説明

インバータ回路

【課題】 コストの増加を抑えつつ、かつ放電管ランプなどの特性管理をすることなく、放電管ランプを駆動するための2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくする。
【解決手段】 昇圧トランスT1,T2は、昇圧トランスT1,T2の二次側および放電管ランプFL1,FL2を含む2系統の共振回路に2系統の駆動電流をそれぞれ導通させる。駆動回路2は、昇圧トランスT1,T2の一次側に交流電圧を印加する。そして、電流差検出回路4は、2つの駆動電流の振幅の差に対応する値を検出し、制御回路1は、電流差検出回路4により検出される値が所定の値より小さくなるように、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ回路で複数の冷陰極管ランプ(CCFL)を駆動して発光させる場合、複数のCCFLの駆動電流を均一にするために、インバータ回路の昇圧トランスの特性、CCFLの特性などに基づいて、昇圧トランス、CCFLなどの選別を行う。
【0003】
また、バランサコイルを使用して、複数のCCFLの駆動電流を均一にする方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−12781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昇圧トランス、CCFLなどの選別を行うには、昇圧トランス、CCFLなどの特性を管理する必要があるため手間がかかる。また、バランサコイルを使用する場合、バランサコイルによりコストが増加するとともに、回路規模が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、コストの増加を抑えつつ、かつ放電管ランプなどの特性管理をすることなく、放電管ランプを駆動するための2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができるインバータ回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0008】
本発明に係るインバータ回路は、当該昇圧トランスの二次側および放電管ランプを含む2系統の共振回路に2系統の駆動電流をそれぞれ導通させる昇圧トランスと、昇圧トランスの一次側に交流電圧を印加する駆動回路と、2系統の駆動電流の振幅の差に対応する値を検出する電流差検出回路と、電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるように、駆動回路により印加される交流電圧の周波数を制御する制御回路とを備える。
【0009】
これにより、バランサコイルを使用しないでコストの増加を抑えつつ、かつ特性管理をすることなく、放電管ランプを駆動するための2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができる。
【0010】
また、本発明に係るインバータ回路は、上記のインバータ回路に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御回路は、2系統の共振回路の共振周波数またはその近傍から、共振周波数から遠ざかっていくように、電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路により印加される交流電圧の周波数を変化させる。
【0011】
これにより、2系統の駆動電流の差を充分小さくしつつ、共振周波数に比較的近い周波数で放電管ランプを効率よく発光させることができる。
【0012】
また、本発明に係るインバータ回路は、上記のインバータ回路に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御回路は、放電管ランプを共振周波数より低い周波数の交流電圧で駆動する場合には、共振周波数より低い所定の周波数から、電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路により印加される交流電圧の周波数を低下させ、放電管ランプを共振周波数より高い周波数の交流電圧で駆動する場合には、共振周波数より高い所定の周波数から、電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路により印加される交流電圧の周波数を増加させる。
【0013】
これにより、駆動回路により印加される交流電圧の周波数が、2系統の駆動電流の差が小さくなるほうに調節されるため、確実に、2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コストの増加を抑えつつ、かつ放電管ランプなどの特性管理をすることなく、放電管ランプを駆動するための2系統の駆動電流の差を充分小さくするインバータ回路を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るインバータ回路の構成を示す回路図である。図1において、制御回路1は、制御信号を駆動回路2に供給して駆動回路2のスイッチング素子Q1,Q2をオン/オフ動作させる回路である。また、制御回路1は、電流差検出回路4により検出される値が所定の値より小さくなるように、制御信号の周波数を変化させることで、駆動回路2により昇圧トランスT1,T2に印加される交流電圧の周波数を制御する回路である。
【0017】
駆動回路2は、昇圧トランスT1,T2の一次側巻線に交流電圧を印加する回路である。駆動回路2は、2つのスイッチング素子Q1,Q2を有する。この実施の形態1では、スイッチング素子Q1,Q2は、NチャネルFETであり、スイッチング素子Q1,Q2のソースはグランドに接続され、スイッチング素子Q1のドレインは、昇圧トランスT1,T2の一次側巻線の一端に接続され、スイッチング素子Q2のドレインは、昇圧トランスT1,T2の一次側巻線の他端に接続されている。そして、スイッチング素子Q1,Q2のゲートには、制御回路1からの2つの制御信号がそれぞれ印加される。
【0018】
昇圧トランスT1,T2は、直列接続された2本の放電管ランプFL1,FL2の両端へ2系統の駆動電流を供給する。2本の放電管ランプFL1,FL2には、例えば冷陰極管ランプが使用される。この実施の形態1では、放電管ランプは、擬似U字管となっているが、1本のU字管、1本の直管などを代わりに使用してもよい。また、この放電管ランプFL1,FL2は、液晶のバックライトの光源などとして使用される。
【0019】
昇圧トランスT1,T2のそれぞれの両端は、駆動回路2に接続され、昇圧トランスT1,T2の一次側巻線のそれぞれの中間タップには直流電源Vinが接続される。昇圧トランスT1の二次側巻線の一端(高圧側)には、接続端子を介して放電管ランプFL1の一端が接続され、昇圧トランスT1の二次側巻線の他端(低圧側)には、ダイオードD1のアノード、ダイオードD4のカソードが接続されている。昇圧トランスT2の二次側巻線の一端(高圧側)には、接続端子を介して放電管ランプFL2の一端が接続され、昇圧トランスT2の二次側巻線の他端(低圧側)には、ダイオードD2のアノード、ダイオードD3のカソードが接続されている。
【0020】
ダイオードD1のカソードは電流検出用の抵抗R1の一端に接続され、抵抗R1の他端はグランドに接続され、ダイオードD3のアノードはグランドに接続されている。また、ダイオードD2のカソードは電流検出用の抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端はグランドに接続され、ダイオードD4のアノードはグランドに接続されている。
【0021】
したがって、互いに位相が反転した駆動電流が昇圧トランスT1,T2から放電管ランプFL1,FL2へ出力される場合、昇圧トランスT1から放電管ランプFL1へ正の駆動電流が流れ、昇圧トランスT2から放電管ランプFL2へ負の駆動電流が流れるときには、昇圧トランスT1の二次側巻線、放電管ランプFL1,FL2、昇圧トランスT2の二次側巻線、ダイオードD2、抵抗R2およびダイオードD4による閉回路を電流が流れる。その逆に、昇圧トランスT1から放電管ランプFL1へ負の駆動電流が流れ、昇圧トランスT2から放電管ランプFL2へ正の駆動電流が流れるときには、昇圧トランスT2の二次側巻線、放電管ランプFL2,FL1、昇圧トランスT1の二次側巻線、ダイオードD1、抵抗R1およびダイオードD3による閉回路を電流が流れる。これらの導通電流により放電管ランプFL1,FL2は発光する。
【0022】
また、コンデンサC1,C2は、昇圧トランスT1の二次側巻線の両端電圧を分圧する直列回路である。コンデンサC1とコンデンサC2との接続点は電圧検出回路3に接続される。コンデンサC3,C4は、昇圧トランスT2の二次側巻線の両端電圧を分圧する直列回路である。コンデンサC3とコンデンサC4との接続点は電圧検出回路3に接続される。
【0023】
また、電圧検出回路3は、分圧後の電圧に基づいて、昇圧トランスT1,T2の二次側巻線の両端電圧を監視する回路である。
【0024】
また、コンデンサC5は、電流検出用の抵抗R2に並列に接続されており、抵抗R3は、制御回路1とダイオードD2のカソードとの間に設けられている。ダイオードD2およびコンデンサC5により、駆動電流が半波整流および平滑されるため、抵抗R3を介して駆動電流の振幅に応じた直流電圧が制御回路1に供給される。制御回路1は、この直流電圧に基づいて、駆動電流の異常の有無を判定する。
【0025】
また、抵抗R4は、制御回路1とダイオードD1のカソードとの間に設けられている。したがって、抵抗R1を導通する駆動電流に比例する電圧が、抵抗R4を介して制御回路1に供給される。制御回路1は、この電圧に基づいて、例えば駆動回路2のスイッチング素子Q1,Q2のデューティを変化させて定電流制御を行う。
【0026】
電流差検出回路4は、昇圧トランスT1,T2から放電管ランプFL1,FL2への2系統の駆動電流の振幅の差に対応する値を検出する回路である。
【0027】
図2は、図1における電流差検出回路4の構成例を示す回路図である。
【0028】
図2に示す電流差検出回路4において、平滑回路41は、ダイオードD1の出力電圧VD1(つまり、抵抗R1の両端電圧)を平滑する回路である。平滑回路42は、ダイオードD2の出力電圧VD2(つまり、抵抗R2の両端電圧)を平滑する回路である。
【0029】
差分増幅回路43は、オペアンプOP1を使用した、平滑回路42の出力電圧V2と平滑回路41の出力電圧V1との差(V2−V1)に対応する電圧を出力する回路であり、差分増幅回路44は、オペアンプOP2を使用した、平滑回路41の出力電圧V1と平滑回路42の出力電圧V2との差(V1−V2)に対応する電圧を出力する回路である。差分増幅回路43の出力電圧は、増幅率をA1とすると、A1×(V2−V1)となり、差分増幅回路44の出力電圧は、増幅率をA2とすると、A2×(V1−V2)となる。この増幅率A1は、抵抗R13,R14,R15の抵抗値により決まる。この増幅率A2は、抵抗R23,R24,R25の抵抗値により決まる。
【0030】
したがって、電圧V1が電圧V2により大きい場合には、差分増幅回路43の出力電圧は正となり、差分増幅回路44の出力電圧は負となる。また、電圧V1が電圧V2により小さい場合には、差分増幅回路43の出力電圧は負となり、差分増幅回路44の出力電圧は正となる。
【0031】
差分増幅回路43,44の出力端子にはダイオードD1,D2のアノードがそれぞれ接続され、ダイオードD1,D2のカソードはいずれも抵抗R31の一端に接続されている。また、抵抗R31の他端はグランドに接続されている。このため、差分増幅回路43,44の出力電圧(つまり、ダイオードD1,D2のアノード電圧)のいずれか高い方が、抵抗R31に印加される。
【0032】
したがって、抵抗R1と抵抗R2の抵抗値が同一である場合には、平滑回路41,42の平滑特性を同一とし、差分増幅回路43,44の増幅率A1,A2を同一とすることで、抵抗R31の両端電圧は、昇圧トランスT1,T2から出力される2系統の駆動電流の振幅の差の絶対値に比例した電圧となる。なお、抵抗R1と抵抗R2の抵抗値が同一ではない場合には、抵抗R31の両端電圧が、昇圧トランスT1,T2から出力される2系統の駆動電流の振幅の差の絶対値に比例した電圧となるように、差分増幅回路43,44の増幅率A1,A2を選択すればよい。
【0033】
比較器CMPは、抵抗R31の両端電圧と基準電圧とを比較し、抵抗R31の両端電圧が基準電圧より高い場合には、その出力電圧をハイレベル(つまり電源電圧Vin)とし、抵抗R31の両端電圧が基準電圧より低い場合には、その出力電圧をローレベル(つまりグランドレベル)とする回路である。この基準電圧は、2系統の駆動電流の振幅の差について予め設定される許容上限値に対応する電圧であり、抵抗R31,R32の直列回路で電源電圧Vinを分圧することにより生成される。
【0034】
また、比較器CMPの出力端子には、抵抗R35,R36およびコンデンサC31によるローパスフィルタが接続されており、そのローパスフィルタの出力電圧VRTが制御回路1に供給される。このローパスフィルタは、比較器CMPの出力電圧の急峻な変化を除去する。
【0035】
このように、電流差検出回路4は、2系統の駆動電流の振幅の差が所定の値より大きいときには、出力電圧VRTをハイレベルとし、2系統の駆動電流の振幅の差が所定の値より小さいときには、出力電圧VRTをローレベルとする。したがって、制御回路1は、この出力電圧VRTのレベルに応じて発振周波数を調節し、駆動回路2に供給する制御信号の周波数を制御する。
【0036】
次に、上記インバータ回路の動作について説明する。
【0037】
まず、放電管ランプFL1,FL2をそれぞれ含む共振回路の共振特性について説明する。図3は、放電管ランプFL1,FL2をそれぞれ含む共振回路の共振特性の一例を示す図である。
【0038】
放電管ランプFL1,FL2がインバータ回路に接続され各種装置に設置されると、シャシーなどを介して、放電管ランプFL1,FL2とグランドとの間に浮遊容量Cf1,Cf2が発生する。そして、放電管ランプFL1,FL2がインバータ回路に接続されているときには、昇圧トランスT1,T2の漏れインダクタンスL1,L2、コンデンサC1〜C4などとともにLC共振回路が形成される。このため、放電管ランプFL1,FL2に印加される交流電圧の振幅が一定であっても、放電管ランプFL1,FL2の駆動電流ILは、このLC共振回路の共振周波数fo近傍では大きくなり、共振周波数foに、ピークを有する。
【0039】
しかし、放電管ランプFL1,FL2の個体差、設置位置などに起因して、この共振特性は、放電管ランプごとに異なることが多い。つまり、図3に示すように、共振周波数foでの駆動電流の振幅ILが異なったり、共振周波数foが異なったりすることがある。このため、共振周波数foで放電管ランプFL1,FL2を駆動すると、2系統の駆動電流の振幅にばらつきが生じ、ひいては放電管ランプFL1,FL2の発光量にばらつきが生じてしまう。
【0040】
実施の形態1に係るインバータ回路では、以下のようにして、このばらつきを抑制する。
【0041】
放電管ランプFL1,FL2がCCFLである場合、例えば、制御回路1は、動作開始時には、共振周波数よりやや低い所定の周波数で制御信号を生成し、駆動回路2に供給する。したがって、駆動回路2により、その周波数の交流電圧が昇圧トランスT1,T2の一次側巻線に印加される。これにより、昇圧トランスT1,T2の二次側巻線には、その周波数の高圧交流電圧が互い反転した位相で誘起する。これにより、直列接続された放電管ランプFL1,FL2がその両端から昇圧トランスT1,T2で駆動され、駆動電流が導通し、放電管ランプFL1,FL2が発光する。
【0042】
そして、このときの昇圧トランスT1による駆動電流が、抵抗R1により電圧VD1として検出され、このときの昇圧トランスT2による駆動電流が、抵抗R2により電圧VD2として検出される。そして、電流差検出回路4は、上述のように、この2系統の駆動電流の振幅の差(=|IL1−IL2|)が所定の値より大きい場合には、ハイレベルの電圧VRTを出力する。
【0043】
制御回路1は、電流差検出回路4の出力電圧VRTがハイレベルである場合には、駆動回路2に供給する制御信号の周波数fsを低下させる。したがって、2系統の駆動電流の振幅の差が所定の値より大きい間は、電流差検出回路4の出力電圧VRTがハイレベルのままであるので、制御回路1は、図3に示すように、制御信号の周波数fsを継続的に低下させる。
【0044】
その後、2系統の駆動電流の振幅の差(=|IL1−IL2|)が所定の値より小さくなると、電流差検出回路4の出力電圧VRTは、ハイレベルからローレベルへ変化する。電流差検出回路4の出力電圧VRTがローレベルになると、制御回路1は、制御信号の周波数fsの調整を終了し、そのときの周波数fsで制御信号を生成し、駆動回路2に供給する。
【0045】
これにより、放電管ランプFL1,FL2に対する2系統の駆動電流の振幅の差が充分小さくなる。そして、共振周波数foより低い周波数で、放電管ランプFL1,FL2が駆動される。
【0046】
なお、負荷(放電管ランプ)のマッチング条件によっては、共振周波数より高い周波数で、放電管ランプを駆動する場合もある。その場合、制御回路1は、動作開始時には、共振周波数よりやや高い所定の周波数で制御信号を生成し、駆動回路2に供給する。このため、動作開始時には、放電管ランプFL1,FL2は、その周波数で駆動され、発光する。
【0047】
そして、このときの昇圧トランスT1による駆動電流が、抵抗R1により電圧VD1として検出され、このときの昇圧トランスT2による駆動電流が、抵抗R2により電圧VD2として検出される。そして、電流差検出回路4は、上述のように、この2系統の駆動電流の振幅の差(=|IL1−IL2|)が所定の値より大きい場合には、ハイレベルの電圧VRTを出力する。
【0048】
制御回路1は、電流差検出回路4の出力電圧VRTがハイレベルである場合には、駆動回路2に供給する制御信号の周波数fsを増加させる。したがって、2系統の駆動電流の振幅の差が所定の値より大きい間は、電流差検出回路4の出力電圧VRTがハイレベルのままであるので、制御回路1は、制御信号の周波数fsを継続的に増加させる。
【0049】
その後、2系統の駆動電流の振幅の差(=|IL1−IL2|)が所定の値より小さくなると、電流差検出回路4の出力電圧VRTは、ハイレベルからローレベルへ変化する。電流差検出回路4の出力電圧VRTがローレベルになると、制御回路1は、制御信号の周波数fsの調整を終了し、そのときの周波数fsで制御信号を生成し、駆動回路2に供給する。
【0050】
これにより、放電管ランプFL1,FL2に対する2系統の駆動電流の振幅の差が充分小さくなる。そして、共振周波数foより高い周波数で、放電管ランプFL1,FL2が駆動される。
【0051】
以上のように、上記実施の形態1によれば、昇圧トランスT1,T2は、昇圧トランスT1,T2の二次側および放電管ランプFL1,FL2を含む2系統の共振回路に2系統の駆動電流をそれぞれ導通させる。駆動回路2は、昇圧トランスT1,T2の一次側に交流電圧を印加する。そして、電流差検出回路4は、2系統の駆動電流の振幅の差に対応する値を検出し、制御回路1は、電流差検出回路4により検出される値が所定の値より小さくなるように、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数を制御する。
【0052】
これにより、バランサコイルを使用しないことでコストの増加を抑えつつ、かつ特性管理をすることなく、放電管ランプを駆動するための2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができる。
【0053】
なお、電流差検出回路4は安価なオペアンプ、ダイオード、コンデンサおよび抵抗で構成可能であるため、バランサコイルを導入する場合に比べコストが低くなる。また、ダイオードD1,D2および抵抗R1,R2が既存の用途(電流制御、異常検出など)で使用しているものを利用できるため、駆動電流の振幅を検出するためにダイオードおよび抵抗を別途設ける必要がない。
【0054】
また、上記実施の形態1によれば、制御回路は、放電管ランプFL1,FL2および昇圧トランスT1,T2の二次側巻線を含む共振回路の共振周波数またはその近傍から、共振周波数から遠ざかっていくように、電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数を変化させる。
【0055】
これにより、2系統の駆動電流の差を充分小さくしつつ、共振周波数に比較的近い周波数で放電管ランプを効率よく発光させることができる。つまり、昇圧トランスT1,T2による駆動電圧が同一でも、共振周波数に比較的近い周波数では駆動電流が大きくなるため(図3参照)、放電管ランプFL1,FL2の発光量も大きくなる。
【0056】
また、上記実施の形態1によれば、制御回路1は、放電管ランプFL1,FL2を共振周波数foより低い周波数fsの交流電圧で駆動する場合には、共振周波数foより低い所定の周波数から、電流差検出回路4により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数fsを低下させる。また、制御回路1は、放電管ランプFL1,FL2を共振周波数foより高い周波数の交流電圧で駆動する場合には、共振周波数foより高い所定の周波数から、電流差検出回路4により検出される値が所定の値より小さくなるまで、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数fsを増加させる。
【0057】
これにより、駆動回路2により印加される交流電圧の周波数が、2系統の駆動電流の差が小さくなるほうに調節されるため、確実に、2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができる。
【0058】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係るインバータ回路の構成を示す回路図である。
【0059】
実施の形態1に係るインバータ回路では、ダイオードD1〜D4および抵抗R1,R2による回路が昇圧トランスT1,T2の二次側巻線の低圧側端子に接続されているが、実施の形態1に係るインバータ回路では、ダイオードD1〜D4および抵抗R1,R2による回路が、放電管ランプFL1,FL2の低圧側端子に接続される。
【0060】
したがって、実施の形態2では、放電管ランプFL1,FL2の2系統の駆動電流が、放電管ランプFL1,FL2の低圧側から検出される。
【0061】
実施の形態2に係るインバータ回路のその他の構成および動作については実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
したがって、上記実施の形態2の場合も、上記実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
【0063】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0064】
例えば、上記各実施の形態では、駆動回路2のスイッチング素子Q1,Q2がプッシュプル回路を構成し180度の位相差の制御信号でオン/オフされるが、その代わりに、スイッチング素子のハーフブリッジ回路またはフルブリッジ回路を駆動回路2として使用してもよい。
【0065】
また、上記各実施の形態において、2つの昇圧トランスT1,T2の代わりに、1つの昇圧トランスを使用し、二次側の一端を放電管ランプFL1に接続し、二次側の他端を放電管ランプFL2に接続するようにしてもよい。また、昇圧トランスとしては、巻線型のトランスの他、圧電型のトランスを使用してもよい。
【0066】
例えば、上記各実施の形態において、制御回路1は、制御信号の周波数fsを所定の周波数まで低下させても、2系統の駆動電流の振幅の差が所定の値より小さくならない場合(つまり、電流差検出回路4の出力電圧VRTがハイレベルのままの場合)、駆動回路2への制御信号の供給を停止するようにしてもよい。
【0067】
また、上記各実施の形態において、電流差検出回路4における差分増幅回路43,44は、トランジスタ素子による差分増幅回路としてもよい。
【0068】
また、上記各実施の形態において、電流差検出回路4では、2系統の駆動電流の振幅の差に対応する電圧を出力電圧とし、基準電圧とその電圧とを比較する比較器CMPなどを制御回路1に内蔵させるようにしてもよい。
【0069】
また、上記各実施の形態においては、位相が互いに180度ずれている2系統の駆動電流の放電管ランプFL1,FL2に供給するようにしているが、その代わりに、同相の、2系統の駆動電流を放電管ランプFL1,FL2に供給するようにしてもよい。その場合でも、同様に、2系統の駆動電流の振幅の差を充分小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、バックライト用インバータ回路に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1に係るインバータ回路の構成を示す回路図である。
【図2】図1における電流差検出回路4の構成例を示す回路図である。
【図3】放電管ランプFL1,FL2をそれぞれ含む共振回路の共振特性の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るインバータ回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御回路
2 駆動回路
4 電流差検出回路
FL1,FL2 放電管ランプ
T1,T2 昇圧トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該昇圧トランスの二次側および放電管ランプを含む2系統の共振回路に2系統の駆動電流をそれぞれ導通させる昇圧トランスと、
前記昇圧トランスの一次側に交流電圧を印加する駆動回路と、
前記2系統の駆動電流の振幅の差に対応する値を検出する電流差検出回路と、
前記電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるように、前記駆動回路により印加される交流電圧の周波数を制御する制御回路と、
を備えることを特徴とするインバータ回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記2系統の共振回路の共振周波数またはその近傍から、共振周波数から遠ざかっていくように、前記電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、前記駆動回路により印加される交流電圧の周波数を変化させることを特徴とする請求項1記載のインバータ回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記放電管ランプを前記共振周波数より低い周波数の交流電圧で駆動する場合には、前記共振周波数より低い所定の周波数から、前記電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、前記駆動回路により印加される交流電圧の周波数を低下させ、前記放電管ランプを前記共振周波数より高い周波数の交流電圧で駆動する場合には、前記共振周波数より高い所定の周波数から、前記電流差検出回路により検出される値が所定の値より小さくなるまで、前記駆動回路により印加される交流電圧の周波数を増加させることを特徴とする請求項2記載のインバータ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−15799(P2010−15799A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174099(P2008−174099)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000107804)スミダコーポレーション株式会社 (285)
【Fターム(参考)】