説明

インターネットファクシミリ装置

【課題】端末同士がIP網を介して直接データ通信を行う場合でも、確実にデータ伝送を行うことができるインターネットファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】インターネットファクシミリ送信が、メールサーバを経由した電子メール送信かIP網を介した直接データ通信かを判定し(ステップ101)、電子メール送信であった場合には、通常の電子メール送信を行う(ステップ102)。一方、IP網を介した直接データ通信の場合には、IP網でデータ送信を行い(ステップ103)、通信エラーが発生した場合には、設定されている再送信条件に応じて所定回数のIP網での再送信を行い(ステップ105〜108)、それでも送信できない場合には、通常のファクシミリ手順による再送信を行う(ステップ109)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットプロトコル(IP)を利用するIP網を介して端末同士が直接データ通信を行うことが可能なインターネットファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、インターネットの普及とともに、インターネット回線を利用した様々なサービスが提案されており、インターネットを介してファクシミリデータを送受するファクシミリも提案されており、このようなファクシミリはインターネットファクシミリと呼ばれている。
【0003】
このようなインターネットファクシミリにおいて、電子メールを利用してインターネットを介して画像データを送受信する場合、画像データを含む電子メールを送信側のメールサーバ装置及びインターネットを介して受信側のメールサーバ装置にSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)方式で送信し、受信側のインターネットファクシミリ装置は、POP3(Post Office Protocol version3)方式で受信側のメールサーバ装置にアクセスして画像データを含む電子メールを受信し、受信した画像データを画像記録部を用いて印字するようになっている。
【0004】
この電子メールを利用したインターネットファクシミリでは、送信先まで画像情報が到達したか否か、送信者が確認できない不安を解消するために、通常、送達結果を電子メールを使用して送信者に知らせるようにしている。
そして、送達確認メールが受信できない、または送達確認メールでエラー通知を受信した場合など、電子メールの不達が確認された場合には、公衆回線(PSTN;Public Subscriber Telephone Network)にて従来のファクシミリ手順によって再送信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−158826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のインターネットファクシミリによる画像データの送受信は以上のようにして行われているが、インターネットファクシミリは送達確認をサポートしているメールサーバを経由するとは限らず、また、受信機のインターネットファクシミリ装置も送達確認をサポートしているものばかりではない。
【0006】
さらに、最近のインターネットファクシミリはメールサーバ機能を搭載し、ドメイン名から対応のグローバルIPアドレスを求めて返答するダイナミックDNS(Domain Name System)やIP網を含むインターネットで利用するプロトコルを使って音声を伝送するためのVoIP(Voice over
IP)網を介して端末同士が直接接続し、SMTP、FTP(File Transfer Protocol)あるいはSIP(Session Initiation Protocol)等の制御プロトコルを用いて通信する場合も出てきている。
そして、このような場合には、送信が完了したかどうかの判断を送達確認メールで行うことは不適切であり、通信エラーが発生した場合、再度手動で再送信を行わなければならない、という問題があった。
【0007】
また、IP網を介して通信を行って、エラーが発生した場合、通信エラーの内容によって、IP網で再送信を試みる方が良い場合と、IP網では再送信せずに、PSTN回線で再送信した方が良い場合があるが、通信エラーが発生した場合、ユーザがその通信エラーの内容を確認して再送信を行わなければならず、再送信に手間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、端末同士がIP網を介して直接データ通信を行う場合でも、確実にデータ伝送を行うことができるとともに、通信エラーの内容に応じて適切な再送信方法を選択することができるインターネットファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、端末同士がIP網を介して直接データ通信を行うことが可能なインターネットファクシミリ装置であって、IP網を介して通信を行う手段と、公衆回線網を介して通信を行う手段と、通信中のエラーを検出する通信エラー検出手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記IP網を介した再送信または上記公衆回線網を介した再送信を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、当該通信先の電話番号が登録されている場合に、上記制御手段が公衆回線網で再送信を行うことを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記IP網を介した再送信を試みても送信できない場合に、公衆回線網で再送信を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網での再送信に関する設定を行う再送信設定手段を備え、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記再送信設定手段で設定されたIP網での再送信の可否および再送信回数に基づいてIP網での再送信を行い、送信できない場合に、公衆回線網で再送信を行うことを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が当該通信エラーの内容によってIP網での再送信を行うか、公衆回線網での再送信を行うかを決定することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1〜請求5のいずれかに記載のインターネットファクシミリ装置において、上記制御手段が上記IP網を介した再送信では全ページを再送信し、公衆回線網での再送信では送信完了しているページの続きのページから再送信することを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項7に係る発明のインターネットファクシミリ装置は、請求項1〜請求5のいずれかに記載のインターネットファクシミリ装置において、送信先を入力する手段を備え、送信先を直接入力する場合に、IP網でのアドレスと電話番号とを入力できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介して直接データ通信を行っているときに通信エラーが検出されると、IP網を介した再送信または公衆回線網を介した再送信が行われるので、 端末同士でIP網を介して直接データ通信を行っている場合にも、確実にデータ送信を行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項2に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介して直接データ通信を行っているときに通信エラーが検出された場合、電話帳に当該通信先の電話番号が登録されている場合、または操作画面での通信先の直接入力時に当該通信先の電話番号が登録された場合に、公衆回線網で再送信が行われるので、電話番号を登録しておくだけで、IP網でのデータ通信が不調な場合には自動的に公衆回線網での再送信を行うことができる。
【0018】
さらに、請求項3に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介して直接データ通信を行っているときに通信エラーが検出された場合、IP網を介した再送信を試みても送信できない場合に、公衆回線網で再送信が行われるので、確実にデータ送信を行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項4に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介して直接データ通信を行っているときに通信エラーが検出された場合のIP網での再送信の可否および再送信回数を再送信設定手段により任意に設定することができるので、通信状況及びユーザの意向に沿って容易に再送信条件を変更することができる。
【0020】
さらに、請求項5に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介して直接データ通信を行っているときに通信エラーが検出された場合、通信エラーの内容によってIP網での再送信を行うか、公衆回線網での再送信を行うかが決定され、例えば、指定された相手先のIPアドレスに接続できない場合や、指定された相手先のドメイン名の名前解決ができない場合など、IP網での再送信を試みても無駄である可能性が高い場合には最初から公衆回線網で再送信し、逆にデータの送信中に受信機でメモリオーバーやエラーが発生し、エラー応答を返してきて通信エラーになった場合には、所定の時間経過後にIP網で再送信すれば成功する可能性が高いので、IP網での再送信を行う。
このように、通信エラーの内容によって再送信方法を自動的に決定することにより、ユーザが通信エラーの内容を確認する必要がなくなるとともに、無駄な再送信動作を行うことなくデータを確実に送信することが可能となる。
【0021】
また、請求項6に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、IP網を介した再送信では全ページを再送信し、公衆回線網での再送信では送信完了しているページの続きのページから再送信されるので、公衆回線網での再送信時間を短縮することが可能となる。すなわち、IP網での通信ではTIFFやPDFなどのファイルでデータを送信するために、データ送信中にエラーになった場合に受信機で受信完了できているページがあるかどうかの判断が難しいために、全ページの再送信を行うようにするが、公衆回線網でファクシミリ手順で再送信する場合には、ページ単位で送信するので、再送信を行う場合には、送信完了しているページがあれば次ページより再送信を行うことにより、送信時間を短縮することができる。
【0022】
さらに、請求項7に係る発明のインターネットファクシミリ装置によれば、送信先を直接入力する場合に、IP網でのアドレスと電話番号とを入力することができ、電話番号を登録することができるので、送信先を直接入力してインターネッIP網を介して直接データ通信を行っている場合であっても、通信エラーが検出された場合には、公衆回線網での再送信を行うことが可能となる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明のインターネットファクシミリ装置の実施例について、図面を用いて説明する。図1はインターネットファクシミリ装置のハードウェア構成を示すブロック図であり、図に示すように、インターネットファクシミリ装置はCPU1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、表示・操作部4、読取部5、画像メモリ6、記録部7、コーデック8、モデム9、ネットワーク制御ユニットNCU10及びLANインターフェース(I/F)11から構成され、各部がバス12を介して接続されている。
【0024】
CPU1はバス12を介してインターネットファクシミリ装置のハードウェア各部を制御するとともに、ROM2に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行し、ROM2はインターネットファクシミリ装置の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶している。また、RAM3はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するとともに、IPアドレス、電話番号等の送信先の情報を記憶する電話帳テーブル21と、IP網によるデータ送信時に通信エラーが発生した場合の再送信条件を記憶する再送信設定テーブル22を記憶する記憶領域を有している。
【0025】
表示・操作部4は、インターネットファクシミリ装置の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、インターネットファクシミリ装置を操作するための複数のキーよりなり、図2に示すように、表示部を構成するLCD表示部31と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部31には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部31に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。また、操作キーとして、テンキー32、スタートキー33、リセットキー34、ストップキー35、複数のワンタッチダイヤルキー36、十字キー37、リターンキー38、セットキー39等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部31によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0026】
読取部5はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、白黒2値に変換したドットイメージデータを出力する。また、画像メモリ6は、DRAM等を用いて構成され、送信すべきイメージデータまたは受信したイメージデータあるいは読取部5で読み取ったイメージデータを記憶し、記録部7は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータをプリントアウトする。
【0027】
コーデック8は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0028】
モデム9はバス12に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム9は同様にバス12に接続されたNCU10と接続されている。NCU10はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム9をPSTN13に接続する。
【0029】
また、LAN I/F11はルータ15やメールサーバ16が接続されたLAN14に接続され、インターネット網17からの信号をルータ15を介して受信する一方、LAN14に対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行するとともに、データ通信中の通信エラーを検出する。
【0030】
インターネットファクシミリ装置は上記のような構成を備えており、G3ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ6から読み出されてモデム9で変調され、NCU10からPSTN13を通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム9で復調され、画像メモリ6に蓄積された後、コーデック8で復号されて記録部7により印刷される。
【0031】
一方、上記のRAM3の電話帳テーブル21は、図3に示すように、短縮ダイヤル番号またはワンタッチキー番号、宛先名称、IPアドレス、電話番号、メールアドレスを記憶する領域を備えており、表示・操作部4のLCD表示部31に表示される宛先登録画面からユーザが入力することにより、それぞれの設定をRAM3の電話帳テーブル21に登録することができる。
【0032】
また、上記のLCD表示部31において再送信設定機能を選択すると、LCD表示部31に図4に示すような、IP網での通信エラー発生時の再送信の設定画面が表示される。この画面で、IP網での再送信の可否、IP網での再送信を行う場合の回数及び間隔、G3FAXでの再送信の可否、G3FAXでの再送信を行う場合の回数及び間隔をそれぞれ設定することができ、ユーザにより設定された再送信条件がRAM3の再送信設定テーブル22に記憶される。
【0033】
次に、IP網を介して端末同士で直接データ通信を行う場合のインターネットファクシミリ装置の作用を図5のフローチャートにより説明する。
ユーザが読取部5の原稿載置部に原稿をセットした後、表示・操作部4のワンタッチキー36のいずれかを押下して宛先を指定するか、あるいは表示・操作部4のLCD表示部31に宛先を直接入力した後、IP網を介したメール送信またはIP網を介した直接データ通信を選択して、スタートキー33を押下すると、インターネットファクシミリ送信が開始される。なお、表示・操作部4のLCD表示部31での宛先直接入力では、[IP網でのアドレス]と[電話番号]、例えば、IP=192.168.1.1/TEL=0751234567等を入力することができ、入力された[IP網でのアドレス]と[電話番号]はRAM3に記憶される。
【0034】
上記のインターネットファクシミリ送信が指示されると、インターネットファクシミリ装置のCPU1は読取部5にセットされた原稿の読取処理を行い、画像データを画像メモリ6に蓄積した後、図5に示すインターネットファクシミリ送信のプログラムを開始する。このプログラムを開始すると、まず、CPU1は、インターネットファクシミリ送信が、メールサーバを経由した電子メール送信かIP網を介した直接データ通信かを判定する(ステップ101)。
【0035】
電子メール送信であった場合には、CPU1は画像メモリ6に蓄積されている画像データをコーデック8により電子メールに添付可能なファイル形式(例えば、TIFF形式ファイル)に変換して電子メール用の添付ファイルを作成し、作成した添付ファイルを添付したメールを宛先情報に含まれているメールアドレス宛に送信することにより、通常の電子メール送信を行う(ステップ102)。
【0036】
一方、ステップ101で、インターネットファクシミリ送信がIP網を介した直接データ通信であると判定した場合には、CPU1はLAN I/F11、LAN14、ルータ15、インターネット網17を介して送信先のインターネットファクシミリ装置と接続し、接続が確立したら、CPU1は画像メモリ6に蓄積されている受信画像データを、例えば、TIFF形式ファイルに変換して送信先のインターネットファクシミリ装置に送信する(ステップ103)。
【0037】
次に、CPU1はIP網でのデータ送信中に通信エラーが発生したか否かを判定し(ステップ104)、通信エラーが発生せずにデータ送信が完了した場合には、プログラムを終了する。一方、通信エラーが発生した場合には、CPU1はRAM3の再送信設定テーブル22を参照し、IP網での再送信を行うか否かを判定する(ステップ105)。そして、IP網での再送信を行う設定となっていると判定した場合には、CPU1はそのときのIP網での再送信回数が再送信設定テーブル22に設定されている再送信回数以内か否かを判定し(ステップ106)、所定回数以内の場合には、再送信設定テーブル22に設定されている再送信間隔の時間経過後に、全ページのデータ再送信を行う(ステップ107)。次に、CPU1は再送信が完了したか否かを判定し(ステップ108)、再送信が完了した場合には、プログラムを終了し、再送信が完了しなかった場合には、ステップ105に戻り再びIP網での再送信を行う。
【0038】
一方、ステップ105でIP網での再送信をしない設定となっていると判定した場合、あるいは、ステップ106で再送信回数が再送信設定テーブル22に設定されている再送信回数を超えたと判定した場合には、CPU1はRAM3の再送信設定テーブル22を参照し、G3FAXでの再送信を行うか否かを判定する(ステップ109)。そして、G3FAXでの再送信を行わない設定となっていると判定した場合は、通信エラー処理、例えば、表示・操作部4のLCD表示部31に通信エラー発生を表示したり、あるいは、記録部7によりエラー発生のリスト出力等を行う(ステップ110)。
【0039】
また、ステップ109でG3FAXでの再送信を行う設定となっていると判定した場合には、CPU1は宛先が電話帳テーブル21から指定されたか否かを判定し(ステップ111)、電話帳テーブル21から指定されたと判定した場合は、電話帳テーブル21の当該宛先に電話番号が登録されているか否かを判定する(ステップ112)。
【0040】
そして、当該宛先に電話番号が登録されていないと判定した場合は、CPU1はステップ110の通信エラー処理を行い、当該宛先に電話番号が登録されていると判定した場合には、CPU1はファクシミリ手順での再送信を行う(ステップ113)。すなわち、CPU1は読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積されている画像データを読み出してモデム9で変調し、NCU10からPSTN13を通して通信相手先にファクシミリ送信する。
【0041】
一方、ステップ111で宛先が電話帳から指定されていないと判定した場合には、CPU1はLCD表示部31での宛先入力時に電話番号の入力があったか否かを判定し、電話番号の入力がなかったと判定した場合は、CPU1はステップ110の通信エラー処理を行い、電話番号の入力があったと判定した場合には、CPU1はファクシミリ手順での再送信を行う(ステップ113)。
【0042】
ファクシミリ手順での再送信を行うと、次に、CPU1は再送信が完了したか否かを判定し(ステップ115)、再送信が完了した場合には、CPU1はプログラムを終了し、再送信が完了しなかった場合には、CPU1はそのときのファクシミリ手順での再送信回数が再送信設定テーブル22に設定されている再送信回数以内か否かを判定し(ステップ116)、所定回数以内の場合には、再送信設定テーブル22に設定されている再送信間隔の時間経過後に、続きのページから再送信を行い(ステップ117)、ステップ115に戻る。また、ステップ116でそのときのファクシミリ手順での再送信回数が再送信設定テーブル22に設定されている再送信回数を超えたと判定した場合には、CPU1はステップ110の通信エラー処理を行う。
【0043】
以上のように、IP網でのデータ送信に通信エラーが発生した場合には、IP網での再送信、ファクシミリ手順での再送信を行うが、IP網での通信ではTIFFやPDFなどのファイルでデータを送信するために、データ送信中にエラーになった場合に受信機で受信完了できているページがあるかどうかの判断が難しいために、全ページの再送信を行うようにするが、PSTNでファクシミリ手順で再送信する場合には、ページ単位で送信するので、PSTN回線で再送信を行う場合には、送信完了しているページがあれば次ページより再送信を行う。
【0044】
上記の実施例では、RAM3の再送信設定テーブル22に設定されたIP網での再送信の可否に基づいてIP網での再送信を行うか否かを決定したが、検出した通信エラーによって、IP網での再送信を行うか、PSTN回線での再送信を行うかを判断するようにすることもできる。例えば、指定された相手先のIPアドレスに接続できない場合や、指定された相手先のドメイン名の名前解決、すなわち、ドメイン名からIPアドレスへの変換処理ができない場合などは、IP網での再送信を試みても無駄である可能性が高いので、このような場合には最初からPSTNで再送信することが好ましく、逆にデータの送信中に受信機でメモリオーバーやエラーが発生し、エラー応答を返してきて通信エラーになった場合には、所定の時間経過後にIP網で再送信すれば成功する可能性が高い。
【0045】
以下、上記のように検出した通信エラーによって、IP網での再送信を行うか、PSTN回線での再送信を行うかを判断してインターネットファクシミリ送信を実行する場合のインターネットファクシミリ装置の作用を図6のフローチャートにより説明する。
【0046】
インターネットファクシミリ送信が指示されると、インターネットファクシミリ装置のCPU1は読取部5にセットされた原稿の読取処理を行い、画像データを画像メモリ6に蓄積した後、図6に示すインターネットファクシミリ送信のプログラムを開始する。このプログラムを開始すると、上記と同様に、まず、CPU1は、インターネットファクシミリ送信が、メールサーバを経由した電子メール送信かIP網を介した直接データ通信かを判定する(ステップ201)。
電子メールであると判定した場合には、CPU1は通常の電子メール送信を行い(ステップ202)、IP網を介した直接データ通信であると判定した場合には、CPU1はIP網でのデータ送信を行う(ステップ203)。
【0047】
次に、CPU1はIP網でのデータ送信中に通信エラーが発生したか否かを判定し(ステップ204)、通信エラーが発生せずにデータ送信が完了した場合には、プログラムを終了する。一方、通信エラーが発生した場合には、CPU1はその通信エラーが指定された相手先のIPアドレスに接続できない場合や、指定された相手先のドメイン名の名前解決ができない等の接続不可のエラーか否かを判定する(ステップ205)。そして、相手先に接続し、データ送信中のエラーであると判定した場合には、CPU1はそのときのIP網での再送信回数が再送信設定テーブル22に設定されている再送信回数以内か否かを判定し(ステップ206)、所定回数以内の場合には、再送信設定テーブル22に設定されている再送信間隔の時間経過後に、全ページのデータ再送信を行う(ステップ207)。次に、CPU1は再送信が完了したか否かを判定し(ステップ208)、再送信が完了した場合には、プログラムを終了し、再送信が完了しなかった場合には、ステップ205に戻り再びIP網での再送信を行う。
【0048】
一方、ステップ205で通信エラーが接続不可のエラーであると判定した場合には、CPU1はステップ209に移り、ファクシミリ手順での再送信を行うが、以下の作用は図5のフローチャートのステップ109〜ステップ117の作用と同様であるので、詳細な説明を省略する。
以上のように、検出した通信エラーによって、IP網での再送信を行うか、PSTN回線での再送信を行うかを判断するようにすれば、ユーザが通信エラーの内容を確認する必要がなくなるとともに、無駄な再送信動作を行うことなくデータを確実に送信することが可能となる。
【0049】
なお、上記の実施例では、再送信設定テーブルに設定された設定に基づいて再送信を行うようにしたが、通信毎にIP網での再送信及びPSTN回線での再送信の可否や再送信回数、再送信間隔の設定を行うようにすることも可能である。
また、上記の実施例ではIP網での送信時にデータをTIFF形式のファイルとして送信したが、PDF形式やその他の様々なファイル形式で送信するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のインターネットファクシミリ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】表示・操作部のパネルの一例を示す図である。
【図3】電話帳テーブルの設定項目を示す図である。
【図4】再送信設定画面の一例を示す図である。
【図5】インターネットファクシミリ送信を行う場合の作用を示すフローチャートである。
【図6】通信エラーの内容に応じて再送信方法を選択する場合のインターネットファクシミリ送信の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 表示・操作部
5 読取部
6 画像メモリ
7 記録部
8 コーデック
9 モデム
10 NCU
11 LAN I/F
12 バス
13 PSTN
14 LAN
15 ルータ
16 メールサーバ
17 インターネット網
21 電話帳テーブル
22 再送信設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末同士がIP網を介して直接データ通信を行うことが可能なインターネットファクシミリ装置であって、IP網を介して通信を行う手段と、公衆回線網を介して通信を行う手段と、通信中のエラーを検出する通信エラー検出手段と、上記各部を制御する制御手段とを備え、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記IP網を介した再送信または上記公衆回線網を介した再送信を行うことを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、当該通信先の電話番号が登録されている場合に、上記制御手段が公衆回線網で再送信を行うことを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記IP網を介した再送信を試みても送信できない場合に、公衆回線網で再送信を行うことを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網での再送信に関する設定を行う再送信設定手段を備え、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が上記再送信設定手段で設定されたIP網での再送信の可否および再送信回数に基づいてIP網での再送信を行い、送信できない場合に、公衆回線網で再送信を行うことを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のインターネットファクシミリ装置において、IP網を介して直接データ通信を行っているときに上記通信エラー検出手段が通信エラーを検出した場合、上記制御手段が当該通信エラーの内容によってIP網での再送信を行うか、公衆回線網での再送信を行うかを決定することを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求5のいずれかに記載のインターネットファクシミリ装置において、上記制御手段が上記IP網を介した再送信では全ページを再送信し、公衆回線網での再送信では送信完了しているページの続きのページから再送信することを特徴とするインターネットファクシミリ装置。
【請求項7】
請求項1〜請求5のいずれかに記載のインターネットファクシミリ装置において、送信先を入力する手段を備え、送信先を直接入力する場合に、IP網でのアドレスと電話番号とを入力できることを特徴とするインターネットファクシミリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−54539(P2006−54539A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233054(P2004−233054)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】