説明

イオン性有機重合体による排水処理方法及び排水処理剤セット

【課題】簡易な設備で広範囲の汚濁物質、特にエマルジョンを含む排水を容易に浄化するとともにスカムの回収が容易な排水処理方法を提供し、誰にでも簡単に使用可能な排水処理剤及び排水処理剤セットを提供すること。
【解決手段】イオン性有機重合体にイオン性界面活性剤を吸着させ、イオン性有機重合体に吸着したイオン性界面活性剤の疎水基とエマルジョン粒子に吸着している界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用を利用し、排水中のエマルジョン粒子を、イオン性界面活性剤を吸着したイオン性有機重合体に付着させ、分離除去する。また、前記イオン性有機重合体を有機繊維に吸着させておけば、イオン性界面活性剤を吸着したイオン性有機重合体を有機繊維とともに排水から引き上げることにより、簡単に排水中のエマルジョン粒子を分離除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広範囲の汚濁物質、特にエマルジョンを含む排水を簡易な設備で容易に処理する排水処理方法、排水処理剤及び排水処理剤セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚濁成分を含む排水の処理剤に関して、従来からケイ酸塩鉱物であるモンモリロナイト、ベントナイト、ゼオライト等が提案されている。
例えば、ベントナイト、ゼオライトを吸着・凝集剤として、他の無機凝集剤及び高分子凝集剤とともに使用し、排水中の汚濁成分を短時間に凝集し脱水性が良好なフロックを形成する方法が提案されている(特許文献1〜3)。
また、ベントナイトを無機凝集剤として、他の無機凝集剤及び高分子凝集剤と共に使用し、有機系、無機系の排水にかかわらず処理でき、また簡単な操作と装置で処理できる排水処理剤が提案されている(特許文献4〜5)。
さらに、排水中においてあらかじめアニオン系界面活性剤とカチオン系界面活性剤のモル比を特定の範囲のものとした後、無機凝集剤としてのモンモリロナイト、他の無機凝集剤及び高分子凝集剤を同時に排水中へ添加する洗車排水の排水処理システムが提案されている(特許文献6)。
さらに、人工ゼオライトをフロック安定化剤としてのベントナイト及びカチオン系高分子凝集剤とともに使用した、固体系排水処理剤が提案されている(特許文献7)。
【0003】
上記特許文献に記載される汚濁排水の処理方法や処理剤は、いずれも高分子凝集剤を必須成分とした凝集沈殿法に関するものであり、生成した凝集物を分離する手段を必要とし、排水を簡易な設備で容易に浄化できる排水処理方法とはいえない。また処理剤成分も多く、処理操作が複雑となり単純ではない。
一方、高分子凝集剤を使用した排水処理は、一般的に無機凝集剤を併用し、生成した凝集物は加圧浮上法または凝集沈殿法により除去されるが、いずれも凝集物を分離する手段を必要とし、排水を簡易な設備で容易に浄化できる排水処理方法とはいえない。
特に、排水中のエマルジョンは、従来から処理されにくく、酸性にしたり、エマルジョンブレーカーを添加し、エマルジョンを破壊してから処理されている。またガソリンスタンド等の油水分離槽では油吸着用の吸着マットを使用しているが、エマルジョン粒子は吸着されず、その対策に苦慮しているのが実情である。さらに、高分子凝集剤を使用しても溶解している非イオン界面活性剤を分離することはできない。
また、本発明者らは、先に鉱物に界面活性剤を吸着させ、界面活性剤の疎水性相互作用を利用してエマルジョン粒子、非イオン界面活性剤等を簡易な設備で容易に除去する方法を提案した(特許文献8)が、鉱物及び界面活性剤の使用量が多く、又スカムの回収を掻き取り、ろ過等で行なう必要があった。
【特許文献1】特開平9-239207公報
【特許文献2】特開平10-28808公報
【特許文献3】特開平ll-76706公報
【特許文献4】特開2003-33604公報
【特許文献5】特開2004-154726公報
【特許文献6】特開2004-202339公報
【特許文献7】特開2004-305893公報
【特許文献8】特願2005-212309号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡易な設備で広範囲の汚濁物質、特にエマルジョンを含む排水を容易に浄化する排水処理方法を提供することである。
本発明の他の目的は、誰にでも簡単に使用可能な排水処理剤及び排水処理剤セットを提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、排水処理剤の使用量を、特許文献8に記載される方法より削減すること及びスカムの回収を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、
(1)静電相互作用により、イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤の複合体(以下「P-S複合体」という。)を形成させると、P-S複合体のイオン性界面活性剤の疎水基とエマルジョン粒子に吸着している界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用により、両者が付着し、排水処理能力が格段に向上すること、
(2)さらに、鉱物及び/又は水溶性無機凝集剤を添加するとエマルジョン粒子が付着したP-S複合体の凝集が促進されること、
(3)排水処理剤の使用量が特許文献8記載の方法における使用量より少なくて済むこと
(4)有機繊維にイオン性有機重合体を吸着させ、さらにイオン性有機重合体にイオン性界面活性剤を吸着させたものは、エマルジョン排水中のエマルジョン粒子を付着すること
(5)上記において、イオン性有機重合体がカチオン化多糖類の場合は、イオン性界面活性剤がなくともエマルジョン排水中のエマルジョン粒子を付着すること
(6)上記のエマルジョン粒子を付着した有機繊維を排水中より引き上げるだけで、白濁したエマルジョン排水より無色透明の処理水が得られること
を見出し、本発明に至った。
イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤の複合体が形成することは、平衡透析や界面活性剤イオン電極の電位差滴定で求める結合等温線や、表面張力,色素の可溶化、相図,熱測定などによって確認することができる(堀内照夫他1名編、「最新・界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」、2005年10月25日、技術教育出版有限会社、P.220-229、参照)。
【0006】
本発明による排水処理方法について説明する。
本発明で使用するイオン性有機重合体は水に溶解するもの、イオン性界面活性剤は水に溶解又は分散するものであればよく、種々の物質を使用でき、アニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤のP-S複合体及びカチオン性有機重合体とアニオン界面活性剤のP-S複合体が凝集力の点で好ましいが、これに限定されるものではない。
【0007】
本発明の処理メカニズムは、特許文献8記載の発明と同様であるが、排水の汚濁物質が非イオン性エマルジョンである場合を説明する。
イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図1で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤は負帯電のエマルジョン粒子に親水基を水相に向けて吸着し、エマルジョン粒子は正帯電となり、アニオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。正帯電したエマルジョン粒子は、負帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用及び静電引力により付着し、P-S複合体凝集物として析出する。凝集を促進させる時は、さらにケイ酸塩鉱物を添加する。この場合、ケイ酸塩鉱物を凝集させる量のカチオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。
ケイ酸塩鉱物粒子にカチオン界面活性剤が吸着すると瞬時にケイ酸塩鉱物粒子が凝集すると同時に、ケイ酸塩鉱物粒子に吸着しているカチオン界面活性剤の疎水基とP-S複合体凝集物表面のカチオン界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用により、P-S複合体凝集物がカチオン界面活性剤を吸着したケイ酸塩鉱物粒子に付着し、カチオン界面活性剤を吸着したケイ酸塩鉱物粒子と共に大きなフロックとなって凝集する。
【0008】
イオン性有機重合体にカチオン性有機重合体を使用した場合を図2で説明する。
排水中にカチオン性有機重合体とアニオン界面活性剤を添加すると、アニオン界面活性剤は負帯電のエマルジョン粒子に親水基を水相に向けて吸着し、カチオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。負帯電のエマルジョン粒子は、正帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用及び静電引力により付着し、P-S複合体凝集物として析出する。凝集を促進させる時は、さらに水中で正電荷を持つアルミナを添加する。この場合、アルミナを凝集させる量のアニオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。
アルミナ粒子にアニオン界面活性剤が吸着すると瞬時にアルミナ粒子が凝集すると同時に、アルミナ粒子に吸着しているアニオン界面活性剤の疎水基とP-S複合体凝集物表面のアニオン界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用及び静電引力によりP-S複合体凝集物がアニオン界面活性剤を吸着したアルミナ粒子に付着し、アニオン界面活性剤を吸着したアルミナ粒子と共にフロックとなって凝集する。アルミナの代わりに排水中で正電荷を持つアルミニウム水酸化物を形成するポリ塩化アルミニウムをpH調整剤とともに使用してもよい。
【0009】
イオン性有機重合体に両性有機重合体を使用した場合を図3で説明する。
排水中に両性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤は、負帯電のエマルジョン粒子に親水基を水相に向けて吸着し、エマルジョン粒子は正帯電となり、両性有機重合体とは、両性有機重合体のアニオン部分とP-S複合体を形成する。正帯電したエマルジョン粒子は正帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用により付着し、P-S複合体凝集物として析出する。凝集を促進させる時は、さらにケイ酸塩鉱物を添加する。この場合、ケイ酸塩鉱物を凝集させる量のカチオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。P-S複合体凝集物がカチオン界面活性剤を吸着したケイ酸塩鉱物粒子に界面活性剤の疎水性相互作用及び静電引力により付着し、大きなフロックとなって凝集する。
【0010】
次に、排水の汚濁物質がカチオン性エマルジョンで、イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図4で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤はエマルジョン粒子に親水基を水相に向けて吸着し、アニオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。正帯電のエマルジョン粒子は負帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用及び静電引力により付着し、P-S複合体凝集物として析出する。凝集を促進させるときは、さらにケイ酸塩鉱物を添加する。この場合、ケイ酸塩鉱物を凝集させる量のカチオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。以下のメカニズムは図3での説明と同様である。
【0011】
次に、排水の汚濁物質がアニオン性エマルジョンで、イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図5で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤は負帯電のエマルジョン粒子に吸着しているアニオン界面活性剤とイオン対を作ると同時に吸着もされエマルジョン粒子は正帯電となり、アニオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。正帯電したエマルジョン粒子は負帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用及び静電引力により付着し、凝集物として析出する。凝集を促進させるときは、さらにケイ酸塩鉱物を添加する。この場合、ケイ酸塩鉱物を凝集させる量のカチオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。以下のメカニズムは図1での説明と同様である。
【0012】
次に、排水の汚濁物質が分散微粒子で、イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図6で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤は負帯電の分散微粒子に疎水基を水相に向けて吸着し、アニオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。負帯電の分散微粒子は負帯電のP-S複合体に界面活性剤の疎水性相互作用により付着し、P-S複合体凝集物として析出する。凝集を促進させるときは、さらにケイ酸塩鉱物を添加する。この場合、ケイ酸塩鉱物を凝集させる量のカチオン界面活性剤をあらかじめ添加しておく。以下のメカニズムは図1での説明と同様である。
【0013】
次に、排水の汚濁物質が非イオン界面活性剤で、イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図7で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、カチオン界面活性剤はアニオン性有機重合体とP-S複合体を形成する。その結果、排水中に溶解している非イオン界面活性剤は界面活性剤の疎水性相互作用によりP-S複合体に吸着する。次にケイ酸塩鉱物を添加し、非イオン界面活性剤が吸着したP-S複合体をカチオン界面活性剤が吸着したケイ酸塩鉱物と共に凝集させる。カチオン界面活性剤はケイ酸塩鉱物を凝集せしめる分もあらかじめ添加しておく。ケイ酸塩鉱物添加後のメカニズムは図1での説明と同様である。
【0014】
次に、排水の汚濁物質がアニオン界面活性剤で、イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した場合を図8で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加すると、排水中のアニオン界面活性剤とイオン対を作り、アニオン性有機重合体とはP-S複合体を形成する。その結果、排水中に溶解しているアニオン界面活性剤は界面活性剤の疎水性相互作用によりP-S複合体に付着する。次にケイ酸塩鉱物を添加し、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤のイオン対が付着したP-S複合体をカチオン界面活性剤が吸着したケイ酸塩鉱物と共に凝集させる。カチオン界面活性剤はケイ酸塩鉱物を凝集せしめる分もあらかじめ添加しておく。ケイ酸塩鉱物添加後のメカニズムは図1での説明と同様である。
【0015】
図1ないし図8に示されるように、イオン性有機重合体、鉱物及び水溶性無機凝集剤より生成される金属水酸化物は、イオン性界面活性剤で疎水化されている為、汚濁物質が吸着及び付着したP-S複合体凝集物及び/又はP-S複合体凝集物と、イオン性界面活性剤を吸着した鉱物又はイオン性界面活性剤を吸着した上記金属水酸化物、との凝集物は、排水中に空気を吹き込むと疎水性の気泡に付着し、スカムとなって容易に水面へ浮上する。したがって、大掛かりな加圧浮上装置は不要で、コンプレッサー及び散気管によるバブリングだけで汚濁物質を吸着及び付着したP-S複合体凝集物もしくはP-S複合体凝集物とイオン性界面活性剤を吸着した鉱物及び/又は金属水酸化物との凝集物を浮上させ回収することができる。
【0016】
イオン性有機重合体に対するイオン性界面活性剤の添加量には適正な範囲があり、イオン性有機重合体のイオン性基とこれと反対電荷のイオン性界面活性剤結合比は(1:0.2)から(1:1)が好ましい。
【0017】
また鉱物及び水溶性無機凝集剤に対するイオン性界面活性剤の添加量にも適正な範囲がある。例えば、活性化ベントナイト(クニミネ工業株式会社製、「ネオクニボンド」200メッシュ通過分80%以上)に対するカチオン界面活性剤(日本油脂株式会社製、「カチオンF2-50」、50%アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド)の適正添加量は、3〜30%である。カチオン界面活性剤(カチオンF2-50)が過剰に添加されると、活性化ベントナイト(ネオクニボンド)粒子表面に2層吸着し、2層目は親水基が水相に配向し、活性化ベントナイト(ネオクニボンド)粒子表面は親水性且つ正帯電となり、排水処理能力が低下する。
【0018】
図1〜8の説明ではエマルジョン粒子等が付着したP-S複合体の凝集促進をイオン性界面活性剤と反対符号の電荷を持つ鉱物または水溶性無機凝集剤より生成される金属水酸化物で行っているが、イオン性界面活性剤と同符号の電荷を持つ鉱物または水溶性無機凝集剤より生成される金属水酸化物でも凝集の促進をさせることができる。
【0019】
イオン性有機重合体にアニオン性有機重合体を使用した非イオン性エマルジョンの処理について図9で説明する。
排水中にアニオン性有機重合体とカチオン界面活性剤を添加したまでの説明は図1での説明と同様であるが、カチオン界面活性剤の添加量を図1より少なくし、カチオン界面活性剤と結合していないアニオン性有機重合体のアニオン基を図1より多く残しておく。P-S複合体凝集物の凝集を促進させるために、水中で正電荷を持つアルミナを添加すると負帯電のP-S複合体凝集物が静電引力によりアルミナ粒子に付着し、アルミナ粒子と共に大きなフロックとなって凝集する。
【0020】
イオン性有機重合体にカチオン性有機重合体を使用した非イオン性エマルジョンの処理について図10で説明する。
排水中にカチオン性有機重合体とアニオン界面活性剤を添加したまでの説明は図2での説明と同様であるが、アニオン界面活性剤の添加量を図2より少なくし、アニオン界面活性剤と結合していないカチオン性有機重合体のカチオン基を図2より多く残しておく。P-S複合体凝集物の凝集を促進させるために、水中で負電荷を持つケイ酸塩鉱物を添加すると正帯電のP-S複合体凝集物が静電引力によりケイ酸塩鉱物粒子に付着し、ケイ酸塩鉱物粒子と共に大きなフロックとなって凝集する。
【0021】
以上説明したように、本発明の方法によれば、排水中に溶存する界面活性剤も除去することができるが、排水に溶解している界面活性剤は分子単位でP-S複合体に吸着及び付着されるので、効率が悪い。そこで、溶解している界面活性剤量に見合う液体油を添加しエマルジョン化することで、界面活性剤を効率良く除去できる。
【0022】
このようにして生成したスカムやフロックは、粒径が大きいので、掻き取りやろ過等の手段により容易に排水から除去することが可能であるが、P-S複合体を有機繊維に吸着しておけば、排水中のエマルジョン粒子は有機繊維に付着することになるので、エマルジョン粒子が付着した有機繊維をそのまま排水から引き上げるだけで、容易に排水からエマルジョン粒子を除去することができ、掻き取りやろ過等の手段が不要となる。
【0023】
有機繊維を使用する場合の排水処理方法について説明する。
本発明で使用する有機繊維は、天然物、合成物いずれでも良いが、−COOM基、−SO3M基(Mは、水素又はアルカリ金属)等を有するものが水中でより強く負に帯電するので好ましい。したがって、イオン性有機重合体はカチオン性有機重合体が、イオン性界面活性剤はアニオン界面活性剤が、好ましいが、これに限定されるものではない。
【0024】
本発明のエマルジョンの処理メカニズムについて説明する。
まず、イオン性有機重合体にカチオン性有機重合体を使用した場合について説明する。
排水中に有機繊維を入れ、カチオン性有機重合体を添加すると、静電相互作用によりカチオン性有機重合体は、負帯電の有機繊維に吸着する。さらにアニオン界面活性剤を添加すると、静電相互作用によりアニオン界面活性剤はカチオン性有機重合体に吸着する。カチオン性有機重合体のカチオン基は有機繊維への吸着及びアニオン界面活性剤の吸着両方に利用できるよう、アニオン界面活性剤の添加量を調整する。
【0025】
有機繊維に吸着したイオン性有機重合体を介してイオン性界面活性剤が吸着したものをF−P−S複合体とする。カチオン性有機重合体に吸着したアニオン界面活性剤の疎水基とエマルジョン粒子に吸着している界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用により、エマルジョン粒子は、F−P−S複合体に付着する。
【0026】
次にイオン性有機重合体に両性有機重合体を使用した場合について説明する。
排水中に有機繊維を入れ、両性有機重合体を添加すると、両性有機重合体のカチオン基と負帯電の有機繊維との静電相互作用により、両性有機重合体は有機繊維に吸着する。さらにカチオン界面活性剤を添加すると、両性有機重合体のアニオン基との静電相互作用により、カチオン界面活性剤は両性有機重合体に吸着する。両性有機重合体に吸着したカチオン界面活性剤の疎水基とエマルジョン粒子に吸着している界面活性剤の疎水基との疎水性相互作用により、エマルジョン粒子がF−P−S複合体に付着する。
【0027】
以上説明したように、エマルジョン粒子はF−P−S複合体に付着するので、エマルジョンを付着したF−P−S複合体を処理水中より引き上げるだけで良く、スカムの掻き取り、ろ過等は不要である。また、処理における排水の攪拌は、羽根による攪拌以外にコンプレッサー及び散気管によるバブリングでも良い。
【0028】
本発明の排水処理剤セットは、イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤、および必要に応じて有機繊維、鉱物、水溶性無機凝集剤、液体油、曝気手段をセットにしたもので、この処理剤セットを使用すれば、だれでも簡単に汚濁排水を処理することができる。さらにイオン性有機重合体がカチオン化多糖類の場合、処理剤セットにイオン性界面活性剤がなくても良い。
【0029】
本発明の排水処理剤セットのイオン性有機重合体、イオン性界面活性剤、水溶性無機凝集剤は水溶液が好ましく、鉱物は、微粉末、該微粉末の水分散液であるスラリーのいずれでも良く、予め有機繊維にイオン性有機重合体を吸着させ、さらにイオン性有機重合体にイオン性界面活性剤を吸着させておいても良い。
【0030】
本発明の実施の態様は以下の通りである。
(1)排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤又は両性界面活性剤のいずれかとの複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
(2)排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤との複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
(3)排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤との複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
(4)前記汚濁物質が吸着及び付着した複合体を形成させた後、排水に、鉱物及び/又は水溶性無機凝集剤を添加し、前記複合体の凝集を促進させる(1)ないし(3)のいずれかの排水処理方法。
(5)排水中の汚濁物質を、カチオン化多糖類を吸着させた有機繊維により吸着及び付着除去する排水処理方法。
(6)排水中に空気をバブリングしてなる(1)ないし(5)のいずれかの排水処理方法。
(7)排水中に液体油を添加してなる(1)ないし(6)のいずれかの排水処理方法。
(8)イオン性有機重合体を有機繊維に吸着させたことを特徴とする(1)ないし(3)、(6)、(7)のいずれかに記載の排水処理方法。
(9)イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤からなる排水処理剤セット。
(10)さらに鉱物を加えてなる(9)の排水処理剤セット。
(11)さらに水溶性無機凝集剤を加えてなる(9)又は(10)の排水処理剤セット。
(12)さらに、有機繊維を加えてなる(9)の廃水処理剤セット。
(13)有機繊維と該有機繊維に吸着するカチオン化多糖類からなる排水処理剤セット。
(14)さらに液体油を加えてなる(9)ないし(13)のいずれかの排水処理剤セット。
(15)さらに、曝気手段を加えてなる(9)ないし(14)のいずれかの排処理剤セット。
(16)有機繊維にカチオン化多糖類を吸着させた排水処理剤。
(17)有機繊維にイオン性有機重合体及びイオン性界面活性剤を吸着させた排水処理剤。
(18)(16)又は(17)に記載の排水処理剤に曝気手段を加えてなる排水処理剤セット。
(19)さらに液体油を加えてなる(18)の排水処理セット。
【0031】
本発明におけるイオン性有機重合体としては、アニオン性有機重合体、カチオン性有機重合体、両性有機重合体等を使用できる。またイオン性有機重合体は天然物、合成物のいずれでも良い。
【0032】
アニオン性有機重合体には、ポリアクリル酸ナトリウム、疎水化修飾ポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、アクリル酸/スルホン酸系モノマー共重合体塩、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム/2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、硫酸セルロースナトリウム、サクシニル化カルボキシメチルキトサン塩等がある。
【0033】
カチオン性有機重合体には、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、アルキルアミノメタクリレート4級塩重合物、ポリアミノメチルアクリルアミドの4級塩、アルキルアミノアクリレート4級塩/アクリルアミド共重合物、キトサン酢酸塩、カチオン化多糖類、ポリアリルアミン塩酸塩等があるが、カチオン化多糖類が好ましい。カチオン化多糖類には、カチオン化セルロース、疎水化修飾されたカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン等がある。
【0034】
両性有機重合体には、アルキルアミノアクリレート4級塩/アクリルアミド/アクリル酸共重合物等がある。
【0035】
高分子凝集剤の分子量は通常数百万〜千数百万であるが、本発明で使用するイオン性有機重合体の分子量はこのような高分子量でなくてもよい。ポリアクリル酸ナトリウムの場合、分子量3500でも使用可能である。
また、必要に応じて、水溶性の非イオン性有機重合体をイオン性有機重合体と併用しても良い。
【0036】
本発明におけるイオン性界面活性剤としては、水溶性又は水分散性のカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等を使用できるが、疎水性相互作用の強いイオン性界面活性剤が好ましい。
【0037】
アニオン界面活性剤には、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩等がある。
【0038】
カチオン界面活性剤には、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等がある。
【0039】
両性界面活性剤には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウム−1−アセテート、アルキル(又はジアルキル)ジアミノエチルグリシン、酵素分解レシチン等がある。
【0040】
本発明における鉱物としては、ケイ酸塩鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物等を使用できる。また鉱物は天然物、合成物のいずれでも良い。
ケイ酸塩鉱物には、網目構造物であるゼオライト、層状構造を持った鉱物であるタルク、カオリン、スメクタイト粘土鉱物群、繊維状鉱物であるセピオライト等がある。
スメクタイト粘土鉱物群には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、スチィブンサイト等があるが、モンモリロナイトを主成分としたベントナイトが実用的である。
【0041】
本発明における水溶性無機凝集剤としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、塩化第2鉄等を使用できる。
【0042】
これら水溶性無機凝集剤を排水中に添加し、pHを6〜8にすると凝集して金属水酸化物のフロックが形成される。このフロックはカチオン性であり、したがって水溶性無機凝集剤と併用するイオン性界面活性剤はアニオン面活性剤が、イオン性有機重合体はカチオン性有機重合体が好ましい。アニオン界面活性剤が吸着した該フロックは、汚濁物質が吸着及び付着したP-S複合体の凝集を促進する。
【0043】
本発明における液体油とは、水に溶解せず、引火点が100℃以上で融点が0℃以下の乳化されやすい液体油であれば良く、例えば流動パラフィン、中鎖脂肪酸グリセライド等をあげることができる。
【0044】
本発明における有機繊維は、天然物、合成物のいずれでも良く、セルロース繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン等を使用できるが、有機繊維は、一般に水中で負に帯電しており、−COOM基、−SO3M基(Mは、水素又はアルカリ金属)等を有するものが水中でより強く負に帯電するので好ましい。また、表面積の大きい有機ナノファイバを使用することもできる。
【0045】
セルロース繊維は、精製過程や空気酸化によって一部カルボキシ基を生じている。ポリエステル繊維は、末端基にカルボキシル基を有しているが、カチオン染料を吸着し易くするために5−スルホナトリウムイソフタル酸を共重合させたカチオン染料可染型のポリエステル繊維もある。カチオン染料可染型のアクリル繊維はカチオン染料を吸着し易くするために、主鎖に少量のイタコン酸やエチレンスルホン酸を共重合している。
【0046】
有機繊維と他の成分との最適な配合割合は、有機繊維2〜3gに対してイオン性有機重合体は3〜6mgが好ましい。
【0047】
排水の処理に使用されエマルジョン粒子を付着した有機繊維は、非イオン性界面活性剤/メタケイ酸ソーダ等の洗剤で洗浄することにより、再使用が可能である。
【0048】
本発明による既設の油水分離槽を利用した排水処理法について説明する。
図9に示すように、一般的に油水分離槽は4槽で構成されている。本発明による既設の油水分離槽は2槽あればよく、第3槽、第4槽は水槽として利用すればよい。
【0049】
第1槽においてイオン性有機重合体水溶液、イオン性界面活性剤水溶液、スラリー状鉱物、水溶性無機凝集剤水溶液、液体油、pH調整剤等を排水流入量に対して定量的にポンプで注入し、さらにコンプレッサーで空気を散気管に送りバブリングを行い混合する。すると、汚濁物質は上述したメカニズムによりP-S複合体またはP-S複合体/鉱物、P-S複合
体/金属水酸化物に吸着及び付着され、スカムとなる。
【0050】
第2槽において第1槽より移行した排水にコンプレッサー及び散気管によるバブリングを行い、汚濁物質を吸着及び付着したスカムを浮上させる。
浮上したスカムは掻き取り、吸引、ろ過、液体サイクロン等により回収する。スカムは疎水性の為、水分の除去性がよく、ろ過も容易である。
処理水は排出しても良いが、リサイクルすることもできる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、既設の油水分離槽を利用し、簡易な設備で広範囲の汚濁物質、特にエマルジョンを含む排水を容易に浄化でき、処理水の再利用も可能である。また処理剤の消費量も少なく、水質保全及び節水に対して大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
モデル排水を使用した本発明の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0053】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン性35%ジメチルシリコーンオイルエマルジョン(日本ユニカー株式会社製、「LE-45」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(株式会社日本触媒製、「アクアリック IH-L」、分子量1〜2百万)0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(日本油脂株式会社製、「カチオンF2-50」、50%アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド)の6%水溶液を0.72g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は99%であった。
【実施例2】
【0054】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.95g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(クニミネ工業株式会社製、「ネオクニボンド」、200メッシュ通過分80%以上)の10%スラリーを0.5g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水に観賞魚用のエアレーション装置により空気を吹き込みエマルジョン粒子の付着したスカムを浮上させた。その後アスピレーターで浮上物を吸引除去し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は100%であった。
【実施例3】
【0055】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(株式会社日本触媒製、「アクアリック DL40」、固形分40%、分子量3500)の0.5%水溶液を5g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.2g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例4】
【0056】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック DL40)の0.5%水溶液を5g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.43g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを0.5g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例5】
【0057】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン性45%シリコーンオイル/レジンエマルジョン(東レ・ダウコーニング株式会社製、「BY22−736EX」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とした。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を1.25g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.3g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例6】
【0058】
(1)500m1ビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック DL-40)の0.5%水溶液を1.25g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.3g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例7】
【0059】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン性40%マイクロクリスタリンワックスエマルジョン(日本精鑞株式会社製、「EMUSTAR-042X」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とした。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.17g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを1g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例8】
【0060】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック DL-40)の0.5%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.62g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例9】
【0061】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.97g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン性シリカゾル(日産化学工業株式会社製、「スノーテックス40」、粒径10〜20nm、SiO2 40〜41%)の12.5%分散液を1g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例10】
【0062】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.72g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にカオリン(ENGLHARD CORPORATION製、「サテントンNO.5」、平均粒径0.8μm)を1.5g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4) 上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例11】
【0063】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.52g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にゼオライト(クニミネ工業株式会社製、「ゼオライト150」、200メッシュ通過分74.7%)1gと塩化ナトリウムを0.04g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例12】
【0064】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、試薬、分子量70,000)の0.2%水溶液を6.6g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を2.52g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを4g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例13】
【0065】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にアクリル酸/スルホン酸系モノマー共重合体塩(株式会社日本触媒製、「アクアリック GL386」、固形分50%、分子量5,000)の0.4%水溶液を3.6g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.62g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例14】
【0066】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてアニオン性38%メタクリル酸・アクリル酸アルキル・スチレン共重合体水性エマルジョン(ガンツ化成株式会社製、「ウルトラゾール F-360」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を3.17g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例15】
【0067】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリメチルジアリルアンモニウムクロライド(旭電化工業株式会社製、「アデカカチオエース PD-50」、固形分40%、分子量54,000)の1%水溶液を2.5g添加し、さらにアニオン界面活性剤(クラリアントジャパン株式会社製、「Hostapur SAS60」、60%アルカンスルホン酸ナトリウム)の5%水溶液を1.06g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアルミナ(日本軽金属株式会社製、「A33F」、平均粒径0.7μm)を2.4g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Cのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例16】
【0068】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(東亞合成株式会社製「アロンフロック C-303H」分子量6百万)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を4.3g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)水道水25gの入った50mlビーカーにポリ塩化アルミニウム(住友化学工業株式会社製)の10%水溶液を0.5g、1%水酸化ナトリウム水溶液を0.15g採取し混合したものを上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例17】
【0069】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水に両性アクリル系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、「サンフロック R-320P」)の0.2%水溶液を4g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.48g添加し、マグネチックスターラーで75分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例18】
【0070】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水に両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.96g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3) 上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例19】
【0071】
(1)500mlビーカーに実施例7と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水に両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.5g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン性シリカゾル(スノーテックス40)の12.5%分散液を1g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例20】
【0072】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてカチオン性30%アミノ変性シリコーンオイルエマルジョン(東レ・ダウコーニング株式会社製、「SM8709」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2.5g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水よりカチオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例21】
【0073】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてアニオン性35%ジメチルポリシロキサン(両末端OH)エマルジョン(東レ・ダウコーニング株式会社製、「SM8706」)を1ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を2.6g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2.5g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例22】
【0074】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてケイソウ土(昭和化学工業株式会社製、「ラジオライトF」、平均粒径4.3μm)を0.1g採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.72g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌するとケイソウ土を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水を実施例2と同様に処理することで、白濁したモデル排水よりケイソウ土が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例23】
【0075】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてアニオン性界面活性剤(テイカ株式会社製、「テイカライト A1225」、25%アンモニウム高級アルコールサルフェート)を0.05g採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を1.5g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を2.62g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌するとスカムが形成された。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、スカムを除去後、ろ液についてメチレンブルー法によりアニオン界面活性剤の確認を行ったが、検出されなかった。
【実施例24】
【0076】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン界面活性剤(日本油脂株式会社製、「ノニオン ID-206」、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル)を0.05g採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を2g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.38g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌するとスカムが形成された。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、スカムを除去後、ろ液についてチオシアン酸コバルト法により非イオン性界面活性剤の確認を行ったが、検出されなかった。
【実施例25】
【0077】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン界面活性剤(ノニオン ID-206)を0.1g採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水に液体油として中鎖脂肪酸トリグリセライド(日清オイリオグループ株式会社製、「スコレ−64G」)を0.1g添加し、マグネチックスターラーで2分問攪拌すると、モデル排水は白濁してエマルジョンとなった。
(3)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を2g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を1.38g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(4)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌するとスカムが形成された。
(5)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、スカムを除去後、ろ液についてチオシアン酸コバルト法により非イオン性界面活性剤の確認を行ったが、検出されなかった。液体油を添加し、エマルジョン化することで、実施例24より2倍多い非イオン界面活性剤を除去することができた。
【実施例26】
【0078】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.36g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアルミナゾル(日産化学工業株式会社製、「アルミナゾル−520」粒径10〜20nm、Al2O3 20〜22%)の25%分散液を2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例27】
【0079】
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(東亞合成株式会社製、「アロンフロック C-303」分子量3百万)の0.1%水溶液を3g添加し、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の5%水溶液を0.08g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例28】
【0080】
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303)の0.1%水溶液を3g添加し、さらに両性界面活性剤(クラリアントジャパン株式会社製、「GENAGEN B1566」30%ヤシ油アルキルベタイン)の10%水溶液を1g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例29】
【0081】
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303)の0.1%水溶液を3g添加し、さらに両性界面活性剤(日本油脂株式会社製、「ニッサンアノン LG-R」、30%ドデシルビス(アミノエチル)グリシン)の10%水溶液を1g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例30】
【0082】
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303)の0.1%水溶液を3g添加し、さらに両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を0.5g添加し、アニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の5%水溶液を0.5g添加し、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを2g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例31】
【0083】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にアクリル酸系共重合物金属塩(東亞合成株式会社製、「アロン A-50P」)の0.2%水溶液を4.8g添加し、さらに両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を1.41g添加し、1N塩酸でpHを4とした後、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを1.5g添加し、1N塩酸でpHを4.8とした後、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例32】
【0084】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にアクリル酸系共重合物金属塩(アロン A-50P)の0.2%水溶液を4.8g添加し、さらに両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を1.31g添加し、カチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.1g添加し、1N塩酸でpHを4とした後、マグネチックスターラーで3分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを1.5g添加し、1N塩酸でpHを4.8とした後、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水をNo.5Aのろ紙でスカムをろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例33】
【0085】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.36g添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌する。
(3)水道水25gの入った50mlビーカーにポリ塩化アルミニウム(住友化学工業株式会社製)の10%水溶液を0.5g、1%水酸化ナトリウム水溶液を0.15g採取し混合したものを上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで2分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、モデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例34】
【0086】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水に疎水化修飾されたカチオン化セルロース(Amercol corpration製「Soft CAT Polymer SL-100」)の0.2%水溶液を1.5g添加し、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SUS60)の0.5%水溶液を0.4g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例35】
【0087】
(1)500mlビーカーに実施例20と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水に疎水化修飾されたカチオン化セルロース(Soft CAT Polymer SL-100)の0.2%水溶液を2.5g添加し、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SUS60)の0.5%水溶液を2.67g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水よりカチオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例36】
【0088】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にカチオン化グアーガム(ローディア社製「JAGUAR C-17」)の0.2%水溶液を1.5g添加し、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SUS60)の0.5%水溶液を0.5g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例37】
【0089】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にカチオン化グアーガム(JAGUAR C-17)の0.2%水溶液を1.5g及び1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5g添加し、さらに両性界面活性剤(協和発酵フーズ株式会社製、「エルマイザーA」、酵素分解レシチン)の0.2%水分散液を1.5g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成された。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例38】
【0090】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にカチオン化グアーガム(JAGUAR C-17)の0.2%水溶液を1.5g及び1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5g添加し、さらに両性界面活性剤(エルマイザーA)の0.2%水分散液を0.3g及びアニオン界面活性剤(Hostapur SUS60)の0.5%水溶液を0.4g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成された。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例39】
【0091】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン性40%アミノ変性シリコーンオイルエマルジョン(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製「FINISH CT45E」)を0.5ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にアクリル酸系共重合物金属塩(アロン A-50P)の0.2%水溶液を1g及び20%クエン酸(無水)水溶液を0.3g添加し、さらに両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を0.4g添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成された。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子の殆どが除去されたほぼ透明の処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は86%であった。
【実施例40】
【0092】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にアクリル酸系共重合物金属塩(アロン A-50P)の0.2%水溶液を1g及び20%クエン酸(無水)水溶液を0.3g添加し、さらに両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を0.3g及びカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.06g添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子を付着したスカムが形成された。
(3)上記モデル排水中のスカムをNo.5Aのろ紙でろ別し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例41】
【0093】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン性35%ジメチルシリコーンオイルエマルジョン(LE-45)を0.5ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にポリエステル繊維(株式会社ケイ・スタック製、観賞魚用ろ過材)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例42】
【0094】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(白十字株式会社製、「脱脂綿」)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は100%であった。
【実施例43】
【0095】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらに疎水化修飾されたカチオン化セルロース(Amerchol corp.製、「Soft CAT Polymer SK-H」)の0.2%水溶液を1.5g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を0.45g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例44】
【0096】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)ポリエステル繊維(観賞魚用ろ過材)2gに水道水10gを均一に含浸させ、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液3gを均一に含浸させ、さらにアニオン界面活性剤(HostapurSAS60)の0.5%水溶液3gを均一に含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子がポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例45】
【0097】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)セルロース繊維(脱脂綿)2gに水道水5gを均一に含浸させ、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液3gを均一に含浸させ、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液3gを均一に含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例46】
【0098】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)セルロース繊維(脱脂綿)2gに水道水5gを均一に含浸させ、さらに疎水化修飾されたカチオン化セルロース(Soft CAT Polymer SK-H)の0.2%水溶液1.5gを均一に含浸させ、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液0.45gを均一に含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例47】
【0099】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてアニオン性35%ジメチルポリシロキサン(両末端OH)エマルジョン(SM8706)を0.5ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)以下、実施例41と同様の操作をすることで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例48】
【0100】
(1)500mlビーカーに実施例47と同様のモデル排水を調製する。
(2)以下、実施例42と同様の操作をすることで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例49】
【0101】
(1)500mlビーカーに実施例47と同様のモデル排水を調製する。
(2)以下、実施例44と同様の操作をすることで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例50】
【0102】
(1)500mlビーカーに実施例47と同様のモデル排水を調製する。
(2)以下、実施例45と同様の操作をすることで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例51】
【0103】
(1)1000mlビーカーに汚濁物質としてアニオン性35%ジメチルポリシロキサン(両末端OH)エマルジョン(SM8706)を0.5ml採取し、水道水で約750mlとしたものをモデル排水とする。
(2)カチオン染料可染型のポリエステル繊維(三菱レイヨン・テキスタイル株式会社製、「ソルーナ」)2gに水道水3gを均一に含浸させ、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液3gを均一に含浸させ、さらにアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液3gを均一に含浸させたものを排水処理剤とする。
(3)金網のかごに入れた(2)の排水処理剤を(1)のモデル排水に浸漬し、観賞魚用のエアレーション装置により20分間バブリングをすると、エマルジョン粒子がカチオン染料可染型のポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)金網のかごよりエマルジョン粒子が付着したカチオン染料可染型のポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水よりアニオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例52】
【0104】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様なモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にカチオン染料可染型のアクリル繊維(三菱レイヨン・テキスタイル株式会社製、「ティミアン」)を2g添加し、さらに両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の0.6%水溶液を1.8g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌するとエマルジョン粒子がカチオン染料可染型のアクリル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したカチオン染料可染型のアクリル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例53】
【0105】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にカチオン染料可染型のポリエステル繊維(ルソーナ)を2g添加し、さらに両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の0.6%水溶液を1.8g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌するとエマルジョン粒子がカチオン染料可染型のポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したカチオン染料可染型のポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例54】
【0106】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリエステル繊維(観賞魚用ろ過材)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に、アニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を5g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌すると、エマルジョン粒子がポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例55】
【0107】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に、アニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を5g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例56】
【0108】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)カチオン染料可染型のアクリル繊維(ティミアン)2gに水道水5gを均一に含浸させ、さらに両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)0.2%水溶液3gを均一に含浸させ、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の0.6%水溶液1.8gを均一に含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌するとエマルジョン粒子がカチオン染料可染型のアクリル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したカチオン染料可染型のアクリル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例57】
【0109】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)カチオン染料可染型のポリエステル繊維(ソルーナ)2gに水道水3gを均一に含浸させ、さらに両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)の0.2%水溶液3gを均一に含浸させ、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の0.6%水溶液1.8gを均一に含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌するとエマルジョン粒子がカチオン染料可染型のポリエステル繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したカチオン染料可染型のポリエステル繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例58】
【0110】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリプロピレン繊維(菱化イーテック株式会社製、高性能油吸着剤「スーパーアタック」)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に、アニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで40分間攪拌すると、エマルジョン粒子がポリプロピレン繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したポリプロピレン繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例59】
【0111】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてカチオン性30%アミノ変性シリコーンオイルエマルジョン(SM8709)を0.5ml採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリルレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を5g添加し、マグネチックスターラーで35分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで白濁したモデル排水よりカチオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例60】
【0112】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリルレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g及び1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に両性界面活性剤(エルマイザーA)の0.2%水分散液を13.5g添加し、マグネチックスターラーで50分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水はほぼ透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子の殆どが除去されたほぼ透明な処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は81%であった。
【実施例61】
【0113】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリルレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g及び1%水酸化ナトリウム水溶液を0.5g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に両性界面活性剤(エルマイザーA)の0.2%水分散液を2.7g及びアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を2.4g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例62】
【0114】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にナイロンジャージーを3g添加し、さらにアクリル酸系共重合物金属塩(アロン A-50P)の0.2%水溶液を1g及び20%クエン酸(無水)水溶液を0.3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を0.36g添加し、マグネチックスターラーで50分間攪拌すると、エマルジョン粒子がナイロンジャージーに付着され、モデル排水はほぼ透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したナイロンジャージーを引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子の殆どが除去されたほぼ透明の処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は84%であった。
【実施例63】
【0115】
(1)500mlビーカーに実施例39と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にナイロンジャージーを3g添加し、さらにアクリル酸系共重合物金属塩(アロン A-50P)の0.2%水溶液を1g及び20%クエン酸(無水)水溶液を0.3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水に両性界面活性剤(GENAGEN B1566)の10%水溶液を0.27g及びカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液0.05g添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子がナイロンジャージーに付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したナイロンジャージーを引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例64】
【0116】
(1)500mlビーカーに汚濁物質として非イオン界面活性剤(旭電化工業株式会社製「アデカトール NP-690」ノニルフェノールエトキシレート)を0.1g採取し、水道水で500gとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を4g添加し、さらにカチオン化グアーガム(JAGUAR C-17)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にアニオン界面活性剤(Hostapur SAS60)の0.5%水溶液を1g添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌する。
(4)上記モデル排水よりセルロース繊維を引き上げ、微量のセルロース繊維をNo.5Aのろ紙でろ別したろ液の276nm(ベンゼン環の吸収波長)における吸光度を測定した結果、非イオン界面活性剤の除去率は30%であった。
【実施例65】
【0117】
(1)500mlビーカーに汚濁物質としてケイソウ土(ラジオライトF)を0.05g採取し、水道水で約500mlとしたものをモデル排水とする。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらに両性アクリル系ポリマー(サンフロック R-320P)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌する。
(3)上記モデル排水にカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の0.6%水溶液を1.8g添加し、マグネチックスターラーで10分間攪拌すると、ケイソウ土がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(4)上記モデル排水よりケイソウ土が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水よりケイソウ土が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例66】
【0118】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにカチオン化グアーガム(JAGUAR C-17)の0.2%水溶液を1.5g添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例67】
【0119】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらに疎水化修飾されたカチオン化セルロース(Soft CAT Polymer SK-H)の0.2%水溶液を1.5g添加し、マグネチックスターラーで30分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水はほぼ透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子の殆どが除去されたほぼ透明の処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は90%であった。
【実施例68】
【0120】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにカチオン化セルロース(ダイセル化学工業株式会社製、「ジェルナー QH-300」)の0.2%水溶液を1.5g添加し、マグネチックスターラーで35分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水はほぼ透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子の殆どが除去されたほぼ透明の処理水を得ることができた。処理水の残存乳化油分を測定した結果、乳化油分の除去率は86%であった。
【実施例69】
【0121】
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)セルロース繊維(脱脂綿)2gに水道水5gを均一に含浸させ、さらにカチオン化グアーガム(JAGUAR C-17)の0.2%水溶液1.5gを含浸させたものを排水処理剤として上記モデル排水に添加し、マグネチックスターラーで20分間攪拌すると、エマルジョン粒子がセルロース繊維に付着され、モデル排水は無色透明となった。
(3)上記モデル排水よりエマルジョン粒子が付着したセルロース繊維を引き上げることで、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例70】
【0122】
(1)実施例43で使用後のセルロース繊維(脱脂綿)を、500gの水道水に非イオン界面活性剤(旭電化工業株式会社製、「アデカトール SO-135」,第2級アルコールエトキシレート)が0.1g及びメタケイ酸ソーダ(5水塩)が0.7g添加してある洗浄液に入れ、室温でマグネチックスターラーにより25分間攪拌洗浄する。その後、800mlの水道水でマグネチックスターラーにより10分間攪拌するすすぎを3回行なう。
(3)上記のセルロース繊維(脱脂綿)により、実施例43と同様なモデル排水の処理を行なったところ、実施例43と同様な結果が得られた。
【実施例71】
【0123】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.72g添加し、観賞魚用のエアレーション装置によりバブリングを15分間行うと、エマルジョン粒子が付着したスカムが浮上し、モデル排水は無色透明となった。
(3)浮上したスカムをアスピレーターで吸引除去し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【実施例72】
【0124】
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.95g添加し、観賞魚用のエアレーション装置によりバブリングを2分間行う。
(3)上記モデル排水に活性化ベントナイト(ネオクニボンド)の10%スラリーを0.5g添加し、観賞魚用のエアレーション装置によりバブリングを2分間行うと、エマルジョン粒子を付着したスカムが浮上し、モデル排水は無色透明となった。
(4)浮上したスカムをアスピレーターで吸引除去し、白濁したモデル排水より非イオン性エマルジョン粒子が除去された無色透明の処理水を得ることができた。
【0125】
[比較例1]
(1)500mlビーカーに実施例1と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌したが、白濁した状態であった。カチオン界面活性剤が無添加の場合、非イオン性エマルジョン粒子はポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)に吸着しなかった。
【0126】
[比較例2]
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を1.25g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.03g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌したが、白濁した状態であった。ポリアクリル酸ナトリウムのアニオン基とカチオン界面活性剤の結合比が(1:0.1)では非イオン性エマルジョン粒子をP-S複合体に付着させることができなかった。
【0127】
[比較例3]
(1)500mlビーカーに実施例5と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にポリアクリル酸ナトリウム(アクアリック IH-L)の0.2%水溶液を1.25g添加し、さらにカチオン界面活性剤(カチオンF2-50)の6%水溶液を0.45g添加し、マグネチックスターラーで15分間攪拌したが、白濁した状態であった。ポリアクリル酸ナトリウムのアニオン基とカチオン界面活性剤の結合比が(1:1.5)では非イオン性エマルジョン粒子をP-S複合体に付着させることができなかった。
【0128】
[比較例4]
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、マグネチックスターラーで60分間攪拌したが白濁した状態であった。セルロース繊維(脱脂綿)だけでは非イオン性エマルジョンは処理できなかった。
【0129】
[比較例5]
(1)500mlビーカーに実施例41と同様のモデル排水を調製する。
(2)上記モデル排水にセルロース繊維(脱脂綿)を2g添加し、さらにジメチルアミノエチルメタクリルレート塩化メチル4級塩ホモポリマー(アロンフロック C-303H)の0.2%水溶液を3g添加し、マグネチックスターラーで60分間攪拌したが、白濁した状態であった。カチオン化多糖類以外のカチオン性有機重合体では、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等を添加しないと非イオン性エマルジョンを除去することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の排水処理方法によれば、排水中のエマルジョン、界面活性剤、分散微粒子等を、そのイオン性を問わずに処理できる。特にエマルジョン、中でも処理困難とされている非イオン性エマルジョンを完全に、しかも容易に処理できる。
主要処理薬剤は、イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤と単純であり、コンプレッサー及び散気管による空気のバブリングだけで、汚濁物質を吸着及び付着したP-S複合体又はP-S複合体/鉱物、P-S複合体/金属水酸化物を浮上させることができる。
最近は、環境問題等より油性塗料から水性のエマルジョン塗料への切替えが進んでおり、エマルジョンを含んだ排水処理の需要が高くなる。
また、ナノテクノロジーの発展と共に、ナノ粒子の排水からの除去、回収も重要となってくる。
以上のように、本発明の産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系による非イオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図2】カチオン性有機重合体/アニオン界面活性剤/アルミナ(Al水酸化物)系による 非イオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図3】両性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系による非イオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図4】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系によるカチオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図5】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系によるアニオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図6】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系による分散微粒子処理のメカニズム
【図7】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系による非イオン界面活性剤の処理のメカニズム
【図8】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系によるアニオン界面活性剤の処理のメカニズム
【図9】アニオン性有機重合体/カチオン界面活性剤/アルミナ(Al水酸化物)系による非イオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図10】カチオン性有機重合体/アニオン界面活性剤/ケイ酸塩鉱物系による 非イオン性エマルジョン処理のメカニズム
【図11】既設油水分離槽の利用による排水処理装置
【符号の説明】
【0132】
1:排水
2:排水処理剤
3:コンプレッサー
4:散気管
5:スクリーン
6:浮上物
7:固液分離装置
8:処理水
9:固形物(スカム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤又は両性界面活性剤のいずれかとの複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
【請求項2】
排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤との複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
【請求項3】
排水中の汚濁物質をイオン性有機重合体と、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤との複合体により吸着及び付着除去する排水処理方法。
【請求項4】
前記汚濁物質が吸着及び付着した複合体を形成させた後、排水に鉱物及び/又は水溶性無機凝集剤を添加し、前記複合体の凝集を促進させる請求項1ないし3のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項5】
排水中の汚濁物質を、カチオン化多糖類を吸着させた有機繊維により吸着及び付着除去する排水処理方法。
【請求項6】
排水中に空気をバブリングしてなる請求項1ないし5のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項7】
排水中に液体油を添加してなる請求項1ないし6のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項8】
イオン性有機重合体を有機繊維に吸着させたことを特徴とする請求項1ないし3、6、7のいずれかに記載の排水処理方法。
【請求項9】
イオン性有機重合体とイオン性界面活性剤からなる排水処理剤セット。
【請求項10】
さらに鉱物を加えてなる請求項9記載の排水処理剤セット。
【請求項11】
さらに水溶性無機凝集剤を加えてなる請求項9又は10記載の排水処理剤セット。
【請求項12】
さらに有機繊維を加えてなる請求項9記載の排水処理剤セット。
【請求項13】
有機繊維と該有機繊維に吸着するカチオン化多糖類からなる排水処理剤セット。
【請求項14】
さらに液体油を加えてなる請求項9ないし13のいずれかに記載の排水処理剤セット。
【請求項15】
さらに曝気手段を加えてなる請求項9ないし14のいずれかに記載の排水処理剤セット。
【請求項16】
有機繊維にカチオン化多糖類を吸着させた排水処理剤。
【請求項17】
有機繊維にイオン性有機重合体及びイオン性界面活性剤を吸着させた排水処理剤。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の排水処理剤に曝気手段を加えてなる排水処理剤セット。
【請求項19】
さらに液体油を加えてなる請求項18の排水処理セット。

【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−196222(P2007−196222A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351556(P2006−351556)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(592007612)横浜油脂工業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】