説明

ウェット処理装置およびウェット処理装置製造方法

【課題】ウェット処理対象のうちのチャックに対向するチャック対向面にウェット処理液が付着することを低減すること。
【解決手段】チャック1は、噴出口16から気体24を噴出させることによりウェット処理対象7を保持する。ノズル3は、ウェット処理対象7のうちのチャック1に対向するチャック対向面22の裏側のウェット処理対象面23にウェット処理液8を供給する。噴出口16は、閉曲線に沿って形成されている。その閉曲線は、その閉曲線のうちの任意の点からウェット処理対象7の外周14、15までの距離が一定であるように、形成されている。このようなウェット処理装置10は、噴出口16から噴出した気体24がウェット処理対象7の外周14、15とチャック1とに挟まれた隙間からに均一に噴出されることにより、チャック1に対向するチャック対向面22にウェット処理液8が付着することを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェット処理装置およびウェット処理装置製造方法に関し、特に、ウェット処理対象をウェット処理するウェット処理装置およびウェット処理装置製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハの裏面をエッチングすることにより、そのウェーハを薄型化する裏面エッチング装置が知られている。その裏面エッチング装置は、そのウェーハの表面が汚染されることを防止することが望まれている。その裏面エッチング装置は、そのウェーハの表面に窒素ガスを噴出させることにより、そのウェーハの表面に接触することなく、そのウェーハを保持するベルヌーイチャックが適用されている。その裏面エッチング装置は、そのウェーハの表面を下に向けてそのウェーハを回転させながら、そのウェーハの裏面にエッチング液を滴下することにより、そのウェーハの裏面をエッチングする。
【0003】
特開平07−130693号公報には、多様な工程に対応できる枚葉式両面洗浄装置が開示されている。その枚葉式両面洗浄装置は、被洗浄体が収納されたカセットを搬入搬出するカセットステーションと、このカセットステーションから取り出された上記被洗浄体を搬送する搬送機構と、この搬送機構が上記被搬送体を搬送する搬送路と、この搬送路に沿って設けられた被洗浄体を洗浄する少なくとも1つの洗浄機構と、上記搬送路に沿って設けられた被洗浄体の表裏面を反転させる被洗浄体反転機構とから構成されたことを特徴としている。
【0004】
特開2006−100368号公報には、基板の裏面全体を洗浄するとともに、周縁エッチング幅を正確に、しかも周面全体にわたって均一に制御しながら基板の表面周縁部から不要物をエッチング除去することができる基板処理装置が開示されている。その基板処理装置は、基板の表面を下方に向けたフェースダウン姿勢のままその基板の裏面の略中央部を吸引してベベルエッチング位置でその基板を位置決めしながら、その基板表面側からその基板表面の周縁部に第1処理液を供給して該周縁部から不要物をエッチング除去するベベルエッチング部と、フェースダウン姿勢のまま基板表面に向けて気体を吐出することで該基板を浮上させてそのベベルエッチング位置とは異なる裏面洗浄位置でその基板を位置決めしながら、その基板の裏面に第2処理液を供給して洗浄する裏面洗浄部とを備え、そのベベルエッチング部により不要物がエッチング除去された基板をフェースダウン姿勢のままそのベベルエッチング位置からその裏面洗浄位置に搬送して該基板の裏面洗浄を行うことを特徴としている。
【0005】
特開2009−38411号公報には、半導体製造処理に用いられるウェーハ等の基板に塵等が付着することを防止し、短時間で精度よく基板の向きを調整する基板位置決めシステムが開示されている。その基板位置決めシステムは、円形の基板であって、その周縁に当該基板の向きを示す切り欠きが設けられた基板の向きを調整する基板位置決めシステムであって、その基板を、非接触で略水平に支持する支持装置と、その支持装置により支持されたその基板のその切り欠きの位置を検出するセンサと、その支持装置により支持されたその基板を回転させ、当該基板の向きを調整する基板回転装置と、その基板の中心とその基板回転装置の回転中心とが一致するように、その基板の周縁の位置を規定する規定手段とを備えている。その支持装置は、固定系の支柱に支持される円形状の支持テーブルと、その支持テーブルの上面に設けられ、エアーを噴出する複数のエアー噴出口とを有している。その基板回転装置は、その支柱の軸心回りに回転自在に設けられる回転部と、その回転部に、一方側の端部が連結されるアーム部と、そのアーム部の他方側の端部に取付けられ、その切り欠きに挿抜自在に設けられる当接部材とを有し、その支持装置によりエアー浮遊されるその基板の切り欠き位置にその当接部材が挿入され、その規定手段にてその基板の周縁がガイドされつつ、その回転部およびそのアーム部が回転されてその基板の向きが調整されることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−130693号公報
【特許文献2】特開2006−100368号公報
【特許文献3】特開2009−38411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような裏面エッチング装置は、そのウェーハの表面にそのエッチング液が回りこんでくる可能性がある。このため、このような裏面エッチング装置は、そのエッチング液がそのウェーハの表面に回り込んでくることにより、パーティクルの発生や、そのウェーハの表面に形成されているパターンをエッチングしてしまうパターン欠陥が発生することがある。そのウェーハの表面へのエッチング液の付着を低減すること望まれている。
【0008】
本発明の課題は、ウェット処理対象のうちのチャックに対向するチャック対向面にウェット処理液が付着することを低減するウェット処理装置およびウェット処理装置製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明によるウェット処理装置(10)は、チャック(1)(31)(51)とノズル(3)とを備えている。チャック(1)(31)(51)は、噴出口(16)(46)(66)から気体(24)を噴出させることによりウェット処理対象(7)(37)(57)を保持する。ノズル(3)は、ウェット処理対象(7)(37)(57)がチャック(1)(31)(51)に保持されているときに、ウェット処理対象(7)(37)(57)のうちのチャック(1)(31)(51)に対向するチャック対向面(22)の裏側のウェット処理対象面(23)にウェット処理液(8)を供給する。噴出口(16)(46)(66)は、閉曲線に沿って形成されている。その閉曲線は、その閉曲線のうちの任意の点からウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)までの距離が一定であるように、形成されている。このようなウェット処理装置(10)は、噴出口(16)(46)(66)から噴出した気体(24)がウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)とチャック(1)(31)(51)とに挟まれた隙間からに均一に噴出されることにより、チャック対向面(22)にウェット処理液(8)が付着することを低減することができる。
【0011】
本発明によるウェット処理装置製造方法は、ウェット処理対象(7)(37)(57)の外周の形状を示している外周形状情報を収集するステップと、噴出口(16)(46)(66)から気体(24)を噴出させることによりウェット処理対象(7)(37)(57)を保持するチャック(1)(31)(51)をその外周形状情報に基づいて作製するステップと、チャック(1)(31)(51)を備えているウェット処理装置(10)を作製するステップとを備えている。ウェット処理装置(10)は、ウェット処理対象(7)(37)(57)がチャック(1)(31)(51)に保持されているときに、ウェット処理対象(7)(37)(57)のうちのチャック(1)(31)(51)に対向するチャック対向面(22)の裏側のウェット処理対象面(23)にウェット処理液(8)を供給するウェット処理を実行する。噴出口(16)(46)(66)は、閉曲線に沿って形成されている。その閉曲線は、その閉曲線のうちの任意の点からウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)までの距離が一定であるように、形成されている。このようなウェット処理装置製造方法によれば、ウェット処理装置(10)は、噴出口(16)(46)(66)から噴出した気体(24)がウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)とチャック(1)(31)(51)とに挟まれた隙間からに均一に噴出されることにより、チャック対向面(22)にウェット処理液(8)が付着することを低減することができる。
【0012】
本発明による半導体装置製造方法は、ウェット処理対象(7)(37)(57)の外周の形状を示している外周形状情報を収集するステップと、噴出口(16)(46)(66)から気体(24)を噴出させることによりウェット処理対象(7)(37)(57)を保持するチャック(1)(31)(51)をその外周形状情報に基づいて作製するステップと、ウェット処理対象(7)(37)(57)がチャック(1)(31)(51)に保持されているときに、ウェット処理対象(7)(37)(57)のうちのチャック(1)(31)(51)に対向するチャック対向面(22)の裏側のウェット処理対象面(23)にウェット処理液(8)を供給するウェット処理を実行するステップとを備えている。噴出口(16)(46)(66)は、閉曲線に沿って形成されている。その閉曲線は、その閉曲線のうちの任意の点からウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)までの距離が一定であるように、形成されている。このような半導体装置製造方法によれば、噴出口(16)(46)(66)から噴出した気体(24)がウェット処理対象(7)(37)(57)の外周(14、15)(44、45)(64、65)とチャック(1)(31)(51)とに挟まれた隙間からに均一に噴出されることにより、チャック対向面(22)にウェット処理液(8)が付着することを低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるウェット処理装置およびウェット処理装置製造方法は、噴出口から噴出した気体がウェット処理対象の外周とチャックとに挟まれた隙間からに均一に噴出されることにより、そのウェット処理対象のうちのそのチャックに対向するチャック対向面にそのウェット処理液が付着することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によるウェット処理装置を示す側面図である。
【図2】図2は、チャックを示す上面図である。
【図3】図3は、チャックを示す断面図である。
【図4】図4は、比較例のチャックを示す上面図である。
【図5】図5は、他のチャックを示す上面図である。
【図6】図6は、さらに他のチャックを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本発明によるウェット処理装置の実施の形態を記載する。そのウェット処理装置10は、図1に示されているように、チャック1と回転装置2とノズル3を備え、図示されていない制御装置を備えている。チャック1は、鉛直方向に平行である回転軸5を中心に回転可能に基礎に支持されている。チャック1は、平坦であるウェーハ対向面6が形成されている。ウェーハ対向面6は、回転軸5に垂直であり、鉛直上側に向いている。チャック1は、その制御装置により制御されることにより、ウェーハ対向面6に対向するように配置されたウェーハ7を保持する。回転装置2は、その制御装置により制御されることにより、回転軸5を中心にチャック1を所定の回転速度で回転させる。ノズル3は、チャック1のウェーハ対向面6に対向するように、チャック1の鉛直上側に配置されている。ノズル3は、チャック1がウェーハ7を保持しているときに、その制御装置により制御されることにより、ウェーハ7にエッチング液8に供給する。
【0016】
ウェーハ7は、図2に示されているように、外周が円弧部分14とオリエンテーションフラット部分15とを含んでいる。円弧部分14は、円弧に形成されている。オリエンテーションフラット部分15は、直線に形成されている。
【0017】
チャック1は、図2に示されているように、複数の外周ピン11−1〜11−n(n=2,3,4,…)と回転運動伝達用外周ピン12とが形成されている。複数の外周ピン11−1〜11−nの各外周ピン11−i(i=1,2,3,…,n)は、ウェーハ対向面6に形成され、円柱状に形成されている。複数の外周ピン11−1〜11−nは、チャック1がウェーハ7を保持しているときに、それぞれ、ウェーハ7の円弧部分14に接触するように形成されている。回転運動伝達用外周ピン12は、複数の外周ピン11−1〜11−nと同様にして、ウェーハ対向面6に形成され、円柱状に形成されている。回転運動伝達用外周ピン12は、チャック1がウェーハ7を保持しているときに、ウェーハ7のオリエンテーションフラット部分15に接触するように形成されている。すなわち、ウェーハ7がチャック1に保持されているときに、複数の外周ピン11−1〜11−nがウェーハ7の外周にそれぞれ接触する複数の接触点は、円上に配置されている。すなわち、ウェーハ7がチャック1に保持されているときに、回転運動伝達用外周ピン12がウェーハ7の外周に接触する接触点は、その円上に配置されていない。複数の外周ピン11−1〜11−nと回転運動伝達用外周ピン12とは、さらに、ウェーハ7がチャック1に保持されるときに、回転軸5がウェーハ7の円弧部分14の中心を通るように、形成されている。
【0018】
チャック1は、さらに、保持用気体噴出口16と複数の回り込み防止用気体噴出口17とが形成されている。保持用気体噴出口16は、ウェーハ対向面6に形成され、ウェーハ対向面6に形成される閉曲線に沿って環状に形成されている。その閉曲線は、チャック1がウェーハ7を保持しているときに、その閉曲線のうちの任意の点からウェーハ7の外周までの距離が一定であるように、形成されている。すなわち、保持用気体噴出口16は、チャック1がウェーハ7を保持しているときに、保持用気体噴出口16のうちの任意の部分からウェーハ7の外周までの距離が一定であるように、形成されている。保持用気体噴出口16は、さらに、任意の部分が所定の幅になるように、形成されている。
【0019】
複数の回り込み防止用気体噴出口17は、それぞれ、ウェーハ対向面6に形成され、複数の外周ピン11−1〜11−nの近傍に形成されている。複数の回り込み防止用気体噴出口17のうちの外周ピン11−iの近傍に配置されている回り込み防止用気体噴出口は、回り込み防止用気体が外周ピン11−iに噴出されるように形成されている。
【0020】
チャック1は、さらに、図3に示されているように、流路21が形成されている。流路21は、図示されていない気体供給装置を保持用気体噴出口16と複数の回り込み防止用気体噴出口17とに接続している。その気体供給装置は、その制御装置に制御されることにより、流路21を介して保持用気体噴出口16と複数の回り込み防止用気体噴出口17とから気体24を噴出させる。気体24としては、清浄である窒素ガスが例示される。チャック1は、ベルヌーイチャック基本原理を使用することにより、ウェーハ7を保持する。すなわち、ウェーハ7は、チャック1に保持される直前に、所定の位置に配置される。ウェーハ7は、その所定の位置に配置されているときに、ウェーハ対向面6に対向し、かつ、ウェーハ対向面6から所定の距離だけ離れている。ウェーハ7は、ウェーハ7がその所定の位置に配置されているときに、保持用気体噴出口16から気体24が噴出されることにより、チャック1に保持される。
【0021】
ウェーハ7は、チャック1に保持されているときにウェーハ対向面6に対向するウェーハ表面22にパターンが形成されている。ウェーハ7は、ウェーハ表面22の裏側のウェーハ裏面23がエッチングされることにより、薄型化される。
【0022】
その制御装置は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置と入力装置と出力装置とインターフェースと通信装置とリムーバルメモリドライブとを備えている。そのCPUは、その制御装置にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とインターフェースと通信装置とリムーバルメモリドライブとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより生成される情報を一時的に記録する。その入力装置は、ユーザに操作されることにより情報を生成し、その情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボードが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成される情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、ディスプレイが例示される。そのインターフェースは、その制御装置に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、チャック1の保持用気体供給装置と回転装置2とノズル3とを含んでいる。
【0023】
その通信装置は、通信ネットワークを介してそのCPUにより生成された情報を他のコンピュータに送信し、その通信ネットワークを介して他のコンピュータから受信された情報をそのCPUに出力する。その通信装置は、さらに、その制御装置にインストールされるコンピュータプログラムを他のコンピュータからダウンロードすることに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、さらに、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムをその制御装置にインストールするときに利用される。その記録媒体としては、フラッシュメモリ、光ディスク(CD、DVD)が例示される。
【0024】
その制御装置にインストールされるコンピュータプログラムは、その制御装置に複数の機能をそれぞれ実現させる複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、ウェーハ保持部とウェーハ回転部とウェット処理液滴下部とを含んでいる。そのウェーハ保持部は、ウェーハ7がチャック1に固定されるように、または、ウェーハ7がチャック1から解放されるように、チャック1の保持用気体供給装置を制御する。そのウェーハ回転部は、回転軸5を中心にチャック1が所定の回転速度で回転するように、または、チャック1の回転が停止するように、回転装置2を制御する。そのウェット処理液滴下部は、チャック1に保持されているウェーハ7のウェーハ裏面23にエッチング液8が滴下されるように、または、エッチング液8の滴下が停止されるように、ノズル3を制御する。
【0025】
本発明による半導体装置製造方法の実施の形態は、ウェット処理装置製造方法とウェット処理とを備えている。
【0026】
そのウェット処理装置製造方法は、ウェット処理装置10を生産する方法であり、特に、チャック1を形成するときに利用される。ユーザは、まず、ウェーハ7の形状を測定することにより外周形状情報を作成する。その外周形状情報は、ウェーハ7の外周の形状を示している。ユーザは、その外周形状情報に基づいてチャック1を作製する。すなわち、ユーザは、ウェーハ7がチャック1に保持されるときに、ウェーハ7の外周の円弧部分14が複数の外周ピン11−1〜11−nに接触するように、複数の外周ピン11−1〜11−nをウェーハ対向面6に形成する。ユーザは、ウェーハ7がチャック1に保持されるときに、ウェーハ7の外周のオリエンテーションフラット部分15が回転運動伝達用外周ピン12に接触するように、回転運動伝達用外周ピン12をウェーハ対向面6に形成する。
【0027】
ユーザは、さらに、保持用気体噴出口16が所定の閉曲線に沿うように、保持用気体噴出口16をウェーハ対向面6に形成する。その閉曲線は、ウェーハ7がチャック1に保持されるときに、その閉曲線のうちの任意の点からウェーハ7の外周までの距離が一定であるように、ウェーハ対向面6に形成される。ユーザは、さらに、複数の外周ピン11−1〜11−nと回転運動伝達用外周ピン12とに向かって気体24が噴出されるように、複数の回り込み防止用気体噴出口17を形成する。ユーザは、次いで、このように作製されたチャック1をウェット処理装置10が備えるように、ウェット処理装置10を作製する。
【0028】
このようなウェット処理装置製造方法によれば、ウェーハ7がチャック1に保持されるときに、保持用気体噴出口16から噴出される気体24は、チャック1のウェーハ対向面6とウェーハ7の外周との隙間を均一に噴出する。
【0029】
そのウェット処理は、そのウェット処理装置製造方法により作製されたウェット処理装置10を用いて実行される。ユーザは、まず、ウェーハ7のウェーハ表面22がウェーハ対向面6に対向するように、かつ、複数の外周ピン11−1〜11−nと回転運動伝達用外周ピン12とがウェーハ7の外周に接触するように、かつ、ウェーハ表面22がウェーハ対向面6から所定の距離だけ離れるように、ウェーハ7を所定の位置に配置する。その制御装置は、ウェーハ7がその所定の位置に配置された後に、チャック1の気体供給装置を制御することにより、保持用気体噴出口16からウェーハ表面22に気体24を噴出させる。このような噴出によれば、ウェーハ7は、ベルヌーイチャック基本原理により、チャック1に保持される。すなわち、チャック1は、ウェーハ7のウェーハ表面22に接触しないで、ウェーハ7を保持することができる。
【0030】
その制御装置は、ウェーハ7がチャック1に保持された後に、回転装置2を制御することにより、回転軸5を中心にチャック1を所定の回転速度で回転させる。このとき、ウェーハ7は、回転運動伝達用外周ピン12と回転軸5との距離が複数の外周ピン11−1〜11−nと回転軸5との距離より短いことにより、チャック1に対して回転軸5を中心に回転することが防止される。このため、ウェット処理装置10は、所定の回転速度でウェーハ7をより確実に回転させることができる。
【0031】
その制御装置は、ウェーハ7が所定の回転速度で回転しているときに、ノズル3を制御することにより、ウェーハ7のウェーハ裏面23にエッチング液8を滴下する。このとき、エッチング液8は、遠心力により、ウェーハ7のウェーハ裏面23を回転軸5に近い方から遠い方に向かって流れ、ウェーハ7のウェーハ裏面23に均一に塗布される。エッチング液8は、ウェーハ7のウェーハ裏面23に均一に塗布されることにより、ウェーハ7のウェーハ裏面23を概ね均一にエッチングする。エッチング液8は、さらに、遠心力により、ウェーハ7の外周から飛散し、チャック1のウェーハ対向面6とウェーハ7の外周との隙間を通って、ウェーハ7のウェーハ表面22に付着しようとする。
【0032】
このとき、気体24は、保持用気体噴出口16の任意の部分からウェーハ7の外周までの距離が一定であるように形成されていることにより、チャック1のウェーハ対向面6とウェーハ7の外周との隙間を均一に噴出する。ウェーハ7の外周から飛散したエッチング液8は、チャック1のウェーハ対向面6とウェーハ7の外周との隙間から均一に気体24が噴出されることにより、気流に乱れが生じることが防止され、その隙間に入り込むことが低減される。ウェーハ7は、エッチング液8がその隙間に入り込むことが低減されることにより、ウェーハ表面22がエッチングされることが低減され、パターン欠陥が生じることを防止することができる。
【0033】
本発明によるウェット処理装置の比較例は、既述の実施の形態におけるチャック1が他のチャックに置換されている。そのチャック101は、図4に示されているように、鉛直方向に平行である回転軸5を中心に回転可能に基礎に支持されている。チャック1は、平坦であるウェーハ対向面106が形成されている。ウェーハ対向面106は、回転軸5に垂直であり、鉛直上側に向いている。チャック101は、その制御装置により制御されることにより、ウェーハ対向面106に対向するように配置されたウェーハ7を保持する。
【0034】
チャック101は、複数の外周ピン111−1〜111−nが形成されている。複数の外周ピン111−1〜111−nの各外周ピン111−iは、ウェーハ対向面106に形成され、円柱状に形成されている。複数の外周ピン111−1〜111−nは、チャック101がウェーハ7を保持しているときに、それぞれ、ウェーハ7の円弧部分14に接触するように形成されている。すなわち、ウェーハ7がチャック101に保持されているときに、複数の外周ピン111−1〜111−nがウェーハ7の外周にそれぞれ接触する複数の接触点は、円上に配置されている。複数の外周ピン111−1〜111−nは、さらに、ウェーハ7がチャック101に保持されるときに、回転軸5がウェーハ7の円弧部分14の中心を通るように、形成されている。
【0035】
チャック101は、さらに、保持用気体噴出口116が形成されている。保持用気体噴出口116は、ウェーハ対向面106に形成され、ウェーハ対向面106に形成される円に沿って環状に形成されている。回転軸5は、その円の中心を通っている。保持用気体噴出口116は、さらに、任意の部分が所定の幅になるように、形成されている。
【0036】
チャック101は、さらに、既述の実施の形態におけるチャック1と同様にして、図示されていない気体供給装置を備えている。その気体供給装置は、その制御装置に制御されることにより、チャック101に形成される流路を介して保持用気体噴出口116から気体を噴出させる。チャック101は、保持用気体噴出口116からその気体が噴出されることにより、ウェーハ7を保持する。チャック101は、既述の実施の形態におけるチャック1と同様にして、ウェーハ7のウェーハ表面22に接触しないで、ウェーハ7を保持することができる。
【0037】
チャック101は、ウェーハ7がチャック101に保持されているときに、オリエンテーションフラット部分15と保持用気体噴出口116との距離が円弧部分14と保持用気体噴出口116との距離より短いことにより、保持用気体噴出口116から噴出される気体の気流の乱れがオリエンテーションフラット部分15の近傍に発生することがある。このような気流の乱れは、ウェーハ7のウェーハ裏面23に供給されるエッチング液を、チャック101のウェーハ対向面106とウェーハ7の外周との隙間に侵入させ、そのエッチング液をウェーハ7のウェーハ表面22に付着させることがある。
【0038】
本発明によるウェット処理装置10は、保持用気体噴出口16の任意の部分からウェーハ7の外周までの距離が一定であるように形成されていることにより、このような比較例のウェット処理装置に比較して、チャック1のウェーハ対向面6とウェーハ7の外周との隙間から気体24を均一に噴出させることができる。このため、本発明によるウェット処理装置10によれば、ウェーハ7の外周から飛散したエッチング液8は、気流に乱れが生じることが防止され、ウェーハ表面22に付着されることが防止される。その結果、本発明によるウェット処理装置10によれば、ウェーハ7は、ウェーハ表面22がエッチングされることが低減され、パターン欠陥が生じることを防止することができる。
【0039】
チャック101に保持されているウェーハ7は、回転軸5を中心にチャック101が回転するときに、円弧部分14が複数の外周ピン111−1〜111−nを滑り、チャック101に対して回転することがある。本発明によるウェット処理装置10は、回転運動伝達用外周ピン12と回転軸5との距離が複数の外周ピン11−1〜11−nと回転軸5との距離より短いことにより、このような比較例のウェット処理装置に比較して、ウェーハ7がチャック1に対して回転軸5を中心に回転することがより確実に防止される。このため、ウェット処理装置10は、このような比較例のウェット処理装置に比較して、所定の回転速度でウェーハ7をより確実に回転させることができる。
【0040】
本発明によるウェット処理装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態におけるチャック1が他のチャックに置換されている。そのチャック31は、図5に示されているように、平坦であるウェーハ対向面36が形成されている。ウェーハ対向面36は、回転軸5に垂直であり、鉛直上側に向いている。チャック31は、その制御装置により制御されることにより、ウェーハ対向面36に対向するように配置されたウェーハ37を保持する。ウェーハ37は、外周が円弧部分44とノッチ部分45とを含んでいる。円弧部分44は、円弧に形成されている。ノッチ部分45は、外周のうちの切り欠きに形成されている部分である。
【0041】
チャック31は、複数の外周ピン41−1〜41−nと回転運動伝達用外周ピン42とが形成されている。複数の外周ピン41−1〜41−nの各外周ピン41−iは、ウェーハ対向面36に形成され、円柱状に形成されている。複数の外周ピン41−1〜41−nは、チャック31がウェーハ37を保持しているときに、それぞれ、ウェーハ37の円弧部分44に接触するように形成されている。回転運動伝達用外周ピン42は、複数の外周ピン41−1〜41−nと同様にして、ウェーハ対向面36に形成され、円柱状に形成されている。回転運動伝達用外周ピン42は、チャック31がウェーハ37を保持しているときに、ウェーハ37のノッチ部分45に接触するように形成されている。すなわち、ウェーハ37がチャック31に保持されているときに、複数の外周ピン41−1〜41−nがウェーハ37の外周にそれぞれ接触する複数の接触点は、円上に配置されている。すなわち、ウェーハ37がチャック31に保持されているときに、回転運動伝達用外周ピン42がウェーハ37の外周に接触する接触点は、その円上に配置されていない。複数の外周ピン41−1〜41−nと回転運動伝達用外周ピン42とは、さらに、ウェーハ37がチャック31に保持されるときに、回転軸5がウェーハ37の円弧部分44の中心を通るように、形成されている。
【0042】
チャック31は、さらに、保持用気体噴出口46と複数の回り込み防止用気体噴出口47とが形成されている。保持用気体噴出口46は、ウェーハ対向面36に形成され、ウェーハ対向面36に形成される閉曲線に沿って環状に形成されている。その閉曲線は、チャック31がウェーハ37を保持しているときに、その閉曲線のうちの任意の点からウェーハ37の外周までの距離が一定であるように、形成されている。すなわち、保持用気体噴出口46は、チャック31がウェーハ37を保持しているときに、保持用気体噴出口46のうちの任意の部分からウェーハ37の外周までの距離が一定であるように、形成されている。保持用気体噴出口46は、さらに、任意の部分が所定の幅になるように、形成されている。
【0043】
複数の回り込み防止用気体噴出口47は、それぞれ、ウェーハ対向面36に形成され、複数の外周ピン41−1〜41−nの近傍に形成されている。複数の回り込み防止用気体噴出口47のうちの外周ピン41−iの近傍に配置されている回り込み防止用気体噴出口は、回り込み防止用気体が外周ピン41−iに噴出されるように形成されている。
【0044】
チャック31は、さらに、図示されていない気体供給装置を備えている。その気体供給装置は、その制御装置に制御されることにより、流路を介して保持用気体噴出口46と複数の回り込み防止用気体噴出口47とから気体を噴出させる。チャック31は、保持用気体噴出口46からその気体が噴出されることにより、ウェーハ7を保持する。すなわち、チャック31は、既述の実施の形態におけるチャック1と同様にして、ウェーハ37のうちのチャック31に対向するウェーハ表面に接触しないで、ウェーハ37を保持することができる。
【0045】
チャック31は、既述の実施の形態におけるチャック1と同様にして、ウェーハ37の外周の形状に基づいて作製される。
【0046】
チャック31は、ウェーハ37がチャック31に保持されているときに、ウェーハ37の外周と保持用気体噴出口46との距離が一定であることにより、既述の実施の形態におけるチャック1と同様にして、ウェーハ37にノッチが形成されている場合であっても、保持用気体噴出口46から噴出された気体をウェーハ37の外周とチャック31との隙間から均一に噴出させることができる。このため、チャック31を備えるウェット処理装置は、既述の実施の形態におけるウェット処理装置10と同様にして、ウェーハ37のチャック31に対向するウェーハ表面にエッチング液8が付着することを防止することができ、ウェーハ37にパターン欠陥が生じることを防止することができる。
【0047】
チャック31は、さらに、回転運動伝達用外周ピン42がノッチ部分45に引っかかることにより、ウェーハ37がチャック31に対して回転することがより確実に防止され、所定の回転速度でウェーハ37をより確実に回転させることができる。
【0048】
本発明によるウェット処理装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態におけるチャック1がさらに他のチャックに置換されている。そのチャック51は、図6に示されているように、平坦であるウェーハ対向面56が形成されている。ウェーハ対向面56は、回転軸5に垂直であり、鉛直上側に向いている。チャック51は、その制御装置により制御されることにより、ウェーハ対向面56に対向するように配置されたウェーハ57を保持する。ウェーハ57は、外周が円弧部分64とオリエンテーションフラット部分65とを含んでいる。円弧部分64は、円弧に形成されている。オリエンテーションフラット部分65は、直線に形成されている。
【0049】
チャック51は、複数の外周ピン61−1〜61−nと回転運動伝達用外周ピン62とが形成されている。複数の外周ピン61−1〜61−nの各外周ピン61−iは、ウェーハ対向面56に形成され、円柱状に形成されている。複数の外周ピン61−1〜61−nは、チャック51がウェーハ57を保持しているときに、それぞれ、ウェーハ57の円弧部分64に接触するように形成されている。回転運動伝達用外周ピン62は、複数の外周ピン61−1〜61−nと同様にして、ウェーハ対向面56に形成され、円柱状に形成されている。回転運動伝達用外周ピン62は、チャック51がウェーハ57を保持しているときに、ウェーハ57のオリエンテーションフラット部分65に接触するように形成されている。すなわち、ウェーハ57がチャック51に保持されているときに、複数の外周ピン61−1〜61−nがウェーハ57の外周にそれぞれ接触する複数の接触点は、円上に配置されている。すなわち、ウェーハ57がチャック51に保持されているときに、回転運動伝達用外周ピン62がウェーハ57の外周に接触する接触点は、その円上に配置されていない。複数の外周ピン61−1〜61−nと回転運動伝達用外周ピン62とは、さらに、ウェーハ57がチャック51に保持されるときに、回転軸5がウェーハ57の円弧部分64の中心を通るように、形成されている。
【0050】
チャック51は、さらに、保持用気体噴出口66と複数の回り込み防止用気体噴出口67とが形成されている。保持用気体噴出口66は、ウェーハ対向面56に形成され、ウェーハ対向面56に形成される閉曲線に沿って環状に形成されている。その閉曲線は、チャック51がウェーハ57を保持しているときに、その閉曲線のうちの任意の点からウェーハ57の外周までの距離が一定であるように、形成されている。すなわち、保持用気体噴出口66は、チャック51がウェーハ57を保持しているときに、保持用気体噴出口66のうちの任意の部分からウェーハ57の外周までの距離が一定であるように、形成されている。
【0051】
保持用気体噴出口66は、円弧部分68とオリエンテーションフラット部分69とを含んでいる。円弧部分68は、保持用気体噴出口66のうちのウェーハ57の円弧部分64に近い部分である。オリエンテーションフラット部分69は、保持用気体噴出口66のうちのウェーハ57のオリエンテーションフラット部分65に近い部分である。オリエンテーションフラット部分69の幅は、円弧部分68の幅と異なり、円弧部分68の幅より大きい。
【0052】
複数の回り込み防止用気体噴出口67は、それぞれ、ウェーハ対向面56に形成され、複数の外周ピン61−1〜61−nの近傍に形成されている。複数の回り込み防止用気体噴出口67のうちの外周ピン61−iの近傍に配置されている回り込み防止用気体噴出口は、回り込み防止用気体が外周ピン61−iに噴出されるように形成されている。
【0053】
チャック51は、さらに、図示されていない気体供給装置を備えている。その気体供給装置は、その制御装置に制御されることにより、流路を介して保持用気体噴出口66と複数の回り込み防止用気体噴出口67とから気体を噴出させる。チャック51は、保持用気体噴出口66からその気体が噴出されることにより、ウェーハ27を保持する。すなわち、チャック51は、既述の実施の形態におけるチャック31と同様にして、ウェーハ57のうちのチャック51に対向するウェーハ表面に接触しないで、ウェーハ57を保持することができる。
【0054】
チャック51は、ウェーハ57の外周の形状に基づいて形成される閉曲線に沿うように、保持用気体噴出口66が形成される。ユーザは、さらに、チャック51がウェーハ57を保持しているときにウェーハ57の外周とチャック51との隙間から噴出している気体の流量を計測する。ユーザは、その流量に基づいて、チャック51がウェーハ57を保持しているときにウェーハ57の外周とチャック51との隙間から噴出している気体の流量が均一になるように、保持用気体噴出口66の各部分の幅を変更する。
【0055】
このとき、保持用気体噴出口66は、オリエンテーションフラット部分69の幅を必ずしも円弧部分68の幅より大きくする必要がなく、その計測された流量に基づいて、オリエンテーションフラット部分69の幅を円弧部分68の幅と等しくすることもあり、オリエンテーションフラット部分69の幅を円弧部分68の幅より小さくすることもある。
【0056】
なお、ユーザは、チャック51がウェーハ57を保持しているときにウェーハ57の外周とチャック51との隙間から噴出している気体の流量を実際に計測する必要がなく、他の流量を用いて、保持用気体噴出口66の各部分の幅を決定することもできる。たとえば、ユーザは、シミュレーションを用いて、チャック51がウェーハ57を保持しているときにウェーハ57の外周とチャック51との隙間から噴出している気体の流量を算出し、その算出された流量に基づいて保持用気体噴出口66の各部分の幅を決定することもできる。
【0057】
このように作製されたチャック51は、さらに、既述の実施の形態におけるチャック1に比較して、保持用気体噴出口66から噴出された気体をウェーハ57の外周とチャック51との隙間からより均一に噴出させることができる。このため、チャック51を備えるウェット処理装置は、ウェット処理装置10と比較して、ウェーハ57のチャック51に対向するウェーハ表面にエッチング液8が付着することをより確実防止することができ、ウェーハ57にパターン欠陥が生じることをより確実に防止することができる。
【0058】
なお、チャック1は、ウェーハ7の外周とチャック1との隙間のうちの複数の外周ピン11−1〜11−nと回転運動伝達用外周ピン12との周囲からエッチング液8の回り込みが十分に少ないときに、複数の回り込み防止用気体噴出口17を設ける必要がなく、複数の回り込み防止用気体噴出口17を省略することもできる。チャック31、51に関しても、ウェーハ37、57の外周とチャック31、51との隙間のうちの複数の外周ピン41−1〜41−n、61−1〜61−nと回転運動伝達用外周ピン42、62との周囲からエッチング液の回り込みが十分に少ないときに、複数の回り込み防止用気体噴出口47、67を設ける必要がなく、複数の回り込み防止用気体噴出口47、67を省略することもできる。
【0059】
なお、チャック1は、ウェーハ7がチャック1に対して回転しないように複数の外周ピン11−1〜11−nによりウェーハ7がチャック1に十分に固定されているときに、回転運動伝達用外周ピン12が形成される必要がなく、回転運動伝達用外周ピン12を省略することもできる。さらに、チャック31、51に関しても、チャック1と同様にして、回転運動伝達用外周ピン42、62を省略することもできる。
【0060】
なお、本発明による(装置)は、エッチング処理と異なる他のウェット処理に適用されることもできる。そのウェット処理は、ウェット処理対象にウェット処理液を塗布する動作であり、ウェーハの表面に洗浄液を塗布することによりその表面を洗浄する処理、ウェーハの表面に薬液を塗布することによりその表面に薬液を塗布する処理が例示される。
【符号の説明】
【0061】
10:ウェット処理装置
1 :チャック
2 :回転装置
3 :ノズル
5 :回転軸
6 :ウェーハ対向面
7 :ウェーハ
8 :エッチング液
11−1〜11−n:複数の外周ピン
12:回転運動伝達用外周ピン
14:円弧部分
15:オリエンテーションフラット部分
16:保持用気体噴出口
17:複数の回り込み防止用気体噴出口
21:流路
22:ウェーハ表面
23:ウェーハ裏面
24:気体
27:ウェーハ
31:チャック
36:ウェーハ対向面
37:ウェーハ
41−1〜41−n:複数の外周ピン
42:回転運動伝達用外周ピン
44:円弧部分
45:ノッチ部分
46:保持用気体噴出口
47:複数の回り込み防止用気体噴出口
51:チャック
56:ウェーハ対向面
57:ウェーハ
61−1〜61−n:複数の外周ピン
62:回転運動伝達用外周ピン
64:円弧部分
65:オリエンテーションフラット部分
66:保持用気体噴出口
67:複数の回り込み防止用気体噴出口
68:円弧部分
69:オリエンテーションフラット部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出口から気体を噴出させることによりウェット処理対象を保持するチャックと、
前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象のうちの前記チャックに対向するチャック対向面の裏側のウェット処理対象面にウェット処理液を供給するノズルとを具備し、
前記噴出口は、閉曲線に沿って形成され、
前記閉曲線は、前記閉曲線のうちの任意の点から前記ウェット処理対象の外周までの距離が一定であるように、形成される
ウェット処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ウェット処理液は、前記ウェット処理対象面をエッチングする
ウェット処理装置。
【請求項3】
請求項1〜請求項2のいずれかにおいて、
前記噴出口は、
第1部分と、
第2部分とを含み、
前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅と異なる
ウェット処理装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記チャックを回転させることにより前記ウェット処理対象を回転させる回転装置をさらに具備し、
前記チャックは、前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象の外周の複数の接触点にそれぞれ接触する複数の外周ピンが形成され、
前記複数の外周ピンは、
前記複数の接触点のうちの円上に配置される複数の円上接触点にそれぞれ接触する複数の円上外周ピンと、
前記複数の接触点のうちの前記円上に配置されない接触点に接触する回転運動伝達用外周ピンとを含む
ウェット処理装置。
【請求項5】
ウェット処理対象の外周の形状を示す外周形状情報を収集するステップと、
噴出口から気体を噴出させることにより前記ウェット処理対象を保持するチャックを前記外周形状情報に基づいて作製するステップと、
前記チャックを備えるウェット処理装置を作製するステップとを具備し、
前記ウェット処理装置は、前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象のうちの前記チャックに対向するチャック対向面の裏側のウェット処理対象面にウェット処理液を供給するウェット処理を実行し、
前記噴出口は、閉曲線に沿って形成され、
前記閉曲線は、前記閉曲線のうちの任意の点から前記ウェット処理対象の外周までの距離が一定であるように、形成される
ウェット処理装置製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記ウェット処理液は、前記ウェット処理対象面をエッチングする
ウェット処理装置製造方法。
【請求項7】
請求項5〜請求項6のいずれかにおいて、
前記噴出口は、
第1部分と、
第2部分とを含み、
前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅と異なる
ウェット処理装置製造方法。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれかにおいて、
前記ウェット処理装置は、前記チャックを回転させることにより前記ウェット処理対象を回転させる回転装置をさらに備え、
前記チャックは、前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象の外周の複数の接触点にそれぞれ接触する複数の外周ピンが形成され、
前記複数の外周ピンは、
前記複数の接触点のうちの円上に配置される複数の円上接触点にそれぞれ接触する複数の円上外周ピンと、
前記複数の接触点のうちの前記円上に配置されない接触点に接触する回転運動伝達用外周ピンとを含む
ウェット処理装置製造方法。
【請求項9】
ウェット処理対象の外周の形状を示す外周形状情報を収集するステップと、
噴出口から気体を噴出させることにより前記ウェット処理対象を保持するチャックを前記外周形状情報に基づいて作製するステップと、
前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象のうちの前記チャックに対向するチャック対向面の裏側のウェット処理対象面にウェット処理液を供給するウェット処理を実行するステップとを具備し、
前記噴出口は、閉曲線に沿って形成され、
前記閉曲線は、前記閉曲線のうちの任意の点から前記ウェット処理対象の外周までの距離が一定であるように、形成される
半導体装置製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記ウェット処理液は、前記ウェット処理対象面をエッチングする
半導体装置製造方法。
【請求項11】
請求項9〜請求項10のいずれかにおいて、
前記噴出口は、
第1部分と、
第2部分とを含み、
前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅と異なる
半導体装置製造方法。
【請求項12】
請求項9〜請求項11のいずれかにおいて、
前記チャックを回転させることにより前記ウェット処理対象を回転させるステップをさらに具備し、
前記チャックは、前記ウェット処理対象が前記チャックに保持されているときに、前記ウェット処理対象の外周の複数の接触点にそれぞれ接触する複数の外周ピンが形成され、
前記複数の外周ピンは、
前記複数の接触点のうちの円上に配置される複数の円上接触点にそれぞれ接触する複数の円上外周ピンと、
前記複数の接触点のうちの前記円上に配置されない接触点に接触する回転運動伝達用外周ピンとを含む
半導体装置製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195346(P2012−195346A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56458(P2011−56458)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】