説明

インターホンシステム

【課題】複数のセンサを設置せずとも、映像撮像機能を有するインターホン子機と録画・保存機能を有するインターホン親機とを使用して侵入者の映像を確実に保存する。
【解決手段】インターホン親機3の制御回路311は、センサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信したタイミングで、インターホン子機1のカメラ101にて撮像される映像の録画・再生回路304への録画を開始させ、センサの防犯異常検出部201からの防犯異常検出信号S3を受信した前所定時間に録画・再生回路へ予め録画されていた映像と、受信した後所定時間に録画・再生回路へと録画される映像とをメモリ回路305に保存する。また、インターホン親機の制御回路は、センサの人体検知部からの侵入検知信号を受信したタイミングで、インターホン子機のカメラにて撮像される映像の録画・再生回路への録画を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥棒等の不審者に対する防犯機能を備えたインターホンシステムに係り、特に、侵入者の存在を検知して警報発報を行い、この侵入者の映像を撮像して録画・保存することができるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインターホンシステムとして、検知エリア内に侵入した人物の映像を確実に撮像できるインターホンシステムが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
このインターホンシステムによれば、検知エリア内に人が居るときに即座に録画動作に移行でき、検知エリア内に侵入(進入)した人物の映像を確実に撮像することができる。また、検知エリアを出たり入ったりしている場合、その人物を検知した時点で録画を開始させているので、不審者の映像を確実に撮像することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3846382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に記載した特許文献1のインターホンシステムによれば、人感センサーとして、玄関先に検知エリアを有する第1のセンサー、当該第1のセンサーの検知エリアの外側の検知エリアを有する第2のセンサーのように、当該センサーの誤動作を避けるために複数のセンサーを設置する必要があった。また、第1、第2の各センサーの誤った検知動作を検出するにあたっては、インターホン親機側の機能変更が必要であり、誤った検知動作に応じて録画件数が増大となり、録画機能を有効に活用できなかった。
【0006】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、複数のセンサを設置せずとも、映像撮像機能を有するインターホン子機と録画・保存機能を有するインターホン親機とを使用して侵入者の映像を確実に保存することができるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、カメラを有するインターホン子機と、インターホン子機に接近して設置され予め設定された検知エリアに人が侵入したことを検知するセンサと、インターホン子機からの呼び出しが報知され通話を成立させるための呼出報知機能部及び通話機能部、インターホン子機のカメラにて撮像された映像を録画・保存及び出画するための録画・保存機能部及び映像出画機能部、センサにて検知された侵入者の存在を警報発報するための親機警報発報機能部を有するインターホン親機とを備えたものである。インターホン親機の録画・保存機能部は、録画・再生回路及びメモリ回路により構成されている。インターホン親機は、侵入者の存在を検知したセンサにて生成される侵入検知信号の入力のタイミングで録画・再生回路への録画を開始し、検知エリア内で侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検知したセンサにて生成される防犯異常検出信号が入力される場合、防犯異常検出信号が入力された時点の前所定時間に録画・再生回路に録画された映像をメモリ回路に保存するものである。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様において、録画・再生回路に録画された映像を防犯異常検出信号が入力された時点の前所定時間のみならず、防犯異常検出信号が入力された時点の後所定時間にメモリ回路に保存するものである。
【0009】
また、本発明の第3の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様又は第2の態様において、インターホン親機は、防犯異常検出信号が入力されたとき、親機警報発報機能部及びインターホン子機の子機警報発報機能部をそれぞれ能動にするものである。
【0010】
また、本発明の第4の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様乃至第3の態様において、インターホン親機は、防犯異常検出信号が入力されなかったとき、録画機能部及び親機警報発報機能部をそれぞれ非能動に制御して待受状態になるものである。
【0011】
また、本発明の第5の態様であるインターホンシステムは、本発明の第1の態様乃至第4の態様において、インターホン親機は、侵入検知信号が入力された後にインターホン子機からの呼出信号を入力したとき、インターホン子機からの呼び出しを報知して呼出状態に移行し、呼出信号が入力される前所定時間及び呼出信号が入力された後所定時間に録画・再生回路に録画された映像をメモリ回路に保存するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインターホンシステムによれば、予め設定された検知エリアに泥棒等の不審者が侵入したことをセンサが検知したタイミングで、インターホン子機のカメラにて撮像される映像のインターホン親機の録画・再生回路への録画を開始し、検知エリア内で侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検出した前所定時間に録画・再生回路へ予め録画されていた映像と、検出した後所定時間に録画・再生回路へと録画される映像とをメモリ回路に保存することにより、侵入者である泥棒等の不審者の映像のみを確実にメモリ回路に保存することができ、この映像をモニタに再生して確認するにあたり、当該不審者を判別する際の有効的な材料と為り得る。また、検知エリア内で侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検出された場合には、インターホン親機及びインターホン子機にてそれぞれ警報発報を行うことにより、防犯性を高めることができる。さらに、予め設定された検知エリアに泥棒等の不審者が侵入したことをセンサが検知したのにも拘わらず、検知エリア内で侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検出されなかった場合には、インターホン親機を待受状態に復旧させることができる。
【0013】
また、本発明のインターホンシステムによれば、予め設定された検知エリアに来訪者が侵入したことをセンサが検知したタイミングで、インターホン子機のカメラにて撮像される映像のインターホン親機の録画・再生回路への録画を開始し、この来訪者による呼出操作を検出した前所定時間に録画・再生回路へ予め録画されていた映像と、検出した後所定時間に録画・再生回路へと録画される映像とをメモリ回路に保存することにより、来訪者の映像のみを確実にメモリ回路に保存することができ、この映像をモニタに再生して確認するにあたり、当該来訪者を判別する際の有効的な材料と為り得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。なお、図1(a)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの外観構成を示すシステム説明図であり、図1(b)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの設置例を示す説明図である。また、図2は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示すブロック図である。さらに、図3(a)、(b)はそれぞれ、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な動作を説明するためのタイムチャート図である。
【0015】
図1(a)、(b)及び図2にそれぞれ示すインターホンシステムは、玄関等の住戸外に設置されるインターホン子機1と、インターホン子機1に接近して設置されるセンサ2と、住戸内に設置され、個別の伝送路(以下、子機ライン、センサラインという。)L1、L2を経由してインターホン子機1、センサ2がそれぞれ接続されるインターホン親機3とから構成されている。
【0016】
図1(a)に示すインターホン子機1は、子機操作部100、カメラ101、子機マイク102及び子機スピーカ103を有している。ここで、子機操作部100は、住戸外に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼び出すための呼出操作を行うものであり、例えば、呼出ボタンが好適とされる。また、カメラ101は、図1(b)に示すように所定の撮像エリアZ1が予め設定され、呼出操作を行った来訪者の映像やセンサ2にて検知された侵入者の映像を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像媒体が好適とされる。さらに、子機マイク102及び子機スピーカ103は、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、この子機スピーカ103は前述の通話機能の他に、来訪者により行われた呼出操作がインターホン親機3にて正常に呼出報知された旨の呼出確認音や音声メッセージ等を出力するための呼出確認報知機能と、センサ2にて検知された侵入者が泥棒等の不審者である旨の警報音や音声メッセージ等を出力するための警報発報機能とがそれぞれ備えられている。
【0017】
図1(a)に示すセンサ2は、人体検知部200を有している。ここで、人体検知部200は、図1(b)に示すように所定の検知エリアZ2が予め設定され、この検知エリアZ2内への侵入者を検知し、検知したときには侵入検知信号を生成するためのものである。
【0018】
図1(a)に示すインターホン親機3は、モニタ300、親機マイク301、親機スピーカ302及び親機操作部303を有している。ここで、モニタ300は、インターホン子機1のカメラ101にて撮像される映像を出画するばかりでなく、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示するための呼出報知機能と、センサ2(の人体検知部200)にて検知された侵入者が泥棒等の不審者である旨の警報メッセージや絵データ等を表示するための警報発報機能とが備えられており、例えば、LCD、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の出画媒体が好適とされる。また、親機マイク301及び親機スピーカ302は、居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、この親機スピーカ302は前述の通話機能の他に、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を出力するための呼出報知機能と、センサ2(の人体検知部200)にて検知された侵入者が泥棒等の不審者である旨の警報音や音声メッセージ等を出力するための警報発報機能とがそれぞれ備えられている。さらに、親機操作部303は、後述するメモリ回路305(図2を参照。)から読み出される映像信号をモニタ300に再生させるための再生操作機能と、来訪者からの呼び出しがあることを確認した居住者が応答して親機マイク301及び親機スピーカ302を使用した通話を成立させるための応答操作機能と、成立中の通話を終了させるための終話操作機能とが備えられており、例えば、再生ボタン、通話ボタンのような独立した押圧ボタンやモニタ300の前面に配置されるタッチパネル等が好適とされる。
【0019】
次に、図2に示すインターホン子機1には、前述の子機操作部100、カメラ101、子機マイク102及び子機スピーカ103と、子機通話回路104と、子機電源回路105と、子機伝送回路(以下、子機I/Fという。)106とが備えられている。ここで、子機通話回路104は、子機マイク102及び子機スピーカ103にて入出力される音声(送話音声、受話音声)である電気信号の音声信号を信号処理する、例えば、4線/2線変換、2線/4線変換、増幅等を行うためのものである。また、子機電源回路105は、インターホン親機3の後述する親機電源回路308から子機ラインL1を経由して供給されてくる子機電源を受電し、当該子機の構成各部/回路に供給するためのものである。さらに、子機I/F106は、子機操作部100から子機ラインL1への信号伝送路と、カメラ101から子機ラインL1への信号伝送路と、子機ラインL1から子機スピーカ103への信号伝送路と、子機通話回路104及び子機ラインL1の間の信号伝路路(通話路)と、子機ラインL1から子機電源回路105への電源供給路とをそれぞれ形成するためのものである。
【0020】
図2に示すセンサ2には、前述の人体検知部200と、防犯異常検出部201と、センサ伝送回路(以下、センサI/Fという。)202とが備えられている。ここで、防犯異常検出部201は、人体検知部200の動作を監視し、検知エリアZ2内で侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りであると判断したときには防犯異常検出信号を生成するためのものである。また、センサI/F202は、人体検知部200からセンサラインL2への信号伝送路と、防犯異常検出部201からセンサラインL2への信号伝送路とをそれぞれ形成するためのものである。
【0021】
図2に示すインターホン親機3には、前述のモニタ300、親機マイク301、親機スピーカ302及び親機操作部303と、録画・再生回路304と、メモリ回路305と、音声合成回路306と、親機通話回路307と、親機電源回路308と、子機側親機伝送回路(以下、子機側親機I/Fという。)309と、センサ側親機伝送回路(以下、センサ側親機I/Fという。)310と、制御回路311とが備えられている。ここで、録画・再生回路304は、制御回路311により制御され、インターホン子機1のカメラ101にて撮像された映像である電気信号の映像信号を、リアルタイムの映像としてモニタ300に出画する、又は(圧縮して)録画する、又は後述するメモリ回路305から読み出される映像信号を(伸張して)モニタ300に再生するためのものである。また、メモリ回路305は、制御回路311により制御され、録画・再生回路304に予め録画された映像信号を保存するためのものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体が好適とされる。また、音声合成回路306は、制御回路311により制御され、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等の呼出報知音信号と、来訪者により行われた呼出操作が当該親機にて正常に呼出報知された旨の呼出確認音や音声メッセージ等の呼出確認音信号と、センサ2(の人体検知部200)にて検知された侵入者が泥棒等の不審者である旨の警報音や音声メッセージ等の警報発報音信号とをそれぞれ生成するためのものである。また、親機通話回路307は、制御回路311により制御され、親機マイク301及び親機スピーカ302にて入出力される音声(送話音声、受話音声)である電気信号の音声信号を信号処理する、例えば、4線/2線変換、2線/4線変換、増幅等を行うためのものである。また、親機電源回路308は、制御回路311により制御され、商用電源について整流・平滑させた親機電源を生成し、当該親機の構成各部/回路に供給するとともに、子機ラインL1を経由してインターホン子機1に供給させる子機電源を生成するためのものである。また、子機側親機I/F309は、子機ラインL1から録画・再生回路304への信号伝送路と、音声合成回路306から子機ラインL1への信号伝送路と、親機通話回路307及び子機ラインL1の間の信号伝送路(通話路)と、親機電源回路308から子機ラインL1への電源供給路と、制御回路311及び子機ラインL1の間の信号伝送路とをそれぞれ形成するためのものである。また、センサ側親機I/F310は、センサラインL2から制御回路311への信号伝送路を形成するためのものである。さらに、制御回路311は、計時機能を有しており、当該親機の構成各部/回路を前述のように制御するとともに、当該制御に関する所要時間を計測処理するためのものである。
【0022】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について、図面を参照して説明する。
【0023】
第1の動作として、図1(b)に示すようにインターホン子機1に泥棒等の不審者P1が接近し、センサ2の人体検知部200が有する所定の検知エリアZ2内に侵入すると、この不審者P1の人体を検知した人体検知部200は、侵入検知信号S1を生成する。また、図2において、センサ2の人体検知部200にて生成された侵入検知信号S1は、センサI/F202、センサラインL2、インターホン親機3のセンサ側親機I/F310を経由して制御回路311に伝送される。なお、センサ2の防犯異常検出部201は、人体検知部200からインターホン親機3への侵入検知信号S1の出力の有無を監視している。
【0024】
図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、センサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信すると、待受状態から侵入検知状態に移行され、図3(a)に示すように計時機能が能動となり、親機電源回路308を制御して生成させた親機電源を録画・再生回路304に供給して当該録画・再生回路を能動とし、同様に親機電源回路308を制御して生成させたインターホン子機1のカメラ101を能動とするための子機電源を、子機側親機I/F309、子機ラインL1、当該子機の子機I/F106を経由して子機電源回路105に供給する。
【0025】
図2に示すインターホン子機1の子機電源回路105は、インターホン親機3の親機電源回路308からの子機電源を受電し、この子機電源をカメラ101に供給して当該カメラを能動とする。また、カメラ101は、図1(b)に示す撮像エリアZ1内における泥棒等の不審者P1の映像の撮像を開始して映像信号S2を生成する。この映像信号S2は、カメラ101から子機I/F106、子機ラインL1、インターホン親機3の子機側親機I/F309を経由して録画・再生回路304に伝送される。
【0026】
図2に示すインターホン親機3の録画・再生回路304は、インターホン子機1のカメラ101からの映像信号S2を受信して録画を開始する。なお、録画・再生回路304に録画される映像信号S2には、制御回路311が有する計時機能により撮像時刻等の時間情報が付与されている。
【0027】
この後、図2に示すセンサ2の防犯異常検出部201は、人体検知部200が有する所定の検知エリアZ2内に泥棒等の不審者P1が一定時間継続して侵入しているように当該人体検知部からの人体検知信号S1の出力が一定時間継続されている場合、又は泥棒等の不審者P1が検知エリアZ2内を複数回出入りするように当該人体検知部からの人体検知信号S1の出力が断続している場合には、防犯異常であると判断して防犯異常検出信号S3を生成する。また、防犯異常検出部201にて生成された防犯異常検出信号S3は、センサI/F202、センサラインL2、インターホン親機3のセンサ側親機I/F310を経由して制御回路311に伝送される。
【0028】
図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、センサ2の防犯異常検出部201からの防犯異常検出信号S3を受信すると、侵入検知状態から警報状態に移行され、図3(a)に示すように所定時間(以下、第1の時間という。)T1の計時を開始するとともに、この防犯異常検出信号S3を受信した前の所定時間(以下、第2の時間という。)T2において録画・再生回路304に予め録画されていた映像信号S2をメモリ回路305に保存するばかりでなく、第1の時間T1においてインターホン子機1のカメラ101にて撮像され録画・再生回路304に録画される映像信号S2をメモリ回路305に保存し、さらには、リアルタイムの映像としてモニタ300に出画することができる。なお、侵入検知状態から警報状態に移行された制御回路311は、センサ2の人体検知部200にて検知された侵入者が泥棒等の不審者P1である旨の警報メッセージや絵データ等をモニタ300に表示することもでき、さらには、適宜な通信手段(詳述せず。)を使用して、泥棒等の不審者P1の存在を警備管理会社等のサーバに警報移報することもできる。
【0029】
前述までの説明から明らかなように、図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、予め設定された検知エリアZ2に泥棒等の不審者P1が侵入したことを検知したセンサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信したタイミングで、インターホン子機1のカメラ101にて撮像される映像(映像信号S2)の録画・再生回路304への録画を開始させることができ、検知エリアZ2内で泥棒等の不審者P1の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検出したセンサ2の防犯異常検出部201からの防犯異常検出信号S3を受信した前所定時間(第2の時間)T2に録画・再生回路304へ予め録画されていた映像(映像信号S2)と、当該防犯異常検出信号を受信した後所定時間(第1の時間)T1に録画・再生回路304へと録画される映像(映像信号S2)とをメモリ回路305に保存することにより、侵入者である泥棒等の不審者P1の映像(映像信号S2)のみを確実にメモリ回路305に保存することができる。
【0030】
また、図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、センサ2の防犯異常検出部201からの防犯異常検出信号S3を受信して警報状態になると、音声合成回路306を制御して警報発報音信号S4を生成することができる。この警報発報音信号S4は、音声合成回路306から親機スピーカ302に伝送され、センサ2の人体検知部200が有する所定の検知エリアZ2内に泥棒等の不審者P1が一定時間継続して存在している、又は泥棒等の不審者P1が検知エリアZ2内を複数回出入りしている旨の警報音や音声メッセージ等の警報発報音として出力されるばかりでなく、音声合成回路306から子機側親機I/F309、子機ラインL1、インターホン子機1の子機I/F106を経由して子機スピーカ103に伝送され、泥棒等の不審者P1を威嚇して住戸外に警報発報する旨の警報音や音声メッセージ等の警報発報音として出力されることにより、防犯性を高めることができる。
【0031】
さらに、居住者や防犯管理会社等の警備員は、図2に示すインターホン親機3の親機操作部303を使用して再生操作を行うと、この再生操作を検出した制御回路311の制御によりメモリ回路305から映像信号S2が読み出され、録画・再生回路304を経由してモニタ300に伝送された後、撮像時刻等の時間情報が付与された状態で再生させることができる。これにより、居住者や防犯管理会社等の警備員にとっては、泥棒等の不審者P1を判別する際の有効的な材料と為り得る。
【0032】
なお、図2に示すインターホン親機3の制御回路311がセンサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信して計時機能が能動となった後において、一定時間内にセンサ2の防犯異常検出部201からの防犯異常検出信号S3を受信しなかった場合、制御回路311は、侵入検知状態から待受状態になる、すなわち、待受状態に復旧される。
【0033】
次に、第2の動作として、図1(b)に示すようにインターホン子機1に来訪者P2が接近し、センサ2の人体検知部200が有する所定の検知エリアZ2内に侵入すると、この来訪者P2の人体を検知した人体検知部200は、前述の第1の動作と同様、侵入検知信号S1を生成してインターホン親機3の制御回路311に送出し、防犯異常検出部201は、侵入検知信号S1の出力の有無を監視する。
【0034】
図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、センサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信すると、待受状態から侵入検知状態に移行され、図3(b)に示すように計時機能が能動となり、親機電源回路308を制御して生成させた親機電源を録画・再生回路304に供給して当該録画・再生回路を能動とし、同様に親機電源回路308を制御して生成させたインターホン子機1のカメラ101を能動とするための子機電源を、前述の第1の動作と同様、当該インターホン子機の子機電源回路105に供給する。
【0035】
図2に示すインターホン子機1の子機電源回路105は、インターホン親機3の親機電源回路308からの子機電源を受電し、この子機電源をカメラ101に供給して当該カメラを能動とする。また、カメラ101は、図1(b)に示す撮像エリアZ1内における来訪者P2の映像の撮像を開始して映像信号S5を生成する。この映像信号S5は、前述の映像信号S2と同一の信号伝送路を経由してインターホン親機3の録画・再生回路304に伝送される。
【0036】
図2に示すインターホン親機3の録画・再生回路304は、インターホン子機1のカメラ101からの映像信号S5を受信して録画を開始する。なお、録画・再生回路304に録画される映像信号S4には、制御回路311が有する計時機能により撮像時刻等の時間情報が付与されている。
【0037】
この後、インターホン子機1に接近した来訪者P2が居住者を呼び出すため、子機操作部100を使用して呼出操作を行うと、呼出信号S6が生成される。また、子機操作部100にて生成された呼出信号S6は、子機I/F106、子機ラインL1、インターホン親機3の子機側親機I/F309を経由して制御回路311に伝送される。
【0038】
図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、インターホン子機1の子機操作部100からの呼出信号S6を受信すると、侵入検知状態から呼出状態に移行され、図3(b)に示すように所定時間(以下、第3の時間という。)T3の計時を開始するとともに、この呼出信号S5を受信した前の所定時間(以下、第4の時間という。)T4において録画・再生回路304に予め録画されていた映像信号S5をメモリ回路305に保存するばかりでなく、第3の時間T3においてインターホン子機1のカメラ101にて撮像され録画・再生回路304に録画される映像信号S5をメモリ回路305に保存し、さらには、リアルタイムの映像としてモニタ300に出画することができる。なお、侵入検知状態から呼出状態に移行された制御回路311は、来訪者P2からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等をモニタ300に表示することもできる。
【0039】
前述までの説明から明らかなように、図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、予め設定された検知エリアZ2に来訪者P2が侵入したことを検知したセンサ2の人体検知部200からの侵入検知信号S1を受信したタイミングで、インターホン子機1のカメラ101にて撮像される映像(映像信号S5)の録画・再生回路304への録画を開始させることができ、この来訪者により呼出操作が行われたインターホン子機1からの呼出信号S6を受信した前所定時間(第4の時間)T4に録画・再生回路304へ予め録画されていた映像(映像信号S5)と、当該呼出信号を受信した後所定時間(第3の時間)T3に録画・再生回路304へと録画される映像(映像信号S5)とをメモリ回路305に保存することにより、来訪者P2の映像(映像信号S2)のみを確実にメモリ回路305に保存することができる。
【0040】
また、図2に示すインターホン親機3の制御回路311は、インターホン子機1の子機操作部101からの呼出信号S6を受信すると、音声合成回路306を制御して呼出報知音信号S7及び呼出確認音信号S8をそれぞれ生成することができる。ここで、呼出報知音信号S7は、音声合成回路306から親機スピーカ302に伝送され、来訪者P2からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等の呼出報知音として出力される。一方、呼出確認音信号S8は、音声合成回路306から子機側親機I/F309、子機ラインL1、インターホン子機1の子機I/F106、子機通話回路104を経由して子機スピーカ103に伝送され、来訪者P2により行われた呼出操作が当該親機にて正常に呼出報知された旨の呼出確認音や音声メッセージ等として出力される。
【0041】
ここで、図1(a)、図2にそれぞれ示すインターホン親機3のモニタ300に来訪者P2の映像がリアルタイムで出画され、親機スピーカ302から呼出報知音が出力されたとき、居住者が住戸内に在室中であり、来訪者P2からの呼び出しがあることを当該来訪者の判別と併せて確認した後、親機操作部303を使用して応答操作を行うと、この操作を検出した制御回路311の制御により、居住者が使用する親機マイク301及び親機スピーカ302と、親機通話回路307、子機側親機I/F309、子機ラインL1、インターホン子機1の子機I/F106、子機通話回路104を経由して来訪者P2が使用する子機マイク102及び子機スピーカ103との間の信号伝送路、すなわち、通話路が形成され、形成された通話路を経由して音声信号を送受信させることで通話が成立することから、居住者にとっては、来訪者P2の様子を確認しながらの通話が可能となる。
【0042】
一方、図1(a)、図2にそれぞれ示すインターホン親機3のモニタ300に来訪者P2の映像がリアルタイムで出画され、親機スピーカ302から呼出報知音が出力されたのにも拘わらず、居住者が外出等で住戸内を不在にしていた場合、この居住者が帰宅時に親機操作部303を使用して再生操作を行うと、この再生操作を検出した制御回路311の制御によりメモリ回路305から映像信号S5が読み出され、録画・再生回路304を経由してモニタ300に伝送された後、撮像時刻等の時間情報が付与された状態で再生させることができる。これにより、居住者にとっては、外出等で住戸内を不在にしていた際に呼出操作を行った来訪者P2を判別する際の有効的な材料と為り得る。
【0043】
なお、本発明のインターホンシステムにおいては、その実施例として、インターホン親機3が有する計時機能を制御回路311に備えた態様について説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、計時機能を有する構成部/回路として、制御回路311により制御されるタイマ回路(図示せず。)を別途に設けてもよい。
【0044】
また、本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のインターホンシステムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1(a)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの外観構成を示すシステム説明図であり、図1(b)は、本発明の実施例によるインターホンシステムの設置例を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な動作タイミングを示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0046】
1……インターホン子機
101……カメラ
103……子機スピーカ(子機警報発報機能部)
2……センサ
3……インターホン親機
300……モニタ(呼出報知機能部、映像出画機能部、親機警報発報機能部)
301……親機マイク(通話機能部)
302……親機スピーカ(呼出報知機能部、通話機能部、親機警報発報機能部)
304……録画・再生回路(録画・保存機能部)
305……メモリ回路(録画・保存機能部)
306……音声合成回路(呼出報知機能部、親機警報発報機能部)
307……親機通話回路(通話機能部)
Z2……(センサカメラが有する)検知エリア
S1……侵入検知信号
S3……防犯異常検出信号
S6……呼出信号
T1、T2、T3、T4……第1乃至第4の各時間(所定時間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(101)を有するインターホン子機(1)と、前記インターホン子機に接近して設置され予め設定された検知エリア(Z2)に人が侵入したことを検知するセンサ(2)と、前記インターホン子機からの呼び出しが報知され通話を成立させるための呼出報知機能部(300、302、306)及び通話機能部(301、302、307)、前記インターホン子機のカメラにて撮像された映像を録画・保存及び出画するための録画・保存機能部(304、305)及び映像出画機能部(300)、前記センサにて検知された侵入者の存在を警報発報するための親機警報発報機能部(302、306)を有するインターホン親機(3)とを備え、
前記インターホン親機の録画・保存機能部は、録画・再生回路(304)及びメモリ回路(305)により構成され、
前記インターホン親機は、前記侵入者の存在を検知した前記センサにて生成される侵入検知信号(S1)の入力のタイミングで前記録画・再生回路への録画を開始し、前記検知エリア内で前記侵入者の存在が一定時間継続して、又は複数回の出入りとして検出した前記センサにて生成される防犯異常検出信号(S3)が入力される場合、前記防犯異常検出信号が入力された時点の前所定時間(T2)に前記録画・再生回路に録画された映像を前記メモリ回路に保存することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記録画・再生回路に録画された映像を前記防犯異常検出信号が入力された時点の前所定時間のみならず、前記防犯異常検出信号が入力された時点の後所定時間(T1)に前記メモリ回路に保存することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記インターホン親機は、前記防犯異常検出信号が入力されたとき、前記親機警報発報機能部及び前記インターホン子機の子機警報発報機能部(103)をそれぞれ能動にすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記インターホン親機は、前記防犯異常検出信号が入力されなかったとき、前記録画機能部及び前記親機警報発報機能部をそれぞれ非能動に制御して待受状態になることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち何れか1項記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記インターホン親機は、前記侵入検知信号が入力された後に前記インターホン子機からの呼出信号(S6)を入力したとき、前記インターホン子機からの呼び出しを報知して呼出状態に移行し、前記呼出信号が入力される前所定時間(T4)及び前記呼出信号が入力された後所定時間(T3)に前記録画・再生回路に録画された映像を前記メモリ回路に保存することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−250405(P2008−250405A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87673(P2007−87673)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】