説明

アンドロゲン調節剤

【課題】脱毛症患者に対して美容的に許容可能な発毛をより速くもたらすことのできる化合物のための技術の提供。
【解決手段】新規のベンゾニトリル類がアンドロゲン受容体調節剤として作用し、皮脂の過剰な分泌を減らし、かつ、発毛を促す。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、新規のベンゾニトリル誘導体およびアンドロゲン受容体調節剤としてのそれらの使用に関する。本発明の他の側面は、皮脂の分泌を減らし、かつ、発毛を促すこれらの化合物の使用に向けられている。
【発明の背景】
【0002】
脱毛症または禿げは医学がまだこれから解決していかなければならない共通の課題である。アンドロゲンは禿げに関係しているが、この抜け毛が生じる生理的なメカニズムは知られていない。しかしながら、脱毛症で悩む人たちの中で発毛が改善されることが知られている。
【0003】
髪は絶えず成長し続けるのではなく、成長、休止、および抜け落ちの期間からなる活動周期を経ている。人間の頭皮は、一般的に100,000から350,000の毛髪繊維または毛幹を含んでおり、3つの異なる段階で変質を受ける:
(a)成長段階(成長期)では、毛包(すなわち、毛根)は、髪の主成分であるケラチンの合成過程において、急速に毛包細胞の分裂および分化を起こしながら真皮深くに浸透していく。禿げていない人では、この成長期は1〜5年続く;
(b)移行段階(退行期)は、有糸分裂の休止によって特徴づけられ、2〜3週間続く;および
(c)休止段階(休止期)においては、髪は、髪が頭皮下部からの新しい毛包の成長によって生え替わるまでの12週間までの間、頭皮内部に保持される。
【0004】
人間の中では、この成長周期は一致しない。個人では、これら3つの段階のそれぞれで何千もの毛包を持つ。しかし、毛包のほとんどは成長期に存在する。健康な若い成人では、成長期と休止期の比は9対1にもなりうる。脱毛症の人たちにおいては、この比は2対1まで低下する。
【0005】
アンドロゲン性脱毛症は、循環アンドロゲンホルモンへの遺伝的な感受性の活性化によって生じる。それは最も一般的なタイプの脱毛症である。それは、主として白人系において、男性(50%)と女性(30%)の両方に影響を及ぼしている。早い時期に、毛幹の幅と長さの段階的な変化を、時が経つにつれそして年を重ねるにつれて実感してくる。末期の髪は徐々に、短く、か細く、無色の産毛に生え替わっていく。結果として、20代の男性および30代と40代の女性は、髪がだんだん細く、短くなってきていることに気づき始める。男性では、抜け毛のほとんどは頭頂部で起こる。女性は、頭皮全体にわたって薄くなっていることを実感する。上記のように、休止期に対する成長期の比は著しく低下し、結果として発毛低下を招く。
【0006】
ミノキシジル(カリウムチャンネル開口薬)は発毛を促進する。ミノキシジルは、米国において商標名、ロゲイン(登録商標)として市販されている。ミノキシジルの作用の正確なメカニズムは分かっていないが、ミノキシジルの発毛周期ヘの影響はよく報道されている。ミノキシジルは毛包の成長を促進し、毛包が成長期にある期間を延ばす(すなわち、休止期に対する成長期の比を増やす)。
【0007】
ミノキシジルは発毛を促進するが、この発毛の審美的効果はばらつきが大きいと考えられる。たとえば、Roenigkは、ミノキシジル3%の局所用溶液を19ヶ月間使用した83人の男性に関する臨床試験結果を報告した。被験者の55%に発毛が見られた。しかしながら、その発毛が美容的に適切であると考える被験者はわずか20%に過ぎなかった。(Clin. Res., 33, No.4, 914A, 1985)。Tostiは、彼の被験者のうちの18.1%に美容的に許容可能な再成長が見られたと報告した。(Dermatologica, 173,No.3, 136−138,1986)。したがって、脱毛症患者に対して美容的に許容可能な発毛をより速くもたらすことのできる化合物のための技術が必要となる。
【発明の要旨】
【0008】
本発明に従って、新規のアンドロゲン調節剤が見出された。これらの化合物、それらの塩、溶媒和物、およびそれらのプロドラッグは、下記の式Iで表される:
【0009】
【化1】

[式中;
a)Xは、ハロゲン、シアノ、NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはハロアルキルを表し;
b)Xは、水素、ハロゲン、シアノ、NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはハロアルキルを表し;
c)Aは、次式iまたはiiを表し;
【0010】
【化2】

d)Qは、非置換または次のi)〜vii)からそれぞれ独立に選択された1つ以上の基で置換されていてもよいC〜Cアルキレン基を表し:
i)置換されていてもよいC〜Cアルキル;
ii)置換されていてもよいC〜Cアルケニル;
iii)置換されていてもよいC〜Cアルキニル;
iv)置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;
v)−(C〜C)アルキル(C〜C10)アリール(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);
vi)−(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);および
vii)置換されていてもよいC〜Cアルコキシ;
e)R、R、R、RおよびRは、互いに独立して、次のi)〜xxiv)からなる群より選択された置換基を表し:
i)水素;
ii)ハロゲン;
iii)ヒドロキシル;
iv)アミノ;
v)ニトロ;
vi)シアノ;
vii)置換されていてもよい(C〜C12)アルキル;
viii)置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ;
ix)置換されていてもよい(C〜C)シクロアルコキシ;
x)置換されていてもよい(C〜C)ハロアルキル;
xi)置換されていてもよい(C〜C12)アルケニル;
xii)置換されていてもよい(C〜C12)アルキニル;
xiii)置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル;
xiv)置換されていてもよい(C〜C10)アリール;
xv)(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xvi)置換されていてもよいヘテロアリール;
xvii)ヘテロアリール(C〜C12)アルキル(ここで、ヘテロアリールおよびアルキル部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xviii)置換されていてもよい、−O−複素環;
xiv)複素環(C〜C12)アルキル−O−(ここで、アルキルおよび複素環部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xx)−CO
xxi)−O−COR
xxii)−CONHR
xxiii)−NCOR;および
xxiv)−O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル;並びに
f)Rは、独立に水素またはC〜Cアルキルを表す;
但し、Aが式iを表す場合には、XまたはXはハロゲンであり、Qはメチレン、エチレンまたはn−プロピレンであり、Aは、
【0011】
【化3】

ではなく、かつRは、シアノ、臭素、アルキニル、またはハロゲンのいずれでもない。
【0012】
1つの態様において、Qはメチレン、エチレンおよびプロピレンから選択される。あるいは、Qはメチレンであってもよい。1つの態様において、Xは水素である。別の態様において、XまたはXの1つはハロアルキルである。さらに別の態様では、該ハロアルキルはトリフルオロメチルである。別の態様において、Rはヒドロキシを表す。さらに別の態様では、R、R、R、RおよびRのそれぞれはHである。あるいは、Aはフェニルであってもよく、その場合、Qはメチレン、エチレンおよびプロピレンから選択され、かつ、R、R、R、RおよびRのうちの1つはヒドロキシである。あるいは、Aはピリジニルであってもよく、その場合、Qはメチレン、エチレンおよびプロピレンから選択され、R、R、R、およびRのうちの1つはヒドロキシルである。
【0013】
本発明の代表的な化合物としては、以下のものが挙げられる:
4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
(S)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
(R)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[1−(2−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−t−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[(3−ヒドロキシベンジル)オキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(−)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(+)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(+)4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル。
【0014】
本発明は、また、本発明の化合物の医薬としての使用も含む。別の態様において、本発明は、アンドロゲン受容体の活性化を抑制する医薬品の製造における化合物の使用に関する。別の態様では、本発明は、ホルモン依存性癌、良性前立腺過形成、にきび、多毛、皮脂過剰、脱毛症、月経前症候群、肺癌、思春期早発症、骨粗鬆症、性腺機能低下症、加齢による筋肉量低下、および貧血症からなる群より選択される症状を緩和する医薬品の製造における本発明に従った化合物の使用を含む。
【0015】
さらに、本発明には、1つ以上の医薬的に許容しうる賦形剤と混合した本発明の化合物を含む医薬組成物が含まれる。式Iの化合物は、皮膚塗布に好適な1つ以上の医薬的に許容しうる賦形剤と混合した局所用医薬製剤として調製することができる。式Iの化合物は、小売り流通用にパッケージされた製品として調製することができ、にきび、脱毛症、および油性肌からなる群より選択される症状を緩和する化合物の使用方法を消費者に知らせることができる。
【0016】
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体調節剤である。該化合物は、アンドロゲン受容体に対する親和性があり、受容体と結合して生物学的効果を引き起こす。一般的に、該化合物は拮抗薬として作用する。選ばれた態様においては、それらは、部分アゴニスト、完全アゴニスト、または組織選択的アゴニストとして作用する。アンドロゲン受容体調節剤として、該化合物は該アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関係する症状を、治療または緩和するために用いることができる。拮抗薬に対する症状の例としては、限定はされないが、過剰皮脂分泌、男性ホルモン性脱毛症、前立腺癌などのホルモン依存性癌、および多毛が挙げられる。部分アゴニスト、または完全アゴニストである該化合物は、骨粗鬆症、性腺機能低下症、貧血症の治療用、または、特に消耗性疾患時における筋肉量の増加を促すために用いることができる。
【0017】
本発明はまた、該アンドロゲン受容体の活性化を調節するのに有効な量の該化合物を少なくとも1つ含有する医薬組成物にも関する。さらなる態様では、本発明は、該アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関係する症状を緩和する該化合物の使用方法を消費者に知らせる使用説明書を付けて、小売り流通用にパッケージされた、該化合物を少なくとも1つ含有する製品に関する。さらに別の態様は、該アンドロゲン受容体の不適切な活性化を検知する診断試薬としての化合物の用途に関する。
【0018】
さらなる態様では、該化合物は、発毛を誘発および/または促し、および/または抜け毛を抑えるために局所的に用いられる。該化合物は、皮脂過剰および/またはにきびの治療用にも局所的に用いることができる。
【0019】
さらなる態様においては、該化合物は、牛、豚、鶏、魚などの家畜に用いることができる。該化合物は、動物の成長速度を高め、脂肪に対する赤身の割合を増やし、飼料効率を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本文書中の見出しは、読者によるレビューがはかどるように用いたにすぎない。いずれにせよ、これらは本発明または請求の範囲を限定的に解釈するものではない。
【0021】
定義と例示
特に指示がない限り、請求の範囲を含む本出願を通して用いられる次に示す用語の意味を以下のように定義する。複数および単数は、数字の表示を除いて、交換可能であるとして扱われるべきである。
【0022】
a.「ハロゲン」とは、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子または臭素原子を表す。
【0023】
b.「C〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチルなどの炭素数1〜6の分岐状または直鎖状のアルキル基を表す。
【0024】
c.「置換されていてもよいC〜Cアルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチルなどの、炭素数1〜6の分岐状または直鎖状のアルキル基を表す。このようなアルキル基は、6個までの水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、およびNR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、水素またはC〜Cアルキルを表す)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。
【0025】
d.「置換されていてもよいC〜C12アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、デシルなどの、炭素数1〜12の分岐状または直鎖状のアルキル基を表す。このようなアルキル基は、8個までの水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、およびNR(ここで、RおよびRは、互いに独立して、上記の定義を表す)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。
【0026】
e.「C〜Cアルキレン」とは、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、ペンチレンなどの、炭素数1〜6の二価の直鎖状アルキルラジカルを表す。
【0027】
f.「C〜Cアルケニル」とは、2〜6個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状炭化水素基を表す。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニル、1−ヘキセニル、1,3−オクタジエニルなどが挙げられる。
【0028】
g.「置換されていてもよいC〜Cアルケニル」とは、2〜6個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。このようなアルケニル基は、8個までの水素原子が、化学的に許される範囲で、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、およびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。「置換されたC〜Cアルケニル基」の例としては、限定はされないが、プロペン−2−オール、プロパ−2−エン−1−オール、5−フロロ−ペンタ−2−エン−3−オール、および5−フロロ−ヘキサ−2,5−ジエン−3−オールが挙げられる。
【0029】
h.「C〜C12アルケニル」とは、2〜12個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。用語「C〜C12アルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する2〜12個の任意の数の炭素原子を包含する。C〜C12アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニル、1−ヘキセニル、1,3−オクタジエニルなどが挙げられる。
【0030】
i.「置換されていてもよいC〜C12アルケニル」とは、2〜12個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。このようなアルケニル基は、8個までの水素原子が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、チオール、シアノ、およびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。置換されたC〜C12アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、1,4−ブタジエニル、1−ヘキセニル、1,3−オクタジエニルなどが挙げられる。置換されたアルケニル基の例としては、限定はされないが、1−プロピル−ヘキサ−3,5−ジエニルアミン、7−アミノ−ヘプタ−5−エン−3−オール、5−フルオロメチル−ヘプタ−2−エニルアミンなどが挙げられる。
【0031】
j.「C〜Cアルキニル」とは、2〜6個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、オクチニルなどが挙げられる。このようなアルキニル基は、8個までの水素原子が、化学的に許される範囲で、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。
【0032】
k.「置換されていてもよいC〜Cアルキニル」とは、2〜6個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、オクチニルなどが挙げられる。このようなアルキニル基は、8個までの水素原子が、化学的に許される範囲で、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。置換されたC〜Cアルキニル基の例としては、限定はされないが、4−クロロ−ヘキサ−2−イン、および5−フルオロメチル−ヘプタ−2−エニルアミンが挙げられる。
【0033】
l.「置換されていてもよいC〜C12アルキニル」とは、2〜12個の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を表す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、オクチニルなどが挙げられる。このようなアルキニル基は、8個までの水素原子が、化学的に許される範囲で、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、チオール、シアノ、および−NR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。置換されたC〜C12アルキニル基の例としては、限定はされないが、4−クロロ−ヘキサ−2−イン、5−フルオロメチル−ヘプタ−2−エニルアミン、5−フルオロメチル−ヘプタ−2−イニルアミン、(5,5,5−トリフルオロ−4−メチル−ペンタ−2−イニル)−ヒドラジンなどが挙げられる。
【0034】
m.「ハロアルキル」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜6の分岐状または直鎖状のアルキル基を表す(すなわち、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルキル)。好ましいハロアルキルの例としては、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロ−2−クロロ−エチル、5−フルオロヘキシル、3−ジフルオロ−イソプロピル、3−クロロ−イソブチルなどが挙げられる。
【0035】
n.「1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜2の直鎖状のアルキル基(すなわち、メチルまたはエチル)を表す(すなわち、例えば、トリフルオロメチル、ジクロロメチルなど)。
【0036】
o.「1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜2の直鎖状のアルコキシ基(すなわち、メトキシまたはエトキシ)を表す(すなわち、例えば、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシなど)。
【0037】
p.「C〜Cアルコキシ」とは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシなどの炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を表す。
【0038】
q.「置換されていてもよいC〜Cアルコキシ」とは、少なくとも1つの水素原子が,ハロゲン、ハロアルコキシ、C〜Cアルキルなどからなる群より選択された置換基によって置換された、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシなど)を表す。
【0039】
r.「ハロアルコキシ」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲンで置換された炭素数1〜6の分岐状または直鎖状アルコキシ基を表す(すなわち、C〜Cハロアルコキシ)。好ましいハロアルコキシの例としては、クロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1−フルオロ−2−クロロ−エトキシ、5−フルオロ−ヘキソキシ、3−ジフルオロ−イソプロポキシ、3−クロロ−イソブトキシなどが挙げられる。
【0040】
s.「置換されていてもよい(C〜C10)アリール」とは、炭素数6〜10の環状、芳香族炭化水素を表す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルおよびビフェニルが挙げられる。このようなアリール部分は、4個までの置換基(非水素原子)で置換されていてもよく、それぞれの置換基は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、SO、およびNRからなる群より選択される。Rは、C〜Cアルキルまたは水素を表す。これらの置換基は、同一または異なっていてもよく、化学的に許される範囲で、環のいかなる位置に配置されていてもよい。
【0041】
t.「(C〜C)シクロアルキル」とは、それぞれの環状部分が3〜6個の炭素原子を有する、飽和もしくは部分的に飽和された単環式、二環式または三環式アルキル基を表す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。このようなシクロアルキル基は、4個までの水素原子が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、SO、およびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。
【0042】
u.「置換されていてもよい(C〜C)シクロアルキル」とは、それぞれの環状部分が3〜6個の炭素原子を有し、4個までの水素原子が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、SO、およびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換された、飽和もしくは部分的に飽和された単環式、二環式または三環式アルキル基を表す。
【0043】
v.「置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル」とは、それぞれの環状部分が3〜10個の炭素原子を有する、飽和もしくは部分的に飽和された単環式、二環式または三環式アルキル基を表す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどが挙げられる。このようなシクロアルキル基は、4個までの水素原子が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、SO、およびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択された置換基によって置換されてもよい。
【0044】
w.「ヘテロアリール」とは、酸素、窒素および硫黄の中から選択された1つ以上のヘテロ原子を有する芳香族環を表す。より具体的には、1、2、3、もしくは4つの窒素原子;1つの酸素原子;1つの硫黄原子;1つの窒素原子と1つの硫黄原子;1つの窒素原子と1つの酸素原子;2つの窒素原子と1つの酸素原子;または2つの窒素原子と1つの硫黄原子を含む5員環または6員環を表す。5員環は2つの二重結合を有し、6員環は3つの二重結合を有する。ヘテロアリールという用語には、ヘテロアリール環が、ベンゼン環、複素環、シクロアルキル環、または別のヘテロアリール環に縮合した二環式の基も含まれる。このようなヘテロアリール環系の例としては、限定はされないが、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、インドリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、プリニル、キノリニル、ベンゾフラン、テトラゾール、イソキノリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、2−,4−,5−,6−,もしくは7−ベンゾキサゾリル、7−ベンズイミダゾリル、またはベンゾチアゾリルが挙げられる。
【0045】
x.「置換されていてもよいヘテロアリール」とは、ヘテロアリール部分の4個までの炭素原子が置換基によって置換されていてもよい、直前に定義されたヘテロアリール基であって、それぞれの置換基が、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、SO−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、およびNR(ここで、Rは上記に定義したとおりである)からなる群より選択される、ヘテロアリール基を表す。
【0046】
y.「複素環」とは、酸素、窒素および硫黄の中から選択された1つのヘテロ原子を有する任意の3員環もしくは4員環;または、1、2、もしくは3個の窒素原子;1つの酸素原子;1つの硫黄原子;1つの窒素原子と1つの硫黄原子;1つの窒素原子と1つの酸素原子;隣接しない位置に2つの酸素原子;隣接しない位置に1つの酸素原子と1つの硫黄原子;もしくは隣接しない位置に2つの硫黄原子を含む、5、6、7、8、9、もしくは10員環を表す。5員環は0〜1個の二重結合を有し、6員環と7員環は0〜2個の二重結合を有し、さらに8、9、または10員環は0、1、2、もしくは3個の二重結合を有する。「複素環」という用語には、上記の任意の複素環が、ベンゼン環、シクロヘキサン環もしくはシクロペンタン環または別の複素環(例えば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ジヒドロベンゾフリルまたはベンゾチエニルなど)に縮合した二環式の基も含まれる。複素環としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパン、アゾカン、モルホリニル、イソクロミル、キノリニル、テトラヒドロトリアジン、テトラヒドロピラゾール、ジヒドロ−オキサチオール−4−イル、ジヒドロ−1H−イソインドール、テトラヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−オキサジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンズイミダゾリル、およびオクタヒドロベンゾチアゾリルが挙げられる。
【0047】
z.「置換されていてもよい複素環」とは、複素環部分の4個までの炭素原子が置換基によって置換されていてもよい、直前に定義された複素環であって、それぞれの置換基が、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルキル、1つ以上のハロゲン原子で置換された(C〜C)アルコキシ、−C(O)−R、−C(O)−O−R、SR、SOおよびNR(ここで、RおよびRは、上記に定義したとおりである)からなる群より選択される、複素環を表す。このような複素環内の任意の窒素原子は、化学的に許される範囲で、(C〜C)アルキルで置換されてもよい。
【0048】
aa.「アンドロゲン」とは、テストステロンおよびその前駆体と代謝物を表し、5−アルファ還元アンドロゲンとしては、限定はされないが、ジヒドロテストステロンがある。アンドロゲンは、精巣、副腎、および卵巣からのアンドロゲンと、天然、合成および置換または変性されたアンドロゲンのすべての形態を表す。
【0049】
bb.「医薬的に許容しうる」とは、哺乳動物への使用に適することを表す。
【0050】
cc.「塩」とは、医薬的に許容しうる塩、および化合物の調製などの工業プロセスにおける使用に適した塩を表す。
【0051】
dd.「医薬的に許容しうる塩」とは、化合物の実際の構造に応じて、「医薬的に許容しうる酸付加塩」または「医薬的に許容しうる塩基付加塩」のどちらかを表す。
【0052】
ee.「医薬的に許容しうる酸付加塩」という表現は、式Iによって表わされる塩基化合物または任意のその中間体の全ての無毒の有機または無機酸付加塩に適用されることを意図する。適当な塩を形成する無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸、ならびに、オルトリン酸一水素ナトリウム、および硫酸水素カリウムなどの酸金属塩が挙げられる。適当な塩を形成する有機酸の例としては、モノ、ジ、およびトリカルボン酸が挙げられる。このような酸の例としては、例えば、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、およびメタンスルホン酸や2-ヒドロキシエタンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。このような塩は、水和物または実質的に無水物の形態のいずれかで存在することができる。一般に、これらの化合物の酸付加塩は、水および種々の親水性の有機溶媒に可溶であり、それらの遊離塩基形態と比べて、一般的により高い融点を示す。
【0053】
ff.「医薬的に許容しうる塩基付加塩」という表現は、式Iによって表わされる化合物または任意のその中間体の全ての無毒の有機または無機塩基付加塩に適用されることを意図する。適当な塩を形成する塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、または水酸化バリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、およびメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、並びにピコリンなどの脂肪族、脂環式または芳香族有機アミンが挙げられる。
【0054】
gg.「プロドラッグ」とは、生体内で速やかに変化し、例えば、血液中における加水分解によって上記式の親化合物をもたらす化合物を表す。T. Higuchi and V. Stella,「Pro-drugs as Novel Delivery Systems,」Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において、徹底的な考察がなされており、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
hh.「式Iの化合物」、「本発明の化合物」、および「化合物」は、本出願を通して交換可能に用いられ、同義語として扱われるべきである。
【0056】
ii.「患者」とは、例えばモルモット、ハツカネズミ、ラット、アレチネズミ、猫、ウサギ、犬、猿、チンパンジー、ベニガオザル、およびヒトのような温血動物を表す。
【0057】
jj.「治療する」とは、患者の病気(または症状)もしくは病気に関係する任意の組織損傷の進行を軽減、緩和、または鈍化する化合物の能力を表す。
【0058】
kk.「家畜」とは、人間の食肉に適した動物を表す。例として、豚、牛、鶏、魚、七面鳥、ウサギなどが挙げられる。
【0059】
ll.「異性体」とは、以下に定義する「立体異性体」および「幾何異性体」を表す。
【0060】
mm.「立体異性体」とは、1つ以上のキラル中心を有し、それぞれの中心がRまたはS配置に存在しうる化合物を表す。立体異性体としては、全てのジアステレオメリック、エナンチオメリックおよびエピメリックの形態、並びにラセミ体およびその混合体が挙げられる。
【0061】
nn.「幾何異性体」とは、シス、トランス、アンチ、entgegen(E)、およびzusammen(Z)の形態、並びにその混合体で存在しうる化合物を表す。
【0062】
式(I)の化合物のうちのいくつかは、幾何異性体として存在しうる。式(I)の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し、したがって2つ以上の立体異性体として存在しうる。本発明には、式(I)の化合物の全ての個々の立体異性体および幾何異性体、並びにそれらの混合体が含まれる。個々のエナンチオマーは、合成の際にキラル分離または関係するエナンチオマーを用いることによって得られる。
【0063】
さらに、本発明の化合物は、非溶媒和形態、および水、エタノールなどの医薬的に許容しうる溶媒を伴う溶媒和形態で存在しうる。一般に、本発明の目的のために、溶媒和形態は非溶媒和形態と等価であると考えられる。この化合物は、1つ以上の結晶状態(すなわち、多形)で存在することもでき、または非晶質固体として存在する。このような全ての形態が、請求の範囲によって包含される。
【0064】
式Iの全ての態様は、ベンゾニトリル部分を含む。さらに本発明を例示するために、この環の付番方式および置換パターンを以下に示す。
【0065】
【化4】

上に示すように、このベンゾニトリルの1の位置はシアノ基で置換されている。4の位置は酸素原子で置換され、エーテル部分を形成する。ベンゾニトリルは、Xで示されるように、2、3、5または6の位置をハロゲン原子、シアノ基、(C〜C)アルキル基、ニトロ、またはハロアルキル基でさらに置換される。一般的に、2または6の位置に配置されるのはハロゲンまたはハロアルキル基である。より一般的には、ベンゾニトリルの2、3、5、または6の位置に配置されるのはトリフルオロメチルである。ベンゾニトリルは、Xで示されるように、ハロゲン、シアノ、(C〜C)アルキル、ニトロ、およびハロアルキルからなる群より選択される第3の置換基でさらに置換されてもよく、これらの置換基は、別の基で置換されていないベンゾニトリルの任意の位置に配置することができる。
【0066】
式Iの全ての化合物は、少なくとも1つのフェニル基(環i)またはピリジル基(環ii)を含む(上記のように、環iまたは環iiの部分は置換されていなくても置換されていてもよい)。さらに本発明を例示するために、環iの付番方式を以下に示す。
【0067】
【化5】

フェニル基は、2、3、4、5、または6の任意の位置で、メチレン、エチレンまたはn−プロピレン基と結合していてもよい。フェニルは、R、R、R、RおよびRの基によって示されるように、1つ以上の残位置でさらに置換されてもよい。2、3、4、5、または6のいかなる位置でも置換されることができる(化学的に許される範囲で)。
【0068】
第2の態様では、ピリジル基(環ii)を以下に示す。
【0069】
【化6】

窒素原子がピリジン部分の1の位置に配置されている。ピリジン環は、2ないし6の位置において、R、R、R、RおよびRの基の代わりに上に示す1つ以上の実体で独立に置換されてもよい。ピリジルは、2、3、4、5、または6の任意の位置で、メチレン、エチレンまたはn−プロピレン基と結合していてもよい。ピリジルは、R、R、R、およびRの任意の基によって示されるように、1つ以上の残位置でさらに置換されてもよい。2、3、4、5、または6のいかなる位置でも、モノ−置換、またはジ−置換されることができる(化学的に許される範囲で)。
【0070】
本発明のより具体的な態様としては、次のi)〜v)の式Iの化合物が挙げられる:
i)Xはクロロまたはトリフルオロメチルであって、フェニル環の2の位置に配置され、Xは水素である;
ii)Xはクロロまたはトリフルオロメチルであって、フェニル環の2の位置に配置され、Xは水素でQはメチレンである;
iii)Xはトリフルオロメチルであって、フェニル環の2の位置に配置され、Xは水素でQはメチレンである;
iv)Xはトリフルオロメチルであって、フェニル環の2の位置に配置され、Xは水素、Qはメチレン、さらにAは環iを表す;
v)Xはトリフルオロメチルであって、フェニル環の2の位置に配置され、Xは水素、Qはメチレン、さらにAは環iiを表す。
【0071】
合成
式Iの化合物は、エーテル調製のための当技術分野では周知の方法を用いて調製することができる。読者は、アリールエーテル調製の一般的な説明のための、1982年9月1日に公開された欧州特許出願第58932号を参照するとよい。
【0072】
以下のスキームIによって、Aが環iまたは環iiを表す化合物を調製するための1つの技術の全体像をつかむことができる。
【0073】
【化7】

上に示すように、工程Aの出発物質の1つは、構造式Iで示される4−フルオロ−ベンゾニトリルである。XとXのそれぞれは、最終生成物で望まれるのと同じ置換基を表すべきである。これらのベンゾニトリルは当技術分野では周知のものであり、商業的に購入可能であるか、または当技術分野で周知の方法で合成することができる。例えば、Organic Letters, 6(17),2837-2840,2004; Journal of Organometallic Chemistry,684(1-2),50-55,2003;Journal of European Chemistry,45(18), 3597-3603, 1980;日本公開特許公報,2001-097937;欧州特許出願第534317号および欧州特許出願第1266904号を参照されたい。
【0074】
工程Aの他の出発物質は、構造式2で示されるアルコールである。Q−Aは、最終生成物で望まれるのと同じ置換基を表すべきである。このようなフェニルアルカノール類またはピリジニルアルカノール類は当技術分野では周知のものである。多くのものは、周知の販売元から購入可能である。あるいは、これらは、Archiv der Pharmazie (Weinheim, Germany), 308(5),325-331,1975に示された方法に従って調製することができる。
【0075】
工程Aでは、構造式3のベンゾニトリルエーテルフェニルアルカノールまたはピリジニルアルカノールを、当技術分野では周知の求核置換によって生成する。構造式2のアルコールを、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシドなどのわずかに過剰の塩基と接触させ、アルコキシドイオンを生成する。この反応は、一般的にテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中、約0℃の不活性雰囲気下(一般的には窒素)で行う。アルコールを、5分から8時間、一般的には約5分から60分までの範囲の時間、塩基と一緒に攪拌する。
【0076】
次いで、構造式Iの4−フルオロ−ベンゾニトリル1当量を反応媒質に加え、反応物を十分な時間攪拌して、ベンゾニトリルからフッ素をアルコキシドイオンに置換する。一般的に、これには30分から24時間要する。反応系は一般的に室温まで加温する。
【0077】
あるいは、構造式2のアルコールとフルオロベンゾニトリルを1つの反応容器内で混合し、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシドなどのわずかに過剰の塩基と接触させて、アルコキシドイオンを生成する。この反応は、構造式3の化合物を生成するための上記の条件下で行う。
【0078】
構造式3で示される生成化合物は、抽出、蒸発、または当技術分野で周知の他の方法で回収することができる。それは、クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、または当技術分野で周知の他の方法で精製してもよい。
【0079】
あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどの弱塩基を用いて、エーテル化を行うことができる。弱塩基との反応は、一般的に、水和条件下(すなわち、水と、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの有機溶媒との混合物)で行う。あるいは、この反応は、無水条件下で、非プロトン性溶媒中の弱塩基を用いて行うことができる。構造式Iの4−フルオロ−ベンゾニトリルおよび構造式2のアルコールを、塩基存在下、室温から還流までの範囲の温度で接触させる。
【0080】
これらの化合物合成のある工程では、合成の際に特定の反応基を保護し、反応がその所望する基で確実に行われるようにするための反応を用いることができる。このような保護工程は、当技術分野ではよく知られている。
【0081】
脱保護反応は、保護基の素性に応じて変化する。例えば、ベンジル保護基を用いる場合、それを加熱下でトリフルオロ酢酸およびトリエチルシランと接触させて取り除くことができる。他の保護基を用いることもできる。読者は、可能性のある保護基およびそれらの除去についてのさらなる考察のために、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照するとよい。
【0082】
上記反応スキームは、Aが環(ii)(すなわち、置換または非置換のピリジニル基)を表す化合物にも同様に適用される。必要とされる唯一の修飾が、工程Aで用いられる出発物質の1つに関係する。
【0083】
当業者には理解されるとおり、このような化合物を調製するためのいくつかの有用な方法では、上記のように、特定の官能基の保護が必要となるかもしれない(例えば、このような官能基による、分子内の別の場所での反応における干渉の防止、またはこのような官能基を完全に保つための保護)。このような保護の必要性、および型式は、当業者によって容易に決定され、例えば、官能基の性質および選択した調整方法の条件に応じて変化する。例えば、上記のT. W. Greeneの引用文献を参照されたい。
【0084】
本発明のいくつかの化合物は酸性であり、医薬的に許容しうる陽イオンと共に塩を形成する。本発明のいくつかの化合物は塩基性であり、医薬的に許容しうる陰イオンと共に塩を形成する。このような塩はすべて本発明の範囲内にあり、それらは、通例化学量論比で、必要に応じて、水性、非水性または部分的に水性のうちのいずれかの媒体中において、酸性および塩基性物質を混合するなどの通常の方法で調製することができる。これらの塩は、必要に応じて、濾過、非溶媒で沈殿させた後の濾過、溶媒留去、または水溶液の場合は、凍結乾燥のうちのいずれかの方法で回収する。本化合物は、エタノール、ヘキサンまたは水/エタノール混合物などの適当な溶媒に溶解するなどの当技術分野で周知の手順に従って、結晶形態で得られる。
【0085】
医薬および化粧用途
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体調節剤である。これらは、アンドロゲン受容体の不適切な活性化に関係する症状を緩和するために用いることができる。アンドロゲン拮抗薬として作用する化合物は、前立腺癌、良性前立腺過形成、にきび、多毛(hirsutism)、皮脂過剰、脱毛症、多毛症(hypertrichosis)、思春期早発症、前立腺肥大症、男性化、および多嚢胞性卵巣症候群などのホルモン依存性癌を治療または緩和するのに用いることができる。部分アゴニスト、または完全アゴニストとして作用する化合物は、男性性腺機能低下症、男性性機能障害(インポテンス、男性精子形成障害性不能症)、異常性分化(男性半陰陽)、男性思春期遅発症、男性不妊症、再生不良性貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、骨髄線維症、腎性貧血、消耗性疾患(術後、悪性腫瘍、精神的外傷、慢性腎疾患、火傷またはエイズ誘発性)、女性器末期癌の疼痛軽減、手術不能の乳癌、乳腺症、子宮内膜症、女性性機能障害、骨粗鬆症、創傷治療、および筋肉組織修復を治療または緩和するのに用いることができる。
【0086】
上記のこれらの治療性状を示すためには、アンドロゲン受容体の活性を調節するのに十分な量の化合物を投与する必要がある。この量は、個々の治療すべき病気/症状、患者の病気/症状の重篤度、患者、投与すべき個々の化合物、投与経路、および患者の根底にある他の病状の存在などに応じて変化しうる。全身投与する場合には、本化合物は、一般的に、上記のいずれの病気または症状に対しても約0.1mg/kg/日から約100mg/kg/日までの用量範囲で効果を示す。毎日の繰り返し投与が望ましいが、上に概略的に述べた症状に応じて変わる。
【0087】
本発明の化合物は、種々の経路によって投与することができる。それらは、経口投与することができる。これらの化合物はまた、非経口的に(すなわち、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔膜内、または髄腔内に)、経直腸的に、または局所的に投与することができる。
【0088】
典型的な態様においては、本化合物は局所的に投与される。局所的投与は、多毛、脱毛症、にきびおよび皮脂過剰に対して特に適している。一般的なガイドラインを除いて用量は変化し、この化合物は、皮膚科学的に許容しうる担体の中に、約0.01から50w/w%まで、より一般的には約0.1から10w/w%までの量で存在する。皮膚用製剤は、1日に1回ないし4回患部に塗布する。「皮膚科学的に許容しうる」とは皮膚または髪に塗布され、薬剤が作用部位に拡散していくようにする担体を表す。より具体的には、アンドロゲン受容体の活性化を抑制することが望まれる部位を表す。
【0089】
さらなる態様では、本化合物は、脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症を軽減するために用いられる。アンドロゲンは、発毛と抜け毛の両方に多大な影響を及ぼす。あごひげや陰部の皮膚などのほとんどの身体部位において、アンドロゲンは、髪周期の成長段階(成長期)を延ばし、かつ、毛包のサイズを大きくすることによって発毛を促進する。頭皮における発毛にはアンドロゲンを必要としないが、逆説的に、成長期の期間および毛包のサイズに進行性の低下が見られる遺伝的に罹患しやすい人(アンドロゲン性脱毛症)における頭皮の禿げにはアンドロゲンが必要となる。アンドロゲン性脱毛症はまた、女性にも共通であり、それは通常、男性に見られるパターニングを示すよりもむしろ、びまん性の抜け毛として現れる。
【0090】
本化合物は、アンドロゲン性脱毛症を緩和するために最も一般的に用いられるが、本発明は、この特定の症状に限定されるものではない。本化合物は、いかなるタイプの脱毛症をも緩和するのに用いることができる。非アンドロゲン性脱毛症の例としては、円形脱毛症、放射線治療法または化学療法による脱毛症、瘢痕性脱毛症、ストレス性の脱毛症などが挙げられる。本出願で使用されている「脱毛症」という用語は、頭皮における部分的または完全な抜け毛を表す。
【0091】
したがって、本化合物は、禿げを予防または緩和するために、頭皮または髪に局所的に塗布することができる。さらに、本化合物は、頭皮における発毛を誘発または促進するために、局所的に塗布することができる。
【0092】
本発明のさらなる態様では、式Iの化合物は、発毛を望まないような部位において発毛を妨げるために、局所的に塗布される。このような用途の1つは、多毛を緩和することである。多毛とは、一般的に体毛のない部位(すなわち、女性の顔)における過剰発毛のことである。このような不適当な発毛は、女性に最も一般的に発症し、閉経時に頻繁に見られる。本化合物の局所的な投与によって、この症状が緩和され、結果として、この不適当な、または望ましくない発毛の低減、または除去がもたらされる。
【0093】
本化合物は、皮脂生成を減少させるためにも局所的に用いることができる。皮脂は、トリグリセリド、ワックスエステル、脂肪酸、ステロールエステルおよびスクアレンから成っている。皮脂は、皮脂腺の腺房細胞で生成され、これらの細胞が老化するにつれて蓄積されていく。成熟期において、この腺房細胞は溶解し、内腔管に皮脂を放出して、皮膚表面を皮脂で覆うことができる。
【0094】
一部の人々においては、過剰量の皮脂が皮膚上に分泌される。これは、多くの悪影響を招く。皮脂は「アクネ桿菌」の主要な食料源であり、にきびの原因物質であるため、にきびを悪化させうる。それは、皮膚を脂ぎった外観にし、一般的に、美容上魅力的でないとみなされている。
【0095】
皮脂の形成は、成長因子およびアンドロゲンを含有する種々のホルモンによって調節される。アンドロゲンが皮脂腺に働きかける、細胞および分子のメカニズムは、完全に解明されてはいない。しかしながら、臨床経験によって、アンドロゲンの皮脂生成に及ぼす影響力は立証されている。アンドロゲンレベルが最も高くなる思春期において、皮脂生成は著しく増加する。フィナステライドなどの抗アンドロゲン剤が、アンドロゲン分泌を低下させることが分かってきた。皮脂生成および皮膚代謝におけるアンドロゲンの役割についてのさらなる情報については、Moshell et al, Progress in Dermatology, vol. 37, No. 4, Dec. 2003を参照されたい。
【0096】
このように、式Iの化合物は、皮脂の分泌を抑制することにより、皮膚表面における皮脂の量を減少させる。本化合物は、にきびや脂漏性皮膚炎などの種々の皮膚疾患を治療するのに用いることができる。
【0097】
過剰な皮脂生成に関係する病気の治療の他に、本化合物は、美容効果を得るためにも用いることができる。消費者の中には、自分たちが皮脂腺機能亢進症で苦しんでいると信じている人もいる。その人たちは、自分たちの皮膚は脂ぎっているために魅力的でないと感じている。これらの人々は、皮膚上の皮脂量を減少させるために、式Iの化合物を用いることができる。皮脂の分泌を減少させることによって、そのような症状で悩んでいる人々の油性肌を緩和する。
【0098】
本化合物は、皮脂腺肥大症の治療にも用いることができる。皮脂腺肥大症は、中高年の皮膚に見られる肥大した皮脂腺に対して用いる用語である。それらは、額または頬に発症するのが最も一般的である。これらの肥大した腺は有害ではないが、多くの人々はそれらを美容上魅力的でないと感じている。皮脂分泌を減少させるイソトレチノインが、これらの肥大した腺のサイズを減少させることが分かってきた。したがって、これらの化合物は、皮脂分泌を減少させることにより、皮脂腺肥大症も緩和する。
【0099】
さらなる態様では、部分アゴニスト、または完全アゴニストとして作用するそれらの化合物は、骨粗鬆症の治療、または緩和に用いることができる。骨粗鬆症には、骨吸収(破壊)と骨形成の間の不均衡から生じる骨量減少という特徴があり、それは、30代で始まり、生涯を通じて1年に約1〜4%の割合で継続していく(Eastell, Treatment of postmenopausal osteoporosis, New Eng. J. Med. 338: 736, 1998を参照)。米国には、現在、骨粗鬆症が原因で脊椎骨に検知できる骨折が見られる人々が約2千万人いる。さらに、骨粗鬆症が原因で1年に約25万件の股関節骨折があり、これは最初の2年間で12〜20%の死亡率を伴う一方、患者の30%が骨折後に在宅介護を必要とし、多くの人が二度と完全に歩行できなくなっている。閉経後の女性では、閉経直後に、エストロゲン不足によって骨吸収が増加し、脊椎骨に1年に約5%の骨量減少が起こる。したがって、この症状の一次治療/予防は、ビスホスホネート、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体調節剤(SERMs)およびカルシトニンによる骨吸収の抑制である。しかしながら、骨吸収の抑制剤は、既にかなりの量の骨を失った患者の骨量を十分に回復することはできない。ビスホスホネート治療によって得られた脊椎骨密度の増加は、7年間のアレンドロネートを用いた治療の後、11%に達することができた。さらに、骨代謝回転率は、場所によって異なるので(脊椎骨の骨梁部は長骨皮質部よりも速い)、股関節骨密度の増加および股関節骨折の予防に対する骨吸収抑制剤の効果は低い。したがって、皮質/骨膜骨形成および長骨の骨量を増加させる骨同化剤(osteoanabolic agent)は、骨粗鬆症の治療でまだ対処されていない要求、特に、股関節骨折の危険性が高い患者のために用いられる。
【0100】
多くの研究によって、アンドロゲンが男性および女性において骨同化することが立証されている。デカン酸ナンドロロンやスタノゾロールなどの同化ステロイド剤が、閉経後の女性の骨量を増加させることが分かってきた。閉経後の骨粗鬆症の骨に対するアンドロゲンの有益な効果が、テストステロンとエストロゲンを同時投与した最近の研究においてよく立証されている(Hofbauer, et al., Androgen effects on bone metabolism: recent progress and controversies, Eur. J. Endocrinol. 140, 271-286, 1999)。このように、アゴニストまたは部分アゴニスト活性を示す式Iの化合物は、老年性、閉経後および若年性骨粗鬆症などの一次骨粗鬆症、並びに甲状腺機能亢進症による骨粗鬆症などの二次骨粗鬆症またはクッシング症候群(コルチコステロイド治療が原因)、末端肥大症、性腺機能低下症、骨形成不全症および低ホスファターゼ血症を含む骨粗鬆症の治療、または緩和に用いることができる。アンドロゲンアゴニストからの治療によって修復できる他の骨に関する適応症としては、骨粗鬆症性骨折、幼児期特発性の骨量減少、歯槽骨減少、下顎骨減少、骨折、骨切り術、歯周病、または人工装具の内殖が挙げられる。
【0101】
アゴニストまたは部分アゴニストとして作用するこれらの化合物はまた、エイズ、癌悪液質、火傷、腎臓病などの消耗性疾患に苦しむ患者の筋肉を刺激するためにも用いることができる。精神的外傷、床擦れ、加齢などに悩む患者も、アンドロゲンの同化作用によって効果が得られる。
【0102】
同時投与
本発明のさらなる態様では、式Iの化合物は、その活性をさらに高めるか、または潜在的副作用を最小にするための他の化合物と同時投与することができる。例えば、発毛を促し、成長期を誘発するものとして、ミノキシジルなどのカリウムチャンネル開口薬が知られている。他のカリウムチャンネル開口薬の例としては、(3S,4R)−3,4−ジヒドロ−4−(2,3−ジヒドロ−2−メチル−3−オキソピリダジン−6−イル)オキシ−3−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシフェニル)スルホニル−2,2,3−トリメチル−2H−ベンゾ[b]ピラン、ジアクソザイド(diaxozide)、およびレオ製薬で開発中のP1075が挙げられる。このような化合物は、脱毛症を緩和するために、式Iの本化合物と同時投与することができる。
【0103】
甲状腺ホルモンは、発毛を促すことでも知られている。合成甲状腺ホルモン代替品(すなわち、甲状腺様作用薬(thyromimetics))が、発毛を促すことも分かってきた。このような甲状腺様作用薬は、以前に、文献に記載されたことがある。読者は、これらの化合物および脱毛症を緩和するためのそれらの用途についての考察のために、欧州特許出願第1262177号(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照するとよい。特に重要な化合物の1つは、2−{4−[3−(4−フルオロ−ベンジル)−4−ヒドロキシ−フェノキシ]−3,5−ジメチル−フェニル}−2H−[1,2,4]トリアジン−3,5−ジオンである。このような化合物は、脱毛症を緩和するために、式Iの本化合物と同時投与することができる。
【0104】
抗アンドロゲン剤は、多くの異なるメカニズムで作用することができる。例えば、化合物の中には、テストステロンが、多くの組織において生物学的作用の役割を持つ5−α−ジヒドロテストステロンへ転化するのを阻止するものもある。フィナステライドなどの5−α−還元酵素阻害剤が、発毛を促し、皮脂生成を減少させることが分かってきた。フィナステライドは、メルク社からプロペシア(登録商標)という商標名で市販されている。他の5−α−還元酵素阻害剤の例としては、デュタステライド(グラクソ・スミスクライン社製)がある。このような化合物は、脱毛症の緩和および/または皮脂生成の減少のために、式Iの本化合物と同時投与することができる。
【0105】
プロテインキナーゼC阻害剤もまた、発毛を促し、成長期を誘発することが分かってきた。プロテインキナーゼCの選択的阻害剤であるカルホスチンCが、成長期を誘発することが分かってきた。ヘキサデシルホスホコリン、パルミトイル−DL−カルニチンクロライド、およびポリミキシンB硫酸塩などの他の選択的プロテインキナーゼC阻害剤もまた、成長期を誘発することが分かってきた。(Skin Pharmacol Appl Skin Physiol 2000 May-Aug; 13(3-4): 133-42を参照)。このようなプロテインキナーゼC阻害剤はいずれも、脱毛症を緩和するために、式Iの化合物と同時投与することができる。
【0106】
イムノフィリンは、細胞質蛋白質の一種である。それらのリガンドは、シクロスポリンおよびFK506を含む。それらは菌類から得られ、主としてそれらの強力な免疫抑制作用を求めて開発された。シクロスポリンが蛋白質、シクロフィリンと結合するのに対して、FK506はFK結合蛋白質(FKBPs)と結合する。これらの全ての化合物が、発毛を促し、成長期を誘発することが分かってきた。このようなイムノフィリンリガンドはいずれも、脱毛症を緩和するために、式Iの化合物と同時投与することができる。
【0107】
アシルCoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤は、当初、高血清コレステロールの治療薬として評価されていた。後に、これらの化合物が皮脂生成を減少させるということが分かった(米国特許第6,133,326号を参照)。このようなACAT阻害剤はいずれも、皮脂生成の減少、油性肌の緩和などのために、式Iの化合物と同時投与することができる。
【0108】
テトラサイクリンやクリンダマイシンなどの抗生物質は、にきびを緩和するために用いられてきた。この抗生物質は、微生物であるアクネ桿菌を根絶し、患者のにきびを減少させる。式Iの化合物は、にきびの治療に適したいずれの抗生物質とも同時投与することができる。
【0109】
イソトレチノインなどのレチノイドは、皮脂生成を減少させることが分かり、にきびの治療に用いられている。これらのレチノイドは、皮脂生成の減少および/またはにきびの治療のために、式Iの化合物と同時投与することができる。
【0110】
エストロゲンとプロゲステロンのそれぞれが、皮脂生成を減少させることが分かってきた。これらの化合物、またはこの化合物のいずれの合成アゴニストも、皮脂生成を減少させるために、式Iの化合物と同時投与することができる。
【0111】
本出願で使用されている同時投与という用語は、一般的に異なる作用メカニズムを有し、望ましい効果を促進する投与方式を用いて、第2の医薬品と一緒に式Iの化合物を投与することを意味する。これは、同時投与、1日の内で異なる時間での投与、または異なる日での投与までも意味することができる。本化合物は、別々に投与することも、単一製剤に混合することもできる。このような製剤を調製する手法を以下に説明する。
【0112】
製剤
所望であれば、本化合物は、いかなる担体も用いずに直接投与することができる。しかしながら、投与を容易にするためには、一般的に、本化合物は医薬用担体の中に処方される。さらに、最も一般的には、それらは皮膚科用、または化粧用担体の中に処方される。本出願の中の「皮膚科用担体」および「化粧用担体」は、同じ意味で用いられている。それらは、皮膚や髪に直接投与するために設計された製剤を意味する。
【0113】
医薬用および化粧用組成物は、当技術分野で周知の手法を用いて製造することができる。一般的に、有効量の本化合物は、医薬用/化粧用として許容しうる担体と一緒に混合される。
【0114】
経口投与用には、本化合物は、カプセル、丸薬、錠剤、トローチ剤、溶液、粉末、懸濁液、または乳濁液などの固体や液体製剤の中に処方することができる。固体単位投与形態は、例えば界面活性剤、潤滑剤、ならびに乳糖、ショ糖、およびコーンスターチのような不活性充填剤を含む通常のゼラチンタイプのカプセル、または徐放性製剤にすることができる。
【0115】
別の態様では、式Iの本化合物は、乳糖、ショ糖、およびコーンスターチなどの錠剤基剤を、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、コーンスターチやアルギン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と一緒に用いて錠剤にすることができる。液体製剤は、水性または非水性の医薬的に許容しうる溶媒中に活性成分を溶解することによって調製され、これらの溶媒は、当技術分野で周知のように、懸濁化剤、甘味剤、香料、および防腐剤も含有することができる。
【0116】
非経口投与用には、本化合物は生理学的に許容しうる医薬用担体中に溶解され、溶液または懸濁液として投与することができる。適当な医薬用担体の例としては、水、生理食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物、植物もしくは合成起源の油が挙げられる。医薬用担体は、当技術分野で周知のように、防腐剤、緩衝剤なども含有することができる。本化合物を髄腔内に投与する時は、当技術分野で周知のように、これらはまた脳脊髄液に溶解することもできる。
【0117】
本発明の化合物は、通常局所的に投与される。本明細書で使用されている局所的という用語は、本化合物(および任意の担体)の皮膚および/または髪への直接的な塗布を表す。本発明に従った局所用組成物は、溶液、ローション、膏薬、クリーム、軟膏、リポソーム、スプレー、ゲル、発泡体、ローラースティックの形態、または皮膚科で日常的に使用される他のすべての形態をとることができる。
【0118】
したがって、さらなる態様は、化粧用または医薬用組成物、特に皮膚科用組成物に関し、少なくとも1つの上記式Iに相当する本化合物を含む。このような皮膚科用組成物は、皮膚科学的に許容しうる担体と混合されて、本化合物を0.001〜10w/w%、より一般的には0.1〜5w/w%の本化合物を含有する。このような組成物は、通常1日に1ないし4回塗布される。読者は、このような製剤の調整方法についての考察のために、Remington’s Pharmaceutical Science, Edition 17, Mack Publishing Co., Easton, PAを参照するとよい。
【0119】
本発明に従った組成物は、洗浄用の石鹸または固形物を構成する固体製剤から成ることもできる。これらの組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0120】
本化合物は、水溶液、アルコール溶液または水−アルコール溶液の形態、またはクリーム、ゲル、乳濁液またはムースの形態、あるいは加圧下で噴射剤も含むエアロゾル組成物の形態で髪に用いることもできる。本発明に従った組成物は、ヘアケア組成物、特にシャンプー、ヘアセット用ローション、治療用ローション、スタイリング用クリームまたはゲル、染料組成物、抜け毛予防用のローションまたはゲルなどにもなりうる。本発明に従った皮膚科用組成物における種々の成分の量は、検討分野で慣例的に用いられている量である。
【0121】
本発明の化合物を含有する医薬品および化粧品は、通常、小売り流通用にパッケージされる(すなわち、製品)。このような製品は、製品の使用方法を患者に知らせるためにラベルを貼ってパッケージされる。そのような使用説明書には、治療される症状、治療期間、投薬スケジュールなどが含まれる。
【0122】
式Iの本化合物は、いずれの不活性担体とも混合することができ、当技術分野で周知のように、患者の血清、尿などの中の本化合物の濃度を測定するために、実験室検定法に利用することができる。本化合物は、研究ツールとして用いることもできる。
【0123】
家畜における用途
上記の医薬用および化粧用用途の他に、本化合物は、動物、特に家畜の成長を促進するために用いることもできる。本化合物は、体重増加速度を高め、得られる肉の赤身部分を増やし、飼料利用効率を向上させる。これは、有効量の式Iの化合物を、成長を維持するための適切な栄養(すなわち、十分なカロリー、アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル類、必須脂肪類など)を摂取している動物に投与することによって実現することができる。
【0124】
投与を容易にするために、本化合物は、一般的に、動物飼料と混合するか、または動物飼料と混合することができる動物飼料プレミックス、濃厚飼料、もしくはサプリメントの形態で調製される。選択された手順にかかわらず、本化合物は、通常、飼料中に約0.05〜500ppmの濃度で存在する。
【0125】
動物飼料プレミックス、サプリメントまたは濃厚飼料は、重量基準で約0.5〜50%の化合物を約50〜99.5%の食用希釈剤と混合することにより調製することができる。動物飼料サプリメント、濃厚飼料、およびプレミックスの製造に適した希釈剤としては、以下の物が挙げられる:コーンミール、大豆粉、骨粉、アルファルファミール、綿実油粕、尿素、糖蜜、および他の類似物質。飼料サプリメント、濃厚飼料、およびプレミックス中の希釈剤を使用すると、完成飼料中における活性成分の均一性が向上する。
【0126】
豚、牛、羊、魚、および山羊の飼料は、通常、飼料1トン当たり約0.05〜400グラムの活性成分を含んでいる。家禽や飼い慣らされたペットの飼料は、飼料1トン当たり約0.05〜400グラムに及ぶ。
【0127】
本発明を、その特定の態様に関して説明してきたが、それはさらに改良することができ、かつ、この出願が、一般的に、本発明の原理に従い、本発明の属する技術分野内で公知または通例の実施の範囲に入るような本発明からの逸脱を含む、本発明のいかなる変更、使用、または適応をも包含することを意図していることが理解されよう。以下の実施例および生物学データは、本発明をさらに説明するために提示されている。いずれにせよ、この開示は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0128】
特に記載がない限り、実施例1〜77で用いられている一般的な分析方法は以下に示すものである:
1)質量分析:
MS条件:Combi RP3 50x4.6mmカラム,45℃,グラジエント時間3.5分,定温0.5分
2)高速液体クロマトグラフィー
HPLC条件:Supelco Discovery C18,250×4.6 mm,流速=1.5mL/分,20分で80/20から10/90HO+0.1%TFA/ACN+0.1%TFAにグラジエントをかけた後5分間保持
3)旋光度:
条件:波長=589nm,温度=24.6℃,溶媒=CHCl
4)融点:
キャピラリー融点測定装置(Thomas HooverまたはMel−Temp)にて測定
5)液体クロマトグラフ質量分析「LCMS」:
移動相: 3.5分かけて50%から2%HOにグラジエントをかけ0.5分間保持,測定時間4分;固定相:Phenomenex Develosil Combi RP3 50×4.6mmカラム;45℃(特に指示がない限り)
以下の実施例1〜36、45〜56、72〜75および79〜91では、構造式Iが4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルである、上記スキーム1の一般的な手順に従った化合物の合成法を説明する。
【0129】
以下の実施例37〜42および57では、構造式Iが3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリルである、上記スキーム1の一般的な手順に従った化合物の合成法を説明する。
【0130】
以下の実施例43〜44および58〜71では、構造式Iが2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリルである、上記スキーム1の一般的な手順に従った化合物の合成法を説明する。
【0131】
以下の実施例71Aおよび71Bでは、構造式Iが4−フルオロ−2−メトキシ−ベンゾニトリルである、上記スキーム1の一般的な手順に従った化合物の合成法を説明する。
【0132】
実施例1
実施例1では、反応スキームIに記した合成経路工程Aに従った4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルのラセミ体混合物の調整法について説明する。それは、具体的に、構造式Iの出発物質として4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル、構造式2の出発物質としてsec−フェネチルアルコールを用いたエーテル生成法(工程A)を説明する。
【0133】
実施例1
4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0134】
【化8】

スキームIで説明したように、sec−フェネチルアルコール(1.22g、10mmol)、4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(1.89g、10mmol)、KCO(4g)およびDMF(乾燥品、50mL)を混合することによりエーテルを生成した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。その後、反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物を、水100mLに注ぎ、酢酸エチル(EtOAc)で抽出した。EtOAc溶液を水(4回)とブライン(1回)で洗浄し、濃縮して標題生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製した[SiOgel,EtOAc/ヘキサン(1:1)]。1.72gの所望の油状生成物を回収した(分析値:C16H12F3NO:計算値C 65.98, H 4.15, N 4.81;実測値C 65.84, H 3.94, N 4.84、LCMS=>95%純度、MS:m/z=2.92(MH))。
【0135】
実施例2および3
実施例2および3では、ラセミ体の代わりにアルカノールの適当な鏡像体を用いることによる、実施例1の化合物の(S)および(R)エナンチオマーの調製法について説明する。
【0136】
実施例2
(S)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
ラセミ体の代わりに(S)−(+)−sec−フェネチルアルコール(1.22g、10mmol)を用い、実施例1の反応に従って、実施例1の(S)エナンチオマーである(S)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを調製した。0.24gの(S)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを油状物として回収した。(分析値:C16H12F3NO:計算値C 65.98, H 4.15, N 4.81;実測値C 65.46, H 3.99, N 4.83、LCMS=>95%純度)
実施例3
(R)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
構造式2の出発物質として(R)−1−フェニルエタノール(0.41g、3.3mmol)を用い、それを4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(0.63g、3.3mmol)、KCO(1g)およびDMF(乾燥品、20mL)と反応させ、実施例1の反応に従って、実施例1の(R)エナンチオマーである(R)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを調製した。0.35gの(R)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを油状物として回収した。(分析値:C16H12F3NO:計算値C 65.98, H 4.15, N 4.81;実測値C 65.85, H 3.97, N 4.84、LCMS=>95%純度)
実施例4
4−[1−(3−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−t−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0137】
【化9】

を、構造式2の出発物質として1−(3−メトキシ−フェニル)エタノールを用いて、実施例1に記載したとおりに調製した。標題生成物を油状物として回収した。(分析値:C17H14F3NO2:計算値C 63.55, H 4.39, N 4.36;実測値C 63.15, H 4.19, N 4.43、LCMS=>95%純度)
実施例5
4−[1−(2−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−t−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0138】
【化10】

構造式2の出発物質としてsec−フェネチルアルコールの代わりに1−(2−メトキシル−フェニル)エタノールを用いた以外は実施例1と同様の方法により、標題化合物を得た。標題生成物を油状物として回収した。(分析値:C17H14F3NO2:計算値C 63.55, H 4.39, N 4.36;実測値C 63.79, H 4.31, N 4.45、LCMS=>95%純度)
実施例6
4−[(3−ヒドロキシベンジル)オキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0139】
【化11】

本発明の化合物を調製するための別の方法を、以下のスキーム2で説明する。
【0140】
【化12】

工程A−保護
3−ヒドロキシベンズアルデヒド(10.5g、86.0mmol)とピリジニウムp−トルエンスルホネート(0.52g、2.1mmol)を塩化メチレン(100mL)中で攪拌することにより、3−ヒドロキシベンズアルデヒドのヒドロキシ部分を保護した。次いで、3,4−ジヒドロピラン(21.7g、258mmol)をシリンジで滴下し、室温で2日間攪拌した。2日後、反応物を水(500mL)で洗浄した後濃縮した。TLCには2つのスポットが見られた。シリカカラムはヘキサン、酢酸エチル(Hex:EtOAc=9:1)を用いて操作した。14.69g(収率83%)の化合物Aを、透明な黄色油状物として得た。
【0141】
工程B−還元
化合物A(10.0g、48.5mmol)をメタノール100mL中で0℃に冷却することにより、アルデヒドである化合物Aをアルコールに還元した。次いで、水素化ホウ素ナトリウム(2.11g、55.8mmol)を加え、反応物を0℃で20分間攪拌した。次いで、水を加えてメタノールを除去した。次いで、この化合物を酢酸エチル(60mL、3回)で抽出した。次いで、有機層を飽和重炭酸ナトリウム(250mL)とブライン(250mL)で洗浄した後、有機層を乾燥し、濃縮した。得られた生成物B(10.1g、収率100%)を、以下の工程Cに説明するように、スキーム1の構造式2のアルコールとして用いた。
【0142】
工程C−エーテル生成
工程Cでは、スキーム1の構造式2として調製された上記化合物Bを用いたエーテル生成法について説明する。化合物B(5.00g、24mmol)、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(4.54g、24mmol)、およびDMF(100mL)を、窒素ライン、凝縮器、および温度計を具備した300mLの3つ口丸底フラスコに入れた。反応物を0℃に冷却した後、水素化ナトリウム(1.06g、26.41mmol)を加えた。この反応物を60℃で一晩加熱した。この反応物を冷却した後、水(100mL)を加えた。標題生成物を酢酸エチル(100mL)で3回抽出した。有機層を合わせて、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(250mL)とブライン(250mL)で洗浄した。次いで、有機層を乾燥、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を、Hex:EtOAc(10:1)を用いてクロマトグラフにかけ、化合物Cを得た(8.55g、収率94%)。
【0143】
工程D−脱保護
上記化合物C(8.0g、21mmol)をメタノールに溶解し、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(0.13g、0.53mmol)を加え、反応物を窒素雰囲気下室温で一晩攪拌することにより、化合物Cを脱保護した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液を反応物に加えると、若干の固体が沈殿した。この固体を濾過し、濾液を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を乾燥、濃縮して所望の化合物6を得た(LC/MSによる純度98.9%)。M−1=292.2。1H−NMR(400MHz,クロロホルム−D)δppm 4.78 (s, 1 H) 5.12 (s, 2 H) 6.83 (m, 1 H) 6.89 (m, 1 H) 6.96 (ddd, J=7.63, 1.52, 0.85 Hz, 1 H) 7.15 (dd, J=8.54, 2.44 Hz, 1 H) 7.29 (m, 1 H) 7.34 (d, J=2.68 Hz, 1 H) 7.74 (m, 1 H)。
【0144】
この化合物は、実施例6Aとして表Iに記載されているようなコンビナトリアル化学によっても調製することができた。
【0145】
実施例7
4−{1−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニル]エトキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0146】
【化13】

出発物質として3’−ヒドロキシアセトフェノンを用い、実施例6におけるスキーム2の工程A〜Cに従って、実施例7の化合物を調製した。生成物である4−{1−[3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)フェニル]エトキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの純度は97%(LC/MSによる)であった。M−1=391.2。
【0147】
実施例8
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0148】
【化14】

出発物質として3−ヒドロキシアセトフェノンを用い、実施例6におけるスキーム2の工程A〜Cに従って、実施例8の化合物を調製した。生成物である4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの純度は98.8%(LC/MSによる)であった。M−1=306.1。
【0149】
実施例9および10
実施例9および10では、実施例8のラセミ体混合物の、その(+)および(−)エナンチオマーへの分離法について説明する。
【0150】
SFC chiralcel AD−H 9:1=CO2:MeOHを流量70mL/分で用いて、実施例8の化合物である4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルを、(+)および(−)エナンチオマーに分離した。保持時間(−)5.2分、(+)5.9分。
【0151】
実施例9
(−)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例10
(+)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例11
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0152】
【化15】

【0153】
【化16】

スキーム3に従って、化合物Dの4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルを次のように調製した。
【0154】
工程A−アルデヒドへの求核付加反応
実施例6におけるスキーム2の工程Aに記載したとおりに調製した化合物A(1.25g、6.06mmol)を、窒素雰囲気下でガラス瓶に入れた。次いで、無水THF(10mL)をガラス瓶にシリンジで注入した後、化合物を丸底フラスコに移し、0℃に冷却した。次いで、塩化エチルマグネシウム(3.79mL、2M溶液)をシリンジで滴下した。反応物を室温で一晩温めた。次いで、反応物を0℃に冷却し、塩化アンモニウム水溶液を加えてpHを8にした後、この化合物をEtOAc(100mL、4回)で抽出した。この反応混合物を乾燥、濃縮後、Hex:EtOAc(5:1)を用いたカラムに通した。所望の画分を集めて、化合物Bを得た(0.97g、収率68%)。
【0155】
工程B−エーテル生成
化合物B(0.30g、1.27mmol)、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(0.264g、1.4mmol)、およびDMF(20mL)を、窒素ライン、凝縮器、および温度計を具備した100mLの3つ口丸底フラスコに入れた。反応物を0℃に冷却した後、水素化ナトリウム(0.056g、1.4mmol)を加えた。この反応物を60℃で一晩加熱した。この反応物を冷却した後、水(50mL)を加えた。生成物を酢酸エチルで抽出した(50mL、3回)。有機層を合わせて、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)とブライン(100mL)で洗浄した。次いで、有機層を乾燥、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を、Hex:EtOAc(10:1)を用いてクロマトグラフにかけ、所望の生成物Cを得た(0.33g、収率64%)。
【0156】
工程C−脱保護
化合物C(0.33g、0.81mmol)をメタノール(10mL)に入れた後、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(0.005g、0.20mmol)を加え、反応物を窒素雰囲気下室温で一晩攪拌した。次いで、炭酸ナトリウム水溶液(30mL)を反応物に加えると、若干の固体が沈殿した。この固体を濾過した後、濾液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。次いで、有機層を乾燥、濃縮して粗生成物を得た。カラムは、まず300mLのヘキサンでフラッシングした後に、2000mLの17%EtOAcをカラムに通して操作した。所望の画分を集め、濃縮して所望の生成物4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルを得た。純度99.5%(CHNによる)CHN 計算値 C 63.55%, H 4.39%, N 4.36%; 実測値 C 63.21%, H 4.39%, N 4.12%。
【0157】
実施例12および13
実施例12および13では、chiralcel ODカラム(Hex:IPA=9:1)を流量0.8mL/分で用いた、実施例11のラセミ体生成物の(+)および(−)エナンチオマーへの分離法について説明する。保持時間(+)12.783分、(−)15.567分。
【0158】
実施例12
(+)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例13
(−)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例14
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0159】
【化17】

EtMgClの代わりに塩化プロピルマグネシウムを用い、実施例11のスキーム3に記載した方法により、実施例14の化合物を調製した。生成物である4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの純度は99.5%(CHNによる)であった。計算値 C 64.47%, H 4.81 % N 4.18 %; 実測値 C 64.25% H 4.79% N 4.17%。
【0160】
実施例15
(+)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0161】
【化18】

chiralcel ODカラム(Hex:IPA=9:1)を流量0.8mL/分で用いて、実施例14のラセミ体生成物を分離し、(+)および(−)エナンチオマーを得た。保持時間(−)11.169分、(+)13.402分。
【0162】
実施例16
4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0163】
【化19】

工程Aにおいて、Et−MgClの代わりに塩化ビニルマグネシウムを用い、実施例11のスキーム3に記載した方法により、実施例16の化合物を調製した。生成物である4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)プロパ−2−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの純度は99.5%(CHNによる)であった。計算値 C 63.95 %, H 3.79 %, N 4.39 %; 実測値 C 64.23%, H 3.91%, N 4.10%。
【0164】
実施例17
4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブタ−3−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0165】
【化20】

工程Aにおいて、Et−MgClの代わりに塩化アリルマグネシウムを用い、実施例11のスキーム3に記載した方法により、実施例17の化合物を調製した。生成物である4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブタ−3−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルの純度は99.5%(CHNによる)であった。計算値 C 64.86 %, H 4.23 %, N. 4.20 %; 実測値 C 64.51%, H 4.37%, N 4.09%。
【0166】
実施例18および19
chiralcel ADカラム(HEX:IPA=9.5:0.5)を流量70mL/分で用いて、実施例17のラセミ体生成物を、(+)および(−)エナンチオマーに分離した。保持時間(+)5分、(−)13分。
【0167】
実施例18
(+)4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブタ−3−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例19
(−)4−{[1−(3−ヒドロキシフェニル)ブタ−3−エニル]オキシ}−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
実施例20
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0168】
【化21】

工程Aにおいて、塩化イソブチルマグネシウムを用い、実施例11のスキーム3に記載した方法により、実施例20の化合物を調製した。純度99.6%(LCMSによる)。M−1=348.1。
【0169】
実施例21
(+)4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
Chiralcel AS−Hカラム(CO:MeOH=8.5:1.5)を流量4mL/分で用いて、実施例20のラセミ体生成物を分離し、(+)および(−)エナンチオマーを得た。保持時間(+)1.8分、(−)2.1分。実施例21の化合物は(+)エナンチオマーである。
【0170】
実施例22
4−[1−(2−クロロ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0171】
【化22】

1−(2−クロローフェニル)−エタノール(0.82g、5.29mmol)無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、乾燥窒素でパージした。水素化ナトリウム(鉱油中60%、0.22g、5.55mmol)を加えた。10分後、常温で4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(1.0g、5.3mmol)を一度に加えた。反応物を常温で2時間攪拌した後、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させた後に、40−g Isco Redisep(R)シリカゲルカラム(ヘキサン中の酢酸エチルに5%から50%のグラジエントをかける)にかけて、1.03g(59.8%)の標題化合物を得た。HPLC:100%。MS:m/z=324(M−H)
【0172】
実施例23
4−[1−(4−クロロ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0173】
【化23】

原料アルコールとして1−(4−クロロ−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製し、標題生成物を収率30.1%で得た。HPLC>98%。MS:m/z=324(M−H)
【0174】
実施例24
4−[1−(2−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0175】
【化24】

原料アルコールとして1−(2−フルオロ−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を37.3%の収率で得た。HPLC>98%。MS:m/z=308(M−H)
【0176】
実施例25
4−[1−(4−フルオロ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0177】
【化25】

原料アルコールとして1−(4−フルオロ−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を39.1%の収率で得た。HPLC>99%。MS:m/z=308(M−H)
【0178】
実施例26
4−[1−(3−クロロ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0179】
【化26】

原料アルコールとして1−(3−クロロ−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を30.1%の収率で得た。HPLC>98%。MS:m/z=324(M−H)
【0180】
実施例27
4−(1−o−トリル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0181】
【化27】

原料アルコールとして1−o−トリル−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を85.5%の収率で得た。HPLC>98%。MS:m/z=304(M−H)
【0182】
実施例28
4−(1−m−トリル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0183】
【化28】

原料アルコールとして1−m−トリル−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を54.5%の収率で得た。HPLC>98.0%。MS:M/Z=304(M−H)
【0184】
実施例29
(±)−4−[1−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−エチル]−安息香酸メチルエステル
【0185】
【化29】

(±)−4−[1−(4−シアノ−3−トリフルオロメチル−フェノキシ)−エチル]−安息香酸メチルエステルを以下のように調製した:
4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸メチルエステル(1.00g、5.549mmol)および4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.049g、5.549mmol)を無水ジメチルホルムアミド(8mL)に溶解した冷却溶液(0℃)中に、NaH(鉱油中60%の分散物として0.222g)を加えた。反応混合物を室温に温めた後、窒素雰囲気下で16時間攪拌した。粗反応混合物を酢酸エチル(150mL)に加え、飽和塩化アンモニウム水溶液(150mLで2回)、水(150mLで1回)、および飽和塩化ナトリウム水溶液(150mLで1回)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、濃縮した。粗物質を、ヘキサンおよび酢酸エチル(4:1)を用いてクロマトグラフにかけ、0.800g(収率41.27%)の無色粘性油状物を得た;H−NMR(400MHz;CDCl)a 8.03 (d, 2H, J=8.3 Hz), 7.63 (d, 1H, J=8.3 Hz), 7.40 (d, 2H, J=8.3 Hz), 7.26 (溶媒に閉塞された見掛けのs, 1H), 6.97 (dd, 1H, J=8.54, 2.44 Hz), 5.43 (q, 1H, J=6.34 Hz), 3.90 (s, 3H), 1.69 (d, 3H, 6.34 Hz);MS(APCI+):373.1([M+1]+Na);CHN 理論値/実測値: C 61.89/61.90, H 4.04/4.02, N 4.01/3.94, F 16.32/16.20。
【0186】
実施例30
4−[1−(3−シアノ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0187】
【化30】

以下のように調製した3−(1−ヒドロキシ−エチル)−ベンゾニトリルを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製して、標題化合物を収率78.6%で得た。HPLC=100.0 %。MS:m/z=315(M−H)
【0188】
3−(1−ヒドロキシ−エチル)−ベンゾニトリル
2−アセチルベンゾニトリル(1.0g、6.89mmol)を無水メタノール(20mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.52g、13.8mmol)で処理した後、常温で18時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、蒸発させた後、クロマトグラフ(ヘキサン中の酢酸エチルに50%から100%のグラジエントをかける)にかけて、0.95g(93.7%)の3−(1−ヒドロキシ−エチル)−ベンゾニトリルを得た。MS:m/z=148(M+H)
【0189】
実施例31
2−トリフルオロメチル−4−[1−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−エトキシ]−ベンゾニトリル
【0190】
【化31】

原料アルコールとして1−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を41.9%の収率で得た。HPLC=98.9%。MS:m/z=358(M−H)
【0191】
実施例32
2−トリフルオロメチル−4−[1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エトキシ]−ベンゾニトリル
【0192】
【化32】

原料アルコールとして1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を41.9%の収率で得た。HPLC=98.1%。MS:m/z=358(M−H)
【0193】
実施例33
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0194】
【化33】

原料アルコールとして1−ピリジン−3−イル−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製した。標題化合物を84.1%の収率で得た。HPLC>98%。MS:m/z=291(M−H)
【0195】
実施例34
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0196】
【化34】

実施例33で調製したラセミ化合物15.4gを、溶離液を20%イソプロパノール/ヘキサンとするChiralcel ODカラムを用いたキラルHPLCによって精製し、7.6gの所望のエナンチオマーを得た。Chiral HPLC 100%は、 100%ee (enantioenriched=エナンチオ濃縮された)を意味する。HPLC=100%。MS:m/z=291(M−H)
【0197】
実施例35
4−(1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0198】
【化35】

原料アルコールとして、以下のように調製した1−ピリジン−2−イル−エタノールを用い、実施例22と同様の方法で標題化合物を調製して、93.2%の収率を得た。HPLC>99.0%。MS:m/z=291(M−H)
【0199】
1−ピリジン−2−イル−エタノール
2−アセチルピリジン(1.0g、8.26mmol)を無水メタノール(20mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.62g、16.51mmol)で処理した後、常温で18時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、蒸発させた後、クロマトグラフ(ヘキサン中の酢酸エチルに50%から100%のグラジエントをかける)にかけて、0.57g(56.1%)の標題化合物を得た。MS:m/z=124(M+H)
【0200】
実施例36
(R)−(+)−4−(1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0201】
【化36】

原料アルコールが(R)−2−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン(3.58g、29.1mmol)である以外は、実施例35の手順に従って、(R)−(+)−4−(1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを調製した。クロマトグラフ(ヘキサン中の酢酸エチルに0%から50%のグラジエントをかける)にかけた後、4.35g(56.5%)の標題化合物を回収した。HPLC=100%。MS:m/z=291 (MH)
【0202】
標題化合物を調製するための別の方法を用いて、キラルHPLC(溶離液を20%イソプロパノール/ヘキサンとするChiralcel ODカラムを使用)により実施例35で調製したラセミ化合物を精製し、88.8mgの所望のエナンチオマーを得た(保持時間(+)13.491分;(−)11.390分)。Chiral HPLC=99.96、HPLC=96.3 %。 MS:m/z=291(MH)
【0203】
実施例37
3−クロロ−4−(1−メチル−1−フェニル−エトキシ)−ベンゾニトリル
【0204】
【化37】

2−フェニル−2−プロパノール(0.191g、14.0mmol)を10mLのDMFに溶解し、0℃に冷却した。NaH(鉱油中60%、0.062g、15.0mmol)を加えて、この混合物を10分間攪拌した。3−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(0.200g、13.0mmol)を加えた後、反応物を週末にかけて攪拌した。反応混合物を100mLの氷水に注ぎ、激しく攪拌した。固体沈澱物を濾過し、真空乾燥して、0.106gの灰白色の固体を得た。(mp=60−62°C,LCMS=91%純度)。
【0205】
実施例38
(R)−3−クロロ−4−(1−フェニル−エトキシ)−ベンゾニトリル
【0206】
【化38】

原料アルコールがR−(+)−1−フェニル−エタノールである以外は、実施例37に記載したとおりに行い、(R)−3−クロロ−4−(1−フェニル−エトキシ)−ベンゾニトリルを調製した。DMFに溶解した粗反応混合物を100mLの氷水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗浄した後、ブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮して、無色の油状物を得た。LCMS純度=69%.CHN 計算値 C 69.91% H 4.69% N 5.43%, 実測値 C 69.02% H 5.11% N 5.25% 水 0.40%。
【0207】
実施例39
(S)−3−クロロ−4−(1−フェニル−エトキシ)−ベンゾニトリル
【0208】
【化39】

出発物質がR−(+)−1−フェニル−エタノールの代わりにS−(−)−1−フェニル−エタノールである以外は、実施例38に記載したとおりに行い、(S)−3−クロロ−4−(1−フェニル−エトキシ)−ベンゾニトリルを調製した。LCMS純度=93%。CHN 計算値 C 69.91% H 4.69% N 5.43%, 実測値 C 70.05% H 5.07% N 5.04% 水 0.40%。
【0209】
実施例40
3−クロロ−4−(3−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゾニトリル
【0210】
【化40】

出発物質として3−メチルベンジルアルコールを用いて、実施例37に記載したとおりに行い、3−クロロ−4−(3−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゾニトリルを調製した。標題化合物を白色固体として回収した(mp=73−75°C,LCMS=100% 純度,M=256)。
【0211】
実施例41
3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−ベンジルオキシ)−ベンゾニトリル
【0212】
【化41】

出発反応物として3−トリイソプロピルシラノキシ−ベンジルアルコールおよび3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリルを用いて、実施例1のようにして、3−クロロ−4−(3−ヒドロキシ−ベンジルオキシ)−ベンゾニトリルを調製した。このカップリング反応の生成物(2.62mmol)を10mLのTHFに溶解した後、3.9mLのフッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1.0M)、および0.15mLの酢酸を加え、室温で一晩攪拌した。この反応混合物を100mLの氷水に注いだ後、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水で2回抽出した後、ブラインで1回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、回転エバポレーターにかけて、粗黄色油状物を得た。この油状物をシリカゲルのクロマトグラフ(20%酢酸エチル/クロロホルム)にかけて、0.1466gの無色油状物を得た。(分析: CHN 計算値 C 64.75% H 3.88% N 5.39%; 実測値 C 63.62% H 3.40% N 5.07% 水 0.64%)。LCMS純度=84%。
【0213】
実施例42
3−クロロ−4−(1−メチル−1,2−ジフェニル−エトキシ)−ベンゾニトリル
【0214】
【化42】

出発物質として1−メチル−1,2−ジフェニル−エタノールおよび3−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリルを用いて、実施例41に記載したとおりに行い、3−クロロ−4−(1−メチル−1,2−ジフェニル−エトキシ)−ベンゾニトリルを調製した。生成物は黄色の油状物であった。LCMS純度=80%。
【0215】
実施例43
2−クロロ−4−(シクロプロピル−フェニル−メトキシ)−ベンゾニトリル
【0216】
【化43】

シクロプロピル−フェニル−メタノール(24mg)のTHF(150μL)溶液に、室温で、150μLのtert−ブトキシドの1.0M THF溶液を加えた。この混合物を15分間攪拌した後、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(23mg)のTHF(150μL)溶液にシリンジで移した。反応物を室温で16時間振盪し、濃縮、250μLのDMFで希釈、濾過した後、逆相クロマトグラフィー(島津社製準分取HPLC)により精製して、9mg(20%)の標題化合物を無色油状物として得た。GC/MS:m/z=283 (計算値 283.1)。
【0217】
実施例44
2−クロロ−4−(1−フェニル−プロポキシ)−ベンゾニトリル
【0218】
【化44】

1−フェニル−プロパン−1−オール(21mg)のTHF(150μL)溶液に、室温で、150μLのtert−ブトキシドの1.0M THF溶液を加えた。この混合物を15分間攪拌した後、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(23mg)のTHF(150μL)溶液にシリンジで移した。反応物を室温で16時間振り、濃縮、250μLのDMFで希釈、濾過した後、逆相クロマトグラフィー(島津社製準分取HPLC)により精製して、7mg(17%)の標題化合物を無色油状物として得た。GC/MS:m/z=271(計算値 271.1)。
【0219】
実施例45〜71
実施例45〜71の化合物を、反応スキーム1の一般的な合成方法を用いて、コンビナトリアル化学により調製した。
【0220】
反応物1は、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ベンゾニトリル、4−フルオロ−2−(クロロ)−ベンゾニトリル、または4−フルオロ−3−(クロロ)−ベンゾニトリルのいずれかである。もう1つの反応物は、構造式2で示される適当なアルコールである。種々のコンビナトリアル法を用いた。それぞれの詳細については以下に記載する。以下の例では、化合物の製法、精製法、特性評価法を説明するために、それぞれの方法を表す記号を用いている。
【0221】
コンビナトリアル法
I)合成法
A法:
対応するフッ化アリールの0℃1Mテトラヒドロフラン「THF」(0.3mmol)溶液0.33mLに、カリウムt−ブトキシドの1M THF(0.6mmol)溶液0.6mLおよび対応するアルコール(0.3mmol)の1M THF溶液0.3mLを加えた。得られた混合物を振盪し、室温で約18時間温めた。溶媒をGenevac HT−12を用いて真空除去し、サンプルを得た後、それを逆相HPLCにより精製した。
【0222】
B法:
対応するフッ化アリールの0℃0.3Mテトラヒドロフラン「THF」(0.3mmol)溶液1mLに、カリウムt−ブトキシドの1M THF(0.6mmol)溶液0.6mLおよび対応するアルコール(0.3mmol)の1M THF溶液0.3mLを加えた。得られた混合物を振盪し、室温で約72時間温めた。溶媒をGenevac HT−12を用いて真空除去し、サンプルを得た後、それを逆相HPLCにより精製した。
【0223】
C法:
対応するフッ化アリールの0.3Mテトラヒドロフラン「THF」(0.3mmol)溶液1mLに、水素化ナトリウム(60%)の0.63M THF(0.63mmol)スラリー溶液1mLおよび対応するアルコール(0.3mmol)の1.0M THF溶液0.3mLを加えた。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を、メタノールおよびマクロ多孔性のp−トルエンスルホン酸樹脂(0.32mmol、1.53mmol/g充填)で急冷した。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を濾過し、THFですすいだ。溶媒をGenevac HT−12を用いて真空除去し、サンプルを得た後、それを逆相HPLCにより精製した。
【0224】
D法:
対応するフッ化アリールの0.25M N,N’−ジメチルホルムアミド「DMF」(0.25mmol)溶液1mLに、水素化ナトリウム(60%)の0.25M THF(0.25mmol)スラリー溶液1mLおよび対応するアルコール(0.25mmol)の1M THF溶液0.25mLを加えた。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を、メタノールおよびマクロ多孔性のp−トルエンスルホン酸樹脂(0.3mmol、1.53mmol/g充填)で急冷した。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を濾過し、THFですすいだ。溶媒をGenevac HT−12を用いて真空除去し、サンプルを得た後、それを逆相HPLCにより精製した。
【0225】
E法:
対応するフッ化アリールの0.3M DMF(0.3mmol)溶液1mLに、水素化ナトリウム(60%)の0.6M DMF(0.6mmol)スラリー溶液1mLおよび対応するアルコール(0.33mmol)の1M THF溶液0.33mLを加えた。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を、メタノールおよびマクロ多孔性のp−トルエンスルホン酸樹脂(0.61mmol、4.07mmol/g充填)で急冷した。得られた混合物を室温で約18時間振盪した。反応物を濾過し、メタノールですすいだ。溶媒をGenevac HT−12を用いて真空除去し、サンプルを得た後、それを逆相HPLCにより精製した。
【0226】
F法:
対応するフッ化アリール(0.2mmol)および対応するアルコール(0.200mmol)のDMF(1mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%)の0.6M DMF(0.3mmol)スラリー溶液0.5mLを加えた。得られた混合物を室温で約48時間振盪した。反応物を水(0.5mL)で急冷した。溶媒を真空下で蒸発させた。濃縮した反応混合物に塩化メチレン(3mL)および水(2mL)を加えた。有機層をシリカ(0.5g)固相抽出カラムを通して濾過し、蒸発させ、得られた物質を逆相HPLCにより精製した。
【0227】
II)HPLC法(高速液体クロマトグラフィー)
A法:
カラム:BHK 30×100mm ODS−O/B 5mm C−18。
【0228】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−6分:100%B;6−10分:100%A
B法:
カラム:BHK 30×100mm ODS−O/B 5mm C−18。
【0229】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−7分:100%A;7−10.5分:100%B
C法:
カラム:YMC 30×100mm ODS−A 5mm C−18。
【0230】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−7分:10%A,90%B;7−10分:100%A
D法:
カラム:YMC 30×100mm ODS−A 5mm C−18。
【0231】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−6分:10%A,90%B;6−10.5分:100%A
E法:
カラム:BHK 30×100mm ODS−OB 5mm C−18。
【0232】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−6.5分:15%A,85%B;6.5−10.5分:100%A
F法:
カラム:YMC 30×100mm ODS−A 5mm C−18。
【0233】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−6.5分:10%A,90%B;6.5−10.5分:100%A
G法:
カラム:Xterra 30×100mm ODS−A 5mm C−18。
【0234】
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/3%1−プロパノール;B=水w/3%1−プロパノール
方法:0−7.5分:15%A,85%B;7.5−10.5分:100%A
H法:
カラム:Sunfire 19×100 mm Prep C18 5micron
流量:30mL/分
溶媒:A=アセトニトリルw/0.1%蟻酸;B=水w/0.1%蟻酸
方法:0−1分:25%A;1−7.5分:25%Bから100%B
III)LCMS(液体クロマトグラフ質量分析)法
A法:
LCMS:Lunc Phenyl Hexyl 50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/10mM酢酸アンモニウム;B=アセトニトリルw/0.005M蟻酸,方法:0−2分:80%A,20%B;2−4.1分:2%A,98%B;4.1−6分:80%A,20%B
B法:
LCMS:YMC ODS−AQ 50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/10mM酢酸アンモニウム;B=アセトニトリルw/0.005M蟻酸,方法:0−3分:90%A,10%B;3−5.1分:2%A,98%B;5.1−7分:90%A,10%B
C法:
LCMS:YMC Pack Pro C18,50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/0.1M蟻酸;B=アセトニトリルw/0.1M蟻酸,方法:0−1.5分:95%A,5%B;1.5−4.1分:2%A,98%B;4.1−7分:95%A,5%B。
【0235】
D法:
LCMS:YMC ODS−AQ,50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/0.1M蟻酸;B=アセトニトリルw/0.1M蟻酸,方法:0−2.5分:80%A,20%B;2.5−5.1分:2%A,98%B;5.1−7分:80%A,20%B。
【0236】
E法:
LCMS: Atlantis C18, 50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/0.1M蟻酸;B=アセトニトリルw/0.1M蟻酸,方法:0−3分:85%A,15%B;3−5.1分:2%A,98%B;5.1−7分:85%A,15%B。
【0237】
F法:
LCMS:Atlantis C18,50mm×4.6mm,3mmカラム(溶媒:A=水w/0.1M蟻酸;B=アセトニトリルw/0.1M蟻酸,方法:0−2.5分:80%A,20%B;2.5−5.1分:2%A,98%B;5.1−7分:80%A,20%B。
【0238】
G法:
LCMS:Alltech Alltima C18,150mm×3.2mm,5mmカラム(溶媒:A=水w/0.1M蟻酸;B=アセトニトリルw/0.1M蟻酸,方法:0−6分:65%A,35%B;6−8.1分:2%A,98%B;8.1−10分:65%A,35%B。
上記のコンビナトリアル法によって調製した化合物を、以下の表Iに示す。保持時間:分
【0239】
【表1】

【0240】
【表2】

【0241】
【表3】

【0242】
【表4】

【0243】
【表5】

【0244】
【表6】

【0245】
【表7】

【0246】
【表8】

【0247】
【表9】

【0248】
【表10】

実施例72
4−[1−(5−メトキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0249】
【化45】

【0250】
【化46】

工程A−グリニア交換反応
3−ブロモ−5−メトキシピリジン(1.00g、5.32mmol)および塩化イソプロピルマグネシウム(2.19g、21.3mmol)をTHF(20mL)中で2時間攪拌した。LC/MSによって臭素が失われていることが判明した。次いで、反応物を−21℃に冷却し、アセチルアルデヒド(2.34g、53.19mmol)を加えた。反応物を室温に温め、一晩攪拌した。次いで、THFを除去した。反応物に水(100mL)を加えた後、塩化メチレンを用いて、生成物を抽出した(75mL、3回)。塩化メチレン層をブライン(75mL)で洗浄した。塩化メチレン層を乾燥、濃縮して、粗生成物を得た。この生成物をシリカカラム(2400mL Hex:EtOAc (5:1)に続いて、100% EtOAcを使用)に通した。生成物A(0.503g、収率61.74%)を集めて、濃縮した。
【0251】
工程B−エーテル生成
化合物A(0.503g、3.28mmol)、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(0.68g、3.6mmol)および炭酸セシウム(1.2g、3.6mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解し、窒素雰囲気下で2日間攪拌した。次いで、炭酸セシウムを濾別し、酢酸エチルで洗浄した。反応混合物を濃縮し、シリカカラムとヘキサン:EtOAc(3:1)を用いて、クロマトグラフにかけた。所望の画分を濃縮して、化合物72(0.325、収率31%)を得た。純度99.5%(CHNによる)。計算値 炭素 59.63, 水素 4.07, 窒素 8.69. 実測値 C 59.26, H 4.05, N 8.57。
【0252】
実施例73
4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0253】
【化47】

スキーム5に従って、4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリルを調製した。
【0254】
【化48】

工程A−ホフマン転位
水(200mL)に水酸化ナトリウム(23.88g、597mmol)を溶解した溶液に、臭素(18.76g、117.4mmol)を加えた。この溶液に5−ブロモニコチンアミド(20.00g、99.49mmol)を加えた。反応混合物を75℃で45分間加熱した。反応物を冷却し、濃塩酸で酸性にした。多少の不溶性物質が存在した。不溶性物質を濾過によって除去した。この溶液を酢酸エチルで洗浄した(150mL、2回)。この水溶液を、水酸化ナトリウム溶液で塩基性にした(pH10)。この混合物を、酢酸エチルで抽出した(200mL、2回)。酢酸エチルを乾燥、濃縮して、化合物A(10.07g、収率58.5%)を得た。
【0255】
工程B−ジアザ化
化合物A(10.00g、57.8mmol)を、Journal of the American Chemical Society, 1973, 95(22), 7458-7464に概説された手順に従って、化合物B(9.46g、収率94%)に転化した。
【0256】
工程C−保護
化合物B(0.50g、2.87mmol)をTHF(50mL)に溶解し、0℃に冷却することによって、化合物Bのヒドロキシル基をMEMエーテルとして保護した。次いで、水素化ナトリウム(0.15g、3.74mmol)を加え、反応物を10分間攪拌した。次いで、MEM塩化物(0.57g、4.60mmol)を加え、反応物を0℃で5分間攪拌した後、反応物を室温に温め、一晩攪拌した。次いで、水(150mL)を加え、反応物をEtOAcで抽出(100mL、3回)した後、EtOAcを飽和NaHCO(100mL)、およびブライン(100mL)で洗浄した。EtOAcを乾燥、濃縮して、化合物C(0.68g、収率90.28%)を得た。
【0257】
工程D−グリニア交換反応
工程Dでは、塩化イソプロピルマグネシウムと交換することによりピリジルグリニア試薬を生成した後に、このグリニア試薬とアセチルアルデヒドを反応させるグリニア交換反応について説明する。化合物C(0.49g、1.87mmol)および塩化イソプロピルマグネシウム(0.77g、7.5mmol)をTHF(20mL)中で2時間攪拌した。LC/MSによって臭素が失われたことが確認された。次いで、反応物を−21℃に冷却し、アセチルアルデヒド(0.82g、18.7mmol)を加えた。反応物を室温に温め一晩攪拌した。次いで、THFを真空下で除去した。反応物に水(100mL)を加えた後、塩化メチレンを用いて生成物を抽出した(75mL、3回)。塩化メチレン層をブライン(75mL)で洗浄した。塩化メチレンを乾燥、濃縮し、生成物D(0.43g、収率59%)を得て、これをさらに精製することなく用いた。
【0258】
工程E−エーテル生成
化合物D(3.00g、13.20mmol)、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(2.75g、14.5mmol)および炭酸セシウム(4.7g、14.5mmol)をアセトニトリル(30mL)に溶解し、窒素雰囲気下で2日間攪拌した。次いで、炭酸セシウムを濾別し、酢酸エチルで洗浄した。反応混合物を濃縮し、シリカカラムとヘキサン:酢酸エチル(1:1)を用いて、クロマトグラフにかけた。所望の画分を濃縮して、化合物Eを得た。
【0259】
工程F−脱保護
化合物E(3.41g、8.6mmol)を、THF(35mL)、メタノール(35mL)、および2N HCl(35mL)に溶解した。LC/MSで出発物質が存在しないことが確認されるまで、反応物を室温で攪拌した。次いで、反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(8%溶液100mL)に加えた。この混合物を酢酸エチルで抽出した(100mL、3回)。酢酸エチルを乾燥、濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物を、溶離液を酢酸エチルとするシリカカラムに通して、73(2.64g、99.5%)を純度95%(LCMSによる)で得た。M+1=309.1。
【0260】
実施例74
(+)4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル
【0261】
【化49】

実施例73に記載した方法で、実施例74の化合物を調製した。実施例73のラセミ生成物を、Hex:EtOH(9:1)を用いて(流量:10mL/分)、chiralpak ASカラムに通して、その(+)および(−)エナンチオマーを得た。保持時間:(+)=16.2分;(−)=12.18分。比旋光度=(+)-59.5(メタノール中、589nm)。
【0262】
実施例75
4−[2−(4−シアノ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0263】
【化50】

4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(3g、15.9mmol)および4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ベンゾニトリル(2.3g、15.9mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%鉱油中分散物、0.890g、33.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した。1時間後、10mLの水を加え、過剰の水素化ナトリウムを急冷した。反応混合物を150mLの酢酸エチルに溶解し、250mL分のブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、真空下で蒸発させた。残渣を、SiOを通す(ヘキサン中の酢酸エチルに5%から40%のグラジエントの)クロマトグラフにかけて、4−[2−(4−シアノ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(2.11g)を得た。(分析: C17H11F3N2O: 理論値 C: 64.56, H: 3.51, N: 8.86; 実測値 C 63.69, H 3.34, N 8.67)。
【0264】
実施例76
4−[2−(4−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0265】
【化51】

原料アルコールが2−(4−メトキシ−フェニル)−エタノールである以外は、実施例1に記載したとおりに行い、実施例76の化合物を調製した。LCMS純度>99%。CHN 計算値 CHN 計算値 C: 63.55%, H: 4.39%, N: 4.36; 実測値 C: 63.44%, H: 4.20%, N: 4.32% (C17H14F3NO2)。
【0266】
実施例77
4−[2−(3−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0267】
【化52】

構造式2の原料アルコールが2−(3−メトキシ−フェニル)−エタノールである以外は、実施例1に記載したとおりに行い、実施例77の化合物を調製した。LCMS純度>99%。CHN 計算値 C: 63.55%, H: 4.39%, N: 4.36; 実測値 C: 63.41%, H: 4.18%, N: 4.31% (C17H14F3NO2)。
【0268】
実施例78
4−[1−(3−シアノ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0269】
【化53】

原料アルコールとして、以下に説明するとおりに調製した3−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾニトリル(8.81g、59.9mmol)を用い、スキーム1の方法により、4−[1−(3−シアノ−フェニル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを調製した。クロマトグラフィー(ヘキサン中の酢酸エチルに0%から50%のグラジエントをかける)にかけた後、標題化合物のラセミ体を16.1g(85%)得た。ラセミ物質の一部を、Chiralcel ODカラム(溶離液を20%イソプロパノール/ヘキサンとする)を用いたchiral HPLCによって精製し、257.6mgの所望のエナンチオマーを得た((+)保持時間13.506分;(−)保持時間11.544分)。Chiral HPLC=99.9%。HPLC=98.6%。MS:m/z=315(MH)
【0270】
3−(1−ヒドロキシエチル)ベンゾニトリル
3−アセチルベンゾニトリル(12.5g、86.3mmol)を無水メタノール(100mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(6.53g、172.6mmol)で処理した後、常温で18時間攪拌した。塩化アンモニウム飽和溶液を加え、この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、蒸発させた後、クロマトグラフ(ヘキサン中の酢酸エチルに50%から100%のグラジエントをかける)にかけて、8.81g(69.4%)の標題化合物を得た。MS:m/z=148(M+H)
【0271】
実施例79
4−(1−ピリジン−2−イル−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0272】
【化54】

工程1−ケトンの還元
溶媒として1−フェニル−プロパン−1−オンおよびエタノールを用い、実施例6におけるスキーム2の工程Bの一般的な方法により、1−ピリジン−2−イル−プロパン−1−オールを調製した。反応物を室温で約18時間攪拌した。得られた油状物を、さらに精製することなく工程2で用いた。
【0273】
工程2−エーテル生成
溶媒としてTHFを用い、かつ、出発物質が1−ピリジン−2−イル−プロパン−1−オールである以外は、実施例72におけるスキーム4の工程Bに記載した方法により、標題化合物を調製した。反応物を60℃で約18時間加熱した。MS:m/z=307.1(MH+)。元素分析:理論値C: 62.74, H: 4.28, N: 9.15; 実測値 C: 62.46, H: 4.02, N: 9.05。
【0274】
実施例80
4−[1−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−エトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0275】
【化55】

工程1−アルデヒドへの求核付加反応
2−ブロモ−6−メトキシピリジン(3.06g、16.3mmol)をTHFに溶解した無色溶液を−78℃に冷却した。BuLi(20mmol、1.2当量)を約15分かけて加え、反応物を−78℃で1時間攪拌した。アセトアルデヒド(1.1当量)を加え、反応物を1時間攪拌した後、室温に温めて一晩攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水で急冷した後、EtOAcで希釈した。水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥(MgSO)、濃縮した。粗生成物を、50%エーテル/ヘキサンを用いたCombiFlashフラッシュクロマトグラフ法によって精製し、1.97g(79%)の1−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−エタノールを橙赤色油状物として得た。
【0276】
工程2−エーテル生成
1−ピリジン−2−イル−プロパン−1−オールの代わりに1−(6−メトキシ−ピリジン−2−イル)−エタノールを用い、実施例79と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=323.1(MH+)。元素分析: (C16H13F3N2O2・0.03H2O): 理論値 C: 59.53, H: 4.08, N: 8.68; 実測値 C: 59.13, H: 3.85, N: 8.55。
【0277】
実施例81
4−(1−ピリジン−2−イル−ブトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0278】
【化56】

出発物質として2−ブロモピリジンおよびブチルアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=321.1(MH+)。HPLC=94%。
【0279】
実施例82
4−(2−フェニル−1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0280】
【化57】

出発物質として2−ブロモピリジンおよびフェニル−アセトアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=369.6(MH+)。HPLC=100%。
【0281】
実施例83
4−(3−メチル−1−ピリジン−2−イル−ブトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0282】
【化58】

出発物質として2−ブロモピリジンおよび3−メチル−ブチルアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=335.2(MH+)。HPLC,100%。
【0283】
実施例84
4−(1−ピリジン−2−イル−ペンチルオキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0284】
【化59】

出発物質として2−ブロモピリジンおよびペンタナールを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=335.5(MH+)。元素分析: (C18H17F3N2O・0.32H2O): 理論値 C: 63.57, H: 5.23, N: 8.24; 実測値 C: 63.20, H: 4.93, N: 8.20。
【0285】
実施例85
4−[3−メチル−1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ブトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0286】
【化60】

出発物質として2−ブロモ−6−メチル−ピリジンおよび3−メチル−ブチルアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=349.4(MH+)。HPLC=95.6%。
【0287】
実施例86
4−[1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ブトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0288】
【化61】

出発物質として2−ブロモ−6−メチル−ピリジンおよびブチルアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=335.4(MH+)。元素分析: 理論値 C: 64.66, H: 5.13, N: 8.38; 実測値 C: 64.51, H: 5.00, N: 8.26。
【0289】
実施例87
4−[1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−プロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0290】
【化62】

出発物質として2−ブロモ−6−メチル−ピリジンおよびプロピオンアルデヒドを用い、実施例80と同様の方法で標題化合物を調製した。MS:m/z=321.4(MH+)。HPLC=100%。元素分析: 理論値 C: 63.675, H: 4.72, N: 8.75; 実測値 C: 64.72, H: 4.01, N: 8.53。
【0291】
実施例88〜95
実施例88〜95では、次の分析用LCMSを用いた:
Phenomenex Luna C18 4.6×150mm 5uM, 流量=1.5 mL/分;8分で10%から90%アセトニトリル+0.1%蟻酸/水+0.1%蟻酸にグラジエントをかけ、1.5分間90%アセトニトリル+0.1%蟻酸/水+0.1%蟻酸で保持する。
【0292】
実施例88
4−(3−メチル−1−ピリジン−3−イル−ブトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0293】
【化63】

工程1−スキーム4A:ケトンの還元
実施例72におけるスキーム4の工程Aの一般的な方法により、3−メチル−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オールを調製した。3−ブロモピリジン(0.5g、3.16mmol)の乾燥THF(20mL)溶液を窒素雰囲気下、−20℃で攪拌した後、塩化イソプロピルマグネシウム(1.0g、13mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間温めた。この反応混合物を−20℃に冷却した後、イソバレルアルデヒド(2.7g、31mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩温めた。この反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで抽出した後、飽和塩化アンモニウムおよび飽和NaHCOで洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥した。得られた油状物を、さらに精製することなく工程2で用いた。MS:m/z=166(MH+)。
【0294】
工程2−エーテル生成
出発物質として3−メチル−1−ピリジン−3−イル−ブタン−1−オールを用い、実施例72におけるスキーム4の工程Bに記載した方法により、標題化合物を調製した。反応物を60℃で16時間加熱した;次いで、この混合物を80℃で24時間加熱した後、後処理を行った。LCMS:m/z=335(C1817Oの(MH+))LCMS:保持時間:2.95分、純度=94.1%。
【0295】
実施例89
4−[3−メチル−1−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−ブトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0296】
【化64】

工程1−アルデヒドへの求核付加反応
2−ブロモ−6−メトキシピリジンの代わりに2−ブロモ−5−メチルピリジンを用い、実施例80の一般的な方法により、3−メチル−1−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−ブタン−1−オールを調製した。反応混合物を室温で一晩温めた後、1mLの水で急冷した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで抽出した後、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥し、粗生成物を直接次の工程で用いた。MS:m/z=180(MH+)。
【0297】
工程2−エーテル生成
1−ピリジン−2−イル−プロパン−1−オールの代わりに3−メチル−1−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−ブタン−1−オールを用い、実施例79と同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=349 (MH+),LCMS:保持時間=2.1分、純度=87.9%。
【0298】
実施例90
4−(1−ピリジン−3−イル−プロポキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0299】
【化65】

出発物質として3−ブロモピリジンおよびプロピオンアルデヒドを用い、実施例89と同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=307(MH+)。LCMS:保持時間=2.0分、純度=98.8%。
【0300】
実施例91
4−(2−フェニル−1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0301】
【化66】

出発物質として3−ブロモピリジンおよびプロピオンアルデヒドを用い、実施例89と同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=369(MH+)。LCMS:保持時間=2.5分、純度=97.2%。
【0302】
実施例92
4−{1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−プロポキシ}−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0303】
【化67】

出発物質として1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−ブタン−1−オールおよび4−フルオロ−2−トリフルオロメチルベンゾニトリルを用い、実施例72におけるスキーム4の工程Bと同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=425(MH+)。LCMS:保持時間=2.9分、純度=98.5%。
【0304】
実施例93
4−{1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−3−メチル−ブトキシ}−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0305】
【化68】

出発物質として1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−3−メチル−ブタン−1−オールおよび4−フルオロ−2−トリフルオロメチルベンゾニトリルを用い、実施例72におけるスキーム4の工程Bと同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=439(MH+)。LCMS:保持時間=3.2分、純度=100%。
【0306】
実施例94
4−[1−(5−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−プロポキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0307】
【化69】

粗4−{1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−プロポキシ}−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(4.5g)を3N塩酸(20mL)、メタノール(20mL)、およびTHF(20mL)に溶解した溶液である反応混合物を、50℃で16時間加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。この粗反応混合物を、BIOTAGEシステム(酢酸エチル/ヘキサンに5%から55%のグラジエントをかける)を用いて精製し、所望の生成物(2.34g)を得た。LCMS:m/z=321(MH+)。LCMS:保持時間=1.2分、純度=98.8%。
【0308】
実施例95
4−[1−(5−ヒドロキシ−ピリジン−3−イル)−ブトキシ]−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【0309】
【化70】

出発物質として4−{1−[5−(2−メトキシ−エトキシメトキシ)−ピリジン−3−イル]−プロポキシ}−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルおよび4−フルオロ−2−トリフルオロメチルベンゾニトリルを用い、実施例94と同様の方法により、標題化合物を調製した。LCMS:m/z=337(MH+)。LCMS:保持時間=1.5分、純度=98.3%。
【0310】
実施例96
AR結合試験
式Iの化合物は、アンドロゲン受容体に対する親和性を有する。この親和性は、ヒト受容体を用いて、選択された化合物に対して立証された。以下にその試験方法を説明する。
【0311】
トレーサーとして固定濃度のH−ジヒドロテストステロン(H−DHT)を用い、異なる濃度の試験薬の存在あるいは非存在下でhAR抽出物を生成するバキュロウイルス/Sf9について、競合結合分析を実施した。この結合試験法は、以前から説明されている手順を改良したものである(Liao S., et. al., J. Steroid Biochem., 20:11-17, 1984)。要約すると、徐々に濃度を下げた化合物を、hAR抽出物(Chang et al., P.N.A.S., Vol. 89, pp. 5546-5950, 1992)、ヒドロキシルアパタイト、および1nMのH−DHTの存在下、4℃で1時間インキュベートする。続いて、結合反応物を3回洗浄して、過剰の非結合H−DHTを完全に除去する。hAR結合H−DHTレベルを、化合物の存在下(すなわち、競合結合)で測定し、競合物が存在しない時(すなわち、最大結合)の結合レベルと比較する。hARと結合親和性のある化合物を、最大結合の半分が抑制される化合物の濃度として表す。以下の表IIに、選択された化合物に対して得られた結果を示す(報告データは、以下に示すように多数の試験の平均値である)。
【0312】
【表11】

【0313】
【表12】

【0314】
【表13】

【0315】
【表14】

【0316】
【表15】

【0317】
【表16】

【0318】
【表17】

【0319】
【表18】

【0320】
【表19】

【0321】
【表20】

【0322】
【表21】

【0323】
【表22】

【0324】
【表23】

実施例97
アンドロゲン受容体に及ぼすアンドロゲンの効果に拮抗しうる化合物を、以下に示すような全細胞検定で測定した。
【0325】
AR拮抗薬細胞検定の実験手順
細胞株:MDA−MB453−MMTVクローン54−19。この細胞株は、MDA−MB453細胞背景を有するトランスフェクトされた安定な細胞株である(アンドロゲン受容体を発現するヒト乳房腫瘍細胞株)。まず、AREを含むMMTV最小プロモーターを、ホタルのルシフェラーゼレポーター遺伝子の前でクローン化した。次いで、カスケードをトランスフェクションベクターpUV120puroの中にクローン化した。電気穿孔法を用いて、MDA−MB453細胞をトランスフェクトした。プロマイシン耐性安定細胞株を選択した。
【0326】
細胞培養培地および試薬
培養培地:DMEM(高グルコース、Gibco cat No.: 11960−044)、10%FBS、および1%L−グルタミン
プレート培地:DMEM(フェノールレッド非含有)、活性炭処理した10%HyClone血清、1%L−グルタミン
アッセイ培地:DMEM(フェノールレッド非含有)、活性炭処理した1%HyClone血清、1%L−グルタミン、および1%ペニシリン/ストレプトマイシン
3Xルシフェラーゼ緩衝剤:2%β−メルカプトエタノール、0.6%ATP、0.0135%ルシフェリン/細胞溶解緩衝液
検定手順
細胞を培養培地で維持し、細胞が80〜90%の集密度に達すると分割する。
【0327】
化合物を試験するために、10,000細胞/ウェルを不透明な96細胞培養プレート上の100μL/ウェルプレート培地の中に植えて、37℃の細胞培養インキュベーター内で一晩培養する。慎重にプレート培地を取り除いた後、80μL/ウェルの加温前アッセイ培地を加え、10μL/ウェルの試験化合物を加えて(最終濃度1000nM,200nM,40nM,8nM,1.6nM,および0.32nM)、37℃で30分間インキュベートする。
【0328】
それぞれのウェルに、新たに調製したDHTを10μL/ウェル加え(最終濃度100pM)、37℃で17時間(一晩)インキュベートする。
【0329】
50μL/ウェルの3Xルシフェラーゼ緩衝剤を加え、室温で5分間インキュベートした後、ルミノメーターでカウントする。
【0330】
試験化合物の非存在下において、100pMのDHTによる背景一面の発光量を100%として標準化し、実験結果を試験化合物による抑制のパーセンテージで表す。
【0331】
結果を以下の表IIIに示す。結果は、以下に示すように多数の試験の平均値として報告する(試験回数を脚注に示す)。NDは、その化合物は試験しなかったことを意味する。
【0332】
【表24】

【0333】
【表25】

【0334】
【表26】

【0335】
【表27】

【0336】
【表28】

【0337】
【表29】

【0338】
【表30】

【0339】
【表31】

【0340】
【表32】

【0341】
【表33】

【0342】
【表34】

【0343】
【表35】

【0344】
【表36】

実施例98
皮脂生成抑制のための動物モデル
Luderschmidtらは、Arch. Derm. Res., 258, 185-191 (1977)で、化合物に皮脂分泌を調節する能力があるかどうかを試験するための動物モデルについて述べている。このモデルとして、耳に皮脂腺を有する雄のシリアンハムスターを用いる。結合データおよび細胞アッセイデータに基づいて、このモデルでスクリーニングするために選択すべき化合物を選んだ。これらの化合物としては、実施例1、20、81、82、および109の生成物が挙げられる。
【0345】
皮脂抑制のための試験は、以下の方法で行った。
生後9週から10週の雄のシリアンハムスターを実験室環境に取り入れ、新しい環境に2週間慣らしてから研究に用いた。それぞれのグループは5匹からなり、媒体対照および陽性対照を用いて同時に行った。投与する前に、十分な量のそれぞれの化合物を、エタノール、トランスカトール、およびプロピレングリコールからなる溶媒1mL(60/20/20%v/v/v)に溶解し、下記の表IVに明記した最終濃度に調整した。
【0346】
2回/日、5日/週で4週間、動物に局所的に投薬した。1回の用量は、25μLの媒体対照または薬剤からなる。この用量を左右両耳の腹面に塗布した。全ての動物を、最終投薬後約18〜24時間で屠殺した。それぞれの動物から右耳を集め、皮脂分析に用いた。
【0347】
これらの耳は、以下の方法でHPLC分析に備えた。サンプル領域を標準化するために、耳の中の解剖学上の「V」マークのすぐ上から、1つ8mmの遠位生検パンチを採取した。生検パンチをバラバラにした。腹部生検表面(局所用量を皮脂腺に直接塗布する領域)を試験のために保持し、生検パンチの背面は廃棄した。
【0348】
組織サンプルを窒素ガスでブローし、HPLC分析を行うまで窒素雰囲気下、−80℃で保管した。耳のサンプルの他に、それぞれの薬剤および媒体対照(少なくとも250μL)のアリコートも、HPLC分析で用いるため−80℃で保管した。
【0349】
組織サンプル抽出物のHPLC分析を行った。組織サンプルを3mLの溶媒(2,2,4−トリメチルペンタンとイソプロピルアルコールの4:1混合溶媒)と接触させた。この混合物を15分間振盪した後、光を遮断して室温で一晩保管した。翌朝、このサンプルに1mLの水を加え、15分間振盪した。次いで、このサンプルを1500rpmで15分間遠心分離器機にかけた。2mLの有機層(上層)をガラス瓶に移し、窒素雰囲気下、37℃で約1時間乾燥した後、約48時間凍結乾燥した。次いで、このサンプルを凍結乾燥機から取り出し、それぞれのガラス瓶に600μLの溶媒A(トリメチルペンタン/テトラヒドロフラン(99:1))を入れて戻した。次に、このサンプルに再度栓をし、5分間攪拌した。
【0350】
次いで、それぞれ200μLのサンプルを、200μLのガラスインサートを用いて200μLのHPLC用プレラベル瓶に移した。このHPLC用ガラス瓶を、Agilent 1100 series HPLC装置の自動サンプリングトレイに置いた。Agilent 1100 series HPLC装置は、サーモスタット付き自動サンプラー、クォータナリポンプ、カラムヒーター、およびA/Dインターフェースモジュールで構成されていた。全ての構成部分はAGILENT CHEMSTATIONソフトウェアで制御されていた。Waters Spherisorb S3W 4.6×100 mm分析用カラムを、Agilentカラムヒーターユニットで30℃に維持した。
【0351】
HPLC自動サンプラーをプログラムに組み込み、試験中サンプル温度を20℃に維持した。
【0352】
それぞれ10μLのサンプルを、このカラムに3回注入した。2種類の溶媒をグラジエントのために用いた。溶媒Aはトリメチルペンタンとテトラヒドロフランの混合溶媒(99:1)であり、溶媒Bは酢酸エチルであった。用いたグラジエントを以下の表に示す:
【0353】
【表37】

Sedex75蒸発光散乱検出器(ELSD)を、ゲイン値5で、45℃で操作し、N圧力を3.1バールに保った。計器で得られたアナログ信号をA/Dインターフェースモジュールに送信し、それをデジタル出力に変換した。変換は10000mAU/volt設定値に基づき、データ信号速度は10Hz(0.03分)に設定した。次に、ピーク面積を積分するため、得られたデジタル出力をAgilent ChemStationソフトウェアに送った。
【0354】
HPLC分析の結果を以下の表Vに報告する。結果は、媒体対照と比較した時のコレステロールエステル(CE)およびワックスエステル(WE)の減少量として報告する。負の値は皮脂が増加したことを表し、正の値は皮脂が減少したことを表す。
【0355】
【表38】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物:
【化1】

またはそれらの塩もしくは溶媒和物、
式中;
a)Xは、ハロゲン、シアノ、NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはハロアルキルを表し;
b)Xは、水素、ハロゲン、シアノ、NO、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはハロアルキルを表し;
c)Aは、次式iまたはiiを表し;
【化2】

d)Qは、非置換または次のi)〜vii)からそれぞれ独立に選択された1つ以上の基で置換されていてもよいC〜Cアルキレンを表し:
i)置換されていてもよいC〜Cアルキル;
ii)置換されていてもよいC〜Cアルケニル;
iii)置換されていてもよいC〜Cアルキニル;
iv)置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル;
v)−(C〜C)アルキル(C〜C10)アリール(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);
vi)−(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);および
vii)置換されていてもよいC〜Cアルコキシ;
e)R、R、R、RおよびRは、互いに独立して、次のi)〜xxiv)からなる群より選択された置換基を表し:
i)水素;
ii)ハロゲン;
iii)ヒドロキシル;
iv)アミノ;
v)ニトロ;
vi)シアノ;
vii)置換されていてもよい(C〜C12)アルキル;
viii)置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ;
ix)置換されていてもよい(C〜C)シクロアルコキシ;
x)置換されていてもよい(C〜C)ハロアルキル;
xi)置換されていてもよい(C〜C12)アルケニル;
xii)置換されていてもよい(C〜C12)アルキニル;
xiii)置換されていてもよい(C〜C10)シクロアルキル;
xiv)置換されていてもよい(C〜C10)アリール;
xv)(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル(ここで、アルキルおよびアリール部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xvi)置換されていてもよいヘテロアリール;
xvii)ヘテロアリール(C〜C12)アルキル(ここで、ヘテロアリールおよびアルキル部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xviii)置換されていてもよい、−O−複素環;
xiv)複素環(C〜C12)アルキル−O−(ここで、アルキルおよび複素環部分はそれぞれ置換されていてもよい);
xx)−CO
xxi)−O−COR
xxii)−CONHR
xxiii)−NCOR;および
xxiv)−O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル;並びに
f)Rは、独立に水素またはC〜Cアルキルを表す;
但し、Aが式iを表す場合には、XまたはXはハロゲンであり、Qはメチレン、エチレンまたはn−プロピレンであり、Aは、
【化3】

ではなく、かつRは、シアノ、臭素、アルキニル、またはハロゲンのいずれでもない。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素であり、Xがトリフルオロメチル、ハロゲンおよびC〜Cアルコキシから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
【化5】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Qが置換されていてもよいC〜Cアルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Qがメチレン、エチレンおよびプロピレンから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がハロゲン、C〜Cアルコキシまたはハロアルキルを表し、Xが水素、Qがメチレンであり、R、R、R、RおよびRが水素およびヒドロキシから独立に選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
以下の化合物を含む群より選択される化合物
4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
(S)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
(R)−4−(1−フェニル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[1−(2−メトキシ−フェニル)−エトキシ]−2−t−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[(3−ヒドロキシベンジル)オキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(−)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(+)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−2−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−(1−ピリジン−3−イル−エトキシ)−2−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル;
4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル;
(+)4−[1−(5−ヒドロキシピリジン−3−イル)エトキシ]−2−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル、
またはその医薬的に許容しうる塩。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物の、医薬品としての使用。
【請求項11】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物の、アンドロゲン受容体の活性化を抑制するための医薬品の製造における使用。
【請求項12】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物の、ホルモン依存性癌、良性前立腺過形成、にきび、多毛、皮脂過剰、脱毛症、月経前症候群、肺癌、思春期早発症、骨粗鬆症、性腺機能低下症、加齢による筋肉量低下、および貧血症からなる群より選択される症状を緩和する医薬品の製造における使用。
【請求項13】
1つ以上の医薬的に許容しうる賦形剤と混合した、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
皮膚塗布に好適な1つ以上の医薬的に許容しうる賦形剤と混合した、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物を含んでなる局所用医薬製剤。
【請求項15】
にきび、脱毛症、および油性肌からなる群より選択される症状を緩和する化合物の使用方法を消費者に知らせるために小売り流通用にパッケージされた、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の化合物を含んでなる製品。

【公表番号】特表2009−504629(P2009−504629A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525659(P2008−525659)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002227
【国際公開番号】WO2007/017754
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】