説明

インターホンシステム

【課題】防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせる。
【解決手段】親機1の制御部17は、留守モードにおいて顔検出手段(制御部17)が人の顔を検出する場合と検出しない場合とで互いに異なるメッセージ(留守時用と防犯用の2種類のメッセージ)を子機2に対して送信する。故に、人の顔が検出された場合は留守であることを通知するメッセージを子機2のスピーカ21から鳴動するが、人の顔が検出されない場合は呼出釦25aの操作者(来訪者)を不審者とみなして相手を威嚇するようなメッセージを子機2のスピーカ21から鳴動すれば、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付きのインターホン子機と、インターホン子機のカメラで撮像された映像を表示するための表示装置を有するインターホン親機とからなるインターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ付きのインターホン子機と、インターホン子機のカメラで撮像された映像を表示するための表示装置を有するインターホン親機とからなるインターホンシステムが種種提供されている(例えば、特許文献1参照)。この種のインターホンシステムにおいては、インターホン子機の呼出釦が操作されたときにカメラが起動して来訪者を撮像し、インターホン親機ではインターホン子機からの呼出に対してスピーカから呼出音を鳴動すると同時に液晶ディスプレイなどの表示装置にインターホン子機のカメラで撮像された映像を表示し、呼出音を聞き且つ表示装置に表示された映像を確認した住人がインターホン親機の通話釦を操作することでインターホン親機とインターホン子機との間に通話路が形成されて通話が可能になる。
【0003】
また、インターホン親機が留守モード(不在モード)に設定されているときにインターホン子機から呼出信号を受信した場合、インターホン親機から送信する不在通知のメッセージをインターホン子機のスピーカから鳴動して来訪者に留守(不在)を知らせるようにしたインターホンシステムもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−138983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来システムでは、インターホン子機の撮像装置(カメラ)に顔が写らないようにしながら呼出釦を操作する不審者に対してもメッセージを聞かせて留守であることを通知してしまうという防犯上の問題点があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができるインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、住戸の外玄関に設置されて来訪者を撮像する撮像装置を具備したインターホン子機と、住戸内に設置されてインターホン子機との間で通話音声を授受するとともにインターホン子機の撮像装置で撮像される映像を表示装置に表示するインターホン親機とを備え、インターホン子機は、前記撮像装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、呼出釦が操作された場合にインターホン親機へ呼出信号を送信する呼出手段とを具備し、呼出手段の呼出釦が操作された場合に撮像装置で撮像される映像をインターホン親機に送信してなり、インターホン親機は、前記表示装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、インターホン子機から呼出信号を受け取ったとき、在宅モードに設定されていれば前記スピーカから呼出音を鳴動し、留守モードに設定されていれば呼出音を鳴動せずにインターホン子機に対してメッセージを送信する制御手段と、留守モードに設定されているときに前記撮像装置で撮像された映像に写っている人の顔を検出する顔検出手段とを具備し、
インターホン子機は、インターホン親機から受け取ったメッセージをスピーカから鳴動して来訪者に通知するインターホンシステムであって、インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出する場合と検出しない場合とで互いに異なるメッセージをインターホン子機に対して送信することを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出する場合と検出しない場合とで互いに異なるメッセージをインターホン子機に対して送信するから、例えば、人の顔が検出された場合は留守であることを通知するメッセージをインターホン子機のスピーカから鳴動するが、人の顔が検出されない場合は呼出釦の操作者(来訪者)を不審者とみなして相手を威嚇するようなメッセージをインターホン子機のスピーカから鳴動すれば、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができる。
【0009】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、住戸の外玄関に設置されて来訪者を撮像する撮像装置を具備したインターホン子機と、住戸内に設置されてインターホン子機との間で通話音声を授受するとともにインターホン子機の撮像装置で撮像される映像を表示装置に表示するインターホン親機とを備え、インターホン子機は、前記撮像装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、呼出釦が操作された場合にインターホン親機へ呼出信号を送信する呼出手段とを具備し、呼出手段の呼出釦が操作された場合に撮像装置で撮像される映像をインターホン親機に送信してなり、インターホン親機は、前記表示装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、インターホン子機から呼出信号を受け取ったとき、在宅モードに設定されていれば前記スピーカから呼出音を鳴動し、留守モードに設定されていれば呼出音を鳴動せずにインターホン子機に対してメッセージを送信する制御手段と、留守モードに設定されているときに前記撮像装置で撮像された映像に写っている人の顔を検出する顔検出手段とを具備し、インターホン子機は、インターホン親機から受け取ったメッセージをスピーカから鳴動して来訪者に通知するインターホンシステムであって、インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出した場合には留守を知らせるメッセージをインターホン子機に対して送信し、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出しない場合にはメッセージを送信しないことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出した場合には留守を知らせるメッセージをインターホン子機に対して送信し、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出しない場合にはメッセージを送信しないので、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態におけるインターホン親機並びにインターホン子機のブロック図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】同上におけるインターホン親機の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の技術思想を戸建て住宅向けのインターホンシステムに適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のインターホンシステムは、図2に示すように住戸内に設置されるインターホン親機1と、住戸外の外玄関に設置されるインターホン子機2とを備えている。
【0015】
インターホン子機(以下、子機と略す。)2は、図1に示すようにマイクロホン20並びにスピーカ21と、マイクロホン20から出力する音声信号を符号化し且つ相対的に低い周波数帯域でディジタル変調するとともに信号線Lsを介して伝送される変調された音声信号をディジタル復調し且つ復号してスピーカ21から音声を鳴動させる通話部22と、CCDやCMOS等の固体撮像素子とレンズ等の光学系を有し来訪者を撮像する撮像装置23と、撮像装置23から出力する映像信号を符号化し且つ音声信号よりも相対的に高い周波数帯域でディジタル変調するとともに変調された映像信号を信号線Lsを介して伝送し、通話部22から出力する音声信号を映像信号と周波数多重化して信号線Lsに送出するとともに、信号線Lsを介してインターホン親機(以下、親機と略す。)1から伝送される音声信号を分離する通信部24と、呼出釦25aの操作入力を受け付けたときに信号線Lsを介して呼出信号を送信する呼出部25と、これら各部を収納して外玄関の壁面に設置される箱形の器体26とを備えている。子機2の器体26は扁平な矩形箱状に形成されており、前面の下部に呼出部25aが配設されている。
【0016】
親機1から子機2への給電電圧(直流電圧)は、子機2が通話状態でないときはシステムの低消費電力化を図るために相対的に低い状態とされ、通話状態では相対的に高い状態とされる。以下、給電電圧の低い状態のことを待機給電状態と呼び、給電電圧の高い状態のことを動作給電状態と呼ぶ。子機2においては、待機給電状態にあるときは通話部22や撮像装置23並びに通信部24がスタンバイ状態にあり、呼出釦25aが操作されると、呼出部25は通信部24をスタンバイ状態から通常状態に復帰させて信号線Lsの線間電圧を待機給電状態よりもさらに低い電圧に低下させることで親機1に呼出信号を伝送する。そして、呼出信号を受信した親機1が給電電圧を待機給電状態から動作給電状態に移行すると、子機2の通話部22及び撮像装置23がスタンバイ状態から通常状態に復帰し、撮像装置23から出力される映像信号を信号線Lsを介して親機1に送信する。
【0017】
一方、親機1は、マイクロホン10並びにスピーカ11と、マイクロホン10から出力する音声信号を符号化し且つ相対的に低い周波数帯域でディジタル変調するとともに信号線Lsを介して伝送される変調された音声信号をディジタル復調し且つ復号してスピーカ11から音声を鳴動させる通話部12と、信号線Lsを介して子機2との間で音声信号を送受信するとともに映像信号を受信し且つ受信した映像信号をディジタル復調し且つ復号して表示装置13に出力する通信部14と、タクトスイッチのようなメカニカルなスイッチからなる複数の操作スイッチを有し操作スイッチが操作されることによって操作入力を受け付ける操作部15と、後述する各種のメッセージを記憶するメッセージ記憶部16と、CPUを主構成要素として各部を制御する制御部17と、これら各部を収納するハウジング18とを備えている。
【0018】
制御部17には在宅モードと留守モードの2つの動作モードがあり、操作部15が有する留守設定用の操作スイッチ15eが操作される毎に在宅モードと留守モードを択一的に切り替えるようになっている。また留守モードにおける制御部17は、子機2から受け取る映像(画像データ)に対して顔検出処理を実行する。顔検出処理とは、人の顔の特徴部分である目や鼻及び口などの特徴量を1フレーム分の画像データから抽出し、これらの特徴量が抽出された領域を人の顔として検出する処理である。但し、このような顔検出処理については従来周知であるから詳細な説明は省略する。
【0019】
次に、図3のフローチャートを参照しながら親機1の動作を説明する。親機1の制御部17は子機2から信号線Lsを介して送信された呼出信号を通信部14で受信すると(ステップS1)、留守モードに設定されているか否かを判断する(ステップS2)。そして、留守モードに設定されていない、すなわち、在宅モードに設定されていれば、制御部17は通話部12を通してスピーカ11から呼出音を鳴動させる(ステップS3)。但し、このとき制御部17は子機2に対してメッセージは送信しない。尚、在宅モードで呼出音を鳴動させた後の制御部17の動作は従来周知であるから説明を省略する。
【0020】
一方、留守モードに設定されている場合、制御部17は、子機2から送信される映像信号を通信部14で復調・復号して得られる画像データに対して顔検出処理を実行する(ステップS4)。そして、顔検出処理によって人の顔が検出されれば、制御部17は留守時用のメッセージをメッセージ記憶部16から読み出して通信部14より信号線Lsを介して子機2に送信する(ステップS5)。留守時用のメッセージとは、例えば、来訪者に留守であることを通知する内容の音声メッセージである。
【0021】
顔検出処理によって人の顔が検出されない場合(例えば、来訪者が撮像装置23の画角外に居る場合や故意に顔を隠している場合など)、制御部17は防犯用のメッセージをメッセージ記憶部16から読み出して通信部14より信号線Lsを介して子機2に送信する(ステップS6)。防犯用のメッセージとは、不審者と考えられる来訪者を威嚇する音声メッセージ(例えば、「防犯警戒中です。」など)である。
【0022】
このように親機1の制御部17は、留守モードにおいて顔検出手段(制御部17)が人の顔を検出する場合と検出しない場合とで互いに異なるメッセージ(留守時用と防犯用の2種類のメッセージ)を子機2に対して送信するから、上述したように、人の顔が検出された場合は留守であることを通知するメッセージを子機2のスピーカ21から鳴動するが、人の顔が検出されない場合は呼出釦25aの操作者(来訪者)を不審者とみなして相手を威嚇するようなメッセージを子機2のスピーカ21から鳴動すれば、防犯性を向上しつつ来訪者に留守を知らせることができる。
【0023】
尚、本実施形態では来訪者を不審者とみなした場合(顔検出処理によって人の顔が検出されなかった場合)に制御部17が防犯用のメッセージを子機2に送信するようにしているが、防犯用や留守時用を含めて一切のメッセージを送信しないようにしても構わない。
【符号の説明】
【0024】
1 インターホン親機
2 インターホン子機
13 表示装置
17 制御部(制御手段,顔検出手段)
23 撮像装置
25 呼出部(呼出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸の外玄関に設置されて来訪者を撮像する撮像装置を具備したインターホン子機と、住戸内に設置されてインターホン子機との間で通話音声を授受するとともにインターホン子機の撮像装置で撮像される映像を表示装置に表示するインターホン親機とを備え、
インターホン子機は、前記撮像装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、呼出釦が操作された場合にインターホン親機へ呼出信号を送信する呼出手段とを具備し、呼出手段の呼出釦が操作された場合に撮像装置で撮像される映像をインターホン親機に送信してなり、
インターホン親機は、前記表示装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、インターホン子機から呼出信号を受け取ったとき、在宅モードに設定されていれば前記スピーカから呼出音を鳴動し、留守モードに設定されていれば呼出音を鳴動せずにインターホン子機に対してメッセージを送信する制御手段と、留守モードに設定されているときに前記撮像装置で撮像された映像に写っている人の顔を検出する顔検出手段とを具備し、
インターホン子機は、インターホン親機から受け取ったメッセージをスピーカから鳴動して来訪者に通知するインターホンシステムであって、
インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出する場合と検出しない場合とで互いに異なるメッセージをインターホン子機に対して送信することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
住戸の外玄関に設置されて来訪者を撮像する撮像装置を具備したインターホン子機と、住戸内に設置されてインターホン子機との間で通話音声を授受するとともにインターホン子機の撮像装置で撮像される映像を表示装置に表示するインターホン親機とを備え、
インターホン子機は、前記撮像装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、呼出釦が操作された場合にインターホン親機へ呼出信号を送信する呼出手段とを具備し、呼出手段の呼出釦が操作された場合に撮像装置で撮像される映像をインターホン親機に送信してなり、
インターホン親機は、前記表示装置と、音声を集音するマイクロホンと、音声を鳴動するスピーカと、インターホン子機から呼出信号を受け取ったとき、在宅モードに設定されていれば前記スピーカから呼出音を鳴動し、留守モードに設定されていれば呼出音を鳴動せずにインターホン子機に対してメッセージを送信する制御手段と、留守モードに設定されているときに前記撮像装置で撮像された映像に写っている人の顔を検出する顔検出手段とを具備し、
インターホン子機は、インターホン親機から受け取ったメッセージをスピーカから鳴動して来訪者に通知するインターホンシステムであって、
インターホン親機の制御手段は、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出した場合には留守を知らせるメッセージをインターホン子機に対して送信し、留守モードにおいて顔検出手段が人の顔を検出しない場合にはメッセージを送信しないことを特徴とするインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−35727(P2011−35727A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180808(P2009−180808)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】