説明

エアバッグドア部を有する車両用内装部材、その製造方法、および製造装置

深さ等の測定が容易であるとともに、表面側からは認識することができない破断予定線を形成したインビジブルタイプのエアバッグドア部を有する車両用内装部材、その製造方法、および製造装置を提供する。表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材、その製造方法において、当該表皮の裏面であって、車両エアバッグを配置する相当部分に、深さが表皮の表面まで至らず、表皮を裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になる破断予定線を形成するとともに、破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する。また、そのようなエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置において、表皮を実質的に平らに載置するための支持台と、表皮に破断予定線を形成するための加工刃と、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するための測定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、車両エアバッグを搭載したステアリングやインストルメントパネル等に使用されるエアバッグドア部を有する車両用内装部材、その製造方法、および製造装置に関する。特に、破断予定線の深さまたは残部の厚さの測定が容易であるとともに、表面側からは認識することができない破断予定線を形成したインビジブルタイプのエアバッグドア部を有する車両用内装部材(以下、単に車両用内装部材と称する場合がある。)、その製造方法、および製造装置に関する。
【背景技術】
従来、エアバッグを展開させるためのエアバッグドアを一体に設けたステアリングや、インストルメントパネルは、その表面側に、しぼ加工等の立体装飾が施されたエアバッグドア部を有する車両用内装部材を有していた。そして、かかるエアバッグドア部を有する車両用内装部材のエアバッグドアに相当する位置に、エアバッグの展開力によって、エアバッグドアが確実に開くように、薄肉部としての破断予定線(ティアラインや開裂線等と称する場合がある。)を設けておく必要があった。また、エアバッグドア部を有する車両用内装部材における立体装飾を損なわせないために、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の裏側に破断予定線を形成し、表面側からは認識することができないインビジブルタイプが望まれていた。
そこで、インビジブルタイプの破断予定線を、表皮の裏側から形成するにあたって、レーザーカッター、高周波カッター、超音波カッター、加熱刃等の加熱切断治具が使われていた。そして、特開2000−95056号公報には、図21に示すように、これらの加熱切断治具によって、エアバッグドア部を有する車両用内装部材を熱損傷させやすいために、櫛状の加熱した加工刃を使用することが開示されている。
また、特開閉6−218811号公報には、図22に示すように、熱可塑性プラスチックからなるシート状表皮211に溝を形成するにあたり、溝形状に対応した形状の押圧部材241をシート状表皮211に所定力で押付けながら超音波を付与して溶融させる方法が開示されている。
また、インビジブルタイプのエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法として、特開2000−351335号公報には、図23に示すように、エアバッグリッド部を有する表皮262を裏返してセット可能な薄肉加工用受台265と、薄肉加工用受台265にセットされた表皮の上方に配置されるガイド体267に形成された開裂線加工用ガイド溝266に沿って表皮を切削可能な切削工具270と、を備えた製造方法が開示されている。
さらに、特開2000−159047号公報には、図24に示すように、エアバッグドアを有する車室側部材のための表皮を真空成形する際、表皮用シート221を加熱軟化させて真空成形型223に吸引することによって賦形し、真空成形型223に吸引保持した状態で表皮用シートのエアバッグドアに対する表皮221の開裂予定部222の形成位置を加工刃227で押圧して、溝状の開裂予定部222を形成する製造方法も開示されている。
しかしながら、特開2000−95056号公報に記載された櫛状の加熱した加工刃を用いた破断予定線の形成にあっては、連続線を形成することができずに、例えば、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の厚さ等がばらついた場合に、エアバッグの展開する力によって、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の下方に位置するエアバッグドアを確実に開くように構成することが困難であった。また、特開2000−95056号公報等に記載された櫛状の加熱した加工刃であっても、依然として刃先の熱容量が大きいために、その周辺にまで熱の影響が少なからず及びやすいという問題が見られた。したがって、表皮の厚みが比較的薄い場合には、破断予定線の存在が表面側から判別できることになり、しぼ加工等の立体装飾性が低下しやすいという問題があった。さらに、破断予定線の深さを光学式の膜厚測定装置により測定するためには、比較的大きな面積からなる櫛状の加熱した加工刃を使用しなければならなかった。
また、特開閉6−218811号公報に記載された溝(破断予定線)の形成にあっては、溶融した熱可塑性プラスチックが、溝の周辺に溜まって、凹凸を生じるという問題が見られた。したがって、表皮の厚みが比較的薄い場合には、破断予定線の存在が表面側から判別できることになり、しぼ加工等の立体装飾性が低下しやすいという問題があった。また、裏面に生じた凹凸のために、下層としての発泡層との間の密着性が低下するという問題も見られた。さらに、溝の深さを光学式の膜厚測定装置により測定するためには、比較的大きな面積からなる押圧部材を使用しなければならず、ますます精度良く、かつインビジブル性(非視認性)に優れたエアバッグドア部を有する車両用内装部材を提供することは困難であった。
また、特開2000−351335号公報に記載された開裂線(破断予定線)の形成にあっては、薄肉加工用受台によって、表皮の裏面が凹状になるように湾曲させるため、開裂線を形成した後に表皮を平坦化すると、開裂線を含む表皮の裏面に大きな凹凸が形成されており、発泡層等と均一に形成することが困難であるという問題が見られた。また、開裂線を形成した後に表皮を平坦化すると、開裂線が形成された部分が開かれた状態となるために、表皮の表面側からのインビジブル性(非視認性)に劣るという問題も見られた。
さらに、特開2000−159047号公報に記載された開裂予定部(破断予定線)の形成にあっては、真空成形型に吸引保持した状態で、表皮用シートのエアバッグドアに対する表皮の開裂予定部の形成位置を作成するため、表皮用シートの位置がずれることは少ないものの、表皮用シートが加熱軟化しているために、室温に戻した後に、開裂予定部の形成位置を正確に制御することは困難であった。また、開裂予定部を形成した後に表皮を平坦化すると、開裂予定部を含む表皮の裏面に大きな凹凸が形成されており、インビジブル性に劣り、発泡層等と均一に形成することも困難であるという問題が見られた。また、特開2000−159047号公報に記載された開裂予定部にあっては、その深さを光学式の膜厚測定装置により測定するためには、比較的幅が大きい溝状の開裂予定部を形成しなければならなかった。
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両におけるステアリングや、インストルメントパネル等におけるエアバッグ展開部分を表面側から認識することができず、しかも、破断予定線の深さを光学式の膜厚測定装置によって容易かつ精度良く測定することができるエアバッグドア部を有する車両用内装部材、その製造方法、および製造装置を提供することにある。
【発明の開示】
[1] 本発明によれば、成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材であって、当該表皮の裏面であって、車両エアバッグを配置する相当部分に、表皮の表面までは至らない破断予定線を設けるとともに、当該破断予定線が、表皮を裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になるエアバッグドア部を有する車両用内装部材が提供される。
このように構成することにより、エアバッグドア部を有する車両用内装部材を裏面が凸状になるように湾曲させた場合にのみ、表皮に形成された破断予定線が実質的にV溝状になるため、インビジブル性に優れ、かつ、エアバッグの所望の展開力でもって、容易かつ確実に展開可能なエアバッグドア部を有する車両用内装部材を提供することができる。また、このような破断予定線であれば、裏面が凸状になるように湾曲させた場合には実質的にV溝状になるため、光学式の膜厚測定装置、例えば、レーザ方式や赤外線方式の膜厚測定装置によって、破断予定線の深さを容易かつ精度良く測定することができる
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材を構成するにあたり、表皮を平坦化した場合には、破断予定線を含む表面(表皮の裏面)が、実質的に平坦となることが好ましい。
[2] また、本発明の別の態様によれば、成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法であって、下記工程(A)〜(C)を順次に含むことを特徴としている。
(A)表皮を、支持台上に、実質的に平らに載置する工程
(B)加工刃によって、表皮の表面まで至らない深さを有する破断予定線を形成する工程
(C)破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する工程
このように実施することにより、車両用内装部材を実質的に平らな状態に保持して、破断予定線を形成するため、深さまたは残部の厚さが全体的に均一である破断予定線を精度良くかつ迅速に形成することができる。したがって、インビジブル性に優れ、かつ、エアバッグの所望の展開力でもって、容易かつ確実に展開可能なエアバッグドア部を有する車両用内装部材を効率的に提供することができる。また、破断予定線の切り口を開いた状態で、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するため、膜厚測定装置、例えば、レーザ方式や赤外線方式の膜厚測定装置によって、迅速かつ精度良く測定することができる。
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を実施するにあたり、工程(C)において、支持台に備えられた突起物を所定高さまで上昇させて、表皮を下方から押圧することにより、破断予定線の切り口を開かせることが好ましい。
[3] また、本発明のさらに別の態様によれば、成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴としている。
(a)表皮を裏面が凸状になるように部分的または全体的に湾曲させる工程
(b)加工刃によって、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の表面まで至らない深さの破断予定線を形成する工程
(c)破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する工程
このように実施することにより、インビジブル性に優れ、かつ、エアバッグの所望の展開力でもって、容易かつ確実に展開可能なエアバッグドア部を有する車両用内装部材を効率的に提供することができる。また、破断予定線の切り口を開いた状態で、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するため、膜厚測定装置、例えば、レーザ方式や赤外線方式の膜厚測定装置によって、迅速かつ精度良く測定することができる。
[4] また、本発明のさらに別の態様によれば、成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置であって、表皮を実質的に平らに載置するための支持台と、表皮に破断予定線を形成するための加工刃と、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するための測定手段とを備えるとともに、破断予定線の切り口を開いた状態で、当該測定手段により、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置が提供される。
このように構成することにより、車両用内装部材を実質的に平らな状態に保持して、破断予定線を形成するため、深さまたは残部の厚さが全体的に均一である破断予定線を精度良くかつ迅速に形成することができる。したがって、インビジブル性に優れ、かつ、エアバッグの所望の展開力でもって、容易かつ確実に展開可能なエアバッグドア部を有する車両用内装部材を効率的に提供することができる。また、かかる製造装置によれば、破断予定線の切り口を開いた状態で、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するため、膜厚測定装置、例えば、レーザ方式や赤外線方式の膜厚測定装置によって、迅速かつ精度良く測定することができる。
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置を構成するにあたり、加工刃の高さ位置を検知するための位置検知手段を備えることが好ましい。
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置を構成するにあたり、加工刃の状態を検知するための状態検知手段を備えることが好ましい。
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置を構成するにあたり、支持台に、表皮を固定するための吸引部を備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1(a)および(b)は、第1の実施形態のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の断面図である。
図2(a)〜(c)は、パウダースラッシュ成形法を説明するために供する図である(その1)。
図3(a)〜(c)は、パウダースラッシュ成形法を説明するために供する図である(その2)。
図4は、シート状物の例を示す斜視図である(その1)。
図5は、シート状物の例を示す斜視図である(その2)。
図6(b)は、表皮を平坦化した場合の破断予定線の状態を説明するために供する図であり、図6(a)は、破断予定線の切り口を開いた状態を説明するために供する図である。
図7(a)は、破断予定線の形状(両端逆矢印状)を説明するために供する図であり、図7(b)は、別の破断予定線の形状(H文字状)を説明するために供する図であり、図7(c)は、さらに別の破断予定線の形状(両端逆アーク状)を説明するために供する図である。
図8(a)〜(c)は、図7(a)〜(c)の破断予定線の切り口を開くために使用する突起物を説明するために供する図である(その1)。
図9(a)〜(f)は、第2の実施形態のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である。
図10(a)〜(f)は、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の別の製造方法を説明するために供する図である。
図11は、膜厚の測定システムを説明するために供する図である。
図12は、膜厚の別の測定システムを説明するために供する図である。
図13(a)〜(e)は、第3実施形態のエアバッグドアを有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その1)。
図14(a)〜(d)は、第3実施形態のエアバッグドアを有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その2)。
図15は、第4の実施形態のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置の斜視図である。
図16(a)〜(c)は、図7(a)〜(c)の破断予定線の切り口を開くために使用する突起物を説明するために供する図である(その2)。
図17(a)〜(f)は、突起物の形状を説明するために供する図である。
図18(a)〜(f)は、突起物の形状の変形例を説明するために供する図である。
図19(a)〜(b)は、加工刃の状態を検知する方法を説明するために供する図である。
図20(a)〜(c)は、膜厚測定装置により膜厚を測定する際の破断予定線を含む表皮の断面図を示す図である。
図21は、従来のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その1)。
図22は、従来のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その2)。
図23は、従来のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その3)。
図24は、従来の別のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法を説明するために供する図である(その4)。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、図面を適宜参照しつつ、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置およびそれを用いた製造方法に関する実施形態を具体的に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)および(b)に例示するように、成形加工された表皮11を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材10であって、当該表皮11の裏面Aであって、車両エアバッグ21を配置する相当部分12に、表皮11の表面Bまで至らない深さの破断予定線17を設けるとともに、当該破断予定線17が、表皮11の裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になることを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材10である。
なお、以下の説明において、図1に例示するエアバッグドア部を有する車両用内装部材におけるエアバッグを収容する機能を有する基材および発泡層以外の表面シートを、単に表皮と称する場合があり、あるいは、図1に例示するエアバッグドア部を有する車両用内装部材の全体を指して、単に表皮と称する場合がある。
1.エアバッグドア部を有する車両用内装部材
(1)種類
エアバッグドア部を有する車両用内装部材における成形加工された表皮の種類は特に制限されるものではないが、例えば、成形加工されたシート状物や自動車部品等の成形品の外形に沿った立体物であることが好ましい。そして、成形加工された表皮は、装飾加工されていることが好ましく、例えば、表面にしぼ加工やエンボス模様等の表面凹凸を備えたり、模様、文字、記号等が印刷されたり、あるいは、表面研磨して、平滑性を向上させてあることが好ましい。
また、成形加工された表皮は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂から構成してあることが好ましいが、その種類についても特に制限されるものでは無い。ただし、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の実際の使用環境を考慮した場合、70℃以上の比較的高い温度であっても優れた機械的強度を保持するとともに、0℃以下の低温状態であっても、優れたしなやかさや手触り性を保持できることから、熱可塑性ウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンエラストマー、熱可塑性ナフタレンエラストマー、熱可塑性オレフィンエラストマー等の熱可塑性エラストマーを使用することがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の種類に関して、図2(a)〜(c)および図3(a)〜(c)に示すようなパウダースラッシュ成形により成形可能な樹脂、例えば、上述した熱可塑性エラストマーや、Bステージのエポキシ樹脂、さらには塩化ビニル樹脂を使用することも好ましい。
この理由は、成形加工された表皮を作成するにあたり、パウダースラッシュ成形が可能であれば、車両用途の大型であって、かつ複雑な形状の表皮を、容易かつ精度良く形成することができるためである。
なお、パウダースラッシュ成形する際には、使用する樹脂中に、ゼオライトや炭酸カルシウム等の無機物を、例えば、全体量に対して、0.1〜30重量%の範囲で添加したパウダー樹脂を使用することが好ましい。この理由は、所定量の無機物を添加することにより、パウダー樹脂の分散性が向上するとともに、成形された表皮に対する装飾加工性が著しく向上するためである。
(2)形態
また、エアバッグドア部を有する車両用内装部材における表皮の形態についても特に制限されるものではないが、例えば、図4(a)に示すようなインフロントパネル、図4(b)に示すようなドア、図4(c)に示すようなイス、図5(a)に示すようなコンソールボックス、図5(b)に示すようなバンパー等の車両部品に用いられる表皮であっても良い。
また、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の変形例として、上述した表皮と、金属部品、セラミック部品、ガラス部品、紙部品、木部品等との組み合わせからなる複合構造体であることも好ましい。
(3)厚さ
また、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の表皮において、その厚さについても特に制限されるものでは無いが、例えば、0.5〜5mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる表皮の厚さが0.5mm未満となると、破断予定線の形成が困難になったり、あるいは、インビジブル性が低下したりする場合があるためである。また、かかる表皮の厚さが5mmを超えると、エアバッグの展開力が発生した場合に、エアバッグドアを確実に開くことが困難になる場合があるためである。
したがって、エアバッグドア部を有する車両用内装部材における表皮の厚さを0.7〜3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.9〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)積層体
また、エアバッグドア部を有する車両用内装部材に関して、図1(a)および(b)に示すように、表皮11の裏側Aに、発泡層13と、エアバッグ21を収容するための基材15であって、エアバッグ21の展開力が発生した場合に開口するエアバッグドア18に沿って、薄肉部19が設けられた基材15と、を備えた積層体として構成することが好ましい。
この理由は、表皮の裏側の発泡層によって、優れた立体装飾性や手触り性が得られるばかりか、エアバッグの展開力が発生した場合には、発泡層が比較的柔らかいために、発泡層を介して、表皮が容易に破断して、エアバッグドアを確実に開くことができるためである。また、このようにエアバッグを収容するとともに、エアバッグドアに沿って薄肉部が設けられた特定の基材を備えることにより、エアバッグの収容性が向上するとともに、エアバッグの展開力が発生した場合に、エアバッグドアをさらに確実に開くことができるためである。
2.破断予定線
(1)配置および形態
破断予定線の配置(形成位置)に関して、図1(a)および(b)に示すように、表皮11の裏面Aに設けることを特徴とする。すなわち、破断予定線17が表皮11の表面に位置しないことにより、エアバッグドア部を有する車両用内装部材10における所定のインビジブル性を確保するためである。
また、破断予定線の形態に関して、図6(a)に示すように、表皮11を裏面Aが凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になることを特徴とする。
すなわち、一時的であっても、湾曲によってV溝状にできるため、光学式の膜厚測定装置によって、破断予定線の深さを容易かつ精度良く測定するためである。
また、破断予定線の形態に関して、図6(b)に示すように、表皮11を平坦化した場合には、破断予定線17を含む表皮11の裏面Aが、実質的に平坦となることが好ましい。
この理由は、表皮の裏面が、通常の使用状態であれば、破断予定線に起因した凹凸が生じることなく、実質的に平坦であることから、発泡層や基材を積層した場合であっても、積層工程が容易になるばかりか、表皮の裏面と、発泡層や基材との間で、優れた密着力を得ることができる。
なお、表皮の裏面における平坦性の目安として、例えば、指触試験を実施して、凹凸が感じられない程度であることが好ましい。
(2)形状
また、破断予定線の形状(パターン)に関して、一つ以上の直線およびそれに垂直方向または斜め方向に交わる直線または曲線から構成してあることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、破断予定線の形成が容易になるばかりか、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアを確実に開くことができるためである。
また、具体的に、直線や曲線を組み合わせて、図7(a)に示すように、両端逆矢印状とするか、図7(b)に示すように、全体として、H文字状とするか、図7(c)に示すように、両端逆アーク状とすることが好ましい。
この理由は、図7(a)に示すように両端逆矢印状であれば、一つ以上の水平な直線および斜線のみを利用しているため、再現性良く、かつ容易に破断予定線を形成することができるとともに、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアをより確実に開くことができるためである。また、図7(b)に示すようにH文字状であれば、一つの水平な直線およびそれに垂直方向に交わる直線のみを利用しているため、再現性良く、かつ容易に破断予定線を形成することができるとともに、破断予定線に沿って、エアバッグドアを確実に開くことができるためである。さらに、図7(c)に示すように両端逆アーク状であれば、一つの水平な直線および二つの半円弧曲線からなる破断予定線に沿って、エアバッグドアをさらに確実に開くことができるためである。
なお、図7(a)〜(c)に示すような破断予定線の形状(パターン)とするには、図8(a)〜(c)に示すようなパターン化された突起物を用いることが好ましい。
(3)深さ
また、破断予定線の深さは、エアバッグドアの開閉性やインビジブル性のバランス、あるいは機械的強度等を考慮して定めることが好ましいが、例えば、0.1〜1mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる破断予定線の深さが、0.1mm未満の値になると、エアバッグドアの開閉性が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる破断予定線の深さが、1mmよりも大きくなると、インビジブル性が低下したり、表皮の機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、破断予定線の深さを0.2〜0.8mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.7mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、破断予定線の深さに関して、表皮の厚みを考慮して定めることも好ましい。すなわち、表皮の厚みをt1(mm)とし、破断予定線の深さをt2(mm)としたときに、t1×0.3<t2<t1×0.7の関係を満足することが好ましい。
この理由は、破断予定線の深さt2の値が、t1×0.3よりも小さくなると、エアバッグドアの開閉性が著しく低下する場合があるためである。一方、破断予定線の深さt2の値が、t1×0.7よりも大きくなると、インビジブル性が低下したり、表皮の機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、破断予定線の深さに関して、t1×0、4<t2<t1×0.6の関係を満足することがさらに好ましい。
(4)幅
また、破断予定線の幅は、図6(a)に示すように、表皮11の裏面Aが凸状になるように湾曲させた場合には、実質的にV溝状になるような値であって、図6(b)に示すように、表皮11を平坦化した場合には、破断予定線17を含む表皮11の裏面Aが、実質的に平坦となるような値であることが好ましい。
したがって、かかる破断予定線の幅を、例えば、0.005〜0、2mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.01〜0.1mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.08mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図9(a)〜(f)に例示するように、成形加工された表皮11を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法であって、下記工程(A)〜(C)を順次に含むことを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法である。
(A)表皮11を、支持台31上に、実質的に平らに載置する工程
(B)加工刃35によって、表皮11の表面まで至らない深さを有する破断予定線17を形成する工程
(C)破断予定線17の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する工程
なお、第2の実施形態において使用するエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置は、後述する第4の実施形態で説明するものと同様の製造装置であるため、ここでの説明を省略する。
1.準備工程
第2の実施形態にかかる工程(A)を実施するに先立ち、エアバッグドア部を有する車両用内装部材における表皮を準備することが好ましい。すなわち、これらの表皮は、第1の実施形態で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
2.工程(A)
第2の実施形態にかかる工程(A)は、図9(a)および(b)に示すように、成形加工された表皮11を、支持台31上に、実質的に平らに載置する工程である。
例えば、図9(a)に示すように、実質的に平坦化されているとともに、上下動式の所定高さを有する突起物33を備えた支持台31を準備した後、図9(b)に示すように、表皮11の表面Bを下方に向けて、すなわち、表皮11の裏面Aを上方に向けて、突起物33を備えた支持台31上に載置することが好ましい。
また、表皮を載置した後、表皮の表面側から、吸引孔を介して、真空ポンプ等を用いて吸引することが好ましい。この理由は、表皮をこのように吸引することにより、複雑な形状の表皮や大型の表皮であっても、所望の位置に仮固定することができるためである。また、表皮をこのように吸引することにより、破断予定線を形成する際に、表皮がずれてしまい、破断予定線の形成精度が低下することを有効に防止することができるためである。さらに、機械的固定法と異なり、表皮に対する吸引を止めることにより、表皮を速やかに移動させることも可能になるためである。
また、表皮11の固定方法として、図10に示すように、表皮の裏面側にカバー材65を用いることも好ましい。
この理由は、このように実施することにより、表皮に破断予定線を形成する際に、所定場所以外を切断するおそれが少なくなり、表皮に破断予定線を形成する工程を精度良くかつ、迅速に実施することができる。
なお、カバー材は、金属等から成形してあり、所定箇所に開口部を備えていることが好ましい。
3.工程(B)
第2の実施形態にかかる工程(B)は、図9(c)に示すように、表皮11の裏面Aに、加工刃35によって、表面まで至らない深さの破断予定線17を形成する工程である。ここで、加工刃としては、インビジブル性に優れたエアバッグドア部を有する車両用内装部材を得られるとともに、安価であることから、カッターまたはカミソリ等を使用することが好ましい。
ただし、本発明の製造方法によれば、表皮を変形させた状態で切断することから、加熱切断治具を使用しても、比較的精度良く、かつ平坦に形成することができることから、レーザーカッター、高周波カッター、超音波カッター、加熱刃等の加熱切断治具を単独使用するか、あるいは非加熱切断治具とともに併用することも好ましい。
また、工程(B)の実施前および実施後、あるいはどちらか一方において、加工刃の状態を検査することが好ましい。
この理由は、破断予定線の形成前に加工刃の状態を検査することにより、表皮に形成する破断予定線の深さまたは残部の厚さを、より正確に制御することができるためである。また、破断予定線の形成後に加工刃の状態を検査することにより、刃先に損傷が検知された場合には、装置の動作を停止して、刃を交換することができるためである。
また、工程(B)において、加工刃を使用して破断予定線を形成する場合には、かかる加工刃の温度管理をすることが好ましい。すなわち、加工刃の温度が使用中に過度に上昇する場合があるが、そうなると、破断予定線を精度良くかつ迅速に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、加工刃の温度を0〜50℃の範囲内の値とすることが好ましく、10〜40℃の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜35℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる加工刃の温度は、熱伝体等を用いて直接的にモニターすることも好ましいが、赤外線温度計等を用いて、非接触状態で測定することも好ましい。
4.工程(C)
第2の実施形態にかかる工程(C)は、図9(e)および(f)に示すように、表皮11の裏面Aにおける破断予定線17を実質的に頂点として、表皮11を変形させ、かかる破断予定線17の切り口を開いた状態に保持したままで、破断予定線17の深さまたは残部の厚さを測定する工程である。
例えば、図9(e)に示すように、支持台31上の表皮11の表面B側(破断予定線の背面側)から、破断予定線17が形成された部分に対して、上下動式の突起物33を押圧し、表皮11に形成された破断予定線17の切り口を開くとともに、図9(f)に示すように、膜厚測定装置39によって、破断予定線17の深さまたは残部の厚さを測定する工程である。
すなわち、このように破断予定線の切り口を開いた状態で、破断予定線の深さ等を測定することにより、車両用内装部材のインビジブル性を向上させるべく、破断予定線の幅を狭くしたり、深さを短くしたりした場合であっても、破断予定線の深さまたは残部の厚さを、容易かつ確実に測定することができるためである。
なお、図11および図12に、破断予定線の深さ等を測定する測定システムとしての一例(レーザ光による測定システム)を示す。
また、破断予定線の深さまたは残部の厚さの測定方法に関して、少なくとも2箇所以上で測定することが好ましく、3箇所以上で測定することがより好ましい。この理由は、このように複数箇所で膜厚を測定することにより、成形加工された表皮の厚さが多少不均一な場合であっても、平均化した数値が得られるためである。したがって、全体的に均一な膜厚の破断予定線を形成することができ、そのため、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアを確実に開くことができる。
なお、表皮に破断予定線を形成する前段階においても、成形加工された表皮の厚さを測定しておくことが好ましい。この理由は、このように破断予定線を形成する前後の膜厚を測定しておくことにより、全体的にさらに均一な膜厚の破断予定線を形成することができ、エアバッグの展開力が発生した場合に、破断予定線に沿って、エアバッグドアをさらに確実に開くことができるためである。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、図13(a)〜(f)に例示するように、成形加工された表皮11を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材10の製造方法であって、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法である。
(a)表皮11の裏面Aが凸状になるように部分的または全体的に湾曲させる工程
(b)加工刃35によって、表面まで至らない深さの破断予定線17を形成する工程
(c)破断予定線17の切り口を開いた状態で、当該破断予定線17の深さまたは残部の厚さを測定する工程
なお、第3の実施形態における製造方法は、表皮の裏面が凸状になるように湾曲させた状態で、破断予定線を形成する点以外は第2の実施形態と、実質的に同様の内容とすることができるため、ここでは工程(a)を中心に説明する。
1.準備工程
工程(a)を実施するに先立ち、第2の実施形態と同様に、エアバッグドア部を有する車両用内装部材における表皮を準備することが好ましい。
2.工程(a)
第3の実施形態にかかる工程(a)は、表皮の裏面における破断予定線の形成箇所を実質的に頂点として表皮を変形させ、かかる表皮が凸状になるように、部分的または全体的に湾曲させる工程である。
すなわち、このように実施することにより、凸状になるように湾曲させた場合にV溝状になる破断予定線を容易に形成することができ、かつ、光学式の膜厚測定装置によってその深さを容易かつ精度良く測定することができる。
(1)湾曲方法1
ここで、工程(a)における湾曲方法は特に制限されるものではないが、例えば、図13(a)に示すように、上下動式の突起物33を備えた支持台31を準備した後、図13(b)に示すように、表皮11の表面Bを下方に向けて、すなわち表皮11の裏面Aを上方に向けて支持台上に載置することが好ましい。
次いで、図13(c)に示すように、支持台31上の表皮11の表面B側(破断予定線の背面側)から、破断予定線17の形成箇所27に対して、上下動式の突起物33を押圧し、表皮11の所定箇所のみを湾曲させることが好ましい。
この理由は、このように実施することにより、上下動式の突起物によって、表皮の厚さや材質にかかわらず、任意箇所の表皮を、任意程度だけ湾曲させることができ、態様が異なる複数の破断予定線を容易かつ精度良く形成することができるためである。
(2)湾曲方法2
また、工程(a)における湾曲方法として、図14(a)に示すように、固定式であって、所定高さを有する突起物33を備える支持台31を使用することも好ましい。すなわち、かかる支持台31を準備した後、図14(b)に示すように、表皮11の表面Bを下方に向けて、より具体的には、表皮11の裏面Aを上方に向けて、所定高さの突起物33を備える支持台31上に載置し、表皮11の所定箇所を、所定量だけ精度良く湾曲させることが好ましい。
この理由は、このように実施することにより、大量の表皮に対して破断予定線を形成する場合であっても、迅速に、所定程度湾曲させることができ、破断予定線を容易かつ精度良く形成することができるためである。また、突起物の高さを変えることにより、簡易な製造装置であっても、態様が異なる複数の破断予定線を容易に形成することができるためである。
(3)湾曲方法3
なお、工程(a)を実施するに際して、第2の実施形態において説明したのと同様に、表皮を載置した後、表皮の表面側から、吸引孔を介して、真空ポンプ等を用いて吸引したり、あるいは、表皮の裏面側にカバー材を用いたりして表皮を固定することが好ましい。
3.工程(b)および(c)
工程(a)を実施した後、第2の実施形態に準じて、破断予定線を形成し、次いで、当該破断予定線の切り口をV字状に開いた状態で、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することが好ましい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、図15に例示するように、成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置30であって、表皮を実質的に平らに載置するための支持台31と、表皮に破断予定線を形成するための加工刃35と、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するための測定手段39とを備えるとともに、破断予定線の切り口を開いた状態で、当該測定手段39により、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置30である。
なお、第4の実施形態におけるエアバッグドア部を有する車両用内装部材および破断予定線は、第1の実施形態で説明したものと同様とすることができるので、ここでの説明を省略する。
1.支持台
(1)基本的構成
支持台の基本的構成としては、エアバッグドア部を有する車両用内装部材の表皮を、実質的に平らに載置できる構成であれば特に制限されるものではないが、例えば、図15や図9(a)に示すように、上面が、実質的に平坦化されているとともに、水平方向に保持された構成であることが好ましい。そして、後述する突起物33が上下動可能なように、支持台31は、突起物33の形状に対応した開口部55を備えていることが好ましい。
(2)突起物
▲1▼構成
また、図15や図9(e)等に示すように、支持台31に、突起物33を備えることが好ましい。
この理由は、支持台上の表皮の下方、すなわち、背面(表皮の表面)側から突起物を押し付けて、破断予定線の切り口を確実に開かせることにより、破断予定線の深さまたは残部の厚さを容易かつ精度良く測定することができるためである。
また、かかる突起物は、設計や製造が簡略であることから、図8(a)〜(c)に示すように、全体として一つの構造物となる構成が好ましい。ただし、図16(a)〜(c)に示すように、突起物の形状に応じて、複数の独立した構成品(直線状物や曲線状物)からなり、全体として分割可能な突起物33aであることも好ましい。この理由は、このように突起物が分割可能であれば、突起物の一部を上下動させて、破断予定線の深さ又は残部の厚さを測定する部分のみを選択的に開口させることができるためである。したがって、破断予定線の形状や大きさに対応して、深さ等をより精度良く測定することができる。
▲2▼全体形状1
また、突起物のパターン形状に関して、一つ以上の直線状物、およびその直線状物に対して、垂直方向または斜め方向に交わる直線状物または曲線状物から構成してあることが好ましい。具体的には、表皮に形成する破断予定線の形状(パターン)に合わせた形状であることが好ましい。例えば、表皮に形成する破断予定線の形状が、図7(a)〜(c)に示すような形状(パターン)である場合には、支持台における突起物のパターン形状を、図8(a)〜(c)に示すようにパターン化することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、表皮に形成される破断予定線の形状が複雑な場合であっても、破断予定線の切り口を確実に開かせることができるためである。
▲3▼形状2
また、突起物の垂直断面形状に関しては特に制限されるものではなく、表皮に形成された破断予定線を、背面側から押圧した場合に、破断予定線の切り口が開くような突起物であることが好ましい。例えば、図17(a)〜(f)にそれぞれ示すように、垂直断面が、直方形、台形、先端に曲面を有する円柱断面、正方形、針状断面、半円等の形状とすることが好ましい。また、図18(a)〜(f)に示すように、突起物33の上面の全部または一部に、平坦部38または凹部37を設けることも好ましい。
▲4▼所定高さ
また、上昇させる突起物の所定高さについても特に制限されるものではないが、例えば、かかる突起物の所定高さを、支持台の表面から0.1〜10mmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる突起物の所定高さが0.01mm未満の値になると、表皮の破断予定線の切り口を十分に開かせることができなくなって、光学装置による測定性が低下する場合があるためである。一方、かかる突起物の所定高さが10mmを越えると、インビジブル性が低下したり、表皮の機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、突起物の所定高さを、支持台の表面から0.2〜7mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
▲5▼動作
また、突起物の動作に関して、破断予定線17を形成する前、あるいは、形成した後に、部分的または全体的に上下動することが好ましい。例えば、図9に例示するように、表皮11を支持台31に平坦に載置し、例えば、吸引して固定した後、表皮11が平らな状態で破断予定線17を形成し、次いで、支持台31に設けられた開口部55を介して、上下動式の突起物33を上昇させ、表皮11に形成された破断予定線17の切り口を開くことができる構成であることが好ましい。
この理由は、突起物33は、破断予定線17を形成する際には、支持台31の表面よりも低い位置に下降しており、したがって、表皮11の表面が平坦であることから、破断予定線の形成が迅速かつ正確になるためである。一方、破断予定線17を形成した後には、突起物33は、支持台31の表面よりも高い所定位置に上昇し、表皮の破断予定線の切り口を十分に開かせることができるためである。
なお、突起物が、部分的または全体的に上下動することから、破断予定線が一つ以上の直線物等からなる場合であっても、測定する部分の破断予定線の切り口を任意に開かせることができる。
(3)吸引部
また、支持台31には、図15に示すように、吸引部として、真空ポンプ等の吸引装置(図示せず。)に接続された複数の小孔からなる吸引孔23を備えることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、複雑な形状の表皮や大型の表皮であっても、吸引して、所望の位置に仮固定することができるためである。したがって、破断予定線を形成する際の表皮ずれを有効に防止し、精度良く破断予定線を形成することができる。さらに、機械的固定法と異なり、表皮に対する吸引を止めることにより、表皮を速やかに移動させることも可能になる。
4.加工刃
加工刃の種類は特に制限されるものではないが、例えば、レーザーカッター、高周波カッター、超音波カッター、加熱刃等の加熱切断治具や、カッター、カミソリ、回転刃、鋸刃、水流、糸鋸切り等の非加熱切断治具を、単独使用するか、あるいは併用することが好ましい。
ただし、表皮を平坦化した状態において、破断予定線を含む表面(表皮の裏面)が実質的に平坦となり、インビジブル性に優れたエアバッグドア部を有する車両用内装部材を得られるとともに、安価であることから、カッターまたはカミソリを使用することがより好ましい。
5.測定手段
測定手段は、図9(f)に示すように、加工刃により形成された破断予定線17の切り口を開いた状態で、破断予定線17の深さまたは残部の厚さを測定するための手段であって、かかる測定値をもとに、破断予定線の残部の厚さが所定範囲内になるように調整することができる。
ここで、かかる測定手段の態様は特に制限されるものではないが、例えば、光学式の膜厚測定装置や、超音波式の膜厚測定装置等を使用することができる。ただし、より正確に測定することができるとともに、省スペース化を図ることができることから、光学式の膜厚測定装置を使用することが好ましい。
6.位置検知手段
また、加工刃の高さ位置を検知するための位置検知手段を備えることが好ましい。
この理由は、かかる位置検知手段により、加工刃の高さ位置を適宜検知して、表皮との間の距離を所定値に常に調整することができるためである。したがって、かかる位置検知手段を備えることにより、表皮の厚さ等が変化した場合であっても、深さまたは残部の厚さが全体的に均一である破断予定線を精度良くかつ迅速に形成することができる。
なお、破断予定線形成前あるいは形成時における加工刃の高さ位置は、図19(a)に示すように、加工刃35の刃先35aに対して、高さ方向に所定距離(h2)だけ離して設けてある位置検知手段32、例えばレーザ方式の位置検知手段32によって検知することにより、調整することができる。すなわち、位置検知手段32と、支持台31の表面との距離を連続的に測定し、当該距離(h1)を常に一定にするようにして、加工刃35の高さ位置を間接的に調整することができる。
したがって、加工刃35の刃先35aの位置を、支持台31の表面から常に所定距離(h3)だけ離れた位置となるように、位置検知手段32に連結した加工刃の保持部36を移動させることにより、表皮11の厚さ等にかかわらず、深さまたは残部の厚さが全体的に均一である破断予定線を精度良くかつ迅速に形成することができる。
7.状態検知手段
また、加工刃の状態を検知するための状態検知手段を備えることが好ましい。具体的には、破断予定線形成前に、加工刃における刃先の状態が良好であることを確認できる構成であることが好ましい。
この理由は、状態検知手段を備えることにより、加工刃による切断具合を常に一定状態に保持することができ、表皮の種類や厚さ等が変化した場合であっても、深さまたは残部の厚さが全体的に均一である破断予定線を、精度良くかつ迅速に形成することができるためである。
また、加工刃における刃先の状態を測定し、磨耗等により損傷している状態が検知された場合には、装置の稼動を停止するとともに、加工刃を交換することができるためである。したがって、常に深さまたは残部の厚さが均一である破断予定線を有する車両用内装部材を得ることができる。
ここで、加工刃における刃先の状態については、図19(b)に示すように、保持部36を、破断予定線の形成前と同様の位置h1に戻した状態における、刃先35a′の位置(h3)と、もとの刃先の位置(h2)との差異や、陰影の形状差を、レーザ測定装置や赤外線測定装置等を用いて測定することにより、磨耗等による損傷度合いを検知することができる。
【実施例】
【実施例1】
熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)からなる、深さ0.1mmのしぼ加工が施された所定形状の表皮(縦:300mm×横:450mm×厚さ:1.0mm)を成形した。次いで、図17(b)に示すように、上下動させて、支持台(鉄板)の表面から突出可能な突起物(台形状物)を備えるとともに、複数の吸引孔を有する支持台を準備した。その支持台に上に、表皮を載置し、真空装置により吸引状態とした。
次いで、表皮の表面が平坦化された状態であることを確認した後、加工刃としてのカッター(表面温度:25℃)により、表皮の表面までは至らない薄肉部としての破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した。
次いで、表皮の表面側(破断予定線の背面側)から突起物を押圧して、破断予定線の切り口を開いた状態に保持したまま、破断予定線の残部の膜厚を、レーザ方式の膜厚測定装置として、レーザ変位計LC(キーエンス社製)を用いて測定した。なお、図20(a)は、測定によって得られた、実施例1における破断予定線を含む表皮の断面図を示しており、破断予定線の切り口が、V字状に開いていることが理解できる。
次いで、表皮の裏面に、図1(b)に示すようなウレタン樹脂からなる厚さ2mmの発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、実施例1のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とし、以下の評価を実施した。
(1)開口性
支持台の表面から突起物を0.5mm突出させることにより、破断予定線を形成した状態の表皮を、下方から押圧して、破断予定線の切り口を開いた。次いで、その断面形状を顕微鏡観察し、以下の基準に従って、破断予定線の切り口(断面)の開口性を評価した。
◎:切り口が左右均等のV溝状であって、開口幅が十分広い。
○:切り口が、ほぼ左右均等のV溝状であって、開口幅が比較的広い。
△:切り口が、実質的に左右均等のV溝状であるが、開口幅が比較的狭い。
×:切り口が不定形であって、ほとんど開口されない。
(2)インビジブル性
破断予定線を形成した状態の表皮の裏面に、光源として、100W白色電球を配置した。次いで、光源を点灯させた状態で、表皮の表面側から目視で観察し、以下の基準に従って、破断予定線のインビジブル性(非視認性)を評価した。
◎:破断予定線が表面側から全く認識されない。
○:破断予定線が表面側からほとんど認識されない。
△:破断予定線が表面側から一部認識される。
×:破断予定線が表面側から顕著に認識される。
(3)膜厚測定性
支持台の表面から突起物を0.5mm突出させることにより、破断予定線を形成した状態の表皮を、下方から押圧して、破断予定線の切り口を開いた。次いで、前述のレーザ方式の膜厚測定装置を用いて、かかる破断予定線における残部の厚さを10箇所において測定した。
◎:測定値のばらつきが5%以下である。
○:測定値のばらつきが10%以下である。
△:測定値のばらつきが20%以下である。
×:測定値のばらつきが20%超である。
(4)エアバッグによる展開性
収容したエアバッグを展開させて、その様子を目視観察し、以下の基準に従って、エアバッグによる車両用内装部材の展開性を評価した。
◎:破断予定線に完全に沿って展開した。
○:破断予定線にほぼ完全に沿って展開した。
△:破断予定線に沿って一部展開した。
×:破断予定線に沿って展開しなかった。
【実施例2】
実施例2においては、支持台の表面から突起物を1mm突出させたほかは、実施例1と同様に、表皮に破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した後、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、実施例2のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、実施例1と同様の評価を実施した。
【実施例3】
実施例3においては、支持台の表面から突起物を2mm突出させたほかは、実施例1と同様に、実施例1と同様に、表皮に破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した後、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、実施例3のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、実施例1と同様の評価を実施した。
【実施例4】
実施例4においては、表皮に破断予定線を形成する際に、図14(c)に示すように、支持台の表面から突起物を0.5mm突出させ、表皮の裏面が凸状になるように湾曲させた状態で、破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成したほかは、実施例1と同様に、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、実施例4のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、実施例1と同様の評価をした。
[比較例1]
比較例1においては、実施例1と同様に、表皮に破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した後、突起物によって下方から押圧しない状態で膜厚を測定した以外は、実施例1と同様に評価した。すなわち、図9(a)〜(d)に示すように、表皮に破断予定線を形成した後、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、比較例1のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、突起物によって下方から押圧しない状態、すなわち、表皮が平坦な状態で実施例1と同様の評価を実施した。
なお、図20(b)に、膜厚測定によって得られた、破断予定線を含む表皮の断面図を示すが、破断予定線の切り口が開いていないため、破断予定線の残部の厚さの測定が困難であることが理解できる。
[比較例2]
比較例2においては、実施例1における加工刃(カッター)のかわりに、150℃に加熱した加熱刃を用いるとともに、突起物により押圧せず表皮が平坦な状態で膜厚を測定したほかは、実施例1と同様に、表皮に破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した後、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、比較例2のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、実施例1と同様の評価を実施した。
なお、図20(c)に、膜厚測定によって得られた、破断予定線を含む表皮の断面図を示すが、加熱刃を用いているために表皮が溶融して、破断予定線の周辺に凹凸を生じていることが理解できる。
[比較例3]
比較例3においては、実施例1における加工刃(カッター)のかわりに、超音波振動カッターを用いるとともに、突起物により押圧せず、表皮が平坦な状態で膜厚を測定したほかは、実施例1と同様に、表皮に破断予定線(予定深さ0.5mm、予定幅0.01mm)を形成した後、裏面側に発泡層およびエアバッグを収容したポリプロピレン基材を積層して、比較例2のエアバッグドア部を有する車両用内装部材とした。次いで、破断予定線を形成した表皮およびエアバッグドア部を有する車両用内装部材について、実施例1と同様の評価を実施した。

【産業上の利用可能性】
本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材によれば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる表皮の裏面であって、車両エアバッグを配置する相当部分に、深さが表皮の表面まで至らず、表皮の裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になる破断予定線を形成することにより、光学式の膜厚測定装置による破断予定線の深さの測定が容易であるとともに、インビジブル性に優れたエアバッグドア部を有する車両用内装部材を提供できるようになった。
また、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法によれば、車両エアバッグを配置する相当部分に、光学式の膜厚測定装置による破断予定線の深さの測定が容易であるとともに、所定の深さに正確に制御された破断予定線を有するエアバッグドア部を有する車両用内装部材を効率的に提供することができるようになった。
さらに、本発明のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置によれば、表皮を実質的に平らに載置するための支持台と、表皮に破断予定線を形成するための加工刃と、破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するための測定手段とを備えるとともに、当該測定手段により、破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することにより、車両エアバッグを配置する相当部分に、所定の深さに正確に制御された破断予定線を有するエアバッグドア部を有する車両用内装部材を提供することができるようになった。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材において、
当該表皮の裏面であって、車両エアバッグを配置する相当部分に、表皮の表面まで至らない破断予定線を設けるとともに、当該破断予定線が、表皮を裏面が凸状になるように湾曲させた場合に、実質的にV溝状になることを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項2】
前記表皮を平坦化した場合には、前記破断予定線を含む表皮の裏面が、実質的に平坦となることを特徴とする請求の範囲1記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項3】
前記破断予定線が、一つ以上の直線およびそれに垂直方向または斜め方向に交わる直線または曲線から構成してあることを特徴とする請求の範囲1または2に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項4】
前記表皮の厚みをt1(mm)とし、前記破断予定線の深さをt2(mm)としたときに、t1×0.3<t2<t1×0.7の関係を満足することを特徴とする請求の範囲1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項5】
前記表皮の裏側に、発泡層と、エアバッグを収容する基材と、を備えていることを特徴とする請求の範囲1〜4のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項6】
前記表皮が、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を成形材料としたパウダースラッシュ成形品であることを特徴とする請求の範囲1〜5のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材。
【請求項7】
成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法において、下記工程(A)〜(C)を順次に含むことを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
(A)前記表皮を、支持台上に、実質的に平らに載置する工程
(B)加工刃によって、前記表皮の表面まで至らない深さを有する破断予定線を形成する工程
(C)前記破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する工程
【請求項8】
前記表皮を裏面側から吸引して、前記支持台に固定することを特徴とする請求の範囲7に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項9】
前記工程(C)において、前記支持台に備えられた突起物を所定高さまで上昇させて、前記表皮を下方から押圧することにより、前記破断予定線の切り口を開かせることを特徴とする請求の範囲7または8に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項10】
前記工程(B)において、前記加工刃の高さ位置を検知しながら、前記破断予定線を形成することを特徴とする請求の範囲7〜9のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項11】
前記工程(B)の前に、前記加工刃の状態を検査する工程を含むことを特徴とする請求の範囲7〜10のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項12】
前記工程(C)において、光学式の膜厚測定装置によって、前記破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することを特徴とする請求の範囲7〜11のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項13】
成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法において、下記工程(a)〜(c)を含むことを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
(a)前記表皮を裏面が凸状になるように部分的または全体的に湾曲させる工程
(b)加工刃によって、前記表皮の表面まで至らない深さを有する破断予定線を形成する工程
(c)前記破断予定線の切り口を開いた状態で、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定する工程
【請求項14】
前記工程(a)において、前記表皮を裏面が凸状になるように湾曲させるにあたり、当該表皮を基板上に載置するとともに、当該基板に備えられた突起物を押圧することを特徴とする請求の範囲13に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項15】
前記工程(a)において、前記突起物を下方から上下動させて押圧することを特徴とする請求の範囲13または14に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造方法。
【請求項16】
成形加工された表皮を備えたエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置において、
前記表皮を実質的に平らに載置するための支持台と、
前記表皮に破断予定線を形成するための加工刃と、
前記破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定するための測定手段と、を備えるとともに、
前記破断予定線の切り口を開いた状態で、前記測定手段により、当該破断予定線の深さまたは残部の厚さを測定することを特徴とするエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。
【請求項17】
前記支持台は、前記表皮を下方から押圧するための突起物を備えるとともに、当該突起物が所定高さまで上昇して、前記表皮を下方から押圧することを特徴とする請求の範囲16に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。
【請求項18】
前記突起物が、一つ以上の直線状物、および当該直線状物に対して、垂直方向または斜め方向に交わる直線状物または曲線状物から構成してあることを特徴とする請求の範囲16または17に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。
【請求項19】
前記加工刃の高さ位置を検知するための位置検知手段を備えることを特徴とする請求の範囲16〜18のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。
【請求項20】
前記加工刃の状態を検知するための状態検知手段を備えることを特徴とする請求の範囲16〜19のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。
【請求項21】
前記支持台に、前記表皮を固定するための吸引部を備えることを特徴とする請求の範囲16〜20のいずれか一項に記載のエアバッグドア部を有する車両用内装部材の製造装置。

【国際公開番号】WO2004/045921
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【発行日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−570330(P2004−570330)
【国際出願番号】PCT/JP2003/007404
【国際出願日】平成15年6月11日(2003.6.11)
【出願人】(000150512)株式会社仲田コーティング (40)
【Fターム(参考)】