説明

インクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法

【課題】本発明はインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターと、上記インクジェットヘッドプレート上に積層され、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路が形成されるパッケージ部と、上記パッケージ部に貫通形成されるビアに充填され、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続する電気接続部を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットヘッドアセンブリーに関し、より詳細には圧電アクチュエーターを作動するための電気配線及びインクを供給するインク保存タンクの連結形態を改善してインクジェットヘッドの実装所要面積を最小化することで、インクジェットヘッドの高密度化が可能なインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェットヘッドは電気信号を物理的な力に変換し、小さなノズルを通じてインクを液滴(droplet)の形態で吐出させる構造体である。このようなインクジェットヘッドは、インク吐出方式によって大きく二つに分けることができる。その一つは、熱源を利用してインクにバブル(bubble)を発生させ、そのバブルの膨張力によりインクを吐出させる熱駆動方式のインクジェットヘッドであり、他の一つは、圧電体を使用し、その圧電体の変形によりインクに加わる圧力によりインクを吐出させる圧電方式のインクジェットヘッドである。
【0003】
特に、圧電方式のインクジェットヘッドは、最近、産業用インクジェットプリンターにおいて広範囲に用いられている。例えば、フレキシブル印刷回路基板(FPCB)上に金、銀などの金属を溶かして作ったインクを噴射して回路パターンを直接形成させたり、産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)の製造及び太陽電池などに使用される。
【0004】
インクジェットヘッドにインクを供給するためにはインク保存タンクが必要であり、一般的に、インクジェットヘッドはシリコーンのMEMS工程により製造されるが、インク保存タンクは機械加工で製造される。シリコーン加工工程は、工程許容寸法が数十μmであるが、一般的な機械加工は構造物の特性と加工法などにより最小数百μm以上から数mmに達するため、インクジェットヘッドとインク保存タンクを連結するために必要な面積が大きく、これはインクジェットヘッドの全体幅の増加に繋がる。
【0005】
一般的に、インクジェットヘッドの製造はウェーハレベルで行われるため、このようにインクジェットヘッドの全体幅が増加すると、一つのウェーハに製造可能なインクジェットヘッドの数が減少し、これは加工歩留まりの下落及び製造原価の上昇などの生産性の低下に繋がるという問題点がある。
【0006】
また、最近インクジェットプリンターは、多くのインクジェットヘッドを装着し、高い生産性を有することが重要であるため、インクジェットヘッドをアレイ方式で構成することが核心技術となっており、そのためには、インクジェットヘッドの幅が薄くなる必要がある。従って、インクジェットヘッドの幅の増加は、インクジェットヘッドのアレイ方式の構造を実現することが困難であるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、インクジェットヘッドアセンブリーの電気配線をビアーフィル(Via−Fill)配線を利用することで、インク保存タンクの連結構造を簡単にし、ウェーハレベルのパッケージで製作可能なインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【0008】
本発明の他の目的は、インクジェットヘッドの全体幅を減少させることで、一つのウェーハに製造可能なインクジェットヘッドの数が増加し、加工歩留まりの上昇及び製造原価の節減などの生産性が向上したインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、インクジェットヘッドの実装面積を減少させてインクジェットヘッドのアレイ方式の構造が可能なインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターと、上記インクジェットヘッドプレート上に積層され、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路が形成されるパッケージ部と、上記パッケージ部に貫通形成されるビアに充填され、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続する電気接続部を含むことができる。
【0011】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、上記電気接続部と上記圧電アクチュエーターを電気的に連結させる連結部材をさらに含むことができ、上記連結部材はソルダーボールから成ることができる。
【0012】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、上記圧電アクチュエーター上に提供され、上記ソルダーボールの漏れ防止のための高分子フィルムをさらに含むことができ、上記高分子フィルムは感光性ポリマー(photoresist)であってもよい。
【0013】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記連結部材は、ACF(anisotrofic conductive film)またはソルダーバンプであることができる。
【0014】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記ビアは、一定の直径を有する垂直ホール、または上記パッケージ部の下部に向かうほど直径が徐々に大きくなる傾斜ホールの形態であることができる。
【0015】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記ビアは、深堀り反応性イオンエッチング(Deep reactive−ion etching、DRIE)により形成される貫通ホールであることができる。
【0016】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記パッケージ部は、単結晶シリコーンウェーハまたはSOIウェーハから成ることができる。
【0017】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、上記パッケージ部と上記インクジェットヘッドプレートを接合するための中間層をさらに含むことができ、上記中間層は、ガラスウェーハまたはシリコーンウェーハから成ることができる。
【0018】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記中間層は、上記圧電アクチュエーターの上部を収容する収容部と、上記収容部及び上記ビアと連通する連通ホールを含むことができる。
【0019】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記収容部は、上記中間層の下部から上部に向かって陥没した溝であり、上記圧電アクチュエーターの形状に対応する形状を有し、上記圧電アクチュエーターの厚さと加工誤差を加えただけの深さを有することができる。
【0020】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、上記パッケージ部上に形成され、上記圧電アクチュエーターに電圧を印加する外部電源と上記電気接続部を連結する導電性フィルムをさらに含むことができる。
【0021】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの上記電気接続部は、断面が1字型、T字型、またはI−ビーム形態であることができる。
【0022】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、上記パッケージ部の上下面と、上記ビアが形成される部分に形成される酸化膜をさらに含むことができる。
【0023】
他の側面における本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターと、上下部を貫通するビアが形成されたシリコーン層と、上記シリコーン層と上記インクジェットヘッドプレートを接合するためのガラス層から成り、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させるように形成されるパッケージ部と、上記ビアに充填され、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続する電気接続部を含むことができる。
【0024】
一方、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、インクジェットヘッドプレートにインク流路を形成する段階と、上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターを上記圧力チャンバに対応するように形成する段階と、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路及び上下部を貫通するビアが形成されるようにパッケージ部を加工する段階と、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続するように上記ビアに電気接続部を形成する段階と、上記インクジェットヘッドプレート上に上記パッケージ部を積層して接合する段階を含むことができる。
【0025】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記パッケージ部を加工する段階は、シリコーンウェーハをエッチングする工程により上記流路及び上記ビアを形成することができる。
【0026】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記パッケージ部を加工する段階は、上記ビアが一定の直径を有する垂直ホール、または上記パッケージ部の下部に向かうほど直径が徐々に大きくなる傾斜ホールの形態になるようにエッチングすることができる。
【0027】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記パッケージ部を加工する段階は、深堀り反応性イオンエッチング(Deep reactive−ion etching、DRIE)工程により上記流路及び上記ビアを形成することができる。
【0028】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、上記ビアと連通する連通ホール及び上記圧電アクチュエーターを収容する収容部が形成されるように中間層を加工する段階と、上記中間層上に上記パッケージ部を積層して接合する段階をさらに含むことができる。
【0029】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記中間層と上記パッケージ部を接合する段階は、陽極接合(anodic bonding)、ガラスフリット(glass frit)接合、ポリマー接合、プラズマを利用した低温シリコーン直接接合、または金属(Eutectic Bonding)接合を利用して行うことができる。
【0030】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記中間層を加工する段階は、サンドブラストまたはエッチング工程により行うことができる。
【0031】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記中間層を加工する段階は、上記中間層の下部から上部に向かって上記圧電アクチュエーターの厚さと加工誤差を加えただけの深さを有するように上記収容部を形成する段階と、上記収容部の上面の一部と上記ビアを連通するように上記連通ホールを形成する段階を含むことができる。
【0032】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、上記パッケージ部の上下面及び上記ビアの側面に酸化膜を形成する段階と、上記パッケージ部の下面の酸化膜を除去する段階をさらに含むことができる。
【0033】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記酸化膜を除去する段階は、化学・機械的研磨(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程を利用して行うことができる。
【0034】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法の上記電気接続部を形成する段階は、電気メッキ法(electroplating)を利用して金属を充填することができる。
【0035】
また、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法は、上記電気接続部と上記圧電アクチュエーターを電気的に連結させる連結部材を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によるインクジェットヘッドアセンブリー及びその製造方法によると、電気配線とインク保存タンクの連結構造を簡単にし、インクジェットヘッドアセンブリーをウェーハレベルのパッケージに製造することができる。
【0037】
また、インクジェットヘッドの全体幅が減少するため、一つのウェーハに製造可能なインクジェットヘッドの数が増加する。従って、加工歩留まりの上昇及び製造原価の節減などの生産性が向上する。
【0038】
さらに、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、インクジェットヘッドの実装面積を減少させたため、インクジェットヘッドをアレイ方式で構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略切開斜視図である。
【図2】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略断面図である。
【図3】図2のA部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部のインク流路を示す概略平面図である。
【図5】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのインク流路を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの実装構造を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの実装構造を示す概略断面図である。
【図8】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略断面図である。
【図9a】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9b】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9c】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9d】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9e】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9f】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9g】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9h】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図9i】本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図10a】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図10b】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【図10c】本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施形態に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などにより、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0041】
また、各実施形態の図面に示した同じ思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同じ参照符号を使って説明する。
【0042】
図1は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略切開斜視図であり、図2は本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略断面図であり、図3は図2のA部分の拡大断面図である。
【0043】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー100はインク流路が形成されたインクジェットヘッドプレート110、インクジェットヘッドプレート110にインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーター120、及び圧電アクチュエーター120に電圧を印加する電気配線のためのパッケージ部130を含むことができる。
【0044】
インクジェットヘッドプレート110は、インクが流入されるインク流入口111、インク流入口111に流入されるインクを保存するリザーバー112、圧電アクチュエーター120が装着される位置の下部に設けられる多数の圧力チャンバ114、及びインクを吐出する多数のノズル116を含むことができる。リザーバー112と圧力チャンバ114の間には、インクが吐出するとき、圧力チャンバ114のインクがリザーバー112へと逆流することを抑制するために多数のリストリクター113が形成されてもよい。また、圧力チャンバ114とノズル116は多数のダンパー115により連結されてもよい。
【0045】
インクジェットヘッドプレート110は、上記のインク流路を形成する構成要素を上部基板及び下部基板に適切に形成し、上部基板及び下部基板をシリコーン直接接合(SDB)などの方式で接合して形成することができる。このとき、上部基板は単結晶シリコーン基板やSOI基板であることができ、下部基板はSOI基板から成ることができる。また、インクジェットヘッドプレート110はこれに限らず、さらに多くの基板を使用してインク流路を構成することができ、場合によっては一つの基板で具現することもできる。インク流路を形成する構成要素も例示的なものに過ぎず、求められる条件及び設計仕様に従って多様な構成のインク流路を設けることができる。
【0046】
圧電アクチュエーター120は、インクジェットヘッドプレート110の圧力チャンバ114に対応するようにインクジェットヘッドプレート110の上部に形成され、圧力チャンバ114に流入されたインクをノズル116へと吐出するための駆動力を提供する。例えば、圧電アクチュエーター120は共通電極の役割をする下部電極、電圧の印加により変形される圧電膜、及び駆動電極の役割をする上部電極を含んで構成されることができる。
【0047】
下部電極はインクジェットヘッドプレート110の全表面に形成されることができ、一つの導電性金属物質から成ってもよいが、チタン(Ti)と白金(Pt)から成る二つの金属薄膜層で構成されることが好ましい。下部電極は共通電極の役割だけではなく、圧電膜とインクジェットヘッドプレート110の間の相互拡散を防止する拡散防止層の役割もする。圧電膜は下部電極上に形成され、多数の圧力チャンバ114のそれぞれの上部に位置するように配置される。このような圧電膜は圧電物質、好ましくはPZT(Lead Zirconate Titanate)セラミック材料から成ることができる。上部電極は圧電膜上に形成され、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質のいずれか一つの物質から成ることができる。
【0048】
本実施例では、圧電アクチュエーター120を使用した圧電駆動方式によりインクが吐出される構成を例に説明したが、インク吐出方式により本発明が制限されたり、限定されず、求められる条件に従って熱駆動方式などの多様な方式でインクが吐出されるように構成されることができる。
【0049】
パッケージ部130は、インク保存タンクから供給されるインクをインクジェットヘッドプレート110のインク流入口111に移動させるためのインク流路が形成される流路形成層130a及びパッケージ部130とインクジェットヘッドプレート110を接合するための中間層130bから成ることができる。パッケージ部130はシリコーンウェーハから成ることができ、このとき流路形成層130aは単結晶シリコーンウェーハで形成され、中間層130bはガラスウェーハで形成されることができ、流路形成層130aと中間層130bの接合は陽極接合(anodic bonding)やガラスフリット(glass frit)接合などにより行うことができる。
【0050】
このような本発明のパッケージ部130の構成は例示的なものに過ぎず、パッケージ部130が一つのシリコーンウェーハ、さらに多くの層から成るシリコーンウェーハ、またはSOIウェーハから成ることができ、求められる条件によって多様に設計変更されることができる。流路形成層130aと中間層130bの上記構成も例示的なものに過ぎず、中間層130bがシリコーンウェーハから成って、流路形成層130aと中間層130bがシリコーン直接接合により接合されることができ、他にもポリマー接合、プラズマを利用した低温シリコーン直接接合、または金属(Eutectic Bonding)接合など多様な設計変更が可能である。
【0051】
流路形成層130aは、インク保存タンクから供給されるインクが流入されるインクインレット151、インクジェットヘッドプレート110へとインクを移動させるための流路の役割をするインク移送部152、及び圧電アクチュエーター120に電圧を印加する電気配線のためのビア153を含むことができる。ビア153は流路形成層130aの上下部を貫通するように形成され、圧電アクチュエーター120の上部の一側に配置されることができる。このとき、インクインレット151はビア153の反対側に形成されることができる。従って、インクジェットヘッドアセンブリーの実装構造において、インク保存タンクがインクジェットヘッドアセンブリーの配列の中央部に配置され、電気配線をインクジェットヘッドアセンブリーの側端部に連結できるため、インクジェットヘッドアセンブリーの実装面積を縮小することができる。
【0052】
インクインレット151、インク移送部152及びビア153は、シリコーンウェーハにエッチング工程を通じて形成され、特に、ビア153は乾式エッチングにより一定の直径を有する垂直ホールの形状で形成されるか、或いは流路形成層130aの下部に向かうほど直径が徐々に増加する側面が傾いた形状で形成されることができる。乾式エッチングの中でも反応性イオンエッチング(Reactive−Ion Etching、RIE)、特に、深堀り反応性イオンエッチング(Deep Reactive−Ion Etching、DRIE)工程により形成されることができる。ビア153には電気配線用金属を充填し電気接続部154を形成する。
【0053】
電気接続部154は、電気メッキ法(electroplating)を通じてビア153に金属をメッキすることで形成されることができ、ここで使用される金属としては、Pt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの物質から何れか一つの物質であることができる。電気接続部154は電気的連結を確実にするために上端及び下端がビア153の直径より広く形成され、I−ビーム形態の断面を有することができる。電気接続部154の断面は、これに制限されず、他にも1字型、T字型などの形態を有することができる。また、電気接続部154の側面はビア153の形状に対応するように垂直で形成されるか、傾いて形成されることができる。
【0054】
電気接続部154は、圧電アクチュエーター120との連結のために下端部に連結部材155を含むことができる。連結部材155は電気的に短絡されない水準の接合力を有する通電媒質から成り、例えば、ソルダーボール(solder ball)またはソルダーバンプなどの突起型連結部材、ACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電フィルム)で構成されることができ、他にも多様な荷重印加通電型媒質を利用することもできる。本実施例では上記連結部材155としてソルダーボールを使用する場合を想定している。また、図示は省略するが、圧電アクチュエーター120に電圧を印加する外部電源(図示省略)と電気接続部154とを連結する導電性フィルムがパッケージ部130上に形成されていてもよい。
【0055】
ソルダーボール155の圧電アクチュエーター120への接合のためのソルダーのリフローのとき、ソルダーの漏れ現象を防止するために、圧電アクチュエーター120の上面に高分子フィルム121を塗布してもよい。このとき、高分子フィルム121は、圧電アクチュエーター120の上面からソルダーの接合部位を除いて形成される。これは感光性ポリマー(photoresist)などの素材を現像して形成することができる。
【0056】
流路形成層130aは、上面、ビア153が形成された面、及びインク移送部152が形成された面に酸化膜156が形成されることができる。酸化膜156はシリコーンウェーハから成る流路形成層130aのシリコーン結晶に含まれた不純物が拡散することを防止する役割をする。酸化膜156は流路形成層130aのシリコーンを酸化させて流路形成層130aの表面に成膜した後、流路形成層130aの下部表面に形成された酸化膜を化学−機械的研磨(CMP)などにより除去して形成することができる。
【0057】
中間層130bは、流路形成層130aのインク移送部152のインクをインクジェットヘッドプレート110のインク流入口に供給する通路131、圧電アクチュエーター120の上部を収容する収容部132、及び収容部132とビア153を連通する連通ホール133を含むことができる。圧電アクチュエーター120の収容部132は、中間層130bの下部から上部に向かって陥没した溝であり、圧電アクチュエーター120の形状に対応する形状を有し、圧電アクチュエーター120の厚さと加工誤差を加えただけの深さで形成されることができる。このような収容部132と連通ホール133はガラスウェーハにサンドブラスト(sand blast)またはエッチング(etching)工程を行うことで形成されることができる。
【0058】
流路形成層130aと中間層130bの陽極接合により形成されたパッケージ部130は、インクジェットヘッドプレート110の上面に積層されて接合される。具体的には、中間層130bの下面とインクジェットヘッドプレート110の上面が陽極接合またはガラスフリット接合により接合され、このとき、電気接続部154の連結部材155が圧電アクチュエーター120の上面に接合される。本実施例で、インクジェットヘッドプレート110とパッケージ部130の接合を支持するのは縁部分の接合部である。
【0059】
このように、本実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー100は、インクジェットヘッドプレート110とパッケージ部130がウェーハレベルで接合できるため、加工歩留まりの上昇及び製造原価の節減などの生産性が向上する。
【0060】
図4及び図5は、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部のインク流路を示す概略平面図及び断面図である。
【0061】
図4及び図5を参照すると、インク保存タンク(不図示)からインクインレット151へと流入されたインクは、インク移送部152で矢印方向に沿って移送される。このとき、インクは電気接続部154を充填するためのビア153が形成された壁部の間に移動し、インク移送部152の端部で中間層130bの通路131を通じてインクジェットヘッドプレート110のインク流入口111に移動する。
【0062】
インク流入口111を通じてインクジェットヘッドプレート110に流入されたインクの移動経路は図示しなかったが、従来のインクジェットヘッドにおけるインク移動経路と実質的に同一である。すなわち、インク流入口111へ流入されたインクは、リザーバー112で多数のリストリクター113を通じて圧力チャンバ114に移動し、圧電アクチュエーター120の駆動により圧力チャンバ114内のインクは多数のダンパー115を経由してノズル116から外部に吐出される。
【0063】
インクジェットヘッドアセンブリー100の作動について説明すると、インク保存タンク(不図示)からインクインレット151を通じて供給されたインクが図4及び図5の矢印方向に移動し、インクジェットヘッドプレート110の多数の圧力チャンバ114のそれぞれの内部に供給される。このように圧力チャンバ114の内部にインクが満たされた状態で、FPCB(フレキシブル印刷回路基板、不図示)と連結された電気接続部154を通じて圧電アクチュエーター120に電圧が印加されると、圧電膜が変形し、これにより振動板の役割をするインクジェットヘッドプレート110の上部が下方に曲がってしまう。上記インクジェットヘッドプレート110の上部の曲がり変形により圧力チャンバ114の体積が減少し、それによる圧力チャンバ114内の圧力上昇により圧力チャンバ114内のインクはノズル116を通じて外部に吐出される。
【0064】
次いで、圧電アクチュエーター120に印加された電圧が遮断されると、圧電膜は原状復元され、これにより振動板の役割をするインクジェットヘッドプレート110の上部が原状に復元されて圧力チャンバ114の体積が増加する。これによる圧力チャンバ114内の圧力減少とノズル116内に形成されたインクのメニスカスによる表面張力によりリザーバー112から圧力チャンバ114の内部へインクが流入される。
【0065】
図6及び図7は、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの実装構造を示す概略斜視図及び断面図である。
【0066】
図6及び図7を参照すると、インクジェットヘッドアセンブリーの実装構造は対称となるよう配列された第1のインクジェットヘッドアセンブリー100a及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100b、上記第1及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100a、100bの上部の中央に配置されたインク保存タンク170、上記第1及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100a、100bの上面に形成され、電気接続部154a、154bのそれぞれに連結されたボンディング部171a、171b、及び上記第1及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100a、100bの圧電アクチュエーターに電圧を印加するために、上記ボンディング部171a、171bに連結されたFPCB172a、172bを含む。上記ボンディング部171a、171bはエポキシ樹脂から成ることができ、特に、ACF(異方性導電フィルム)で形成されることができる。
【0067】
このように、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは圧電アクチュエーター120に電圧を印加するための電気配線をインクジェットヘッドアセンブリーの表面にほぼ垂直に形成された電気接続部154を通じて連結することで、従来のFPCBの接合のために求められたインクジェットヘッドアセンブリーの面積が著しく減少する。従って、本実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは全体幅において、従来のインクジェットヘッドアセンブリーの全体幅のうちFPCBの接合のための面積とACFの接合のための面積ほど減少する。このとき、インク保存タンクは、ノズルが交互に形成された対称構造のインクジェットヘッドアセンブリーセットの上部の中央部分に配置されるため、インクジェットヘッドアセンブリーの実装面積が著しく減少する。
【0068】
このようなインクジェットヘッドアセンブリーの実装面積の減少は、ウェーハレベルのパッケージで形成されるインクジェットヘッドアセンブリーの全体幅を著しく減少させるため、一つのウェーハ当たりにより多い数のインクジェットヘッドアセンブリーを製造することができる。従って、加工歩留まりの上昇及び製造原価の節減など生産性が向上する。
【0069】
図8は、本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーを示す概略断面図である。
【0070】
図8に図示された本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは、電気配線用金属の連結部材がACFから成る場合であり、その他の構成は、図1から図3に図示された本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーと同一であるため、それらの構成に対する詳細な説明は省略し、以下では差異点を中心に説明する。
【0071】
図8を参照すると、本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー200もインクジェットヘッドプレート210、圧電アクチュエーター220、及びパッケージ部230を含み、インクジェットヘッドプレート210はインク流路に沿って形成されたインク流入口211、リザーバー212、多数のリストリクター213、多数の圧力チャンバ214、多数のダンパー215及び多数のノズル216を含む。
【0072】
パッケージ部230はインクインレット251、インク移送部252及びビア253を含む流路形成層230aと、インク移送部252とインク流入口211の連結通路231及び圧電アクチュエーター220を収容する収容部232を含む中間層230bと、上記ビア253に電気配線用金属を充填して形成される電気接続部254を含む。ビア253は乾式エッチングにより一定の直径を有する垂直ホールの形状で形成されるか、或いは流路形成層230aの下部に向かうほど直径が増加する傾斜ホールの形状で形成されることができる。
【0073】
電気接続部254は、ビア253に電気メッキを通じてPt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの金属の何れか一つの金属をメッキすることで形成されることができる。電気接続部154の断面はI−ビーム、1字型、T字型などの多様な形態を有することができる。
【0074】
圧電アクチュエーター220の上面において、電気接続部254と連結される部分に荷重印加通電媒質としてACF255が塗布されている。本実施例では、通電媒質としてACF255を使用したが、これに限定されず、その他に電気伝導性を有する硬化型接着剤を使用することができる。本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは、通電媒質としてソルダーボール155を使用し、これは圧電アクチュエーター120との接合のとき、温度の限界性を有するようになるが、本実施例のACF255は耐熱性の荷重印加型通電媒質であるため、上記ソルダーボール155の限界を克服することができる。また、本実施例では圧電アクチュエーター220の上面にソルダーのリフローのとき、ソルダーの漏れ現象を防止するための高分子フィルムを必要としない。
【0075】
流路形成層230aと中間層230bは、陽極接合やガラスフリット接合などにより接合され、このように形成されたパッケージ部230とインクジェットヘッドプレート210は陽極接合などによりウェーハレベルで接合されることができる。インクジェットヘッドアセンブリー200の接合部は、中間層230bの下面とインクジェットヘッドプレート210の上面であり、この接合部はインクジェットヘッドアセンブリー200の外郭部分の接合により支持される。このとき、電気接続部254と圧電アクチュエーター220の連結はACF255により行われる。
【0076】
以下では、上記の構成を有する本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーを製造する方法について説明する。
【0077】
先ず、本発明の好ましい製造方法を概略的に説明すると、ウェーハ上にインク流路を形成してパッケージ部とインクジェットヘッドプレートをそれぞれ製造し、上記インクジェットヘッドプレート上に上記パッケージ部を積層し接合することで、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーが完成する。一方、パッケージ部とインクジェットヘッドプレートを製造する段階は、手順に関係なく行われることができる。すなわち、パッケージ部とインクジェットヘッドプレートの何れか一つが先に製造されることもでき、パッケージ部とインクジェットヘッドプレートが同時に製造されることもできる。また、インクジェットヘッドプレートを製造する段階は、一般的に、一つ以上のウェーハにインク流路を形成する段階であり、以下では説明の便宜上、インクジェットプレートを製造する段階に対する詳細な説明は省略する。
【0078】
図9aから9iは、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。
【0079】
図9aから9fは、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部を製造する段階を説明するための図面である。パッケージ部の流路形成層と中間層を製造する段階は、手順にかかわらず行われることができる。但し、説明の便宜上、流路形成層と中間層の順でそれぞれの製造方法を説明する。
【0080】
先に、図9aに図示されたように、流路形成層としてシリコーンウェーハ301を準備する。シリコーンウェーハ301は単結晶シリコーン基板やSO ウェーハを使用することができる。
【0081】
次に、図9bに図示されたように、シリコーンウェーハ301にエッチング工程を通じてインクインレット302、ビア303、及びインク移送部304を形成する。具体的には、シリコーンウェーハ301の下面にフォトレジストを塗布し、塗布したフォトレジストをパターニングして上記インクインレット302、ビア303、及びインク移送部304を形成するための開口部を形成する。このとき、フォトレジストのパターニングは、露光と現像を含む公知のフォトリソグラフィー(photolithography)法により行うことができる。
【0082】
パターニングされたフォトレジストをエッチングマスクにし、開口部を通じて露出したシリコーンウェーハ301をエッチングし、インクインレット302、ビア303、及びインク移送部304を形成する。このとき、エッチングは深堀り反応性イオンエッチング(Deep Reactive−Ion Etching、DRIE)のような乾式エッチング方法が好ましいが、シリコーンエッチング液として、例えば、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH:Tetramethyl Ammonium Hydroxide)または水酸化カリウム(KOH)を利用した湿式エッチング方法により行われることもできる。ビア303はシリコーンウェーハ301の上部及び下部を貫通するようにエッチングして形成され、一定の直径を有する垂直ホール、または直径がシリコーンウェーハ301の下部に向かうほど徐々に増加する傾斜ホールであることができる。次に、フォトレジストを除去すると、シリコーンウェーハ301にインクインレット302、ビア303、及びインク移送部304が形成される。
【0083】
次に、図9cに図示されたように、インクインレット302、ビア303、及びインク移送部304が形成されたシリコーンウェーハ301を湿式及び/または乾式酸化させ、シリコーンウェーハ301の上面と下面、インクインレット302、ビア303及びインク移送部304の形成面にシリコーン酸化膜305を形成する。このとき、シリコーン酸化膜305は約5,000Å〜15,000Å程度の厚さを有する。
【0084】
次に、図9dに図示されたように、シリコーンウェーハ301の下面に形成されたシリコーン酸化膜を除去し、図1に図示されたインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部130の上層である流路形成層130aを形成する。このとき、シリコーンウェーハ301の下面のシリコーン酸化膜の除去は、化学・機械的研磨(Chemical Mechanical Planarization、CMP)方法により行うことができる。
【0085】
次に、図9eに図示されたように、シリコーン酸化膜が形成されたビア303に電気接続部306を形成する。具体的には、ビア303にPt、Au、Ag、Ni、Ti及びCuなどの金属の何れか一つから成る金属を電気メッキ(electroplating)法によりメッキして電気接続部306を形成する。このとき、電気接続部306の断面は1字型、T字型、I−ビーム形態などから成ることができる。
【0086】
図9fは、本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリー100のパッケージ部130の下層である中間層130bを形成する段階を示す図面である。
【0087】
図9fに図示されたように、中間層130bを形成するためのガラスウェーハ311を用意し、ガラスウェーハ311をサンドブラスト(sand blast)やエッチングして圧電アクチュエーター収容部312、ビアと連通する連通ホール313、及びインクをインクジェットヘッドプレートのインク流入口に供給する通路314を形成する。本実施例では、中間層としてガラスウェーハを使用したが、これに限定されず、求められる条件により多様なウェーハを使用することができる。
【0088】
ガラスウェーハ311をエッチングして上記収容部312、連通ホール313及び通路314を形成する方法は、シリコーンウェーハ301のエッチング工程と同じ方法で行われることができる。すなわち、ガラスウェーハ311の下面にガラスより選択比の高い物質、例えば、フォトレジストを塗布し、これをパターニングした後、パターニングされたフォトレジストをエッチングマスクにし、ガラスウェーハ311をエッチングして収容部312、連通ホール313及び通路314を形成してフォトレジストを除去する。このとき、エッチングは、同様にDRIE方法のような乾式エッチング方法やエッチング液を利用した湿式エッチング方法であることができる。
【0089】
このとき、収容部312は圧電アクチュエーターを収容するようにガラスウェーハ311の下部から上部に向かって陥没した溝の形態から成り、圧電アクチュエーターの形状に対応する形状を有し、圧電アクチュエーターの厚さと加工誤差を加えただけの深さで形成されることができる。連通ホール313は、収容部312の上部及びガラスウェーハ311の上部を貫通するように形成され、通路314はガラスウェーハ311の上部及び下部を貫通するように形成される。
【0090】
次に、図9gに図示されたように、シリコーンウェーハ301とガラスウェーハ311を接合し、図1に図示された本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部130を形成する。このとき、シリコーンウェーハ301とガラスウェーハ311の接合は、陽極接合(anodic bonding)やガラスフリット(glass frit)接合による行うことができる。
【0091】
次に、図9hに図示されたように、パッケージ部の電気接続部306を圧電アクチュエーターの電極に接合するための連結部材としてソルダーボール307を電気接続部306の下端部に形成する。ソルダーボール307はスズ(Sn)、鉛(Pb)、銅(Cu)または銀(Ag)などの合金から成ることができ、鉛(Pb)を含まない無鉛(lead free)ソルダーボールを使用することもできる。ソルダーボール307の形成工程は、周知の工程を利用して行うこともでき、例えば、ソルダーボール付着部位にフラックスをドッティング(dotting)した後、ソルダーボールを融着して形成することができる。
【0092】
本実施例では、シリコーンウェーハ301のビア303に電気接続部306を形成し、シリコーンウェーハ301とガラスウェーハ311を接合した後、電気接続部306の下端部にソルダーボール307を形成する工程の順から成ると記載しているが、上記工程が必ずしもこのような順から成るとは限らない。例えば、シリコーンウェーハ301とガラスウェーハ311を先に接合した後、ビア303に電気接続部を形成し、ソルダーボール307を形成することもでき、ビア303に電気接続部306とソルダーボール307を形成した後、シリコーンウェーハ301とガラスウェーハ311を接合することもできる。このように、上記工程は、工程環境や求められる条件によって本発明の技術分野の熟練者が適切に選択して行うことができる。
【0093】
次に、図9iに図示されたように、パッケージ部をインクジェットヘッドプレート321上に積層して接合することで、インクジェットヘッドアセンブリーを完成する。具体的に、パッケージ部の中間層であるガラスウェーハ311の下面とインクジェットヘッドプレート321の上面を陽極接合などにより接合する。このとき、圧電アクチュエーター322の電極はソルダーボール307のリフロー工程を通じて電気接続部306と連結される。ソルダーボール307のリフローのとき、ソルダーの漏れ現象を防止するために、インクジェットヘッドプレート321の製造時、圧電アクチュエーター322の上面にフォトレジストのような高分子フィルムを塗布することができる。
【0094】
本実施例では、電気接続部306を圧電アクチュエーターの電極に接合するための連結部材としてソルダーボール307を使用したが、本発明はこれに限定されず、その他に電気伝導性を有する硬化型接着剤を使用することができる。
【0095】
図10aから図10cは、本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を示す工程図である。以下では、図10aから図10cを参照し、本発明の他の実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法を説明する。
【0096】
本実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーは、連結部材として耐熱性の荷重印加型通電媒質であるACFを使用しているという点で、図1に図示された本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーと異なるため、以下では差異点を主に説明する。
【0097】
図10aを参照すると、ビア403に電気接続部406が充填されたシリコーンウェーハ401と、圧電アクチュエーターの収容部412が形成されたガラスウェーハ411が接合されてパッケージ部を形成する。本実施例の図10aに図示されたパッケージ部の形成過程は、本発明の一実施例の図9aから図9iに図示された工程のうち、シリコーンウェーハにビアを形成し、ビアに電気接続部を形成し、シリコーンウェーハとガラスウェーハを接合してパッケージ部を形成する工程、すなわち、図9aから図9gに該当する工程と実質的に同一である。従って、パッケージ部を形成する工程に対する具体的な説明は省略する。
【0098】
図10bを参照すると、圧電アクチュエーター423の上面における圧電アクチュエーター423と電気接続部406の連結部位に連結部材として荷重印加通電媒質が塗布される。例えば、ACF425が塗布されることができる。ACF425は耐熱性の荷重印加型通電媒質であり、本発明の一実施例でソルダーボール155が圧電アクチュエーター120との接合時に温度の限界性を有することを克服することができる。本実施例による場合、ソルドの漏れ現象を防止するために圧電アクチュエーターの上面にフォトレジストを塗布する工程は省略される。
【0099】
次に、ACF425が塗布されたインクジェットヘッドプレート421の上面にパッケージ部を積層して接合することで、インクジェットヘッドアセンブリーを完成する。具体的に、パッケージ部の中間層であるガラスウェーハ411の下面とインクジェットヘッドプレート421の上面が陽極接合により接合され、電気接続部406はACF425を媒介に圧電アクチュエーター423の電極と連結される。このとき、インクジェットヘッドプレートとパッケージ部の接合を支持するのは縁部分の接合部である。このように、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは、インクジェットヘッドプレートとパッケージ部がウェーハレベルで接合されることができる。
【0100】
図示はしなかったが、以下では、図6及び図7に図示された本発明の一実施例によるインクジェットヘッドアセンブリーの実装構造を参照し、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーの実装方法を説明する。
【0101】
図6及び図7に図示されたように、本発明によるインクジェットヘッドアセンブリーは対称となる構造で形成されることが一般的である。第1のインクジェットヘッドアセンブリー100a及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100bの上面の側端部に電気接続部154a、154bとFPCB172a、172bを電気的に連結するためのボンディング部171a、171bを形成する。上記ボンディング部171a、171bは電気伝導性を有する硬化型接着剤で形成することができ、例えば、ACFまたはエポキシ樹脂を使用することができる。
【0102】
次に、FPCB172a、172bと電気接続部154a、154bを上記ボンディング部171a、171bを通じて連結する。
【0103】
第1のインクジェットヘッドアセンブリー100a及び第2のインクジェットヘッドアセンブリー100bの上部の中央にインク保存タンク170を設ける。インク保存タンク170を設ける工程と、インクジェットヘッドアセンブリー100a、100bにボンディング部171a、171bを形成してFPCB172a、172bを連結する工程は手順が決まっておらず、インク保存タンク170を設ける工程を先にした後、インクジェットヘッドアセンブリー100a、100bにボンディング部171a、171bを形成してFPCB172a、172bを連結することもできる。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施例を詳しく説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者には、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点は自明である。例えば、本発明でインクジェットヘッドアセンブリーのパッケージ部の各構成要素を形成する方法は、単に例示されたものであり、多様なエッチング方法を適用することができ、製造方法の各段階の手順も例示されたものと異ならせることができる。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲により決まるべきである。
【符号の説明】
【0105】
100、200 インクジェットヘッドアセンブリー
110、210 インクジェットヘッドプレート
120、220 圧電アクチュエーター
130、230 パッケージ部
153、253 ビア
154、254 電気接続部
155 ソルダーボール
255 ACF
170 インク保存タンク
171a、171b ボンディング部
172a、172b FPCB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、
上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターと、
上記インクジェットヘッドプレート上に積層され、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路が形成されるパッケージ部と、
上記パッケージ部に貫通形成されるビアに充填され、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続する電気接続部と
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項2】
上記電気接続部と上記圧電アクチュエーターを電気的に連結させる連結部材をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項3】
上記連結部材は、ソルダーボールから成ることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項4】
上記圧電アクチュエーター上に提供され、上記ソルダーボールの漏れ防止のための高分子フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項5】
上記高分子フィルムは、感光性ポリマー(photoresist)であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項6】
上記連結部材は、ACF(anisotrofic conductive film)、またはソルダーバンプであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項7】
上記ビアは、一定の直径を有する垂直ホール、または上記パッケージ部の下部に向かうほど直径が徐々に大きくなる傾斜ホールの形態であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項8】
上記ビアは、深掘り反応性イオンエッチング(Deep reactive−ion etching、DRIE)により形成される貫通ホールであることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項9】
上記パッケージ部は、単結晶シリコーンウェーハ、またはSOIウェーハから成ることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項10】
上記パッケージ部と上記インクジェットヘッドプレートを接合するための中間層をさらに含むことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項11】
上記中間層は、ガラスウェーハまたはシリコーンウェーハから成ることを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項12】
上記中間層は、
上記圧電アクチュエーターの上部を収容する収容部と、
上記収容部及び上記ビアと連通される連通ホールと
を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項13】
上記収容部は、上記中間層の下部から上部に向かって陥没した溝であり、上記圧電アクチュエーターの形状に対応する形状を有し、上記圧電アクチュエーターの厚さと加工誤差を加えただけの深さを有することを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項14】
上記パッケージ部上に形成され、上記圧電アクチュエーターに電圧を印加する外部電源と上記電気接続部を連結する導電性フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項15】
上記電気接続部は、断面が1字型、T字型、またはIビーム形態であることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項16】
上記パッケージ部の上下面と、上記ビアが形成される部分に形成される酸化膜をさらに含むことを特徴とする請求項1から15の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項17】
インク流路が形成されるインクジェットヘッドプレートと、
上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバに対応するように形成され、上記圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターと、
上下部を貫通するビアが形成されたシリコーン層と、上記シリコーン層と上記インクジェットヘッドプレートを接合するためのガラス層から成り、外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させるように形成されるパッケージ部と、
上記ビアに充填され、上記圧電アクチュエーターと電気的に接続する電気接続部と
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリー。
【請求項18】
インクジェットヘッドプレートにインク流路を形成する段階と、
上記インクジェットヘッドプレート内の圧力チャンバからノズルへとインクを吐出するための駆動力を提供する圧電アクチュエーターを上記圧力チャンバに対応するように形成する段階と、
外部から流入されるインクを上記インクジェットヘッドプレートの流入口に移動させる流路及び上下部を貫通するビアが形成されるようにパッケージ部を加工する段階と、
上記圧電アクチュエーターと電気的に接続するように上記ビアに電気接続部を形成する段階と、
上記インクジェットヘッドプレート上に上記パッケージ部を積層して接合する段階と
を含むことを特徴とするインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項19】
上記パッケージ部を加工する段階は、シリコーンウェーハをエッチングする工程により上記流路及び上記ビアを形成することを特徴とする請求項18に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項20】
上記パッケージ部を加工する段階は、上記ビアが一定の直径を有する垂直ホール、または上記パッケージ部の下部に向かうほど直径が徐々に大きくなる傾斜ホールの形態になるようにエッチングすることを特徴とする請求項18または19に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項21】
上記パッケージ部を加工する段階は、深掘り反応性イオンエッチング(Deep reactive−ion etching、DRIE)工程により上記流路及び上記ビアを形成することを特徴とする請求項18から20の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項22】
上記ビアと連通する連通ホール及び上記圧電アクチュエーターを収容する収容部が形成されるように中間層を加工する段階と、
上記中間層上に上記パッケージ部を積層して接合する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項18から21の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項23】
上記中間層と上記パッケージ部を接合する段階は、陽極接合(anodic bonding)またはガラスフリット(glass frit)接合、ポリマー接合、プラズマを利用した低温シリコーン直接接合、または金属(Eutectic Bonding)接合を利用して行うことを特徴とする請求項22に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項24】
上記中間層を加工する段階は、サンドブラストまたはエッチング工程から成ることを特徴とする請求項22または23に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項25】
上記中間層を加工する段階は、上記中間層の下部から上部に向かって上記圧電アクチュエーターの厚さと加工誤差を加えただけの深さを有するように上記収容部を形成する段階と、
上記収容部の上面の一部と上記ビアを連通するように上記連通ホールを形成する段階と
を含むことを特徴とする請求項22から24の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項26】
上記パッケージ部の上下面及び上記ビアの側面に酸化膜を形成する段階と、
上記パッケージ部の下面の酸化膜を除去する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項18から25の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項27】
上記酸化膜を除去する段階は、化学・機械的研磨(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程を利用して行うことを特徴とする請求項26に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項28】
上記電気接続部を形成する段階は、電気メッキ法(electroplating)を利用して金属を充填することを特徴とする請求項18から27の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。
【請求項29】
上記電気接続部と上記圧電アクチュエーターを電気的に連結させる連結部材を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項18から28の何れか1項に記載のインクジェットヘッドアセンブリーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図9e】
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【図9f】
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【図9g】
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【図9h】
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【図9i】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【公開番号】特開2011−224979(P2011−224979A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65347(P2011−65347)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】