ装置を示す斜視図、図16は図15のアレーアンテナ装置の平面透視図であり、代表的に、前述の実施の形態1(図1〜図4)のアンテナ装置を複数個配列した場合を示しており、前述と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
なお、ここでは、2×4(=8)個のアンテナ装置を平面的に配列した例を示しているが、アンテナ装置の配列数は任意に設定され得る。
【0063】
図15、図16において、前述(図1〜図14)のアンテナ装置は、平面的にマトリクス状に配列され、伝送線路15、16を介して結線されることにより、アレーアンテナ装置を構成している。
【0064】
図15、図16のように、キャビティ2の上層側に、パターニングされた給電回路層4、5を配置し、さらに給電回路層4、5の上層側にキャビティ3を配置することにより、容易にアレーアンテナ装置を構成することが可能となる。
また、図15、図16のようにアレー化することにより、高指向性利得を得ることができる。
さらに、それぞれのアンテナ装置に給電する位相を制御することにより、任意形状のビームを形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1、1C、1D キャビティ(第1のキャビティ)、1a 上面開口部、2 キャビティ(第2のキャビティ)、2a 貫通孔(第1の貫通孔)、3 キャビティ(第2のキャビティ、第3のキャビティ)、3a 貫通孔(第2の貫通孔)、4、4A、4B 給電回路層(第1の給電回路層)、5、5A 給電回路層(第2の給電回路層)、6a 金属導体線、6 導体線路層、7、7A、7B 給電線路(第1の給電線路)、7a 分岐部、8、8A 給電線路(第2の給電線路)、9 給電プローブ(第1の給電プローブ)、10 給電プローブ(第2の給電プローブ)、11 導体グランド、12、12B 誘電体、13 コルゲート、14 導体板、14a 突出底部、15、16 伝送線路、hg 給電プローブの間隔。
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば航空機に搭載されて、衛星通信および地上通信などに用いられる方形ホーンアンテナを構成するアンテナ装置、およびアレーアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アンテナを航空機などに搭載する場合、積載スペース、積載重量が制限されるため、アンテナは小型で、かつ軽量であることが求められる。
従来の衛星搭載用のアレーアンテナの例として、ホーンアンテナが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、アンテナには直交偏波を共用とすることを求められる場合があり、この場合、アンテナ間の結合を低減させることが重要となる。
そこで、2つの矩形ホーンアンテナを交差させて上下に配置することにより、アンテナ間の結合を低減させる技術が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−76761号公報
【特許文献2】US 2007/0085744 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のアンテナ装置の場合には、複雑な構造を有する部品を多数重ねているので、製造コストおよび製造工程が増大するという課題があった。
2つのアンテナ間の結合を低減させる方法として、偏波ごとに給電プローブを2つ用意し、互いに逆相給電するという方法がある。
この場合、偏波ごとの給電プローブを同一平面上に構成する必要があり、給電回路が物理的に干渉する。これを回避するためには、給電プローブをそれぞれ別層に構成する必要があるが、一方の給電プローブがアンテナ底面からの高さが変わることになり、反射特性が劣化するという問題が発生する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な給電構造で直交偏波を放射することのできるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るアンテナ装置は、金属導体からなる第1のキャビティと、第1のキャビティの上面に導体線路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、第2のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第3のキャビティと、を備えたアンテナ装置であって、
第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、第2のキャビティは、上面開口部と対向する位置に、上面開口部と同一形状または相似形状の第1の貫通孔を有し、第3のキャビティは、上面開口部と対向する位置に、上面開口部と同一形状または相似形状の第2の貫通孔を有し、
第1の給電回路層は、グランド部が第2のキャビティに導通されるとともに、第2のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
第2の給電回路層は、第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が第3のキャビティに導通されるとともに、第3のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
第1および第2の給電プローブは、上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部から延長した第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
導体線路層は、第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線により構成され、
第1のキャビティの底面から導体線路層までの高さは、第1の給電プローブと第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、簡易な給電構成で直交偏波共用アンテナ装置およびアレーアンテナ装置を得ることができ、製造コストの削減、製造工程の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1内のA−A線による断面図である。
【図4】図1内のB−B線による断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1による効果を示すスミスチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1によるリターンロスを示す特性図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるストリップ線路を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるサスペンデッド線路を示す断面図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図10】図9のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図である。
【図11】図9のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図13】図12のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図である。
【図14】図12のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【図15】この発明の実施の形態6に係るアレーアンテナ装置の外観を示す斜視図である。
【図16】図15のアレーアンテナ装置を上面から見た平面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
図1〜図4はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、図1は装置全体の外観を示す斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1内のA−A線(Y−Z平面)による断面図、図4は図1内のB−B線(Z−X平面)による断面図である。なお、各図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
【0011】
図1〜図4において、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置は、金属導体により構成された方形筒状のキャビティ1、2、3と、キャビティ2とキャビティ3との間に介在された給電回路層4、5と、キャビティ1とキャビティ2との間に介在された導体線路層6と、給電回路層4、5内に個別に配設された給電線路7、8と、給電線路7、8により個別に給電される給電プローブ9、10とを備えている。
【0012】
キャビティ1は、正方形の底面と正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ2、3は、上下開口面を有する。
また、キャビティ1の上層側に位置するキャビティ2、3は、キャビティ1の上面開口部1aと同一形状(または、相似形状)で上下面を貫通する貫通孔2a、3aを有している。なお、キャビティ2、3は、一般的なホーンアンテナのように、キャビティ1から順次にテーパ状に広がっていく形状を有していてもよい。
【0013】
給電プローブ9の上層に位置する給電プローブ10は、給電プローブ9の配設方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に配置されている。
また、導体線路層6は、給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)に対して平行(給電プローブ9が放射する偏波方向に対して直角)に配置された複数本の金属導体線6aにより構成されている。
【0014】
重ね配置された給電回路層4、5内の各給電プローブ9、10は、キャビティ1〜3の開口面に位置している。
また、給電回路層4のグランド部は、下層側のキャビティ2と導通し、給電回路層5のグランド部は、上層側のキャビティ3と導通している。
【0015】
給電プローブ9は、キャビティ1の底面からの高さがλg/4(λgは、キャビティ内部での波長)となるように設置されている。これにより、給電プローブ9から上方に放射する電波と、下方に放射されてキャビティ1の底面で反射された電波とが、同位相で合成され、給電構造で良好な反射特性が得られる。
【0016】
給電プローブ9、10は、図2に示すように、それぞれ1対の素子により構成されており、1対の素子において互いに逆相励振される。
したがって、各給電プローブ9、10(1対の素子)に給電するための給電線路7、8は、図2のように、分岐部7a、8aからの長さが異なって給電されるように形成されている。すなわち、給電線路7、8の分岐部7a、8aからの各給電プローブ9、10(1対の素子)までの長さは、一方の素子までの長さと他方の素子まで長さとの位相差が、約180度となるように設定されている。
【0017】
次に、図5および図6を参照しながら、図1〜図4に示したこの実施の形態1に係るアンテナ装置の動作について説明する。
なお、ここでは、送信用のアンテナ装置として説明するが、可逆性の原理から、受信用のアンテナ装置として適用することも可能である。
【0018】
まず、給電線路7から入力された電力が給電プローブ9に給電されると、給電プローブ9を構成する1対の素子からは、X軸方向を主偏波とする電波が放射される。
このとき、キャビティ1の底面から給電プローブ9までの高さは、λg/4に設定されているので、良好な反射特性が得られる。
【0019】
また、導体線路層6は、給電プローブ9からの放射電波の偏波方向(X軸方向)に対して直行する方向(Y軸方向)に配置されているので、導体線路層6によってアンテナ装置の反射特性が変化することはない。
【0020】
一方、給電線路8から入力された電力が給電プローブ10に給電されると、給電プローブ10を構成する1対の素子からは、Y軸方向を主偏波とする電波が放射される。
このとき、キャビティ1の底面から給電プローブ10までの高さは、キャビティ1の底面から給電プローブ9までの高さλg/4よりもhgだけ高くなるので、λg/4+hgとなる。
【0021】
これにより、キャビティ1の底面から給電プローブ10までの高さがλg/4からずれるので、通常は反射特性が劣化することになる。
しかし、前述のように、導体線路層6がY軸方向に配置されているので、給電プローブ10から放射された電波は、導体線路層6で反射し、キャビティ1の底面から高さhgだけ底上げされたのと同等の動作を得ることができる。
したがって、給電プローブ10に対しても、良好な反射特性を得ることができる。
【0022】
図5は給電プローブ9、10の反射特性を示すスミスチャートであり、図6は周波数に対するリターンロス(dB)を示す特性図である。
図5および図6において、この発明の実施の形態1による特性曲線(実線)と比較するために、導体線路層6が無い場合の特性曲線(1点鎖線)を対比して示している。
また、図6において、横軸は中心周波数fcで正規化された周波数(/fc)である。
【0023】
さらに、図5、図6においては、中心周波数fcの波長λcに対し、キャビティ1の底面から給電回路層5までの高さh1と、アンテナ装置全体(キャビティ1の底面からキャビティ3の上面まで)の高さh2と、キャビティ1の高さ(=給電プローブ9と給電プローブ10との距離)hgとを、それぞれ以下のように設定した場合の特性を示している。
【0024】
h1=0.23×λc
h2=0.42×λc
hg=0.04×λc
【0025】
図6において、導体線路層6がない場合(1点鎖線)には、0.85fc以上の周波数に対してリターンロスが増大している。
したがって、図5、図6から明らかなように、導体線路層6がない場合(1点鎖線)には、給電プローブ10の反射特性が劣化していることが分かる。
一方、この発明の実施の形態1(図1〜図4)のように、導体線路層6がある場合(実線)には、反射特性の劣化は抑制されることが分かる。
【0026】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1〜図4)に係るアンテナ装置は、金属導体からなるキャビティ1(第1のキャビティ)と、キャビティ1の上面に導体線路層6を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ2(第2のキャビティ)と、キャビティ2の上面に給電回路層4、5(第1および第2の給電回路層)を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ3(第3のキャビティ)と、を備えている。
【0027】
キャビティ1は、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ2は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔2a(第1の貫通孔)を有し、キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3a(第2の貫通孔)を有する。
【0028】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ2に導通されるとともに、キャビティ2で覆われた部分に給電線路7(第1の給電線路)および給電プローブ9(第1の給電プローブ)を有する。
給電回路層5は、給電回路層4の上面に重ね配置されて、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8(第2の給電線路)および給電プローブ10(第2の給電プローブ)を有する。
【0029】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0030】
導体線路層6は、上層側の給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線6aにより構成されている。
また、キャビティ1の底面から導体線路層6までの高さhg(電気長)は、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hg(電気長)と等しい値に設定されている。
これにより、簡易な給電構造で直交偏波を放射することのできるアンテナ装置を得ることができる。
【0031】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、キャビティ1、導体線路層6およびキャビティ2を、重ね配置して積層構造としたが、各々の側壁を一体構造としてもよい。
また、給電回路層4、5の具体的な構成について言及しなかったが、たとえば図7のように、給電回路層4Aをストリップ線路で構成してもよい。
【0032】
図7はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の給電回路層4Aを示す断面図であり、前述(図1〜図4参照)と同様のものについては、前述と同一符号の後に「A」が付されている。
ここでは、同一構成からなる給電回路層4A、5Aのうち、代表的に給電回路層4Aのみを示すものとする。
【0033】
図7において、給電回路層4Aは、ストリップ線路からなり、ストリップ線路は、給電線路7Aと、給電線路7Aの上下を覆う誘電体12と、誘電体12の上下表面を覆う導体グランド11とにより構成されている。また、給電線路7Aは、エッチングによりパターニングされる。
【0034】
図7と同様に、給電回路層5A(図示せず)もストリップ線路により構成されており、給電線路8A(図示せず)が、図7の誘電体12とは別の誘電体の内部に配置され、別の誘電体の上下表面が、別の導体グランドで覆われている。
【0035】
以上のように、この発明の実施の形態2(図7)によれば、給電回路層4A、5Aが、それぞれストリップ線路で構成されているので、給電線路7A、8Aを、エッチングにより簡単にパターニングすることができ、構成を簡略化することができる。
【0036】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態2(図7)では、給電回路層4A、5Aをストリップ線路で構成したが、たとえば図8のように、給電回路層4B、5Bをサスペンデッド線路で構成してもよい。
【0037】
図8はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の給電回路層4B、5Bを示す断面図であり、前述(図1〜図4参照)と同様のものについては、前述と同一符号の後に「B」が付されている。
【0038】
図8において、給電回路層4B、5Bは、サスペンデッド線路により構成されており、サスペンデッド線路は、誘電体12Bと、誘電体12Bの上下表面に配置された給電線路7B、8Bとにより構成されている。この場合も、給電線路7B、8Bは、エッチングによりパターニングされる。
【0039】
以上のように、この発明の実施の形態3(図8)によれば、給電回路層4B、5Bがサスペンデッド線路で構成されているので、上記実施の形態2と同様に、給電線路7B、8Bを、エッチングにより簡単にパターニングすることができ、構成を簡略化することができる。
【0040】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1(図1〜図4)では、キャビティ1とキャビティ2との間に導体線路層6を介在させたが、たとえば図9〜図11のように、キャビティ1、2を一体化して単一のキャビティ1Cとして構成するとともに、導体線路層6に代えて、上面開口部1aの底部にコルゲート13を形成してもよい。
【0041】
図9〜図11はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、各図中、前述(図1〜図4)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
図9は装置全体の分解斜視図、図10は図9のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図、図11は図9のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
【0042】
なお、図9においては、コルゲート13を透視し易いように、便宜的にキャビティ1Cを2分割して、積層構造として示している。
また、キャビティ1Cの側壁部と、コルゲート13の形成部とを個別に作成してから一体化してもよく、図9のように重ね配置して積層した後に一体化処理してもよい。
【0043】
図9〜図11において、前述の実施の形態1と異なる点は、前述の導体線路層6を削除したこと、前述の最下部および中央部のキャビティ1、2を一体化してキャビティ1Cとしたこと、ならびに、キャビティ1Cの底部に金属導体からなるコルゲート13を形成したことのみである。
【0044】
すなわち、この発明の実施の形態4(図9〜図11)に係るアンテナ装置は、金属導体からなるキャビティ1C(第1のキャビティ)と、キャビティ1Cの上面に給電回路層4、5を介して重ね配置された金属導体からなるキャビティ3(第2のキャビティ)と、を備えている。
【0045】
キャビティ1Cは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aと、上面開口部1a内の底部に形成された金属導体からなるコルゲート13とを有する。
キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3aを有する。
【0046】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ1Cに導通されるとともに、キャビティ1Cで覆われた部分に給電線路7および給電プローブ9を有する。
給電回路層5は、給電回路層4の上面に重ね配置されて、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8および給電プローブ10を有する。
【0047】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0048】
コルゲート13は、上層側の給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配列された複数枚の金属導体により構成されている。
また、キャビティ1Cの底面からコルゲート13の先端部までの高さhg(電気長)は、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hg(電気長)と等しい値に設定されている。
【0049】
このように、コルゲート13の各金属導体片が給電プローブ10の放射電波の偏波方向(Y軸方向)と同一方向に平行に配列され、かつ給電プローブ間隔hgと同一高さhgに設定されていることから、コルゲート13は、実質的に導体線路層6と同様に作用するので、前述の実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
また、この発明の実施の形態4によれば、導体線路層6およびキャビティ2が不要となるので、部品点数を削減することができる。
【0050】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4(図9〜図11)では、キャビティ1Cの上面開口部1aの底部にコルゲート13を形成したが、たとえば図12〜図14のように、コルゲート13に代えて、導体板14の突出底部14aをキャビティ1Dの上面開口部1a内に挿入してもよい。
【0051】
図12〜図14はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置(方形ホーンアンテナ装置)を示しており、図12は装置全体の分解斜視図、図13は図12のアンテナ装置のY−Z平面(図1内のA−A線に対応)による断面図、図14は図12のアンテナ装置のZ−X平面(図1内のB−B線に対応)による断面図である。
なお、各図中、前述(図1〜図4)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
【0052】
図12〜図14において、前述の実施の形態1と異なる点は、前述の最下部および中央部のキャビティ1、2を一体化してキャビティ1Dとしたこと、および、前述の導体線路層6に代えて、突出底部14aを有する導体板14を設け、突出底部14aをキャビティ1Dの上面開口部1a内に挿入したことのみである。
【0053】
すなわち、この発明の実施の形態5(図12〜図14)に係るアンテナ装置は、キャビティ1D(第1のキャビティ)と、キャビティ1Dの上面に、導体板14および給電回路層4、5を介して重ね配置されたキャビティ3(第2のキャビティ)と、を備えている。
【0054】
キャビティ1Dは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部1aとを有し、キャビティ3は、上面開口部1aと対向する位置に、上面開口部1aと同一形状または相似形状の貫通孔3aを有する。
【0055】
給電回路層4は、グランド部がキャビティ1Dに導通されるとともに、キャビティ1Dで覆われた部分に給電線路7および給電プローブ9を有する。
上層側の給電回路層5は、グランド部がキャビティ3に導通されるとともに、キャビティ3で覆われた部分に給電線路8および給電プローブ10を有する。
【0056】
給電線路7、8は、それぞれ分岐部7a、8aを有する。
給電プローブ9、10は、上面開口部1aと対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、分岐部7a、8aから延長した給電線路7、8の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成されている。
【0057】
導体板14は、上面開口部1a内に挿入される突出底部14aを有し、突出底部14aは、給電プローブ10が放射する偏波方向(Y軸方向)と同一方向に並行に配列された複数本の金属導体線により構成されている。
【0058】
導体板14は、一体化されたキャビティ1Dと導通するとともに、上部の給電線路7のグランド部とも導通している。
また、キャビティ1Dの底面から突出底部14aまでの高さhgは、給電プローブ9と給電プローブ10との間隔hgと等しい値に設定されている。
【0059】
このように、最下部および中央部の2つのキャビティを一体化して、単一のキャビティ1Dで構成するとともに、前述の導体線路層6に代えて、Y軸方向の並行導体線構造からなる突出底部14aを上面開口部1a内に挿入し、導体板14を、給電回路層4のグランド部およびキャビティ1Dと導通させることにより、前述と同様の効果を奏することができる。
【0060】
また、この発明の実施の形態5によれば、一体化されたキャビティ1D上に導体板14を配置する構成なので、前述の実施の形態4と同様に、導体線路層6およびキャビティ2が不要となり、部品点数を削減して構成を簡略化することができる。
【0061】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態1〜5(図1〜図14)では、単体のアンテナ装置について説明したが、任意のアンテナ装置を複数配列して、図15および図16のようにアレーアンテナ装置を構成してもよい。
【0062】
図15はこの発明の実施の形態6に係るアレーアンテナ装置を示す斜視図、図16は図15のアレーアンテナ装置の平面透視図であり、代表的に、前述の実施の形態1(図1〜図4)のアンテナ装置を複数個配列した場合を示しており、前述と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
なお、ここでは、2×4(=8)個のアンテナ装置を平面的に配列した例を示しているが、アンテナ装置の配列数は任意に設定され得る。
【0063】
図15、図16において、前述(図1〜図14)のアンテナ装置は、平面的にマトリクス状に配列され、伝送線路15、16を介して結線されることにより、アレーアンテナ装置を構成している。
【0064】
図15、図16のように、キャビティ2の上層側に、パターニングされた給電回路層4、5を配置し、さらに給電回路層4、5の上層側にキャビティ3を配置することにより、容易にアレーアンテナ装置を構成することが可能となる。
また、図15、図16のようにアレー化することにより、高指向性利得を得ることができる。
さらに、それぞれのアンテナ装置に給電する位相を制御することにより、任意形状のビームを形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1、1C、1D キャビティ(第1のキャビティ)、1a 上面開口部、2 キャビティ(第2のキャビティ)、2a 貫通孔(第1の貫通孔)、3 キャビティ(第2のキャビティ、第3のキャビティ)、3a 貫通孔(第2の貫通孔)、4、4A、4B 給電回路層(第1の給電回路層)、5、5A 給電回路層(第2の給電回路層)、6a 金属導体線、6 導体線路層、7、7A、7B 給電線路(第1の給電線路)、7a 分岐部、8、8A 給電線路(第2の給電線路)、9 給電プローブ(第1の給電プローブ)、10 給電プローブ(第2の給電プローブ)、11 導体グランド、12、12B 誘電体、13 コルゲート、14 導体板、14a 突出底部、15、16 伝送線路、hg 給電プローブの間隔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に導体線路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
前記第2のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第3のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の第1の貫通孔を有し、
前記第3のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の第2の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第3のキャビティに導通されるとともに、前記第3のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記導体線路層は、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記導体線路層までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1および第2の給電回路層は、前記第1および第2の給電線路がそれぞれ個別の誘電体の内部に配置され、前記誘電体の上下表面が導体グランドで覆われたストリップ線路により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1および第2の給電回路層は、前記第1および第2の給電線路が誘電体の上下表面に配置されたサスペンデッド線路により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部と、前記上面開口部内の底部に形成された金属導体からなるコルゲートとを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記第1のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記コルゲートは、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配列された複数枚の金属導体により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記コルゲートの先端部までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に、導体板、第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記第1のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記導体板は、前記第1の給電回路層のグランド部および前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記上面開口部内に挿入される突出底部を有し、
前記突出底部は、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配列された複数本の金属導体線により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記突出底部までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置が複数配列されて構成されたことを特徴とするアレーアンテナ装置。
【請求項1】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に導体線路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
前記第2のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第3のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の第1の貫通孔を有し、
前記第3のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の第2の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第3のキャビティに導通されるとともに、前記第3のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記導体線路層は、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配置された複数本の金属導体線により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記導体線路層までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1および第2の給電回路層は、前記第1および第2の給電線路がそれぞれ個別の誘電体の内部に配置され、前記誘電体の上下表面が導体グランドで覆われたストリップ線路により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1および第2の給電回路層は、前記第1および第2の給電線路が誘電体の上下表面に配置されたサスペンデッド線路により構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部と、前記上面開口部内の底部に形成された金属導体からなるコルゲートとを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記第1のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記コルゲートは、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配列された複数枚の金属導体により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記コルゲートの先端部までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
金属導体からなる第1のキャビティと、
前記第1のキャビティの上面に、導体板、第1および第2の給電回路層を介して重ね配置された金属導体からなる第2のキャビティと、
を備えたアンテナ装置であって、
前記第1のキャビティは、正方形の底面と、空間に開放された正方形の上面開口部とを有し、
前記第2のキャビティは、前記上面開口部と対向する位置に、前記上面開口部と同一形状または相似形状の貫通孔を有し、
前記第1の給電回路層は、グランド部が前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記第1のキャビティで覆われた部分に第1の給電線路および第1の給電プローブを有し、
前記第2の給電回路層は、前記第1の給電回路層の上面に重ね配置されて、グランド部が前記第2のキャビティに導通されるとともに、前記第2のキャビティで覆われた部分に第2の給電線路および第2の給電プローブを有し、
前記第1および第2の給電線路は、それぞれ分岐部を有し、
前記第1および第2の給電プローブは、前記上面開口部と対向する位置に配置され、かつ互いに直行するように形成されるとともに、それぞれ、前記分岐部から延長した前記第1および第2の給電線路の各先端部で対向配置されて互いに逆相で給電される1対の素子により構成され、
前記導体板は、前記第1の給電回路層のグランド部および前記第1のキャビティに導通されるとともに、前記上面開口部内に挿入される突出底部を有し、
前記突出底部は、前記第2の給電プローブが放射する偏波方向と同一方向に並行に配列された複数本の金属導体線により構成され、
前記第1のキャビティの底面から前記突出底部までの高さは、前記第1の給電プローブと前記第2の給電プローブとの間隔と等しい値に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置が複数配列されて構成されたことを特徴とするアレーアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−199499(P2011−199499A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62840(P2010−62840)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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