説明

ウレタンフォーム積層体

【課題】中間層や補強層が不要で、且つ、生産性の高いウレタンフォーム積層体である。
【解決手段】第1ポリオール成分と、第1イソシアネート成分とを含む第1反応液を混合して発泡、硬化させた第1ウレタンフォーム層と、第2ポリオール成分と、第2イソシアネート成分とを含む第2反応液を混合して発泡、硬化させた第2ウレタンフォーム層とを備えるウレタンフォーム積層体であって、第2ウレタンフォーム層は、第1ウレタンフォーム層を形成する形成面に塗布した第1反応液の硬化中に、該第1反応液上に第2反応液を塗布することで、第1ウレタンフォーム層と一体的に形成されていることを特徴とする、ウレタンフォーム積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームの積層体に関し、特には、靴の中敷、異硬度緩衝材、シール部材、カーペットアンダーレイ、各種裏打ち材および制振シートなどに好適に使用し得る、生産性が高くて中間層や補強層を介在させる必要が無いウレタンフォーム積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタンフォームを用いた積層体は様々な分野で利用されており、その生産方式も様々なものが知られている。具体的には、接着剤を用いてウレタンフォーム部材を積層したウレタンフォーム積層体の他、接着剤を用いることなく、ウレタンフォームを他部材に直接積層したウレタンフォーム積層体が知られている。
【0003】
そして、接着剤を使用せずに製造するウレタンフォーム積層体としては、金属箔または樹脂フィルムからなる強化層の両面に発泡体層を直接形成したシール材や(例えば、特許文献1参照)、ポリオールとイソシアネートと触媒を含む反応混合液を離型シート上に塗布した後、該反応混合液を反応混合液非塗布面側から加熱して硬化させると共に硬化途中の反応混合液の表面に発泡体からなる基材を載置して形成した積層体(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−254293号公報
【特許文献2】特開2003−225913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、強化層などの中間層や補強層を用いた上記ウレタンフォーム積層体では、製造コストが高くなると共に、中間層や補強層の設置によりウレタンフォーム積層体が硬くなってしまうという問題があった。
【0006】
また、反応混合液に基材を載置して形成した上記ウレタンフォーム積層体では、ウレタンフォーム積層体の製造前に予め基材を製造しておく必要があるため、製造工程が増えて生産性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
そのため、中間層や補強層が不要で、且つ、生産性の高いウレタンフォーム積層体が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上記課題を有利に解決したものであり、本発明のウレタンフォーム積層体は、第1ポリオール成分と、第1イソシアネート成分とを含む第1反応液を混合して発泡、硬化させた第1ウレタンフォーム層と、第2ポリオール成分と、第2イソシアネート成分とを含む第2反応液を混合して発泡、硬化させた第2ウレタンフォーム層とを備えるウレタンフォーム積層体であって、前記第2ウレタンフォーム層は、前記第1ウレタンフォーム層を形成する形成面に塗布した前記第1反応液の硬化中に、当該第1反応液上に前記第2反応液を塗布することで、前記第1ウレタンフォーム層と一体的に形成されていることを特徴とする。このように、硬化中の第1反応液上に第2反応液を直接塗布して積層体を形成すれば、中間層や補強層を用いることなくウレタンフォーム積層体を低コストで製造することができる。また、ウレタンフォーム積層体の製造前に予め基材等を製造しておく必要が無いと共に、粘着剤や接着剤による張り合わせ工程や、熱を用いたプレス積層工程を製造工程中に設ける必要も無いので、連続的に、例えば同一ライン上で形成することが可能な、生産性の高いウレタンフォーム積層体を提供することができる。
【0009】
ここで、本発明のウレタンフォーム積層体は、前記第1ポリオール成分が、ポリオールを反応当量以下のイソシアネートで変性したOH末端変性ポリオールからなる末端変性プレポリマーであることが好ましい。第1ポリオール成分として末端変性プレポリマーを用いれば、未変性のポリオールを用いた場合と比較してイソシアネート成分との反応時の増粘(高分子量化)が早まるので、第1反応液中で発生した泡が第1反応液上に塗布された第2反応液の重み(圧力)により崩壊、潰れ、或いは変形を起こして第1ウレタンフォーム層の発泡構造が破壊されるのを防止することができる(見かけの形状保持性が高まる)からである。
【0010】
また、本発明のウレタンフォーム積層体は、前記第1反応液が、無機微粉末またはカーボンブラックを更に含むことが好ましい。無機微粉末またはカーボンブラックを添加して第1反応液にチクソトロピックな性質(チクソ性)を付与すれば、第1反応液中で発生した泡が第1反応液上に塗布された第2反応液の重み(圧力)により崩壊、潰れ、或いは変形を起こして第1ウレタンフォーム層の発泡構造が破壊されるのを防止することができるからである。また、上に塗布された第2反応液の重みで第1反応液が押し潰されることに起因する第1ウレタンフォーム層の厚みの変化を防止することができるからである。なお、本発明において、無機微粉末とはレーザー回折による粒子径測定(JIS Z8825−1)で測定した粒径が5nm〜50μmの無機物質からなる粒子を意味する。また、本発明においては、第1ポリオール成分として末端変性プレポリマーを用いると共に、第1反応液にチクソ性を付与することが特に好ましい。より顕著な形状保持性を得られるからである。
【0011】
更に、本発明のウレタンフォーム積層体は、前記第1反応液の反応性が、前記第2反応液の反応性より高いことが好ましい。第1反応液の反応性が高い場合、ウレタンフォーム積層体の下側に位置する第1ウレタンフォーム層が迅速に硬化、形成されるので、第1反応液中で発生した泡が第1反応液上に塗布された第2反応液の重み(圧力)により崩壊、潰れ、或いは変形を起こして第1ウレタンフォーム層の発泡構造が破壊されるのを防止することができるからである。なお、本発明において反応性が高いとは、ポリオール成分とイソシアネート成分とが反応を開始してから硬化するまでに要する時間が短いことを指す。
【0012】
ここで、本発明のウレタンフォーム積層体においては、加熱ヒーターを利用して前記第1反応液を硬化することが好ましい。加熱ヒーターを利用して第1反応液を迅速に硬化させれば、第1反応液中で発生した泡が第1反応液上に塗布された第2反応液の重み(圧力)により崩壊、潰れ、或いは変形を起こして第1ウレタンフォーム層の発泡構造が破壊されるのを防止することができるからである。
【0013】
また、本発明のウレタンフォーム積層体においては、前記第1反応液の発泡を、メカニカルフロス法で行うことが好ましい。メカニカルフロス法を用いた機械的発泡によれば、形成される第1ウレタンフォーム層を泡の強度が強い微発泡ウレタンフォーム層とすることができるからである。
【0014】
更に、本発明のウレタンフォーム積層体は、前記第2ウレタンフォーム層の密度が、前記第1ウレタンフォーム層の密度より低いことが好ましい。上側に位置する第2ウレタンフォーム層の密度が低ければ、第1ウレタンフォーム層の受ける重みが小さくなり、泡の崩壊、潰れ、或いは変形を防止することができるからである。なお、本発明において密度とはJIS K6401に準拠して測定した値を指す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、中間層や補強層が不要で、且つ、生産性の高いウレタンフォーム積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のウレタンフォーム積層体の製造方法の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のウレタンフォーム積層体を詳細に説明する。本発明のウレタンフォーム積層体は、第1ポリオール成分と、第1イソシアネート成分とを含む第1反応液を混合して発泡、硬化させた第1ウレタンフォーム層と、第2ポリオール成分と、第2イソシアネート成分とを含む第2反応液を混合して発泡、硬化させた第2ウレタンフォーム層とを備える。
【0018】
<ポリオール成分>
第1ポリオール成分および第2ポリオール成分としては、例えばエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸性分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。ここで、本発明のウレタンフォーム積層体においては、所要に応じて、第1ポリオール成分と第2ポリオール成分とを同一のポリオールとしても良いし、異なるポリオールとしても良い。
【0019】
なお、第1ポリオール成分としては、上述したようなポリオールを反応当量以下のイソシアネートで変性したOH末端変性ポリオールからなる末端変性プレポリマーが好ましく、特には、数平均分子量が5000〜30000の末端変性プレポリマーが好ましい。緩い網目構造を形成している末端変性プレポリマーはイソシアネート成分との反応時の増粘が早いからである。なお、変性に使用するイソシアネートには、後述のイソシアネート成分を用いることができる。また、粘度が高くなりすぎることを防止する観点からは、ポリオールの変性に用いるイソシアネートの量は、反応当量の0.1〜0.5倍であることが好ましく、反応当量の0.1〜0.3倍であることがより好ましい。
【0020】
<イソシアネート成分>
第1イソシアネート成分および第2イソシアネート成分としては、例えば芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体等を用いることができる。ここで、本発明のウレタンフォーム積層体においては、所要に応じて、第1イソシアネート成分と第2イソシアネート成分とを同一のイソシアネートとしても良いし、異なるイソシアネートとしても良い。
【0021】
<反応液>
第1反応液および第2反応液は、上述したポリオール成分とイソシアネート成分とを通常用いられる方法により混合して作製することができる。なお、反応液には、任意に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃剤や、硫酸バリウム等の制振効果を付与する比重の大きな無機物質などの通常用いられる添加剤を添加しても良い。
【0022】
ここで、第1反応液には、ガラスバルーン等の中空フィラー、コロイド状シリカ微粉末、アエロジル(商標)などの無機微粉末や、ケッチェンブラック等のカーボンブラックを添加してチクソ性を付与しても良い。ここで、不要な反応を防止する観点から、第1反応液は、無機微粉末またはカーボンブラックをポリオール成分と混合した後にイソシアネート成分と混合して作製することが好ましい。なお、中空フィラーおよびコロイドシリカ粒子の粒径は、好ましくは5〜50μmであり、アエロジル(商標)およびカーボンブラックの粒径は、好ましくは5〜50nmである。また、中空フィラーおよびコロイドシリカ粒子の添加量は、好ましくはポリオール成分100質量部に対して3〜10質量部であり、アエロジル(商標)およびカーボンブラックの添加量は、好ましくはポリオール成分100質量部に対して0.5〜2質量部である。
【0023】
また、本発明において、第1反応液の反応性は第2反応液の反応性より高いことが好ましい。従って、本発明のウレタンフォーム積層体は、第一級水酸基を有する低分子量の鎖延長剤または架橋剤を第1反応液に添加して、第1反応液の硬化反応性(樹脂化)を早めても良い。更に、本発明のウレタンフォーム積層体は、感温性の金属触媒またはアミンの金属塩、或いは、それらの混合物からなる硬化用触媒を第1反応液に添加しても良い。なお、上記鎖延長剤または架橋剤の添加量は所望のウレタンフォーム積層体の硬さに応じて調整することができ、例えば、ポリオール成分100質量部に対して2〜15質量部とすることができる。また、硬化用触媒の添加量も、同様にポリオール成分100質量部に対して0.1〜2質量部とすることができる。
【0024】
更に、本発明においては、第2ウレタンフォーム層の密度が第1ウレタンフォーム層の密度より低いことが好ましい。従って、本発明のウレタンフォーム積層体は、第2反応液に水などの化学的発泡剤を添加して、第1ウレタンフォーム層と第2ウレタンフォーム層との間の密度差を大きくしても良い。なお、水の添加量は、ポリオール成分100質量部に対して0.1〜0.3質量部とすることが好ましく、0.15〜0.25質量部とすることがより好ましい。水の添加量が多すぎる場合、発生する炭酸ガスの圧力により発泡構造が乱れ易く、均一且つ軽量なウレタンフォーム層を形成することができないからである。また、第1ウレタンフォーム層および第2ウレタンフォーム層の密度は、100〜200kg/mとすることが好ましいが、該密度は前記範囲に限定されることなくウレタンフォーム積層体の用途により変化させることができ、例えば、第1ウレタンフォーム層の密度を600kg/m、第2ウレタンフォーム層の密度を100kg/mとすることができる。
【0025】
なお、反応液に対する上述した添加物の添加は、予めポリオール成分またはイソシアネート成分に添加物を混合しておくことにより達成しても良いし、ポリオール成分とイソシアネート成分との混合物に添加物を添加することにより達成しても良いが、不要な反応を防止する観点から、予めポリオール成分に添加物を混合しておくことにより達成することが好ましい。そして、上述の反応液は、メカニカルフロス法などの既知の発泡方法を用いて発泡させることができる。
【0026】
<ウレタンフォーム積層体>
本発明のウレタンフォーム積層体は、上述した第1反応液および第2反応液を用いて、例えば以下のようにして製造することができる。ここで、図1は、本発明のウレタンフォーム積層体の製造方法の一例を説明する説明図である。
【0027】
図1に示す製造方法においては、ウレタンフォーム積層体17は、下面工程紙供給ロール1より供給される下面工程紙2上に形成される。ここで、工程紙には、例えば厚さ100μm程度のシリコンコートされた耐熱工程紙または剥離性のあるPETフィルム等を用いることができる。
【0028】
具体的には、まず、下面工程紙供給ロール1より供給される下面工程紙2上に、第1の機械的発泡装置3から発泡させた第1反応液4を供給し、ナイフコーター5で厚みだしを行う。そして、硬化後に所望の厚みの第1ウレタンフォーム層15が得られるようにナイフコーター5で厚みを調整された第1反応液4に対し、両面ホットプレートの加熱ヒーター6を用いて第1反応液4の反応性に応じた温度、例えば50〜100℃で加熱を行い、第1ウレタンフォーム層15の概略の厚みを設定する。なお、この時点では第1反応液4は完全には硬化していないが、その厚みは第1ウレタンフォーム層15の目標設定厚みとほぼ等しくなっている。
【0029】
次に、未だ完全には硬化していない第1反応液4上に、第2の機械的発泡装置8から発泡させた第2反応液9を供給すると共に、供給された第2反応液9に対してエアーブローシステム7で側面からエアーブローを行い、第2反応液9が第1反応液4の流れに対して過度な滞留を起こすことなく、全面に塗布されるようにする。そして、第1反応液4上に塗布された第2反応液9に対し、ナイフコーター10で厚みだしを行い、硬化した第2反応液が所望厚みの第2ウレタンフォーム層16となるようにする。
【0030】
その後、任意に、第2反応液9上に上面工程紙供給ロール12から上面工程紙11を供給し、両面ホットプレートの加熱ヒーター13を用いて第2反応液9の反応性に応じた温度、例えば50〜100℃で加熱を行い、第2ウレタンフォーム層16の概略の厚みを設定する。
【0031】
そして、最後に、未だ完全には硬化していない、第1反応液4上に第2反応液9を塗布してなるシート状の積層体14について、キュア炉18内で硬化を完結させ、第1ウレタンフォーム層15上に第2ウレタンフォーム層16を直接的に積層、一体化したウレタンフォーム積層体17とする。
【0032】
ここで、上述の製造方法において、機械的発泡装置3,8にはメカニカルフロス方式の既知の発泡装置を用いることができ、その機械的発泡装置3,8からの反応液の供給量は、ウレタンフォーム層の所望密度、目標厚みにより決定することができる。例えば、第1の機械的発泡装置3は供給量1〜3kg/分、回転数800〜1200rpmで運転し、第2の機械的発泡装置8は供給量0.3〜1kg/分、回転数1000〜1500rpmで運転することができる。また、上面工程紙11は、水などの化学的発泡剤を使用しない場合には省略することができる。更に、製造したウレタンフォーム積層体を靴の中敷等として使用する場合には、上面工程紙11の代わりに、或いは、上面工程紙11と第2反応液9との間に織布または不織布を配設して、表皮の付いた積層体14を製造しても良い。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
(水酸基末端変性ポリオールAの調製)
ポリオール(分子量:5000、官能基数:3)100質量部に対し、反応当量の1/4に相当する量のウレタン変性MDI2.74質量部を添加し、常法に従い温度75℃で10時間処理して末端変性プレポリマーとしての水酸基末端変性ポリオールAを得た。
【0035】
(実施例1)
下記の配合処方にて、第1反応液および第2反応液を調製した。
[第1反応液]
・水酸基末端変性ポリオールA ・・・・・・・・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・ 16質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・ 4質量部
・金属系触媒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・感温性アミン系金属塩 ・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・79.9質量部
・コロイド状シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・ 8質量部
・黒顔料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2質量部
[第2反応液]
・ポリオール(分子量:5000、官能基数:3) ・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・・・ 7質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・・・ 4質量部
・金属系触媒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・・・43.9質量部
【0036】
調製した第1反応液および第2反応液を用いて、上述した製造方法に従いウレタンフォーム積層体を作製した。具体的には、2つの機械的発泡装置を用いて第1反応液の上に第2反応液を連続的に塗布し、黒白2層構造で厚さが6mm(第1ウレタンフォーム層:3mm、第2ウレタンフォーム層:3mm)のウレタンフォーム積層体を作製した。そして、作製したウレタンフォーム積層体について、密度、硬度、泡の大きさ(セルサイズ)を、後述する方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例2)
下記の配合処方にて、第1反応液および第2反応液を調製した。
[第1反応液]
・水酸基末端変性ポリオールA ・・・・・・・・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・ 13質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・ 2質量部
・金属系触媒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・感温性アミン系金属塩 ・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・70.5質量部
・中空ガラスバルーン ・・・・・・・・・・・・・・ 8質量部
・黒顔料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2質量部
[第2反応液]
・ポリオール(分子量:5000、官能基数:3) ・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・・・ 8質量部
・架橋剤(低分子量トリオール) ・・・・・・・・・・ 5質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・・・ 4質量部
・感温性アミン系金属塩 ・・・・・・・・・・・・・・・0.3質量部
・水(発泡剤) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.25質量部
・中空ガラスバルーン ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5質量部
・コロイド状シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・・・65.0質量部
【0038】
調製した第1反応液および第2反応液を用いて、実施例1と同様にして、黒白2層構造で厚さが6mm(第1ウレタンフォーム層:2mm、第2ウレタンフォーム層:4mm)のウレタンフォーム積層体を作製した。そして、作製したウレタンフォーム積層体について、密度、硬度、泡の平均径(セルサイズ)を、後述する方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例3)
下記の配合処方にて、第1反応液および第2反応液を調製した。
[第1反応液]
・水酸基末端変性ポリオールA ・・・・・・・・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・ 16質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・ 4質量部
・金属系触媒 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・感温性アミン系金属塩 ・・・・・・・・・・・・・0.1質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・79.9質量部
・コロイド状シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・ 8質量部
・黒顔料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2質量部
[第2反応液]
・ポリオール(分子量:5000、官能基数:3) ・・・100質量部
・鎖延長剤(低分子量ジオール) ・・・・・・・・・・・ 8質量部
・整泡剤(ジメチルシロキサン) ・・・・・・・・・・・ 3質量部
・感温性アミン系金属塩 ・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
・ポリオレフィンパウダー(PE 平均粒径50μm)・・・ 10質量部
・ウレタン変性MDI ・・・・・・・・・・・・・・・48.2質量部
【0040】
調製した第1反応液および第2反応液を用いて、実施例1と同様にして、黒白2層構造で厚さが6mm(第1ウレタンフォーム層:3mm、第2ウレタンフォーム層:3mm)のウレタンフォーム積層体を作製した。そして、作製したウレタンフォーム積層体について、密度、硬度、泡の平均径(セルサイズ)を、後述する方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(密度の測定)
JIS K6401に準拠して測定した。
【0042】
(硬度の測定)
アスカーC硬度を、高分子計器社製TypeC硬度計を用いて測定した。具体的には、硬度計の端子を圧着してから5秒後の数値を硬度とした。
【0043】
(セルサイズの測定)
ウレタンフォーム層をキーエンス社製VHX Digital Microscopeにて100倍に拡大し、実測した。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例1〜3より、本発明のウレタンフォーム積層体によれば、中間層や補強層が不要で、且つ、生産性の高いウレタンフォーム積層体を提供することができることが分かる。
【0046】
(ウレタンフォーム積層体の熱成形性)
実施例1および実施例3で得られたウレタンフォーム積層体を用いて、ウレタンフォーム積層体の熱成形性を確認した。具体的には、成形テスト機(エアープレス機、凹凸型、スペーサー2mm)にウレタンフォーム積層体を設置し、プレス荷重(エアープレス)5kg/mで、プレヒート温度および成形型温度を変化させて熱成形性を評価した。より具体的には、プレス後のウレタンフォーム層に関し、冷却後に形状を保持できるか否かをA〜Dの4段階で評価した(A>B>C>D、Aが最も熱成形性が良い)。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
表2より、実施例3のウレタンフォーム積層体には、ポリオレフィンパウダーの添加により賦形性が付与されていることが明らかとなった。従って、実施例3で作製したウレタンフォーム積層体を用いれば、成型されていない第1ウレタンフォーム層の上に凹凸形状を持った第2ウレタンフォーム層が形成された積層品を得ることが可能であることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0049】
1 下面工程紙供給ロール
2 下面工程紙
3 機械的発泡装置
4 第1反応液
5 ナイフコーター
6 加熱ヒーター
7 エアーブローシステム
8 機械的発泡装置
9 第2反応液
10 ナイフコーター
11 上面工程紙
12 上面工程紙供給ロール
13 加熱ヒーター
14 積層体
15 第1ウレタンフォーム層
16 第2ウレタンフォーム層
17 ウレタンフォーム積層体
18 キュア炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポリオール成分と、第1イソシアネート成分とを含む第1反応液を混合して発泡、硬化させた第1ウレタンフォーム層と、
第2ポリオール成分と、第2イソシアネート成分とを含む第2反応液を混合して発泡、硬化させた第2ウレタンフォーム層と、
を備えるウレタンフォーム積層体であって、
前記第2ウレタンフォーム層は、前記第1ウレタンフォーム層を形成する形成面に塗布した前記第1反応液の硬化中に、当該第1反応液上に前記第2反応液を塗布することで、前記第1ウレタンフォーム層と一体的に形成されていることを特徴とする、ウレタンフォーム積層体。
【請求項2】
前記第1ポリオール成分が、ポリオールを反応当量以下のイソシアネートで変性したOH末端変性ポリオールからなる末端変性プレポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のウレタンフォーム積層体。
【請求項3】
前記第1反応液が、無機微粉末またはカーボンブラックを更に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のウレタンフォーム積層体。
【請求項4】
前記第1反応液の反応性が、前記第2反応液の反応性より高いことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のウレタンフォーム積層体。
【請求項5】
加熱ヒーターを利用して前記第1反応液を硬化することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のウレタンフォーム積層体。
【請求項6】
前記第1反応液の発泡を、メカニカルフロス法で行ったことを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載のウレタンフォーム積層体。
【請求項7】
前記第2ウレタンフォーム層の密度が、前記第1ウレタンフォーム層の密度より低いことを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載のウレタンフォーム積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2010−221585(P2010−221585A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72552(P2009−72552)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】